仮面ライダーW & 仮面ライダーOOO & 魔法少女まどか☆マギカ Fの契約/少女と魔法と仮面ライダー 第三話

2011年04月26日 19:29

まどか「仮面ライダー?」翔太郎「魔法少女?」映司「魔女?」

『魔法少女まどか☆マギカ』と仮面ライダーW、OOOのクロスです

*設定として九話までのものを利用。
 そのため、まどか側の設定としてある程度の予想改変が入ります、あしからず。

*仮面ライダーWはMOVIE大戦CORE終了後、OOOは24話終了後くらいを想定。

以上が、本SSのおおまかな設定となります。よろしくお願いします

261 :◆WDUU7xtdEo [saga]:2011/03/13(日) 00:31:43.00 ID:vA384cnLo

***

「んだとぉ!?」

時は既に放課後、まどかとさやか、そしてマミが既に学校にいない事を眼の前にいるほむらから聞いて、翔太郎が叫んだ。

「ちょ、ちょっと待って!? マミちゃん、二人を連れ出して行っちゃったの!?」
「ええ、そう。彼女は――そういう人間だから」

さも当然、まるで何度も繰り返したといった口調でほむらは髪をかきあげた。
それに、亜樹子も緊張した表情を浮かべる。

「恐らく……魔女退治にあの子達をつき合わせているわ。彼女がいるから安全だけど
 でも、いつもそうだとは限らない」

それに、亜樹子は更に顔を強張らせる。それは、翔太郎も。

「どうしよう、翔太郎くん……」
「つっても、此処は俺達の庭じゃねえからな……何処から探したもんか……」

翔太郎は考え込んだ。

映司達は現在、アンクがカザリの気配を感じたという事でその捜索に手が離せない状況だった。
故に自分達でどうにかしなければならなかったのだが、

「――だあ、もう! 駄目だ! あの子達が何処に行ったか皆目検討もつかねえ!」

頭を掻き毟る翔太郎。それをよそに、ほむらは慌てる二人と対照的に冷静なフィリップに視線を移していた。

「あなた」
「ん?」

その声に、フィリップはほむらに視線をあわせた。

「昨日のこと、覚えてる?」
「昨日……ああ。僕達に依頼をしたいという事かい?」
「依頼?」

翔太郎と亜樹子が互いに顔を見合わせた後、ほむらを見た。

「ええ……そう」

そして、ほむらが静かに彼等へとその瞳を向ける。

「もう一度依頼するわ。『鹿目まどか』を守って―――何があっても」

凛と、ほむらの声が人の少なくなった正門前に響く。
そこに込められた強い思いを、確かに翔太郎と亜樹子は感じ取る。

「受けてくれたら、私は彼女達の場所へ案内する」

交換条件。しかし、それを翔太郎も亜樹子も嫌悪の目では見ていない。

「……で、どうするんだい? アキちゃん? 翔太郎?」
「どうするも何も」
「最初からそのつもりだったしね」

一瞬の決断、翔太郎達はほむらに向かい合う。

「良いぜ、その依頼引き受ける」
「―――」

その瞬間、ほむらは眼の前の出来事を信じられないような顔をしていた。
しかし、それは本当に一瞬。次の瞬間にはいつもの無表情に戻る。

「そう。それなら、契約成立ね。じゃあ…………ついて来て」

そう、一言。翔太郎達に背を向け、ほむらは歩き始めた。
翔太郎達からは見えないその瞳、微かな炎が宿り始めていた。


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***

まどかとさやかは、マミと一緒に放課後の街を歩いていた。
昼休み、屋上でキュゥべえから魔法少女の説明を受けて悩んでいた二人をマミが連れ出していたのだ。

「魔法少女体験コースかぁ……マミさんがいれば大丈夫だね」
「うん。でも、火野さん達がいればもっと安心だったかも」
「お? もしかしてぇ……?!」
「ち、違うよ! 何言ってるのよ、さやかちゃん!?」

このこのぉ、と肘でまどかをからかうさやか。すると、マミの横を歩いていたキュゥべえが二人のほうを向いた。

『でも、オーズには気をつけた方が良いと僕は思うな』
「え?」

その言葉に、まどかを含めた3人がキュゥべえを見た。

『彼は、オーズは危険な力を持つ者だ。その力を欲望から得ているからね』
「どういうこと、キュゥべえ?」

そのまどかの言葉に、キュゥべえはオーズのことを話し始めた。

人の欲望を喰らうグリード、そのグリードのメダルを使って戦う戦士オーズ。
そして、映司の横にいた人間こそがグリードだという事実を。

「うそ……」
『見た目は人間だけどね。その実、彼は人間とは相容れない存在だ』
「でも、火野さんは私達を……」

一瞬疑問をおぼえるまどかに、キュゥべえは軽く頭を縦に振った。

『うん、そうだね。オーズ自身には問題はないのかもしれないけれど、しかし、
 グリードと組んでいるという事実だけは覚えておいたほうが良い』
「確かに……グリードは欲望を使って人間に害をなしているものね。ある意味
 魔女やその使い魔との関係に似ているのかも……」

マミも思うところがあるのか、キュゥべえのその言葉に大きな疑問を感じておらず
むしろ、受け入れている節があった。

『そう。だから、あのオーズと親しいダブルと名乗った彼等にも気をつけるべき
 かもしれないね』

そのキュゥべえの言葉に、マミの肩が一瞬震える。

『マミ? どうしたんだい?』
「え? ああ……うん、なんでもないわ、キュゥべえ」

戸惑いを一瞬で隠し、マミはキュゥべえへと微笑みかける。
しかし、胸の内はさざ波だっていた。

亜樹子に心配され、その好意を受け取っていた自分。しかし、それとは別に同じ魔法少女の素質を持つまどか達との出会いに喜ぶ自分。

その両天秤に惑い、そしてマミは彼女たちの方を選んだ。
今、こうしてまどかとさやかを連れ出しているのが、何よりの証拠。

「っ…………」

昨日の亜樹子の笑顔を思い出すと胸が痛む。しかし、それ以上に、マミにとっては孤独でいることが怖かった。

魔法少女となる事の恐怖と辛さをマミは一番良く分かっている。
そして、魔法少女同士が互いに手柄のために争い合う事実も。

そんな中に、彼女達を引き込もうとしていることも。

だけどそれでも、その孤独が癒せると思うとマミは選ばざるを得なかった。
もう、これ以上の孤独は嫌だった。一緒に戦ってくれる友達がほしかった。

巴マミという少女は、弱く、脆い少女だった。

「マミさん?」

いずれ、自分の後輩になるだろうまどかの心配な顔がマミを覗いていた。
瞬間、マミは自分の心を鎧う。

ごまかすための、頼れる人間としての自分を創り上げる。
今考えていたネガティブな自分を心から消し去り、偽物の笑顔を作る。

「大丈夫よ、鹿目さん。私がいるから大丈夫」

口から嘘で塗り固めた言葉を放つ。

「それより、魔法少女体験コースね。魔女は交通事故や傷害事件、自殺……。
 そういった事が起こりやすい場所に多いの」

二人に説明しながら歩くマミ。その後ろをまどかとさやかがついていく。
その表情は真剣そのもので、自分を心配している様子がない事にマミは内心で胸を撫で下ろした。

しかし、同時に胸が痛んだ。

「――それと、弱った人の多い病院に魔女が取り付くと生命エネルギーを
 吸い取られてまずい事になる。注意した方が良いわ」

その言葉がいやに軽く感じた。だけど、そうするしかマミには道はない。
だから、このまま突き通すしかない。

だから――

「――ッ!?」

全身を駆け巡る異常な感覚に、マミは顔を強張らせた。
淡くソウルジェムが輝き、魔女の反応を示す。

惑いを捨てる。今だけは捨てる。魔女との戦いに思考を切り替える。

「――あっちだわ!!」
「マミさん!!」

走り出したマミを、二人が追いかけ始めた。細い路地を駆け抜け飛び出すとそこには振る尾廃ビルがそこにあった。

そして、屋上には佇む人の姿が。

「……あ!!」

顔を青ざめるさやかとまどかの視線の先で、その人影はゆっくりと体を前に倒していく。

その顔は恐ろしいほどに無気力で、笑顔。

「うそ……そんな、あの人……!!」

さやかが叫ぶと同時――屋上の人影は、落ちた。

「あ――――ッ!!!」
「ッ!」

まどかが声にならない悲鳴をあげ、マミが駆け出す。
一瞬で魔法少女に変身。昨日、使い魔を捕縛したのと同じ光の帯で落ちてきた人影を受け止める。

「マミさん!!」
「大丈夫よ」

受け止めた人影――女性をゆっくりと地面に下ろす。
そして、露になった首元を見てマミが厳しい表情になる。

「魔女の口付け……」

首元に刻まれた奇妙な紋様、まどかとさやかもそれを見た。

「マミさん、その人は……」
「心配はないわ、鹿目さん。ちょっと気絶してるだけだから」

安心させるように、マミがまどかへと微笑みかける。
そして立ち上がると、廃屋の中へとマミは歩き出した。

「魔女はこの中にいるわ……二人とも、準備は良い?」

神妙な面持ちで、マミは二人に問い返す。

「も、もっちろんっす!」
「は……はい!」

帰ってきた言葉に、マミは心が躍る。万能感、勇気が湧いたような気分だった。

「それじゃ、二人とも! 私の後ろから離れないでね……行くわよ!」

そして、まどかとさやかを連れ、マミは駆け出した。



見滝原にある高層ビルの一つ、その屋上にアンクはいる。
全てを見下すような傲慢な瞳が、見滝原という街を舐め尽す様に見ている。

「アンク……本っっ当に、いるんだよな? カザリ」

これで何度目になるか分からない質問に、アンクは映司へと首だけを向けた。

「いる。何度も言わせるな」

そのアンクの言葉に、映司が大きく、大きく、溜息をついた。
軽く頭をかくと、ウンザリといった顔で再び映司は口を開く。

「それこそ何度目だよ。朝からカザリがいるって言うからお前に付き合って
 こうして街の中歩き回ったのにさ、影も形もないじゃんか」

不満いっぱいで映司はアンクに答えを求める。しかし、アンクはそれに答えずまた街へと視線を戻した。

「おい、アンク」
「うるさい。黙ってろ」

いつ取り出したのか、アンクはパイナップルアイスを口に頬張った。
そして、街をまた眺める。

「……なあ、アンク」
「なんだ」
「まさか、本当に分からない――――とか?」

沈黙。肯定も否定もせず、シャリシャリとアイスを食べる音だけが響く。
そして、棒だけになったアイスを捨てると、アンクが映司へと振り返った。

「映司、変身しろ」
「は?」
「早くしろ」

既に握られてた三枚のメダルを、アンクが映司へと投げて寄越す。

「ちょ、まさか……!?」
「違う。だが、変身してみろ」

ただただ淡々とアンクは答える。それしか言わないアンクに不満の表情を向けながら、映司はメダルをドライバーにセットした。

『タカッ! トラッ! バッタッ!!』

オーズドライバーが歌を歌い、映司が一瞬でオーズに変身する。

「アンク、これで良いか?」
「…………」
「なあ、アンクってば」

しかし、映司に答える事無くアンクは映司の周囲を歩き始めた。
まるで何かを確認するようにぐるぐると回ってはオーズを見るアンク。

そして、何分か経った頃、不意にアンクがその足を止めた。

「アンク?」
「やはりな…………何かがジャマをしてやがる」

そこで初めて、苦々しい表情をアンクが浮かべた。そして、再びアイスを取り出すとそれを頬張りはじめた。

いらつているのか、食べるスピードが先程よりはやい。

「どういうことだよ、アンク?」
「知るか。ヤミーの反応かと思えば何もない。かと思えばカザリの反応。
 訳が分からん。コッチの方が聞きたいくらいだ」

棒になったアイスを捨てて、アンクが毒づく。

「アンク、どうするんだ?」
「とりあえず……俺がこの調子だからな。カザリの奴も何かおかしいと
 感じてるはずだ。奴はウヴァと違って頭が回るからな」

そして、赤のジャケットの胸ポケットからモバイルフォンを取り出すと、アンクは何かをし始めた。

「映司、俺は案を練る。お前はジャマだから勝手にやってろ」
「邪魔ってお前な……」

モバイルフォンのパネルをタッチして作業に没頭するアンクに、映司は溜息をつく。

「ああ、そうだ」

と、そんな映司にアンクは声をかけた。顔をパネルに向けたまま、映司の手の中に握られたメダルを指さす。

「昨日のような事があって分断されると困るからな。一応の保険として
 その3枚は貸しておいてやる」
「え……!?」

いつもはメダルの管理に厳しいアンクのその言葉に、映司は心底驚いた。
夢じゃないかと頬をつねってみたが、現実だった。

「アンク、冗談言ってる?」
「あ?」

馬鹿にしたような、見下したような顔をアンクが映司に向けた。

「いや、だってメダル」
「俺がこの状況だからな、仕方なくだ。それにお前が死ぬと、俺のメダル集めが
 支障をきたす。分かったか?」

他意はないらしい。いや、他意があるのも、それはそれで不気味だが。
メダルをポケットに入れると、映司は軽く息をついた。

「じゃあ、一応預かっておくけど」
「ああ」
「できれば、もう一枚くらい――」

「断る」

****

マミ達が先ほどまでいた廃ビル。そこに、翔太郎達もやってくる。

「翔太郎くん!」

亜樹子が、その側で倒れている女性に駆け寄り叫んだ。

「魔女に誘われたのね」
「魔女? それって、マミちゃんが話してた……」
「そう、貴女達、巴マミからその辺りの話は聞いたのね。だったら、話は早いわ」

それだけ言い、ほむらが亜樹子の横を通って中へと歩いていく。

「おい! この人どうするんだ!?」
「彼女は大丈夫よ、左翔太郎。むしろ、今ここで起こす方が危険だわ。
 原因を取り除かないとまた、自殺するから」

「……また?」
「…………」

フィリップから向けられた視線を無視し、ほむらが中へと消える。

「だあ、くそっ! ……仕方ねえ!」

頭を掻き毟り、翔太郎はガジェットツールを起動させた。
スパイダー、バット、フロッグ、スタッグの4種のメカ達が女性の周囲を
飛び回る。

「コイツらを此処に置いていく。亜樹子、フィリップ、いくぞ!」

そして、翔太郎はほむらを追って駆け出す。それを追って亜樹子も駆け出すが
一人、フィリップだけが何かを考えるように俯いていた。

「フィリップくん!」
「ん? ああ……いくよ、アキちゃん」

亜樹子に呼びかけられ、そこでフィリップは思考をいったん取りやめる。
そして、二人の後を追い始めた。

「また……か。彼女は、何かを知っている?」

走りながら、フィリップは今考えていた事を口に出していた。

***

魔女の結界の中を、マミたちは進む。
まどかとさやかにも魔女の使い魔たちは襲い掛かるが、さやかが持ってきていたバットにかけられたマミの魔法がまどか達を守る。

「魔女は、この結果の一番奥にいるわ。二人とも、私にしっかりついて来て!」

ハキハキと自信に満ちたマミの声がまどか達を勇気付ける。

たった一つ上の先輩にも関わらず自分達を守ってくれるその姿に二人は恐怖以上に尊敬にも似た感情を覚える。

不気味に捻じ曲がった空間に溢れる使い魔を、マミは打ち倒していく。

襲い掛かる使い魔の突撃をバレエダンサーのように華麗にかわし、ターンを繰り返すたびに召喚されたマスケットで撃ち抜く。

自分をおとりにして、空を飛び跳ねるようにして使い魔を惹きつける。
そして、空で無防備な状態を狙って仕掛ける使い魔を、回転しつつ回避し、そしてまた、マスケットが貫く。

そんなマミの戦いの姿を、まどかは美しいと思った。素敵だと思った。
胸に迫るような、そんな気持ちが湧き上がる。

しかし――

「……」

昨日の、映司の戦いの姿がなぜか被った。今、目の前にいるマミとはまた違う、荒々しくも、心強い戦いの姿が。

あの姿に感じたものはいったい何だったか。
まどかの中で、形をもたない靄のようなものが生まれる。
しかし、

「――さあ。鹿目さん、美樹さん、最深部までもう少しよ!」

マミの言葉に、まどかは現実に引き戻された。

歪な構造体を抜け、3人は薔薇のデコレーションで飾られた空間へと達する。
そして、そこにある幾重の扉を抜け、最深部へと至る。

果たして――その最深部に、魔女はいた。

「あれが魔女よ」

巨大な空間、何十もの環と薔薇とに飾られたそこに、魔女は鎮座していた。

だが、それはいわゆる御伽噺に出てくるような人の形をした生き物ではなかった。
いや、生き物と表現することすら間違っているのかもしれない。

名状しがたいその姿に、さやかとまどかはすくみ上がる。

「……グロい」
「あんなのと戦うんですか……?」

二人の不安に、マミは微笑みで返す。

「大丈夫、負けるもんですか」

そして、昨日のように、またマミが二人の周りに光の結界を作った。

「私、強いんだから」

二人をそこに残し、マミは魔女の元へと降り立つ。
優に3メートルを越す巨体とマミの戦いが始まる。

巨体が、その空間の中を、その大きさからは考えられないようなスピードで飛び回る。

大量に召喚したマスケットをマミは代わる代わる撃ち続ける。
だが、それは一向に当たる事はない。

巨体の突撃を交わし、マミは再びマスケットを召喚する。

スカートから、帽子から、更にマスケットを召喚しマミは魔女へと
銃弾を浴びせ続ける。しかし、

「――ッ?!」

足元に感じる違和感に、マミは気づくのが遅れた。小型の使い魔が次々とマミの体を駆け上り、一本の鞭に変わった。

「くっっ……!!」

締め付けられる体、そして、次の瞬間、マミの体が空を舞った。

「かはっ……!?」

拘束された体が、激しい勢いで壁に叩きつけられた。その拍子に運悪くマミの頭が揺さぶられる。

だが、それまで。

『ヒートッ! トリガーッ!!』

魔女の空間に、咆吼が轟いた。

「……え?」

まどかがそれに振向くと同時、その隣を一つの影が走り去る。

赤と青の二色、それが魔女の空間内へと飛び込む。
腕に握られた銃が、火を吹く。

そして次の瞬間、魔女の空間に炎を纏ったエネルギー弾が降り注いだ。

そのエネルギーの凄まじさ、魔女の空間の中に飾られていた薔薇が一瞬にして炎で嘗め尽くされる。

『――――!!!』

魔女がつんざくような悲鳴をあげた。

「……っ!」

その隙を、マミは見逃さなかった。鞭を胸元のリボンを使い切り裂く。
そして、壁を使い、再び空へと舞った。

「――はあッッ!!」

魔女の空間に穿たれた弾痕が光り輝く。そして、そこから次々と光の糸が溢れ出し何本もの巨大な帯になる。

帯が幾重にもなって、魔女に襲い掛かった。

『――――!!』

声にならない叫びをあげて、魔女がもがき苦しむ。

「未来の後輩に――あんまり格好悪いところ、見せられないものね!!」

マミは引き抜いたリボンに魔力を通した。彼女の持てる最大魔力がそれに込められる。
リボンが螺旋にねじれ、巨大化する。

そしてリボンが、一丁の巨大なマスケット銃に変化した。

その口径は、優に1メートルに達するかというほどの規格外。
銃身だけでも2メートルか3メートルに達する規格外。

規格外の固まりのようなマスケットをマミは担いだ。

「惜しかったわね――」

マミの瞳が、拘束された魔女を捉える。もがく魔女に狙いを定め、マスケットに火が灯った。

そして、撃鉄が火花を散らした。


「ティロ・フィナーレッッッ!!!!」


マミの勝利の宣誓、巨大な弾丸が魔女の頭を消し飛ばし、爆音が空間を嘗め尽くした。

魔女が消滅し、その死を悼むように瑠璃細工の蝶が空に飛び立った。
そして、世界は再びあの廃ビルへと戻る。

「…………」

赤と青の戦士が、マミを見ていた。仮面を被ったその瞳の奥、彼は静かな怒りをマミに向けていた。

「あなたは……」

マミが言い終わる前に、仮面の戦士のベルトのバックルから、二つのデバイスが取り外される。
そして、彼を覆う鎧が掻き消え、その中から現れる一つの影にマミは驚愕の表情を浮かべた。

「あ―――」

左翔太郎。昨日、亜樹子と一緒にいた探偵だった。
そして、彼がいるという事は、つまり、

「……マミちゃん」
「っ!?」

その声にマミは振向く。そこにいる人物は、まぎれもなく亜樹子。
だが、ただそこにいるだけではない。怒りの表情を浮かべ、真っ直ぐにマミを見ていた。

「亜樹子……さん」

魔法少女の変身が解け、マミが困惑の表情を浮かべた。

「マミちゃん……自分が何したか分かってる?」

静かに、マミへと亜樹子が近づいていく。
尋常ではないその様子に、まどかも、さやかも、何も言えずそれを見ていた。

先ほどまでの勝利の余韻など一瞬で消え去っていた。

「そ……れは……」

その真剣な眼差しに耐えかね、マミが亜樹子から視線を外す。
マミは、亜樹子の言葉を理解していた。故に、彼女の顔を正視できなかった。

「……」

亜樹子はマミへと歩みを進め、そして、子犬のように震えるマミの真正面に静かに立った。

沈黙が周囲に流れる。誰も口を開かず、マミと亜樹子を見ていた。
永遠にも似たような時間が流れる。それは数分だったか数秒だったか。

そして、その果てに、亜樹子がそっと口を開いた。

「マミちゃんね、危ない事に、あの子達を巻き込んだんだよ?」
「――ッ!」

マミが全身を震わせた。

「マミちゃん、分かってたよね? これ、危ない事だって」

それは責めるような口調ではなかった。ただ、諭すように、静かに呟く。

「…………」

その亜樹子の言葉にマミは答えなかった。無言がマミの心の内を雄弁に語っていた。

「アタシさ、危ない事に良く首を突っ込むんだよね。まあ、それで色々と
 翔太郎くん達に迷惑をかけるのもしばしばなんだけど」

そういって、亜樹子が翔太郎達に視線を向ける。それに、翔太郎とフィリップが顔を見合わせ、笑う。

そして、亜樹子は膝をかがめマミの顔を覗き込んだ。

「そう……だからね、アタシ分かるんだ。これ、いけない事だって」

これまでにない程、真剣な口調だった。

「マミちゃん」
「ッ……」

マミの手を亜樹子が握った。振りほどこうとするのを、無理矢理に押さえ込む。

「……」
「……」

亜樹子には、マミの手が震えているのが分かった。

ずっと独りでいたマミにとって、あの子達の存在は大きかったのだろう。
正直なところ、亜樹子にはマミを責める気にはなれなかった。

「……わかるよね?」

静かに亜樹子はマミへ問う。それを分からないほど幼いとは亜樹子も
思っていない。彼女は賢い子だと分かっていた。
しかし、

『マミ』

亜樹子の足元にキュゥべえがいた。彼女にしか聞こえないテレパシーで
キュゥべえがマミへと語りかけていた。

『気をつけて。彼女達を僕らは良く知らない』

その言葉が、水がしみこむようにマミの心に入り込んでいく。

「……マミちゃん?」

確かに良く考えれば、とマミは思った。
昨日会ったばかりの人間を、なぜ此処まで信用できるのか。

口の上手さに乗せられていたが、自分は彼女のことを殆ど知らない。

マミの中で、何かが変わっていく。

「……ごめんなさい」
「あ、ちょ!?」

スっと、亜樹子の手を離し、マミが離れる。

「鹿目さん、美樹さん。今日は、ごめんなさいね。私、ハッスルしすぎちゃった。
 これ、本当ならもっと危なくない方法にしとくべきだったよね」

「え……あ、そ、そんな事ないです!」
「う、うんうん!」

申し訳ない気持ちでいっぱいの表情で謝るマミ。それに驚いて二人が
答えるが、マミは微笑を湛えたまま、首を横に振った。

「ううん、良いのよ。だからね、また、今度話しましょう?」

そして、マミは足元に落ちていた宝石を手に取るとその場にいる全員に背を向けて、歩き始めた。

「マミちゃん!!」

亜樹子の声に微かに反応したが、マミは振向き、微笑むだけだった。

「亜樹子さん、ごめんなさい。私疲れたので、帰ります」
「あ……」

そして、マミはその場を去った。

「マミさん……」

心配そうな声をあげるまどかの声が、ひどく大きく廃ビルに響いていた。

『マミ、申し訳ないことをしたね……余計な事をしちゃったよ』
「ううん。良いのよ、キュゥべえ。あなたは間違った事は言ってないわ」

足元を歩くキュゥべえに、マミは微笑む。そう、何も間違ってはいない。
昨日今日で色々ありすぎたのがいけなかったのだ。

そう、それだけなのだ、と自分に言い聞かせ、廃ビルの出口へとマミは歩みを進める。

「あ、そういえばグリーフシード……忘れてきちゃった」
『どうする、マミ? まだ魔女が孵化するほども穢れもなかったし、あとで
 回収も出来るけど』
「じゃあ……後にしましょ。なんだか、疲れちゃった……」

全身が酷く重たかった。しかし、重いのは体だけではなく心も。

突然現れた亜樹子の言葉にマミは揺らいでいた。
仲間がほしくて、まどか達を誘い、ああして事実を突きつけられ。

はたして、自分が何をしたかったのか。魔法少女としてやってきた自分の存在意義が分からなくなり始めていた。

「ねえ、キュゥべえ。私ね、魔法少女になって皆を守ろうって思ってたの
 本当なんだよ」
『うん』
「だからね、私……だれも巻き込まないように気をつけてたの」
『うん』
「でもね、鹿目さん達が魔法少女の素質があるから……だから、ね。
 こうして、教えてあげようと思ったんだけど……」

胸がズキズキと痛んだ。目から、涙が零れ落ちそうだった。

「間違いだったかな……」
『マミ……残念ながら、僕には何も言えないよ』

心配そうな声で呟くキュゥべえの言葉に、ひどく心が休まる。
長年付き添ってくれた友達の言葉は、それだけでマミの心を落ち着かせた。
しかし、

「――巴マミ」
「ッ!?」

突如現れたイレギュラーの声に、その心は、またも緊張を強いられる。
暁美ほむら、キュゥべえですら知らない魔法少女。

彼女は、マミを待ち構えていた。

「……何のつもり? また、キュゥべえを傷つけるつもりなの?」
「違うわ。ただ、彼等を案内しただけ」
「彼等……?」

『彼等』、その言葉にマミは敏感に反応した。

そして瞬間的に、マミの頭の中で今日の出来事が全て自動的に組み合わさった。

「暁美さん――あなたのせいだったのね……?!」
「……そうよ」

その時、マミの目には明らかな敵意がほむらに向けて放たれていた。

「巴マミ、あなたの行いが彼女達を傷つけるとは思わなかった?」
「っ……!」

先ほど、亜樹子に指摘された言葉にまたも胸をえぐられる。

「分かっているのなら、彼女を魔法少女にしようなんて思わないことね。
 それが賢明な判断よ」

それだけを告げ、ほむらが建物の奥へと向かう。

耳元に届くほむらの靴音が酷く耳障りだった。全てを否定された気分でとても悔しかった。

そして、もう一つ。

「亜樹子さんも……同じなんじゃない」

マミの中で、亜樹子達がほむらとイコールで結び付けられる。
結局、彼等も彼女と同じで、自分の世界を傷つけるものなのだと決め付ける。

「っく………ぅっ……」

ぼろぼろと、涙が零れた。辛かった。
悔しかった。

せっかく手に入ったかもしれない仲間が、友達が、眼の前で奪われそうになった現実がマミには受け入れがたかった。

「私……ひっく……もう、信じない……亜樹子さんも、暁美さんも」
『マミ……』

零れる涙が、夕日に照らされていた。

ただただ、心は重く、体も重く。

春先のまだ冷たい風がマミの体に吹く。

「独りはやだ……」

世界にただ独り残されたような冷たさに、マミは、また涙を零した

静かに日が落ちていく。夕暮れのオレンジが、段々とパープルに変わっていく。

それを、マミは無感情で眺めていた。
夕日が地平線に落ちていくのを、ただ、部屋の電気もつけずに見ていた。

大きなリビングの中心にポツンとあるテーブルの上には3人分のケーキ。
今日、魔女退治が終わった後に、一緒に食べようと用意していた。

だけど、それも全て無駄になった。

「あはは……私って駄目ね。本当に、駄目……」

独りでいる時は、こうして弱音を吐くことの方が多い。
ああして、まどかやさやかの前で強がってはみたけど、やっぱり辛い。

気づいたら、また、ポロポロと涙が零れていた。

「……っ」

魔法少女になってから、マミは誰かを助けるために戦うという口実で独りの寂しさを紛らわしていた。

だけど、やっぱり独りである事を癒せるものなんて何もない。


独り、ずっと独り。


お父さんもお母さんも死んで、親戚からは突き放されて、こうして独りで暮らすしかなくて。

その辛さにずっと耐えてきて、無理矢理取り繕って。独りで泣いて。
戦って、怪我をして、でも、そんな痛みも口に出せなくて。

「…………鹿目さん」

そして、そんな中に彼女は現れた。
キュゥべえが見出した魔法少女の才能を持つ少女、鹿目まどか。

『――彼女はすごい才能を持っている。計り知れないほどの力だよ!』

キュゥべえは、そう言っていた。

だとすれば、もし彼女が魔法少女になってくれたのなら、こんな孤独とも別れる事が出来るんじゃないだろうか。

そう思った。本当はいけないことだと分かっていたけど、でも考えずにはいられなかった。

命がけの戦いで、死と隣り合わせの戦いだとしても、同じ魔法少女同士で手を取り合いながらやっていけるんじゃないかと思った。

自分が先輩で、彼女が後輩で、自分が色々教えてあげながら背中を預けあう。
どれだけ辛くても、誰かがいるなら耐えられる。

そう、思った。

「でも……」

それも、全ては水泡に帰した。亜樹子と、あの暁美ほむらによって。
あんな事があっては、もう二度と彼女達は自分に付き合ってくれないだろう。

そう、結局はまた独りに逆戻り。

また独りで魔女と戦う日々が戻る。孤独に耐える辛い日々が戻る。
たった2日の出来事なのに、酷く永い時間を過ごしたような気がした。

「……言っても、始まらないか」

もう、この事を考えるのはよそう。これ以上考えても辛いだけだ。
そう思って、自分の寝室に戻ろうとした時だった。

――ピンポーン

チャイムが鳴った。

また新聞の勧誘だろうか、玄関のドアまでマミは行く。
新聞の勧誘なら居留守を使おう、そう思って覗き穴から外を見てみた。

「あ……!」

マミの瞳が驚愕に見開く。次の瞬間、マミはドアを開け放っていた。

「マミさん……」

鹿目まどかがそこにいた。


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