fc2ブログ

水銀燈「ギャンブルぅ?」17歩編

2009年08月17日 00:02

水銀燈「ギャンブルぅ?」17歩編

46 :マリオネット ◆f0b8iS9HyE :2009/05/31(日) 17:02:55.33 ID:M2FbHwS60


【アカギとの17歩は通常の歩数に換算して170歩である】


カイジは生活費をかけてギャンブルをするはめになる

負ければ自分だけでなく水銀燈にも負担をかけてしまう

それだけはゴメン被りたい

金目の物を持っていかれそうな勢いだ

水銀燈が心配そうに勝負を見守る

何故こんな大勝負を・・・

事の発端はある出来事からなった


「お前見かけによらず食うよな、もうダディにしか見えないぜ」


               。    _|\ _
            。 O   / 。  u `ー、___
          ゚  。 \ヽ / u ⌒'ヽ゛  u /   ゚
          -  ・。 / ; ゚(●)  u⌒ヽ i   @ 。
        ,  ゚ 0 ─ { U u r-(、_, )(●) .| / 。  ,'´ ̄ ̄`',
         ゚ ,,、,r-'⌒l u //トェェェ、 ) 。゚ / o    ,! ハ ハ !
      。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ,. ir- r 、//u / 。 ・゚  l フ ム l
        ヾヽ、_,,,、-、/ミ,ヽヽ/ ノ_, -イ-、\   ∠  ハ ッ j
          ー = ^~、 ̄r'´ ̄`''jヽ、  〃ヾ ゚ 。 ヽ フ   /
 jヽjvi、人ノl__     / /  ヽ´{ミ,_   ̄`'''-ヽヾ    ` ̄ ̄
 )   ハ   7      /  / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
 )   フ    て   /  /   !。 l  l  - ニ
 7   ッ    (  __ヽ、__l ___ .!。 l__l__,-=-,___
  )   !!     ( ,-=-, ∠ヾゞゝヽ ,-≡-,l  l-=二=-,
  ^⌒~^⌒^~⌒^└==┘   ̄ ̄ ̄ ヽ==ノヽ=ノ\__/
                ↑
               水銀燈


これからの生活費をどうしようかと考えるカイジ

カイジは今まで死ぬ気で貯めた貯金を30万ぐらい引き落とす事にした

ダディ・・・いや、水銀燈が大食いだからってあんまり食うなとは言いたくない

水銀燈には不自由なく生活してほしいというわけで惜しみつつも金を引き落とす

そこにかかってきた一通の電話

「先輩・・・」

声のトーンで誰か一発でわかった

「アカギか?」

無言で切り返す電話の相手

「先輩、家に行っていいですか?」

突然何をおっしゃるのだこの人は

水銀燈がいるのに家に来ていいわけがない、何か誤解される

「(や、やべぇどうしよう・・・断るべきか・・・?)」

カイジはチラッと水銀燈の方を見る

保留ボタンを押してから水銀燈に話し掛ける

「アカギってヤツが家に来たいらしいんだが良いか?」

水銀燈は顎に手をあてて何かを思い出そうとしている

そういえばアカギの話をチラッとした事がある、情けない話だが

「それって例の?」

そう、例のカイジを不登校にした男だ、本当に情けない

「いいわよぉ、どんな男か見てみたいしぃ」

そうか、それは何よりだ

「じゃあどこかに隠れててくれよ、いくらアカギでも動く人形はさすがにな・・・」

カイジは保留ボタンをもう一度押す

「もしもし、アカギ?」

「いいんですね?」

良く分かったなとカイジ

それには何も答えずにアカギは一つ聞く

「ちょっと他のヤツも連れてっていいですか?」

他のヤツ?

零か・・・?

もしくは他の友達だろう

一人ぐらいならとカイジは答える

「それは良かった・・・ククク・・・」

奇妙な笑いの後アカギはすぐに行くといって電話を切った

カイジは少し腑に落ちないところがあった

どうして突然家に来たいなどと言い出したのだろうか

いささか疑問である、しかしもっと疑問な事がある

「水銀燈・・・お前はヤクルト中毒なのか?」

ゴミ箱の中にある大量のヤクルトの容器を見てカイジは言う

最初の3袋なんてすぐになくなってしまった

5袋買いだめすれば一週間はもつと考えていた自分が馬鹿だったとカイジは思う

明後日までもてば上等だろうというぐらいの勢いだ

「まあとりあえずどこかに隠れてくれ、もしも見つかったらただの人形のフリをしててくれよ」

ただの人形のフリをしていたらそれはそれで問題な気がする

カイジがそんな趣味を持っていると誤解されかねない

ちょうど部屋を片付け終わったところでアカギがやってくる

「お邪魔しますよ、ククク・・・」

家に来てまでそんな不気味な笑い方をするのはやめてほしい

それにしても良く家を覚えていたな、この家の前を通る時にちょっと紹介しただけなのに

「お邪魔するですぅ」

ずいぶんと高い声だ

アカギは女を連れてきたのだろうか

取り合えずカイジは客人を出迎える

「ゆっくりしていってね・・・って・・・」

アカギ・・・いや、アカギの横にいる奴を見てカイジは驚愕する

自分に近しい者に少し似ている・・・というか酷似している

喋る人形・・・!

「ア、アカギ・・・」

カイジは思わず戸惑う

人形が喋っている・・・という事実ではなくアカギがコレを持っていることに驚いている

「やいトンガリ人間、さっさとお茶を出すですぅ」

誰がトンガリ人間だと突っ込む事よりも優先される驚き

しかしあだ名がアカギと同じというのがまた

アカギがこの人形について話そうとしたその刹那、隠れていた水銀燈が飛び出す

「す、翠星石!」

「す、水銀燈・・・!」

対峙する二人、いや二体だろうか

取り合えず二人と表現しておく

カイジの思ったとおり知り合いだ

「へぇ・・・先輩もローゼンメイデンと関わってたんですね・・・ククク・・・」

カイジはこれで今までのモヤモヤが消えうせる

少しおかしいと思っていたのだ

洒落っ気など無いアカギが突然変な指輪とつけだしたのだから

これは契約のアカギ・・・じゃなくて契約の証・・・!

とりあえずカイジは二人が出している妙な空気から逃げ出す

「こ、紅茶入れてくる」

水銀燈が隠れる必要がなくなったので4人分用意する

「お茶菓子ぐらい出しやがれです、気のきかねぇヤツです」

ローゼンメイデンはそろいもそろって傲慢のようだ

水銀燈のおかげでもうちょっとの事で怒ったりしなくなったカイジである

「悪いな・・・誰かさんが凄い勢いで食うからさ」

カイジは急に寒気がする、風邪かな

失言だったかと思いつつも笑顔を作る

「そ、それよりさ、何しにきたんだ?」

「先輩と少し遊びたくなりましてね・・・ククク・・・」

アカギの奇妙な笑い方に少し引く水銀燈

遊びと聞いてカイジは直感する

「健全な遊びだろうな?」

「ククク・・・」

どうやら違うらしい、予感的中だ

アカギの遊びというとアレしかない

それはギャンブル・・・!

身構えるカイジを見て翠星石は馬鹿にする

「こんなトンガリ人間じゃしげるには勝てないです」

それは聞き捨てならないと水銀燈が言い返す

「トンガリって貴女のミーディアムもどっこいどっこいじゃない」

「水銀燈の尻にしかれている時点でダメに決まってるです、つくづく運が悪い証拠です!」

確かにそうかもしれないとカイジは言い返すに言い返せない

ムキになった水銀燈はカイジに飛びつく

「あんなヤツ倒しちゃってよぉ、カイジなら勝てるわぁきっと」

そんな保証はない

というか勝てる気がしない・・・!

いくらなんでも相手が悪い

「それはそれとして、翠星石だっけ?」

「何ですか?このトンガリ人間」

「俺はカイジだ、トンガリ人間はやめてくれよ」


ここから冒頭に至るわけである、少しはしょっている気もするが

種目は二人麻雀17歩だ

ルールは至って簡単だ

聴牌から始まる二人麻雀といえば麻雀を知る人にとっては理解がいい

全自動卓で牌をシャッフル

先攻となったものが右でも左でもどちらでもいいからドラをめくる

先攻となったものが三分の砂時計をひっくり返してスタート

目の前のヤマ(17×2)をチョイス

その34牌で聴牌をつくるという非常に簡単なルールだ

「(これはこれで面白いがアカギはどれくらいの力量なのだろうか、通常の麻雀よりは劣るはず・・・)」

聴牌を作る上での枷はただ一つ

満貫以上・・・ということだ

三色だろうがチャンタだろうが何でもいい

とにかく満貫以上・・・!

それをつくり後はお互いに牌を切りあう

相手のロン牌を捨てれば当然和了され金を失う

倒した手によって戻りは色々

基本掛け金を1万と仮定しよう

満貫なら1万、跳ね満なら1、5倍の1万5千、倍満なら2倍の2万、三倍満なら3倍の3万

役満ならば4倍の4万、もしもダブル役満なんて事になれば8倍の8万・・・!

もしも17順で決着がつかなければ同額を卓に積む、つまり掛け金二倍だ

「始めるか・・・そろそろ」

この二人麻雀で掛け金は肝心要だ

二人の同意があれば1000・・・1万・・・10万だっていい

しかし軍資金の乏しいカイジに10万なんて高レート受けれる道理がない

それはアカギも同じはず・・・

が・・・

どこまでも予想外な男・・・それがアカギしげる

アカギは卓に10万積む

基本掛け金10万・・・!無法の10万・・・!

さすがのカイジもそればかりはうけれない

「あ、アカギ!いくらなんでもそれは・・・」

勝負を受けようとしないカイジ

しかしそれも無理はない

初っ端から10万なんて無理に決まっている

相手があの鬼神・・・悪魔・・・アカギなら尚更だ

「なるほど・・・凡夫だ・・・」

え・・・?

きょとんとする一同

アカギは淡々という

「それくらい持ってるでしょ?」

ざわ・・・ざわ・・・

「な、なにを・・・」

図星・・・!

カイジは確かに持っている、30万を

「出してくださいよ、10万」

「ふ、ふざけるな!そんな法外な賭けできるわけねぇだろ!」

アカギ相手に10万張り・・・それはあまりにも暴挙

二人麻雀の腕がどれほどなのか知らないが並みの人間より強いことぐらいわかる

そりゃあ普通の麻雀とは大分異なるがそれでもアカギは強いはず・・・!

そこに翠星石が横入りする

「し、しげる!いくらなんでもそんな大金は・・・」

水銀燈も同意見だ

こんな無茶苦茶な賭けは認められない

千円ぐらいなら遊びの範囲だ

しかし10万はいくらなんでもありえない・・・!

手によっては15万・・・20万だってあり得る

そんな勝負を受けれる道理がない

「がっかりだ・・・先輩がそこまで臆病だなんて」

「あ・・・?」

「博打の申し子とうたわれたカイジ先輩が大勝負に乗らないなんて・・・がっかりだ」

この時のアカギの顔は煽っているような顔とは少し違った

何かに失望しているような顔だ

大好きなアニメが打ち切りしてしまったような子供のような顔をしていた

そんなアカギに水銀燈は反論する

「大勝負も何もないわよぉ、振った振らないで10万?このお馬鹿さぁん」

正論だ、まさしく

ロン牌を振り込んだが故に10万なんてありえない

しかしカイジ・・・

バサッ

卓に十万を積む

「カ、カイジ?何をする気ぃ?」

カイジはアカギの表情を見て思い返した

自分の百戦錬磨伝説を

勝負を直感と理でかいくぐってきた

時にイカサマ返しをしたり時には誰かと結託し

とにもかくにも生き残ってきたのだ、地獄くぐりを

もはや直感は自分の血肉・・・!

それなのに勝負から逃げてどうする?

負けたら金を失う・・・?

だったら勝てばいい、それだけの事だ

とりあえず遊びの範囲で賭ける?

ケッ・・・馬鹿じゃねえの?

10万あるなら10万、20万あるなら20万、どんどん張っていけばいい

カイジは高らかに宣言する

「受けよう・・・基本10万の17歩・・・!」

カイジ・・・道を開く

道を指す・・・!

カイジ・・・開示・・・!

「ククク・・・さすがカイジ先輩・・・」

アカギの表情はどことなく楽しそうだった

これから遊園地に連れて行ってもらえる子供のような雰囲気だ

アカギの表情は長門程はないが読みづらい

特に考えていることは読みづらい・・・!

カイジの暴挙を見かねて水銀燈が止めに入る

「カ、カイジ!挑発に乗る事なんかないわよぉ!」

水銀燈の制止を聞かないカイジ

ここまで来たら引くに引けない

ここまで来たら勝負だろうが・・・!

カイジは自分にそう言い聞かせる

相手が悪魔でも鬼神でも勝ち抜いてみせる・・・!

そういってカイジは牌を全自動卓に流し込む

ヤマが上がってくる

カイジはアカギに向かって啖呵を切る

「アカギ、俺は負けるわけにはいかない、全てを背負ってるんだ俺は・・・!」

先攻後攻を決めるじゃんけんをする

カイジはグーを出せば勝てると直感・・・!

・・・あいこ

引き分けたのでもう一度だ

カイジはもう一度・・・もう一度グーを出すべきだと直感する

・・・結果はあいこだ

カイジは無駄に汗をかく

この緊迫した感じがたまらない

もしかするとアカギはわざとあいこにしているのではないだろうか

グー、グー、ときたから次はチョキ・・・

が・・・

「(狙われるかもしれない、俺のそういう発想・・・!)」

カイジとしては後攻を選びたいところだ

ならば勝ってここで選択権を得たいところ・・・!

チョキ・・・?それともパー・・・?

気付けば二択・・・!

「(ここはパー・・・いや・・・)」

最初に走った直感

それはチョキで勝つというイメージ

直感は信じたい・・・

直感は・・・

「(直感は俺の歴史・・・俺の血肉・・・!)」


カイジ・・・チョキ・・・!

アカギ・・・グー・・・!


 ヽ.\    \           ノ ノ ィ
   \ `'<_ ̄ `          {. ( /-─:ァ
    ,> 、_ ヽ、              \ヽ. ∠.__
.    / ./   \\| ,イ  ,.ィ      ヽヽ <
   |,イ ,   ,〃ゝ.ニ'_ー<.丿.ト、    l l  ヽ`
ヽ   |,イ __ /{ |/l,イハV「iヘヽ∧ヘ.ト、   l l トノ
| l.   f´ _{{u〉   o レ, Vrヘ\  ソ〉、j ル'
ヽヽ.   ヽ.( iひ‐'^uく<::::) o ヽ.`くr' /ト{{
 ヽ.\   l |‐||. v (^ソ )‘ー'ひ‐ヘ. Vソ.ハ.ヽ.
─-;>、ヽ.Lニ!Lrェェミュ' J,.ィT゙「フ,ハ V  \ヽ.
::/:::::::::::`7⌒TlTエヽ`く_」⊥Lレ }Tヽ.\  ヽ.\
:{::::::::::::::::ノ  | ヽl_.Ll>、ヽ⊥」ノ .く. ゝ \ヽ
:ヽ::::::::::::イ  _,.>、 v -‐ヽ i-  ijv )\. ヽ.\
ー-ゝ、:_:::レi く: :/ `ー 、_ u } l  rく´{. トゝ  \ヽ
-─‐-..二ニ''.Y\   _7rヘ`く  l:::`:-ゝ.._
:::::::::::::j::/ : : l l:::::::;>:': :ノ::| \\|::::::::::::::::: ̄
:::::::::::::ソ: : : :ヽ`'く : :/:::::::Vヽ!\ヽ、::::::::::::::


カイジ・・・選択権を得れず・・・!

ジャンケンぐらいで何泣いているんだという顔で水銀燈と翠星石はカイジを見る

アカギはクククと嘲笑う

カイジはアカギが先攻を選ぶ事を願う・・・

先攻後攻ぐらいで大袈裟な気もするがそんな事はない

先攻後攻は意外と重要だ・・・多分

先攻が切った牌が安牌になる可能性だってある

それなら後攻・・・!

「ククク・・・こりゃ幸先がいい・・・先攻をいかせてもらいましょう」

カイジはホッと安堵のためいきをつく

少し大袈裟な気もするがとにもかくにも助かる

カイジは砂時計をアカギに手渡す

アカギは自分から見て右側の手前から2つ目をめくる

運命のドラ表示牌・・・

ドラ表示牌は5索・・・!

つまりドラは6索・・・!

「ククク・・・いいドラですね」

アカギがいいドラと言ったのはそれなりの理由がある

この二人麻雀で一番怖いのは満貫不成立・・・!

満貫ができねばただ自分だけが通すというハイリスクノーリターン・・・!

そんな時にドラがあればかろうじて救われる事がある

しかし字牌のドラだとそうはいかない

まず手に組み込むのが難しい・・・!

どうしても刻子や対子となる

場合によっては単騎待ち・・・!

しかしここ一番での字牌ドラ単騎はもっとも避けたい待ち・・・!

「ククク・・・砂時計をひっくりかえさせてもらいますよ」

トニッ

アカギは砂時計をひっくり返す

返る・・・命の砂時計が・・・!

血そのもののような砂が落ちていく

両者は一斉にヤマを開ける

ここで手を滑らせると大幅なタイムロスとなってしまう

「(こいっ・・・!満貫・・・!)」

運命のヤマ・・・オープン・・・!

カイジの満貫来いという祈りが通じたのだろうか

成る・・・満貫成立・・・!

カイジは引き寄せてしまう・・・

ドラ暗刻・・・!

「(き、きたぁ~~~)」

ドラ暗刻・・・!

これで免れる・・・満貫不成立というリスクを・・・

しかも・・・

自分が3枚もっているということは相手が一枚も持っていない可能性も必然高まる

有利・・・

この時点でカイジ圧倒的有利・・・

カイジは張る・・・!

ドラ3つを活かして満貫を・・・!

ドラ3つは頭と順子として扱う

待ちは1-4-7萬

役はメンタンピンドラ3・・・!

「(端の1萬が出てタンヤオが消えても最低満貫は死守・・・!勝つ・・・!これで・・・!)」

待ちも広いし跳ね満のチャンスまである

1萬が出ても裏ドラ次第で跳ね満になり得る・・・!

しかも・・・

カイジは一枚も自分のロン牌をもっていない・・・!

つまり・・・

その分相手がロン牌をたくさんもっているかもしれない

もしも自分が3枚もっていたら必然的に相手にその分はない

オマケにフリテンになるから自分はそれをきれない・・・

つまり選べる捨て牌が減るのだ・・・!

つまりこれはいい手・・・!

恐るべき強運・・・!

後ろで見ている水銀燈も驚きを隠せない

「(これがカイジの強運・・・!カイジが勝てばたくさんヤクルトが買えるわぁ)」

両者聴牌選択を終え三分過ぎるのを待つ

砂時計がサラサラと落ちていく

残り5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0

砂時計を見ていた翠星石が“そこまで”の合図をかける

「しげる!絶対負けちゃだめですよ!」

先打ちのアカギは躊躇無く牌を切る

タァニ

打・・・2萬・・・!

カイジのロン牌にかする牌・・・!

やたらと際どいところをアカギは通す・・・!

「リーチ」

続いてカイジの番だ

2萬は自分で使っているから安牌として使えない

カイジはしばし考え込む

これはほぼノーヒントだ

考えたってどうしようもない

「(端っこはタンヤオがつかないから待たないか・・・いや・・・チャンタがあるから・・・)」

カイジは1打目にして長考・・・

千円程度の博打ならここまで悩まずに打っている

しかし大金がかかれば別・・・!

振れば消し飛ぶ・・・金・・・積み上げてきた勝ち金・・・!

カイジはとりあえず通りそうな牌をつかみあげる

「無難なこの辺か・・・?」

カイジ・・・打北・・・!

「リーチ」

通る・・・

この北はアカギに通る・・・!

通る保証などはない

しかしこれはオタ風・・・

普通の牌よりはいささか通りそうな気配がする

それにもう一つ理由がある

それはノーヒント・・・!

字牌を切ることで相手にヒントを与えない

つまりアカギは直感で牌を切る事になる

直感はそう続かない・・・!

アカギは躊躇無く二打目の牌を打つ

「(来い・・・!1-4-7萬・・・!)」

タァニ

アカギ・・・打5萬・・・!

またもやかする・・・!

際どいところの連続・・・!

カイジはオタオタしないように必死におさえる

動揺しては悟られてしまう・・・!

1-4-7萬待ちを・・・!

「(今はそれどころじゃねえ・・・俺が打つかもしれねえんだ)」

カイジは何がとおりそうかしばし考える

役牌はきな臭いからとりあえず保留しておく

シャボの公算は大だ

「(あまり当てにならねぇがここは5萬のスジ・・・8萬でいくか・・・)」

タァニ

カイジ打・・・8萬

ここでアカギは伏せていた牌を起こす

ドキッ

「(や・・・やっちまったのか俺・・・?あ・・・?)」

ざわ・・・ざわ・・・

「ククク・・・ククク・・・」

カイジの捨て牌と自分の手配を何度も見比べて奇妙な笑みを浮かべるアカギ

高まるカイジの心拍数・・・!

ざわ・・・ざわ・・

「ククク・・・」

タァニ

アカギの三打目は3萬・・・!

通っていた・・・!

カイジの8萬・・・!

カイジは露骨に安堵する

突然あんなことをされては心臓に悪い

パタッ

アカギは手配を伏せる

このアカギのフェイントに水銀燈はハラハラする

「(な、何よぉこの男・・・!ローザミスティカ飛び出るかと思ったじゃなぁい)」

三歩目にしてカイジはしばし動きが止まる

さっきのフェイントで毒気をぬかれてしまったようだ

自分の捨て牌候補を眺めてボォーッとする

カイジの間抜け面を見て翠星石はクスクスと笑う

「(は、腹痛ぇですぅ・・・イヒヒ・・・あの間抜け面・・・ヒヒヒ)」

カイジは少し呆けた後我にかえる

「(・・・ここは・・・ここは通るはずだ・・・!)」

カイジは牌をつまみあげる

どう考えてもきびしい牌を・・・!

「(通る・・・ここは逆に・・・!)」

スパーァニ

カイジ・・・打8索・・・!

ドラ付近・・・!

一見厳しいドラ付近を強打・・・!

しかしこれは理があってのことだ

「(通るさここは・・・ドラ付近は出してくれない・・・だから逆に待たない・・・!)」

それだけではない

カイジはドラを3枚もっている

だからアカギはもってない可能性がたかい

オマケにその周りも結構持っているからその分相手にも入りにくい

だから通る・・・!

アカギはまた手牌を起こす

「(フンッ・・・そんなドッキリに誰が乗るかよ)」

起こされた手牌を見て翠星石が《あっ》という顔をする

「残念・・・」

バラッ

アカギは牌を倒す

「ロン・・・」

アカギ・・・8索カンチャン待ち・・・!

カイジ・・・地雷を踏む・・・!

ドッカーンと・・・

爆破・・・!

「な、なんだぁこの手・・・?!」

カイジ・・・痛恨の振込み・・・!


 ヽ.\    \           ノ ノ ィ
   \ `'<_ ̄ `          {. ( /-─:ァ
    ,> 、_ ヽ、              \ヽ. ∠.__
.    / ./   \\| ,イ  ,.ィ      ヽヽ <
   |,イ ,   ,〃ゝ.ニ'_ー<.丿.ト、    l l  ヽ`
ヽ   |,イ __ /{ |/l,イハV「iヘヽ∧ヘ.ト、   l l トノ
| l.   f´ _{{u〉   o レ, Vrヘ\  ソ〉、j ル'
ヽヽ.   ヽ.( iひ‐'^uく<::::) o ヽ.`くr' /ト{{
 ヽ.\   l |‐||. v (^ソ )‘ー'ひ‐ヘ. Vソ.ハ.ヽ.
─-;>、ヽ.Lニ!Lrェェミュ' J,.ィT゙「フ,ハ V  \ヽ.
::/:::::::::::`7⌒TlTエヽ`く_」⊥Lレ }Tヽ.\  ヽ.\
:{::::::::::::::::ノ  | ヽl_.Ll>、ヽ⊥」ノ .く. ゝ \ヽ
:ヽ::::::::::::イ  _,.>、 v -‐ヽ i-  ijv )\. ヽ.\
ー-ゝ、:_:::レi く: :/ `ー 、_ u } l  rく´{. トゝ  \ヽ
-─‐-..二ニ''.Y\   _7rヘ`く  l:::`:-ゝ.._
:::::::::::::j::/ : : l l:::::::;>:': :ノ::| \\|::::::::::::::::: ̄
:::::::::::::ソ: : : :ヽ`'く : :/:::::::Vヽ!\ヽ、::::::::::::::


「リーチ純チャン・・・裏・・・」

この時点で満貫・・・!

もしも裏が乗れば・・・

裏が下手に乗れば・・・

「(よせ・・・!よせ・・・!)」

カイジは必死に祈る

裏が乗らぬ事を・・・!

水銀燈も同様・・・圧倒的に同様・・・!

「(乗っちゃダメよぉ・・・!乗ったら飛ぶ・・・金・・・虎の子・・・ヤクルト・・・!)」

「裏・・・惜しい」

裏ドラ表示牌は中・・・!

セーフ・・・!

圧倒的セーフ・・・!

痛恨の打ち込み・・・

不幸中の幸いは裏が乗らなかった事だ

「ククク・・・10万・・・」

アカギは金をだせと言わんばかりに手を伸ばす

カイジは半泣きになりながら10万を投げる

「うっ・・・うぐっ・・・」

もっていかれる・・・10万を・・・

二回戦の先攻はカイジ・・・

カイジ残り20万・・・

カイジ・・・完全に意気消沈・・・

「(ありえない・・・ありえない・・・この大勝負でカンチャン待ち・・・?)」

アカギの待ちが腑に落ちなかった

カンチャンや単騎で待ってもし相手の捨て牌候補にそれがなかったら?

この大勝負でドラ付近のカンチャン・・・?

悪魔・・・!やはり悪魔・・・!

「さあ二回戦目いきましょうか・・・ククク・・・」

アカギはカイジに砂時計を手渡す

牌を全て全自動卓に流し込む

新たなヤマが出現

カイジは続行するかどうか考える

次の勝負にいってもいいのだろうか

残り軍資金の半分もかけていいのか・・・?

カイジの勝負の灯が消えかけている

もし負けたら・・・

水銀燈に負担をかけてしまう

もし倍満ならここで勝負が終わってしまう・・・!

もし三倍満なら足りない10万を銀行から引き出してこなければいけない

「(う・・・うぐ・・・う・・・)」

カイジの頭の中をifがかけめぐる

もし~だったら・・・という考えが

そして最終的には水銀燈にいきつく

水銀燈に負担・・・水銀燈に贅沢をさせてやれなくなる・・・

そんな考えにいきつく

自分の人生が無茶苦茶になる・・・という考えは浮かばない

水銀燈・・・水銀燈の事ばかり考えてしまう

その事を考えるともう10万など受けれない・・・!

10万レートから脱落する事を決意する

「ア、アカギ・・・言いにくいんだが・・・」

「レートを下げろ・・・ですか?」

カイジは少し戸惑う

やはり読まれていた

アカギ相手に隠しとおせる道理がない

先程の際どい牌連続も自分の待ちを読んでいたからではないのか?

いや・・・それだけは絶対にない・・・!

普通の麻雀と違ってツモ切りや手出しがない

だから待ちを読む素材がすくないのだ・・・圧倒的に・・・!

それをあんな序盤でかぎつける事ができるはずがない・・・!

とにかく肝心なのはこっちだ

レートダウン・・・!

「・・・ああ・・・そうなんだ・・・恥ずかしいんだが、5万ぐらいに・・・」

カイジは赤面してレートダウンを乞う

無言のアカギにカイジはワケを説明する

「もし俺が負けたら生活費がなくなる、そうしたら水銀燈にも迷惑をかけちまう・・・」

これは黙っておこうと思ったのだが口にしてしまう

そういう空気になってしまっていたのだから

アカギの人情にかけたのだ

慈悲・・・アカギの慈悲を望んでいるのだ

自分はこの前アカギを助けた

それならアカギはきっと自分の要求をのんでくれるはずだ・・・と

アカギはカイジを嘲笑う

「ククク・・・馬鹿ですね先輩・・・」

ざわ・・・ざわ・・・

「え・・・?」

アカギはまた笑う

ククク・・・ククク・・・と

「いちいちそんな事考えて打ってたんですか・・・ククク・・・救えぬお人好し・・・」

確かにそうかもしれないとカイジは言い返せない

アカギは淡々と続ける

「大金を張ってるのはほかならぬ自分なんだからそんな事考える必要はない・・・ましてや居候の事なんか・・・」

バニッ

それを聞いてカイジは台を叩いて立ち上がる

黙って聞いていたカイジもさすがに怒る

「そういうわけにはいくかよ!水銀燈はもはや居候なんかじゃない、俺にとっては家族のようなものなんだ!かけがえが無さ過ぎる!」

突然怒りだしたカイジに呆気を取られる翠星石

水銀燈は心を打たれる

ずっと自分の事を考えて打っていたカイジに・・・!

自分の事を家族といってくれた

かけがえのない家族だといってくれた

わがままで傲慢な自分を大事な家族として思ってくれている

友達を自分のことで怒ってくれている

そんなカイジに心を打たれる

思えばずっと優しくしてもらっていた

5時に起こしたり一日に何本もヤクルトをのんだり

色んなことをしてきたがカイジはいつも自分の事を大事にしてくれていた

あってからそんなに経ってないがカイジは自分の事を大事な家族として扱ってくれている

「カイジ・・・」

それを聞いてアカギは更に笑う

カイジはゆっくりと腰を降ろす

アカギは積んである10万をポンと叩く

「そこまで大事な家族なら張りましょうよ、家族のために10万・・・」

ざわ・・・ざわ・・・

確かにアカギの言う通りかもしれないとカイジは思い込みはじめている

10万張りで取り返すべき・・・!

多くやればほとんどこっちが負けるはず・・・!

それなら大きく張るべき・・・!

運の要素も大きいこの勝負・・・

少なく長く張りつづけていてもジリ貧・・・!

それならば一度大きな手を和了して勝ち逃げするしかない・・・!

「・・・・・・・・・・・」

砂時計を片手にカイジはドラをめくる

運命のドラ表示牌・・・カイジ開示・・・!

ドラ表示牌北・・・!

ざわ・・・ざわ・・・

これはカイジにとってもっとも避けたかったドラ

先程記述した通り字牌のドラは使いづらい・・・

満貫不成立のリスクが高まる・・・!

「ケッ・・・不気味なドラだな・・・だが・・・」

カイジは砂時計をかざして宣言する

「勝つのは俺・・・!俺はお前を超える・・・!」

ドニッ

カイジは砂時計をひっくり返す

来いっ・・・!

満貫・・・!

ノーテンなどあってはならない・・・!

あってたまるか・・・!

カイジはヤマをあける

カイジは嫌な予感を感じながら理牌する

「(頼む・・・頼む・・・頼む・・・!)」

理牌を終える

パッと見で感じた印象はソーズが多いという事だ

しかしソーズのホンイツは張れない・・・!

不安ながらも牌をいじる

「(頼む・・・頼む・・・!)」

牌をいじった結果・・・

張る・・・!

どうあれカイジは満貫を張る・・・

メンタンピンイーペーコーの満貫を張る・・・!

待ちは4-7筒・・・!

が・・・

4筒が来た時のみ成立という苦しい条件・・・!

いわゆる片和了りだ

苦しい待ちだがそれでもノーテンよりはマシ・・・!

「(大丈夫・・・!大丈夫だ・・・!)」

先打ちのカイジは迷わず牌を切る

タァニ

カイジ・・・打1筒

これはこの手に決めた時から打とうと考えていた牌だ

これの片スジの4筒をアカギに切らすための罠・・・!

浅はかな罠だが何もしないよりは確実にマシのはず・・・!

牌を横にして千点棒を供託する

「リーチ」

タァニ

アカギ迷わず打東

ざわ・・・ざわ・・・

一切の躊躇無くドラ切り・・・!

アカギだからなせる離れ技・・・!

「リーチ」

続いて2歩目・・・!

カイジはチラッとアカギを見る

「(クッ・・・クソ度胸の野猿め・・・)」

ほぼノーヒント・・・!

カイジは何を切っていいか皆目わからない

が・・・

それでもあえて切るなら・・・

いや・・・

何をきっても打ちうる・・・!

安牌以外に100%の保証は基本的にない・・・!

アカギ相手だと全てがロン牌に見えてしまう

錯覚・・・!

全てがロン牌に見えてしまうという錯覚・・・!

「(くぅ・・・きな臭い・・・全て・・・)」

打ちうる・・・!

この牌はヤツのロン牌・・・!それは鉄板・・・!

カイジは手に掴んだ牌をおく

そして新たな牌をつかむ

その時カイジに圧倒的閃き・・・!

「(この4枚ある2萬が通れば4順の安全が買える・・・!これを通す方法がある・・・!)」

バラッ

「あっ・・・」

2萬をカイジは倒す

急いで立て直す

「す、すまねぇ」

これがカイジの策だ

2萬を倒す

これがロン牌なら反応するかもしれない

いや、無論アカギは反応しないだろう

が・・・

ヤツは違う・・・!

そう、後ろにいる翠星石・・・!

「(あの緑の可愛こ子ちゃんは動揺を隠せそうにねぇ・・・)」

翠星石の反応から察するにこれはセーフ・・・!少し反応したが牌を倒せば反応してもおかしくない

そう読んだ感じは2萬をつかむ

翠星石の表情を確認する

見えた牌がロン牌でそれをつかんだとなるとさすがに反応する

しかし反応なし・・・!

「(セーフ・・・!これは間違いなく・・・!)」

タァニ

カイジ打・・・2萬

一度の危険で4度の安全を買える2萬・・・!

セーフ・・・!

2萬はセーフ・・・!

通る・・・2萬が通る・・・!

これで5歩目までの安全が約束される

「さあ、バトンは返したぜアカギ」

カイジは少し得意になる

アカギは迷わず牌を掴む

「(というかどうしてコイツは躊躇無く牌を切れる・・・?)」

ふれば最低でも10万を失う

それなのにスパッ・・・スパッと牌を切れるアカギ

そりゃ考えたって相手の手を精密に読めるわけではない

しかしそれでも少しは考えたり迷ったりするだろう

後ろにいる水銀燈が通しをしているとも考えづらい

そんな事を考えている間にアカギつかんでいた牌を打つ

タニッ

アカギ・・・打東・・・!

不可解なドラの東連続切り・・・!

「あっ・・・?」

タァニ

混乱しつつもカイジは2萬を打つ

100%セーフの牌だ

カイジは3歩歩く事に成功する

タァニ

アカギは迷わず牌を切る

が・・・

打牌は不可解な東切り・・・!

ドラ3連続・・・! 異端のドラ暗刻切り・・・!

ざわ・・・ざわ・・・

「な・・・何っ!?」

ドラ3連続切り・・・?

何故?どうして?

ドラ三つを使えば満貫をつくることができる

それなのに何故・・・?

「(まさかコイツ・・・これを使わない方が高いって手が入ったのか・・・?)」

カイジ混乱・・・! 混乱に定評のあるカイジ・・・!

後ろで見ている水銀燈も混乱・・・!

身を削ってでも3順安全を買いにきたのか?

いや・・・

アカギに限ってそんな真似はしないはず

いや・・・アカギだからこそか・・・?

「(くっ・・・何を考えてんだコイツは・・・?)」

タァニ

カイジ・・・絶対安牌の2萬切り

アカギにバトンを返す

タニッ

アカギは躊躇無く4打目を打つ

4打目は1萬・・・!

「(なるほど・・・まあ2萬が今のところ3枚見えてるんだから1-4萬のスジは無いと踏んだか・・・)」

アカギの読みはそんなところだろうと思いカイジは4枚目の2萬をつかむ

アカギの暴挙はこれからということを次の打牌で知ることになる

タァニ

「((これで5歩目・・・アカギが安牌をきってくれれば俺は助かる・・・))」

タァニ

またも躊躇無く牌を切るアカギ

アカギ・・・打1筒切り・・・!

不可解な1筒切り・・・!

ざわ・・・ざわ・・・

ここでの1筒切り・・・!

ありえぬ1筒切り・・・!

何故なら・・・

「(な、何・・・!?1筒切り・・・!?)」

ここでの1筒切りは誰が考えたっておかしい

思い出してほしい、カイジの第1打を

カイジの1打目は1筒・・・!

安牌を持っているならさっさと出す・・・!

それなのに安牌じゃない牌を先に通してから安牌切り・・・!

わけのわからぬままカイジは6歩目を歩くことになる

「(・・・ワケがわからん・・・迷いが頭をボォーっとさせる・・・)」

「(東3つを捨て牌にしてるということはホンイツはありえないな・・・)」

カイジはしばし長考する

たくさんあるソーズを全て通せば安泰・・・!

牌倒しは何度もやるとさすがに怪しまれる

ここは神頼み・・・!

タァニ

カイジはアカギの待ちをソーズではないときめつけて打4索・・・!

その時思いもかけぬことが・・・

バラッ

「それです先輩・・・ロン・・・」

アカギ・・・タンヤオチートイ4索単騎・・・!

不可解なタンヤオチートイ・・・!

ドラ三つを使えば単騎のチートイじゃなく両面も可能だったはず・・・!

それをわざわざ単騎・・・!

わけのわからぬ打ち筋・・・!

もしも裏が乗れば跳ね・・・

乗るな乗るなと祈るカイジと水銀燈・・・!

「ククク・・・ククク・・・」

スパーァニ

アカギは裏ドラを強打・・・!

カイジと水銀燈はビクッとする

「(の、のっちまったのか・・・?!)」

アカギはゆっくりと指を離す

裏ドラ・・・乗らず・・・!

「び、びっくりさせるな・・・!」

不幸中の幸いというべきだろうか

裏が乗らずに助かる

が・・・

またももっていかれる10万を・・・

残り10万・・・!

もしも跳ね万以上ならパンク・・・!

カイジ完全に意気消沈、茫然自失

骸・・・視界がぼやける

ローザミスティカを抜かれたような状態だ

「ククク・・・良かったじゃないですか、裏がのらなくて・・・ククク・・・」

3回戦目の先攻はアカギになる

カイジは毒気を抜かれて勝負をする気を失う

戦意喪失・・・!

アカギの魔性に踊らされる・・・!

自分の考えの裏をとられる・・・!

これを通さねば17歩にいきつくのは不可能というソーズの群れを見事に討ち取られる・・・!

まるで捨て牌候補にソーズがたくさん残ることを知っていたかのよう・・・!

悪魔・・・!

「ククク・・・人の精神が崩壊する様はいつ見ても楽しい・・・」

悪趣味なアカギにさすがの翠星石も引く

さすがに可哀想になってきたのか翠星石はアカギの背中にとびとく

「し、しげる、もうカイジのライフは0ですよ、今日はこれで・・・」

今日はこれで帰ろう・・・

と言おうとしたのだがアカギはあっさりと却下する

「断る・・・倍プッシュだ」

アカギは卓に20万を積む

ざわ・・・ざわ・・・

無法の倍プッシュ・・・!

20万を失ったカイジに対してアカギは20万を積む・・・!

残り10万のカイジが受けられる道理がない・・・!

「勝負の後は骨も残さない・・・どちらかが破産するまでいく・・・」

悪魔アカギ・・・!

悪魔に命を狙われるカイジ・・・!

バニッ

この法外な倍プッシュに水銀燈は卓を叩く

「こ、このお馬鹿さぁん、そんなの認められるわけないじゃなぁい」

とてもじゃないが受けれない、そもそも卓に積む金がないのだ

もはや勝負どころじゃない・・・しかしアカギは知っている・・・!

「まだまだあるんでしょ?出してくださいよ・・・」

ざわ・・・ざわ・・・

アカギはまっすぐな目でカイジを見る

カイジは反射的に目をそらす

「まだまだ金を隠し持っているんでしょ?先輩・・・」

ざわ・・・ざわ・・・

図星のカイジは唇を噛締める

「・・・ねぇよ、そんなモン・・・」

「ククク・・・まあ俺は別にこのまま引いても構いませんよ?でもこのままじゃカイジさんは負けっぱなし・・・」

20万をもっていかれたまま終わってしまう

しかしカイジはこの安っぽい挑発には乗らない

博打は熱くなった時点で負け・・・!

アカギの挑発に乗って突っ込めば突っ込んだ分だけさらわれる

そもそもこの30万は前に書いたとおり宝くじで当てた金・・・いわゆる泡銭だ

無理して取り返す必要はない・・・!

「(だが・・・)」

カイジはアカギの捨て牌を見る

「(勝てるかもしれねぇ・・・アレが通れば・・・!が・・・アイツは悪魔だ・・・そう上手くいくかどうか・・・)」

アカギ殺しの浅はかな策を瞬時に練ったカイジは立ち上がり、机の上に置いてある広辞苑を開く

突然の不可解な行動に呆然とする水銀燈と翠星石

広辞苑の間にはさんであった封筒を取りだす

封筒の中に手を突っ込んで中にあったものを取り出し卓につむ

「・・・受けてやるよ、レート倍プッシュを」

ざわ・・・ざわ・・・

カイジ・・・20万勝負に乗る

ざわ・・・ざわ・・・

「カ、カイジ・・・!いくらなんでもそれは無茶よぉ・・・!」

さすがの水銀燈も困惑する

カイジの不可解な挑戦、しかしそれは勝算があってのこと・・・!

「(大丈夫・・・俺は二度も転んでいる・・・三度は転ばない・・・!)」

アカギはクククと笑いながらドラをめくる

運命のドラ表示牌は1筒・・・!

ドラは2筒・・・!

アカギは砂時計をかかげる

「ククク・・・先輩・・・行きますよ・・・」

どうぞ・・・とカイジは落ち着いた声でいう

負ければ破綻・・・

勝てばジェットコースター・・・!

世界がめまぐるしく・・・などと考えている間に砂時計が返る

「(来い・・・!アカギを殺せる配牌・・・!)」

ヤマをオープンするとすぐにピンズのホンイツが見える

カイジはあまりにも超絶幸運に驚きを隠せない

何故なら・・・

役はリーチホンイツドラ1の1-4-7・2-5-8の6面待ち・・・!

この土壇場で6面待ち・・・!

オマケに仕掛けを打つこともできる・・・!

引き寄せたのだ・・・土壇場の状況がこの牌達を・・・!

「(勝てる・・・!いかにアカギといえどこれは振る・・・!)」

カイジの待ちは実は6面待ちではない・・・!

表向きは6面だが実は8面待ち・・・!

砂時計が落ちきり3回戦目の聴牌選択が終わる

掛け金は20万・・・!無法の20万・・・!

カイジは左手を手牌に添える

タァニ

アカギは躊躇無く牌を切る

「リーチ」

アカギの一歩目は無難な南だ

幸いにも南はカイジも持っている

タァニ

カイジは絶対安牌の南で一歩目を踏み出す

「リーチ」

カイジは両手を手牌に添える

タァニ

アカギはまたもよどみなく牌を切る

「(アカギを殺す摩訶不思議なトリックがある・・・オマケにそれはヤツの打ち筋の天敵・・・!)」

アカギ・・・打・・・東・・・!

バラッ

カイジは泣きながら牌を倒す

後ろで見ていた水銀燈は驚愕する

何故牌を倒す・・・!?

「(っ!?チョ、チョンボよぉ・・・!?)」


                , ‐ァ
            -=ニ _ ̄Y´ ´ ̄≧
           ,  '' ´        ヽ
         ∠-ァ             ゝ       ロンッ‥‥!
          /            i
          ,' /    ∧         l
          / '.i´   人 ヽ.∧Nヽ r‐、l       ロンッ‥‥!
           l /l  /\バ/∠  !ヒl l ヽ       ロンッ‥‥!
           |' l/|,ヘ >〉 ~ij~ノ ゙l,ノ^ト ≧‐- 、_
               ヘ~/ _ 、 -‐、 |  l ヽ     ロンッ‥‥!
              , ‐〉<ニ-‐0 ̄l/ヽ 、}  }     ロンッ‥‥!
            ,. ' ol ヘヒニニフ  ,l. ,'. /       ロンッ‥‥!
            イ    l  \ ´/ /l / /
           / .',  0ヽ < `´ヽ l l/|ノ
            /  ヽ   ヽ \0 〉 |/|' _,, -‐ '"  ロォー―ンッ‥‥‥‥‥!
         /ヽ   ヘ.  0 `iヘ/ V|  「
        /  \  ト -- ―l ヽol  !       ロォー―ンッ‥‥‥‥‥!
        /    ヽ ',    l  ',ノ  |    _,,
       /`、     人     !  Ц  l-‐''' ´
        /  ヽ、_  /  lヽ、 _.l       !      ロォ~~ンッ‥‥‥‥‥!
       ,', -‐- 、  ソ   ',   !ヽ     ヽ      ロォ~~ンッ‥‥‥‥‥!
       {   _  `く    ヽ  | ヽ     ヽ_,, -
゙` ''‐- 、,,_! / _ノ^'^\、  l ヽl  \     ヽ   ,  ロォ~~ンッ‥‥‥‥‥!
       V ,ノ    、ヽヽ  、 |   〉、    ヽ r'⌒
       `l   、\ ヽ」ノ ゙̄` ''‐- 、,,_ /⌒⌒  ̄`ヽ
        \\\ )、_}          / /´// ,ィ ノ
          ` ‐`^              `´ /_/_//ノ´


カイジ・・・リーチ一発ホンイツドラ2・・・東・2筒シャボ待ち・・・!

後ろで手配選択を見ていた水銀燈は唖然とする

水銀燈が見ていたときは確か1-4-7・2-5-8筒の6面待ちだった

それがシャボ・・・!

待ちが変わっている・・・!

水銀燈混乱・・・!

「・・・!裏1・・・!倍満・・・!」

カイジ・・・倍満を和了する

摩訶不思議なシャボ待ちで・・・!

「(・・・!?2筒と東が入れ替わってる・・・!?)」

水銀燈は全てを悟る

カイジは摩り替えたのだ・・・!

東の刻子から一枚東を抜き取り2筒を入れたのだ

待ちは狭くなって圧倒的不利・・・!

が・・・待ちを精密に読めるアカギ相手には利く・・・!

圧倒的奇手・・・!

「さぁ40万・・・!」

9筒を抜くという方法もカイジにはあった

つまりカイジの待ちは・・・1-4-7・2-5-8・9筒+東

8面待ち・・・!

オマケにこのすり替えなら必然的にドラが増える

アカギといえど8面待ちはかわしようがない

捨て牌候補にロン牌が5牌以上あれば必然的に振ってしまうのだ

それにこのすり替えは変則の事態だ

すり替えに気付いていたとしても何に摩り替えたか?何を抜いたか?抜く前の手は?

つまり寄る辺がない、その時のヤマに何があったか・・・

「し、しげるが負けた・・・?」

麻雀については勉強中の翠星石だがアカギが負けたということぐらい理解できる

カイジはこのイカサマで見事に40万を手に入れる

これで+20万・・・!

しかしもう同じ手は使えないだろう、成功したのが不思議なくらいだ

「さあこの辺でお開きといくか」

もう勝てないと判断したカイジは手仕舞いにしようとする

アカギはそれをとめようとしなかった

負けたのがショックだったのだろうとカイジは解釈する

「(ククク・・・さすが先輩・・・相変わらずとっぽいな・・・)」

不服そうな翠星石を抱っこしてアカギはカイジ宅を後にする

二人が帰ったのを確認してから水銀燈はカイジに抱きつく

「貴方天才よぉ~最高だわぁ」

胸のふくらみがあたり顔を赤くするカイジ

とにもかくにもアカギを打ち負かす・・・!

鬼の子アカギしげるを紙一重で出し抜く・・・!

逆転の気質・・・!

「貴方の悪党っぷりに感動したわぁ」


家に帰ってからも翠星石はずっと不機嫌だった

あのアカギが惨敗したのだから無理も無い

「ククク・・・さすがカイジ先輩だ・・・見事なすり替えだった」

アカギのこの発言に翠星石は耳を疑う

やはりアカギは気付いていたのだ

カイジがすり替えをおこなった事に

わかってたがあえて指摘しなかった・・・というところだ

「す、すり替えですか?」

麻雀のことはあまり知らない翠星石だがすり替えぐらいはわかる

それがイカサマだという事までわかる

アカギは卓の上に散乱している牌で先程のカイジの手牌をつくる

いや・・・

和了したときの手ではない

イカサマをする前の手配だ・・・

東暗刻・2・3・4・5・6・7・8筒・9筒暗刻

翠星石はこの複雑な形を見て混乱する

「えっと・・・待ちはえっと・・・」

初心者がこの手の待ちが何かパッと見で分かるとは思えない

翠星石が混乱するのも無理はない

「待ちは・・・」

アカギが待ちを言おうとした時、翠星石は振り返って両手を突き出す

「い、言うなです!これぐらい自力で解いてやるです!」

いい志だとアカギは翠星石の頭を撫でる

20万失った直後とは思えないほど清々しい、やはりあえて振ったのではないだろうか

翠星石は牌を並び替えたりして考えている

「う~ん・・・皆目わからんですぅ・・・」

牌をカチャカチャ言わせる事10分

助言したいという気持ちをおさえるアカギ

やっとの事で翠星石は待ちの一部を発見する

「えっと・・・とりあえず2-5-8筒はわかったですぅ、でもこれだけじゃない気が・・・」

アカギは翠星石の頭を撫でる

3面待ちに気付き、まだ待ちがあることを見抜いた事に対するご褒美だ

「ククク・・・まあ最後まで頑張れよ・・・」


カイジは何かがひっかかっていた

本当にアカギはすり替えを見逃したのか?

カイジはアカギの捨て牌候補を見て唖然とする

あった・・・!

もう一枚南があった・・・!

アカギはもっていたのだ、南対子を・・・!

それならばそれで2順稼ぐ事もできた

それなのにあえて東切り・・・!

オマケに一発で振り込むという失態・・・!

この二つの符号が意味するのは一つ・・・!

「態打ちだ・・・!」


「態打ち~?」

水銀燈は首をかしげる

カイジは簡潔に説明してやる

「ヤツは振込みを回避する事ぐらいで簡単にできた、しかしあえて振り込んだ」

カイジはそういって手元にある金をポンと叩く

何故この大勝負で負けてくれたのか

その理由は二つ・・・

「俺達の生活のためってのが一つ・・・もう一つは暗示だ」

「暗示・・・?」

カイジは牌を同じ種類同士集める

作業をしながら説明をしてやる

これはあくまで憶測だが・・・と前置きしてから

「放課後の麻雀で取り戻してみせるっていう暗示だろうな」

あの男ならありうると水銀燈は納得する

カイジは水銀燈の方を振り向いて微笑する

「もしもそうだとしても俺は勝ってやるさ」

とにもかくにも一段落ついた

「それはそれとして水銀燈・・・」

「何よぉ」

カイジはためいきをつく

大勝した後のためいきというのも変な感じがするが無理も無い、水銀燈が今日30本目のヤクルトを飲んでいるのだから

「これじゃあ20万なんてすぐに飛ぶぞ・・・」


アカギとの17歩は通常の歩数に換算して170歩である編 完



←ブログ発展のため1クリックお願いします
スポンサーサイト





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://kannki.blog39.fc2.com/tb.php/1328-7d3067fd
    この記事へのトラックバック



    アクセスランキング ブログパーツ レンタルCGI
    /* AA表示 */ .aa{ font-family:"MS Pゴシック","MS PGothic","Mona","mona-gothic-jisx0208.1990-0",sans-serif; font-size:16px; line-height:18px; }