キョン「また転校生だと?」 その6

2010年02月02日 17:58

キョン「また転校生だと?」 パー速

296 :◆EHGCl/.tFA [saga]:2009/06/03(水) 16:30:57.15 ID:NNr3maQo


ビル 上層


キョン「どうしてお前がここにいるんだ……佐々木ッ!」

佐々木「久しぶりだね、キョン」

阪中「佐々木さん、ってキョン君のお知り合いなのね?」

キョン「あ、ああ……中学の頃、同じクラスだったが…」

キョン「谷口の野郎……佐々木にまで手を出しやがるなんて……」

佐々木「おっと、キョン。自分の友人を悪く言うものじゃないよ」

キョン「お前は…谷口のスタンドに操られているんだ」

佐々木「いいや、それは違うよ」

佐々木「僕はね、自分の意志で谷口君に協力しているんだ」

キョン「……何だとッ?」

佐々木「谷口君は僕にこう言ったんだ」

佐々木「『キョンたちを一緒に殺さないか』ってね」

佐々木「最初は意味がわからなかったよ。
     見ず知らずの人間にそんなことを訊かれるなんて人生で二度とないことだ」

佐々木「もちろん首を横に振った。
    中学以来の付き合いである君を殺すなんて、冗談でも首を縦に振れるわけがないじゃないか」

佐々木「だけど、何か、第六感とでも言うのかな」

佐々木「そいつがこう僕に囁くんだ」

佐々木「『もし首を横に振れば、本当にキョンと殺し合いをする羽目になるぞ』ってね」

佐々木「あれほどまでに強い直感を、
     『直感』と言っていいのかと悩むくらいに頭の中にその言葉が響いたんだ」

佐々木「気づいたら、僕は首を縦に振っていた」

キョン「…だ、だったら、佐々木、お前に俺と戦う意思はないってことだな?」

佐々木「……いいや、違うんだ、キョン」

佐々木「僕は、たとえ相討ちになったとしても君を倒さなきゃ、殺さなきゃいけない」

佐々木「僕は谷口君の持つ『矢じり』のようなもので傷をつけられ、
     スタンドという不思議な能力を得た」

佐々木「それから僕は谷口君の傍で、彼がどのようにキョンを殺そうとしているのかを見てきた」

佐々木「…驚愕だったよ」

佐々木「彼のスタンドがどういう能力を持っているのかは知らない。
     だけど、彼に誘われた人間は100%、そう必ず仲間になっていくんだ」

佐々木「それはもう、勧誘だとか支配じゃあない。洗脳だ」

佐々木「そして、洗脳された人々はみんな、彼に矢じりで傷をつけられ、
     僕と同じようにスタンドを与えられていった」

佐々木「恐怖を覚えたね。
     もし、あそこで首を横に振っていたなら、僕もああいう風になっていたのかな、と」

佐々木「キョンの命を奪うことに、何のためらいも感じないようになってしまうのか、ってね」

佐々木「でも、僕は谷口君のスタンドの洗脳を受けていない」

佐々木「やろうと思えば、いつだって谷口君を葬れると思ったんだ」

佐々木「でも、まだ彼のスタンドの能力が分かっていなかったから
     しばらくは様子を窺ってみることにしたんだ」

佐々木「……それが失敗だった」

佐々木「谷口君が、僕の行動に感づき始めていたのに、僕は気がつくことができなかった」

佐々木「両親を……人質にされたんだ」

佐々木「谷口君はこう言った」

佐々木「『お前の両親を洗脳した。お前がキョンを殺せなかったとき、
     お前が俺に攻撃を開始した時、お前の両親は何の躊躇もなく自殺する』」

佐々木「悔しかった……力を与えられたことに油断していたんだ」

佐々木「洗脳していない僕に力を与えるということは、彼にはそれ以上の力がある、ということ」

佐々木「結局、僕は彼の掌の上で踊らされていたんだ」

佐々木「………そういうわけだ。キョン、死んでくれないか」

キョン「そんなこと……そんなこと、聞いてあげれるほど、俺は人間としてできちゃいない」

キョン「……できちゃ、いないんだよ……」

キョン「佐々木……お願いがある」

佐々木「何だい?」

キョン「この戦いに、この阪中は関係ない。彼女を先に行かせてやってくれないか」

阪中「え、えええ!?」

佐々木「……いいだろう。谷口君の洗脳に、彼女は無関係だ」

阪中「ちょ、ちょっと待つのね! キョン君、どういうつもり!? 私を先に行かせるなんて!」

キョン「……阪中、いいか。俺たちの目的は谷口を止めることで、敵を倒し続けることじゃない」

キョン「これ以上、奴の思い通りにさせてはいけない。いけないんだ」

キョン「誰かが、あいつを止めなくちゃいけない」

キョン「だったら、たった少しの人数になったとしても、あいつにたどり着かなきゃいけない」

キョン「それに阪中、お前のスタンドなら臭いで谷口を追える。違うか?
    お前がもしここでやられたら、谷口をもう追えないかもしれない」

阪中「そ、そうだけど……でも、でも! ここら辺にはもう谷口君の臭いはなかったのね!」

キョン「上には、あるかもしれないだろ?」

阪中「そう、だけど…でも、えっと、その…」

キョン「それに、佐々木の言う通り、この戦いにお前は無関係なんだ。
    敵が通すと言ってくれるなら、それに甘えたほうがいい」

阪中「あ、で、でも」

キョン「いいから行けッ!」

阪中「ッ……」

佐々木「阪中さん、と言ったかな」

阪中「え、あ、はい…」

佐々木「キョンはね、どうでもいいことに声を荒げたりしない」

佐々木「はて、この場合、どうでもいいことってのはどちらのことなのかな」

佐々木「君を逃がして無関係な争いに巻き込まないこと、谷口君を探し出し止めること」

阪中「そ、それは私をまきこまな」

佐々木「違うよ、キョンはどちらも大事なことだから声を荒げたんだ」

阪中「ッ……」

佐々木「女という生き物は、男の厚意を黙って受け入れたほうがいい」

佐々木「もっとも、僕が男だの女だのと語ったところで説得力はないだろうがね」

阪中「………キョン君」

キョン「なんだ?」

阪中「絶対に、生きて追いついてほしいのね」

キョン「…ああ、約束する。行け」

阪中「…うん、約束なのね」


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キョン「ありがとうな、佐々木」

佐々木「なに、唯一無二の親友の頼みだ。これくらいどうってことないさ」

キョン「……相変わらずだな」

佐々木「キョンのほうこそ」

キョン「戦わなきゃ、いけないのか…?」

佐々木「……キョンには感謝している。
     僕の中学時代が張り合いのある楽しいものになったのは、他の誰でもない君のおかげだ」

佐々木「…でもね、僕は両親にも感謝している」

佐々木「両親がいなければ、僕はキョンに出会うことも、ましてや感謝することもなかったから」

佐々木「だから、だから僕は全ての感謝の元である両親を助けるために、キョンと戦う」

佐々木「悪く……思わないでくれ」

キョン「誰がお前のことを責めるか」

キョン「もしお前に殺されたところで、怨霊になる自信はねえな」

キョン「……いくぞ」

佐々木「臨むところだ」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」

バシィィィィッッ!

キョン「受け止めた、か」

佐々木「ふふ、魔術師のような格好をしておきながら、パワータイプなんだね」

佐々木「面白いよ、キョン」

佐々木「反撃だッ! アナザー・ゴッドッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオッ!」

キョン(ゴーレムのような……いかにもなパワータイプかッ!)

キョン「ウェアリネスッ!」

ウェアリネス「ダリィィィィィッ!!!」

アナザー「……ウオオ……オオオ…」

佐々木「…ッ! スタンドの能力かッ!」
佐々木(アナザー・ゴッドが急にやる気を失ったように、パンチを引っ込めてしまった…?
     キョンのスタンドの能力は何だ……?)

キョン「ガラ空きだッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリィィィィッ!」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!

佐々木「く、うぐッ…」

キョン(『殴る』ことに対するやる気を奪ったのはいいが…)

キョン(『防御』にまでは手が回らないな……)

キョン(能力の発動には十数秒程度のインターバルが必要か…)

佐々木「っつつ……ふふ、なかなかいいパンチだよ、キョン」

佐々木「僕も、負けていられないな」

佐々木「アナザーッ!」

アナザー「ウオオオオオオッ!」

ビュゥゥゥゥゥゥンッ!

キョン(コンクリートブロックを投げたッ?)

キョン(だが、これくらいならウェアリネスで砕けるッ!)

キョン(砕いた後に、すぐさま近づいてラッシュだッ!)



アナザー「……キョンにブロックが当たる確率、2%」

佐々木「最高増加率で底上げだ」

アナザー「……キョンにブロックが当たる確率、50%」



ウェアリネス「DARYYYYYYYYY!!!!」

バキャァァッ!

キョン「よしッ! いけるッ! ウェアリネ…」

ガツッ!!!

キョン「ぐあッ! ……っつつ…」

キョン「な、なんだッ?」

佐々木「君が砕いたブロックの大きめの破片が天井に当たり、君の頭上に降り注いだんだ」

キョン「ぐ…くそッ」
キョン(せっかくの攻撃チャンスを……)

佐々木「さあ、まだまだ行くよ」

キョン(今のブロックは佐々木の能力かもしれんッ! …接近戦だッ!
    距離を開けないように戦うッ!)

キョン「ウェアリネスッ!」

ウェアリネス「ダリィィィィィィッ!」



アナザー「………ウェアリネスにカウンターが決まる確率、16%」

佐々木「最高増加率で、底上げだ」

アナザー「………ウェアリネスにカウンターが決まる確率、64%」



ウェアリネス「ダリダリダリダリダリィィッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオッッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!

アナザー「ウオオオオオッ!」

ドゴォォォッ!

キョン「ッッッ!」
キョン(う……ぐ……あ、危ねえ……顎にカウンターが決まるとは……意識を失いかけたぜ……
    くそッ……ツイてないぞ…)

アナザー「ウオオオオオオオオッ!」

ドゴォォォォォォォッ!

キョン(天井を砕いたッ!? 破片で攻撃するつもりかッッ!)



アナザー「……キョンが、破片で頭を打ち、気絶する確率、6%」

佐々木「最高増加率で底上げだ」

アナザー「……キョンが、破片で頭を打ち、気絶する確率、54%」



キョン「ウェアリネスッッ! 破片を弾き落とせッッ!」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドォォッ!

キョン「はぁ……はぁ……」

キョン(なんとか防ぎきったが……すごいピンポイントな攻撃だ…)

キョン(佐々木のスタンドの能力は何だ…?)

キョン(承太郎のスタープラチナのような精密かつ計算的な動きが可能、とか…?)

キョン(いや、速さじゃウェアリネスは負けていない。まだ他に何かがあるはずだ…)

キョン(あるはずなんだ……)

キョン(落ち着け……俺は今まで世界を何度も救ってきたじゃないか、自分を信じろ……)



佐々木(キョンの目つきが変わった……)

佐々木(ふふ、ためらいは取り除かれたみたいだね)

佐々木(それでこそ、僕の命をかける価値があるというものさ)

佐々木(どっちが死んでも恨みっこなしだよ、キョン)

佐々木(…どちらも死ぬなんて考えたくないからね)



佐々木「行くよッ! キョンッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオッッ!!!」

キョン(普通に接近してきたッ? また接近戦を挑むのかッ?)

キョン(佐々木から戦意を奪うなんてことはしたくないッ……)

キョン(もし、そうしてしまったならッ! 佐々木は、全力を尽くすことなく両親を失うからだッッ!)

キョン「ウェアリネスッッ! スタンドだッ!」

ウェアリネス「ダリィィィイイイッ!」


アナザー「ウオオ……オオ……」

佐々木(む、まただ……また途中から減速して……止まってしまった…
     キョンの能力は何だろう……『減速させる』? それとも『力の吸収』?)


ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリダリダリィィィィィィィイイイ!!!!!」

ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴォォォッ!

佐々木「ぐッ……」

佐々木(く、ふふ……あえて本体には攻撃してこない、か……
     キョン、君って人はは本当に優しいね……)

佐々木(でも………僕はこんなところで膝を折れない……)

佐々木(守らなきゃならない家族がいるから、ね……)

佐々木「キョンッ! 君ほどにできた人間と、僕はいまだかつて出会ったことがないッ!」

キョン「……そいつはどうも」

佐々木「君を倒さなきゃ……いや、殺さなきゃいけないのかと思うと、ほら、こんなにも足が震える」

キョン「……くそがッ…」

佐々木「でも、負けられない……家族を失うと思ったら………心が震えて止まらないんだッッ!」

佐々木「アナザーッッ! 本気で行くよッッ! 僕たちはこんなところで立ち止っていられないッッ!」

アナザー「ウオオ……オオオオオ…ッ!」

佐々木「地面だッ! アナザーッ!」



アナザー「……この一撃でキョンが階下まで落下し、戦闘不能になる確率、1%」

佐々木「最高増加率で底上げだッ!」

アナザー「……この一撃でキョンが階下まで落下し、戦闘不能になる確率、50%」


ドゴオオオオオオオオオオッッッ!


キョン「床をッ…しまったッッ! この部屋をぶち壊すつもりかァァァッ!」

キョン「ウェアリネスッッ! 『崩壊』を止めろォォォォッッ!」

ウェアリネス「DARYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!」

ユラァァァッ……

佐々木「ッ! 部屋の崩壊が止まったッ…?」

キョン「なかなか考えることが大胆だな、佐々木……」

キョン「だが、それ以上、お前の思うようには進ませない」

キョン「ウェアリネスッッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリダリダリィィイィィィッ!」



佐々木「なんて、こんなことで僕が退くとでも…?」

キョン「何ッ!?」

佐々木「今の崩壊はキョンに能力を使わせるためさッ!」

キョン(まさかッ……俺の能力の弱点、インターバルを見破ったのかッ…!?)
キョン「ウェアリネスッッ! 戻れッッ! 戻るんだッッ!」

佐々木「いいや、無理だッ! スタンドにもわずかながら意志はあるッッ!
     そこまで出かかった拳を止めることは不可能ッ!」



アナザー「……反撃して敵の拳を粉砕する確率、0%」

佐々木「最高増加率で底上げだッッ!」

アナザー「……反撃して敵の拳を粉砕する確率、50%」

キョン(最高増加率で底上げッ…? 何のことだ?)


ガシィィィィィィッ!


キョン(拳を拳で止めたッ!?)

ギシッ……

キョン「ぐッ…?」

ドグオシャァァァァアアアアッ!

キョン「うぐあああぁぁぁッッ!!!」

キョン「ひ、左手がッッ! ふ、く、砕けただとッッッ!!!」

キョン「痛ェェッ……ナイフで腹をグリグリされるよりも、断然ッ! 痛えええッッ!」

キョン(どうしてだッ! さっきまで拳と拳がぶつかってもここまでのダメージではなかったはずッッ!)

キョン(それとさっき佐々木が言っていた最高増加率で底上げ……あれも関係があるはずッ…!)

キョン(ダメージかッ? ダメージを底上げしているのかッ?)

キョン(いや、さっきの破片の時も、佐々木は何かを呟いていた。
    それはきっと同じセリフだったに違いない……)

キョン(とすると、なんだ……何を底上げしているんだッ!)



佐々木「左手がつぶれた状態でどこまで戦えるかなッッ!」

アナザー「ウオオオオオオオオオオオオオッ!」

ウェアリネス「ダリダリダリダリダリダリィィィッ!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!

ドグォォゥッ!

キョン「ぐあッ!」
キョン(か、片手じゃ無理、か……なんて化け物だよ……佐々木…)

佐々木「キョン……今までありがとう」

佐々木「君には本当に感謝している。ありがとう…」

佐々木「恨み事ならあっちで聞くよ……だから、今だけは我慢してくれ…」



キョン(ああ……意識が遠ざかっていく……)

キョン(ははは……佐々木の手が、俺の首を……)

キョン(……こいつともいろんなことがあったよなぁ…)

キョン(…………塾……無駄話……変な女好き……)

キョン(……たしか名前を褒められていた気がする………)

キョン(……なんか壁をすり抜けられるか、みたいな話もしたっけか………)

キョン(……………すんげぇ低い確率だけど………分子が分解してどうとかって……)

キョン(…こんなことになる確率って………どれくらいだったんだろうな………)

キョン(……………………………………これかッ……)

キョン(……………しぬ、まえに、……せめて……これだけでも……のこ、す……)






佐々木「さようなら、キョン…」


ビル内


みくる「鶴屋さぁん! 待って、くださぁい!」

鶴屋さん「ファイトだよ、みくるっ!」

みくる「し、しっかりビルの中を捜索しましょうよお……」

鶴屋さん「そんなに悠長なことは言ってられないさっ!」

みくる「き、きっと皆さんなら大丈夫ですから…」

鶴屋さん「さっきの地響き……絶対に戦いがあったに違いないっさ!
      ………何か嫌な予感がするんさ…」

みくる「鶴屋さん……」


地下


長門「………ッ…?」

朝倉「……え…?」

承太郎「…ん? どうした、長門に朝倉。突然立ち止まったりして」

長門「………………私は認めない」

朝倉「嘘……嘘よ、きっと思念体なりに低レベルなジョークだわ! そうよ、そうに決まってる!」

承太郎「おい、二人とも、よくわかんねえが落ち着け」

朝倉「落ち着いてなんかいられないわよ!」

承太郎「……何が起こった。その思念体とやらに何を言われた」

長門「………ッ…!」

朝倉「キョン君が……キョン君が、死んだわ」

承太郎「…キョンが死んだ………たしかにレベルの低いジョークだ、と信じたいところだな…」

朝倉「もしこれが本当ならまずいことになったわ……」

承太郎「キョンがやられたことと、関係があるのか?」

朝倉「あるわ。長門さん、承太郎君には話したのかしら? SOS団のこと」

長門「…私の関与しうる限り、彼は知らない」

朝倉「そう、じゃあ私から話すわね」



承太郎「長門と朝倉、さっきの喜緑っつー女が宇宙人、朝比奈が未来人、古泉が超能力者、か…。
     にわかには信じられねえ話だが……スタンドがある世の中だ、安易に否定はできねえな」

朝倉「そうよ。そして、三人とも涼宮ハルヒを観察するために北高に潜伏したところを涼宮ハルヒが、
   神と形容してもおかしくない能力を使って一つの団体、つまりSOS団にまとめて入れてしまった」

承太郎「そこまでの話は理解した。納得はしてねえがな。それで、続きは?」

朝倉「問題はキョン君なのよ。彼のどこにも特殊な素質はないの。
    宇宙人、未来人、超能力者、異世界人、そのどれでもない。
    まったくもって、ただの人間がSOS団にいるの。
    不思議を求め続ける涼宮ハルヒが無意識化で求めた一般人」

承太郎「……なんとなく話が読めてきたぜ。
     つまり、神同然の力を持つ涼宮が特殊な人間たちを集めたにも関わらず
     ただの一般人であるキョンをSOS団に入れた、その理由は」

朝倉「そうね、人間で呼ぶところの『恋』だとか『愛』ってやつじゃないかしら。
    そして、今まで涼宮ハルヒはその神同然の力を無意識化に使って、
    キョン君の死だけは完全に防いできたの」

承太郎「そのキョンが死んだ、ということは」

長門「………涼宮ハルヒが、操られている可能性がある」

朝倉「そういうことね。非常に厄介だわ……
    彼女の神のように世界を作りかえる力を敵に回すとなると……」

承太郎「その神の力だけじゃねえぜ。
     操られているということは、スタンド能力を手に入れた可能性がかなり高い。
     スタンドは精神の具象化と言われているくらいだから、涼宮のスタンドとなると……」

承太郎(能力だけなら、スタープラチナや、DIOのザ・ワールドを凌駕する可能性だってある……
     やれやれだぜ……)


ビル内


鶴屋さん「こっちの部屋が怪しいさっ……って、うわわわわ!」

みくる「鶴屋さん、危ないっ!」

鶴屋さん「お……っととと、みくる、助かったよぅ…」

みくる「いえ、鶴屋さんが無事でよかったです…」

鶴屋さん「………に、しても……こいつは…部屋がまるまる階下に崩れ落ちてるね……」

みくる「敵の罠、でしょうか…」

鶴屋さん「いや、こいつがさっきの戦闘があった場所だと思うっさ。
      ところどころ部屋の天井が崩れてるしね」

みくる「あ、ほんとだ……」

鶴屋さん「……え、あれ?」

みくる「鶴屋さん、どうかしま、し……」

鶴屋さん「あ、あれ、下で横になってるのって、うそ、違うよ、うん、違う」

みくる「………キョ、キョン、君……?」

鶴屋さん「そんなはずはないよっ!!」

周防「────────」

鶴屋さん「降りるっさ!」

みくる「はい!」



鶴屋さん「う、うそだよ………なんで、脈がないんさ……息をしてないんさ……」

みくる「そ、そんな……こんなこと、聞いてなかった……うそ……
    違う、これはきっと……なにかの……」

周防「──────死亡──────確認────」

鶴屋さん「キョン君ってば! キョン君! 目を開けてくれよっ!!
      こんなところで死ぬんじゃないっ!!!」

ドンッ! ドンッ! ドンッ!

みくる「うううう……こんなの、うっく、知らなかった、です………
    こんな辛いことが起きるなんて………」

鶴屋さん「だ、ダメだ………どれだけ心臓を叩いても……目を覚まさない……
      そ、そうだ! みくるっ、みくるのスタンドなら……」

みくる「………ダメなんです……」

鶴屋さん「ど、どうして! やってもいないのに!」

みくる「分かるんですよ! 私のスタンドは、過去を変えることはできない!
    過去の『記憶』や『状態』を呼びもどすだけ!
    失われたものが復活するなんてことは、ないんです……
    傷の治療ならできます……
    傷はいずれ治りますから、治るまでの間、元気だった状態を呼びもどせばいいんです……
    でも……死んでしまった人は、もう何をやっても生き返らない………私は、無力なんです……」

鶴屋さん「う、す、すっちゃん! すっちゃんのスタンドはどうなんだいっ? どうにかできないかな?」

周防「──────不可能────戦闘向き──」

鶴屋さん「え、ちょ、嘘だよね? 嘘だって言ってよ! ねえ!!!」

みくる「鶴屋さん!」

鶴屋さん「ッ…」

みくる「これが……これは、現実なんですよ……」

鶴屋さん「うそ、嘘だァァァァァアアアアア!!!!」


場所不明


谷口「佐々木、どうだった?」

佐々木「………しっかり殺してきたよ…スタンドなんかにとどめは刺させなかった……。
     親友である僕が、しっかりこの手で殺してきた……
     それがキョンに対するせめてもの礼儀だからね……」

谷口「クク……フハハハハハッ! キョンの悪運もここまで、ってぇこったな!
   まさか、親友を自称する女に殺されるとは思いもしなかったことだろうよ! ハハハハハハッ!」

佐々木「……くッ……………谷口君、両親を解放してくれないか」

谷口「ハハハ、ハハ……はぁ、笑いつかれた。で、何かほざいたか?」

佐々木「両親を解放してくれって言ったんだ!」

谷口「ああ、あいつらな………えっと、どうしたんだっけか……」

佐々木「しらばっくれるな! 僕はキョンをこの手で殺めた!
     君はそれ以上を僕に望むって言うのかッ!?」

谷口「チッ………るせぇなぁ」

佐々木「谷口……貴様……」

谷口「ああ、思い出したわ。あの二人な」

佐々木「……?」



谷口「あいつらなら自殺したわ」



佐々木「……え?」

谷口「もう一遍言ってやるよ。じ、さ、つ、し、た」

佐々木「つ、つまらない冗談を言うね、君は。 僕は確かにキョンを殺したよ。 三分間を全力で首を絞め続けた…
     ほ、骨まではいかなかったみたいだけど、呼吸も心臓も脈も停まってたし、瞳孔も開いてた。
     どうしてそれで、ぼ、僕の両親が、じ、自殺するんだ…?」

谷口「知るかよ。言っておくが、俺はこれっぽっちもいかさまをしていない。
    お前に言った通りの条件付けを、お前の両親に施しただけだ。
    お前の両親が死んだ、っつーことは、なんだ。殺し損ねたんじゃねえのか?
    ……ほんっとに悪運の強い奴だよ……俺の条件付けはスタンド能力だ。
     100%間違いは起きねえはずだ」

佐々木「理解できないよ!」

谷口「てめぇは理解する必要なんてねえんだよ。
    キョンは生きてる、お前の両親は自殺した、簡単すぎる二つの結果じゃねえか」

佐々木「谷口ィィィッ!! 貴様ッッ! 僕を嵌めたなッッ!」

谷口「おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。俺はお前に嘘を言った覚えはない。
    お前が殺し損ねただけだ、っつってんだろうが」

佐々木「僕は………谷口ッッ! 僕は、キョンの想いを無駄にはしないッ!
     君を殺して悲劇を止めるッッ!」

谷口「……プッ! ブハハハハッ!! 無駄無駄、やめておけっての。怪我するぞ?」

佐々木「望むところだッ! 両親を失った僕に足枷はないッッ!」

谷口「……はぁ…やれやれ、自分のスタンドが至高だとでも思ってんのか、お前は」

佐々木「……何とでも言え」

谷口「おい、やってやれ」

佐々木「谷口! お前が戦え!」

谷口「俺が出るまでもねえってことだ」

???「谷口様、お任せください」

佐々木「ッ…… 君は……」

???「谷口様に刃向う者は何人たりとも許しません」

佐々木「くそッ……」


キョン死亡後から1時間後

現在時刻午後6時


承太郎「……そうか…やはり、キョンは……」

みくる「もう、だめでした……ビルの中にはもう誰もいませんでしたし……」

鶴屋さん「シャミにゃんも…死んだの、か……」

朝倉「……皮肉なものね、あんなにも殺したかった相手がいざ死んだとなると……こんなにも……」

鶴屋さん「………これから、どうするんだい…?」

承太郎「ちょっと待ってくれ、朝比奈、今、『ビルの中にはもう誰もいなかった』、そう言ったか?」

みくる「? ええ、たしかに言いましたけど……」

承太郎「古泉と国木田はどこへ行った…?」

朝倉「そういえば地下で部長も消えたわ…」

長門「三人が、このビルを中心とした半径5キロメートル内空間座標軸上に確認できない。それよりも外、別次元、別時間軸に転移した可能性がある」

承太郎「……嫌な予感がするぜ」

鶴屋さん「ん、キョン君のポケットの中、携帯が開きっぱなしになってるっさ」

みくる「ほんとです……何かメッセージがあるのかも…?
    『ささきかきりつあげるひとじちりょうしんとられめる』
    ……メール編集画面でそう書かれてますね」

承太郎「かなりわかりやすい説明だな。誤字を加味して訳してみると
     『佐々木のスタンドは確率を上げる。両親が人質にとられている』といったところか」

鶴屋さん「ちょい待った、佐々木って誰だい? 少なくとも私は知らないよ?」

阪中「私たちのクラスメートでもないのね」

みくる「佐々木さんは、キョン君の中学時代のお友達です。何度かお会いしました」

承太郎「その佐々木って奴にキョンは殺された、ってことか……」

みくる「あの、確率を上げる、っていうのは具体的にどういうことなんでしょうか…?」

朝倉「……ほぼ全ての事象は、行われる直前の条件によって、確率を求めることができるわ。
    それぞれのサイコロの目が出る確率だって単純計算では6分の1だけれど
    投げるときに上を向いている面、投げる腕の角度、投げる強さ、投げる高さ、
    投げ落とす場所の材質、他にも色々な条件で確率は変動するの。
    その確率を正確に叩きだし、条件を操り、確率を上げる、
    そういうスタンドっていうことじゃないかしら」

みくる「ふぇぇ……そうなですかぁ……す、すごい複雑なスタンド……」

阪中「承太郎君、これからどうするのね? ……キョン君とシャミ…」

承太郎「……とりあえず遺体はSPW財団に預ける。気になることがあるんでな」

鶴屋さん「気になること?」

承太郎「ああ、キョンもシャミセンも肉体的には完全に死んでいる」

朝倉「そうね、脈も心臓も停まっているし、瞳孔だって開いているわ。思念体も、そう判断した」

承太郎「だが、なんて言うんだろうな、スタンドの持つ特有の波動のようなものを感じる」

阪中「そ、それってキョン君もシャミもまだ生きてるってことなのね!?」

承太郎「いいか、まだ決まったわけではないし、
     ただの俺の直感だから外れている可能性のほうが高い。
     直感、とでも言うのか、
     そいつが『キョンとシャミセンはまだ死んじゃいない』ってうるせえんだ」

阪中(キョン君のスタンド……『やる気』を奪う、っていうすごくあいまいなものだったのね…
    もしかして無意識下でそのスタンドを使って…?)

承太郎「とにかくSPW財団にあずからせて、最先端技術の治療を施してみる。
     目が覚める可能性もないとは言い切れないからな」

朝倉「……そうね、私たちじゃどうしようもできないもの」

長門「……」

周防「──────」

みくる「……悔しいです…」

鶴屋さん「…そうだね……すごく悔しいさ……」

阪中「………ねえ、そういえばこれから場所を探す当てはあるのね?」

承太郎「ああ、キョンは『佐々木は人質を取られている』というメッセージを残した。
     このメッセージから、佐々木は洗脳されていない、ということが分かる」

阪中「…あ、そっか! 佐々木さんにコンタクトをとってみるのね?」

承太郎「そういうことだ」

みくる「でも、協力してくれるでしょうか……
    洗脳されていないとは言っても、人質を取られているのなら……」

承太郎「人質を取られているからこそ、外部からの助けが必要だとは思わないか?」

鶴屋さん「佐々木さんって人は第三者の介入を待っているってことかい?」

承太郎「そうとることもできる、というだけだがな」

朝倉「だけど、考えうる限り、一番筋が通っていないかしら。考えてもみて。
    朝比奈さんがこの暗がりで見つけられるほど分かりやすく置かれていた携帯電話を
    キョン君を殺められるほどの力の持ち主が気づかないと思う?」

阪中「気づいていて、あえて放置した、ということ?」

朝倉「そうも考えられる、というだけよ。筋が通っているとは思うけどね」

承太郎「決まりだな、佐々木という人物と接触を図ってみることにしよう」

みくる「でも、番号なんて分からないんじゃ……」

承太郎「キョンの友達、なんだろ?」

みくる「あ、キョン君の電話からかければ……」

承太郎「そういうことだ、かけてみるぜ」


『rrrrrrrrrrrrrr..........』


佐々木『ハァ………ゼッ…ハァ……』

承太郎「キョンの仲間だ。佐々木か?」

佐々木『……ック……フゥ…………ビルの中にいた、キョンの仲間ということかい?』

承太郎「ああ」

佐々木『よかった………キョンのメッセージに気づいてくれたんだね……』

承太郎「そういう話は後だ。俺の質問に答えてもらうぜ」

佐々木『ああ、構わないよ』

承太郎「谷口はどこにいる」

佐々木『北高の裏山にある、大きめの洋館だ』

承太郎「お前は今、どこにいて何をしている」

佐々木『谷口に刃向おうとしたけど殺されかけて、裏山を逃げているところさ』

承太郎「俺たちに協力しろ、と言ったら?」

佐々木『喜んで協力させてもらうよ。僕は……両親を殺されてしまったからね』

承太郎「……つまり人質を殺された、と」

佐々木『そういうことさ、もう僕には谷口のもとで戦う義理はない』

承太郎「分かった、そのまま逃げおおせることはできるか?」

佐々木『たぶん大丈夫、十分くらいで北高のグラウンドにつく』

承太郎「……今から『SPW』と書かれたワゴン車を向かわせる。それに乗れ」

佐々木『……信頼してもいいのかい?』

承太郎「信頼しなければ追いつかれて殺されるぞ」

佐々木『…ふふ、そうだね。分かった、そのワゴンに乗ろう』

承太郎「その車には俺も乗る、そこで落ち合ってから詳しく話し合おう」

佐々木『分かったよ』

承太郎「今から十分後だぞ、忘れるのと間違えるのはよしてくれ」

佐々木『ああ、気をつけよう』

承太郎「切るぞ」

佐々木『それじゃあ、また後で』



承太郎「今日、お前らにはSPW財団の所有する施設で寝泊まりしてもらう」

阪中「ええ!? お、お父さんたち、許してくれるかなぁ……」

みくる「わかりました」

長門「……了解」

朝倉「あら、お泊まり会、っていうやつかしら? ふふ、楽しみ♪」

鶴屋さん「なるほどなるほど、明日の決戦に備えて、ってやつさね!」

周防「──────わかった──」

阪中「わ、私だけ!?」

承太郎「俺たちがバラバラに、そして帰宅するとそこが襲われる可能性もある。
     全てが解決するまでは同じ建物内で寝たほうがいいからな」

阪中「わ、わかったのね……なんとか説得してみるのね……」

承太郎「佐々木との約束もある、今からワゴン車を呼ぶからそれに乗って移動するぞ」


北高周辺 SPW財団所有ワゴン車A内(承太郎・長門・阪中)

佐々木との電話から 8分30秒後


承太郎「そろそろ佐々木の姿が視認できるはずだ。しっかり見張っとけよ」

阪中「……ねえ、承太郎君」

承太郎「ん、なんだ」

阪中「佐々木さん、って本当に信じられるのかな…?」

承太郎「いまさらどうしたんだ?」

阪中「……だって、キョン君を、その、殺した人だし…」

承太郎「たしかに、な。
     人質のメッセージだって、キョンを殺してから佐々木が打ち込んだ罠かもしれない」

阪中「だ、だったら!」

承太郎「だがな、阪中、ここで佐々木を仲間にできないと、俺たちは先に進めない」

阪中「ッ……」

承太郎「キョンやシャミセンが抜けた穴はあまりにも大きい。その埋め合わせをしなくちゃならない」

阪中「……」

承太郎「悔しいのは分かるが、今は我慢するんだな」

阪中「わかった…のね」

長門「…ワゴンB上空に、生体反応を確認した」

承太郎「上空、だと?」

阪中「え、それってどういう…」

長門「接触まであと5秒」

長門「4」

承太郎「運転手ッ! ワゴンBに連絡しろッッ! 上から来る、ってなッッ!!」

長門「3」

運転手「わ、わかりましたッッ!」

長門「2」


北高周辺 SPW財団所有ワゴン車B内(みくる・鶴屋さん・朝倉・周防)

佐々木との電話から 8分30秒後


鶴屋さん「そろそろっさね」

みくる「佐々木さん、追われてるそうですけど……無事でしょうか…」

朝倉「キョン君を殺した人だもの。そんな簡単に死なれては困るわ」

鶴屋さん「ははは、そうだねっ」

みくる「ふぇぇ……どうして二人とも楽しそうなんですかぁ……」

朝倉「あら、あなたは楽しみじゃないのかしら?」

鶴屋さん「キョン君を倒すような人だもん、
      きっと、数多の戦場を乗り越えてきた百戦錬磨の野郎に違いないっさ!」

朝倉「そうね……ああ、ぞくぞくする、うふ、楽しみ♪」

みくる「ふぇぇ……あれ、周防さん、天井を見上げてどうしたんですか?」

周防「──────何かが────降ってくる──────」

鶴屋さん「何か、ってなんだい? 雨とか雪とか雹とか霰とか?」

朝倉(こういうとき、思念体との通信を切断されてると不便よね…)
朝倉「それが何か分かる?」

周防「────────生命体────」

みくる「…え?」

無線『ワゴン・ブラボー! ワゴン・ブラボー! 上空から正体不明の生命体が接近中! 注意!』

運転手「え、な、なんだってッ!?」

周防「──────もう────遅い──────」


ズドォォォォォォォォ………


ワゴンA


承太郎「…今の音は?」

運転手「わかりません……ただ、無線が途切れたので、ワゴン・ブラボーが攻撃されたのかと…」

長門「先ほどの生命体がワゴンBに接触した」

阪中「……そ、それって、敵がみんなを襲ったってこと?」

長門「………そう」

阪中「承太郎君! 私たちも向かったほうがいいのね!」

承太郎「いや、だめだ」

阪中「どうしてっ!」

承太郎「もし、俺たちが救援に向かい、
     ワゴン車を破壊されたとしたら佐々木は俺たちをどうやって判別する?」

阪中「あ、え、えっと、でも」

承太郎「落ち着け。今の目的は、敵を倒すことじゃない。佐々木を助けることだ」

阪中「………ッ」


北高校周辺


朝倉「けほっ、けほっ……もう、手荒な真似、しちゃってくれるなぁ」

周防「────けほ────」

朝倉「周防さん、大丈夫かしら?」

周防「────私は──大丈夫──────」

朝倉「あとの三人は……」

周防「────生体反応────確認────気絶────────」

朝倉「……まぁ、結構はでにやられちゃったしね、しょうがないか。
    さて、襲ってきたお馬鹿さんの相手をしましょうか」

周防「──────そう────」

朝倉「ずいぶんと可愛らしい服を着ているけれど……あなたが佐々木さんかしら?」

???「いいえ、違います。そちらの日本人形のようなお方なら私を御存じなのでは?」

周防「────森──園生────」

森「ふふ、正解です」

朝倉「森、園生……ああ、聞いたことがあると思ったら、『機関』とかいう集まりの」

森「朝倉さんもご存知でしたか、光栄です」

朝倉「その『機関』とやらがどうして介入しているのかしら? まさかあなたも洗脳されたの?」

森「いいえ、私は洗脳を受けていませんよ」

朝倉「じゃあ、どうして? どうして、キョン君を殺した派閥に加担しているのかしら?」

森「こちらのほうが、手っ取り早く世界平和を維持できるからです」

朝倉「……理解できないわ。こんなに派手に暴れまわるのが、どう世界平和につながるのかしら」

森「涼宮さんですよ」

朝倉「涼宮さん?」

森「ご存知の通り、我々、『機関』は特殊な能力を持った人間が、
  涼宮さんの作り出した閉鎖空間を消すことが本業です。
  ですが、その人員は、激減することはあっても、激増することはないのです。
  戦死した同胞は少なくありません。我々『機関』も、疲労困憊といった状態です。
  このままでは、いずれ能力者が全滅してしまうかもしれない。そういう危機に直面した時です。
  谷口さんが涼宮さんを洗脳してくれたのです」

朝倉「…洗脳によって、精神が安定し、閉鎖空間が生まれなくなった、と」

森「そういうことです。もし、この状態が続けば、
  谷口さんのおかげで世界は改変や崩壊と言った危機から逃れることができる…。
  これは世界中から賞賛されても、誰も文句を言えないほどの功績です」

朝倉「谷口君がやたらと調子に乗ってるのは『機関』がバックについていたから、ってことだったのね

森「その谷口さんに刃向うあなたたちを倒すことが、神人狩りの代わりにできた私たちの務め」

朝倉「もう、めんどくさいなあ。……ちゃちゃっと殺っちゃうね♪」

森「…やれるものならッ!」

ブゥンッ!

森「いきなり近づいてきますかッ!」

朝倉「うふ、ごめんなさい♪ もう死んで♪」

森(スタンドッッ!)

ズシャァァッ!

朝倉「残念♪ 串刺しにはできなかったかぁ」

森「…TFEIでもスタンドを使えるんですね」

朝倉「使えない、なんて誰が言ったのかしら? ふふ、お馬鹿さん♪」

森「少し見くびっていました、最初から全力で挑まなければならなかったようですね」

朝倉「私たち相手に手を抜こうっていうのがそもそもの間違いね」

森「ふふ、楽しくなってきましたねッ!パンドラ・スカートッッッ! 敵をハチの巣にしてッッ!」

朝倉「……ッ!」
朝倉(メイド服のスカートの中にスタンドッ!?……ずいぶんと変態なスタンドね)

森「……ガトリングがいいわね」

パンドラ「了解ッ! 了解しましたよッ!」

朝倉「…嘘でしょッ!」

森「さあ、敵をハチの巣にするのよッ!」

パンドラ「うっひゃひゃひゃひゃひゃ!」


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッッ!!


朝倉(じょ、冗談じゃないわよッ! 
    いくら私たちインターフェースでも、あれじゃ体が木端微塵じゃない…!)

森「上に飛んだわ! ………ミサイルなんてなんてどうかしら?」

パンドラ「うひゃひゃひゃ! 最高ですよッ!」

森「それじゃあ、お願いね」

パンドラ「いっけえええええええッ!」

朝倉「ミサイルッ!?」
朝倉(この大きさ……戦闘機に積む大きさじゃないのッ!?)

森「さっきまでの威勢はどうしたんですか?」

朝倉「うるさいわねッ」
朝倉(熱感知はやっぱり搭載されてる……スタンドの能力で避けるしかないか……)

森「ッ! 消えたッ!?」

パンドラ「うひゃッ! 熱感知も言うこと聞かねえですよ!」

森「まずいッ! あのままじゃ、周囲に被害が及ぶッ…!」

パンドラ「うひゃひゃ……わたしゃ、ここから出られねえんで、どうしようもないっすわ…」



ビュオオオオオオウゥゥゥッ



森(ッ! 黒い布がミサイルを包み込んだッ!?)


ドガァァァァァァァァァァァァァァァッッ!


森「うッ………い、一体…?」

周防「──────」

パンドラ「マスター、あいつですよッ! あいつッ! 
      あいつが髪の毛を伸ばして包んで固めてミサイルを壊しやがったですよッ!」

森「……ふふ、そういえばあなたもいたんですね、忘れていました」

朝倉「ふぅ、なんとか避けきれたみたいね」

周防「────私も──────戦う────」

朝倉「……何かあったのかしら?」

森「…いいでしょう、かかってきなさいッ!」

朝倉(敵の能力は、スカートの中から兵器を取り出し、それを使用する能力……
    対して、こちらは典型的な接近戦型の私に、髪の毛を自在に操るスタンド能力の周防さん……
    こちらが結構優勢って感じかしら。
    さっきのを見る限りじゃ、髪の毛はかなり防御に使えそうだしね)

森「……どうやら、こちらが不利のようですね」

朝倉「あら、そうかしら?」

森「周防さんの防御に、朝倉さんの攻撃……相性が非常にいいです。相乗効果、というやつですね」

朝倉「誉められてるみたいね、周防さん?」

周防「────油断──禁物────」

朝倉「はいはい、わかってます」

森「…あまりパンドラに働かせたくなかったんですが、やむをえません。
  世界平和のためにはあなたたちを排除しなければいけませんから」

朝倉「………あまりいい予感はしないわね」

周防「──────覚悟────必要──」

パンドラ「マスター、まさかぁ、あいつを使うつもりじゃあないですよねぇ?」

森「そのまさかよ」

パンドラ「げげッ! いけませんよォッ! そいつを使ったら、ここいらの住民全滅ですぜぇ!?」

森「ここの住民と、保障される絶対的な世界平和……
  天秤がどちらに傾くか分からないあなたではないでしょう?」

パンドラ「そ、そうですがね……わたしゃぁ、無関係な人間が苦しむのを良しとはしたくないんでさぁ」

森「……私だって何も感じずそう言っているわけではありません。やらねばならないのです」

朝倉「……どう思う?」

周防「────細菌兵器──────核爆弾──────」

朝倉「やっぱりそっち系よね……」

パンドラ「ですが、マスター、あれを用意するには5分必要です。
      それまで持ちこたえなくちゃぁ、なりやせん」

森「分かっているわ、私が死ななければいいのでしょう?」

パンドラ「そういうことです。あ、自分を引きずり出されないように注意してくだせえ」

森「了解」

朝倉「あまり穏やかな話じゃないわね」

森「……そうですか?」

朝倉「よくもまぁ、そんな笑顔で……人間ってホント怖ぁい♪」

森「私からすればあなたたちTFEIのが、よっぽど恐ろしいわ」

朝倉「あら、嫌われちゃった♪」

森(パンドラ、準備はいい?)

パンドラ(ばっちりですぜィ!)

森「さっき、あなたたちが聞いたようにあと5分で、この町はあなたたちもろとも死ぬわ」

朝倉「町が死ぬ……町単位で人間が死ぬってことかしら」

森「そうよ……世界平和のために、この町が生贄となるの」

朝倉「…………ふぅん、なんだかつまんなぁい」

森「だったら阻止してみなさい」

朝倉「言われなくてもそのつもりだし、それは確定事項だから安心して♪」

森「減らず口を……」

周防「──────朝倉涼子────────行って────」

朝倉「はぁい♪」


スゥゥゥッ………


森(朝倉涼子の姿が消えたッ……来るわねッ……!
  さっき、姿を消したとき、空中で、なおかつミサイルの熱感知が反応しなかった……
  つまり、朝倉涼子はスタンドの能力でそこから『存在』ごと姿を消しているということ……
  なかなかに厄介な能力ね……)

森「パンドラッッ!」

パンドラ「わぁかってますよォッ!!」


ドサドサドサァァァァッ!


森(さあ、朝倉涼子……かかってきなさい……大量の地雷がお相手するわ)

朝倉「残念♪」

森「真後ろッ!?」

朝倉「自分の地雷で自爆なさい♪」

ドンッ!

森(押されたッ! このままでは自爆するッ!)
森「パンドラッッ!」

パンドラ「了解でぃ! 回収ゥゥゥ!」

シュシュシュシュシュンッッ!

朝倉「地雷が消えた……そういうこともできるのね……」

森「間一髪、ね…」

朝倉「でも、私の本当の狙いは地雷による自爆じゃないわ」

森「…! しまったッッ!」


朝倉「本当の狙いは周防九曜よ」


周防「────────────────────抹消」

森「くゥッ!」

パンドラ「チィッ! ガトリングでハチの巣になりゃァァッ!」

周防「───────────」


ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!


パンドラ「へへッ、木端微塵のミンチ肉だぜィッ!」

森「調子に乗らないで」

パンドラ「うひッ、すいやせん、すいやせん」

森「………丈夫すぎる髪の毛ね」

パンドラ「うげげげェッ! なんでぇ! あのでっかい黒いボールはァッ!」

森「硬質化した髪の毛で球体のバリアを作りだした、といったところかしら……」

パンドラ「むっきィィィィ! 無傷! 無傷かよォッ! むかつくゥゥゥッ!」

森「油断しないで、パンドラ。朝倉涼子もいるのよ」



朝倉「そうね、忘れてもらっちゃ困るわ」



パンドラ「うげげッ! また真後ろにィ!」

森「だから、油断しないでと言ったでしょう」

朝倉「今度こそ串刺しにめった斬りよ♪」

パンドラ「………なぁんてねぇ」

朝倉「あ、あれ、なんでかしら、からだが、グラグラ、する……?」

森「……ふふ、やるわね、パンドラ。これで朝倉涼子はリタイアよ」
森「朝倉涼子、話はいろいろと聞いているわ」

朝倉「え、な、何を、ゴフッ…、あれ、ど、どうして、わたし、血を、吐いて、る、の?」

森「あなた、長門有希に消され、再びここに召喚されたらしいわね。
  その際、TFEIとしての情報操作能力は消されている、とか」

朝倉「……ゲフッ……そ、それが?」

森「つまり、あなたはもう自分の傷を治せない。もうおしまいってことよ」

パンドラ「ケケッ! こいつ、気づいてないですぜィ?」

森「……あなたは、パンドラの兵器で後ろに現れた瞬間、攻撃されていたのよ」

朝倉「う、うそ……そんな……ことは、ゲホォッ!」

パンドラ「わっしゃあ、常にレーダー付きの兵器で敵の位置を確認してるんでさぁ、
      あんたが真後ろに現れた瞬間を捉えることくらい簡単ってことなんよ」

朝倉「じゃ、あ、わたし、はどうなったの?
    どうして、血を、吐いて、体が、ぐらぐらして、足が言うことを聞かないの? どうして」

パンドラ「うひひひひッッ! マスター、押してやってくださいよッ!」

森「………さようなら、朝倉涼子」


トンッ


朝倉「たお、れる?」

森「違うわ、落ちてるのよ」

朝倉「…え? 私の、下半身?」

パンドラ「ひひひひッ! レーザーで真っ二つに焼き切ったのさァッ!」

朝倉「あ、かッ、うそ、よ……」

森「あなたはおしまい。そこで、この町が終わるのを見届けていなさい」

朝倉「う、そ………あ、はは………スタンドも……真っ二つ、ゲホッ、に、されちゃった……
    わた、し………ほんと、役立たず……ね……く、やしい、なぁ………」

森「周防さん、あと3分半しかありませんよ。いつまでそうして身を守っているつもりですか?」

パンドラ「なんでぇ、あの陰湿女ァ。ほっときやしょうぜ、マスター。
      わっしゃぁ、ああいうジメェっとした女が苦手なんですわぁ」

森「ダメよ。情報統合思念体と同レベルの勢力から派遣されたとされているの。
  油断することは許さないわ」

パンドラ「へぇい……」

周防「──────カゲヌイ────準備は────────」

カゲヌイ「──────────────okay────」

森「………微動だにしないわね」

パンドラ「きっと、さっきのガトリングが実は貫通していた、とかっちゅうオチじゃないっすかァ?
      ウヒヒャァハァッ!」

森「パンドラ、あんまり油断していると、その舌引っこ抜いて喋れなくさせるわよ」

パンドラ「うひッ……そ、そんなことしたらマスターだって、お陀仏なんじゃ」

森「引っこ抜くわよ?」

パンドラ「す、すいやせん……」

森「分かればいいの、分かれば」

パンドラ「へ、へぇい…」



ビュォォォォォオオオオオッッ!



パンドラ「き、きたァァァッ!」

森(バリアに使ってる髪の毛の一部を腕の形状にしてこちらを狙ってきた…考えたわね)
森「でもッ! 避けられない速さではないわッ!」

パンドラ「さっすがマスタァァァッ!」

森「パンドラッ! レーザーで髪の毛を焼き切ってッ!」

パンドラ「アイアイサァァッ!!」


キィィィィィィィィィィィィン…………

バサッッ……


パンドラ「ひひッ! ガトリング弾は弾けても、レーザーは防げねェみてェだなァ!」

森「いえ………くるわ」

パンドラ「へ? ……うおおおおおお!?切り落とした髪の毛が杭みてぇになったァッ!?」

森「飛んでくるッ! パンドラ、撃墜してッ!」

パンドラ「ええい、いちかばちかだッ! 対空ミサイルをくらえィィ!」


ドゴォッ! ズドォォッ! バゴォォォッ!!


森「…撃墜できたみたいね」

パンドラ「ま、まぁ、わっしにかかればこんなもんでさァ!」

森「周防さん、そんなに悠長に構えてていいのかしら? あと2分を切ったわ」

パンドラ「…………リアクションはなし、ですかねェ」

森「…私たちの能力を情報操作でどうにかしようというのかしら」

パンドラ「……だとしたら、あいつ、大馬鹿野郎だァッ!」

森「パンドラ、おしゃべりが過ぎるわよ」

パンドラ「うひひッ! すいやせェん!」

森(…スタンドは人の精神を具現化したもの。
  人の心に干渉することのできない情報操作でスタンド能力を打ち消すなんてことは不可能…
  だとしたら、私たちの勝利は確定だわ)
森「ふふ……はははッ」

パンドラ「へへ、うひひひひひひッ!」

森「私たちの勝ちのようね…ねぇ、パンドラ?」

パンドラ「そうでさぁ、そうでさぁ! あいつは大馬鹿鼻たれのマヌケ野郎!
      マスターになんざ、指一本、髪の毛一本触れられませんよォッ!」

森「あはははははッ」

パンドラ「うひひひひひッ、ひッ、ひィッ!」

森「なに、どうしたのよ、ふふ、パンドラったらそんな声出して」

パンドラ「ま、マスタァッ! あれ、あれを見てくださいよォォッ!」

森「なに、なんな………なんなのよ、アレッ!影が…髪の毛の球体の影がッ!」

パンドラ「何の形でェ、アレはッ!」

森「実体は球形をしているのに、影だけ、まるで悪魔のような、鬼のようなッ……」

パンドラ「角に、鋭い爪、ごっつい体つきでっせェ…?」

森「『周防のスタンドの能力は髪の毛を操る』という概念は捨てたほうがよさそうね……」

パンドラ「で、でもですよッ!
      影が動いているからと言って、あっしらにダメージを与えられるんでしょうかねェ?」

森「それもそうよね……あの、鬼の影をどう使うと言うの……?」

パンドラ「あれで、あと1分と少しのうちに、あっしらを倒せると思ってるんでしょうかねぇ! ひひッ!」

森「……油断は許さないわ」

パンドラ「マスター、これは油断じゃありやせんぜ? こういうのは余裕っていうんでさァ」

森「減らず口をよく叩くスタンドだわ……」

パンドラ「ひひッ! マスターの精神の具現化ですよォ?」

森「……ハァ」


ズンッ

ズンッ!


森「ッ! 何の音!?」

パンドラ「…レーダーには変化はありやせん!」

森「まさかッ! 鬼ッ!」

パンドラ「か、影だけがこちらに向かって歩いてきているゥッ!?」

森「どういうことッ!」
森(しかも、まるでそこに本体がいるかのように影や足跡が残っているッ……
  そこに透明な鬼がいるとでも言うのッ?)

パンドラ「あ、あっしらの影と、鬼の影が接触しやすぜッ!?」

森「距離をとるわよッ!
  あと1分で私たちの勝利が決まるのだもの、こんなところで捕まるわけにはいかないわッ!」

パンドラ「だ、ダメでさァ! 周りにはさっきの戦いで散らばった髪の毛がッ! 罠かもしれやせんッ!」

森「なんですってッ!」
森(さっきの髪の毛での攻撃はこのための罠だったというのッ…)

森「でも負けられないッ! パンドラッ! いつでも髪の毛を攻撃できるように構えていてッ!」

パンドラ「ら、ラジャァッ!」


周防「──────逃がさない────────」

カゲヌイ「────────────────all ready──」


森「髪の毛がきているッ! 火炎放射機ッ!」

パンドラ「ウオォォォォォォッ!!!!」

森「さすがに熱には弱いみたいねッ!」

パンドラ「臭いだけは耐えられやせんが……」

森「我慢なさいッ!」
森(あと四十秒……)

森「鬼の影がきているわッ!」

パンドラ「マスタァッ! グラウンドに逃げやしょうッ! あそこなら影もないし、広いッ!」

森「そうね、そうするわッ!」



周防「────────────」



森「ハァッ……ハァッ………」

パンドラ「あと二十秒でさァッ!」

森「ふふ、ふふふふ! あはははははッ! 私の勝ちねッ!」

パンドラ「周囲にはこれといって追手は来ていやせんッ! 影もこちらに来るのには間に合わないッ!」

森「あとは、マスクをつけるだけね……パンドラ、マスクを……ごほッ!」

パンドラ「マスター、デスクワークが多いのに無理するからですぜィ?」

森「お、おかしいわね、こんな、息切れするほど、運動していないはず、
  ゲホォッ! ゴホッ! ゴホッ!」

パンドラ「ま、マスター?」

森「ま、まさか、攻撃ッ……? ゲェホォッ! グ、ガッハッ…!」

パンドラ「マスターッ! しっかりしてくだせぇッ! 
      マスターがマスクをしないと、あっしの最終攻撃はできやせんよッ!」

森「ゼェッ、わ、わかって、ゲホォッ! くるし、どうし、て、ゲホォッ! う」

森「うおえええええええ」

パンドラ「ま、マスターッ!!」

森「ゲッホッ! ガハッ…! グ、こきゅう、できな」

パンドラ「お、おかしいッ! この辺りは空気汚染もないッ! 
      スタンドによる攻撃だとしたらあっしにもダメージがあるッ!」

森「も、う、だ、め……」

パンドラ「ま、マスターッ! マスタァッ!」



周防「────────終わった──」

カゲヌイ「──────────completed」

パンドラ「う、あ、き、貴様はァッ! 周防ッ! てめェッ! 何をしたァッ!」

周防「──────────説明不要────────仇──────覚悟────」

カゲヌイ「──────excution──」

パンドラ「ま、待てェッ! やめろォッ!」



周防「──────────────終わり」

カゲヌイ「────────────finished」

周防「────────────────連絡─────」



SPW財団ワゴン車内



阪中「あ、朝倉さんがてけてけになってるのを見た時は、もうびっくりしたのね……」

朝倉「あら、失礼ね、阪中さん。あれでも結構痛いし、苦しいしで辛かったんだから」

佐々木「普通の人間なら死んでいるから驚いたんだと思うよ」

朝倉「あら? あなたが佐々木さん?」

佐々木「ええ、はじめまして。よろしくね」

承太郎「話の最中悪いが、朝倉、話の整理をさせてくれ」

朝倉「そうね、挨拶ならあとでたっぷりできるもの」

承太郎「お前たちを襲ったのは、古泉が所属している『機関』という組織の一員、
     森園生でいいんだな?」

朝倉「ええ、そうよ。彼女が話すには涼宮さんは谷口君に洗脳されているの。
    でも、洗脳されているが故に、ストレスや不満というものを感じることがなく、
    閉鎖空間を生み出す必要もない。
    つまり、このままでいれば、世界を作りかえる危機を防ぐことができる。
    彼女を含め『機関』はそう結論を出したみたい」

承太郎「と、なると、『機関』の人間は全て敵だと思ってかかったほうがいいな。
     姿を消した古泉も、再び敵として現れる可能性が高い」

朝倉「……そうなるわ」

承太郎「朝比奈と鶴屋、それに運転手が気を失っただけで済んだのは幸いだな……。
     あとは周防のことだ」
承太郎「周防、お前が森を気絶させ、捕えたと聞いた」

周防「──────────────」

朝倉「ふふ、さっきゲロぶちまけて、ものすんごい顔してたのに、
    こんなに安らかな寝顔をしてるなんて、不思議♪」

承太郎「………これからの戦いのためにお前のスタンド能力を把握しておきたい」

阪中「私たちは佐々木さんを回収するから、戦いを直接見ることができなかったのね」

佐々木「そうだね……こんなところで君と合流することになるとは思っていなかったし、
     君をよく知る仲間としてぜひ教えてほしいな

周防「───────私の───黒───操る───」

阪中「黒を操る…?」

朝倉「黒………髪の毛や影のことね?」

周防「────────それだけ────」

承太郎「待て、それだけでどうして森を嘔吐させ、気絶させることまでできた?」

朝倉「この子に説明させると長くなりそうだから、私が推測したことを話すわ」

周防「──────────お願い──」

朝倉「ふふ、任せて♪
    髪の毛や影を操る、という能力は、たとえばそれらがその形を失っても能力は続くのよ」

阪中「えっと、それは髪の毛を切られても、ってこと?」

朝倉「もっと細かくよ。つまり、髪の毛を燃やしつくされて、それが炭素になっても」

承太郎「なるほど、なんとなく読めてきたぜ……。
     つまり、燃やされて灰になった髪の毛を森に吸わせ、
     呼吸器官や消化器官に混ざったところでそれらを操作し森に、
     呼吸困難の症状を現れさせたということか」

朝倉「ふふ、話の分かる人たちで助かるわ」

阪中「す、すごい能力なのね……」

周防「────────────────」

佐々木「ふふ、照れているようだね」

阪中「ともあれ、誰も欠けることがなくてよかったのね……」

朝倉「……そうね、私は真っ二つにされようと、ミンチにされようと、
    長門さんに再構築してもらえるけれど……」

承太郎「他の奴らはそうはいかないからな…」

佐々木「……キョン…」

運転手「……………みなさん、あと数分でSPW財団所有の宿泊施設に到着します」

承太郎「オーケイ。みんな、これから施設で明日のためにゆっくりと休んでもらう。
     明日ですべてを終わらせるぞ」



to be continued.....




カゲヌイ ……周防九曜のスタンド。真っ黒なロングコートに、
         シルクハットという少し昔のヨーロッパを思わせる人型のスタンド。
         周防自身の『黒』を自由自在に操ることができ、髪の毛を始め、さまざまな体毛や、
         瞳孔、果てには影までをも操ることができる。
         本来の形を失っても色が黒であれば効果は永続する。
         スタンド本体の戦闘能力は低いが、周防の髪の毛を使った攻防は、
         パワー型のスタンドにも引けを取らない。

森園生 ……涼宮ハルヒによる世界改変を防ぐため、谷口側に加担していたが、周防九曜に敗れる。
         その後、捕えられ、承太郎たちと共にSPW財団所有の施設へと連行される。

パンドラ・スカート ……森園生のスタンド。
              メイド服姿の森園生のスカートの中にのみ存在する、姿形不明のスタンド。
              ありとあらゆる兵器を召喚して使用することができる。
              対朝倉・周防戦では、対空ミサイル・ガトリング・レーザーなどを用いた。
              また、『最終兵器』という細菌兵器は、
              町一つが死滅するほどの破壊力を持つが、
              使用するのに5分ほどの準備時間が必要。


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コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: キョン「また転校生だと?」 その6

    あれ…キョンってこんなに格好良かったっけ…

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