唯「へんしん!」

2009年11月11日 03:57

唯「へんしん!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 15:44:31.21 ID:/1aSnxnL0

律「おい、ニュース見たか?」

唯「ほえー」

律「例の連続殺人事件、この近所でも被害者出たってさ」

澪「う、うそだろ・・・」

梓「怖いですね・・・」

唯「えー!そんな事件あったのー?」

澪「お前は新聞やテレビ見ないのか・・・」

唯「4コマとポチタマしか見てないや・・・えへへ」

紬「うふふ、唯ちゃんらしいですね」

唯「連続殺人かぁー、ドラマみたいだねー」

律「実感わかないよなー」

澪「すこしは警戒しろよな・・・」

律「おやおやぁ?心配してくれてるのかなぁー?」

澪「べっ、別に・・・お前らがあんまり平和ぼけしてるから・・・」

唯「やさしいなー、澪ちゃんは。うん、気をつけるよ」

澪「ゆ、ゆゆ、唯・・・」

紬「たはー」

ガラガラ

さわ子「あら、まだ居たの、あなた達」

梓「あ、山中先生、こんにちは」

律「おいーす」

唯「どったのー、先生」

さわ子「お菓sゲフンゲフン、下校時刻だから、いい加減帰りなさいって連絡に」

紬「開けてない焼菓子がありますが、置いたままでいいでしょうか」

さわ子「ああ、私が片づけとくわ。それより、最近物騒なんだから、寄り道せずに帰りなさい」

律「だーいじょーぶだって、な?澪」

澪「先生、こいつは私が送っていきます」

さわ子「それじゃ、気をつけなさい」 すたすた

梓「じゃあ、帰りましょうか」

唯「そうだね」

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唯「さつじんじけんー、か・・・」

唯「なんか嘘っぽいよねえ・・・」

唯「・・・・・・」

唯「どんな人が犯人なのかな・・・」

唯「・・・なんで殺しちゃうのかな」

唯「・・・・・・」

唯「・・・んー、ま、わかんないや」


唯「ただいまー」

憂「おかえり、お姉ちゃん」

唯「おなか減ったよー、早くごはんにしよーう」

憂「それなんだけど、お姉ちゃん、おつかい頼んでいい?」

唯「んー?」

憂「実は、パン粉切らしちゃっててね。カキフライのつもりだったんだけど」

唯「かっ、かきふらい!」

憂「他の献立ならすぐ作れるんだけど・・・」

唯「はい、はい、はい!パン粉買ってきます!」 だっ

ガチャン

憂「・・・行っちゃった」


店員「ありがとうございましたー」

唯「ふっらい、ふっらい、かっきふらい♪」

唯「しあわせだよぉ・・・しっぽカリカリだよぉ・・・」

唯「ふっらい、ふっら・・・あれ・・・」

唯「・・・エビフライじゃないや」

唯「なんで間違えたんだろう・・・かき嫌いなのに・・・」

唯「・・・海老買ってこよう!」


店員「アリアリアリアリアリアリアリアリ」

唯「あいきゃんえびふらーい!」

唯「釈迦はいい人だったから!」

唯「えびふらーい!」

唯「えび・・・ちょっと疲れたなー」

唯「急いで買いにいったからギー太も背負ったままだし・・・」

唯「・・・早くかえろ!そしてえびふらい!」

唯「・・・ん?なんだろ・・・あの電柱の下の黒いのって・・・」

すたすた

唯「猫ちゃんかな・・・暗くてよく見えな・・・・・・え・・・」

唯「・・・の、和ちゃん?」

唯「え・・・なんで・・・」

唯「あ、あたまだけ・・・なんで・・・なんで・・・」

唯「・・・和ちゃん!和ちゃん!・・・う」

唯「うぐっ・・・
  (だめだよ私・・・吐いたりしちゃ・・・友達だよ?友達を見て、吐いたりしちゃ・・・うぅ・・・)」

唯「えぼああぁああ・・・づほっ、うぐ・・・なんで・・・和ちゃん・・・
  ・・・け、警察にれ、連絡しないと・・・うわっ!」

?「グググ・・・グアア・・・」

唯「な、なんだこの人・・・いや・・・人じゃない・・・?」

怪人「ウガアア!」

唯「うわあああ!」

ボフッ ドサー

唯「パ、パン粉が・・・よくも!よくもパン粉を!首なし怪人!」

ガリッ

唯「あぶな・・・か、鞄がまっぷたつに・・・!」

唯「う、うう・・・(もしかして・・・和ちゃんを殺したのは・・・もしかしなくても・・・こいつ?)」

怪人「フーゥウウウ・・・ウウウ・・・ュィ・・・アヴアアアアアァ!」

唯「うっ、うわあああああああ!」

ガッキイィイイイイン!

唯「ぎ、ギー太のケースが・・・」

唯(・・・そうだ・・・律ちゃんが見せてくれたライブのDVD・・・
  あのギタリストはギターでアンプを叩き壊してた・・・
  ・・・やるしか、やるしかないんだ・・・ごめんねギー太・・・)

唯「・・・私だって」

怪人「ガルゥアアアアアア!!!」

唯「ギタリストなんだァあああああああああッ!!!!!」

きゅい――――ん――――――

ドッ ギャルル ドグアアアアアアアッ

怪人「ウ・・・グ・・・」 ばたん

唯「や、やった・・・」
唯(でも・・・今のは、一体・・・一瞬、頭が真っ白になって・・・すごい力が湧いてきて・・・)

怪人「・・・・・・」 しゅううううぅぅ・・・

唯「あれ・・・あの体って・・・まさか・・・」

唯「和ちゃん・・・!?」

唯「そ、そんな・・・どういうこと・・・?」

唯「・・・・・・」

唯「・・・とりあえず、頭とくっつけよう、うん」


唯「くっついちゃったよ・・・」

唯「どうなってるんだろう・・・なんかネバネバしてたなぁ・・・」

和「 」

唯「生き返るかなぁ・・・」

唯「・・・・・・オクラくさい・・・」

唯「・・・和ちゃん・・・目が覚めたら襲ってきたりしないよね」

和「う・・・」

唯「ぎゃっ」

和「ゆ・・・い・・・」

唯「の・・・のど・・・か・・・ちゃん・・・?」

和「わ・・・私は・・・一体・・・」

唯「しっかりして!和ちゃん!」

和「う、うん・・・どうしたの唯・・・パン粉だらけで・・・」

唯「か、かきふらいが、えびふらい、じゃなくて、」

さわ子「二人とも動くな!」

唯「さ、さわちゃん!?」

さわ子「あ、あなた達なの・・・」

唯「いったいどういう・・・なんでさわちゃん先生が銃を持って・・・」

さわ子「!・・・唯ちゃん、和ちゃんから離れて!」

唯「え、え」

和「・・・?・・・何が、どうなって」

さわ子「くっ・・・!」 ぱん

唯「!」 タンッ

さわ子「!?・・・そんな・・・銃弾を素手で・・・!」

唯「なんで・・・なんで和ちゃんを撃つんですか!先生!」

さわ子「・・・唯ちゃん・・・真鍋さんはね・・・もう」

さわ子「人間じゃないのよ」

唯「・・・・・・」

さわ子「・・・信じられないのも無理はないわね」

唯「いえ、その・・・でも・・・」

和「私が・・・人間じゃない・・・?」

さわ子「ん・・・ちょっと待てよ・・・あれ?」

さわ子「いや、たしかに一度死亡、覚醒している・・・なのに、なぜ・・・」

唯「あのう・・・」

さわ子「・・・和ちゃん。何があったかわかる?」

和「いえ・・・」

さわ子「意識の混濁も無し・・・異常ね。正常すぎる」

唯「先生っ!」

唯「あの、私、和ちゃんが、その、大変なことになって、あの」

さわ子「・・・和ちゃんが、変身したのね?」

唯「してたというか、なんというか・・・とにかく、見ました!」

さわ子「そう・・・じゃあ話はわかるわね。和ちゃんから離れなさい」

唯「いやです!」

さわ子「唯ちゃん・・・」

唯「私が離れたら・・・さわちゃんは、和ちゃんを撃ちます・・・それはだめです」

さわ子「・・・まぁいいわ。
     素手で銃弾止められちゃ、力づくもないわよね・・・安心しなさい、もう撃たないから」

さわ子「じゃあ、質問していいかしら。唯ちゃん・・・あなた、何者なの?」

唯「・・・私は」


『・・・私だって』

『ギタリストなんだァあああああああああッ!!!!!』


唯(あの時、私は・・・)


唯「うっ・・・」

唯「頭が・・・いたい・・・」

さわ子「・・・自分でもわからない、って感じね。いいわ、聞かないでおくから」

さわ子「それより、状況の説明と・・・けが人の手当てね」

和「あ・・・あの・・・私は・・・」

さわ子「・・・ふたりとも、私の家に来なさい。ここじゃ人目につくわ」


山中家


さわ子「さて、まずは真鍋さんの体のことから」

和「はい・・・」

さわ子「歩いていたら突然、意識を失ったのよね?その前後には何か見なかった?」

和「いえ・・・何も思いだせなくて・・・気が付いたら、唯に抱えられていて」

さわ子「そう・・・不幸中の幸いね」

和「?」

さわ子「 簡潔に説明するわ。あなたは一度死んだ。そして別の生き物として生まれ変わったの」

和「そ、それって、どういう」

さわ子「・・・こういうことよ」

ズブッ

和「いぎゃあああ」

唯「先生、何を!」

和「ひっ、ひう・・・」

唯「さわちゃんひどいよ!いきなりフォーク刺すなんて!」

さわ子「ごめんなさい・・・でも、もう傷は消えてるでしょ?」

唯「え・・・ほんとだ!」

和「そ、そんな・・・こんなことが」

さわ子「自分が変わっちゃったこと、わかるかしら?」

和「・・・はい」

さわ子「圧倒的な代謝機能、組織の再生力、免疫力、そして運動能力・・・
     その他にも未知の領域が多いけれど、ただ一つ言えること、それは」

さわ子「人より遥かに優れた生物である、・・・いわば新人類ということよ」

唯「し、・・・しん、じんるい・・・って、なに?」

和「新しい人間ってこと・・・」

さわ子「そして私は・・・この存在を≪オルフェノク≫と呼んでいる」

和「オルフェノク・・・」

さわ子「いつ頃から存在するものなのか、詳しいことはわからないの。
     ただ、世界各地に遺されているものから、それを窺い知ることは出来る」

和「・・・酒呑童子・・・ですか」

さわ子「そうね、近いかもしれない。そしてそれらの共通点は、『人を襲った』ということ。
     それも、親しい人達を」

和「・・・・・・」

さわ子「まぁ、この話は気に留めなくてもいいわ。本題はここからよ」

さわ子「当たり前だけど、全ての人間が死後、オルフェノクになるわけじゃないの・・・
     ほんの一握りの人だけなのよ」

和「それがなぜ、私なんかが・・・」

さわ子「当初は、オルフェノクによって殺された人が、覚醒するのではないかと思われていたわ」

和「・・・まるで、感染するように・・・」

さわ子「そうね・・・でも違った。確かに被害者の中には覚醒する者もいた。
     でも、例外もあるのよ。けして無視できない数字で
     私は一つの仮説を立てた。
     人間の中には死後、オルフェノクになる『素質』を備えた者がいる・・・と」

さわ子「そして、素質を持つ者、覚醒した者だけが、それを判別できる・・・と」

さわ子「・・・少し話が逸れるけれど、人間は生き物よね。
     生き物である異常、危険を本能的に回避する、勘があるのよ」

さわ子「おそらく、素質保有者と覚醒者には、それがない」

唯「どーゆーこと・・・?」

さわ子「危険を回避できないから・・・自然とオルフェノクと衝突する」

さわ子「つまり、オルフェノクに殺されてしまうようなシチェーションに入りこめる時点で、
     素質があると言えるのよ」

さわ子「逆に・・・オルフェノクが襲うのは、オルフェノクになる者だけ、とも言えるわ」

和「それで、被害者と加害者がオルフェノクである可能性が高い、と・・・」

さわ子「そう・・・おそらく和ちゃんを襲ったのは、覚醒した者だと思われるの。
     首がとれてたんでしょ?」

唯「すっぽり・・・」

さわ子「よね・・・もし通り魔や殺人鬼だったら、路上で人の首を撥ね飛ばすようなこと、できないもの」

和「ちゃ、ちゃんとくっついてますか?」

さわ子「大丈夫よ、だから多分・・・唯ちゃんにも素質が」

唯「ほえ・・・死んでも生き返れるってこと?」

さわ子「そんな便利なものじゃないのよ・・・覚醒したときに自我を保てるものは殆どいない・・・」

さわ子「暴走し、新たな犠牲者を生みだしかねないの・・・」

唯「で、でも・・・和ちゃんはこうして」

さわ子「そう・・・そこなの。唯ちゃん、あなた、何をしたの?」

唯「えっと・・・ギー太で殴っちゃって・・・」

さわ子「・・・ちょっと、見せてくれる?」

さわ子「・・・普通のレスポールよね・・・」
さわ子(でも・・・唯ちゃんの手にある時・・・一瞬・・・赤いギブソンに見えた・・・)

さわ子「さっき銃弾を素手で弾いたことからみても・・・唯ちゃんも普通の人間じゃないようね」

唯「とくになんにも変んないよ?」

さわ子「そうね・・・けがも残ってるし・・・」

和「あの・・・先生・・・」

さわ子「何かしら」

和「それじゃ・・・先生は、もしかして」

さわ子「・・・ええ」


さわ子「オルフェノクなの」


さわ子「私が死んだのは・・・10年前のこと・・・ライブの帰り道に、何かに吹き飛ばされて・・・」

唯「・・・・・・」

さわ子「気が付いたら、自分の体が、見たこともないような形になっていたの・・・」

さわ子「何が起きたか分からなかった・・・ショックだったわ」

さわ子「でもパンクな格好だから、まぁいいか、と思って」

唯「えー」

さわ子「落ち着くと、元の姿に戻っていたの」

さわ子「その後も、度々私は変身した・・・
     ふられた夜、タンスの角に小指をぶつけた時、深爪した時・・・」

さわ子「誰にも相談できずに・・・孤独だったわ」

和「先生・・・」

さわ子「そんな時、私と同じ、覚醒した人に出会ったの・・・いや、戦ったというべきかしら」

さわ子「その人は突然襲いかかってきたの・・・変態かと思った」

さわ子「首を絞めようとしてくるから、必死に抵抗してたら・・・変身しちゃって」

さわ子「その人をすごい力で突き飛ばしたの・・・そしたら、その人も変身して」

さわ子「何がなんだかわからなかったわ・・・ライブより激しかった・・・」

さわ子「どちらも疲れ切ったころに、変身が解けてね」

さわ子「『暴走していないなら・・・見逃しておこう』とか言われて」

さわ子「私は必死で縋りついたわ・・・
    『どうなっているのか教えて、この体がなんなのか教えて』ってね」

さわ子「そしてオルフェノクのこと・・・彼がオルフェノクを駆逐しようとしていることを知ったわ」

さわ子「それから・・・彼と一緒に、オルフェノクを探し出し、狩る日々が始まった」

さわ子「苦痛だったわ・・・いくら姿は違っても、同じ人間を・・・」

和「・・・・・・」

さわ子「彼は言っていた・・・

『オルフェノクを見つけ出せるのは、オルフェノクだけだ・・・その時代に生まれた者が、その時代を守らなきゃいけない』

・・・それが、覚醒した者の使命だって」

さわ子「彼は戦闘で命を落としたけど・・・思いは私が引き継いだ」

さわ子「今は私が・・・守る番なのよ」

さわ子「だから、和ちゃん。困ったことがあったら、相談して。力になるから」

和「・・・はい」

さわ子「さて、もう遅いし、ふたりとも帰らないとね・・・私がおくっていくわ」

唯「あの・・・」

さわ子「何かしら?」

唯「パン粉もらえますか・・・?」



唯「ただいま・・・」

憂「遅かったね、おねえちゃ・・・どうしたの!?」

唯「う、うーん」

憂「すり傷だらけだし、ギターのケース割れてるし・・・何があったの!?」

唯「こ、ころんじゃって、たはは」

憂「転んだからってそんなにならないよ・・・」

唯「あ、パン粉だよ!ういー」

憂「お姉ちゃんってばぁ・・・」


音楽室


律「でさー今日一日中、私に教科書借りるんだぜ、唯のやつ」

唯「ごめんねー、りっちゃん」

律「別にいいけどな、どうせ授業つまんないし」

梓「それにしても、教科書と鞄が破れちゃうなんて、何してたんですか?先輩」

唯「い、いやぁ、ちょーっと、ねえ」

紬「そういえば、澪ちゃんは?」

律「ああ、あいつ、家庭科の後片付けがあるから、遅くなるってさ」

唯「ふーん」

アナウンス『・・・家庭科室で火災が発生しました。
       校内に残っている生徒は、教員の指示に従って、速やかに避難してください、
       繰り返します・・・』

律「・・・おいっ!」

梓「ど、どうしましょう」

律「か、家庭科室いってくる!」

がしっ

律「は、放せよ、ムギ!」

紬「ダメです!避難しないと!」

律「でも、澪、澪がっ!」 だっ

紬「ダメっ!」

梓「せ、先輩・・・」

梓「唯先輩が、追いかけていっちゃいました」

紬「そんな・・・」

さわ子「放送は聞いたわね!早く避難しなさい!」

梓「せ、先生、律先輩と唯先輩が、家庭科室に!」

さわ子「な・・・わかったわ、私が連れ戻すから、非常階段へ向かいなさい!」

梓「は、はい!」

紬「・・・・・・」

さわ子「・・・どうかしたの?琴吹さん、早く避難しないと!」

紬「・・・いえ、なんでもありません。梓ちゃん、行くわよ」



律「澪ー!みーおー!」

唯「りっちゃん、危ないってば!」

律「げほげほ・・・くそっ、なんにもみえない・・・澪、返事しろぉ!」

ガチャガチャ

律「くそっ、鍵が・・・あれ、ふらふらする・・・」 ばたん

唯「りっちゃん!?」

唯「りっちゃん!しっかりして!」

律「う・・・」

唯「お、おもいー・・・」

さわ子「二人とも、無事!?」

唯「さわちゃん、りっちゃんがっ!」

さわ子「一酸化炭素中毒ね・・・一緒に運ぶわよ!」

唯「でも、中に澪ちゃんが!」

さわ子「くっ・・・あれ、唯ちゃんは大丈夫なの?」

唯「え、あ、そういえば」

さわ子「覚醒していないのに・・・じゃあこうしましょう。
     私が田井中さんを運ぶから、唯ちゃんは秋山さんを!」

唯「えっ、はい!」


家庭科室


和「澪!しっかりして!」

澪「こわいよこわいよ・・・あついよ・・・」

和「どうすれば・・・!」

ガシャーン

怪人「ドゥルルッ・・・」

和「な、なんなの!?」

澪「ひっ・・・」 がくっ

怪人「ダグアァアア!」

和「きゃあああ!」

ドッ ズサ

和「う・・・ぐ・・・」

怪人「グドゥルルルル・・・」

和「このままじゃ、澪が・・・!」

和(どうしよう・・・どうすればいい・・・)

和(・・・そうだ・・・私は・・・)

和(・・・澪は気絶してる・・・やるなら、今しか・・・!)


和「・・・変、身!」

ギャイ―――ン――――


唯「扉あけなきゃ!」

じゅっ

唯「あっつー!」

唯「ふー、ふー・・・」

唯「こうなったら、けとばして開けないと・・・えいっ!」

ドガッ ドガッ

唯「つー・・・小指がぁ・・・」

唯「おかしいな・・・なんで普通の力しか出せないんだろう・・・煙は大丈夫なのに・・・」

唯「・・・あ!そうだ!ギー太とってこよう!」


家庭科室


和「・・・これが・・・わたし・・・」

和「と、戸惑ってる場合じゃない・・・澪を守らないと!」

怪人「ヅウウッ、ドルルル」

和「う、うわあああっ!!!」

 私は思い切り踏み込み、怪人の頭を蹴り上げる
 よろめいているところで頭をつかみ壁に押し当て、

和「ああ゛ああああああああ!」

 疾走し引きずった
 いやな色の液体がそこら中に飛び散る

怪人「ヅ、ヅ・・・ドルルラァ!」

 首をつかまれた
 振りほどこうとするが力が入らない
 そのまま振り飛ばされて壁にぶつかる

和「うぐっ・・・ごふぁっ・・・」

 気づくと、変身が解けてしまっていた

和「う・・・、ふふふ」

 動けない私に怪人が近づいてくる

和「時間稼ぎには・・・なった、かな・・・」

 ・・・誰か、お願い。澪を・・・守って、あげて・・・

 薄れゆく意識の中で最後に見えたものは、吹き飛ぶ扉と
 ギターを構えた・・・え・・・ギター・・・?

唯「澪ちゃーん!助けにき・・・うぎゃあ!」

怪人「グルルルルル・・・」

唯「ちょ・・・えええ?まさか・・・澪ちゃんも・・・?」

和「ゆいー!うしろうしろー!」

唯「あ、和ちゃんも居たの!・・・あ、ほんとだ、澪ちゃん気絶してる・・・じゃあこれ誰?」

怪人「ドルアアアアアア!」

唯「うるさい!」

メギャッ

怪人「ウガアア・・・グ!」 バリィーン

唯「あ、逃げた!」


唯「和ちゃん、大丈夫!?」

和「なんとかね・・・段々治ってきたわ・・・それより澪は?」

唯「あ、そうだ」

唯「澪ちゃん、しっかり!」

澪「う・・・ううん・・・」

唯「あさだよ!」

澪「まだ・・・だいじょうぶ・・・」

唯「だいじょうぶだよ!」

和「・・・ま、なんとかなったみたいね・・・」


翌々日


梓「大変でしたねー・・・」

唯「しんぞーにわるいねー」

律「毛の生えてそうな奴がよく言うよ」

紬「りっちゃんなんて澪ちゃんが心配で心配で、助けに行っちゃったものね」

律「う、うるさいな、そんなんじゃねーよ」

澪「お前が一番重症だったんだぞ・・・気をつけろよ」

律「み、澪だって、昨日は寝込んでたんだろ・・・!」

梓「心配してるじゃないですか」

律「う、うるさーい!練習するぞー!」

ガララッ

和「唯、山中先生が呼んでるわよ」

唯「えっ、あ、うん、いまいくよー」

澪「呼び出しか・・・一昨日の火事のことかな」

律「それはもう澪が行っただろ。ははっ、唯のことだから、追試だったりして」

唯「ひどいよ、りっちゃん・・・」

梓「それにしても、なんなんでしょうね、火事の原因」

律「へ?澪がヘマしたんじゃないの?」

澪「わ、私はなんにも、ただ、普通に片づけてただけで・・・」

唯(そういや、あの火事・・・やっぱりオルフェノクとか関係あるのかな・・・そのことで呼び出しに・・・)
唯「あ、じゃあ行ってくるねー」 すたすたったたた

紬「・・・・・・」

澪「ん・・・ムギ、どうしたんだ?」

紬「あ、いいえ、なんでもないのよ、あはは」


職員室


唯「失礼しまーす」

さわ子「あ、来たわね」

唯「ほえ、和ちゃんも一緒なんだ」

さわ子「当事者だからね。
     さて、まだ説明しきれていなかったことの整理と、今回の・・・火事について」

和「・・・やっぱり、普通の火事じゃないんですね」

さわ子「まあね。あなた達、今朝の朝会で教頭が言ってたこと、覚えてる?」

唯「教頭ってだれー?」

和「唯・・・あんたね・・・」

さわ子「ほら、あそこにいる・・・」

唯「光ってる人?」

和「しーっ!」

唯「それで、光ってる人はなんて言ってたの?」

和「・・・『幸い、ガスにも引火せずに済みました』って言ってたのよ」

唯「うーん、いいことじゃん、みんな無事だったんだし」

和「・・・ガスに引火しなかったなら、あの火災の説明がつかないじゃない」

唯「えー?なんでー?机とか椅子が燃えたんじゃないの?」

さわ子「あのね、唯ちゃん・・・机や椅子が、自然に燃えると思う?」

唯「燃えないの?」

和「・・・先生、話を進めましょう」

さわ子「そうね」

和「ガスには引火していない、目立った火元もない・・・」

さわ子「そして、唯ちゃんと真鍋さんはともかく、
     普通の人間であるはずの二人が無事だったという事実」

和「・・・一酸化炭素の濃度が低かった?」

さわ子「ご名答」

和「でも・・・じゃあ・・・それって・・・」

さわ子「そうよ・・・およそ不完全燃焼とは言えない温度で、あの教室は燃えていた」

和「で、でも、ガスには引火してないって・・・!」

さわ子「ますますわからなくなるでしょ?」

和「じゃあ、やっぱり・・・あの時襲ってきたオルフェノクの仕業・・・」

さわ子「いえ、違うわ」

和「それじゃ、いったい・・・!」

さわ子「・・・今回の火事の原因はね、おそらく」


さわ子「澪ちゃんなのよ」


唯「み、澪ちゃんは火つけたりしないよ!どっちかって言うと火がつくほうだよ!」

さわ子「落ち着いて、唯ちゃん、もう帰っていいわ」

唯「えー」

和「・・・どういうことですか、先生」

さわ子「・・・澪ちゃんの倒れていた場所から、膨大な熱量の痕跡が見つかったの」

さわ子「その周囲にも、何か凄まじい力で捻じ曲げられた痕があった」

さわ子「そして、燃えていた机や椅子は全て、内側から発火していたようなの」

和「内側、から・・・」

さわ子「そう、まさしく自然発火・・・原因不明の、ね」

和「念力発火能力・・・パイロキネシス」

さわ子「あら、詳しいのね。私は昨日調べて初めて知ったわ」

和「澪が・・・超能力者なんですか?」

さわ子「わからないわ、今の時点ではね・・・オルフェノクではないようだし・・・」

さわ子「そして、もう一つ、わからないことがあるの」

さわ子「和ちゃん・・・あの時、私が廊下まで来たのを感じた?」

和「・・・いえ」

さわ子「私もあなたが家庭科室にいるのを感じなかった・・・」

和「オルフェノク同士は互いを感知出来る・・・でしたっけ」

さわ子「そう。今も感じていると思うけど」

和「はい・・・じゃあ、なぜ・・・そういえば、襲撃してきたオルフェノクの存在も、感じなかった・・・」

さわ子「・・・あの時・・・イレギュラーとして考えられる要因は、高温とそして、」

和「澪・・・ですか」

さわ子「・・・彼女の周囲には、彼女を中心として何か、大きな力が渦巻いている・・・
     たぶん、それに掻き消されて」

和「一体、なんなんでしょう・・・」

さわ子「・・・わからないわ」

和「そういえば・・・連続殺人の犯人は、今回のオルフェノクなんでしょうか」

さわ子「多分ね。素質のない者を4人も襲っていることから考えて、暴走ではなく・・・
     意図的な殺人でしょう」

和「家庭科室へやってきたのは・・・」

さわ子「澪ちゃんの力に引き寄せられたか、或いは・・・派手なのが好きとか」

和「せ、せんせい・・・」

さわ子「ま、わからないことばかりだし、おいおいね。もう話は済んだわ」

唯「ふーい。じゃあ部活に戻んなきゃ」

和「・・・失礼しましたー」


音楽室


唯「ただいまー」

律「おかえりー、赤点何個だった?」

唯「二つだけ、ってちがうよ!赤点ないよ!」

澪「おいおい、またなのか・・・」

梓「唯先輩・・・しっかりしてください」

唯「うぅ、あずにゃんまで・・・あれ?ムギちゃんは?」

梓「山中先生に用事があるって、職員室に行きましたよ?」

唯「へー・・・見なかったけどな・・・」

律「すれ違ったんじゃないの?唯、ぼーっとしてるし」

唯「うーん、ま、いーか」


お手洗い


さわ子「かはっ」

ビチャッ

さわ子「ぐっ・・・けほっ・・・・・・私も・・・もう長くはもたない」

さわ子「早く・・・オルフェノクを人間に戻す方法を見つけないと・・・」

さわ子「教え子を救えなかったら・・・教師失格よ・・・さわ子・・・」

紬「殊勝な心がけですね、先生」

さわ子「!」

さわ子「あ、あら、ムギちゃん」

紬「くく・・・まさか、こんなところに死にかけ糞虫がいるなんて・・・
  1年過ごして、気づきませんでしたよ」

さわ子「な、何を言って」

紬「化物の彼の後を追って死ななかったんですね、って言ってるのよ」

さわ子「っ!・・・あなたは・・・!」

紬「あのとき父に頼んで一緒に始末すべきでしたかね、先生」

さわ子「彼を嵌めたのは・・・琴吹家だったのね」

紬「嵌めた?うふふ、何を言ってるのかしら・・・
  オルフェノクを駆除する為に同士討ちを謀っただけ・・・」

さわ子「あの時の幼い少女は・・・あなただったのね」

紬「私が自ら囮になり・・・貴方達を戦わせたというのに、そんなこととは露知らず・・・
  私を助けたつもりになってたんでしょう?」

さわ子「くっ・・・」

紬「見上げたものよね・・・一度も暴走しないオルフェノクなんて」

紬「自らの捉える自分と、かくあろうとする自分の差・・・貴方の思考は雑音だらけ」

紬「ゆえに無意識の介在も意識の潜在も許さない・・・鉄壁の精神ね」

紬「ふふっ、オルフェノク向けに自己啓発セミナーでも開いてみたら?
  あ、私が始末したから、いないんだっけ」

さわ子「ぐっ・・・ムギ、ちゃん」

紬「そんな怖い顔しなくてもいいでしょう・・・さて、無駄話が過ぎましたね」

さわ子「・・・なぜ、今更わたしに接触を?」

紬「簡単な話・・・私達だけでは事態を収束できなくなったの」

さわ子「・・・今回の連続殺人ね」

紬「厳密には違う・・・殺された4人は・・・私の部下よ」

さわ子「道理で・・・合点がいったわ。
     素質を持たない人が立て続けに殺されるなんて、不自然だもの」

紬「そう、私の作戦に同行し・・・命を落とした者を、一般人の死に偽装、
  表向きには『連続殺人事件』として処理しているの」

さわ子「・・・なぜ?隠蔽することも、出来たでしょう」

紬「あなたを・・・おびき寄せるためよ」

さわ子「・・・それで?まんまと出てきた私を鬼退治して、めでたしめでたし?」

紬「もちろん違うわ・・・
  最初は、貴方と暴走しているオルフェノクを戦わせ、疲弊したところで双方始末するつもりだった」

さわ子「随分な待遇・・・優しいのね」

紬「・・・しかし、想定外の事態が発生してしまった」

さわ子「和ちゃんの、覚醒・・・」

紬「それもあるけど・・・わかっているでしょう?」

さわ子「・・・唯ちゃんね」

紬「そう・・・オルフェノクでもないのに同等の、いえそれ以上の力を発揮している・・・
  危険視すべきか迷ったわ」

さわ子「でも、暴走なんかしていない・・・!」

紬「あくまで、迷っただけ・・・そして私は、あの力が、オルフェノクに対抗する切り札と見る」

紬「2度もオルフェノクを撃退し、なおかつ1度目のケースでは暴走状態の和ちゃんを無力化、
  沈静にも成功している」

さわ子「不思議なことにね・・・」

紬「山中先生・・・彼女を研究させてもらえますか?」

さわ子「そ、そんなこと、許すわけが・・・!」

紬「あら、大したことじゃないわ。少し体を調べるだけ」

さわ子「でも・・・!」

紬「和ちゃんを人間に戻したいんでしょう?手だてはあるの?」

さわ子「う・・・」

紬「それに・・・あなただって戻りたいんでしょう?」

さわ子「・・・・・・」

紬「大丈夫、友達に大それた真似はしないわ」

さわ子「でも・・・それでも・・・」

紬「・・・それじゃ、ギブアンドテイクといきましょう。澪ちゃんについて、知りたくはない?」

さわ子「な・・・!」

紬「やはり気づいていたようね」

さわ子「・・・どのくらい、知っているの」

紬「そうね・・・彼女がああなった原因が、私にあるってことくらい」

さわ子「み・・・澪ちゃんに何を!」

紬「・・・事故だったのよ」

紬「あれは・・・半年前のことだった」


――半年前――


『お嬢様、本当によろしいのですか』

『ええ・・・殲滅できないオルフェノクが現れた以上、戦力の確保は急を要します』

『しかし・・・紬お嬢様自らが実験体になるなど・・・私を使われてもよいのですよ』

『よしなさい斎藤・・・いいのです。命を落としたとして、それが妥当なくらいには、私は罪を重ねてきたのだから』

『お嬢様・・・』

『・・・早く、降魔儀式を執り行いなさい』

『・・・はい』

バチチッ バリバリバリバリ

『っ・・・きゃああああ!』

『ど、どうしたんだ、ムギ!』

『え・・・澪ちゃん!?・・・ダメ、近づかないで!』

『なに言ってるんだ、苦しそうじゃないか・・・うぐっ・・・ぎゃあああああああああ』

『澪ちゃん!?』


さわ子「降魔儀式・・・」

紬「・・・異世界から降ろした存在を、生物の内的宇宙に封じ込める、カルト的な呪術
  大きな存在を、力ある存在を閉じ込めるには、
  それだけ広大で複雑な宇宙を内包する生き物が必要になる」

さわ子「それが・・・人間だっていうのね」

紬「そう・・・私が自ら実験体になり、力の獲得をはかった・・・その時」

紬「偶然、合宿の相談に来ていた澪が・・・巻き込まれて・・・」

紬「迂闊だった・・・使用人の中で琴吹家の内実を知るのは執事の斎藤だけ・・・」

紬「澪に私の居場所を聞かれた女中は、そのまま澪を案内してしまった」

紬「そして・・・」

紬「・・・命に別条は無かったけれど、彼女は事故前後の記憶を失い、
  ・・・その精神に、≪何か≫を降ろしてしまっていた・・・私のせいで・・・!」

さわ子「・・・確かに軽率ね」

さわ子「でも、実験に他人を使わなかったのは、誰かに犠牲をしいるのが許せなかったから」

さわ子「使用人に多くを伏せたままにしていたのも、彼らを巻き込みたくなかったから」

さわ子「全部・・・あなたの優しさでしょ?」

紬「・・・・・・」

さわ子「その配慮の結果、不幸にも澪さんが巻き込まれてしまったけど・・・」

さわ子「それは・・・あなたの責任じゃないと思うわ」

紬「そ・・・そんな訳!」

さわ子「じゃあ・・・私が背負ってあげる」

さわ子「一人じゃ耐えきれないときは・・・誰かを頼っていいの」

さわ子「つらいこと、苦しいこと・・・はんぶんこすれば、なんとかなるのよ」

紬「・・・ふん」

さわ子「それに、今の話を聞いて、あなたを見直したわ」

紬「と、友達を巻き込むような私のどこを・・・」

さわ子「ま、唯ちゃんを任せても大丈夫そうね」

紬「・・・そうですか」

紬「・・・話を続けます」

紬「澪ちゃんの中に降りてしまったのは・・・≪焔の災厄≫と呼ばれる存在」

紬「事象の地平に封じられたという、通称≪ロードブレイザー≫です」

さわ子「焔の災厄、ね・・・それっぽいわ」

紬「そして・・・もう一つ」

さわ子「まだあるの・・・」

紬「≪ガーディアンブレード≫
  ・・・どのようなものかは判りかねますが、澪とロードブレイザーの境界を果たしているようです」

紬「大剣のようであり、人の腕のようであり、長銃のようでもある・・・」

紬「伝わるイメージが曖昧ですが、とてつもなく大きな力を秘めた存在には間違いありません」

さわ子「・・・それが、澪ちゃんとロードブレイザーの均衡を保っているのね」

紬「おそらくは。
  ただ、不安定なことには変わりないようで、澪が強い恐怖を感じると、バランスが崩れ・・・」

さわ子「一昨日のようなことになる、と」

紬「あれで済んだのが奇跡です・・・包丁で手でも切ったんでしょうか」

さわ子「・・・かもね。はぁ・・・お手上げだわ・・・内的宇宙、ねぇ。専門外よ・・・どう殴ればいいの」

紬「では、私からは以上で」

さわ子「待って、ムギちゃん」

紬「・・・なにか?」

さわ子「琴吹家が・・・四神一鏡、玖渚機関、殺し名、呪い名の全てと渡り合う琴吹家が、
     日常世界の秩序を守るのはわかる」

さわ子「でも・・・あなたがそれを守ろうとするのはなぜ?
     確かに長女ではあるけど、まだ子供のあなたが、なぜ」

紬「・・・わかりやすいトラウマでも期待しているなら、期待には沿えないとだけ言っておきます」

紬「生き残った者が縋るのは、英雄なんかじゃない・・・そうでしょ?」 すたすた


さわ子「・・・確かにトラウマじゃないわ、でもね、ムギちゃん」

    「それは・・・コンプレックスっていうのよ」


音楽室


紬「遅くなりましたー」

唯「ムギちゃんおかえりー」

澪「さ、練習するぞ!」

梓「やっと揃いましたね」

律「おなかいっぱいでねっむ・・・ふあぅあ・・・うう」

澪「気合い入れろよ!そんなんじゃ武道館行けないぞ!」

律「熱いなぁ、澪は」

澪「声が小さい!熱いって気持ちが全然伝わってこない!」

律「・・・あっ、つー、いっ!」

澪「小さいよ!まだ全然小さい!」

律「あッ!つッ!いいいいいいいいいいいいいッッ!」

澪「はい熱いよ!君の気持ち今熱くなった!」



唯「今日は練習大変だったなぁ・・・」

ピロピロ

唯「ん?メールだ・・・ムギちゃんからか、なになに」

『お菓子を焼いたんだけど作りすぎちゃったから、貰っていってくれないかしら』

唯「おほう・・・」

『一回家に帰ってから、すぐいくね』

唯「、と。焼いたお菓子かぁ・・・どんなのかな・・・」

ピロピロ

唯「あれ?まただ」

『すぐ来て!無くなっちゃうから!』

唯「        」だだだだだだだだだだだ


琴吹邸


ぴんぽーん

唯「あのー、ムギちゃんは」

紬『いま行くわー』

唯「・・・どんなのかなぁ」

紬「お待たせー」 すっ

バリリっ

唯「え、なに・・・」 どさっ

紬「・・・電圧上げちゃったけど、銃弾が平気なら、スタンガンも大丈夫よね」

紬「斎藤!唯さんが貧血で倒れました!介抱なさい!」


平沢さんち


憂「お姉ちゃん遅いな・・・」

憂「この前も遅くなった時、ボロボロで帰ってきたし・・・」

憂「殺人犯もいるらしいのに・・・心配だよ」

憂「電話してみよ・・・」

憂「・・・出ない」

憂「メールも帰ってこない・・・まさか」

憂「・・・落ち着け、落ち着くんだ私・・・」

憂「そっ、そうだ、お姉ちゃんの携帯、GPSついてたよね」



憂「・・・どこだろう、ここ」

憂「すごく広い場所・・・なんかの施設・・・?」

憂「なんでこんなとこに・・・しかも連絡とれないし・・・」

憂「・・・!」

憂「信号切れちゃった・・・!」

憂「そ、そんな、あはは・・・」

憂「警察に連絡・・・でも下手に刺激したらまずいし・・・」

憂「・・・まってて、お姉ちゃん」


琴吹邸


紬「体組織にさしたる変化は無し・・・
  いえ、刺激に反応して筋繊維が集結、一時的に硬化している・・・」

唯「 」

紬「むしろ問題なのは脳ね・・・睡眠時とはいえ脳波が殆ど見られない」

紬「・・・まぁ唯ちゃんだし」

紬「そしてこのギター・・・
  唯ちゃんの手にある時だけ、いかなる衝撃にも耐え、それを反射する力が・・・」

紬(・・・!・・・今、一瞬だけ赤いギターに見えた・・・でも、そんな・・・まさか)

斎藤「お嬢様!」

紬「なんですか斎藤、落ち着きなさい」

斎藤「いえ、それが・・・侵入者です」

紬「・・・侵入者?まさか、オルフェノクですか!?」

斎藤「人間です・・・ただ」

紬「ただ?」

斎藤「被検体の彼女と・・・同じ顔でして」

紬「同じ、顔・・・憂ちゃん・・・?」

斎藤「お知り合いですか」

紬「唯ちゃんの妹さんよ」

斎藤「そうですか・・・裏の通用口から入ったようですが・・・どうしましょう」

紬「心配してきたなら玄関からくればいいのに・・・事情を話すか・・・とりあえず来賓室に案内なさい」

斎藤「いえ、その・・・手のつけられない状態でして・・・
    屋敷を破壊しながら何かを探しているようで・・・唯さんなのでしょうが」

紬「屋敷を破壊・・・?そんな、普通の女子高生にそんなことができるわけ」

斎藤「包丁を振り回していまして・・・鉄扉も壊されています。使用人は私が避難させました」

紬「え?・・・尚更無理よ、包丁なんかで壊せるわけが・・・」



憂「あはは、すごいよ」

ジャキンッ

憂「どこを切れば壊れるのか、よく見えるよ、ひひ」

サクッ バラバラ

憂「面白いよ、おねえちゃん、あっはははははは」

憂「なんでも壊せるよ、すごく簡単だよー」

シュババババババババババババ

憂「ぎゃはは!あはははははは!」



斎藤「・・・来ました」

シャキッ ズドーン

紬「なっ!」

憂「あれ、先輩・・・ここ、紬さんの家だったんですねぇ」

紬(憂ちゃん・・・目の色が違う・・・)

憂「あ、お姉ちゃん、こんなとこで寝てたの・・・だめだよ、早く帰んなきゃ・・・きひひ」

紬「あ、あのね、憂ちゃん」

スッ

紬「きゃっ・・・!」

斎藤「お嬢様!?」

憂「先輩・・・お姉ちゃんに用があるときは、」

憂「私に断らなきゃ、だめですよ?」

紬「は、はいっ」

憂「じゃないと、手元が狂っちゃうかも・・・」

紬「ひっ・・・」


憂「じゃあ、失礼しましたー」

唯「なんで私寝ちゃってたのかな・・・あ、お菓子ありがとね、ムギちゃん」

紬「ど、どういたしまして」

唯「ばいばーい」


斎藤「・・・妹さんも、研究なさいますか?」

紬「いえ、遠慮しておくわ・・・」

斎藤「・・・そうですか」


紬(・・・ちょっとちびった・・・)


翌日


律「あー、暇だなー」

澪「そんなこと言ってないで、自分のパートだけでも練習しろよ」

律「だってさー、ムギ休みだし、合わせられないじゃん」

澪「だから自分のパートを・・・」

梓「紬先輩、なんで休みなんでしょうか」

律「風邪っていってたぞ」

唯「んー、昨日お菓子もらったとき、元気だったけど」

律「唯、おまえ風邪もらったりうつしたりしてないだろうな」

唯「わたしは元気だよ?」

律「ま、なんとかは風邪ひかないって言うしな」

唯「なんとかって?」

律「なんだろうな、澪も調子悪そうだし」

澪「わ、私は大丈夫だって」

律「んー」

ぴとっ

澪「な、なにを」

律「ちょっと熱っぽいんじゃないか、帰って休んだほうがいいぞ」

澪「で、でも、練習が」

律「大丈夫、私も帰るからさ」

澪「おまえ、サボりたいだけだろ!」

律「あいあい」


律「じゃ、先に帰るなー」

澪「梓、唯に練習させといてくれ」

梓「わかりました」

唯「じゃーねー」

バタン

梓(唯先輩と、ふたりっきり・・・)

唯「じゃあ練習しよっかー」

梓「は、はい」


梓「あ、あの、先輩」

唯「なーに、あずにゃん」

梓「・・・明日、ひまですか?」

唯「ひまだけど、なんでー?」

梓「駅前においしいケーキ屋さんがあるんですけど」

唯「ふんふん」

梓「わ、私と一緒に、行きませんか?」

唯「いいよ、じゃあ憂とりっちゃん達も誘って・・・」

梓「え、えっと、先輩と私だけで行きたいんです!」

唯「ほえ?」

梓「じゃ、じゃなくて・・・割引券が二人分しかなくて、
  あそこのケーキ屋さん、すごく高くて、えっと・・・」

唯「そうなの?じゃあ、いいよ。ふたりで行こう」

梓「は、はいっ!」



澪「っ・・・」

律「どうした、頭痛いのか?」

澪「だ、大丈夫だって・・・」

律「無理すんなよ、おんぶしてやろうか?」

澪「いいよ・・・」

律「真っ青な顔で何言ってんだよ、・・・よいしょ、っと」

澪「こ、こんな格好、はずかしい・・・」

律「あはは、重いな澪ー、太ったんじゃねーの?」

ぽかっ

律「いっでー」

澪「・・・・・・」

律「なんか、人が少ないな・・・今日ってなんかあったっけ」

澪「・・・『仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』の放送がある」

律「テレ朝かー、でも関係ないだろ、深夜だし」

ズドン

律「な、なんだ!?」

?「・・・ッ・・・ァ・・・」

澪「なっ、なに?」

怪人「・・・・・・」

律「な、なんなんだこいつ・・・!澪、しっかりつかまってろ!」

澪「え、なに、どうしたの・・・うわっ!」

律「いいから!逃げるぞ!」 だっ



怪人「・・・ォ・・・ネ・・・ェ・・・チャ・・・」



律「ぜぇ、はー・・・こ、ここまで来れば・・・」

澪「お、降ろしていいよ、もう」

律「ばかッ!今にもぶっ倒れそうな奴を走らせられるか!」

澪「も、もう大丈夫だから、それに律だって疲れてるし、ね?」

律「このくらい平気だ・・・伊達にドラマーやってねえぜ!」

澪「で、でも、このままじゃ二人とも走れないし・・・!」

律「・・・わかったよ、しょうがないな、よっこらせっくす」 とっ

怪人「グアアアアアアアアアアア!」

澪「ひぃっ・・・」

律「追っかけてきやがった・・・!」

怪人「ヅルアァア!」 ブンッ

律「澪、あぶないっ!」

ドグシャッ

律「う・・・」

澪「り、律っ!?」

怪人「ゥガアア・・・」

澪「律、律っ、しっかりしろ!」

律「み、お・・・私はいいから・・・逃げ、ろ・・・」

澪「そんなことできるかッ!」 ズキッ

澪「う・・・あたま、が・・・」 ぱたん


『う・・・』

『・・・ここは・・・どこだ・・・』

『・・・!そうだ、律は?』

『ココハ、オマエノ精神世界ダ・・・私トオマエ以外ニハ誰モイナイ』

『なっ・・・』

『私ノ名ハロードブレイザー・・・』

『ロード、ブレイザー・・・誰なの・・・?』

『ドウシタ・・・オマエハ何を望ム・・・』

『・・・頭に直接、声が聞こえる・・・』

『何ガホシイ・・・何ヲ恐レル・・・何ヲ望ム・・・』

『私は・・・』

『私は・・・律を助けたい!』

『ヨロシイ・・・ナラバ、チカラヲ・・・我ガチカラヲ与エヨウ・・・』

キィーンッ!

『クッ・・・アナスタシア・・・余計ナ真似ヲッ!』


澪「・・・ここは」

アナスタシア「気がついたわね」

澪「あ、あなたは?」

アナスタシア「普通の女の子よ。よろしく」

澪「よ、よろしく・・・あの、この剣は・・・?」

アナスタシア「これは・・・ガーディアンブレード、アガートラーム」

アナスタシア「世界を守護する存在が、人に力を貸した形・・・」

澪「・・・」

アナスタシア「さて・・・あなたは、どうしたいの?」

澪「私は・・・」

澪「私は・・・友達を守りたい」

澪「もっと・・・話していたい・・・遊んでいたい」

澪「当たり前に一緒にいられる人を・・・大切にしたい」

澪「律を・・・助けたいんだ・・・!」

アナスタシア「そう・・・私も、そうだった」

アナスタシア「友達と遊んでいたかった・・・恋だってしたかった・・・」

アナスタシア「私の大好きな人達を・・・守りたかった・・・!」

アナスタシア「でも・・・その為に・・・私は死ななくてはいけなかった・・・」

アナスタシア「私だって・・・もっと生きたかったのにッ・・・!」

澪「あなたは・・・幽霊なの?」

アナスタシア「・・・そうね、そんなものよ」

澪「私は・・・死んじゃったの?」

アナスタシア「今はね・・・このままじゃ戻れないか、戻っても・・・いえ、なんでもないわ」

澪「そんな・・・私は・・・律を助けないと・・・生きないといけないのに・・・!」

アナスタシア「・・・あなたが友達を守りたいなら、この剣を抜いて」

アナスタシア「かつて、私がそうしたように」

アナスタシア「強い、純粋な想いで・・・柄に手をかけて」

アナスタシア「・・・本当は、この剣を抜ける人なんて、もう現れなければいいのにって思ってた」

アナスタシア「私と同じような思いをすることなんて、ないようにって」

アナスタシア「でも・・・あなたの世界に、焔の災厄は甦った」

アナスタシア「誰かが、戦わなければいけない・・・
        それがあなたなのか、他の人なのか、わからないけれど」

アナスタシア「・・・さあ」

澪「・・・・・・」 ぐっ

澪「約束、したんだ・・・一緒に、武道館に行こうって・・・」

アナスタシア「それは、大切な約束?」

澪「とても、くだらない約束だけど・・・」

澪「私にとっては、大切な約束なんだ・・・」

澪「守らなきゃいけない、約束なんだッ!」

キ――――ン――――

カチャン

澪「抜けた・・・」

アナスタシア「・・・これで、あなたは元の世界に戻れるわ」

アナスタシア「・・・気をつけて」

澪「あなたは、来ないの・・・?」

アナスタシア「ううん、私は・・・この世界にしか、居場所がないから」

マリアベル「わらわが一緒におる、だから安心せい、小娘」

澪「あの・・・あなた、同い年に見えるんだけど」

マリアベル「何を言う!わらわの齢はとうに800を越えておるわ!」

マリアベル「生態系の頂点じゃぞ、叡智の種族じゃぞ、それにこの美貌!
       まぁおぬしも中々の器量良しじゃがの」

澪「は、はぁ・・・」

アナスタシア「じゃあね・・・」

澪「・・・はい」 すたすた

アナスタシア「・・・一つ、いいかしら」

澪「なんですか?」

アナスタシア「恐怖に、負けないで、そして」



       『英雄になんて・・・ならないで』



澪「うっ・・・今のは・・・」

怪人「グルル・・・」

澪「!・・・律、しっかり!」

『澪ちゃん、聴こえる?私がロードブレイザーの力を制御するから・・・心の中に接触して!』

澪「この声は・・・あの人!・・・夢じゃなかったんだ!」

澪「何をすればいいか、頭に流れ込んでくる・・・いける!」

怪人「グアア・・・グアアアアア!」

澪「律を守るって、決めたんだ・・・!」

澪「うおおおおおおおおおおおおおおッ!」


澪「「アクセスッ!」」


ギュイーン――――――――


澪「・・・全身が黒と赤の・・・鎧みたいだ」

澪「なんだろう・・・すごい力が湧いてくる・・・」

怪人「ガアアアアアアアアアアアッ」

澪「ガンブレイズッ!」

ゴアアアアアアアアアアアアアア

怪人「ガ、グア・・・」

澪「焔の塊・・・もしかしてあの火事も・・・今はそんなことより!」

澪「はぁああああああああああ!」

ザシュッ

怪人「グ・・・ギ」

澪「ファイナル、バーストオオオオオオオッ!」

ヒュウゥ―――・・・ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン

澪「う、ぐ・・・」 しゅうううう

澪「力が・・・抜けていく・・・」

怪人「ギュルル・・・」 ダッ

澪「・・・なんとか、追い払えたみたいだな・・・」


澪「・・・律!しっかりしろっ!」

律「み・・・お・・・大丈夫、か・・・」

澪「・・・ばかやろう・・・」 ぎゅっ


翌日


梓「唯先輩とデートだ・・・」

梓「何着ていこうかな・・・かわいいのがいいかな・・・」

梓「・・・でも先輩、レスポールを可愛いとか言うからなぁ・・・」

梓「・・・どうしよう」

梓「ねこみみ付けていけば・・・」

梓「・・・ない。それはないよ私・・・」

梓「・・・とりあえず持っていこう」



憂「お姉ちゃん、起きて~」

唯「うー」

憂「梓ちゃんと約束してるんじゃなかったのー!」

唯「あいすー」

憂「起きてってばー!」

唯「ういういしくて、ういー」

憂「起きなさーい!」 ばさっ

唯「はうあ・・・おはよ、ういー」

憂「梓ちゃん待ってるよ、きっと!」

唯「・・・は!今何時っ!」

憂「午後の1時!」

唯「ぎゃっ」

唯「急がなきゃ!」

憂「お姉ちゃん、そっちは」

ドンドガッ ガン ズドン

憂「・・・階段だよ」

唯「あうう・・・」

憂「大丈夫?」

唯「あたま打った・・・コブできてなーい?」

憂「出来てないけど・・・」

唯「じゃあ大丈夫だね」

憂「お姉ちゃん・・・コブが出来ないほうが危ないんだよ?」

唯「そうなの?知らなかったよ・・・へー」

憂「うん・・・あ、コブ出てき・・・なにこれ・・・四角い・・・」

唯「なんだろ」 つんつん

ひゅっ

憂「あ、引っ込んだ・・・とりあえず絆創膏はっとくよ、お姉ちゃん」

唯「じゃあ行ってくるね!」

憂「いってらっしゃい!」


憂「・・・今の四角いコブ、線が視えなかったなぁ・・・」


梓「・・・唯先輩、遅いなぁ」

唯「あーずー、にゃん!」 がばっ

梓「わっ、い、いきなり抱きつかないでください!」

唯「えへへー」

梓「も、もう・・・遅いですよ、先輩!」

唯「ごめんね・・・寝坊しちゃって・・・」

梓「・・・ま、予定通りに来るなんて、これっぽちも思ってませんでしたけどね」

唯「ひ、ひどいよー、あずにゃん」

梓「さ、行きましょ、先輩!」

唯「うん!」



店員「またお越しください!」

からんころん

唯「おいしかったねー、ケーキ」

梓「びっくりしましたよ、先輩、あんなに食べるなんて」

唯「だっておいしかったし、朝ごはんも昼ごはんも食べてなかったんだもん」

梓「そんなに寝坊してたんですか・・・」

唯「あ!見て見てー、このぬいぐるみー、かっわいいねー」

梓「ほんとだー、可愛いクワガタですねー」

唯「あずにゃんに似てるねー」

梓「・・・・・・」


唯「・・・そうだ!あずにゃん、ちょっと待ってて」


唯「買ってきたよー」

梓「そんなに気に行ったんですか?」

唯「えーっとね、はい。このぬいぐるみ、あずにゃんにあげる」

梓「え・・・い、いいですよ、そんな」

唯「いいんだよ、私、遅刻しちゃったし、それに」

梓「それに?」

唯「いつもがんばってるあずにゃんに・・・何か、プレゼントしたくて」

梓「せ、せんぱい・・・」

唯「だめかな?」

梓「・・・だめじゃ、ないです」
梓(ありがとうございます・・・大切にしますね・・・唯先輩・・・)

唯「えへへー、喜んでもらえたみたいでよかったよー」

梓「先輩・・・公園、行きませんか?」

唯「公園?いいよ」


公園


きーこ きーこ

唯「いー、はー!」 きーこ きーこ

梓「ブランコなんて久しぶりに乗りました」 きー きー

唯「私は毎日乗ってるよー」 きーこ きーこ きーこ

梓「・・・あの、先輩」 きぃ

唯「んー?」 きー きー

梓「新歓のライブで・・・初めて先輩を見た時のことです」

唯「うん」 きぃ きぃ

梓「部活を選んでたけど、どれもぱっとしなくて、迷ってた時に・・・あのライブを見て」

梓「なんというか・・・上手いとか、盛り上がるとかじゃなくて・・・
  すごく、元気な感じの先輩が目に入って」

梓「なんか、悩んでたのが嘘みたいな感じで、夢中で先輩を見てました」

梓「すごく自由で、すごく楽しそうで、私もあんな風にギターが弾きたい、」

梓「・・・あの人と一緒に、演奏がしたい、って思ったんです」

梓「あの時の先輩・・・かっこよかったです」

唯「えへへ、ありがと」

梓「毎日先輩と一緒に演奏が出来て、学祭ではライブも出来て・・・すごく嬉しいです」

梓「・・・私の夢は、半分かないました」

唯「半分?」

梓「はい・・・あと半分は、その」

梓「・・・せんぱいっ!」

梓「私は、その、先輩のことが・・・その・・・あの・・・!」

ヒュッ

梓「・・・先輩?ど、どこに消え・・・」

ドズサッ

唯「あう・・・あー」

梓「先輩っ!どうしたんですか!」
梓(頭から落っこちてた・・・早く病院に・・・!)

怪人「グルル・・・」

梓「ひ・・・なんですか、これ・・・!」

唯「オルフェノク・・・しまっ・・・た・・・ギー・・・太、が・・・な・・・い・・・」 がくっ

梓「先輩、しっかりっ!・・・え・・・四角いコブ!?」

梓「な、なんか吸い込まれるっ!」

梓『うわああああああああああああああああああああ』


宇宙


梓「・・・うーん、どこでしょう・・・機械っぽい感じですが」

宇宙人「我々の船へようこそ」

梓「う、宇宙人!?」

宇宙人「ちょっとあなた・・・失礼じゃないですか、初対面の人に突然『宇宙人!?』
     なんて言いますか、普通」

梓「言うかも知れません」

宇宙人「地球人は存外に失礼なんですね・・・ま、期待なんてしてませんでしたけど」

梓「酷いですね」

宇宙人「っていうか驚かないんですね、異空間をワープしたっていうのに」

梓「こういう夢、慣れてるんですよ。特に明晰夢なら。
  ほら、宇宙人には用は無いんで、さっさと唯先輩に代わってください」

宇宙人「・・・え?」

梓「はやくしてください!私は先輩にたくさん可愛がってもらうんです!・・・あれ・・・」

宇宙人「夢じゃないですよ・・・」

梓「え、え・・・うわああああああああああああああああああ」

梓「宇宙人だあああああああああああああああ」

宇宙人「夢のつもりだったんですか・・・すごいですね」

梓「ま、まさかさっきの怪人も・・・!は、はやく唯先輩を助けなきゃ!」

梓「ってここどこなのおおおおおおおおおおおおおおおおお」

宇宙人「落ち着いてください・・・力になれるかもしれません」

梓「え・・・」

宇宙人「慌てなくても、こちらへ移送された時間座標に合わせて送信しますよ」

宇宙人「つまり、えっと、唯先輩?を助けることは可能です」

梓「でも、あんな怪物倒せないし・・・というより」

梓「何がどうなってるんですか・・・?」

宇宙人「こちらへワープした時の入り口を思いだしてください」

梓「入り口・・・あ、唯先輩の頭のコブ!」

宇宙人「脳空間チャンネルですね・・・またルハラの仕業か?・・・」

梓「脳空間、チャンネル・・・」

宇宙人「脳空間チャンネルというのはですね、右脳と左脳の信号反復を利用しまして、
     異空間へのゲートを開き、何億光年も離れた場所の物体を行き来させる、
     滅茶苦茶なシステムです」

宇宙人「確か地球人だと、男性かつ子供でないと、チャンネルが開けないんでしたっけ」

梓「え?で、でも、先輩は女ですよ?」

宇宙人「・・・妙ですね・・・特殊なケースですか・・・
     そういえば昔、あるテロリストが脳空間チャンネルの事をこう言ってました」

宇宙人「・・・『子供のくせに無理してるとツノが生える病気』ってね」

梓「はぁ・・・」



梓「どうやってこっちに来たかはわかりました・・・わかりませんけど」

宇宙人「なんですかそれ」

梓「怪人を倒す方法とかないんですか!」

宇宙人「怪人って、そんな言い方ないでしょう、しかも倒すなんて野蛮ですよ・・・
     私みたいな格好でしたか?」

梓「いえ、もっとかっこよかったです」

宇宙人「倒しましょう」

梓「宇宙人なら粒子砲とかでささっと倒してきてくれませんか・・・」

宇宙人「ダメです、直接的に他星間で交流するには、地球は未発達ですから」

梓「じゃあ、私に武器をくれるとか・・・」

宇宙人「うーん、それはそれで・・・じゃあこうしましょう」

宇宙人「ここに携帯用のコンバットスーツがあります」

梓「ちっちゃ・・・おもちゃの変身グッズみたいですね」

宇宙人「それを持って、地球でもポピュラーな、戦える存在をイメージしてくれれば、
     自然とその姿になるはずです」

梓「これで先輩を・・・守れるんですか?」

宇宙人「あなた次第です、エネルギーの協力は惜しみませんよ」

梓「ありがとう・・・ございます」

宇宙人「いえいえ」

宇宙人「では地球に転送します、ご武運を」

梓「失礼しましたー」

宇宙人「あ、そうそう。自分でしっかりイメージできるものでないと、そのスーツは起動しません」

梓「わかりました」

しゅばーん・・・

宇宙人「かわいい子だったなぁ・・・」

宇宙人「・・・あれ」

宇宙人「今渡したのって・・・地質調査用のスーツ・・・」

宇宙人「ま、いいか」


公園


梓「わっ」 どさ

梓「いてて・・・先輩!」

唯「うー」

怪人「グルル・・・」

梓「そうだ・・・さっきのを使って!」

梓「えい!・・・あれ・・・へんしん!・・・あれー?」

怪人「ガアアアアアアアアアアア!」

梓「全然動かないよー!?」

とすっ

梓「あ、持ってきてたねこみみ・・・」

梓「・・・・・・」

『・・・自分でしっかりイメージできるものじゃないと・・・』

梓「あーもう・・・先輩達のせいで、変なのしか浮かばないよ・・・」

梓「・・・恥ずかしいけど・・・やってみよう」


梓「「ちぇんじ、まじかる、あずにゃんにゃん!」」

シュピ――――――ン―――――――――


梓「で、できた・・・」

ギュイーン

梓「のわー!腕にドリル付いてる!」

梓「こんなの魔法少女じゃない・・・スパッツにミニスカ、セーラー服に右腕ドリル・・・なにこれ・・・」

怪人「グルァアアア!」

梓「え、えいっ!」

ドギャギャギャギャギャギャ

怪人「グァアア!」

梓「まだまだァ!」 しゅばっ

ドッ ギャルギャルギャルギャル

怪人「」

唯「う、うー・・・」

梓「せ、先輩!」

怪人「ゥグ・・・」 ダッ

梓「先輩!大丈夫ですか!」

唯「だいじょ-ぶだよ・・・あれ、あずにゃん、面白いかっこしてるね・・・」

梓「えと、これは、その・・・」

唯「あ・・・それ、アキバ系とか、そういうのだっけ」

梓「ち、ちがいます」

唯「あずにゃん、オタクなの?」

『あずにゃん、オタクなの?』

『『あずにゃん、オタクなの?』』

梓「ぎにゃああああああああああああああああ」

梓「ああ・・・あああ・・・」 すっ

唯「あ、戻った・・・」

唯「・・・ねぇ、ぬいぐるみ、片方のツノ取れちゃってるよ」

梓「・・・ほんとだ」

唯「新しいの買ってあげようか?」

梓「いえ・・・いいです・・・」

唯「でも、」

梓「これがいいです!」

唯「・・・そっか」

梓「直しますし、それに」

唯「それに?」

梓「い、いえ・・・」


梓(・・・私は・・・唯先輩が無事なら、それでいいですから・・・)


一週間後、遊園地


唯「おまたへー」

憂「すいませーん」

律「おせーぞ!」

梓「やっと揃いましたね」

和「あ、唯、寝ぐせが」

唯「別にいいよー」

紬「うふふ」

澪「聡くんも来てるんだよな?」

律「あぁ、でもあいつ、電車で酔ったみたいでさ、今トイレいってる、ていうか」
律「澪、お前、目の下に隈できてんぞ」

梓「ほんとだ・・・くっきり」

澪「え、そうかな」

唯「けっこー疲れてるみたいだね」

律「まあ澪のことだから、楽しみで寝付けなかったんだろ」

澪「ばっ・・・ちがうって!」

律「図星かぁー?」

澪「もー!」

澪「・・・律、大丈夫なのか」

律「あん?何言ってんだよ、一週間も経ってるだろ」

澪「でも、骨折れてたって・・・!」

律「へーきへーき、私、石頭だからさぁ」

澪「折れたの、あばらだろ・・・」

律「石あばらだから」

澪「そんなものはない」

律「大体折れてねーよ、ひび入っただけ、大げさだなぁ澪は。もう治ったしな」

澪「・・・じゃ、いいけど」

律「澪こそ顔色悪いし、最近独り言多いじゃん、どうしたんだ?」

澪「・・・ううん、なんでもないよ」

澪「聡くん遅いな」

律「どうしたんだ、あいつ・・・ごめん、みんな先行っててくんね?」

唯「えー?待っててあげるよー?」

律「いいっていいて、すぐ追いつくからさ、遊んでこいよ」

紬「本当にいいの?」

律「いいんだよ、ムギだってずっと風邪で休んでたんだし、羽伸ばしてこい、部長命令だ」

澪「・・・じゃあ行くぞ、早くこいよ」

律「おう!」


ジェットコースター

梓「きゃあああ!」

唯「おおーう」


澪「死ぬかと思った・・・」

梓「和さん、乗り物強いんですか?」

和「うーん、絶叫系とか結構好きなのよね」

澪「すごいな・・・私はもうだめだ・・・」

梓「本当にだめそうですね・・・」


唯「つぎいくよ、つぎ!」

憂「あははははは」 シャキン シャキン


澪「・・・あの姉妹はなんなんだ」

和「憂ちゃんはなんで包丁持ってるの?」

梓「さぁ・・・」

唯「あ、りっちゃん来たよ」

律「ここにいたかー」

紬「・・・聡くんは?」

律「え、連れてき・・・あれ?」

澪「どこにいるんだ?」

律「おかしいな、今まで一緒にいたのに・・・」

梓「・・・!先輩、うしろ!」

律「へ?」

ザシュッ

律「がっ・・・」 どさっ

怪人「・・・ゥ・・・ゥ・・・」

澪「そ・・・ん、な・・・律っ!」

律「・・・・・・」 ドクドク

紬「まずい・・・皆離れてッ!」

澪「あ・・・あああ・・・」


澪「うわああああああああああああああああああああああああああ」 ゴゴゴ

ドウッ ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


梓「な、なんですかこの炎!」

和「パイロキネシス・・・!?」

紬「まずい・・・オルフェノクもいるのに・・・!」

唯「ギー太とってくるね」

憂「何言ってるのお姉ちゃん!」

プルル

紬『斎藤!』

斎藤『はい』

紬『非常事態です、救護ヘリを派遣なさい!』

さわ子『ちょっといいかしら』

紬『せ、先生!』

さわ子『ちょうどお邪魔してたの』

斎藤『二人で話し込んでいました』

さわ子『私もそっちへ向かうから、状況を説明して』

紬『・・・律ちゃんがオルフェノクに襲われました・・・そのショックで、澪が』

さわ子『暴走・・・いえロードブレイザーの覚醒ね。律ちゃんの怪我は!』

紬『重症です、肩口を斬られて出血が!』

さわ子『く・・・その場にいるメンツを教えて!』

さわ子『・・・そう、じゃあ和ちゃんに伝えて、「オルフェノクを止めて」と私が言ってたと!』

さわ子『残りの皆で律ちゃんを介抱しつつ避難して!』

紬『はい!』

さわ子『私は唯ちゃんのギターを届けるから・・・え?あ、はい』

斎藤『お嬢様・・・例のものが出来上がりました』

紬『この短期間にですか!?』

斎藤『はい・・・試作段階ですが、起動を確認しました』

紬『わかりました・・・実用テストです、持ってきなさい!』

プツッ

澪「アア・・・ガアアア・・・」 ゴァオオオオオオオオオオオオオオオオオ

唯「澪ちゃん、どうしたの!」

憂「ひゅー」

和「一体何が・・・!」

怪人「グルル」

梓「あ、あの時の怪人・・・!」

紬「・・・和ちゃん、こっちこっち!」 がしっ

和「え?」


紬「和ちゃん、山中先生から伝言よ・・・オルフェノクを止めて」

和「え・・・ええ!?なんで琴吹さんが・・・!」

紬「説明は後!・・・今みんなを守れるのは、あなただけなの!」

和「・・・わかったわよ、やってみる」


和「・・・変、身!」

ギュオオオオオン


和「うおおおおおおおおおおおおっ!」

ゲシッ

怪人「グルル・・・」

梓「か、怪人増えた・・・」

紬「みんな!今のうちに律ちゃんを!」

唯「う、うん・・・あちちっ!」

梓「炎が凄くて近寄れません・・・!」

紬「くっ・・・消火器か何か・・・でも普通の炎じゃないし・・・!」

憂「この焔・・・殺せるかな」 すっ

サッ シュイン サキッ シュッ

梓「炎、弱まりました!」

紬「今のうちに!」 ガバッ

唯「お姫様だっこ・・・力持ちだなぁ」


レストハウス


紬「とにかく、止血しないと!」

律「」

ビリリッ

梓「私の服、使ってください!」

紬「ありがと!憂ちゃん、結ぶの手伝って!」

唯「あずにゃん、しましまぱんつー」

梓「み、見ないでください!」

ピロピロ

紬『・・・そろそろね、ええ、急いでむかうわ!』

プツッ

紬「みんなはここで待ってて!」 だっ

唯「う、憂ー、りっちゃんの血、止まらないよ!」

憂「・・・メスがあるよ」

唯「へ?・・・包丁だよそれ?」

憂「このメスでオペを開始する」

唯「う、憂、しゅじゅちゅ、しゅ、手術できるの!?」

憂「大丈夫、それにブラックジャックは全巻読んでる」

唯「すごいよ憂!」

律(・・・わたし助かんねー・・・)



律「・・・真っ暗だ・・・どこだろう・・・ここ・・・」

澪「律・・・」

律「あれ、澪じゃん・・・ねー、ここどこ?」

澪「律・・・来ちゃだめだ・・・」

律「へ?」

澪「・・・何があったか覚えてるか?」

律「え・・・あ・・・」

律「みんなで・・・遊園地に行って・・・それで・・・」



律「・・・・・・」

澪「思いだしたか?」

律「わ・・・私・・・死んだのか?・・・」

律「・・・じゃあ澪、なんでお前がここに・・・まさか・・・澪も」

澪「大丈夫だよ・・・まだ二人とも死んでない・・・まだね」

律「そうか、まだ・・・まだ?」

澪「律は大丈夫だよ・・・だけど、私は・・・死ななきゃいけない」

律「な、なんでだよ!」

澪「よくわからないけど・・・私が生きてるままだと・・・みんなが危ないから・・・」

律「なんだよそれ・・・意味わかんねーよッ!」

澪「・・・律、これを」

律「・・・なんだよ、このでっかい剣」

澪「この剣のお陰で・・・私はかろうじて生きてるみたいだ・・・でも、それも長くはもたない」

澪「私が消える前に・・・これを受け取ってほしい」

律「なっ・・・ふざけんなよ!それが無きゃ澪は死ぬんだろ!受け取れるかそんなもん!」

澪「律・・・頼む・・・このままじゃ・・・完全に乗っ取られる・・・」

律「わかんねーよ・・・なに言ってんだよ!」

澪「・・・もう限界だ・・・」

律「ま、待てよ」

澪「この剣を使って・・・みんなを助けてくれ・・・」

律「なんだよ・・・どうしろって言うんだよ・・・」

澪「・・・あ・・・ぁ・・・」

律「お、おい、どうしたんだよ!」

澪「・・・律・・・」 すうっ・・・


   『私は・・・楽しかったよ・・・』


律「み、澪っ!!!」

律「・・・そんな・・・勝手に居なくなるなよ・・・」

律「私を・・・一人に、すんなよぉ・・・」


記憶の遺跡


アナスタシア「そんな・・・ロードブレイザーに取り込まれた・・・」

マリアベル「困ったのう・・・しかし小娘の中には、まだアガ-トラームが残っておろう」

アナスタシア「・・・そうね、不幸中の偶然かな」

マリアベル「取り込んだ依り代に、自身の弱点を内包しているのじゃ、
       焔の災厄も存分には動けまい?」

アナスタシア「そうでもなさそうだけど・・・少なくとも澪ちゃんは生きている・・・生かされているわ」

マリアベル「力を蓄えられると厄介じゃがな、しばらくは無事のはずじゃ・・・早急に手を打たねば」

アナスタシア「・・・ルシエド」

ルシエド「・・・・・・」

アナスタシア「澪ちゃんを・・・助けてあげて」

ルシエド「・・・フッ・・・」 ザッ


レストハウス


梓「そ、そんな風に切っちゃっていいの?」

憂「ひひっ」 すー

梓「怖いんだけど・・・」

唯「・・・りっちゃん、泣いてるね・・・」

律「・・・・・・み、お・・・・・・」

ズシャーン

梓「きゃっ!」

憂「オペを邪魔しやがって・・・」

唯「わわわっ、入り口の近くまで燃えてるよ」

梓「・・・そうだ、私には・・・」
梓(律先輩は大怪我してる、憂と唯先輩は看病?してる・・・私がここを守らなきゃ!)

梓「憂ちゃん、唯先輩、ここは任せました!」

唯「え、危ないよ、あずにゃん!」

憂「そうだよ、危ないよ!」

梓「大丈夫です・・・私、こうみえて、魔法少女ですから!」


梓「「ちぇんじ、まじかる、あずにゃんにゃん!」」

シュピ―――――ン―――――――


梓「・・・あれ・・・足にドリルついてる・・・」

ギュインギュインギュインギュイン ギャルルルルルルルルルル

梓「うわあああああ穴ほってるううううううううううううぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・」

唯「・・・このあな、そこが見えないよ・・・すごいやあずにゃん・・・」

憂「墓穴を掘ったか」


地底


ドサッ

梓「いてて・・・運悪いのかな私・・・」

サラマンダー「なんでスかお前は」

梓「・・・こんどは・・・地底人?」

サラマンダー「失礼な!ボクのドコが地底人に見えるんでスか!」

梓「まあ・・・ちっちゃいトカゲにしか見えないですね・・・というかウーパールーパー」

サラマンダー「トカゲゆーな!・・・火の精霊、サラマンダーでス」

梓「あの・・・キャラ被るんで、その口調やめてもらえますか」

サラマンダー「うるさいでスよ!それで・・・見たところ、魔法少女の偽物ってとこでスか?」

梓「な・・・なんでわかるんですか!」

サラ「知り合いにそーゆー奴がいるんでスよ・・・めんどくさい奴がね」

サラ「ちなみにボクのことはサラくんって呼んでください」

梓「えっと、中野梓です」

サラ「よろしくでス」

サラ「・・・!」

梓「どうしたんですか?」

サラ「邪悪な焔を感じるでス・・・この上でスね・・・」

サラ「・・・地上で今、何が起こってるでスか?」


サラ「・・・なるほど」

梓「なので早く戻らないと・・・」

サラ「戻らないほうがいいでスよ」

梓「そんな!」

サラ「この気配・・・偽物の魔法少女なんかじゃ敵わない相手でス・・・
   お前が行っても無駄死にでスよ」

梓「・・・でも、私が行かなきゃ!」

サラ「・・・ボクはね、偽物じゃ敵わないって言ったんでスよ」

サラ「やれやれ・・・協力してやるでス」

バキッ

和「くっ・・・!」

怪人「グルァ・・・!」

和「埒があかない・・・これ以上戦ってたら、変身が・・・」

紬「おまたせ!」

和「!・・・近づいたら危ないってば!」

紬(唯ちゃんの戦闘能力から得たデータを基に作ったアームドスーツ生成ベルト・・・
  ≪ファイズドライバー≫)

紬(急ごしらえだけど・・・使うしか!)


『 standby, 』 ピロリロリ

紬「・・・変ッ、身!」

『 complete. 』 シュイン・・・


紬「・・・いくわよ!」


紬「とぅ!」

バシッ

怪人「ゴガガッ」

和「すごい・・・一歩も引いてない!」

紬「このまま一気に・・・!」

『 complete. 』
ガチャン・・・
『 start up. 』

キュヒキュイーウゥ・・・
『 count start. 』

紬「はあ゛ああああぁああああああああ・・・」

紬「ウラアアアァ!」 キーーィウゥ

紬「ダアアアァ!」 グォーン

怪人「グ・・・」

『 3, 2, 1, time out. 』

怪人「ウググ・・・グアァァアア!」

紬「な・・・出力が安定していない・・・!」



律「澪・・・澪ぉ・・・」

ルシエド「・・・お前は」

律「ひっ・・・狼・・・!」

ルシエド「ふむ・・・澪とやらの心に辿り着かないと思ったが・・・そうか、お前だけを想っているのか」

律「喋った・・・」

ルシエド「それでもいい・・・俺にはどっちでもいいんだ・・・」

ルシエド「・・・小娘よ・・・俺は欲望の守護獣・・・貴様は何を欲する」

律「・・・私は・・・澪を、助けたい・・・」

律「誰も、死なせたくなんかない・・・みんなを、助けたいッ!」

ルシエド「・・・よかろう・・・アナスタシアとアシュレーと同じ・・・心地よき欲望だ・・・」

ルシエド「俺の渇きを潤すに相応しい欲望だ・・・力を貸そう」



ルシエド「小娘よ、契りを交わせ!」

ルシエド「お前は俺に欲を与え、俺はお前に力を与える!」

ルシエド「捧げた欲に背いた時、その喉笛を喰い千切るッ!」

律「・・・ああ、わかったよ」

ルシエド「よいな・・・後戻りは出来んぞッ!」

律「・・・やってやるぜッ!」



唯「りっちゃん、血止まった・・・すごいよ憂!」

憂「血小板の生成を抑制する細胞を半殺しにしてやった・・・傷の治りは十五倍だ」

唯「なにいってるか、さっぱりだよ!」

律「う・・・ううん・・・」

唯「りっちゃん!」

律「唯と・・・憂ちゃん・・・」

憂「気がつきました?」

律「うん・・・み、澪は!?」

唯「・・・それが」



律「・・・なんだよそれ」

憂「よくわからないけど・・・澪さんの周りに焔が広がってて、誰も近づけないんです」

唯「大変なんだよ・・・」

律「・・・そうか」

律「澪は・・・最近、すごく辛そうにしてた」

律「何があったかわかんないけど・・・誰にも相談できなくて、困ってるみたいだった」

律「私は・・・傍に居たのに、何もしてやれなかった」

律「あいつに心配かけてばかりで・・・」

律「何も気づいてやれなかった・・・澪の力に、なれなかった・・・!」

唯「・・・そんなことないよ」

唯「澪ちゃんは・・・りっちゃんが居たから・・・辛くても、がんばれたんだと思う」

律「・・・唯」

唯「私なんて、澪ちゃんが困ってるの、全然わからなかったんだよ?」

唯「そんなにがんばれたのは・・・やっぱり、りっちゃんのおかげだと思う」

律「・・・・・・」

唯「友達って、きっと、そんなものだからさ・・・そばに居て、何かするんじゃなくて、」

唯「・・・そばにいるだけで、力になれるんだと思うんだ」

律「・・・ありがとうな、唯」

憂「お姉ちゃん、まともなこと言えたんだ・・・」

律「情けない部長でごめんな・・・うん、しょげてる場合じゃないや」

律「澪を・・・助けに行こう!」

唯「うん!」

憂「はい!」



澪「ア・・・ァ・・・」

澪「・・・・・・」

澪「クフフ・・・馴染ンデキタ・・・」

ロードブレイザー『コノ小娘モ中々強情ダ・・・意識ヲ失クシテモ未ダ、心ニ居座ルトハ・・・』

ロード『マァ、イイ・・・イズレ、追イダシテヤル・・・』

律「澪っ!聞こえるかーっ!」

ロード『・・・・・・』

律「・・・誰だ、お前・・・」

憂「なんか・・・雰囲気が違う・・・」

唯「澪ちゃんじゃ・・・ない」

ロード『ウルサイヤツラダ・・・』

律「お前か・・・澪を乗っ取ってるって奴は!澪を・・・返せッ!」

ロード『コザカシイ・・・』 ゴォオオオオオオオオオオオ

さわ子「あなた達・・・あぶないッ!」 どん

さわ子「うがあっ・・・!」 ばたっ

唯「さわちゃん!?」

ロード『フン・・・チカラハツカエル・・・コノ姿ニモ飽キタナ・・・』 メキメキメキメキッ

ロード『ニンゲンドモヨ・・・慄ケ!恐怖スルガイイ!ソノ昏キ感情ガ私ノ糧トナル!』

律「でけえ・・・!なんだこの姿・・・!」

憂「な・・・線が視えない・・・!」

さわ子「あな、た、た・・・ち・・・無事、ね・・・」

律「先生っ!」

唯「先生、せんせっ!」

憂「私達をかばって・・・」

さわ子「う・・・ぐ・・・」

唯「え・・・オルフェノクは怪我しても大丈夫なんじゃ・・・!」

さわ子「・・・元々ね、寿命だったのよ・・・オルフェノクになってから・・・もう10年だもの・・・」

さわ子「とっくに体組織は限界だった・・・もしかしたら普通の人間より弱いかもしれない・・・」

唯「そんな・・・それなのになんでっ!」

さわ子「・・・当たり前じゃない・・・私は、あなた達の・・・顧問なのよ」

律「先生・・・!」

さわ子「・・・唯、ちゃん」 ごふぁ

唯「喋っちゃだめです・・・」

さわ子「そこに・・・ギターケースがあるでしょう・・・あなたのよ」

さわ子「開けて、手に取って・・・立ち上がって見せて」

唯「せんせぇ・・・」 ぐっ

さわ子「・・・かっこいいわよ、唯ちゃん」

さわ子「・・・おね・・・が、い・・・」

さわ子「みんなを、守って・・・」

さわ子「・・・一発・・・ぶちかまして、きなさい・・・」

唯「・・・さわ、ちゃん?」

さわ子「            」

唯「先生・・・せんせえええええええええええええっ!」

さわ子「」しゅうううううぅぅ・・・

憂「消えた・・・」

律「何がどうなってるんだ・・・」

唯「うぅ・・・うっ・・・」

憂「お姉ちゃん・・・」

唯「・・・先生・・・せん、せ・・・え・・・」

律「・・・行かなきゃ・・・唯」

唯「う・・うう・・・」

律「もうこれ以上・・・誰も死なせない、そのために・・・行こう」

唯「・・・うっ・・・ひぐっ・・・・・・」

憂「おねえちゃん・・・私が・・・みんながついてるよ・・・」

唯「・・・うん・・・」

律「・・・どうしようか」

唯「和ちゃんとムギちゃん探さなきゃ・・・」

憂「それは私が行くよ」

律「・・・頼む」

唯「あれ・・・誰か忘れてるような・・・」

律「唯は私と一緒に・・・あいつを追うぞ」

憂「・・・じゃ、気をつけて」

律「おう」


その頃


サラ「さっさと登るでスよ!」

梓「うるさいです!」

ガガガガガガガガガガガガガガガガ


紬「はぁあああ!」 バキッ

和「えいっ!うおああああ!」 ガシッ ブンッ

ドシャッ

怪人「グルルルル・・・」

紬「くっ・・・」

和「キリが無いわね・・・」

紬「何か・・・決定打がないと・・・」


憂「うわっ!特撮ヒーローショー!」

紬「憂ちゃん!?」

憂「あれ・・・紬さんと和さん?」

紬「ど、どうしてわかったの?」

憂「身のこなしでわかりますよ・・・そっちの人は・・・ちょっとわかりません」

和「憂ちゃん、危ないっ!」

怪人「ガルルッ!」

憂「おっと!」 しゅたっ

和「すごい・・・」

紬「・・・そうだ・・・憂ちゃんがいれば・・・憂ちゃん、協力して!」

憂「この怪人を殺せばいいんですか?」

紬「・・・・・・」

『一人じゃ耐えきれないときは・・・誰かを頼っていいの』
『・・・あなたがそれを守ろうとするのはなぜ?』

紬(・・・先生・・・)
紬「・・・殺しちゃダメ!生け捕りにします!」

憂「そういうの、苦手だなぁ・・・」

紬「・・・作戦を伝えます!」

紬「和ちゃんはオルフェノクを抑えて!倒す必要はないから、無理のないように!」

和「わかったわ!」 ガシッ

紬「憂ちゃんには・・・このファイズドライバーを破壊してもらう」

憂「それって、どういう・・・」

紬「この機械は・・・試作段階のもので、出力が安定していない・・・それなら」

紬「制御回路だけを断ち切って、強い衝撃を与えれば、大爆発を起こすはず!」

憂「なるほど・・・これを危ない状態にして、あの怪人にぶつければいいんですね」

紬「そうよ・・・頼めるかしら」

憂「・・・やってみましょう」

紬「それじゃ・・・頼んだわ」

『 deformation. 』 スチャッ

憂「・・・細かいなぁ、これ・・・」

憂「・・・!!!」カッ

憂「できました!」

紬「和ちゃん、準備はいい?」

和「早く、し、てっ!」 バタバタ ガシ

怪人「ウグルォオオオオ!」

憂「・・・えいッ!」 ブンッ

和「さ、先に言ってよッ!」 シュバッ

怪人「グルル・・・ウ?」

ドガァーン

怪人「ガ・・・ア・・・」 ドサッ

和「や、やった・・・」 しゅううううう

紬「さて・・・今回の暴走オルフェノク・・・誰だったのかしら」

怪人「」しゅううううううう

憂「・・・あれ?律さんにそっくりですね」

紬「・・・聡くんだったの・・・」

聡「・・・・・・く・・・」

和「も、もう大丈夫なの?」

紬「当分はね・・・」

プルルルル ガチャ

紬『斎藤?オルフェノクを無力化しました、搬送なさい』

ツー

和「そ、そうだ、律ちゃんは?」

憂「もう立って歩いてましたよ」

紬「そんな、ばかな・・・」

憂「それより・・・山中先生が・・・」


和「・・・うそ」

憂「・・・・・・」

紬「あの人らしいわ・・・教え子を庇って死ぬなんて」

紬(そういえば十年前も・・・本気で私を庇ってたんだっけ・・・
  ・・・私って・・・なんでこんなに馬鹿なの・・・)

憂「先輩・・・ハンカチどうぞ」



律「いたぞ、あそこだ!」

唯「で、でかい・・・」

ロードブレイザー『ナンダ・・・マダ居タノカ』

律「澪を返せよッ!」

ロード『フン・・・焼キ払ッテクレル!』

律&唯「「うわあああ!」」

ゴオオオオオオオオオオオオオオ

律「う・・・あれ」

唯「・・・無事、だね」

サラマンダー「間に合いましたね」

梓「唯先輩、律先輩!」

唯「あずにゃん!」

ロード『ナニ・・・我ガ焔ヲ受ケ止メタダト・・・』

サラ「けっ・・・お前がどんな世界の火の悪魔か知らんでスけど」

サラ「地球での火のプロは・・・ボクなんでスからね!」

律「なんだこのトカゲ」

サラ「トカゲゆーな!」

唯「かわいーい」

サラ「えへへー」

梓「サラくんかっこわるい・・・」

ロード『コ、小癪ナッ・・・!』

憂「お姉ちゃん!」

唯「うい!」

紬「皆さん、大丈夫ですか!」

律「みんな!」

和「うわ・・・何よこいつ・・・でかすぎでしょ!」

ロード『オノレ、チョコザイナ!マトメテ叩キ潰シテクレルッ!』 ブンッ

ガッキーン

唯「させないよ・・・そんな真似!」

ロード『グッ・・・』

憂「線は・・・点はどこなの・・・こいつ!」

サラ「あずさ、早く変身するでスよ!」

梓「わかった!」

梓「「ちぇんじ、みらくる、あずにゃんにゃん!」」

サラ「シフト、サラマンダー!」

キュピ――――ン

梓&サラ「「エレメント・モード!コンプリート!」」

律「う、うおお・・・テレビで見るみてーだ・・・」

紬「なにこれ・・・」

ヒュン ザクッ

和「そ、空から剣が・・・」

『りつ・・・律!』

律「この声・・・澪なのか!?」

『よくわかんないけど・・・今、私は半分、律の中にいるみたいだ』

律「私の、中に・・・」

『・・・律、その地面に刺さってる剣を抜くんだ!』

律「お、おう・・・!」 ぐっ

律「ぬ、抜けねえ・・・」

ロード『マサカ・・・ガーディアンブレード、ルシエド!』

ロード『・・・ハッ・・・英雄デモナイ、タダノ小娘ニ抜ケルヨウナ剣デハナイ!』

律「・・・そいつぁ、どうかな・・・」

ロード『ナニ・・・』

律「確かに私は普通の女の子だ・・・でもな」

律「私には、友達がいる・・・」

律「その友達と一緒なら、なんだって出来る気がする・・・!」

律「いや!できるんだよッ!」

『律・・・そうだよ!・・・ガーディアンブレードは、一人で抜くものじゃない・・・!』

律「英雄でもない?はっ、笑わせるな」

『一人だけの思いじゃなく、誰かと心を合わせて初めて、それが叶うッ!』

律「誰かが英雄になれるのなら、誰だってなれるはずなんだッ!」

律&澪『うおおおおおおおおおおおおおッ!』


キィーン・・・


ロード『ナッ・・・漆黒ノ・・・≪剣ノ聖女≫ダトッ!』

律「ドラマーとベーシストを・・・なめんなッ!」

和「か、かっこいい・・・」

紬「鼻血が・・・」


ロード『忌々シイ・・・消シ飛ベッ!』

ドグシャアアア

ギシギシシイィ

唯「させないって、言ったよ?」

ロード『オノレ・・・一度ナラズ、二度マデモ止メルノカ!』

唯「・・・よくも、さわちゃんを」

唯「絶対に許さない・・・絶対に、ぜ っ た い に !!」


唯(力が湧いてくる・・・あの時と、同じ・・・すごく、あたたかい感じ・・・)

唯(そうだよ・・・すごく簡単だ・・・)

唯(大切なのは、熱い気持ちと、)

唯(抑えきれない想い!)


唯「へんしん!」


ドドド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ドッ チュドオオオオオオオオオオン


憂「おっ、お姉ちゃん!」

和「浮かび上がった・・・!」

紬「あの深紅のシルエットはまさか・・・海賊化したというの・・・
  海賊王アトムスクの力を手に入れたのね!」

梓「あ、あの赤いギター・・・もしかして・・・」

梓&紬「「ギブソン EB-0、61年型ーッ!?」」

梓「ほ、ほんものだ・・・」


唯「・・・いくよッ!」

梓「はいッ!」

律「おうッ!」


唯「魚へんにブルーでッ!」

唯「さばあああああああああああッ!」 ズダダダダダダダダダダダダダダ キィン


梓「サラくんいくよ!」

サラ「言われなくともでス!」

梓「カイザーフェニックスッ!」 ドグォー ドンッ ゴアアアアアアアアアアアアアアアアア


律「ルシエドの力、澪の想い・・・全部ぶつけてやるっ!」

律「ブーメランフラッシュッ!」 すっ・・・

ザクザクザクザクザクザクザクザク ザシュッ!!!


ロード『ウ・・・マダマダ・・・ニンゲン風情ガッ!』


ロード『オロカナ・・・戦ッテイナイ者ヲ狙ワレタラドウスル!』

唯「っ!」

律「ムギ、逃げろおおおおお!」

ロード『遅イ!』

ボッ

ロード『ナニッ・・・ナゼ我ガ焔ガ消エル!』

憂「お前さぁ・・・乱発しすぎなんだよ・・・もう視えちゃった」

ロード『ナ・・・何ヲシタ!』

憂「お前のチカラはさ・・・黒と紅の、綺麗な螺旋で・・・くくっ、ほんとに綺麗だよお」

ロード『タ、タワケッ!』 ズゴァアアアアアアアアアアアアアアアア

憂「あはははは!いいよ、すごくいい!」 ヒュンヒュン シュッ スッ サッ

憂「おしまい?もうちょっとサービスしよーよ・・・ぎゃはは、ぎゃはははははッ!」

ロード『ナゼダ・・・ナゼソコマデ闘エル!ナゼ絶望シナイ!』

紬「・・・あなたにはきっと、わからないでしょう・・・」

ロード『グヌ・・・純粋ニ破壊ヲ望ム私ガ、ナゼ、ニンゲンニ敵ワナイ!』

紬「私達は・・・みんなそれぞれ望むものがある」

紬「それでも・・・どれか一つでなく、できるだけ全部を・・・」

紬「みんなの願いを、みんなで叶えようとしてる・・・」

紬「それが一つになった時の強さを・・・弱さを庇いあう強さを、あなたは知らない!」

紬「ひとりよがりの我儘なんかで、私達には敵わない!」

ロード『抜カセ・・・ソンナワケガナイッ!』

『もう・・・諦めたら?』

ロード『黙レ・・・タカガ依リ代ノクセニ・・・』

『その依り代の立場から言わせてもらうけど・・・あなたに勝ち目は無いわ』

ロード『ダマレ・・・』

『私の友達は・・・絶対に諦めない』

『私も・・・絶対に諦めない!』

『どんなに邪魔が入ったって、どんなに時間がかかったって、必ずいつか叶うことを信じてるから!』

『私達の未来は、あなたなんかじゃ届かない!』

ロード『ダマレエエエエエエエエエエエ!』


梓「今日は絶対に負けません・・・だって、先輩と一緒ですし、」

サラ「今日だけは、ホンモノの・・・魔法少女なんでスから!」


律「何があっても勝ってみせる・・・!」

律「澪を助けるために、ここにいるんだッ!」


唯「理由なんか、考えてなかった・・・」

唯「ただそこに友達がいて」

唯「いっしょに居たのが私だった」

唯「・・・私がそこに居る限り!」

唯「私は私を続けるんだ!」

唯「ずっちずっと、友達なんだ!」


梓「タンクローリーとロードローラーだッ!」

律「みんなの気持ちが集まってくるッ・・・アークインパルスッ!」

唯「広島カープ、フルスイングッ!」

カッ

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオンッ

ロードブレイザー『ウグ・・・アア・・・グアアアアアアアアアアアアアアアッ!』

ザァアアッ・・・

梓「やった・・・やりました!」

和「倒したのね・・・」

憂「もう終わりか・・・」

唯「ふいー・・・うぐっ!」 ずもずもずもずもっ

律「ど、どうしたんだ唯っ!」

紬「・・・あら?頭からでてきたのって・・・」

澪「・・・う、ううん・・・」

律「澪・・・澪っ!」 がしっ

澪「り・・・律、くるしい」

唯「よかった・・・よかったよお・・・」 ぎゅっ

梓「ぐえ・・・」

和「何がなんだか・・・」

紬「・・・アトムスクも、粋なことをしますね・・・」


あれから二週間後、さわ子先生のお葬式をした。
と言っても、遺体は無いし、本当のことを先生の両親に話すわけにいかなかったので、公式には失踪人扱いだ。

私達だけで、ムギちゃんが私有地に作ったお墓で、小さな小さなお葬式になった。
みんな泣いてたけど、ムギちゃんだけは涙一つ見せなかった。
でも、一番つらそうな顔をしてたのは、ムギちゃんだった。

その後は、ムギちゃんが和ちゃんに、オルフェノクの寿命は凄く短いことを教えたり、りっちゃんの弟の聡くんもオルフェノクだってことを説明したので、大変なことになった。
りっちゃんは未だに半信半疑で、「・・・実はどっきりなんじゃねーの?」って言っている。
ムギちゃんは、和ちゃんと聡くんを人間に戻す方法を探しているらしい。
すごくがんばってるから、見つかるといいな。
澪ちゃんの体も普通に戻ったみたいで、よくわかんないけど、冷え性だってこと以外はオールクリアーらしい。
あずにゃんは新しくペットを飼い始めた、と思ったら、すぐに居なくなったみたい。
「地球を守るのも楽じゃないでス」って言ってたそうだ。
かわいかったのになあ。
りっちゃんは、変わらないようで、変わった気がする。
なんだか、男っぽくなった感じだ。
あとは、憂が魚を捌くのが上手くなったり、かっこいいバイクに乗ってベースギターを背負ったお姉さんに「あー・・・もういねーや」って言われたりしたけど、平和だった。

こうして、不自然なくらいに無茶苦茶な、うやむやな話が、まるで最初から嘘だったかのように終わっていく。
失ったものは戻らないし、壊れたものは直らないけど・・・それでも。

「唯先輩、今日は部室に和さんも憂も来てるんですよ、急いでください!」
「・・・うん、いま行くよ!」

みんなの隣に行こうと、私が思った。




      おしまい



補足

757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [2009/08/09(日) 10:10:35.60 ID:NvGzFNN1O]
唯:フリクリ
憂:月姫
律澪:ワイルドアームズ セカンド
梓:新感覚癒し系魔法少女ベホイミちゃん
さわ和紬:仮面ライダー555



おまけ

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 17:07:43.92 ID:/1aSnxnL0
和「ひっ、ひう・・・」

唯「さわちゃんひどいよ!いきなりフォーク刺すなんて!」

さわ子「ごめんなさい・・・でも、もう傷は消えてるでしょ?」

唯「え・・・ほんとだ!」

和「そ、そんな・・・こんなことが」

さわ子「自分が変わっちゃったこと、わかるかしら?」

和「・・・はい」

さわ子「圧倒的な代謝機能、組織の再生力、免疫力、そして運動能力・・・その他にも未知の領域が多いけれど、ただ一つ言えること、それは」

さわ子「人より遥かに優れた生物である、・・・いわば新人類ということよ」

唯「し、・・・しん、じんるい・・・って、なに?」

和「新しい人間ってこと・・・」

さわ子「そして私は・・・この存在を≪オルフェノク≫と呼んでいる」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 17:09:26.42 ID:40sCcrBN0
フェルビナク・・・!


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 17:12:00.90 ID:hbW1KiQg0
>>44
違う!オルフェノクだ!


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 17:15:54.85 ID:QBZteLNN0
小難しい横文字だな


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 17:16:33.68 ID:40sCcrBN0
フェイタスじゃないのか!


おまけ2

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 23:15:38.73 ID:/1aSnxnL0
さわ子「降魔儀式・・・」

紬「・・・異世界から降ろした存在を、生物の内的宇宙に封じ込める、カルト的な呪術」

紬「大きな存在を、力ある存在を閉じ込めるには、それだけ広大で複雑な宇宙を内包する生き物が必要になる」

さわ子「それが・・・人間だっていうのね」

紬「そう・・・私が自ら実験体になり、力の獲得をはかった・・・その時」

紬「偶然、合宿の相談に来ていた澪が・・・巻き込まれて・・・」

紬「迂闊だった・・・使用人の中で琴吹家の内実を知るのは執事の斎藤だけ・・・」

紬「澪に私の居場所を聞かれた女中は、そのまま澪を案内してしまった」

紬「そして・・・」

紬「・・・命に別条は無かったけれど、彼女は事故前後の記憶を失い、・・・その精神に、≪何か≫を降ろしてしまっていた」

紬「・・・私のせいで・・・!」

さわ子「・・・確かに軽率ね」


158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 23:24:57.92 ID:oF0xGUSG0
けいそつ!


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/05(水) 23:31:01.84 ID:3QXN+/SzO
>>158
黙って見てろwwwwww


NG

602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 17:19:33.77 ID:CegPb10H0
ジェッコトースター

梓「きゃあああ!」

唯「おおーう」


澪「死ぬかと思った・・・」

梓「和さん、乗り物強いんですか?」

和「うーん、絶叫系とか結構好きなのよね」

澪「すごいな・・・私はもうだめだ・・・」

梓「本当にだめそうですね・・・」


唯「つぎいくよ、つぎ!」

憂「あははははは」 シャキン シャキン


澪「・・・あの姉妹はなんなんだ」

和「憂ちゃんはなんで包丁持ってるの?」

梓「さぁ・・・」


605 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 17:22:02.97 ID:R7IonvjH0
>>602
>>1……! おまえがwwwwwwナンバーワンだ。
じぇっことーすたーカワユスww


608 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 17:23:57.77 ID:PIl8DCTo0
>>602
ジェッコwwトースターwwwww


609 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 17:25:54.22 ID:R7IonvjH0
>>602
憂の異常っぷりが霞んだジェッコトースターw

>>1さん、酉を付けるときは……ね?


610 :幼児 ◆U82.w9LfyoiH :2009/08/08(土) 17:31:14.57 ID:CegPb10H0
めちゃくちゃ恥ずかしい
なんか混乱してきた


611 :ジェッコトースター ◆VHf3eJ9rRk :2009/08/08(土) 17:33:53.29 ID:CegPb10H0
こっちか


613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/08(土) 17:41:40.77 ID:R7IonvjH0
ジェッコ、少し休むといいお。



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