2011年10月31日 19:12
55 : ◆tUNoJq4Lwk [sage]:2011/05/29(日) 16:18:45.38 ID:RqlWRy44o
第三話
嫉妬 ~後編~
俺が“魔女を引き寄せやすい体質になった”と言われてから数日。
なかなか件の魔女が現れなかったので、もしかしてあの話はウソだったのではないかと思い始めたある日。
俺は帰り際に魔女に襲われた。
その日、たまたま杏子は一緒におらず、一人でマンションへ帰ろうとしていたところで、以前見た、俺がベルゼブブと名付けたあのハエの化け物が現れたのだ。
そして、化け物から救ってくれたのは、杏子ではなく、彼女と同じ魔法少女という巴マミであった。
マミが魔女を倒すと、魔女の結界は消え、俺はいつもの歩き慣れた歩道に立っていた。
目の前にいるのは、杏子よりは若干成長していると思われる制服姿の少女が一人。
「巴マミさん……、か」
「はい、マミで結構ですよ、五郎さん」
杏子もそうだが、なんで魔法少女ってのはファーストネームで呼び合おうとするかね。
「それはいいけど、なんで俺の名前を知っているんだ?」
「はい、キュゥべえから聞きました」
「キュゥべえ……」
俺は怪しげなあの白い生物を思い出す。
「あなたは、魔女を引き寄せやすい体質なんですよね」
「正直、信じてはいなかったけど」
「実は私も、半信半疑でした。ですが、こうして今日、実際に魔女に襲われたわけですし、
何より魔法少女以外にもああして魔女の結界の中に入れる人はそうはいません」
「あの時……、浅草の店で俺に話しかけてきたのは探るためだったのか?」
「ええ、まあ……」
「でっ」
「?」
「何が目的だ」
「目的?」
「そう。助けてくれたのはありがたい。だがキミにも目的があるんじゃないのか?」
「……そうですね。ここでは話しづらいので、場所を変えませんか?」
「場所……」
確かに、歩道で立ち止まって話をしていたのでは目立ってしまう。
「わかった。どこか喫茶店にでも行こう」
深夜でもやっている店なんて、あっただろうか。俺は少し考えた。
「あなたの家がいい」
「……」
「ダメですか?」
「……いや」
まさか、中学生くらいの子どもにこんなセリフを言われるとは思わなかった。
