キョン「また使徒か」 その4

2009年12月22日 21:54

キョン「また使徒か」

13 : ◆UqSHFgvvQ2 :2009/10/24(土) 00:04:38.39 ID:JPI9cpigi

ハルヒ「…どうして…」

ピッ…ピッ…ピッ…

意識の回復は、
一切わからないとのこと。
佐々木さんの、生命力に委ねられると。

ハルヒ「っと……どうしてこんなにバカが多いの……」

あたしが泣いていると、後ろでドアが開く音がした。
有希と、古泉くんだった。
あたしは、目をぐしぐしと袖で拭い、彼らに向き直った。

ハルヒ「どしたの?二人とも」

古泉「……」

長門「……」

ハルヒ「なによ…」

古泉「貴方が…少し、心配で」

ハルヒ「はっ……団員に心配されてちゃ…あたしも焼きがまわったわね…」

古泉「ですが」

古泉「心配、ないようですね」

古泉「なにより」

古泉「邪魔してはいけませんね」

古泉「それでは」

長門「……」

古泉「長門さん?」

長門「……不甲斐ない」

ハルヒ「え?」

長門「どうして…私に、力がなくなったのか」

古泉「ちょっ?」

長門「本当…不甲斐ない」ぽろ…

ハルヒ「!?有希!?」

長門「私が…しっかりしてさえいれば…力が…あれば…」ぽろぽろ

ハルヒ「ちょ、ちょっと…」

長門「佐々木さんは…こんな風にならずに…すんだ…」ぽろぽろぽろぽろ

ハルヒ「ちょっと……なかないでよ…」ぽろ…

古泉「……お二人とも…」

ハルヒ「キョンだって…どうなるか……わかんないのよ……」ぽろぽろ

ハルヒ「どうして…ほんと…バカばっかり……」ぽろぽろぽろぽろ

長門「うう…」ぽろぽろぽろぽろぽろ

二人の泣き声が、病室に響いて、消えた。
病室なのに、二人で喚いて。
あたしも…バカなのかな…。


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その後は、佐々木さんにばいばいと言って、病室を出た。
あたしは、ミサトのところにいかなきゃ。

ゴファッ
ゴファン

ミサト「……ハルヒ…」

ハルヒ「…先程は…失礼な発言…すいませんでした」

ミサト「え…?」

ハルヒ「現在の状況を、詳しく教えてください!」

ミサト「…!ごめんなさい……あなたたち、ばかり…つらくて…」

ハルヒ「いいんです」

ハルヒ「これが……仕事なんです……嫌でも、辞めたくても、逃げ出したくても」

ハルヒ「やるしか、ないんです」

ミサト「…私なんかより…全然しっかりしてるわね」

ミサト「…日向くん」

日向「はい」

日向「現在、使徒は活動を停止してはいますが、それはN2地雷の効力のためです。
   MAGIは、使徒の再侵攻予告時刻は、228時間と48分後です」

ハルヒ「九日と半日プラス48分ね。時間はかなり有る」

ミサト「ええ」

ハルヒ「作戦は?」

ミサト「まだ、決まってないのよ」

ハルヒ「……そう…ですか」

ミサト「でも、待ってて頂戴。すぐに、いい作戦を、用意するわ」

ハルヒ「…わかりました」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「みくるちゃん…」

みくる「う……がゆばって、くださぁいっ!」

ハルヒ「…ぷっ」

ハルヒ「ええ、みくるちゃん」

ハルヒ「気張るわよ。ありがと、みくるちゃん」

みくる「は、はい!」ぱああっ

ハルヒ「……さて…次はバカキョンとこいこうかしらね……」




ネルフ本部
緊急治療後療養室

ピッ…ピッ…ピッ…

みんなして、目ぇ瞑って
羨ましいわね。
バカキョン。

ハルヒ「あんたも…大概バカよ…なんで、あたしの前になんか、飛び出したのよ…
    あたしなら…避けられたってのよ…」

ハルヒ「バカ…バカキョン……」

ピッ…ピッ…ピッ…

ハルヒ「キョン……あたし……あんたの分まで頑張る。だから……」

キョンの手を、そっと握る。

ハルヒ「どっからでもいい」

ハルヒ「見ててね」

ぴくんと、反応が帰ってきた気がした。

ハルヒ「キョン……?」

けど、いつもの罵声は、飛んではこない。

ハルヒ「バカぁ……うっ」

あたしは、しずかに、泣いた。
キョンの手は、あたしの涙でびしょ濡れになった。

ハルヒ「……きばんなきゃ…」

ハルヒ「やったるわよ…」

見ててよね。
キョン。

ハルヒ「次は…アスカんとこ…か」




ネルフ本部
緊急治療後療養室

ハルヒ「アスカ」

ハルヒ「あんたは、ほんとはきこえてんじゃないの?」

ハルヒ「……早く……目…さましてよね…」

ハルヒ「あたしとレイだけなんて……寂しいわよ……」

ハルヒ「ちょっと…きいてんのー…?」

ハルヒ「聞いてるわけないかー…」

ハルヒ「あーもう……泣いてばっか……」

ハルヒ「早く……目、覚ましなさいよね……バカ……」

ハルヒ「あんたが起きないと…あたし、カラオケいけないんだから…」

ハルヒ「そうそう!佐々木さんとも、カラオケいくのよ!」

ハルヒ「いいでしょ…えへへ…」

ハルヒ「……」

ハルヒ「返事……してよぉ……」ぽろ

ハルヒ「どいつも……こいつもぉ……」ぽろぽろ


あたしが、泣いてばっかで、どうすんのよ。
負けらんないのよ。
みんなが…うしろに居んのよ。
あたしが負けたら……ダメなのよ。


ハルヒ「じゃ、アスカ」

ハルヒ「…とっとと起きろよ。ばかやろー」

ゴファッ
ゴファン

ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…


ぴくっ…

 
あたしが、気張るの。
それしか、ないの。
なら、頑張るしかない。
どんな作戦でも
どんなにむちゃくちゃでも
やるっきゃ、ない。

ハルヒ「おっしゃあーーっ!」ばちんっ!

両頬を思い切りじぶんで叩いて、気合を入れる。
負けらんない。
頑張ろう。




ネルフ本部
ミサト執務室

ミサト「どうしたもんかしらねぇ…」

リツコ「お悩み?」

ミサト「ええ」

リツコ「あらそう」

ミサト「なーによ…なんか作戦考えてくれんのかとおもったわー」

リツコ「そうねぇ…」

リツコ「彼らは、敵性と判断した目標に大して、上手いこと姿を変えたり、分裂、融合を繰り返すみたいね」

ミサト「そのうえ…かなり強い」

リツコ「ええ」

ミサト「お手上げだっつのぉ…」

リツコ「…どうしたもんかしら…」

加持「おやっ、お悩みかい?」

ミサト「げっ、加持…」

加持「げっ、とは失礼だなぁ、葛城」

ミサト「げっ、だからげっ、なのよ。あんたなんか」

加持「つれないねぇ…」

ミサト「ふん」

加持「僕も、一緒に考えようとおもってね」

ミサト「あんたなんかいーらないわよ。しっしっ」

加持「ひっどいなぁ…」

リツコ「あら、私はお邪魔かしら?」

ミサト「やめて、行かないで。こいつなにするかわかんないから」

加持「ほんとひどいなぁ…」

加持「同時過重攻撃なんかどうだい?」

ミサト「6人で?合わないわよ…そもそも、みんな起きるかわかんないのよ?」

加持「そうか……」

ミサト「んー…」

加持「あ、そうだ。ロンギヌスの槍は使えないのかい?」

ミサト「ありゃダメよ。司令に殺されちゃうわ」



ゲンドウ「へっくち!」

冬月「口を抑えろ!汚いな!」



リツコ「ん……待って頂戴」

ミサト「ふぇ?」

リツコ「……」カタカタカタカタカタカタ…

リツコ「……」

リツコ「…この使徒の弱点、わかったかもしれないわ」

ミサト「ほんと!?」

リツコ「ええ」



ハルヒ「シンジは……あいつはなんか死ななそうだし、いいか」

ハルヒ「まぁ、でも、かわいそうだから行こうかしら」

ハルヒ「でも…なにいえばいいかわかんないわ…」

ハルヒ「……まぁいいか」



リツコ「この使徒の波長パターン」

カシャッ

ミサト(まったくわかんないわ)

リツコ「一体のとき」

カシャッ

リツコ「三体のとき」

カシャッ

リツコ「五体の時」

カシャッ

リツコ「ここから導き出される答えは、脆さでいえば、一体の時が一番脆いのがわかるわね?」

ミサト(……?)

リツコ「三体のときが一番バランス取れていて」

リツコ「五体に、なると連携して敵性物体を倒す」

リツコ「けど、一体のときは、とかくコアを、守らなきゃいけないから、コア以外はもろくなっているのよ」

ミサト「はぁ」

リツコ「わかってないわね」

ミサト「え?うん」

リツコ「はぁ…」

リツコ「つまり、ガチンコが望ましいってことよ」

加持「ちん……もがっ!?」

ミサト「やめてちょうだい」

リツコ「わかった?」

ミサト「ようは、一対一。接近戦でってことでしょ」

リツコ「そうよ」

ミサト「…それを…ハルヒにやらせるのか…」

リツコ「あら、レイでもいけるんじゃない?」

ミサト「まあ…二人次第ね」




ミサト「…集まったわね」

ハルヒ「…2人しか居ないけどね…」

ミサト「……まぁ、いいわ」

ミサト「今回の使徒の弱点がわかったの」

ハルヒ「え?」

ミサト「難しいことはなーんにもないわ。ただ、一対一で、ガチンコして頂戴」

ハルヒ「!?分列されたらどうするのよ!」

ミサト「そのために、片方をバックアップとして残します。後方にて待機してる形になるわね」

ハルヒ「……」

レイ「わたしが、前衛をします。危険な仕事ですし」

ミサト「…そう?」

レイ「ええ--」

ハルヒ「なにいっちゃってんの?」

ミサト「え…」

レイ「?」

ハルヒ「あたしが、やるわよ」

ミサト「でも…かなり危険よ?」

ハルヒ「それはどっちがやったって一緒じゃないの」

ハルヒ「なにより」

ハルヒ「あたし自身」

ハルヒ「あいつのこと」

ハルヒ「殺してやりたくてたまらないの」

ミサト「え…」ぞくっ

ハルヒ「キョンを…」

ハルヒ「佐々木さんを、アスカを」

ハルヒ「絶対に、許せないのよ」

ハルヒ「ガチンコなんて、クソ都合良いじゃない」

ハルヒ「切り裂いて、切り開いて、つぶして、爆ぜさせて、コアにツバかけて擦り潰してやるまで」

ハルヒ「収まんないわよ」

ミサト「……(この子…)」

ハルヒ「絶対に……許さない……」

ハルヒ「あたしに、やらせてください」

ミサト「…え、ええ…わかったわ」

ハルヒ「ありがとうございます」

ミサト(すごい…怖い…)




レイ「彼女、少し危険ですね」

ミサト「ええ…復讐のことで頭がいっぱいになってる」

ミサト「押しつぶされなきゃ良いけど…」




ネルフ本部
トイレ

ガチンコ…かぁ。
キョン、見ててくれるかな。
みてて、くれるよね。
……
絶対に勝つ。

あんたのためにも
アスカのためにも
佐々木さんのためにもね

ハルヒ「すぅー……」

大きく息を吸い込むと、頭がはっきりする気がした。

ハルヒ「はぁー……」

思い切り吐きだす。
鏡の中の自分を睨みつけ、自分に言う。

ハルヒ「勝つわよ。ハルヒ」




5日後

リツコ「すごいわ……」

マヤ「確かにすごいです…、シンクロ率33からいまや67ですよ」

日向「才能ですかねぇ」

リツコ「いいえ、もっと違う、なにかね……」

古泉「……涼宮さん…」

長門「……」

ただ、集中することにしてみた。
ただ、集中して、エヴァを感じる。
すると、なんだか答えてくれた気がして。
なんとなく、心が躍る。
これなら、勝てる気がする。

違うわ。
勝たなきゃ、いけないのよ。

ハルヒ「頑張れ……あたし」




決戦当日

ハルヒ「いけます」

マヤ「了解」

マヤ「しかしすごいです。シンクロ率70越えですよ」

ミサト「……復讐鬼…か」

ミサト「では、作戦開始はヒトゴーマルマル。ヒトヨンサンマルには戦闘配置。いいわね」

ハルヒ「はい」

レイ「了解」

ミサト「ハルヒは、エヴァ仕様超硬度パイルバンカー。腰には圧着ボルトでマゴロクソードを帯刀。
    更に、よく効いたマステマを装備」

ハルヒ「はい」

ミサト「レイは長距離仕様ポジトロンライフルを装備して、後方で危険なときに支援して」

レイ「了解」

ミサト「では……総員、配置について!」

日向「使徒、行動再開します!」

びくんと使徒の体が跳ね上がる。
びゅるんびゅるんと
使徒が体を再構成し、二体の使徒がこちらを向く。

日向「使徒、行動再開!!」

ミサト「いったんなさい!」

ハルヒ「ううううおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

どすんどすんと走る。
パイルバンカーを右手で抱えながら。
マステマを左手で回転させながら。

使徒はこちらに気づき、びくんとすると、予想どおり、使徒はひとつになった。

ハルヒ「こんっちくしょおおおおおおおおお!」

どすんと肩からぶつかる。
使徒は、動かなかった。

ハルヒ「いってぇー!」

びかっと使徒の全ての顔が光る。

ミサト「避けて!」

ハルヒ「っ!?」

パウッパウッパウッ!

ハルヒ「くっそ!」

横にがくんと体をねじり、なんとか避ける。
くっそ!

ねじった体勢から、ぐるんと回り、そのままパイルバンカーを使徒に突き立て、トリガーを引く。

きぎっ
どふんっ!

パイルバンカーの杭が使徒にメリ込む。
使徒は怯んで後退りし、刺さった杭を抜こうと躍起になっていた。

ハルヒ「抜けるもんですか…返しがついてるもの…」

ハルヒ「これは、シンジの分よ!」

杭を再装填し、また使徒につきたててトリガーを引く。

きぎぎっ!
どふんっ!!

二発目が使徒に入る。
ばづんと嫌な音をたてて入り込んだそれは、かなり奥まで突き刺さった。

そして、今度はパイルバンカーを突き立てたまま、マステマでひだりから殴りつける。

ハルヒ「こんっっちくしょおおおおおおおおおお!」


ギャギャギギギギリリリリリイイイイイ!!

使徒にマステマがゆっくりめりこんでいく


負けらんないの。
負けてられない。
こんなやつに…


ハルヒ「まけてらんないのよおおおおおおおおおおおっ!!」

ぎりぎりとマステマをコアに向けて傾ける。
そして、マステマが使徒へと到達する。

びくんと使徒は跳ねあがるとぐねぐねと気持ち悪く体をくねらせながら必死でマステマに手を伸ばして抜こうとする。
無駄よ。

しかし、使徒は急に動きを止めた。
さっきまで、もじもじとマステマを引き抜くために必死で三号機の腕をつかんでいたのに。
ふっと目の前が暗くなる、
気付くと、私の三号機の頭は使徒にガッチリとつかまれていた。

ミサト「ちょ、逃げて!ハルヒ!」

ひゅうっと目の前が赤く光る。

ハルヒ「あああっ!!」

ガスンッ

右目に激痛が走る。
おそらく、初号機を撃墜したあの攻撃だ。

キュイッ!ガスンッ!キュイッ!ガスンッ!キュイッ!ガスンッ!キュイッ!ガスンッ!

ハルヒ「ああっ!…くあっ…ひあっ!あっ!」

右目の激痛がどんどん強くなる、抑えても、強く抑えても、目を強く押しているその痛みは、貫かれる激痛に掻き消された。

ガスンッ!キュイッ!ガスンッ!キュイッ!

ハルヒ「あああっ……いっ……ああ…あああっ…!!」

痛い、
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
頭の中が、痛いで染まる。

ミサト「ちょ…レイ!サポートしてあげて!」

レイ「無理ね…」

レイ「このまま撃てば…へたすると三号機に当たってしまう」

ミサト「……!神経接続を一時的に解除して!」

日向「……!ダメです!三号機、信号拒絶!」

ミサト「な、なんで!?」

マヤ「パイロットが、信号を拒否しています!」

ミサト「!?ちょっと!ハルヒ!?」

ハルヒ「いいっ……!いいっ、てのおおっ…よ…」

ミサト「死ぬわよあんた!!」

ハルヒ「あっ…!…ぐぅう……しな…ない…ひあっ!」

ミサト「バカ!早く受け入れなさい!!」

ハルヒ「い……いや…あああっ!!いや……いやよ…」

ミサト「ハルヒ!」

ハルヒ「うっ…さい!」

ハルヒ「うっさいのよ…」

ミサト「なにいってんの!!」

ハルヒ「あっ…!あ、ああ、あたしが…やんのよ…」

ハルヒ「ひ……ひぐっ……だま……あ……だまって……ずっしり……っ……は……かまえ…てなさいよ…」

ミサト「…ハルヒ!」

マヤ「あっ、パイロットの脳波に異常!もう…ハルヒちゃん!もうやめて!」

ハルヒ「あぐっ…」

ガズンッ!バキャッ!

エヴァ三号機は、頭を貫かれ、そのまま持ち上げられた。

マヤ「あ……エヴァ三号機……停止…しました」

ミサト「ハルヒ!!」

どいつも、こいつも、どうしてこんなにうるさいのかしら
あたしが、やんのよあたしが、殺すのよ
ここまでやられてだまってらんないのよ
やり返す擂り潰す捻り切る捩る捻る切る切り開く貫くブチ抜く

あたしは負けない

ハルヒ「ま、まま…けて……らんっないのよおおおおおおおおおおおお!!!」

ビカッ

マヤ「!?さ、三号機!再起動!あ、ありえないです!脳を壊されてるのに!」

隻眼の三号機は、その瞳でぎょろりと使徒を睨みつけたあと、腰のマゴロクソードを使徒の腕に突き立てた。




ネルフ本部
集中治療後療養室


ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

ぴくっ……

「ん…う……あ……」

「なん……ここ……」

「……病院…?」




バギッ

三号機の口が圧着板を外して開いた。

ヴァアアアアアアアアアアァァァオオオオオオオオオッ!!

リツコ「…暴……走……?」

ミサト「は、ハルヒ…?」

三号機はマゴロクソードを突き立てても離さないその腕を少し細めた目で見つめた。
きゅうっと光る使徒の肩を見て、三号機は
マゴロクソードを自分から見て前側に押し、腕を切り裂いた。

使徒もこれにはさすがに怯み、思わず手を放してしまった。
ずんと三号機が落ちる。
三号機は地面に両手両足を付け、体勢を低く、まるで猛獣が突進する前のような体勢をしたあと、使徒に向かい、奇声をあげて物凄い速度で突進した。

カアッ!!

使徒は吹っ飛び、海に着水。
起き上がろうとするが、すぐに三号機がマウントを取る。

グルルルルルルル…




ネルフ本部
集中治療後療養室

(使徒は…どうなったんだろ)

(なんとかなったはずだけど)

(……)

(誰かが……戦ってるのかな)

(僕は……なにをしているんだ)

(いかなきゃ…)ずりっ

(うっ……)

(全身……火傷したみたいにあつくていたい)

(……そりゃ当然か)

「いか……なきゃ」




三号機は、マウントを取って使徒の上にいた。
使徒はじたばたともがくが、それも虚しく、意味はなかった。

きゅう…

使徒の目が光る。
しかし、

ガッ!

三号機が、使徒の顔を思い切り掴むと、そのまま顔を掴んだままぐぐぐと上に引き伸ばす。

ぎりぎりぎり…

ガアアアアアアッ!

三号機はそのままぎりぎりと捻りながら顔を引いた。

カアウッ!!

ぶぢぶちぶぢぶちぶちぶぢ

筋の切れる音。
それとどうじに、引き上げた筋のような所から血がぷしゅぷしゅと噴き出す

ヴァァァァアアアアオオオッ!

ブヂンッ

ぶちっと音がすると顔と体が離れた。
筋が切れて、そこから血が噴き出す。
三号機はその血の雨を浴び、目を細めている。
まるで、笑っているようだった。

三号機はさらにもうひとつにも手を伸ばし、また同じように引きちぎった。
三号機は勢いを増す血の雨に、またにたにたと笑い、吠えた。

ヴァァァァアアアアオオオオオオオオオ……!

マヤ「うっ…げっ…」ぼたっぼたぼたっ

ミサト「こんな……こんなこと…」

リツコ「コアもないのに…なんて駆動…!更には暴走なんて…」

サアアァァー…

ヴァァァァアアアアオオオオオオオオオオオオオオオ……!

三号機は更に今度は目標を変え、コアを殴りつけた。

ガズンッ!ガスンッ!ゴッ!ガズッ!ガスッ!ガンッ!

カウッ!ガァッ!ヴァアッ!ヴルォッ!ファアッ!ガウッ!

その度にちぎれた筋からどくん、どくんと血が噴きでる。
三号機は、それを楽しんでいるようだった。




ネルフ本部
廊下

(うっ……)

(いったぁ……)

ずるっ、ずるっ…

(あんなこと……しなきゃよかったのか)

(でも、そうしなきゃ使徒は止まらなかったよね)

(……)

(いまの状況が…とにかくしりたい…)

ずるっ、ずるっ、ずるっ

彼女は、右足をずりながら、廊下を歩き司令室へ向かった。




三号機は、ただただ使徒を殴り続けた。
にたにたと目を細めながら。
コアは既に、四個われていた。
キョンたちのいう、原作ではコアの再生が行われるが、ここでは行われなかった。

クウウウウアアアアアアアアッ!!

バキャンッ!

コアの五つ目が割れると、使徒はびくんと跳ね上がり、体を上手く三号機に当てて三号機を振り落とした。

使徒は直様起き上がり、体勢を崩した三号機を思い切り蹴り上げた。
すると三号機は吹き飛び、重い音を上げて地面に叩きつけられた。




ネルフ本部
司令室

ゴファッ
ゴファン


三号機が起き上がり、使徒を見ると、使徒の割れていないコアがぎゅるぎゅると回り始めた。
すると、割れたコアをぐぐっと引き込んで体の内側に仕舞い込んだ。
その後すぐにコアが現れたが、それはさきほどのそれより一周り大きかった。


ミサト「…!あ、あなた!なんで起き上がってるのよ!」

「あの…状況だと…シンジくんも、アスカさんも、キョンもおきないでしょ…」

「僕がいかなきゃ…」

ミサト「佐々木さん!あなた、自分の容体わかってるの!?」

佐々木「わかってますよ…!でも…ハルヒ…あいつのめ……覚まさせてあげなきゃいけないじゃないですか…」

ミサト「…!あなた…」

佐々木「僕が…いってあげなきゃ…」

ミサト「あなたねぇ…」

佐々木「行かせてください」

ミサト「うっ…」

佐々木の目が、すごく強い光を宿していた。
あのときの、涼宮ハルヒに負けないくらいの光だった。

ミサト「……」

佐々木「……おねがいします」

ミサト「ほんと…あんたたちみんなバカね…いい、死なないで。これだけは、約束して」

佐々木「……はいっ!」




三号機が起き上がると、すでに目の前に使徒がいた。
反撃する間もなく、頭をつかまれる。
さっきよりも強い光が、使徒の肩に集まっていた。

きぎぎぎぎぎ…

先の時とは比較にならないほど、光は後ろに伸びていて
威力は恐らく、記述するまでもない。

ひゅっと光が動き、三号機の頭めがけて撃ち抜かれる。


かと、思われた。


「おおおおっ!」

使徒の攻撃が脳天を少し貫きかけた時、それは使徒を思い切り蹴り飛ばしてやってきた。

佐々木「大丈夫!?」

返事はない。
ただそこには、ぐるぐると唸る三号機がいるだけだった。




やっと来れた。
右足も、全身もびりびり痛む。
けど、涼宮さんを
もう傷つけさせない。

佐々木「おおおおおおあおっ!」

マステマを思い切り振りかぶり、地面に倒れていた使徒に叩きつける。

ギャリリリリイイイイイッッ!

これなら、食らうだろう…?

使徒をゆっくりと切断する。
こいつが、こんなやつが
僕の友達をあんなにも傷つけた。
許さない…!

佐々木「ううううおおおおおおおおおおおおっ!」

使徒の体から血が噴出する。
これなら、いける!

佐々木「おおおおおおおおおおおあお」

ギャリリリリイイイイイ…

佐々木「くっおのおおおおおおおおおおおお!」

バヅンッッ!

使徒の体は、真っ二つに切断された。
びくびくと動いてはいるが、これなら…もう…

ミサト「バカッ!コアを壊してない!」

佐々木「え…」

がっと後頭部をつかまれる。
くっそ…逃げられない…!

ミサト「神経接続解除!急いで!」

マヤ「は、はい!」

ダメだ…
いま神経接続を切られたら…
涼宮さんを…助けられない…!

ヴァオオオオオオオオオオオオッッ!

ずしんずしんとはしりながら三号機がはしってくる。
地面に刺さった、マゴロクソードをもち、こちらへと。

よし…なんとか、勝てる…
まだ、三号機が…



どすっ



佐々木「え?」

ミサト「ちょ、ちょっと…」

リツコ「え…」

青葉「あ…ああ…!」

マヤ「きゃ…」

長門「ひ……」

マヤ「きゃあああああ!」

マゴロクソードは
僕の五号機を




貫いてから使徒のコアを破壊した。




ミサト「ちょ、ちょっと、さ、佐々木さん!?」

佐々木「う…うぇ…げ…」

口から少し、血が零れる。
使徒のコアは、淡い光を既に失い、機能を停止していた。

ミサト「は、早く!救助班を回して!急いで!ハルヒもあぶないわ!はやく!」

日向「は、はい!」



くっそぉ…
こんな、こんな……ことってあるか…

佐々木「あっ…けぷっ…げっ」ぼたぼたぼた

三号機は、マゴロクソードをぐりぐりと捻り、更に刺してくる。
いたい、よ…

佐々木「くっそー……」ぼたっ…

佐々木「げっ…えぇ…」ぼたっぼたぼたぼた

カラオケ…連れてってくれるんじゃなかったのか…涼宮さん…

佐々木「あ…いたいっ…てば……あはは」ぽたっ

僕のお腹には、五号機が刺されたところと同じところがべこんとへこんでいた。
いたい…なぁ。
抑えても、当然なにも起きない。

ミサト「神経接続!早くカット!」

日向「は、はい!」

がくんとプラグ内が暗くなる。

佐々木「あ、…だいぶらくんなったな」

佐々木「げっ……えぇ……」ぼたぼた…ぼたっ

佐々木「いったぁー…おぇ…」ぼたっ

佐々木「鉄臭い…」

その後すぐに、僕は気を失った。




ピッ…ピッ…ピッ…

ミサト「どうなの?彼女たち」

リツコ「佐々木さんは、あの時の火傷で起き上がってきたし、その点では問題無い。
    けど、やはり腹部に深くマゴロクソードを刺された時、大腸、及び周辺の血管がきれてしまっていたわ。
    でも、命に別状はないわよ」

ミサト「ほんとうに…?」

リツコ「ええ。しばらくは点滴生活でしょうけどね」

ミサト「…ならよかったわ…」ほっ

リツコ「問題は、ハルヒのほうね」

ミサト「……どんな感じなのよ」

ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

リツコ「命のほうも危険ね。このままじゃ」

ミサト「どうして?」

リツコ「?みててわからなかったの?呆れた」

ミサト「う…」

リツコ「右目は確実に光を失うわね」

ミサト「え…」

リツコ「更にいえば、脳に少し、異常が見られたわ」

リツコ「言語障害…とまではいかないでしょうけれど」

リツコ「なんらかの障害はあるわね」

ミサト「…くっ……」

リツコ「こればっかりは…仕方ないわね」




数日後…

どうやら、俺は結構な間眠り続けてしまっていたらしい。
今日やっと退院で、やっとみんなから状況が聞けるというものだ。
みんなは…どうしているだろうか。

俺は、安心していた。
あの時、あれが意識を失っていた時
なんとなく、ハルヒの暖かさを感じた気がしたからだ。

ま、よくはわからんが、どうにかなっているに違いはない。
俺が守ってやったんだからな。
ハルヒたちがなんとかしてくれていることだろう。

ゴファッ
ゴファン

キョン「こんにちわ!ただいま、キョン!退院いたしましたっ!」

…しーん…

え、なにこの空気?

カラカラカラ…

後ろから、車輪?のような音がした。

「おっそいんじゃないのぉー!?あんた団員として失格よ!失格!」

後ろを振り返ると、そこには…

ハルヒ「なぁにハトが豆鉄砲食らったみたいなツラしてんのよ」

右目に眼帯をして

ハルヒ「あっはは!そりゃ驚くわよね!しょうがない!あっははは!」

車いすに腰掛けた、ハルヒがいた

キョン「おまえ…それ…」

俺は、この時どんな顔をしていたんだろう。
きっと、とても狼狽していたことだろう。

ハルヒ「んー?あはは、どってことないわよ。これくらい!ほれっ」ぺろっ

ぺろっとハルヒが眼帯をめくると、ハルヒの右目は瞑っていたが、焼け焦げたような、傷跡が痛々しく、

ハルヒ「足だってね!ただちょっと信号がきれちゃってるらしいんだけど」

そういいながら足をぱしぱしと叩き、

ハルヒ「まっ、手は動くし、なんら不便はないわねっ!あはは!」

そういうハルヒが、とても寂しそうに見えて
もう、お前が部室を思い切り蹴り開けることはないのか。
お前に追い回されることも、もうないのか。
そう思って、俺は…

キョン「ばか…野郎…」ぽろ…

ハルヒ「ちょ…!?なに泣いてんのよ!」

キョン「バカ野郎…ほんとにバカ野郎だ…」

ハルヒ「ば、…ばかばか…いわ…ないでよ」ひぐっ

ハルヒ「あたしだ…って……好きでこんな……」ぽろぽろ

ハルヒ「でも」ずずっ

ハルヒ「まぁ」

ハルヒ「あたしらみんな」

ハルヒ「生きてるわよ」

ハルヒ「それが一番じゃない」

その言葉を聞いて、俺はまた涙を多く流すことになる。
シンジは頭にでかい絆創膏をしながら、にへっと笑ってやがる。
アスカは腕に包帯を巻いていたが、わりと元気そうだな。
レイは…相変わらずか。
佐々木は、こちらを見て、恥ずかしそうにはにかんだ。
まったく、余計なことを言いやがる。
ほんと…

キョン「みんな…生きてて…よかったぁ……」ぼろぼろぼろぼろ

生きていれば、人間なんとかなろう。
俺も佐々木もハルヒも、かなり危なかったらしいからな。
それでも、生きてたんだ。
すごいね!人体。

あとで聞けば、ハルヒはリハビリで良くなる可能性もあるらしい。
それにあのバカ垂れは、まだエヴァには乗り続けるとのたまわったそうだ。
寝ていればいいものを…

佐々木は、点滴を持ちながら右足をずってあるいている。
よく肩をかしてやっているのだが、そのたびに奴は顔を赤める。
なんだってんだ?

アスカはまぁ相変わらずだな。
無駄に元気だ。

シンジは、あいつも相変わらずか。

長門と古泉と朝比奈さんは、あのあと俺の所で、朝比奈さんは泣きじゃくり、長門は俺から離れず、古泉は本当に嬉しそうな顔で笑っていた。

終わりよければーとやらだなうむ。




ハルヒ「ひっ……いっ……ぐ…」

右目が、まだ、熱くていたい。
脳まで届くような激痛を忘れられない。
また、あまりの激痛に嘔吐しかける。
う、…いっそ死んでしまいたいと思うほどの激痛。
なんだかんだ意地張っても、辛いもんは、辛い。

ハルヒ「いったぁーー……」

ぎゅっと右目を抑え、また、ロクに眠れない夜を過ごさねばならないと思うと、気が重い。
足だって、動かない。
ジュースも買いにいけないじゃない。

ハルヒ「あはは……」

ハルヒ「なさけないなぁ…あたし」

ハルヒ「……う…」

涙が、止まらない。
なんで、あんなやつに、あたしはこんなにも壊されてるの?
使徒に、また嫌悪と憎悪とが混じった感情が湧き上がる。

ハルヒ「いつだってきなさいよ…」

ハルヒ「あたしはまだエヴァに乗る…」

ハルヒ「全部…擦り潰してやる…」

それと、あたしは、あたし自身にも、嫌悪感を抱いていた。
あたしは、自分の友達を…

ゴファッ
ゴファン

ハルヒ「あ……」

ドアが開いた、そこにいたのは、

ハルヒ「さ、ささ、佐々木…さん…」

佐々木「どうも」

ハルヒ「あ、ああ…ぐっ」

右目ががつんと殴られたように痛くなる。
更には自分への嫌悪。

佐々木「だ、だいじょうぶかい?」

ハルヒ「ひっ…」

あたしは、思わず伸ばされた手を払ってしまった。
あたしは、嫌われてるはず。
あんな、酷いことをしてしまった。
暴走中の事故とはいえ、あんなふうに…

佐々木「お、お邪魔…かなぁ?」

ハルヒ「は、あ、ひ…そ、そういうわけじゃっ……ないのよ…」

佐々木「でも、具合…悪そうだ」

ハルヒ「い、いい、いいいい!いいの、いい。だいじょうぶ、平気…」

強がり。

佐々木「ほんとに、だいじょぶかい?」

この子は、なにをしにきたんだろう。
罵倒?軽蔑?侮蔑?

佐々木「今日は」

佐々木「お見舞いにきたんだ」

ハルヒ「ふぇ…」

佐々木「へ、へんかな?」

変とかじゃ、ない。
え、あたしは、あんなにひどいことをしたのに…

ハルヒ「あ、あああ、あたしっ、あんなに…ひどいこと…あなたにっ…」

佐々木「あはは、」

佐々木「でも、僕のために戦ってくれたじゃない」

ハルヒ「!!」

佐々木「僕はそれだけで十分さ」

佐々木「君なんかより、ずっと軽く済んだしね」

この子は…
自分を刺されて…相手を憎んだり…しないの…?
居ないわよ…そんな聖人。

佐々木「聖人じゃ、ないけどね。たしかに」

佐々木「確かに痛かったけど。涼宮さんに比べたら、屁でもないさ」

ハルヒ「佐々木…さん…」

ハルヒ「うっ…ひぐ…」

佐々木さんは、ベッドに腰掛け、そっと私を抱きしめてくれた。

ハルヒ「うぇええええええん…こわ…かっひっ…うぇえええ…」

佐々木「くっくっ…よしよし…」

そのあとは、あたしたちふたりで夜中まで話をした。
これからのこと、
もう少ししたら、一緒にカラオケに行くと約束をして、絶対にまた負けたりなんかしないようにしようと誓って、
ともだちとしてのこと、
これからは、普通に友達と接しようと約束して
こいのこと、
佐々木さんとキョンは、既にキスをしていたこと。
あたしも、キョンとキスをしたこと(どこでかは忘れたけど、した!)

ハルヒ「なんだー…そうなんだ…」

佐々木「なんだはこっちのセリフだよ…」

あたしたちは、ライバルだ。

ハルヒ「負けないわよ」

佐々木「僕も負けるつもりはないよ」



キョン「ひっぎし!」ぶしゅっ

古泉「きったなっ!?」



ハルヒ「んじゃっ!あんたの点滴が抜けたら、カラオケいきましょ!」

佐々木「くっくっ…もちろん採点付きでね…」

ハルヒ「さ、採点!?」

佐々木「もちろんだろう?ちなみに僕は、93点以下をとったことがない!」ズバァーン!

ハルヒ「な、なんだってー!?」

その日は、あたしと佐々木さんで、添い寝した。
ほんとは絶対ダメなことだけど。
すごい、よく眠れた。
佐々木さんは、柔らかくて、暖かくて、
とても、気持ちがよかった。

ハルヒ「すぅ……すぅ……」

佐々木「くっくっ…アスカさんがかわいいっていってたのもわかるな…」ぶにっ

ハルヒ「い…ひゃい……」




次の日

リツコ「もう点滴とっても平気ね」

佐々木「ほんとですか!」

リツコ「ええ。でもまだ大腸の切断部の結合が甘いから、なるべく、流動食を摂りなさい」

リツコ「じゃ、お大事に」

佐々木「はい!」

ぱたぱたと音を立てて走った。
涼宮さんがまってる。カラオケ、いける!

佐々木「涼宮さん!いる!?」

どんがらがっしゃあん!

ハルヒ「あいっててて…」

目の前で、立ち上がろうとしていた涼宮さんが思い切りこけていた。

佐々木「な、なにやってるんだよーっ」

急いで涼宮さんにかけより、抱き起こす、

ハルヒ「いや…ふつうに…立とうとしただけなんだけど…あはは…あるけないの、忘れてた…」

佐々木「あ…」

佐々木「ご、ごめん」

ハルヒ「あはは!なに謝ってんの?いーのよ!」

あははと笑う涼宮さんは、なんとなくとても悲しそうに見えて…

佐々木「涼宮さんは…もう、そとでても平気なんだっけ?」

ハルヒ「おん?…うん、平気だけど?」

佐々木「なら!カラオケいこう!」

ハルヒ「うぇ?」

佐々木「ね!ひまでしょ?」

ハルヒ「で、でもあたし、車イス…」

佐々木「僕が押すよ!」

ハルヒ「あ、あう…」



カラカラカラ…

佐々木「だれか、誘う?」

ハルヒ「んー?誘いたいの?」

佐々木「アスカさんとか…キョンとか」

ハルヒ「ふぇっ!?」

佐々木「え、いや?キョン」

ハルヒ「ちちち、べべべべっ、別に!」

佐々木「じゃあいいよね?くっくっくっ」

ハルヒ「あ、あいつがあたしの歌声きくなんて百万光年はやいのよ!」

佐々木「くっくっ…それわざとかい?」

ハルヒ「なっ!?」

佐々木「くっくっ…」



佐々木「どうだい?キョン。……うん……うん。ほんとうか!じゃあ今から駅前のーー」

ハルヒ(きょ、キョンがくるっ…)どきどき

佐々木「これるみたいだよ」

ハルヒ「ふぇっ!?…え、ええ。わかってますわよ」

佐々木「口調変わってるよ?」

佐々木「アスカさんもくるし、4人でカラオケかぁ…たのしみ」

佐々木「キョンのこと…僕の歌声でメロメロにさせてみせるよ」

ハルヒ「な、ぬゎ、ぬゎんですってぇ!?あっくううぅ…」ずきん、ずきん

佐々木「ああっ、むちゃくちゃするからー」

ハルヒ「あうー…」

佐々木「まったくもう…」

キョン「おっす」

アスカ「ハローォーウ。ハールヒ!さっさきちゃん!」

佐々木「!?な、なんで二人で来たのさ!?」

ハルヒ「ことと場合によっちゃあ…」

キョン「ちょ、まてまてまてまてまてぃ!俺はただ途中でアスカに会ったから…」

アスカ「ひぐっ…ぐすっ…」

キョン「なっ!?」

アスカ「こいつに…ひっ…穢された…!」

佐々木「!?キョン!僕というものがありながら!?」

ハルヒ「あ、ああ!あんたねぇええええ!」

キョン「ちょ、うおっ!誤解だああああ!」




カラオケボックス
歌公園

~♪

キョン「やめとーけとーゆーべーきかーどーぜとろーだろー」

キョン「へんじーなどーきいちゃーいねー。むだにはしるなよー」

アスカ「な、なんて無気力な歌なの…」

~♪

アスカ「きみがーいないとーなんにぃもーできないわけぇじゃなーいとー」

アスカ「やかんを、ひにーかーけたけどーこうちゃーのありかーが、わっかぁらないー」

ハルヒ「…うっ…」ぽろぽろ

佐々木「98点…だと…!?」

~♪

ハルヒ「とっまれー!あすはじーぶーんのーもーのっ!」

ハルヒ「とーぜんだーれにーもとーめられたくないー!」

ハルヒ「な!ぜ!なら!」

アスカ「選曲いちいちかわいいわよねぇー」

佐々木「で、では…」



ゥーーーイェイ!

佐々木「あーれれーおかしいなこのーどーきどきーはーっきみのーむねのなかってあっふーれだすぅー」

キョン「!?」ぶっ!

ハルヒ「な、なによきったないわね!」

アスカ「かわいーうたねー」

佐々木「ほーろーりーこぼれたっなーみだーさっくーらんぼ!もーっとずっ!とーぎゅーとしーててー」

キョン「さ、佐々木…」

キョン「98.79とは…」

キョン「俺は…」

69.34 もうちょっとがんばろうね!

キョン「…うっ」ぽろっ

キョン「…こうなったら……!」

~♪
ぽんっぽんっぽんっ

キョン「それでは、ココロを込めて歌います」

パララ~パ~パーパパ~パーパー

キョン「聞いてください…」

パー、ぱーぱーぱーぱー

キョン「ハレハレ、ユカイ」

キョン「なぞなぞーみたいにー」

佐々木「こ、これはこれでいいのか?いろいろと…」



キョン「くっ…」

58.46

キョン「なんでだっ!なんでだっ!ちくしょう!恨むぞ杉ピーー」

佐々木「ちょ!ストップ!ストップストップ!」

~♪


ハルヒ「むげーんだーいなーぁゆぅめのーあとのーっなにもーないよのなかじゃあーっそーさいーとしいーっ
    おもいもまけそーにーなるっけどーぉ」

キョン「懐かしいな…」

ハルヒ「でしょ!?あ、がーちなーイメージだーらけのーたよりーないつばさでもーっきーぃととーべるさぁー」

佐々木「僕は無印が一番好きだったよ」

ハルヒ「おーーーんまーーーーいらーーーーーーーぶ!」

キョン「うっそ?俺02派」

佐々木「あー…ぎり許容範囲」

キョン「おお、よかった」

~♪

アスカ「どんなときも、どんなときも、
    僕が僕らしくあるぅためにぃーすぅきーなものはすぅきぃとー言える気持ちー抱きしめてたい」

キョン「アスカほんとうまいよなぁ…」

アスカ「どんなときも、どんなときも、まよいさがしつづけるーひびがぁーこーたーえーになるーこぉと、
    ぼくはしぃてるぅかぁらー」

キョン(アスカが歌うとなんか…生々しい…)


~♪

キョン「ちょ!?」ぶばっ!

ハルヒ「きったないわよ!」

モニターを見ると、

G O N G

キョン「さ、佐々木…」

佐々木「くっくっくっ…」

佐々木「キョンも、手伝ってね!」ぽいっ

キョン「うおわっ!?」

キョン「な、なんでおれが!」

アスカ「ひゅーひゅー」パチパチ

ハルヒ「待ってました!」パチパチ

キョン「おまえらな!」

佐々木「むぅねにぃ…こーみあげーてくー!あーつく、はげっしーいーこっのー!おもいー!」

佐々木「ぼーくら!は!ゆくーさーいごのーばしょへー!てーをとーりーあいーちかいーあってー」

アスカ「おお、かぁっこいいー」

ハルヒ「いいわ…!あたしこういうの好きよ!」

キョン「あ、あ、あれ?お、おれは!?」

佐々木「もーしもー!ちーからつーきてー!どおーしーのーやーいばーくっだーーけてもー!はい!キョン!」

キョン「こ、ここかっ!?
    ぼ、ぼくらはーもーにどーとーもーどーらーーないーとーおいーぎーんがーのうーみにーちろおー(裏声)」

佐々木「ふっりーむーくーなーっ!!」
キョン「ふっりーむーくーなーっ(裏声)」

アスカ「な、なさけない…」

ハルヒ「まったくね…」

佐々木「ぼ、…ぼくが…93点以下…」ずぅん…

キョン「す、すまん…佐々木……」

キョン「くっ…こうなったら…」

キョン「ちょっと電話してくる!」

ハルヒ「だれにかしら…」

佐々木「あ、僕トイレ」

アスカ「いってらっしゃーい」

キョン「ただいまー」

ハルヒ「あら、だれに電話?」

キョン「男が少なかろう?だから、長門とシンジと古泉を呼びつけた!」

ハルヒ「おお!もりあがるわよー!」

アスカ「あのバカシンジがどれだけうたえるのか…たのしみだわー…!」




歌公園
トイレ

佐々木「……くぅ……」ずきっずきっ

佐々木「っ…はぁっ……げっ…」ぼたぼたっ

佐々木「いったぁ……」

佐々木(でも…まぁ…だいじょぶだろ)




シンジ「お、あったあった」

古泉「ここですかぁ…どうも、お邪魔しますよ。んっふ」

長門「……」

ハルヒ「はいはい!座った座った!」

佐々木「ただいまー…ってうわっ!?増えてる!?」

キョン「俺が呼びつけたんだよ。楽しいだろ?このほうが!」ウィンク!

佐々木「ま、たしかに…」ウィンク!

アスカ「んー?」

アスカ「あんた、顔青いけど…平気?」ひそひそ

佐々木「ふぇっ!?は、ああ、だ、だいじょうぶさ」ひそひそ



その頃…

みくる「あー…ピカチュウでないなぁ…むにゃむにゃ…な、なんで!?
    ……どうして…トキワの森にデオキシス……すぴー…」




シンジ「じゃあ、…いきますね…えへへ…」

あーーああーあーあーあーあーあーあああ
パキッ
あー…あー…

シンジ「あおきっひっかりをっともっすそれはっはーかい、そしてそーせいーげーしゅぺんいえーが(地声)」

キョン「お、俺よりヘタだ…」

ハルヒ「あんたとどっこいどっこいよバカね」

~♪

古泉「んっふ!どこからっせっつーめいっしまっしょーおぅかー…かわりゆっくっげんっじっつのーなーかでー…」

キョン「う…うめぇ…」

アスカ「な、なかなかね」

佐々木「ご、ごくり」

キョン「…ふっ。やってやれ!佐々木!」

佐々木「うん!…シンジくん!古泉くん!」ぽいっぽいっ

シンジ「ふぇ?」

古泉「おや」

佐々木「さぁ、ともに歌おうか。夢と浪漫に満ち溢れた此の歌を!」

SKILL

古泉「んっふ…」

佐々木「どうしたんだい?笑ったりして…」

古泉「JAMPROJECTですか…と思いましてね」

佐々木(これは、知らないのか!?これなら…恥を…)

古泉「大好きですよ」にやぁ…

シンジ「あ、僕も好きだよ!」

キョン「なん…だと…」

古泉「いきますよっ!シンジくん!」

古泉「オゥイェイ!」

古泉、シンジ「ウォーオーオ、オーオーオオーッ!ウォーオーオ、オーオーオオーっ!」

古泉「おぅまえのぉゆぅうき!たぁかぶるぅときぃい!うぅんんめいのどぅあぁひぃらぁかぁれぇる!」

こ、古泉が野太い声を出してやがる…!?しかもうめぇ!

シンジ「そぉれは、よーあーけかーとーわのーやぁみかーっ!はーがーねーのこぶーしーにーきけーっ!!」

シンジはシンジで、さっきとはうってかわってくそうめぇ!

佐々木「くっ…はぁるぅかぁなー…おっおーぞーらーにぃ…ひっかぁりーのーやーをーーはぁなつんだっ!」

シンジ「Icanfly!」ッヘイ!

古泉「YOUCANFLY!」ッヘイ!

佐々木「WECANFLY!!」ッヘイ!

三人「mottomotto!」

ハルヒ「か、かっこいいーっ!!」

--

じゃーん…

キョン「お、思わず聞き入ってしまった…しかし」

なんだったんだあの不思議空間は…カラオケの機械じゃ無いとこからッヘイって…
モットモットー!も、確実に三人の声じゃなかったぞ…

佐々木「お、おもわず…全力を…だしてしまったよ…はぁ、はぁ」

古泉「こちらこそ…はぁ…楽しかったです」

シンジ「あんな大声…はぁ…めったにださないから…つかれた…はぁ、はぁ、」

長門「……」

~♪

長門「そーんざいがーかっわーるほーどのー」

キョン「うおっ!?長門もうめぇ!?」

ハルヒ「ヘタなのあんただけじゃない」

キョン「うそだぁぁぁぁぁ!」

ばたんっ

「え?」

その場が凍った。



佐々木が、倒れた。



キョン「あ、お、……さ、佐々木!!!」

俺はすぐに駆け寄り、抱き起こす。

キョン「佐々木!佐々木!!」

佐々木「あっ……つー……だいじょぶだよ……げっ……えっ…」ごぽっつー

くちから血が滴り落ちる。
どこがだいじょうぶか!

佐々木「あっつー……あはは…ちから…いれすぎたようだね…くっくっぐぷっ…げっ」ごぽごぽっ

抱きかかえる俺のシャツの腕の部分が、口からこぼれた血で染まる。
佐々木…




ネルフ本部
治療室

リツコ「呆れた…」

全員「すいませんでしたー…」

佐々木「あ、あはは…あいてててて」

リツコ「あなたもあなたよ!!」

佐々木「ふぇっ!?」

リツコ「大腸切れてるっつってんのに!カラオケ行くバカがどこにいんの!」

佐々木「ふ、ふぇ…ご、ごめんなさい…」じわ

リツコ「!?」

佐々木「だって…ハルヒと…カラオケ……はや…はやく……いきたかっ…ひぐっ…」

リツコ「い、いい、わ…ご、ごめんなさい、いいすぎたわ…と、とりあえず安静にしていなさいね!」

佐々木「ひ、ひぐっ…」ニヤ…

キョン「策士め…」

佐々木「あいたたたた…」

キョン「なんでだ、もう結合はすんでんのかと…」

佐々木「いや…はやく行きたくてね…カラオケ」

キョン「そうなのか…」

キョン「しかし、どうしておまえ…もしや…」

キョン「アニオタ…か!?」

佐々木「……まさか…人より少し、アニメに詳しいだけだ…」

キョン「うわぁ」

佐々木「ひ、ひくなよっ!」じわっ

キョン「だ、だまされんぞ!!」

佐々木「ひっ…ひぐっ…ふぇえええええええん!」ぼろぼろぼろぼろぼろ!

キョン「んぬぉっ!?」
キョン「う、嘘泣きだろう!」

佐々木「ひ…ひが、ひがうもん…!キョンに…きらわれ……ひっ…ふぇえ…」

キョン「き、嫌っとらん!嫌っとらんから!」

佐々木「ほんと?」にこっ

キョン「こ、このっ…」

佐々木「あ、いたい!いたいいたい!おさないでおさないでっ!あんっ!」

キョン「こんの、このこのこの!」

佐々木「あいたたたたたたっ」

キョン「よし、許してやる…」

佐々木「はぁ……はぁ……死ぬかと……」

キョン「嘘をつけい!」

佐々木「ガチだよバカ垂れが!」
佐々木(そ、それよか…きわどいとこくすぐるんだから…)どきどき

キョン「んあ?顔赤いぞ?」

佐々木「なんでもないよバカ垂れ!」

ウーーーッウーーーーッウーーーーッ!

キョン「!?…使徒?」

佐々木「みたいだね…あたたた…」




ミサト「状況は!?」

日向「使徒!第三新東京市上空に出現!」

ミサト「なんて早い!スパンが早すぎる!まだみんな万全じゃないわよ!?」

日向「あ!使徒!ジオフロントに向け攻撃!第16装甲板まで融解!ゼロエリアに侵入します!」

ミサト「くっ…いままともに出れるのは…レイとアスカと…キョンくんは…びみょいわね…」

ミサト「よしっ!レイを、ダミープラグをバックアップに初号機に!アスカは弐号機で!総員!第一種戦闘配置!」




キョン「っく…乗らずに待機だなんてっ…!」

ハルヒ「不甲斐ないあたしたちがわるかったのよ…」

佐々木「アスカさんを信じよう…あと綾波さん…」

シンジ「アスカ…っ!」

ドゴォン……ズガァアッ!!

日向「使徒!装甲板を全て破壊!来ます!」

アスカ「ふん…みんなのんびりやすんじゃってさー…」

アスカ「ま、いいわよ。休んでなさい」

アスカ「あたしに任せて、あんたらは養生したらいいわ」

アスカ「キョンや、…シンジなんかがっ!!いなくったってええええええ!」

ガッ
ガッ

パパパパパパパパパパ…

ぬうっと姿を表した使徒は、あたしがうったバレットライフルに気づくと、みゅんと空気を歪ませてATフィールドを展開した。

ガキッカキンカキン!

マヤ「なんて強力なATフィールド!相転移空間が視認できます…!」

ミサト「くっ!アスカ!バズーカを!」

アスカ「言われなくったって、やったるわよぉおおおお!」

バシュンッバシュッバシュシュンッ

ひゅるるるるるるる

ズンッ!

爆煙で…敵が見えない…!

アスカ「くっそ……え」

ものすごいスピードでなにかが近づいた気がした。
それは、私のすぐ隣を通り過ぎ、後ろでガンガンと音を立てて地面に突き刺さった。

アスカ「あ…え…」

それは、使徒の腕だった。
爆煙から顔をだした使徒は、その紙のような腕をしゅるしゅると戻してゆく。
そこではじめて気付いた。

ずっ……ずずっ、どっ…ずん……

ブシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…

アスカ「あっ、ひぃっ……ああああああああああああああっ!」

痛い。
すごく。
でも、みんなが期待してる。あたしに。
負けてらんないの。

あたしの、居場所。
エヴァに乗っているときだけ与えられる、栄光。
あたしには、それしかない。

アスカ「ひっ……ひぐ……」

痛すぎて、泣けてくる。
くっそぉ、情けないなぁ。

負けてられない。
痛さなんか、知らない。
勝つために、戦え。

あたしの、居場所と、名誉と、仲間を守るために。
戦え。

アスカ「こんっんんのおおおおおおおおおお!」

ミサト「あんのバカ!!神経接続解除!急いで!」

日向「は、はい!」

ドフンッ!

ひゅんひゅん…

ガドンッ!

弐号機の頭が胴から離れて地面に落ちる。

アスカ「あ、ああ…」

くっそ

アスカ「頭……ついてるわよね……」

くっそ

アスカ「ちくしょう……こんな……」

がくんと止まった弐号機など、気にするでもなく、使徒は進む。

アスカ「くっ……くっそ……おぉ…」




ゲンドウ「初号機は」

マヤ「ただいま、第一次接続を完了。パルスを喪神します」
マヤ「!?パルス逆流!初号機が、レイを拒否しています!」

ゲンドウ「…リストマルマルからもう一度」

マヤ「…ダメです!」

ゲンドウ「…くっ……零号機パイロットを零号機に乗せて出撃。初号機はダミープラグで再起動」

マヤ「で、ですが!」

レイ「構いません」

マヤ「レイ!?」

レイ(私が死んでも…代わりはいるもの)

古泉「……」じーん

長門「…うっ…」ぽろっ

キョン「うおおおおおあ、生!生!」

佐々木「か、感動するね…」

ミサト「?」

キョン(しかし…)

A801に俺たちが帰還するための鍵があるのなら、A801を起こすためのフラグが必要。
絶対条件として一つ上げるなら、ここで初号機が、S2機関を取り込むのは絶対条件。
しかし、シンジは戦意喪失するでもなく、ただの怪我。
これには、シンジの戦意昂揚が必要だが、シンジは…

シンジ「綾波……」

戦えるなら戦いたい…といったところか。
どう火をつける…?
……どうするか…。

……嘘をつくようで、利用しているようで気が進まない。
すまん。
シンジ。

キョン「シンジ、ちょっとこい」

シンジ「え?」




ネルフ本部
男子更衣室

シンジ「な、なんだよ。突然」

キョン「お前、男として恥ずかしくないか?」

シンジ「…はぁ?」

キョン「俺は恥ずかしい」

シンジ「だ、だから、なんの話なんだよ」

キョン「戦いを、女の子に任せて、俺たちは高みの見物か」

キョン「戦いは、男の仕事じゃなかったか?」

シンジ「で、でも、ミサトさんが…」

キョン「ミサトさんがじゃねぇだろう!ここで動かねぇでどうする。アスカだって死ぬとこだったんだぞ。
    綾波も、見殺しか?」

キョン「男が動かないでどうする」

キョン「意地があんだろ。男の子にはよ」

シンジ「…………うん」

キョン「お前はプラグスーツ無しでシンクロできるだろ。俺はサポート無しだとかなり辛いからな。
    着替えてから行く」

シンジ「…うん」

キョン「じゃあ、行け。綾波を助けてこい」

キョン「俺もすぐ行く!それまで……任せたぞ」

シンジ「……おお!任せてよ!」


騙してる気がする。
けど、しょうがないんだ。
許してくれ。シンジ。


ゲンドウ「くそっ!」

ゲンドウ「私を…拒絶するのか…」

ゲンドウ「ユイ」


ミサト「!?シンジくん!どういうつもり!」

シンジ「僕が初号機のパイロットです!」

シンジ「僕が、僕が行きます!」

ゲンドウ「……シンジ」

シンジ「はい!」

ゲンドウ「……行ってこい」

シンジ「…はい!!」


ミサト「あっ…レイ!?」

だむっだむっだむっ

マヤ「あれは…N2地雷!?」

ミサト「まさか……自爆する気…?」

ミサト「レイ!!」

シンジ「!綾波!」

シンジ「はやく!はやく!」


レイ「……」

私は……ただの模倣品。
いくらでも代わりのいる、量産品。

だむっだむっだむっだむっ

私の心のすきまには、いつも司令がいた。
けど、いまはどうだろう。
…わからない。

レイ「…ふっ…く!」

マヤ「ダメです!ATフィールドが強すぎます!」

ぐ……ぐぐぐ…

マヤ「零号機!ATフィールド侵食!」

いまは…
だれがそこに居るだろう。
だれも…いない?

…誰かが、居る気がする。
でも、どうなんだろう。

バチンッ!

マヤ「零号機の左腕!ATフィールド破壊!」

マヤ「あっ…!」

バシュッ!

マヤ「コアが…!」

ダメ…か。
私は…私の心は…
どうだったんだろう…

「綾波!!」

レイ「!?」

後ろを振り向くと、そこには、碇くんがいた。

レイ「に、逃げてぇ!」

シンジ「っ!逃げられないよ!逃げたら、逃げちゃ、ダメなんだ!」

レイ「バカ…ね…!N2地雷に巻き込まれるわよ!」

シンジ「それは綾波も同じだろ!!はやく、こっちへ!」

レイ「碇……く」

ふっと、初号機の方へ向こうとしたけれど。
ダメね。もう、遅い。

レイ「あ、」

気付いた。
私の心のすきまには、いま…………


ズッ

ドオオォォォン……

シンジ「くっ!?あ、綾波!綾波!」


シンジ「くっ……そおおおぉぉぉぉ…」

どうして、こう、いつもいつも!
なんで僕は、行動が遅いんだ…

綾波!
…返事はしない。

爆煙の中から、使徒がぬっと出てくる。
お前が。お前が。
お前が…

シンジ「うああああああああああああああああああああああ!!」

全力で使徒に飛びかかる。
思い切り頭を掴み、ひねり上げようとする。
しかし、

ビカッ!

バシュウッ!

ひゅん、ひゅん、
ドスッ

シンジ「う、あ、あああああああああああああああああああああああ!!」

マヤ「初号機!左腕断裂!」

ミサト「シンジくん!!」

シンジ「うっ…ぐ……」

腕が…痛い。
けど、アスカはもっと痛かった。
綾波はもっと痛かった!

シンジ「こおおおおなっっくっそおおおおおおおおおおおおおおお!」

僕は使徒に対してマウントを取っていたので、このまま攻撃はできる。
許さない。
許さない許さない許さない許さない許さない許さない!

シンジ「おおおおおおおおお」

顔の辺りをがんがんと右手で殴りつける。
光を帯びる目にも、思い切り腕を叩きつけると光は止まった。

シンジ「このっ!!このっ!!くぉのっ!このっ!このっ!」

ガンッ!ドカッ!バキッ!ガスンッ!ガンッ!

シンジ「うううううううあああああああああああ」

ぐいぃと使徒の顔を引き伸ばす。
このまま…千切れろ…!!

ふっ

初号機の力が抜けた。

シンジ「え…?」

エントリープラグの中が暗くなる。
初号機…初号機が…!?

マヤ「し、初号機……内部電源……切れ……ました……」

ミサト「シンジくんっ!?」

シンジ「お、おい!!動け!!いま、いま動かないでどうするんだよ!!動け!動けよ!」

がくんと落ちた初号機を上から振り落とし、使徒が立ち上がる。
初号機は倒れ、地面に倒れこむ。
すると使徒は、その紙のような腕で初号機の胸を叩きはじめた。

ガッ!ガツン!ゴッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!

しばらく叩かれていると、胸から赤いものが露呈する。エントリープラグ?
ついに、その赤い物にも亀裂が入りはじめ、画面のモニタもぴしぴしとひび割れる。

ミサト「あ、あれって…」

リツコ「使徒の…コア?」

ピシッ!ピキッ!バキッ!ピシッ

シンジ「くそっ!動け!動け!動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け!うごけぇええっ!!」

どくっ

どくんっ
どくんっ

静寂。
音が聞こえなくなる。
無。
だんだんと周りが暗くなる。
なにかに、包まれて居るような、飲み込まれて行くような。
静寂の、音すらしない。
ただの、無。

どくんっっ!!

ギャリリリイイイイイイイイアアアアアアアッ!!

使徒が伸ばした紙の腕が裂けてゆく。
初号機は、ただ手をかざしただけだった。

ミサト「え……どう……して…」

リツコ「ぼ、暴走…!?」

マヤ「な、なにこれ……シンクロ率が!よ、400%を超えています!」

ミサト「なんですって!?」

バキッ

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……

キョン「…きた!」

彼女が目覚めた。
いまは、感動に浸ってる暇はない。
覚醒した彼女を止めるには、かなりの被害を被る。
それを止めるのが。
俺だ。

キョン「長門」

長門「なに?」

キョン「起動準備。こっそり頼む。古泉も。頼んだ」

長門「了解した」

古泉「アイアイ、マム」

俺が、止めてやる。シンジ。
俺が、掬ってやるよ。

初号機は、使徒の腕をぐいっと引き、そのまま使徒を引き寄せた。

引き寄せた衝撃で使徒に、角で目潰しをする。
ずぶりと差し込まれた角は、使徒の目にめり込んで、使徒の目からは血が垂れた。

ヴオォォ…

カアッ!

初号機は腕をひきながら、思い切り使徒を蹴り飛ばした。
すると、使徒の紙の腕はあっさりと引きちぎれた。

初号機はゆっくりと千切れた使徒の腕を、断裂した左腕の、切れた部分に押し当てた。
初号機は、歯を剥き出しにしてぐるぐると唸った。

ヴオォォオオオォォォ……!

ぶしゅぅうううううう

みるみるうちに、左腕が復元されてゆく。
初号機が、使徒の腕を取り込んだのだ。

マヤ「初号機…左腕!復元!」

ミサト「使徒の腕を取り込んだの…!?」

リツコ「凄まじいわね……」



スイカ畑

加持「彼女の覚醒……ゼーレがだまっちゃいませんぞ…司令」



ネルフ本部
司令室

冬月「目覚めたな…」

ゲンドウ「……ああ、全ては」

ゲンドウ「ここからだ」



フッ…フッ…フッ…フッ…

まるで獣のような初号機の息遣い。
初号機はそのまま、体勢をゆっくり落とし、四足歩行で使徒に近づいた。

どたばたと音を立てて走り、使徒のそばに来た初号機。
使徒は、腕を取り込んだもがれた痛みからか、少しぐったりとして倒れていた。

ヴルルルルルルルル…

初号機は使徒の頭の方に回り、右腕を振り上げてから、思い切りその腕を振り落とした。

カオッ!

ずちゅっ

嫌な音のあと、使徒の顔が歪んでいたのが見て取れた。
使徒は少し体を起こして、目から光線を放とうとするが、ぱちくりと初号機がまばたきをした後、あっけなく顔ごと潰された。

ぶちっ…ずちっ…ぷちゅっ

ゆっくりと、初号機の手によって使徒が崩されてゆく。
血が舞い、肉片が空を飛ぶ。
それを顔に浴びた初号機は目を少し細めて、使徒を睨んでから、



崩れた使徒に顔を近づけた。



ヴルルルルルルルル…

ガッ…ガツッ…バリッ…ばちゅっ…ずちゅっ…ずりゅ…ぷちゅっ…じゅるっ

初号機は、使徒を食べていた。
音を立てながら、それは美味そうに。

ガツッ…ぶちゅ…ぶちちっ…ずりゅ…ずりゅりゅっ…
ぷちっ…くっちゃっ…くっちゃっ…

ミサト「し、使徒を…喰ってる…!?」

マヤ「うっ……げぇっ…」ぼたたっ…

リツコ「私達は…」

初号機は立ち上がり、吠えた。

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン…
ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……

リツコ「なんてものを呼び起こしてしまったの」

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!

バキンッ!バキャッ!ボンッ!

初号機の筋肉が膨れ上がり、それにあわせて
初号機の装甲板が剥がれて行く。

ミサト「装甲板が!?」

リツコ「あれは装甲板なんかじゃないわ」

リツコ「人間では抑えきれない力を、科学で抑えるための、拘束具なのよ…」

ミサト「…!これが……エヴァ…!」

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!
ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオゥウッッ!?

ガンッ

叫ぶ初号機が、ふっと消えた。
消えたそこには、四号機が、砂煙にまぎれて立っていた。

キョン「……悪いな。シンジのお母さん」

キョン「シンジを」

キョン「返してもらうぜ!!」

四号機が、初号機にむかって走りだした。

キョン「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

俺が、止めてやる。
友達としてな。

ざっと俺が地面に足を擦り付けてスピードを緩める。
しっかり踏みしめて止まり、初号機と向き合う。

だらんと腕を落とし、体勢の低い初号機。
俺はプログナイフを取り出し、自分の前で構える。

二機のエヴァが向き合い、互いに相手を見据える。
初号機は目を細めて、こちらに突進して来た。

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!

キョン「一筋縄じゃ返してくれませんかね。お母さん」

キョン「なら」

キョン「すいません。殴ります!」

四号機も、走った。

ミサト「ど、どうしてキョンくんが…!?」

古泉「命令、及び許諾無しのエヴァ独占。さらには独断専行。大変、申し訳ございません」

長門「私達も共犯」

ミサト「あ、あんたたち…」

古泉「どうしても、友人を止めたかったので」

長門「本当に、すいません」ぺこっ

ミサト「はぁ……」

ミサト「いいわよ。大丈夫」

ミサト「聞こえる!?キョンくん!」

キョン「ええ!その麗しい御声!聞こえない、うわっと!訳、ないじゃないですか!」

ミサト「よろしい。初号機をそのまま、絶対に」

ミサト「止めなさい!」

キョン「アイアイ!!マム!!」

キョン「ううおおおっ!」

迫り来る初号機を、右足をあげて、頭を踏みつけて止める。
びりびりする。いってぇー…

内部電源のオフはない。
S2機関か、厄介だなぁオイ。

キョン「食らえ!」

プログナイフを初号機の腕に突き立てようとするが、初号機は俺の体を吹っ飛ばして空中に浮いた。

キョン「うわぁおっ!?」

使徒の開けた穴から漏れる光が、初号機で遮られる。
そのまま逆光で、目だけが光って見える初号機が、俺の上に降ってきた。

ガンッ!

キョン「くっ…いって…ぬおっ!?」

初号機は、目と鼻の先にいた。

マウント、取られた!?

初号機は腕を大きく振り上げていた。

キョン「こりゃ…まずい」

ゴオオオッ

すごい音を立てて腕が迫ってくる。
マッハでも超えてるんじゃあなかろうか。
なんて無駄なことを考えている内にも、腕は迫ってくる。

ガンッ!

すんでの所で、俺は四号機の頭をずらして避けた。
あ、

キョン「あっっっぶねぇえーー!!」

キョン「くっそ!」ガッシャガッシャガッシャ!

動かない。
なんて強いんだよ…!

初号機は、今度は両手を組んで、振り上げていた。
これは、まずい…って!

フォン

降ってくる初号機の手。
避けきれな…


べちんっ


キョン「お……おお?」

初号機は、頭をだらんと下げ、目からは光が消えていた。


キョン「お、……おおおお…あ、し、しぬかとおもったぁぁー!」

なんとか、俺は初号機を止めることができた。



ゲンドウ「し、シンジ…」だらだらだらだら

冬月「もう終わっとる。汗を拭け。馬鹿者」

ゲンドウ「シンジ…」ぼろぼろ

冬月「もう終わっとると!ああ!拭け!面子が!」



ミサト「…なんなのよ…これ……」

リツコ「これが…シンクロ率400%の正体…」

モニターには、初号機のエントリープラグが映し出されていた。
そこには、シンジの姿は無かった。

キョン「実際にみると…やっぱりこええな…」

古泉「あなたが…こうなることも、あり得ましたからね」

キョン「…寒気がするぜ」

古泉「まったくです」

キョン「…戻ってこいよ。シンジ」




ミサト「…では…?」

ゲンドウ「ああ、委員会の別名あるまで、初号機は凍結。性急に、初号機パイロットを再生しろ」

ミサト「…できるのですか?」

ゲンドウ「詳しくは赤木博士に聞くといい。では」

ミサト「はっ!」

ごうんっ
ごんごんごん…

ゴウン…ゴウン…

ゲンドウ「……」

冬月「……」

ゲンドウ「ねぇねぇ、シンジ、無事かなぁ」

冬月「し、しらんわ」

ゲンドウ「シンジ…」じわ

冬月「ええい!いい大人が泣くなっ!」あせあせ




ミサト「初号機パイロットの、強制サルベージ?」

ミサト「なにそれ、成功すんの?」

リツコ「さぁ……まだわからないわね」

ミサト「なんなのよ…それ…」

リツコ「まっ。最善は尽くさせてもらうわ」

ミサト「……おねがいね」

ゴファッ
ゴファン




加持「いやはや…この展開は予想外ですなぁ」

加持「委員会…いいえ、ゼーンの方にはどういいわけするつもりです?」

冬月「初号機はあの時、我々の制御下ではなかった。これは、不慮の事故だよ」

ゲンドウ「よって、初号機は凍結。委員会の別命あるまでは……だ」

加持「適切な処置です。しかし」

加持「ご子息を取り込まれたままですか?」

ゲンドウ「……」ガタンッ!

加持「!?」びくっ

ゲンドウ「…私は…その方が……心配で…」ぽろっ

加持「ちょ、お、おお、落ち着いて…」

冬月「はぁ……」




マヤ「エヴァ弐号機、零号機の損傷は、ヘイフリックの限界を超えています」

リツコ「そう……時間がかかるわね」




第七ケイジ

ミサト「これで…本当に平気なんでしょうね。こんな拘束具で」

日向「内部に、熱、電子、電磁他、科学エネルギー反応無し。S2機関は完全に停止しています」

ミサト「……にもかかわらず」

ミサト「この初号機は…動いてきた」




とある施設…

「エヴァシリーズに生まれ出ずるはずないS2機関」

「まさか使徒を喰うことで取り込むとはな」

「我らゼーレのシナリオとは大きく違った出来事だよ…」

「この修正。容易ではないぞ」

「碇ゲンドウ。あの男にネルフを与えたのがそもそもの間違いではないのかねぇ?」

「だが、あの男でなければ、全ての計画を遂行することはできなかった」

「だが事態はエヴァ初号機だけではない」

「左様。零号機と弐号機の大破」

「ゼロエリアへの使徒の侵入。及び装甲板の融解」

「被害は甚大だよ。我々がどれほどの金と時を失ったのか、検討もつかん。
 これも碇の首に鈴をつけておかないからではないかね」

「いや、鈴はついていた。ただならなかっただけだ」

「だがならない鈴に意味はない」

「今度は、鈴に働いてもらうとしよう」




マヤ「ダメです。やはり、プラグ排出信号受け付けません」

古泉「予備と擬似信号も拒絶されていますね…直轄回路も繋がりません」

ミサト「…ねぇ…エヴァって…なんなのよ。なんで、シンジくんがこんなふうになるの…?」

リツコ「……エヴァは…人の作り出した、人に近い形をした物体。としか、言い様がないわね」

ミサト「人が作り出したですって?あの時南極で拾った物をコピーしただけじゃない。
    オリジナルが聞いて呆れるわね!」

リツコ「ただのコピーとは違うわ。人の意志がこめられているもの」

ミサト「はぁ!?これも誰かの意志だっての!?」

リツコ「あるいは、エヴァの…」

ミサト「…!」

パシンッ!

ミサト「呑気なこといってんじゃないわよ!!どうにかしなさいよ!どうにかできるんでしょう!?」

ミサト「あんたがつくったものでしょう!最後まで!責任持ちなさいよ!!
    そんなどっか雲の上から物いってるような態度してんじゃないわよ!」

リツコ「……」




ネルフ本部
緊急治療後療養室

ここは…
病院…?

……私…生きてる…

……あのとき…碇くんは……


レイ「……碇くん…」



アスカ「はぁ…」

あたし、なんにもできなかった。
なーんにも。
活躍、できなかった。

シンジにまで助けられちゃって。
なっさけないなぁ…

アスカ「……がんばれ…あたし…」



ハルヒ「……あたしは…」

あたしは、体調が万全じゃないからと、乗せてもらえなかった。
あたしは、戦えたのに。
あたしは、ただ、高みの見物。
だっさい。

体も
動かないし。

ハルヒ「あたし……ダメだなぁー…」




とある施設

「もし、ちゃんと鈴が鳴っても…だ」

「あの男を使うのはもう潮時だな。それに、碇のことだ。それくらいのことは、推察の範疇かもしれぬ」

「そろそろ、正鵠を射る我々の切り札に動いてもらおう」

「タブリス」

「我々のシナリオの要よ」

ごぽっ…こぽぽ…

「気分はどうかね」

「……胸糞悪いよ。老獪」

「また……貴様は自分の立場をわかっているのかね」

「わかってるとも。わからないわけないじゃないか。老獪」

「その呼び方をやめんか」

「ロートルのがいいかい?くっくっ」

「……」

「……で?次は僕。ってわけ?気乗りしないなぁ」

「文句をいうでない」

「左様。反論は許されないよ」

「はっ。老獪は死ぬかもしれないから急ぐんだねぇ?くっだらない」

「貴様……」

「まっ、いいよ。とりあえずは動いてあげる。でも、その後はしらないよ」

「あとはどうとでもできる。口答えするな」

「…ふん。老害が…」パシャッ




ここは…どこだろう。
エントリープラグの中に居たはずなのに。

誰かが…泣いてる。
僕が…泣いてる。

あれは…父さん…

「いかないで!おいてかないでよ!父さん!」

「我侭をいうな。伯父さんの所でいい子にしていなさい」

「かあ、母さんは!母さんはどこだよ!」

「お前の、後ろにいるじゃないか」

後ろを振り替えると、そこには、エヴァの素体があった。

かあさん?
ちがう。

ちがう。これは…。

「シンジ。これに乗って戦え。お前が乗るんだ」

い、嫌だ!!
なんなんだよ今頃!父さんは…父さんは僕がいらないんでしょう!?

……

母さんを殺したのは…父さんだ。

ゲンドウ「……」

なにつったってんだよ…こたえてよ!
父さんだ、父さんが殺したんだろ!!
よくも、よくも母さんをころしたな!!

よくも、よくも!!
よくも母さんを!!!

どすっ

ずるっ…ずるる…

え…と、父さん…父さん?
父さんの血で…水たまりが…
う、う、

うわぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!




強制サルベージ
第30日


「現在、LCL濃度は36を維持。酸素密度に問題無し」

「放射電子パルス。異常なし」

「波形パターンはB。各計測装置は、正常に作動中」


アスカ「結局…一ヶ月も帰ってこないでやんの」

ハルヒ「いい加減…心配ね…」

加持「よっ。お二人さん」

アスカ「お、加持さん」

加持「いよっ。やっぱ二人とも、シンジくんが心配かい?」

アスカ「そりゃまぁね」

ハルヒ「仲間だし」

加持「ははっ。そうかそうか。アスカはシンジくんが大好きだからなぁ」

アスカ「んなっ!?」

加持「違うのか?」

アスカ「ち、ちちち!ちがうわよ!」バシッ

加持「おっと!…ふふ。その意気だ。アスカ」

加持「確かにシンジくんが心配だが、きっと彼も戦って居ることだろう。おまえも、おまえで。がんばれ。アスカ」

加持「ハルヒもな」

ハルヒ「ふぇ?あ、はい?」

加持「じゃあな」

アスカ「……加持……さん?」




マヤ「シンジくんのサルベージ計画の計画書。たったひと月で作り上げるなんて。さすが先輩です」

リツコ「残念ながら、原案は私じゃないわ。10年前に実験済みのデータなのよ」

マヤ「?その頃ってエヴァの開発中ですよね?同じようなことが?」

リツコ「ええ。私の母が立ち会ったらしいわね」

マヤ「先輩のお母さんっていうと…マギシステムを開発した、赤木ナオコ博士ですよね?
   そのときの結果はどうなったんです?」

リツコ「……失敗よ」

マヤ「え?」

リツコ「実験は失敗。そして、碇司令が変わってしまったのは、たぶん。その時ね」



ゲンドウ「へっっきちん!!」ぶしゅうっ!

冬月「だから!口を抑えろと言っとろうが!」

ゲンドウ「シンジが私の噂をしているんだな…」

冬月「ありえんわばか垂れ」

ゲンドウ「……えっ」じわ

冬月「ああああ!」あせあせ



ミサト執務室

ゴファッ
ゴファン

ミサト「なにか、用?加持」

加持「なんだよ。つれないなぁ…用がなきゃ、来ちゃいけないのか?」

加持「ここの所、ずっとねてないし、喰ってないだろ。大丈夫なのか?」

ミサト「こんな時に…寝たりくったり…できるわけないでしょ?」

ミサト「……シンジくんの学校。調べたわよ。あのクラス全員がパイロット候補とはね。
    驚いたわ。どこまでネルフの手が伸びてるのやら」

加持「…堅い話はめしくってからにしないか。ほら。おまえの好きなマックのビッグマック」

ミサト「…あんたが簡単にべらべらしゃべるとはおもってないわ」

ミサト「人を滅ぼすアダム。どうして地下に保護されて居るの?」

ミサト「司令は、あれでなにをしようとしてるわけ?」

ミサト「人類補完計画って、いったいなんなの!?」

加持「葛城…。すこし、落ち着けよ」

ミサト「っ!落ち着け!?シンジくんがあんなふうになってるのに!?どうして司令もリツコもあんたも!
    そんなに冷静でいられるのよ!」

ミサト「ネルフの目的って、ほんとはなんっ---!?」

だきっ…

ミサト「なっ…!?なにすんのよ!!」

加持「少し、黙れ」

加持「ネルフのことは、少しでいい。忘れろ」

ちゅ……

ミサト「ん……んちゅ……んん……っ!」どんっ!

ミサト「なにかんがえてんの!?状況を考えなさいよ!!」

加持「ちょっとリラックスさせようとしただけなんだぞ?」

ミサト「んなことでリラックスできるか!!出てけ!」

加持「わ、わかったわかった!退散するって!……葛城」

ミサト「あん!?」

加持「俺の気持ちは…8年前からずっと変わってないよ。俺は…ずっと……」

加持「……」

ゴファッ
ゴファン




あれからどれくらいたったのかな。

…誰かがたってる。
…かあさん?

「おいで。シンジ」

「大きくなったわね……すっかり大人びて」

母さん…いままでどこにいたの?
寂しかったよ…

「ずったあなたをまってたわ…」

「もうなにも心配いらない…これからずぅっと、母さんと、一緒よ。シンジ」

僕は…
僕は、戻って戦わなきゃ。
使徒を、倒さなきゃ。

「もう、いいのよ」

え…

「あなたは十分頑張ったわ…身も心も…ぼろぼろ…」

「もう、ずっと、ここにいていいのよ…」




私は…私自身のココロがよくわからない。
私の中にはいつも、すきまがあった。

そこが、私を不安にさせた。
その不安を、そのすきまを、碇司令を想うことでうめられるようなきがした。

なのに、いまはそこに

碇くんがいる。

いつだって碇くんは、私達を助けに来てくれた。
私には…貴方が必要なの……

碇くん……

レイ「…戻って来て……」




「全探査針、打ち込み終了」

「電磁波形、ゼロマイナス3で固定」

ピピピピ…

マヤ「自我境界パルス、接続完了」

リツコ「了解」

リツコ「サルベージ!スタート!」

ハルヒ「……!」

アスカ(シンジ…!)

キョン「……気張れよ…」

佐々木「シンジくん…」

レイ「……碇くん……」

古泉「第一信号、送信します」

長門「エヴァンゲリオン。信号、受信。拒絶反応、無し」

みくる「つ、続けて、第二第三信号、送信しまぁす!」

日向「対象カテクシス。異常なし」

ミサト「シンジくん……」




シンジくん!

……ミサトさん…

ミサト「シンジくん…あなたの命はもう…あなただけのものではないわ…あなたはエヴァのパイロットなの。
    私達の未来は、貴方に託されて居るのよ…」

リツコ「そう、戦うのよ。いま、貴方を失うわけにはいかないの」

加持「そうだ。戦え。逃げては、いけない。真実から、目を背けるな」

ゲンドウ「戦え。人類の存亡をかけているのだ。臆病者はいらん」

アスカ「戦いなさいよ!あんたが戦わないでどうすんのよ!あたしたちはね!選ばれた人間なのよ!
    三人目の適格者のあんたがそんなんでどうすんのよ!」

キョン「そうだ…。お前は、まだ気張らなきゃいけねぇだろうに」

ハルヒ「とっとと!起きなさいよ!!」

古泉「戦いましょう。ともに」

長門「……起きて。そして、戦って」

佐々木「さぁ…」

アスカ「使徒を倒し」

ゲンドウ「サードインパクトから人類を救えるのは」

キョン「エヴァ、だけだ」

う、

うるさい!!いやだ!!いやだ!いやだいやだいやだいやだいやだ!
僕はもう、戦いたくない!
もう、いいんだ!僕は

僕は、ここに居るんだ!!!



ビーッビーーッビーーッビーーッ



マヤ「あっ!!ダメです!パルスがループ状に固定されています!!」

リツコ「なんですって!?全波形域を全方位で照射してみて!!」

マヤ「だ、ダメです!!」

リツコ「発信信号が…クライン空間に囚われてる…!!」

ミサト「ちょっと!!どういうこと!?」

リツコ「つまり、」

リツコ「失敗」

ミサト「!!」

ミサト「シンジくん!!」

「エヴァ、信号を拒絶!!」

「プラグ内圧力上昇!」

リツコ「!まずいわ!作業中止!電源落として!」

マヤ「だ、だめです!プラグ、排出されます!!」

ミサト「シンジくん!!」

ブシュウウアアアアッ!

バシャアアン!
ザバァアアー…

キョン「!!」

アスカ「っちょっ!?」

ハルヒ「シンジ!!」

レイ「…!!」

佐々木「ああっ!」

レイ(もう……戻らないつもりなの…?)

キョン「……」ぽん

レイ「あ、……キョン……くん」

キョン「安心しろ。シンジは必ず戻ってくる」

キョン「そのためにも」

キョン「強く…願え!」

レイ「…!」

レイ「碇くん……戻って来て…!」

アスカ「バカシンジ…!早く…帰って来なさい…!」

ハルヒ「シンジ……!!」

佐々木「シンジくん……戻って来てくれよ…!」

そうだ。シンジ。
こんなに思ってくれる人がいる。
なのに、逃げるのか…?
気張れ…!シンジッ!



誰かが…呼んでる…
誰かが……
涼宮さん?アスカ?キョン?佐々木さん?
ミサトさん?リツコさん?古泉くん?長門さん?
父さん…?
綾波……?



ミサト「…う…」ぼろぼろ

ミサト「人一人助けられなくて…何が科学よ…っ!返して!!シンジくんを返してよ!返してえぇっ…!!」



ザザァ…
ザーン……
ザザァーン……

ここは……
海……?

「セカンドインパクトの後に…生きてゆくのか。この子は。……この…地獄に」

「バカね……生きて行こうと思えば…どこだって、天国になるわ」

「だって、生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわよ」

「そうか……そうだな……。シンジ……」

あれは…母さん……と…父さん…?
走って抱きつきたいのに…
足が動かない。

ユイ「……」にこっ

ユイ「シンジ……」

シンジ「……母さん…」

二人が、こちらを見つめている。
僕は…動けない。

ユイ「いいのよ?こちらに来ても。足が、動かないの?」

ユイ「それとも、貴方が行きたいのは、私の所じゃなくて」

ユイ「その、無限に広がる海の向うなのかしら?」

ザザァ…
ザァーン…
ザザーン…

僕は……

ユイ「あなたがどこに行こうと、私はいつでもあなたをみてる」

ユイ「自分の進む道は、あなたが自分で決めるのよ」

ユイ「ほら、あなたを呼ぶ声が聞こえる」

ユイ「…行ってらっしゃい」

僕は…

シンジ「……いってきます」

ふっと目を離し、後ろの、ひろがる海に走り出す。
だんだん深くなって、足がつかなくなる。

しばらくして、全部。
僕の体は沈み、僕は、においのするほうへ泳ぎだした。

人のにおいのするほうへ。
綾波……?
ミサトさん……?




パシャァッン……




ミサト「し……シンジくん…?シンジくん…!!」

マヤ「先輩…!シンジくんが!!」

マヤ「成功ですよ…!」ぐすっ

リツコ「……私の力じゃないわよ…」


キョン「あのバカ野郎…やっと…帰ってきやがった…!」

ハルヒ「や、やったぁーー!」がたん!

アスカ「あの馬鹿…!…よかった…」

佐々木「あ、…はぁあ……!よかったぁー…!」

レイ「…う……よかった……碇くん……」

レイ「おかえりなさい…」

アスカ「って…ハルヒ……あ、あ、!」

キョン「え…ええ!?」


リツコ「子供達の力よ…きっと…」




「……」

シュボッ

カチンッ

その男は、喜ぶ彼等を尻目に、煙草に火をつけていた。

がさごそと胸ポケットを漁り、ネルフの職員カードを取り出した。

「…真っ赤だな……」

「まるで…血の赤だな…」




冬月「…息子の生還にも…面会無し…か」

冬月「本当に……私の前で以外は仏頂面で…」

冬月「はぁ……」

そう愚痴る冬月の背後に、不気味な影があった。




シンジ「あ、…」

また、知らない、天井だ。

ゴファッ

自動ドアを開けると…そこには綾波がいた。
僕は、なんだか気恥ずかしくて、どうしてかわからないけど、言葉が詰まる。

シンジ「あ、…綾波」

レイ「…起きていたの?」

綾波は少しきょとんとした、驚いたような顔をして、僕を見つめていた。

シンジ「う、うん…」

レイ「そう……これ、食事」

シンジ「あ、ありがと…」

レイ「それじゃ」

シンジ「綾波!」

綾波「?なに」

シンジ「……ありがとう」

レイ「?……なぜ?」

シンジ「え、…あ、どうしてだろう。なんとなく」

シンジ「綾波が、助けてくれた気がしたから」

レイ「……そう」

レイ「私は、またあなたに会えてうれしいわ」

シンジ「そっか…」

シンジ「ぼくも、また綾波にあえてよかった」

そういうと、綾波はくすっと笑った気がした。

シンジ「な、わ、笑った!?」

レイ「い、いいえ。笑って、ないわよ。…く」

シンジ「笑ってるじゃないか…」

レイ「あなたが戻って来て、嬉しいのよ。きっと」

シンジ「なんだよ…それ…」




次の日
学校

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「あん?」

キョン「…だめなのか?」

ハルヒ「…みたいねぇ」

どうやらあの時ハルヒが立てたのは、シンジの生還に驚いたことで、ショックが起こったことによる、
反射のようなものなのだそうで、やはりまともに歩くようになるにはリハビリテーションしかないとのことなのだが、
この前立てたということもあり、それに対する希望はとても強い物となったのだった。

以上、説明終わり。

ハルヒ「なにぶつくさいってんのよ」

キョン「いや?べつに?」

ハルヒ「ふぅん…」

トウジ「なんやー痴話喧嘩かいな?」

キョン「やかましい。お前はいいんちょといちゃこいてやがれ」

トウジ「はぁっ!?」

ヒカリ「なっ///////」

トウジ「ななっ、なんでやねん!!」

ヒカリ「はぁ!?こ、こっちのセリフよ!」

キョン「はっはっ。平和だねぇ」ずず…

ハルヒ「ど、どっから出したのそのお茶…」

シンジ「おはよ…」

アスカ「おっはよっ!!」

キョン「おお、きたなふたりとも。どうしたんだ今日は」

アスカ「ん?シンジが頭いたいってだだこねてさ」

シンジ「い、一日くらい…休んでもいいじゃないか」

アスカ「だめっ!」

シンジ「うっ…」

アスカ「あんたそんなんだからいつまでたっても友達増えない勉強できない甲斐性なしなのよ」

シンジ「ふっ……ふぇええええええん!」

アスカ「んなっ!?」

ガラッ

ゲンドウ「何事か!!」

冬月「よせばかたれ!すいませんみなさん…」

シンジ「そいえば、カヲルくんは?」

キョン「またひょっこりでてくんだろ」

ひょこっ

カヲル「呼んだかい?」

キョン「!?窓から!?」

ハルヒ「落ちろ!!」ばしっ!

カヲル「あっ!ちょ!まじで落ちちゃうよ!?」

ハルヒ「びっくりした!!落ちろ!こら!」ばしっばしっ!!

カヲル「あ、あぶ!あぶないから!」わたわた

キョン「平和でなにより」ずずっ

シンジ「!?マジック!?」

カヲル「ど、どこからお茶を…!?あいてっ!ちょ、やめて!」




カヲル「ふぅ…」

キョン「どうした。元気ねぇな」

カヲル「そりゃ、どこぞの団長さんに突き落とされそうになったからねぇ」

キョン「すまんな」

ハルヒ「ふんっ!」

カヲル「あはは」

キョン「ほんとにどうした?」

カヲル「え?」

キョン「いつもなら股間を俺の頬に擦り付けながらなんとかいってくれよーとかいってるころだからな」

カヲル「な、な、なんだよそのイメージ!」

キョン「違うのか?」

カヲル「違わないけどさ!」

カヲル「……」

カヲル「じゃあさ」

キョン「お?」

カヲル「放課後、会えないかな」

キョン「う…」

カヲル「あ、古泉くんも長門さんも佐々木さんも来てくれ」

古泉「また殴り合いはごめんですよ?」

カヲル「あはは!それは勘弁しといてあげるよ」

カヲル「安心して。話がしたいだけ」

キョン「……わかった」

カヲル「じゃ、放課後にね」




放課後

キョン「よぅ」

カヲル「ん…?あ、みんな、来たみたいだね」

古泉「ご用件は?」

カヲル「あはは!ほんと、つれないなぁ」

キョン「とっとと済ませたいんだ。眠いしな」

カヲル「僕と…」

キョン「寝ないからな!」

古泉「僕でよろしければ…」

カヲル「ないね」

キョン「それで?」

カヲル「あー、うん」

カヲル「次の使徒のことだ」

キョン「ほう?次はなんだ?いま思いつくのは…ガギエル、アルミサエル、サンダルフォン、マトリエルあとー」

長門「アラエル、そして」

長門「貴方」

カヲル「……くすっ」

カヲル「そっ、」

カヲル「次の使徒は」


カヲル「僕だよ」


キョン「んなっ!?」

古泉「あ、あなたはラストの使徒のはず…あなたが死ぬのなら…その時点でA801が起きるのでは…?
   シンジくんも戦意喪失するでしょうし…!」

長門「タブリスの始動がA801の発動条件ではない」

佐々木「そうだね。エヴァ2では、AIが落胆モードを示していれば、いつでもカヲルくんがでてくるからね」

長門「貴方の説得には苦労した」

カヲル「説得?」

キョン「こっちの話だ」

キョン「お前は絶対に動かなきゃいけないのか。やっぱり」

カヲル「だろうね。じゃなきゃ殺されちゃうよ」

キョン「…そうなのか……」

カヲル「…うん」

古泉「ですが」

古泉「我々を呼んだということは、なにか、あるんでしょう?」

カヲル「……さぁてね」

古泉「?」

カヲル「ただ、話したかっただけなのかもしれない」

カヲル「……僕は、使徒だから」

カヲル「いつまでも、君たちと友達ごっこはしてられないんだよ」

カヲル「けど、急にじゃ寂しい」

カヲル「だから、喋ったのかな」

キョン「……」

長門「……」

古泉「貴方は…止められませんか」

カヲル「…どうだろうね。これが、僕の使命だから」

カヲル「仕方がないね」

古泉「…くっ…」

カヲル「君たち人間とは…」

キョン「バカ野郎が」

カヲル「え?」

キョン「種族の違いがなんだ」

キョン「使徒だからなんだ」

キョン「問題あんのか。友達であることに」

カヲル「それと、使命とは別の話だ」

キョン「別もクソもへったくれもあるもんか」

キョン「ゼーレがなんぼのもんだってんだ?」

キョン「俺の四号機に、佐々木の五号機もある」

キョン「お前が嫌だってはっきりいえば」

キョン「俺たちで助けてやる」

カヲル「で、でも!」

カヲル「やっぱり、僕は地下に磔にされている彼に触らないと」

カヲル「それが使命だからね」

キョン「……」

キョン「お前がそのつもりなら、シンジがなんと言おうが、お前を消す」

カヲル「!」

キョン「だけどな。俺たちは友達だろうが」

キョン「気持ち悪くて変態で意味がわからなくてさらに気持ち悪い奴だが」

カヲル「こ、この」

キョン「だが、友達だ」

キョン「止められる物なら、止めてやりたいんだ」

キョン「カヲル!」

カヲル「……珍しい。名前で呼んでくれたね」

カヲル「……考えておくよ」

カヲル「ありがとう。心遣い、ありがたいよ。それじゃ」

キョン「お、おい!」

カヲル「僕がどうするかは、自分で決めるさ」

カヲル「ま、キョンくんがお前が好きだと囁きながらキスでもしてくれたら、話は変わるかな?」

キョン「う…」

カヲル「ふふ」

キョン「お、お前が救えて、お前が望むなら…してやるよ!」

佐々木「なぁっ!??」

長門「……!」ぴくっ

カヲル「くっくっ…ふふふ…あはははははは!」

キョン「な、なんだよ!」

カヲル「くっくっ、気持ちだけで十分さ。くっ…ほんとにしたら、彼女たちに殺されそうだからね…ふふ…」

カヲル「くっくっ……じゃ、みんな」

カヲル「また、明日」

そういって逃げるように走るカヲルは、どことなく寂しそうで
寂しさと、嬉しさと、混じったような切ない顔をしていて
俺は、俺たちは、動けずにいた。

キョン「どう思うよ?」

古泉「まぁ、普通に考えて、殲滅するしかないでしょうねぇ」

長門「しかも、ガギエルはともかく、あと数体の使徒が控えている」

古泉「まけるわけにはいきませんねぇ」

キョン「くっ……」

どうにか、奴を止める術はないのだろうか。
どうにか、助けてやりたい。
ともに、過ごしていたい。
もっとも、元の世界に戻ろうと奮起する俺たちの言えたことではないのかもしれないが。

俺は帰ってからというもの、ずっとそのことで悩んでいた。
しかし、無情にも時間と共に朝日はのぼる。

くっそ…



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188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 16:30:19.98 ID:qCI8QX8YO
まかせろ
バリ


190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 16:36:23.66 ID:PBs94DNT0
エントリープラグの入り口がマジックテープだったら簡単に開けられて便利だな
シ「綾波!大丈夫か?!」バリバリ


191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/24(土) 16:38:02.80 ID:GgTa5dOaO
やめればいいと思うよ


765 : ◆UqSHFgvvQ2 :2009/10/26(月) 22:18:25.83 ID:vBoXYeeHi

加持「いやはや…この展開は予想外ですなぁ」

加持「委員会…いいえ、ゼーンの方にはどういいわけするつもりです?」

冬月「初号機はあの時、我々の制御下ではなかった。これは、不慮の事故だよ」

ゲンドウ「よって、初号機は凍結。委員会の別命あるまでは……だ」

加持「適切な処置です。しかし」

加持「ご子息を取り込まれたままですか?」

ゲンドウ「……」ガタンッ!

加持「!?」びくっ

ゲンドウ「…私は…その方が……心配で…」ぽろっ

加持「ちょ、お、おお、落ち着いて…」

冬月「はぁ……」



767 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/26(月) 22:24:23.49 ID:accpJ2290
綾波……

誰だろう、声がする。
優しくて、ぽかぽかする、そんな声がする。

綾波……綾波っ!!

何故、私を呼ぶの?
誰が、私を呼んでるの?

手をっ、手を伸ばして!

「――碇君、貴方だったの……」
「綾波ぃっ保守、保守をっ!!」
「保守……ぽかぽかする、その言葉」


841 : ◆UqSHFgvvQ2 :2009/10/27(火) 02:23:42.58 ID:JZL6M4eVi

冬月「…息子の生還にも…面会無し…か」

冬月「本当に……私の前で以外は仏頂面で…」

冬月「はぁ……」

そう愚痴る冬月の背後に、不気味な影があった。



シンジ「あ、…」

また、知らない、天井だ。

ゴファッ



848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/27(火) 03:25:49.29 ID:I9kS9jkfi
綾波「起きたのね」

シンジ「あ、綾波・・・」

綾波「皆、待ってるわ、早くして・・・」

シンジ「あ、うん。わかった」


ゴファッ
ゴファン



ミサト「シンジ君が目ぇ覚した!?」

リツコ「ええ、ついさっき目覚めたばかりよ」

ミサト「ちょっち、お見舞いいってくるわ」

リツコ「あら駄目よ何を言ってるの?
あなたがいなくなったら誰がこの場を 保 守 するのかしら?」


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