黒子「ジャッジメントですの!」花山薫「ん・・・?」 その4

2009年12月02日 03:46

黒子「ジャッジメントですの!」花山薫「ん・・・?」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2009/11/19(木) 03:13:33.22 ID:gKbevkjvO

「白井さん、なんだかスッキリした顔してますね」

「はい?」

事後処理を終え、こってりとしぼられ、やっとの思いでたどり着いた詰め所。
そこで自分を待っていたのか同僚の姿がある。

「いえ、なんだか最近悩んでらしたみたいですし。良かったら私に相談とか、なんて思ってんで」

「……ふぅ」

「な、なんですか! いきなりため息なんて!」

「初春に心配にされるとは本当にまいってましたのね、私」

ふっ、と嘲笑いながら。背を向ける。そして、

「……ごめんなさい。もう大丈夫ですの」

「白井、さん?」

神妙な様子の彼女に思わず声をかける。だが彼女の心配をよそに振り返った彼女の顔は……。

「ほら、待たせた分、何か奢りますのよ」

いつも以上に魅力的だった。


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それぞれの世界がじわりじわりと変化しつつある中、日本より遠く離れた場所では正視の歴史から変化が起ころうとしていた。

「それで? この子が噂の血の担い手なりけるのかしら?」

長い長い金色の髪を蓄えた見た目18歳ほどの少女が言葉を発する。
その髪は身長の2.5倍はあろうかというほどでそのまま宝石店で売られていてもおかしくないほどだ。
その日本語の口調が多少古文調であり、似非っぽい以外は見事なものだ。
相対する少年の隣にいるのは必要悪の教会(ネセサリウス)と呼ばれるイギリス聖教の中でも荒事に属する機関の人間だ。

「間違いないと思われます」

そう、頭を下げた隣にいる少年はふてぶてしい態度で少女を見る。

「ふぅむ。なかなか気骨ある男なりけるよな。気に入った、うちで取りけるのよ」

だがその態度を逆に是とし、同胞へと引き入れる旨を示す。だが、

「決めるのはおたくらじゃねぇ。俺なんだよ」

少年が吠えた。

「お、おい!」

ここまで大人しかっただけに彼を連れてきた男は焦る。だがカラカラと笑いながら少女は少年に尋ねる。

「では問うとすることになりけるのよ。お前は強いのかしら?」

それは大人が子供のイタズラを諫めるような優しさすら含んだ侮蔑。
そういった空気に敏感なのか少年は無言で動く。
その齢では考えられないほどの体裁きで少女に蹴りの一つでもくれてやるつもりだった。

「……はっ。まるで話にならぬのよ」

だが、気がつけば最初の一歩すら踏み出せぬまま。まるで彼だけが感じる重力が数十倍になった感覚。
ただただ言うことをきかない体に汗を滲ませ、

「お、い……何、しやが……っ!」

悪態をつくしかない。それに対して少女は、

「なるほど、なるほど。何ら対魔力の施しなくしてこの精神力。本物なりけるよな」

と一人満足そうに頷く。

「どうだ? 力を与えるとは言わぬ。だが伸ばし方くらいならいくらでも授けられることよ」

「……それは、“あいつ”よりもか?」

「それはお前次第なりけるよな。ま、損はさせぬ」

くつくつと笑う少女にしばらく無言で返す少年だったが……

「いいさ。利用されてやるよ、あいつより強くなれるなら」

「交渉成立よな。おい、今からこいつに部屋を回してやりけるよな」

「はっ」

そうして連れられていく少年を見ながら彼女は思う。


『さて、多くの《素材》はあちらにかき集められたがこちらも“とっておき”を手に入れることができた……ふふ、まだまだ面白くなりけることよ』

くすくすと笑う魔術サイドの重鎮。彼女の手に入れた《鬼の系譜》の一つ。
それはあらゆる始まりの一つだった。



go to next chapter...



お見舞い。その名目でそこを訪れたのは何人になるか。
花山は外に居たころにも同じように入院をしたことはあるが、こうして多様な人間が訪れた事は少ない。
その中でも多かったのは担任である彼女だ。
それは性格と職業柄を鑑みれば当たり前のように感じるが、とてもありがたい事だと思う。
あの真っ直ぐな思いはどんな相手であれ動かすのだろう。いい教師だ。素直にそう思える。
だがそんな彼女より頻繁にここに訪れる人間がいた。


しょりしょり、と静かな部屋にりんごの皮を剥く音だけが響く。
そこにはベッドで静かに雑誌を読む花山とりんごを剥く一人の少女だけがいる。
時折ぺらりとページを捲る音が混じる以外は本当に静かなものだ。
あまりにも静かすぎてまるで仲が悪いのだろうかとすら考えられるが、勿論そんな事はない。

ことり、と果物ナイフを置く音がして花山はそちらに目をやる。
当然のように差し出されるのは綺麗に剥かれたりんごだ。

「新記録。すごく長い」

そう言って自慢気に細く長い皮を見せてくれるのは自分に弁当を分けてくれたあの少女だ。

「ああ。たいしたもんだ」

日々、その長さを増していく皮に心からの賞賛を送る。

「これ。魔法の果物ナイフ。素晴らしい」

どうやら学園都市の新作らしくある程度の初心者でもうまく扱えるようにサポートされるらしい。
それが元々料理の出来る人間が扱えばより精密な作業が出来ることは言うまでもない。

「……そうか。ならお前は魔法使いか」

「そう。私は魔法使い」

そんな他愛もない会話が少しと、後は心地よい沈黙だけ。
互いに雑誌や文庫本に目を通し、思い出したように会話がある程度だ。

「そろそろ仕事。またくる」

これが毎回別れの合図。本人曰わくここから近い位置が仕事場なのだそうだ。

「そうか」

特に引き止めることなく、送り出す。
そんな当たり前の繰り返しだった。

「……」

そうしていつもなら出ていく彼女だが、この日は珍しくその視線が何かに留まる。
追うようにそちらを見れば飲みかけのワイルドターキーだ。

「……。美味しい?」

「魔法の味だ」

「む。それは気になるの」

「今度飲みにきな」

そんな約束が大変な事件を引き込むのだが、それはまた別の話になるわけだ。



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80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/11/19(木) 03:21:38.27 ID:WZxD8hFx0
恋する女は


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2009/11/19(木) 03:23:19.62 ID:XJnB+mpGO
綺麗さ


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/11/19(木) 03:26:08.99 ID:W7CWi01AO
決して


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/11/19(木) 03:27:46.70 ID:XJnB+mpGO
お世辞じゃないぜ

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