レッドドラゴン「聖杯戦争?」 第四章

2010年04月13日 20:28

レッドドラゴン「聖杯戦争?」

152 :◆AOGu5v68Us [saga]:2010/04/06(火) 20:24:02.39 ID:gXghDVo0


天使が割った
奇妙な皿の上で
燃えて
尽きる


ーー四章 停滞ーー
一節 虎日和



←ブログ発展のため1クリックお願いします
「あー! 士郎が女の子連れ込んで、しかも、同じベッドで寝てるー!?」
「んぅ……?」

誰かの叫び声に目を覚ます。
傍の時計に目をやると、いつも起床している時間よりもずっと早い。
誰だこんな時間に騒いでるのは?
とも思ったけど、それよりも眠気が勝る。お休み……。

「って、あー! こっちには……、遠坂さんっ!?」

夢の世界に今足を踏み入れようとした所で、
私の意識は無理矢理引き上げられる。
布団から顔を出して叫び声の方に顔を向けると、

「藤村先生!?」
なんでここに?

「士郎ー! 説明しなさいー!」

私が混乱していると、藤村先生は叫びながらものすごいスピードで部屋を飛び出していった。

「一体、なんなの……?」

隣では、未だにイリヤが寝息を立てていた。
ーーーー。

「ふーん、居候ねぇ」
「そうそう、この男の人がカイムさん。
で、こっちが娘のイリヤとセイバー。
遠坂の知り合いなんだけど、泊まるとこが無いっていうから」
「ふーん」

藤村先生は説明に納得しきっていないのか、
私たちの顔をまじまじと見比べる。

「イリヤスフィールです。
この度は衛宮さんの厚意に甘えさせて頂いております」
「セイバーです。お邪魔しています」
「ーーーー」

……で、なんでこんなことになっているのかというと、
昨日の夜、突然セイバーが倒れた。
理由は簡単、魔力が尽きかかっていたからだ。
それで、本当ならマスターが魔力を供給するのだけど、
士郎は未熟過ぎてそれが出来ない。
その解決方法として、士郎の魔術回路をセイバーに移植することに。
魔術回路が減るというのは魔術師として致命的なんだけど、
士郎はためらうことなく即決した。
結果、移植は成功。
そのまま二人を放っておいたら、藤村先生がそれを見つけてしまったという訳だ。

「まぁいいや。
士郎、ごはんー」

藤村先生はまだ納得してはいないみたいだったけど、
それよりも食欲の方が大事みたいで、
テーブルをバンバン叩きながら食事の催促をする。

「はいはい、すぐ作るよ」

それを見て、士郎が苦笑いしながら台所に向かう。
多分いつものことなんだろうな。

「先輩?」

不意に玄関の方から戸を開ける音と少女の声。

「桜ちゃーん!」

その声に、藤村先生が飛び出す。
すこし経って、藤村先生が声の主を連れて戻ってきた。

「ね……、遠坂先輩?」
「おはよう、間桐さん」

私の妹、間桐桜を。


二節 面影を宿す少女

「ーーーー!?」
「ほう? これは……」

騒がしい女性が連れてきた少女、桜は、
ーーフリアエによく似ていた。

「ーーーー」
「これが凛の妹とは……、偶然にしては出来過ぎておるな。
しかし、これはおぬしの妹とは違うぞ? 分かるな?」

大丈夫だ。
確かに、自分は後悔している。
フリアエを救えなかったことを。
その贖罪のために凛を守ろうとしている。
だがーー、それだけだ。
フリアエを求めてはいない。

「ならばよい」


三節 戦争の傷跡

「ご馳走さまー!」
「じゃあ俺は皿を洗うよ」
「私も手伝います」
「ーーーー」

台所に向かう士郎と桜に、何故かカイムがついていく。
目で追うと、桜の手伝いをしているらしい。
らしい、というのは、カイムがいることで仕事がはかどっているようには全く見えないから。
というか、桜が「あ……、あの」とか、「い……、いえ」とか言ってビビりまくっている。
そりゃあの顔じゃビビるわ。
しかも、士郎を手伝おうという気は全く無いらしく、
そっちを向こうともしない。
まぁ、元々仲良くなれる訳ないし、
奇跡的に問題なくやってくれているだけで、
こっちが申し訳無いくらいだけど。

「へー、さすがは外人さん。レディーファーストだねー」

その様子を見て藤村先生が言う。
あれはレディーファーストではない気もするけど……。
でも、カイムって何気にそこまで悪い奴でもない気もする。
最初はレッドドラゴンの言葉とかで外れだと思ったけど、
見境が無い殺人鬼でもないし、常識がない訳でもない。強いし。

「うーん……」

でも、レッドドラゴンが嘘をつくとも思えない。
それに、士郎を斬り刻んだのは事実だしなぁ……。

「どうしたんだ?」

いつの間にか洗い物は終わったらしく、士郎がテーブルの対面に座っていた。

「少し考え事」
「ふーん」

士郎は別に興味があったわけでもないらしく、すぐにテレビに向き直る。

「ん? もうこんな時間か。
そろそろ準備しないとな」
「準備って、なんの?」

テレビの時報を見て立ち上がった士郎に、藤村先生が尋ねる。

「何って、学校だろ?」

当たり前の様に返す士郎。

「学校って、休校でしょ?
って、士郎は電話出なかったっけ?
なんか分かんないけど校舎がぐしゃぐしゃになってたの。
ニュースにもなってたんだよ」
「げっ……」

そういえばレッドドラゴンが突っ込んで、
校舎ぶっ壊したんだった。
士郎は死んじゃってたし、蘇生した後は校庭に放り出しといたから知らないだろうけど。

「どうしたの? 遠坂さん?」
「い、いえ。なんでも」

まぁ、不可抗力だよね。
気にしない、気にしない。

「でも、最近おかしいよね。
この前はビル群がガス爆発で吹き飛んじゃったし……」
「藤ねえ!」
「え、あ……」

士郎に怒鳴られて、藤村先生が気まずそうな顔をする。
そして、おずおずと口を開く。

「ごめんね、桜ちゃん」
「大丈夫です。兄さんのことはもう整理出来ましたから」

こっちも忘れてた……。
桜の兄、間桐慎二は死んだんだ……。
他でもない、私たちのせいで。
だけど、間桐の家は魔術師の家系。
聖杯戦争のことを知らないはずがない。
しかも、あそこにはアーチャーがいた。
更に、「いけすかないマスター」という言葉。
恐らく、間桐慎二はマスターだった。
確か間桐は魔術師としては潰えたはずだけど、
それでもサーヴァントを呼び出す術はあったんだろう。
でなければ、あの場にあいつがいるはずがない。
あの時犠牲になったのは、慎二以外中年男性だけだったからだ。
そもそも、娯楽施設がある訳でもない深夜のあの場所に、
ただの学生がいるはずもない。
それに、レッドドラゴンはアーチャーの傍に小僧がいたと言っていた。
桜には悪いけど、これは戦いなんだ。
最低限の被害には留めるつもりだけど、
マスターなら場合によっては殺すことだって覚悟しないといけない。
それに、あいつだって仮にもマスターだったなら、死を覚悟していたはずだ。
だから、私は桜には謝らない。

「遠坂先輩、具合、悪いんですか……?」

そんな私を覗き込んでくる桜。
その心配そうな顔に心が痛む。でも、

「大丈夫」

私は、後悔しない。
戦うと決めたんだから。


四節 一時の休息

「あぅ……、なんかしめっぽくなっちゃった。
よ、よーし、士郎!
遊びに行くわよ!
桜ちゃんも遠坂さんも!
ついでにカイムさんたちも!」

場の空気を変えようと思ったんだろう。
藤村先生がそう言って拳を振り上げる。

「藤ねえ……、普通教師っていうのは勉強しろとか……」
「おだまり士郎!
遊べる時には遊ぶの!」

ビシィ! と士郎に指を突きつける藤村先生。
それに肩を落としつつ、士郎が口を開く。

「はぁ、分かったよ。
で、どこに行くんだ?」
「そんなのは行ってから決めればいいでしょ!」
「はぁ……」

士郎が更に肩を落とす。苦労してるんだなぁ……。

「はーい! 水族館に行きたいー!」

そんな士郎の気持ちを知ってか知らずか、
イリヤが勢いよく挙手する。

「はい、水族館ね」

決まったらしい。

「私は服を見に……」

そういいながら、おずおずと桜も挙手をする。

「りょーかーい」

これも即決。

「で、遠坂さんとセイバーさんとカイムさんは?」

うーん……、別に行きたい場所もあまりないような……。
強いていえば、

「私は何か美味しいものが……」

言おうとしていたことをセイバーに取られてしまった。
っていうか、セイバーって意外と食いしん坊?
さっきも何気にかなり食べてたし。

「はい、美味しいものね。
遠坂さんとカイムさんは?」
「私も服とかでいいです。
カイムさんもいいわよね?」
「ーーーー」

カイムが頷く。

「よーし、じゃあこれで決定!」


五節 何気ない昼間

「ーーーー」

何故こんなことになったんだ?

「似合う似合う!」

鏡に見なれない男が写っている。
ーー騒がしい女性の一言が始まりだった。

「カイムさんの服って、パジャマ?」

基本的に英霊が持つ服というのは、生前に着込んでいたものらしい。
そして、自分が着込んでいた服は確かに正装ではない。
いや、みすぼらしいと言われて当然なものだ。
戦闘になれば遥か昔使っていた籠手や甲冑を具現もするが、
非戦闘時に装備するわけにもいかないだろう。
だが、別に何があるわけでもない。
身なりなどに固執するような立場はとうに捨て去っていた。
しかし、この女性ーー、いや。
桜も、凛も、セイバーも、イリヤも、この時敵になったーー。

「これなんかよくない?」
「カイムさんはこういうほうが……」
「こちらの方が似合うと思うわ」
「お父さんはこういうのだよ!」
「いえ、父は意外とこういうものが」

手に手に得物を持った女性がこちらに迫る。
自分は丸腰、今まで感じたことのない危機だ。

「ーーーー!」

アンヘルに援護を求める。

「諦めろ、カイム」

っく……、ここまでなのか?
それとセイバー、自分に恨みがあるのは分かるが、
虎の着ぐるみを持ってくるな。

「許せ、カイム」
「ーーーー!?」

裏切ったか、士郎!
やはりあの時止めをさすべきだったーー。

「ほら、観念しなさい!」
「ーーーー!」


六節 目覚め

「ふぅー、久々にこんな遊んだわ!」

そう言って藤村先生が伸びをする。
結局私たちは夜になるまでずっと遊んでいた。
イリヤは疲れ切って眠ってしまい、今はカイムがおんぶして歩いている。
ちなみに、服屋で私たちに着せ替え人形にされていたカイムは、
現在GパンにTシャツという大変ラフな格好だ。
服屋にいる間ずっと不機嫌な顔だったのは言うまでもないだろう。

「ふう、じゃあ私は桜ちゃんを送るから」
「ああ、頼むよ藤ねえ」
「まっかせなさい!」
「先輩、お休みなさい。
遠坂先輩とカイムさんとセイバーさんも」
「ええ、おやすみ」
「お休みなさい、桜」
「ーーーー」

家までは向かわず、適当な場所で別れる。
律儀に頭を下げる桜。
今はもうカイムに怯える様子もない。
というか、服屋では率先して服を持って来ていたくらいだ。
そして、カイムも何故か彼女を睨んだりはせずに、
困ったような顔をするだけだった。
私はものすごい睨まれたけど。

「……!?凛、今すぐ桜を追え!」

そんなことを思い出しながらそれなりに歩いていくと、
不意にレッドドラゴンの声が届いた。
その声には珍しく焦りがある。

「ーーーー!」

振り向き走り出すカイム。
イリヤを背負っているというのに、かなり早い。
すぐに見えなくなったカイムを、セイバーを先頭にして追って行く。
そうしていくつか曲がり角をこえると、カイムが何かを覗き込むようにしゃがんでいた。

「どうしたの?」

横から覗き込んでみると、そこには見覚えのある……、
というか、さっきまで一緒にいた女性。

「藤村先生!?」
「騒ぐな、眠っているだけだ」

すぐ近くにレッドドラゴンが実体化する。

「魔術師の仕業だな、桜が攫われた。
なんのためかは知らぬが、大方罠でも張るのだろう」
「あんたなら追いつけるでしょ!?」
「空間転移だ。我にも追いつけん。
場所は大方の目安はつくがな」

空間転移……。
それを使えるということは、相手は魔法使いレベルの魔術師。
もしかしたら、魔法使いそのものかもしれない。
でも、

「私の妹を攫うなんて、いい度胸ね」

絶対許さない、桜を巻き込むなんて。
叩き潰して土下座させてやる。
だけど、そんな私の気持ちを死ってか知らずか竜が言う。

「おぬしはついてくるな」
「なんで!?」
「ーーーー」

竜は私の問いに答えようとはしない。代わりに、カイムからイリヤを押し付けられる。

「行くぞ、カイム!」
「待ちなさいよ!」
「凛!?」

イリヤをセイバーに任せて、飛び立とうとしていたレッドドラゴンに飛び乗る。

「後悔するぞ?」

レッドドラゴンが言う。

「そんなのはもうし飽きてるわよ!」

強気で返す。

「……分かった。
では、行くぞ。落ちるなよ」



←ブログ発展のため1クリックお願いします
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://kannki.blog39.fc2.com/tb.php/2443-5704dee1
    この記事へのトラックバック



    アクセスランキング ブログパーツ レンタルCGI
    /* AA表示 */ .aa{ font-family:"MS Pゴシック","MS PGothic","Mona","mona-gothic-jisx0208.1990-0",sans-serif; font-size:16px; line-height:18px; }