上条「DIOォォォォォォォォッ!!!」 その13

2010年02月09日 21:31

上条「DIOォォォォォォォォッ!!!」

544 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/28(木) 23:20:08.09 ID:T/ShUsbl0

上条「・・・あ・・・」

目を覚ます。真っ暗な知らない部屋の中で、少年は一人ベッドの上で寝かされていた

今何時なのだろうか、何故自分はこんなところにいるのか

心臓の鼓動が速くなる。どうしてだかは分からない。抑えきれない程の不安

―オモイダシテハ、イケナイモノガアッタキガスル

ふと、頬に痛みが走る。触れてみると、何かがかすめたような筋

―ドクンドクン、ウルサイ、シズカニシテクレ

それに触れた瞬間、少年の全身に激しい衝撃が走った

―オモイダシタ

上条「あ・・・あぁ・・・っ!」

あの、自分を庇い、額を撃ち抜かれて死んだ少女の姿を

上条「あ・・・あぁ・・・違う・・・俺・・・が・・・守れなかった・・・っ」

―『死んだ』?何都合の良い事を言ってるんだ?

誰かの声がする。それが、自分の心の声だとも気が付かずに

上条「あ・・・あぁ・・・!うあぁ・・・っ!」

―『殺された』。俺のせいで、白井は『殺された』。俺が弱いせいで、白井は『撃ち殺された』。そして、あの男を

その声が、少年の心を染める

蝕む

軋ませる

ヒビを入れる

上条「あ、あぁぁぁ・・・っ!うああああああああああああッ!」

―俺が『殺した』

上条「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

そして、壊した


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黒子「・・・う・・・?痛っ」

少女は目を覚ました。眩しいばかりの朝日が窓から差し込んできていた

清潔なベッドの上に身体を起こすと、頭と、両腕から鋭い痛みがした

黒子「え・・・?」

痛みの元の、両腕を見る。まるでバンテージの様に真っ白な包帯に巻かれていた

―私、どこか怪我をしました・・・の・・・?

脳裏にあの時の光景が蘇る

確かにあの弾は、自分の腕を貫いた。貫く感触がした

そして額を―

黒子「なん・・・で・・・私、生きて・・・」

それがどうしてだかは分からないけれども、少女は涙を流していた。そして、少年に感謝をした

自分を助けてくれたのは、あの少年だと思っていたから

佐天「あ・・・!白井さん!目が覚めたんですね・・・っ!良かった・・・っ」

病室を出た廊下で、すぐに佐天と出会った

佐天「白井さんが一番重傷だったんですよ・・・これでみんな目を覚ました・・・本当に良かった・・・」

少女が瞳を潤ませながら、小さな声で呟く。どうやらここは財団の息がかかった病院であるらしい

その目の下には大きな隈があった。恐らく、この少女は身を粉にして全員の治療に当たっていたのだろう

黒子「もう大丈夫ですの。御心配おかけいたしましたわ。それで、他の人は・・・」

聞きたい事は沢山ある。それでも、一番聞きたい事を優先する

佐天「一方通行さんと打ち止めちゃんは昨日目を覚ましました!御坂さんはその少し前に!
   皆さんそれぞれのお部屋にいますよ」

黒子「そ、そうですの。それで、あの・・・上条さんは・・・?」

一番聞きたい事を聞いて、その一番聞きたい事の中で、一番聞きたい事を聞いた

佐天「・・・上条さんは・・・一番早く、目を覚ましたそうです・・・」

目の前の少女が顔を曇らせるのを見て、黒子は彼の身に何かがあったと感じとった

黒子「・・・面会・・・謝絶・・・?」

数分歩いた先にある、案内された分厚い扉の前で、彼女は呆然としてしまった

佐天「・・・私を含めて、治療に携わる人以外は入れる事が今は出来ません・・・危険だから・・・」

黒子「そんな・・・に・・・酷い御怪我を・・・されていますの・・・?」

違う。そんな重傷患者を、こんな遠くの、たった一つしかない病室におくだろうか

こんな、隔離された病室に

黒子「・・・入れては・・・下さりませんの・・・?」

目の前の少女は『危険』だと言った。何が危険だというのだろうか

分からないけれども、目の前の少女のあまりにも必死なその眼差しを受けて

佐天「・・・ごめんなさい・・・白井さんも、重傷病人ですから・・・もうお部屋に戻って下さい・・・」

少女に引きずられる様に、彼女は扉一つを隔てた先に居る少年と離れて行った

上条「ああああああああああああ・・・っ!うあああああああああっ!ああああああああああああああああああ!」

―これで、三日目・・・

部屋に入ると同時に、少年の声が部屋に響いた。完全防音の隔離室。
恐らく先程の少女にもこの声は聞こえてはいない

分厚いドアに鍵を掛けて、少女は背中をそれに預ける。少年は少女に気が付いていなかった

―私、白井さんに嘘ついちゃったな・・・

思い返せば、嘘を付き続けた旅。色々な人を騙して来た数日

『治療に携わる』と言った。しかし、自分はこの少年に、この三日間一度たりとも触れてなどいない

波紋では肉体の傷は治せても、心の傷までは治せない

例え、もしそれが可能だったとしても

佐天涙子には、彼の心を治療するつもりなど、全く無かった

あの日決意をしたのだから

待ち続けていたのだから

この少女は、ずっと、ずっと

こんな機会を、待ち続けていたから

上条「ああああああああああああッ!ああああ・・・ゲホ・・・ッ!があ・・・っ!
   あああああああああああ・・・っ!」

頭を抱えながら、苦しそうに、嗚咽混じりの掠れた声を上げ続ける少年。
時折する咳の中に、赤いものが混じっている

これが数時間続いてから、糸の切れた人形の様に、まるで死んだ様に彼は眠って、また同じことを繰り返す

佐天「ごめんなさい、上条さん・・・」

その呟きは、少年の声に掻き消されて誰の耳にも届かない

―私達の旅は、ここで終わり。私たちは、目の前のカイロへは行けない

佐天「でも、これでもう、誰も苦しまないで済むから・・・だから、そのまま安心して・・・」

安心など、今の彼に対しては皮肉以外の何でも無いだろう。それでも、少女は本当にそう思っていた

佐天「・・・逝って・・・」

少年の声が更に強くなった気がした

佐天「・・・は、ははは・・・なんで、わたし・・・ないてるんだろ・・・?」

少女は涙を流しながら、それを見ていた

少年の心が壊れたのを見守り続けてから、五日が経った

一方通行「・・・チッ・・・」

美琴「・・・当麻・・・っ」

既に彼らには伝えてある

『上条当麻が壊れた』と

佐天を含めて、彼らは気絶していたから、誰も何も知らない。あの時のあの後に、何が起きたのか

それでも、それだけ聞いて全員は理解をしていた

予感はしていた。あの夜、少年は壊れてしまいそうな顔をしていて、その不安を全員が感じていた

そして、それは的中してしまった。何があったのかは分からないけれども、恐らく何かがあった

敵に襲われて、ここにいる全員が気絶していたというのに、誰一人欠ける事のないという異常な事態

誰も言わなかったけれども、誰もが何となく感じていた

恐らくあの少年は、あの日、誰かを

殺した

それを止められなかった自分達への苛立ちが、場を支配していた

それでも誰もが信じていた。あの少年はきっと立ち直ると

だから、誰も彼を置いて行く等とは言わなかった

しかしその儚い願いは、その少年自身によって打ち砕かれてしまう日が来た

―ついに、この日が来ちゃったな・・・

自分でも驚くほどの冷めた心で、少女は彼を見ていた

彼の心が壊れてから七日。そこが少年の心の限界だった

美琴「・・・とうま・・・?」

彼女が少年を呼び掛ける。もう良いと判断したから、佐天は既に完治している美琴が来る事を許可した

その声に、少年が怯えた様に肩を一瞬だけ震わせる。そして、静かに首を横に振った

上条「・・・ごめん。でも、俺は君の事が分からないんだ・・・」

弱々しい笑顔。良く知っている笑顔。大好きな少年の笑顔

それでも、目の前の彼は既に違う人だった。その他人行儀な言葉を、聞きたくはなかった

美琴「うそだ・・・っ!こんなの嘘だ・・・っ!嘘だっ!うそだっ!うそだぁぁぁ・・・っ!」

その現実を受け止められない少女の、悲痛な声が病室に響き渡る

佐天「・・・ごめんなさい・・・当麻・・・でも、これでもう終わりだから・・・」

誰にも聞こえない様に、そして自分に言い聞かせるように、小さく呟いた

一方通行「っざけンなァッ!もう一度言って見やがれッ!俺がてめェをぶっ殺してやるッ!」

続いて乗り込んで来た、湿布まみれの白髪の少年の怒号が響き渡る。既に美琴から話は聞いているのだろう

上条「・・・ッ!?」

その言葉を聞いて、少年は肩を大きく震わせる。その顔に恐怖が張り付いていた

打ち止め「・・・駄目・・・その言葉を使っちゃ・・・駄目だよ・・・
     とミサカはミサカはあなたを止めてみる・・・」

少年が反応した言葉は『殺してやる』。そして一方通行にもそれは分かった

上条「・・・ごめん・・・ごめんな・・・っ」

違う。彼が悪いのではない。そんなことは分かりきっている

彼はほんの少し勇気のある、ごく普通の少年だった。戦いとは無縁でいたいと思っていた

取るに足らない様なほんの些細な出来事を不幸に感じて、それでもその生活に満足をしていた少年であった

誰かを守りたいと思っていた。それだけで充分だと知っていた。そうでありたいと心のどこかで願っていた

一方通行「・・・チッ・・・!てめェはそんな奴じゃなかったじゃねェか・・・ッ!ふざけんなよ・・・!」

そう言い残し、白髪の少年はドアを叩きつけて部屋を飛び出した。それを追って、打ち止めが静かに退室をする

上条「・・・君は、優しいね」

佐天を見て少年が言った。自分の事を何一つ責めない、何一つ詮索しないこの少女の優しさが、少年には嬉しかった

佐天「・・・っ!い、いえ・・・私は・・・この為にいますから・・・」

胸が痛い。思わず泣いてしまいそうになってしまう

佐天「・・・か、花瓶の水・・・っ!取り換えてきますねっ!」

そう言い残して、少女は部屋から逃げ出した

そうしないと、この少年に謝ってしまいそうだったから

自分の積み重ねてきた事の努力が、また崩れ去って行ってしまいそうだったから

上条「俺は・・・俺は一体・・・何なんだろうな・・・」

出会う人々を悲しませる、自分という存在

あの少女は自分のこの姿を見て、涙を流していた
あの少年は自分のこの姿を見て、怒りを覚えていた

きっと、彼女達はそういう人なんだろう。自分に対して、そうしてくれる人達なんだろう

―じゃあ、俺は一体・・・何なんだろうな・・・

分からなくて、でも涙の流し方も分からなくて。少年は自らの両手で、自らの顔を覆った

佐天が部屋を飛び出して行くのを見て、ついに彼女は少年の部屋に入った

少年は顔を手で隠したまま、こちらの事に気が付かない

黒子「・・・上条・・・さん・・・?」

少女の声を聞いて、突然少年の身体がビクンと跳ねる

上条「・・・え・・・・?君・・・は・・・何で・・・?だ・・・れ・・・?」

信じられない様な物を見るかのような目で、少年は少女をじっと見た

その二つの目からは、つぅと雫が流れ出て来ている

黒子「・・・っ!?上条さん・・・まさか記憶が・・・っ」

その異常な様子の彼を見て、黒子は理解した。彼が『壊れた』という意味を

上条「あ・・・?なんで・・・おれ、ないてるんだろう・・・はは・・・おかしいな・・・さっきまで・・・
   くっ・・・」

自分が何故泣いているのかという理由も分からないのだろう。その止め方も分からないのだろう

上条「・・・なぁ・・・少しだけ・・・胸貸して貰っても・・・いいかな・・・止まるまで・・・一緒に・・・
   居てくれないかな・・・」

まるで小さな子供の様に、あのシンガポールで自分に縋り付いて泣いた時の様に、彼は泣いていた

ゆっくりと、黒子が少年に近寄る

そしてゆっくりと、包帯を付けたままの右腕を彼の顔の横に出して

パァン

思いっきり、彼の頬を叩き飛ばした

上条「・・・え・・・?」

信じられないように、彼女の顔を見つめる少年

パァン

そのふざけた顔に、もう一度ビンタを叩きこむ

黒子「・・・ないで・・・っ!」

完治していない傷口から、激痛と共に血が流れ出す

黒子「ふざけないで・・・っ!逃げないで・・・っ!」

瞳に涙を溜めながら彼女は少年を怒鳴りつける

黒子「にげないで・・・っ!にげないでくださいまし・・・っ!」

もし、その事が『彼』を苦しめているのであれば

もし、その事が『彼』の重荷になっているというのであれば

『彼』を救うのは、自分の責任。自分がやらなくてはいけないこと

自分を見る彼を見て分かった

恐らく『彼』は、あの日自分が死んだと思ってしまった

そしてそれがきっかけの一つとなって、引き鉄を引いてしまって

『彼』の心を壊してしまった

だから呼びもどす。例え無理矢理であっても、『彼』を取り戻す

今の彼に、甘えさせてはいけない

叩いた右腕が痛い。恐らくまた傷が開いてしまったのかもしれない。構うものか

『彼』はきっと、もっと苦しんだ。もっと恐れていた

だから、もう戦ってなんて言わない。だから、戻ってきて欲しい

黒子「自分の足で・・・っ!立ち上がるのですわ・・・っ!」

だから

黒子「上条当麻ッ!!」

上条「・・・あ・・・っ!オレは・・・っ!おれは・・・っ!俺はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

少女の呼び掛けを聞いて、少年が頭を抱えて叫ぶ

恐らく、もう一押し。それで彼が戻って来てくれる。そんな気がした

黒子「・・・一つだけ、聞いて欲しい事がありますの・・・」

出来る事ならば、言いたくなかった。一生黙っているつもりだった

黒子「私は・・・あの時・・・」

少年が殺されかけた、あの砂漠の夜

上条「・・・や、やめろ・・・」
恐らく、もう彼は何も考えていない。ただ、上条当麻の無意識での反応

黒子「人を」

声が震える。喉がカラカラに乾いて、心臓の音がうるさいほど大きく聞こえる

上条「やめろ・・・ッ!もういいっ!もう良いから・・・っ!だからやめてくれ・・・!頼むから・・・!」

嫌われても良い。『彼』が戻ってきてくれるのであれば

黒子「殺しました」

上条「やめろぉぉぉぉっ!白井ぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

上条当麻が、震える白井黒子の肩を、抱きしめていた

黒子「・・・やっと、戻ってきて下さいましたのね・・・」

上条「・・・悪かった・・・っ!俺が・・・俺にもっと力があれば・・・っ!皆をまも―」

パァン

黒子「思い上がらないで下さいましっ!」

その言葉はもう言わせない。きっとまた、彼の重荷になってしまうから

黒子「誰があなたの助けを必要としていましたのっ!?
   どうしてそうやってすぐ、自分で抱え込んでしまいますの!?」

額の、腕の包帯を解く。薄れかけているけれども、確かに残っている傷

上条「・・・っ!」

少年が顔を歪める。自分への嫌悪

黒子「これも!この腕も!全部上条さんのせいじゃありませんわっ!だから・・・っ!だから!」

黒子「・・・もう、今日はこのまま、寝て下さいまし・・・」

上条「・・・悪い・・・白井・・・本当に、ごめんな・・・ごめ・・・ん・・・」

少女のその言葉に救われて。謝りながら、ずっと謝り続けながら、少年が力無く意識を失った

佐天「ジョセフさん、何と?」

一方通行「・・・あのジジイ、しばらくここに居ろだとよォ・・・」

朝の定期連絡を終えた白髪の少年が、少女の問いに返す

もう既にカイロを目の前にしているというのに、肝心な少年がいない

佐天「そ、そうですか・・・」

―これで、良いんだ・・・これで、全てが上手くいったんだ・・・

少女は自分の心に言い聞かせる。『上条当麻』には悪いけれども、自分にしてはこの上なく上出来な終わり方

美琴「・・・アタシ、待つわ・・・当麻が戻ってくるまで、ずっと待つ・・・」

一方通行「たりめェだろォが。戻ってきたらまず一発殴って―」

上条「あぁ、是非ともそうしてくれ」

佐天「・・・な・・・なん・・・で・・・っ!?」

その声がした方向を振り返ると、少年が黒子に支えられて、共に部屋に入って来ていた

美琴「あ・・・あぁ・・・っ!当麻・・・?当麻!?」

その姿を見て、少年の帰還を知って、彼女は抱き付いて泣き始める

一方通行「・・・大丈夫か、なんざ聞かねェ。覚悟は出来てンだろォな・・・?」

右手を堅く握りしめて、白髪の少年は平静を装いながら彼に問う

上条「・・・あぁ。ただ、その前に一つだけ言わせて欲しい。それから、頼みがあるんだ」

打ち止め「私達に出来る事なら何でもお手伝いするよ!とミサカはミサカは事前承諾してみる!」

黒子「・・・上条さん・・・?」

上条「俺は、自惚れていた。俺が皆を守りたいって考えていて、でもそれが出来なくて逃げ出した」

静かに彼は語り始める

もう、迷わない

上条「でも違ったんだ。初めから俺は守ってなんかいなかった・・・俺が皆に守られていたんだ・・・!」

自分に抱き付いたまま泣いている頭を撫でる。この小さな身体で、ずっとずっと自分を守ってくれた彼女の頭を

『俺がみんなを守る』。その言葉こそが、間違っていた。その言葉こそが、ふざけた幻想だった

上条「俺は弱い。こんなにも弱くて、一人じゃ何も出来ない。今更こんな事に気が付いたんだ」

佐天「・・・」

上条「今更・・・馬鹿だよな。こんな俺に、今まで一緒に来てくれて本当にありがとう・・・!」

黒子「・・・ッ!?ま、まさか・・・っ!上条さん!?」
―まさか、また一人で抱え込むおつもりですの・・・っ!?

その先を言わせてはいけないと思った。あの禁書と呼ばれる少女と別れた日を思い出してしまう

上条「・・・大丈夫だ白井。だから、皆に頼みがあるんだ・・・!」

彼の声が次第に強くなる。誰も彼を止めない

上条「もう少し・・・!もう少しだけ、こんな俺に力を貸して欲しい!」

上条「頼む!もう少しだけ、一緒について来て欲しいんだっ!」

上条「もう少しだけで良い!!俺を・・・!俺を守ってくれ・・・っ!」

一方通行「・・・チッ!言われなくても分かってンだよ!てめェが、俺たちがいなきゃ死ぬ程弱いってこたァ!」

彼の願う叫びを聞いて、白髪の少年がそれに負けない程に声を張り上げる

一方通行「てめェの口は偉そうな説教でも垂れ流してンのがお似合いなンだよッ!」

そう言って、一方通行は部屋を後にした

打ち止め「今更言われなくても始めっからそうするつもりだー。
     とミサカはミサカは彼の言葉を丁寧に通訳してみたり」

屈託のない笑顔で打ち止めが、あのぶっきらぼうな言葉に隠された気持ちを伝える。
そしてそれは自分も同じであると

美琴「・・・アンタだけで、どうやってあんな化け物に勝つっていうのよ・・・馬鹿・・・」

胸に顔を埋めたまま、美琴も彼の願いを受け入れた

黒子「・・・私は既に言っておりますの。私たちは仲間だって」

ふいと横を向いたまま、黒子が呟く。その肩が震えている様に見えるのは、きっと自分の錯覚ではないだろう

佐天「わ・・・私は・・・っ」

その彼らの姿を見て、少女は動揺を隠せなかった

上条「・・・佐天、無理にとは言わない。俺だって怖いんだ。誰も死にたくなんかないだろ?」

その言葉を聞いて、少女は揺らいでしまった

佐天「わ、私・・・っ!私がいないと・・・、怪我したとき・・・っ、困るじゃないですか・・・!」

出来るだけ冷静に、出来るだけ落ちついて、出来るだけこらえて、出来るだけばれないように

でも、震える声が紡ぎ出した言葉はそんなどうしようもない言葉。
どうして自分の努力はこうも実を結んではくれないのか

上条「・・・ありがとう、佐天」

―あれは私の見た、幻だったんですよね・・・?

―あの時見たあなたは、何かの間違いだったんですよね・・・?



男「チクショォーッ!あと少しでジョースター共を皆殺しに出来たってのによォーッ!」

カイロ郊外の誰もいない静かな夜の路地裏で、男は腹を立てていた

男「あの時ホルホースの野郎が邪魔しなければ今頃俺が・・・ッ!」

何か上手い言い訳はないかと考える。このままでは、また周りからヌケサク扱いされてしまう

あてもなくフラフラと歩いていると、突然名案が浮かぶ

男「そ、そうだ!俺はあいつらを倒しに行ったんじゃなくて、偵察に行ってきたんだ!そうしよう!」

我ながら素晴らしいアイデア。倒しに行った訳じゃないのだから、奴らを倒せなくても問題はない

ここ数日の悩みが一気に解決してしまうと、一気にお腹が減って、喉が渇いてくる

男「・・・誰か適当な人間の血でも吸わせて貰うか・・・!どうせなら美人が良いなぁ・・・クク・・・」
―血を吸う前と、吸った後でも楽しめるからなぁ・・・ッ!

ふと、目の前に人影。柔らかな丸みを帯びたシルエットは、それだけで魅力的な女性であると伝えている

男「お嬢さァァァんッ!ちょっと俺様と付き合って貰うぜェーッ!」

女「これで。八人目。あなたも。そうなの」

その夜、ヌケサクと呼ばれた吸血鬼は灰となって消えてしまった



少し遡り、学園都市

男「・・・」

男は砂の様に崩れ去っていった

女「これで。三人目。やっぱり。何かが。起こってるの?」

既に男は聞いていない。強い風にさらされ、空へと散っていってしまっていた

―上条君・・・。また怪我をしていなければ。良いけれども

しばらく見ていない彼の姿が頭に浮かぶ。そして三沢塾での出来事を思い出す。上条はあの時も大怪我をした

少し目を離すと自分の前から見えなくなって、現れたかと思うとどこかしらに怪我を負っている

言ってくれれば力になるのに。どんな些細な事であっても、力を貸したいのに

好きな人の力になりたいと思う事は、いけないことなのだろうか

女「・・・明日。また上条君の部屋に。行ってみよう」

能力を抑えてくれているはずの十字架を握り締める。長い黒髪をもう片手で押さえながら、姫神秋沙は決めた

吸血殺し『ディープブラッド』

それが彼女の能力。食虫植物の様に吸血鬼を呼び寄せて、自らの血を吸った相手を灰にしてしまう

呪われた力

ジョセフ「・・・そうか、君たちはその病院にしばらく滞在していてくれんか」

電話越しに、あの白髪の少年の声が聞こえる

ここ数日の間、定期連絡をするのは一方通行の役割になっていた

上条当麻はどうしたのか、と尋ねると、決まって「怪我をしているだけだ、すぐに良くなる」と答える
恐らく彼らに何かがあった。そして、上条当麻に何かがあった

出来あがったばかりの義手を動かしながら、考えに耽る

ハーミット・パープルが示した念視では、既に敵はこの都市にはいないと伝えている

―事実あれから肉の芽の被害は出とらん・・・逃げたか・・・それとも既に誰かの手によってか・・・

部屋にノックの音が響く

ジョセフ「どうぞ・・・はて、どちらさんじゃったかの」

見知らぬ少女の姿に、思わず首を傾げてしまう

女「初めまして。ジョースターさん。私の名前は。姫神秋沙。少し。お話したいことが」

柔らかい物腰と、敵意の無い表情。しかしその眼は決意が秘められていた

老人は直感をした。恐らくこの手の女性はあの少年絡み

ジョセフ「・・・好きにしとくれ」

白井黒子の姿を思い出して、老人は少女を招き入れた
ジョセフ「な・・・!?そんなスタンドまであったのか・・・!」

少女の話を聞いて、老人は驚愕する。迂闊であった、まさかそれほどの能力があるなどとは

姫神と名乗った彼女は、小萌と禁書の二人の少女から話を聞いて自分の元へとやってきたという

姫神「すたんど。というのは分からないけれども。今の説明は本当」

心の中でガッツポーズを取る。この老人の食い付き具合を見るに、恐らく

部屋に別のノックの音が響き渡る

男「ジョースターさん、全員の支度が完了しました」

姫神の知らない男が部屋に入ってくる

ジョセフ「・・・姫神君、君に頼みがある。我々に」

―思った通り・・・!

ジョセフ「我々に、力を貸して欲しい・・・!」

―上条君。私でも手伝える事はあるみたい

上条「ですからジョセフさん!もう大丈夫なんですよ!俺はピンピンしていますよ!」

電話越しの相手に叫ぶ。先程から話は平行線のようで、その声には僅かながらも怒りが含まれていた

黒子「・・・ジョセフさん、なんて言っておりましたの?」

電話の終わるタイミングを待って、額に傷の付いた少女が彼に問う

上条「・・・後遺症の心配もあるから、もうしばらくそこで休んでいろってさ・・・」

今更そんな指示に納得は出来ない。目的のDIOのいるカイロは目の前であり、そしてそここそが終着駅なのだから

美琴「・・・どうするの?」

彼女が聞く。心配そうにではなく、その真意はあくまでも確認

上条「・・・ここからカイロまでなら、車なら一日もかからないな」

もはや老人の指示に従う事など出来ない

上条「みんなは―」

一方通行「違ェだろ。てめェが今言う事は」

その言葉に、ゆっくりと首を縦に振る

上条「行こう、皆・・・!」



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コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: 上条「DIOォォォォォォォォッ!!!」 その13

    姫神が役に立つ…だと?

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