まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです
元々はVIPでやっていましたが、元のスレッドがdat落ちしてしまったため、改めてこちらで始めさせていただきます
元スレ
翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1297974688/
【注意事項】
※クロスオーバーに伴なう原作改変あり
※世界観は『魔法少女まどか☆マギカ』ベースで、『仮面ライダーアギト』の一部キャラクターや設定がパラレルという形で登場します
※上記の理由から、このSSに登場するアギトは、津上翔一でも木野薫でも芦河ショウイチでもありません
言ってしまえば、上記の者たちとはまた違う世界の仮面ライダーアギトです
(劇中登場する他のライダーについても同義)
以上を予めご了承の上、本スレ及びSSをお楽しみください
19 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/02/27(日) 01:25:09.92 ID:aWPZ2FzS0 その少年が、見滝原中学校に転校してきたのは、季節が本格的に秋になろうとしていた頃であった――
翔一「転校してきた沢野翔一です! これからよろしくお願いします!」
沢野翔一――担任教師と共に教壇の前に立っている少年はそう名乗った。
マミ(突然の転校生か……。3年生のこの時期に転校だなんて、進路とかいろいろ大変でしょうね……)
そんな彼に視線を向けながら、彼女――巴マミは内心そう呟いた。
マミ(まぁ、私にはあまり関係がないことかもしれないけど……)
そう結論づけると、マミは自身の左手薬指にはめられている指輪に眼を向ける。
が――
先生「あ~……。実はな、沢野。何せ本当に突然の転校だったものだから、まだお前の席の用意が出来ていないんだ……」
翔一「えっ? そうなんですか?」
先生「あぁ。だから、しばらくの間は、あそこの席を使ってもらえるか?」
そう言いながら担任教師が指さした席は、あろうことかマミの隣であった。
マミ(!?)
翔一「ハイ。わかりました」
マミ「…………」
再び視線を転校生――翔一に向けるマミ。
すると、そんな彼女の視線に気がついたのか、翔一の方もマミへと視線を向け、両者の目が合った。
翔一「よろしくお願いします」
マミ「え、えぇ……。こちらこそ……」
目が合った瞬間、翔一は笑顔を浮かべながらマミに会釈すると、やがて席に着いた。
そして、自身も会釈し返し、翔一が視線を別の生徒たちの方へと向けたのを確認すると、マミは再び左手の薬指へと目を戻した。
マミ(……まぁ、こういうこともあるわよね……?)
その日の夜――
マミ「さてと……」
すでに日は落ち、外はすっかり月と街の灯りだけが照らす時間帯となった頃、マミは1人制服姿のまま自宅を後にし、外へ出た。
制服姿のまま夜の街を出歩くという、普通の中学生ならまずありえない行為――だが、巴マミにとってはこれが普通だった。
それは、彼女が見滝原中学校に通う学生であると同時に、ある別の顔を持っているからだ。
――『魔法少女』。
読んで字の如く、『魔法』と呼ばれる本来人間の手では不可能とされる様々な異能の技を使うことが出来る存在――
巴マミは、そんな異能力者の1人なのである。
そして、彼女たち魔法少女は、人知れぬところで日夜人間の自由と平穏を脅かす存在と戦っていた。
――『魔女』。
魔法少女の対に位置し、世界に災いの種である『呪い』を振りまくもの――
それがマミたち魔法少女の倒すべき『敵』にして、人間の自由と平穏を脅かす存在の正体である。
そして、マミの場合、休日や放課後、夜になるとそんな魔女を探し出し、討滅するためのパトロールをするのが、魔法少女となってからの日課となっていた。
???「やぁ、マミ」
魔女探しを続けてたマミに、不意に声をかける者が現れた。
マミはその声の主を知っている。
魔法少女であるマミにとって、数少ない大事な『友達』の声だ。
マミが声のした方――自身の足元へと目を向けると、そこには長い尾を持った白い犬とも猫ともそれ以外の小動物とも思える姿をした不思議な存在がいた。
マミ「あら、キュゥべえ。どうしたの、こんな時間に?」
そう。この存在こそ、マミの『友達』なのである。名前は、キュゥべえといった。
その場にしゃがみ込み、視線を近づけたマミからの問いに、人間ならざる友達は表情ひとつ変えずに、己の尾だけをゆらゆらと揺らしながら答える。
キュゥべえ「別に大したことじゃないんだけどね。新しい魔法少女の候補者をこの街で見つけたんだ」
マミ「まぁ……」
キュゥべえの言葉に、マミは嬉さ半分、悲さ半分ともいえる表情を浮かべながら、驚きの声を上げた。
キュゥべえ「近いうちにその子と接触してみようと思うんだけど、もし契約を交わすことができたら、マミにも紹介するよ」
そう。魔法少女にも魔女と戦うという役目があるように、キュゥべえにも役目があった。
それは、各地で魔法少女の候補者である女の子を見つけ、魔女と戦うための力を与える『契約』を交わすことである。
その『契約』によって魔法少女はこの世界に生まれ、魔女と戦い、人々の知らぬところで世界に『希望』を振り撒くのだ。
――だが、それは言い換えてしまうと“己という一を犠牲にしてそれ以外の人々である全を救う”ということでもある。
マミが微妙な表情を浮かべたのもそのためだ。
キュゥべえ「じゃあ、僕は行かないと。マミはこれからいつもの魔女探しだろう? 気をつけてね」
マミ「えぇ、ありがとう」
キュゥべえと別れて、再びマミが魔女探しを初めて数十分ほどの時間が経った。
現在マミは、街外れの公園に足を踏み入れようとしていた。
――魔女は直接人間に手を下しはしない。
普段は自身の巣である結界の奥に身を潜めているからだ。
そして、その結界の中から『呪い』を外へとばら撒き、それにかかった人間を事故や自殺などの形で殺害するのである。
実は、この世界で起きている表向きは『原因不明』とされる事故や自殺も、高い確率でこの魔女の呪いが原因だったりする。
そんな『呪い』の元凶である魔女の結界は、現在マミがいる夜の公園のように、基本的に人目につかない場所に存在することが多いのだ。
マミ「!?」
マミの手のひらの上に乗せられていた宝石――ソウルジェムが突然僅かながら光を発した。
それは、近くで魔女の魔力をキャッチしたという合図であった。
マミ「…………!」
ソウルジェムの反応を頼りに、無言で公園の奥へと足を踏み入れていくマミ。
奥へ進めば進むほど、ソウルジェムが発する光はどんどん強くなっていった。
――そして、ある程度進んだところで、マミは明らかに公園とは違う奇妙な場所へと巡り着いた。
マミ「やっぱりいたわね……」
『そこ』に入った瞬間、マミは足を止めてそう呟いた。
――魔女の結界。
奇妙な極彩色で彩られた、人間に無意識的に恐怖や不安感などを煽らせる不気味な迷宮。
そして、魔女とその手下である『使い魔』たちの巣でもある。
マミ「! 見つけた……!」
マミは自身の前方斜め上から、異形の存在が落ちてくるのを確認する。
マミ「あれは……使い魔か。でも、放っておくわけにもいかないわね!」
自身へと向かってくる異形――使い魔に対して、身構えるマミ。
――しかし、その使い魔はマミに襲いかかることはなかった。
マミ「……えっ?」
なぜなら、使い魔はマミに向かって“落ちてきた”のではなく。本当に地面へと勢い良く“落下”したからである。
そして、落下した使い魔は、地面に触れると同時に、その場で爆発を起こし、やがて消滅してしまった――
マミ「…………」
突然の出来事に、呆然と目の前の光景を黙って見つめるマミ。
しかし――
マミ「!?」
使い魔が爆発し、未だに爆煙が上がっている場所のその向こうから、突然目映ゆい光が差し込んできた。
光は小さなものではあったが、それは徐々にマミの方へと近づいてくる。
マミ「な、何……? 光が……近づいて……」
やがて――
その光の正体が――
マミの目の前に――
その姿を現した――
???「…………」
マミ「黄金の……怪人……?」
――そう。黄金の怪人であった。
マミ「…………」
目の前にいる存在を、マミは上手く表現することが出来ない。
なぜなら、それは明らかに人間ではなく異形でありながらも、魔女や使い魔とも異なる外見をしているからだ。
二足で直立してはいるが、ヒトや哺乳類というよりは、は虫類か虫を思わせるその姿。
身体の基本色は金色で、所々が黒く、人間よりも大きな瞳の色は赤い――
両肩の肩甲骨の辺りからは、それぞれにマントもしくはマフラーのような羽が出て伸びており、さらに両腕と両足には爪のような器官が刃物のように突き出ていた。
そして、何よりもマミの目に止まったのが、額のあたりにある一見昆虫の触角のようにも思える一対のツノと、胸元にある黒い宝石状の器官だった。
マミ「……あなたは、一体……?」
目の前にいる存在に人間の言葉がわかるのかは正直疑問だが、思わずそう呼びかけるマミ。
???「…………」
だが、怪人は終始無言で、マミを黙って見つめているだけだった。
――やがて、マミたちを覆っていた空間が歪み、夜の公園が再び彼女たちの目の前に広がった。
結界の主であった使い魔が倒されたことにより、結界が消滅したからだ。
???「…………」
黄金の怪人は、若干目線を上へと向けて結界の消滅を確認すると、黙って後ろに振り返り、そのままその場から立ち去ろうと歩き出した。
マミ「あっ!? 待って! ……あら?」
マミはすぐさま追いかけようとするが、その時、自身の足元に何かが落ちていることに気がついた。
マミ「これって……」
静かにそれを拾い上げるマミ。
――それは、彼女の通う見滝原中学校の生徒手帳であった。
マミ「うちの学校の生徒手帳? 何でこんな所に……?」
生徒手帳を開き、落とし主の名前を確認してみる。
マミ「……えっ!?」
そこに書かれていた名前を見た瞬間、マミは驚きの声を上げた。
マミ「どうして、彼の生徒手帳がここに……?」
そう言いながら視線を生徒手帳から前――黄金の怪人が去っていった方へと戻すマミ。
――だが、そこにはもう誰の姿もなかった。
あるのは、夜の公園が創り出す闇だけだ。
――マミの手に握られている生徒手帳。
その名前欄には、以下の人物の名が記されていた。
――『沢野翔一』。 OP
ttp://www.youtube.com/watch?v=yEXxEny2BvY
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