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魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第5話「魔法少女のことを知りたいの!」

2011年05月12日 11:11

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

520 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/03/29(火) 02:18:05.70 ID:HOWE+q+G0

翔一「――あれ? ここはどこだ?」

 沢野翔一は、気がつくと見知らぬ場所に立っていた。
 自分以外は何も存在しない。闇が支配する完全なる『無』の世界――
 いつの間に自分はこんな所に足を踏み入れてしまったんだ、と自問してみるが、その答えは出なかった。

翔一「……というか、俺さっきまで何やってたんだっけ?」

 つい先程までの記憶を呼び覚まそうとするが、それも何故か出来ない。
 ほんの数分前までの記憶まで脳裏に浮かばないというのは、さすがに変だ。

翔一「いったいどうなって――ん?」


 ――気がつくと、翔一の目の前にうっすらと光が灯っていた。


 その光は、最初は微々たるものだったが、徐々に大きくなり、やがて、ひとつのカタチをなしていった。

翔一「……えっ?」

 その姿を見たとき、翔一は一瞬我が目を疑いたくなった。


 ――女の子だ。

 一糸まとわぬ長い髪をした少女が、目の前に立っていた。


翔一「――ッ!」

 思わす顔を真っ赤に染め目線を顔ごと横に反らす翔一。
 そんな翔一の行動を気にとめることもなく、少女は口を開いた。


???「こんにちは、翔一さん」

翔一「えっ?」

 何故、目の前の少女は自分の名前を知っているのか――
 瞬時に疑問が浮かび、目線を再び少女へと戻す翔一。
 少女は相変わらず素っ裸だったが、今更気にしてはいられない。
 ――見ていて恥ずかしいことに変りないが――

翔一「君は……?」

???「あぁ、“この私”と出会うのは初めてでしたね? 『はじめまして』の方が良かったですか?」

翔一「? 俺は君とどこかで会ったことあるの?」

???「はい。厳密に言うと『“私”になる前の私』とですが……」

翔一「……君の名前を教えてもらえないかな?」

???「私は――」

翔一「――!?」

 その時、翔一は目の前の少女の顔をはっきりと見ることができた。
 そして、その少女の正体が、自分のよく知っている女の子であることもわかった。
 なぜなら、目の前の少女は――



まどか「クリームヒルト・グレートヒェン。キュゥべえと契約した鹿目まどかの成れの果てにして、この世界で“最初に生まれるはず”のAGITΩです」



 昨日、出会ったばかりの少女、鹿目まどかだったからだ。




OP
http://www.youtube.com/watch?v=yEXxEny2BvY

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魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第4話「私はそう思わない」

2011年04月01日 19:24

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

306 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/03/12(土) 05:16:51.62 ID:/LpcHdMw0 

 ショッピングモールの地下。
 薄暗い闇が支配するこのフロアに、今現在5人の人間と1匹の正体不明の生き物がいた。

まどか「わぁ……」

さやか「凄い……。みるみるうちに傷が塞がってる……」

 鹿目まどかと美樹さやかは目の前で起きている現象に驚きの声を上げる。
 今、2人の前では魔法少女・巴マミが治癒魔法でキュゥべえの回復を行っている真っ最中だ。
 さやかの言葉どおり、治癒魔法を受けているキュゥべえの身体は徐々に傷が消えていき、血色も良くなってきている。
 ――そんな光景を横目に、3人と1匹から少し離れた場所に立っているもう1人の魔法少女・暁美ほむらが口を開く。

ほむら「いずれ後悔するわよ、そいつを助けてしまったこと……」

マミ「…………」

さやか「転校生……!」

 その言葉に対して、マミは無視を決め込み、さやかは敵意の籠った眼差しをほむらに向けた。

翔一「あ、暁美さん、駄目だよ、そんな自分から敵を作るようなこと言っちゃ……」

ほむら「事実を正直に言ったまでよ」

翔一「あ、暁美さ~ん……」

 そして、5人の中で唯一の男子である沢野翔一がほむらを咎めようとするが、ほむらは全く聞き耳を持たなかった。
 そんな会話が繰り広げられているうちに、キュゥべえは完全に回復したようだった。

キュゥべえ「ありがとうマミ、助かったよ!」

 ぱっちりと目を見開き、起き上がったキュゥべえが開口一番――といっても、キュゥべえは会話の際も口を開かないため、この言葉は正しいのか微妙なところだが――マミへお礼を言う。

さやか「しゃ、喋ったあああああ!?」

まどか「さ、さやかちゃん、落ち着いて……」

 そんなキュゥべえが、いきなり人間の言葉を発したので、何も知らなかったさやかは、驚きのあまり2、3歩ほど後ろへ後ずさってしまう。
 対して、キュゥべえの助けを求める声を聞いてここまで来ていたまどかの方は、特に何の反応も示さなかった。


 ――そして、この男も内心驚いていた。

翔一(や、やっぱり喋れたんだ……)


マミ「お礼ならこの子たちに言って。私は魔女を追っていたところを偶然通りかかっただけだから」

 マミにそう言われたキュゥべえは、すぐさままどかとさやかの2人の方を見やる。

キュゥべえ「言われてみれば、そうだね。ありがとう、鹿目まどか、あと美樹さやか」

まどか「やっぱり、あなたなのね。私を呼んだのは?」

さやか「ちょ、ちょっと待って……! まどか、あんたコイツと知り合いなの!?」

まどか「ううん。初対面だよ。ただ、さっきこの子の『助けて』って声が突然頭の中に聞こえてきて……」

キュゥべえ「そう。僕がまどかに助けを求めていたんだ。でも、まさか本当に来てくれるなんて……。やっぱり、まどかは僕の見込んだとおりだ!」

さやか「あ、あのさ……。勝手に話進めちゃってるところ悪いんだけど……アンタ、誰? 何で私たちの名前を知ってるの?」

キュゥべえ「おっと、失礼。僕の名前はキュゥべえ」

まどか「キュゥ……べえ?」

さやか「見かけによらず、何か冴えない名前ね……」

キュゥべえ「まぁ、名前のことは今は置いておいて……。今日は君たちにお願いがあって来たんだ」

さやか「へっ?」

まどか「お願い?」


ほむら「――!?」

翔一「? どうしました、暁美さん?」


キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

 そう言いながら、キュゥべえはまどかたちに愛くるしい笑顔を浮かべた。



OP
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魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第3話「私たちの相手は魔女じゃないわ」

2011年03月31日 19:18

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

ちなみに、このクロスオーバーSS、当初はまどか☆マギカ×アギトではなく、まどか☆マギカ×てつをでやる予定でしたw
その内容も、創世王撃破直後のてつをがキングストーンの力で中学生の姿になりまどか☆マギカの世界にやって来るというものw
プロットの時点で終始シリアスを超越したギャグにしかならなくて結局お蔵入りしちゃいましたが……w

191 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/03/06(日) 00:54:58.64 ID:7pOOoGSL0




 遥か昔。

 宇宙にはただ混沌があり、テオスはその混沌より生まれ混沌を闇によって黒一色に染め秩序を作った。

 そして、星々を闇に浮かばせ光を生んだ――




???(……ここ、どこだろう……?)

 荒廃した大地が延々と続く世界に、少女――鹿目まどかは立っていた。
 何故彼女はこんな所にいるのか。それは彼女自身もわからなかった。

まどか「…………」

 ぼんやりとあたりを見回してみる。
 しかし、彼女の瞳に映る景色は地平線の彼方まで続く大地だけであった。

まどか(何でだろう……? ここにいちゃいけない気がする……)

 そう思ったまどかは、どこか違う場所へ行こうと足を一歩前へと踏み出した。


 ――ぐにゃり。


まどか「えっ――?」


 すると、突然まどかの周囲の光景が大きく歪んだ。
 いや――周囲などというレベルではない。彼女がいた世界そのものが歪んだのだ。


 ――やがて歪みが収まると、そこに広がっていたのは悍ましい光景であった。


まどか「何……? 何なの……?」

 ――それは戦いの光景だった。

 剣や弓、槍などで武装した人間たちと、見たこともない怪物たちが戦っていた。
 怪物は一見動物のようにも見えたが、彼らは皆人間と同様に、2本の足で直立し、かつ手には何か武器を持っていた。
 (もちろん、中には何も武器を持ってないものもいたが、そこは割愛する)

 その戦いは、怪物たちが圧倒的に優勢のようであった。
 人間たちの放つ矢は、怪物たちの強靭な肉体に次々と弾かれ、剣や槍も怪物たちの力の前に軽々とへし折られていく。


 ――やがて、人間たちはそんな怪物の前に1人、また1人と倒れていき、気がつけば、そこにはまどか以外の人間は誰も立ってはいなかった。


まどか「…………」

 呆然と目の前の光景をただ黙って見つめるまどか。
 逆に、怪物たちの方はまどかの存在に気づいたのか、徐々に彼女の方へと近づいてくる。

まどか「あ……」

 それに気づいたまどかも、すぐさま逃げようと思考するが、身体がその命令をすぐには実行できなかった。

 怪物の1体が、まどかを射程内に捉えたのか、持っていた剣状の武器を構え、振り挙げる。
 しかし――


まどか「!?」


 突然、まどかの視界が白い光に包まれた。
 あまりの眩しさに、まどかは思わず目を閉じてしまう。

 やがて、光が収まり、まどかが再び目を開くと、そこには怪物たちの姿はなかった。

 ――代わりに、1人の青年が彼女の前に立っていた。

 少年の装いは白一色。
 制服姿であった自身もあまり人のことは言えないが、今自分たちがいる荒廃した大地にはあまり似合わない服装であった。

 しかし、まどかはそんな青年の姿を見て、無意識にこう呟いていた。



 ――天使だ、と。



 ――まどかが目を覚ましたのは、その言葉を言い終えるのとほぼ同時であった。

まどか「……夢オチ……?」

 そう言いながら、まどかは自身が眠っていたベッドからゆっくりと身を起こした。




OP
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魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第2話「変身!」

2011年03月14日 19:58

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

101 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/03/02(水) 00:44:14.35 ID:XWPm47yG0

マミ「大丈夫!? しっかりして!」

???「あ……。うぁ……」

 その日、キュゥべえと契約した魔法少女・巴マミは1人の少年を助けていた――

 魔女の呪いによって引き起こされた交通事故。それに、目の前にいる少年は巻き込まれた。

 ――いや、正確に言うと巻き込まれたのは、彼とその家族だった。
 マミが魔女の気配を察知し、現場へ駆けつけた頃には時すでに遅しという状況だったのである。

 だから、マミは目の前にいる少年だけでも――助けられる者だけでも助けたかった。

 すでに事故現場には多くの野次馬が集まってきている。
 そのため、さすがのマミもこんな所で堂々と魔法を使うことはできない。
 周囲の人目を気にしながら、周りにいる者達から気付かれぬよう少年に――本当に微々たるものだが――治癒魔法を施していくマミ。
 すでに時が夜で辺りも暗かったため、マミの魔法少女としての姿及び彼女が少年に施している魔法に野次馬たちが誰1人気がつなかったことが幸いだった。

マミ「お願い……! 死なないで……!」

???「……と……とも、え……」

マミ「!?」

 突然、目の前にいる少年の口から自身の名が出たため、思わず一瞬手を止めてしまうマミ。
 そして、その瞬間になって、やっと彼女は今自身が助けようとしている少年の顔を確認することができた。

マミ「ま、まさか……」

???「お、俺……死に、たく……ない……!」

マミ「……葦川……くん……?」



マミ「…………」

 朝の日差しに誘われるかのように巴マミは目を覚ました。

マミ「…………」

 何も言わずベッドから起き上がる。
 そして、自身の枕元に置かれていたソウルジェムにちらりと視線を向けた。

マミ「……そういえば、あれからもう一月くらいになるのね……」




OP
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魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第1話「あなたは私たちの味方なの?」

2011年03月13日 19:42

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです
元々はVIPでやっていましたが、元のスレッドがdat落ちしてしまったため、改めてこちらで始めさせていただきます


元スレ
翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297974688/


【注意事項】
※クロスオーバーに伴なう原作改変あり

※世界観は『魔法少女まどか☆マギカ』ベースで、『仮面ライダーアギト』の一部キャラクターや設定がパラレルという形で登場します

※上記の理由から、このSSに登場するアギトは、津上翔一でも木野薫でも芦河ショウイチでもありません
 言ってしまえば、上記の者たちとはまた違う世界の仮面ライダーアギトです
 (劇中登場する他のライダーについても同義)

以上を予めご了承の上、本スレ及びSSをお楽しみください


19 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/02/27(日) 01:25:09.92 ID:aWPZ2FzS0

 その少年が、見滝原中学校に転校してきたのは、季節が本格的に秋になろうとしていた頃であった――

翔一「転校してきた沢野翔一です! これからよろしくお願いします!」

 沢野翔一――担任教師と共に教壇の前に立っている少年はそう名乗った。

マミ(突然の転校生か……。3年生のこの時期に転校だなんて、進路とかいろいろ大変でしょうね……)

 そんな彼に視線を向けながら、彼女――巴マミは内心そう呟いた。

マミ(まぁ、私にはあまり関係がないことかもしれないけど……)

 そう結論づけると、マミは自身の左手薬指にはめられている指輪に眼を向ける。
 が――

先生「あ~……。実はな、沢野。何せ本当に突然の転校だったものだから、まだお前の席の用意が出来ていないんだ……」

翔一「えっ? そうなんですか?」

先生「あぁ。だから、しばらくの間は、あそこの席を使ってもらえるか?」

 そう言いながら担任教師が指さした席は、あろうことかマミの隣であった。

マミ(!?)

翔一「ハイ。わかりました」

マミ「…………」

 再び視線を転校生――翔一に向けるマミ。
 すると、そんな彼女の視線に気がついたのか、翔一の方もマミへと視線を向け、両者の目が合った。

翔一「よろしくお願いします」

マミ「え、えぇ……。こちらこそ……」

 目が合った瞬間、翔一は笑顔を浮かべながらマミに会釈すると、やがて席に着いた。
 そして、自身も会釈し返し、翔一が視線を別の生徒たちの方へと向けたのを確認すると、マミは再び左手の薬指へと目を戻した。

マミ(……まぁ、こういうこともあるわよね……?)



 その日の夜――

マミ「さてと……」

 すでに日は落ち、外はすっかり月と街の灯りだけが照らす時間帯となった頃、マミは1人制服姿のまま自宅を後にし、外へ出た。
 制服姿のまま夜の街を出歩くという、普通の中学生ならまずありえない行為――だが、巴マミにとってはこれが普通だった。
 それは、彼女が見滝原中学校に通う学生であると同時に、ある別の顔を持っているからだ。

 ――『魔法少女』。
 読んで字の如く、『魔法』と呼ばれる本来人間の手では不可能とされる様々な異能の技を使うことが出来る存在――
 巴マミは、そんな異能力者の1人なのである。
 そして、彼女たち魔法少女は、人知れぬところで日夜人間の自由と平穏を脅かす存在と戦っていた。

 ――『魔女』。
 魔法少女の対に位置し、世界に災いの種である『呪い』を振りまくもの――
 それがマミたち魔法少女の倒すべき『敵』にして、人間の自由と平穏を脅かす存在の正体である。
 そして、マミの場合、休日や放課後、夜になるとそんな魔女を探し出し、討滅するためのパトロールをするのが、魔法少女となってからの日課となっていた。


???「やぁ、マミ」

 魔女探しを続けてたマミに、不意に声をかける者が現れた。
 マミはその声の主を知っている。
 魔法少女であるマミにとって、数少ない大事な『友達』の声だ。
 マミが声のした方――自身の足元へと目を向けると、そこには長い尾を持った白い犬とも猫ともそれ以外の小動物とも思える姿をした不思議な存在がいた。

マミ「あら、キュゥべえ。どうしたの、こんな時間に?」

 そう。この存在こそ、マミの『友達』なのである。名前は、キュゥべえといった。

 その場にしゃがみ込み、視線を近づけたマミからの問いに、人間ならざる友達は表情ひとつ変えずに、己の尾だけをゆらゆらと揺らしながら答える。

キュゥべえ「別に大したことじゃないんだけどね。新しい魔法少女の候補者をこの街で見つけたんだ」

マミ「まぁ……」

 キュゥべえの言葉に、マミは嬉さ半分、悲さ半分ともいえる表情を浮かべながら、驚きの声を上げた。

キュゥべえ「近いうちにその子と接触してみようと思うんだけど、もし契約を交わすことができたら、マミにも紹介するよ」

 そう。魔法少女にも魔女と戦うという役目があるように、キュゥべえにも役目があった。
 それは、各地で魔法少女の候補者である女の子を見つけ、魔女と戦うための力を与える『契約』を交わすことである。
 その『契約』によって魔法少女はこの世界に生まれ、魔女と戦い、人々の知らぬところで世界に『希望』を振り撒くのだ。
 ――だが、それは言い換えてしまうと“己という一を犠牲にしてそれ以外の人々である全を救う”ということでもある。
 マミが微妙な表情を浮かべたのもそのためだ。

キュゥべえ「じゃあ、僕は行かないと。マミはこれからいつもの魔女探しだろう? 気をつけてね」

マミ「えぇ、ありがとう」



 キュゥべえと別れて、再びマミが魔女探しを初めて数十分ほどの時間が経った。
 現在マミは、街外れの公園に足を踏み入れようとしていた。

 ――魔女は直接人間に手を下しはしない。
 普段は自身の巣である結界の奥に身を潜めているからだ。
 そして、その結界の中から『呪い』を外へとばら撒き、それにかかった人間を事故や自殺などの形で殺害するのである。
 実は、この世界で起きている表向きは『原因不明』とされる事故や自殺も、高い確率でこの魔女の呪いが原因だったりする。
 そんな『呪い』の元凶である魔女の結界は、現在マミがいる夜の公園のように、基本的に人目につかない場所に存在することが多いのだ。

マミ「!?」

 マミの手のひらの上に乗せられていた宝石――ソウルジェムが突然僅かながら光を発した。
 それは、近くで魔女の魔力をキャッチしたという合図であった。

マミ「…………!」

 ソウルジェムの反応を頼りに、無言で公園の奥へと足を踏み入れていくマミ。
 奥へ進めば進むほど、ソウルジェムが発する光はどんどん強くなっていった。

 ――そして、ある程度進んだところで、マミは明らかに公園とは違う奇妙な場所へと巡り着いた。

マミ「やっぱりいたわね……」

 『そこ』に入った瞬間、マミは足を止めてそう呟いた。

 ――魔女の結界。
 奇妙な極彩色で彩られた、人間に無意識的に恐怖や不安感などを煽らせる不気味な迷宮。
 そして、魔女とその手下である『使い魔』たちの巣でもある。

マミ「! 見つけた……!」

 マミは自身の前方斜め上から、異形の存在が落ちてくるのを確認する。

マミ「あれは……使い魔か。でも、放っておくわけにもいかないわね!」

 自身へと向かってくる異形――使い魔に対して、身構えるマミ。


 ――しかし、その使い魔はマミに襲いかかることはなかった。


マミ「……えっ?」

 なぜなら、使い魔はマミに向かって“落ちてきた”のではなく。本当に地面へと勢い良く“落下”したからである。
 そして、落下した使い魔は、地面に触れると同時に、その場で爆発を起こし、やがて消滅してしまった――

マミ「…………」

 突然の出来事に、呆然と目の前の光景を黙って見つめるマミ。
 しかし――

マミ「!?」

 使い魔が爆発し、未だに爆煙が上がっている場所のその向こうから、突然目映ゆい光が差し込んできた。
 光は小さなものではあったが、それは徐々にマミの方へと近づいてくる。

マミ「な、何……? 光が……近づいて……」



 やがて――

 その光の正体が――

 マミの目の前に――

 その姿を現した――



???「…………」

マミ「黄金の……怪人……?」

 ――そう。黄金の怪人であった。

マミ「…………」

 目の前にいる存在を、マミは上手く表現することが出来ない。
 なぜなら、それは明らかに人間ではなく異形でありながらも、魔女や使い魔とも異なる外見をしているからだ。

 二足で直立してはいるが、ヒトや哺乳類というよりは、は虫類か虫を思わせるその姿。
 身体の基本色は金色で、所々が黒く、人間よりも大きな瞳の色は赤い――
 両肩の肩甲骨の辺りからは、それぞれにマントもしくはマフラーのような羽が出て伸びており、さらに両腕と両足には爪のような器官が刃物のように突き出ていた。

 そして、何よりもマミの目に止まったのが、額のあたりにある一見昆虫の触角のようにも思える一対のツノと、胸元にある黒い宝石状の器官だった。

マミ「……あなたは、一体……?」

 目の前にいる存在に人間の言葉がわかるのかは正直疑問だが、思わずそう呼びかけるマミ。

???「…………」

 だが、怪人は終始無言で、マミを黙って見つめているだけだった。


 ――やがて、マミたちを覆っていた空間が歪み、夜の公園が再び彼女たちの目の前に広がった。
 結界の主であった使い魔が倒されたことにより、結界が消滅したからだ。


???「…………」

 黄金の怪人は、若干目線を上へと向けて結界の消滅を確認すると、黙って後ろに振り返り、そのままその場から立ち去ろうと歩き出した。

マミ「あっ!? 待って! ……あら?」

 マミはすぐさま追いかけようとするが、その時、自身の足元に何かが落ちていることに気がついた。

マミ「これって……」

 静かにそれを拾い上げるマミ。
 ――それは、彼女の通う見滝原中学校の生徒手帳であった。

マミ「うちの学校の生徒手帳? 何でこんな所に……?」

 生徒手帳を開き、落とし主の名前を確認してみる。

マミ「……えっ!?」

 そこに書かれていた名前を見た瞬間、マミは驚きの声を上げた。

マミ「どうして、彼の生徒手帳がここに……?」

 そう言いながら視線を生徒手帳から前――黄金の怪人が去っていった方へと戻すマミ。
 ――だが、そこにはもう誰の姿もなかった。
 あるのは、夜の公園が創り出す闇だけだ。



 ――マミの手に握られている生徒手帳。
 その名前欄には、以下の人物の名が記されていた。

 ――『沢野翔一』。




OP
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翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」 その3

2011年03月12日 20:02

翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」

※『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです

※クロスオーバーに伴なう原作改変あり注意

※この作品のアギトは津上翔一でも芦河ショウイチでもありません
 言ってしまえば、上記2人とはまた違う世界の仮面ライダーアギトです

379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 22:19:29.65 ID:rKQo4XFm0

 ショッピングモールの地下。
 薄暗い闇が支配するこのフロアに、今現在5人の人間と1匹の正体不明の生き物がいた。

まどか「わぁ……」

さやか「凄い……。みるみるうちに傷が塞がってる……」

 鹿目まどかと美樹さやかは目の前で起きている現象に驚きの声を上げる。
 今、2人の前では魔法少女・巴マミが治癒魔法でキュゥべえの回復を行っている真っ最中だ。
 さやかの言葉どおり、治癒魔法を受けているキュゥべえの身体は徐々に傷が消えていき、キュゥべえ自身の血色も良くなってきているようだった。

 ――そんな光景を横目に、3人と1匹から少し離れた場所に立っているもう1人の魔法少女・暁美ほむらが口を開く。

ほむら「いずれ後悔するわよ、そいつを助けてしまったこと……」

マミ「…………」

さやか「転校生……!」

 その言葉に対して、マミは無視を決め込み、さやかは敵意の籠った眼差しをほむらに向けた。

翔一「あ、暁美さん、止めましょうよ、自分から敵を作るようなこと言っちゃ……」

ほむら「事実を正直に言ったまでよ」

翔一「あ、暁美さ~ん……」

 そして、5人の中で唯一の男子である沢野翔一がほむらを咎めようとするが、ほむらは全く聞き耳を持たなかった。
 そんな会話が繰り広げられているうちに、キュゥべえは完全に回復したようだった。

キュゥべえ「ありがとうマミ、助かったよ!」

 ぱっちりと目を見開き、起き上がったキュゥべえが開口一番――といっても、キュゥべえは会話の際も口を開かないため、この言葉は正しいのか微妙なところだが――マミへお礼を言う。

さやか「しゃ、喋ったあああああ!?」

まどか「さ、さやかちゃん、落ち着いて……」

 そんなキュゥべえが、いきなり人間の言葉を発したので、何も知らなかったさやかは、驚きのあまり2、3歩ほど後ろへ後ずさってしまう。
 対して、キュゥべえの助けを求める声を聞いてここまで来ていたまどかの方は、特に何の反応も示さなかった。


 ――そして、この男も内心驚いていた。

翔一(や、やっぱり喋れたんだ……)


マミ「お礼ならこの子たちに言って。私は魔女を追っていたところを偶然通りかかっただけだから」

 マミにそう言われたキュゥべえは、すぐさままどかとさやかの2人の方を見やる。

キュゥべえ「言われてみれば、そうだね。ありがとう、鹿目まどか、あと美樹さやか」

まどか「やっぱり、あなたなのね。私を呼んだのは?」

さやか「ちょ、ちょっと待って……! まどか、あんたコイツと知り合いなの!?」

まどか「ううん。初対面だよ。ただ、さっきこの子の助けてって声が突然頭の中に聞こえてきて……」

キュゥべえ「そう。僕がまどかに助けを求めていたんだ。でも、まさか本当に来てくれるなんて……。やっぱり、まどかは僕の見込んだとおりだ!」

さやか「あ、あのさ……。勝手に話進めちゃってるところ悪いんだけど……アンタ、誰? 何で私たちの名前を知ってるの?」

キュゥべえ「おっと、失礼。僕の名前はキュゥべえ」

まどか「キュゥ……べえ?」

さやか「見かけによらず、何か冴えない名前ね……」

キュゥべえ「まぁ、名前のことは今は置いておいて……。今日は君たちにお願いがあって来たんだ」

さやか「へっ?」

まどか「お願い?」


ほむら「――!?」

翔一「? どうしました、暁美さん?」


キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

 そう言いながら、キュゥべえはまどかたちに愛くるしい笑顔を浮かべた。



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翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」 その2

2011年03月11日 19:40

翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」

※『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです

※クロスオーバーに伴なう原作改変あり注意

※この作品のアギトは津上翔一でも芦河ショウイチでもありません
 言ってしまえば、上記2人とはまた違う世界の仮面ライダーアギトです

※ちなみに、このSSのアギトの変身ポーズは津上アギト、木野アギト、DCDアギトの変身ポーズを掛け合わせたような動作になってます
 ただ、文章だけだと、どこがどのアギトの変身動作がわかる人いるかなぁ……w

197 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:47:23.43 ID:NVntWrM70

???「はっ……。はっ……」

 白と黒という対なる色が延々と続く世界を、少女――鹿目まどかは駆けていた。
 何故こんな所に彼女はいるのか。それは彼女自身もわからなかった。
 ただ、「ここにいてはいけない気がする」という勘だけが今の彼女を突き動かしていた。
 シンと静まり返ったこの世界において、響き渡る音は彼女の足音と呼吸だけだ。

 ――どれくらい走っただろうか。
 走っても走っても、視界に映る色は白と黒。
 本当にただそれだけで、不気味というよりは、どこか寂しい所だな、とまどかは思った。

まどか「あ……」

 ――気がついたら、目の前には扉があった。
 扉の上には、まず知らない人はいないであろう『非常口』の標識。

まどか(ここから外に出なさいってこと……なのかな?)

 そう思いながら、まどかは扉に向かって一歩一歩歩み寄っていく。
 やがて、彼女の手が扉に触れる。
 感触的に、扉は見かけ以上に重量がありそうだった。

まどか「――――」

 ある程度の力を込めて扉を開く。
 そして、その扉の先に広がっていた世界は――――


まどか「――えっ?」



OP
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翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」 その1

2011年03月10日 19:58

翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/18(金) 05:31:28.09 ID:9tYFcurN0


※『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです

※クロスオーバーに伴なう原作改変あり注意

※この作品のアギトは津上翔一でも芦河ショウイチでもありません
 言ってしまえば、上記2人とはまた違う世界の仮面ライダーアギトです

※ちなみに、主人公の名前やアギトの外見的特徴見てもらえれば、分かる人にはだいたい分かると思うけど、
 この作品のアギトは津上アギトとアナザーアギト(木野アギト)の中間みたいな感じのアギトです
 フォームチェンジはさせようか、今のところはまだ考え中
 あと、アギト以外のライダーだと今のところギルスは出す予定


翔一「転校してきた沢野翔一です! これからよろしくお願いします!」

マミ(突然の転校生か……。3年生時に転校だなんて、進路とかいろいろ大変でしょうね。まぁ、私にはあまり関係がないことかもしれないけど……)

先生「あ~……実はな、沢野。何せ本当に突然の転校だったものだから、まだお前の席の用意が出来ていないんだ……」

翔一「えっ!? そうなんですか?」

先生「あぁ。だから、しばらくの間は、あそこの席を使ってもらえるか?」

 そう言いながらマミの隣の開いている机を指差す先生。

マミ(!?)

翔一「ハイ、わかりました!」

マミ「…………」

翔一「はじめまして。これからよろしくお願いします」

マミ「え、えぇ……。こちらこそ……」

マミ(……こういうこともあるわよね)


 その日の夜…

マミ「さてと……」

キュゥべえ『やぁ、マミ』

マミ「あら、キュゥべえ。どうしたの、こんな時間に? ……何かあった?」

キュゥべえ『う~ん……別に大したことじゃないんだけどね。新しい魔法少女の候補者をこの街で見つけたんだ』

マミ「まぁ……」

キュゥべえ『近いうちにその子と接触してみようと思うんだけど、もし契約を交わすことができたら、マミにも紹介するよ』

マミ「で、今回はその事前報告ってワケ?」

キュゥべえ『そういう事になるね。じゃあ、僕は行かないと。マミはこれからいつもの魔女探しだろう? 気をつけてね』

マミ「えぇ、ありがとう」

マミ「よし、じゃあ私も……!? 早速ソウルジェムに反応!?」

 その台詞とほぼ同時に展開される、視聴者には今やすっかりお馴染みのイヌカレー空間。

マミ「あれは……使い魔か。でも、放っておくわけにもいかないわね」

 瞬時に魔法少女の姿に変身するマミ。

マミ「さぁ、行くわよ!」

 マジカルマスケット銃を取り出し、戦闘態勢に入るマミ。

 しかし……

???「はあああああっ!」

マミ「……へっ?」

 突然、乱入してきた何者かがキック――それも飛び蹴り――で使い魔を蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばされた使い魔は、地面に勢い良く落ちると同時に爆発を起こし、消滅する。

マミ「嘘……」

マミ「…………」

???「…………」

マミ(黄金の……怪人……?)

 目の前にいる存在をマミは上手く表現することが出来ない。
 なぜなら、それは明らかに人間でも魔法少女でも、ましては魔女や使い魔とも異なる外見をしているからだ。

 二足で直立しているが、ヒトや哺乳類というよりは、虫かは虫類を思わせる姿。
 身体の基本色は金色で、所々が黒く、人間よりも大きな瞳の色は赤い。
 両肩の肩甲骨の辺りからはマントもしくはマフラーのような羽が出ており、さらに腕と足には爪のような器官が刃物のように突き出ていた。
 そして、何よりもマミの目に止まったのが、額のあたりにある一見昆虫の触角のようにも思える一対のツノだった。

マミ「……あなた、何者?」

 目の前にいる存在に人間の言葉がわかるのかは正直疑問なところだが、思わずそう呼びかける。

???「…………」

 だが、謎の怪人は終始無言で、マミを黙って見つめているだけだった。
 ――が、しばらくすると、黙って後ろに振り返り、そのままその場を立ち去ろうと歩き出した。

マミ「あっ!? 待って! ……あら?」

 追いかけようとするが、その時、足元に何かが落ちていることに気づく。

マミ「これって……うちの学校の生徒手帳? 何でこんな所に?」

 拾って、落とし主の名前を確認してみる。

マミ「えっ、『沢野翔一』!? どうして、今日うちのクラスに転校してきた彼の生徒手帳が……!?」



OP
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