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唯「……ギアス…?」

2009年05月31日 20:01

無題
唯「……ギアス…?」

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コードギアス 反逆のルルーシュ×けいおん!

短編 完結作品

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気付けば武力介入

2009年05月31日 18:40


気付けば武力介入

Casket For The King→カテゴリ 目次→気付けば武力介入シリーズ

コードギアス 反逆のルルーシュR2×機動戦士ガンダム00ファーストシーズン

完結作品
BL要素多し、注意

アラン・スペイサー・・・懐かしす

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みさお「ひいらぎぃ!軽音部の見学いこうぜぃ」

2009年05月31日 18:19



みさお「ひいらぎぃ!軽音部の見学いこうぜぃ」

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らき☆すた×けいおん!

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マブラヴオルタ~フルメタルな来訪者~

2009年05月31日 00:41


へたれ物書きの住みか→二次創作→マブラヴオルタ~フルメタルな来訪者~

マブラヴオルタネィテイヴ×フルメタル・パニック!

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キョン「日本」こなた「沈没」

2009年05月29日 01:50


キョン「日本」こなた「沈没」 

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涼宮ハルヒの憂鬱×らき☆すた

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ハジケる使い魔

2009年05月29日 01:43


【ネタ】ハジケる使い魔(ゼロ魔×ボーボボ)

Arcadia

ゼロの使い魔×ボボボーボ・ボーボボ

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キョン「日本」こなた「沈没」

2009年05月29日 01:13


キョン「日本」こなた「沈没」 

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涼宮ハルヒの憂鬱×らき☆すた

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キョン「日本」こなた「沈没」

2009年05月29日 00:28

キョン「日本」こなた「沈没」

4. 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/05/26(火) 23:11:04.45 ID:vGoWtUetO

「なんて雨なのよ!外に出られないじゃない!」

涼宮はそう怒鳴り散らした。
窓からは細かな水滴が一定のリズムで地面にぶつかり
延々とノイズのような音を部屋に響かせている。

「まぁ仕方ないだろ、ただでさえ多い上に今は雨季だ」

俺は涼宮を宥めるようにそういって窓の外を見つめた。
確かにここ一週間引っ切り無しに雨は降り、
洗濯物は溜まる一方だった、乾燥機があるからいいものの
やはり天日干しにかなうものは無い。
俺はため息を吐きつつ、半分は自分のための提案をした。

「俺が車を出すから、ちょっと商店の辺りに買い物でも行くか?気晴らしにさ」

食器棚につけたフックからキーを取り、人差し指でフラフープの要領で回す。
涼宮は一瞬悩んだものの、ほぼ即答と言っていい速さで俺の提案に乗った。

俺が住む家は一つのとある島の中心に存在している。
島自体は対して大きくは無いのだが、
四方八方の島の中心に存在するため交流の場であることから
それなりに発展はしていて、生活水準は比較的高いと言えた。

俺は涼宮を助手席に座らせて、紺のセドリックにキーを挿して
エンジンを動かした。多少古臭い角ばったデザインが俺は気に入っている
本当は泥がつくためあまり雨の中を走らせたくは無いのだが
涼宮の愚痴に延々つきあわされるよりはいくらかましである。
俺は賃貸のガレージから車を発進させて、舗装されていない道を
予想以上の泥を散らかしながら商店に向かった。

「ちょっといじらせて貰うわよ」

涼宮は車のダッシュボードを漁って、MDを取り出して勝手に流し始めた。
それは日本という国がまだ存在していた頃に流行った曲、
当然だ、辛うじて残った陸地はまだ発展途上の島ばかりである
今は新しい歌を作る暇なんて無い、作っても聞かせる場が無い。
…そもそも、当時のアーティストなんてものが生き残ってるのかすら怪しい
だからどんな新しい曲でもそれは数年前のものという形になるのだった。

「これ、いい曲ね」

涼宮は自分の勘による選曲があたっていた事を誇らしげにしつつ
目を閉じて歌に浸っていた。
俺は少しだけアクセルを踏む力を弱め、道路の凹凸を出来るだけ静かに通ることにした。

しばらくゆっくりとしたスピードで走っていると、少しだけ賑やかな通りにでる。
俺は車を止めるべく、デパートの駐車場に入った。

このデパートは代々続く鶴屋財閥が経営していて、その一人娘は俺達の共通の知り合いだった、明朗快活で才色兼備、天は二物を与えずなんて言ってられない人なのだ。
しかも当然ながらお金持ちで、鶴屋財閥の次期当主
いやはや俺や涼宮がなんで知り合いなのか理解に苦しむな。

俺は車から降りてため息を吐きつつ、鍵を閉めた。
すると付近から甲高いブレーキ音が聞こえてきた、
外と違って階層式の駐車場のここは雨に濡れてないはずだが、一体なにかあったのだろうか?
そう思って横の大きなワゴン車から顔を出してみてみると
なにやら見覚えのある車、その車はガクンガクンと揺れたかと思ったら
次の瞬間俺のいる方向へ猛スピードでやってきた。
俺が咄嗟に動けず、硬直して突っ込んでくる車を待ち受けていると、
一メートル程手前でまたブレーキ音をさせて急停止した。

「ごっめーん、大丈夫?」

急停止した車からはかがみが心配そうな顔をして降りてきた、
助手席から見たところを見ると運転席に誰が座っているのかは考えるまでも無い。

「つかさ、姉に言わせる前にお前が言うべきじゃないのか?」

多少つっけんどんになってしまったが仕方あるまい。
危うく俺は神に仕える巫女に轢き殺されるところだったのだ、
神様に直接あっても俺は願い事なんてありゃしないぞ。
あって長生きしたいといったことぐらいだが、その時既に死んでるんじゃ意味が無い。

「ごめ〜ん、まだ取り立てなもんで…」

つかさはかがみに促されて、謝りながら降りてきた。
しかしとりたてにしてもひどいだろ、かがみの最初の頃もかなり乱暴ではあったが、つかさはそれに二つ三つ余計に輪をかけて酷い。
大体かがみもコレの隣によく座ってたな、神経が細い俺には無理だぜ。

「うっさいわね、私が太いと言いたいわけ?」
「いんや別に」
「…まぁ、確かに降りたかったけどさ。でも私が降りたら本当に何も無いあの道で横転してるわよ? この子は」

俺は納得して、かがみの肩に手を置いて心のそこから同情しようとして、やめた。

「そこまでわかっているなら、なんでお前が運転しないんだよ?」

そういうとかがみは少しぎこちなく笑っていたが。

「お姉ちゃん昨日飲み過ぎて二日酔いになっちゃってるんだよ。またダイエット失敗した〜って」

横からつかさがそう答えを教えてくれた。
かがみは即座につかさにヘッドロックをかましたものの時既に遅しだ、タイムイズマネーだ、…いや後者は違うな。

「まぁ、なんだ、その頑張れ」

俺は今度こそかがみの両肩に手を置いて同情した。
ダイエットに失敗したことでなく、不出来な妹をもった姉にだ、人は轢こうとするし、空気は読めずに言いたくないことを暴露するしな。

「つかさ、もう少し空気は読もうな?」

俺は漫画のように目の幅と同じ幅の涙を流すかがみに代わってそういったが、
つかさはよく理解できていないようだった。合掌。
ついでに涼宮はその間ずっとボンネットに寄りかかってエンブレムを弄り回していた、頼むからもがないでくれよ。

――

結局、俺を轢きかけた柊姉妹もどうやら俺達と同じ目的、つまりは退屈しのぎの気分転換をかねたドライブだったらしく

どうせなら友人同士仲良く買い物でもいかが?
と言うかがみに従い俺達は四人で商店街を回っている。

この柊姉妹は鶴屋さんと同じく俺や涼宮の共通の友人で、この二人も鶴屋さんとは面識がある。
実家は神社で前述の通りこの二人は巫女をやっているのだが、現在はかがみの上の二人の姉で手が足りているらしく、俺や涼宮の住んでいるアパートの近くに部屋を借りているらしい。
また二人暮しの上、実家からの仕送りがあるためか、その部屋が俺や涼宮より多少いい部屋だという情報も耳に入っている。

情報の出所は、やはり共通の友人で双方の家に上がったことのある奴だ。
性格からして多少の誇張はあるのだろうが、実際問題バイト+仕送りの生活はバイトオンリーの俺や、涼宮よりは多少余裕のあるものであるのは確かだろう。
過去に一度涼宮が家賃を半分ずつの負担にしてルームシェアをしないかと言ってきた事があるが、結局俺が8:2ぐらいの負担になるのは目に見えてるため、そのときは断った。

…あれ?この割合でも俺の負担が軽くなるのに変わりは無いんじゃないか?

「あんた、少しは気を利かせなさいよ、そこまで鈍感?」

考え事をしていると、他人の声が聞こえなくなるのが俺の欠点だ、俺は涼宮にそう声をかけられて回りを見渡すと、女性のファッション系の店舗の前に俺は立っているらしく

なるほど今かけられた言葉の意味が理解できた。

「すまん、ボーっとしていた」

俺は素直にそういって、反対側にあるちいさなアンティークショップに、雨にぬれないように走って向かった。

カラン、と涼しげな来客を知らせるベルが鳴った。

実はこの店は前からきてみたかったんだ、なかなか寄る機会がなかったため素通りしてたんだが。ふむ、なかなかいい雰囲気の店だ、高級感溢れるものが置いてあるものの
人を寄せ付けない、なんか嫌みったらしい成金貴族のような感じではなく、ただただ純粋に頭が下がってしまうような、高貴な純粋の空間だった。

俺はしばらくの間、へぇとかほぉとか言いながら棚に並べられたティーセットだとか
皿とかなんだとかを見ていた、実際はどうだか知らないが
皿がのっている机もずいぶん高そうなものに見える。
しばらく大して普段使わない脳の引き出しから数少ない知識を拾い上げつつ眺めていると
非常に心惹かれる、小さなカップがあった。

「…それが好きなんですか?」

いきなり声をかけられ、驚いて声のした方に顔を向ける、
すると静かな穏やかな顔をした知り合いの顔があった。

「みなみか、お前最近バイト始めたとは言ってたがこんな所で働いていたんだな。
通りで全然見かけない訳だ。…にしても今日はよく知り合いに会うな」

俺は今日何度目かになるため息を吐きつつ、先ほどの質問に答えることにする。

「で、このカップだが。……好きってのとは違うんだと思う、ただ惹かれた」

答えになってるのかなってないのか、
俺は誰もいない店内で、カップに目を向けてそう呟いた。

「…5000円」

するとみなみは独り言のようにそういった。

「なに?」
「5000円です、そのカップお買い得です」

聞き返す俺に、みなみは朴訥とした表情で、そういってきた。
俺は「そうか」と自然に財布を取り出していた。
中に入っているのは2枚の諭吉と数枚の野口。
今月の生活費だ、ただでさえ雨季で電気代がかさんでるんだ、そう無駄には出来ない。
だが思い立ったが吉日とも言う、俺は意を決して諭吉をみなみに渡していた。
彼女はそれを受け取って、カップをつかんでトテトテと奥に向かっていった。
レジから5000円札にして俺に手渡してきた、一緒に包装された小さな箱とともに、
俺は礼を言おうとしたのだが、何か違う気がしたため言うのを止めた。
だから代わりに、なんとなく髪の毛をくしゃっとやってやり
「また来るよ」といって店を出ることにした。

―――――――――――――

女性の買い物は長い。
先の店で時間をつぶしてから更にそろそろ20分は経とうかとしている。

「流石に遅いな…」

目の前の小さな店舗。
ファンシーな装飾、看板は明らかに女性客に向けてのデザイン。
しかしウィンドウ越しによく見ると中にはカップルなのか男の影もちらほら見えた、

「…仕方ないか」

その様子と時間に押されて俺は隠れるように店内に入った。
だがあまり一人でいるところを店員に発見されたくはないな…。

「あんたなにやってんの?」

しばらく捜索を続けていると、
いつのまにか後ろにいた涼宮が俺にあきれたように声をかけてきた。

「お前達が遅いから迎えにきたんだよ、どこにいたんだよ探しちまったよ」

俺はいつの間にか低くしていた体勢を戻して、
仁王立ちしてる涼宮に向かってそういった。

「あにいってんのよ、それはこっちの台詞よ私達とっくに店出てたのよ?」

みるとガラス張りの扉の向こうにはかがみとつかさがこっちに手を振っていた。
涼宮の言ってることに耳を傾けていると、
実は俺がアンティークショップでみなみと話しているときには店を出ていたらしい
つまり謝るべきは俺のほうらしい、ちくしょう。

「じゃあそろそろ行きましょうか」

そういってたったか行ってしまう涼宮にさっきの店のことを言うべきか否かまよったが
結局言わないで置いた、他意はない。

「たっだいま〜」

涼宮はアパートに着くなり俺の家の扉を空けて叫びながら中に入っていった。
俺はいつものこととそれを無視して、向かいの涼宮と書かれた表札がかかっている扉を
車のキーと一緒にくっついている合鍵であけ、玄関のところに涼宮の荷物を放置した。

柊姉妹はあの後適当にぶらぶらしてつかさの運転で帰って行った。
ちゃんと帰れればいいのだが…。
思考しながら大きな荷物の中から少しだけある自分の荷物を引き上げる。
もちろん小さく包装されたカップを忘れない、
ビニール袋にまとめて、涼宮の部屋の鍵を閉める。
そしてやっと向かい側の自分の家の中に入る、出かけたときの通例だった。

部屋に入ると涼宮は俺の部屋のテレビをつけて
自分で入れたらしいコーヒーを飲んでいた。
色々といいたいことがあるものの、涼宮の家にはテレビは無いし
コーヒーに関しては、横に俺の分も作られてることで帳消しにしとこう。
…だが。

「……マグカップは他にもあっただろう?」

コーヒーはなぜか俺の魚の名前の書かれた湯飲みに注がれていた

「別に味は変わりはしないでしょ?」

涼宮は俺の抗議にしれっと答えて、テレビから視線を動かさなかった。
俺もテレビに目を向けると、強張った表情のアナウンサーが原稿を読んでいる
どうやら十数個残ってた日本の島の中でもっとも小さかった例の島がとうとう沈んだらしい。

あそこには行ったことがない、
というか島民が他の島の行き来をすることなんてめったに無く。
貿易関係を抜きにすれば月に数回の定期船がお互いの島を行き来してるだけだ。
だからどんな島だったのか知らないが、聞いた話だと台風がよく通るらしく、
四方八方海だらけの小さな島でのその環境。仕方ないといえば仕方ないのかも知れんな。
俺は湯飲みのコーヒーを口に運びつつなんともいえない気分に浸っていた、
だがそれは騒がしい電子音でかき消された、湯飲みを置いて電話にでる。

『やふー!キョ…』プッ、ツーツー

俺は何事も無かったかのように部屋に戻り座り直した。
ジリリリ、すぐにかかって来る電話
もう一度立ち上がり電話に出ると。

『こんにちは、キョンさんお久しぶりです』

電話の主が変わっていた。
流石というべきかあいつはこういうときの対処法をよくわかっている。
俺がこの子に先ほどのような行動を取れないのを知っての行動だ。
俺はこの義姉妹の姉が向こう側で笑っているのが手に取るように想像できた、
というより含み笑いのようなクスクス声が電話越しに聞こえていた。

「二ヶ月ぶりぐらいかな?二人ともどうせならもっと近くに住めばよかったのに」

俺がそういうと、

『キョンキョンだって私達がお金ないの知ってるくせに〜』

予定と違う声が恨みがましい調子で聞こえてきた。
俺は少し受話器を耳から離して、受話器を見つめてから
嘆息をついて耳に当てなおす。

「いつの間に入れ替わったんだよ」
『スピーカーホンですよーだ』
「あぁそうかい」

妹のほうはいいのだが姉のほうは少し話してるだけで疲れる。
俺はこの二人、特に姉のほうが涼宮と仲がいいのをいいことに
テレビに夢中になってる涼宮を呼び、涼宮に相手をさせることにした。

「おい、こなたとゆたかちゃんが電話してきたけど話すか?」

涼宮は俺の台詞は聞くと手元のコーヒー(マグカップだ)を飲み干して
テレビの電源を切ってこっちにやってきた。
俺はあっちの義姉妹やってるようにスピーカーに変更して受話器を置いた。

「やっほーこなた、ゆたかちゃんも」
『やふーハルにゃん、またキョンキョンのお家にお邪魔してるのかい?』
「なにいってんのよ、私がきて邪魔に思うわけ無いじゃない」

女三人寄れば姦しい、ゆたかちゃんはあまり会話に参加してるわけじゃないが
旗から見ている俺からすればまさにその諺通りだった。
この状況で会話に入ることは不可能と早々に判断した俺は
とっとと部屋に入ってコーヒーを飲むことにした。
あの調子ならしばらく話しているだろう、俺はテレビを付け直してニュースに耳を傾けた。

「電話もういいわよ」

涼宮がそういって部屋に戻ってきたのは意外と早く20分程度だった。
一時間以上話してるだろうと思ってた俺としては結構驚いたが、
理由はすぐに涼宮の口から発せられた。

「こなた達、今からこっちに来るって言ってたわ」

俺は咄嗟に頭を抱えて窓をぶち破って雨の中をはだしで駆け出したくなったが、
大怪我をするだけで何の解決にもなってないことに気がついて止めた。

「あのな涼宮、こっちって言うのはもちろんお前の…」

俺が希望的観測を述べようとなんとか言葉を発したのだが。

「この部屋よ」

見事に打ち砕かれた、今日はどうやら静かに寝ることも邪魔されるらしい。
この部屋は宴会場でも溜まり場でもないはずなんだがな…。
だが、この雨の中北の村からやってくるってことは、車を買ったのだろうか?
免許を取ったのに車がないと嘆いていたのはついこの間のように記憶しているのだが、
俺は外から流れてくるテレビの砂嵐のような音にどこか落ち着きつつ
もうすぐ消えるはずの短い平穏を味わっていた。

「コーヒー飲み終わったみたいだからもう一杯入れといたわよ」

撤回、こいつがいる限り平穏は無いのだった。
俺は湯気を立てて香りをここまで放っているコーヒーが入っている湯飲みをしばらく眺めていた。

―――

どっどどどうど、どどうどどどう。
てな感じで風が吹き始め、窓に当たる雨がいっそう強くなった。
よりいっそう視界が悪くなり、こんな状況で来るといっていたこなたたちは大丈夫かと
多少心配しかけていたが、そんな心配なんて関係ないとばかりに
すぐにエンジン音がし、クラクションを軽く二回鳴らしてきた。
窓から見ると、雨で見にくくはあるが確かに下に車が止まっていた。
車は大き目のワゴンである。

金がないと口癖のように言ってるくせに
よくこんなもんをこのご時世で買ったといってやりたい。
俺は涼宮に一言声をかけて、かさを持って外に出て
カンカンと音のなる古びた金属製の階段を下りていった。
途中の踊り場が濡れて転びかけたが、そこはなんとか持ち直し、
足元に気をつけて外に出てみれば、
先ほどの車が俺をスポットライトのようにヘッドライトで視覚的攻撃を仕掛けてきた。
ってかハイビームのままにしてんじゃねぇよ、眩しいだろ。
俺は雨の一斉射撃を受けて本来の倍近くの重量になってる傘を握りなおし、
もう片方の手で目を守りながら、車に近づいていった。

するとこなたが車の窓からひょいと顔をだす。

「車どこに止めればいい〜?」
「別に使う人間も少ないしその辺に止めとけばいいだろ」

ぞんざいに俺が返答をするとこなたは「了解」と言って顔を引っ込める。
そして車は動きだし、本当に"その辺"にとめる。
いや、確かに間違ってはいないんだけどさ…。
ややあって、バタンとこなたが向かって右側から降りてくる、
…右側から、つまり車視点で言うと左側。
当然普遍的な車のハンドルは右側についていて、
ゆたかちゃんは免許を持っていない。
このことから導き出される結論は一つ、
こなたの奴、誰かを足に使いやがった。
しかし当のこなた自身は俺の心中を察すことなく
飄々と笑ってこっちにやってくる。

「やほー、キョンキョンひさびー」
「ちょっとまて、お前とゆたかちゃんだけじゃなかったのか?」
「だって私車持ってないよ? 知ってるくせに〜」
「買ったのかと思ったんだよ!」

雨の中傘を差してハイテンションのこいつについてくつもりは毛頭無く、
俺は早々に会話を切り上げて、車のハンドル側から降りてきた
比較的話しやすい人物に声をかけることにした。

みゆきはにこにこと微笑みながらのんびりとこちらに歩いてくる。
毎度彼女のマイナスイオン満載の笑顔に俺は骨抜きだが、
しかしそんなのはおくびにもださずに話しかける。

「よぉみゆき、わざわざこんな雨の中をこなたの所為ですまんな」
「いえいえ、私も久しぶりにみなさんに会えるので嬉しいですよ」

うふふと笑うみゆきはやっぱりその育ちのよさを感じさせて
俺的好感度ゲージの上昇がとまらない。
しかしみゆきを足代わりに使うなんてこなたの傍若無人さは涼宮さながらだな、
流石に鶴屋さんにはかなわんが、みゆきだって
俺らのような一般人とは比べられんお嬢様だというのに。

「そういえば、みなみさんが今日キョンさんがお店に来たっていってましたよ」

あぁ、そういえばみなみもそっちの方面住みでしたね。
どっかで働いてると聞いてたんですけどあんなところだったなんて驚きましたよ。

「あそこみなみさんのおじい様が趣味で始めたらしいんですけど
小さな頃からおじいさんのそういうのを見てたから興味を持って、って事らしいですよ」

…あぁ、そういえばみなみもそっちの方面の人間でしたね。
このちょっとした交友関係の中の経済格差に多少の不条理を感じつつ
とりあえず三人を連れて家に戻ることにする。
涼宮が部屋で何か良からぬことをしているかも知れんからな。
あいつを一人で家に置いているのは結構不安だ。

―――

「鍵が閉まってる」

俺の部屋の扉を開けようとするとガチャンと無機質な音がし、
その後うんともすんとも言わなかった。
俺はたかがしたに知り合いを迎えにいくのに
自宅の鍵など持ってきていないのであける術などない。
仕方なく反対側の涼宮の扉に手をかけると
タイミングよく内側から扉が開いた。

「あらちょっと早かったのね、今色々宴会の用意をしてたんだけど」

宴会?ちょっとまて俺の家を惨状にするつもりか?
ってかゆたかちゃんはまだ18だし、お前も20になるのは来月じゃなかったか?

「あにいってんのよ、昔の法律なんかほっときゃいいのよ」

そうかい、まぁいいから俺の部屋の鍵を閉めていくなよ、
入れないじゃないか、廊下で凍えてるのはごめんだぞ?
何が悲しくて自宅の前で凍死しなくちゃならん。

俺がそういうと涼宮は鍵を開け、俺に手に持っていた酒やらなんやらを渡して
また部屋に戻っていった。ってかこんなに溜め込んでいやがったのか
たまにしか買い物いかんくせに凄い量だな。
俺はとりあえず三人を家に上げて部屋に連れて行くことにする
来て早々、先が思いやられるといったところか。

「おじゃまー」
「お邪魔します」
「どうもお邪魔します」

こなた、ゆたかちゃん、みゆきさんと順に上がっていくが
このあたりに若干性格が出ている。こなたは適当に靴を脱ぎ、
来たことある勝手さからか俺の部屋に俺よりも先に行ってしまった。
その反面ゆたかちゃんと、みゆきさんはキチンと靴を揃えていた、
こなたの分までキチンと揃えているあたりがまたなんとも。
しかし、今は無いがここに涼宮の靴も入るとなると
ぼろアパートの一人暮らしの玄関には少々多すぎる量の靴が並ぶことになるな。

足の踏み場も無いというのはこのことか。
…いやこの言葉はまだ取っておこう、
この後惨状になって祭りが過ぎ去ったあとの俺の部屋のためにな。
俺はネガティブな思考を繰り広げつつ部屋に向かった。
今更だが俺の部屋は2Kのアパートだ、ぼろいし隙間風があるが
家賃を考えればなかなかにいい物件だと思っている。

二つの部屋。
そのうち一つが涼宮がきたり、いまこなたが向かった部屋。
もう一方がベットとか本棚とかあまり見られたくないものが置いてある部屋だ。
別に本棚が見られるのが嫌なのはプライベートなものであまり人に触られたくないだけだ、
まったくもって他の意図が無いことをここに明記しておく。

部屋につくとこなたはさっそくテレビをつけて、ずいぶんとくつろいでいる、
俺は中央の机に渡された品々を適当置いて、ゆたかちゃんとみゆきさんに座るように促した。

さて、我が家の人口密度が著しく上昇している現状、
ただでさえ激しい雨が降って湿度が高い上に俺の部屋にこの人数、
少々息苦しさを覚えるのは俺だけだろうか? 俺だけなんだろうな。
聞くまでも無い、俺以外の輩は楽しげに談笑しつつコップに入ったアルコールを飲んでいる。
桃色に染まった女性人はたしかにそそるものがあったが、
流れてくるアルコールのにおいが単純にそれを楽しむことを阻害する。
窓をあけて換気したいものの外は相変わらずの雨で、雷も鳴り始めている始末だ。
…そういえばみゆきさんあなたも飲んでますけど車じゃなかったですか?

「私が運転するよ〜」

黙れ酔っ払い。
涼宮に続いて二番目に飲んでるお前に運転なんかさせたら
確実にお前達三人の明日はないぞ。
さらに言っておくと俺の家に泊めるスペースはないし、
あっても男友達じゃないんだから遠慮願いたいんだがな。
どうしてもってなら涼宮に言ってくれよ?

「なにいってんのよ、あんたんところと同じつくりの私の家にスペースあると思う?」

このやろう、酔っ払ってるくせに正論を言ってきやがるから性質が悪い。
いったいどうしたものか、俺が送ってくという手もあるが、
それをやった場合、みゆきさんの車がここに置き去りになる。
もしくは俺が夜中に一人隣の村から歩いて帰宅する羽目になるか、どちらかだ。
雨の降りしきる夜を一人で歩く、しかも距離的に着くのは朝になるかも知れない、
そんなのは絶対に、誰がなんて言おうと御免だ。

だがしかし同じ距離をみゆきさんに歩かせて車を取りにこさせる訳にも……。
こんなときに一人素面だと痛い目見る、それは前からわかっている事なのにな、
止める人間がいなくなれば際限なく俺の部屋が地獄絵図に近づいていくのもわかっている。
はぁ、とため息をついていると
玄関から来訪者を知らせるチャイムが鳴った。
すでに時計の短針は真上を見上げつつある時間、
見知らぬ人間が尋ねる時間じゃないだろう。俺は救いの女神かはたまた笑みを浮かべた悪魔か
多少の希望と多大な諦観を持ちつつ、
どうせと心に予防線を張って酔っ払いを尻目に玄関に向かった。

―――――――――――――

ガチャ、と音を立てて開いてくのは我が家の最終防衛ライン。
その向こうにいたのは、数時間前に別れたはずの二人。

「こなたに宴会があるから来いと言われたんだけど…」
「またあったねー」

あぁ、何だろう。一体どういう反応を取るべきかなのだろうか?
俺はとりあえずこなたを呼んで現状説明を行わせようと思い、
やかましい我が部屋の方を振り返るとすでにこなたは後ろにいた。

「やふー、遅かったじゃんかよーもうみんなかなり飲んじゃってるよ」

しかも当然のように二人に声をかけている。
まぁ二人を呼んだ張本人ならチャイムが鳴った時点で気付いてるだろうからな。
しかしそれはともかく、先刻と比べて幾分意識がハッキリしているようなので
俺としてはしっかり説明をしてもらいたいんだがな。

「なにいってんだよ〜、答えがわかってるのに質問するのは意地が悪いぞ」
「弁解する余地を与えてるんだ馬鹿たれが」

俺がのらりくらりとした態度に少々苛立っていると
そんな状況を見ていたかがみがやや困ったように呟く。

「ちょっと、私達来ないほうが良かった?」

横を見ればつかさが落ちつかない様子で視線をキョロキョロさせているし、
仕様が無い、靴を一旦棚に片付けてこなたを追っ払ってから
あらためて二人に入るよう促した。

「あんたなにこなたいじめてんのよ!」

新たな訪問者を従えて部屋に入るなり、
俺は涼宮にそう大声で怒鳴られた。
こなたに先程の件であること無いこと言われたんだろうが
とりあえずは時間を考えろ時間を。
この家の壁の薄さはさっきも言ってたがお前も知っての通りだろうに。

俺はぶつくさつぶやきながら、後ろの二人に適当に座るように言い
こっちこいとジェスチャーする涼宮に渋々近づいていった。
瞬間、涼宮のそのすらりとした長い足が俺の太ももに勢いよくヒットした。
腿かん言ううのだろうか?
じんじんと筋肉の束が疼痛を俺に訴えている。素直に痛い。
この狭い、しかも現在俺を含めて7人の人間がいるような場所で
よくもこのような鋭い蹴りを入れられるもんだ。
被害を食らった俺でさえ感心するね。
痛みに耐えつつ涼宮のほうを見ると、
その向こうでこなたがしてやったりといった含み笑いを俺に向けていた。

「あら、大丈夫ですか?」

そういって俺に声を書けてきてくれたのはみゆきだった。

彼女は琥珀色の液体の入ったグラスを片手に微笑みながら俺に近づいて。

「ファイトです!」

肩をポンと叩いて、そう愉快に言ってまたゆたかちゃんの元にふらふらと戻っていった。

「ゆたかさんも、もっと飲みましょう!」

みゆきさんはいつの間にかグラスの代わりに持っていた
ウイスキーの瓶の中身をゆたかちゃんが持ってるグラスに注ぎ始めた。

「ちょっと!みゆき、なにやってんの」
「あわわ、こんなに飲めませんよぅ」
「大丈夫です大丈夫です」

あの、ちょっと待ってください。あなたはそんなキャラだったっけ?
アルコールが入るとボケのほうに回んのか…。
俺の仕事が増えていく…、かがみという常識人が来た事を差し引いてもマイナスだ。
俺は痛みの和らいできた足を擦って、なんとか立ち上がると
せめて一矢報いんとこなたと雑談モードに入ってる涼宮のつむじをギュッと押しこんでやった。

「次はそこを右です」

俺は助手席のみゆきに言われたとおりにハンドルを切る。
今俺はみゆきの車を運転して、みゆきさんとこなた
そしてゆたかちゃんの三人をを送ってる最中だ。
かがみが来てくれたおかげで、二台の車を使って三人を送り、
みゆきの車をおいて、もう一台で帰るという画期的な手段が取れることになった。

これで狭い家に人を泊めたり、俺が数時間雨の中歩かなくてもよくなった。
いまではかがみを呼んでくれたこなたに感謝すら覚えるね。
ただ普段使っている自分の車とは違い、大きめの車のため多少気を使ってしまうな。
バックミラーにはかがみが運転している車が映っており、
俺が運転しているこの車と同じように曲がってきた。

「運転上手なんですね」

雨の勢いが和らいだものの、いまだぬかるんだ道をゆっくりとした速度で走っていると
 後部座席からゆたかちゃんが身を乗り出して俺に声をかけてきた。

「そうでもないよ、確かにかがみよりはずっと走ってるけど
つかさは問題外だしなこなたはペーパーだし、比較出来るのが少ないからじゃないか?」

俺は振り向くわけにはいかないので、そのままの状態で答えた。
 と、信号が黄色になったのでブレーキを踏んで速度を下げた。

「ほら、安全運転だし」

ゆたかちゃんは俺のその行動をみてそう感心したようにいった。
 俺は別にそんなつもりはなく、ただ黄色の時点で行ってしまえば、後方のかがみが通るときには赤になってるだろうと思っただけだ。
ただそのことを言うのはなんとなく気恥ずかしいので、俺は曖昧に誤魔化してしまった。

「オーライオーライ」

先に車から降りたみゆきが先導し、俺はそれに従って車をバックさせて車庫に入れた。
そして可愛らしいストラップがついたキーをみゆきに返す。

「ではおやすみなさい」
「あぁ、また今度」

別れの挨拶を適度に交わして、かがみが停めているに向かう。

「じゃあねみゆき!」
「はい、かがみさんもありtがとうございました」

ウィンドウを空けて手を振るかがみとそれに答えるみゆき、
俺はそんな二人を横目にかがみの車の助手席に乗り込む。
ちなみにゆたかちゃんとかがみの車に乗ってたこなたは
少し遠回りして二人のアパート付近で降ろした。
しかし自分が助手席に座るのは久しぶりだ。少しむず痒い。
などと思っているとかがみが車を発進させ、自宅に戻るみゆきの背中を少し眺めてから
車の内蔵スピーカーから流れるラジオ番組に耳を傾けていた。

「そういえばさ」
「どうした?」
「さっきの信号、気を使ってくれたんでしょ」
「…なんのことだ」

多分気付いてるとは思ったが、わざわざ言ってくるとは思わなかった。
俺はまたも知らんふりを決め込んで曖昧な返事をした。

「あんたは昔からそうよね。気配り、ってかまぁとにかく気を使うのにさ
それを指摘されても知らぬ存ぜぬを通すのよね」
「…さてね」
「あんたがそんなだから、たまになんかしてあげようかなって気になっても
なかなかチャンスが来ないんじゃない」

困ったことになった、俺は自分の事になるとてんでダメなんだ、
俺はふてくされたように窓の外を見つめる作業に移った。

「…そういや、こなたと何話してたんだ?」

コレは話を逸らそうとかそういうのじゃなく、単純な興味からの発言だ。
いや、本音は話を逸らす意図もあるが。こなたは送るとき、
かがみと一対一で話したいからとかがみの車に乗り込んだのだった。

「別に何も」

かがみはさきほどの俺のように急にトーンダウンして一言そういって黙る。
そして家に着くまで会話がなくなってしまった。

「起きなさいよつかさ、ほら行くわよ」

家に着くと残っていたつかさと涼宮は俺の部屋で豪快に寝ていた。
どれくらい豪快かというと、某暴力ガキ大将の歌のようだ。
…ダメだこのたとえは訳がわからない、
酔っ払い空間にいて俺も空気中のアルコールにやられたのかも知れん。

「お前もだ涼宮、お前は家がすぐそこなんだからすぐ起きろ早く起きろ今起きろとっとと起きろ」

そういってぺちぺちと顔を叩くものの、涼宮は寝言を言いつつ
俺の手から逃れるように寝返りを打って丸くなってしまった。
お手上げとばかりにかがみを見ると、やはりと言うべきかつかさのほうも起きる気配は無さそうで、
かがみも両手の手の平を上に向けて肩を竦めた。
どうしたものか、さっきと違って二人ぐらいならこのまま寝かせとけばいいんだから
べつに問題ないと言っていえないこともないが…。
俺が真剣にどうしたものかと考えていると、
かがみが空いてるグラスを持ってきて、ウイスキーを注ぎ始めた。

「なにやってんだ?」

俺がそう聞くと、かがみはもう一つのグラスにも注いで俺に渡してきた。

「どうせこの二人は起きないだろうし、もうこんな時間じゃない。
さっきまでは車運転しなくちゃいけなかったから飲んでなかったし、
そこの二人が起きるまで飲みしましょ。ほら乾杯」
「何に乾杯するんだ?」

聞くとかがみは幾許か逡巡して悪戯を思いついた子供のような顔をして。

「苦労する友人を持ったあんたに乾杯」

俺は苦笑いをしてグラスを受け取り。

「不器用な妹を持ったかがみに乾杯」

そうやってかがみに続いて、グラスの中身を煽った。
雨と、急に人の居なくなった部屋で冷えた体が内側から熱せられる感覚に
俺は久しぶりに浮かれ始めた。
湿気りはじめたつまみを食べながら、
最近あった事の愚痴をお互いに言い合いそして酒を飲む。

気がつけば雨がやんで少し流れた雲から
久しぶりの朝日が部屋を照らす時間になっていた。
いまだに起きない涼宮とつかさ、ずいぶんと酩酊してきた俺とかがみ
他にも数名いて宴会をしていた部屋が朝日に照らされた。
俺はずいぶんと靄のかかった頭で自分の部屋の感想を呟いた。


「足の踏み場も無いな」

さて、どうしたものか。
俺は結局昼近くまでかがみと二人で飲んでいた。
お互い破天荒で少々常識に欠けた友人関係を持っているもの同士、
色々と弾む話といか積もった愚痴もあったからな。
しかし、普段そういう抑制させる立場に立っている俺達、
かがみと二人になり、久しぶりにそれから開放されたためか
酔いによる睡眠欲に敗北を喫し、次に目が覚めたときにはばっちりきっかりと
俺もかがみも二日酔いになっていた。

「痛い〜、頭がガンガンする、視界が歪む〜」

ほぼ同時に起きた俺達は起きて早々、似たような呻きを発した。
惨状の部屋でぶっ倒れてた俺達は、何とか立ち上がり顔でも洗おうとして
涼宮とつかさが居ないことに気がついた

「あんた達やっと起きたわね!」

俺が虚ろな目であたりを見渡していると、
部屋の入り口から涼宮がエプロン姿で顔を出して威勢のいい声で俺達に声をかけた。
あまり大きな声をだすな…、頭の中でノートルダムの鐘が鳴り響くだろうが。
と力無く抗議してみたのはいいが、当然涼宮は俺の懇願にも似た発言になど耳を傾けることなどなく。
平然と大声をこれみよがしに発して来る。

「あにいってんのよ、情けないわねそれでも男!?」

しまいにはこんな一喝をもうけてしまった。
いっそ殺してくれ、そんな情けない思考に惑わされながらも
よろよろと涼宮の横を通って台所に向かった。

「おはよー」

こめかみを押さえ、のそのそと前進する俺達につかさは元気に挨拶をしてきた。
なぜこの二人はこんなに元気なのか、それに答えるのは簡単だ。
なぜなら既にこの交友関係ができ、
こいつらと親しい付き合いを始めてから10年近く経つからな。
つかさは前から子供体質で少量の酒で時間的に寝ちまったんだろうし。
涼宮が二日酔いをしたところなんて見たことが無いし、想像もつかない。

「あらつかさ、美味しそうなの食べてるじゃない。どうしたの?」

かがみが、昨日二人で飲んだときの話題の四分の一を占めた人物に声をかける。
見れば確かにつかさはテーブルに座って、スクランブルエッグやら狐色のトーストやらを食べている。

「私が作ったのよ」

そういって涼宮が後ろからずんずんと俺達を押しのけて台所に舞い戻ってきた。
足元のふらつく俺はそれだけで吹っ飛びそうになったがなんとか持ちこたえる。
涼宮はそんな俺の様子に目をくれずに食器棚から二つのコップを取り出し、
冷えたお茶を入れて俺とかがみによこす。

「飲みなさい酔っ払い」
「お前にそれを言われるとはな…」

俺は悪態をつきながらそれを素直に飲み干した。

「あ゛ー…」

若干生き返った気がする。
確か二日酔いってのは血中アルコールが水分と共に無くなって
脱水症状のようなことになるため起きる現象と聞いたことがある。
涼宮に頼んでもう一杯水を飲み、軽く頭を振るとずいぶん頭がすっきりした。
かがみの方も幾分顔色がよくなったように見える。

多少すっきりしたところでとりあえずテーブルについて一息つく俺、
嘆息をついて盛大に肺に入っている空気を外に押し出すと
カチャ、と食器の触れ合う音がして俺の前につかさが食べてるものと同じものが置かれた。

「それはあんたの分、かがみの分もあるわよ」

涼宮はそういって空いてる席にもう一つ皿を置いた。
材料は考えるまでも無く我が家にあったものだろうが、俺は何も言わずに
ただ一言だけ礼を口にして食べ始めた。

突然だが、料理ってのは単純なものほど難しいと聞く。
単純ゆえにごまかしが聞かないのが理由だそうだ。
複雑なものはそれぞれの味が混ざるため、
多少のミスならはごまかせる。だから和食なら玉子焼きを焼ければ一人前。
そして、俺の目の前に並ぶのはトーストとスクランブルエッグというやはり単純なものだ、
コレは和食ではないが、どんな種類のどこの国の料理であれ
やはり卵料理というのは難しいらしい、
俺は滅多に見ない涼宮の料理の腕前を存分に、文字通り味わっていた。

「ご馳走様」

そういって俺は食器を持って流しに置きに行き、
なにもないシンクにそれを置いて思う。

「涼宮は朝食をもうとったのか?」

すると俺の言葉を聞いた涼宮は眉をひそめ、無言で時計を指差した。

「…昼食はとったのか?」

涼宮の行動の意味を理解した俺は、訂正しつつ聞きなおす。

「あんた達の分だけ作ると思う? むしろあんた達の分がついでよ」

実を言うとなんとなくいつもと違う涼宮の行動に
やや対応に困っていた感のある俺だがこの台詞で俺は一気に脱力した。


「ご馳走様、ハルヒあんたこんなに料理上手だっけ?」
「あんたねえ…、一人暮らしして何年だと思うのよ?」


少し遅れてかがみがそんなことを言い出した。
それに対して涼宮は呆れたように返して
二人で料理談義に華を咲かせはじめた。

ついでにつかさは俺達より早く食べ始めていたのにも関わらず
まだチマチマとトーストを食べている。
両手で一枚のトーストを持って端から齧ってくその姿は愛玩用の小動物などを連想させた、
生憎俺は実物をお目にかかったことがないのだけどな。

いまや野生の動物というと=昔で言う絶滅危惧種となるからな、
そういや、みなみのところは犬を飼ってるとか言ってたな。
ふむ、こんなことを考えていると実家のシャミセンに会いたくなってきたな、
あいつもそろそろ年だからな、いきなり居なくなったりしたら寂しいもんがあるし。
それに妹にも最近連絡とって無いしな、
今度の短期バイトが終わったら顔でも出しに行くことにしよう…っと話が脱線しまくってるな、

俺が動物思考をめぐらせてる間にかがみと涼宮の間でもなにやらやり取りがあったらしく、
こんど涼宮が洋食を教える代わりにかがみに和食を教えて貰う、ということらしい話しを聞いた限りではな。
同じ方向で違うジャンルが得意なもの同士で教えあいという訳か、
俺にはそんなに夢中になる趣味なんて無いに等しいからな。
そういったなにか好きな物に対して誰かと共有すると言う感覚がわからないんだが、
……多少羨ましいかもしれないな。鈍さも抜けて頭が上手く回り始めた俺はコーヒーを入れて
壁にもたれながら二人の様子を眺めていた。

ギュッと水を絞った雑巾で車を拭く。
先日の土砂降りの中の走行で受けた雨が乾いて、
なにやら水垢が残ってしまっている、それを俺は丁寧に時間をかけて雑巾で磨いていく。

「こんなもんか」

久方ぶりに天気もよく、もうすぐ夕暮れ時だというのに辺りは結構明るかった、
俺はバケツの中の汚れた水をその辺に撒き、
ピカピカになった我が愛車をしばらく愛でてからガレージを閉め、自室に戻ることにした。

相変わらずいつ抜けるか不安でならない階段をきしきしと上っていくと、
踊り場から水平線の向こうにゆっくり沈んでいく大きく燃える太陽が見えた。

「うおっ、茜色の空か…。綺麗だなこりゃ」

ここで俺がカメラを持っていたなら問答無用でそのレンズを輝く太陽に向けていただろうが、
いかんせん俺にはそんな記録媒体など持ってない。
それにもし持っていたとしても、一旦部屋に戻ってカメラを取りこの場に走ってきたところで、
もはやその光景は今俺が目にしているそれは別の何かだ。
撮ろうと、撮りたいと思ったその瞬間を逃した俺は、ただこの情景を眺めるのみ。
切なさと言うかなんというか、哀愁にも似たなにかに駆られながらも俺はしばらく日没と呼ばれるその現象を眺めて。
そして一段飛ばしで階段を駆け上がり自宅の扉を力強く開いた。

ガチャンッ、と扉が開けば、
そこには先ほどまでの喧騒が嘘のような静寂が
ただ、ぽつねんと存在しているだけだった。

柊姉妹はしばらくあのまま料理談義をしていたのだが、
流石に一泊した後だしと言うことで半刻程前に帰宅した。
涼宮の奴は多分俺の向かい側にある自宅に戻ったのだろうと思う。

まぁ家に友人が居ると言うのに、
それを放置してまで洗車を敢行するような輩でもないんでね、俺は。
風呂場に使用したバケツを置いて、腕時計で時間を見る、
…そろそろ数少ない娯楽形の番組が放送する時間帯になるな。
いや、普段はそういうのを見る性質じゃないんだが、いま俺の身体を包んでいる
なんと表現すればいいのだろうか? 虚無感、が一番近いだろうか?
長い間読んでいた本が終わったりしたときとかに胸に残るわだかまりのような靄、を
誤魔化すには、まぁいいBGMぐらいにはなるだろう。

いまだにアルコール臭残る部屋でコーヒーをすすりながら、
身を乗り出してテレビのスイッチを入れる。
人によってはこのご時世に不謹慎だとか思う奴もいるのだろうけど、
戦時に宝塚歌劇団が重宝されて、あちらこちらに遠征したように
こんな時でも、こんな時だからこそ、人には気の休まるときが必要なのだと思っている。
あれだ、何の本だったか東北からの遠征軍の兵士に
雪国の芝居を見せたら、偽物の雪に感動して泣き出したという戦中の話もあったじゃないか?

俺はいつのまにかよくわからない方向へ飛んでいった思考に
訳もわからぬまま頷いて、コーヒーをまた少し口に含む。
ほろ苦い味に甘み、鼻を通る薫り、微かに残るその後味、
…たまには豆を挽いた、インスタントじゃないコーヒーでも飲んでみたいもんだ。
若干そこに固まってた砂糖の所為で中身が減るにつれて甘みがじわじわ増してくコーヒーを飲みつつ
俺は実にもならない番組をしばらくの間眺めていた。


―――

朝、二日続けて今日も晴天らしく、
昨日情緒ありげに沈んでいった太陽は元気に融合と分裂を繰り返して
カーテン越しに俺の顔を心地よく照らしてくれる。
いつもの甲高い目覚ましの音でなく、その柔らかな日光で目覚めた俺。

丸一日たってアルコールの匂いも綺麗さっぱりと消えてくれたし、
清々しいという形容は正しく現状を指す言葉なのだろう。
と、寝ている間に固まった関節を一本一本鳴らし、ほぐしていきながら
俺はつらつらとそんな風に考えていた。
やっぱり寝起きは背骨や首が良くなるものだ、
上体を後ろに反らせるとポキポキと軽快な音を立てて間接が鳴る。
この身体の関節がなる現象をキャビテーションというらしい、
なんでも間接の部分に存在する液体の中に気圧の差で気泡ができ
それが潰れる際にポキッと音がするらしい。
まぁ、どうでもいいんだけどな、そんな原理なんかはさ、
曲げたり伸ばせば鳴る、鳴れば気持ちがいい。それで十分だろ。

俺はベットから降りて、ぐしゃぐしゃになったシーツを適当に伸ばしてから
机の上に乗っている携帯と財布をポケットに突っ込んでバイトに向かう。
といっても車じゃないしましては徒歩なんて馬鹿げた行動はとらない、
バイクだ。俺は基本的にバイトには400のバイクを使って向っている。

朝の張り詰めた空気の中を誰もいない道を一人で走る。
風を感じるには自転車が一番の乗り物というが、バイクだって中々のもんだと思う。
こうやってフルフェイスのシールドを開けっ放しにして、
泥臭い湿った空気を肺にいっぱいに入れると最高の気分だ。


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銀時「曜日で髪型変えんのは俺へのあてつけか何かか?」

2009年05月27日 16:22



銀時「曜日で髪型変えんのは俺へのあてつけか何かか?」

戯言ニュース

銀魂×涼宮ハルヒの憂鬱

完結作品

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この婆ちゃんなら・・・

2009年05月27日 16:18

199 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/05(火) 21:13:18 ID:6M2YfErf
81歳の誕生日を迎えた婆ちゃんが急に物忘れが増えたらしい

婆「3の倍数だからアホになっちゃったのかしら」

そういう問題じゃない。


201 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 21:25:22 ID:Qrat0oMpO
このばあちゃんなら抱ける


202 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 21:35:42 ID:BEvpa4+oO
このばあちゃんで抜ける


203 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 21:55:00 ID:9+wtwfFh0
婆「だが断る」


204 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 22:04:43 ID:xoH23neJ0
くっ


205 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 22:07:49 ID:zrmdRCXP0
ババア、口ではイヤがっていても体は掃除機だな


206 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 22:30:47 ID:uP+hTBhKO
婆「だが断る」


207 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 22:02:52 ID:mY9XBXjnO
くっ


208 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:2008/08/08(金) 22:34:24 ID:xoH23neJ0
不覚にもワロタ


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銀時「曜日で髪型変えんのは俺へのあてつけか何かか?」

2009年05月27日 16:09



銀時「曜日で髪型変えんのは俺へのあてつけか何かか?」

戯言ニュース

銀魂×涼宮ハルヒの憂鬱

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ハルヒ「霧が深いわね」

2009年05月26日 02:05


ハルヒ「霧が深いわね」 携帯用

涼宮ハルヒの憂鬱×サイレントヒル SILENT HILL

完結作品

同作者作品 キョン「またサイレンが鳴る…」  携帯用

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銀時「ヤクルトなんざいちご牛乳様の足元にも及ばねーよ」

2009年05月26日 01:44

10020170476.jpg

銀時「ヤクルトなんざいちご牛乳様の足元にも及ばねーよ」

イフカルト

直接も関節も関係ないけど

銀時と水銀燈を同じ部屋に閉じ込めてみた

イミフwwwうはwwwwおkwwww

10018370131.jpg
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ハルヒ「霧が深いわね」

2009年05月25日 23:51

ハルヒ「霧が深いわね」

途中までしか読めない方は「こちら」へ

:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/11(月) 09:30:55.10 ID:qJVKRBQyO

ハルヒは窓から外を見つつ、そう呟いた

アンニュイなその横顔は、いつものハルヒとは違って消え入りそうな儚さがあった。

この日、珍しく部室には俺とハルヒの二人だけだった。
数日前に朝比奈みくるが団活の途中で怪我をして病院に行っていたし、古泉は例のバイト、長門はまだ来ていなかったからだ。

ハルヒ「この霧…なんだか変ね」

キョン「ああ、そうだな」

団活の時間になってから、辺りには濃霧が立ち込めていた。
ハルヒの側にいて、少々の不思議には慣れているが、それでも驚くほどの濃霧だ。
尋常じゃなくおかしな天候だった。

ハルヒ「ねぇ、この辺りにこんな霧がでるなんて不思議じゃない?」

キョン「そうだな。俺もこんな深い霧は生まれて初めてだ」

俺がそう答えると、ハルヒは神妙な面持ちでこう続けた。

ハルヒ「でね、もっと不思議なのは…」

キョン「ん?なんだ?」

ハルヒ「私、これと同じシチュエーションの夢をここ最近、ずっと見てるのよ」

キョン「それって正夢ってやつか?」

ハルヒ「そうよ。…でも」

そう言ってハルヒはちょっと目を伏せて、不安げな顔をした。
おいおい、ハルヒらしくないぞ。

ハルヒ「その夢は妙にリアルなんだけど、内容は全然思い出せないのよ。
     怖い夢だったと思うんだけど…」

はは、夢を怖がるなんてハルヒもたまには可愛らしいとこあるじゃないか。
そういって笑うと、ハルヒはもう!と言っていつものように怒った。

ハルヒ「でも本当に妙ねー…、この霧」

ハルヒがそんな事を話してるうちに、俺の瞼の上に睡魔がやって来た。

ハルヒ「もう!あんた授業中あんだけ寝てまだ寝るつもりなの?あきれたわ」

キョン「すまん…ちょっと寝かせてくれ…。昨日徹夜でゲームしてさ…」

ハルヒ「仕方ないわね…、帰るときに起こしてあげるわよ」
たまにはかわいらしいことを言ってくれるじゃないか。有り難い。

キョン「ああ悪い…。恩に着るよ」

そういって俺の意識は、夢のかなたへと押しやられた。

ガラガラガラ…

扉が開く音が聞こえて、俺は不意に目が覚める

キョン「ハルヒ?」
それは今まさにハルヒが廊下に出ようとするところで、ゆっくりと歩いていくハルヒの後ろ姿だけが俺の視界に入った
おいおい、どこへいくんだハルヒ?

キョン「起こしてくれるんじゃなかったのか、ハルヒ?」

そう言ってハルヒを呼び止めようとするが、ハルヒは無視してずんずん進んでいく
なんなんだまったく…
おおかた、このおかしな霧を外に出て見物でもする気だろう
やれやれ、こんな視界の悪さで、外に出て怪我でもしたらどうするんだ?

窓の外を見れば、既に日が沈もうとしていた
けっこう寝てたんだな、俺

とりあえず俺はハルヒを追いかけることにした
暴走特急のようなハルヒを一人にするのは心配だからな

俺は小走りでハルヒを追いかけたが、ゆっくり歩いてるはずのハルヒに追いつかない
はて?おかしなこともあるもんだ
ふと、アキレスと亀の話を思い出す
また何か変なことでも起こってるんじゃないだろうな?

そうやってハルヒを追いかけるうちに、いつの間にか中庭に出てしまった。
日はもうほとんど沈んでしまって、辺りは薄暗くなっている。
霧もあいまって、まったくと言っていいほど視界が利かなくなってしまっていた。
そしてどこからか酷い悪臭がする。
なんだこの臭い…?気持ちが悪いな。
なんかだんだん不安になってきたぞ。

キョン「ハルヒ!どこに行ったんだ?」

仕方なく大声でハルヒを呼んだが返事は無い。
まったく…。世話のやけるやつだ。

そうこうしてるうちに、余所見をしていた俺は何かに頭をぶつけてしまった。
尻餅をついた俺の目の前に星が瞬いている。

キョン「いってえな…」

そう言って前方に目をやった俺は驚いた。

俺が頭をぶつけたのは、逆さ吊りの死体だった。

キョン「うわっ!!」

俺は驚いて慌てて後ずさった。
そうしてよくよく見てみると、その死体は錆びて真っ赤になった金網にくくりつけられている。
というかこんなところに金網があったか?
しかし、誰がこんな悪趣味なことを…
その死体は見るも無惨で、皮膚はボロボロに焼けただれていた。

なんだコレ?殺人事件?
だとしたらハルヒは大丈夫だろうか?
込み上がる吐き気を抑えて、俺は必死にハルヒの名を呼んだ。

キョン「ハルヒ!どこだハルヒ!」

その時、霧に何やら人影のようなものが映った。

キョン「ハルヒか?」

そう問いかけるも、返事が無い。第一、ハルヒはこんなに小さくはないしな。

じゃあ一体こいつは何だ?

すると急に、それが飛びかかるように抱きついてきた!

キョン「痛っ!!」
足に激痛が走って、思わずその場に倒れ込む。

俺の眼前には、ずんぐりむっくりとした、鉤爪のついた生物が立っていた。
なんだこいつ。

――――化け物?

唸り声をあげながらジリジリと近寄ってくるそいつを、テレビはおろか、動物園でも俺は今まで見たことがなかった。
さっき爪で引っかかれた足は、結構深く傷つき、とめどなく血が溢れている。

一体何の冗談だよ?またハルヒが何かしでかしたっていうのか?
モンスターパニック映画でも観たというんだろうか。
はは、それは洒落にならん。

頭の中で冗談を言いながらも、とりあえず俺は必死に逃げた。
元来た方へ急いで足を引きずり引きずり走る。
何かがヤバい。とりあえず部室に帰ってーー


ガシャンッ!!


いつの間にか俺は金網に頭から突っ込んで、また地面に倒れていた。


キョン「何でこんなとこに金網があるんだ!!」

そう叫んだが金網はしっかりと俺の行く手を塞いでいる。
走って金網の切れ目を探したが、ぐるりと一周、俺は囲われていた。
じゃあ俺はさっきどこからこの中庭に入ったって言うんだ!
まるで猛獣の檻に放り込まれた肉餌のようだ。
背後からは怪物の唸り声が聞こえる。

振り返るといつの間にか、四、五匹の怪物に囲まれていた。
必死で金網を叩く。破れない。唸り声。肉を切り裂く爪。激痛。
自分の悲鳴。流れる血。裂ける皮膚。集る怪物共。

薄れいく意識の中、ふと疑問が頭をよぎる。
果たしてハルヒは無事だろうか?


そこで俺の意識は途絶えた。


ガタンッ!!

俺は机と椅子から転げ落ちて目を覚ました。
くそっ、最悪の目覚めだ。
良い年して悪夢にうなされて転げ落ちるとは…恥だ。
しかしさっきのは夢にしてはやけにリアルだったな
痛みや臭いまで感じる夢とは珍しいな

そんな事を思いつ、窓の外を見ると、辺りはすでに真っ暗だった。
時計を確認、既に午後8時をまわっている。

キョン「おいおいハルヒ、起こしてくれるって…」

しかし部室には俺の他に誰もいない。がらんどうだ。

いつの間にやらハルヒは、荷物を置いて消えていたのだ。

ハルヒ?どこ行ったんだ?

まさか荷物を置いて帰ったわけじゃあるまいに。

トイレにでも行ったかと思って待ったが、一向に戻ってこない。

やれやれ、と思うと同時に少し不安になった。さっきの夢のせいだ。

いかんいかん、あれは夢じゃないか。

そんなことを考えていたら急にケータイが鳴った。

見ればハルヒからのメール。

何だ、心配して損したぜ。

そう言ってメールを開くと、それにはこう書かれていた。

「逃げて」

なんだこれは?

さっきの夢といい、このメールといい、…嫌な予感がする。

とりあえず俺はハルヒに電話してみたが、電話は通じない。
見れば表示は圏外になっている。

いまメールがきたのに?

わからない。また何かの世界改変があったのだろうか。
とりあえずハルヒも心配だが、長門に会って力になってもらったほうが良さそうだ。
そう思って俺は学校の玄関へと向かった。

キョン「なんだこりゃ…」

玄関の扉は開かなかった。
内側から鎖を打ちつけられて封鎖されていた。誰がこんなことを?
ガチャガチャと揺すってみてもびくともしないので、非常口や窓も調べてみたが、どうやらどこも開きそうにない。

閉じこめられた?悪い冗談だ。
まいったな、こりゃお手上げだ。

しかし逆に考えれば、ハルヒもまだ校内に閉じこめられている可能性が高いってことだ。

なんにせよ異常な状況だし、ハルヒを探したほうがいい。

そう思い、俺は校舎内を探索することにした。

キョン「誰もいないな…」

とりあえず一通りは見て回ったが、ハルヒはおろか、人影すら見当たらない。
なんとなく閉鎖空間のことを思い出すが、神人は出てないし、それはないだろう。
なによりここが閉鎖空間なら古泉がきて助けてくれるはずだしな。
もしそうなら気が楽なくらいだ。
まぁいずれにせよ、こんな時間だし、警備員ぐらいしか校内にいる可能性は低いだろう。
あとはハルヒしか。
そして俺は部室に戻ってきた。
ハルヒが帰って来たんじゃないかと思ったからだ。

しかし、やはりと言おうか、ハルヒはいなかった。
心配だな…。

仕方なく俺はいつもの場所に座り、一人オセロをして時間を潰していると、突然不可解なノイズ音が部屋内に響いた。

どうやらその音はラジオから発せられているようだった。
故障か?
近づいてラジオを見てみると、電源がオンになったままだったらしい。
おおかた誰かが消し忘れて、どこぞの怪電波でも拾ったんだろう。

そんなことを思っていると、急にドアが開いた。
それに呼応するかのように、ノイズ音も一層激しくなる。

ハルヒか?と声をかけるが返事はない。
嫌な予感がしていた。
そして開いた入り口から、そいつがゆっくりと姿をのぞかせる。

鉤爪と小さくてずんぐりとしたその体躯…。

あの夢で見た怪物だった。

ひっ!

情けない悲鳴を漏らした俺は、とっさに後ろのドアから逃げようとする。

何故だ、開かない。
しかしなんだコイツは?あれは夢のはずだ!

けたたましく鳴るラジオをよそに、俺は近くのパイプ椅子を力いっぱいそれに投げつけた。

一瞬怯みはするものの、そいつはあゆみを止めず、依然としてこちらに向かってくる。

俺は次々と手当たり次第にパイプ椅子を投げつけながら、素早く掃除用具入れから雑巾モップを手に取った。

リーチならこっちが上だ。
やらなきゃ夢のようにこっちがやられるんだ。
得体の知れない怪物はじりじりと間合いを詰めてくる。
そしてその怪物が俺に飛びつこうとする一瞬を狙って、俺はモップを脳天めがけて渾身の力で振り下ろした。

ぐちゃ、と肉に食い込む嫌な感触と共に、それはくぐもった悲鳴をあげて倒れ込んだ。
容赦をせず、俺はそいつに何度もモップを叩きつける。
バキッ、とモップの柄が折れた音で俺は我に返った。
いつの間にかノイズの音もやんでいる。
念のため、血だまりに沈んだ怪物を足で踏みつけて、死んだのを確認してから、そいつをまじまじと観察してみた。

毛並みといい、鉤爪といい、夢でみた化け物そのものだ。

まだ夢の続きでも見ているのか?
念のため自分の体のあちこちを触って確認してみたが、どうやら夢では無さそうだった。

じゃあ、これは現実?

だとしたら早くハルヒを探さないと、あいつが危ない。

しかし、あんな怪物がうろうろしてたんじゃ、俺も危ないな。
無いよりはマシだろう、と俺は箒を一本拝借することにした。
まぁもう一本はダメにしてしまったわけだが。
しかしこれじゃ武器としては心許ないな。どっかで鉄パイプでもあればな。
そういえばさっきこのラジオが鳴ったのは怪物に反応したからじゃないだろうか。
倒した瞬間にノイズも鳴り止んでたしな。
念のため懐中電灯を持ち、携帯をラジオモードにして、俺は部室を後にした。

俺は屋上前の倉庫を目指していた。
そこならマシな武器が手にはいるんじゃないかと思ったからだ。

しかし、おかしい。

俺はいま、4階にいるはずだ。
しかし、階段はまだ上に続いている。

5階?

そんなものはこの学校にはない。
まぁ、俺の勘違いだろうと階段を上に上がると、表示は確かに

『5』

と書いてある。
俺はぞくり、として全身総毛立つのを感じた。
ひとまず気を取り直して屋上前の倉庫にあった鉄パイプを手に取り、俺はあるはずのない5階の廊下へと出てみた。
一種の怖いもの見たさってやつだ。

キョン「なんだ…これ?」

いつの間にか、床や壁一面が、錆びた金網に変わっているじゃないか。

振り返って後ろも確認してみたが、登ってきた階段ですら同じ有り様だった。

キョン「夢かこれ…」

信じられないよな。
この目で見ても信じられないことがこの世に存在するとは思わなかった。
ハルヒはこういう不気味な不思議にも、目を輝かせるのだろうか。

幸いに、変わったのは見た目だけで、間取りや構造はいつもの校舎と変わりないようだ。

ただ…

「はは、よく会うな、お前らとは」

携帯からはけたたましくノイズ音がする。
懐中電灯で照らした先には、あの怪物が2匹いた。

鉄パイプを握る手に力が入る。

キョン「俺はお前らじゃなくて、後ろの席の女の子の顔がみたいんだけどな」

精一杯の去勢をはって、気持ちを落ち着ける。

敵は2体。

こっちは1人。

でも相手の動きは遅いから大丈夫。いけるさ…。

まずは先頭の奴の頭を一打。
倒れ込むそいつにもう一発食らわしてから、爪を振りかぶるもう一匹を薙払う。
そしてとどめの一撃。

鉄パイプつえぇ!
そりゃあ不良が喧嘩で使うわけだわ。

しかし、こんなに化け物がうじゃうじゃしてて、ハルヒは大丈夫だろうか。
もしかしたらもう…
いやいかん、何を弱気に…

そんなことを考えていて、俺はノイズが鳴り止んでいないことには気がつかなかった。

そして闇の中から唐突に怪物が現れた。

キョン「うわっ!まだいたのか!?」

しまった、迎撃は間に合わない。

そいつの鉤爪が俺の足に届こうかというその瞬間、怪物はいきなり水平に吹っ飛んで壁に叩きつけられた。
ぐぅ、と一声あげて動かなくなったその化け物のそばに、見慣れた顔があった。

「助けに来た」

いつもと同じトーンで、長門はそう告げた。

キョン「ああ、助かったよ…ありがとう」

長門は、そう、と一声だけ返す。
こんな状況でもいつもと変わらないのはいつも通りだな。

キョン「しかし、一体何があったんだ?」

長門「わからない。この世界は創られた世界。それも部分的に」

キョン「てことはハルヒの仕業か?」

長門「そうともいえない」

キョン「? どういうことだ」

長門「世界改変は事実。でも涼宮ハルヒの意思が感じられない」

キョン「まぁ…、確かにな」

こんな錆びた鉄の不気味な世界を健全な女子高生が望むとは思えない。
ハルヒが健全かと言われれば困るが、あいつの不健全さは少なくともこういう方向で無いことは確かだ。

じゃあ一体この状況はなんなんだろう?

キョン「しかし長門が来てくれて助かったよ。ちゃちゃっとハルヒを見つけて学校を出ようぜ」

長門「無理」

え?

予想外の言葉に一瞬思考が停止する。
端から見れば時間が停まったように見えたに違いない。

キョン「なぜだ長門?」

長門「彼女の居場所が特定できない。それに」

キョン「それに?」

長門「この世界の物には一切の情報操作ができない。だから玄関を開けられない」

キョン「どういうことだ?」

長門「わからない。いつにもまして異常」

それから俺はこの世界でわかっているいくつかのことを聞いた。

この世界からは情報統合思念体に一切のアクセスが制限されていること。
よって今の長門は身体能力の高い一般人レベルでしかないということ。
まだ完全にアクセスが制限される前に確認したところ、この世界にはSOS団全員が存在するであろうこと。

長門「だから私はこの世界についてほとんど知らない」

キョン「いや、それだけでも十分だ。なんせこっちは何もわからなかったんだからな」

長門「そう」

キョン「しかし一人でいるよりだいぶ心強いよ長門。さっきの蹴りはありゃあ見事だった」

長門「私の身体能力は常人の5倍程度」

キョン「ますます心強いな」

そこで、ん?待てよ?と思い、長門に尋ねてみた。

キョン「じゃあさ、どうやって長門はここに?」

長門「気づいたらいつの間にか図書室にいた。それまでは自宅」

さよけ。
ということは侵入ルートを辿って脱出は不可能か…。

キョン「じゃあさ、玄関の扉の鎖を引きちぎることってできないか?」

長門「それは不可能」

キョン「そうか。5倍じゃ鎖はさすがに無理か」

長門「もう試した」

意外にアクティブだな、長門。
しかしそれは困った。外にでられないじゃないか。

長門「問題ない。あの鎖には鍵がついている。解錠が可能」

キョン「しかし鍵がどこにあるかがわからんしな…」

長門「あの錠前には文字が刻んであった。文句はこう」


己の享楽に耽り罪の鎖であらゆる自由を奪われし者、美しき旋律で心の自由を得、朽ちた刃物で身体を引き裂き真の自由を得る
そして自由は悪夢と等しいと知る


キョン「なんだそれ、意味がわからん」

長門「旋律というところから音楽室に関係があると推測」

キョン「朽ちた刃物は?」

長門「家庭科室にある包丁のことかもしれない」

ふうん、と生返事をしつつ、随分と回りくどく書くもんだな、と思った。
しかしそんな文句をしっかりと覚えてくるあたり長門らしいな、と俺は思う。

とりあえず言われるがままに俺は長門に付き添って音楽室へと向かった

音楽室までに何度か怪物と遭遇したが、俺と長門ならなんら問題は無かった。
言っちゃ悪いが、一緒にいたのが朝比奈さんじゃなくて本当に良かったと思う。
音楽室には一台のピアノが置いてあり、黒板には血のような赤黒い字で

心を照らすには月明かりがふさわしい

と書きなぐってあった。
なんというか、見るとすごく精神的に嫌になる字だった。

長門は無言でピアノの前に行くと、鍵盤の蓋を開ける。

露わになった鍵盤には、血のような物がべっとりとこびりついていた。

うわっ!とどん引きする俺をよそに、長門はポンポンと嫌な顔一つせず鍵盤を叩き、音は問題ない、とだけ呟いた。

こんなのを見ても顔色を変えないなんて、こいつやっぱすげえな。
そして長門はトテトテと本棚に近寄って、一冊の楽譜を取り出した。

キョン「ベートーベンの、…月光?」

長門「そう」

キョン「弾けるのか?」

長門「問題ない」

すると長門はぱらぱらと楽譜をめくったかと思うと、ピアノを華麗に弾き始めた。
唖然とする俺。

するとしばらくして壁に掛けてあったベートーベンの肖像画がバタンと床に落ちた。
その音に情けなくもびびってしまった俺は恐る恐るそれに近づくと、裏に貼り付けてあった鍵を拾った。

キョン「しかし、どんな仕掛けだよこれ…」

呟きつつ俺はピアノのほうを見る。
誰がこんなことしたんだろうか。
気づけば長門はさっき床に落ちた絵を興味深く見つめている。

キョン「どうした、長門?」

長門「…これ」

長門がこちらに肖像画を見せると、その絵はいつの間にか、口から血を流して苦しむ俺の絵に変わっていた。

もう少々なことじゃ驚かないが、すげぇ気分が悪い…。
こんな世界創ったやつを一発殴ってやりたい気分だ。例えハルヒでもな。

そして俺たちは家庭科室へと向かった。

家庭科室に入ると、異様な臭いが鼻をついた。
腐乱臭ってやつだ。
さすがの長門も1ナノメートルくらい眉をしかめている。
まあ仕方あるまい。
臭いを我慢しながら二人でごそごそと長机の戸棚を漁る。
俺は手前から。長門は奥から。
2つ目の長机に錆びてぼろぼろの包丁が出てきた。

キョン「長門、あったぞ!」

長門「そう」

キョン「しかしこれで何をするんだ?身を裂くって言ったって、切腹しろってわけじゃないだろうし」

長門「…あれ」

長門が指差した先には、まな板があった。

そして、その上には大きなカエルが仰向けに載っている。

キョン「…長門さん?」

長門「…私はさっきピアノを弾いた」

無表情ながら、どことなく威圧感があった。
やれ、ってことですよね?そうですね?
しぶしぶ俺はカエルの側に近寄り、包丁の切っ先を腹にあてがう。
このカエルはガマガエルだろうか?なんて気を紛らわしつつ、ズブズブっと力を込めると…

ビクビクッ!

カエルの体が途端に痙攣し始め、体液が飛び散り、一層激しい腐乱臭が辺りを包んだ。

たまらず俺はうげぇっ、と胃液を床に吐き出してしまう。

キツいわこれ…。

すると長門が鼻をつまみながら、鍵と呟いた。

見ればカエルの中から小さな鍵がのぞいている。

とは言っても体液でベトベトなんですけどねコレ。

長門「私達は早くこの学校を脱出するべき」

はいはいわかりましたよ、と言ってカエルの腹に手を突っ込む
うわ、今俺すごい泣きそう。
長門は俺がかろうじて鍵を取り出したのを見て、嫌悪の表情を浮かべている。
やらせたのはお前だろうが。
手と鍵を洗おうと水道をひねると、錆で真っ赤な水が流れてきた。

もうやだここ。

つくづく一刻も早く脱出しなければ、と思った俺は長門と足早に玄関へと向かった。
その途中、長門が俺と距離をとっていたのは、気のせいだと思いたい。

1階について、玄関に行こうとしたが、こちら側からは壁があっていけないみたいだ。
若干だがこっちの世界は構造が元の世界と変わっているらしい。

キョン「長門、仕方ない。上の階から回って…」

そこでノイズが今まで以上にうるさく鳴った。
なんだ?今までに聞いたことが無い音だ。

キョン「長門、なんかやばいぞ。逃げよう」

長門「来る」

キョン「じゃあ尚更だ!早く逃げよう!」

そう言って急いで階段までたどり着いた時、階上から俺達の前に異形の姿が立ちはだかった

真っ赤な三角形の被り物をした男。

手には人間の背丈より大きい鉈を持っている。
いや、あれは鉈と言っていいものか?

ゆっくりゆっくりと歩を進めるそれに、俺はおろか、長門までが凍りついてしまった。

そしてそれは、荒々しい仕草でその鉈を構え、一気に俺たちに向かって振り下ろした。

キョン「長門、危ない!」

間一髪、今の鉈はかわせたが、このままだと不利だ。
次は二人ともども真っ二つに両断されて、四つの肉塊になって転がるだろう。

しかし、外に出るには奴の向こう側にいかないと…

そうこうしているうちに、三角頭が再び鉈を構える。
やばい。横に薙ぎ払う気だ!
すると急に、俺の体が宙に浮いて、三角頭の向こうに凄い勢いで投げ飛ばされた。だんっ!と床にぶつかって、痛みで俺はうぐ、と声をあげた。
瞬間、轟音がして顔をあげると、鉈が壁にめり込んで粉塵を巻き上げていた。
なんて力だ…。

キョン「長門!大丈夫か長門!」

長門「問題ない」

いつの間にか横にいた長門はそう呟く。
さっきの薙ぎ払いをかわしたらしい。
さすが宇宙人、伊達じゃない。

長門「今は早く逃げるべき。立てる?」
キョン「ああ、なんとかな」

こっちに向き直った三角頭を背に俺は必死に走った。
あんな奴に勝てる気がしねぇ!

急いで2階を走り、反対側の階段から1階へと向かう。
途中、奴が鉈を地面に突き立てると、そのひび割れや金網の隙間からデカいゴキブリが大量に湧いて襲ってきた。
あんなこともできんのかよ、アイツ!

あんな数のゴキブリに襲われて死ぬのはごめんだと、俺たちは1階への階段を駆け下りた。

俺たち二人は玄関の鎖へとたどり着くと、それぞれが持つ鍵で錠前を急いで開けようと試みた。

長門はこともなく錠前を開けたが、いかんせん俺は焦ってなかなか鍵がまわらない
長門が急いで、とせかすが、そんなことは俺もわかっている。
とりあえず落ち着くために手のひらに人と書いて…

長門「来た」

その声と同時に、三角頭が天井をぶち抜いて背後に降り立つ。
ちょっと待て!まだ心の準備が…!

三角頭が鉈を振りかぶるのと同時に、鍵が回った。

キョン「開いた!」

体で扉を開け、俺たちは外へと躍り出る。
鉈の切っ先が踵をかすめて、地面にめり込んだ。

あぶねぇ、ギリギリだ…
慌てて振り返り校内を見ると、すでに三角頭の姿はなかった。
というより、霧はあるが、元の世界へと戻ってきたみたいだ。

長門「間一髪」

キョン「ああ、長門がいなかったら俺は今頃真っ二つだったな」

そう言ってふと長門のほうを見ると、長門は腕からかなりの出血をしていた。
まさか、さっきので…

俺の視線に気づいたのか、長門が気丈に問題ない、と一言。

キョン「問題ないわけあるか!放っておくと危ないぞ!」

すると後ろから、
「おやおやお困りのようですね」
と聞き覚えのある声がした。

振り返ると、古泉はだいぶくたびれてはいるが、笑顔で白い歯を覗かせてこっちを見ていた。

キョン「古泉…!」

古泉「話は後です。まずは長門さんの止血が先ですから」

そう言って長門の手当てを始める古泉。
キョン「ああ、すまんな。その包帯は?」

古泉「保健室から簡易救急セットを拝借しました。僕はあっちの校舎に閉じこめられていまして」

そう言って少し首をすくめてみせる。
そうか、古泉も同じ目に…

古泉「そちらもそちらで随分と大変な目にあったみたいですね。お察ししますよ」

実は、と俺は今までの経緯を簡単に古泉に伝えた。


古泉「なるほど…、そうだったんですか」

キョン「古泉のほうはどうだったんだ?」

古泉のほうはこんないきさつだった。
機関の仕事を終え、帰る途中で車がこの霧で事故を起こしてしまった。
車内に同乗していた森さん達は姿が見えず、何故か自分は事故車ごと校庭の真ん中にいたこと。
とりあえず部室にいこうとしたが、こちらの校舎は鎖ではいれずに、向こうの校舎に入って閉じこめられたこと。

古泉「後は…、だいたい同じです。尤も、三角頭なんてこっちの校舎にはいませんでしたが」

古泉によると、向こうの校舎には消化液を吐き出す怪物がいて、そいつを倒すと外に出れたらしい。

キョン「でもよく一人で…」

古泉「こいつがありましたしね」

そう言って古泉は懐からベレッタを取り出してみせた。

古泉「僕の仕事は涼宮さんの側にいることですからね。それなりの用意は必要ですから」

そう言って笑ってみせる古泉。
なんかいろんなことがありすぎて、このくらいじゃ驚かなくなってるな俺。

古泉「あれ?案外驚きませんね」

キョン「それのおかげでお前と再会できるならありがたいからな」

んっふ、と古泉は笑ってと話を続ける。

古泉「しかし、さっきで全弾撃ち尽くしちゃいましてね。困ったものです。」

キョン「予備は無いのか?」

古泉「一応車の中にあるんですが…、事故でトランクが開かないんですよ」

長門「私が開ける」

キョン「おい、長門。無理するんじゃないぞ」

長門「手当てのお礼がしたい」

きっぱりとそう言ってずんずんと歩いていく長門に、俺たちはついていった。

うわ…、と思わず声が漏れるほど、見事な事故車が校庭の真ん中にある様はなかなかシュールだった。
この事故で生きてること自体が奇跡だぞ、と言うと、実際死んだかと思いました、と笑顔の古泉。
いや、笑いごとじゃないって。

そんな俺らを気にすることもなく、トランクを片手でバリバリと開ける長門。
こいつなら三角頭に勝てそうな気がしてきた。
ていうか本当に5倍か?

トランクの中には、ベレッタの予備マガジンがいくつかと、


……何故かショットガンまであった。


キョン「機関ってなんでもありか!」

古泉「僕たちが守るのは世界の平和、ひいては涼宮さんでして、法律ではありませんから」

いろいろと突っ込みたいと思ったが、正直この状況だとありがたい。
文句を言わずに礼を言って、俺はショットガンを持たせてもらった。

古泉「さすがにそれの弾薬に予備はありませんから、撃つときはよっぽどの時だけですよ」

三角頭に対してとかね、と古泉は付け足した。

すると不意に俺の携帯が鳴った。

はて、圏外のはずですが、と不思議な顔をする古泉。

そのメールはハルヒからだった。

文面は一言。


「病院へ」


古泉「病院…ですか」

キョン「そうらしいな」

正直、こんな状況では行きたくないところNo.1だ。
そのNo.2は遊園地ってところか。

そこで、ふと思い出す。

キョン「そういや、お前、朝比奈さんは一緒じゃないのか?」
俺は長門と一緒なら、古泉は朝比奈さんといてもおかしくない。
それともまさか…。

古泉「いえ、見ていませんが」

よかった…。

朝比奈さんが一緒なら僕は生き残っている自信がありませんし、と余計な一言を付け足す古泉。

聞かなかったことにして、俺たちは学校の近くの市民病院を目指し、学校を後にした。


校門から外に出てみて驚いた。
ほとんどの道が途中で崖になってしまっている。

古泉「どうやらこの世界は本当に部分的にしかつくられていないみたいですね」

なるほど、そういうことか。
ということは、目指す病院もわかりやすくて助かると言うわけだ。

しかし、何故か空が明るい。
俺の時計はまだ夜11時を指しているのだが、この世界は昼と夜が一定の周期じゃないらしい。

町にも人影は無く、変わりに死体だとか、手のない化け物だとか、血を吸う犬だとか、そういうグロテスクな物には事欠かなかった。
慣れて来ている自分が嫌になるな。

しかしベレッタを持った古泉と超人長門がいれば、命の心配はぜんぜん無かった。


そしてやっと病院についた。

長門さんのおかげで助かりましたよ、と小泉。
悪かったな、役に立たなくて。

しかし誰もいない病院ってこんなに不気味なもんかね。
一人だったらどこかの部屋に鍵かけて、すべてが終わるまで閉じこもるところだ。

古泉「とりあえず探索しましょうか」

三人で順番に部屋を見て回る。

1階、2階、3階…
しかしあまり有益な情報は見つからない。

キョン「違う病院のことじゃないのか?」

古泉「そう判断するのは早いですよ。まだ地下室があるようです」

うげ。この上またそんなとこに行くのかよ。
しかし置いて行かれるのも嫌なので、仕方なく俺は地下室に向かった。

『機関室』とかかれたプレートが貼られた部屋に、手をかけ、中にはいる。

見たところ、何かの機械が所狭しと並んでいるだけだったが…

長門「みつけた」

そこには隠し扉があった。


キョン「なんだココ…」

長くのびるジメジメとした暗い廊下。
天井は低く、見る者に否応なしに圧迫感を与える場所だった。
そして両側の廊下には、それぞれ10くらいのドアが並んでいる。
試しに一つドアを開けてみると、トイレと簡易ベッドの他には何もない、薄汚れた部屋だった。

キョン「牢獄?」

古泉「のようなものでしょうかね」

次々とドアを開けて回るが、同じ部屋が続く。
いや正確には同じでは無かった。
部屋によっては壁にかきむしった跡があったり、赤黒い染みが残されていたり。
俺は極力それらをみないように、作業的に扉を開けていった。
反対側のドアを開けていく古泉の笑顔が消えていることからも、向こうも同じような有り様のようだ。


結局、嫌な気分になっただけか…と思った矢先だった。

奥から2つ目の扉を開けた先、以上な光景を目の当たりにし、俺は言葉を失った。

その様子に気づいた二人も、中を見て絶句する。

壁一面に目、目、目、目。
そしてご丁寧にもそれぞれが×印で目を潰されている。
そして床には、ナスカの地上絵の出来損ないのような絵がかかれていた。
そのすべてが、血とおぼしきもので、である。

さすがの長門でさえ、この光景は直視できないといった様子だ。

意を決して中に入ると、ぼろぼろで盛大に染みのついたベッドの上に、これまた鍵のついた鎖でぐるぐる巻きにされた金属製の箱が置いてあった。
そしてそこには血文字でこうかかれている。


『わたしのたからもの』


わたしのたからもの?
一体何が入っているんだろうと思っていると、古泉が急に声をあげた。

古泉「トイレに何か詰まってますね」

キョン「それがどうした」

俺が尋ねると、古泉は予想の斜め上の答えを返した。

古泉「もしかしたら、その箱の鍵かもしれません。あなた、とってみてくれませんか」

はぁ?マジで言ってんのかそれ?

古泉「マジです。いつだってマジですよ僕は」
そう言って見せる笑顔は、少し青ざめていて、古泉ですらこの部屋の
異常性には内心怯えているのかと思うと少し親近感が湧いたが、言ってることがえげつない。

お前やれよ、と言うと、いえ僕に汚れ仕事は似合いませんので、と返す。

長門は部屋の外から顔を半分だけ出して俺を見ている。

…くそ、俺がやるしかないってのか。

覚悟を決めて、俺は濁って酷い悪臭を放つ便器の中に手をつっこんだ。

詰まってたものは、汚れた患者服にくるまれた、紛れもない鍵だった。

古泉「ほんとにやるとは思いませんでしたよ…。何考えてるんですか、あなたは?」

誰のせいでやったと思ってるんだよ!?

長門「ユニーク」

そう言う長門は部屋の対角線上に立って、明らかに俺と距離をとっている。
ちくしょう、今日は厄日だ…。

古泉「あ、開きましたよ!」

当然だ。あれで関係ない鍵だったらお前を殴るぞ。この右手で。

古泉「とんだ外道ですね」

うるせぇ、さっさと開けやがれ!

古泉「黄色いリボン…?」

その黄色いリボンには見覚えがあった。
いつもハルヒがつけているやつと同じやつじゃないか。

古泉「でもなんでこんな所に…」

キョン「わからん、わからんが…」

ハルヒのリボンがこんな部屋にあったということ。
それが俺にはたまらなく不安で、胸騒ぎがした。

するとバタン!と、ひとりでに扉が閉まった。
長門が力を込めてノブを回すがビクともしない。

そして、天井から、何かの気配がした。


ガンッ!


俺の後ろにいた古泉が頭を蹴られて床に倒れ込んだ。

天井から急に現れたそれは、格子に組み込まれた人間のような姿をしていた。
見ようによっては、ベッド寝たきりの病人の姿を想像させる。
しかし何より特徴的なのは、その顔面…。
その顔には唇しかなく、見るものに生理的嫌悪感を催させた。
それが天井からぶら下がって、俺たちを襲っている。

俺はすかさずショットガンを構えて、狙いを定める。
引き金に指をかけた瞬間、突然俺は首に強い圧迫感を感じた。

もう一体いる!

気づけば俺の首はギリギリと足で締め付けられ、体は宙に持ち上がっていた。
左手で精一杯もがくが、足は離れそうにない。

くそっ…!

薄れゆく意識を、ベレッタの銃声が呼び戻した。
足の力が緩み、俺は地面に崩れ落ちて咳き込む。

古泉「…はやく!はやく撃ってください!」

俺は立ち上がり、それぞれに1発ずつ銃弾を撃ち込んだ。

2匹の怪物が動きを止める。
さすがに至近距離の散弾にはいくら怪物と言えどひとたまりもないらしい。

キョン「古泉…、大丈夫か?」

古泉「頭をうって一瞬トびかけましたが…なんとか」

そこで急に、サイレンのような音が…、部屋の中に響いた。
キョン「………っ!!」

頭に激痛が走り、俺たちは次々に倒れ込んだ。

しばらくして目を開けると…


再びそこは、血と錆の世界だった。


キョン「ここは…?」

どうやらさっきの部屋ではないらしい。
部屋にあるものを見る限り、手術室といったところか。
また嫌な部屋にでたもんだ。

何故か古泉と長門もいない。
あるのはさっきの黄色いリボンだけだった。
そして一気に不安と恐怖が何倍にもなって襲ってきた。
仲間がいなくなっただけで、こんなにも違うもんなのか…。この部屋で二人が来るまでじっとしておこうかと思ったが、俺はショットガンを構えながら、恐る恐る扉をひらいて廊下にでた。

この病院にハルヒがいるかもしれないしな。

どうやらここは1階のようだな。
そう思いつつ、探索をすすめる。
まだノイズの音は聞こえない。
携帯にラジオがついてて助かったと思うのは、後にも先にも今日だけだろうな、なんて考えながら気を紛らわせながら進む。
そうじゃないと胃が口から飛び出しそうだ。怖い。
そして診察室の扉を開けたとき、何かの気配がして、とっさに銃を構えた。

「ふぇっ!!」

キョン「あ、朝比奈さん!」

みくる「キョン君?キョン君なの?」

キョン「そうですよ!朝比奈さん、なぜこんなところに?」
みくる「あの~、とりあえずそれ、降ろしてくれませんか?」

キョン「あ、すいません」

言われて慌てて銃をおろす。

キョン「で、どうしてこんなところに?」

みくる「それが…」
どうやら朝比奈さんは病院で先日くじいた足を診てもらい、帰る途中で意識を失ったそうだ。
そして気づけば病院にいたという。
まぁ古泉や長門の場合と大して違いはないな。

キョン「ずっと一人でここに?」

みくる「いえ、さっき目が覚めたところで…ここがどこかもまだ…」

なるほど、鍵が開いてるわけだ。

みくる「で、キョン君はなんでそんな物騒なもの持ってるんですか?」

朝比奈さんは怯えた目で俺の手元をチラチラみている。
やっぱり朝比奈さんだな…、と思いつ、今までのことを簡単に説明した。

みくる「ふぇぇ?そんなことが…」

口ではそう言いつつ、どこか朝比奈さんは信用しきれていない様子だった。
様子の変わった世界に怯えてはいたが。
まぁ無理もない。だって俺だって未来人だの宇宙人だのなかなか信じれなかったしな。

キョン「そういうことなんで、朝比奈さんは俺から離れないでください」

みくる「はい、わかりました。でも、キョン君に会えて良かったです」

キョン「光栄です」
満面の天使の笑顔に、俺もいまできる最高の笑顔で応える。
応えつつ、この人と一緒で俺は生き残れるだろうか?とも思った。
頼りにならないからなぁ、この人。
正直鶴屋さんが良かった…。

そんな罰当たりなことを考えていたせいか、ノイズがゆっくりと部屋の中に響いた。

みくる「なんですかこの音?ラジオ?」
そう言えば説明するのを忘れていた。
しかし今はそんな暇はない。

キョン「朝比奈さん!危ないから俺のそばにいてください!」

みくる「は、はい!」

どこからくるんだ?
扉は3つ、可能性が高いのは廊下だが、さっきみたいに天井かもしれないし…

ギィィィと扉が開く音が、俺の思考を遮った。

朝比奈さんの近く、隣の部屋へのドアが開き、入ってきたのは、看護婦。
服装や見た目は薄汚れていて、顔は伏せていて見えなかった。
一瞬、怪物に教われて怪我をした本物の看護婦かと思った。

みくる「あれ?看護婦さん?」

キョン「朝比奈さん!危ない!」

朝比奈さんの襟首をつかんで後ろに引き倒す。
刹那、さっきまで朝比奈さんの首があった場所に、看護婦がその手を一閃した。
その手には鈍く光るメスが握られていた。

ひっ!と短く悲鳴をあげてその場にへたり込む朝比奈さんをよそに、俺は看護婦に容赦なく散弾を浴びせた。

悲鳴をあげてその場に後ろに吹っ飛ぶ看護婦。
その無残な死体を見て、その場に伸びる朝比奈さん。
あなたのそういうところ、俺は嫌いじゃないです。
あともう少し、時と場合を選んでくれるともっと嬉しいんですが…。

朝比奈さんを揺り起こしながら、もうこのまま置いていこう、と俺の中の悪魔が囁いた。
ええい、どっかいけ!

やっと起きたと思ったら、譫言のように、看護婦さんが、看護婦さんが、と繰り返す朝比奈さん。
わかりましたから落ち着いてください。
あの2人といるときとはまったく逆の意味で、不安と恐怖が薄らいできた。
俺がしっかりしないと、マジで共倒れですよ!?
弾もあと3発しかないし、これからどうするべきか…。

とりあえず弾の消費を抑えるために、ショットガンは朝比奈さんに持たせて、俺は点滴の支持棒を武器にすることにした。
もちろん朝比奈さんには絶対に撃たないように、と念を押しておいた。

だって誤射されそうだし。
とりあえず長門と古泉に合流すべく、病院内を探索するのがベストだろう。
一人じゃこの人を守るのは無理だ!
俺たちは今まで以上に慎重に病院内を探索した。

しかし、この世界の光景にはいまだになれないな。
まして朝比奈さんはさっき起きたばかりだからさぞやおびえている事だろう…と思いきや、この光景にはあまり驚いていないようだ。

さっきもショットガンのほうに怯えてたみたいだし、たまによくわからないな、この人。
妙な謎解きもいくつかあったが、それは朝比奈さんが解いてくれた。
相変わらず回りくどい不気味な文章だったり、パーツを組み合わせると人体模型の目が見開いたりと、嫌な気分になる仕掛けばかり。

本当にこの世界をつくった奴とは友達にはなれんな。たとえそれがハルヒでも。
中でも、豚レバーとオキシドールを組み合わせて火をつけるところなんか、朝比奈さんがいなかったらお手上げだった。
置いて行かなくて良かった…。

そして、俺たちの探索は、残すところ地下室だけとなった。

地下室には前と同じように扉が両側に並んでいた。
違うのは見た目ぐらいのもんだ。
俺は、迷わず奥から2番目、長門と古泉と最後にいた場所への扉を開いた。
二人が居る可能性が高いと思ったからだ。
扉を開けて中に入る俺と、後ろに続く朝比奈さん。

しかし二人がいるかも、という期待は見事に裏切られた。
そもそも俺はこんなところに来たことすらない。
あの異常な部屋ではなく、そこは迷路のように入り組んだ、部屋というよりは通路だった。
おかしい、こんな空間があるはずがない…。
だって両隣には部屋があるのに。
嫌な予感がした。

キョン「朝比奈さん、戻りましょう」

みくる「ふぇ、でもまだ奥まで…」

キョン「いいから早く!」

きびすを返した俺が見たものは、いとも簡単にひしゃげる鉄製の扉と、


あの赤い三角頭だった。


俺は素早く朝比奈さんからショットガンを掴みとると、奴に向けて撃った。

1発、2発、駄目だ効いていない!

キョン「駄目だ!朝比奈さん、奥に逃げましょう!」

みくる「は、はい!」

長い通路を俺たちは走る、走る。

朝比奈さん、駄目だ追いつかれる。
走るんだ、頑張れ朝比奈さん。

俺たちの眼前に開いたエレベーターが見えた。

キョン「あれに乗って逃げるんです!急いで!」

ぜぇぜぇと息を切らして逃げる後ろから、槍を持った三角頭が迫る。

俺は先にエレベーターに乗り込み、1階のボタンを押して朝比奈さんを待った。
朝比奈さん!早く!
しかし何故かエレベーターのドアが閉まり始めた。
何故だ!?
開ボタンを連打するがドアは開こうとしない。

朝比奈さんの顔が恐怖に引きつる。

みくる「待って!待ってキョン君!!いやぁぁ!!」

扉が閉まる寸前に見た光景は、朝比奈さんが三角頭の槍に捉えられる瞬間だった。



俺はエレベーターで一人、がっくりと膝を着いていた。

朝比奈さん…。

朝比奈さん…。

俺のせいだ、俺の…。

朝比奈さんの断末魔が耳について離れない。

重い。

何故俺がこんな仕打ちを受けなければならないんだ?

これはお前が望んだ世界なのか、ハルヒ…?

本当にお前が?

俺はお前に会って聞かなければならない。

それまでは…。


エレベーターのドアが開いた。



エレベーターが開いた先は、扉以外は何もない、がらんどうな部屋だった。

こんな部屋は1階には無かったが、そんなことはどうでもいい。

俺は目の前の部屋をくぐると、そこは診察室。そして…


古泉「おや、無事でしたか、心配しましたよ」

長門「…無事で良かった」

あれほど待ち望んでいた再会なのに、嬉しい気持ちは微塵も湧いてこなかった。

古泉「暗い顔をして…、何かあったんですか?」

俺ははぐれてしまってからのことを二人に話した。

ただ、朝比奈さんとは、はぐれてしまったと嘘をついた。

古泉「そうですか…、しかし朝比奈さんは心配ですが、涼宮さんに会って根本の原因をただすほうがいいかもしれませんね」

朝比奈さんならああ見えてけっこう強いですから、と続ける言葉が俺の胸を抉る。

キョン「しかし、俺はもうハルヒの居場所の見当がつかない。メールだってあれから来ないんだ。」
古泉「それなら考えて見たんですが…、こういうのはどうでしょう」

長門「涼宮ハルヒの家」

キョン「ハルヒの家?しかしどうやって?」

古泉「それがですね、下水道を通って駅まで出れば、地下鉄の線路沿いに歩いていけばなんとかいけるかもしれません」
キョン「なるほど…、しかしハルヒの自宅に行って何になるんだ?」

古泉「確かめたいことがあるんですよ」
古泉はそう言った。

確かめたいこと?
それはいったいなんだろうか。
俺は疑問に思ったが口にしなかった。
そして古泉も今はそれ以上は言わなかった。
言いたくないのか、言えないのか。
わからないしそれはどっちでも良かった。

―――それに、俺はもう引き返すことは出来ないしな。

古泉「じゃあ行きましょうか」

キョン「ああ、どこへなりと」

病院前のマンホールから、俺たちは下水道に侵入した。
方角はわかるのか?と聞くと、さっきの病院でタウンマップを拾ったし、磁石もあるので大丈夫だとのこと。
まったく、こいつはいつも用意がいい。
しかし、下水道の中は暗いし、臭いもひどくて気が滅入りそうだった。
そこで俺たちは道中、ぽつりぽつりと雑談を交わしながら進んだ。
これまでの活動であった出来事だとか、今回の事件が解決したらどうするだとか。
まるでいつもの不思議探索の時のように。
しかし、二人はこっちの気持ちを汲んでか、朝比奈さんの名前は出さなかった。
その気遣いは嬉しく、そして逆に胸が痛かった。

キョン「しかし下水道は何もいないな。さすがの化け物達も臭いのは嫌だと見える」

古泉「そうですね。ラジオもずっと反応しない。平和なもんです。」

確かに言われてみれば下水道に入ってからは、何も反応がない。
本当に何もいないのかもしれないな。

そう思った瞬間。
長門の足元から水しぶきが上がり、鱗のついたトカゲのような化け物が、俺たちの前に現れた。

キョン「長門!大丈夫か!?」

長門「問題ない。足をかすっただけ」

見れば長門の足には爪で引っかかれたような傷があった。

キョン「長門、逃げるぞ!」

長門「敵は一体。ならばここで排除したほうが安全」

その言葉をあざ笑うかのように、水中から新たに6体のトカゲが姿を現した。

なぜだ?なぜラジオが反応しなかった?
ここは地下で電波が通じないとか、反響がどうとかそういうことだろうか。
駄目だ、今はそんなことを考えてる場合じゃない。

キョン「長門、走れ!」

俺はそう叫ぶと、長門の手をひいて走りだそうとした。
だが、長門はてこでも動かない。

長門「私がくいとめる。後から追いつくから先に行って」

キョン「駄目だ!朝比奈さんだけじゃなくお前まで死んじまったら、俺は!!」

長門「いいから先に」

古泉「ここは長門さんを信じましょう!急いで!」

俺達は仕方なく、長門を置いて先に行った。

後ろでは長門が7体の化け物を相手に孤軍奮闘している。

古泉「あのはしごを上です!」

俺と古泉は無事、駅前へと辿り着くことができた。



長門のおかげで。

キョン「おい古泉」
古泉「なんでしょうか」

キョン「なんで長門を置いて逃げた!?
    お前のベレッタがあれば助かったかもしれないじゃないか!?」

古泉はそれを聞いて、少し、ふふ、と笑った。

キョン「何がおかしい!?」

俺が息巻くと、古泉はベレッタを俺の鼻先に突きつけた。

キョン「何のつもりだ、古泉」

古泉「こういうことですよ」

その問いかけに古泉は笑顔で答えてゆっくりと引き金をひく。

思わず俺は目を瞑った。





――――しかし、いつまで立っても銃声はしない。

恐る恐る目を開けると、古泉は、

弾倉は既に空です、と自嘲気味な笑顔で言った。

キョン「なんでそんな嘘なんか…」

古泉「僕がまだベレッタの弾を持っているとあなたが思っててくれれば、あなたを逃がすことが容易だと思ったからです」

つまり、と古泉は続ける。

古泉「先ほどのような状況になった時に、僕が敵を一手に引き受け、あなたと長門さんを逃がす-ー
    そんな算段をつけていたんです」

あなたがいない間にね、と古泉は笑う。
キョン「なんでそんなことを…」

古泉「それはこっちのセリフですよ」

キョン「………?」

古泉「なぜ朝比奈さんとはぐれたなんて嘘を?」

キョン「!!」



キョン「なんでそれが嘘だと思うんだ?」

心の内を読まれないように、必死に平静を装った。

古泉「とぼけても無駄です。あなたさっき夢中で長門さんに言った台詞、覚えてますか?」

う、と言葉に詰まった。

古泉「それにあんな暗い顔されたら誰だって気づきますよ。心中はお察ししますがね」

キョン「すまない、心配をかけまいと…」

古泉「いえ、いいんですよ。
    あなたが彼女を守れなかったとしたら、それはきっと、あの三角頭の仕業でしょう?」

………。
確かにその通りだ。
その通りだが俺は…。

古泉「あなたのせいじゃありません。自分を責めるよりあなたはまだすることが残っているはずだ。
    違いますか?」

二人の話を遮るように、ラジオからノイズの音が聞こえる。
古泉「おっと。少々長話をしすぎましたね。先を急ぐとしましょう」

キョン「ああ」

俺たちは地下鉄の構内へと降りた。


地下鉄のホームから線路沿いに、俺たちは目指す駅へと歩く。

キョン「なあ古泉?なんで俺なんかを逃がそうなんて決めたんだ?俺にはわからん」

古泉「聞きたいですか?」

キョン「ああ、聞きたいな。正直なところ俺は役に立たんからな。
    お前らのほうがよっぽど強いじゃないか」

古泉「強さではなく、役割の問題です。つまり…」

キョン「つまり?」

古泉「あなたが涼宮さんにとって鍵だからです。
    あなたが死ねば、全てが終わると、僕たちはそう判断しました」

キョン「…わからないな」

古泉「わからなくても結構です。余計な事に頭を使うなら、生き抜くことを考えてください」

キョン「はは、違いない」



その後、俺たちはしばらく線路を無言で歩いた。

キョン「しかし、地下鉄の線路を歩く経験なんて、めったに出来ることじゃないな。
    たぶんもう一生無いだろう」

古泉「そうですね。同意です。あ」

古泉は2本の線路の間に無造作に積んであった鉄パイプを拾って、武器ゲットです、と呟いた。

古泉「資材の残りですかね。ありがたい」

そこで一息ついてから

古泉「さっきの話ですが、僕も謝らなければなりません」

キョン「?」

古泉「あなたは僕が銃を向けた時、僕が裏切ったと思いましたか?」

キョン「あ、ああ。まぁな」

俺は正直に答えた。

古泉「そうでしょうね。でも、実際に裏切っているようなものなんですよ、僕は」

キョン「どういうことだ?」

古泉「それどころか、もしかしたらあなたに会った時からずっと…」

キョン「どういうことだと聞いているんだ!?」

古泉「…いいですか?今から話すことは、本来なら長門さんの口から話すことだったんです。
    少々後ろめたいこともありまして…」

キョン「一体なんなんだ?」

古泉「まず今回の事件、僕はある程度原因の推測はついていました」

キョン「!?」

古泉「それに、あの病院の隠し通路…、あの存在も知っていたんです。…噂レベルでしたけどね」

言われてみれば、地下を調べようと言ったのは古泉だった。
古泉「あの病院は機関の息がかかった病院でしてね。
    そしてあの病院には、機関にとって都合の悪い人物を幽閉しておく、地下牢があると…
    そういう黒い噂がありました」

キョン「…ふむ」

古泉「そしてあの異常な部屋…、あれはおそらく涼宮さんが監禁されていた場所かと」

キョン「嘘だろ!?そんな筈は…」

だってハルヒがそんな事になっていたら、気づかないはずがないし、ましてや…

古泉「ええ。僕も信じられませんでした。この目であの箱の中身を見るまではね」

これから僕が話すのは、あくまで噂で聞いた話ですからーー、と前置きして古泉は続けた。

古泉「涼宮さんは幼少時は両親ともに健在で、幸せな家庭で育っておられた。
    そこまでは良かったんです」

古泉「しかし、彼女の父親がある日お亡くなりになってしまった」

古泉「そして彼女のお母さんが、ショックで宗教に入れこんでしまわれたんですね」

それは初耳だ。

古泉「それがまだちょっとした新興宗教なら救いもあったんですが…」

キョン「どんな宗教だったんだ?」

古泉「それがカルトもカルト。邪教ですよ」

キョン「邪教?」

古泉「そう。悪魔崇拝主義系のえげつないやつです」

古泉「それで、カルト系の宗教にありがちなんですが、その神様…
    まぁ悪魔なんですが、それが全人類に救いを与えてくれると」

キョン「確かにありがちだな」

古泉「そこで涼宮さんのお母さんは思いついてしまったんですね。
    娘の体を使って、神様をこの世に生み出そうと」

キョン「なんだって!」

古泉「そしてその儀式が火を用いる儀式だったんですが、儀式の不手際か、家は全焼、
    涼宮さんのお母さんは死亡、涼宮さんも瀕死の火傷を負ってしまったと」

キョン「じゃあ儀式は失敗したのか?いや、そんなことよりハルヒが瀕死だなんて…。」

古泉「いえ、そこなんですよ。儀式は成功したんです」

キョン「!?」

古泉「ですから、涼宮さんの胎内には、邪神が宿ってしまった」

キョン「それじゃまさか…」

古泉「そう、涼宮さんのあの能力は、本来邪神が持つ能力なんです」

キョン「そうか、だから…」

古泉「そう。機関が涼宮さんを“神”と呼ぶ理由です」

そして、と古泉は続ける。

古泉「普段あなたが目にしていた涼宮さんは、本体の涼宮さんではなく、
    いわば実体のある精神体と言ったところでしょうか」

古泉「涼宮さんの本体は、邪神のせいで瀕死の火傷をおいながら苦しみ続け、
    地下の狭い部屋のベッドの上で1日を過ごす」

古泉「その反動で、精神体はあのような自由奔放な性格になり、
    そして自分を現在の状態から救ってくれるような異能者達を無意識的に求めた」

ああ、そうか。だからハルヒは“日常”をあんなに嫌がって、“楽しいこと”に求めていたのか。

古泉「そして涼宮さんが死ぬ…
    つまり精神体が死ぬことは、彼女の肉体が邪神に乗っ取られるということですから、つまり…」

キョン「…邪神が復活する?」

古泉「そう、そしてそれは世界の終わりを意味します。」

古泉「どうです?こう考えると、結構つじつまが合うでしょ?」

確かに…、と俺は納得した。
普通の人間ならこんなものただのヨタ話だが、今の状況では信じないわけにもいくまい。

古泉「まぁ実際は涼宮さんの力を機関が利用する為に病院に監禁してるって側面もあったり、
    いろいろ複雑なんですが…」

キョン「しかしそんな話誰から聞いたんだ?」

古泉「森さんですよ。つい先日同様の話を伺いました。」

キョン「なるほど…」

古泉「だから、今日の事故は事故というより始末なんでしょうね、たぶん」

キョン「まさか?そんなはずはないだろう!」

古泉「いえ、おそらくそうです。機関の人間が霧ごときで事故を起こすはずがないでしょう」

キョン「そんな…じゃあ森さんは…」

古泉「森さんなら上手く逃げ仰せてるんじゃないですか?むしろ危なかったのは僕のほうです。
    あのまま向こうの世界にいたら始末されてましたよ」

ははは、と、他人事のように笑う古泉。
思えばこいつのこういうところに、今回は随分と救われてきたな。

古泉「おや、そろそろ目的の駅のようですよ?化け物と会わなくて運が良かった」

それと…、と古泉は付け加える。

古泉「ですから、嘘のことはこれでチャラですよ」

そういって古泉は爽やかに笑った。

しかし、その笑顔をかき消すように、すごいスピードで何かが迫って来て、古泉の顔を照らす。


無人の地下鉄だった。


古泉「危ない!」

突き飛ばされた俺は2本の線路の間、安全な場所に尻餅をついた。

キョン「古泉!古泉ーッ!」

叫ぶ声は轟音にかき消されて、霧散してしまう。

電車が過ぎ去った後の静寂の中、俺はただ呆然とするしかなかった。

そして呟く。

キョン「古泉…、冗談はよせよ。こんなところまで来て独りにすんじゃねぇよ」

キョン「返事しろよ古泉!!」

古泉「はい?」

え?

よく見ると、線路の中央にうつ伏せになって古泉は倒れていた。

古泉「いやぁ、死ぬかと思いましたよ。意外と電車と地面って隙間があるもんなんですね」

馬鹿野郎、とだけ答えて、俺たちは地上への階段を登った。


駅からハルヒの住所までは、それほど遠くなかった。
途中、犬のような化け物に何度か襲われたが、俺たちは辛くも撃退し、ハルヒの家へとたどり着いた。
白い壁の、一般的な2階建て住宅である。

キョン「ここか?」
古泉「はい、そうです。おそらく鍵はかかってないかと」

なんでわかる、と問いかける俺を無視して、古泉はかまわずノブを回しドアを開けた。

古泉「涼宮さんも、邪神も、あなたのことを必要としていますから」

古泉に続いて俺もなかにはいり、思わず驚いてしまった。

外からは想像もつかないくらい、焼け焦げて、ところどころ床が抜けている。

中はその時のままなんでしょうね、と古泉は言った。

床や壁は焼け焦げているが、調度品や家具はほとんど焼けていない。
そのちぐはぐな感じが妙に嫌な気分がした。
おそらくハルヒが普段使うものはある程度綺麗な状態なんだろう、というよくわかったようなわからないような古泉の弁。
鏡がほとんど無傷で残っているのが、女の子らしいと言えた。
とりあえず2階に上がり、突き当たりを左の扉を開ける。

女の子らしい内装にうさぎのマスコットのぬいぐるみがいくつか置いてある。
そして壁のコルクボードには家族で行った遊園地や、宿泊先のホテルの写真。

間違いなくここはハルヒの部屋だろう。
ベッドが真っ黒に焼け焦げているところからみても。

俺は机の上に置いてあったファンシーな柄の日記帳が気になって、それを手に取りページを開いた。
その途端、後ろから古泉が近づいてきて、日記帳を取り上げてしまった
女性の日記を勝手に読むものじゃありません、だと。
まぁその日記は二度と開かないだろう。
たまたま開いたページにはただ一言、

「しんでしまいたい」
とだけ書かれていた。

古泉「おや?この本棚の裏に扉がありますね」

そう言って古泉は、本棚を押したり引いたりしたが、どうやっても動かないらしい。

観念して、先ほどの日記帳を本棚の開いてるスペースに片付けると、いとも簡単に本棚はスライドした。

奥には木製の扉があった。

キョン「おかしいな、その扉を開けると外に出るはずだが」

古泉「そうですね。物理的にありえませんね」

古泉が扉を開けて、俺が後に続く。


そこは手術室で、中央に立っていたのは、朝比奈みくるだった。


みくる「キョン君、古泉君」

キョン「朝比奈さん…?」

古泉「朝比奈さん?死んだはずじゃ?」

みくる「“死んだはずじゃ”?ふふ、古泉君はひどいこと言いますね、キョン君?」

いつものような笑みを浮かべながら、手術台に座る朝比奈さん。

キョン「朝比奈さん、生きていたんですね?良かった…」

わかっていながら俺は思わず朝比奈さんに駆け寄った。

みくる「あら?キョン君までそんなこと言うんですね?」

うふふ、と小悪魔のような笑みを浮かべた朝比奈さんは不意に俺の手を掴む。

みくる「そんなに気になるなら触って確かめればいいじゃない?」

そう言って俺の手をおもむろに胸にあてがう。
ズブ、と朝比奈さんの胸の穴に手が突っ込まれる感触。
生温い血の温かさを感じて、俺はとっさに後ずさった。

みくる「どうしたの?キョン君?キョン君?」

見れば朝比奈さんは全身血まみれになって、うつろな表情でこちらを見ていた。
すると古泉は急に俺の袖を掴んで、強引に部屋の外に連れ出した。そして、扉が閉まる瞬間、確かに声がした。

「また私を置いて逃げるの?」って。

古泉「しっかりしてください!あれは朝比奈さんじゃありません!」

わからない。俺にはわからない。

古泉「あなたがそんなことでどうするんですか?しっかりしてください!」

ああ、そうだ。行かなきゃ。
朝比奈さんを置いて逃げても、俺にはしなきゃならないことがあるんだ。

辺りを見渡すと、そこは学校だった。
SOS団の部室。
俺やあいつや、みんなの居場所。

しかし、団長の椅子はどこにもなかった。

古泉「どういうことでしょうね、これは?」

団長の椅子どころか、机や三角錐など、ハルヒに関わるものは一切が消え失せた部室だった。

古泉「しかし随分と脈絡のない場所に出ますね。この分だと次はどこに出るか分かったものじゃない」

ガララ、とドアを開けると、古泉が目をまん丸くして驚いている。

続けざまにドアをくぐって、俺も驚いた。

そこは遊園地のメリーゴーランド。

しかしそこは別に驚くところじゃない。
「待ちくたびれた」

一番手前の馬に、長門が座っていた

キョン「長門…!お前…」

古泉「さすが長門さんだ。また会えて嬉しいですよ」

本当に嬉しい。
いくら長門とは言え、あの化け物の群れに襲われて、また生きて会えるとは思わなかった。
まじまじと見つめると、全身が爪傷だらけで服は汚れてぼろぼろ、ビスクドールのようなその顔にまで傷をつくっていた。

古泉「珍しくぼろぼろですね。大丈夫ですか」

そう言って長門に近づいた古泉の体が宙に舞う。

古泉が地面に叩きつけられるのが早いか、回転木馬は回り始めた。

長門「……………」

返事は無い。
いつもの長門じゃない。
長門は木馬から降りてゆっくりとこちらに近づいてくる。
上半身を後ろにやや逸らし、足を引きずりつつ、薄ら笑いを浮かべて。
長門はあんな有機的な動きはしない。
あれは長門の意思じゃない。

キョン「やめろ長門!近寄るな!」

やはり返事はなく、間合いは縮まっていく。

どうしていいかわからない。
仕方なくショットガンを構えて長門を脅す。

キョン「来るな!脅しじゃないぞ!止まるんだ長門!」

長門の歩みは止まらなかった。

そして長門が俺の頬に両手を伸ばし、さするように手を下に動かす。
そして頸部に手がさしかかった途端、猛烈な圧迫。

キョン「やめ…ろ…長…門」

意識が飛んでいきそうになる中で、俺にできることと言えば、指先に力を込めることだけだった。

火薬の音と、はぜる音。

火薬の臭いと、血の臭い。

そのいずれかで意識がはっきりしたかはわからない。

でも、最期の長門の
「どうして…?」
と訴えかける目ははっきりと覚えている。

胸元に醜い穴の開いた長門は、ゴボゴボと血を吐きながら、息絶えた。

そんな長門を俺は見下ろしながら、自分が何をしたのか、よくわかっていなかった。

俺が?長門を?
はっ、悪い冗談だ。
現実ヲ見ロヨ。
デモ正当防衛ダシ。
訳がわからない、どうしてこうなったんだか。
三角頭から助けてくれた長門を俺は。
罰当たりにも程ってもんがあろうに。


俺は、人を殺してしまった。よりによって長門を。


キョン「長門…」

俺の呼び掛けもむらしく、長門は小さな音を立てて崩れ落ちた

頭の中が真っ白になる。頼む、死なないでくれ長門。俺はお前に、返しきれないほどの恩があるんだ。頼む…。
俺の決心は頑ななものになった。

ハルヒを見つけなくては

古泉、大丈夫か?

「ええ、立てそうにはありませんが…」

生きてたらいいさ。

「長門さんは?」

首を横にふる。

「そうですか…、仕方ありませんね」

もう、俺とお前だけになっちまったな。

「そうですね。残念です」

だからさ、お願いがあるんだ。

「なんです?」

お前だけでも、生き残ってくれ…。

「はは、泣かないでくださいよ。大丈夫、約束します」

「だから、早く行って終わらせてください」

ああ。わかった。

「僕はここであなたが帰ってくるのを休憩しながら待っていますよ」

そして、こんなふざけた世界なんかぶっ壊してみんなを救うんだ。
ついでにハルヒだって救ってやるさ。そうだ、先に進まなくてはどうしようもない。
俺が助ける。意を決し、あえて古泉と長門の方を見ないようにして俺は歩を進めた。


次の扉の先は、何もない、ただの広い空間だった。


今くぐった扉さえ、消えていた。


もう武器は無い。


進むしか無い。


どの位歩いただろうか。


目の前に祭壇が見えてきた。


祭壇の中央には赤々と燃える篝火が。


その上には磔にされた涼宮ハルヒ。


そして祭壇の前に、あの赤い三角頭がいた。


キョン「ハルヒ…、やっと会えたな」


ハルヒ「キョン…、キョンなの…?」


キョン「そうだぞ」


ハルヒ「キョン…、逃げろって言ったのに…」


キョン「ここまで来るのに随分と苦労させられたのに、その言い種は無いだろう」


ハルヒ「知ってるわよ…私は全部見てたのよ…?
     みくるちゃんも、有希も、古泉くんも、あんたが苦しむところも全部…」


キョン「だと思ったよ」


ハルヒ「ならさっさと逃げなさいよ!このバカキョン!」


三角頭は大鉈を構えながら、こちらににじりよってきていた。

キョン「やっとハルヒらしさが戻ってきたじゃないか」

ハルヒ「こんな時まで余裕かまして…、何考えてんの?」

キョン「こんなときこそ落ち着かなきゃいけないんじゃないか。ヒーローは決して慌てないもんだ」

三角頭は歩みを止めない。

ハルヒ「誰がヒーローよ!人が逃げなさいって言ってるでしょ!聞きなさいよこのアホタレ!」


キョン「まだぜんぜん元気じゃないか。その磔自分で外して降りて来いよ」


ハルヒ「うるさいうるさいうるさい!」


ハルヒ「みくるちゃんも有希も死んじゃって、古泉くんも酷い目にあって、
     この上あんたまで死んじゃったら…」


ハルヒはボロボロと大粒の涙を流していた。


キョン「死んじゃったらどうするんだ?」


俺と三角頭の距離は、もう十分に大鉈が届く位置だ。


ハルヒ「あんたが死んじゃったら、生きていけないって言ってんのよ!」


三角頭は大鉈を振りかぶる。


ハルヒはひっ、とこちらから目を背けた。


キョン「違うだろ、ハルヒ!!」


三角頭の手が止まる。


キョン「お前が言うべきはそんなセリフじゃない。だってお前は我らが団長様なんだからな」


キョン「お前がどこの誰かなんて今さら俺は知らん。俺の知ってる涼宮ハルヒであれば十分だ。」


キョン「だからいいか、団員が死んだら生きていけないなんて、お前が言うべき言葉じゃない。
     お前が言うべきなのは」


キョン「『私の為に死になさい!』だ!そしたら俺は、喜んで死んでやるよ!」


ハルヒ「キョン…」

キョン「さぁ言え!ハルヒ」


ハルヒ「わかったわよ…、そんなに死にたいなら勝手に死ね、このバカキョン!」


三角頭の手が振りおろされる。


しかし、その切っ先は空を切り、その体躯は倒れ込んだ。


キョン「まったく、世話の焼ける団長様だな」

俺はふっ、と笑ってみせた。

ハルヒ「うるさいわ、私の為に死ね、なんて言わなくても理解しときなさいよ」

団員ならね、と顔を涙でグシャグシャにして喜ぶハルヒ。


キョン「待ってろ、今その暑苦しそうな所から降ろしてやるよ」


ハルヒ「だめ…」


キョン「?」


ハルヒ「あいつが、悪魔が無理やり出てこようとしてる!」


キョン「あいつって、あの邪神がか!?」

ハルヒ「完全じゃ無くても良いから、あいつが復活しようとしてるの!」


キョン「そんな!」


ハルヒ「ああぁぁあぁ!!」


腹を押さえて苦しむハルヒの腹を突き破って、まがまがしい、獣の頭を持った悪魔が現れた。
その気迫は邪悪に溢れ、その場全体の温度が10℃は下がったように感じられた。

キョン「ハルヒ!!」

そして俺は、崩れ落ちるハルヒを見た。

邪神の復活と同時に、この空間自体がバラバラと炎をあげながら崩れ落ちる。

おそらく、この不安定な空間が邪神の魔力に耐えられないからだろう。

俺は落ちる炎をかわすために左に身をかわした刹那、さっきまで俺の体があった場所に巨大な火柱が走った。

これがこの邪神の力なのか!?
今避けれたのはただのまぐれだ。次はない。
せめて銃があれば一矢報いれたのにな…。
ハルヒ、お前の敵をうてなかったのが残念だ。

そして邪神の火柱が俺を襲った。

キョン「くっ!?」

あれ、俺、まだ死んでない?


ハルヒ「キョンは殺させない…!」


ボロボロになりながらも、ハルヒは不思議な力で邪神の火柱と、落ちてくる炎を止めていた。


ハルヒ「あんたなんかに誰も殺させるもんですか…」


キョン「ハルヒ…」

ハルヒ「走って!キョン!今の内に!」

俺は言われるがままに、崩れる空間を光の射す方へ走る。

最後にハルヒの顔を見たとき、ハルヒは俺に向かって何かを呟いた。



「―――――。」



俺の耳には、その言葉は届かなかった。



キョン「よぉ」

古泉「お早いお帰りで」

キョン「また会えてよかったよ」

古泉「僕もですよ、全部片付いたんですか?」

キョン「ああ」

古泉「涼宮さんは?」

キョン「……また会えてよかったよ」

古泉「…そうですか」



そして俺は、気づいたらSOS団の部室にいた。

いや、今や部員のいない文芸部室らしい。

戻って来た世界は、涼宮ハルヒのいない、新しい世界だった。

だから、長門もいないし、朝比奈さんもいない。

しかし、何故か古泉はいて、事件の記憶も残っているようだった。

古泉「涼宮さんは、最後の力で改変したんでしょうね。
    長門さんも、朝比奈さんも死ぬことのない世界に」

キョン「ああ、だがな」

古泉「どうしました?」

キョン「…俺は辛い」

古泉「僕もですよ。まぁ慣れるまでの辛抱ですよ。それまでの我慢です」

キョン「ああ…、そうだな」

そう言って朝のHRに遅れて教室に入った俺の耳に聞こえてきた声。

「〇×高校から来た―――」

…また退屈しなくて、すみそうだな。


REBIRTH END



他END



413 :オマケ:2009/05/12(火) 01:55:44.90 ID:2TJK2smTO

次の扉の先は、不思議な機械と、スモークチーズの溢れる部屋だった。


キョン「オマエノ シワザ ダタノカ」

ちゅるや「にょろ~ん」



ちゅるや END


471 :二週目:2009/05/12(火) 13:50:07.20 ID:2TJK2smTO

ガタンッ!!

俺は机と椅子から転げ落ちて目を覚ました。
くそっ、最悪の目覚めだ。
良い年して悪夢にうなされて転げ落ちるとは…恥だ。
しかしさっきのは夢にしてはやけにリアルだったな
痛みや臭いまで感じる夢とは珍しいな
そんなことを思いつ、俺は何かが自分の手のひらに当たるのを感じた。


キョン「…青い石のペンダント?」


俺はいなくなったハルヒを探して学校の屋上に上り、校庭を見下ろして驚いた。
見事な幾何学模様がそこには描かれていたのだ。

キョン「これは…ミステリーサークル?」


すると急に、青い石のペンダントがまばゆい光を発し始めた!!


フハハハハハ!

静寂を打ち破り、何者かの高笑いがこだまする。

キョン「誰だ!!」

「私は情報統合思念体だ!!そして!!」

長門「涼宮ハルヒは」

喜緑「私たち!」

朝倉「宇宙人'sが預かったわ!」


「返して欲しくば聖なる鞭を携えて、我を倒しに来るが良い!!エイリアンキラーの末裔よ!!」

キョン「なんだと!」

そして、校庭に巨大な宇宙人城が、轟音とともに姿を現した。


古泉「ついに知ってしまいましたか…。自分の血に流れる呪われた宿命を…」

キョン「古泉!?」

古泉「あなたの中には、伝説のエイリアンキラーの血が流れているのです。さぁ!この聖なる鞭を持って、運命に打ち勝つのです!!」

聖なる鞭を手に取った瞬間、自分の中に流れる血が湧き上がるのを感じた。

キョン「首を洗って待っていろ、宇宙人ども!」

「来い!真祖の力を見せてくれるわ!!」

エイリアンキラーキョンの冒険は今幕を上げた…


UFO END


情報統合思念体 CV若本



498 :ルート分岐:2009/05/12(火) 19:41:02.94 ID:2TJK2smTO

分岐条件:三角頭に対して発砲しない
     長門有希にアグラオフォティスを使用しない
     古泉一樹の生存


祭壇上には磔にされた涼宮ハルヒ。

そして、祭壇前には、あの赤い三角頭がいた。


ハルヒ「…キョン?キョンなの?」

キョン「ああ」

ハルヒ「なんで来たのよ…。逃げろって言ったのに」

キョン「お前に聞きたいことがあるからだよ、ハルヒ」

キョン「この世界はお前のせいなのか?」

ハルヒ「キョン…」

キョン「朝比奈さんが俺の前で死んだのも、俺が長門を殺してしまったのも…
    全部お前がいるからなのか」

ハルヒは答えない。

キョン「答えろハルヒ!」


ハルヒはごめんね、とつぶやいた。


俺はハルヒに近づきながら問う。

キョン「お前のせいで、俺は…、俺は…」

三角頭は、黙って俺が話すのを見ている。

キョン「お前なんていなければ良かったんだ!!」

ハルヒ「…………」

瞬間、三角頭は地面に飲み込まれた。

同時に、祭壇の炎も小さくなり、消えた。

キョン「いよいよ邪神が復活ってわけか?」

ハルヒはうつむいて、何も言わない。

キョン「しかしな、器が無けりゃ、邪神も復活できんだろう」

キョン「さよならだ、ハルヒ」

俺はハルヒめがけて引き金をひいた。

キョン「…さよならだ」

そして、銃身を口にくわえる。


銃声が響いた。


「ここは…?」

隣には、頭から血を流す森さんが座っていた。

ああ、そうか…ここはあの車の中か。

体が動かない。自分も長くは無いだろう。

あれは夢だったのだろうか?

わからない。

しかし彼には二度と会えないだろう。

薄れゆく意識の中で、古泉一樹はゆっくりと目を閉じた。


BAD END



509 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 20:16:49.85 ID:2TJK2smTO

とりあえず本編でやったら怒られそうだった夢オチエンドを書かせてもらいました
間違いなく蛇足でごめんなさい


まあもうgdgdだし、SIREN×ハルヒで今度なんか書くわ
これ書きながらシナリオ8割くらいできたし
読んでくれて乙でした
走馬灯もUFOも書けたから満足です!





解説

409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 01:52:01.54 ID:2TJK2smTO

え~と、読んでくれた皆さん、ありがとうございました!
ラスト辺りは、最後までどうしようか悩みながら書いたので、ますます遅筆になってしまいました。
もういっそUFOエンドにしようかと何度思ったことか…

一応、本編の終わりはグッドともバッドともとれないエンディングにしたつもりです。
どうもありがとうございました!

質問とかあればどうぞです


417 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:01:34.85 ID:LUd5RUr1O
三角頭が倒れた理由と、そこら辺のハルヒとキョンの「死んじゃえ」みたいなやりとりが謎だった


419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:04:21.73 ID:30CBXdfWO
>>417
俺もそこは知りたい


421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:07:13.41 ID:2TJK2smTO
>>417
とりあえず三角頭は公式の罪悪感から~って設定じゃなくて
邪神が完全復活するためにSOS団を皆殺しにしてハルヒの心を折るのが役目

だからそれに気づいたキョンは、俺が殺されても気にするな!本望だ!って意味であんな台詞を言った
そしてその言葉の意味を汲んだハルヒのせいで、三角頭が本来の指名を果たせなくなって絶命

この説明でわかるかな?


422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:09:01.18 ID:30CBXdfWO
把握した


423 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:12:07.99 ID:LUd5RUr1O
>>421
なるほど
例えキョンが死んでもハルヒが落ち込まなければ三角頭はミッション失敗だったのか


425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:14:00.75 ID:pjs4AdFkO
>>421
これを聞いてなおさら物語が深まった
他にSS書いてたら教えてください


426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:14:32.79 ID:2TJK2smTO
>>423
そういうことです

勢いで三角頭出しちゃったから苦労したぜ…
本当はあの学校のボスはスプリットヘッドにして、長門は食い殺される予定だった

>>425
キョン「ハルヒに問題だ」ってSSを>>1の代わりで書いたぐらいかな
あとは新ジャンルをちょこちょこ


431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:22:08.67 ID:pjs4AdFkO
>>427
歯ブラシのやつかwww
万能だな


432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:25:15.33 ID:nkcXraDe0
スプリッドヘッドって花みたいにくぱぁな奴だっけ?


433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:29:47.53 ID:2TJK2smTO
>>432
それそれ!
銃を持ってないキャラなら相打ちしか勝つ手段なさそうだと思った


440 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:41:49.52 ID:nkcXraDe0
赤い水やらフラウロスはわざと出さなかったの?


442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:44:56.98 ID:2TJK2smTO
>>440
赤い水は病院で出す予定だったし、フラウロスもハルヒの家で出そうかと思ってた
けどやっぱサイレントヒルって言ったらBADエンドだよね!と思って出さなかった


443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 02:46:17.21 ID:vBcE+H260

サイレントヒルは知らんが面白かった
最近は元ネタが分からないのに面白いのがちょいちょいあって複雑な気分だ
誰かSIRENでやってくれないものかね


449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 03:02:43.33 ID:lg2GebOI0
>>443
SIREN、美耶子はハルヒ、SDKはキョンだなww


450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 03:08:05.71 ID:KyBsLMW7O
最後はキョン妹だけ生還ですね


おまけ


367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 00:37:18.73 ID:2TJK2smTO

三角頭は大鉈を構えながら、こちらににじりよってきていた。

キョン「やっとハルヒらしさが戻ってきたじゃないか」

ハルヒ「こんな時まで余裕かまして…、何考えてんの?」

キョン「こんなときこそ落ち着かなきゃいけないんじゃないか。ヒーローは決して慌てないもんだ」

三角頭は歩みを止めない。

ハルヒ「誰がヒーローよ!人が逃げなさいって言ってるでしょ!聞きなさいよこのアホタレ!」


キョン「まだぜんぜん元気じゃないか。その磔自分で外して降りて来いよ」


ハルヒ「うるさいうるさいうるさい!」


368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 00:39:41.60 ID:fDHyDWKSO
うるさいうるさいうるさい
釘宮で再生された


369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 00:41:30.24 ID:TFDwtyWYP
>>368のせいで


370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/12(火) 00:42:03.50 ID:UL2eQHMd0
くぎゅううううううううううううう


阿部 「○中出身、阿部高和。ただの人間には興味はない」

2009年05月25日 22:36


涼宮ハルヒのくそみそテクニック

阿部 「○中出身、阿部高和。ただの人間には興味はない」 携帯用

涼宮ハルヒの憂鬱×くそみそテクニック

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