うしお「……聖杯戦争?」

2010年03月05日 21:22

うしお「……聖杯戦争?」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:50:30.65 ID:LxlHWmD/0

 凛 「―――告げる。
    汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。
    聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 凛 「誓いを此処に。
    我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 凛 「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ。
    天秤の守り手よ―――!」

 凛 (―――間違いなく最強のカードを引き当てた)

ドーン!!

 凛 「……はい?」

タッタッタッ

ドン、ドン、バタン

 凛 「―――え、えぇぇ!?」

???「やれやれ… 2年ぶりの人間もずいぶんやかましいな」


      「うしおととら」×「Fate/stay night」


          『うしおとセイバー』



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【第1話 始まりの日 】・潮の部屋


 桜 「蒼月君。そろそろ起きないと遅刻してしまいます」


うしお「…う…ん? あぁ、桜姉ちゃん、おはよう」


 桜 「おはようございます。蒼月君」


【第1話 始まりの日 】・蒼月家居間

うしお「はーー、ごちそーさん」

 桜 「蒼月君、お茶をどうぞ」


ズズゥー


うしお「それにしても、親父と母ちゃんが総本山に行ってるからって
    桜姉ちゃんに毎日ご飯作ってもらっていいのかなァ」

 桜 「気にしないで下さい。私も蒼月君にお礼がしたいんですから」

うしお「お礼って、オレが桜姉ちゃんの兄貴を止めた事かい?」

 桜 「はい。兄さんが弓を持ったばかりの男子を見世物にしていたのを
    蒼月君が止めてくれましたから」

うしお「オレ…ああいうのは見てらんねえからさ」

 桜 「…はい」

うしお「あ、あー!? もうこんな時間だ! 早くしないと麻子達が来ちまう!」

 桜 「えっ、あ、そうですね。早く片付けましょう」


【第1話 始まりの日 】・遠坂邸


???「おい、女」

???「女。わしは早く強えヤツとやりてえんだよ」

???「おい女。聞いとんのか、女」


 凛 「あーーもう! この、とら!
    アンタねぇ、私はマスターなのよ!?」


と ら「あぁ? それがどうした、女」


 凛 「あ……あったま来たーーッ!!
    私のことはマスターって呼べーー!!」


と ら「お、おい! おめえ分かっとんのか!? 令呪ってえのは…」


 凛 「うるさいうるさいうるさーーい!!」


【第1話 始まりの日 】・蒼月家玄関


麻 子「うしお、また桜先輩に起こしてもらったんでしょ?」

真由子「うしお君が毎日ちゃんと起きてるなんて珍しいもんねー」

うしお「な、なにをーー!!」



麻 子「そ、それより、あんた、おじさんとおばさんが居ないからって
    桜先輩に、や、ややや、やらしいことしてないでしょーねーっ!?」

うしお「な、なに言ってるんだよ麻子ーーっ!?」



真由子「本当二人とも朝から仲いいんだからぁ」

 桜 「ふふっ」


【第1話 始まりの日 】・交差点


真由子「それじゃまた後でね。キリオ君」

キリオ「うん、お姉ちゃん」

うしお「キリオまたなーっ!」



キリオ「あっ、うしお兄ちゃん」

うしお「ん? どうしたキリオ」

キリオ「うん。前から真由子姉ちゃんを狙ってる組織や協会がいるのは
    話してると思うんだけど、昨日の夜にも来たんだ」

うしお「あぁ…」

キリオ「でも昨日の奴は、ちょっと違った」


【第1話 始まりの日 】・キリオ回想


???「へぇ、ガキのくせに中々やるじゃねぇか」

キリオ「お姉ちゃんは…僕が守る」



???「嬢ちゃんからとんでもねぇ力を感じるが、魔術師ってワケじゃなさそうだ」

キリオ「ま、待て!」

???「悪いな。ウチの雇い主がお前とは戦うなってよ」





キリオ「そいつは、赤い槍を持った男だったよ」

うしお「赤い…槍…」


【第1話 始まりの日 】・穂群原学園校門


うしお(槍、か…)

麻 子「どうしたのよ、うしお」

うしお「なんでもねえよ」



 凛 「………」

うしお「―――」



 桜 「蒼月君? 遠坂先輩がどうかしたんですか?」

うしお「遠坂先輩?」

麻 子「あんた遠坂先輩知らないの!?」

真由子「3年A組遠坂凛先輩。容姿端麗、頭脳明晰、悪い噂は全くなくて
    殆どの男子生徒の憧れの的らしいよー」

うしお「へぇ、そんな先輩がいたのかァ」


【第1話 始まりの日 】・穂群原学園屋上


 凛 「とら。他のサーヴァントの動きはつかめた?」

と ら「けっ、わしはそんなことは出来んぞ。ますたー」

 凛 「そうよね」



 凛 (―――まさか手違いで、二年前に蒼月君と一緒に白面の者から
    世界を救った妖怪の英霊を召喚しちゃうなんてね…)


と ら「おい、ますたー。わしは早く強えヤツをぶっ飛ばしてえんだ」



 凛 (しかも召喚の失敗で自分の名前以外二年前のことは忘れてる…)

 凛 「分かったわ、とら。私に付いて来て、様子を探りに行きましょう」

 凛 (だけど、最強のカードであることは間違いないわ)


【第1話 始まりの日 】・交差点


うしお「槍の男のことを考えてたら、一日終わっちまった…」

うしお「もう一回キリオに話を聞きに行くかー」

うしお「ん?」



???「フフッ」

???「早く呼び出さないと死んじゃうよ、お兄ちゃん」



うしお「えっ!?」


【第1話 始まりの日 】・ビル屋上


 凛 「とら、この街を見ても何も思い出さない?」

と ら「なぁんにもな」

 凛 「そう」



と ら「わしは記憶なんかどうでもいい。他の奴等をぶっ倒すだけよ」

 凛 「えぇ、そうね。あなたの記憶がなくても聖杯戦争に勝てばいい」

と ら「へっ、それでいいのよ。ますたー」

 凛 「覚悟は出来ているわ。とら」


【第2話 運命の夜 】・交差点


うしお「キリオ。昨日の夜は大丈夫だったのか?」

キリオ「うん、何もなかったよ」

うしお「そーか、それならいいんだけどよ」



うしお(あの女の子はなんだったんだ…)



麻 子「コラーっ! うしお遅刻するわよーっ!!」

うしお「今行くってーの!!」


【第2話 運命の夜 】・穂群原学園屋上


 凛 「気づいてる、とら」

と ら「おう」

 凛 「近くで敵の気配がするわ。私達をずっと見てる」

と ら「けっ、もったいつけやがって」

 凛 「面白いわ。人がいなくなるまで様子を見ましょう」

【第2話 運命の夜 】・穂群原学園屋上

と ら「来たかよ。暗くなるのを待ってやがったな」

 凛 「凄い殺気…」


???「よう。いい夜だな。そこの妖(バケモノ)もそう思うだろう?」


 凛 「とらが見えてる!? コイツ、やっぱりサーヴァント!!」

???「そういうこと。で、それが分かるお嬢ちゃんは、
    オレの敵ってことでいいんだなぁーー!?」

 凛 「とら!!」

と ら「へっ、やっと遊べらァ」

???「ほう、話が早くていいねぇ。そうでなくちゃ」

 凛 「槍使い、ランサーのサーヴァントね」

ランサー「いかにも。まさか妖の英霊がいたとはな。
     まぁ、出会ったからにはやるだけだ」


【第2話 運命の夜 】・穂群原学園屋上


ランサー「チィッ」

と ら「うおおおおお!!」


ドゴーン!!


ランサー「ぐっ…」

ランサー「これ程とはな。やり始めてすぐに撤退命令が出るはずだ」

と ら「逃がすかよーっ!!」

ランサー「いいのか? お前の雷のおかげで人が集まって来てるぜ」

 凛 「と、とら! ダメ…今、人に見られるワケには…」

と ら「けっ、しくじったか。ますたー乗れ!!」


【第2話 運命の夜 】・蒼月家付近上空


ランサー「あのヤロウ、こっちはバケモノとやりあった後だってのに
     魔力を感じたから見て来いとは、人使いが荒すぎるんじゃねーか」


ランサー「あの寺か」


ランサー「なるほど。微弱だが魔力を感じる」


【第2話 運命の夜 】・蒼月家外


うしお「また桜姉ちゃんに晩飯作ってもらっちまったなー」


うしお「ん? 蔵の方に誰かいる」


うしお「桜姉ちゃんは今帰ったし、照道さんも夕方に帰ったから」


うしお「だ、誰だ!?」


ランサー「見られたか。ま、運がなかったな。
     見られたからには死んでくれや。死人にくちなしってね」


うしお「赤い、槍!?」


【第2話 運命の夜 】・蒼月家外


ランサー「ハッ!」

シュン

うしお「うわああ!!」

ドタドタドタ

ランサー「おいおい。まさか蔵の中に隠れたつもりか」



うしお(あ、あれがキリオの言ってた赤い槍の男)

うしお(オヤジもいねえのにどうすりゃいいんだ…)

うしお(この地下室もすぐにバレちまう…)



うしお「―――そういや、アイツと出会ったのはここだったな」



ランサー「へぇ、地下室なんてあるのか」



【第2話 運命の夜 】・蒼月家蔵地下室


ランサー「鬼ごっこは、ここまでだ」


うしお「!?」


ランサー「あきらめな。割と驚かされたぜ。
     ひょっとすると、お前が七人目だったのかもな」


うしお「七人目…?
    何のことだが知らねーけど、オレは負けねえーーっ!!」


パァァァ


???「はぁぁぁ!!」


キィン!


ランサー「な…なに!? チィッ」


【第2話 運命の夜 】・蒼月家付近上空


 凛 「やっぱりあの場所から魔力を感じるわ」


と ら「さっきの槍使いかよ?」


 凛 「そこまでは分からないけど、
    もしかしたらサーヴァント同士で戦ってるのかも」


と ら「へっ、面白え。二匹いっぺんに相手してやるぜーーっ!!」


 凛 「ちょ、ちょっと、とらっ、飛ばしっ、過ぎっ」



【第2話 運命の夜 】・蒼月家蔵地下室



うしお「え……あ……」



???「サーヴァント、セイバー」



セイバー「召喚に従い、参上した」



セイバー「問おう」



セイバー「―――貴方が私のマスターか」



【第3話 開幕 】・蒼月家蔵地下室


うしお「うわあああ!! なんだなんだ姉ちゃんなんだ!?」


セイバー「これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある」


セイバー「ここに契約は完了した」


セイバー「先程の敵がまだ表にいるようです。マスターはここに」





うしお「あっ、ね、姉ちゃん!!」


うしお「行っちまった…」




【第3話 開幕 】・蒼月家外

ランサー「―――かわしたな。我が必殺のゲイボルクを」

セイバー「ゲイボルク…。御身はアイルランドの光の御子か!?」

ランサー「ドジったぜ。コイツを出すからには必殺でなけりゃヤバイってのに」

セイバー「逃げるのか!?」

ランサー「追って来るなら構わんぞ。ただし、その時は決死の覚悟を抱いて来い!」


タッタッタッ


うしお「姉ちゃん! さっきはサンキュ、じゃなくて槍で刺された傷は!?」

うしお「あれ、治ってる…」

セイバー「いえ、これは自動修復で外面を覆っただけです。マスター、傷の治療を」

うしお「そ、そうだよな、待っててくれ! 家から救急箱持って来るよ!!」

セイバー「マ、マスター! そういう意味ではなく…」

セイバー「あと一度の戦闘なら支障はない、か」

【第3話 開幕 】・蒼月家外

セイバー「はぁぁぁ!!」

キィィィン

と ら「へっ! 大陸の剣使いか!!」

セイバー「獣のサーヴァントは初めて見ました」

と ら「最初で最後にしてやるよーー!!」



うしお「おーーい。姉ちゃーーん」

セイバー「ダメですマスター! 下がってください!」

 凛 「あっ、まずい。とら、引くわよ!」

うしお「と、遠坂先輩。それに…」



と ら「あ?」

うしお「―――――――――」



【第3話 開幕 】・蒼月家居間

 凛 「どう? これで大体の説明は終わりなんだけど」

うしお「魔術師、聖杯戦争、マスター、サーヴァント…」

と ら「ますたー、やめときな。コイツ頭悪そうな顔してるぜ」

うしお「とら! なにをーーっ!!」



うしお「とら… オレを、覚えてないのかよ?」

と ら「けっ、おめえなんか知らねえよ」



 凛 「さて、そろそろ行きましょうか」

うしお「行くって、どこへだい?」

 凛 「この戦いを監督してる奴の所よ」


【第3話 開幕 】・大橋歩道橋中央


 凛 「ねぇ、もう少しマシな服なかったの?」


うしお「うーん、セイバー姉ちゃんが鎧を着たままで着れる服なんて
    この徳野さんのコートしかないからなァ」


セイバー「私のことは気にしないで下さい。マスター」


【第3話 開幕 】・言峰教会

 凛 「七人目のマスターを連れて来たわよ」

うしお「この人が、言峰神父さんかい?」

言 峰「ほう。現代の英雄が過去の英霊を召喚したか」

うしお「え、英雄なんて呼ぶのはやめてくれよーっ!」



 凛 「それで、これはどういうことなの。蒼月君は魔術師じゃないわよ」

言 峰「フッ、忘れたのか凛。マスターとサーヴァントは己の境遇に強く影響する」

 凛 「…そうか。あのセイバーも蒼月君と同じで国や人々を救った英霊」

言 峰「そういうことだ。蒼月潮ほどの英雄ならば
    英霊の召喚することに魔術師かどうかは些細な問題だ」


【第3話 開幕 】・言峰教会


言 峰「改めて聞こう。蒼月潮。選ばれしマスターとして、
    この聖杯戦争を戦う意志があるや否や」


うしお「オレ、戦うよ。さっき遠坂先輩に聞いたんだ。
    そのサーヴァントってのを使って、人を襲わせてる奴がいるんだろ?」


言 峰「そのような行為をしているマスターがいる事は、
    魔術協会としては不本意だがね」


うしお「そんなの聞いちまったら、もう黙って見てるなんて出来ねえよ!!」


言 峰「うむ……」


 凛 「決まりね。さ、帰りましょ」


言 峰(―――蒼月潮。蒼月紫暮の息子がマスターになるとは、フフ……)


【第3話 開幕 】・街路


 凛 「これで義理は果たしたわ」


うしお「遠坂先輩って、やっぱりいい人だなーっ!」


 凛 「お、おだてたって手は抜かないわよ」


セイバー「マスター!」





???「こんばんは、お兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね」





【第4話 最強の敵 】・街路

???「初めましてリン。私はイリヤ。
    イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、って言えば分かるでしょ」

 凛 「アインツベルン…。とら!!」

と ら「けけ、あーあ。退屈だったぜ」

イリヤ「それがリンのサーヴァント? 凄いのを召喚したのね」

 凛 (まさかドジったおかげで、とらを召喚出来たなんて言えないわね…)

イリヤ「でも、私がそれを知って何も対策をとらないと思ってたの。カヅチ!」

華 鎚「―――――――――」 華 鎚「―――――――――」

と ら「ぐあああああ!! こ、こいつァ!?」

うしお、凛「とら!!」

イリヤ「リンは知らないだろうから教えてあげる。
    こいつは結界自在妖っていって、一体で420体の妖怪を止められるの」

 凛 「420……それを二体も魔術で操ってるっていうの!?」

イリヤ「これ以上の挨拶はもういいよね。どうせここで死んじゃうんだし。
    じゃ殺すね。 やっちゃえ! バーサーカー!!」

【第4話 最強の敵 】・街路

バーサーカー「ガアアアアア!!!」

ガキィィィン

セイバー「くっ…!」

イリヤ「やっちゃえやっちゃえー!」


タッタッタッ


うしお「やめろーーっ!!」

セイバー「マスター! 敵のマスターは危険です! 下がって!!」

うしお「やめろよ! なんでこんなことするんだよ!!」

イリヤ「―――」

うしお「あ!そうだ。誰かに命令されてるんじゃないか!?」

イリヤ「―――」

うしお「な、そうだろ。こんな女の子が戦いたがるワケねえよな」


【第4話 最強の敵 】・街路


イリヤ「もういい。こんなの、つまんない」


うしお「えっ」


イリヤ「バーサーカー!カヅチ!」


バーサーカー「―――」

華 鎚「―――」

華 鎚「―――」


イリヤ「リン。次に会ったときは殺すから」


【第4話 最強の敵 】・交差点


 凛 「それじゃあね。蒼月君」

うしお「うん、遠坂先輩。また!」

 凛 「……これから私達は敵同士なんだけど」

うしお「オレは敵だなんて思ってないさ」

 凛 「はぁ、蒼月君には何を言っても無駄みたいね」



うしお「セイバー姉ちゃん。オレ達も帰ろう」

セイバー「はい、マスター」


【第4話 最強の敵 】・蒼月家前


うしお「あ、そうだ。
    オレのことはマスターじゃなく、うしおって呼んでくれよ」


セイバー「ウシオ、ですか。分かりました。
     ええ、私にはこの発音のほうが好ましい」


うしお「オレもセイバーって呼んでいいかい?」


セイバー「もちろんです」


うしお「オレは魔術師じゃないし、分からないことだらけだけど
    よろしくな! セイバー!」


セイバー「こちらこそ、よろしくお願いします。ウシオ」


【第5話 うしおとりん(前編) 】・穂群原学園廊下


うしお「あっ、遠坂先輩! 探してたんだよ。
    ちょっと聞きたいことがあって」


 凛 「―――――――――」





うしお「あ、あれ……」

横 尾「お、おい! うしお、お前遠坂先輩と知り合いだったのか!?」

厚 池「中村サンや井上サンだけじゃ飽き足らず遠坂先輩までも!!」


うしお「うーん、聞こえてなかったのかなァ」


【第5話 うしおとりん(前編) 】・穂群原学園屋上


と ら「あいつ、おめえを探してんのか」


 凛 「ええ、そうみたいね」


と ら「剣使いの女もいねえ。殺るなら今なんじゃねえか」


 凛 「分かってるわ」


と ら「ますたーが殺りたくねえなら、わしが」


 凛 「それだけは止めて。
    私、貴方達が戦うところなんて見たくないのよ」


と ら「けっ。わしとあいつが何だっていうんだ」


 凛 「行って来るわ、とら。これは私がつけるべき、けじめよ」


【第5話 うしおとりん(前編) 】・穂群原学園階段


うしお「遠坂先輩! やっと見つけた。
    オレずっと探してたんだよ、あのさ」

 凛 「蒼月君。自分がどれだけ、おバカさんか分かってる。
    マスターがサーヴァント抜きでのこのこ歩いているなんて
    殺して下さいって言ってるようなものよ」

うしお「そうなんだよ。セイバーは霊体化ってのが出来ないから、
    オレどうしたらいいか分からなくてさ」

 凛 「私はね、目の前のチャンスは逃さない主義なの」


キュィィィン

ドーン!!


うしお「えっ、そ、そんな、まさか……」

 凛 「逃げてもいいけど、勝つのは私なんだから」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・穂群原学園廊下


うしお「もう、止めてくれよ」

 凛 「はぁはぁ……本当、人間離れした運動能力なんだから」

うしお「止めて、くれないのかよ」

 凛 「そうよ。あなたが令呪を渡すまではね」

うしお「これを渡したらセイバーが消えちまうんだろ?
    だったら渡せねえよーっ!」



「キャァァァ」



うしお「遠坂先輩、今の!?」

 凛 「悲鳴、だったわよね」

うしお「くっ…」

 凛 「ちょ、場所分かってるの!?」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・穂群原学園廊下


女 子「………」

うしお「よかったァ。気を失ってるだけみたいだ」

 凛 「そんなわけないでしょ。誰かに魔力の源、
    生命力を抜かれているのよ。この子、ほっておいたら死ぬわ」

うしお「そ、そんな」

 凛 「蒼月君、どいて。これくらいなら…」


ジャラ、ジャラジャラ、ビュ!!


うしお「危ねえーーっ!!」

 凛 「えっ、な、なに!?」


キィン


うしお「遠坂先輩! その子のこと頼んだよ!!」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・弓道場裏雑木林

???「ハハ、ハハハ!」

うしお「どこだーっ!? いるんだろ! 出て来い!!」

ジャラジャラ、ビュ!!

うしお「うわぁっ! ど、どこから攻撃したんだ」

???「驚いた。何故避けれたのですか、貴方は」

うしお「―――」

???「次は、外しません」

うしお(―――己の心を細くせよ。

    川は板を破壊できぬ。水滴のみが板に、穴を穿つ)

ジャラジャラ、ビュ!!

サッ

???「……なるほど。
    ダテにサーヴァントを連れずに歩いているワケではないのですね」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・弓道場裏雑木林

 凛 「蒼月君! 大丈夫!?」

と ら「このニオイは、馬乗りか」

ライダー「貴方が噂の、獣のサーヴァントですか。
     確かに、いい毛並みをしていますね」


ジャラジャラ


ライダー「ですが今回はさすがに分が悪い。この場は引かせてもらいます」


ザッザッ


 凛 「とら!追って!」

と ら「へっ、逃がすかよ!!」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・弓道場裏雑木林


うしお「遠坂先輩、あの子は!?」

 凛 「安心して。どうにか持ち直したわ」

うしお「そーか、よかった…」

 凛 「…今のが学校に結界を覆ってる奴みたいね」

うしお「結界?」

 凛 「そう。それもかなり悪質なね。
    学校の生徒を全部生贄にしてでもサーヴァントを強くしようっていう最悪な結界よ」

うしお「生贄って…。そんなこと絶対やらせねえよ!!」

 凛 「私だって見過ごす気はないわ。結界の発動は止めてみせる」

うしお「遠坂先輩、オレ達で争ってる場合じゃねえよ!
    お役目のおばさんって人が言ってたんだ。仲良くしろって。
    一緒に結界を止めよう!!」

 凛 (―――本当、真っ直ぐに目を見るわね……)

 凛 「分かったわ蒼月君。それじゃ私と休戦協定を結びましょ」


【第6話 うしおとりん(後編) 】・間桐邸


慎 二「とんだ邪魔が入ったな」


ライダー「………」


慎 二「まぁいいさ。蒼月はそんな簡単に殺しちゃ面白くない」


ライダー「………」


慎 二「そうさ。アイツは、蒼月の女と一緒に結界で殺してやるんだ。
    ハハ、ハハハ!」


【第7話 蠢動 】・蒼月家居間


セイバー「それではウシオ。これからはリンと手を組むと」

うしお「あぁ、まずは学校の結界をなんとかしねえと」

セイバー「それは分かりました。ですが、ライダーと戦ったときに
     私を呼ばなかったことには納得出来ません」

うしお「呼ぶって…。あーーっ! 令呪か!! 忘れてた!!」

セイバー「わ、忘れてたのですか」

 凛 「うしお君に何を言ってもダメよ、セイバー。
    あの時は女子生徒を襲った奴を追いかけることしか考えてなかったみたいだから」

セイバー「それでは困るのですリン! リンからも何か言ってやって下さい」

うしお「わ、分かったよセイバー! 次は絶対呼ぶからさっ」



 凛 「さーて、と。それじゃ話が一段落したところで。
    私の部屋、決めさせてもらおうかしら」

うしお「えっ…?」


【第7話 蠢動 】・蒼月家離れ


 凛 「うん。まぁ、これなら何とかいけそうね」

うしお「本当にウチに泊まるのかい!?」

セイバー「部屋に関しては私からも要望があります。
     私はウシオと同じ部屋で寝るべきだと思う」

うしお「な、なに言ってんだよセイバー!」

 凛 「夕食の当番は交代性にしましょ。
    今日は挨拶代わりに私が作ってあげる」

うしお「えーっ!? オ、オレはジェットサンダーラーメンぐらいしか…」

 凛 「………。分かった。全部私が作ってあげる」

セイバー「話を切らないでもらいたい。私の部屋の問題に結論が出ていない」


ピンポーン


【第7話 蠢動 】・蒼月家玄関


 凛 「いらっしゃい」

 桜 「遠坂、先輩…」

 凛 「私、ここに下宿することになったの」

 桜 「え……」

うしお「桜姉ちゃん。こ、これは、その、つまり」

 凛 「これは私とうしお君が決めた事よ。もう決定事項なの。
    この意味分かるでしょ、間桐さん」

 桜 「分かるって、何がですか」

 凛 「うしお君の世話は必要ないって事よ。
    来られても迷惑だし、来ない方があなたの為よ」

 桜 「分かりません。
    私には遠坂先輩の仰る事が分からないと言いました」

 凛 「ちょ、ちょっとアンタ」


【第7話 蠢動 】・蒼月家玄関


麻 子「うしおーっ! あんたがまたどうせ栄養が偏ってるからって
    母さんが色々作ってくれたわよー…って、遠坂先輩?」

真由子「うしお君。私のおかーさんからも……あ、桜先輩も来てたんですね」


セイバー「ウシオ、リン。騒がしいようですが何かあったのですか」


キリオ「外国の、女の人」

麻 子「ちょっとうしお。これどうなってるのよ?」

うしお「それは、今日からみんな下宿することに、なったから、かな」

麻 子「な、なによそれーーっ!!」


【第7話 蠢動 】・蒼月家居間

麻 子「ちゃんと説明しなさいよ! うしおーっ!!」

うしお「イ、イテテテ」

真由子「麻子~! それ以上は…」

 桜 「な、中村さん。落ち着いて」



うしお「わ、分かったよ! 全部話せばいいんだろーっ!?」

 凛 「ちょ、ちょっと、うしお君」

うしお「遠坂先輩。こいつらも学校の生徒なんだ。
    無関係じゃない。話してもいいだろ?」

 凛 「聖杯戦争は他人に知られてはいけないの。だから」

うしお「こいつらに隠し事したくねえんだ。頼むよ」

 凛 (―――あーっ。もう……)

 凛 「……この子達以外は他言無用。いいわね?」

うしお「ありがと! 遠坂先輩!!」


【第7話 蠢動 】・蒼月家居間

キリオ「それじゃ、僕が戦ったのはランサーって奴だったんだね」

うしお「あぁ、赤い槍の男はランサーだったよ」

麻 子「本っ当っ、あんたは」

うしお「だ、だってよォ」



真由子「あの、遠坂先輩。
    遠坂先輩のサーヴァントは、今この部屋にいるんですか?」

 凛 「え? あぁ、とらなら家の周りを見てもらってるわ」

 凛 (とら、戻って来てくれる)

と ら(ああ? ここらを警戒しとくんじゃなかったのかよ)

 凛 (それはいいから、早く。霊体化もしなくていいわ)

と ら「おい。何がどうなってやがる」

真由子「―――――――――」


【第7話 蠢動 】・蒼月家居間

 凛 「井上さん。これで私達の話を信じてくれるかしら…え?」

真由子「とら…ちゃん…」


ポタ、ポタタ


と ら「な、なんだァ!? この女、泣いてやがんのか」

麻 子「真由子!」

真由子「……あ、麻子ぉ……とらちゃんだよ。
    とらちゃんが帰って来てくれたんだよ」

麻 子「うん、うん。そうだね、真由子」

と ら「ますたー! わしはもういいだろ! 行くぜ!!」

 凛 「あ、とら!」



と ら(なんだ…。急に、頭に、何か…くそォ、思い出せん)



【第7話 蠢動 】・蒼月家居間

 凛 「井上さん。今の話は本当?」

真由子「はい。最近学校で、落書きを見つけたんですけど
    私以外には見えてないみたいで…」

うしお「それって、もしかして」

 凛 「―――その場所を、明日の放課後教えてもらえるかしら」

真由子「あっ、はい。遠坂先輩」





 桜 「―――――――――」

うしお「桜姉ちゃん。大丈夫かい? ずっと黙ったままだけど」

 桜 「えっ、あ、大丈夫ですよ。ちょっと、驚いてしまって」

 凛 (……桜……)

【第7話 蠢動 】・蒼月家玄関

うしお「桜姉ちゃん、真由子、キリオ。また明日なーっ!」




麻 子「あなたが、セイバーさん?」

セイバー「はい。セイバーはクラス名で、真名ではありませんが
     そう呼んで頂いて結構です」

麻 子「あいつは、バカで、考えなしで、落ち着きなくって、
    ケンカっ早いから、セイバーさん、守ってあげてもらえますか」

セイバー「―――はい。騎士の誓いにかけて」




麻 子「うしおーっ!
    遠坂先輩とセイバーさんに何かするんじゃないわよーっ!!」

うしお「な、なにもしねえよーーっ!!」



セイバー「彼女も、いい人柄をしている」



【第8話 不協の旋律 】・穂群原学園放課後


真由子「うしお君。遠坂先輩を呼んできて」

うしお「よーし。おーい! 遠坂先パーイ! 次はこっちだーっ!」


 凛 「ちょ、ちょっと待って。こっちの呪刻もまだ壊してないんだから」


キュィィィン、パキィン


 凛 「それにしても井上さんがこんなに行動的だとは思わなかったわ」

と ら(さぁな。"泥なんて、何だい"ってヤツだろ)

 凛 「何、それ?」

と ら(けっ、知らねえよ。あの女を見てたらそんな言葉が…)

 凛 「とら?」

と ら(わしは、何かを忘れとるのか)


【第8話 不協の旋律 】・蒼月家居間

 凛 「まぁ、あれだけやれば十分でしょう。
    相手はここまでの数の呪刻を一日で破壊されると思っていないはず
    だから、きっと何かアクションを起こすわ」

セイバー「その時が、結界を張るサーヴァントを倒す機会ということですか」

うしお「あぁ、絶対に結界を止めさせるんだ。そういえば凛姉ちゃん。
    麻子に聞いたんだけど、隣町の柳洞寺に外国のお客さんが来てるらしい」

 凛 「柳洞寺に?」

うしお「うん、麻子は青鳥軒に来たお客さんに聞いたって言ってたよ」

 凛 「怪しいわね。でも、柳洞寺みたいなへんぴな所を陣取るなんて
    ありえないわよ。普通」

セイバー「それについては異論があります。あの寺院は落ちた霊脈。
     魂を集めるには絶好の拠点なのです。今夜にでも調べに行きましょう」

うしお「ま、待ってくれよセイバー! 普通の人かもしれないだろーっ!?」

 凛 「そうね。それに、もし本当に敵のホームなら、
    せめてどんなサーヴァントがいるか分かるまで待つべきよ」

セイバー「ウシオ…リン…。分かりました」


【第8話 不協の旋律 】・蒼月家蔵前

セイバー「―――」

と ら「………」

セイバー「獣のサーヴァント。私を止めるつもりですか」

と ら「タコが、止めねえよ」

ザッザッザッ

と ら「おめえ一人で行く気か」

セイバー「私は、一人で戦い、一人で勝ち、一人で帰ってくる。
     ずっとそうしてきた。今までも、そして、これからもです」

と ら「一体で……」

ダッ、ダッ

セイバー「な、何故です!? 貴方がついて来る理由はない!!」

と ら「うるせえーっ!! わしは一人で勝てるとか言ってやがる
    剣使いが負けるところを見て笑いてえだけよ!!」

セイバー「もし邪魔をするようなら、貴方から斬り捨てます」

と ら「やってみなァ! そん時ゃ返り討ちよ!!」


【第9話 月下流麗 】・柳洞寺山門

と ら「におうぜ。人間じゃねえな」

セイバー「―――お前は?」

???「アサシンのサーヴァント。佐々木小次郎」

セイバー「!?……参りました。
     名乗られたからには、こちらも名乗り返すのが騎士の礼です」

アサシン「よい。名乗れば名乗り返さねばならぬ相手であったか。
     いや、無粋な真似をしたのは私であった。真名など知らずともよい。
     我等にとって敵を知るにはこの刀だけで十分」

と ら「へっ、面白え奴だな」

アサシン「元よりサーヴァントとはそういうものであろう。
     違うか、妖怪のサーヴァントよ」

と ら「勘違いすんじゃねえ。わしは高みの見物よ」

アサシン「ならばセイバーを倒し、高みから引き摺り下ろすまで」

セイバー「そう簡単にいくと思うな。アサシン」

アサシン「では、果たし合おうぞ。セイバー」


【第9話 月下流麗 】・柳洞寺山門

アサシン「ほぉ。かわしたか」

セイバー「……多重次元屈折現象」

アサシン「このような俗世に呼び出された我が身を呪ったが、それも今宵まで。
     生前では叶わなかった立ち合い、そして妖怪退治が出来るのならば、
     呼び出せれたかいがあるというもの」

セイバー「なるほど。確かに、手加減など許される相手ではなかったようだ」

アサシン「ようやくその気になったか、セイバー」

セイバー「我が一撃、受けきれるか。アサシンのサーヴァント!」

ゴオオオオオ

アサシン「さながら台風といったところか。その奥にあるもの見せてもらうぞ」

ゴオオオオオ

と ら「待ちな。おい、出て来いよ」

???「……くっ」


【第9話 月下流麗 】・柳洞寺山門

アサシン「そこまでにしておけセイバー。その剣、盗み見ようとする輩がいる。
     このまま続ければ、妖怪共々乱戦になるぞ」

セイバー「待て! 決着をつけないつもりかアサシン!!」

アサシン「この山門を越えるというのなら決着はつけよう。
     だが、ここで邪魔が入ったのはそなたにとって幸運ではないか」

セイバー「く…ぅ…」


ドサッ


と ら「ちっ、馬乗りがァ。逃げ足だけは速えんだよ」

セイバー「………」

と ら「おい、剣使い。なに倒れてやがる」

セイバー「ト、ラ…」

と ら「剣使い…おめえ…。くそ、だからキレエなんだよ。
    魔力がなきゃ風も使えねえ人間は。おら、とっとと背中に乗れ!!」


【第9話 月下流麗 】・蒼月家玄関


と ら「ますたー。こいつァどうなってやがる」


 凛 「多分だけど、宝具をキャンセルしたことによる負荷が身体に影響してるわね」


うしお「セイバー! セイバー!!」


セイバー「…ウ、シオ」


 凛 「気が付いたみたいね」


【第9話 月下流麗 】・蒼月家居間

セイバー「柳洞寺におもむき、アサシンのサーヴァントと戦いました。
     トラではないサーヴァントの存在に気付き、戦いを中断しましたが」


 凛 「柳洞寺にアサシン。とら、そのサーヴァントは何者だったの?」


と ら「馬乗りよ。逃げ足だけは速え女だ」


 凛 「ライダー、か」


うしお「…そんな事より、セイバー。何で一人で戦いに行っちまったんだよ」


セイバー「ウシオ、私は…」


うしお「一人で、一人で戦うなんてよォ…そんなのいけねえよ」


 凛 「待ってうしお君。きっとセイバーにも考えがあったと思うし、
    今夜はもう遅いわ。休みましょう」


【第10話 穏やかな幕間 】・穂群原学園屋上

(―――ウシオ、私は…)

うしお「………」

 凛 「こんな所にいたの」

うしお「凛姉ちゃん」

 凛 「セイバーのことを考えてたんでしょ」

うしお「うん。なんでセイバーは」

 凛 「サーヴァントにも叶えたい望みがあるのよ。
    聖杯を欲するから召喚に応じる、それがサーヴァントなのよ」

うしお「叶えたい、望み…」

 凛 「あ、そうだ。うしお君、今日の帰りに買い物頼めるかしら?
    私はちょっと家によらないといけないのよ」

うしお「えっ、あぁ、もちろん行くよ」

 凛 「それで、買ってきてもらいたい物はね」

うしお(叶えたい望み…セイバー、それに、とらにも?)


【第10話 穏やかな幕間 】・商店街

うしお「よーし、これであらかた買ったかな。この材料だと今日は、
    マーボー豆腐かーっ! 楽しみだなァ」

クイッ、クイッ

うしお「ん?」

イリヤ「ごきげんよう。生きてたんだね、お兄ちゃん」

うしお「うわーっ!?って、あぁ、なんだ、あの時の女の子か」

イリヤ「私イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。
    長いからイリヤでいいよ。お兄ちゃんはなんて名前?」

うしお「オレのことかい? オレは蒼月潮ってんだ」

イリヤ「アオツ、キウシオ?」

うしお「言い難いならうしおでいいさ。みんなそう呼んでるしよ」

イリヤ「ウシオ? ウシオ!
    ねぇ、お話したいこと一杯あったんだから、行こう!」

うしお「っと、イ、イリヤ、あんまり引っ張んなーっ!」


【第10話 穏やかな幕間 】・公園

うしお「へえーっ、あの国道の向こうにそんな大きな洋館があるのかァ。
    そこから一人で来たのかい?」

イリヤ「うん、こっそり抜け出して来たの。
    セラもリズもメイドのくせにうるさいんだもん。
    寒いと身体に悪いとか言って、いっつも部屋に閉じ込められてたんだから。
    今日は、ご褒美なの…」

うしお「―――。あーっ! そうだっ! これがあったあった」

イリヤ「なにそれ?」

うしお「クリームパン! うめーんだぜー!!」

イリヤ「えっと、くれるの…?」

うしお「あぁ!」

モグモグ

うしお「イリヤの髪は白くてキレーだなァ。昔の小夜さんみたいだ」

イリヤ「この髪はね、母さま譲りでイリヤの自慢なんだから。
    それに雪みたいで綺麗だって、父さまとシグレさまが言ってくれたの」

うしお「えっ?」


【第10話 穏やかな幕間 】・公園

キリオ「あれ、うしお兄ちゃん?」

うしお「おーう! キリオ! 今帰りか?」

イリヤ「―――」

キリオ(今、法力じゃない違う力が…気のせい、かな)

イリヤ「―――私帰る。バーサーカー起きちゃった」

うしお「あっ」

タッタッタッ

イリヤ「―――」

キリオ「…な、なに?」

イリヤ「貴方、私と同じなのね」

キリオ「!?」


うしお「し、ししし、しまったーっ!
    なんでマスターをやってるのか聞きそびれちまったーっ!!」


【第10話 穏やかな幕間 】・蒼月家居間

うしお「ただいまー、っと…ん?」

真由子「とらちゃんこれ全部食べていいんだよーっ!」

と ら「記憶はねえがこれは覚えとるぞ。こいつァ『はんばっか』てえんだ」

ぱく、もぐもぐ、もぐもぐ

セイバー「む。トラ、何を食べているのですか」

と ら「なんだァ? 剣使い。おめえ、はんばっかも知らねえのか。ほらよ」

セイバー「これは、なかなか、いけますね」

 凛 「セイバー! とらはともかく、私と桜が夕食作ってるんだから
    そんなもの食べちゃダメでしょー!!」

セイバー「リン。このハンバッカを、そんなものとは…。
     今の言葉、騎士の誓いにかけても訂正してもらいます」

麻 子「その為に騎士の誓いを使うの!?」

 凛 「ダメ、ダメよ。ハンバーガーなんて、ハンバーガーなんて…
    ぜ、ぜぜ、贅肉、贅肉が付いちゃうでしょうがーーっ!!」

 桜 「と、遠坂先輩! 落ち着いて!」


【第10話 穏やかな幕間 】・蒼月家居間

 凛 「今日はちょっとした収穫があったわ」

うしお「何かあったのかい?」

 凛 「桜の兄のことは知ってるわよね?
    ソイツがマスターで、私に組まないかって言ってきた」

うしお「えぇ!?」

 凛 「当然断ったわ。信頼出来るヤツじゃないもの」

うしお「………。結界のことは?」

 凛 「知らないって言ってたわ。
    まぁ、本当かどうかは分からないけどね」

うしお「そう、なんだ」



うしお「桜姉ちゃんの兄貴が、マスター…」



【第10話 穏やかな幕間 】・蒼月家風呂場


ガチャッ


セイバー「―――」

うしお「―――」


セイバー「ウシオの入浴したい意思に気付かなかったのは、私の落ち度でした」

うしお「うわああああああああああ!!!」


ダッダッダッ


セイバー「ウ、ウシオ?」


うしお「こともあろうに、またのぞき男になっちまったぁぁぁ!!
    オレはぁぁぁ!! オレはぁぁぁ!!」


【第10話 穏やかな幕間 】・蒼月家蔵前

うしお「はぁ、セイバーになんて謝れば……ん?」

・蒼月家蔵地下室

と ら「人間か…?」

うしお「―――――――――」

と ら「剣使いのますたーか」

うしお「……う、うわあああ!! なんだなんだ、お前なんだ!?」

ドタドタドタ

と ら「あぁ? なにをそんなに驚いてやがる」

うしお「い、いや。……なんでもねえよ」

うしお「と……凛姉ちゃんのサーヴァント。聞きたいことがあるんだ。
    お前も叶えたい望みがあるから、召喚されたんだよな?」

と ら「わしは記憶がねえから知らん。
    だが、召喚されたってことは、そうかもな。
    わしは行くぜ。えらく気になって来てみたが何にもねえ場所だ」

うしお「とら…」


【第11話 鮮血神殿 】・蒼月家玄関

セイバー「ウシオ」

うしお「ん? 何だいセイバー」

セイバー「気を付けて下さい。何か、嫌な予感がします」

うしお「予感?」

 凛 「大丈夫よセイバー。休戦中は私ととらが守ってあげるんだから」

セイバー「はい。リンを信じています」

うしお「何かあったら、この令呪を使ってセイバーを呼べばいいんだよな」

セイバー「そうです。令呪の力を使えば私はマスターの場所へ行ける」

うしお「あぁ、分かった。その時は頼むぜセイバー!」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園教室

厚 池「うしおー! 部活ねえなら、またゲーセン寄ってかねえ?」

うしお「厚池! まーたオレをカモにする気だなーっ!?」

横 尾「うしおはホントにヘタだからな……ぁ……うっ……」 ドサッ

うしお「横尾? どうしたんだよ?」

厚 池「あ……ぁ……」 ドサッ

うしお「厚池!? 横尾!! ど、どうなってんだ!?」


バタッ、バタッ、バタッ


うしお「クラスのみんなが……」

ガラッ

 凛 「うしお君!!」

うしお「凛姉ちゃん!! これは!?」

 凛 「結界が発動したのよ。まったく、あれだけ呪刻を壊したのに
    強制発動出来るとはね。本当サーヴァントに常識は通じないわ」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

 凛 「とにかく結界の基点を探さなきゃ。うしお君行くわよ!」

うしお「あぁ…!」



慎 二「よぉ、遠坂、蒼月。思ったより元気そうで何よりだ。
    どう? 気にいったかい、この趣向は」

 凛 「……そう。これはアンタの仕業なのね」

慎 二「そうだとも。タイミングには苦労したんだぜ?
    僕としちゃ、お前達の顔面蒼白を見たかったからさ」

うしお「なんだよ、それ。結界を、結界を止めろよーーっ!!」

慎 二「なに僕に命令してるわけ?
    止めて欲しかったら土下座ぐらいしろよ蒼月」

 凛 「これが最後の忠告。結界を止めなさい」

慎 二「そんなに気に食わないなら、力尽くでやってみろよ遠坂」

 凛 「とら」

と ら「けっ、こんなガキの相手かよ」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

慎 二「でもさぁ、遠坂。二対一ってのは卑怯なんじゃないの?
    ライダー」

ライダー「はい」
麻 子「―――――――――」

うしお「あ、麻子おおーーっ!!」

慎 二「人質なんて使いたくなかったんだけどさ。でもこれでフェアだろう?
    ライダー、とっととそのサーヴァントを殺しちまえよ」

と ら「わしが人間の人質で言うことを聞くとでも思っとんのかよ」

真由子「と、とらちゃん。ダ、ダメだよ…」

 凛 「井上さん!」

うしお「真由子!? 大丈夫なのか!?」

真由子「うしお君。私、麻子を守れなかったけど、今度は頑張るね」

パァァァ

ライダー「―――これは、鮮血神殿(ブラッドフォート)が…
     押し返されている…?」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

真由子「はぁ、はぁ……」

と ら「おい女。もう止めな、ぶっ倒れそうじゃねえかよ」

真由子「とら、ちゃん…泥なんて何だい、だよ」

 凛 「結界が止まってる。これなら…!」

真由子「遠坂先輩。結界の基点は学園の上空にあります。
    それを、壊して下さい…」

ライダー「無駄ですよ。現代の魔術師に私の鮮血神殿(ブラッドフォート)は
     壊せないのですから」

 凛 「確かに私の魔術じゃ完全には壊せない。でも」

バチバチ、ビリビリ

と ら「早く乗りな。ますたー」

ライダー「くっ、行かせません…!」

慎 二「なに勝手に話を進めちゃってるわけ? こっちには人質が、ぐふっ」

麻 子「あんまり麻子さんをおナメじゃないよ」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

麻 子「うしおーーっ!」

ダッダッダッ

うしお「麻子!」


慎 二「がはっ、はぁ、はぁ」

ライダー「マスター!」


 凛 「うしお君。ここは任せたわよ」

うしお「分かった! よーし…」


うしお「セイバァァァ!!」


キュィィィン、パァァァ


セイバー「マスター、指示を」

うしお「ライダーを頼む! オレは間桐先輩を!!」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

キィン、カキィン

ライダー「流石ですね。セイバー」

セイバー「ライダー、貴方はここで倒れろ」


うしお「待てぇぇーーっ!!」

慎 二「く、来るなぁっ、来るなっぁぁぁ」


ドクンドクン、ドクン…


ライダー「―――鮮血神殿(ブラッドフォート)が壊されましたか」

ヒュン

セイバー「ウシオ! 気を付けて!!」

うしお「うわっ」

慎 二「ライダー!」

ライダー「マスター。この場から離脱します」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下

セイバー「ウシオ。アサコとマユコも私の後ろへ」

麻 子「セ、セイバーさん?」

真由子「はぁ、はぁ。は、はい」

セイバー「ライダーは結界の維持に使っていた魔力を開放するつもりです」

うしお「魔力を開放…?」


慎 二「ラ、ライダー。なに考えてんだお前…
    蒼月のサーヴァントにすら勝てないくせに!!」

ライダー「確かに私ではセイバーには及びません。
     ですがご安心を、我が宝具は他のサーヴァントを凌駕しています」


グサッ、パァァァ


ライダー「たとえ相手が何者であろうと、我が疾走を妨げる事は出来ない」

セイバー「三人とも私から離れないで下さい!
     ライダーは宝具を使うつもりです!!」


【第11話 鮮血神殿 】・穂群原学園廊下


セイバー「言葉通り、離脱する為だけに宝具を使ったようですね」


麻 子「…うぅ」 ドサッ


真由子「あ、麻子…うしお君、私も、もう」 ドサッ


うしお「麻子! 真由子!」


セイバー「ウシオ、大丈夫です。二人とも気を失っているだけのようです」


うしお「そ、そうかァ…よかった」


【第12話 空を翔ぶ 】・商店街

慎 二(……全部、全部、全部、壊せ、ぶっ壊しちまえ!!!) ドンッ

女 子「あっ、ごめんなさい」

慎 二「あぁ? なにこの女。もっと違う謝り方があるんじゃないの?」グイッ

女 子「い、いや、やめてください」

礼 子「ちょっと、あなたやめなさいよ。
    それに見てたけどアナタの方からぶつかったじゃない」

慎 二「はぁ? なんだよお前。まさか僕が悪いとでも言うつもり?」

間 崎「何かあったのか礼子」

慎 二「ヒィッ」

通行人「お、おい。あの人は間崎さんじゃないか?
    暴走族スピードイーターをたった一人で潰したって言われてる」

通行人「ひぇ~、おっかねぇー……」

慎 二「ク、クソッ! う、うわあああああ!!」 ダッダッダッ

間 崎「なんだ、アイツは」


【第12話 空を翔ぶ 】・蒼月家居間


うしお「凛姉ちゃん、学校のほうは?」

 凛 「そっちは綺礼がなんとかしてくれたわ。井上さん達は?」

うしお「二人とも家で休んでる。真由子にはキリオが付いてくれてるよ」

 凛 「そう。井上さんのおかげで全員病院送りになるところが
    自宅待機で済んだんだもの。感謝してもしきれないわね」



うしお「桜姉ちゃんの兄貴、間桐先輩はまた何かやる気かな」

 凛 「アイツの性格から言って、まず考えられるのは私達への復讐」

セイバー「では、ライダーのマスターは再び結界を張ろうとすると?」

 凛 「間違いなくね。だから私達が探すのはアイツ本人じゃなく」

うしお「結界! よーし、行こう!」


【第12話 空を翔ぶ 】・間桐邸


 凛 「さすがに家に居るわけないか」

と ら「ちっ、馬乗りのニオイもしやがれねえな」


 凛 「二手に別れたうしお君達も気になるわ。もう行きましょ、とら」

と ら「ますたーよ。ここはあの女の家なんだろ。会わなくていいのかよ」

 凛 「桜のこと? いいのよ、別に」

と ら「わしには関係ねえからいいけどよ。
    ますたーとあの女は同じニオイがするのよ。ひょっとしておめえ等」

 凛 「―――それ以上はやめて。とら」

と ら「………なら、もう行くぜ」

 凛 (……桜……)


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル前


うしお「セイバー。どうだい」

セイバー「いえ、魔力は感じません」

うしお「ここも違うかァ」


うしお「ごめんよ、セイバー。オレが魔術師だったら手伝えるのによ…」

セイバー「ウシオ、それは気にしないで下さい。
     そうですね。少し休憩しましょう」


【第12話 空を翔ぶ 】・公園

うしお「魚肉ソーセージうめえーっ」

セイバー「―――ウシオ。私は貴方に謝らなければいけません」

うしお「えっ?」

セイバー「リンに、ウシオの旅を記録したモノを見せてもらいました」

うしお「オレの? あぁーっ! 守矢さんのビデオ!!
    凛姉ちゃん録画してたのか、あれ恥ずかしいんだよなァ」


セイバー「それで、よかったら旅の事を聞かせてもらえませんか?」

うしお「セイバーが聞いても面白い話なんてあるかなァ」

セイバー「聞きたいのです! お願いします! ウシオ!」

うしお「わ、分かったよ! どうしたんだいセイバー」

セイバー「いえ、別に」


セイバー(―――私は知りたい。なぜアナタが私を召喚出来たのか)


【第12話 空を翔ぶ 】・公園


うしお「それで、オレの旅は終わりさ」

セイバー(……そうして、貴方はこの国を守ったのですね)

うしお「いけねーっ! 話し込んでたら暗くなっちまった!!」


ドクンッ


うしお「セイバー!?」

セイバー「見られていますね。
     魔力を辿ります。注意して下さいマスター」


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル前

ジャラジャラ

セイバー「ウシオ!!」

うしお「うわっ!?」

キィン!

ライダー「フフッ」

セイバー「追います。ウシオはここに居て下さい」

ダッ

 凛 「うしお君! 今のはライダーね」

うしお「凛姉ちゃん。あぁ、セイバーとビルの屋上へ行ったよ」

 凛 「とら。先に行ってセイバーのサポートを」

と ら「なぁんでわしが剣使いの手伝いなんか」

 凛 「いいから行けー!」
うしお「いいから行けーっ!!」

と ら「は、はいーっ!!」


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル屋上

セイバー「神代のモノを持ち出すとは、随分と業が深いようですね。
     ライダー!!」

ライダー「私は貴方達の敵だった者に過ぎない。
     故に私が操るのは貴方達が駆逐してきた可哀想な子達だけよ」

セイバー「なるほど。歪んでいるとは思いましたが英霊ではなく、
     悪鬼の類でしたか」

ドゴーン!!

ライダー「くっ」

と ら「剣使い、なーにやっとる。馬乗りなんかに手こずってんのかよ」

セイバー「トラ!?」

ライダー「現れましたか。
     ですが、貴方達では私の子に触れる事は出来ない!!」

と ら「へっ、よーし、じゃ勝負するかよ。剣使いっ乗れっ!!」

セイバー「トラ。何をするつもりですか」

と ら「あのガキィに教えてやるのよ。速さをな」


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル屋上


バンッ


うしお「セイバー!!」

 凛 「とら!!」


慎 二「ハァーハッハッハッ!! アッハッハッハッ!!
    見たか蒼月!遠坂! これが僕とお前達の力の差だ!!」


 凛 「慎二!!」

うしお「どこだっ!?」


慎 二「お前達もサーヴァントもこれで終わりだな。
    なに、知らない仲じゃない。苦しまないように一瞬で殺してやるよ。
    やれ、ライダー。手足一本残すなよ」


うしお「セ、セイバァァァ!!!」


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル上空

キィン!カキィン!キィン!

ライダー「どうやら余興はここまでのようね。セイバー、獣」

バサッ、バサッ

ライダー「私の宝具は強力ゆえ、使えばどうしても人目につく。
     けれど、この雲の上なら覗き見される恐れはない」

セイバー「それが貴様の宝具か、ライダー!!」

ライダー「えぇ、この子は優し過ぎて戦いには向いていない。
     こんな物でも使わないと、その気になってくれないのよ」

パンッ!!

ライダー「消えなさい!! セイバー!! 獣!!」



と ら「ガキが、つけあがりおって」

セイバー「トラ、私の魔力は残り少ない。そこで、貴方の力を貸して欲しい」

と ら「何だァ?
    ……へへっ、面白えじゃねえか。ドジるなよ剣使い!!」



【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル上空

セイバー「風よ」
と ら 「雷よ」


と ら「こいつの剣に落ちやがれえええ!!!」


ドガァァァン!! ビリビリ、バチバチ、ビリビリ


セイバー(これが、トラの雷。凄い…これならば…!)


セイバー「ライダー。この雲の上ならば、人目につかないと言ったな。
     同感だ。ここならば地上を焼き払う憂いもない!!」

と ら「黄金の剣、か」


ライダー「騎英の手綱(ベルレフォーン)!!!」


セイバー「約束された(エクス)

     ―――勝利の雷剣(カリバー)!!!」


【第12話 空を翔ぶ 】・間桐邸


 桜 「ライダー…」


・高層ビル屋上


 凛 「雨雲を、金色が裂いていく…」


慎 二「うひゃぁ! 令呪が! 令呪が燃えちまう!」


 凛 「慎二!」


うしお「そこにいたのかーっ!!」


慎 二「ひ、い、うぁ、あああああ!!」


ダッダッダッ


【第12話 空を翔ぶ 】・高層ビル前

ダッダッダッ

慎 二「はぁ、はぁ、はぁ…!?」

???「………」

慎 二「な、なんだよお前! 邪魔なんだよ!!」


???「黄金の剣に、黄金の獣か」


慎 二「ど、どけよぉ!!」


パチン、グサッ


慎 二「あ……ぁ……」


ドサッ


???「黄金に相応しい英霊は我だけよ。フフ、ハァーハッハッハッ!!」


【第13話 冬の城 】・夕暮れの公園


イリヤ「居ないと思ったら、こんな所に。こんにちは、ウシオ」

うしお「イリヤ…」

イリヤ「浮かない顔してるけど、何かあったの?」

うしお「い、いや、何でもないさ! さーてと、そろそろ帰らないとなァ」

イリヤ「ライダーのマスターを殺したヤツの事を考えてたんでしょ」

うしお「なんでそれを!?……うっ、あぁ…」

イリヤ「あ、もう金縛りになったんだ。
    ウシオったら護りも何もないんだもの。
    こんなに簡単に捕まっちゃうなんて、カワイイなぁ」

うしお「イ、リヤ…」

イリヤ「オヤスミナサイ。お兄ちゃん」


【第13話 冬の城 】・蒼月家居間


 凛 「はぁ、うしお君。帰りが遅いと思ったら」

セイバー「はい。まだ無事である事は感じ取れますが、とても遠い。
     おそらく、敵の手中に」


と ら「…あのクソ…が、なにしてやがる」


 凛 「っ!? とら、今なんて言ったの」

と ら「なんだァ、ますたー。わしはなんも言っとらんぞ」

 凛 「…そう」

 凛 (―――記憶が、戻ろうとしてる…?)


セイバー「リン、トラ。お願いがあります」


【第13話 冬の城 】・アインツベルン城イリヤの部屋

うしお「……う……こ、ここは?」

イリヤ「あ、やっと起きたんだ。声ぐらい出せるよね」

うしお「イリヤ! ここはどこなんだ!?」

イリヤ「ここは樹海の中のお城。
    誰も助けになんて来れないし、邪魔は入らないわ」

うしお「何を、する気だよ」

イリヤ「ウシオ。私のモノになりなさい」

うしお「え、えぇーっ!?」

イリヤ「そうか。まだセイバーがいるからダメなんだよね」

うしお「い、いや、そういう問題じゃねえよ!!」

イリヤ「他にも女の人がいるの? 分かった、リンね。
    それじゃ、あの二人を殺してくればいいよね」

うしお「な、なに言ってんだよ…」

イリヤ「行ってくるわ。お兄ちゃん」

うしお「待て、イリヤ。待てええーーっ!!」


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城門前

 凛 「アインツベルン城。ここで間違いないのね?」

セイバー「はい」

と ら「チッ、華鎚のヤロウが巡回してやがるか」

セイバー「たとえ何が待っていようと関係ありません。
     サーヴァントにとってマスターは」

 凛 「待って。とらは姿を消して、セイバーも気配を」

ガチャ

イリヤ「………」


 凛 (イリヤスフィール…!)


イリヤ「ん?……気のせい、か」


セイバー(ウシオ…)


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城イリヤの部屋

うしお「早くセイバー達に知らせないと…!」

うしお「ぐおおおお! ぬああああ!
    ダ、ダメだ…。魔術の解除なんてわかんねえよォ」


ドンッ!!


セイバー「動くな!……ウシオ」

うしお「セイバー!!」

 凛 「思ったより元気そうね」

うしお「凛姉ちゃんまで!? どうして!?」

セイバー「私が助けを頼んだのです。
     ウシオがイリヤスフィールに拉致されたようだったので」

 凛 「さ、イリヤスフィールが戻って来る前に早く逃げるわよ」


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城大広間

と ら「おいっ! 剣使い見てみろ! 木にすごいのがなってんな~」

セイバー「シャ、シャンデリアは返したほうがいいと思います。トラ」

うしお「デッカイ家だなァ」

 凛 「あれが出口よ。どうやら間に合ったみたいね」

タッタッタッ

???「なぁんだ、もう帰っちゃうの? せっかく来たのに残念ね」

 凛 「イリヤ、スフィール……。
    そう、なるほどね。外に出て行ったのは偽者か」

イリヤ「ええ。
    私はこの城の主なんだからお持て成しをしなきゃ、お客様に」

ドーン!!

バーサーカー「ウオオォォ!!」

セイバー「バーサーカー…!」


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城大広間

セイバー「ウシオ、逃げて下さい。ここは私が」

と ら「こいつァ、わしの獲物よ。おめえ等は行きな」

セイバー「トラ、何を考えているのです!」

 凛 「ちょ、ちょっと! とら! 何言ってんのよ!!
    イリヤスフィールは結界を操る妖怪を使役してるのよ。
    アンタだけ残すぐらいならここでセイバーと協力して」

うしお「分かった、凛姉ちゃんのサーヴァント。
    一人で戦ったほうがオレ達を守りながら戦うよりいいんだろ?」

と ら「へっ、剣使いのますたー。人間のガキにしちゃやるじゃねえか」

うしお「―――おまえとは付き合い長いからな」

と ら「???」

うしお「行こう! セイバー!凛姉ちゃん!」 グイッ

 凛 「う、うしお君!?
    このバカとらーーっ!! アンタは私のサーヴァント!!
    負けたりなんかしたら許さないわよ!!」

と ら「うるせえますたーだぜ。いいからとっとと行きな。……リン」


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城大広間

イリヤ「へぇ、ビックリ。一人で私のヘラクレスを止めるつもりなんだ」

と ら「剣使い程度に、わしの獲物を横取りさせるかよ」


イリヤ「バーサーカー!」

バーサーカー「ガアアアアア!!!」


イリヤ「カヅチ!」

華 鎚「―――――――――」 華 鎚「―――――――――」


と ら「けけっ、来いよ。木っ端微塵にしてやるから…」


バチバチ、ビリビリ


と ら「やーっと、楽しめそうだぜ!!」


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルンの森


ダッダッダッ


 凛 「くっ……ぁ……」


うしお「凛姉ちゃん!?」


セイバー「まさか、トラが……」


 凛 「アイツはそんな簡単にやられるようなヤツじゃないわ。
    そうでしょ、うしお君」


うしお「あぁ…!」


ダッダッダッ


【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城大広間

ドゴッ、ドカッ

イリヤ「なんで……なんで……死なないのよ……」

と ら「けけっ」

イリヤ「―――コイツどこかおかしいわ。
    油断なく躊躇いなく、殺される前に殺しなさい!!」

バーサーカー「ガアアアアア!!!」

ドゴッ、ドカッ

と ら「くくっ」

イリヤ「まさか、バーサーカーと同じ宝具を」

と ら「宝具だァ? くく、はーっはっはっはっ!!」

イリヤ「なっ!?」



と ら「死なねーんだよ。それが妖(バケモノ)!!!」



【第14話 妖怪の果て 】・アインツベルン城大広間

イリヤ「コイツ、一体何者なの……」

と ら「………」

イリヤ「手を抜いた訳じゃないでしょうねバーサーカー!!」

バーサーカー「ウオオォォ」

イリヤ「カヅチ。そのままコイツを捕まえてなさい」

華 鎚「―――」 華 鎚「―――」

イリヤ「マスターのリンさえ殺せばコイツだって死ぬはず」

バーサーカー「オオオ」

イリヤ「早く傷を治しなさい!!今すぐアイツ等を殺しに行くわよ!!」



と ら(……っきしょオ……ここらが、潮時か……)



【第15話 十二の試練 】・アインツベルンの森

ダッダッダッ

うしお「!? な、なんだ…」

ガクッ

セイバー「ウシオ! 大丈夫ですか!?」

うしお「あ、あぁ。痛みはないんだけど、身体に力が入らねえんだ」

セイバー「リン、これは?」

 凛 「分からない。
    イリヤスフィールの魔術で体力を低下させられてるのかも」

うしお「オレは大丈夫さ…。ハァ、ハァ、行こう」

セイバー「リン、これ以上は」

 凛 「そうね。それに夜の森は危険だわ。うしお君、アレを見て」

うしお「アレは、廃墟?」

 凛 「来るときにね、とらが見つけておいたのよ」

セイバー「先は長い。休憩しましょう」


【第15話 十二の試練 】・アインツベルンの森・廃墟

ぐぅ~~

 凛 「ちょっと、うしお君。さすがに緊張感なさ過ぎるんじゃない?」

うしお「オ、オレじゃねえよーーっ!!」

セイバー「すみません、私です。何か食べる物でもあればいいのですが」

うしお「食べる物…。そうだっ! これがあったんだ!!」

がさごそ、ころん

 凛 「それは?」

うしお「遠野で、妖怪の長から貰ったオムスビ。
    不思議なコトに食べても食べてもなくならないんだ」

セイバー「確かに、モグモグ、これは、モグモグ、凄い。
     食べると、モグモグ、既に次のオムスビが用意してある」

うしお「セイバー。なくならないから、ゆっくり食べても大丈夫さ」

 凛 「はぁ…なんてモノ持ってるのよ。うしお君。
    協会の奴等が知ったら、魔法の数がプラスイチされてるところよ」


【第15話 十二の試練 】・アインツベルンの森・廃墟

うしお「ん? いけね寝ちまった」

セイバー「ウシオ、身体は大丈夫ですか?」

うしお「あぁ、もう大丈夫だ」

 凛 「うしお君、よく聞いて。イリヤスフィールとバーサーカーが、
    私達を探して森を探索してる」

うしお「なんだって!? それじゃ、とらは…」

 凛 「私ととらの繋がりは切れてない。多分、城で華鎚に捕まってるんだわ」

セイバー「トラと戦い合った後のバーサーカーなら、私達だけでも倒せると思います」

 凛 「うしお君とセイバーでバーサーカーの注意を引き付けてもらうわ。
    そこに私のとっておきの宝石で終わらせる。うしお君、これを」

うしお「これは、槍?」

 凛 「私が魔術で作った槍よ。得物がないのは困るでしょ」

うしお「よーし、分かった。バーサーカーを倒してとらを助けに行こう!」


【第15話 十二の試練 】・アインツベルンの森・広場

イリヤ「見~つけた♪ 意外ね。最後まで逃げ回ると思った」

うしお「イリヤ…」

イリヤ「!? リンはどうしたの…?」

うしお「あっ…ありゃ、えーと、えーと、
    凛姉ちゃんは、森で、はぐれたかな?」


 凛 (……うしお君、ウソがヘタすぎるわ……)


イリヤ「そう。ならリンは後で探して殺してやるわ」

うしお「イリヤ、この戦いを止めることは出来ねえのかよ?」

イリヤ「出来ないよ。お爺様の言いつけだもの。
    バーサーカーがいる限り、私はアインツベルンのマスターなの。
    他のマスターを殺して、聖杯を持ち帰らないといけないんだから」

うしお「オレはセイバーのマスターだ。イリヤ。
    バーサーカーを倒してマスターを止めさせてやる…!!」

イリヤ「遊びはこれまで。みんな殺しちゃえ!!バーサーカー!!!」


【第15話 十二の試練 】・アインツベルンの森・広場

バーサーカー「ガアアアアア!!!」

ドガガガ、ガキィン、キィン、キィン

うしお「がはっ…あ、あぁ、槍が……」

セイバー「ウシオ!!」

 凛 「引いて!セイバー!!」

キィン、キィン、ガシッ

 凛 「そんなコトだろうと思ったわ。獲ったァ!!」

ドガーン!!

うしお「やった…!?」

バーサーカー「オ、オオオ!」

 凛 「ウソ…そんな、確かに首を吹き飛ばしたはずなのに」

イリヤ「見直したわリン。まさか一度だけでもバーサーカーを殺すなんてね。
    でも残念。ソイツは十二回殺されないと死ねない身体なんだから」

 凛 「命のストック、蘇生魔術の重ね掛け…!」

イリヤ「バーサーカー! ソイツ潰しちゃえーーっ!!」


【第15話 十二の試練 】

と ら「……ここは、りんと初めて会った場所か」

バタン!!

 凛 「とらァ!!」

と ら「りん!? なっ、何しに来たんだよっ。
    今おめえは逃げるので忙しーいんだろ」

 凛 「ちょうど今バーサーカーに握り潰されるところよ」

と ら「な、何やってんだよ!! うしおなら何とか出来るだろ!!!」

 凛 「記憶が戻ったんだ。それでもアンタは私のサーヴァントよ」

と ら「もう力は残っちゃいねーよ。体が動きゃしねーんだ」

 凛 「はぁ、父さんの形見も私の宝石も全部アンタに送ったんだから、
    ちゃーんと働いてもらわないとね」

と ら「おい聞いてんのか! りん!! ……!?」

ガバッ

 凛 「早く助けに来なさいよね。とら」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場


うしお「離せよォ!! 凛姉ちゃんを離せええーーっ!!」

カン!カン!カン!

バーサーカー「ウオオオ!!!」

ドカッ

うしお「ぐっ、あ……」

セイバー「ウシオ!! ハァァァ!!」

カキィン!

イリヤ「バーサーカー! 早くやりなさい!!」


キィィィィィン

フワッ

と ら「………」

うしお「と、とらァ!!」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場


と ら「――――――」


うしお「――――――」


と ら「なにやってやがる!? このバカうしお!!」

うしお「な、なんでぇ…おめえこそ、オレのこと忘れやがって…」

と ら「リンを助ける気ねーのか!? このタコ!!」

うしお「わ、分かってらァ!!」


と ら「ドジるんじゃねえぞ! うしお!!」

うしお「こっちのセリフだい! とら!!」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場

イリヤ「そ、そんな……どうやって……」

バチバチ、ビリビリ、ドゴーン!!

バーサーカー「グオオオ!?」

 凛 「かはっ、はぁ、はぁ…」

と ら「わしのますたーは返してもらうぞ」

イリヤ「させないわ! カヅチ!!」

華 鎚「―――」華 鎚「―――」

華 鎚「―――」華 鎚「―――」


と ら「ちぃっ、まだいやがったか!?」

イリヤ「どう? これで、完全に、貴方達の、負、け…」

ドサッ

うしお「イリヤ!?」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場

バーサーカー「オオオオオオオオオオ!!!」

うしお「どうなってんだ!?」

セイバー「バーサーカーが、暴走を…」

 凛 「はぁ…はぁ…多分、イリヤスフィールが、
    新しく華鎚を操る為に使った魔力で限界だったのよ。
    バーサーカーの理性を保つ魔力がもうないんだわ。とら、は」

と ら「ぐ、ダメだ。華鎚4匹の結界で動けねえ」

バーサーカー「ガアアアアア!!!」

イリヤ「………」

うしお「あぶねえ!イリヤーーっ!!」

ダッダッダッ

ドゴン!!

イリヤ「………」

うしお「はぁはぁ…こ、このままじゃ…」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場

と ら「おい、うしお。よく聞きな」

うしお「とら?」

と ら「わしにも剣使いと同じように宝具があるのよ」

うしお「宝具…」

と ら「わしの宝具は人間にしか使えねえ。
    それを使えばおめえは昔みたいに戦えるはずだ」

うしお「それは、まさか」

と ら「なぁんでこの忌々しい槍が、わしの宝具か」


パァァァ


パシィッ


うしお「あ、あぁ…」


と ら「この『 獣 の 槍 』がよォ」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場

うしお「行っくぜえーっ!!」

バーサーカー「ガアアアアア!!!」


セイバー「ウシオの髪が伸びて…」

 凛 「―――アレがとらの宝具。獣の槍」


うしお「どうだァーー!!」

バーサーカー「グオオオ!?」


セイバー「す、凄い、あのバーサーカーを圧倒している」


 凛 「アンタの宝具。マスターを強化する物なんでしょうけど、
    私には使えないわね。槍をあんな風に使えるのは、ただ一人」


と ら「へっ、あの槍を使ってるアイツは妖(バケモノ)よ」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場


(……少年よ、私を倒せ。このままでは少女まで殺してしまう……)


うしお「聞こえたよ、バーサーカー。獣の槍を通してお前の声が」

バーサーカー「グオオオオオ!!!」

うしお「これで、終わりだああーーっ!!」

ガクッ

うしお「な!? 槍が急に重くなった!?」


と ら「わしの宝具の制限時間はまだだぞ!! 力が足りねえのか!?
    リン! 魔力だ! 魔力をわしに送れ!!」

 凛 「そ、そんなこと言われても、宝石は残ってないわよ!?」


バーサーカー「ガアアアアア!!!」


セイバー「ウシオーー!!」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場

うしお「ぐ、赤い布を巻かれたみてえだ…」

セイバー「ウシオ!」

ガシッ

うしお「セイバー!?」

セイバー「―――これが獣の槍。ウシオ、手を」


パァァァ


 凛 「セイバーの髪が、伸びていく…」


バーサーカー「オオオオオ!!!」


うしお「うおおおお!!!」
セイバー「はぁぁぁ!!!」


【第16話 獣の槍 】・アインツベルンの森・広場


バーサーカー「これが、お前の宝具か。雷獣よ」

と ら「認めたくはねえがな」


バーサーカー「少年よ。私の声を聞いてくれたこと、感謝する」

うしお「バーサーカー、ごめんよ…」

バーサーカー「私を止めるには、この方法しかなかったのだ」

うしお「でもよ…!」


イリヤ「んん…バーサー、カー…?」


バーサーカー「少年、お前は優しいのだな。その、少女の、よう、だ―――」

サァァァ

うしお「バーサーカー…」


【第17話 魔女の烙印 】・潮の部屋

麻 子「うしおーっ! もう昼よ、起きんかーい!!」

うしお「う、ん…麻子か…?」

麻 子「学校が警察の調査で休校中だからっていいかげんに……ん?」


ゴソゴソ


麻 子「………」


ガバッ


イリヤ「うーん、うるさいなぁ」


麻 子「え、えぇぇーっ!?」


【第17話 魔女の烙印 】・蒼月家居間

麻 子「うしお! ちゃんと説明しなさいよ!!」

セイバー「ウシオ! 私も言いたい。
     イリヤスフィールを保護するなど、ウシオはどうかしています!」

うしお「い、いや、だからよォ」


 凛 「ふぁ~、おはよう。ごめん、桜、牛乳飲ませて」

 桜 「遠坂先輩。もうお昼ですよ…」

 凛 「一番の強敵を倒したんだから、だらけもするわよ」


イリヤ「キリオ、これは? あれはなに?」

キリオ「えーと、これはテレビ。そっちは」


真由子「うふふ、キリオ君に友達が出来たし、とらちゃんの記憶も戻ったし、
    イイことばっかりだね。とらちゃん」

と ら「もぐもぐ、相っ変わらずズレとんなァ、マユコ」


【第17話 魔女の烙印 】・蒼月家居間

うしお「それじゃ、凛姉ちゃん」

 凛 「ええ、私とイリヤの情報から言って、
    柳洞寺のキャスターのマスターは葛木先生である可能性が高い」

セイバー「それでは柳洞寺を攻めるのですか?」

うしお「あぁ、街の昏睡事件の話を聞いちゃ黙ってられねえよ」



と ら「ケッ、術使いが相手じゃ楽しめそうにねえな」

 凛 「こっちには近接最強のセイバーと完全復活したとらがいるんだから、
    どんな相手でも余裕で撃退出来るわよ」

セイバー「リン、戦いにおいて確実はありません」



うしお「とにかく今夜」

 凛 「葛木先生の後を追ってみましょう」


【第17話 魔女の烙印 】・柳洞寺付近道路

うしお「なぁ、凛姉ちゃん。本当に葛木先生が柳洞寺のマスターなのかな?」

 凛 「うしお君、今それを確かめようと……追うわよ」


葛 木「蒼月と遠坂か」


 凛 (―――気付かれた!?)


???「忠告したはずですよ、宗一郎様。
    このようなことがあるから貴方は柳洞寺に留まるべきだと」

葛 木「そうでもない。実際に獲物が釣れた」


うしお「葛木先生……キャスターに操られてるのか!?」

葛 木「その質問の出所はなんだ。蒼月、疑問には理由があるはずだ」

うしお「だって、葛木先生は魔術師じゃないんだろ!?
    キャスターが街中の人間から魔力を奪ってるのを
    知らないんじゃないのか!?」

葛 木「それは、悪いことなのか?」


【第17話 魔女の烙印 】・柳洞寺付近道路

うしお「え……」

葛 木「善悪でいうのなら悪だが、他人が何人死のうと私には関係ない」

うしお「そ、そんな」

バチバチ

と ら「ゴチャゴチャうるせえーよ! ならここで死んじまいなァ!!」

葛 木「妖怪か。私がいた場所は退魔の組織ではなかったが……。
    キャスター、拳に対妖怪用の補助を頼む」

キャスター「はい」

と ら「くらえ!!」

ドゴッ、ドカッ

と ら「な、なんだァ!? てめえ、何をしたァ!?」

葛 木「有効のようだな。私がただ殴っただけだと思ったのか?
    今からお前は殴られた場所からどんどん力が流れ出るぞ」


【第17話 魔女の烙印 】・柳洞寺付近道路

 凛 「こんなバカな」

葛 木「例外は常に存在する。
    私のように前に出るしか能のないマスターもいるということだ」


セイバー「ならばキャスター、貴様の相手は私だ!」

キャスター「お待ちなさい。ねぇ、野蛮な殺し合いはやめて私達と手を組まない?」

セイバー「世迷言を…!!」

キャスター「私はもう聖杯の仕組みを把握しているの。
    協力するなら貴方達にも聖杯の恩恵を分けてあげてもいいわ」

 凛 「結構な話ね。どうやって聖杯を手に入れるっていうの?」

キャスター「この土地は聖杯をおろすにたる霊脈を備えている。
    後は聖杯召喚の器と、大量の魔力さえあれば聖杯の力は手に入るのよ」

 凛 「そう。それでそれに必要な生贄はどの位いるのかしらね」

うしお「いけ、にえ…?」

キャスター「そうねぇ。器の魔術師と、この街の人間全てといったところかしら」


【第17話 魔女の烙印 】・柳洞寺付近道路

 凛 「生贄の魔術師。 ……私のことね」

うしお「そ、そんなことさせるかよォ!!」

キャスター「残念ねぇ。でもお嬢さん以外にも一人、相応しい魔術師はいるわ」


バサッ


 凛 「相応しい魔術師って……。イリヤ!?」

うしお「今オレの家にはキリオはいねえ! 桜姉ちゃんとイリヤだけだ!!」

 凛 「とら!」

うしお「セイバー!」

と ら「あのヤロウ、きっちり借りは返してやる。乗れ!剣使い!!」

セイバー「はい。急ぎましょう、とら」


【第17話 魔女の烙印 】・柳洞寺付近道路

 凛 「生贄の魔術師。 ……私のことね」

うしお「そ、そんなことさせるかよォ!!」

キャスター「残念ねぇ。でもお嬢さん以外にも一人、相応しい魔術師はいるわ」


バサッ


 凛 「相応しい魔術師って……。イリヤ!?」

うしお「今オレの家にはキリオはいねえ! 桜姉ちゃんとイリヤだけだ!!」

 凛 「とら!」

うしお「セイバー!」

と ら「あのヤロウ、きっちり借りは返してやる。乗れ!剣使い!!」

セイバー「はい。急ぎましょう、とら」


【第17話 魔女の烙印 】・蒼月家居間

と ら「どこだァ!? 術使いのますたー!!」

セイバー「サクラ? サクラ!」

 桜 「セ、セイバーさん……」

セイバー「大丈夫です、か―――」ドスッ

 桜 「ぬかったわねセイバー。
    これがあらゆる魔術契約を解除する我が宝具、
    破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)」

セイバー「ルールブレイカー……」

 桜 「貴方の契約解除は無理だったけど、宝具を封じることは出来た」

ガラッ

 凛 「セイバー! どうしたの!?」

セイバー「サクラが、キャスターに操られて……」

 桜 「この娘は聖杯を呼ぶ生贄に貰っていくわ。
    取り返したければ私の神殿にいらっしゃい。フッ、フフフ」 バサッ

うしお「桜姉ちゃん……桜姉ちゃぁぁぁん!!!」


【第18話 決戦 】・柳洞寺山門

セイバー「ウシオ、イリヤは」

うしお「イリヤにはキリオ達がついてるから大丈夫さ」

 凛 「……神殿。ここ以外には考えられないわね」

と ら「術使いのますたーもここにいやがんのか」

セイバー「しかし、キャスターは何故サクラを。
     サクラには魔術師としての力はなかったのではないですか?」



 凛 「魔術回路は残っているのよ。

    ―――あの子だって、魔術師の家系なんだから……」



うしお「魔術師だろうがなんだろうが、
    桜姉ちゃんを生贄になんかさせねえよ!」

 凛 「えぇ、うしお君。行きましょ、ぼやぼやしてる時間はないわよ!」



【第18話 決戦 】・柳洞寺山門

 凛 「……待って!」

セイバー「リン、どうしたのです」

 凛 「こっちよ」


キィィィン、パァァァ


うしお「ここは!?」

 凛 「呆れた。やりたい放題ね」

セイバー「これが、キャスターの神殿…」

 凛 「来るわよ!」


骨騎士「アァァ」 骨騎士「ウゥゥ」


と ら「けっ、雑魚に用はないんだよ!!」


バチバチ、ドゴーン!


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

うしお「よーし、行こう!」

セイバー「ウシオ!」

???「安心しろ。不意打ちなどという、無粋な真似はせん」

セイバー「アサシン…!」

アサシン「何を驚いている。私が門番だとお前は承知しているはずだが」

と ら「この前は剣使いとやったんだ。次はわしかよ」

アサシン「確かに妖怪退治といきたいのだが、
     決着をつけないといけない相手がいるのでな」

セイバー「ウシオ、リン、トラ。先へ」

うしお「セイバー!?」

 凛 「うしお君、行くわよ!」

と ら「ちっ。武士ヤロウ、次に会ったらぶっ倒してやらァ」

アサシン「―――それは楽しみだ」


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

 凛 「とら、宝具は後何回使えそう?」

と ら「後二回で終わりだな。
    それ以上は、リン、おめえの魔力じゃ足りねえのよ」

 凛 「そう。あの獣の槍が使えるなら二回でも十分よ」

うしお「凛姉ちゃん!!」

 凛 「え……」

ドンッ

葛 木「防がれたか。奇襲にはなれているようだな」

うしお「葛木先生…!」

と ら「へっ、やーっとわしの番かよ。うしお、リン、行きな」

 凛 「トラ…」

と ら「コイツには借りがあるのよ。さっさとあの女を助けてきな」


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

 桜 「………」

 凛 「桜……」

うしお「桜姉ちゃん!!」

 凛 「キャスター! 出て来なさい、そこにいるんでしょ!」

キャスター「ようこそ、我が神殿へ。お待ちかねよ。貴方達の大切な桜さんが」

 凛 「どうやら、私達のことは全部お見通しのようね」

うしお「え…?」

キャスター「えぇ、あの子の頭の中を覗かせてもらいましたから」

 凛 「…そう」

キャスター「聖杯召喚までにはまだ時間があるわ。
    少年、ある姉妹の物語を聞かせてあげましょう」

 凛 「キャスター!!」

うしお「し、まい…?」


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

セイバー「感謝します」

アサシン「なに礼には及ばぬ。お前との戦いを長く楽しみたいだけのこと。
     サーヴァントに召喚された身、おそらく朝まで保つまい。
     最早あの妖怪に会うこともないだろう」

セイバー「アサシン…」

アサシン「しかし間に合った。ここでお前と打ち合えるのは行幸よ…!」


キィン! キィン! カキィン!


アサシン「穢れのなき剣捌き。流石セイバーのサーヴァント!」

セイバー「それはお互い様です!
     これほど澄み切った剣と出会ったのはいつ以来か」

カキィィィン!!


アサシン「しかし解せん。セイバー、お前は何を望んでこの戦いに挑む。
     何がお前に剣を握らせる!?」

セイバー「―――私は……私の望みは……私はぁぁ!!」


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

ドカッ、ドコッ

と ら「へへっ、人間のクセによるよーだなァ!!」

葛 木「………」

と ら「おめえ、笑ってやがんのか」

葛 木「笑う? 私が?……そうか。これが、楽しいという感情か」

と ら「あ? なーに言ってやがんだ」

葛 木「そうか、そうだな。
    自身が最も得意とする分野で、全力を出せる相手に出会えた」

と ら「そうかい。なら、どーする? どーするんだよォ!?」

バチバチバチ!

ドゴォォォン!

シュゥゥゥ

葛 木「決まっている。戦うことにな…!」


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

キャスター「これで、そこの二人の物語は終わりよ。少年」

うしお「そ、そんな……」

 凛 「キャスター…!」


 桜 「………」

キャスター「さぁ、来たわよ。貴方がずっと待っていた人と大切な人が」

 桜 「う、あ、あぁぁぁ!!」


 凛 「桜ーー!!」

うしお「桜姉ちゃん!!」

キャスター「フフッ、どうやらそろそろのようね」

 凛 (―――魔術師にとって一番大切なのは命じゃない。
    守らなくていけないのは魂の尊厳。アンタも、
    魔術師の家に生まれたんだから、分かるわよね。桜……)


【第18話 決戦 】・柳洞寺・地下神殿

 凛 (……桜、手加減はしないわよ…!)

パシィッ

 凛 「うしお君? 離しなさい! もうこれ以外に方法はないのよ!?」

うしお「させねえさ。 桜姉ちゃんの身代わりになるなんて」

 凛 「っ!? 違うわ。私は本気で桜を殺そうと…ころ、そう、と…」

うしお「いつも凛姉ちゃんは桜姉ちゃんを一番心配してた。
    そうだよなァ。妹なら当然だよな」

 凛 「わ、私は……私は……」

 桜 「あ、あぁぁ!」

うしお「間桐桜は今まで一人ぼっちだったかもしれねえ。
    でも今はもう一人だなんていわせんぞーっ!!
    桜姉ちゃんを待ってる人間がここに二人もいるんだぞ!!」

 桜 「あ、あぁ…」

うしお「麻子だって、真由子だって、そうだ!!
    だからよ、そんな奴に負けるなァーー!!!」

 桜 「…う、しお、君…?」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・柳洞寺・地下神殿

アサシン「―――秘剣」

セイバー「はぁぁぁ!!」

アサシン「燕返し!!」


キィィィン


アサシン「行け…」

セイバー「………」コクッ


ダッダッダッ


アサシン「美しい小鳥だと思ったのだがな。その実、獅子の類であったか」

アサシン「黄金の妖怪に、黄金の獅子か」

アサシン「女を見る目は自信があったのだが、どちらも修業不足、か―――」

サァァァ


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・柳洞寺・地下神殿

 凛 「桜……桜ーー!!」

 桜 「遠坂、先輩…? ここは…」


キャスター「大人しく私の操り人形になっていればいいものを…」

うしお「キャスター!!」

キャスター「見事、と褒めるべきかしらね。甘く見ていたわ少年」

ドゴーン!

 凛 「とら!」

と ら「ちぃぃ、殴られたとこから力が抜けやがるか」

葛 木「どうした。お前の力はその程度ではあるまい」


セイバー「ウシオ! 下がって!」

うしお「セイバー!」

キィィィン

キャスター「ルールブレイカーを受けた貴方では私を倒せないわよ。セイバー」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・柳洞寺・地下神殿

キャスター「いっそのこと、二人とも生贄にするのもいいわね」

セイバー「くっ…」

キャスター「きっと極上の聖杯を見ることが出来るでしょう。
    そしてセイバー、聖杯の力で貴方を私の僕にしてあげるわ」


???「チッ」


キャスター「貴方なら、あのアサシンよりマシな道具になってくれるでしょう」


???「戯け。身の程を違えたな、雑種」


うしお「な、なんだ!? たくさんの剣や槍が…!?」


???「騎士王を捕らえるなどと口にするのも大罪よ。
    アレは王である、我(オレ)のモノだ!!」

セイバー「……!」

???「王の宝に手を出す輩は…失せろ、雑種」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・柳洞寺・地下神殿

キャスター「マ、マスター!」

ドス、ドスドス

キャスター「あぁぁぁ!!」

葛 木「………」

キャスター「ぶ、無事ですかマスター…」

葛 木「あぁ」

キャスター「良かった。でも残念です、やっと望みが見つかったのに…」

葛 木「悲嘆することはない。お前の望みは私が代わりに果たすだけだ」

キャスター「それはダメでしょうね。だって私の望みは、叶っていたんですから」


サァァァ


葛 木「妖怪、何をしている。続き、を―――」ドサッ


と ら「ちっ…」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・柳洞寺・地下神殿

???「久しいな、セイバー。覚えているか、オレが下した決定を」

セイバー「………」

???「なんだその顔は、未だ覚悟が出来ていないというのか。
    男を待たせるとは戯けた女だ。
    こんな場所では再会も色褪せる。いずれ逢うぞセイバー」


と ら「てめえ、待ちやがれえええ!!」

 凛 「待ってとら! 神殿の崩壊が始まってる。早く脱出しないと」


 桜 「あ、あの、ごめんなさい。とらさん」

と ら「おめえには手作りはんばっかの借りがあるのよ。
    いいからしっかり乗っときな」


うしお「葛木、先生……」

セイバー「ウシオ! 早く!!」

うしお「あ、あぁ…!」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・間桐邸地下

臓 硯「ぐ……光覇明宗がぁ……」

杜 綱「柳月派不動縛呪。これで終わりだ、マキリ」

臓 硯「なぜ、分かったのじゃ」

杜 綱「光覇明宗はお前が動きを見せるのを待っていた」

臓 硯「なるほど。じゃが、たった一人で何が出来るかのう!」

カサカサカサ

???「土剋水!」

臓 硯「誰じゃ!?」

日 輪「お前程度の小妖、
    元獣の槍伝承候補者一人で足りないとでも思っているのか」

杜 綱「日輪…」

日 輪「早くしろ杜綱。女を捨てた私でもこの場所は不快だ」

杜 綱「確かに、純を連れて来なくてよかった。式神、ヒルコ!」

臓 硯「……クク」


【第19話 黄金の王と黄金の獣 】・蒼月家居間

うしお「それじゃアイツは前の聖杯戦争から!?」

 凛 「そうでしょうね。
    私はとらを、アーチャーの枠を使って特殊に召喚したけど、
    聖杯戦争で呼び出せるのは七人だけ、これは変えられないはず」

うしお「八人目のサーヴァントがいるとしたら、前回の勝者…」

 凛 「アイツの正体はなんなの?」

セイバー「前回の戦いでも、私は彼の正体が分からなかった」

 凛 「さっき山ほど宝具を使ってたじゃない、正体を探るなんて」

セイバー「あの宝具にどれか一つでも見覚えがありましたか?」

 凛 「あ……」

セイバー「英雄の証である宝具を、
     あの男は湯水のように持っているのです」


ガラッ


麻 子「うしお! 桜先輩が!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家客間

真由子「桜先輩!」

 桜 「………」ガクガク、ビクンビクン

 凛 「桜…!」

うしお「桜姉ちゃん!」


と ら「ちっ、わしとしたことが今まで気付かんかったかよ」

うしお「とら!? どういうことだ!?」

と ら「この女の身体の中に、変化がとり憑いてやがるのよ」

うしお「変化って、石喰いのときのヤツか!」

と ら「ほーう、ちったぁお前もモノを覚えるようになったか」

うしお「なにをーー!! ……とら。今、身体の中って言ったよな」

と ら「あぁ? それがどうし」

ダッダッダッ

と ら「おいっ! うしお!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家洗面所

うしお「おんじ! 雲外鏡のおんじ!
    日本中の鏡はおんじに通じてる。そうだよな! おんじ!」

と ら「なーんだ、あいつに聞くのかよ~」

???「……この声は聞いたことあるぞ。だーれじゃ、わしを呼ぶのは」

うしお「雲外鏡のおんじ!」

おんじ「なんじゃ蒼月潮か。
    久しぶりじゃ…げぇぇ~~!? 長飛丸ぅぅ!?」

と ら「よう、じじい」

おんじ「ど、どうなっとるんじゃ…。
    妖が復活するには、そりゃ長い時間がかかって」

うしお「それはまた今度説明するからさ!
    イズナだ! イズナを呼んでくれ!!」

おんじ「イズナだァ? あのな蒼月潮、
    白面の時は手を取り合ったが、本来妖怪と人間ってのは」

と ら「こっちは急いでるんだよ、じじい」 バチバチ、ビリビリ

おんじ「は、はい~~~~~!!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家洗面所

イズナ「うしおーーーっ!!」

うしお「イズナーっ! 元気だったか!?」

イズナ「バカ、妖怪に元気もなにもないって言ったろォ!」

と ら「けっ」

イズナ「よォ、長飛丸!」

と ら「お前はあんまり驚かんのだな」

イズナ「どうせ長飛丸のことだからな。
    いつかうしおの所に戻って来ると思ってたのよ!」

ドゴーン! ゴォォォ

イズナ「きゃーー! これこれ! きっくーーっ!!」

うしお「イズナいいノリしてんなー」

イズナ「それで、七十五匹の眷族をもつ人間体内のエキスパート、
    イズナ様を呼んだ理由を聞かせてもらおうかい」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家客間

イリヤ「キリオ、これ」

キリオ「うん、外部からじゃ倒せないようになってる」

イズナ「なーるほどねぇ」

セイバー「!? ウシオ、こ、これは……」

うしお「えーと、セイバー、後で説明するよ!」

イズナ「でもよ、うしお。
    杜綱んときは獣の槍があったから身体に入れたんだぜい?」

うしお「とら、頼む」

と ら「あのなァ、わしの宝具には制限時間がある。
    体内に入ることに力を使えば、いつもの二倍、三倍の早さよ。
    魔力がなくなり時間切れでおめえは死ぬ。分かってんのか」

うしお「それでもよォ! そんなこと言ってもよォ!!」

パァァァ、パシィッ

うしお「とら…」

と ら「わしは行かんからな」

うしお「へっ、ありがとよ」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家客間

イズナ「うしお、それ…」

うしお「イズナ、頼む。セイバー達は桜姉ちゃんを押さえといてくれ」

 凛 「待って!」

うしお「凛姉ちゃん…」

 凛 「やり方は分からないけど、桜を助けに行くんでしょ。
    それなら私も連れて行って! 桜は、私の妹なんだから!!」

うしお「よしこい!!」

イズナ「長飛丸は来ねえのかー?」

と ら「うるせえーっ!!」

うしお「オレの手の上から槍を握るんだ」

 凛 「え、えぇ」

イズナ「それじゃ、行くぜーーっ!!」 ダッ、ブワッ

うしお「とら!?」

と ら「勘違いすんじゃねーぞ! うしお!
    りんはわしのますたーなのよ! それに獣の槍はわしの宝具!
    そいつがどんな使い方されるかみとかんとなァ!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・蒼月家客間


うしお「へっ…」





うしお「行っくぞーっ、とらーっ!!」



と ら「うるっせーんだよ、うしおーっ!!」



おんじ「なんじゃなんじゃ、どうなっとるんじゃ……」




【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

イズナ「なーんだ。結局来たのかァ、長飛丸」

と ら「おいイズナ! おめえも勘違いしとるようだな!」

イズナ「もう分かってるってー。うしおの為じゃないんだろォー」

と ら「イズナァァァ!!」

イズナ「ひゃーーっ!って、どうやらお客が来たぜい」

 蟲 「……!!」 カサカサカサ、カサカサカサ

イズナ「こりゃまた卑猥な形をした妖だなァ」

うしお「凛姉ちゃん、大丈夫かい?」

 凛 「なんとかね。うしお君、私のことはいいわ。思いっきりやって」

うしお「あぁ、分かった。時間がねえし、よーし! とら!」

と ら「へっ、あの方法かよ」


うしお「うおおおおお!!」

と ら「はーっはっはっはっ!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

と ら「臭うぜ。この蟲どもの本体はこの先よ」

うしお「イズナ、この奥は?」

イズナ「人間で言うところの心臓って部分だな」

 凛 「桜の心臓に…」


ダッダッダッ


うしお「うわっ!? アレが蟲の本体、なんてデカさだ」

???「来たか」

 凛 「アンタは……間桐、臓硯!」

臓 硯「遠坂の小娘が、ここまでやるとはのう」

 凛 「話してもらおうかしら。なんでアンタが桜の心臓にいるのか」

臓 硯「いいじゃろう。
    ここまで来れた褒美に、わしの望みを聞かせてやろう」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

 凛 「―――それじゃ、桜は子供の頃から……」

うしお「この、ヤロォ!!」

臓 硯「話は終わりじゃ。なに、お前達はここで死ぬ。
    その怒りもすぐに死の恐怖に変えてやろう」



と ら「けけっ、けけけ、はーっははは!」

イズナ「へへっ、おいおい長飛丸。
    あんまり笑ってやるとカワイソウだぜい」

臓 硯「―――何を、笑っているんじゃ」

と ら「いやァ、あんまりにも面白くてよォ。
    たかが五百年しか生きてねえ妖に成り立ての変化が」

臓 硯「ぐっ……行けぇ、蟲どもぉ」

バチバチバチ! ドゴォォォン!!

 蟲 「!?!?!?」

と ら「わしを、倒すってぇ?」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

 蟲 「!!」 カサカサカサ

うしお「キリがねえ。おいとら!
    大口叩いといて何か方法あるんだろうなァ!?」

と ら「クソうしおが! そんなもんあったらとっくにやっとるわい!
    負ける気はしねえが。おいリン」

 凛 「なんとかしてアイツを桜の心臓から離さないと…!」


イズナ「うしお! 槍が!」

うしお「!? 槍が消えかけてる。宝具の時間切れか!?」

 凛 「うしお君、私の魔力を使うわ」

と ら「リンやめろ! おめえはわしを維持する魔力で精一杯だろうが!!」

 凛 「私は、妹の桜が苦しんでたのに何もしてあげられなかった。
    ここで姉の私が逃げるわけにはいかないのよ!!」


臓 硯「蟲ども、そこだ。やるんじゃ」

 蟲 「!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

カサカサカサ!

うしお「凛姉ちゃん!」

と ら「リン!!」

 凛 「はぁ、はぁ…」

 凛 (…ダ、ダメ。魔力が全然足りない。間に合わ、ない…)

臓 硯「これで終わりじゃ! 遠坂の小娘ぇ!!」 カサカサカサ


(―――ねえ、さ…)


臓 硯「!!?」


「―――姉さんは、殺させない…!」

キィィィン、パァァァ

臓 硯「バカな!? そんな筈は無い!
    この女の魔術回路はとうの昔にわしが壊して…!!」

 凛 「マキリ。遠坂を、なめないでもらおうかしら」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内

キリオ(…うしお兄ちゃん、聞こえる?)

うしお「キリオか!?」

キリオ(…僕とイリヤの力で、外から妖怪の動きを止めてみるよ)

イリヤ(…動きを止めることしか出来ないけど、ウシオなら倒せるよね)

うしお「よしっ、分かった。頼んだぜ! キリオ! イリヤ!」

 凛 「うしお君。槍を、一緒に」

うしお「あぁ!」


臓 硯「わしの、わしの聖杯が……」


カサカサカサ


イズナ「そろそろこの蟲も見飽きたぜい。
    そろそろおいとましてえなァ、長飛丸」

と ら「その意見にゃ賛成よ。
    うしお! リン! やっちまいなァ!!」


【第20話 遠い過去の夢跡 】・桜の体内


うしお「凛姉ちゃん、その髪」

 凛 「えぇ、桜のおかげよ」



臓 硯「ぐっ!? な、なんじゃ、蟲が、身体が動かん…!?」



うしお「うおおおおお! 桜姉ちゃんから!!」

 凛 「間桐臓硯! 桜から!!」



「出て行けえええーーっ!!!」



臓 硯「……わしの聖杯……わしの望み……き、消え―――」



【第21話 全て遠き星 】・蒼月家蔵

セイバー(…あれから三日、サクラの体調は良好だ)

セイバー(残るサーヴァントはランサーと、あの男…)

セイバー(私とトラならランサーを倒すのは難しくない、しかし)


うしお「悪いなァセイバー。蔵の寄贈品の整理なんて手伝ってもらって」


セイバー「いえ、マスターが聖杯戦争に専念出来るよう、
     身の回りのことをするのもサーヴァントの務めです」


セイバー「ん…これは…!?」


セイバー(…そうか。キリツグはあの後、シグレにこれを渡したのですね)


セイバー(ウシオが私を召喚できたのはこれがここにあったから…)


セイバー(私とウシオは違う。私は、国を救ってなどいないのだから…)


【第21話 全て遠き星 】・蒼月家居間

セイバー「ピクニック、ですか…? それは何でしょう?
     あまり専門的な言葉は使わないでほしい」

 凛 「ピクニックっていうのは綺麗な景色の場所に行って
    お弁当を食べたり遊んだりすることよ」

うしお「あぁ、なんか麻子がどうしてもセイバーに
    お礼がしたいとか言ってよーっ」

セイバー「アサコが……なるほど、分かりました。行きましょう」


イリヤ「はいはいはーい! イリヤもウシオとピクニック行くー!!」


 凛 「楽しそうね。私達も一緒に行きましょうか。ね、桜」

 桜 「はい、姉さん。二人でお弁当を作りましょう」


イズナ「長飛丸ーっ、オレ達も何か美味いもん作ってもらおうぜい」

と ら「妖が人間の食いモン欲しがってんじゃねえよ!」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園


と ら「おいマユコ。妖はな、人間の食いモンなんか」

真由子「とらちゃん、このケーキ私が焼いたんだよーっ。はい、あーん」

と ら「パクッ、もぐもぐ。だからなマユコ、妖は」


麻 子「それじゃセイバーさん。競走してみる?」

セイバー「受けて立ちましょう。アサコ」


イリヤ「キリオー、次はあっちのブランコねーっ」

キリオ「ちょ、ちょっと待ってよイリヤ!」


 凛 「うしお君! もちろん私のお弁当の方がおいしかったんでしょ?」

 桜 「うしお君! 私のお弁当の方がおいしかったですよね?」

うしお「えーと、いやァ、どっちもウマかったっていうか、その」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園

 桜 「イズナさん、本当にありがとうございました」

ギュ

イズナ「はーー、イイってことよーっ」

と ら「やいイズナ、なーにニヤケてんだよ」



セイバー「……トラ」

と ら「臭うな。この大橋の向こうか」



うしお「セイバー! とら! どこ行くんだよ!?」


 凛 「ちょ、ちょっとうしお君!?」


うしお「悪い凛姉ちゃん!
    オレが連れ戻すから凛姉ちゃん達は先に帰っててくれーっ!」


【第21話 全て遠き星 】・大橋歩道橋中央

うしお「ったく、とらのヤツ。どこに行きやがったんだ。
    うわ~~、セイバー見てみろよ。夕日がキレイだァ」

セイバー「……ウシオ。一つ聞いてもいいですか」

うしお「ん? なんだい?」

セイバー「ウシオは、聖杯を手に入れたら何を望むつもりですか」

うしお「オレ? 聖杯かァ、う~~ん……」

セイバー「―――あの旅を、なかったことにしたいのではないですか」


うしお「――――――」


セイバー「す、すみません。私は何を言って」


うしお「―――確かに、つかめなかったモンもあるよ。
    でも、もう絶対こぼさねえって決めたんだ。セイバー。
    オレとアイツの旅は無駄じゃなかった。オレはそう思ってる」


セイバー「ウシオ……」


【第21話 全て遠き星 】・大橋歩道橋中央

うしお「あーっ! どこに行ってたんだよ!?」

と ら「ちっ、わしの勘違いだったかよ」


セイバー(……ウシオとトラに出会って、遠い誓いを思い出した)


うしお「もう暗くなってるじゃねーか! とら!!」

と ら「そりゃわしのせいじゃねーだろうが! うしお!!」


セイバー(その道を、今までの自分が間違ってなかったと信じている)


うしお「セイバー、帰ろう」

と ら「剣使い。なにボーっとしてんだァ」


セイバー(その過程に、一点の曇もないのなら、それは)


セイバー「はい、マスター」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園

うしお「もう真っ暗だ。凛姉ちゃん心配してるだろうなァ」

セイバー「そうですね。早く帰りましょう」


???「どこに行く。勝手に人のモノを持っていくな、小僧」


セイバー「!?」

うしお「お前はキャスターのときの!?」

???「どうしたセイバー。オレが態々出向いてやったのだ。
    いつまでも黙っているのは無礼であろう」

と ら「おめえはーーーっ!!」

???「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」

グサッ

と ら「ぐあああああ!!」

???「ん? まさか白面を倒した英霊がこの程度か」 パチン、グサッ

セイバー「そんな……貴方は一体……」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園

セイバー「一人の英霊がそれだけの宝具を持てるはずが…」

???「それは早計だなセイバー。最も古い時代、まだ世界が一つだった頃、
    全ての財はたった一人の王の物だったのではないか」

セイバー「まさか…」

???「いかにも。我が真名は人類最古の英雄王、ギルガメッシュ」

うしお「英雄、王…」


と ら「それが、どうしたってんでえええ!!!」

ギ ル「ほう。黒炎は一撃で死んだが、どの位耐えられるか」パチン、グサッ

と ら「ちぃぃ! あんなカスどもと一緒にするんじゃねーーっ!!」

グサッ、グサッ

ギ ル「フハハハ! どうした、対妖用の宝具はまだ幾らでもあるぞ!!」

うしお「とら! な、なんだこれ、抜けねえ」

ギ ル「覚悟を決めよ。この身は人間も妖も敵うべきもなき、英霊よ」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園

セイバー「そんなことは、やってみなければ分からない!!」

ギ ル「いいだろう。ならばこちらも相応しいモノで相手をしてやろう」


ギ ル「この英雄王しか持ちえない、剣だな」


セイバー「―――約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」

ギ ル「―――天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!!」


セイバー「ぐっ、う、あああーーー!!」

うしお「セイバァァァ!!」


ギ ル「味気ない。人類最強の剣がこの程度とは、相殺すら出来んのか!」


セイバー「…まだ、です。英雄王!」


ギ ル「耐えた、だと…。他の宝具でも隠していたか」



【第21話 全て遠き星 】・海浜公園


と ら「うしおーっ! 早くこれを抜きやがれーっ!!」

うしお「んぎぎ、なんで抜けねえんだこれ!?」


セイバー(ウシオとトラに出会って、遠い誓いを思い出した)


ギ ル「愉しませてくれる。次も耐えてみせよ、セイバー」


セイバー(……無駄ではない。私の戦いもそうだ)


ギ ル「―――天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)!!!」


セイバー(王は国を守った。けれど国は王を守らなかった。
     ただそれだけ、結果は無残だったけれど、
     その過程に、一点の曇もないのなら、それは……)


セイバー「―――全て遠き理想郷(アヴァロン)!!!」


【第21話 全て遠き星 】・海浜公園

ギ ル「な、に――――――。ちっ」 サッ



と ら「おい! 待ちやがれーっ!!」

サァァァ

うしお「あっ、英雄王の宝具が消えていく…」



と ら「ちっ、剣使い! わしは借りだなんて思わんからな!」


うしお「セイバー! 大丈夫か!?」


セイバー「はい、マスター」


セイバー(…やっと気付いた。貴方達が、私の太陽だったのですね…)


【第21話 全て遠き星 】・蒼月家縁側


うしお「セイバー? 眠れないのか?」

セイバー「ウシオ…。いえ、星を見ていました」

セイバー「……貴方に言わなければいけないことがあります。
     ―――私の、真名を」

うしお「真名って確か、本当の名前だろ? いいのかい?」

セイバー「はい。ウシオ、私の名前はアルトリアといいます」

うしお「アルトリア、か。 アルトリア、いい名前だなァ!」


セイバー「――――――」


うしお「それじゃ今度からはセイバーのことを、
    アルトリアって呼んだほうがいいかな?」

セイバー「いえ、それでは敵に正体を晒すことになります。
     それにアルトリアは過去の人間。
     自分の信じる道を貫いて死んでいった王の名前です。
     今の私は貴方の剣、セイバーです」

うしお「セイバー…。あぁ、今度も笑いながら負けねえといこうや!」


【第22話 願いの果て 】・蒼月家縁側

うしお「英雄王ギルガメッシュ、か…」

うしお「ありえないはずの八人目のサーヴァント、うーん」

うしお「あれ、なんか忘れてるような…」


うしお「そうだ、あの神父さん!
    聖杯戦争の監督役の神父さんなら何か知ってるんじゃ…」


うしお「よーし、とら! オレ出て来るからなァ!」


と ら「あぁ? どこ行くんだよ」


うしお「ちょっと教会に行ってくら。
    買い物に行ってるセイバーと凛姉ちゃんにそう伝えてくれよ」


と ら「おい! うしお!」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂


うしお「おーい、神父さーん。いないのかーい」

うしお「はーー、教会の地下にこんな場所が。
    でもこれ以上は怒られちまうよな。留守なら帰るかァ」


???「よく来たな蒼月潮。
    いくら教会とはいえ、勝手に奥まで入るのは考えものだがね」


うしお「あれ、神父さんこんな所にいたのか! ……!?」 ザッ

ランサー「おいおい。まさか二度も避けられるとはな」

うしお「赤い槍の男……ランサーか!!」

言 峰「ランサー。何をしている」

ランサー「分かってるよ。ハッ!!」

セイバー「ウシオ! 下がって!!」 キィィィン

うしお「セイバー!? とらも!」

と ら「へっ、槍使いがヤロウの命令を聞いたってことは」

うしお「ランサーのマスターは、言峰神父!?」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂

言 峰「そこまでだセイバー、雷獣。
    私の役割は聖杯の持ち主を見極めることだ」

と ら「やり合う気はねえってか」

言 峰「そうだ。望むなら今ここで聖杯を与えよう」

ランサー「聖杯は残り一人になるまで現れないんじゃなかったのかよ?」

言 峰「残るサーヴァントが三人ではまだ早いが、二人なら完成に近い。
    どうだ雷獣よ。隣のセイバーを殺せば聖杯を与えよう」

と ら「へっ、わしは聖杯なんかに興味ねえのよ。
    わしはただ気に喰わねえヤツをぶっ飛ばす、それだけよォ!!」

言 峰「つまらないな…。妖に何を言っても無駄か。お前はどうだセイバー」

セイバー「っ!?」

言 峰「雷獣を殺せ、それでお前の望みは叶う。ランサーも協力させよう」

セイバー「聖杯など、いらない」

言 峰「なに…」

セイバー「分からぬか下郎。ウシオもトラも殺させない。聖杯もいらない。
     私が欲しかったものは、もう全て揃っていたのだから!!」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂

言 峰「お前達は、つまらない…。ここで死んでもらおう」 パチン

言 峰「紹介しよう。前回の聖杯戦争で私のパートナーだった、英霊だ」

うしお「お、お前は!?」

ギ ル「なんだこのような場所で。しかも邪魔者を交えて決着をつけるのか」

ランサー「どういうことだ! ソイツがお前のサーヴァントだとォ!?」

言 峰「彼のことを言えば、彼と協同戦線を張ったかね?」

ランサー「フンッ、死んでもごめんだ」

言 峰「11年前の再現になったな、セイバー。
    もっとも、私は衛宮切嗣と蒼月紫暮に倒され、
    最後の場面には立ち会えなかったが…」

うしお「親父に!?」

言 峰「蒼月潮。私は11年前に斗和子という女に頼まれたのだ。
    聖杯の力を使って、白面の封印する者のいる石柱の破壊を」

うしお「石柱…母ちゃんのいた場所…!」

言 峰「それを知った蒼月紫暮は、前回の聖杯戦争のセイバーの
    マスターである衛宮切嗣と協力関係になったのだ」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂

言 峰「追い詰められた私は、白面の使いと共に聖杯に触れた。
    しかし衛宮切嗣はセイバーを使い、聖杯を破壊したのだ」

セイバー「だからキリツグは私に……」

うしお「セイバーが聖杯を壊さなかったら、白面が復活していた…!?」

言 峰「聖杯の反動で大火災が起こるはずだったが、
    光覇明宗の法力僧達の働きで死傷者はゼロ。全く以てツマラナイ」

うしお「言峰、神父…。なにを、今回は何をする気だよ!!」

言 峰「フフッ。ギルガメッシュ、ランサー、ゴミを始末しろ」

ギィ、バタン

セイバー「ウシオ、私の側から離れないで下さい」

キィン!

ギ ル「貴様の相手は雑種のはずだが」

ランサー「気が変わった。降ろさせてもらうぜ!!」

ギ ル「ほう。聖杯を目の前にして契約を切るというのか」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂

ランサー「オレはオレの信条を貫くだけだァ!!

セイバー「ランサー! いくら貴方でも一対一では!!」

ランサー「いいからさっさと言峰を追え!
     アイツは何かとんでもねえことをしようとしてやがる。
     庇った程度で仲間意識なんか持ちやがって、
     これだから育ちのいい騎士王様は気に喰わねえ」

セイバー「…御武運を」

うしお「セイバー! 早く!!」

ダッダッダッ

ランサー「それで、なんでお前は残ってる」

と ら「へっ、コイツには借りがあるのよ」

ギ ル「実はな、オレもこのような決着は好みではなかった。
    貴様がやらなければ、オレがやっていた」

ランサー「セイバーを逃がすつもりだったってのか」

ギ ル「あの女はオレのモノだからな。雷獣も貴様もいらないのだ。
    聖杯を呼ぶ儀式には残り一人にしなければいけないからな」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会


ダッダッダッ


うしお「言峰神父は聖杯の力で白面を解き放とうとしていた…」


セイバー「今回もそれ相応の、いえ、それ以上のことを聖杯の力で行なおうとしている」


うしお「聖杯召喚には器の魔術師が必要なんだって言ってた。それなら」


セイバー「この街にいる魔術師は…」


うしお「凛姉ちゃん、桜姉ちゃん、イリヤ…。無事でいてくれ!!」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂

と ら「けけっ、どうした槍使い。足が止まってるぜ」

ランサー「ハッ、お前も穴だらけじゃねえか」

ギ ル「フン…」パチン

と ら「ちっくしょ~~。近づくことも出来ねえ!!」

ランサー「ここはもういい。妖、お前は嬢ちゃんのとこに行きな」

と ら「あぁ!? おめえだけでコイツに勝てるとでも」

ランサー「サーヴァントなら、
     自分のマスターを守ることを一番に考えろォ!!」

と ら「…リン。ちっ、槍使いはどいつもうるせえなァ!!」

バチバチバチ、ドゴォォォン

ギ ル「二対一の状況を自ら壊すか。
    己が信念を貫くのは厳しいな、ランサー」

ランサー「こういう成り行きになる筈だったんだろうさ。やれやれ、清々したぜ」


【第22話 願いの果て 】・蒼月家居間


 凛 「く、ぁ…。綺礼、アンタ一体……」


真由子「分かりました。私、行きます。だから麻子とイリヤちゃんを」


キリオ「真由子お姉ちゃん!!」


言 峰「そうだ、それでいい。井上真由子」


麻 子「………」

イリヤ「………」


真由子(…うしお君、とらちゃん…)


言 峰「さぁ、白面召喚の儀式を開幕を告げようではないか」


【第22話 願いの果て 】・言峰教会地下聖堂


ギ ル「退屈よな…。我が手を下すまでもなかったわ」


ジャラジャラ


ランサー「ま、待ちやがれ…」


ギ ル「猟犬よ。己の無力さを噛み締めながら逝くがいい」


ランサー「待てって、言って、んだろォ…!!」


ギ ル「フハハ、ハーッハッハッハッ!!!」


【第22話 願いの果て 】・大橋歩道橋中央


ダッダッダッ


セイバー(―――キリツグ。私は貴方を誤解していた)


セイバー(聖杯は、私の望みを叶えるような代物ではなかった)


うしお「セイバー、聖杯を壊そう。前回のセイバーのマスターと、親父がやったように」


セイバー「ウシオ……」


うしお「セイバーはこの国を救ってたんだ。11年前みたいに、行こうぜセイバー!!」


セイバー(…救った、この国を…私が…)


セイバー「はい。貴方ならそう決断すると信じていました、マスター」


【第23話 白面と聖杯 】・蒼月家居間

うしお「凛姉ちゃん!!」

と ら「リン!!」

 凛 「ごめん、うしお君。イリヤ達を、守れなかった…」

 桜 「姉さんとキリオ君は私をかばって…」

 凛 「やられたわ。まさか綺礼が七人目のマスターだったなんて…」

キリオ「アイツ、真由子姉ちゃん達を聖杯の召喚に使うって言ってた」

と ら「マユコを聖杯にだとォ!?」

 凛 「とら、綺礼は柳洞寺にいると思う。聖杯の降霊場所として、あそこ以上の所はないもの」

と ら「あの寺か。おいうしお! 剣使い! 行くぜ!!」

うしお「よし、行こう!!」


 凛 「うしお君とセイバーは先に行ってて。 ……とら」

と ら「あぁ? なんだァ」


【第23話 白面と聖杯 】・蒼月家居間


 凛 「―――とら。
    私の魔力程度じゃアンタの力を回復させてあげることは出来ない。宝具一回分すらも」

と ら「それが、どうしたってんでえ」

 凛 「気づいてるんでしょ?」

と ら「………」

 凛 「次に、宝具の獣の槍を使ったら、アンタは……」

と ら「話は終わりか? わしは行くぜ」

 凛 「とら…!」




うしお「―――――――――」




【第23話 白面と聖杯 】・柳洞寺山門

セイバー「魔力の密度が高い。11年前と同じです。ウシオ?」

うしお「えっ? あ、あぁ、行こうセイバー。最後の戦いだ」

と ら「このニオイ。もう始まってやがるか」


ギ ル「待ちわびたぞ、セイバー。頃合も良い。聖杯もようやく化の者の形に生り始めた」

セイバー「ギルガメッシュ!! 貴方は何を望む!?」

ギ ル「望みなどないと言っただろう。オレの関心はお前だけだ」

セイバー「ウシオ、トラ。貴方達は先へ」

うしお「セイバー、頼んだ!」

と ら「剣使い、くたばるんじゃねえぞ。ぶっ飛ばしてやりな」


セイバー「行くぞ! 英雄王ギルガメッシュ!!」

ギ ル「その気合い、宴を飾るには相応しい。フハハハ!!」


【第23話 白面と聖杯 】・聖杯前

言 峰「よく来たな。蒼月潮、雷獣」

うしお「言峰神父…!」

と ら「マユコォ!!」

うしお「麻子と真由子、イリヤを下ろせよォーーっ!!」

言 峰「それは出来ない相談だな。聖杯は現れたが、まだ私の望みは叶わない」

と ら「マユコ達をどうするつもりでえ!?」

言 峰「見ろ、雷獣よ。これが井上真由子のお役目の力だ。
    未だサーヴァントが残るなか、聖杯は完全に姿を現した。
    結界を使われては困るのでな、中村麻子は人質役だ」

うしお「何が目的なんだ!?」

言 峰「しいて言えば娯楽だよ。人間は死の瞬間にこそ価値がある。
    生存という助走距離をもって高く飛び、空に届き、尊く輝くもの、その瞬きこそが私の望みだ」

と ら「けっ、人間が娯楽で人間を殺すかよ」

言 峰「蒼月潮、雷獣。二年前の戦いは最高だった。
    あのような地獄にこそ、魂の炸裂、人のおける最高の煌めきがある。
    だが、あのような結末ではツマラナイ。ならばもう一度だ」

うしお「そんな……まさか……」

言 峰「白面を復活させ、この国を!世界を!また輝かすのだ!!」


【第23話 白面と聖杯 】・柳洞寺境内

ギ ル「どうやら化の者の実体化が始まったか」

セイバー「ぐっ…」

ギ ル「言峰は聖杯の極大の呪いを白面に変えるつもりだ」

セイバー「そんなことは、ウシオとトラがさせない…!!」

カキィィィン

ギ ル「白面が復活すれば世界は滅びる。その前に婚姻を済ませるか」

セイバー「国が、世界が滅びるかもしれないのに、貴様は何を考えて」

ギ ル「言っただろう。オレの望みはお前だけだ」

セイバー「私は誰のモノにもならない。私は女である前に、王なのだから! 
     そして、私は最期までこの国を守る!!」

ギ ル「王にとって国とは己の物に過ぎない。そんなことだからアーサー王、お前は国によって滅ぼされたのだ」

セイバー「あぁ、その通りだ。だが英雄王よ。そんなことだから貴様は国を滅ぼしたのだ」


【第23話 白面と聖杯 】・聖杯前

言 峰「歪な形ではあるが、私ほど人間を愛している者はいない」

ドロォ、ベチャ

言 峰「アンリマユ、この世の全ての悪よ。白面になるがいい!!」

ザシュ…

言 峰「な、に―――――――――」ドサッ


???「イラヌ、ワレヲ、タタエルモノナド、イラヌ」


???「ワレニ、イルノハ、オソレ、ノミ」


うしお「あ……あぁ……」


と ら「ちっ……」


【第23話 白面と聖杯 】・柳洞寺境内

セイバー「―――全て遠き理想郷(アヴァロン)!!!」

ギ ル「おのれええ! 小細工を!! 天地乖離す(エヌマ)……」

セイバー「―――約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」



ギ ル「―――アヴァロン。何ものにも侵害されぬ究極の護り。
    それこそが貴様の真の宝具、伝説にいう聖剣の力か」

セイバー「………」

ギ ル「憎らしい女だ。最後までこのオレに刃向かうか、だが許そう。
    手に入らぬから美しいモノもある、あの太陽と月のように」

セイバー「何故、貴方は。私の剣を防ぐ宝具など幾らでも持っていたはず」

ギ ル「早く行くがいい。このオレも二年前に白面と戦ったが、
    桁違いの強さよ。奴等だけでは勝てぬ」

セイバー「英雄王…」

ギ ル「騎士王、なかなかに愉しかったぞ」 サァァァ


【第23話 白面と聖杯 】・柳洞寺山門


紫 暮(―――切嗣。やはりお前は正しかったのだな……)

紫 暮(今こそお前との約束を果たすとき…!)


ダッダッダッ

日 輪「紫暮様!」

紫 暮「日輪に杜綱、それに純も間に合ったか」

 純 「間桐臓硯の件は、紫暮様の伝令通り埋葬機関の者へ」

紫 暮「そうか、後は彼女に任せれば大丈夫だろう」


紫 暮「聞け、光覇明宗の者よ!
    敵はおそらく聖杯の力で白面の者を復活させる気だろう。
    本山からの支援を待っている時間はない。我等だけで阻止するぞ! 心しろ!!」


日輪、杜綱、純「はっ!!」


【第23話 白面と聖杯 】・柳洞寺山門


キリオ「お姉ちゃん、大丈夫?」


 凛 「このくらい大した事じゃないわよ。身体も魔力も回復したわ。キリオ君は?」


キリオ「僕も大丈夫。エレザールの鎌も法力も、今すぐ戦えるよ」


 凛 「そう。桜、分かってると思うけど、桜は私のサポートだけでいいんだからね」


 桜 「はい、姉さん。私もうしお君ととらさんの役に立ちたいです」


キリオ(……九印見てて、真由子お姉ちゃんは僕が守るよ…!!)


 凛 「それじゃ、行くわよ!!」


【第23話 白面と聖杯 】・言峰教会地下聖堂

ランサー(……令呪の縛りを感じねぇ。言峰は死んだか) カツン、カツン

ランサー「誰だ!?」

???「………」 パキィン

ランサー「なっ、アイツの鎖を一撃で」

???「………」

ランサー「誰だか知らねえが、助かったぜ。
     だがオレはもう消える身だ。無駄なことをさせちまったな」

???「私は、あなた方の事情は知りません。ですがもし、やり残したことがあるのでしたら…
    …ゆくことが、あなたの使命ですよ」

ランサー「―――槍兵が、立ち止まるなんてな。いい女にはとことん縁が無かったんだが…。
     最後に名前を教えてもらっていいか?」

???「―――蒼月、須磨子」

ランサー「オレの名前はクー・フーリン! あばよ!!」 ダッ

須磨子「お気をつけて」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

全ての悪「オオオギャアアアアアーーーーー!!!!!」

ドロォ、ベチャ、ドロォ、ベチャベチャ

うしお「黒い、白面……。いや、これは白面なのか…!?」

と ら「こいつは白面なんかじゃねえ。
    この世の全ての悪が白面の皮を被ったバケモノよォ!!!」


うしお「………」

と ら「うしお、完全に実体化する前に倒すぜ。槍を呼びな!!」

うしお「……待てよ」

と ら「あぁ? なんだよ」

うしお「とら、おめえ宝具を使っちまったら消えちまうんだろォ!?」

と ら「聞いてやがったのか」

うしお「もうオレはよォ、おめえが消えちまうのはイヤなんだよォ!!」

と ら「……うしお。わしがなんで英霊になったか教えてやる」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

と ら「わしは死んだ後に世界ってヤツに会った。そこで知らされたのよ。
    いろんな場所、時代、次元で白面みてえなのがいやがった」

うしお「白面、が…」

と ら「そいつ等は、わしの食いモンだった人間を殺してた。
    それを見るのが悔しくてよォ、わしは英霊になったのよ。
    うしお、おめーのせいなんだぜ!?」

うしお「…っ」

と ら「そのおめーが、白面が復活しそうなときに何してやがる!?

    うしお!! 槍を呼べえええーーーっ!!!」


うしお「……槍よ。 槍よ、来い!!!!!」パシィッ

うしお「……い……行っくぞーっ、とらーっ!!」

と ら「へっ……うるっせーんだよ、うしおーっ!!」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

全ての悪「オオオギャアアアアアーーーーー!!!!!」

と ら「ちっ、尾が実体化を始めやがったか」

セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」

うしお「セイバー!」

セイバー「ウシオ、トラ。こちらは私が」

 凛 「それじゃ私達はこっちね」

うしお「凛姉ちゃん! 桜姉ちゃん! キリオ!」

紫 暮「光覇明宗の者はこの三本の尾だ。ゆくぞっ!!」

日輪、杜綱、純「はっ!!」

うしお「オ、オヤジ達まで!?」

イズナ「おーーい! 長飛丸ーーっ!! 援軍を連れて来たぜい!!」

かがり「とら様…!!」

雷 信「うしお様、とら様。我等カマイタチはあちらの尾を」

と ら「おめえら…。へっ、わしのエモノまでとるんじゃねえぞ!!」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

シュウゥゥ、ジュウゥゥ

 凛 「ちょ、ちょっと!この服高いのよ!!」 ゴォォォ

シュムナ「ヒ~~、ヒ~~、ヒハイヤダ~~」

 桜 「あ…あぁ…」

 凛 「桜!!」 バシュッ

ランサー(……あんなバケモノが言峰の願いか。―――赤枝の騎士。
     お前の仇敵は仕留めそこなったが、ヤツの望みを潰すことで敵討ちとさせてもらうぜ…!)

 桜 「あ、あの、ありがとうございます」

 凛 「アンタ……ランサー!」

ランサー「あの霧ヤロウは火に弱いみてえだな。嬢ちゃん達、やるぜ。合わせろ!!」

 凛 「アンタの魔術に私達が合わせられるワケ……も、もう!!」

ゴオオオオ!!

シェムナ「ヒ~~~、イッパイ、ノ、ヒハ、イヤダ~~~~~」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

セイバー「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」

くらぎ「!!!!!」

セイバー「くっ、これも反射されるとは……」

ジャラジャラジャラ

くらぎ「!?!?!?」

セイバー「この鎖は!?」

(……何をしているセイバー。そのようなモノに手間取るのは、我が許さんぞ)

(最有のサーヴァントの力が、この程度のはずがあるまい)

セイバー「ギルガメッシュ……アサシン……」


セイバー「―――――――――キリツグ」

「………」コクッ

セイバー「―――はい。マスター」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前


ランサー「バゼット、なのか」


イリヤ(バーサーカー。助けに、来てくれたんだね…)


 凛 「父、さん…」


 桜 「ライダー……ライダー!」


(―――サクラ。どうか、幸せに…)




 凛 「もう、完璧ね…!」




【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

 桜 「姉さん、今のは…」

 凛 「…私達魔術師には太古からのことわざみたいなものがある」


 凛 「『太陽と月には、関わるな』」


 凛 「昼と夜のように交わることのないバラバラの存在、太陽と月。
    でも何年何十年に一度、その太陽と月が並ぶ瞬間がある」

 凛 「その時、この世界では不思議な現象が起こるわ」

 桜 「それは…」

 凛 「これがとらの、ううん、うしお君ととらの本当の宝具…」



と ら「あいっかわらずトロいのなァ! うしお!!」

うしお「おめえだって後ろが危なかっしいんだよォ! とら!!」


――――――――― 月と太陽の理想郷 ―――――――――


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

ランサー「この一撃、手向けと受け取れ!! 突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)!!!」

あやかし「ギャアアアアア」

ランサー「ぐっ、はっ、今のが最後の尾だな」

 凛 「ランサー! 待ってて」

ランサー「いや、いいさ。今の宝具に残りの魔力を全部使った」

サァァァ

 凛 「ランサー…。短い間だったけど、ありがとう。私、貴方が私のサーヴァントでもよかったわ」

ランサー「―――は。あの女に言われるんなら嬉しいが、小娘じゃあなぁ。もちっと歳とって出直してこい」

 凛 「な、なんですってーーっ!?」

 桜 「ね、姉さん、落ち着いて下さい」

ランサー「へっ、後は任せたぜ。 ―――獣の、槍騎士」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・白面聖杯前

と ら「うしお! 決めるぞ!!」


そうだ…


あの時みたいに


そうだ…!


行こうぜ、とら!!


うしお「白面、いや、アンリマユ!!

    これで終わりだーーーっ!!!」


全ての悪「オギャアアア!?!?!?」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・朝焼けの山頂

と ら「聖杯はどうなった」

セイバー「完全に、破壊されました」

と ら「そうかよ。いや、いい散り様だったな」

セイバー「トラ。私は…」

と ら「剣使い。おめえは英霊にゃなれねえよ。英霊っていうのは、わしみてえなのがなるのよ」

セイバー「…はい。リンと話し合って決めました。私はこの世界に残り、
     貴方やウシオ達が守ったこの国を、守って生きたい」

と ら「はぁ!? わしがこの国を守っただァ!?
    剣使い、おめえなんか勘違いしとるようだな!!」

セイバー「そ、そうでした。気に喰わないから敵を倒しただけでした」

と ら「そういうことよ」

セイバー「―――ご武運を」

と ら「へっ」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・朝焼けの山頂


と ら「泣くんじゃねえよ。マユコ」


真由子「だ、だって……とらちゃんが、とらちゃんが……」


と ら「あーーーおい。涙でしょっぱくなるだろうが」


真由子「また、戻って来てね…」


と ら「マユコ、忘れてんじゃねえだろうな。

    おめえはわしの『でざぁと』よ」


真由子「うん、うん…。必ず食べてね…。とらちゃん…!」


【最終話 月と太陽の理想郷 】・朝焼けの山頂

と ら「どうでえ、ますたー。これが妖怪最強のわしの力よ」

 凛 「見せてもらったわよ。まさか約束を守ってくれるなんてね」

と ら「約束は守るさ」


 凛 「………」


と ら「―――ああ、そうだ。リン、言い忘れとった」


 凛 「な、なによ」


と ら「おめえを背中に乗せて戦うの、悪くなかったぜ?」


 凛 「―――――――――も、もうっ!」


 凛 (……もう、やめてよね。アンタには井上さんがいるんでしょうがーーっ!!)


【最終話 月と太陽の理想郷 】・朝焼けの山頂

麻 子「とら君…」


うしお「…プッ、アッハハハ!!」

と ら「…くくっ、ははははは!!」

うしお「おめえとあらたまってお別れだってよォ。笑えてしょうがねえぜ!」

と ら「ちげえねえ! はーはっはっはっ!!」

うしお「はーーはーー……―――とら」

と ら「あぁ?」

うしお「負けんなよ」


と ら「―――このクソうしおが。わしを誰だと思ってやがる。
    わしは大妖の英霊、とら様よ!!!!!」


強い風で目をつぶる。目を開けるとそこに相棒はいなかった。

あぁ、本当に、アイツらしい。


 凛 「おはよう、うしお君。そんなに慌ててどうしたの?」

うしお「凛姉ちゃん桜姉ちゃん、それにセイバーも!
    それが今日提出するノートを麻子に借りてたら、家に忘れちまってさ。今から取りに行くんだ」

 桜 「ふふっ、それなら早く行ったほうがいいですね」

セイバー「…ウシオ」

うしお「セイバー、どうしたんだ?」

セイバー「その、これからもよろしくお願いします。ウシオ」

うしお「あぁ、もちろん!」

セイバー「あっ、ウシオ。アサコが」

麻 子「こらぁ~~!! うしお~~!!」

うしお「うわっ、悪かったって麻子ーーっ!!」


      「うしおととら」×「Fate/stay night」


          『うしおとセイバー』


              FIN


【最後に巻末オマケ的な】


イリヤ「シグレ様ーー!」


ギュ


須磨子「―――あなた、ちょっとお話が」


紫 暮「ち、違う! 須磨子! 誤解だ!」


キュィィィン


紫 暮「そ、それは極限結界溜…!?」


「あぁぁーー……」


お し ま い



256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/09(水) 07:44:41.27 ID:LUqg2wOl0

こんな設定破綻の自己満足SSにお付き合いいただき、ありがとうございました。

とても好きな二作品なので楽しく書くことが出来ました。

それでは~


←ブログ発展のため1クリックお願いします

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 12:59:27.58 ID:sNIQYaVdO
うしお「あ……ん…っ」

秋葉流「うしおよぅ。そんなにここがいいのかよォ」コリコリ

うしお「あ、ア、流兄ちゃん、出ちまうよァォ!!もっと強く!!」ビクビク

秋葉流「俺ァ……本気ィ出しちゃいけねェんだ」

うしお「ん゛っ!!」ドビッ!!


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 13:08:46.59 ID:sNIQYaVdO
とら「やいうしお!ワシの髪で何やってんでェ!?」

うしお「とらァ…動くなよ。おめェの髪巻いてするの気持ちいいんだよ」スコスコ

とら「!!??!こンのガキャアアァァついにイカれたかァ食うぞバカタレがァアァァァ!!?!」ズギャゴ

うしお「うっせぇエエェェてめぇは黙ってコかれてりゃいいんだよオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!」ギャゴズゴギャリゴガゴシコシコ

とら「分かったよォォォ!!槍向けるんじゃねェェエ!!!???!」

うしお「うっ!!日輪、ひのわァァァアア!!!」ビュグ!!


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/08(火) 13:17:26.87 ID:sNIQYaVdO
うしお「あやかしのヌルヌルするよォ……」

あやかし「……」

うしお「う…っ!キリオ…っ」ピュ…

あやかし「……」

うしお「う゛え゛え゛え゛え゛え゛」

うしお「う゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛……」


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