2011年05月03日 00:39
ダンテ「学園都市か」
ダンテ「学園都市か」外伝
・時間軸は本編の二ヵ月後、ちなみに先に投下したバージルが帰還するおまけは数年後のIF話
・DMC2へ繋がる前日段的な話
メインはネロ、神裂、ダンテ、そして若き頃のルシア(DMC2のダンテの協力者)
本編では出番が丸ごと削られた浜面・絹旗・滝壺・麦野も登場予定
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/19(金) 19:19:11.26 ID:y.0OVrg0
先に本当は本編にぶち込む予定だったエピソードを投下しとく。
物語と言うよりは歴史的プロローグな感じ。後で投下する外伝とも繋がってる。
―――
かつて太古の昔、人間界、そして魔界と天界は物理的に繋がっている一つの共同体であった。
誰がいつ繋げたのか、それとも最初から繋がっていたのかは誰もわからない。
その三つの世界を治めていた存在、大神『ジュベレウス』。
彼がどの世界でいつ誕生したのかは誰もわからない。
彼の力は絶対的であった。
支配していた世界はこの三つだけでは無く、数多の世界をその力の下に置いていた。
そして長きに渡って頂点に君臨していた。
その期間は万か億か。数えるのすら無意味なほど長く。
だがその安定も崩壊する時が来る。
ジュベレウスが支配する世界の中の一つに特に異常なものがあった。
その世界のルールはただ一つ、力こそが全て。
力の上限が無い世界。
魔界と呼ばれる闇の世界。
制限の無い力の拡大。その力を内包するために魔界も急激に肥大化して行った。
その力は外へ向けて決壊する。周囲の世界を飲み込み、更に拡大していく。
いつしか魔界は他の全ての世界を合わせた領域よりも巨大になり、安定を揺るがした。
そして遂にジュベレウス及び彼が率いる魔界以外の世界達と、強大な力を持った悪魔達の魔界が全面衝突する。
ジュベレウスは被害の拡大を防ぐため、数多の世界の物理的な接続を切断し、完全に分離させた。
だがそれでも圧倒的な力を持った一部の大悪魔達の侵入は防ぐことができなかった。
その戦乱は長きに渡って続いた。
多くの世界が滅んだ。
魔界の悪魔達の力は想像を遥かに超えていた。
その戦いは膠着状態に陥る。
そんな戦乱の中、魔界に三人の若き大悪魔が現る。
三人は互いに切磋琢磨し、より大きな力を求めた。
そして強大な力を手に入れる。
一人は『理』を支配する『創造』を、
一人は『純粋な剣の力』、『究極の破壊』を、
一人は『概念』を支配する『具現』を。
三人は魔界においても超越した存在となり、悪魔達にとっての英雄となる。
そして遂にジュベレウスはその三人に打ち倒され、支配していた世界の一つ『天界』へ逃げ込んだ。
負った傷は凄まじいものだった。ジュベレウスは存在を保つことすらできず、深き眠りについた。
史上最大の戦乱はこうして幕を閉じた。
支配者を失った世界達は恐怖と混乱に包まれた。
中には内戦が勃発した世界もあった。
ジュベレウスが最期の場所とした『天界』もそうだった。
多くの自称『支配者』が乱立し、天界は数多の『神』によって細分化されてしまった。
その混乱はすぐ下にある小さな世界『人間界』にも大きな影響を及ぼした。
魔界への恐怖を忘れようとするかの様に、『神』達はがむしゃらになって人間界の支配権を手に入れようと帆走した。
一方、中には己の世界を捨て魔界へ寝返る者達も現れた。
多数の古の神や天使が悪魔へと転生し更なる力を求めた。
一方その頃、魔界ではジュベレウスを倒した三人の内の一人、
『創造』の力を持った者が魔界の頂点についた。
その者は自らを『魔帝ムンドゥス』と称した。
他の二人は魔帝の横に立ち、共に力で魔界を支配した。
彼らの次の目的。それは報復による破壊であった。
ジュベレウス側についた世界を苦痛と絶望の中で滅ぼす。
多くの世界が彼らの邪悪な笑い声と共に滅び、無数の魂が永遠の苦痛の中へ堕ちた。
そしてある時、その矛先が遂に人間界へ向けられる。
強大な力によって再び魔界と人間界が繋がり、大規模な侵略が始まった。
人間達の中には立ち上がり抵抗する者もいた。だが到底太刀打などできるはずも無かった。
それは戦いではなかった。ただ一方的な破壊と殺戮。
皮肉な事に、人間達に「守護」を約束していた天界の者達は彼らを見放した。
だがその時、誰も予期していなかった事が起きた。
魔界の頂点の三人の内の一人が突然人間側へ寝返ったのだ。
『究極の破壊』を持つ者。名は『スパーダ』。
なぜ彼がそんな行動を取ったのか。
人間の愛を知ったのか、か弱き人間に哀れみを抱いたのか。
中には「ただの気まぐれ」や「他の二人を倒し力の頂点を求めた」と言う者もいた。
だが結局、魔界では彼の真意を確実に理解できた者など誰一人としていなかった。
スパーダと魔帝、かつての友は衝突した。
もう一人はちょうど別の世界の破壊に赴いていたため不在だった。
そして魔帝は破れ封印され、人間界への侵略は防がれた。
統治者が不在となった魔界はすぐに内戦に突入した。
人間界を守ったスパーダは安堵する。内側で好きにやっていてくれれば良いのだ。
その力を外に出さなないのなら何してくれてもいい と。
だがその安寧もすぐにまた揺らいだ。離れていたもう一人が戻ってきたのだ。
その者は人間時間にすると僅か一ヶ月で、混乱に包まれていた魔界の7割をあっという間に掌握してしまった。
その者の名は『アルゴサクス』。
魔界を瞬く間に手中に収めた功績から『覇王』と呼ばれた。
再び統一された魔界の力が外へ向かうことを恐れたスパーダ、
そして友と同胞を裏切ったスパーダを憎む覇王。
衝突は必然だった。
再び破滅的な力が衝突した。
死闘の末スパーダが打ち勝ち、覇王は封印される。
純粋な力を求めたスパーダと違い、魔帝と覇王は特殊な力を持っていた。
その特性上、殺しきることは難しかったのだ。
スパーダはこの二人を固く厳重に封印した。
これによって、ジュベレウスから続く気が遠くなるような長き一連の戦乱は一応の終わりを迎える。
完全な終結は孫の代まで待たねばならなかったが。
スパーダは人間界に落ち着いた。彼は自分の名や悪魔の力が広がることを由とせず、隠者として過ごした。
戦乱が終結したのを見計らって、再び天界の神々が人間界へ手を伸ばし始める。
スパーダが目を光らせていたので、彼らは直接の力の行使ができなかった。
そこで彼らが取った手段は人間側から『信仰』という形で神を求めさせ、進んで魂を支配下に置かせる事だった。
スパーダはその事については文句は言わなかった。
むしろその方が人間にとって良いと思ったのだ。
過去を忘れて心の安寧を得られる。魔界に魂を喰われるよりは天界に支配された方が万倍マシなのだ。
手段は褒めたものじゃ無かったが、結果としては良しだった。
その後スパーダは二千年に渡って人間界を見守り続けた。
彼は己の力を自分の魔剣「スパーダ」に移しそして固く封印する。
いつか来るべき時に、来るべきが者が手にするのを願って。
そして己の二人の息子がある程度成長した時、リベリオンと閻魔刀を彼らに授け家を離れる。
役目は終わったのだ。
彼は全てを己が子、子孫に託した。
息子達がどのような道を歩むかはわからない。だが彼は確信していた。
いつか必ず。
この血の者が。
祖を越えて本当の意味で戦乱に終止符を討つと。
今も封印されているあの二人の破壊者が完全に滅ぶ日が来ると。
スパーダは遥か昔の事を思い出す。生まれ育った故郷。
まだ強大な力を手に入れる前の若き頃の三人。
お互いを兄弟のように信頼し、共に修練に励んだ友。
どこで道を誤ったのだろうか。
いや、悪魔の目線で見れば道を誤ったのはスパーダだ。
魔界全土が彼に向ける強烈な敵意は、絶大な尊敬と信頼の裏返しだ。
あれから二千年、彼は苦しみ続けた。人間界への愛情と故郷である魔界への愛情の板ばさみになり。
弱き人間界の味方をするという彼の『優しさ』が、一方で魔界を裏切った事への罪の意識を強くする。
どちらの世界・どちらの種族も愛するあまり、彼は撤することができなかった。
フォルトゥナに残っている『地獄門』などもそのいい例だ。
彼に故郷を思い出させる数少ない物だ。結局壊す事が出来なかった。
あの二人を殺しきれなかったのは彼らの力のせいではなく、
心の奥底で友を殺す事を覚悟しきれていなかったのかもしれない。
スパーダは思う。
願わくば、息子達が己と同じ道を歩むことの無いように と。
家族を、友を手にかける事が無いように と。
スパーダが家を離れた日以降、彼の姿を見た者は誰一人としていなかった。
―――
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ダンテ「学園都市か」外伝
・時間軸は本編の二ヵ月後、ちなみに先に投下したバージルが帰還するおまけは数年後のIF話
・DMC2へ繋がる前日段的な話
メインはネロ、神裂、ダンテ、そして若き頃のルシア(DMC2のダンテの協力者)
本編では出番が丸ごと削られた浜面・絹旗・滝壺・麦野も登場予定
874 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[saga]:2010/03/19(金) 19:19:11.26 ID:y.0OVrg0
先に本当は本編にぶち込む予定だったエピソードを投下しとく。
物語と言うよりは歴史的プロローグな感じ。後で投下する外伝とも繋がってる。
―――
かつて太古の昔、人間界、そして魔界と天界は物理的に繋がっている一つの共同体であった。
誰がいつ繋げたのか、それとも最初から繋がっていたのかは誰もわからない。
その三つの世界を治めていた存在、大神『ジュベレウス』。
彼がどの世界でいつ誕生したのかは誰もわからない。
彼の力は絶対的であった。
支配していた世界はこの三つだけでは無く、数多の世界をその力の下に置いていた。
そして長きに渡って頂点に君臨していた。
その期間は万か億か。数えるのすら無意味なほど長く。
だがその安定も崩壊する時が来る。
ジュベレウスが支配する世界の中の一つに特に異常なものがあった。
その世界のルールはただ一つ、力こそが全て。
力の上限が無い世界。
魔界と呼ばれる闇の世界。
制限の無い力の拡大。その力を内包するために魔界も急激に肥大化して行った。
その力は外へ向けて決壊する。周囲の世界を飲み込み、更に拡大していく。
いつしか魔界は他の全ての世界を合わせた領域よりも巨大になり、安定を揺るがした。
そして遂にジュベレウス及び彼が率いる魔界以外の世界達と、強大な力を持った悪魔達の魔界が全面衝突する。
ジュベレウスは被害の拡大を防ぐため、数多の世界の物理的な接続を切断し、完全に分離させた。
だがそれでも圧倒的な力を持った一部の大悪魔達の侵入は防ぐことができなかった。
その戦乱は長きに渡って続いた。
多くの世界が滅んだ。
魔界の悪魔達の力は想像を遥かに超えていた。
その戦いは膠着状態に陥る。
そんな戦乱の中、魔界に三人の若き大悪魔が現る。
三人は互いに切磋琢磨し、より大きな力を求めた。
そして強大な力を手に入れる。
一人は『理』を支配する『創造』を、
一人は『純粋な剣の力』、『究極の破壊』を、
一人は『概念』を支配する『具現』を。
三人は魔界においても超越した存在となり、悪魔達にとっての英雄となる。
そして遂にジュベレウスはその三人に打ち倒され、支配していた世界の一つ『天界』へ逃げ込んだ。
負った傷は凄まじいものだった。ジュベレウスは存在を保つことすらできず、深き眠りについた。
史上最大の戦乱はこうして幕を閉じた。
支配者を失った世界達は恐怖と混乱に包まれた。
中には内戦が勃発した世界もあった。
ジュベレウスが最期の場所とした『天界』もそうだった。
多くの自称『支配者』が乱立し、天界は数多の『神』によって細分化されてしまった。
その混乱はすぐ下にある小さな世界『人間界』にも大きな影響を及ぼした。
魔界への恐怖を忘れようとするかの様に、『神』達はがむしゃらになって人間界の支配権を手に入れようと帆走した。
一方、中には己の世界を捨て魔界へ寝返る者達も現れた。
多数の古の神や天使が悪魔へと転生し更なる力を求めた。
一方その頃、魔界ではジュベレウスを倒した三人の内の一人、
『創造』の力を持った者が魔界の頂点についた。
その者は自らを『魔帝ムンドゥス』と称した。
他の二人は魔帝の横に立ち、共に力で魔界を支配した。
彼らの次の目的。それは報復による破壊であった。
ジュベレウス側についた世界を苦痛と絶望の中で滅ぼす。
多くの世界が彼らの邪悪な笑い声と共に滅び、無数の魂が永遠の苦痛の中へ堕ちた。
そしてある時、その矛先が遂に人間界へ向けられる。
強大な力によって再び魔界と人間界が繋がり、大規模な侵略が始まった。
人間達の中には立ち上がり抵抗する者もいた。だが到底太刀打などできるはずも無かった。
それは戦いではなかった。ただ一方的な破壊と殺戮。
皮肉な事に、人間達に「守護」を約束していた天界の者達は彼らを見放した。
だがその時、誰も予期していなかった事が起きた。
魔界の頂点の三人の内の一人が突然人間側へ寝返ったのだ。
『究極の破壊』を持つ者。名は『スパーダ』。
なぜ彼がそんな行動を取ったのか。
人間の愛を知ったのか、か弱き人間に哀れみを抱いたのか。
中には「ただの気まぐれ」や「他の二人を倒し力の頂点を求めた」と言う者もいた。
だが結局、魔界では彼の真意を確実に理解できた者など誰一人としていなかった。
スパーダと魔帝、かつての友は衝突した。
もう一人はちょうど別の世界の破壊に赴いていたため不在だった。
そして魔帝は破れ封印され、人間界への侵略は防がれた。
統治者が不在となった魔界はすぐに内戦に突入した。
人間界を守ったスパーダは安堵する。内側で好きにやっていてくれれば良いのだ。
その力を外に出さなないのなら何してくれてもいい と。
だがその安寧もすぐにまた揺らいだ。離れていたもう一人が戻ってきたのだ。
その者は人間時間にすると僅か一ヶ月で、混乱に包まれていた魔界の7割をあっという間に掌握してしまった。
その者の名は『アルゴサクス』。
魔界を瞬く間に手中に収めた功績から『覇王』と呼ばれた。
再び統一された魔界の力が外へ向かうことを恐れたスパーダ、
そして友と同胞を裏切ったスパーダを憎む覇王。
衝突は必然だった。
再び破滅的な力が衝突した。
死闘の末スパーダが打ち勝ち、覇王は封印される。
純粋な力を求めたスパーダと違い、魔帝と覇王は特殊な力を持っていた。
その特性上、殺しきることは難しかったのだ。
スパーダはこの二人を固く厳重に封印した。
これによって、ジュベレウスから続く気が遠くなるような長き一連の戦乱は一応の終わりを迎える。
完全な終結は孫の代まで待たねばならなかったが。
スパーダは人間界に落ち着いた。彼は自分の名や悪魔の力が広がることを由とせず、隠者として過ごした。
戦乱が終結したのを見計らって、再び天界の神々が人間界へ手を伸ばし始める。
スパーダが目を光らせていたので、彼らは直接の力の行使ができなかった。
そこで彼らが取った手段は人間側から『信仰』という形で神を求めさせ、進んで魂を支配下に置かせる事だった。
スパーダはその事については文句は言わなかった。
むしろその方が人間にとって良いと思ったのだ。
過去を忘れて心の安寧を得られる。魔界に魂を喰われるよりは天界に支配された方が万倍マシなのだ。
手段は褒めたものじゃ無かったが、結果としては良しだった。
その後スパーダは二千年に渡って人間界を見守り続けた。
彼は己の力を自分の魔剣「スパーダ」に移しそして固く封印する。
いつか来るべき時に、来るべきが者が手にするのを願って。
そして己の二人の息子がある程度成長した時、リベリオンと閻魔刀を彼らに授け家を離れる。
役目は終わったのだ。
彼は全てを己が子、子孫に託した。
息子達がどのような道を歩むかはわからない。だが彼は確信していた。
いつか必ず。
この血の者が。
祖を越えて本当の意味で戦乱に終止符を討つと。
今も封印されているあの二人の破壊者が完全に滅ぶ日が来ると。
スパーダは遥か昔の事を思い出す。生まれ育った故郷。
まだ強大な力を手に入れる前の若き頃の三人。
お互いを兄弟のように信頼し、共に修練に励んだ友。
どこで道を誤ったのだろうか。
いや、悪魔の目線で見れば道を誤ったのはスパーダだ。
魔界全土が彼に向ける強烈な敵意は、絶大な尊敬と信頼の裏返しだ。
あれから二千年、彼は苦しみ続けた。人間界への愛情と故郷である魔界への愛情の板ばさみになり。
弱き人間界の味方をするという彼の『優しさ』が、一方で魔界を裏切った事への罪の意識を強くする。
どちらの世界・どちらの種族も愛するあまり、彼は撤することができなかった。
フォルトゥナに残っている『地獄門』などもそのいい例だ。
彼に故郷を思い出させる数少ない物だ。結局壊す事が出来なかった。
あの二人を殺しきれなかったのは彼らの力のせいではなく、
心の奥底で友を殺す事を覚悟しきれていなかったのかもしれない。
スパーダは思う。
願わくば、息子達が己と同じ道を歩むことの無いように と。
家族を、友を手にかける事が無いように と。
スパーダが家を離れた日以降、彼の姿を見た者は誰一人としていなかった。
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