クレア「ベルセルク・・・」

2010年09月29日 19:01

クレア「ベルセルク・・・」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 17:05:01.45 ID:1REZzX6g0

北の地アルフォンスー始まりの町ピエタにおける
24名の『銀眼の魔女』クレイモアから構成される覚醒者討伐隊と覚醒者達の死闘。

南進する深淵の者イースレイとその配下の覚醒者30体を討伐するために派遣された彼女達であったが
討伐に成功したのは獅子王リガルドを始めとする7体に留まり、討伐体全員が死亡したといわれる
いわゆる「北の戦乱」から1年。


←ブログ発展のため1クリックお願いします
「だぁーー!もう!妖力を抑えながら行動すんのも楽じゃねえよ!」

森の中を歩く一行の中で駄々をこねたのはヘレンであった。

「しかたありませんよ。ヘレンさん。我々は北の戦乱で死んだことになっているんですから。」

シンシアがなだめる様に言う。

「そのとおりだ。我々は組織から離反するためにいまこうして行動をしているんだ。うかつに妖力を外に発するわけにはいかない」

「しかし、ミリア。なにかアテがあるのか?」

「しばらくは身を潜め、妖力を使わず戦うための修行をすることになるだろう。」

「私も・・強くなれるだろうか・・。」

ユマは7人の中ではNoがクレアの次に低い。
しかし高い妖気の感知能力や、身体の一部覚醒化能力を持っているクレアには実力で劣っている。

それに答えたのか、独り言か。デネヴがつぶやいた。

「我々は強くならなくてはならない。どんな障害があっても・・。」
その手には戦友、No11.ウンディーネの剣がしっかりと握られていた。

「・・・・・・・」

一向は無言で森を進んでいった。

静寂を広範囲妖気感知能力者のタバサが破った。
「まって!先に何かいます!」

「何か?何かとはなんだ?」
ミリアが尋ねる。

タバサ程の感知能力者が先にいるものを『何か』というのはほとんどありえないことだった。

「組織の人間か!?」
へレンが抜刀し、身構える。
「いえ・・ちがいます。」

「覚醒者!」
あわてたようにユマもあたりを見回す。
「違うんです!」

「落ち着け!しっかりしろ!」
タバサに手をかけデネヴが言う。
「どうしたんだ。タバサ。いったい何がいるんだ。」
クレアも辺りを警戒し始める。

「わからないんです・・。こんな禍々しい感覚・・。」
タバサは頭を抱えて震えていた。

「確認する必要があるな。」

「ああ。シンシアとユマはタバサを看ていろ。クレア、ヘレン、デネヴ、いくぞ。」

4人は森の先へと消えていった。




森を進むにつれ4人にも痛いほどの感覚が襲ってきた。
覚醒者でも戦士のものでもない、もっと禍々しいものだった。

「くぅ・・いったん何なんだこりゃあ・・」
「組織の者でないのは確かだな・・」

4人が進んでいくと少し拓けた場所が見えてきた。
禍々しい感覚はそこから来ていた。

「ここで止まって様子をみるぞ。」
4人は草陰から広場を監視した。

「なんでここだけこんなに拓けてんだ・・?」
「自然に拓けたのではない。みてみろ。」

よく見てみると、そこに以前生えていたであろう木々はなぎ倒され、物によっては切断されていた。

「覚醒者の仕業なのか?」

「シッ!くるぞ。」

ミリアの言葉のワンテンポ後、『それ』は姿を現した。

「・・・・!?」

『それ』は四人の知る「覚醒者」と呼ばれるものではなかった。
そして人の形をもしていなかった。

『それ』を前にした
4人は動くことができなかった。

(なんなんだ・・!コイツは!!!)
『動くな!気配を消せ!コイツはなんだかヤバイ!』
ミリアが囁く。

『あいつ・・手負いだぞ』

3人がヘレンの言葉につられ『それ』を注視する。

たしかに『それ』は手負いであった。模様だと思われたものは深く抉られた傷からあふれ出た体液であったし
複数あると思われた腕?足?はいくつか失われていた。

『組織の人間はいないはずだ。一体なにg』

デネブが言い切ろうとしたそのとき。

『それ』の後方の草陰から『闇』が飛び出した。

『!?』
『なんだ!?』

『それ』と『闇』が激しくぶつかりあったかと思われた拍子、『闇』はまた森に消えた。
同時に4人のスグ目の前に『それ』の腕のようなものが落ちて来た。

それは明らかに『切断』されたものであった。

『明らかに切断された傷だ。しかしこんな太い腕・・なのか。クレイモアでも使わないと・・』

腕は資材に使われる丸太より太いものであった。生半可な剣では切断途中で止まってしまうだろう。
クレイモアの戦士でもない限り・・。

『しかし、戦士の気配は感じられない!アイツの気配とさっきのヤツの気配だけだ』

『一体何がどうなってん・・』

バチィッ!
何かが破裂する音がした。

4人が方向へ目をむける。

『それ』の顔・・らしきものの付近が抉れ血だらけになっていた。

「ガアアアアアアアア!!!」
『それ』は叫び『闇』の消えたほうにやたらめったら攻撃をしている。

『上だ!』
ミリアが叫ぶと同時であったか。

『闇』が『それ』を両断した。
大量の返り血が闇に降りかかる。
まるで火照った体を冷ますがごとく。

「・・・・・」

4人は呆然としていた。

『闇』は人間であった。

黒いマントを羽織り、黒い鎧を着けた大男だった。
しかし4人が目を奪われたのは男の武器であった。

4人が見慣れている大剣クレイモア。これは並みの人間、男あっても扱いが難しいものである。
それをはるかに上回る剣・・。剣といっていいのだろうか。男の身長と同じくらいのもの。
男はそれを持っていた。






そして、それは剣というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。


数時間前ーーー

「どぅあわああー!!」
「さがっていろ、パダワン」

「邪魔だ!どいてろッ!」

ガッツ一向は幽界の化け物と戦っていた。

「くそっ」

セルピコは怪我を負ったファルネーゼを庇いつつキャスカを守っていた。

「おい!まだなのかよ!」
「いまやってます!気が散るから話しかけないでください!」

ギギギギ・・・

ガッツの纏う狂戦士の鎧がガッツを多い始めた。

「いけない!ガッツさん!」

シールケはとっさに自分の精神をガッツに同調させる。

「コォォォォ!!」

ガッツが飛んだかと思うと化け物の臓物が空中にぶち撒かれていた。
次々と化け物たちは肉塊となっていった。

「ガアアアア!」

「相変わらずすげえ・・」
「気をつけてください。相手がいなくなればあの力の矛先が向くのはこっちです。」

あらかたの化け物を肉塊にした後、セルピコ達に気づくガッツ。

「ォォォォォォッ!」

と、そのとき、肉塊の中から頭だけ、正確にいうなら頭から肩にかけて残った化け物が這い出てきた。
「グゲゲゲゲ」

クルリ
バッ!

それに気づくと化け物に向かってガッツは飛び掛った。
その瞬間。

パカッ

『いけない!』

その化け物は巨大な口を開いた。
かまわず飛び込むガッツ。

・・・・・
口から飛び込んだならスグに出てきてもいいはずである。腹がないのだから。
しかし出てこなかった。
ガッツは化け物の口に飛び込んだきりであった。

「く・・くわれちまった」

「パックリだ」
「栗はだまってなさい!」

「い、いったいどうなっているんでしょう。」

「あう~~」

「先生・・」

ーーーーー
ーーー
ーー


・・・・・「ここはどこだ。」

『よかった気づいたんですね。』
「シールケか。どうなったんだ。」

『ガッツさんが狂戦士の鎧の力であらかた倒してくれました。』

「そうか・・またコイツに飲まれちまったのか・・。ここはどこなんだ?」

『ガッツさんは怪物の口に飛び込みました。おそらくあの怪物の口の中は幽界の世界とつながっていたんだと思います。』

「それで?化け物の腹ん中は森が広がってるのか?」

『最後まで話を聞いてください!幽界には様々な場所につながっている場所があります。現世もそのひとつです。』

『私達は私達のいた世界とは別の世界に来てしまったようです。』

「別の世界・・。じゃあお前はどこにいるんだ?」

『私は、ガッツさんの精神を戻そうとしてガッツさんの精神にとりつきました。しかしそのままこちらの世界に来てしまったので、
精神だけ憑依した形になったみたいです。』

「そうか・・すまない。」

『いえ、私は慣れているので大丈夫です。』

「で、どうやったらここから元の世界に帰れるんだ?」

『それは・・』

シールケが何か言おうとしたその時
ズキィ!

「ぐっ!これは・・」

ガッツの首筋、贄の烙印から血が噴出していた。

『ガッツさん、』

「話は後だ。なんでこの別世界とやらに『コイツら』がいるのかは知らないが。どうやら別の世界であっても
俺は寝ることができないらしい。」

ニィィ
言いながらガッツは笑っていた。

戦いながらガッツは森を駆けた。
使途の攻撃は力強く、ガッツは疲労していた。
ここで鎧の力に飲み込まれるわけには行かなかった。

「・・・・森の中か・・。犬野郎と戦ったときを思い出すな。」

『これは・・ガッツさんの記憶・・。』

(ワイアルドパーンチ!ほあたぁ!)
(可愛らしいところあるじゃない。・・ほーんと・・・かワイアルドチョーーーッ)

『なんなのこいつ・・・』

「気配を感じることができてもこう森が深くちゃなかなか見つけられないだろう」

「ニェ~~」

なかなかに巨大な使途である。

が、ガッツの潜む大木を通り過ぎていった。

「さて・・どうすr・・」

使途の腕が増えていた。

厳密に言うなら中央から裂けた。という表現が正しいかもしれない。
裂けた腕は撓りながら辺りの大木をなぎ倒していった。

「むちゃくちゃをしやがる!」ダッ

ガッツのドラゴン殺しが唸り、使途の腕を一本吹き飛ばす。

「ガアアアアアアア」

暴れ、振り回される腕を避け、その反動で剣を反転させ体に深く斬撃をうちこむ。

使途は転がり、暴れ周りの木々をなぎ倒していった。

大木がなぎ倒され、少し拓けた場所に使途が立っている。

「いける!」

カッと目を見開いたガッツは使途目掛けて走った。

ーーーーーー
ーーーー
ーー


「フゥッ・・・」
使途を両断し、返り血を拭う。
気配を感じ、振り返るとそこには容姿端麗な女が4人立っていた。

「・・・なにか用か。」(クレイモアか。華奢な体に似合わねぇもん背負ってやがる。)
傭兵時代、様々な戦場を駆け巡ったガッツだったが傭兵であっても
女でクレイモアを使う人物をみたことがなかった。

『ガッツさん・・この人たち、人間ではないかもしれません』
『どういうことだ。「かも」って。』
『わかりません・・だけど、人ならざるものの存在を感じます』
『・・・・・』

「お前は何者だ?『それ』は一体何なんだ。」
そのなかの一人、長髪を後ろでまとめた女が問いかけてきた。

(リーダー格はこいつか)

「そういう時は自分から名乗るもんだろ?」

「すまない。私はミリアという。後ろの三人は左から、クレア、デネヴ、ヘレンだ。」

ミリアと名乗る女の後方にいる三人がガッツを見つめる。
なかなかいい陣形をしている。手練だ。

「名乗ったぞ。私の質問にも答えてくれ。」

「・・・・俺はガッツという。で、『これ』については知らないほうがいいし、知ったところでお前らには関係のないことだ。俺に関わるな。」

「んだと、コラ!ミリア姐さんが下手に出てりゃいい気になりやがって!」

ヘレンといわれた女がクレイモアを「片手」で抜刀した。

「やめろ、ヘレン。」
「だけど姐さん!」

(片手だと。)

「たいした馬鹿力なんだなアンタ。」
(人間じゃないかも・・か。)

「??」

「なんだよ。」
キョトンとした4人に面食らったガッツが言う。

「我々を知らないのか?」

「大体の人間は、この見た目とクレイモアでわかると思うのだが。」
クレアという女が問いかける。

「・・・・。知らないね。まぁ何か大きな騎士団のようなもんに所属して『いた』ことはわかる。」

「!」

「騎士団みたいなのに所属するやつらってのは自身の強さを誇示したがるもんだ。
だから派手な鎧や紋章を用いる。
お前らはそれを厚ぼったいコートで隠している。つまりばれたら困るってことだ。」

「ほとんど正解だな。だが我々は騎士団ではない。私たちは―」

「姐さん!こんなやつに話していいのか?」

「彼はどうやら我々をしらないようだ。説明してもどうせ私たちは存在しないことになっている。かまわんさ。」


ーーーー
ーーー
ーー



ミリアはシンシアたちと合流。ガッツにクレイモアのことを説明した。

自分達が妖魔を倒すべく「組織」の手によって造り出された半人半妖の戦士であること。
妖気のこと。
覚醒者。
北の戦乱。
組織からの離反ーー


「なるほどな。信じがたい話だが、これでお前らが『人間じゃないかも』という疑問の裏づけは取れたわけだ。」

「どういうことだ。」
「テメー!アタシらが妖魔だっていいてえのか!」
ヘレンという女はやたらつっかかる。

傭兵時代のキャスカを髣髴とさせた。

「・・・・・・。」ボー

「コラ!黙ってないでなんとかいえ!。」

「やめろヘレン。」
デネヴが止めに入る。

「ん、いや、そういう意味じゃないんだ。すまん。」

「んだよ、素直に謝りやがって。」

「私たちが半人半妖であることに気づいていたような口ぶりだな。」
クレアが問いかける。

「まあ気づいてたのは俺じゃないがな。俺が感づくのは『あれ』くらいだ。」
ガッツは使途がいた方向を顎で示す。

「気づいてたのはこいつだよ。」

『こんにちは。みなさん。』

「!!」
「なんだ!?声が頭のなかに直接・・」

『驚かないでください。私はシールケといいますーー』

「あんたらが話してくれたんだ。俺もこのままじゃラチがあかないしなーー」

ガッツとシールケは自分達のことを話し始めた。

別世界からきたこと。
シールケの現状。
幽界と現世のかかわり。
しかし、ガッツは自身の過去、「鷹の団」のこと、
鷹の団が全滅した要因となったゴッドハンド、そしてグリフィスによって引き起こされた・・「蝕」
については話さなかった。
ただ、仲間の病を治すため旅をしていると。使途のことは幽界の化け物とした。
『ガッツさん・・嘘をついている。これは・・悲しみ?怒り?いろんな感情が渦巻いてる・・。』

ーーーーー
ーーー
ーー


「別世界・・・にわかには信じがたいな。」

「それはこっちだって同じことだ。」

「・・・ガッツさん。少しお尋ねしてよろしいですか?」

「なんだ?」
シンシアという女はほかの面子に比べて言葉遣いがやたら丁寧だった。

「なぜ、あなた方の世界にいるはずの・・幽界でしたよね。それの化け物がこちらに来たのでしょう。」

「・・・・・・」
『ガッツさん・・』

使途は贄の烙印のある者を喰いにくる。
ガッツがこちら側に来たことにより使途の一部が幽界を通りこちら側に来ていてもおかしくはなかった。

「さぁな。俺には検討もつかねえよ。」
『ガッツさん!』
『いいんだ。こいつらは関係ない。これは俺の戦いなんだ。俺がこいつらから離れればいいだけのことだ。』

「そうですか・・・。」
シンシアという女は腑に落ちていないようだった。

「で、これからどうするつもりだ?」
ミリアが尋ねる。

「さぁてね・・元に戻る方法を考えるさ。」

「我々とこないか?」
「ミリア、何を考えている?」
「姐さん、こんなやつさそってどうすんだ?」

「なに、一人でいるよりは良いだろうというだけだ。どうだ?」

「・・・・・。遠慮しておく。一人は慣れてんだ。むしろ、あんた等がいた方が足手まといだ。」
『ガッツさん!!皆さんすみません・・』

「姐さん!こんなやつ放っておこうぜ!一人で大丈夫なんだってよ!」

「そうか。残念だ。」

ガッツを残し7人は歩き出した。

「健闘を祈る。」
最後にクレアがそれを言い残し、去っていった。

『ガッツさん・・』
『「これでいいんだよ。」』

ーーーー
ーーー
ーー


「で、元の世界に帰る方法は?」

『私なら向こうの世界からこの世界とを繋いで一時的に「扉」がつくれます・・。だけど・・』

「体は向こう。精神はこっち。お手上げだな。」

『はい・・。でも、私の精神を向こう側で引き戻してくれれば・・。』

「どうやってだ?」

『・・・。私のバッグには魔術の本が入っています。ファルネーゼさんがそれをつかって私を引き戻してくれるのを祈るしかないですね・・。』

「なんにせよ・・待ちの一手てことか。・・・。そういえばずいぶん暗くなったな。」

『おそらく、あっちとこちらでは時間の進みが違うんでしょう。もしかしたら私たちの世界ではまだ余り時間がたっていないかもしれません。』

「想像もつかねえな・・・。」


その頃ガッツたちの世界では

「ファルねーちゃん!どうなんだよ!」
「ええと・・これかしら・・。たぶん。やります。やってみせます。」
「大丈夫かしら・・」
イバレラの心配をよそにファルネーゼはシールケを呼び戻す準備をしていた。

ーーー
ーー


パチっと焚き火が弾けた。

「・・・・・」
ガッツはマントに包まり、焚き火を見つめていた。
(一人で夜を迎えるのは久々だな。)
『私もいますよ!』
『起きてたのか。』
『精神体なので、肉体的疲労がないから眠くならないんです』
『便利なもんだ・・』
「うっ・・・・」
『どうしました?』

「きやがった・・・。」
しかしガッツの首筋からは血が流れ出ていなかった。
「遠いな・・・。」

ガッツはドラゴン殺しを背負うと走り出した。

ーーーーー
ーーーー
ーー


「あの男のことをどう思う。」
ミリアが誰となく尋ねる。

「いけすかねーヤローだよ。」

「しかし、強い。」

「ああ、人間離れしている。」

「私は見ていなかったから分からないが・・それほどなのか?」
ユマが言う。

「一桁ナンバークラス・・。それも上位5人に匹敵かそれ以上だ。」

「そんなに・・」

「たしかにな。覚醒者並のヤツを一人でなます切りだ。」

「私、彼が嘘をついていると思います。」
タバサがつぶやく。

「?どういうことだ。」

「なんとなく・・確信はないんですが・・。その嘘もなんなのか分からないですけど。」

・・・・・・

一時的な沈黙。

沈黙を打ち破るかのように、草むらが揺れた。

「!!!」

とっさに身構える7人。
組織に見つからないように妖力を抑えていたとはいえ、妖魔や戦士、ましてや覚醒者なら気づくはずだった。
が、草むらから出てきたのはただの青年であった。

「あ、すみません・・驚かせてしまって。」

ミリアがタバサに目配せをする。

「・・・」小さく頭をふるタバサ。妖魔や覚醒者ではない。

「どうした。道に迷ったのか。悪いが私たちは案内できない。」

「このまま西に進めば人里にでるだろう。」

「・・・・・・・・・・・」

青年は最初の言葉を発して以来黙って7人をみていた。

「・・・・・?」
ユマが怪訝そうな顔で近づく。

「お前ら・・・『贄』の匂いがする。」

「え?」

「ユマ!離れろ!」

クレアが叫んだと同時にユマは吹き飛ばされていた。

「ギギギ・・女ぁ・・贄はどこだ?」
みるみるうちに青年は化け物へと姿を変えていった。

「くそ!なんなんだ!」
全員が身構える。

「ユマ!大丈夫か!」
返事はない。

「シンシア!ユマをたのむ!」

「わかりました!」
シンシアは他人と妖気を同調し、傷の修復、再生を手伝うことができる。

「いくぜぇ・・・!」

「待てヘレン!妖力を解放するな!」

「まてよ、姐さん!こいつ覚醒者じゃねーし妖魔でもねえ!つまりアイツを追っかけてきたヤツだ!
そんなやつを妖力を抑えて倒せってのかよ!」

「ここで妖力をつかったらこの1年が無駄になる!開放すれば組織から見つかるぞ!妖気を抑える丸薬は数が限られているんだ!」

「ちくしょー!」

タバサは4人から離れ最小限の力で相手を見る。
「なんてこと・・。みんな、こいつ・・つよいです・・・」

「つよいですだー!?」

タバサは下位ナンバーの戦士だが、高精度の妖気感知能力を持ち、
広範囲に渡り戦士や覚醒者の存在を感じ取り、相手の弱点を読み当てる事が可能である。
妖力を抑えているとはいえ、こんな曖昧な分析をしたことはない。

「そうとしかいいようが・・」

「きみたちぃ、僕を差し置いてなにごちゃごちゃやってんのかなー!」

叫びながら使途は無数の触手を振るってきた。一本一本が針のように鋭い。
それぞれが剣で防御したり飛びのいたりしてそれを凌ぐ。
「くそっ。まるで西のリフルだ!」

「フッ!」
息を吐き出しデネヴが力任せ二刀流で切りかかる。

が、あっけなく触手にはじかれてしまう。

シュバッ
「あぐ!」

無数の針がデネヴを貫く。
(ウンディーネ・・・!)

「デネヴ!」
「まだ、大丈夫だ・・・」
「仲間の心配しちゃって。強気な割りに君はかわいいな。俺好みだぜ。」
使途は舌なめずりをする。

「キモイんだよくそったれ!」
へレンが腕を伸縮させ遠距離から突きを繰り出す。
それにあわせてタバサ、クレア、ミリア、ユマを治療していたシンシアも加わり切りかかる。

傷を負わせることができた。


「いてーな。おまえら。かわいい顔してるから手加減してやったのによぉ。
もういいや。動けないように痛めつけて犯すだけ犯して殺してやる。」

「馬鹿な・・・妖力を解放してないとはいえこんな力の差が・・・」

ーーー
ーー


ハァッハァ!
ガッツは首の痛みと、かすかに聞こえる金属音に向かい走っていた。
しかし金属音は途中から聞こえなくなっていた。
嫌な予感がした。
ガンッ
足にあたるものがあった。鎧のものと思わしき金属片であった。

「これは・・」
ガッツが前方に眼をむける
そこには全身傷だらけのクレイモア達がいた。

「ゼェゼェ・・くそ・・」
かろうじて立っているのはミリア、クレア、デネヴであった。
「大丈夫か!」
「君か・・きてくれたのか」
ミリアがいう。

「見つけたぞ。贄。もう少ししたら喰ってやる。その前にお楽しみからだ。」

「やめろ!ヘレンを離せ!」
デネヴが喚く。

ヘレンは相当消耗しているらしく、抵抗する気配すらなかった。
「俺は好きなものから食べる性質でな。おめーも悪くないから次に可愛がってやる。だまってろ。」

使途は男性器のような触手を伸ばし始めた。
それが乱雑にヘレンの鎧をひっぺがしていく。








「おい。」



声がした瞬間、使途の触手は千切れ飛んでいた。

「ギャー!おれの◎☆▽!!」

「嫌なもん思い出させやがって。死に続けろ。」

ドラゴン殺しが竜巻のように跳ね回る。

「なんて男だ・・。あの大剣をあそこまで軽々と・・」

しかし、使途もただではやられない。
ガッツも見る見るうちに傷だらけになり、
ボロボロになっていく。
黒い竜巻と針の嵐がぶつかり合っているようだった。

「ヤロゥ!」
使途は死角から針を飛ばす。

「あぶない!」

キンッ

それはあっけなく左腕にはじかれる。

「義手!?」

「さあな。死ね。」
ドラゴン殺しを腹につきたてた傷に義手を突っ込み大砲を発射した。

「そげぶ!」

ーーーーーー
ーーーー
ーー


「ありがとう。おかげで助かった。」

「お前がが助けてくれなかったらヘレンは・・感謝している。」

「おい!すこしいいカッコしたからって調子のんじゃねーぞ!」

「「ヘレンさん!」」「ヘレン。」「ヘレン!」

「う・・・・あ・・・くそ!あ・・・ありがとうよ///」


「・・・・別にいいさ。俺はヤツに用があった。そこにあんたらがいた。成り行きさ。」(にぎやかなやつだ。)


「だが助けてくれたのは事実だろう。」
クレアが言う。

「そう思いたいならそれでいい。じゃあな。」

「まってくれ。ガッツ。」
ミリアが呼び止める。

「なんだ。」

「我々を・・・我々を鍛えてくれ。」

「な、なにいってんだよ姐さん!」

「ヘレン、少し黙っていよう。」

「どういうことだ。ミリア。」
デネヴが聞く。

「我々が弱いからだ。」

「だけど姐さん!それはウチらが妖力をつかってないからで・・」
「これからそれを続けなくてはならないんだぞ。たぶんこのままでは覚醒者に会ったら全滅は必至だ。」
「・・・・・」
「さっき戦った化け物。あれは深淵の者程ではないが上級覚醒者並の強さだった。苦戦しつつもガッツはそれを一人で倒したんだ。」
「確かにな。私たちは今後妖力を抑えた戦い方をしていかなくてはならない。それでいて今よりも強くーーー。」
「きっと君は私たち以上の戦いをしてきたんだろう。不躾なのはわかっている・・。私たちを強くしてくれないだろうか。」

「・・・・・・。あいつはあんたらの攻撃で弱っていた。運が良かったのさ。」

「いや、君は強いよ。相当な修羅場をくぐらなければあんな、死と隣り合わせの立ち回り、捨て身の攻撃はできない」

「・・・・・・」
『ガッツさん。いいじゃないですか。私たちには時間がありますし、言い方を変えればガッツさんのせいで彼女達は傷ついたんですよ。』
『・・・・ッ』
『それに、いま私の精神に微かですが、呼び戻しがかかっています。』
『・・・くそ』
「・・・・・・・。俺はものを教えるのは苦手だし、教えられることは限られている。だが・・いいぜ。わかったよ。」


「ありがとうガッツ。」
「ケッ!素直に分かったって言えばいいんだよ!」
「ヘレン!」

ーーーー
ーーー
ーー

3日後

『ガッツさん、私が向こうに戻れそうです。』
『本当か。』
『ええ、ファルネーゼさんががんばってくれました。だけど、こちらでは私がもどり、ガッツさんを呼び戻すのに結構時間がかかりそうです。』
『俺は大丈夫だ。』
『わかりました。だけど・・鎧の力はくれぐれも気をつけて。私が戻すことはできなくなります。』
『心配するな。』

シールケの精神は元の世界に戻っていった。

「シールケはもどれたのか?」
デネヴが聞く。
「ああ。俺が戻るのはもう少し後だ。」
「そうか。すまないな。つき合わせて。」
「いや、かまわないさ。」

ガッツは彼女らの剣技をみて驚いた。

彼女らには剣技の基本形がないのである。
つまり自己流。
ガッツも傭兵時代、そして使途との戦いのなかで磨きあげた自己流ではあるが、子どもの頃にガンビーノに叩き込まれた基本形が根付いている。
多人数を相手に戦う剣技であり、結果として無数の攻撃を裁くのにも役立っていた。

彼女達にはまずそれを教えた。
(ガンビーノ・・こんなところでアンタの教えが役立つとはな・・・)
彼女達はさすがに覚えが早く、ガッツがずっと習っていたことをたった数時間で身に着けてしまった。
ここからは個人の問題だった。

「ふう。お前らは汗ひとつかかないな。」
腰を下ろしガッツは言う。
「疲労も少ないし、食事もあまりしなくて平気なんだ。」
クレアが答える。

「ガッツは剣はどこで習ったんだ?」
へレンがいう。この数日でヘレンともだいぶ打ち解けた。

「・・・ガキの頃にな・・。」
こんなことを話す自分が意外だった。

ーーー
ーー


「ガッツさん。いいですか?」
タバサだ。

「なんだ。」

「私、この数日ずっと疑問におもっていました。ガッツさん、あなた嘘をついていませんか。」

「・・・・」

「いきなりすみません。でもこの前私たちを襲った化け物。アイツはガッツさんのことを『贄』といっていました
幽界の化け物は無作為に人を襲うのではないんですか?」

「・・・・・」

「おい、タバサ・・」

「『あれはガッツさんを追ってきているんではないんですか?』」

「・・・あぁ。そうだ。」

「!!!」

「やはりそうですか。」

「俺が邪魔ならすぐ出て行く。」

「なんでです?ガッツさんが追われているなら私たちもお手伝いします。」

「!」

「ウチらは仲間だろ?」
ヘレンがいう。
全員がうなずく。

「・・・・・・俺はーーー」
(なぜだ・・)
ガッツの脳裏にはジュドーやピピン、ガストン・・鷹の団メンバーがフラッシュバックしていた。

ガッツは鷹の団のこと。ゴッドハンド。そして蝕とグリフィス。
キャスカのことだけは話せなかった。あの光景を・・魔を受けた自分の子どものことを思い出すだけで気が狂いそうだった。

心に閉じ込めていたこと。それを7人に打ち明けた。

ーーーー
ーーー
ーー


「そんなことが・・・」
7人はそれぞれが思い思いの顔をしていた。

「辛気くせえ空気になっちまったな。すまん。」

「神に戦いをいどむようなものなのだろう。」

「例え神であっても絶対に倒してみせる。」

「!・・・・・・私も神とまではいかないかもしれないが、倒さねばならない相手がいる。」
クレアが言う。

「プリシラか・・。」

「・・・・・」

「お前の苦労が分かるとはいわない。だが、お前のその姿勢をみて私もやっていける気がするよ。」

「ハハハ・・そりゃどうも」

「・・・・・」
ガッツの話を聞いた後、ヘレンはぼーっとガッツをみていた。
ーーーー
ーー


「お前は力で剣を振ろうとしすぎだ。」
「しかし・・。」
デネヴは慣れない二刀流にてこずっていた。
「その剣を使ってたやつの真似か?」
「!!!」
「お前以外はみんな一刀流だ。それに、自分用の剣だったらその紋章だって同じはずだ。つまりもう一本はもともとお前のものじゃない。違うか?」
「・・・・。そのとおりだ。これはウンディーネというやつのものだった。彼女もまた仲間の剣で二刀流だったんだ。」
「・・・・そいつは筋力があったんだろう。だが、自分の持ち味を生かせ。体の撓りを使うんだ。そして剣の重みだ。」
「持ち味・・」

ーーー

「高速剣?」
「ああ。私はーー」
クレアは高速剣のイレーネの通り名を持つ戦士かつてのNo2の戦士の腕を授かり高速剣が使えること、
しかしそれには妖力が必要だということを説明した。
「それで、妖力を使わない高速剣がつかいたいと。たしかに無数の攻撃ってのは避けがたいもんだ。」

(ゴッド!千手砲!)
(ありゃあやばかったしな。)
(クレア「ゴッド千手剣!!」)
(ぷっ。どうしても顔があれんなっちまう)

「どうした?」
「いや・・・。俺が知っている限り、剣技でもっとも速度がでるのは『居合い』だ。つまり『抜刀術』」
「!」
「心当たりがあるな。」
「ああ。死んだNo8の風斬りのフローラが神速の抜刀術「風斬り」を使っていた。純粋に自らの身体能力と剣技を高めたものだ。」
「それだな。身に着けるとしたら。」
「・・・・お前の剣を持たせてくれ。」
「重いぞ?」
「やってみるさ。」

ーーー

「お前腕が伸びるのか。」
「ああ。こればかりは妖力をつかわなくてもできるようになった。」
「だが伸縮の突きはよけられやすい。」
「んだと!」
「斬撃と違い攻撃が『点』だからだ。」
「・・・・」
「だが、斬撃より致命傷を与えやすい。速度が上がるほどな。手元で加速できれば言うことがない。」
「加速か・・やってみるか・・・。」
「?」
ギチギチギチ
「お、おい・・」
ヘレンは剣の持ち手をねじり始めた。
「2・・3・・4・・5・・・6・・・うあ!」
6回転目で限界だったようだ。だが、その捻りの効果で突きの速度は格段にあがっていた。
故No.9の戦士ジーンの旋空剣だった。彼女は最高21回転だったが。

「・・・・人間業じゃあねえな。」
「けっ!オメーにいわれたくねーよ!」
「・・・・」
「なんだよ。」
「いや。」
どうしてもヘレンが昔のキャスカに被ってしまう。
情けねえ。と舌打ちをしたい気持ちを抑えた。
「・・・・・・・・・・。」
そのときのガッツの表情をヘレンは見てみぬフリをしていた。

ミリアは正直言うことがなかった。実質このメンバーでは一番強いだろう。
彼女は「幻影」と呼ばれる業を妖力なしで使えるようになるつもりらしい。
ガッツがすることといえば、彼女の肉体的ポテンシャルの向上。
立ち合い。模擬戦であった。しかしほぼ本気のものである。
戦いながらガッツはヘレンの弱点を指摘していった。
彼女の剣圧は軽かったのだ。セルピコの戦い方を思い出し伝えたりもした。
わずか数日でヘレンは格段に強くなっていった。

ーーー
ーー


数日後の夜。

使途が襲撃をしてきた。
強敵であった。

しかし、クレアの風斬りもどき、ヘレンの旋空剣もどき
デネヴのまともになりつつある二刀流や、格段につよくなったミリア。
ほかの仲間も着実に強くなっている。

彼女らとガッツの奮闘で使途は追い詰められていた。
しかし、時間がたつと慣れない戦闘で彼女たちは手負いになっていた。

「くそ強え・・。」
彼女達はある程度なら自己治癒できる。それは分かっている。
だが
仲間が傷ついていくのはガッツにとって辛いものだった。
ザザザ
「・・・!くるんじゃねえ!てめえの力は・・」
なにがガッツを追い詰めたのか。
傷ついた彼女達が鷹の団・・キャスカに重なったのか。

「コオオオオオ!」
ガッツは鎧の力に飲まれた。

「うう!」
「これは!」
「あ・・あ・・」
彼女達はハッっとした。
ガッツと出会う前。森の中で感じた禍々しいもの。
それは使途から発せられるものかとおもっていた。
だが、それを発しているのはガッツであった。
「この感覚はガッツのだったのか・・!」

使途はガッツともみ合いになり川に転げ落ちる。
そしてなすすべなくボロボロになっていく。
川が赤く染まっていた。

「すごい・・。けどあれは・・」
「自我を失っているな・・。」
「まるで・・狂戦士(ベルセルク)だ・・」
クレアがつぶやく。
「ガッツさんの精神が・・・このままでは持たない!」
タバサがいう。

「なんとかしないと・・。」
肉塊になりつつある使途の上にたちガッツはミリアたちを見下ろしていた。
「私が覚醒しかかったときの方法だ。」
「そうか!妖力で引き戻すんだ。」
「しかし・・開放してしまったら・・」
「少しずつにするんだ。7人いれば・・。」
「よし!」

「ガアアアアアアアアア!」
ガッツは吼えながら彼女たちに突っ込んでいった。デネヴとミリアがそれを止める。
クレイモア2人がかりでもどんどん押されていく。
感応能力の高いシンシアが背中に飛びのり、タバサ、クレア、ヘレンと続く。
「ゴアアアアア!」
「うわ!」
弾き飛ばされる。

「くそ!一か八かだ。」
「こいガッツ!」
「姐さん!何する気だ!」

「ガアアアアアアア!」
正に闇と一体化したガッツがミリアに切りかかる。
ミリアは両断された。

両断されたミリアは霧のように消えてしまった。
「!?」
ガッツは一瞬戸惑った。
幻影。

「幻影だ!」
「だけど妖力を感じない」

「・・・・・ッ!ハァハァ・・。まだ・・1回が限度か・・」
後の新幻影だった。

一瞬の隙を突きタバサが飛びつく。
それにデネヴ、ユマ、シンシアと続いていく。
全員でガッツの動きを止めた。

「いまだ!少しずつ開放しろ!」
「ガッツさん!もどって!」
「ガッツ!」
「君はそんなのに飲まれる程弱くないだろう!」

「ォォォ・・・・」
ガッツの顔を覆っていた部分が引いていき、ガッツの精神は戻った。
「よかった・・・。」
「とんでもねえ力だったな。」
「ガッツ・・大丈夫か?」
ガッツは目の焦点があっていなかった。
「・・・・・キャス・・・」
そのまま倒れこんで気を失ってしまった。

ーーーー
ーーー
ーー


「・・・・・う。」
ガッツが目をあけると簡易テントのなかだった。
「そうか・・また俺は・・。」
横になったまま自問自答する。
と、体にわずかなぬくもりを感じた。
ふと、横を見やるとそこには浅黒い肌・・
ではなく透き通るような白い肌の女がジっとこちらをみていた。
(・・・・・・デジャヴだな・・・。)
ヘレンは裸だった。

「体温が下がってたからな。・・・・・。みてんじゃねーよ。」

「・・・すまん。」
「ふん。あの程度でやられるほどやわじゃねーよ。それにアレはお前じゃない。」
「・・?」
「あんな禍々しいのはお前じゃないってことだよ。」
正直、自身が暴れたこと、裸を直視してしまったことでもっと喚かれるかと思ったので拍子抜けだった。
テントの隙間から外の様子をみる。
ほかのメンバーはいなかった。
「ミリアたちなら見張りで周囲をみてる。お前の傷もほとんどシンシアが治した。」
「そうか・・。」
「・・・・・・キャスカってだれだよ。」
「・・・!関係ない。」
「関係なくない。うなされながらキャスカって何回もいってたぜ。仲間内で隠し事なんてすんじゃねえよ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・大事な人なんだろ。」
「あぁ・・。」

「だけど、同時にそれがお前を縛り付けている。」
「どういう意味だ!」
「まんまの意味さ。」
「俺は・・!あいつは・・・。」
ガッツは横になったヘレンに詰め寄る。
涙がスーっと流れた。失った右目からも。形容しがたい感情がガッツを襲っていた。
ずっと感情を押さえていたダムが崩壊した。
「お前ほどの男を泣かすんだ。相当いい女なんだろうな。」
「・・・・・・・」

「あの時、助けてくれたこと、感謝してる。・・・。」
そういうとヘレンはそっとガッツに唇を重ねた。
「!」
「辛そうなお前を見てると辛い。強気なお前であってほしい。アタシはキャスカじゃないけど少しでもお前を支えてあげたいんだよ・・・」
「・・・」
左腕と右目を失い体も傷だらけの男
腹部に醜怪な施術痕のある以外は透き通った肌の美しい女
少しの間だけ二つは一つになっていた。

ーーー
ーー


「すまなかった。ありがとう。」
「きにスンナよ。お前なら大丈夫だって。」
二人はすでに鎧を身につけ帯刀しテント前にたっていた。
「・・・支えてあげたいってのはちょっとマジだからな。」ボソッ
「なんかいったか?」
「///うるせー!ばかやろー!」
「いてえ!なんなんだ!」

しばらくするとほかのメンバーも戻ってきた。
「ガッツ。大丈夫か?」
「ああ。心配かけた。それとすまなかった。」
「気にするな。」
「またなったら私たちが戻してあげます!」
「・・・すまん。」

「お楽しみでしたね。ボソッ」
「!!」
タバサに耳元でささやかれるとヘレンは汗だくになっていた。

ーーー
ーー


数日後。

『ガッツさん!』
『シールケか。』
『扉を開けます!開いて良いですか!?』
『ああ。たのむ。』

「帰るのか。」
シールケの声は彼女達にもきこえていたようだ。
「ああ。」

「いままでありがとう。」
「いや、たいしたことはしていない。」
「ガッツさん、ありがとう。」
「私は、強くなったという自覚はあまりないががんばってみる。」
「ああ。」

「結局君からは有効打を取れなかったなガッツ。」
「アンタが妖力を解放していたらまけていたさ。幻影とやらが見れなくて残念だ。」
「ガッツ。私も倒すべき敵を倒す。だからー。」
「あぁ。俺もやつ等を叩きのめす。」
全員と握手をしながら別れの挨拶をした。

ヘレンはそっぽをむいていた。

「おいへレン。最後くらい・・」
「いや、いいさ。じゃあなヘレン。」
ガッツがそういい後ろを向こうとしたとき

タタタッ
へレンはガッツに駆け寄り、首に手を回しながら飛びついた。
「・・・・・。へへ。じゃあな!」
チュッ

「!!!!!」
ほかのメンバーは目を丸くしていた。
タバサを除いて。

「ああ。」
「これもってけよ!」
「なんだこれ。」
「いいから!」
確認するまもなく無理やりポケットにねじ込まれる。

「じゃあこれもってけ。たいしたもんじゃねーけどな。」
シュッっと音を立てて地面に投げナイフが刺さった。
「んだこれ!色気もくそもあったもんじゃねーな!さっさといっちまえばーか」

そういいつつ、それをしまいこんだ。

「ふ・・」

ガッツの足元に光の輪が広がっていく。

『そろそろ移動します』

「よし。じゃあなお前ら。・・・・・!」

ガッツは驚いた。
彼女らの後ろに覚醒者がせまっていたからだ。
が、同時に笑いの表情が顔に張り付いた。

彼女等全員がクレイモアを掲げガッツのほうにむけたあと
くるりと踵をかえし、覚醒者に走っていったからだった。

「がんばれよ。」
彼女達に聞こえたかどうかはわからない。しかし、彼女等は絶対に勝つだろう。


ーーーーーー


覚醒者は倒された。

「おわったな。」
「あぁ・・。」
「私たち、以前と比べるとかなり強くなってますね。」
「ガッツのおかげだな。」
「それにしてもヘレン・・・がね・・」
「うるせー!」
「顔真っ赤ですよ」

「さて」
ミリアが咳払いをした。
「我々の服装なんだが、このままでは良くないと思う。」
「たしかに。この服装は目立ちすぎるな。」

「なにか案はあるか。ヘレン。」
「なんでアタシなんだよ!・・・・・・・・。黒がいい・・。ボソッ」
「ふむ。そう言うと思っていた。」
クレアが言う。
「アタシはただ、闇にまぎれやすいし、シンプルなほうが動きやすいと思ったからで・・タバサ!ニヤニヤすんじゃねえ!」

シンシアもユマも笑いながらそれに賛同していた。

「きまりだな」
フッと笑いながら、空を見てミリアが言った。
別世界にいる我々の仲間に敬意を表してーーーー

ーーーー
ーー


気がつくと、ガッツはイシドロやパックをはじめキャスカたち一行に囲まれていた。

「「「おかえりなさい」」」

「ああ。」

ガッツはキャスカをみると安堵した表情になり、ふとポケットをまさぐった。
ヘレンのつけていた指輪だった。ガッツの指は太くはいらなかったが、それに皮ひもを通し、
そっとそれを首にかけると、一行の最後尾からキャスカを見守りながら歩いていくのだった。







155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/21(火) 22:20:21.89 ID:1REZzX6g0ベルセルクとクレイモアがすきすぎて
惰性で書いた。
文才がないから苦労したし、見苦しい文すまなかった。みてくれた人に感謝感謝!
ありがとう!

ちなみに俺はどうしても、ガッツとヘレンをくっつけたかったwwwwwwww
出番が少ないシンシアやユマ、デネヴももちろん好きだ。



←ブログ発展のため1クリックお願いします
スポンサーサイト


コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: クレア「ベルセルク・・・」

    ちょっとでも妖力解放しちゃうとマズくね・・・・?

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kannki.blog39.fc2.com/tb.php/2559-b04109bc
この記事へのトラックバック



アクセスランキング ブログパーツ レンタルCGI
/* AA表示 */ .aa{ font-family:"MS Pゴシック","MS PGothic","Mona","mona-gothic-jisx0208.1990-0",sans-serif; font-size:16px; line-height:18px; }