キノ「……学園都市、か」

2010年04月01日 14:44

キノ「……学園都市、か」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/28(日) 12:52:55.65 ID:AY1l597q0

エルメス「それが次の国なの?」

キノ「そうみたいだね」

エルメス「学園都市って、どういう国だか知ってる?」

キノ「なんでも科学が凄く進歩した国で、噂によると超能力者がいるとか」

エルメス「超能力者? エスパーってやつかな?」

キノ「ボクもよくわからないんだ。……ほら、見えてきた。アレだ」

エルメス「おお、楽しみだね、キノ」


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キノ「三日の滞在で」

*「はい、入国審査、通過しました」

キノ「ところで、この学園都市では超能力者がいるという話を聞いたのですが」

エルメス「流石に嘘だよね?」

*「いえ、本当でございます。我ら学園都市では能力開発を行っております」

=以下、能力開発についての細かい説明。省略=

キノ「……いまいちよくわかりませんが、超能力者がいるのは本当なんですね」

エルメス「正確に超能力者って呼べるのはレベル5の七人だけだよ。ね、おっちゃん」

*「ええ。それにしても、このモトラド。どういう仕組みで喋っているんでしょうか?」

エルメス「喋りたかったから喋れるんだよ。何処かのネコポケモンと同じだね」


第七学区

キノ「えーっと、ここが学生の多い第七学区か」

エルメス「とりあえず、能力ってのを実際に見たほうがいいんじゃないのかなな。百聞は一見に知る?」

キノ「百聞は一見に如かず、だね。とは言っても街中で大っぴらに能力使う人なんて……」

「こらぁ! 待ちなさい、って言ってるでしょぉ!」

「待てって言われて待つ奴がいるかぁ! 不幸だぁー!」

男女二人の、あまり仲が良さそうでない声が聞こえて、キノが声のした方向を見ると
ビルの間の路地裏からツンツン頭の少年が飛び出し、その後を追うように茶髪の短髪の少女が表通りに走り出ます。

「待て、って言ってんでしょうがぁぁぁ!」

短髪の少女が大きな声をあげ、手を大きく振るいます。
一瞬、ビリビリと少女の前髪が静電気に触れたかの様に動くと、

「だぁっはぁ!?」

ものすごい速さの電撃を腕から放ちました。
電撃は一直線に少年の方へと向かいます。
少年は立ち止って、右腕を飛んで来る電撃に向けると、少年の右手に電撃が触れた瞬間、電撃は四方へと飛び散り消えてなくなってしまいました。

キノ「あれが、超能力なのかな?」

エルメス「多分ね。
     身体から数億ボルトの電流を出せる女の子や、それを消し去る少年は普通の人間じゃないと思うよ」

その後も、少女は幾度かの電撃や、砂鉄の塊を少年に向かって放ちますが、
少女の攻撃全てが少年の右手に触れた瞬間に消え去ってしまいます。

キノ「アレは、何をやっているんだろうね?」

エルメス「決闘、って感じじゃないよね。女の子の方が追い回してる感じだよ」

キノ「仲はあまり良さそうじゃないけど。というかあの電撃、危なくないの?」

エルメス「十二分に危険さ。アンペアは随分低いっぽいけどね」

エルメス「多分、あの子は、好きな人にツンツンしちゃうタイプだよ。えーっと、ツンドラ?」

キノ「ツンデレ?」

エルメス「そう、それ」

「おい、御坂! マジ危ないって! ほら、周りに人いる―――!」

ツンツン頭の少年が御坂、と呼ばれた少女に必死で呼びかけますが、意味は大してありません。

「ならアンタが私と戦えばいいでしょうがぁぁ!」

再び少女は電撃を放ちます。案の定、電撃は少年の右手によって打ち消されますが、キノは知りません。
その少年が異常な程の不幸体質であることを。
そして、その少年が異常な程までに女性とのエロイベント遭遇率が高いことを。
何処の誰がポイ捨てしたのか、清掃ロボットがたまたま拾い忘れてしまったのか、空き缶が地面に転がっていました。

「う、わっ……あぶ、な」

電撃を受けて、一歩後ずさろうとした少年。その足元に転がる空き缶。
思いっきり空き缶を踏みつけて、バランスを崩す少年。その近くにキノはいました。

むにゅ、っと。少ないながらも少年は頬に柔らかい物を感じました。
一秒ほどして、少年は疑問に思います。何故、自分は地面に倒れていないのか。
答えは簡単でした。少年はとある通行人によっかかっている状態だからです。

「ひゅー。お兄さん、勇気あるねー」

近くから少年の行動を称える声があがりました。
少し冷静になって、少年は顔を上げると、
額につめたい感触を感じました。
少年の目に映っていたのは、赤面し、パースエイダーを自らの額に押し当てているキノの姿でした。

「ちょ、あ、な……!?」

一方で、元々の原因である電撃少女は言葉を失っていました。

「す、すいませんでしたぁー!」

事態を把握した途端、まるで練習していたかの動作で、少年は土下座を繰り出しました。
鮮やか過ぎる動きにキノは一瞬、目を奪われますが、冷静になりパースエイダーを土下座する少年に向けます。

「……あなたは、誰ですか? ボクの命を狙っている、とか」

「い、いえ。あの、アレは事故っていうか……その、あと、えっと……」

少年は戸惑いながらも言葉を考えます。するとエルメスが、

「その人に悪気は無いって。僕も見ていたけど、事故だったんじゃないのかな」

少年に助け舟を出します。

「本当ですか?」

「は、はい! 勿論ですよ!」

「そうですか。……スイマセン。旅の中で慣れてしまっているもので」

「僕はキノ。あなたは?」

キノはパースエイダーを下ろします。少年は起き上がり、

「上条。上条当麻です、一応、レベル0。無能力者って扱いですね」

上条の自己紹介にエルメスが反応し、

「うっそだー。無能力者って一応、能力は使えるけど殆ど役に立たない人でしょ?」

「お兄さん、電撃防いでいたじゃん。アレは明らかに能力でしょー?」

「いや、この右手は特別制なんだ。……話すと長くなるんですけど」

「是非教えてください。……とても興味があります」



私の名前は陸。犬だ。
白くてふさふさした毛を持っていて、いつも笑ったような顔をしている。
別に、いつも嬉しい訳ではない。生まれつきだ。

「そろそろ学園都市かな」

運転席でバギーを運転する緑色のセーターを着た長身の男性、私の主であるシズ様が、
助手席に座る私と、私の頭に顎を置く、無口で白髪の少女、ティーに言った。
ティーは小さくコクン、とうなずく。

私達を乗せたバギーは今、学園都市という名の国へと向かっていた。
科学技術が著しく進化した国で、他の国よりも数十年ほど科学技術が進んでいるらしい。
そして、何よりも気になるのが、学園都市には超能力者がいる、とのことだった。

「何、付いたら聞いてみればいいさ」

シズ様は私の問いかけにそう答えると、アクセルを踏んだ。
バギーが加速する。学園都市は、近い。

そして、数日後。
シズ様は学園都市に移住を申し出たのだが、キッパリと断られた。
どうやら能力開発とやらを受けるのにはシズ様の年齢ではダメらしい。
ティーだけなら住める、という事だが、ティーはすぐに首を横に振った。
という訳で、私達は学園都市に数日滞在した後に再び旅へと出る事になったのだ。

「……ティーがいない」

第七学区、という場所のとある広場で。ティーが私達と逸れてしまった。
だから離れるなとあれほど言っておいたのに。今となってはムダな事なのだが。

「困ったな……とりあえず警備員や風紀委員とかに訊いて見るか」

「ですね。ティーも私達を探していると思いますし」



「クソ……あのガキ、何処に行きやがったンだ」

舌打ち交じりに真っ白な少年、一方通行は言いました。
彼はイラつきながらも、先程まで一緒にいた少女を懸命に探します。

「携帯は繋がらねェ。よりによってこンな人の多い場所で逸れやがって」

一方通行は杖を付きながらもはぐれた少女を探します。
暫くして、表通りを歩いている時でした。どんっ、と何かにぶつかって、一方通行は体制を崩しかけます。

「危ねェなァ! 気をつけろ、テメ―――」

途中まで言って、一方通行の言葉が途切れました。
そこには真っ白な髪の少女が立っていました。

「…………」

白い髪の少女は何も言わずに突っ立っていました。

「おィ。どォしたンだ?」

「……まいご」

「迷子ォ? 保護者とはぐれたのか」

「いっしょにさがして」

「はァ? 俺がテメェの保護者を探す? ンでメンドウな事しなくちゃいけないンですかァ?」

「こっちは自分の連れ探すンで精一杯なンだよ」

「そのこもいっしょに」

白い髪の少女はそういうと一方通行の手をとって歩き出します。
一方通行には少女の手を振りほどく事も出来ましたが、あえてしませんでした。

「仕方ねェな。一緒に探してやるとしますか」



警備員と風紀委員には言ったのだが、私達はティーを探す事にした。
詰め所にいた警備員は、じゃんじゃん、と煩いジャージ女で、風紀委員に至っては頭の上が花壇になっていた。
聊か、信用できそうな面子では無かったので、あまり当てにはしていない。

「さて、何処に消えたんだかね」

シズ様が懸命に辺りを見回している時、私の目に入ったのは一人の少女だった。

「あれれー? あのひとは何処に言ったんだろう、ってミサカはミサカはあたりを見回してみたり」

ワンピースを着た少女がまるで迷子の様に辺りを見回していた

「やあ、君も迷子なのかい?」

「うわぁ!? アナタは誰?ってミサカはミサカは質問をしてみたり」

「僕はシズ。こっちは陸」

「シズさんに陸クンね。よろしく!ってミサカはミサカは陸くんに抱きついてみたり!」

そういうと、少女は私に抱きついてもふもふ、と私の身体を弄くってきた。
なんだかティーが煩くなればこんな感じなのだろう。

少女の名前は打ち止め、というらしい。
あだ名なのか、それとも本気で本名なのだろうか。

「それじゃあ、あなた達も一緒にいた人とはぐれちゃったの?ってミサカはミサカは再確認してみたり」

「ああ。白い髪の、君と同じぐらいの女の子なんだけど……知らないかな?」

「んー。知らないかも」

「そっか。で、君の探している保護者さんって言うのはどんな人かな?」

「白い髪でね、杖をついてるってミサカはミサカはあのひとの特徴を挙げてみたり!」

白髪に杖。老人だろうか。となるとこの子は祖父母と逸れてしまったという事か。



一方通行とティーと名乗った白い髪の少女は第七学区を歩いていました。
途中で一方通行は警備員と風紀委員を見つけましたが、少女の事を話すのはやめました。
警備員は一方通行の保護者的存在の女性で、打ち止めとはぐれたなどといえば何をされるかわかりませんでした。
風紀委員はどこかで見覚えのある少女でした。しかし、頭に乗っていた花が頼り無さを演出していました。

「ったく。マシな奴らがいねェのか」

二人が通りかかったのは少し前、夏休み前に、強盗に襲われた銀行の前でした。
勿論、そんな事件を二人が知る由はありません。その時に弩派手に破壊された道路も今では元通りです。
そこで、ティーは足を止めました。

「あァ? どうしたンだ? 見つかったか?」

一方通行も遅れて足を止めます。
ティーは彼の問いには答えず、人が集まる広場の方を指差して、

「くれーぷ」

そう一言だけ呟きました。

ティーの言葉に一方通行は顔を歪めます。
指差した先にあるのは移動式のクレープ屋でした。

「はァ? クレープゥ? テメェ、自分の身分がわかってンですかァ!?」

「……だめ?」

上目遣いでティーは言いました。少し目が潤んでいたかもしれません。
一方通行は、ティーの顔を見て暫く固まった状態で、

「……ッ。仕方ねェなァ! 今回だけだからなァ! ……何が喰いてェ?」

「いちごちょこばななくりーむすぺしゃる」

「……ったく。あのガキ並みに手間がかかりやがる。そこで待ってろよ」

そういうと一方通行は杖を付きながらクレープ屋の列に並びました。

しばらくの間、ティーは広場のベンチに座って大人しく一方通行を待っていました。
女子学生やカップル、親子連れ等が並ぶクレープ屋の列に一人だけ異様に目付きの悪い白髪赤眼の杖をついた少年が並ぶ様は中々新鮮でした。
そして、その少年が、イチゴチョコバナナクリームスペシャル、を頼むのですからバイトのとある女子学生は笑いと恐怖で絶妙な気持ちになっていました。

「ほら、買って来たぞ」

杖を付きながらも一方通行は約束どおりイチゴチョコバナナクリームスペシャルを買ってきました。
一方通行はティーの隣に座ると、イチゴチョコバナナクリームスペシャルとは別に、もう一つ買ってきたクレープを袋から出しました。

「……それはなに?」

「自分の分だっつーの。ガキと食う予定だったから飯食ってねェンだよ」

そう言って一方通行は袋から出したクレープに噛り付きます。
ちなみに彼が頼んだのはハムサラダ珈琲クレープという謎の商品ですが、彼は何一つ気にせずに食べ続けています。

「……喉渇いた。飲みモン買ってくるけど、テメェはオレンジジュースでいいのか?」

ティーは頷きました。一方通行は食べ掛けのクレープをベンチに置くと立ち上がります。
そして、そのまま近くのコンビニへ向かって歩いていってしまいました。
再び、ティーは広場の公園に取り残され、ティーの隣には一方通行の代わりにハムサラダ珈琲クレープが置いてあります。

「これは」

イチゴチョコバナナクレープは美味しいのですが、甘味が強すぎました。
その為、ティーは口の中が甘ったるく、今からオレンジジュースなど持ってきてもらっても困るだけでした。
目に入ったのは隣においてあるクレープでした。珈琲を練りこんだ生地にハムとサラダをはさんでいます。

「……すこしだけ」

ティーはハムサラダ珈琲クレープを取ると一口、かじりました。
口の中に苦味とハムサラダの味が広がります。ティーは無意識にもう一口、かじっていました。
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気づけば一方通行のクレープはなくなってしまいました。
後ろを振り向くと、コンビニ袋を片手にベンチに迫る一方通行の姿が見えます。
この事態をどうにかする為にティーはある秘策を思い浮かべました。

「よォ。大人しくしてたか?」

「ほれ。オレンジジュースだ。……もう食い終わったか」

一方通行は何の不信感も持たずに、クレープを取って自分の席に座ります。
そして、クレープを一口。

「ぶっ、はッ……!? 甘ェ、甘ェぞォ!?」

一方通行はまるで毒物を消毒するかのように缶コーヒーを口に流し込みます。
缶コーヒーを一本丸ごと飲み干した一方通行の鋭い眼光は当然の如く、ティーに向いていました。

「おィ。俺のクレープは何処に消えたンですかねェ?」

「……おいしかった」

「この学園都市にはよォ、外人の銀髪のガキにメシ奢ると不幸になる七不思議でもあるンですかねェェ!?」

「一度足らず二度までもってかァ!? オイオイ、冗談キツイぜェ!」

結局、せめてものお詫びにと差し出されたイチゴチョコバナナクリームスペシャルを食べた一方通行とティーは再び第七学区をさまよっていた。
ティーから教えられていたのは長身で緑色のセーターを着ていて、脇には真っ白な犬を従えているとの事でした。

「学園都市にペット飼ってる奴ってのも珍しいからなァ。すぐ見つかンだろ」

「ほれ、さっさと行くぞ。……ったく、メンドウくせェなァ、オイ」



私とシズ様、そして打ち止めはとあるオープンカフェにいた。
打ち止めがお腹が空いたと騒ぐし、私達も昼食を取っていなかった。
ティーがいない状態で昼食を摂るというのは聊か後ろめたい気持ちもあったのだが、腹が減っては戦は出来ぬ、とはまさにこの通りなのだろう。

「うわー! おいしそう! ってミサカはミサカはいただきまーす!」

打ち止めは元気良くハンバーグを食べ始める。
私も用意された犬用の餌、もとい食事を口にする。

「それにしても、中々見つからないモノだな。……この都市は広い」

「まあ、探していれば見つかるでしょう。気軽に行きましょうよ」

「お待たせいたしました。ヨーグルトパフェです」

「いっただっきまーす!」

ハンバーグを食べ終えた打ち止めが注文したのはヨーグルトパフェという物だった。
私とシズ様はとっくに自分の分を食べ終えていたのだが、結局、打ち止めのお陰で待たされる事となる。
その時だった。誰が悪い訳でもない。少し、運が悪かったのだ。

「痛っ!?」

一瞬、強い風が学園都市のビルの合間を駆け抜ける。
その風はオープンカフェの木製テーブルの上に置いてあったヨーグルトパフェを倒し、
椅子の上に立っていた打ち止めのバランスを崩して、

「ったく手間かけさせやがって」

真っ白い肌に真っ白な髪。目付きの悪い赤い目の男がそこにいた。
少年は、バランスが崩れかけた打ち止めをキャッチして、そこに立っていた。

「おお、見ーつけた!ってミサカはミサカは言ってみたり!」

「バカかテメェ。いなくなってンのはドッチだっつー話だ」

「……あー。テメェかがこのガキの面倒みてくれてたのか。ありがとォございました」

その言葉に誠意の欠片も感じないのだが、シズ様はそれでもニコリと笑い、どういたしました、と答える。

「……さがした」

そして、真っ白な少年の後ろから、同じく真っ白な少女、ティーが現れた。

ティーは私達を見つけると、何も言わずに近寄り、私を抱きしめるように後ろに回った。

「あなたがティーを。ありがとうございました」

「どォいたしまして。ったく迷惑かけやがって。帰るぞ、クソガキ」

そういうと白い少年は打ち止めの手を引っ張りながら歩いていってしまう。
打ち止めは振り向き、私達に向かって手を振って、

「ばいばーい!ってミサカはミサカは思いっきり手を振ってみる!」

最後にそういい残して、雑踏の中へと消えていった。
オープンカフェにはシズ様と私、そしてティーが残って、

「さて、この街は面白な」

シズ様が率直な感想を述べた。



とある喫茶店に上条とキノ、駐車場にエルメスはいました。
あの後、美琴は何処かと消えてしまい、結局、その場には二人と一台が残ってしまいました。
キノは上条の右手の話や、この学園都市の話にとても興味を持ち、上条から話を聞く事にしました。

「大星覇祭ですか。大規模な運動会、と言った所ですか?」

「運動会って言っても能力使用アリのトンデモ運動会だけどな。ヘタしたら大怪我だよ」

「面白そうです。出来れば、その時期に来たかったですね」

実を言うと、上条にとって大星覇祭は散々なモノでしたが、キノはそれを知りません。

「まあ、来月ぐらいには一端覧祭ってのもあるんだけどな。そろそろ準備を始めてんだろ」

「そうですか。それにしても、この街は面白い人が多いですね。ほら、あのシスターさんとか」

キノはそう言って喫茶店の通りに面したガラスを指します。
そこにはネコを頭に乗っけた純白シスターさんが上条をにらむように張り付いていました。

「よ、よぉ……」

引きつった顔で上条がガラス窓に張り付く純白シスターに話しかけました。
すると、純白シスターはガラスから離れ、喫茶店にはいって堂々と上条の目の前、キノの隣に座りました。

「どういうことなのかな? お昼の時間になっても帰ってこないから心配して外に出てみれば……」

「こ、これはだな。深い訳があって……」

上条は何も悪い事をしていません。
不幸にも美琴に遭遇してしまって、今まで追いかけっこをしていたのですから。
けれども、そんな事情を純白シスターは知りません。彼女はテーブルから乗り出して、口を大きく開きました。

「ちょ、インデックス、ここはだ―――」

上条の言葉は届きません。代わりといっては何ですが、上条の悲鳴が店内に響きました。

純白シスターが現れて、目の前の少年の頭に噛み付くという光景をキノは見ていました。
インデックス、と呼ばれたシスターは上条の意向を無視して食べ物を注文しています。

「えーっと、このみるふぃーゆ?ってやつもお願いしたいんだよ」

注文した品は既に二桁を越えているかもしれません。

「大丈夫ですか、上条さん」

目の前で頭を大事そうに擦る姿は、まるで中年が頭髪を気にしているような姿でした。
けれども、目の前にいるのは高校生、キノとあまり変わらない年齢で、流石のキノも心配そうに声をかけます。

「え、ええ。まあ、何とか……」

上条がそう言っているうちに、インデックスが注文した幾つもの料理が運ばれてきました。
本格的な料理からデザート、ドリンクまで。下手したら一人の三食分に相当しそうな量でした。

チーズハンバーグ、ボロネーゼスパゲテッティ、サラダ、グラタン、ベーコンハムサンド、クリームソーダー、等々。
次々と運ばれてくる料理をインデックスは次々と平らげていきます。

「……この子の胃袋はどうなってるんでしょうか」

ふと、キノが疑問に思った事を口にしました。
いつもなら隣でエルメスが、人の事はいえないよ、と言ってくれますが、今回はエルメスが隣にいません。

「魔術かなんかと思えてくるぜ……」

キノの前に座っている上条が顔を青くしていいます。
彼は心配そうにインデックスの前に並べられた料理と自分のサイフの中身を確認していました。

「ご馳走様なんだよ。ふぅ、久しぶりにお腹いっぱい食べられたかも」

お会計は8930円。上条宅のほぼ一週間分の食費が吹っ飛んでしまいました。

「はぁ……」

上条は喫茶店から出るなり大きなため息をつきました。
後ろでは店員さんが笑顔で上条を見送ってくれていますが、大して嬉しくありません。
一方、ため息の直接の原因である純白シスターは、

「これは使い魔を霊装と化した術式なのかな?」

「現代科学である二輪車に自我を持たせているとは……なかなかなんだよ!」
「似た様な術式にロシア成教のスレイプニルがあるけど、アレは喋れないし……」

「うーん。これはちょっと徹底的に調べてみる必要があるのかも」

エルメスと仲が良さそうにじゃれていました。
それを見て上条は再び溜息をつきます。それを見てキノが同情するように上条の背中をぽん、と叩きました。

結局。上条はキノに学園都市を案内することになりました。
とは言っても学園都市はとてつもなく広く三日間で見て周れるものではありません。

「つーか普段、外の人間が来ないから何を見せればいいんだか。お土産とかにも制限があるし」

「ボクは何でもかまいませんよ」

「そうですか。……それじゃ、俺が明日までにそういう感じの場所をピックアップしておくんで……」

「はい。それでは、明日、お願いしますね」

「ええ、一応、出来る限りは頑張ってみます」

そう言って上条とキノは別れました。
その後、エルメスを調べると言って聞かないインデックスを宥めるのが非常に困難でしたが。



とにかく、この街は驚くことばかりだった。
普段の生活では見えないであろう場所にも最新鋭の科学技術が使われているのが犬の私でも解る。
私の知る限り、この様なモノに詳しいのは、あのお喋りなモトラドぐらいだ。

「それにしても、この街は凄いですね」

「ああ。超能力者、というのも見てみたいが」

もしかしたら、先程の打ち止めという少女や白い少年も能力者だったのかもしれない。
今となっては確かめる術など無いのだが。
しかし学生の殆どが何かしらの能力を使えるのだから、今すれ違った巫女服の少女や、それに付き添う幼女も能力を使えるのだろうか。
そう考えると、少し恐ろしい様な気がする。まあ、この国にいて能力者の事件に巻き込まれる確立は低いのだが。

「さて、今日、泊まる場所を探さなければいけないな」

「と言ってもホテルでしょう。入国の際に安くなると聞きました」

「ああ。そうだな」



キノとエルメスはホテルのフロントにいました。
上条に明日の明後日の二日間、学園都市を案内してもらう約束をした後、エルメスの整備や用具をそろえた後、入国時に案内されたホテルに向かったのです。
エルメスも一緒に、とキノが受付の女性に言うと若干、彼女の顔が引きつりましたが、そこは学園都市の超高級ホテルの対応を見せてくれました。

「いやぁ、こんな高級っぽい絨毯のある部屋に僕を通してよかったのかね?」

「僕らが出て行った後にクリーニングするんだろうね。ご愁傷様」

ふっかふかの、紅茶でも零そうモノなら相当な金額を請求されそうな、絨毯の上に乗ってエルメスは言います。
キノは特に答えようとはせず、銃の分解、整備を行っています。
機械油の臭いが部屋に充満し、高級ホテルの部屋が台無しです。

「ねえ、キノ」

「なんだい? エルメス」

「明日が楽しみだね」

「そうだね。僕も楽しみだよ」



とあるビルの上に二人の人物が立っていました。
一人は真黒な神父服に炎の様に赤い髪、咥えタバコをした身長約2m程、という奇抜な格好をした少年。
もう一人も、少年に負けず劣らずの、ポニーテイルにヘソ出しTシャツ、ジーンズの片方を根元までぶったぎった奇抜すぎる格好をしています。
実は、この服装には『左右非対称のバランスが術式を組むのに有効』という魔術的な理由があったりしますが、とある少年には「エロい」の一言で片付けられています。

「……彼女は気づいていませんね」

「ああ。上条当麻と仲良く出かけて帰ってきたみたいだ」

赤髪の神父は双眼鏡を、ポニーテイルの女性は何も使わずに約800m先にあるとある学生寮の一室を監視しています。

「今回は非常にマズイからね。インデックスを巻き込む様な事だけは避けたい」

「ええ。私もそのつもりです」



太陽が沈んで、また昇って。翌日になりました。
目覚めたキノは打ち抜きの練習などを行い、エルメスのシートをバンバンと叩いて、文字通りエルメスをたたき起こします。

「ん……おはよ。キノ」

「おはよう、エルメス」

その後、豪華すぎる朝食を摂ったキノとエルメスは上条との待ち合わせ場所へと向かいます。
待ち合わせ場所である、とある公園の入り口では既に上条とインデックスが仲良く並んで待っていました。

「おはようございます、上条さん」

「おはよう。さ、行こうぜ」

軽く挨拶を済ませると上条は早速、歩き出しました。



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コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    続き求む!

  2. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: キノ「……学園都市、か」

    うわー、学園キノだとどうなるんだろう。

  3. 名無し―ネームレス― | URL | -

    続き、気になる

  4. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: キノ「……学園都市、か」

    気になる。
    続きが出てほしい。

  5. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: キノ「……学園都市、か」

    気になる。
    続きが出てほしい。

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