マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その10

2011年07月03日 19:27

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」

348 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/03/23(水) 23:25:51.50 ID:CulPhh+AO

ー人革連基地ー

キム「ようこそマスター・グラハム。人革連は君を歓迎しよう」

グラハム「はっ……ありがとうございます」

キム「そちらの女性は……」

マリーダ「マリーダ・クルス少尉であります。マス……グラハム大尉の補佐をしております、よろしくお願い致します」

キム「ほう、君があの……此方こそよろしく、マリーダ少尉」

マリーダ(あの……?)

グラハム「キム司令、一つお聞きしたいのですが」

キム「何かな? マスター」

グラハム「何故私を、マスター・グラハムとお呼びになるのでしょうか? 人革連の兵士達は皆そう呼ぶのですが……」

キム「あぁ、その事かね」

キム「当初人革連側としては、君の能力を疑問視する声が非常に多かったのだよ。ユニオンお得意の情報操作という奴ではないか、とね」

グラハム「その懸念はごもっともであります」

マリーダ「……」ムッ

キム「だがその懸念を払拭する、一つの物証がユニオン側から呈示された」

キム「コレだよ」

ピッ

『それではマスター、よろしくお願い致します』

『此方こそと言わせてもらおう』

グラハム「これは……」

マリーダ「以前私とマス……グラハムが行った最新シミュレーション?」

キム(グラハム……?)
キム「シミュレーション媒体と共に我々の軍に運び込まれた際、フラッグの性能及び君の能力の高さは誰しもが納得する結果となった」

キム「無論私もその一人だ。42秒辺りの、マリーダ少尉の空中変形からの二刀ソニックブレイドによる突貫、それを無手で凌ぐグラハム大尉の攻防は映画ではないかと思わされたくらいだ」

『ありがとうございましたマスター』

グラハム(これが原因かッ……!)

マリーダ(私は悪くない、私は悪くない)

キム「実際映画かとも思ったが、いざシミュレーションを使うとそうも言ってられなくてな」
キム「映像と本体、一緒に運び込むという方法を考えついたビリー・カタギリ技術顧問とやらにもあってみたかったが……まぁ致し方あるまい」

グラハム(カタギリィィィ!?)

キム「はっきり言ってしまえば、ユニオン側からの便宜も悪くないということで、君らの受け入れ及びライセンサーのシステムへの賛同を決定した訳だ」

マリーダ(確実にそちらが九割を占めているな……)


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コンコン

グラハム「む」

マリーダ「……?」

キム「来たな、入りたまえ」

ガチャッ

セルゲイ「セルゲイ・スミルノフ中佐、ソーマ・ピーリス少尉只今到着いたしました」

ソーマ「ッ!」ビシッ

グラハム「!」

グラハム(彼がロシアの荒熊、セルゲイ・スミルノフか!)

マリーダ(何だ……? 彼女から私に似た気配を、二人分感じる……)

セルゲイ(彼がマスター・グラハム……若いな)

ソーマ(彼がマスター・グラハム……中佐より若い)

キム「紹介しよう……とはいえ、私よりも彼は有名だろうがな」

キム「ロシアの荒熊の異名を持つ人革連のエース、セルゲイ・スミルノフ中佐だ」

キム「セルゲイ中佐、こちらがグラハム・エーカー上級大尉」

キム「噂のマスター・グラハムだ」

グラハム(言い直さなくても……)コホン

グラハム「グラハム・エーカーであります。ロシアの荒熊に名前を知っていただけるとは、光栄の至り」

セルゲイ「此方こそ、三国初のライセンサーと対面出来ると知って心待ちにしていた」

キム「しかし隣のマリーダ少尉……まさかこれほどまでに若いとはな」

セルゲイ「私も驚きました」

グラハム「実力は認識の通り、と言わせていただきましょう」

ソーマ(彼女がマスター・グラハムの相手をしたマリーダ少尉……)

ソーマ(何故か私に近い、そんな空気を感じる)

マリーダ(それにしても私より若い兵士とはな……15、6といったところか)

セルゲイ「……うぅむ」

キム「セルゲイ中佐、ピーリス少尉に施設の案内をさせてもらいたいが構わないかね?」

セルゲイ「願ってもないことです」

キム「そう言ってもらえるなら助かるよ」

キム「それでは、ゆるりとしていってくれマスター・グラハム。非常時には君の活躍を期待させてもらうよ」

グラハム「はっ、失礼致します」

キム「あぁそれと……」

キム「紹介しよう……とはいえ、私よりも彼は有名だろうがな」

キム「ロシアの荒熊の異名を持つ人革連のエース、セルゲイ・スミルノフ中佐だ」

キム「セルゲイ中佐、こちらがグラハム・エーカー上級大尉」

キム「噂のマスター・グラハムだ」

グラハム(言い直さなくても……)コホン

グラハム「グラハム・エーカーであります。ロシアの荒熊に名前を知っていただけるとは、光栄の至り」

セルゲイ「此方こそ、三国初のライセンサーと対面出来ると知って心待ちにしていた」

キム「しかし隣のマリーダ少尉……まさかこれほどまでに若いとはな」

セルゲイ「私も驚きました」

グラハム「実力は認識の通り、と言わせていただきましょう」

ソーマ(彼女がマスター・グラハムの相手をしたマリーダ少尉……)

ソーマ(何故か私に近い、そんな空気を感じる)

マリーダ(それにしても私より若い兵士とはな……15、6といったところか)

セルゲイ「……うぅむ」

キム「セルゲイ中佐、ピーリス少尉に施設の案内をさせてもらいたいが構わないかね?」

セルゲイ「願ってもないことです」

キム「そう言ってもらえるなら助かるよ」

キム「それでは、ゆるりとしていってくれマスター・グラハム。非常時には君の活躍を期待させてもらうよ」

グラハム「はっ、失礼致します」

キム「部屋は相部屋の方がいいのかな?」

グラハム「分けていただきたいッ!」


ー人革連・MSドッグー

マリーダ「ティエレンか……」

マリーダ(無骨だな、フラッグやイナクトに比べると旧式という印象を拭い去れない外見と性能を持ったMSだ)

マリーダ(だが武装は二つのMSでは持ち得ない火力を有している、事実タクラマカン砂漠では彼等の働きは大きかった)

マリーダ「……ん?」

マリーダ(あの色違いのティエレンは……)

グラハム「マリーダ」

マリーダ「! はい、グラハム」

ソーマ(グ、グラハム……?)
セルゲイ(グラハム、か……)
人革兵士(グラハム……)

グラハム「……やはりマスターで構わない」

マリーダ「了解しました、それで如何致しましたかマスター」

グラハム「フラッグの反応速度に関してなのだが、何処まで改善出来た?」

マリーダ「一応カタギリ顧問にも連絡を取り確認したのですが、現状の数値でも限界に近くそこまでの改善が望めないというのが正直なところです」

グラハム「そうか」

グラハム(ここ最近急に遅く感じるな、何故かはよく分からんが……)

マリーダ「カタギリ顧問も、可能な限り考えてみるとのことです」

グラハム「任せた」

マリーダ「あまりご機嫌が宜しくないようですね、マスター」

グラハム「まるで映画のスター扱いだ……私がガンダムと戦いに来たというよりは、慰問のために現れたような受け取り方をしている」グシグシ

グラハム「軍人として、マスコット扱いだけはどうしても癇に障る」

マリーダ「……申し訳ありません」

グラハム「どうした、藪から棒に」

マリーダ「私が勝手にマスターとお呼びしなければこんな事にはなりませんでした」

マリーダ「まさかこうなるとは……」

グラハム「止めろ。それを言い出したらキリがない」

グラハム「あまり悪い方に考えるな、結果としてライセンサーという形式は認められ、我々は人革連の地に足を踏み入れている」

グラハム「我々が虚構の存在ではなく、ガンダムと対峙できる戦力であること……示してやればいいことだ」

マリーダ「マスター……」

グラハム「いつも言っている、私は記録や噂で評価されるのを嫌う、面倒な男だ」

グラハム「フラッグファイターとしての矜持、見せつける機会と見た……!」

セルゲイ「豪気なことだなグラハム・エーカー上級大尉」

グラハム「! スミルノフ中佐」

セルゲイ「どうやら本国ではマスター・グラハムとは呼ばれていないらしいな大尉」

グラハム「元々彼女だけが呼んでいたあだ名のようなものです。あのシミュレーションが此方に提出された事も私にとっては初耳でした」

セルゲイ「成る程な……ならば私は大尉と呼ばせて頂こう」

グラハム「お心遣い、感謝いたします」

セルゲイ「元々此方が勝手に勘違いしたことだ、そう堅くならないでくれ大尉」

グラハム「は、はい」

マリーダ(マスター……いつもと様子が違うか?)

ソーマ「マリーダ・クルス少尉」

マリーダ「君は……」

ソーマ「ソーマ・ピーリス少尉であります」ビシッ

マリーダ「マリーダ・クルス少尉だ。以後よろしく頼む」

ソーマ「つかぬ事をお聞きいたしますが、マリーダ少尉はマスター・グラハムとはどのようなお関係なのですか?」

マリーダ「え?」

ソーマ「やはり、ガンダム打倒の為に師事なされて……!」

マリーダ「ピーリス少尉、それはマスター違いだ。私がマスターと呼ぶのはもう一つの意味の方なのだよ」

ソーマ「そ、そうなのですか……」

ソーマ「…………」

ソーマ「」ボッ

マリーダ「?」

グラハム「今、私の関わらぬ場所で私の株が又一つ下がった気がする」

セルゲイ「大暴落だな大尉」ハッハッハ

グラハム「?」

セルゲイ「あぁ、あれはティエレンタオツーだ。タオツー、桃色そのままの意味だがな」

セルゲイ「ピーリス少尉の専用機であり、ティエレンの次世代機として期待をかけられているMSだ」

グラハム「よろしいのですか? ユニオンの私にそのような事をおっしゃっても」

セルゲイ「最初にシミュレーションを渡してくれたのは君らの方だ。人革連は其処まで礼儀に疎い国ではないよ」

セルゲイ「それに……君はそういう点に関しては不器用だと思うのだが、どうかね」

グラハム「……ご想像の通りかと」フッ

セルゲイ「なに、私もその類の人種でね……」フッ

セルゲイ「ところで大尉、今夜は時間があるかね」

グラハム「と、申しますと?」

セルゲイ「いや何、せっかく人革連に来たのだ。もてなそうにも、基地ではそのようなことは出来んからな」

セルゲイ「一杯どうかと思ってね」

ソーマ「!」

ソーマ(任務に忠実な中佐があんなことを言うなんて……何かあったのだろうか)

グラハム「……」キュピィィィィン

グラハム「分かりました。ご一緒させて頂きましょう」

マリーダ「!」

マリーダ(マスターがガンダム以外に興味を持った……?)

セルゲイ「……済まないな大尉」

グラハム「いえ、私も中佐とは腹を割って話してみたかった」


ーその夜ー

コツコツコツ……

ソーマ「?」

ソーマ「娯楽所の電灯が点いている……?」


ーシミュレーションー

マリーダ「……ふう」

ピッ

マリーダ「娯楽所にコレを置くとはな、マスターの言うマスコット扱いも強ち外れてはいないということか」

マリーダ「……チッ」

マリーダ(少し衰えたか、だがもうそろそろ軍務に復帰できても良い頃だな)

マリーダ「……後ろから見守るだけなのは、やはり性に合わん」

ソーマ「其処にいるのは誰かッ!」

マリーダ「!」

ソーマ「あ……マリーダ・クルス少尉」

マリーダ「済まない。リハビリがてら此方に提出されたものを借りていた」

ソーマ「そ、そういう事でありましたら、どうぞお使いください。いきなり声を張り上げてしまい申し訳ありません」

マリーダ「許可無く使った私に非がある。階級も同じだ、そう畏まらないでくれ」

ソーマ「はい!」

ソーマ(いかん……顔が緩む)

ソーマ(同年代の女性とは関わりが薄いとはいえ、これでは笑われてしまう!)

マリーダ「?」

マリーダ「ところで、マスターとスミルノフ中佐は……」

ソーマ「先ほどお出掛けになられました」

マリーダ「そうか……」

マリーダ「……ピーリス少尉は、超兵といったか」

ソーマ「はい、超人機関所属の超兵一号です」ビシッ

ソーマ「超兵としての誇りを胸に、日々軍務に勤しんでおります」

マリーダ「超兵としての……作られた者としての誇り、か」

マリーダ(この言い方、まだ刷り込みが残っているのか? いや、これならば……)

マリーダ「私には無いな。そんなものは」

ソーマ「え……?」


ー居酒屋ー

ワイワイガヤガヤ

セルゲイ「行き着けで済まんな大尉、だが此処のつまみが実に美味でね」

グラハム「この様な場所には初めて来ましたが……いい空気です」

セルゲイ「そうかね。先ほどからどうにも緊張しているようだったから、少し不安だったのだが」

グラハム「い、いえ……」

グラハム「ただ、自分よりも年を重ねた方にあうと……父を連想してしまいまして、年甲斐もなくあがってしまうのです」

セルゲイ「……ふっ、ははははは! 父か、それは光栄なことだ」

セルゲイ「実子にはもう十年以上まともに会話もしていない私が、そう感じられて良いのかとは思うがね」

グラハム「そう、なのですか?」

セルゲイ「優秀な軍人たらんとする者が、優秀な父であるとは限らないという事さ」

セルゲイ「私は、父にはなれなかった……」

グラハム「……」

セルゲイ「っと、君を愚痴に付き合わせるつもりで呼んだのではないのだった。すまないな」

グラハム「ふ、お心を開いていただけたと認識しています。むしろ有り難い」

セルゲイ「そう言ってもらえるなら気も楽になる」

セルゲイ「飲むかね」

グラハム「頂きます」

グラハム「……ッ」グィッ

グラハム「はぁっ……」

セルゲイ「あまり飲み慣れていないと見える」

グラハム「酒を携えては、空には上がれませんから……お恥ずかしい限りです」

セルゲイ「それは軍人の鑑だ、恥じるべきではないよ大尉」グィッ

セルゲイ「ふう……」

グラハム「はは……」

グラハム「それで、お聞きになりたいのは……マリーダ・クルスに関してのことですね?」

セルゲイ「察しが、いいな」

セルゲイ「彼女もまた、ピーリス少尉と同じ存在なのだろうと思ってな」

グラハム「……遠からず、ですな」

セルゲイ「深追いすべき内容ではなさそう、だな」

グラハム「…………」カラン

グラハム「彼女達が同じ存在ならば、私達は若干立ち位置が違えど同じ立場といえましょう」

グラハム「貴方になら、話してもいいのかも知れません……」



マリーダ「今でも夢に見る……私を機械につなぎ合わせ、淡々と物を見るような目で記録を取る白衣の研究者」

マリーダ「そしてあのおぞましい体験……来る日も来る日も弄ばれ、壊される感覚……」

マリーダ「もし出来るならば、私自らの手で奴らを絞め殺したいくらいだ……!」ギリッ

ソーマ「……っ」ゾク

ソーマ(この人は、本気で出自を憎んでいる……似ているとは感じたが、私とは違うのか?)

マリーダ「……ピーリス少尉、出来るなら超兵などという肩書きは捨て、一人の人間として生きることだ」

マリーダ「君はまだ若い、戦場以外でも、平和な場所で女としての人生を生きられるだろう」

マリーダ「出来るだけ早く、私のように戦う以外に価値が見いだせなくなる身体になる前に……そうすべきだよ」

ソーマ(中佐と同じ事を……)



セルゲイ「……そうか、そんな事があったのか」

グラハム「中佐になら大丈夫であろうと判断した上でお話いたしました、ユニオンでもごく一部しかこの案件は知り得ません」

セルゲイ「まだ1日と立っていないのに、随分と信用されたものだな」

グラハム「勘です、それ以外に説明出来る言葉を私は知りません」

グラハム「敢えて言うなら、ピーリス少尉に向けられたあなたの眼差しは、まさに父親のそれだった」

グラハム「己に葛藤する人間は信頼出来る。貴方は、それに足る人物だ」

セルゲイ「……」

セルゲイ「そう思ってくれた事に、まずは感謝すべきなのかも知れないな」

セルゲイ「言われずとも他言無用にするつもりだった。誓って話さんよ」

グラハム「ありがとうございます、中佐」

セルゲイ「しかし完成された人間のクローンを生み出し、兵士にするか……何処の国の人間も、考えつく事は変わらんな」

グラハム「全くです。たとえそれが完全なモノになるとしても、それが世のそれらに取って代わると本気で考えているのでしょうか?」

セルゲイ「NOだな。超兵の研究所は少なくとも、肉体をいじるのが好きなマッドサイエンティストしかいなかった」

セルゲイ「さもなくば、あんな若い乙女を戦場に駆り出すなど……いくら強かろうが、大人のやることではない」

グラハム「……」

セルゲイ「ッ、済まない、熱くなりすぎたようだ。マリーダ少尉の話を聞いたばかりだというのに……」

グラハム「いえ、あなたに話した私の勘に狂いは無かったと再認識させて頂いた」

グラハム「スミルノフ中佐に逢えただけでも、この人革連を訪れた甲斐がありました」

セルゲイ「褒めすぎだ。私は、軍人としても、父親としても中途半端な人間だよ」

グラハム「人の価値は、完璧であることより、完璧たらんと努力することにありますよ」

コトンッ

セルゲイ「おっと来たか、これが旨いのだよ」

グラハム「煮つけのようですね」

グラハム「失礼いたします」パク

グラハム「……美味い」

セルゲイ「だろう?」



マリーダ「それに私からすれば、超兵の誇りなんていうものを口にする君は滑稽だよ」

ソーマ「ッ! 無礼な!」

マリーダ「神や民族の、人種の誇りなんて実体の無いモノにすがるなんて馬鹿らしい。そんな事を本気で信じている奴がいるとするなら、ソイツは余程の幸せ者か、世間に関わっていないかのどちらかだ。本当の意味で生きてはいない」

ソーマ「貴様ッ……!」

マリーダ「戦う理由を誤認していると言っている。君はもう気付いているはずだ、自身を導いてくれる実体のある光の存在に」

ソーマ「実体のある、光?」

マリーダ「私にとっては、マスターがそれだ。私は、自らの全てをマスターの為に捧げている。あの人の為に戦っている自分に幸福を感じている」

マリーダ「即物的なことは恥ではない、人間らしいということだ。君もまた、人間なのだよピーリス少尉」

ソーマ「私の……光……?」

グッ

ソーマ「……中佐……」

マリーダ「出来れば戦いからは離れてもらいたい。だがそれでもこの道を歩むなら、光からは絶対に離れるな。たかが18年しか生きていない先輩からの、忠告だ」

マリーダ「私達のような存在は、只でさえ空っぽなんだから……」

ソーマ「わ……ッ」

ソーマ「私だって18だ!」

マリーダ「……え?」



グラハム「クシュンッ」

セルゲイ「ぶぇくしょい!」

グラハム「夜風が冷たくなってきましたな」

セルゲイ「全くだ、程ほどにして切り上げよう」


ー翌日ー

グラハム「…………」

マリーダ「おはようございます、マスター」

ソーマ「おはようございます、マスター・グラハム」

グラハム「二人とも随分距離感が近付いた気がするが、何かあったか?」

マリーダ「いえ、何も」

ソーマ「はい、何も」

グラハム「……?」

プシュゥゥ……

セルゲイ「大尉、ちょっと良いか?」

グラハム「スミルノフ中佐、如何なされました」

セルゲイ「これを見てくれ、今日の0600からゴビ砂漠で多くの反応が移動しているのだよ」

グラハム「…………」

セルゲイ「君は勘が良い。どの様に認識するかな」

グラハム「この辺りは、過去の開発で取り残された近代廃墟が立ち並ぶ場所です。人革連が手を焼く反政府組織の根城も、この砂漠には多数存在すると言われています」

グラハム「ガンダムの存在により隠れてしまったそれらが、これほどまでに反応を示し動くということは……」

グラハム「……恐らく、彼等の隠遁を妨げる何かが近付いた」

セルゲイ「成る程な」

セルゲイ「実は君が此方に来る前に、AEUのマネキン大佐から連絡があってな」

グラハム「マネキン大佐から、ですか?」

セルゲイ「君は一番槍が好きだと言うから、有事の際は計ってやってほしいとな」

グラハム「大佐がそのような御配慮を……」

セルゲイ「行くのかね? フラッグには防塵処理を施して行くと良い」

グラハム「無論です。マリーダ!」

マリーダ「はっ、既に準備しております」

セルゲイ「それと、砂漠では何が起こるか分からん。私とピーリス少尉も同行させていただく」

ソーマ「宜しくお願い致します、マスター!」

グラハム「分かりました。お二方のエスコート、謹んでお受けさせていただきます」


ー???ー

プルツー「くそっ! 離せ、離せったら!」

リジェネ「駄目駄目、これ以上の勝手は許さないよプルツー」

プルツー「裏切ったなリボンズゥゥ!」

リボンズ「プルツー、君は強情過ぎたんだ。イノベイターの上位種たる僕の隣にいるには相応しくない」

リジェネ「さぁ行こうかプルツー、久しぶりだからね。徹底的にやってあげるよ」

プルツー「誰が行くもんか……!」

リジェネ「そんなに嫌いかい? お風呂が」

プルツー「嫌なものは嫌だね!」プイッ

リジェネ「でも許さない」ヒョイッ

プルツー「わーっ!」

リボンズ「僕の膝を枕に寝ておきながら、風呂嫌いなんて許せやしない。変革して来たまえプルツー」

ウラギリモノー

リボンズ「やれやれ、彼女にも困ったものだよ」

リボンズ「さて……チーツー、計画上ガンダムを倒しうる可能性のあった機体」

リボンズ「どう戦うか見物だね。ライセンサー」


ーゴビ砂漠ー

グラハム「……」カチカチッ

ウィンッ
ウィィィンッ

グラハム「反応速度……以前よりはましになったが、まだまだ及第点には程遠いな」

グラハム「参ったな……グラハム・スペシャルを代表とする我がMS操縦技術、一瞬のミスが勝敗を分けるのだが」

グラハム「……馴らしていくしかあるまい。泣き言を言っても空は飛べんのだから」

セルゲイ「少尉、反応はあるか?」

ソーマ「はい、この周辺には確かにMSが存在しました。かなり強い反応です」

グラハム「ふむ……」

セルゲイ「地面にこれだけ反応が多いとなると、可能性が有るMSはやはり……」

ボッ

グラハム「ッ!?」

レジスタンスA「いたぞ! やはり現れたな人革連の犬め!」

ギュゥゥンッ

セルゲイ「コイツ等は……」

ソーマ「ティエレン部隊!?」

グラハム(だが型は古い、どうやら横流し品らしいな)

レジスタンスB「性懲りもなく現れおって……やはり貴様等は悪魔だ!」

セルゲイ「待て、何を言っているか全く分からん。性懲りもなくとはどういう意味だ」

レジスタンスA「とぼけるな!朝方、我々のアジトを一機の新型ティエレンに襲わせただろうッ!」

レジスタンスB「貴様等のせいで我々は焼け出された……報いを受けろ!」

グラハム(一機のティエレン?)

セルゲイ「貴様等、そのロゴは【モンゴル解放戦線】のメンバーか……」

セルゲイ「散々人革連の都市を荒らしたかと思いきや、ガンダムが現れて途端に黙るような情けない一団に報いを受けろとは、笑止」

ソーマ「中佐……」

グラハム「やれやれ、一般機の相手は気が進まんが……」

グラハム「私の道を阻むというなら、容赦はしない」

ビリッ

ソーマ「ッ!」

ソーマ(凄いプレッシャーだ……これがグラハム大尉なのか)

レジスタンスA「ぬかせぇっ!」ドゥンッドゥンッ

グラハム「遅いッ!」ヒュボッ

レジスタンスA「ッ、速……」

ダダダダダッ

レジスタンスA「うわぁぁぁぁぁ!?」

グラハム「如何に装甲が厚かろうとも、銃創の上からならば真正面でも通る!」

ザクゥッ

レジスタンスA「あああ……!」

チュドォン

グラハム「あと六機」

セルゲイ「少尉、我々は我々で戦う」

ソーマ「了解です、中佐!」

セルゲイ(ガンダムとやり馴れた為か……動きに迷いが無いだけでなく、容赦がない)

セルゲイ(マネキン大佐の言うとおりだな、とんだじゃじゃ馬だ)

グラハム「ふんっ!」

レジスタンスC「飛んだぞ、追え! 逃がすなッ!」

レジスタンスD「ビルの陰に隠れたか、地の利なら我々が……!」ギュンッ

ドスゥッ

レジスタンスC「ぎゃぁぁーッ!?」ドゴォン

レジスタンスD「な……いつの間に……!」

ザンッ
ガシュッ

レジスタンスE「ひ、ひぃ……!」ボゴォンッ

グラハム「三機……」

レジスタンスD「あ……あぁ……!」

グラハム「まだやるかね。正直興が乗らんのだよ」

グラハム「弱い者いじめは、な!」ブンッ

ガスッ

レジスタンスF「も、モニターが!」

バシュンッバシュンッ

レジスタンスF「そんな、馬鹿……!」ドゴォ……

グラハム「……」

グラハム(やはり響くな、死者の最期の叫びが頭の内側を跳ね回るようだ)

グラハム「マリーダも似たような感覚に陥るのだろうか……?」

ガシャンッ

セルゲイ「我々で三機、グラハム大尉が四機か」

セルゲイ「被弾を避けるように立ち回ったとはいえ、流石といわざるを得んなあの戦いぶりは」

ソーマ「……凄い……」ゴクリ

グラハム「返してもらう。ソニックナイフ一本も馬鹿にはならんのだ」ズポッ

グラハム「ふう……久しぶりだな。人間との戦いは」

グラハム「こんなに虚無感に襲われるようなものだっただろうか……当たり前のようにこなしてきたことのはずだが、今では肩に重さすら感じてしまう」

グラハム「新型ガンダムとの対峙以来、最近になって身についたこの感覚……私の身に一体何が起こったというのだ?」

グラハム「……考えても始まらんか、私には飛ぶしか能がないのだからな」ギュンッ

ギュォンッ

『EXAMシステム、スタンバイ』

グラハム「ッ!?」

グラハム(この感覚、狙われているというのか!?)

グラハム「中佐、少尉! 退いてください!」

セルゲイ「どうした大尉!」

ソーマ「一体何が……」

キィンッ

ソーマ「ッ!」

ソーマ(何かが近づいて……!)

ヒュッ
ボゴォォォッッッ

グラハム「ッ……!?」

グラハム(やはり反応が鈍……!)

ソーマ「マスターがビルごと……!?」

ガラガラガラッ

セルゲイ「ぬぉっ!」

ソーマ「きゃああああ!」

ズザザザァ……



リボンズ「…………」キィィィ

プルツー「おい! もう始めてしまったのか!?」

リボンズ「ちょうど良いタイミングだったのでね。チーツーとのリンクを切ったんだよ」

プルツー「全く、堪え性の無い!」ゴシゴシ

リボンズ「堪え性が無いのは君の方さ。せめて着替えてから来たまえよ」

プルツー「ショーはリアルタイムで見るから愉しいんだ、お前は膝でも磨いて座ってろ!」

リボンズ「濡れた髪で枕にするのだけは止めてくれよ。僕にだってそれくらいの選択権はある」

リジェネ「プルツー、着替えだよ」

プルツー「……何だこれは!」

リジェネ「アレハンドロが王留美から貰ったやつだよ、可愛いじゃないかチャイナドレス」

プルツー「金ピカじゃないか! 悪趣味を通り越して悪意だこれは!」

プルツー「あの不愉快な変態め……去勢してやる!」

リボンズ「あれが変態だという点には同意だね。何でも金色に塗るんだからたまったものではないよ」

プルツー「それで状況は!」

リボンズ「どうやらチーツーの一撃で、廃墟が崩れ出したようだよ」

プルツー「廃墟?あぁ、300年で増えた砂が過去の都市部を飲み込んだ亡霊都市か」

リボンズ「だがEXAMが搭載されたチーツーはグラハム・エーカーを見逃さない」

リボンズ「最後の時間稼ぎだ、せいぜい楽しんでくれたまえライセンサー」

プルツー「……」ゴシゴシ

リボンズ「それと、例のナノマシン薬を其処に準備しておいたよ」

リボンズ「届けに行ってあげると良い」

プルツー「それを早く言えッ!」ダダダダダッ

リボンズ「ふふ……妹思いだね、プルツーは。正直理解しがたいよ」



セルゲイ「ぬ……ぐっ」ガランッ

セルゲイ「崩れた廃墟で見通しが利かんか……だが敵の位置はだいたい掴めたな」パッ

ソーマ「中佐!」

セルゲイ「ピーリス少尉か、無事だったようだな」

セルゲイ「……大尉は、大尉は何処にいる!?」

ソーマ「マスター・グラハム……!?」



グラハム「……くっ」ガララッ

グラハム「私を狙ってきたか、やはり敵はあの特殊機……」

グラハム(フラッグは、右脚を吹き飛ばされたか……くそっ、私ともあろう者が情けない)

『大尉! 応答しろ大尉!』

グラハム「ッ、中佐、私は此処に……」ドロッ

グラハム「……何?」

ドクドクッ……

グラハム「ッ……馬鹿……な!」

グラハム(機器の破片が右脇腹に……先ほどの一撃の破片で何処かが飛んだか……)

グラハム「不味い……出血が……ガフッ」

グラハム「…………」ガクッ



マリーダ「ッ……?」

マリーダ(何だ、最近身体の具合が妙に……まるで内側から鎖で縛りつけられているような感覚だ)

マリーダ「……泣き言は言ってられないな。早く司令室の一角を借りてサポートを」

マリーダ「しなけ……れば……」グラッ

マリーダ「……」ドサッ

人革兵士「ッ! どうしましたかマリーダ少尉!」

マリーダ「……う……?」

人革兵士「誰か医者を呼んでくれー!誰かー!」

マリーダ「マス……タ……?」



プルツー「間に合えよ……そろそろ細胞異常が活発になる頃だからな」

プルツー「プルトゥエルブ……死なせやしないさ、あたしの妹」


TO BE CONTINUED...


マネキン「ふう……グラハム大尉はうまくやれているといいのだがな」

PPP

マネキン「私だ」

マネキン「ッ、何だと!? もう一度言え、何かの間違いだろう!」

マネキン「……馬鹿な……」

マネキン「ヤザン・ゲーブルが出所する……だと……!?」


次回「恐るべき妹」

手負いの阿修羅を、轟砲が狙い撃つ



388 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/03/24(木) 01:33:36.67 ID:qEJnVljAO

投下終了。ギャンギャン吼えんなよぉ!

・ナノマシン薬はルイス型とは違うDr.モレノ製
・ヤザン・ゲーブル(27)出所、Z製
・グラハム重傷
・ソーマとマリーダ仲良くなる
・セル ゲイとグラハム仲良くなる
・プルツー本気出す

プル(31)
プルツー(11)
プルトゥエルブ(18)

プルツーは唯一の成功例としてコールドスリープしていたという設定
解凍したのはアレハンドロ


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