雛見沢ゲットー
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キョン「また転校生だと?」 その1
2010/02/02 18:43
キョン「また転校生だと?」
キョン「また転校生だと?」 パー速
1. ◆EHGCl/.tFA 2009/05/16(土) 13:33:58.97 ID:UBP/3gpk0
ハルヒ「そうなのよ! しかも身長190センチオーバーの大男!」
キョン「ふーん。で、何年生なんだ?」
ハルヒ「2年生。私たちと同じクラスよ」
キョン「……マジかよ」
古泉「転校生ですか」
キョン「そうなんだ。またお前ら絡みか?」
古泉「いえ、今回の件に関しては機関はノータッチです。ごく普通の一般的な生徒さんでしょう」
キョン「ふぅ……それならいいんだ、それなら」
古泉「あなたも心配症ですね」
キョン「今までのことを考えれば当然だろうが」
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翌日
ハルヒ「キョン! 遅い!
今日は転校生が来る日だから私並みに早く学校に来なさいって言ったでしょうが!」
キョン「無茶を言うな、無茶を。大体、午前五時から校門前に並ぶ奴があるか」
ハルヒ「いいじゃない、別に。これからとんでもない秘密を持った転校生に会うんだからさ」
キョン「絶対普通の転校生だ。ただ身長が大きいだけで不思議扱いするんじゃない」
?A「いくら侵入するからって、学生はないんじゃないか、学生は……やれやれだぜ」
?B「そう言わないでください。あなたの若さでしたら充分通用します」
?A「学ランに袖を通すのもずいぶんと久しぶりだ…」
ハルヒ「あ、担任来たわよ担任!」
キョン「おい……あの後ろについてきたのが転校生か…?」
ハルヒ「み、みたいね……想像以上の大きさだわ…」
岡部「ええ、みんなも知っているとは思うが今日から転校生がこのクラスに編入する。
仲良くするんだぞ。それじゃあ空条君、自己紹介を」
承太郎「空条承太郎だ。よろしく」
ハルヒ「あ、あれが高校生・・・うーん、謎の臭いがプンプンしやがるわ」
キョン「……」
キョン(古泉の野郎…本当に何もないのか…?)
キョン「おい、古泉!」
古泉「おや、どうしましたか? そんなに息を荒くして」
キョン「今日、俺たちのクラスに入ってきた転校生の空条承太郎って奴だがな」
古泉「はい」
キョン「なんだか、こう、俺の勘なんだが、とてつもない謎を持っている気がしてならない…」
古泉「……と言いますと?」
キョン「いや、ほら、なんていうかな……ハルヒが引き寄せたって感じがしてならないんだよ」
古泉「……分かりました。あなたがそこまで感覚的に言うのは珍しいことですしね。
もしかしたら何かあるのかもしれません。念のため、機関のほうで調べてみましょう」
キョン「頼む…」
5日前
承太郎「ん、この封筒は何だ…?俺宛か……差出人は不明」
『日本 涼宮ハルヒ 能力 神 危険 創造 スタンド 可能性』
承太郎「……『スタンド』という単語だけでイタズラではなさそうだな…SPW財団に掛け合ってみるか」
現在
承太郎(とりあえず涼宮ハルヒとかいう女に接触してみるか)
承太郎「涼宮は……お前か?」
ハルヒ「え、あ、うん、そうだけど?」
承太郎「お前の話は転校前の学校でもよく聞いていた。
なんでも不思議を探す部活をしているそうだな?」
ハルヒ「ええ、そうよ。SOS団、って言うの」
承太郎「たしか、宇宙人、未来人、超能力者、異世界人を探すのが目的、だったか」
ハルヒ「よく知ってるわね。なかなか見込みあるわ! 承太郎だっけ、SOS団に入ってみる?」
承太郎「……そうだな、それも悪くなさそうだ」
キョン(古泉……こいつ、マジで何かあるって…)
ハルヒ「今日からSOS団に入団した私と同じクラスの空条承太郎よ!」
承太郎「よろしく」
みくる「あ、朝比奈みくるですっ! お、大きいですねぇ…」
長門「長門有希」
古泉「古泉一樹です。よろしく」
承太郎「で、このSOS団ってのは何をする団体なんだ?」
ハルヒ「そうね、平日は基本的に部室で不思議に関する情報を集めるとか、
あとは自由活動かしらね」
承太郎「休日は、例の不思議探しってやつか」
ハルヒ「そうそう! いやぁ、承太郎、なかなか飲み込みが早くていいわね!
どこかの雑用とは大違いよ!」
キョン「余計なお世話だ…」
承太郎(SPW財団との話では、このSOS団、何かしらの力がひしめいているらしいが…
それらしいものは感じられない。スタンドではなさそうだしな…)
谷口「ん、なんだ、これ」
国木田「矢じり、みたいな形の石だね」
谷口「なっかなか綺麗だな! 通学路にあるってことは誰かが落とした宝石ってところじゃないか?」
国木田「だったら交ば」
谷口「よっし! 質に行って売ってこようぜ!」
国木田「…言うと思ったよ」
翌日
教師「それでは、ここの英訳を……空条君」
承太郎「…今現在、世界では温暖化によって水位が上昇していると言われているが…」
キョン(とても高校生とは思えないガタイ、頭脳、知識…
それに俺が養ってきた第六感が、あいつはただものじゃないと言ってるしな…
しばらくは目を離せないというか落ち着けないというか…)
谷口「よーっす、キョン、飯にしようぜ」
キョン「おう」
承太郎「キョン、俺も一緒していいか」
キョン「あ、ああ」
谷口「それじゃあみんな席に着いたところで聞いてくれよ。昨日さぁ」
キョン「自業自得だ」
谷口「ほんと、ついてないよなぁ」
承太郎「谷口、だったか」
谷口「あん? なんだ?」
承太郎「その石、どこにやったか分かるか?」
谷口「ああ、すまん。覚えてないんだ。手を切っちまって、ムカッときたもんで蹴っ飛ばしちまった」
承太郎「そうか……」
谷口「あれ、承太郎のもんだったのか?」
承太郎「ああ、いや、違う。SOS団の不思議になるかもしれないと思ってな」
国木田「へぇ、空条君もSOS団入ったんだね」
放課後
承太郎「ああ、俺だ。
手紙の差出人がどこからか手に入れた矢じりをこの周辺にばらまいたに違いない」
承太郎「すでにクラスメート一人が矢じりで負傷した。……いや、まだ本人に自覚はない」
承太郎「分かっている。ああ、引き続き周辺の警戒を頼むぜ」
キョン「今日は朝比奈さんも古泉もハルヒもいないし、帰るかな…ん?」
キョン「よう、谷口。一緒に帰ろ…」
谷口「ああ? なんだ、キョン?」
キョン「何やってんだ! その右手で掴んでいる国木田の首を放せ!」
谷口「ふん・・・・・ふふ、はははは!」
キョン「谷口…?」
谷口「キョンよ、俺たちってさ、いっつも底辺の落ちこぼれ組でさ」
キョン「……?」
谷口「いっつもギリギリのところを生きてるじゃん?
だけどよ、この力があると何だってできる気がしてくるのよ」
キョン「力…? 何のことだ?」
谷口「やっぱりお前にも見えてねえんだ……くく」
キョン「と、とにかく、その国木田の手を放せ」
キョン(国木田の傷が酷い…それに、いつかの眉毛女を思い出すな、これは…)
谷口「いいや、無理だね。見返してやるのさ。今まで俺をコケにしてきたクズどもをな
勉強できない、スポーツだってうまくない、女にもモテない…
だが俺はこの力で誰にも馬鹿にされない存在になるのさッ!」
キョン「た、谷口…」
承太郎「今日は誰も部室にいなさそうだな…部室に何か『謎』に関係するものがあるかもしれない。
鍵を借りてくるか」
谷口「そのために、まず、この国木田を殺してやるよ」
キョン「なんでだよ! 国木田とお前、仲良かっただろうが!」
谷口「るせーッ! こいつ、俺にはいっつもいっつも上から目線で話しやがって…」
キョン「だ、だからって、そんなことで警察に捕まるつもりかよ!」
谷口「キョンよぉ……俺はもう警察なんかにゃ捕まえられない存在になったんだぜ?
味わってみるか? んん〜?」
キョン(く、くそ……なんだ、谷口にどんな力が備わってるんだ…
長門たち宇宙人みたいな訳わかんない情報操作か?
朝比奈さんのように時間を移動するとか、もしかして古泉みたいに赤玉…?)
キョン(ああ、どうしてこうなるんだ!)
谷口「よし、それじゃあキョン、お前を国木田と同じ目に遭わせてやるよ」
キョン「く、来るな! いくら谷口でも容赦しねえぞ!」
谷口「ふん……馬鹿めッ!」
キョン「な、なんだこりゃ!」
キョン(アスファルトの地面に足跡が…こっちに向かってくる!これが力か?
…とりあえず玄関近くにいるのは危険だ…人が少ないところへ逃げないと…!)
谷口「ん、キョンめ、逃げるか…」
谷口「待てコラァッ!」
あの石で手を切った帰り道、俺は思いっきり転んだ。
そりゃもう、一昔前のマンガみたいに盛大に転んだのさ。
たくさんの人の視線を浴びて、俺はもう穴があったら入りたい。むしろ穴を掘って入りたい気分になってた。
だが異変に気付いたのは、家に帰ってからだ。
家に帰って、制服の汚れを落とそうと思った。
だが、俺の制服はまるで新品のように、汚れ一つついていなかった。
それだけじゃない。
転んだときの傷すら痛くない。傷跡なんか一平方ミリメートルも残ってやがらなかったのさ。
そして何かの気配を感じて後ろを向くと、ひっそりとたたずむ俺とほぼ同じ背格好の泥人形。
訳が分からなかったね。精神が病んじまったのかとも思った。
だけど、だけどな。一つだけ分かってことがある。
谷口「それは…」
谷口「俺はすげえ力を手に入れたってことだッ!!」
谷口「なぁ、キョン! いい加減、出てきたらどうだ! ここら辺に隠れてるのは知ってるんだぜ!」
キョン(頼む、長門……気づいてくれ……ハルヒも古泉も朝比奈さんもいない…
…だけどお前は部室にいるはずだ!谷口のバカでかい言葉に、気づいてくれ!
ゴミ箱の中に隠れるのも限界だ…!)
谷口「どこだッ! どこだ、キョンッ!」
キョン(くそ……近づいてきてやがる……)
谷口「…んん? ハッハーン、わかったぜ、キョン。そこのゴミ箱の中だな?」
キョン(や、やばい…!頼む、長門! マジで頼む! 気づいてくれ! 助けてくれ!)
谷口「今、ふたを開けてやるからなぁ」
キョン(ひ、光が入ってくる…!)
承太郎「おい」
谷口「あん?」
承太郎「何してるんだ?」
谷口「何って、今、探し物してるんだよ」
承太郎「探し物?」
谷口「ああ、ちょっとノートを掃除当番の野郎に捨てられたみたいでな」
承太郎「なるほどな」
谷口「そういうことだ。承太郎には関係ないから、さっさと家に帰りな」
承太郎「俺が何をしているんだ、って訊いたのはゴミ箱を開けていることに関してじゃねえぜ」
承太郎「血まみれの制服でゴミ箱を開けていることに関して訊いたんだ」
谷口「……」
承太郎「玄関先で血まみれで倒れている国木田がいた。……その血、国木田のか?」
谷口「…だったら、どうなる?」
承太郎「………」
谷口「承太郎……お前もめんどくさい野郎だな。素直に帰ってればよかったものを」
承太郎「……」
谷口「めんどくせえから、お前も殺っちゃうわ」
承太郎(…やはりスタンドか…やれやれだぜ…)
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド」
ピタッ
承太郎「谷口、お前に個人的な恨みはないが、悪事を働いた奴を見逃すわけにはいかないぜ」
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァッッッ!
承太郎「そして時は動き出す。これでお前は終わりだ」
谷口「ごぶぁッッ!」
谷口「はぁ、いってえなぁ」
承太郎(何ッ…?)
谷口「思いっきり吹っ飛ばしてくれたねぇ、承太郎さんよぉ」
承太郎(馬鹿な……たしかにスタープラチナで時は止めた、そしてスタープラチナで殴り飛ばした
それなのに無傷だと…? 奴のスタンド能力を見極めなきゃ勝てないみたいだな…)
谷口「なぁ、承太郎さんよ、一つ訊きたいんだが」
承太郎「……何だ」
谷口「この、泥の人形みたいな奴ってなんて名前なんだ?」
承太郎「答える義理はない」
スタープラチナ「オラオラオラオラァァァッ!!」
谷口「ぐぼぶッッッッ!!」
承太郎「……手ごたえはあった…だが」
谷口「きかないねぇ」
承太郎「無傷か……やれやれだぜ…」
キョン(一体何が起こってやがるんだよ…
さっきから、谷口が承太郎に吹き飛ばされてるように見えるが…
だけど、承太郎は何もしてない…全然動いていない…
宇宙人同士の戦いは派手でスリルしかなかったが)
キョン(この二人の戦いは、静かすぎて怖いなぁ、おい…)
谷口「くく、お前じゃあ、今の俺には勝てねえよ」
承太郎「……」
承太郎(たしかに奴のスタンドの能力がさっぱり読めない…殴っても無傷…
…吹き飛んでいるから攻撃は当たっている……血も吐き出してる……)
承太郎(だが、情報が足りなさすぎる…)
谷口「お前じゃ俺には勝てないが、かといって毎回お前に殴られるのも癪だ
今回はここで逃げさせてもらうぜ」
承太郎「逃がすかッ!」
スタープラチナ「オラアアッッッ!」
キョン(やったか!?)
谷口「ぐふぅッッ!」
谷口「……だけど、残念。無傷なんだな、これが
じゃあな、承太郎。お前が『逃がすか』と思い続ける限り、俺は逃げ続けてやるぜ」
承太郎「消えた、だと…?やれやれ、とんでもないスタンドを身につけちまったようだな…」
承太郎「さて…キョン、出てきて事情を説明してもらおうか」
キョン(バレてたのか…)
部室にて
承太郎「なるほどな…玄関を出た時にはもう国木田は襲われてたってわけか…」
キョン「ああ…なぁ、国木田は…」
承太郎「彼なら問題ない、腕利きの医療チームを呼んでおいた。もう心配ないだろう」
キョン「そ、そうか……」
キョン「もう一つ質問していいか?」
承太郎「……ああ」
キョン「さっき、谷口をどうやって吹き飛ばしたんだ…?」
承太郎「………そうだな。知ってしまったのなら、理解しておいたほうがいいだろう」
承太郎「谷口が言っていた矢じりのような石、覚えているか?」
キョン「ああ、帰り道に拾おうとして手を切ったとかなんとかって」
承太郎「あの石で素質のある者の体を傷つけると、幽波紋(スタンド)という能力が身に付く
さっき、俺と谷口はスタンド同士で戦っていた」
キョン「じゃあ、なんで谷口は吹っ飛んだんだ?
殴られたのは谷口のスタンドってやつじゃないのか?」
承太郎「スタンドへのダメージは、本体へのダメージでもある
つまり、スタンドの首を切り落とせば本体の首を切り落としたことになる」
承太郎「まぁ、例外はあるが」
キョン「そう…なのか」
承太郎「どうした、気になることでもあるのか?」
キョン「その石なんだけどさ…たぶん、俺も拾って小指を切った…」
承太郎「……やれやれだぜ…」
承太郎「それじゃあ、谷口のスタンドも見えていたか?」
キョン「え、あ、いや、見えなかった」
承太郎「じゃあ大丈夫だ。スタンドはスタンドを持つ者にしか見えない」
キョン「ああ、そうなのか……よかった……」
谷口「あの承太郎のスタンド……ただスピードとパワーがあるだけじゃない」
谷口「最初に殴られたとき、あいつが近寄るのを見ることができなかった…」
谷口「つまり、瞬間移動だとか、何かそれに近い能力を奴のスタンドは持ってるってことだ」
谷口「……くく、そうだな。
とりあえずこの石を使って他の生徒を目覚めさせ、承太郎たちを殺させるとしようか…」
昼休み 部室
キョン「襲ってくる可能性がある?」
承太郎「考えたくないが、スタンドはスタンドを呼ぶ」
キョン「…と言うと…?」
承太郎「引かれ合う、と言ったほうが正しいか」
キョン「ええと、つまり、スタンドを持っている人間同士は引かれ合うってことか」
承太郎「そうだ。きっと、俺がここに来るのは決まっていた」
キョン「ふむ…てことは、いずれ新たなスタンド使いか、谷口がここに来るってことか」
コンコン
キョン「あ、はい、どうぞ!」
阪中「あ、今、よかった?」
キョン「あ、ああ、かまわんぞ」
承太郎(…油断はできねえか)
キョン「で、こんなところに来てどうしたんだ?」
阪中「学校祭まで後何カ月かあるのね?」
キョン「ああ、そうだな」
阪中「今年の学校祭は、涼宮さんも一緒に楽しめたらいいな、って思って」
阪中「仲良くなりたいなぁ、ってこの部室に来たのね」
キョン「ああ、あいつか」
キョン(いい人だよなぁ、阪中は)
承太郎「そういえば涼宮は昼休みになるといなくなるようだが、どこへ行っている?」
キョン「さあな。一年生のときは学校の中で不思議なことを探して回ってたぞ」
承太郎(涼宮…スタンド…可能性…神…?)
キョン「阪中、悪いな。ご覧の通り、今部屋の中には俺と承太郎しかいないんだ」
阪中「あ……そうみたいなのね」
キョン「俺も見かけたら声かけておくよ。あいつのこと、気にかけてくれてありがとな」
阪中「あ、全然かまわないのね。友達は多いほうが楽しいと思うし」
承太郎「……ッ! 阪中ッ! 伏せろッッ!!」
阪中「え?」
ガシャァァアアン! ザシュッッ!!
キョン「阪中!」
承太郎(廊下の窓から矢じりを投げ込んで阪中を狙った?)
キョン「阪中! 大丈夫か!?」
阪中「あ…キョン、君…だ、大丈夫なのね」
承太郎「キョン、この矢じりには気をつけろ。今、俺の手元にあるから何ともないが」
キョン「分かってる…」
承太郎「近くに谷口が潜んでいるのかもしれないな」
キョン「承太郎、矢じりはどうするんだ?」
承太郎「俺が保管する。絶対に谷口には渡さん」
???「それはどうかなぁ?」
承太郎「ッ!! こいつはッ!」
キョン「な、なんだ!?」
承太郎「キョン! 谷口だ! 谷口のスタンドがいる!」
???「ひひひひ」
承太郎「……見えなくなった?」
キョン「承太郎! 部室の窓だ! 矢じりが浮いてる!」
承太郎「何ィッ!?」
承太郎(馬鹿な……確かにあの矢じりは俺のポケットに入れておいた…谷口のスタンドか…?)
???「くひひひ、どうした承太郎。俺はここにいるぞぉ?」
承太郎「キョン、阪中を連れて逃げろッ! 俺が食いとめる!」
キョン「わかった!」
???「っと、させねえぜェェッッ!」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」
ピタッ
承太郎「ふぅ……時を止めた。とりあえず矢じりはもらっておくぜ」
???「ざぁぁんねんだったなぁああッッ!」
承太郎「ば、バカなッ!」
キョン「阪中、行くぞ!」
阪中「う、うん……」
承太郎(馬鹿なッ…時が止まらない…ッ!?)
???「ひひひ、俺の能力がまだ分かっていないようだなぁ?」
???「いい顔だ、いい顔だぞぉ」
承太郎(傷を治したり、止めた時を打ち消したり、こんな多彩なスタンド初めてだぜ…
いや……待てよ……)
???「ッ…… どうした、構えなくていいのか? それとも、もう諦めたのか?」
承太郎「そうだな、俺ではお前に勝てない。そのことをよく『理解』したぜ」
???(こいつ……勘づきやがったか?)
承太郎「どうした、聞こえなかったか? だったらはっきり言ってやるぜッ!」
承太郎「『俺ではお前に勝てない。そのことをよく理解したぜ』」
???「チィッ!」
承太郎(逃げたか…だが、そのほうが俺も助かる。もし俺の予想が正しければ
人目につくところでの戦いは、あいつにとって圧倒的に有利だからな…)
承太郎「キョンたちを探すとするか…」
キョン「阪中、大丈夫か?」
阪中「う、うん……窓から何かを投げつけられて、肩を切った時は痛かったけど
今は全然なんともないのね。不思議なのね」
キョン(まさか……矢じりの力か…? 阪中もこのスタンドとかいうやつに目覚めてしまうのか?)
???『阪中ッッ! 俺の声が聞こえるだろッッ!』
阪中「ヒッ…!」
キョン「さ、阪中?」
阪中「へ、変な声が聞こえるのね…」
キョン「声…?」
承太郎(スタンドはスタンドを持つ者にしか見えない)
キョン(って承太郎が言ってたな……まさか、声もなのか…?)
阪中「何なの! 誰の声なの!」
???『キョンを殺せ! スタンドを使って殺すんだ! さあ!』
阪中「スタンドなんて知らない! キョン君を殺すなんてふざけたこと言わないで!」
???「ひひひ……」
阪中「あ、あれ、体が、か、勝手に動く、の、ね?」
キョン「阪中…ま、待て! 早まるな!」
阪中「キョ、キョン君…体が勝手に動くのね…す、スタンド…私はスタンドを知っていた…
こ、これは………犬のスタンド?」
キョン「阪中、いいか! 落ち着け! 今、承太郎を呼んでくるから!」
阪中「だ、だめ! わ、私、キョン君を殺したくて、どうしようもない!」
キョン「だ、だめだ!」
阪中「わ、私のスタンド……『フェイスフリー・ドッグ』…?ご、ごめんなのね、キョン君……死んで?」
承太郎「…む」
承太郎「キョンッ! スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」
承太郎(とりあえず、キョンをあの犬のスタンドから引き離す…)
そして、時は動きだす。
キョン「ガッ…ハ…」
承太郎「酷い傷だな…この犬がやったってわけか」
キョン「す、スタンド……」
承太郎「分かっている。こんなに血に飢えたような犬、初めて見るぜ」
キョン「阪中…」
阪中「承太郎君、避けてほしいのね?」
承太郎「それは聞けないお願いだぜ」
阪中「じゃあ、君も殺しちゃうのね?」
承太郎「やれるものならな」
承太郎(とは言ったものの、阪中本人はきっと谷口のスタンドに操られている…
かといって手を抜けば、あの二匹の獰猛な犬のスタンドが俺をずたずたに噛み砕くだろう)
承太郎「やれやれだぜ…ここが人気の少ない部室棟でよかった、といったところか」
阪中「フェイスフリー! 行って! キョン君を殺して!」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールドッッ!」
承太郎「無駄だ」
スタープラチナ「オラァァァァッ!」
ボゴォォッッ! ドグォッッッ!
そして時は動き出す。
フェイスフリー「キャンッ!」
阪中「ぐっ……」
承太郎(阪中のダメージが少ない……もっと数がいるのか、この犬は)
キョン(くそ…俺はまた役に立たずに寝ているだけなのか……くそっ……
あんな凶暴そうな犬、阪中には似合わないってのに……)
キョン(…あれ?)
承太郎「な、なんだ、あの量の犬は…」
阪中「承太郎君、犬ってたくさんいればいるほど可愛いのね
ふふ、こんなにたくさん可愛い犬がいるなんて、私は幸せ」
承太郎(廊下を埋め尽くすほどの犬コロだぜ…ザッと100はくだらねえ。……やれやれだぜ)
阪中「フェイスフリー…承太郎君を殺して、キョン君も殺して」
フェイスフリー「ワンッ!」
承太郎「くそッ!」
キョン「承太郎……避けろ……」
承太郎「ッ!」 バッ!
承太郎「キョン……まさかお前…」
キョン「俺もさっきのいざこざで矢じりにやられてたみたいだ……そして、俺のスタンド、こいつを使う」
キョン「古泉が言っていた、『感覚的に自分が何をすべきか分かっていた』ってな」
キョン「俺にとって、それが今さッ!行け! 俺のスタンド! 奴らの動きを止めろ!」
???「ダリィィィィィッッッ!」
フェイスフリー「……わふ…」
阪中「あ、あれ、どうしたの! フェイスフリー! みんなそろって欠伸なんかして!」
キョン「俺のスタンドの能力、俺にピッタリの能力だ
ありとあらゆるものから『やる気』を奪う。無理やり倦怠期を迎えさせるのさ
承太郎! 今だ! 阪中を気絶させるんだ!」
承太郎「フッやれやれだぜ…」
スタープラチナ「オラァァッ!」
阪中「うっ……」
キョン「これがスタンド……やれやれ…」
放課後 いつもの喫茶店
キョン「ハルヒには都合が悪いと伝えておいた」
承太郎「すまないな、キョン。阪中も付き合ってもらって悪い」
阪中「あ、そんな、全然……
私だって体が言うことを聞かなかったとはいえ、二人を傷つけるなんてことを…」
キョン「もう過ぎたことだ。気にするなよ」
承太郎「そうだな。それよりも今は姿を消した谷口を探すのが先決だ」
承太郎「きっと、あいつは俺たちに近い存在の生徒に矢じりを使って無理やりスタンドを発現させ
自らのスタンドで、阪中をそうしたように操って俺たちを殺そうとしている」
キョン「……谷口…」
阪中「谷口君…」
承太郎「今はそんな風に沈んでいる場合じゃないぜ。これからどうするかを考えなきゃならない」
キョン「そうだな……もし俺たちの教室の誰かが発現したなら、お互いに分かりやすいが…」
阪中「他のクラスに他の学年ともなると、そうはいかないのね…」
承太郎「そこでだ、阪中。お前に頼みがある」
阪中「え?」
承太郎「お前のスタンド、フェイスフリー・ドッグを学校中に放してほしい」
阪中「え? どうして?」
キョン「そうか! もしスタンド使いがいたなら何かしらのリアクションをとるに違いない!」
承太郎「そうだ、俺のように何年も前からスタンドを知っている者ならまだしも
目覚めてわずかな時間しか経っていない者が、別の誰かが操るスタンドを見たとして
何かしら不審な行動を起こすに違いない。
もしフェイスフリーがその不審者を見つけたら
遠吠えなり他のことなりで阪中や俺たちに伝えればいい
北高校をフェイスフリー・ドッグの縄張りにしてしまえ、そういうことだ」
キョン「それに、学校に犬がいること自体不自然だ。
フェイスフリー・ドッグ……いいスタンドじゃないか」
阪中「あ、ありがとうなのね。えへへ」
承太郎「それと二人に注意しておくことがある」
承太郎「まずスタンドには射程範囲がある。俺のように近距離パワー型のスタンドもいれば、
飛行機のようなスタンドを使って遠距離攻撃をしてくる者もいる」
承太郎「スタンドの能力は十人十色、千差万別。不審なことがあったらとにかくスタンド能力を疑え
それと、キョンには言ったがスタンドへのダメージは本体へのダメージに変換される
フェイスフリーのような多数のスタンドは、少しやられたくらいなら問題ないが
俺やキョンのように数が一つしか存在しないスタンドが致命傷を負った場合、
スタンドを使っている者も死ぬ」
承太郎「そこのところを理解しておいてほしい」
キョン「ああ、わかった」
阪中「わかったのね」
キョン「ただいまー」
妹「ああ! キョン君、大変なんだよー! あ、おかえりー!」
キョン「はいはい、それでどうしたんだ?」
妹「私が帰ってきたらね、なんかシャミセンがけがしてたの」
妹「散歩でけがしたみたい」
キョン「シャミセンが怪我ねぇ。そりゃ、大変だ。病院にでも連れて行ってもらえ」
妹「キョン君、連れてってあげてー?」
キョン「…今日は疲れてるから、明日でいいならな」
妹「ぶー! キョン君のケチー!」
キョン「ああ、ごめんごめん」
キョン宅 自室
キョン(ふー…今日はいろいろあって疲れたな…スタンドか…おお、普通に出せる!)
キョン(一般人には見えずに、別のものに力を加えることができるのか…)
キョン「よし、ウェアリネス、机の上の本をとってこい」
ススススーッ
キョン「うおっ、とってきやがった! 賢いな、こいつ!」
キョン(て、犬じゃないんだし…馬鹿か俺は)
カリカリカリカリカリ
キョン(ん? ドアが引っかかれてる…シャミか?)
ガチャリ
キョン「おお、どうしたシャミセン」
キョン(スタンドみたいに話しかけちまったな)
シャミ「ああ、やっと話のできる人間と二人きりになれた」
キョン「ったく、猫に話しかけるなんて、俺は寂しい人間かってうぉい!」
キョン「な、なんだ? また話ができるようになったのか?
ってことはハルヒの奴がまた何かを企んでやがるのか?」
シャミ「いや、そのハルヒとかいう奴は関係ないだろう
お前の妹さんから聞いただろう、私の足のけがを」
キョン「あ、ああ」
シャミ「そのけがをした途端、何かうまく表現できないような感覚に襲われてな」
キョン「うん」
シャミ「それで…」
シャミ「こんなものが出てきて、しゃべれるようになってしまったんだが…」
キョン「……す、スタンド…?」
キョン「猫にもスタンドだと…?」
シャミ「スタンド…? スタンドと言うのか?」
キョン「シャミセン、ちょっと待ってろ」
シャミ「なんだ、それは…」
プルルルル、プルルルル、ガチャ
承太郎『どうした、キョン』
キョン「な、なぁ、承太郎、人間以外の動物にもスタンドって発現するのか?」
承太郎『ああ、する。俺はかつて、動物のスタンド使いと仲間だったこともある』
キョン「その動物のスタンド使いは、言葉を喋れたか?」
承太郎『いや、言葉は喋れなかった。知能は非常に高いようだったが』
キョン「な、なぁ、うちの飼い猫がスタンド使いになったんだが…」
承太郎『……やれやれだぜ』
翌日 昼休み 教室
キョン「てなわけで、シャミセンもスタンド使いになったわけだ…」
承太郎「飼い猫をスタンド使いにして、まずキョンを仕留めようと思ったわけか」
キョン「はぁ……しゃべれる飼い猫なんて…」
キョン(一度経験したからあの時ほど驚かないが…ヒヤヒヤするんだよなぁ…)
承太郎「今は大丈夫そうだが、谷口に操られ、いつ敵になるか分からない
シャミセンのスタンドはどんな形だった? そこからある程度の能力が推測できる」
キョン「んー、そうだなぁ…真っ黒なトラのようなスタンドだったなぁ」
承太郎「トラか……阪中と言い、動物型のスタンドが多いな…」
キョン「だな…」
午後 授業中
キョン(スタンドって、スタンド使いに似るのかな…)
キョン(戦闘中のフェイスフリーはかなり怖かったけど、
巡回中のフェイスフリーは普通にシベリアンハスキーみたいで可愛いし)
キョン(承太郎のスタープラチナは、本人みたいにガタイがよくてかっこいい)
キョン(それに引き換え俺のスタンドは、やる気を奪うスタンドだしなぁ…
見た目も、なんか魔法使いみたいで弱弱しいし、
近寄られて殴られたら一発で死んじまいそうだな)
キョン(はぁ…)
教師「おい! キョン! 居眠りするな!」
キョン「あ、すみません…」
キョン(あの教師…ちっとイタズラしてやるか)
キョン(ウェアリネス……教師の脇腹をこちょばしてやれ!ふふ……)
承太郎「……」
キョン(げぇ!スタープラチナ!)
阪中「……」
キョン(フェイスフリーまで……授業の妨害はさせねえってか……
くそ……はぁ……授業たるいなぁ……)
キョン(スタンド……スタンドねぇ…)
キョン(そういえば、ハルヒには見えてないみたいだな…他の奴らにも…
とりあえずクラスメートと戦わなきゃならない、って状況は今のところなさそうだな)
放課後
阪中「キョン君! スタンドを使って授業の妨害をするような真似をしたらダメなのね!」
キョン「す、すまん……ヒマで、つい、な」
承太郎「……やれやれだぜ。ヒマだということには賛成するが」
キョン「阪中、それじゃあ俺たちは部活に行くけど、阪中はどうする?」
阪中「うーん、ルソーの散歩してあげないとダメだし、私は帰るのね」
キョン「おう、わかった。気をつけてな」
承太郎「じゃあな」
阪中「うん、二人とも部活頑張ってね」
部室
キョン「今日は朝比奈さんだけですか?」
みくる「そうみたいです。最近、涼宮さん、あまり顔出してなくて…古泉君も長門さんも同じで…
でも、今日は私とキョン君と承太郎君の三人がいますし、活動しちゃいましょうか」
キョン「そうですね」
承太郎「最近、涼宮はなんで来ないか、分かるか?
授業には出席しているのに、なぜ部活に来ない?」
キョン「さあな、あいつは自己中心を体現したような女だから、勝手に休むし、
俺たちが勝手に休めば怒る、それだけさ。
それより今は朝比奈さんのお茶を楽しむとしようぜ、承太郎」
承太郎「……ふん」
みくる「みなさん、お茶が入りまし……わっ、たっ…きゃあ!」
キョン「あ、朝比奈さん!」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド」
そして時は動き出す。
みくる「きゃあ……って、あれ…? わ! きゃあ!」
キョン(承太郎が時を止めたのか)
キョン「朝比奈さん、どうかしましたか?」
みくる「お、お茶をこぼしたと思ったら……」
キョン「ははは、朝比奈さんお茶なんてこぼしてませんよ」
みくる「そ、そうじゃないんです…お茶をこぼしたと思ったら…
承太郎君の後ろに、し、知らない人が……じっと、こっちを見てるんです…」
キョン・承太郎(何ィ!?)
みくる「こ、怖いですぅ…」
みくる「ひゃわぁ! きょ、キョン君の後ろにも…な、なんなんですかぁ…
どうして、知らない人たちがここに……こ、こっち見ないでぇ…」
キョン「じょ、承太郎…?」
承太郎「あ、ああ、あまりにも予想外な出来事に、つい言葉を失っちまったぜ…」
キョン「あ、朝比奈さん、大丈夫です」
みくる「て、キョン君近づいたら、知らない人も近づいてきますぅ!」
キョン「あ、すみません。ウェアリネス、ちょっと離れてて」
キョン「朝比奈さん、まず最初に一つだけ訊きたいんですけど」
みくる「ひゃ、ひゃい…」
キョン「ここ数日の間、どこかに切り傷を作ったりしてませんか?」
みくる「し、してないですぅ…」
みくる(ここ数日、私未来に帰ってたんです……この時間軸に、新たな不穏因子が生じたとかで…)
ボソボソ
キョン「な、なんですって…?」
承太郎(それは確かか?)ボソボソ
キョン(ああ、理由は言えないが、ここ数日、彼女は絶対に矢じりによって傷つけられていない…)
承太郎「……つまり、スタンドの才能を引き継いだものってわけか
俺と同じタイプのスタンド使い、か…」
みくる「す、スタンドってなんですかぁ……カメラスタンドならそっちの段ボール箱に入ってますよぉ…」
キョン「朝比奈さん、聞いてください」
みくる「な、ななななんですかぁ…?」
キョン「こいつらは悪い奴じゃないんです。ええと、そうだな…なんて言えばいいんだろう…」
承太郎「守護霊のような存在だ」
キョン「そう! それ! 不思議な能力を持った守護霊なんです、俺たちの」
承太郎「そうだ、そして朝比奈みくる、お前にもその素質がある」
みくる「そ、素質なんてありませんよぉ……怖いですぅ……」
承太郎「やれやれだぜ…この手の女は苦手なんだがな…」
承太郎「スタンドは身の危険を勝手に排除するものでもある」
承太郎「つまり、こうすれば朝比奈のスタンドを無理やり引きずり出すことができる!」
スタープラチナ「オラァァァッッ!!」
みくる「ひゃ、ひゃああああ!」
バシィィィィッッ!!
キョン「と、止めた…?」
みくる「あう……ひっく…えぐ…」
承太郎「……こいつが、朝比奈のスタンドか…ポルナレフを思い出すぜ…」
みくる「ふぇ……ひゃぁ! 私の後ろにも!」
キョン「それは朝比奈さんの守護霊です。朝比奈さんをしっかり守ってくれますよ」
みくる「しゅ、守護霊さん、ですかぁ…?」
キョン「はい、そうです。怖がっちゃ、守護霊に失礼ですよ」
みくる「あ、そ、そうですよね…守護霊さん、ごめんなさい…」
キョン(中世の騎士のような甲冑、西洋の剣に盾を持ったスタンドか…特殊能力は何なんだろう…)
一時間後
みくる「そ、そんなことが……だから、不穏因子ってこれのこと…? でも…」ボソボソ
キョン「とりあえず承太郎、これで俺たち側のスタンド使いは四人と一匹だな」
承太郎「ああ、仲間はいれはいるだけいい。特にスタンド同士の戦いでは、連携が取りやすい」
みくる「あ、あの……」
キョン「どうかしましたか?」
みくる「今の矢じりの話…本当だったらまずいかもです……」
キョン「どうしてですか? まさか友達がここ最近、切り傷を作ってたとか…」
みくる「そ、そうなんですっ!」
承太郎「そいつは誰だ? 今のうちに話をしておかないと、
谷口に操られた状態で近づかれる可能性がある。それは避けたい」
みくる「あ、えっとそれは」
鶴屋さん「やっほー! ハルにゃんたちいるかーい?」
みくる「あ…」
キョン「あ、鶴屋さんじゃないですか。見ての通り、今は三人です」
鶴屋さん「あー、そっかぁ」
キョン「どうしたんですか? 用事があるなら伝えておきますよ?」
鶴屋さん「んーにゃ、それはいいやっ!」
キョン「あれ、ハルヒに用事があったんじゃないんですか?」
鶴屋さん「んーん、ハルにゃんたちがいないことを確かめにきたのさっ!」
キョン「と、言いますと?」
鶴屋さん「んー、こんなこと言いにくいんだけど」
承太郎(やれやれだぜ……)
鶴屋さん「キョン君たち、死んでくれない?」
みくる・キョン「!!」
鶴屋さん「なんかさ、よくわかんないけど、衝動が…すごくてさっ!」
キョン(石つぶて…? 本人が…?)
承太郎「…! キョンッッ! そこに突っ立てるんじゃねえッッ!」
ギュゥゥゥゥンッッ!
キョン「ごはッッ!!」
みくる「キョン君!!」
承太郎「くそッッ…!」
承太郎(こいつの能力…単純だが、それゆえに恐ろしいぜ……)
鶴屋さん「ありゃりゃ? 今のじゃ、ちーっとばかし『加速』が足りなかったみたいだねっ!」
承太郎「キョン、あいつのスタンドの能力は『加速』だ。
本人が投げたように見えたが、きっと何かしらスタンドの力が込められた石を投げたのだろう」
キョン「くそっ……」
みくる「きょ、キョン君…動かないでください…怪我が大きくなっちゃいますぅ…」
鶴屋さん「んー、この部室、ぶっ壊していいかい?
私の力を使うには、この部室、ちっとせまいんだよねぇ」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールド!」
ピタァッ
承太郎「そんなにここが狭いなら出ていけばいい」
スタープラチナ「オラァァァッ!!」
ボゴォッ!
そして時は動き出す。
鶴屋さん「ガフッ!」
キョン「あ、窓から落ちる…」
キョン「承太郎、やったか…?」
承太郎「いや、手ごたえはあったが、殺すには程遠い…」
承太郎(それに時を止めていられる時間もいつもより短かった…
俺が動いていられる時間すらも『加速』したというのか…?)
承太郎「キョン…あまりザ・ワールドに頼らないほうがよさそうだぜ」
キョン「……そうか…」
みくる「キョン君…」
キョン「朝比奈さん…」
みくる「キョン君、大丈夫ですよ、きっとすぐによくなりますから」
キョン「朝比奈さん……避けて……部室の窓に…」
みくる「え…? き、きゃぁぁあああ!」
承太郎「なにッ! いつの間に、そこにッ!」
鶴屋さん「ふふ、何を驚いているんだい?」
承太郎(あいつを廊下の窓から吹き飛ばして、まだ十五秒ほどしか経っていない…
その十五秒で、誰にも気づかれず部室の窓から部室内に入ってきたって言うのか…?
やれやれだぜ…)
鶴屋さん「戻ってきただけじゃないよっ! こんなのも調達してみたっさ!」
キョン「が、画鋲…!」
鶴屋さん「さあ、いっくよー!」
キョン「ウェアリネス! 画鋲から『やる気』を奪え!」
ウェアリネス「ダリリリリィィィィィィイイイイッッッ!!!!!」
鶴屋さん「お、おろろ? 画鋲の針がふにゃふにゃしてきたさっ! わははははっ!」
承太郎「おい、女。油断してていいのか?こっちは二人。そっちは一人。
キョンがお前の攻撃手段を封じ、俺がお前を叩きのめす
さて、どうする。降伏するなら今のうちだぞ」
鶴屋さん「ふふん、なかなか面白いことを言う後輩だねっ!
でもね、画鋲がこんなになっても超高速で飛ばせばどうなるっかな?」
承太郎(小さなネジでも、高いところから落とせば下にいるヘルメットを貫通する…
こいつは、それを今やろうとしているのか…)
鶴屋さん「それじゃあ、いっくよー!」
ギュゥゥゥゥウウウウン!!!
承太郎(スタープラチナの動体視力ならどうってことはないッ…)
スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァアアアッッッ!!」
鶴屋さん「おおっ! すごいっさ! めがっさすごいっさ! んー! こういうのを待ってたんだっ!
ねぇ! みくる? すごいと思わないっかい!?…って、あれ、みくるは?」
承太郎「………」
キョン「………」
鶴屋さん「ありゃー、逃げられちゃったみたいだねっ! 残念無念!」
鶴屋さん「それじゃあ、君たちを殺してから、みくるも殺すかなっ!」
キョン「あ、朝比奈さんは関係ないだろっ…!」
鶴屋さん「そういう衝動なのさっ! 文句言わないでよねっ!
キョン君だって無性にラーメンが食べたくなることとかないかいっ?それとおんなじさっ」
承太郎「さあ、どうする。画鋲は通用しなかったぜ? まだやるか?」
鶴屋さん「はっはーん、君、君ィ、私のことなめてもらっちゃぁ、困るっさ!」
承太郎「…」
鶴屋さん「加速させる…そう、それは確かにひ弱な物体でもダメージを与えることができる能力っさ
でも、それだけじゃあないんだなっ!」
バキバキィィィッッ!
承太郎「…ッ!」
キョン「床が抜けたァァッ!?」
鶴屋さん「そこさっっ!!」
ギュゥゥゥウンンン!!
キョン(まずいッ……! 床を『加速』させ、腐らせて承太郎の足を封じるなんて…!
それにスタンドが見えない…こんなにスタンドの能力が強いんだから、
近くにいるはずなのにッ…)
スタープラチナ「オラオラオラオラオラオラアアァァァァッッ!!」
承太郎「くっ…」
鶴屋さん「ははははは!
その姿勢じゃあ、満足に避けることも、スタンドで画鋲をはじくこともできなさそうだねぇ!」
鶴屋さん「君の能力、私が推測するに『時間を止めること』じゃないかい?」
承太郎「ッ…」
キョン(そうだった…鶴屋さんは…
スタンドがなくても、鶴屋さん本人が何かしら不思議な力を持った人だった…)
キョン(それを忘れるなんて…)
鶴屋さん「大当たりみたいだねっ! いやぁ、私って、実はすごいんじゃないかなっ!」
承太郎「さて。俺は脚をとられ満足に回避できない。
キョンも初撃のダメージが強すぎて、満足にスタンドを操ることすらできない
これからお前はどうする」
鶴屋さん「んー、そうだねっ。君たちを殺すよっ!」
承太郎「そうか」
ゴインッッッ!
鶴屋さん「あ、あれぇ…? なんでみくるが…後ろにいるの、かな…」
ドザァァァッ……
キョン「え、あ、あれ? …どうして、朝比奈さんが?」
承太郎「…やれやれだぜ」
みくる「鶴屋さん…」
キョン「うわぁ……分厚い盾で頭をガツンか…痛そ…」
承太郎「助かった、朝比奈」
みくる「いえ、私がこの能力を使えるようになったのも、承太郎君のおかげですし…」
キョン「しかし、朝比奈さん、朝比奈さんのスタンドって一体どんな能力なんですか?」
承太郎「そうだな…突然姿を消したときはスタンドかとうすうす思っていたが…
俺もそれは気になっていたぜ」
みくる「ふふ…禁則事項です」
キョン・承太郎「……やれやれだぜ」
阪中…スタープラチナによって気絶。
谷口のスタンドの暗示は解除された模様。
ウェアリネス・ドッグ …阪中に忠実な番犬のようなスタンド。
一体一体は大した能力ではないが、その数は計り知れない。
キョン…土壇場でスタンドが発現。スタンド名『ウェアリネス・ライフ』(命名・承太郎)
鶴屋さんのスタンドによって加速した石つぶてで負傷。命に別状はない。
みくる …スタンドの素質があり、承太郎によって無理やり覚醒させられたが、
そのスタンドでキョンと承太郎を救う。スタンド名:トラベル・ガーディアン(命名:承太郎)
トラベル・ガーディアン …みくるのスタンド。中世騎士のような出で立ち。
鶴屋さん …谷口に操られていた模様。
朝比奈みくるのトラベル・ガーディアンによって気絶させられる。
スタンド名:プレザント・アクセリレーション(命名:承太郎)
プレゼント・アクセリレーション …『加速』する能力。
本人は気づいていないが、使い方によっては非常に強力。
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