2009年06月03日 03:37
水銀燈「ギャンブルぅ?」新たな出会いetc
32 :マリオネット ◆f0b8iS9HyE :2009/05/29(金) 17:41:29.40 ID:GxlRFsFS0
【似た者同士】
チュンチュン
小鳥のさえずりが響き渡る
朝の陽射し、小鳥のさえずり
この二つの符号が意味するのは二つ・・・!
新たな朝・・・!
ユサユサ
まだ気持ちよく眠っているカイジを揺する水銀燈
「さっさとおきなさぁい」
カイジはうなりながら逆方向に転がる
「後五分・・・と三時間・・・」
そういって布団にもぐる
全くおきようとしないカイジに業を煮やした水銀燈
部屋の端から端を行ったり来たりしながら妙案を考えていた
「仕方ないわねぇ」
ガバッ
水銀燈は勢い良く布団をめくる
すると必然的にカイジの顔が現れる
カイジの寝顔を見てから水銀燈はニィッと笑う
パチニ
カイジの頬を勢いよくビンタする
「あひゃ?!」
カイジは目を覚ます
視界がぼぉ~っとするが叩かれたせいではなかろう
カイジは目をこすって水銀燈の顔を見る
「何だ夢か・・・」
そういってもう一度布団をかぶる
どうやらまだ目が覚めていないようだ、もう一発いこうかと水銀燈は考える
ちょっとやそっとじゃおきそうにないカイジ、そもそも時間が時間である
「さすがに5時は早すぎたかしらぁ?」
いつもより早く目が覚めてしまった水銀燈
二度寝するにできずカイジに相手をしてもらうと奮闘中だ
「さっさと起きなさぁい、この寝ぼすけさぁん」
ユサユサとカイジを揺する
すると効果があったのかカイジにも反応が見られる
「う~~ん・・・やめろ・・・死にたくない・・・やめろ・・・やめ・・・うわ・・・何を・・・」
どんな夢を見ているのだろうか、水銀燈は少し引いてしまう
水銀燈はキョロキョロとあたりを見渡す
目に入ったのはカイジの机の下にある箱だ
あそこに何かあると水銀燈は直感する
箱を引きずり出して中身を出す
ごまだれ~~~♪
今のでゼルダの伝説の宝箱を開ける音が脳内再生された人は挙手してほしい
中にあったのはサイコロや麻雀牌、トランプや人生ゲームなど色々と玩具がある
「あらぁ?たくさん遊び道具があるじゃなぁい」
トランプを片手にカイジを起こす作業に戻る水銀燈
これでカイジと遊びたいらしい
そんな理由で5時にたたき起こされるカイジは可哀想だが羨ましい
水銀燈はまず布団からカイジを追い出す方法を考えた
雑巾を絞るように考え尽くす
その時水銀燈に画期的閃き・・・!
画期的は画期的だが実用性は感じられない
寒いから布団にもぐる=暑くすれば出てくる
アホの子の発想・・・!
「そうと決まればこの部屋を暖めるわぁ」
扇風機のような暖房器具を発見する
扇風機のプロペラをとったような感じだ
スイッチを入れると熱風が出てくるという代物だ
続いてエアコン
極限まで暑くする
続いてもう一つ大きな布団をかける
これはたまらない・・・!すぐにでも出たくなる・・・!
しかし決定打にかける気がした水銀燈
そんな水銀燈に画期的閃き・・・!
「そうだわぁ、私も一緒に入ればいいのよぉ!そうすればもっと暑くなるわぁ」
カイジの布団に忍び入る水銀燈
まだ起きないカイジもカイジである
水銀燈は布団に潜り込んでカイジに抱きつく
「あぁ・・・暑いわ・・・もうだめぇ」
考案者の水銀燈が早くもダウンしてしまう
水銀燈はせっせと布団から這い出る
「難しいわねぇ・・・次はどうしようかしらぁ」
水銀燈は顎に手を当てて考え込む
「頼むからもう何もしないでくれ」
不意にカイジに声をかけられて水銀燈はビクッとする
どうやら今ので起きたらしい
ここまですればそりゃ起きてしまうだろう
カイジはだるそうに暖房器具の電源を切る
「何やってんだよ・・・こんなに早く起こしやがって・・・」
カイジは大欠伸をする
できればもう一眠りしたいところだがそれは無理だと予感していた
それが許されるような空気じゃないというのは分かっていた
水銀燈はやっと起きてくれたカイジに嬉しそうな顔で飛びつく
「やっと起きたわねぇこのダメ人間!暇を持て余してるだろうから遊んであげるわぁ、感謝しなさぁい」
カイジは水銀燈の態度を見て全てを悟る
水銀燈はいつもより早く起きてしまった
二度寝しようとしたができなかった
暇だからカイジに遊んで欲しいと思いカイジを起こすために暖房器具をつけた
右手にあるトランプや荒らされた玩具箱が全てを語っている
大体暇を持て余してるとか何とか言っているが寝ているのに暇も何もないだろう
健気な水銀燈に対して怒る気になれないカイジ
ここは一つ水銀燈に気を使ってやることにする
「そうか、じゃあちょっと遊んでくれよ」
カイジはそういってティッシュを手にとる
別にやらしい事をするわけじゃない、鼻をかむだけだ
カイジは鼻をかんだティッシュを捨てようとゴミ箱を見た時少し呆然とする
大量のヤクルトの容器・・・!
中身は勿論カラだ、カラじゃなけりゃ殴っている
「おいおい・・・いくらなんでも飲みすぎだろう」
カイジはためいきをつく
最近ためいきばかりなので注意しようと心がけながら水銀燈を見る
水銀燈は顔を赤くして何か弁明している
カイジはそれを無視してトイレに行く
カイジはトイレに続く廊下を歩きながらつぶやく
「3袋買っておいて正解だったな・・・2日で1袋とは中々やるな・・・今日も買いに行くか・・・」
トイレから戻ると水銀燈が申し訳なさそうな顔をしている
ヤクルトぐらいで何罪悪感を感じてるのだろうか
「ごめんなさぁい・・・」
水銀燈はか細い声で謝る
何もそこまで反省しなくてもいいだろう
そこまでされると何かこっちが悪い事をしている気になってくる
カイジは焦りながらも笑顔をつくる
「おいおい何て顔してんだよ、お前が飲むために買ったんだから別に気に病む事はねえよ」
これは嘘ではない
水銀燈のために買ってきたものだからたくさん飲む事は別に悪くない
「ただ飲みすぎってのも体にあんまりいいと思わないしな、まあ一日3本ぐらいにしとこうな」
さすがに2日で11本は飲みすぎだ
それだけは言っておくカイジ
別に怒っていないカイジを見て水銀燈は安堵する
いい人間に拾われたとつくづく思う
どこまでもお人好しな男
それが伊藤カイジ・・・!
「さてと・・・何にする?トランプ?花札?麻雀?」
箱をあさるカイジ、するとなにやら見つけた様子
カイジが取り出したのはUNOだ
「これも賭ける物が大きければ震えるほど面白いぞ・・・」
水銀燈は嬉しそうにトランプを取り出す
この顔を見ていると何か微笑ましく思える
「ポーカー?ブラックジャック?それともババ抜き?」
水銀燈に選択権を与えるカイジ
しかし二人でトランプというのもどうかと思う
大富豪なんて相手の手札が全てわかってしまうので面白みに欠ける
ポーカーは何かをかければ面白いかもしれない
「そうねぇ・・・じゃあシンプルにババ抜きにしなぁい?」
それでいいとカイジは肯定する
内心じゃポーカーが良かったと思っているのは秘密だ
二人でババ抜きというのはあまり面白いと思わない
いや、二人じゃなくともババ抜き自体そんなに面白い物じゃないと思う
が・・・
本当にそうか?
水銀燈と二人でやったらそれなりに面白いのでは?
どこまでポーカーフェイスを装えるか
これは凄く見ものである
「フフッ・・・公立カステール・・・じゃなくて凍りつかせやるよ」
どこをどうかんだのか知らないがカイジは勝つ自信があった
今まで勝利を収めてきた自分がこんなアホの子に負けるはずがないという確信が
配られたカードを見て水銀燈は嘆く
「あらぁ、最初からババなんて幸先が悪いわぁ」
ババを持っているということをばらせるのは二人だからである
二人なら言わずともどちらがババを持っているか分かる
そんな水銀燈に対してカイジはつぶやくように言う
「ババだからな・・・そりゃババもくるわ」
この静けた部屋じゃ小声も無意味、丸聞こえである
水銀燈は12本目のカラのヤクルトの容器を投げつける
カイジが許可してくれてるとはいえもう少し遠慮してもよさそうなのだが
「おいおい、ちょっと中身残ってたぞ」
カイジは顔についてしまったヤクルトをぬぐう
勝負が始まる前にカイジは悪戯っぽい笑顔で水銀燈に提案する
「普通にやっても面白くないよな?負けたらバツゲームにしないか?」
「しげる!さっさと起きるです!」
翠星石はアカギを揺さぶって起こそうとする
しかし一向に起きる気配がない
無理もないだろう、まだ午前五時である
こんな時間に起きる物好きも中々いない
「こうなったら・・・」
翠星石は黒い笑みを浮かべる
性悪という形容がぴったりである
翠星石は思い切り高く飛ぶ
そしてアカギにプレス・・・
するはずが・・・
ドスッ
アカギは寝返りで翠星石のヒップドロップをかわす
異端の感性・・・! 眠っていようが敏感・・・!
「むぅ・・・ホントは起きてるんじゃないですか?」
「あぁ~また負けちゃったわぁ」
水銀燈は残ったババを放り投げて寝転がる
煮るなり焼くなりしろといわんばかりに両手を広げて寝転がっている
「さぁきっちりと受けてもらうぜ、四本目」
カイジは手に持っている洗濯バサミをカチカチする
水銀燈は覚悟を決めたかのように目を思い切りつぶって動かない
既に頬に三つ洗濯バサミがついている
「じゃあ・・・次はまぶたでもいくか」
覚悟を決めていた水銀燈もこの一言で覚悟が崩れる
水銀燈は目をぱっちりと開いて飛び起きる
「ハハッ、冗談だってば」
そういって水銀燈を抱き寄せて頭に手を置いて顔を固定
水銀燈は目を思い切りつぶる
カイジはフフッと短く笑い洗濯バサミを水銀燈の顔の前にもってくる
「体の一部だったらどこでもいいんだよな?」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/29(金) 18:10:23.78 ID:DAnBgjfm0
アリスゲームと聞いて・・・・
すぐある予感が走った・・・・
この勝負運否天賦じゃない・・・・・・
おそらくは・・・・・・愚図が堕ちていく・・・・・
勝つのは 智略に走り
他人を出し抜ける者・・・・・・!
「後でもめるのはいやだから確認するぞ、体の一部だったらどこでもいいんだよな?」
カイジは洗濯バサミをつける前にルールを確認する
この悪魔っぽい声に水銀燈はいっそう強く目をつぶる
「アンタが決めたルールじゃなぁい、早くしなさぁいこのお馬鹿さぁん!手加減は無用よぉ!」
カイジは胸のあたりを触る
「この辺か?それともこの辺か?」
水銀燈は目を思い切りつぶり歯を噛締める
「さ、さ、さ、さっさとしなさぁい、この変態人間!」
「イーヒッヒ、これでどうですかぁ?ヒヒヒ」
翠星石は性悪満開の笑みでアカギに近づく
右手に持っているのは油性マジック
寝ているアカギに落書きするなど造作もない
そう思っていたが・・・
「しげる~カッコよくしてやるですよぉ、ヒヒヒ」
そう言って顔を落書きしようとしたその刹那
ピンッ
「あたっ」
落書きをしようとした翠星石はデコピンをくらう
翠星石はデコをさすりながら涙目でアカギに怒鳴りつける
「ふ、不意討ちなんて卑怯ですぅ!」
アカギは体を起こしてあぐらをかく
そしていつもの奇妙な笑い方をする
「ククク・・・人のことを言えるかな・・・」
翠星石は言葉につまる
言い返すことができない
アカギの言う事は正論
言い返せというのが無理な話だ
言い返すことができない翠星石は話をそらす
「さ、さっさと着替えるですぅ!」
「遠慮は無用か・・・フフッ・・・じゃあ遠慮なくいくぜ」
カイジがそういうと水銀燈は更に目を強くつぶる、カイジは人を煽る才能があるのではないだろうか
洗濯バサミが水銀燈をはさむ
痛みがしない水銀燈は不審に思いつつも恐る恐る目を開ける
「体の一部なら髪でもいいよな?」
そういわれて水銀燈は自分の髪を見る、洗濯バサミは顔ではなく髪についている
道理で痛くないわけである
「まあ髪は女の命っていうし・・・遠慮なくいかせてもらったぜ」
これがカイジなりの気遣いだ
実をいうと水銀燈は洗濯バサミをつけるたびに涙目になっていた
しかし意地っ張りの水銀燈は【つけない】という選択肢を認めてくれない
それなら痛くないように髪につけてやる
これは一切ルールに反していない
合法ながらも優しいというのがカイジ・・・異端のお人好し・・・!
「こ、このお馬鹿さぁん、髪に洗濯バサミをつけた罪は重いわぁ」
水銀燈は顔についている洗濯バサミを全て取り玩具箱をあさる
カイジをを倒すには何がうってつけか探す
カイジ的には二度寝したい気分だ
しかし水銀燈の真面目な顔を見ていると寝かしてくれなどと言えるわけがない
「あらぁ?なぁにこれぇ?」
水銀燈はダンボールから大きな箱を取り出す
箱にはダブルクインテットと書いてある
「ああ、それは将棋やらチェスやら10種類のボードゲームが入ってるヤツだよ」
今なら1980円のお買い得品
水銀燈はそれを聞いてニヤリとする
1980円と聞いてニヤリとしたわけではない、ボードゲームと聞いてだ
水銀燈はボードゲームにただならぬ自信があった
「それならリバーシ(オセロ)にしましょう」
水銀燈が提案したのはリバーシ
最後の最後までわからない逆転勝負
水銀燈は事リバーシにいたっては自信があった
見誤る・・・!
カイジ相手に「逆転」を趣旨とした勝負がどれほど危険か・・・という事を見誤る
カイジは箱から何かを取り出し勝負を受ける
「いいぜ・・・負けたほうはコレでどうだ?」
カイジの取り出したのはフグのストラップだ
水銀燈にフグのストラップを渡す
「なぁにこれぇ?」
カイジは笑いをこらえながら水銀燈にいう
「そこに、す、スイッチがあるから入れてみな」
少し笑ってしまったが水銀燈には気付かれていない
水銀燈はスイッチを見つけるとスイッチを押す
ビリッ
「っ!」
水銀燈に電流走る・・・!
水銀燈は思わずフグのストラップを放してしまう
「どうだ?負けたらコレを2秒間ってのは」
軽い電流の走るフグのストラップ
何故にフグなのだろうか
カイジはククッと短く笑う
水銀燈は電流の不意討ちに怒る
失態を晒してしまったためかヤケになってしまう
2秒という提案を受け入れようとしない水銀燈
足りない・・・2秒じゃ・・・
水銀燈は手を開いてカイジに突き出す
「望むところよぉ!2秒なんて手ぬるいわぁ、5秒よ5秒!」
ざわ・・・ざわ・・・
水銀燈無法の倍プッシュ
正確に言うと2,5倍プッシュだ
無法の5秒・・・!
「オイオイ、それはさすがに・・・」
カイジはさすがにそれだけは呑めなかった
5秒間これを握るのは正直言ってきつい
せいぜい1~3秒ぐらいだろう
勝負を受けようとしないカイジを水銀燈は煽る
「へぇ勝つ自信がないんだぁ」
無論水銀燈もこの条件を受けるのは厳しかった
しかしそれはカイジも同じ・・・!圧倒的に同じ・・・!
それなら無茶な条件でカイジをおろしてしまえばいい
「違う、勘違いするなよ、負けるのが怖いんじゃない、死ぬのが怖いんじゃない、無意味な死はゴメンだといってるんだ」
カイジは言い訳モードに入る
「そりゃ大局的に見たら俺が勝つ・・・しかしどんなに低い確率でも0ではない」
必死すぎるカイジを見て水銀燈は呆れ返る
情けない物を見るような目で見られていることに気付いたカイジは言い訳をやめる
カイジも水銀燈と同様にヤケになる
「フンッ、いいだろ受けてやるよ・・・5秒勝負・・・!」
「キ~~~!また負けたですぅ!」
翠星石はトランプを投げ出す、もうちょっと丁寧に扱ってほしいものだ
ポーカーで時間を潰そうとしたのだがことごとく負けている翠星石
勝ったときに限ってベットが低い
あの時もう少し張っていれば・・・というギャンブルをするにあたって陥りやすい思考に陥っている
「さっさとお茶を入れてきやがれです!」
負けた翠星石は不機嫌そうにトランプをしまう
アカギがお茶を入れている間に部屋をあさる翠星石、こういう友達はたまにいる
翠星石はベッドの下の引き出しを開ける
「何ですかコレ?」
翠星石が見つけたのは黒い鞄のようなものだ
形は長方形、結構分厚い
翠星石は持ち上げようとしたが意外と重い
「ん~~~重いですぅ・・・」
翠星石はケースをやっとの事で引き出しからだす
ふぅ・・・と息をつきながら足で引き出しをしめる、手でしめないところが翠星石らしい
ボタンのようなものがあったのでそれを外す、勝手にこんなことしていいのだろうか
鞄のようなものを開くとそこにあったのは変な絵の描かれたタイルのようなものだ
「これは何ですか・・・?」
律義に紅茶を持ってくるアカギ
こんな小さな人形に顎で使われているのもどうかと思う
「しげる、これなんですかぁ?」
アカギは紅茶を机に置いてからあぐらをかく
勝手にあさるなよと心の中で叱咤してから答えてやる
「ああ・・・これは麻雀牌だ」
麻雀牌というのは文字通り麻雀の牌だ、そのまんまとか言わない
144枚の牌と点棒、起親マークやサイコロが入っている
そりゃあ重いわけだ
「麻雀牌・・・?」
どうやら名前すら聞いた事すらないらしい
翠星石には優しいアカギは簡潔に説明してやる
簡潔すぎる説明だが一応理解したらしい
「その麻雀っていう遊びをする時に使うんですね?」
アカギは小さく頷く
翠星石はまじまじと麻雀牌を見つめる
どうやら興味がわいたらしい
小さな子供が新しいおもちゃをみるような目だ
目を輝かせてアカギに頼む
「しげる!麻雀ってヤツを翠星石に教えるです!」
「ね、ねぇカイジ?本当にこれやらなきゃいけないのぉ?」
水銀燈は脅えた声でカイジに聞く
お察しの通り水銀燈は見事に負けた
序盤は圧倒的優位に立っていたが中盤から後半にかけてカイジが逆転劇を繰り広げたのだ
水銀燈はフグのストラップを恐る恐る手にとる
目をつぶり深呼吸をして覚悟を決めようとする水銀燈
「別にやらなくてもいいって」
カイジは水銀燈からフグのストラップを取り上げる
カイジの好意を素直にうけとれない水銀燈は赤面しながらもカイジを叱咤する
「こ、このお・・・」
「お馬鹿さぁんってか?」
カイジ無法の先取り・・・!
今言わんとしたセリフを奪われた水銀燈は戸惑う
「しかし水銀燈は序盤の攻めが凄いな」
何故かやらしく聞こえるのはどうしてだろう
しかしオセロでは序盤の攻めがどうこうよりも中盤以降が肝心である
最初の譲歩は毒針・・・! 譲歩という地雷原・・・!
「じゃあな、俺は後一時間ぐらいで学校だから寝るわ」
そう言ってカイジはベッドに戻る
「・・・?不登校になったんじゃなかったのぉ?」
カイジは返事をしようとしない
水銀燈は膨れて鞄に入り寝た
カイジは鞄が閉まる音を聞いてから体を起こし鞄を見つめる
「ありがとよ水銀燈、お前と話してたら学校に行く勇気が出たよ」
小さくそう言い学校に行く準備をする
教科書を鞄につめてから欠伸をする
「もう寝る時間もないけどまぁ横になるだけなろうか」
そういってカイジは横になる
鞄の中で水銀燈はつぶやく
「何よぉ・・・お礼なら面と向かって言いなさいよぉ」
__________________________
「まあ暇だしいいだろう」
アカギはそういい雀卓をもってくる
全自動はもっていないらしく手積みのヤツだ
「お前の頭でも理解できるように教えてやるよ」
そういってアカギは牌を全て表向けに出す
「お前の頭ってのは余計ですぅ!」
似た者同士編 完
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32 :マリオネット ◆f0b8iS9HyE :2009/05/29(金) 17:41:29.40 ID:GxlRFsFS0
【似た者同士】
チュンチュン
小鳥のさえずりが響き渡る
朝の陽射し、小鳥のさえずり
この二つの符号が意味するのは二つ・・・!
新たな朝・・・!
ユサユサ
まだ気持ちよく眠っているカイジを揺する水銀燈
「さっさとおきなさぁい」
カイジはうなりながら逆方向に転がる
「後五分・・・と三時間・・・」
そういって布団にもぐる
全くおきようとしないカイジに業を煮やした水銀燈
部屋の端から端を行ったり来たりしながら妙案を考えていた
「仕方ないわねぇ」
ガバッ
水銀燈は勢い良く布団をめくる
すると必然的にカイジの顔が現れる
カイジの寝顔を見てから水銀燈はニィッと笑う
パチニ
カイジの頬を勢いよくビンタする
「あひゃ?!」
カイジは目を覚ます
視界がぼぉ~っとするが叩かれたせいではなかろう
カイジは目をこすって水銀燈の顔を見る
「何だ夢か・・・」
そういってもう一度布団をかぶる
どうやらまだ目が覚めていないようだ、もう一発いこうかと水銀燈は考える
ちょっとやそっとじゃおきそうにないカイジ、そもそも時間が時間である
「さすがに5時は早すぎたかしらぁ?」
いつもより早く目が覚めてしまった水銀燈
二度寝するにできずカイジに相手をしてもらうと奮闘中だ
「さっさと起きなさぁい、この寝ぼすけさぁん」
ユサユサとカイジを揺する
すると効果があったのかカイジにも反応が見られる
「う~~ん・・・やめろ・・・死にたくない・・・やめろ・・・やめ・・・うわ・・・何を・・・」
どんな夢を見ているのだろうか、水銀燈は少し引いてしまう
水銀燈はキョロキョロとあたりを見渡す
目に入ったのはカイジの机の下にある箱だ
あそこに何かあると水銀燈は直感する
箱を引きずり出して中身を出す
ごまだれ~~~♪
今のでゼルダの伝説の宝箱を開ける音が脳内再生された人は挙手してほしい
中にあったのはサイコロや麻雀牌、トランプや人生ゲームなど色々と玩具がある
「あらぁ?たくさん遊び道具があるじゃなぁい」
トランプを片手にカイジを起こす作業に戻る水銀燈
これでカイジと遊びたいらしい
そんな理由で5時にたたき起こされるカイジは可哀想だが羨ましい
水銀燈はまず布団からカイジを追い出す方法を考えた
雑巾を絞るように考え尽くす
その時水銀燈に画期的閃き・・・!
画期的は画期的だが実用性は感じられない
寒いから布団にもぐる=暑くすれば出てくる
アホの子の発想・・・!
「そうと決まればこの部屋を暖めるわぁ」
扇風機のような暖房器具を発見する
扇風機のプロペラをとったような感じだ
スイッチを入れると熱風が出てくるという代物だ
続いてエアコン
極限まで暑くする
続いてもう一つ大きな布団をかける
これはたまらない・・・!すぐにでも出たくなる・・・!
しかし決定打にかける気がした水銀燈
そんな水銀燈に画期的閃き・・・!
「そうだわぁ、私も一緒に入ればいいのよぉ!そうすればもっと暑くなるわぁ」
カイジの布団に忍び入る水銀燈
まだ起きないカイジもカイジである
水銀燈は布団に潜り込んでカイジに抱きつく
「あぁ・・・暑いわ・・・もうだめぇ」
考案者の水銀燈が早くもダウンしてしまう
水銀燈はせっせと布団から這い出る
「難しいわねぇ・・・次はどうしようかしらぁ」
水銀燈は顎に手を当てて考え込む
「頼むからもう何もしないでくれ」
不意にカイジに声をかけられて水銀燈はビクッとする
どうやら今ので起きたらしい
ここまですればそりゃ起きてしまうだろう
カイジはだるそうに暖房器具の電源を切る
「何やってんだよ・・・こんなに早く起こしやがって・・・」
カイジは大欠伸をする
できればもう一眠りしたいところだがそれは無理だと予感していた
それが許されるような空気じゃないというのは分かっていた
水銀燈はやっと起きてくれたカイジに嬉しそうな顔で飛びつく
「やっと起きたわねぇこのダメ人間!暇を持て余してるだろうから遊んであげるわぁ、感謝しなさぁい」
カイジは水銀燈の態度を見て全てを悟る
水銀燈はいつもより早く起きてしまった
二度寝しようとしたができなかった
暇だからカイジに遊んで欲しいと思いカイジを起こすために暖房器具をつけた
右手にあるトランプや荒らされた玩具箱が全てを語っている
大体暇を持て余してるとか何とか言っているが寝ているのに暇も何もないだろう
健気な水銀燈に対して怒る気になれないカイジ
ここは一つ水銀燈に気を使ってやることにする
「そうか、じゃあちょっと遊んでくれよ」
カイジはそういってティッシュを手にとる
別にやらしい事をするわけじゃない、鼻をかむだけだ
カイジは鼻をかんだティッシュを捨てようとゴミ箱を見た時少し呆然とする
大量のヤクルトの容器・・・!
中身は勿論カラだ、カラじゃなけりゃ殴っている
「おいおい・・・いくらなんでも飲みすぎだろう」
カイジはためいきをつく
最近ためいきばかりなので注意しようと心がけながら水銀燈を見る
水銀燈は顔を赤くして何か弁明している
カイジはそれを無視してトイレに行く
カイジはトイレに続く廊下を歩きながらつぶやく
「3袋買っておいて正解だったな・・・2日で1袋とは中々やるな・・・今日も買いに行くか・・・」
トイレから戻ると水銀燈が申し訳なさそうな顔をしている
ヤクルトぐらいで何罪悪感を感じてるのだろうか
「ごめんなさぁい・・・」
水銀燈はか細い声で謝る
何もそこまで反省しなくてもいいだろう
そこまでされると何かこっちが悪い事をしている気になってくる
カイジは焦りながらも笑顔をつくる
「おいおい何て顔してんだよ、お前が飲むために買ったんだから別に気に病む事はねえよ」
これは嘘ではない
水銀燈のために買ってきたものだからたくさん飲む事は別に悪くない
「ただ飲みすぎってのも体にあんまりいいと思わないしな、まあ一日3本ぐらいにしとこうな」
さすがに2日で11本は飲みすぎだ
それだけは言っておくカイジ
別に怒っていないカイジを見て水銀燈は安堵する
いい人間に拾われたとつくづく思う
どこまでもお人好しな男
それが伊藤カイジ・・・!
「さてと・・・何にする?トランプ?花札?麻雀?」
箱をあさるカイジ、するとなにやら見つけた様子
カイジが取り出したのはUNOだ
「これも賭ける物が大きければ震えるほど面白いぞ・・・」
水銀燈は嬉しそうにトランプを取り出す
この顔を見ていると何か微笑ましく思える
「ポーカー?ブラックジャック?それともババ抜き?」
水銀燈に選択権を与えるカイジ
しかし二人でトランプというのもどうかと思う
大富豪なんて相手の手札が全てわかってしまうので面白みに欠ける
ポーカーは何かをかければ面白いかもしれない
「そうねぇ・・・じゃあシンプルにババ抜きにしなぁい?」
それでいいとカイジは肯定する
内心じゃポーカーが良かったと思っているのは秘密だ
二人でババ抜きというのはあまり面白いと思わない
いや、二人じゃなくともババ抜き自体そんなに面白い物じゃないと思う
が・・・
本当にそうか?
水銀燈と二人でやったらそれなりに面白いのでは?
どこまでポーカーフェイスを装えるか
これは凄く見ものである
「フフッ・・・公立カステール・・・じゃなくて凍りつかせやるよ」
どこをどうかんだのか知らないがカイジは勝つ自信があった
今まで勝利を収めてきた自分がこんなアホの子に負けるはずがないという確信が
配られたカードを見て水銀燈は嘆く
「あらぁ、最初からババなんて幸先が悪いわぁ」
ババを持っているということをばらせるのは二人だからである
二人なら言わずともどちらがババを持っているか分かる
そんな水銀燈に対してカイジはつぶやくように言う
「ババだからな・・・そりゃババもくるわ」
この静けた部屋じゃ小声も無意味、丸聞こえである
水銀燈は12本目のカラのヤクルトの容器を投げつける
カイジが許可してくれてるとはいえもう少し遠慮してもよさそうなのだが
「おいおい、ちょっと中身残ってたぞ」
カイジは顔についてしまったヤクルトをぬぐう
勝負が始まる前にカイジは悪戯っぽい笑顔で水銀燈に提案する
「普通にやっても面白くないよな?負けたらバツゲームにしないか?」
「しげる!さっさと起きるです!」
翠星石はアカギを揺さぶって起こそうとする
しかし一向に起きる気配がない
無理もないだろう、まだ午前五時である
こんな時間に起きる物好きも中々いない
「こうなったら・・・」
翠星石は黒い笑みを浮かべる
性悪という形容がぴったりである
翠星石は思い切り高く飛ぶ
そしてアカギにプレス・・・
するはずが・・・
ドスッ
アカギは寝返りで翠星石のヒップドロップをかわす
異端の感性・・・! 眠っていようが敏感・・・!
「むぅ・・・ホントは起きてるんじゃないですか?」
「あぁ~また負けちゃったわぁ」
水銀燈は残ったババを放り投げて寝転がる
煮るなり焼くなりしろといわんばかりに両手を広げて寝転がっている
「さぁきっちりと受けてもらうぜ、四本目」
カイジは手に持っている洗濯バサミをカチカチする
水銀燈は覚悟を決めたかのように目を思い切りつぶって動かない
既に頬に三つ洗濯バサミがついている
「じゃあ・・・次はまぶたでもいくか」
覚悟を決めていた水銀燈もこの一言で覚悟が崩れる
水銀燈は目をぱっちりと開いて飛び起きる
「ハハッ、冗談だってば」
そういって水銀燈を抱き寄せて頭に手を置いて顔を固定
水銀燈は目を思い切りつぶる
カイジはフフッと短く笑い洗濯バサミを水銀燈の顔の前にもってくる
「体の一部だったらどこでもいいんだよな?」
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/29(金) 18:10:23.78 ID:DAnBgjfm0
アリスゲームと聞いて・・・・
すぐある予感が走った・・・・
この勝負運否天賦じゃない・・・・・・
おそらくは・・・・・・愚図が堕ちていく・・・・・
勝つのは 智略に走り
他人を出し抜ける者・・・・・・!
「後でもめるのはいやだから確認するぞ、体の一部だったらどこでもいいんだよな?」
カイジは洗濯バサミをつける前にルールを確認する
この悪魔っぽい声に水銀燈はいっそう強く目をつぶる
「アンタが決めたルールじゃなぁい、早くしなさぁいこのお馬鹿さぁん!手加減は無用よぉ!」
カイジは胸のあたりを触る
「この辺か?それともこの辺か?」
水銀燈は目を思い切りつぶり歯を噛締める
「さ、さ、さ、さっさとしなさぁい、この変態人間!」
「イーヒッヒ、これでどうですかぁ?ヒヒヒ」
翠星石は性悪満開の笑みでアカギに近づく
右手に持っているのは油性マジック
寝ているアカギに落書きするなど造作もない
そう思っていたが・・・
「しげる~カッコよくしてやるですよぉ、ヒヒヒ」
そう言って顔を落書きしようとしたその刹那
ピンッ
「あたっ」
落書きをしようとした翠星石はデコピンをくらう
翠星石はデコをさすりながら涙目でアカギに怒鳴りつける
「ふ、不意討ちなんて卑怯ですぅ!」
アカギは体を起こしてあぐらをかく
そしていつもの奇妙な笑い方をする
「ククク・・・人のことを言えるかな・・・」
翠星石は言葉につまる
言い返すことができない
アカギの言う事は正論
言い返せというのが無理な話だ
言い返すことができない翠星石は話をそらす
「さ、さっさと着替えるですぅ!」
「遠慮は無用か・・・フフッ・・・じゃあ遠慮なくいくぜ」
カイジがそういうと水銀燈は更に目を強くつぶる、カイジは人を煽る才能があるのではないだろうか
洗濯バサミが水銀燈をはさむ
痛みがしない水銀燈は不審に思いつつも恐る恐る目を開ける
「体の一部なら髪でもいいよな?」
そういわれて水銀燈は自分の髪を見る、洗濯バサミは顔ではなく髪についている
道理で痛くないわけである
「まあ髪は女の命っていうし・・・遠慮なくいかせてもらったぜ」
これがカイジなりの気遣いだ
実をいうと水銀燈は洗濯バサミをつけるたびに涙目になっていた
しかし意地っ張りの水銀燈は【つけない】という選択肢を認めてくれない
それなら痛くないように髪につけてやる
これは一切ルールに反していない
合法ながらも優しいというのがカイジ・・・異端のお人好し・・・!
「こ、このお馬鹿さぁん、髪に洗濯バサミをつけた罪は重いわぁ」
水銀燈は顔についている洗濯バサミを全て取り玩具箱をあさる
カイジをを倒すには何がうってつけか探す
カイジ的には二度寝したい気分だ
しかし水銀燈の真面目な顔を見ていると寝かしてくれなどと言えるわけがない
「あらぁ?なぁにこれぇ?」
水銀燈はダンボールから大きな箱を取り出す
箱にはダブルクインテットと書いてある
「ああ、それは将棋やらチェスやら10種類のボードゲームが入ってるヤツだよ」
今なら1980円のお買い得品
水銀燈はそれを聞いてニヤリとする
1980円と聞いてニヤリとしたわけではない、ボードゲームと聞いてだ
水銀燈はボードゲームにただならぬ自信があった
「それならリバーシ(オセロ)にしましょう」
水銀燈が提案したのはリバーシ
最後の最後までわからない逆転勝負
水銀燈は事リバーシにいたっては自信があった
見誤る・・・!
カイジ相手に「逆転」を趣旨とした勝負がどれほど危険か・・・という事を見誤る
カイジは箱から何かを取り出し勝負を受ける
「いいぜ・・・負けたほうはコレでどうだ?」
カイジの取り出したのはフグのストラップだ
水銀燈にフグのストラップを渡す
「なぁにこれぇ?」
カイジは笑いをこらえながら水銀燈にいう
「そこに、す、スイッチがあるから入れてみな」
少し笑ってしまったが水銀燈には気付かれていない
水銀燈はスイッチを見つけるとスイッチを押す
ビリッ
「っ!」
水銀燈に電流走る・・・!
水銀燈は思わずフグのストラップを放してしまう
「どうだ?負けたらコレを2秒間ってのは」
軽い電流の走るフグのストラップ
何故にフグなのだろうか
カイジはククッと短く笑う
水銀燈は電流の不意討ちに怒る
失態を晒してしまったためかヤケになってしまう
2秒という提案を受け入れようとしない水銀燈
足りない・・・2秒じゃ・・・
水銀燈は手を開いてカイジに突き出す
「望むところよぉ!2秒なんて手ぬるいわぁ、5秒よ5秒!」
ざわ・・・ざわ・・・
水銀燈無法の倍プッシュ
正確に言うと2,5倍プッシュだ
無法の5秒・・・!
「オイオイ、それはさすがに・・・」
カイジはさすがにそれだけは呑めなかった
5秒間これを握るのは正直言ってきつい
せいぜい1~3秒ぐらいだろう
勝負を受けようとしないカイジを水銀燈は煽る
「へぇ勝つ自信がないんだぁ」
無論水銀燈もこの条件を受けるのは厳しかった
しかしそれはカイジも同じ・・・!圧倒的に同じ・・・!
それなら無茶な条件でカイジをおろしてしまえばいい
「違う、勘違いするなよ、負けるのが怖いんじゃない、死ぬのが怖いんじゃない、無意味な死はゴメンだといってるんだ」
カイジは言い訳モードに入る
「そりゃ大局的に見たら俺が勝つ・・・しかしどんなに低い確率でも0ではない」
必死すぎるカイジを見て水銀燈は呆れ返る
情けない物を見るような目で見られていることに気付いたカイジは言い訳をやめる
カイジも水銀燈と同様にヤケになる
「フンッ、いいだろ受けてやるよ・・・5秒勝負・・・!」
「キ~~~!また負けたですぅ!」
翠星石はトランプを投げ出す、もうちょっと丁寧に扱ってほしいものだ
ポーカーで時間を潰そうとしたのだがことごとく負けている翠星石
勝ったときに限ってベットが低い
あの時もう少し張っていれば・・・というギャンブルをするにあたって陥りやすい思考に陥っている
「さっさとお茶を入れてきやがれです!」
負けた翠星石は不機嫌そうにトランプをしまう
アカギがお茶を入れている間に部屋をあさる翠星石、こういう友達はたまにいる
翠星石はベッドの下の引き出しを開ける
「何ですかコレ?」
翠星石が見つけたのは黒い鞄のようなものだ
形は長方形、結構分厚い
翠星石は持ち上げようとしたが意外と重い
「ん~~~重いですぅ・・・」
翠星石はケースをやっとの事で引き出しからだす
ふぅ・・・と息をつきながら足で引き出しをしめる、手でしめないところが翠星石らしい
ボタンのようなものがあったのでそれを外す、勝手にこんなことしていいのだろうか
鞄のようなものを開くとそこにあったのは変な絵の描かれたタイルのようなものだ
「これは何ですか・・・?」
律義に紅茶を持ってくるアカギ
こんな小さな人形に顎で使われているのもどうかと思う
「しげる、これなんですかぁ?」
アカギは紅茶を机に置いてからあぐらをかく
勝手にあさるなよと心の中で叱咤してから答えてやる
「ああ・・・これは麻雀牌だ」
麻雀牌というのは文字通り麻雀の牌だ、そのまんまとか言わない
144枚の牌と点棒、起親マークやサイコロが入っている
そりゃあ重いわけだ
「麻雀牌・・・?」
どうやら名前すら聞いた事すらないらしい
翠星石には優しいアカギは簡潔に説明してやる
簡潔すぎる説明だが一応理解したらしい
「その麻雀っていう遊びをする時に使うんですね?」
アカギは小さく頷く
翠星石はまじまじと麻雀牌を見つめる
どうやら興味がわいたらしい
小さな子供が新しいおもちゃをみるような目だ
目を輝かせてアカギに頼む
「しげる!麻雀ってヤツを翠星石に教えるです!」
「ね、ねぇカイジ?本当にこれやらなきゃいけないのぉ?」
水銀燈は脅えた声でカイジに聞く
お察しの通り水銀燈は見事に負けた
序盤は圧倒的優位に立っていたが中盤から後半にかけてカイジが逆転劇を繰り広げたのだ
水銀燈はフグのストラップを恐る恐る手にとる
目をつぶり深呼吸をして覚悟を決めようとする水銀燈
「別にやらなくてもいいって」
カイジは水銀燈からフグのストラップを取り上げる
カイジの好意を素直にうけとれない水銀燈は赤面しながらもカイジを叱咤する
「こ、このお・・・」
「お馬鹿さぁんってか?」
カイジ無法の先取り・・・!
今言わんとしたセリフを奪われた水銀燈は戸惑う
「しかし水銀燈は序盤の攻めが凄いな」
何故かやらしく聞こえるのはどうしてだろう
しかしオセロでは序盤の攻めがどうこうよりも中盤以降が肝心である
最初の譲歩は毒針・・・! 譲歩という地雷原・・・!
「じゃあな、俺は後一時間ぐらいで学校だから寝るわ」
そう言ってカイジはベッドに戻る
「・・・?不登校になったんじゃなかったのぉ?」
カイジは返事をしようとしない
水銀燈は膨れて鞄に入り寝た
カイジは鞄が閉まる音を聞いてから体を起こし鞄を見つめる
「ありがとよ水銀燈、お前と話してたら学校に行く勇気が出たよ」
小さくそう言い学校に行く準備をする
教科書を鞄につめてから欠伸をする
「もう寝る時間もないけどまぁ横になるだけなろうか」
そういってカイジは横になる
鞄の中で水銀燈はつぶやく
「何よぉ・・・お礼なら面と向かって言いなさいよぉ」
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「まあ暇だしいいだろう」
アカギはそういい雀卓をもってくる
全自動はもっていないらしく手積みのヤツだ
「お前の頭でも理解できるように教えてやるよ」
そういってアカギは牌を全て表向けに出す
「お前の頭ってのは余計ですぅ!」
似た者同士編 完

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