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仮面ライダーW & 仮面ライダーOOO & 魔法少女まどか☆マギカ Fの契約/少女と魔法と仮面ライダー 第ニ話

2011年04月25日 19:43

まどか「仮面ライダー?」翔太郎「魔法少女?」映司「魔女?」

『魔法少女まどか☆マギカ』と仮面ライダーW、OOOのクロスです

*設定として九話までのものを利用。
 そのため、まどか側の設定としてある程度の予想改変が入ります、あしからず。

*仮面ライダーWはMOVIE大戦CORE終了後、OOOは24話終了後くらいを想定。

以上が、本SSのおおまかな設定となります。よろしくお願いします

193 :◆WDUU7xtdEo [saga]:2011/03/11(金) 00:14:27.54 ID:+G65x0bWo

見滝原市内、ショッピングモール。フードコートの一画に翔太郎達はいた。

時間は既に夕方、買い物帰りと思われる家族連れやら学生やらで溢れかえり、喧騒が翔太郎達を包んでいた。

「さて、まずは此処にいる全員にお話しがあります!」

突然、亜樹子が話し始める。

長方形のテーブル、一番上座に座った亜樹子が、自分から見て左からぐるっとその視線を座っている人間へと送っていく。

すぐ近く、マミちゃん。向こうに翔太郎とフィリップ。そして黒髪の少女ほむら。
机を挟むと、映司とアンク、そしてまどかとさやか。

全員が、亜樹子を見ていた。

自分を見ていることをしっかりと確認してから、亜樹子は大きく深呼吸をした。
そして、再び全員に向かい合い、口を開いた。

「――なにこれいったい?」


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翔太郎と映司がこけた。

「亜樹子、お前な……」
「いやだって、翔太郎くん。本当にナニコレ? ってしか言いようがないじゃん、コレ!」
「まあ、そりゃそうだけどな……」

翔太郎は、今さっき起きた事を頭の中で整理していく。

とりあえず、酷い目にあったのは確定。
ファンタジー空間に放り込まれたと思ったらドーパントより趣味の悪いバケモノに襲われた、これも確定。

そして、突然その空間から放り出されたと思ったら換気ダクトの中に三人一緒に押し込められて、いきなり底が抜けたと思ったら、修羅場の真っ最中。

翔太郎は、自分とフィリップを挟んでずっと火花を散らしてるマミちゃんとほむらという少女を一瞥し、溜息をついた。

「とりあえず、その、なんだ? 二人とも、知り合いとか?」
「違います」
「違うわ」
「……………」

同時に否定され、翔太郎は何も言えなくなる。

「でも、君達みたいな女の子がいきなり武器を向け合うなんて、おかしいよ。
 知り合いでもないのなら、尚更に」

映司が静かに呟く。それに、さやかがウンウンと激しく首を振りまどかも、隣のさやかを見て静かに頷いた。

「別に、構わないわ。私はその生き物が狙いだったから――」
「ッ!」
「――――もう、遅いけどね」

マミが目を細める。まどかとさやかは気づかなかったが、明らかな敵意をほむらに送っているのが、その場にいる『大人達』には理解できた。

「………あ゙ー」

不穏な空気に、翔太郎は口を開く。

「とりあえず、お互い自己紹介しとくか。お互い、名前を知らないのは不便だしな」
「あ、そういえばそうだね。俺、ダブルの名前知らなかったし」

映司が良い提案だと笑顔を浮かべた。その笑顔につられ、まどかとさやかも顔を綻ばせる。
どうやら、思った以上に緊張していたらしい。

「じゃ、まずは俺から。俺、火野映司。んで、コイツはアンク」
「……なんで俺のことまで話す」
「良いじゃん。どうせお前、話すつもりなかっただろうし、ついでだって」

口端を歪めてアンクが激しく不満を示していたが映司は無視する。

「じゃ、次は君」
「……私は結構よ」

ほむらが映司に促されるが、フイ、と首を背けて拒否した。
しかし、映司は引き下がる事無く、ほむらに真剣な眼差しを向けた

「駄目だって。名前を知らないからみんな誤解するんだ。まずは、お互いの名前を知る。
 それ自体を止めたら、何も始まらないよ」
「…………」

余りにも真っ直ぐなその瞳に、ほむらの目が泳ぐ。まどかへとその視線が向けられ、まどかは、どう反応したら良いか分からず自然に言葉を口に出していた。

「あの……自己紹介って、大事なんじゃ……ないかな? 私は、そう思う……かな?」

その言葉が決めてとなったのか、ほむらが大きな溜息をついた。

「見滝原中学、二年。暁美ほむら――これで良いかしら?」
「ん? あ、ああ」

いきなりこちらへ話を振られ一瞬答えに詰まったが、翔太郎は首を縦に振った。

「それじゃあ、次は僕かな。僕はフィリップ。風都の――」

そうして、全員の紹介が、順に行なわれていく。
夕焼けは、その間にもゆっくりとの西の空へと沈んでいき、空が紫に染まりきった頃、
全員の自己紹介が終わった。

「――これで、全員終わったな」

翔太郎が全員の顔を見る。そして、空になったコーヒーのカップを手の上で弄びながらゆっくりと次に何を話すか思い出しながら、口を開く。

「んで、今日あった事についてだが――」

そこで一度話をとめ、軽く深呼吸。腕時計に目を落として、再び口を開いた。

「――と思ったけど、もう明日にすっか。もうこんな時間だしよ?」

近くにあった大時計を親指で指さしながら翔太郎は笑った。

「へっ……って! あ、うそ!? もうこんな時間じゃん!?」
「ああっ! 本当だよ! どうしよう、さやかちゃん!?」

時刻は既に19時前、普通の中学生には遅すぎる時間。
まどかとさやかの顔が一瞬で青ざめた。

「ま、仕方ないな。映司、俺と一緒にこの子達を送るけど、良いか?」
「うん。構わない」

椅子の背にかけた上着を羽織り、翔太郎が立ち上がる。
映司も一緒に立ち上がり、隣にいたアンクも立たせた。

「なんだ?」
「お前も行くの。一人にしておいたら何処行くかわかんないし」
「俺はお前のペットじゃねえ!!」

腕を振り解き激しく反論するアンク。
その様子に、隣に座っていたまどかとさやかがまた顔を綻ばせた。

そして、その間の一瞬、翔太郎は亜樹子とフィリップに合図を送っていた。

「――それじゃ、ほむらちゃんとマミちゃんはアタシとフィリップ君と行くよ!」

自分の考えがうまく伝わった事に、翔太郎は口元で軽く笑みを作った。

***

見滝原の夜は、街の光に照らされ、煌めいている。風都とはまた違った意味で進んだ都市だ。

「あの……火野さん、今日はありがとうございました」
「ん? ああ、良いって良いって。俺、別にそんなの気にしてないからさ!」

まどかからお礼を言われ、映司は答える。

「お前もあれに巻き込まれてたんだってな、映司。お互い、大変だったな」
「うん、翔太郎達も。お互い無事でよかったよ」

拳を合わせ、笑いあう二人に、さやかがソっと近づく。

「あのぉ……もしかして、お二人ってお知り合いなんですか?」
「ん? ああ、まあ、そんなトコ。戦友、かな?」
「知り合いというには、大して付き合いもねんだけどなぁ」

そうなんだぁ、と目を輝かせてさやかが映司と翔太郎に視線を送る。

「いやー、すごかったなぁ! マミさんもすごかったけど、映司さんなんか、こう!
 千切っては投げ、千切っては投げ! 野性味溢れるっていうか! うん!」
「あははは……恥ずかしいな、それ」

オーバーアクションで、映司の真似をするさやかに映司が苦笑いをする。
それを、まどかも楽しそうに笑っているのを見て、翔太郎も帽子で隠しながら笑む。

と、その時

「あ……」

さやかの足が、ある一点で立ち止まった。
それに、映司とまどか、翔太郎、そして後ろから嫌々ついてきているアンクも立ち止まる。

さやかは、病院を見ていた。

一見、病院とは思えないようなその外観の建物。その前にある看板からようやく病院だと
気づける程度には、病院らしくなかった。

「えっと……あの、まどか」
「……うん、いってらっしゃい」

頬を染めて、さやかがまどかに話しかける。

「ん?」
「あの、ありがとうございました! アタシ、ちょっと用事があるので此処でおさらばです!」

ぺこりと、頭を下げるさやかに、翔太郎と映司が顔を見合わせる。

「えっと、もしかしてご家族が病気……とか?」
「あはは……いや、まあ、そんなトコでして」

顔をかきながら、さやかが笑う。映司は、なら仕方ないねと答える。
しかし、翔太郎は、その表情の奥にある何かになんとなく違和感を覚えた。

「――じゃあ、映司。俺はさやかちゃんに付き合うわ」
「へっ!?」
「ああ、うん。分かった。じゃあ、俺はまどかちゃんを送るよ」

そう答え、映司がまどかへと顔を向ける。

「良いかな?」
「あ……はい、大丈夫ですけど……」

そこで、まどかはさやかに視線を送る。
どうしようかと戸惑うさやかに、まどかもどう答えて良いか分からず、オロオロしていたが、

「安心してくれ、まどかちゃん。俺が、ちゃんと『見守ってて』やるから」

帽子に手をやり、翔太郎が笑う。映司とはまた違う、爽やかな笑顔だった。
無言の説得力。不思議とこの人ならば大丈夫と言う確信がまどかに生まれる。

「えっと……そ、それじゃあ、さやかちゃんをお願いします!」
「まどか!?」

まどかの答えに驚き、さやかが軽く叫んだ。
が、しかし、そんな彼女の肩に手を置き翔太郎が逆に微笑みかける。

「ま、大丈夫さ。それに、こんなに暗いんだしな。またアレに襲われない内に行こうぜ?」
「うぅ…………」

そこでようやく観念したのか、さやかは顔を赤らめながら病院へと歩き出した。
それに付いて行くように、翔太郎も後ろを追う。

「映司」
「ん? なに、翔太郎」

一度振向き、翔太郎が映司に声をかけた。

「送り届けたら、そこに来てくれ。俺達はそこに泊まってるからよ」

そして、名詞を投げて寄越した。それを受け取り、映司は裏を見る。
そこには、ホテルの住所と番号があった。

「……うん、分かった」

そして、二人は別れた。

***

高級マンションの一画、巴マミの家はそこにある。一人で住むには広すぎるその部屋の中、ほむら、亜樹子、フィリップはいた。

「んー、魔女ねぇ……ドーパントじゃなくて、魔女? ファンタズィ~?」

紅茶をすすりながら、腕を組んで首をかしげて亜樹子が唸る。

「魔女……使い魔……実に興味深い」

そしてフィリップは眉を動かし、好奇心に満ちた表情で呟く。

そんなマイペース極まりない二人に、さしものほむらとマミも、互いの敵意を忘れて呆気に取られるしかなかった。

「ふむふむ。マミちゃんはキャピルン魔法少女でほむらちゃんも魔法少女。
そして、悪い魔女をやっつけてる――ファイオナルアンサー!」
「えっと……その、はい」

ビシっと指を指され、マミはそう答えるしかなかった。

「だいたいの話は分かった。しかし、それにしては君達の在り方は不思議だ。
 そのような敵がいるのならば、互いに協力すべきでは?」
「本当なら、そうできれば良いんですけど……」

遠慮のないフィリップの質問に、マミの視線がほむらへと向いた。
冷たいほむらの瞳がマミを見る。再び互いの間に走る緊張に、瞬時に亜樹子がその間に割って入った。

「はい、ストーーーーップ!! 二人とも仲良く! ケンカはなし!!
 あとフィリップくん! 今のはアウトだかんね!」
「ん? アキちゃん。今、僕、何か変なことを言ったかい?」
「たぁ~……頭痛いわ、コレ……」

首をかしげて尋ねるフィリップに亜樹子は眉間を押さえた。

「はぁ…・・・とにかく、とにかくだよ? まずは、お互い仲直り。これ大事。
 良い? さっきも言ったけど、二人とも険悪すぎ。オッケー?」

「いきなり、こうして訳も分からず連れて来られて、話はそれ?」

ようやく口を開いたほむらの第一声はソレだった。
静かに、冷たい瞳で亜樹子とフィリップ、そしてマミへと視線を飛ばす。

「もしそれだけなら、帰るわ。私は、そのような下らない話に付き合ってる暇ないもの」

全ての言葉に棘があり、言葉の拍子に拒絶があった。それに、マミは顔を強張らせフィリップは、ほう、と唸った。
そして、

「ちょやっ!」
「!?」

次の瞬間、亜樹子はほむらの頬を両手でぷにっと潰していた。
ひょっとこみたいな顔に鳴ったほむらの顔を見て、亜樹子がニカッと笑う。

「駄目駄目。女の子がそんな無愛想な顔しちゃ駄目だって。
 そんな顔してたら、お友達も何も近づかんぞぉ? ん~~~?」

にまにまと、ほむらの頬をいじくりながら、亜樹子は笑う。

「ッ!」
「ほりゃ!」

バっと亜樹子の手を払いのけた瞬間、再び亜樹子がほむらの顔をひょっとこにする。
それに流石のほむらも怒ったの、今度は本気で手をはたこうとする――

「あまいわぁ!」

が、避けられた。

「……クスッ」

その様子が余りにも滑稽だったのか、マミがとうとう笑い始めた。

「やだ……暁美さん……っ! あはは……その顔!」
「―――ッッ!!」

それでとうとう堪忍袋の尾が切れたか、今度こそ亜樹子の手を、ほむらは跳ね除けた。

「不愉快よ、あなた……!」
「ほら、ちゃんと怒れるんじゃん」

にんまりと、亜樹子が笑った。

「……っ!」
「まだ中学生なんだからさ、強がるのはやめたほうが良いよ? 良いことないって」
「貴女に……関係ないわ」

そして次の瞬間、ほむらは自分のカバンを手に取ると、玄関へと歩き出していた。
一度もこちらを振向く事無く、スタスタと歩き去っていく。

「フィリップくん」
「なんだい、アキちゃん?」
「所長命令! ほむらちゃんを自宅までエスコート! さあ、急げー!!」

ビシィっとほむらの背を指差す亜樹子。それにビクンと反応し、ほむらの足のスピードが先程より上がった。
サっと靴を履くと、一瞬でトビラに手をかけ、外に飛び出す。

「ああ! 逃げた! フィリップくん、ダーーーッシュ!!」
「やえやれ……アキちゃんの命令とあれば仕方ないね」

フィリップが立ち上がり、ほむらを尾って外に出て行く。

そして気づけば、家の中には、亜樹子とマミの二人きり。

「それじゃ、翔太郎くんとフィリップくんが帰るまでお話……しよっか?」
「亜樹子さん……?」

ほおをポリポリとかきながら、亜樹子が笑う。

「あの子も悪い子じゃないって分かったしさ、ね?」

マミの目に、亜樹子の笑顔が、不思議と懐かしいあの笑顔と被った。

「おかあさん……」
「え?」

マミの言葉に二人の視線が合った。

***

病院の中は、翔太郎の想像をはるかにこえて近代的だった。

「・・・・・・これ、入院費とかどうなるんだ?」

実に現実的な疑問を口に出して、翔太郎は椅子に深く腰掛けた。
そして、病院独特の妙に効いた暖房に軽く首元のネクタイを緩め、
翔太郎はナースステーションの方を見る。

――なぜか、こちらを見て笑っていた。

ちょっと手を振ってみると、更に笑われた。いったい、どうしろと。
そんな事を考えていると、看護婦の一人がこちらへ一人やってきた。

「あのぉ……あなた、さやかちゃんのご家族ですか?」
「へ? あぁ……はい、そんなトコです」

突然の質問に、咄嗟に翔太郎はそう答えた。

「そうなんですか。それだったら、さやかちゃんの事、褒めてあげてくださいね?
 あの子、毎日上條君のお見舞いしてくれてるんですから」
「あ゙ー……そうなんですか」
「きっと、上條君のことが大好きなんでしょうね。あそこまで献身的な女の子なんて
 最近はいませんよ。ええ、本当に」
「あはは……」

クスクスと笑って、看護婦が翔太郎に微笑みかける。
想定以上に踏み入った事実を聞かされ、翔太郎は笑顔で返すしかなくなる。
それからも数分ほど、どれだけさやかが、その上條という少年のことが好きなのか理解せざるを得ないほどの話を聞かされた。
正直な話、看護婦が人のプライバシーを勝手にここまで話して良いのかと翔太郎は心配になった。
と、看護婦が、病院の壁に貼り付けられた大時計に視線を向ける。

「あ、そろそろ面会時間も終わりですね。さやかちゃんも、もうすぐ
 降りてきますから、もう少し待っててあげてくださいね?」
「あー……はい」

そういって、ナースは悪意のない笑みを翔太郎に向け、ナースステーションへとそそくさと引っ込んだ。ポツンと、翔太郎だけが取り残される。

ナースステーションの中で黄色い声が上がる。しかし、翔太郎はその声を無視して再び椅子に深く、深く、腰掛けた。

「……ああ、ったく」

被ったソフト帽子を自分の顔に乗せ、唸る。

***

「ふぅん。キュゥべえは、魔女を倒すために魔法少女を探してるんだ」
『そうなるね、映司。しかし、僕の姿が見えるなんて驚きだよ。普通は、
 魔法少女の資格がある人間以外には見えない筈なんだけどね』
「え、そうなの? 私、てっきり皆見えてると思ってたんだけど……」

キュゥべえの説明に、映司とまどかは二人して驚く。そんな二人とキュゥべえの会話を、数メートル離れてアンクは眺めていた。

何処からか手に入れたチョコアイスを口にくわえながら、その光景をまるで、道化芝居とでも言わんばかりに馬鹿にした表情で見ていた。

「あの……」
「あ?」

不意に、まどかがアンクの方へと顔を向けた。そこには照れがあったが、そこにこめられた意味をアンクは知る訳もなく、見下したような表情を
彼女に向けた。

「え……あ……ぁぅ……」

視線の圧力に、まどかがピクンと肩を震わせて目を泳がせた。

「アンク、そうやってケンカ腰なのやめろって。まどかちゃん、怯えてるじゃんか」
「なんで俺のせいになる」
「いやいや、どう見てもアンクの態度のせいだし」

自分を挟んで始まった二人の漫才に、まどかは居場所をなくす。
どうしようかとうろたえていると、前を歩いていたキュゥべえが、まどかを見ていた。

『まどか』
「え?」
『大丈夫、テレパシーだよ。今の僕の声は君にしか届いていない』

頭の中に響く声に一瞬驚きそうになったが、そういわれて、まどかは話を続けた。

『どうしたの? キュゥべえ』
『うん、さっきは言いそびれてしまったんだけどね。僕は、魔女と戦う魔法少女を
 探しているんだ。その事について、おねがい』
『お願い?』
『うん』

そして、キュゥべえが、そのルビーのような紅い瞳をまどかに向けた。

『僕と契約して――――魔法少女になってほしいんだ』

***

ほむらを追いかけて飛び出したフィリップを、不思議な事に暁美ほむらは待っていた。

マンションの外、人通りの少ない道。規則的に点在する街灯の真下で、ほむらは静かにフィリップを見ていた。

「……イレギュラー」
「ん?」

考え込み始めたほむらに、フィリップは首をかしげ、近づいていく。

「……」
「なんだい?」

先ほどまで見せた明らかな拒絶が、少し緩んでいるのをフィリップは感じる。
少しずつ、少しずつ、ほむらとフィリップの距離が狭まっていく。

「……聞いて良いかしら」
「ああ、聞こう」

即答だった。知識の興味の対象となったものについて、フィリップは貪欲である。
ゆえに、その即答だったわけだが、そんな事を露とも知らないほむらにとっては意外な答えであり、一瞬の間が開く。

「もし……」
「うん」
「……『鹿目まどかを守って』、と依頼をすれば、あなた達は引き受ける?」
「それはつまり、探偵の依頼という事かな?」

はて、と首をかしげてフィリップが尋ねる。首是、ほむらはフィリップに真っ直ぐ向き合う。

「……そう。できるのなら、あなた達に依頼したい」
「なぜだい?」
「それは……言えない」
「ならば、恐らくそれは無理だ」

一瞬ゆらぐ瞳。しかし、そんな事はフィリップには意味を持たない。
純粋な興味と疑問に対して、彼は遠慮というものを知らない。

「もし、君が探偵の依頼をしたいというのならば、それだけでは不十分だ。
 そして、依頼というものは隠し事が常だが、理由が必要だ。
 ただ、『鹿目まどかを守る』というだけでは、『何から』、『どうやって』
 『どのようにして』、『なぜ』、『いつまで』守らなければいけないのか
 僕達には分からないからね」
「……じゃあ、良いわ」

顔を背け、ほむらが歩き出す。それを静かにフィリップが後を追う。
無言で両者は歩き始めるが、すぐに立ち止まる。

「……なに?」
「アキちゃん……いや、所長からの命令でね。君を自宅まで送れとのことだ」
「必要ないわ」

今度こそ、完全な拒絶だった。しかし、そんなものを意に介さず、フィリップはほむらの後を追う。

「……」
「……」
「……あなた、プライドがないの?」
「仕事はキチンとやり遂げる。僕の相棒の言葉だが、そういうことだ」

悪びれた色もなく、フィリップは答えた。
振向いたほむらの瞳が絶対零度の視線を送ったが、それすらもフィリップには意味がなかった。

「……勝手にしたら良いわ」
「そうさせてもらおう」

***

時刻、22:00。見滝原のとある区画にある古ぼけたホテルに5人の姿が。
鳴海探偵事務所一同と、映司たちだった。

それぞれに、今日起きた事の情報を交換しあう。

「んじゃ、そのグリードとかいうのを追って此処まで来たわけか」
「うん」

「なるほど、グリード……以前、アキちゃんの結婚式に出てきたあの怪物を
 生み出している存在、か」
「あー……嬉しい思い出と嫌な思い出が同時に蘇るぅぅ……」

とりあえず、互いのことは理解できた。
しかし、マミの現在の状況と伝えるという依頼は既に達成され、翔太郎達にはもう見滝原にいる理由はなくなっていた。

だが――

「やっぱ、放っておけないよね」

亜樹子の言葉が、ホテルの一室に凛と響いた。確固たる決意を秘めた、強い言霊。
それだけで、翔太郎とフィリップの意志も決まったようなものだった。

「とまあ、うちの所長様が言ってるからには、なあ?」
「まあ、アキちゃんだしね」

その言葉に、映司も大きく頷いた。

「うん、俺もそうしたい」
「おいコラ、映司」
「まあ、待てってアンク」

抗議の声をあげようとするアンクだが、すぐにそれを映司が遮った。

「この街にカザリがいるのは確実なんだろ? だったら、俺達が此処に滞在して
 カザリを見つけ出すまで、俺があの子達の様子を見るのだって別に構わないだろ?
 な? な? これって別におかしくないよな?」
「それは……」
「もし、この街以外でグリードが、例えばウヴァがだけど、アイツが行動を開始したら
 もちろんソッチへ行く事だって当然だ。でも、今は動いていないよな?
 後藤さんも伊達さんもまったく連絡してこないし、ヒナちゃんも平和だって言ってるし」
「だが……」
「メダルだって、稼ごうにもヤミーはいないんだ。おまけに、ここにはメダルを消費する
 場所もないだろ? 一応、バッタカンとか何個か持ってきてるけど、でも使う場所ないし。
 だとしたら、お前が言うようにメダルの無駄遣いだって――」

「ああああああああああ!! 分かった!! もう良い!! 勝手にしろ!!」

そこでとうとうアンクがキレた。流石に反論の余地がなかったらしい。

「じゃ、そういうことで俺もこの街に当分滞在するよ。あの子達とも長い付き合いだし
 俺も放っておけない!」
「それじゃあ、決定!」

そういって、映司と亜樹子は互いに手を伸ばし、固く握手した。


「鳴海探偵事務所……ううん、仮面ライダー同盟、結成ね!」



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