唯「漂流軽音部室!」

2010年10月17日 20:30

唯「漂流軽音部室!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 00:20:23.15 ID:vR/MO92GO

2月も終わりに近付いたある日、わたし達軽音部は受験の重圧から解放され
卒業も近いと言うこともあり、憂と純ちゃんを招き、お茶を開くことにしました。

唯「お~…すごい量のお菓子…どこを見てもお菓子お菓子お菓子…」

紬「うふふ、今日はお茶も色んな種類のを持ってきたのよ~?」

いつもの机だけじゃ足りず、他の教室からもいくつか借りてきましたが、
それでも乗せきれない程の食べ物、飲み物があります。

ケーキ、クッキー、ドーナツ、和菓子にお煎餅、ピザやマックスバーガー、
ポテトにお寿司等々、ちょっとしたバイキングくらいの量と種類があります。
とても1日で食べきれる量ではありませんが、
余ったらさわちゃんにでもお裾分けすればいいでしょう。

梓「さすがにこの量は多すぎじゃ…」

唯「あずにゃ~ん、細かいことは気にしないのっ」

律「そうだぞー梓 わたし達ももう卒業なんだし、残された時間を全力で楽しむのは当たり前だろ?」

梓「全力出しすぎです!…でも、そっか」

梓「先輩達、卒業しちゃうんですよね…」

澪「梓…」

梓「………」

律「…なぁーにしんみりしてんだよ!わたし達が卒業しても梓には憂ちゃんと鈴木さんがついてるだろー?」

憂「そ、そうだよ梓ちゃん!心配ないよ!」

純「寂しかったらわたしがかまってあげるからさっ 泣かないの!」

梓「う、うるさい!寂しくないし、泣いてないもん!」

紬「寂しくなったらいつでも会いにいってあげるわよ~?」

梓「ムギ先輩まで?!…でも、うん、ありがとうです…」グス

唯「よーし!気を取り直して、今日は食べまくろうよみんな!」ブチュー

澪「あ、こら唯!勝手にポテトにケチャップかけるなよ!」

唯「あれ~澪ちゃん、ケチャップつけない派だった?ごめんごめん~」エヘ

梓「もー、唯先輩!少し落ち着いてください!」

憂「あははっ 梓ちゃん、もう元気になってる」

梓「う、憂までからかわないでっ!」

やっぱり、軽音部はとても楽しいです。
みんなみんないい子ばかりで、お互いに支えたり支えられたり…
居心地が良くて自然と笑顔になれる、わたしの大好きな場所です。

それもあと数日で終わってしまいます。
卒業したらこうして部室に集まることも出来ないかも知れません。

ああ、今日は帰りたくないなあ。
みんなとずっと一緒に部室でお茶していたいです。
ずっとずっと、放課後を楽しんでいたいです。


いつの間にかわたしは寝てしまっていたようです。
ぼやけた頭で周りを見渡すとみんなも机に突っ伏しています。
いつも寝ぼすけなわたしが一番に起きるなんて…と、感動を覚えましたが、
なにか、どこかがおかしいような、不気味な感覚に襲われ、みんなを起こすことにしました。

みんなを起こすと、やはり何かしらの雰囲気を感じてるようで、
とりあえず落ち着いて状況確認を…と、思いふと外を覗くと

そこには、空と地平線がぶつかって見えるくらい広大な砂地が広がっていました。
わたし達の漂流生活が始まりました。



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漂流生活一日目!

澪「お、おい!なんだよこれ!砂漠か?!」

純「いや、でも、わたし達は軽音部の部室にいますし…」

憂「建物とか車とか、人陰も見当たらないね…」

唯「わたし達の街が砂漠化しちゃったのかな~?」

紬「でも、部室だけ無事ってのもおかしいわよね…」

梓「ひっ…扉の向こうもずーっと砂漠です!」

律「だーっ!意味わかんねー!何が起こったんだよ?!」

純「全っ然理解できません!お母さんとか大丈夫かな…?」

澪「弱ったな…どうすればいいんだ?」

唯「…あ、そ、そうだ!困ったときは110番だよ!お巡りさんだよ!」

梓「そ、そうです!電話して助けてもらいましょう!」

憂「おねえちゃん、さすがだよ!」

唯「えへへ~、それほどでも~…じゃあ早速!」カチカチ

唯「………あれ?」

律「ど、どうしたんだ 唯?」

唯「圏外になってる…どうしてだろ?」

紬「っ?!…わたしの携帯も圏外だわ」

律「な、なんだって?!…う、本当だ」

憂「電波塔も見当たらないし…携帯は使えないみたいですね」

純「ううう~…万事休すじゃんかぁ…」

澪「…なあ、みんな とりあえず一旦今の状況を整理しないか?
  そうすれば、なにか解決策が見つかるかも知れないし」

紬「そうね…澪ちゃんの言う通り、冷静になりましょう」

律「あ、ああ、そうだな…」

梓「わかりました…それじゃあまず、席について落ち着きましょうか」

それからわたし達は、色々話し合ったり、少し外に出て様子を見てみたり、
ホワイトボードを使ったりして状況を把握することに努めました。

わかったのは「周りは見渡す限りの砂地である」こと、
「軽音部の部室以外の建物がない」こと、
「水、電気は使える」こと、
「部室の中は特に変化はない」こと、
これくらいでした。

これらのことからわたし達は、「部室だけがどこか砂漠のど真ん中に飛ばされた」と、推測しました。
水道や電気が通ってるのは不思議ですがそう考えるのが一番自然に思えたからです。

もっとも、部室が飛ばされるなんてバカみたいな考えだとは思います。
しかし、他に考えようがないのです。
この事態に直面しているわたし達にとっては、
何が起きていてもおかしくないと思えてしまっているのです。

幸い食糧や水は大量にあるので、とりあえず今日は来るかわからない救助を待とうということで合意しました。

食事中はみんな口数も少なく、食べ物も喉が通らないようでした。
当然の光景だとは思いますが、いつも賑やかにごはんを食べていたので
こんなにも静かな部室は居心地が悪かったです。

ごはんが終わっても雰囲気はどんよりしていましたが、仕方がないでしょう。
いつもはムードメーカーのりっちゃんでさえ、物思いにふけっています。

夜は準備室に置いてある物をいくらか出して、そこに寝床を作りました。
話し合った結果、何か変化があったときに対応できるように
2グループに分けて交代で仮眠を取ろう、と言うことになりました。

わたしはこれからの生活への不安と、
もしかしたらこれは夢で、起きたらいつもと変わらない日常が待っているのではないか
という微かな期待を胸に床につきました。


生存者 7人


残念ながらというか、当然というか、
わたしは広大な砂漠の中にポツンと建っている部室の準備室で目覚めました。

しかし、これでようやく今の状況を冷静に受けとめることができました。
夢ではなくて現実であるということ。
だから、どうにかしてこの状況を打破しなければならない、と。

もしかしたら、みんなも一晩寝てそう実感したかも知れません。
わたしはみんなと力を合わせて、元の生活に戻ることを決意しました。


漂流生活二日目!

澪「さて…今日はどうするんだ?」

純「このまま部室で救助を待てばいいんじゃないですか?」

紬「いえ、一晩考えたけど今わたし達が砂漠の真ん中にいるなんて
  恐らくわたし達以外に知ってる人はいないんじゃないかしら?
  だから何かしらのアクションを起こした方がいいと思うの」

律「そうだな、食糧もいつかなくなるかも知れないし、
  体力があるうちに近くだけでも探索した方がいいかもな」

純「う、う~ん…そうです…か」

紬「大丈夫よ、純ちゃん わたし達がついてる」ニコッ

純「は…はいっ!そう…ですよね!行動を起こさないと何も始まりませんよね」

梓「それじゃあ今日は周辺の探索、ということで」

紬「それと、部室の中から何か使えそうな道具類を探すのも必要だと思うわ」

憂「2グループに別れて行動ってことですね」

唯「あ、わたし外でて調べたい~」

律「いいけど、あまり遠くまでは調べないぞ、何か危険な生物がいないとも限らないからな」

唯「大丈夫だよ~じゃあ外探索グループはあと3人くらい?」

澪「ひっ…わ、わたしは部室の中で…」

律「今までしっかりしてたのに、いきなりヘタレになったなー澪」

澪「変な生き物とかは嫌だ!無理!」

律「仕方ないなー、じゃあわたしも行くよ」

紬「わたしも行きた~い こんな機会、二度とないでしょうしね~」

律「唯もムギも緊張感ないなー…尊敬するよ」

純「あっ…じゃ、じゃあわたしも行きます!」ビシッ

律「おー、そしたらこの4人で周辺の探索だなー」

梓「部室はわたしと憂と澪先輩ですね」

憂「みなさん、気をつけてくださいね
 おねえちゃん、迷子にならないようにね~」

唯「任せなさい!」フンス

紬「日が傾くくらいには戻るわね~」

――――――――
―――――

律「よーし、それじゃ出発ー!」

唯「イエッサー、りっちゃん隊長!」ビシッ

純「お二人共、テンション高いな~」

紬「純ちゃん、頑張りましょうね~」

純「あ、は、はい!ムギ先輩!」

紬「うふふ~」

純(ムギ先輩と一緒ってなんか安心するな…)

――――――――
―――――

律「ぜんたーい、止まれー」

唯「ぴっぴっぴっ!」スタッ

律「それじゃあここら辺から探索しようか」

唯「りっちゃん、探索っていっても砂しかないよ~」

律「もしかしたら何か手がかりになるものが埋まってるかも知れないだろ?」

純「この砂掘るんですか?!」

紬「くまなく掘ってたら何年かかっても終わらないから、
  怪しかったり何か落ちてたら調べればいいのよ~ ね、りっちゃん?」

律「ムギの言う通り、今日は落ちてる物がないかと、
  砂が盛り上がってるところに何かないかだけでいいんじゃないか?」

唯「そうだね~ 焦りすぎも良くないね」

純「わかりました!じゃあ早速始めましょう!」

紬「純ちゃん、やる気マンマンね~」

純「えへへ」

律「みんな夢中になってあんまり遠くに離れるなよー」

唯「イエッサー、りっちゃん隊長!」ビシッ

紬「イエッサー!」ビシッ

純「え?!あ、い…イエッサー…」ビシッ

――――――――
―――――

梓「さて、と…わたしは少し外に出てきますね」

澪「え?!あ、梓 どうかしたのか?」

梓「トイレ用に部室の裏に穴を掘ってきます」

憂「あ~、そうだね トイレはあった方が便利かも」

澪「そ、そうか…じゃあ任せたけど、気をつけろよ?」

梓「大丈夫ですよ、部室の探索お願いしますね」

憂「いってらっしゃ~い」

澪「はあ………」

憂「ん?澪さん、どうかしましたか?」

澪「いや…わたしは何も役に立ててないな、って、唯達みたいに外に出れないヘタレだし、
  梓みたいに気も利かないしさ…」

憂「そんなことないですよ!いつも通りにしていれば冷静さは一番ですし、頭の回転だって速いし!」

澪「でも、肝心なときに役立たずじゃ意味ないじゃないか!
  いきなりトラブルに直面したとしても、対処できずに固まってるのがオチさ…」

憂「澪さん!」

澪「っ?!」ビクッ

憂「澪さんは、自虐的になりすぎですよ!わたしがいつも見ていた澪さんはしっかりした人でした!
  澪さんに足りないのは自信です!自信があればいつも通りの澪さんでいられますよ!」

澪「憂ちゃん…」

憂「ね?だから頑張ってみんなにいいとこ見せましょう?」ニコッ

澪「う、うん…ははっ、わたしの方が先輩なのに逆に励まされちゃったな…
  よし!わたし頑張るよ!ありがとうなっ」

憂「いえいえ それじゃあ探索再開しましょう!」

――――――――
―――――

唯「ふー…」

律「収穫無し…か」

純「蟻一匹いませんでしたね」

紬「さすがに疲れちゃったわ~」

律「みんな頑張ったのになー…はあ…」

唯「でも、考え方を変えると『なにもなかったこと』がわかったってことだよね~」

紬「唯ちゃん…そうね!これだけ探してなにもいなかったんだから
  危険な生物は少なくともこの周辺にはいないってことよ」

純「ん~…そう考えて良さそうですね」

唯「でしょでしょ~」

律「まあ…そうだな、じゃあそろそろ帰ろうぜ~
 日も傾いてきたし、クタクタだ~」

紬「そうね~遅くなると心配かけちゃうし」

純「ふへ~…足と腰が痛い…」

唯「おなかすいた~…」

純「ナラの木の薪で焼いた、マルガリータが食べたいです…
 ボルチーニ茸ものっけて…」

――――――――
―――――

唯「ただいま~」

憂「あ、おねえちゃん!おかえりー!」

梓「みなさん、怪我はありませんでしたか?」

紬「大丈夫よ~」

律「収穫はゼロだったぜー…まあ、たぶんこの周辺には危険な生物はいないと思うぞ」

澪(ほっ…)

律「そっちは何か収穫あったかー?」

梓「あ、裏にトイレ用の穴掘っておきましたよ」

唯「あずにゃん、気が利くねえ~」

梓「そ、それほどでもないです!」

澪「あ、あとな…コードとかライターとか色々あったぞ!」

紬「お~、澪ちゃんご苦労様~」

律「ほんとか!ありがとうな、澪!」

澪「う、うん!」

憂(澪さん!)グッ

澪(憂ちゃん…!)グッ

純「おなかすいたから早くごはん食べましょうよー」

唯「そうだ!ごはんだよごはん!も~おなかペコペコだよ~」

紬「うふふ、それじゃあ今お茶いれるわね~」

梓「純!手洗ってから席ついて!…ほら、唯先輩も!」

純「は~い」ガタ
唯「は~い」ガタ

憂「ふふっ、梓ちゃんってほんと世話焼きだよね~」

梓「う、憂が言わないでよ!」

初日の辛気くささが嘘のように、今日はみんな明るかったです。
というより、明るく振る舞っていました。
たぶん、みんなクヨクヨしていても無駄だってことに気付いたのでしょう。

でも、今日の探索では特に重要な手がかりは掴めませんでした。
このまま進展がなければいずれみんな餓死していまいます。
なんとかして帰るための手がかりを見つけなければなりません。

頭の中を不安と焦りが駆け巡り中々眠ることができませんでした。

生存者 7人

――――――――
―――――

 「どうしたんですか…こんなとこで…?」

 「………」

 「…え?帰る方法がわかった?!…あ、すいません…
 それで、その話、本当なんですか?」

 「………」

 「向こう…?ん~…何も見えませ…?!…っか…はっ…!」

 「………」

 「………」クスッ

次の日の朝は、少し早くに起こされました。

今朝の見張り番はりっちゃん、ムギちゃん、純ちゃんの3人。
途中まで眠らずに見張りを続けていたのですが、
探索の疲れからかいつの間にかみんなうたた寝をしてしまったそうです。

りっちゃんとムギちゃんが目を覚ましたとき、純ちゃんの姿はそこになく、
トイレにでも行ったのかと思い待っていたけれど、
10分程経っても純ちゃんは帰って来なかったそうです。

いよいよ心配になったりっちゃんとムギちゃんは裏手に様子を見に行き、

純ちゃんの首吊り死体を発見したそうです。


漂流生活三日目!

梓「どうしてこんなことになったんですか!」バンッ

唯「ちょ、ちょっとあずにゃん…少し落ち着いて…」

梓「落ち着けるわくないじゃないですか!親友が…純が死んだんですよ?!」

唯「悲しいのはみんな一緒だよ…?でも、冷静に状況を把握しないとまた同じことが起こるかも知れないし…」

梓「………」ドサッ

律「…みんな、ごめん わたしが寝ちゃったばっかりに」

紬「りっちゃんのせいじゃない!
 わたしが…わたしがちゃんと起きていれば…!」

澪「それを言うならわたしにも非があるよ…首吊りに使ったコードはわたしが見つけたものだし…」

憂「…あの、今考えるべきなのは…責任は誰にあるかじゃなくて、
  純ちゃんはなんで死んじゃったのかじゃないですか…?」グスッ

唯「そ、そうだよ…もしかしたらこの砂漠にわたし達以外の誰かがいるのかも…」

憂「それとも…いや、純ちゃんに限って…自殺、は…ないよね…?」

梓「ありえない!純が自殺なんて絶対にありえないよ!」

唯「なら…どうして…?」

梓「この中に犯人がいるんじゃないですか?」

律「?!」

澪「梓!バカなこと言うな!!」

梓「わたしは可能性の話をしただけです」

唯「あずにゃん!わたし達の中に純ちゃんを殺したりする人なんていないよ!そんなこともわかんないの?!」

憂「そうだよ…そんな…そんな酷いこと…」

紬「確かに…そんな人はいないけど…可能性はゼロではないわよね…」グスッ

憂「………」

唯「でもさ…」

澪「ん?」

唯「例えば…例えばの話でだけど…この中の誰かが純ちゃんを殺したとして
  それが誰かのメリットになるのかな…?」

梓「…」

唯「せいぜい食べ物の消費量が減るくらいだよ…しかも、まだ食べ物にはそれほど困ってるわけでもないのに…
  それだけで殺したりするかな…?」

紬「じゃあ…純ちゃんはわたし達以外の誰かに…?」

憂「それも…考えにくいですよ」

律「どういうことだ、憂ちゃん?」

憂「うたた寝をしてたって言っても、もし車やヘリや飛行機がすぐそばまできたら起きますよね?」

律「あ、ああ…さすがに…」

憂「それなら犯人は短時間のうちにどうやってここまで来て、帰っていったのか…
  それらしき足跡もなかったし、第一ここは見晴らしの良すぎる砂漠のど真ん中です」

紬「そう言われればそうね…それなら、純ちゃんは自殺か…あるいは、この中の誰かに殺されたのか…」

梓「………」

この日は別行動での探索はしませんでした。
少人数でいると危ないし、まずは純ちゃんの死を解明するのが先決と判断したからです。

わたし達は一日中、純ちゃんの死の謎について意見を交わしましたが、
これといってわかったことはありませんでした。

あまり進展のない話し合いが一旦落ち着いたところで、
みんなで純ちゃんを供養してあげました。
純ちゃんは部室から少し離れたところに穴を掘って埋めました。
涙がとまりませんでした。


生存者 6人


さすがに昨夜はみんな眠れなかったようで、全員で朝まで見張り番をしていました。
やっぱり純ちゃんのことがショックだったのでしょう。
みんな一様に目を真っ赤に腫らしています。

純ちゃんは自殺だったのか、それともこの中の誰かが犯人なのか。
信じたくはない嫌な考えが頭の中でぐるぐる回ってしまいます。

日もすっかりのぼった頃、張り詰めていた緊張の糸が疲れのせいで緩んだのでしょう。
猛烈な眠気が襲ってきました。
体力を回復するのも大事だ、という話になり、
わたしと憂と澪ちゃんは一眠りさせてもらうことにしました。


漂流生活四日目!

梓「………」

律「………」

紬「………」

紬「…ね、ねえ お茶でもいれましょうか?」スッ

梓「………」チラッ

律「…ああ」

紬「………」カチャカチャ

紬「…はい、どうぞ」コト

梓「…ありがとうございます」

律「ん…さんきゅ…」

紬「…ふぅ」

梓「………」ゴク

律「………」ズズッ

紬「………」

――――――――
―――――

律「………」ウトウト

梓(律先輩…またうたた寝して…全然反省してないじゃん…!)チッ

紬「………」

梓(律先輩のせいで…純は…!)

紬「…梓ちゃん、ちょっと」

梓「…なんですか?」

紬「純ちゃんのことで…話したいことが…」

梓「?!」

紬「ここじゃアレだから裏で…」

梓「あ…はい…」

――――――――
―――――

梓「ムギ先輩、どうしたんですか?…まさか、犯人がわかったとか…?」

紬「…ええ」

梓「な?!ほ、ほんとですか?!誰ですか?誰が純を…?!」

紬「あ、梓ちゃん、落ち着いて、静かにして…犯人は…りっちゃんよ…」

梓「…え…律先輩が?!」

紬「…ええ…昨日わたしがうたた寝してるときにね、ガタガタ音がしてたからちょっと起きちゃってね…
  薄目を開けて見てみたらりっちゃんが外から戻ってきたところだったの」

紬「そしてわたしが起きたのを見ると、さも自分は今起きましたみたいな振る舞いをして…」

梓「………」

紬「そのときは深く考えなかったけれど、今考えてみると、りっちゃんは犯行に及んで
  ちょうど帰ってきたところだったんじゃないかって…純ちゃんの姿も見当たらなかったし…」

梓「……い」ブツブツ

紬「…梓ちゃん?」

梓「…許さない…許さない…絶対許さない…!!!」ズンズン

紬「ま、待って梓ちゃん…落ち着いて!感情に任せて行動してはダメよ!わたしに…いい考えがあるの」ガッ

梓「…?」

紬「…ちょっと耳を貸して?」

梓「…?はい…」

紬「………」ギュッギュッ

梓「え…?ムギ先輩…手…これなんですか?」

紬「なにって…?手を縛ってるのよ?」ギュッ

梓「なんで…なにする気ですか?!ほどいてくだっ…!むぐっ…」

紬「はいはい~、うるさい梓ちゃんはタオルでも噛んでましょうね~」

梓「んーっ!んーっ!」

紬「暴れても無駄よ~?今頃りっちゃんはお薬入りの紅茶でぐっすりだから~」

梓「っ?!」

紬「梓ちゃんを助けにくる人は誰もいないのよ~?残念だけど」クスクス

梓(ムギ先輩…まさか、純を殺したのって…!)

紬「今梓ちゃんが考えてること当ててあげようかしら?
  純ちゃんを殺したのはわたしなんじゃないかって思ってるでしょ~」

紬「うふふ、その通りよ~ 純ちゃんったらせっかく吊したのに暴れまわるし、
  漏らしちゃうしで大変だったのよ~?」クスクス

梓(純…こんなやつに…くそっ…!)フルフル

紬「安心して、梓ちゃん!梓ちゃんにもこれから純ちゃんのところに逝ってもらうから~」

梓「っ?!」

紬「わたし、人をメッタ刺しにするのが夢だったの~」キラッ

梓(…ナイフ?!)ビクッ

紬「大丈夫~ 果物ナイフだし、急所ははずすからすぐには逝かないわよ~」クスクス

梓(ひっ…や、やめて…!)ジタバタ



律「…おい!ムギ!なにやってんだ!!」

梓(あ…律先輩…!)

紬「あれ~?りっちゃんおねんねしてたんじゃなかったの~?」

律「生憎同じ手に3度も引っかかる程、バカではないんでね」

紬「あ、バレちゃってたの~?りっちゃん賢いわね~」クスクス

梓(………?)

律「部室が移動したときも、鈴木さんを殺したときも、ムギが薬を盛ったんだろ?
  …よくよく考えたら、わかることだったんだよな」

律「この砂漠に来る直前、みんな部室で寝てたよな…
  あのときは知らないところにいて混乱してたから気にならなかったけど、
  みんないつの間にか寝てたってことが既に不自然なんだよな」

律「なんでみんな寝てしまったのか…それは薬かなにかで眠らされたせい…
  そう考えたら不自然な眠りも納得がいく」

梓(………)

律「問題は仕掛けるモノだ。食べ物なら好き嫌いがあって手をつけず、眠らない人がでるかも知れない…
  みんなが必ず口にするモノ…」

律「それはお茶だ…そして、みんなの分のお茶を用意したのは…ムギ、お前だよな?」

律「そしてみんなを眠らせ、わたし達を部室ごとこの砂漠のど真ん中に移動させた…
  つまりこの漂流生活はお前が全て仕組んだこと…鈴木さんを殺したのもお前だろ?」

紬「大正解よ~りっちゃん~ すごいじゃな~い」パチパチ

律「でも確証はなかったから、紅茶を飲んで寝たフリをして様子をうかがってたんだ
  そしたら、案の定梓を連れ出したから時間を置いて見に来たら…」

梓(…律先輩)

律「…ただわからないのは…こんなことをした理由だ どうして…?」

紬「そんなの単純なことよ」

律「…?」

紬「これはゲームなのよ ゲームクリアの為には敵を倒さなければいけないでしょう?」クスクス

律「ムギ…ゲームって、どういう意味だ…?」

紬「残り一人になるまで生き残りをかけてみんなで殺し合いをするの~サバイバル?ってやつね~」

律「…は?」

紬「バトルロワイアルって知ってるかしら~ クラスメートが殺し合いをするお話、あれみたいなものよ~」

紬「ただし期限は一週間、生き残った一人だけがこの砂漠から救出されるの
  ちなみに7日目の終わりに二人以上生きてた場合、救助は永遠に来ないから~」

紬「どう?このゲーム、わくわくするでしょ~?」クスクス

梓(この人…イカれてる…!)

律「ムギ…お前、ふざけんなよ!!!」ダッ

紬「近づかないで!」ザクッ

梓「…~っ!!!」

律「な…あ、梓!」

紬「あ~あ、梓ちゃんのキレイな御御足がズタズタになっちゃった~」ザクッザクッ

梓「んーっ!んーっ!!!」ジタバタ

律「む、ムギやめろ!…わかったから!梓を傷つけるな…!」

紬「りっちゃん、今度近づいたら首いくからね~?」

梓「っ?!」ビクッ

律「わ、わかった…わかったから……ん?」

 「」ガシッ

紬「…え?」グイ

澪「うわあああ!!」ガシッ

律「み、澪!」

澪「律!は、はやくナイフを…!」

律「え…あ、ああ!わかった!」グイ

紬「あらあらあら」

律「ムギ!形成逆転だ!大人しくしろよ!」

澪「どういうことだよ、ムギ!ゲームだかなんだか知らないけど、おかしいだろ!」

律「さあ!早くわたし達を帰せ!」

紬「…無理よ」

澪「っ?!何言ってるんだ?ほ、ほら、斎藤さんだかって執事を呼べばいいだろ!」

紬「澪ちゃん、わたしもあなた達と同じゲームの中のキャラクターなの」

澪「どういうことだ…?」

紬「条件はみんな同じなのよ…まあわたしの場合薬ってアイテムがあったけどね
  だから外部には連絡を取ることもできないの」

律「帰る方法は…ないのか?」

紬「言ったでしょ?帰る方法はたったひとつ、一週間以内に他のみんなを殺す
  それ以外に方法はないのよ このゲームに裏ワザはないの」

澪「な、なんで…そんな…?」

紬「あ、それと徒歩で逃げ出すなんてバカな考えは捨てた方がいいわよ~ここ、地球じゃないから~」クスッ

律「…はあ?!意味わかんねーよ!地球じゃない…?頭イカレてんのか!」

紬「わたしは至って正常よ~、まあ説明すると長くなっちゃうんだけど…
  ここ、親の会社の宇宙開発部が密かに発見した星なのよね~」

紬「大気も地球とほぼ一致してるからわたし達は生きていられるの
  まあ地球と違って、この星にあるのは砂だけ だけど」

律「…信じらんねえ…」

澪「なんで…なんでだよ!ムギだって死ぬかも知れないんだぞ?!」

紬「はあ…澪ちゃん、これはゲームなのよ?面白ければなんだっていいの
  そのためならわたしは自分の命も惜しまない」

澪「そ、そんな…」ガク

紬「ふふっ、澪ちゃん…敵を目前に油断するなんて…ダメじゃない」バッ

澪「あ!」バタッ

律「み、澪!」

紬「うふふ…今日死んでも悔やまないくらい…でしょ?」

澪(っ?!二本目のナイフ…!)

紬「ばいば~い」ニコッ

澪「う、う…うわあああ!!!」

 「………」グサッ

 「………っは…あ…」

律「はあっ!はあっ!はあっ!」

紬「…う、は…あっ…」

澪「う、り、律…ムギ…」ガタガタ

律「…ごめんな…ムギ」

紬「り…ちゃん、そうよ…それ、で…いいの…」

紬「」バタッ

澪「う、は、ひいいっ!!ムギ?!」

律「はあ…はあ…澪、ほら、立て…」グイ

澪「………」

律「…気絶してやがる…梓も…手当てしてやらないと、な…」

律(………ムギ…なんでこんな…)

りっちゃんの話によると、あずにゃんは出血とショックのせいで失神していたらしく、
ムギちゃんの死を目の前で見た澪ちゃんも気を失ってしまったらしいです。

りっちゃんに起こされたわたしと憂は、あずにゃんと澪ちゃんの介抱をして、
りっちゃんから何が起こったのか、ここがどこなのか、それとゲームの詳細を聞きました。

正直信じがたい内容でしたが、
その状況でムギちゃんが嘘をつく理由も見当たらないので、
わたしは信じることにしました。

でも…いくら危険な状況であってもムギちゃんを殺したりっちゃんをわたしは軽蔑します。

その場にいたら仕方のないことだったと思うかも知れませんが、
わたしは、つい、他の解決方法があったのではないかと思ってしまいます。

ムギちゃんの供養を済ませたあと、3人でこれからのことを話し合いました。
その結果、ムギちゃんの言うゲームは無視し、
全員でここから脱出する方法を探す、という結論になりました。

明日は砂漠の探索をするということで話し合いを終えて、
今日はりっちゃんを休ませ、わたしと憂で見張りをすることにしました。


生存者 5人


昨日から憂と二人で見張りをしていました。
眠気と混乱で頭が痛くなってきました。

わたし達は本当に無事に帰れるのだろうか。
そのことが不安で不安で仕方ありません。
それとも、ムギちゃんの言う「ゲーム」をクリアするしかないのか…

顔をぱちんとはたいてそのおかしな考えを消しました。
わたしはみんなで一緒に帰ると決めたじゃないか。

ほっぺの痛みはなかなか消えませんでした。


漂流生活五日目!

律「おはよー…」

憂「あ…律さん、おはようございます」

唯「…おはよ、りっちゃん」

律「澪はどうした?」

憂「起きてトイレに行ってますよ」

澪「………」ガチャ

律「澪、おはよ 調子はどうだ?」

澪「えっ?!あ、ああ…お、おはよう うん…だいぶ、いいよ、うん」

律「ほんと、大丈夫か…?なんならまだ休んでても…」

澪「い、いやっ!大丈夫!大丈夫だから!」

律「そっか…なら、いいんだけど」

憂「………」

――――――――
―――――

唯「ねー、あずにゃん大丈夫かな?」

澪「………」

律「んー…足を怪我してるから連れて行くわけにもいかないし…まあ、憂ちゃんもついてるし、大丈夫だろ」

澪「………」

唯「そうかなー…んー…そうだね…」

澪「………」

律「なあ、澪」

澪「っ?!」ビクッ

律「お前、本当に大丈夫なのか?今朝からなんか変だぞ?」

澪「い、いや、大丈夫…大丈夫だよ…」

唯「…まあ、ただでさえ澪ちゃんは怖がりなのに…」

澪「………」

律「そっか…そうだよな…ごめんな、澪」

澪「………」

律「よし…ま、頑張って歩こうぜ!なにか手がかりが掴めるかも知れないし!」

唯「…うん、そうだね…頑張ろっ」

澪「………」

律「………」

――――――――
―――――

唯「ただいま~…」

憂「あ、みなさんお帰りなさい!どうでしたか?」

律「………」フルフル

憂「そうですか…」

唯「うい、あずにゃんの調子はどう?」

憂「意識はあるみたいだけど…かなり弱ってるよ…」

律「そうか…」

澪「わ、わたし…お茶、いれるよ…」

憂「あ、澪さん わたしが…」

澪「いっ?!いやっ、いいよ わ、わたしがやるから!」ビクッ

憂「あ…わかりました… それじゃあ、お願いしますね」

――――――――
―――――

澪「ほ、ほら、お茶入ったぞ…」カチャカチャ

唯「澪ちゃん、ありがと~」

律「さんきゅ、澪」

憂「あ、ありがとございます」

澪「梓は準備室か…?」

憂「はい…そうですけど」

澪「そ、そうか…」カチャカチャ

律「お、おい…澪 梓は具合悪いみたいだから、そっとしといた方が…」

澪「へ?あ、ああ、大丈夫だって!梓もお茶、飲みたいはずだし…!」

律「澪…」

――――――――
―――――

唯「そろそろ寝よっか~りっちゃんも起きて~机で寝たら体痛くなるよ~?」

憂「…う…はあっ…」

唯「うい?どうしたの?顔色悪いよ…?」

憂「ん…大丈夫…っ!」ドタドタ

唯「あ!憂!…どうしたんだろ、トイレ我慢してたのかな…」

澪「…ひひっ…くくく…」

唯「澪ちゃん?」

澪「…っあはははは!ははは!ひひっ!」

唯「澪ちゃん…どうしたの?怖いよ…」

澪「あはははっ!なあ、唯!ここって地球じゃないんだよな?わたし達以外、誰もいないんだよなぁ?!」

唯「う、うん…そうみたいだけど…」

澪「じゃあさ、何したっていいよな!!捕まらないよな!!
  盗みをしたって!お茶に薬をまぜたって!人を殺したって!!!」

唯「澪…ちゃん…?」

澪「これ、見ろよ…ムギのバッグに入ってたんだけどな…
  色んな種類の薬があるんだよ!どんな効果があるか試してみたくてな!!面白そうだろ?!なぁ!!!」

唯「もしかして…それをお茶に混ぜたの?!憂が具合悪そうだったのも澪ちゃんのせい?!」

澪「あはははは!知らなーい!カップを選んだのは自分だろ?わたしのせいじゃないだろ!!」

唯「澪ちゃん…酷い!おかしいよ!」

澪「ははっ…っげほ…うっ…ほら!唯、見て!血吐いちゃった!
  わたしの飲んだ薬は血吐いちゃう薬だったのかな?!
  唯は?!何か変わったことない?!律は睡眠薬でも飲んだのか?!」

唯「…りっちゃん!起きて!早く!澪ちゃんが!」ユサユサ

澪「う…ぷっ…くくっ…ははは…!楽しいな、これ!
  ロシアンルーレットならぬ、ロシアンティータイムってとこかな!あはははは!!」

唯「ねえ…っ?!…りっちゃん…息…してない…?」

澪「あれ?律死んじゃったの?ねえ、ほんとに?ゲームオーバー?ぷっ…ははははっ!!
  敵を一人殺してやった!!ははっ!あと3人殺せばわたしの勝ちだ!帰れる!やった!!
  あは、あはははは!!」

唯「澪ちゃん…わたし、許さないよ…澪ちゃんのこと…絶対…」

澪「ふふっ、ははは!そうこなくっちゃ!無抵抗の敵を殺すゲームなんて楽しくないからな!!
  …なあ、唯 唯はなんともないんだよな?ふふっ…じゃあ、さ、他の薬も試してみようぜ…!!」ダッ

唯「っ!!やめて!近寄らないで!」

澪「あはははは!ほら!次はこの薬飲めよ!はは!…ぅごほっ!!げほっ!!
  っははっははは!!なあ、口開けて!ほら!ほら!ほら!ほらぁ!!!」

唯「~っ!!…いやっ…だ…やめて!!!」ドンッ

澪「うっ?!うわ!!」ガシャーン

唯「ふっ…はあっ…はあっ…わ、わたし…」

澪「ぅえっ…ごぼっ…!………」

やってしまいました。
りっちゃんのことを軽蔑していたわたしが、りっちゃんと同じことをしてしまいました。

人間ってもろいもんなんですね。

澪ちゃんはわたしに突き飛ばされ、
勢い余ってトンちゃんの水槽に後頭部を打ちつけてしまい、
水槽の割れた破片が首に刺さり夥しい量の血を垂れ流しています。

部室の中に静寂が戻った頃、憂が入ってきました。
吐いたあとだったのか、げっそりしています。
部室の惨状を見て驚いていましたが、何も言わずにわたしを抱きしめてくれました。

わたしは一息ついてからあずにゃんの様子を見にいきましたが、
あずにゃんも無事だったみたいで寝息をたてて横になっていました。

りっちゃんは…耳をあてて確認しましたが、心臓は動いていませんでした。
抱きしめるとまだ微かにりっちゃんの温かさを感じられ、また泣いてしまいました。

二人の供養と大量の薬を始末して、疲れと具合の悪さから見張りはせずに
わたしと憂はあずにゃんの隣で身を寄せて眠りにつきました。
期限まであと少しです。


生存者 3人


目が覚めました。
なんだか悪い夢を見てうなされていたような気もしますが、夢の内容は覚えてません。
寝汗がびっしょりで気持ち悪かったです。

だんだんと思考がはっきりし出すと、昨日の感触が両手に蘇ってきました。
ああ、人を殺すってこういうことなんだ。
わざとではないにしても自分のしたことに対し、罪悪感を感じざるを得ません。

今日の天気はわたしの気持ちと反比例するような、雲ひとつ無い晴天です。


漂流生活六日目!

唯「………」

憂「………」キィ

唯「…ねえ、うい」

憂「…なあに?」

唯「あずにゃん…大丈夫…?」

憂「………」

唯「………」

憂「…たぶん、もう、危ないと思う…」

唯「………」グスッ

憂「あれだけ何度も刺されて、血もたくさん流したのに、ロクな手当てもできてないんだもん…
  こんなこと…言いたくないけど…もう、限界だよ…」フルフル

唯「うい…」ギュ

憂「…ねえ、おねえちゃんも…そばにいてあげてよ」

唯「………」コク

唯「…あーずにゃん」

梓「…はぁ……はぁ…」

唯「大丈夫?傷、痛む?」

梓「………」

憂「…梓ちゃん…最期までわたし達が、そばにいるからね…?」

梓「………はぁ……っ…」

唯「…えへ…あずにゃん、大好きだよー…」ギュ

憂「梓ちゃん…わたし、も、大好き…だよ…?」グスッ

梓「………ん…」ニコッ

唯「………」グスッ

その日の昼過ぎに、あずにゃんはゆっくりと眠りにつきました。
最期は、笑っているようにも、泣いているようにも見える顔をしていました。
わたしと憂も笑顔であずにゃんを見送りました。
目に涙をいっぱい溜めながら。

これでとうとう、わたしと憂だけになってしまいました。
もう、状況を解決しようなんて気持ちも起こりません。
まさに、絶望っていう言葉がぴったりです。

期限は明日。
もうどうにでもなっちゃえ。


生存者 2人


運命の七日目。
わたしは夜中からの記憶がありませんでした。
床についたのか、椅子に座っていたのか、ソファに寝転んでいたのか。
起きていたのか、眠っていたのか。
それさえもわかりません。

わたしは抜け殻同然でした。

気付いたら、憂がお茶をいれてくれてました。
わたしは少しぬるくなったお茶をすすりながら、昼食代わりに、
もうシケってしまったポテトチップスをつまみました。


漂流生活七日目!

日がちょうど真上を通り過ぎた頃、憂が突然おかしなことを口にし出しました。
殺してほしい、と。

気でも狂ったのかと思いましたが、どうやら真面目なようです。

話を聞くと、わたしを最後の一人にして助けたい
そしてどうせ死ぬのなら大好きなわたしに殺されたい
と、言うことらしいです。

もちろんそんな話は却下です。
わたしは二度と人を殺したくはないし、憂無しでは生きられません。
憂を殺すくらいなら、わたしが死んで憂を助けます。
わたしだってこれでもお姉ちゃんなんです。

しかし、憂は言うことを聞いてくれません。
たまにものすごく頑固なところがある子です。
こんなときの憂は絶対に意見を曲げません。

わたしが憂を説得しようと困っていると、
おもむろにナイフを取り出してわたしに無理やり握らせました。
上から憂の手でがっちりと覆われてるので、離すに離せません。

そして、ナイフを自分のお腹に近づけました。

わたしは必死に抵抗しましたが、
憂への恐怖で上手く逃げられません。

やめて、とめて、と何度も叫びましたが、
憂はわたしの目を見つめて笑顔でいるばかりです。

憂はそのまま、一度、躊躇して、
おねえちゃん、愛してる、みんなの分まで幸せになってね
と優しく語りかけたのち、刃を自らの体内へと進めました。

ズブズブと、とてつもなく不快な感触が身体中に広がります。
そして、傷口から真っ赤な液体が溢れ出てきました。

憂は苦しそうに、けれども笑顔のまま、
殺してくれてありがとう
とわたしに告げ、動かなくなりました。

わたしは数分、ナイフを握りしめたまま、呆然と座り込んで、
意識がはっきりした途端、猛烈な後悔と罪悪感に襲われました。

もっと抵抗すれば憂のバカげた行為を防げたかも知れない。

憂の剣幕に圧され、ビビっていたなんてことは言い訳にもならない。

ほんとは自分だけ助かることができるとわかり、
心のどこかでそれを望んでいたんじゃないか。

わたしが死んで憂を助けるなんて口だけだったんじゃないか。

そうだ、わたしは卑怯者だ。

憂は自分の命を引き換えに助けてくれようとしたのに。

憂をとめなかった。

むしろ、憂が死ぬことを望んだ。

わたしが助かるから。

憂を殺したのはわたしだ。

わたしが殺したんだ。

この手で。

殺した。
殺した。
殺した。

自分が助かりたいがために。

気付いたらわたしは、自らの手でナイフで喉を切り裂いてました。

へー、死ぬってこういう感じなんだ。
痛みがどんどん薄れていって、眠気が襲ってくる。

良くお話の中であるような、天使のお迎えはないみたい。

いや…わたしだからないのかな。
卑怯者だし、妹と友達を殺してしまったし。

きっと地獄へ堕ちるんだ。

憂、助けてくれたのにごめんね?
でもわたし、憂がいない世界なんていらないや。

憂はちゃんと天国へ行けるかな?

…行けるよね?

憂はとっても優しい子だから。

――――――――
―――――

斎藤「お迎えにあがりました。一週間お疲れ様でした。」

斎藤「さ、シャトルの中へどうぞ」

――――――――
―――――

斎藤「…野暮だと承知で聞きますが、なぜあのようなことを?」

 「見ていたんですか…?」

斎藤「ええ…部室の中は小型カメラで衛星中継されてましたから」

 「…助かるためですよ。やっぱり、まだ若いのに死にたくはないじゃないですか」

 「わたしは、自分が一番可愛いんです」

斎藤「…あなたが直接殺さなかった理由は?」

 「おねえちゃんが妹を殺して狂う姿、面白そうだったから…だから自殺に追い込んだんです
  おねえちゃんならきっと死んでくれると思いましたから」

 「ふふっ、見事に引っかかってくれましたからね。あれ、ケチャップ薄めただけなのに」

斎藤「………」

 「それに…人を殺すのって犯罪ですしね」


生存者 1人



188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:52:05.88 ID:XM9AnpxlO

終わりです
支援、保守してくれた方、読んでくださった方、
こんな駄作に付き合っていただいてありがとうございます

ちなみに漂流教室もバトロワも見たことありません


189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:02:32.49 ID:SFGF7GBYO
全員死亡のほうが良かった(´・ω・`)


190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:04:07.96 ID:JK5h9SMW0
種明かしっぽいのはいらんかったな


191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:07:19.35 ID:43/HFAn1O
憂ェ・・・


192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:11:32.49 ID:XM9AnpxlO

>>189-190
申し訳ない
オチは最後の最後まで悩んで、結局こうしてしまった

ちなみに漂流ネットカフェって漫画を少し参考にした
あれはオススメ

それじゃ、消えます
純ちゃんもふもふ!


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122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 19:52:32.25 ID:U8DzG8MiO
唯「だ、大好きこーとこと煮込んだ・・・」

バリン!

関谷「その下らないアニソンをやめろっ!ヘドが出るわ!」

紬「大事な食料が・・・」

関谷「流行歌を歌えっ!」

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