上条「DIOォォォォォォォォッ!!!」  その3

2010年01月28日 17:55

上条「DIOォォォォォォォォッ!!!」

238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/19(火) 22:04:37.17 ID:qIi1uaa50

翌日

黒子「上条さん!こっちで面白そうなものがやっていましてよ!」

昨日買ったワンピースを身につけた少女が少年を急かす

上条「はいはい、今行きますよーっと」

小走りで先を行く少女を追いかける少年


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黒子「買い物にお付き合いして欲しい・・・ですの?」
朝のホテルにて、白井黒子は上条当麻から突然買い物に一緒に行って欲しいと申し込まれた

上条「あぁ・・・あ、ひょっとして俺だけとじゃ嫌かな?」
いくらなんでも急だったしな、と少年は肩を落とす

―二人っきりで・・・こっ、これはデートと呼ばれるものでは・・・!?
黒子「べっ、別によろしくってよ!では、昨日のショップの前で2時間後に待ち合わせでよろしいですわね!」

そういって部屋へと全力で走り出す少女
―違いますわ、お姉さま!私の愛するお方はお姉さまただ一人!
これはそう、悪い虫をお姉さまから引き離す為ですの!

上条「・・・同じホテルに居るんだから、一緒に行けば良いのになぁ・・・」

少女の奇行に思わず首をかしげてしまう少年であった

黒子「きゃん!」

昼間の通りは人が多く、華奢な少女は人とぶつかる度に跳ね飛ばされてしまう
少女自信、何でなのかやたらと張り切っておりそれがまた裏目に出てしまう

黒子「あうう・・・」
尻もちを着いて悲痛な声を出す少女

上条「おいおい、ちょっと落ちつけよ。ほら」
そう言って手を差し出す少年

恥ずかしそうに少年の手をとり起こして貰う。だが、少年の手は少女の手を離さない

黒子「・・・あ、あの・・・?もう大丈夫でしてよ・・・?」

上条「何言ってるんですか、さっきからあんなに危なっかしい女の子から、手を離せる訳ないじゃないですか」
ぎゅっと更に力強く手を握る少年。決して痛みを感じる程ではなく、何故か不思議と安心する感覚

黒子「・・・っ」

上条「ほら、行くぞ・・・って、あれ・・・?」

先を歩く少年が少女を振り返ると、先程までの元気が嘘のように、まるで借りてきた猫のように静かになっていた

上条「ど、どうした?ひょっとしてどこか怪我をしたのか?」

腰を落とし、じっと少女の顔を見る少年。もしどちらかが少し前へ出てしまえば、唇が触れてしまう距離

黒子「は、はわわわわ・・・な、なんでもないですわー!」

少女の声が通りに響き渡った

上条「そんなに見たかったのか、これ・・・」

その後、暴走特急になる少女に引っ張られて少年達は見世物を見ていた

何やら手品師がショーをやっているらしいが、後ろ過ぎてよく見えない

右隣の手をつないだ少女を見ると、やはりこちらも残念なのか虚ろな目をしている

少々気まずくなり、再び前の出し物に顔を向ける少年。突然ピクリと少女が反応をするが、気がつかなかった

黒子「・・・ひっ!?」
―今、何かがお尻を触って・・・?

気のせいかとも思ったが、その幻想はすぐにコナゴナに打ち砕かれてしまう

抵抗しないと見たのか、手は少女の身体を弄り始める、片手から両手へと更に勢いは増す

身の危険を感じた少女は、本能からすぐさまテレポートで難を逃れようとして―

黒子「・・・あ・・・」

ぎゅっと握っている彼の右手、幻想殺しが自分の能力を妨げていることに気がついてしまった

少女は知らなかったが、男は痴漢ではなかった。男はこの辺りを縄張りとしているスリであった

観光目当ての育ちの良さそうな外国の少女、そんなのは彼の絶好のカモであった

金目の物を探り、少女の薄い服越しに、彼女の全身を弄り続けていた。
恐怖で反応が出来ないと見え、その姿が彼を普段よりも過激な行為に及ばせていた

黒子「・・・あっ・・・ひっ・・・!」

頼みのテレポートも出来ず良い様にされてしまう状態に、船上のアレを思い出してしまい恐怖で身体が動かない

手は初めのうちこそ腹部の両脇などに触れていたが、それもどんどん広がってきていた

やがて、何かを思ったのか手が引っ込む

―た、助かりましたの・・・?
黒子「ーーーッ!?」

少女が安堵に胸を撫で下ろした次の瞬間、男の両手が少女の服の中に入り込んで来た―

黒子「・・・んくっ・・・ふっ・・・んっ・・・!」

少女には耐えるしか出来なかった。せめて隣の少年には気付かれまいと、恐怖から上がる声を必死に押し殺す
―もう、もう・・・早く終わらせてくださいまし・・・!

悔しさと恥ずかしさに全身が火照る。男の手は止まる事なく、少女の下着の中に手を伸ばし

黒子「だっ、駄目!そこは駄目ですわ!」

思わず声を上げてしまう、その声に少年も反応する

上条「どうし・・・なっ!お前何やってんだよ!!」

力の限り男を殴る少年、男は情けない悲鳴を上げるとその場から一目散に逃げ去っていった

上条「大丈夫か白井!すまない、もっと早く俺が気がついていれば・・・!」

周りの目を気にする事もなく、力の限り少女を抱きしめる少年

―お姉さま、ごめんなさいですの・・・
彼の胸の中で抱かれ、少女はついに自覚した

ああ、これが本当の恋なのですわね・・・と―

上条「どうする?やっぱり買い物は俺だけで・・・」

少女に気を遣い少年が聞く

黒子「・・・大丈夫ですの。一緒に連れて行ってくださいまし・・・」

瞳を潤ませ、ぽやーっとした表情で答える

上条「そ、そっか。悪いな・・・」

元々その予定であったし、今の少女は少年と一時でも長く一緒にいたいと思っていた

黒子「そういえば・・・何を買いに行く予定でしたの・・・?」
手を繋ぐだけではもう止まらない、腕にぴたりとくっ付いて少女が問う

上条「えーっと食料と・・・あと、インデックスが喜ぶようなプレゼントを買おうかなって!」

ピシリ、と音を立て黒子の中の何かが崩れさる

黒子「・・・説明・・・してくださいますの・・・?」

あまりにもデリカシーの無い少年の発言に、腕を掴む力を強め、少女は不快感を露わにするのであった



その夜 ホテルにて

コンコン
上条「インデックス、いるか?入るぞー」

返事を待たずして少年はドアを開ける。手には昼間黒子に選んで貰ったプレゼントを持って

上条「インデ・・・寝てるのか」
ベッドの上で静かな寝息を立てる少女を見て、少年は緊張の糸を解く

上条「・・・寝相、悪いぞ」
少女に布団をかけてあげようとすると、禁書が静かに目を覚ました

禁書「・・・んん・・・?とーま・・・?」

まだ寝ぼけているのだろう、視点が定まっていない

上条「悪い。起しちゃったか」
ばつの悪そうな顔をする少年。
それから何か悩んでいるようであったが、決心をしたのかこちらの目をまっすぐ見据える

上条「聞いて欲しい。インデックス・・・」

上条「俺は、お前を・・」

―この先を聞いてはいけない、聞いたらもう戻れない
少女は無意識のうちに感じとっていたが、何も言うことが出来ずに静かに頷いた




上条「頼む、インデックス!この通りだ!」
ガバッと目の前で土下座をする少年。普段やる様なものではなく、今にも頭が床にめり込みそうな勢いであった

禁書「・・・え・・・嫌だよ、とうま・・・?」

少年が言ったことはすぐに理解できなかった

上条「俺は、お前をこの旅から外そうと思っている」

突然の少年の告白を、少女は受け止められずにいた
―何で・・・?わたしがワガママを言ったからなのかな・・・?悪い子だったのかな・・・?

両目から熱い物が流れ出してくる

上条「頼むインデックス!俺はもう、お前のそんな弱々しい姿を見たくないんだよ!!」

いつから、どこからだろうか、全てばれていた
暗青の月での一件以降、少女の身体は激しく衰弱しており、でもそれを決して悟られない様にと少女は振舞っていた

もし気付かれてしまえば、少年が何を言うかは分かっていた。そしてそれは的中してしまった

禁書「やだ・・・やだやだやだやだ!嫌だよとうま!!置いて行かないで!」

癇癪を起こした子供のように、少女は泣き喚きながら、両手で少年の身体を叩く

上条「殴られても良い。噛みつかれたって良い。だから、だから」
お願いだよインデックス・・・と少年は声にならない悲痛な叫びを出した。

禁書「はぁ・・・はぁ・・・っ」

しばらくすると、泣き疲れたのか、殴り疲れたのか少女はぐったりとしてしまう

上条「・・・もし、もしこの旅で」

静かに少年が語りかける。少女はそれを止めない

上条「この旅で、お前に何かあったら・・・俺は俺を一生許せない」
DIOよりも自分を許せない、と少年が呟く。その言葉に嘘はない、それが上条当麻という少年であった

上条「それだけは、忘れないで欲しい・・・」
おやすみインデックス、とだけ呟き力無く少年が立ち上がって、部屋を後にする

その姿を少女は虚ろな目で見ていて、そしてそのまま今起こった現実から逃げるように眠りに落ちた

ふらふらと自分の部屋へと戻る少年
自分の部屋の前に、小さな影が一つあった

黒子「・・・おかえりなさい」
昼間少年からの決意を打ち明けられた少女が居た

上条「あ、あぁ、白井か・・・悪い、折角プレゼント選ぶの、手伝って貰ったのにな・・・今は・・・
   一人になりたいんだ・・・」
渡せなかったよ、と無理矢理笑顔を作りそれだけ言い残して、部屋に戻ろうとする少年

黒子「・・・我慢しないで良いですわ・・・仲間なのでしょう、私達は・・・」
その呟きに、ついに張りつめた糸が切れてしまったのか少年が顔を歪ませ、少女に縋りついて泣き始めた

上条「うああああああ・・・っ!!守れたのにっ・・・!俺に・・・!俺にもっと力があれば・・・っ!!」

激しい自責に圧し潰されてしまいそうな少年。かける言葉が見つからない
少女は自分よりも大きな少年を胸に抱き、彼の気が済むまでその場に居た

物音一つしない、静かな月の夜だった



翌日

禁書が目を覚ます。頭と目の辺りが痛いのは、恐らくここしばらくの体調の悪化から来るものではないだろう

コンコン
静かにノックの音が響く。一瞬ビクッと反応した少女は、恐る恐る返事をする

禁書「・・・どうぞ・・・なんだよ」

黒子「おっはようございますのー!」

意外な事に、部屋を訪ねて来たのは日頃あまり接点の無い少女であった

黒子「んまあ!何てことですの!」
素っ頓狂な声を上げる少女。どうしたというのだろうか

黒子「ほらほら、顔を洗って来て下さいな。可愛らしい顔が台無しですわよ!」

追い立てられ洗面所の鏡を見ると、酷い顔をした自分がいた

黒子「もしよろしければ、これから買い物に御一緒しませんこと?」

全身が酷く気だるかったが、少しでも昨日の事を忘れていたい。そう思った少女は、しぶしぶと頷くのであった

黒子「さあ、行きますわよ!」

禁書「あ、待ってよくろこ!」
禁書の手を引き、元気よくホテルを飛び出す黒子

禁書「・・・あ、あれは短髪?」

何時の間にいたのだろうか、美琴がホテルの前にいた

美琴「あら、アンタ達出かけるの?」
なら一緒していい?とにっこり微笑む少女

黒子「・・・ええ!勿論ですわ!」

立案者の許可を得、三人は町へと繰り出していった

美琴「ほら!これなんて美味しそうよ!」

黒子「そうですわね、美味しそうですわ」
二人の少女がココナッツジュースの屋台の前ではしゃぐ

黒子「はいっ!」
そう言って、飲みながらベンチに座る自分にも一つ渡してくる

黒子「んーっ!冷たくておいしいですわぁ!」
全身を使い、実に美味しそうに少女が表現をする

禁書「そ、そうだね・・・!美味しそうなんだよ!」

黒子「・・・」
少女に違和感を感じたのか、黒子が喋るのを止め―

黒子「そうですわ!とっておきのものが御座いますの!今買って来てさしあげますわ!」
ここで待っててね、と念を押し美琴の腕を引っ張りどこかへ走って行く

美琴「あ、ちょっと!?ちょっと待ちなさいよー!」

黒子に引きずられ、美琴の姿も見えなくなってしまった



人気の無い通り

美琴「はぁっ、はぁっ、どうしたのよ黒子・・・」
何も無いじゃない、と少女が呟く

黒子「・・・やめてくださいまし」
冷たく少女が言い放つ

美琴「・・・え?ど、どうしちゃったのよ黒子・・・?」

黒子「私の前で、それ以上お姉さまの御姿を騙らないでくださいまし!!」
声の限り叫ぶ。瞬間、美琴の頭上にテレポートをし、蹴りを叩きこむ

グチャリ、バカァッ!
少女の蹴りを受け、文字通り頭が割れそこから血を噴き出させる

「・・・どこから気付いたんだぁー?お嬢さんよおおお?」

裂けていく美琴頭の中から、見知らぬ男が顔を覗かせこちらを見ていた

黒子「醜い能力ですわね・・・っ!正体を現しなさい!」

男「おいおい、釣れない事を言うなよ。お嬢ちゃ~ん・・・!これが俺の本体のハンサム顔だァッ!」

美琴の姿が徐々に膨れ上がりババァンと音を立て破裂する

男「ククク・・・よく俺の変装に気がついたじゃないかお嬢ちゃん」
何がまずかったのかなぁ~?と首をかしげる

黒子「そうですわね。まずかったというのであれば、私の前でお姉さまを真似たのが一番の間違いでしてよ!!」
―それに、今頃お姉さまは上条さんと一緒にいらっしゃいますの・・・!!

あの夜、少女は考えた
自分が禁書を連れ、お姉さまには上条さんを連れ出して貰い両者の気分転換を図ろうと

美琴には当然詳しい事は言っていないが、上手くお膳立てはしておいた。大丈夫だろう

そして自分はあえてこちらの役割を選んだ。それがあの少年に対する、自分の出来る精一杯の行為であった

男「ククク、そうかい・・・ところでお嬢ちゃん、何か感じないかなぁ~?」

男の問いかけに、足に違和感を感じる

黒子「・・・ハッ!?」

先程の蹴りで付いたのだろうか、足に肉片が着いていた。だがそこは問題じゃない
振り払おうと手を伸ばすと、男の声が割って入る

男「おおっと、先にいっておく!それに触ると、その手にも食らいつくぜ・・・!」

男「じわじわと肉を食らうスタンド!食えば食う程大きくなるんだ!絶対に取れんぞ・・・!」

嘘があるかもしれない。そう思い試しに肉片のみにテレポートを試みるが不可能であった

黒子「この肉片・・・もしかして同化しておりますの・・・!?」
すかさず鉄矢をとばし反撃を試みるが、彼の身体の周りの肉片に吸収されてしまう

男「無駄だ、教えておいてやる・・・俺のスタンド、黄の節制『イエローテンパランス』に」

男「弱点はないッ!!ドュー・ユー・アンダスァァァアアァタンンンンンドゥ!!?」

男の叫びに、周囲の空気が震えた

黒子「・・・ふぅ、やれやれですわ・・・」
一瞬置いて何事か考えたついたのか少女がため息を着く

男「もうお前に勝つスベなどないっ!離れる事はできん!消化してやるッ!」

黒子「確かにこの能力は強いですわ、恐らくお姉さまのレールガンですら倒せるかどうか・・・」

黒子「でも、私一つ思い付いてしまいましたわ。先日教えて頂きました、たった一つだけ残された最後の戦法が」
自信満々な少女。恐らく嘘はないだろう

男「なにィ~?」

黒子「それはッ!逃げるんですわッ!!」

瞬時、少女の身体は男の前から消え失せてしまった

男「ククク・・・勘違いしてるんじゃねぇぞ・・・俺は別に貴様を追う必要はない・・・!だが・・・」
―死ぬ姿だけは確認しないとな

男は少女に張りつけた自らのスタンドの位置を感じ取り、ゆっくりと歩き始めた

黒子「・・・くっ!」

肉片は徐々に大きくなっており、黒子に走る痛みも次第に増してきていた

―上条さんなら、上条さんの幻想殺しでなら・・・!
街中を走りまわり少年の姿を探すが、心当たりも無いものをどう見つけようというのか

黒子「誰か・・・誰か見つけないと・・・!」
最悪自分はどうなってもいい、誰かを見つけてあの男の能力を教えなければ手遅れになる

ドンッ!
黒子「あっ!」
少女「きゃ!」

考えながら走っていたせいか、道を歩く少女にぶつかってしまう

黒子「あ、ごめんなさいまし!」

少年「おいィ!気をつけやがれェ!!・・・って、てめェは」
―え?

聞き覚えのある声に顔を上げる

一方通行「何やってンだてめェ?」

打ち止め「大丈夫お姉ちゃんってミサカはミサカは心配してみる」

一方通行と名乗る少年と、打ち止めと名乗る少女が目の前にいた

黒子「学園都市最強の彼であれば・・・!」
―何とかなるかもしれない

そう考えた少女は話を切り出す

黒子「あっ、あのっ!」

打ち止め「あれ、お姉ちゃん足にゴミが・・・ってミサカはミサカは気にしてみる」

一方通行「・・・チッ、しょうがねェなァ・・・!」

そう言って手を伸ばす少年。黒子の顔から血の気が失せる

黒子「あっ!ダメですの!!」

一方通行「あァ?何が駄目・・・なァッ!?」

遅かった。どんな攻撃をも反射する無敵の能力であったが、自分の指と同化した肉片を反射することはできなかった

男「・・・!おぉ~っとォ~?ゴミがまた一つくっついてしまったかな~?」

遠く離れた場所で男が呟く。その足は既に黒子を追ってはいなかった

男「やぁお嬢ちゃん、待ったかなァァァッ?」

禁書「・・・え?」

少女が振り向くと、知らない男が自分に手を伸ばしていた

―ククク、楽な仕事だぜぇ・・・!

恐らく自分は幸運の星の下に生まれついたのであろう
この仕事を終えればDIOから1億ドルの報酬が約束されている、マイク・タイソン以上の幸運としか言い様がない

禁書「・・・っ!二人をどうしちゃったの!」
何かを決意したのか、強く睨みつける
―ククク、可愛い反応ッ!

男「ああ・・・可哀想だが、始末させてもらったよ・・・!俺のこの能力・・・

男「黄の節制でなァッ!!」

スタンドを出して少女に殴りかかる。わざわざ肉片を使うまでもない

男「・・・な・・・?」
しかし、節制が出てこない。どうしたのだろうか、こんな事は初めてである

少女達と既に同化している肉片は解除されていないが、これでは新たに肉片を作り出す事も戦う事も出来ない

男「節制よ出ろっ!出ろっォォォ!!」
―俺の身に一体何が・・・!ハッ!?

禁書「――――」
目の前の少女が何やら呟いていたのを見た男は、直観的にこの少女が自分の能力の発動を妨げているのだと理解した



美琴「・・・ねぇ、ねぇってば!」

上条「え・・・?」
少女の何度目かの問いかけに少年は我に返る

美琴「どうしちゃったのよ・・・、何か、変よアンタ・・・」

例え彼女でなくとも、誰の目から見ても分かる程少年は朝から意気消沈していた

黒子『上条さん、何やら不幸があったらしくて元気がありませんの。お姉さま、今が絶好のチャンスですわよ!』

今朝突然黒子にそう持ち掛けられた。人の弱り目につけ込むなんてあまり気が進まない

黒子『ふぅ、それじゃあこのままずっとこの距離間でお姉さまは満足なんですわね。永遠に・・・』
流石に永遠は言い過ぎではないだろうか、とも考えたがこの超ドの付く程鈍い少年ならありえると考えてしまうのが怖い

そう考えた少女は、結局後輩に勧められるがままに少年を気分転換という名のデートへと誘ったのであった

美琴「・・・何か悩みがあるなら、相談しなさいよ・・・バカっ・・・」
口から出たのはそんな悪態。少年の悲しそうな顔を見て、少女まで泣きだしたくなってしまう

上条「・・・もし、大切な人と別れなくちゃならなくて、でもそいつが嫌だって言って・・・」
ぽつり、ぽつりと少年は少女に語り始めた

静かに、じっと少年の話を終えるのを待つ少女
美琴「・・・でも、それはその、『女の子』の為なんでしょ・・・?」

少年は人物を男と女に置き換えていた。しかし美琴はそれが分からない程鈍くはない

上条「・・・そうかもしれない、でももしかしたら男の勝手なのかもしれない」

少年が握る拳にぎゅっと力が入る

かける言葉がみつからず、沈黙に身を委ね長い時間少年から目を離さず立ち尽くす

黒子「お姉さま・・・!ハァッ・・・!上条さん!!ハァッ・・・!」

その沈黙を破ったのは、自分と少年をお膳立てした少女であった。その後に白髪の少年に抱き抱えられた少女が続く

血相を変え息も絶え絶えにするその姿に、不吉な予感が二人を襲う。
そして少年は気がついてしまった。黒子が一緒に遊びに行くと連れだした少女の姿が見えない事に



禁書「・・・はぁ・・・!はぁ・・・!」

男「おいおいお嬢ちゃん・・・もう鬼ごっこは終わりにしてもいいかなァ~?」

スペルインターセプトによって能力を封じられた男は、自らの身体で少女を追いかけていた
しかしそれももう終わり。少女が逃げた先は寂れた港
もう男の追跡を邪魔するような物も無いし、人の気配もない。殺るには最高の環境と言えるかもしれない

少女は男の顔を睨みつけるが、恐怖のあまり足が震えている。恐らく立つのもやっとであろう

禁書「・・・し・・・って・・・」

男「あぁ~ん?聞こえないな~?今更命乞いのつもりでちゅか?」
少女の呟きに笑いながら答える男

カコン
禁書「わたしだって皆の役に立てるんだよ・・・!わたしだって戦えるんだよ・・・!わたしだって・・・っ!」

少女は足元の木材を拾いあげ、自分の恐怖を打ち消すかのように叫びながら男へと殴りかかった

男「しつけぇぞガキ!」

少女のみぞおちに再び蹴りを入れる

禁書「あっ・・・がっ・・・!」

少女の勇気を振り絞った特攻は、男に難無く避けられてしまう
それから男は苛立った様に少女に身体に何度ともなく蹴りを、拳を入れた

男「もう諦めろガキがッ!」
しかしその度に少女はふらふらと立ち上がり、力無く男に向かって行く

―怖いよとうま・・・でも・・・、でも・・・!

ここで諦めてしまったら、ここで倒れてしまったら、ここで足手纏いになってしまったら、少年は自分を置いて行くだろう
それだけは嫌だった。死ぬ事よりも、目の前の男に殺される事よりもそれが一番怖かった

禁書「あ・・・うあああぁぁぁっ!!」
もはや何を言っているのか自分でも分からない

禁書「うあっ・・・!あ・・・っ・・・!」
軽くいなされ、再び蹴りを貰い倒れ込む少女。立ち上がれと脳が命じても、足がそれに応えない

カコン
男「・・・ガキにこれ以上付き合ってられねぇんだよ・・・!」

先程少女が拾った木材を手に、男は少女の正面に立つ
男「おらぁッ!逝っちまいやがれ!!」

―ごめん、とうま・・・買って貰った服、汚しちゃったんだよ・・・

少女の頭を狙う、その狂気の眼差しに寸分違わず、力の限り振り下ろされた

男「うっ、うおおおおおっ!?」

瞬間、男の身体が大きく吹き飛ばされる

美琴「そんな小さい子に何やってんのよアンタ・・・ッ!」

怒りで全身の毛を逆立てた少女は、男から目を逸らさず叫ぶ

禁書「たん・・・ぱ・・・つ?」

美琴「喋らないで良いわ、今皆来るから・・・!」
空に大きく電撃を飛ばす、例え皆がどこにいても分かるであろう合図

男「おぉ・・・あぶねぇあぶねぇ・・・」

美琴「なっ・・・!?」
殺すつもりとまでは言わないが、少なくとも全治数カ月は覚悟の威力で撃った。
それを直撃して立ち上がる人間などいるのか

男「反射でスタンドでガードするだなんて、本当に俺はラッキーだぜぇ・・・!
  そして、一度出したら俺の勝ちだ・・・!」

禁書が妨害する余裕もなく、男は節制をその身に纏い立ち上がって来た

それから何度も電撃を見舞うがダメージは通らない。何度試して男の節制に防がれてしまう

―だったら・・・!

スタンドから剥き出しの顔、そこを反応出来ない速度で叩く
音速で少女は男の前に詰め寄り、左足を軸に流れるような速度で回し蹴りを放つ

グシャ
―やった・・・!?

あまりにも呆気ない反応と共に男の顔がめり込み

ドロドロの肉片に変わる

美琴「・・・!まさか・・・!?」

男は自らの顔を顔の上に作り、少女を誘っていた

美琴「うっ!うああああっ!?」
突如激しい痛みが少女の足を襲う

少女の右足は既に節制の肉片に覆われていた

訪れた希望が絶望に変わる瞬間を、禁書は見ていた。見るだけしかできなかった

喉を切ったのかもしれない、身体が麻痺してしまっているだけなのかもしれない、もう声も出せなかった

男「さて・・・と、順番にトドメを刺してやるよ・・・」
お前はもう助からないんだ、と視線は既に美琴の方に向いていなかった

美琴「待ちなさいよ・・・!待ちなさいってば・・・!!」
少女がいくつもの電撃を飛ばす。だがそれは彼に届く前に節制に吸収されてしまう

男「ごめんよォ~ッ!レディを待たせちゃったねぇ~?」

男が禁書のシャツの襟を掴み、少女を目線へと持ち上げる

―何と言うのかな・・・
男「紹介がまだだったかね、これが俺の能力、黄の節制だ」

―とうまなら・・・
男「そして、お前を今から殺す能力だよォォォッ!!!」

―こんな時、どうしたのかな・・・
黄の節制の拳が少女の頭に振りかぶられる。これから起こる出来事に、思わず目を瞑ってしまう

「絶望してんじゃねぇよ!!」

節制と少女の間に割り込むように少年が伸ばす右手は、確かに今、届いていた

絶望の色に染まる少女の心に、届いていた

突如現れた少年にスタンドの拳が止められる。
腕の先が消えているのも、少年がスタンドも纏わぬ生身であるのも男は気にならなかった

男「次から次へと・・・!邪魔なんだよォッ!!」

少女から手を離し、再生成した節制の拳が再び振られる。
しかし何度やっても少年には当たらない、直前で消えてしまう

男「なら俺が直接ッ!」

そう叫ぶと男は少年に襲いかかる。しかしその拳は、蹴りは全て空を切る
男の顔に焦りの色が浮かぶが、それも一瞬のことである

男「俺のこの節制の防御は無敵だッ!お前の攻撃な・・・ぶガッ!?」
少年の右手が男の顔を殴る。男の腹を殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。殴る。

男「ヴぉっ!ぼぉうやべでくで!!」

上条「うるさい、黙れ」
更に殴る。男には既に戦意などなかったが、そんな事は関係なかった

禁書「・・・う・・・ま・・・」
その姿は、人の痛みを人一倍嫌う普段の少年からは想像出来るものではなかった

上条「少し、待ってろインデックス。すぐに医者に連れて行ってやる。けど、その前に」
そして更に男を殴る

上条「このふざけた男を、ぶち殺してやる」

黒子「遅くなりましたの・・・かっ・・・上条さん・・・、何をっ・・・!?」
美琴「もうやめて!やめてよ当麻っ!!」

少年の異変に気付いた少女達が、二人がかりでようやく止める

美琴「そんなことより、あの子の手当てが先でしょ!死んじゃうわよ!」
その言葉に男の返り血で真っ赤になった少年がようやく我に返る

上条「あ・・・インデックス・・・!インデックス・・・っ!」
少年が少女に駆け寄り、強く抱き起す

少年は少女を抱きしめ、二人の少女達は少年と彼女を見守る

ブヂュル ブヂュル

上条当麻と、御坂美琴と、白井黒子は気付かなかった
血を流し、もはや顔が原型を留めぬ男の節制が、静かに海鳥の肉を食らっていたことを

禁書目録だけが気付いていた

男「ふ、は!は!は!は!は!は!!」

突然立ち上がり男が高笑いを始める

美琴「こいつ・・・まだっ・・・!」
緊張を顔に走らせる美琴。だがそれも一瞬のことであった

男「俺がお前らを倒せなくとも、お前らの情報だけでも十分な成果だろうよォォッ!
  俺はずらからせてもらうぜッ!!」

少年の能力が、近距離型だと思いこんだ男は、既に勝利を確信していた。二人の少女では節制を打ち破れない

一方通行「あァ・・・?誰が逃すと思ってンだ・・・?
     うちのガキに手ェ出して、ただで済むと思うンじゃねェぞ・・・?」
打ち止め「彼をいじめたあなたは許せない、ってミサカはミサカは拾った木材を持って圧力をかけてみたり!」

最後に追い付いた白髪の少年と、少女が男の背後に立っていた

男「おっ、お前らなんぞ!この節制の・・・節制が・・・!出ない・・・ッ!?」
ハッと振り返る男、その視線の先に居る少女が何やら呟いていた

禁書「・・・は・・・負・・・ない・・・よ・・・お前に・・・は・・・けないんだよ・・・っ!」

一方通行「何言ってんだてめェ・・・覚悟は出来てンだろォなァ・・・?」
打ち止め「じり・・・じり・・・とミサカはミサカは詰め寄ってみる」

男の断末魔だけが港に響いた

明りの落とされた暗い病室で、禁書が静かにベッドの上で眠っている。それを上条当麻は静かに見守っていた

禁書「・・・う・・・」
傷が痛むのだろうか、時折少女は身体をビクリと動かす

骨が折れていないことは幸いであった。後遺症も無い。
おそらく数日もすれば外を出歩けるレベルにはなるだろうと医者は言った

上条「・・・ごめんな、インデックス・・・」

部屋のドアが静かに開く

一方通行「・・・よォ・・・少し、いイか?」

少年に連れられ上条は部屋を後にして屋上へ出る
冷たい風が二人を包み、この病院とは対称に、見下ろす街は眠る様子が無い

一方通行「あの女共から聞いた・・・連れていってやれよ・・・」

上条「え・・・?」
意外な人物の意外な発言に目を驚かす。それはまさに、上条が考えていた事に関係していた
上条は知らなかった。デーボに襲われたあの日、打ち止めと呼ばれる少女が彼に何と言ったのか。
そして彼は何を言ったのかを

それから何も答える事が出来ず、二人はここから見える夜景を見ていた

一方通行「・・・そンだけだ、ただ決めるのはてめェだ」
後悔すンなよ、とだけ言い残し立ち去る

再び少女を見守りに部屋に戻る

禁書「・・・おいてかないで・・・とうま・・・」

両目から涙を流し、少女は寝言をうっていた

上条「・・・」

そっとそれを指ですくい、拭いてやる

禁書「・・・とう・・・ま・・・?」

目を覚まさせてしまった
少女が少年の指をぎゅっと握る

禁書「今夜はとうまと一緒に、寝てもいいかな・・・?」

上条「・・・あぁ・・・良いぞ」
ベッドに入り、少女を力強く抱きしめてあげると、少女は安心したのか再び静かな寝息を立て始めた

今度こそ、決めた。もう迷わない



翌朝、少女の病室にて

上条「・・・突然呼び出してすまない」

少年に呼び出されたのは全員。そして彼らもまた何一つ聞かずに集まった

―インデックスのことであろう
全員がそう直感した。インデックス本人すらも

上条「インデックスの事なんだが・・・」

自分を落ちつかせる様に、すうっと息を吸う少年

―あの子を置いていくだなんて言ったら、ぶん殴ってやるんだから・・・!
美琴はそう、思っていた

―あの子は強い子ですの・・・あの子の勇気は本物でしたわ・・・だから・・・っ
勝てないと分かりながらも、ラバーソウルに立ち向かう少女。その姿はジョセフと戦う自分を思い出してしまう

上条「俺は・・・」

少年が、静かに、その重い口を開く

上条「俺は、インデックスと、ここで別れようと思う・・・!」

静かな病室に、少年の決意を秘めた声が響き渡った

禁書「・・・!」

美琴「なん・・・で・・・?なんでよ!何でなのよっ!!」
思いがけぬ彼の言葉を聞いて、一瞬の硬直の後に少女が感情を露わにする

黒子「・・・上条さん、私も納得する理由を聞きたいですわ」
静かな口調ではあったが、彼女もまた少年の判断に賛同しかねていたのは明らかであった

上条「・・・もう・・・もう嫌なんだよ・・・こいつがこれ以上傷ついて・・・もしかしたら―」

少年はその先を言わなかった。言えなかった

美琴「でもそんなの・・・!そんなのって・・・!」
黒子「勝手すぎますわ!」

次々に異を唱える少女達

一方通行「うるせェぞ!!」
白髪の少年が吼える

一方通行「こいつら二人で決めることだろォが、俺らは黙って従や良ィンだよ!」

そして黙っている少女に向き直り

一方通行「てめェも考えてンのか!こいつが昨日の戦いで・・・!」
少年の右手を見る。ラバーソウルを殴り過ぎた右手は肉が裂け、血が噴き出していた。
それを包帯が包むだけの簡単な手当て

禁書「・・・!」

間違いなく、あれは自分のせいで負った傷
少年にとって右手の幻想殺しは命綱であり、この旅に自分を守る為にも必要な物であった
その右手が今、包帯に包まれてしまっている。これが彼を殺すかもしれないのだ

禁書「ねぇ・・・とうま」
静かに少女が少年に問う

禁書「・・・絶対に、帰ってきてくれるんだよね・・・?」

禁書「あれを最後の思い出にしないって、約束してくれるんだよね・・・っ!」

上条「・・・っ」

少女は気付いていた。少年が珍しく気を利かせた二日前の買い物
あの時にはもう、彼は自分を置いていくと決めていたのだろう

だから、衰弱していると知りながらも、彼女を連れ出した

だから、せめて楽しい思い出をもう1つだけでもと思っていた

上条「インデックス・・・俺は・・・」

禁書「お洋服なんていらない・・・!おいしい料理もいらない・・・っ!!」

禁書「とうまがいい・・・!とうまがいい・・・っ!!」

禁書「必ず帰ってくるって、約束して欲しいんだよっ!!」

瞳に涙を溜め、少女は少年に叫びかける

この約束はとても大切な事。少年は大切な事に関しては、約束を破らない。少女はそう信じている

もしここでこの約束をしなければ。少年は例え命と引き換えにでも、奴らを止めようとするだろう

上条「・・・あぁ・・・約束するよ・・・」

上条「俺は死なない、そして終わったら、お前をもっともっと楽しい所に連れて行ってやるさ・・・!」

禁書「・・・わかった・・・」
―その言葉だけが、聞きたかったんだよ・・・

下を向き袖でぐしぐしと涙を拭く。そして思いっきり顔を上げて

禁書「みんな、わたしの分も頑張ってきてほしいんだよ!」

涙でぐしゃぐしゃになったけれども、出来る限りの笑顔で―




一方通行「・・・はァ・・・」

少年は困っていた。それは何故か
上条の事ではない。
財団の迎えで禁書が学園都市に戻ってからは、全く弱り目を見せていないどころか、一層張り切っている。
では何故か

インドに入り、バクシーシバクシーシうるさい乞食共にげんなりしているのか。それでも無い。では何故か

食事が合わないという訳じゃない、これからの戦いにネガティブなわけでもない。では何故か

打ち止め「ねぇねぇ、私にも同じことして欲しい!とミサカはミサカは照れながらお願いをしてみます」

これが原因である

―こいつにあンな臭ェ芝居見せてンじゃねェよ・・・
上条と禁書の病院での一件以来、ますます少女は少年にお熱になってしまっていたのであった

一方通行「・・・あンなァ・・・!」
―今日こそガツンと言ってやらァ・・・!

振り向いて少女を見る

打ち止め「う・・・、駄目・・・なの・・・?とミサカはミサカは涙目であなたに訴えかけます」

言葉の通り目を潤ませる少女。しかもこれに彼の袖を引っ張りながら上目遣いというオプション付きである

一方通行「ーーーッ!!だァァァァアァァァアァァァッ!!」

逃げるように彼は男子トイレへと駆け込んだ

―こンなの俺のキャラじゃねェ・・・!
流石に少女はここまでは入ってこなかった。用を済ませ手を洗い、ふと目の前の鏡を見る

生意気そうな目に、真っ白な髪を生やした、男とも女とも区別の付かない中性的な見慣れた顔がそこにある

―もーちょいクールな感じじゃァなかったか俺ァ・・・
鏡で自分を見つめ、こんな事を考える奴のどこがクールなのか。

「それはねーよ」と、突っ込んでくる人が居ないのは幸いである

鏡の前で様々な顔を作ってみる
まずは喜び。口の端をぎこちなく伸ばし目尻を気持ち下げて見る
―気持ちわりィ・・・

怒り。目頭に力を入れ・・・
―あンまり変わンねェ・・・

ひょっとこ顔・・・どんなだ

などと考えていると、それに近い様な顔が映る
―あァ、そうそうこンな顔・・・あアァlッ!?

急いで振り返るが誰もいない、再び鏡を見ると
―野郎、ナイフを・・・ッ!

鏡の中の男は彼がその場から逃げるよりも早く、ナイフを突き刺した

「ぐ、ぐわああああ!」

打ち止め「ど、どうしたの!?とミサカはミサカは心配になって入ってみる!」

よくわかンねェと言いたげに首を振る少年と、鏡の中で血を噴き出す男が居た

その後何度か同じような事を繰り返して

男「な、なぜ効かない!何故この俺に反撃出来る!?この俺の無敵の能力吊るされた男『ハングドマン』にッ!」

打ち止め「などと男は意味不明な発言をしており、その真意は不明。
     各方面の一層の努力に期待です。とミサカは―」

一方通行「・・・てめェも何言ってンだ・・・」

ここまで言ってデジャヴを感じる。そうだ、あのデーボだ。とすれば次の手は・・・

吊「クソガキッ!てめーがダメなら、こっちを狙う手もあるんだぜェェェェッ!」
男がナイフを構え、少女に飛び掛かる

一方通行「ほい」

が、ダメ。通らない
咄嗟に鏡と少女の間に割って入る少年のせいで、少女が狙えないどころか勢い止まらず少年に攻撃をして―

吊「ガッハッ!」

自滅してしまう

一方通行「・・・てめェのその能力・・・」

一方通行「鏡の中を行き来出来る・・・ンだろ・・・?」

呆れたように言う少年を、驚いたような目で見るのが吊るされた男であり
呆れたように言う少年が、何を言っているのか理解できないのが打ち止めであった

吊「出せ!ここから出せ!」
真っ暗な部屋の鏡の中で男が叫ぶ。反射出来なければその能力も使い様がない

打ち止め「こっちだよ!とミサカはミサカは言われた通りにお姉さまを連れて来てみたり」
鏡は見ちゃダメなんだって彼が言ってたよとも付け加える少女

―何が何だかわからないんだけど・・・!
美琴「な、何よ!ってここ男子トイレじゃない・・・って暗っ!何で明り付けてないのよここ!」

一方通行「悪ィな」

美琴「・・・はぁ・・・?用事ならとっとと済ませてよ・・・」

一方通行「・・・チッ、何も聞かずにこの建物ごと丸焦げにしちゃくんねェか」

美琴「・・・はぁ・・・?そんなことするわけないじゃない・・・何言ってんの」

―あァ・・・もうめんどくせェ・・・

一方通行「男勝りのガサツ女・・・」

ピクッ
美琴「・・・ごめん・・・聞こえなかったんだけど・・・?」

一方通行「てめェの思い通りにならねェとすぐに癇癪起こして暴力に訴えるガキってンだよ。
     そンなだからお嬢様学校に通ってるのに男から誘いの声の一つも―」

追い打ちをかけるように少女を突如罵倒し始める少年。最初の方こそ耐えている少女ではあったのだが

美琴「その喧嘩、買ったァァァッ!!!」

ついにキれた

二人のレベル5能力者の壮絶な戦いの結果、建物は全焼

吊るされた男は熱に焼かれて壊れて行く世界の残されたまま、その生涯を終えた―

学園都市最強

それは彼の二つ名であるが、その座をとうとう明け渡す時が来てしまった

打ち止め「・・・ちゃんと聞いてるの!?ってミサカはミサカはお説教を続ける!」

打ち止め『今のはあなたがいけないんだよ!ってミサカはミサカはお姉さまの肩を持ってみる!』

―それは汚ェだろ・・・
結局、死闘の果てに勝利を収めたのは全く関係の無い少女であり、そしてその少女は今回ばかりは美琴勢力であった

美琴「・・・へぇ・・・で、鏡の中の世界に敵がいたんだぁー・・・ふっうーん・・・へぇー・・・
   それはすごいわー・・・」

似てるというよりも、同じ人と言える二人の少女に挟まれる少年

幼い方はお説教を、そして年上の方は先程の仕返しとばかりにネチネチと嫌味を言ってくる

―こンなの俺のキャラじゃねェ・・・!

一方通行「そう、上条の野郎の役割だろォこれは・・・」
ぶつぶつと小声で呟く

二人「聞いてるの!?」

一方通行「きっ、聞いてらァ!」

美琴「・・・全っ然反省の色が見えないわね!」

嫌な予感がする。少年の背中に冷や汗が流れだす

打ち止め「そうだ、じゃあ罰ゲームをやったら許してあげる!ってミサカはミサカは提案してみる」

美琴「罰ゲーム?」

打ち止め「あのね・・・この前の病院での・・・二人の・・・をやって欲し・・・」

美琴の耳に何やら小声で喋り出す少女。それを聞いた少女は満面の笑みを浮かべそれに同意

もはや逃げる事は不可能。
打ち止めの提案する罰と称した羞恥プレイを美琴の前で行った後、ついに少年は悪夢のような時間から解放されたのであった



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