レッドドラゴン「聖杯戦争?」 第五章

2010年04月14日 20:49

レッドドラゴン「聖杯戦争?」

187 :◆AOGu5v68Us [saga]:2010/04/09(金) 14:50:02.44 ID:ChYXIuQ0

気付けば、辺りは血の海だった。
気付けば、自分は嗤っていた。
気付けば、何も分からなくなっていた。
気付けば、
――自分は狂っていたんだ。


――五章 狂気――
一節 少女の行方



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「おかしい、確かにこの場所のはずだが……」

竜が降り立った場所、それは柳洞寺だった。
しかし、そこには誰の気配も無い。
いや、気配がないのではない。本当に人一人いないのだ。

「っ! ちょっと待って、これは……」

不意に感じた違和感。
魔力の残滓。いや、少し違う……。

「ついて来て」

カイムとレッドドラゴンにそう言って、その違和感を辿って行く。
一歩進むごとにその違和感は強くなる。
そして、

「ここね」

たどり着いたのは一つの岩。
そこから尋常ではない魔力が漏れ出していた。

「ふむ、これが入り口か。小さいな。
しかし、まさかおぬしに先導されるとはな」
「一言余計! ほら、さっさと行くわよ」

今はレッドドラゴンと喧嘩してる場合じゃない。
というか、したってどうせ負けるし。
……とにかく、早く桜を救わなければ。

「――――」

しかし、私を手で制してカイムが先に入って行く。

「っ!」

その表情は今まで見せた事がないほど険しかった。
ゾクリと背筋が震え、足が竦む。

「……凛よ、もう一度言う。
退け、今なら間に合う。
案ずるな、我らは負けぬ」

私を追い越したレッドドラゴンが振り向き、そう言う。
その言葉も今までにないほどの力を孕んでいる。
震えが止まらない……。だけど、ここで立ち止まる訳にはいかない。

「桜は私の妹なんだから、私が助けなきゃいけないの!」

叫ぶ。
そうでもしないと恐れに潰されてしまいそうだから。

「フンッ、馬鹿者が」

そう言い残して、レッドドラゴンも岩の中に入って行く。
追わなければ……。
だけど、足は言う事を聞かない。

「何やってんのよ、私は!」

もう一度叫び、地面を踏みつける。
桜が攫われたんだ。これだけはあの二人に任せきる訳にはいかない。
踏み出す。足は重いけど、負けはしない。
桜は、私が助けないといけないんだ。


二節 言葉無き悪魔

「な……、なに、これは……」

岩の中に入った私の目に飛び込んだのは、
まるで……、いや、本当の地獄だった。
赤に染まった地面、人間の頭、手、足、胴体、内臓……。
そして、それらに囲まれ、剣を持って佇むカイム。
嗤っている。声は無く、けれど確かに。

「だから来るなと言ったのだ」
「レッドドラゴン……、なんで……」
「……大方洗脳でもされておったのだろう。
あやつらはいきなりカイムに武器を振るったのだ。
まぁ、結果は見ての通りだがな。」
「……でも、……こんな、こんなに、殺さなきゃいけなかったの?」

震える。目の前の惨状に。
……確かに、覚悟はしたんだ。そのはずだった。
だからって……。

「あやつらは攫う相手を間違えたのだ。
眠る竜を起こしおって……」
「でも……、カイムはこんなこと」
「するはずがないとでも思ったか?
……確かにあやつはおぬしには甘かった。
だが、それはおぬしが妹の代わりだったからだ。
あやつはおぬしを守ることで生前妹を守れなかったことの贖罪にしようとしているのだ」
「妹……?」
「そうだ。それに、おぬしもあやつに父を重ねておっただろう。
全く。死者は生き返らぬというのに、いつまでもとりつかれおって」

私が、カイムとお父さんを重ねてる……?
カイムが、私を妹代わりにしてる……?

「そもそも、おぬしが我らを起こさねばこんなことにはならなかった。
カイムは、あやつは確かに剣を、血塗られた道を捨てたのだ。
我と共に尽きた時にな。
だが、ここに呼び出された。
最初の夜に言ったであろう? カイムは狂人だと。
忘れた訳ではあるまい。
しかし、狂ったとはいってもあやつは意味のない殺戮はせん。
だが、聖杯戦争という名分を与えられた。
そして、捨てた剣を拾ったのだ。
これも言ったな。カイムが早く殺させろと言っておると。
あの時の笑みにおぬしは何も感じなかったか?」

思い出す……。
最初の夜……、笑みを浮かべたカイムに、私は……、死をイメージしたんだ……。

「……しかし、弓兵と戦った後のカイムは違っていた。
おぬしを見て笑ったのだ。
戦いの中以外であやつが笑うのは珍しい。
しかも、その後のあやつは驚くほどに穏やかであった。
そして、殺すためにとった剣を、おぬしを守りために振るってきた。
まぁ、小僧のことは例外だ。あれはカイムにとっても、
我にとっても許せぬ理想だったからな。
それに、もしカイムが今のように狂気に身を委ねておったら、
あの小僧は生きてはいなかった。」

……二日目の朝、カイムが入れてくれた紅茶。
あれは、私のためじゃなくて、妹のため……?

「しかし、敵は桜を奪った。
カイムの妹の生き写しをな……。
あやつには言っておいたのだが、やはり無駄だったようだ。
これでは生前の繰り返しだ。
カイムはまた狂ってしまった。
余計なことをしおって……」
「ふざけんな……」

意味分かんない……。
妹の代わり?
この私が、妹の代わり?
それに、カイムがお父さんの代わり?
笑えない……。
笑えない冗談だ……。

「ふざけんじゃないわよ!」

カイムに向かって全力で走る。
そして、そのにやけ面を、

「――――!?」

思いっきりぶん殴る。

「何が妹だ! 死んでからもうじうじして!
私は、私は……、遠坂凛だ!」

吹き飛んで行ったカイムに向かって叫ぶ。
強化のおまけつきの拳だ、痛くないわけないだろう。
だけど、こんなんじゃ全然足りない。

「あんたがお父さん!? そんなわけないでしょ!
私のお父さんはあんたみたいに恐い顔じゃない!」

倒れたカイムに近づいて、胸を叩きつける。
何度も何度も。

「私のお父さんは、こんなに人を殺さない!」

涙が溢れて来る。
こいつの馬鹿さに。それと、自分の馬鹿さに。
それは、止めようと思っても一向に止まってくれない。

「私のお父さんは、もう側にいてくれない!
あんたの妹だって、もう側にはいない!」

涙で視界が滲んで、上手く叩けない。
ちくしょう、これじゃ痛くも痒くもないじゃないか。

「あんたは、私のサーヴァントなんだ!」

なのに、私の手は痛いんだ。
ずるい、ムカつく。

「だから! だから、私の言う事を……、聞いてよ……。
そんな、そんな恐い顔しないでよ……」

くそ、手が痛くて動かない。
声も、嗚咽で上手く出ない。
まだ殴り足りないのに……。

「そんなカイムは、嫌だよ……。
笑わなくても、喋んなくてもいいから、
そんな顔しないでよ……。
そんなカイムは……、嫌だよ……」

もう、ダメだ……。
涙で前も見えやしない。
声も、もう出ないや。
こんな女の子しちゃうなんて、かっこ悪いなぁ……。

「――――」

そんな私の頭に置かれる、大きな手。
この、馬鹿カイム……、血がつくじゃないか……。


三節 死して断つ妄執

「――――」

血に塗れた手でも、父も母も妹も親友も、愛するものすら救えなかった手でも、
一人の少女の涙くらいなら止めることができる。
ならば、その時くらいは剣を持たずに。
ただ撫でてやることくらいしか出来なくても。
そして、次に剣を持つのならば、
復讐ではなく、守るために振るおう――。
確かにあの夜、そう決めたはずだったんだがな。

「狂気は、捨てたか?」
「――――」

自分が――、いや、俺が狂気を振り払える訳が無い。
お前だって分かっているだろう、アンヘル。
――しかし、楽にはなった。
まさか、殴られるとは思わなかったが――。
――正直、かなり効いた。

「フッ、そうか……」
「――――」

――誓おう。
俺はもう、囚われはしない。
過去に。そして、守りきれなかった全てに――。
一度死んだのだ。何を迷う?
そう、迷う必要などない。
今度こそ守ればいい。
これを神が仕向けたというのなら、一度だけ感謝してやろう。

「――――」

我が名は――、カイム!
凛に呼ばれし、ライダーのサーヴァントだ!



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