インテグラ「エジプトの吸血鬼を見敵必殺」

2009年09月25日 21:07

インテグラ「エジプトの吸血鬼を見敵必殺」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/27(金) 21:23:21.00 ID:xNhGT8zr0

何番煎じだろうと気にしない
_____________________________________


「エジプトだと!?」

葉巻を噛み締めて苦々しい呟きをもらすのはヘルシング家当主、英国国教騎士団局長インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングだった。

「はい、先程英国王室からのホットラインを通じて埋葬機関なる我々王立国教騎士団に出撃要請が」

答えるはヘルシング家の老執事、かつてはヘルシングのゴミ処理係と呼ばれていた黒い死神ウォルター・C・ドルネーズ。

「丁重に断っておけウォルター。自国のことくらい自国でなんとかしろと返答すればよい」

「私もそう思っていたのですが共に送られてきた資料によりますとアレクサンド・アンデルセンに勝るとも劣らないほどのバケモノとのことです。その話が真実であるならば打ち倒せるのは世界を見渡しても対化物の鬼札をもつ我々王立国教騎士団か特務機関イスカリオテぐらいのものかと」

「あの首切り判事と同等?有得ない話だウォルター。そこまで力がある吸血鬼が今まで大人しくしていたなどと。我々の“手は長い”。地球の裏側であろうとそのような化物がいて気がつかないはずは無い」

「全くもって同感でございます。まず間違いなく恐怖に怯え過剰に評価したのだと思われます。なればこそ、ここで依頼を受けておけばエジプト政府への大きな“貸し”になるかと」

「我々には意味なく、しかして大英帝国にとっては今後エジプトと外交する際に大きな強みになる…か。気に入らん話だ」

「全くもって同感でございます。既にイスカリオテはその要請を拒否したようです」

「当然だ。法王庁特務局第13課に依頼だと?裏切り者のユダがエジプトなどに力を貸すものか」

「そうでしょうな。13課があの地に降り立てば異教、異端の殲滅を口にして目の前にある全てのものを殺しつくすでしょう。……如何なさいますか?」

「受けてやろうではないか。我々王立国教騎士団であるヘルシングが化物を殲滅する最大にして最強の機関であることを見せ付けてやればよい」

そう言うと執事は一礼して静かに部屋を去っていった。

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「聞いていただろう?下僕。貴様は仕事の時間だ」

自分以外誰もいないはずの部屋にインテグラの声が響く。
すると、ぬぅっと闇から赤い帽子赤いコートの長身の男が現われた。

「随分とお優しいことだなインテグラ。だが、こちらとしては僥倖か。久々に手応えのある馬鹿とやり合えそうだ」

くつくつとこぼれる笑いも気にせずインテグラは口を開く。

「オーダーは変わらん。ただ1つだ従僕。どこの有象無象だろうが構わん。全ての障害をただ進み押し潰し粉砕してこい!」

「オーダーはただ1つ!“見敵必殺“!“見敵必殺“だ!!」

「“了解”した。我が主」

そう言い残すと赤い男はまた闇に消えていった……



月明かりが差し込むその部屋は素人でも一目で価値が判る高価な調度品が並び、ベッドの脇には高価な酒瓶や貴重な書物が無造作に放り投げられていた。

「どこのどなたかは知らんが…ドアぐらい開けてくれないかね?」

そう呟き本を閉じて立ち上がる男。
その肉体は古代オリエントの彫刻を思わせるほど美しく均整がとれており、そしてよく目を凝らしてみないと分からなかったが首の背中の付け根には星形のようなアザがあった。

「クックックッ……」

地の底から響くような笑い声と共にヌルリと扉をすり抜けて現われる赤い男。

興味深げに赤い男を見つめる部屋の主。赤い男は窓から覗く真円の月を見上げながらさらに続けた。

「いい夜だな。あぁ本当にいい夜だ。そうは思わないか?」

「……確かに美しい夜だ。ご高名は耳にしている。はじめましてアーカード……」

「はじめまして“フリークス”……そしてさようなら」

刹那、響く銃声煌く短刀。

「クククク…………ハァーハッハッハハハハハハハハ!!!」

眉間に刺さったナイフを引き抜きながら哄笑するアーカード。目の前にはいまだ悠然と立つ名も知れぬ“フリークス”。彼の足元には先程放った銃弾が弾頭もそのままに転がっている。

「なかなかに速いな。どこぞの犬の糞になりそこねた奴よりもよっぽど速いようだ」

「私は犬が嫌いでね。人間に頭を垂れるその姿に虫唾が走るのだよ。人間に飼われている君にこの気持ちが判るかな?」

「……クク…クハハハハ!!……私を犬と呼ぶか!まぁあながち間違ってもいまい。イロイロとこみいった事情があってな」

嬉しそうに笑うアーカードの手から続けざまに吼え声をあげる対化物戦闘用13mn拳銃ジャッカル、454カスールカスタムオート。

右手のジャッカルから放たれるは純銀マケドニウム加工水銀弾頭弾殻マーベルス化学薬筒NNA9の13mm炸裂徹鋼弾。

左手のカスールから放たれるはランチェスター大聖堂の銀十字を鋳溶かして作った454カスール13mm爆裂徹鋼弾頭。

これを喰らって平気なフリークスなどただの1人もいまい。



そう“当たれば”のことである。

目の前に立つ“フリークス”には銃弾が1つたりとも届かなかったのだ。

それだけではなく投擲されるナイフが次々とアーカードの脚に、腕に、胴に、喉に、頭に突き刺さっていく。

だが、そんなことでアーカードは止まらない。避ける気もない。祝福儀礼も施されていないナイフが何本刺さろうと彼は銃爪をひくことを止めはしない。

“当たらない”のなら“当たる”まで撃ち続けるだけのこと。

銃爪を1回引くごとに射出される弾丸は数を増すかのように部屋を蹂躙する。

白いマズルフラッシュがこの空間を埋め尽くしてからどれほどの時間がたったのだろう?

「ムゥ!?」

ようやく1発の殺意が“フリークス”の肩に着弾し爆裂する。

そのまま調度品を巻き込みながら吹き飛んでいく“フリークス”。

対するアーカードは全身ナイフで貫かれ無事な箇所など1つもない。

銃をゆっくりとおろすアーカード。その全身から次々とナイフが零れ落ちていく。

もはや傷ひとつ無い身体を震わせ、獰猛な獣のように唇を歪ませて笑い出すのはアーカード。

「クク……クククク…………ハァーハッハッハハハハ!!!」

「素晴らしい!実に素晴らしいぞ!まさか私をここまで高ぶらせ、楽しませてくれるとは思ってもいなかった!我が名はアーカード! ヘルシング機関のゴミ処理係りだ!!名を聞こう“フリークス”!!!」

差し込む月光を反射するのは地に転がる無数の銃弾。鈍色の光を背に立ち上がる“フリークス”。

やはりその身体には傷ひとつない。

「私はDIO。これからの世に君臨し続ける、全てを超越した帝王だ」

「DIO……貴様を分類A以上の吸血鬼と認識する」

ゆっくりと銃を懐に仕舞うアーカード。

あれほどの量の弾丸を撃ち続けたにも関わらず、DIOに届いたのはただの一発のみ。

このまま朝日が昇るまで撃ち続けてもよいが、それでは“全くもって”面白くない。

吸血鬼アーカードとは自らの理知をもって力を行使する「暴君」であり彼の振るう力とはまさに“暴力”である。

「――スピードと攻撃の精度、この二点の素晴らしさは認めよう。だが、パワーはどうかな? 」

その瞬間、アーカードの姿が消えた。

3基のミサイルを只の1発で打ち抜く魔弾、それを歯で喰い止めるほどの反応速度をもつ化物が拳を握り、振りかざし、目の前のDIOに迫ったのだ。

その速度は人外の化物ですら易々と対処はできない。
あのアンデルセンですら避けきれはしないだろう。

「……無駄だ」

だからこそ、はじめてアーカードは目を見開いた。

耳元で囁かれるような声と共に振り下ろしたはずの右腕が弾け飛ぶ。

吸血鬼という化物が拳を握り、しかるべき殺意で振り下ろしたのならば避けれる方法など皆無。

だがDIOはその拳を避け、さらに伸びきった腕を手刀でこともなげに断ち切ったのだ。

ここにきて初めてアーカードは理解した。

この男は“ゴミ処理係”のアーカードなどでは到底殺しきれぬ、と。

かかる力全てをもって全力で叩き伏せることが出来る相手。

かかる力全てをもってしても全力で叩き伏せられることが出来る相手。

聖堂騎士アレクサンド・アンデルセン、狂った小太り少佐、ヴァン・ヘルシング教授のように自らを滅ぼしうるほどの力を持っている。

それが楽しくて嬉しくてたまらずアーカードは笑いをこぼす

一方、DIOも静かな表情の裏で驚愕していた。

全身に刺さったはずのナイフをいとも簡単に『まるで水浴びした犬のようにふるい落とし』右腕を切り飛ばしたはずの自分の指が大きくひしゃげている。

DIOは目の前で笑っている男が、かの因縁深き一族の血統と並ぶ強大な敵であると理解した。


ズルリ・・・


部屋の空気が一変した。

アーカードに無数の眼が、手が、牙が生まれだす。

「拘束制御術式」
 
「第三号解放」

「第二号解放」

「第一号解放」

「“クロムウェル”目前敵完全沈黙完全粉砕までの能力使用限定解除」

「……クハハハ!!さぁ殺しあうぞ!!!」

バチリバチリとアーカードの全身から殺意が、闇が溢れ出す。

ゆっくりと目の前のDIOに視線を向け、そしてアーカードは生まれて初めて(そう、本当に初めて)見た。

DIOの背後にはいつのまにか1人?の騎士のような拳闘士のような男が立っていた。

ヒドく像がぼやけているそれはムラサキともピンクともつかない色を放ち、まるで幽霊のようだったがしかし確かな力を備えているとアーカードは確信する。

「ほぅ……初めて見る。如何なる術式にも該当しない。それはなんだ?」

「知らなかったと見える。紹介しよう。我が傍に立つもの、スタンドだ」

本来スタンドをもたないアーカードにスタンドは見えない。

だが“クロムウェル”を解放したことにより第三の眼がさらに深くなったことに関係があるのだろうか?

「クハハハ!!このような力があるとはな!興味深い!」

その一言で闇が動き出す……

アーカードの上半身がぐらりと崩れ、そこから顕れるのは黒獣犬。

ガチガチと牙を噛み鳴らし涎を垂れ流す獣はDIOの何倍あるのだろうか?

しかし、眉をピクリとあげて一言呟く

「言ったろう?私は犬が嫌いなのだよ」

その言葉と共に襲い掛かる黒獣犬。

亡霊のような拳闘士が、襲い掛かる獣の顎を抑える。

「無駄だ。獣などでわたしの相手が務まると思うか!無駄無駄無駄無駄無駄ァァ!!」

DIOの言葉と共に拳闘士の拳が黒獣犬を刺し、貫き、殴り、抉り、吹き飛ばす。

吹き飛ばされ、もはや原型を留めていない黒獣犬が大きく呻く、と同時に口の中から現れるのは人類には扱うことも出来ない黒い拳銃。

火を吹き牙を突き立てるジャッカルの炸裂鉄鋼弾。

だが、それは拳闘士によりDIOの眼の前スレスレで止められた。

チィン、とこの場にそぐわない涼やかな音を立てて床に落ちる。

「ククク…なるほど。道理で当たらぬわけだ。刺さらぬわけだ。まさかジャッカルの牙が止められるとは私も思ってもいなかった」

感心し、喜ぶ不死王の声が部屋に響く。

「やはり“狗”ではダメだ。化物を倒すのは“狗”ではない。そうだろう?DIO!!」

しばし、何かを考える素振りを見せるDIO。しかしすぐさま頭を振りこう言い放つ。

「くだらん能書きはいい。さっさとかかってこい!闘争はこれからだろう!!」

それを聞いたアーカードの眼が大きく見開かれそして次の瞬間凄まじい笑い声が大気を震わせる。

何万何十万の敵と対してきた彼ではあったが、そのセリフをまさかまた聞くとは思ってもいなかった。

「素敵だ。本当に素敵だ!!!あぁその通りだとも愛しい人!もはや我等に言葉はいらぬ!!ただ殺しつくすことのみだ!!」

そうして闇は膨れ上がり破裂した。

ありとあらゆる殺意が形を成しDIOを襲う。

その闇は霧のかたちだった。

その闇は人のかたちだった。

その闇は獣のかたちだった。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!!!!!!」

霧は薙ぎ払った。

人は貫いた。

獣は踏み潰した。


しかしそれでも滅ぼされるために生み出される亡者の大群。

それは無尽蔵に湧き出てくる蟻を踏み潰すようなものだった。


……やがてDIOの胸を1発のマスケット銃が貫いた。

たたらを踏むDIOの隙を逃さず両腕をトランプが切り裂いた。

ヒャッハァ!と叫びながらDIOの身体を押さえ込む黒い影。

間髪いれず白い影が二連式の銃でDIOの胴に大きな穴を開けた。

「……グッ!!」


「この程度で……無駄ァ!!」

拳闘士の拳が自らを押さえ込んでいる黒い影を襲う、しかしそれは口笛を吹きながら身軽に跳びあがり白い男の隣に立つ。

DIOは目の前の4人が先程まで蹴散らしていた雑魚ではなく、そしてそれぞれがアーカードであると直感する。

黒いスーツを身につけ、そばかす顔の眼鏡の女がにこやかに笑いながらこう告げる

「有象無象の区別なく、私の弾頭は許しません♪“魔弾の射手” リップヴァーン・ウィンクル中尉ですわ♪判ったらちゃっちゃとおっ死ね吸血鬼♪」

「我が名はトバルカイン・アルハンブラ。近しいものからは“伊達男”と呼ばれています。なに、君もそう読んでくれて構わない。なにせすぐに我々と同じとるに足らないサンプルとして死に絶えていくのだから。」

白いスーツを身につけて山高帽を手に取った男は仰々しいまでに一礼をしてからこう述べた。

黒い帽子を被った若い男が隣にいる眼鏡の男の肩に手を回しながら

「アロー!僕様チャン達はバレンタイン兄弟でーす!俺がヤン!こっちがルーク!そのきたねえジジイの小便かけたみたいな頭で覚えてられるかどうか知らねーけど覚えといてねん!
あ、やっぱ訂正。おまえ今からすぐに俺が殺しちゃうからやっぱり覚えなくてもいいや!フヒャハハハハ!僕様ちゃんやっっさしい!!!んじゃ!そういうわけでばいばいさよならよーろしーくねー!」

そう言い放ちこちらに銃を向けだす4人。

DIOはゆっくりと立ち上がり大きく両手を広げる。

「あれ?あれあれあれぇ?なにそれ降参?ホールドアップ?ヒャハハハ!だめだめ!どうせ死ぬから楽に殺して?だめだめぇ!今からゆっくりとおまえを斬って撃って?いで削いで抉って延々殺し続けるんだからよぉぉ!!なんてったって……」

ヤンが全てを言い終わる前に、DIOは呼んだ。自らのスタンドの名を。

世界を統べる帝王の名にふさわしいその名を。



         ザ・ワールド
        『 世界 』



それは21番目のタロットカードであり世界を支配するスタンド。

その能力は自分以外の時を止める。

その力はアーカードですら知りえない力であった。

「…・・・時よ止まれ!!!」

DIOの言葉はすなわち世界を止める言葉。

それはあのアーカードですら真似もできず入り込めない世界。

1秒経過

目の前の黒い帽子の男の首を掴み引きちぎる。

2秒経過

時の止まった世界では優越感にひたった顔で言葉を紡ごうとしてるそれを空中に放り投げ、伊達男
の帽子の上に乗せる。

3秒経過

ナイフを何十、何百と投げ目の前で静止。

4秒経過

ザ・ワールドとともに空高く跳びあがり

5秒経過

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァァァ!!!」

目の前にあるのはもはや原型も留めぬ白と黒と赤の塊。

背を向けてから、一言呟く。

「そして……時は動き出す」

「この俺様ちゃ・・・・・・」
「ブギャァァァ……」

自分が死んだことに気付かず得意がる男と豚のような悲鳴を上げて潰れる伊達男。もはやナイフと拳の連撃により両者の区別すらつかない。

そして、ようやく魔弾の射手とルークバレンタインは目の前の現状に気付いた。

「な、何ですの?何ですの?」

「ヤン!!」

リップバーン・ウィンクルは生来の怯えが出たのだろうか?目の前の現状に頭がついていかない。

現状に気付き即座に反応したのはルーク・バレンタイン。

音速ともいえる速さで目の前にいつのまにか立っているDIOに銃を向け、撃ち放つ。たとえ拳闘士であろうと止められぬ距離。

もはや吸血鬼の再生能力などは関係ない。ここで頭を打ち抜き、一瞬でも地に倒れふせば雲霞の如くアーカードによって命そのものを吸い上げられるだろう。

だが、それもまた世界を支配する王の前では無為なこと。

DIOが口元に笑みを浮かべ……

目の前が真っ暗になり前方に大きな壁があった。

「え?」

そして、ようやく気付く。

「う、撃たれていたのは俺だったぁ~今銃爪をひいたはずなのにィ~」

頭を吹き飛ばされ地面に倒れていたのはルーク・バレンタインだった。

そう、犬の糞はDIOにとってもアーカードにとっても犬の糞でしかない。

もはや眼球すらないというのにアーカードの蔑みの声が聞こえる。

またあの混沌、蒙昧とした命の群れに戻されるのだろうか。

自らが恐怖した結末は期待を裏切らず実行され、ルークバレンタインは犬の腹の中に逆戻り。


そして魔弾の射手は。


“魔弾の射手”猟師リップバーン・ウィンクルは。


胸元を紅く濡らし、目の前の魔王にまた全てを奪われようとしていた。

胸に刺さっていたはずのマスケット銃は足元に転がっている。

両手両足にナイフ何本もを刺された様は、標本にされた蟲よりもさらに惨い。

首元に歯を突きたてれ吸われているのではなく、DIOの手が薄い胸に触れ、皮を斬り肉を貫き心臓に触れられている。


血液は魂の通貨。命の媒介。

それはどの世界においても変わりは無い。

そして、嗚呼。やはりリップバーン・ウィンクルは魔王に命を吸い上げられていく。

魔王が1人などとどこの誰が決めたのだろうか?

愚かにも魔王を討ち取ろうとした魔弾の射手は己の何もかもを奪われ朽ちていく。

もはや只の器だったものを無造作に投げ捨てる。

「…………………なじむ」

そしてポツリと言葉を漏らす。

「なじむ…なじむ実になじむぞぉぉぉぉ!!フハハ…フハハハハハハハハハハハ!!!!」

DIOは狂喜する。

まさかここまで濃厚な命だとは思わなかった。

“あの”一族以外でここまで馴染む血があるとは思ってもいなかった。

しかし、それもまた当然。

吸血鬼であるにも関わらずDIOは自分以外の吸血鬼を喰ったことがなかったからだ。

例えるならそれは軽油で戦闘機を動かしていたようなもの。

初めて吸血鬼を吸血したことで彼の中の吸血鬼はさらに力を強めた。

そして……ズルリと闇の中から男が姿を再び見せる。

パチパチと手を叩きながら。

「クククク……見事だ!見事だノーライフキングよ!私とはまったくもって違う、そしてまったく同じであるミディアンの王よ!!」

いまだ覚めぬ歓喜の念を打ち鳴らす手に込めて、言葉を続けるのは幾百万の命をもつ夜の眷属、ノーライフキング。

彼が望めば吸われゆくリップバーンの血液を通じDIOを己が内に取り込めたのかもしれない。

もはや魔弾の射手はリップバーンでありアーカードでもあるのだ。

だが、彼はしなかった。

かつての少佐が、最後の大隊がそうしたように敬意をもちリップバーンを見殺した。

それはDIOすらも判っていた。

闘いで勝ち取ったものを横から殴りつけかっさらうなど、人間にやらせればいい。

魔物は、ミディアンは、夜の眷属は、不死王は、ノーライフキングは、ただただ目の前の命を喰らう存在でしかないのだから。

「さぁ!さぁさぁさぁ!どうしたノーライフキング?敵はここにいるぞ、さっさと攻撃してこい。お楽しみはこれからだ!!」

「HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!」


DIOもまた口元からこぼれる笑みが止まらなかった。

これほどの高揚、もはや彼が望めば望むだけ世界は答えてくれる。

目の前で手を打ち鳴らし牙を噛み鳴らす男が幾百万の命をもつこともわかっていた。

しかし、それがなんだというのだろうか。

世界は手中にある。

むしろそれほどまで殺させてくれるということに感謝した。

「フハハハ……貴様は何回殺せばなどと考えるのも馬鹿らしい!このDIOにそんな馬鹿げた思考は必要ない!!ただ勝利して支配する!それだけよ!!!」

「ククク・・・なにたったの数百万回だ!気張れ不死王!!!」

「このDIOに油断はない!完全なるトドメをさして勝利する!!!過程や方法なぞどうでもよいのだぁ!!!!」

「さぁはじめるぞ!ただちに!今すぐに!鉄の鉄火を用いて三千世界の果てまで届く殺し合いを!」

「HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!HURRY!」
「URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」

そして不死王と不死王が最後の殺し合いをはじめた。




「奴が消えてどのぐらいたつ?」

葉巻を噛み締めて苦々しい呟きをもらすのはヘルシング家当主、英国国教騎士団局長インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシングだった。

「もう、2年近く、正確には666日になりますな。」

答えるはヘルシング家の老執事、かつてはヘルシングのゴミ処理係と呼ばれていた黒い死神ウォルター・C・ドルネーズ。

「まさかあのアーカードが負けるとは思えん。だがあまりにも遅すぎる!」

黒檀の机を叩く音が局長室に響く。

「私もそう思っていたのですが実際に大きな戦力減であることは否めません。さすがにいつまでのもこのままセラス嬢だけでは無理がありますゆえ。」

「ワイルドギースはどうした?奴等との契約はいまだ続いているだろう?」

「その通りでございます。しかしあの間久部が率いる13課ですが今を好機とばかりにまたもや我々側の緩衝地帯で協定を踏みにじっているので」

「ウォルター。今朝贈られてきたこの紙キレにもそのようなことが書いてあった。ヴァチカンからだ。」

そういって机の上に一枚の写真を放り投げる。

「我々の鴨を撃ち奴らはこれで貸しをつくったつもりになっている。貸し1?ふざけるな。なぜ我々が奴らの手を借りねばいかんのだ。私は認めない。コソコソと我らの庭へ入りこんだ駄犬は断固たる意志のもと否定する」

「全くもって同感でございます。しかし今はあのアンデルセンに対抗できると言えるものがおらぬためどうしても後手になるのは否めません。」

顔を見合わせてお互い有効な策が何も無い事を瞳の奥で確認する。

「とにかくだ!早急に現状を打破する案を捻りださねばならん!」

そういって噛み千切った葉巻を乱暴に灰皿で揉み消す。

「かしこまりました。では再度大英帝国円卓会議にて今後の方針をなされるおつもりで?」

そう言ったウォルターの腕の中には主の言葉が返ってくる前に既にコートがあった。

「ああ。では言ってくる。留守はセラスに任せればいい」

そういって部屋を退出しようとするインテグラの目の前にはゼハーゼハーと肩で息する機関員。

「たたたたたた大変ですインテグラ様!!!マスターがぁぁ!!!!」


「アーカードが?」
「アーカード様が如何なされたのですか?」

2人揃って鋭い視線を飛ばされ更に混乱する婦警。

「帰ってきたような気が!いえいえマスターがこちらに向かってきてるのは確かなんですが!なんかマスターっぽくないというか!」

あーうーと口から泡を飛ばしながら慌てふためくセラス・ヴィクトリア

「落ち着いてくださいセラス様」

そういいながらゆっくりと話すよう目で伝えるウォルター。

「はい、はい!えっと……落ち着いて落ち着いて…えっとですね!」

ようやく落ち着いたセラスが口を開いた瞬間、

「騒がしいぞ婦警」

長身の男が音もなく3人の目の前に現れた。

「アーカードか?」
「アーカード様?」
「マスター?」

セラスの目の前に立つのは見慣れているはずのアーカードだ。

見間違いようも無い。

「ククク……すまない。思ったよりも奴を飲むのには随分と手こずってしまってな」

そういって喉の奥で笑うアーカード。しかしセラスには何か引っ掛かっていた。

仮にも血を与えられた存在であるセラス。その絆は親子などよりもよっぽど深い。

(マスターなんだけど……マスターじゃない!?)

目の前にいるのは間違いなくアーカードである。それは確信している。

だがこの違和感はなんなのだろう。

「さぁ何をボサッとしている婦警。さっさとアンデルセンを殺しに行くぞ」

そう声をかけられ思わず飛び跳ねて返事をする。

アーカードの姿に安心したのだろうか、何も言わずその背を見送るインテグラとウォルター。

「ハッ!ハイ!」

いつものように含み笑いを浮かべるアーカード









だが……その“すぐ傍に立つ”ものは一体何なのだろうか?


セラスは考えたがすぐに考える事をやめた。

これは聞いてはいけないことのような気がした。

なんにせよマスターは側にいるのだし、今のマスターならばあのアンデルセンですら瞬きする間もなく殺しきれるほどの力があると感じる。

それだけで充分であると思えたし、なによりマスターはマスターなのだから。



空に浮かぶ赤い月を見上げる吸血鬼。

「クククク……いい月だ。まるであの晩のようではないか。なぁ………」

そのあとに呟いた名前は誰なのだろうか?



ただひとつ判ることといえば、この世界は1人の吸血鬼のモノだということ。




90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:32:51.10 ID:tC+Kg2Zk0
と、まぁこんな終りになりました~

最後まで付き合ってくれた方thx

なんか文句とかあったら聞きたいかも~


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:32:55.49 ID:Dkm7OTWR0
吸収合併されたwwwwww


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:35:48.25 ID:0cZx5S6RO
ディオが負けたのか?


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:37:33.98 ID:WYWLlQvxO
合体に近い感じか


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:38:05.58 ID:x4rdJ8sZO
良い幕引きだね、あの戦いの決着は曖昧にさせて読み手に創造させるっていう感じがいいね



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:42:17.98 ID:Dkm7OTWR0
いやー力量的には存亡を賭けた戦いなら旦那だろうと思うけどこういうのも良いなー



95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:40:17.54 ID:tC+Kg2Zk0
>>91
両方好きな作品だからどっちか負けるって展開が想像つかんくて。
結果こんな感じにwww

>>92
そこは読み手の受け取り方でどっちともとれるような書き方をしてみたんだが力足りず・・・

>>93
そんな感じが一番いいかなと。


>>94
一瞬やろうと思ったけど無理だったwww

ヘルメス解放したアーカードと最っっ高にハイなDIOさん闘わせるとか俺にゃ無理すwwww


>>96
ぶっちゃけ旦那がチートすぎるwww

結局旦那の雑魚四天王倒して→俺たちの戦いはこれからだ!

になったしwww

どうしてもDIOよりになっちまうのはしょうがないよね?ね?



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