シャア「夜中の夜明け、か・・・・・・」  地球光編

2010年11月16日 19:13

シャア「夜中の夜明け、か・・・・・・」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 19:47:59.56 ID:sc05qCOd0

シャア「そうか・・・!しかし、この暖かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ!
    それをわかるんだよアムロ!」
 
アムロ「わかってるよ!だから、世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだろ!」


─UC93、3、12─


シャア「ララァ・スンは、私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!
    そのララァを殺したお前に、言えた事か!」
 
アムロ「お母さん・・・・・?ララァが・・・・!?」

アムロ「・・・・・・うわっ!」




アムロ「・・・・・う」

アムロ「ここは・・・・・?」

少女「まだ起きないほうがいいわよ。ひどい状態だったんだから」

アムロ「君は・・・?ここはどこだ?」

少女「ちょっと待ってて。今暖かいお飲み物を持ってくるわ。お姉さまー!」


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キエル「つまり、記憶がない、と・・・・?」
 
アムロ「アクシズで戦っていた所までは覚えているんだが・・・・・はっ!」

アムロ「やつは!シャアはどうなった?!」ガバッ

ソシエ「アク、シズ?シャーって?」

アムロ「・・・・?」 

アムロ(なにかおかしいぞ)

アムロ「ここは地球のどこだい?」

キエル「アメリア大陸・イングレッサのビシニティです」

アムロ「アメリア・・・・・?イングレッサだと・・・・・?」

ソシエ「うそ・・・・!?お姉さま、この人ほんとに・・・・」

キエル「・・・・・嘘をついている様子ではありませんね」

ソシエ「どうするの?」

キエル「お父様に報告しましょう。少なくとも傷が癒えるまでこのハイム家で療養させてもらえるよう、
    わたくしから父には頼んでおきますのでご安心ください、アムロさん」 

アムロ「・・・・・すまない」

ソシエ「まったく、感謝しなさいよ」

アムロ(・・・・・・いったい何が起きているんだ?)


─正暦2345年─

ブロロロロロロロ・・・・・・・・

ソシエ「アムロがうちに来てから、もう二年かぁ・・・・」
 
アムロ「早いものです。あのソシエお嬢さんが、成人だなんて」

ソシエ「それにしても、どこの誰とも知れない男が、ハイム家に奉仕して、
    グエン様の最新式の自家用車の試運転だなんて、あなたってつくづく果報者よね」

アムロ「本当にこのような待遇、感謝の念に絶えませんよ」

ソシエ「ふふ」

ソシエ「ところでアムロ、何か思い出せた?」

アムロ「・・・・・・」

アムロ(すっかりこの生活にも慣れてしまったな・・・・・・)

ソシエ「叩けばなにか出てくるかな?」ポンポン
 
アムロ「・・・・・・お戯れごとはやめて下さい、お嬢さん」

グエン「アムロ、塩梅はどうだね」

アムロ「新時代の到来を感じさせる素晴らしい出来です、グエン殿。
    このような代物を扱わせていただけるなど、身に余る光栄です」

アムロ(文明は良くて中世レベル、か。タイムスリップなどと思いたくはないが・・・・・)

グエン「そう謙遜しないでくれたまえ。ほとんど君の設計によって作られたと言っても過言ではないのだ」
 
グエン「ところで、例のミリシャの件について、心は決まったかね」

アムロ「いえ、自分はハイム家に大恩がありますので」

キエル「あら、わたくしはかまわなくってよ?
    お父様もアムロの才能をハイム家でくすぶらせておくのは忍びないと常々仰っていることだし」

アムロ「キエルお嬢様・・・・・・」

ソシエ「認めないわよパイロットなんて!わたしの愚痴を聞く人がいなくなっちゃうじゃない!」

キエル「まあソシエったら」クスクス


─飛行場

アムロ(俺はこの世界の何も分かっちゃいないが・・・・)

グエン「ノックスでのミリシャのパレードへの参加をアムロ・レイが承諾した。当日はよろしく頼むぞ、大佐」

アムロ(サイコフレームの共振が俺をここに誘ったとでも言うのか・・・・・)

ミハエル「本当でありますか!アムロ君!ようやく決心してくれたのだな!」

アムロ「はい。ですが、パレードの後は今まで通りハイム家にご奉公させて頂くという条件ならば」

アムロ(一体どういう理屈だというんだ・・・・・)

ミハエル「はっはっは。新型戦闘機の性能を知ればそうも言っていられまい」

メシェー「アムロならすぐにエースパイロットになれるよ!なんたってパパのお気に入りだもん!」

ソシエ「アムロの裏切りものー!」

アムロ「グエン殿、本当にガリアは攻めてくるとお思いですか?」

グエン「そうでなければミリシャなど必要なかろう」

グエン「アムロには新時代の作り手として、常に最前線で戦ってもらいたい。
    無論、そこであっさり死んでもらっては困る。
    君には新時代の担い手としての椅子も用意してあるのだよ」

アムロ「グエン殿の仰ることはいつでも無理難題だ」

グエン「ふっ、そうかね。しかしそれに応えるのがアムロ・レイであると、私は信じているよ」

アムロ(どこの世界であっても戦争の影は消えない、か・・・・・)

パレード当日、飛行機部隊によるデモ飛行において、アムロは巧みな操縦技術で観客を魅了した。
新型のヒップヘビーをわずか数日で乗りこなしたアムロに、飛行機乗りたちは改めて瞠目せざるを得なかった。

アムロ「気流を肌で直接感じるのも悪くないな」

メシェー「うわーすごい!あんな天才をただの執事に留めておくなんてもったいないよ、パパ!

ラダラム「ったりめぇだ!腕づくでも引き込んでやらぁ!」

その晩、ソシエが宵越しの祭りに興じるているころ、ミリシャの駐屯地に警報が鳴り響いた。

アムロ「こんな玩具じゃ、夜間飛行なんて死にに行くようなもんだぞ・・・!」

メシェー「アムロ、ぼさっとしてないで!敵が来るよ!」

ノックスの夜空を、無数のミサイルが引き裂いた。敵はノックスの直上から攻めてきたのだ。

アムロ「この物量はなんだ・・・?同じ時代の物とは思えないが・・・・」

ポゥ「お前たち、あまり派手にやりすぎるなよ!敵は丸腰も同然──うわっ」

アムロ「これは・・・・・!モビルスーツ!?いや、モビルアーマーか?!」

メシェー「なんだこれ・・・・・?!ガリアは空飛ぶカカシで戦うっていうの!」

ポゥ「こいつら、本気で我がディアナ・カウンターとやり合うつもりなのか・・・・・・!?
   なんて不愉快な連中だッ!!!」

ポゥ「野蛮人がッ・・・・!ふざけるんじゃないッ!!!」

ポゥが駆るウォドムが発射したビーム砲は、一瞬で数機の戦闘機を消し飛ばし、その威力を減退させつつもノックスの町の一角を焼き尽くし、さらにビシニティ近くのアーク山を抉った。

アムロ「この火力・・・・・艦隊戦クラスの粒子ビームだ!間違いない!
    敵はこの文明のモノじゃないッ・・・・・・!」

メシェー「い、今の光・・・・・マウンテンサイクルの方へ伸びていったけど・・・・・
     ソシエがいるんだよ!?」

アムロ「メシェー、戦力が違いすぎる!ここは一度引いて、グエン殿の指示を仰げ!」

メシェー「このままノックスをやらせろっていうの!?」

アムロ「これはもう戦争じゃない!無駄死にするだけだぞ!俺はソシエお嬢さんを助けに行く!」

メシェー「・・・・わかった!」


─ミリシャ司令部・ボストニア城

グエン「ミリシャの被害は!」

ヤーニ『・・・・・・は甚大・・・・ザッ・・・・ミハエ・・・・ザザッ・・・・・
    敵の砲撃で・・・・・死・・・・・ザザザザ・・・・・・・』

グエン「ミハエル大佐がやられたのか!?ヤーニ軍曹!軍曹!!」

ヤーニ『・・・御曹・・・・ザザー・・・・・・・・・・・・・・・・』

キエル「グエン様・・・・!ディアナカウンターの司令部から通信が──」

グエン「繋げ!!」

グエン「ロナ少将!これは一体どういうことです!?」

カロッゾ『・・・・ザッ・・・・交渉期間・・2年は・・・・・終わったの・・・・ザザザッ・・・』

グエン「しかし・・・・これでは侵略ではないか!!」

カロッゾ『・・・・ガガッ・・期限は一ヶ月も前に切れ・・いる・・・・・・我々は地球に帰還・・・・
     伝え・・・はず・・・・』

グエン「帰ってくるのに、その土地の町を破壊するのですか!」

カロッゾ『・・・・・即刻・・・・・装解除・・・・ザッ・・・れば・・・ザザーッ・・・我々も・・・
     穏便に・・・・・プツッ』 

グエン「・・・・ええい!ムーンレィスこそよっぽど野蛮ではないか!」


─マウンテンサイクル

ソシエ「・・・・うぅ・・・・何が起こったの?お祭りは・・・・・?」

ソシエ「・・・・・みんながいない・・・。置き去りにされるなんて・・・」

アムロ「お嬢さん!ご無事ですか!」

ソシエ「・・・アムロ?アムロよね!?遅いじゃない、ばかー!」

アムロ「・・・・・お嬢さん、服をどうしたんです?」

ソシエ「・・・え?う、うわあああ、あっち向いてて!!」

ソシエ「そうだった・・・ヒルをつけてたら光が走って・・・」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ・・・・・

アムロ「!!」

ソシエ「ホワイトドールが・・・・!」

パラパラ・・・・・

アムロ(これはMSだ・・・・・!なぜ遺跡のようになってるんだ!?)

ソシエ「おヒゲが生えてる・・・・。ホワイトドールの中に、機械人形が入っていたの!?」
 
アムロ(ガンダム、なのか・・・・?)

アムロ「ソシエお嬢さん、このコクピットの中なら安全です、こちらへ」

アムロ(このMS・・・・!俺の時代の物より遥かに進んだ技術で造られているというのか・・・!?)

ソシエ「運転できるの?」

アムロ「何であっても機械なんだ!動かしてみせるッ!」

ズ  ズ  ズ・・・・・

ソシエ「う、動いた!」

ズ ズ ズズズズズズズ・・・・・

ソシエ「うわああ、アムロ・・・!・・・・・何、その筒みたいなもの?!」

アムロ「ビームライフル・・・!」

ポゥ「MSの反応・・・・?地球にMSなど無いはずだぞ!」

ポゥは不審に思いつつも、ミサイルをばら撒きながら接近を試みる。

ソシエ「町が焼かれてる!アムロ、早く何とかしてよ!!」

アムロ「これ以上やらせるか!!」

ホワイトドールのライフルから放たれたビームはウォドムを掠めたが、ウォドムの厚い装甲に対しては決定打となり得ない。

アムロ「ちぃッ!銃身が溶けた・・・!?武器は・・・!」

ポゥ「やられた・・・!被害は?!今度は直撃を食らうのか!?」

アムロは機体を巧みに操り、全弾を遮二無二撃ちながら後退するウォドムの懐に飛び込むと、ドーム状の頭を蹴り上げ、よろめいた所に追撃の右ストレートを叩き込む。
間髪入れず両足を掴みあげると、40メートルのウォドムの巨体を中空に放り投げた。

ポゥ「何が起こっているのか分からない!!この私が!野蛮人に弄ばれているというのかッ!?」
 
アムロ「このMSすごいぞ!馬力も運動性も桁違いだ!!!」

ここまで自分の反応をダイレクトに反映するMSにアムロは出会ったことが無かった。
彼の生きた宇宙世紀の技術では、彼のパイロットスキルを超えるスペックを持つ機体など造れなかったのだ。
そんな歯がゆさへの折り合いをつけてきたアムロにとって、このホワイトドールとの出逢いは衝撃であった。

ポゥ「ううッ・・・こんな・・・!野蛮人ごときにタコ殴りにされた挙句に・・・・・ひっく・・・
   弾まで切らせて帰るなどッ・・・・!
   ディアナ様、こんな情けない私めを、どうかお笑い下さいッ!!!ウワアアア」

己の不甲斐なさに咽び泣くポゥ・エイジにとっても、ホワイトドールとの出逢いはまた別の意味で衝撃的だったのである。

アムロ「ソシエお嬢さん、ソシエ」

ソシエ「・・・・う・・ん・・・あれ・・・・?・・・・わたし気絶してた・・・?」

アムロ「カカシは行ってしまいましたよ」

ソシエ「でも・・・町は・・・」

ソシエ「・・・・わたし、町の様子を見てくる!お父様が心配だもの!」

アムロ「危険ですお嬢さん!せめて戦闘が終わってから──」

ソシエ「のんびり待っている間に家が燃やされちゃうかもしれないでしょ!!」

アムロ「いけません!」

ソシエ「放してよ!」

老人「おーい、それに乗っとるのは誰じゃ!」

アムロ・ソシエ「!」

ジリリリリリ・・・・・ガチャ

グエン「私だ」

グエン「ジュド爺さんか。・・・・・・・・ホワイトドールが?・・・・現場を徹底的に調べ上げろ。
    ミリシャを使ってもいい。 戦力になりそうな物が見つかったら報告してくれ。
    ・・・アムロはいるか?・・・・・・そうか、わかった」

キエル「グエン様、アムロが何か・・・?」

グエン「ホワイトドールの石像から現れた機械人形をアムロが操り、敵を退けたらしい。
    ソシエ嬢もご無事のようだ」

キエル「それは良かった・・・・・。しかしなぜホワイトドールに機械人形が?」

グエン「・・・・・・恐らく黒歴史の遺物だろう」

キエル「黒歴史・・・・・・でございますか?」

ソシエ「なによ、これ・・・・・嘘でしょ」

ソシエ「家が・・・・・めちゃめちゃじゃない・・・・!」

アムロ(ミサイルの直撃を受けたのか・・・・)

アムロ「!!」

アムロ(旦那様・・・・・!)

ソシエ「アムロ・・・・?お父様は──」

アムロ「ソシエお嬢さん、見ちゃだめだ!!」

ソシエ「!!!」

ソシエ「い・・・・いや・・・・」

アムロ「お嬢さん、落ち着くんだ!」

ソシエ「いやああああああお父さまあああああ」

アムロ「くそッ」

アムロ(一体誰が何のためにこんな戦争を・・・・・!)


─ディアナカウンター戦艦アルマイヤー

フィル「ヒゲのMS・・・・?たかが一機のMS、騒ぎ立てするほどの事ではない。
    それよりもポゥ少尉、貴様の失態の方がよっぽど問題なのだ」

ポゥ「いかなる罰でも受ける覚悟は出来ております・・・ッ!」

カロッゾ「そう息むでない。今この重要な局面で無駄に人員を割くことは賢明ではない。
     ・・・・この件は不問とする」

ポゥ「・・・少将殿・・・!・・・この恩情・・・必ずや報いてみせます・・・・!」

フィル「ロナ少将、これでは兵の戒めになりますまい。軍紀の乱れは避けられぬでしょうな」

カロッゾ「それを承知の上でディアナ様はわしを指揮官に任じたのであろう。そんなことよりも、
     ディアナ様が降臨なさるまでにこの地上の混乱を如何にして沈静化するかの方が重要なのだ。
     ノックスはどうか」

フィル「ミリシャの抵抗が激しく、双方に被害が出ております」

カロッゾ「事態の収拾に全力を尽くすのだ!
     ハマーンの小言がわしの神経を消耗させていること、よもや知らん訳ではあるまい!」


─マウンテンサイクル

アムロ「ジュド爺さん!」

ジュド「おお、アムロかい。ハイムの旦那さんの話は聞いたよ・・・・・・。
    酷いもんじゃ、戦争など始めおって・・・・・。・・・・・それで、ソシエお嬢様は?」

アムロ「一応簡単な葬儀は終えたが、お嬢さんはまだ熱に臥してる。相当まいっているみたいだが・・・・・」

ジュド「ソシエお嬢様はお強い娘じゃ、きっと立ち直って下さるじゃろ」

アムロ「ところで、ヒゲのやつの武器が見つかったというのは・・・・・・」

ジュド「おお、そうじゃった。さ、こっちへ」

ロウ「バッキャロー!そこを掘ったら落盤しちまうって言ったろーがァ!ミリシャは下がりやがれ!」

アムロ「ミリシャも動員しているのか・・・・」

ロウ「お?ジュド爺さん、アムロ!中でみんなが待ってるぜ、早く行けよ」

アムロ「ロウ!君が指揮を執ってるのか」

ロウ「ヤーニ軍曹はミハエル大佐の敵討ちとか言って、ラダラムさんたち連れて出払っちまってるんだよ」

アムロ「軍曹の血の気の多さが、厄介を起こさなければいいが・・・・」

ガロード「お!来やがったか!」

アムロ「やあガロード。マクグリフ技師も来ていたのか」

セレーネ「武器庫のような物から発掘できたのはこれだけよ」

アムロ「これは・・・・・ハイパーハンマー・・・!」

セレーネ「近接戦闘用の兵装のようね。・・・ただ、経年劣化が酷くて、実戦に耐えるかはわからないわ」

ガロード「名付けてガロード・ハンマー何てどうよ!?へへっ、かっちょいいだろ!?」

アムロ「しかし、武器がこれだけとは考えにくいな」

ジュド「もちろん、これが全てではないはずじゃ」

セレーネ「この地下にまだ空洞があるようなのよ。それもかなり広くて、深い」

ジュド「おそらくこの武器庫のような物は、かつては何かの施設だったのじゃろう。
    山師の間でこの手の遺跡がマウンテンサイクルと呼ばれておるのは知っておるじゃろ?」

アムロ「マウンテンサイクル・・・・・」

ロウ「おい、大変だ!あのカカシがまた攻めて来やがった!まっすぐこっちへ向かって来る!!」

ガロード「何だとぉ!?」

ジュド「ホワイトドールが狙いか!」

アムロ「ヒゲで出る!」



ポゥ「さあ、出て来いヒゲのやつ!」

部下「よいのでありますか?出撃命令は出ていませんが・・・」

ポゥ「やかましいんだよ!お前は私の上官か!?」

ポゥ「!・・・・来たな、ヒゲめ!!」

アムロ「カカシが一機と・・・・・あのちっこいのは何だ?アルマジロのようにも見える・・・・」

ポゥ「いいか、予定通りやる。私がやつを引き付けておくから、ウァッドで包囲、捕獲しろ!」

部下達「了解!」

アムロ「散開した・・・!カカシは囮か・・・」

ウォドムの砲門が火を噴いた。が、ビーム砲は損傷により使用不可能である。

アムロ「その程度の腕でッ!」

アムロはミサイルを悠然とかわしつつ、ハンマーを投擲する。
ロケットモーターによりその破壊力を増した鉄球がウォドムを打った。
ウォドムの装甲が拉げ、モノアイが砕け散った。

ポゥ「鉄球だと!?こんな武器を隠し持っていたのか!ナノスキンが・・・!」

すかさずウァッドがホワイトドールを包囲するが、アムロの前ではこの小型MS、サッカーボールよろしく足先で転がされるのが関の山であった。

ポゥ「ええい、またしても・・・!」

フィル『ポゥ少尉!』

ポゥ「フィル大尉からの通信・・・!?」

フィル『ポゥ少尉!いかなる交戦も許可されていないのだぞ!戻れ!』

ポゥ「ヒゲのMSを捕らえれば、交渉も有利に進むと考えて──」

フィル『貴様は私の上官ではない!口答えをするな!!』

ポゥ「・・・・・!了解・・・・・!」

ポゥ「またしてもッ・・・・・またしても私は・・・・・ッ!ウウウウ・・・・」

アムロ「行ったか・・・・・・」

その後、各地の小競り合いは沈静化し、ボストニア城で交渉が執り行われる事になった。

グエン「──確かに、あなた方の科学技術力が我々を凌いでいることは認めましょう。
    しかし、我が方の機械人形の威力も、十分ご存知のはずだ」

カロッゾ「・・・・・・グエン卿、我々は戦争をやりに降りてきたのではないのです。
     本作戦が我々ムーンレィスの二千年ぶりの帰郷であることはすでに申し上げましたぞ」

グエン「それはあなた方の都合だ!」

カロッゾ「我々はあなた方への配慮を怠ったつもりはない・・・・!二年もの交渉期間、空費したのは誰だ!」

グエン「その二年なのです!
    月の整備された体制の中で、二年という年月が如何ほど長く感じられたかは存じません
    ──しかし、産業革命さえ興っていない地球での二年など、
    弾指の間のごとき短さであることを理解して頂きたい!」

カロッゾ「時間の長短は問題ではない!!我々は──」

ヤーニ「カロッゾ・ロナ!覚悟ォ!」ジャキッ

「!!!!」

カロッゾ(う、撃たれる!!!)ササッ

ドンッ、ドンッ・・・・・・!

フィル「・・・・っぐぁ・・・・・・ッ」

グエン「ヤーニ軍曹!?やめろ!交渉は──」

ヤーニ「御曹司!ミハエル大佐には、妻も子もいたんです!!大佐だけじゃねえ!
    殺された同胞たちの恨み、ここで晴らさせてくだせぇ!」

ドンッ!

ヤーニ「・・・がぁ・・っは・・・・・・」

カロッゾ(危機は去ったか・・・?)こそこそ

カロッゾ「・・・・・・このような事態、残念です、グエン・ラインフォード。とりあえずの休戦です、しかし!
     フィル大尉の命の代償、蛮人ひとりの血で贖ったものと思われるな!」

グエン「く・・・・ッ!ディアナカウンターの面々をお見送りしろ!」

キエル「・・・・・・戦争、でございますか・・・?」

グエン「・・・・・・本気でやれるとは思っていない。私は負け戦をする気はないのでね」


─ディアナカウンター旗艦ソレイユ

ディアナ「・・・・・・そうですか・・・・。フィル大尉が・・・・。これ以上の諍いは双方にとって無益です。
     ロナ少将には今まで以上に上手く立ち回ってもらわねばなりませんね・・・・」

ロナ『かほどの気苦労、微々たるものでございます』

ディアナ「ワタクシも急ぎ降り立ちます。よしなに」

ハマーン「カロッゾ・ロナ・・・・。
     慎重派と申しましても、あの臆病者の老人にこの不測の事態を捌くだけの能力がありましょうか?
     やはりディアナカウンター指揮官には、我が側近の──」

ディアナ「臆病者・・・・・?」

ディアナ「長らく絶縁状態にあった妻子と和解するため、神経症を乗り越え、
     自ら仮面を脱ぎ捨て世間にその素顔を晒したカロッゾを、臆病者と申すか!ハマーン!!」

ハマーン「!」

ハマーン「失礼致しました・・・・・。私心をこのような場で。
     しかし陛下、今申したこと、私めの嘘偽りなき本心であります故、なにとぞご再考のほどを・・・・」

ディアナ「ハマーンは下がってよい。ハリー中尉をここへ」

地上では緊張が続いていた。一触即発のディアナカウンターとミリシャは、カロッゾとグエンの尽力で何とか抑えられている状態にあった。

領主「月から来たなどと、信用できるものか!我々をたばかるつもりなのだ、きゃつらは!」

グエン「あの技術力を前にすれば、信じるしかないでしょう!お気をお鎮め下さい!」

軍人「交渉が決裂したのなら、武力行使あるのみですぞ御曹司!」

グエン「交渉を止めるつもりはない!落ち着きたまえ!」

グエン「・・・・・はぁ」

キエル「心労が絶えませんわね。お紅茶をお持ちしました」

グエン「すまないな。お父上があのような目に合ってしまったというのに」

キエル「いえ、グエン様のお力になることを、父はきっと喜ぶと思いますので・・・・・・」


─マウンテンサイクル

ソシエ「このボールみたいなのが機械人形なの?」

ロウ「ああ、カプルってんだ」

ソシエ「カプル・・・・・」

メシェー「これ、あたしとソシエに乗らせてよ。ソシエ、これに乗ってお父さんの仇、とろう!」

ソシエ「・・・・うん!」

メシェー「あれ、そっちの機械人形は・・・・?」

ジュド「これはまだ動かせん。なにやら複雑な機構のようでな・・・」

ソシエ「オレンジの犬?狼かな?」

ジュド「ドーベルマンと名付けたんじゃが、どうだい」

メシェー「かっこいいじゃん!」

ガロード「ガロード・ライフルに、ガロード・バズーカ、ガロード・シールドと、それと・・・・」

アムロ「ミサイルもこんなに・・・・・胸部のサイロに積めそうだな」

セレーネ「地下施設はいくつかの階層に分かれていたの。ここにあるのは第三階層まで掘り起こした分よ」

アムロ「優秀なんだな」

ガロード「おっと、ガロード・サーベルを忘れてたぜ!」

アムロ「しかし・・・・この機体のポテンシャルは未知数だな」

セレーネ「この子はきっとまだ秘密を隠してる・・・・。
     それでも、敵の侵略を食い止められはしないでしょうね」

ガロード「敵さん、月から来たんだってな!月かぁ、俺も行ってみてぇなー!」

セレーネ「月だなんて・・・・。信じられて?」

アムロ「!!」キィィィィン

アムロ(この感覚・・・・・・・・!・・・・・まさか・・・・!!)



ロラン「ユニバース!!これが地球・・・・・。すごい・・・・・。映画で見たのよりずっと綺麗だ!」

マリィええ、本当に。それにどこか懐かしくも感じる・・・・・。来るのは初めてなのに」

イザーク「しっかし、地球の重力がここまで重苦しいとはな。よくもこんな地に住もうなどと!」

ロラン「そう?僕は割りと好きだな、この感覚」

マリィ「でもこの心地よさは人にとって枷となりはしないかしら・・・・?」

イザーク「・・・・おい、あれは何だ!?戦闘の光じゃないか?!」

女王ディアナが座乗するソレイユ率いる最終帰還部隊が、予定を早めて降下を始めた。
これに怯えたミリシャが降下地点の防衛部隊に向け砲撃を始め、再び戦端が開かれてしまったのだ。

ゴメス「よーし、ドカドカ撃ちこめー!宇宙人の横暴を許すな!」

メシェー「カプル隊は前へ!牽制をかけるよ!」

ソシエ「ムーンレィスがぁ!!」

戦場は瞬く間に硝煙に包まれた。
ミリシャは奪取したウァッドまで持ち出し、まさに総力をあげて襲撃をかけたのである。

ポゥ「なんだあの玉っころは!?ディアナ様の帰還を邪魔するのか!!」

ソシエ「お父さまの仇ィィ!!」

メシェーたちのカプルのミサイルと、ゴメス率いる車輌部隊の砲弾を追い風に、ソシエのカプルが猛然と攻めかかった。
対するDカウンターのMSは、発砲を許可されていないため、防戦一方である。

ポゥ「玉っころが・・・!調子に乗るんじゃないッ!!」

ポゥのウォドムのマニピュレータがカプルを掴みあげる。

ソシエ「うわああ!放せ!放しなさいよ!」

がむしゃらに腕を振り回すカプルに堪らず、ポゥが機関砲を撃ち込んだ。
これが引き金になり、Dカウンターが攻撃に転じる。戦場の混乱が、一層深まるかと思われたその時──

アムロ「みんなやめろ!ボストニア城ではグエン殿が交渉を再開したんだぞ!」

メシェー「ホワイトドールが!」

ゴメス「アムロ!遅かったなぁ!」

アムロ「ゴメス大尉か!部隊を引き上げろ!取り返しがつかなくなる!」

アムロのホワイトドールがビームサーベルを引き抜き、カプルを甚振るウォドムのマニピュレータを切断した。

ポゥ「ヒゲめぇ!武装が充実している!?マウンテンサイクルを掘り返して・・・・・・!」

アムロ「ソシエ、無事か!」

ソシエ「アムロ・・・?」

アムロ「兵隊のまね事なんてよせ!お嬢さんが戦っているのを知ったらお父様が悲しむぞ!」

ソシエ「なによアムロだって、勝手に執事をやめて兵士になってるじゃない!」

アムロ「それもそうだが、なにもお嬢さんまで戦うことはない!」

アムロ「!」

そこに一機の白いMSが降り立った。丸腰である。

ソシエ「何あれ・・・・!月にもホワイトドールがあるの!?」

ロラン「戦いを止めてください!ディアナ様が帰還なされます!」

ポゥ「あれは親衛隊のロランのホワイト・スモー!」

ロラン「ホワイトドールのパイロット、聞こえますか。ここはどうか、剣をお納め下さい」

その気品ある物腰に、アムロは警戒を解いた。
その声はミリシャやDカウンターの面々の、心のわだかまりさえも溶かすかに思われた。

そして、ミリシャの兵や交渉に訪れた諸領主の前に女王ディアナがその姿を現した。

ソシエ「お姉・・・・さま・・・・?!」

キエル「わたくし・・・・?!」

グエン「瓜二つではないか・・・・!」

ディアナの容姿に驚愕する面々の隣で、アムロの意識はまったく別の人物へと向けられていた。

アムロ(シャア・・・・・!!!)

シャア(アムロ・・・・・!遅かったな・・・・!!)

交渉は再開された。しかし水面下では、ミリシャによるロストマウンテン発掘、軍備の増強が行われ、Dカウンター内でも再び主戦論が巻き起こり始めていた。
この状況に際し、ディアナが提言した打開策とは・・・・・・。


─グエン邸

アムロ「親睦パーティ?」

グエン「そうだ。ディアナ・ソレルはこの争いの平和的解決を望んでいらっしゃる」

ソシエ「仲良くする振りして暗殺、なんてことないわよね?」

グエン「無論、その可能性も考えたが・・・・。しかしその危険はあちらにとっても同じこと。
勇気ある提案には、勇気をもって応えねばなるまい」

キエル「あちらの重役たちもそろって参加することからも、その本気度がうかがえます」

グエン「アムロにも、ヒゲの機械人形のパイロットとして出席してもらいたいのだが・・・・」

アムロ「自分もでありますか・・・・」

グエン「しかしアムロのビジュアルではいささか話題性に欠けるとは思わんかね。
    もっとこう、センセーショナルな刺激と言うものをだな・・・・」

キエル「うーん、確かにそうかもしれませんね・・・・・」

ソシエ「・・・・そうだ!」

ソシエ「アムロが女装してみるっていうのはどうかしら!」

アムロ「えっ」



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 22:38:30.37 ID:ZmkoUZ5U0
えっ


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 22:38:39.98 ID:JqgkBwAf0
えっ


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 22:41:10.66 ID:sc05qCOd0

ソシエ「あのホワイトドールのパイロットが女の子だなんて、なかなか刺激的じゃない?」

キエル「確かに刺激的だけれど・・・・・それは」

グエン「・・・・・・・・・・・・」

グエン「・・・・パ、パーティへの参加はしめやかに行う方向でいこう。信用を得ることが何よりも肝心だ」

キエル「そ、そうですわね!下手な小細工など、無用の長物でございましょう」

ソシエ「何この空気・・・・!?ただのかわいいジョークじゃない・・・」

アムロ「・・・・・俺の女装姿を想像した後でも、同じことが言えるのかい?」

ソシエ「・・・・・・・え?」

ソシエ「・・・・・・・・・・・・・」


─パーティ当日

マリィ「ほらロラン、貴婦人修行を思い出して!」

ロラン「で、でも・・・・・恥ずかし・・・・」

ハリー「・・・・・!ロランか・・・・・!?」

ロラン「ローラです・・・・」

ハリー「ほぉ・・・・・・・」さわさわ

ローラ「きゃっ・・・・どこさわって・・・・」

ハリー「ふむ・・・・・・中々どうして・・・・・」もみもみ

ローラ「や、やめてっ・・・・」ぺしィッ!

ハリー「はっは、なかなか板に付いているじゃないか。・・・・素質があるのかもしれんな」

ローラ「そっ、そんなこと・・・・」

マリィ「・・・・・こほん。・・・では、参りましょう」

そんなこんなで、パーティは始まったのだが・・・・・

グエン「パーティといっても、月は月、地球は地球同士で盛り上がっていてはな・・・・・」

アムロ「・・・・・こうなることは予想されていましたが」

ハリー「どなたか私と一曲、どうでしょう」

ソシエ「うわぁ・・・・・何あのセンス・・・・」

キエル「わたくしでよろしければ」

ハリー「これは麗しきご婦人・・・・」

ハリー(やはり似ている・・・・・・。クローンというわけではあるまいな・・・・・)

キエル「キエル・ハイムでございます」

ハリー「・・・・ほぅ、ハイム家の・・・・・・・私は親衛隊隊長の・・・・・・」

キエル「・・・・・・・・まぁ・・・・・・・・・・・・あら・・・・・・・・」

アムロ「空気が和んだ・・・・・。あの男、服の趣味は悪いが要領は良いな」

グエン「ではアムロ、女王陛下の元へ参ろうか」



グエン「陛下、こちらがホワイトドールのパイロット」

アムロ「アムロ・レイでございます」

ディアナ「ディアナ・ソレルであります」

ディアナ「こちらは執政のハマーン・カーンと、その側近のシャア・アズナブル大佐、
     そして親衛隊のローラ・ローラ少尉」

シャア「・・・・・・・・・」

アムロ「・・・・・・・・・」

ローラ(・・・・・・・・?)

ディアナ「アムロ殿は素晴らしいパイロットであると聞き知っています。
     宜しければ我が方のパイロットのローラと、一曲踊って頂けないでしょうか?」

アムロ「ええ、よろこんで」

ローラ「あのホワイトドールからは、なにか神聖ささえも感じられますわ」

アムロ「ただの兵器です。ホワイトドールだけが特別なわけではありませんよ」

ローラ「ミリシャは次々とMSを発掘しているそうですわね」

ローラ(ターンAの秘密を知らないこの人に、このまま使わせていいのか・・・・?)

アムロ「抑止力ですよ。我々は戦争をしたいのではありません」

ローラ「思いが同じで安心致しました」



ハマーン「・・・・茶番だな」

シャア「・・・・しかし、必要な茶番だ」

シャア「・・・一曲どうだハマーン?」

ハマーン「・・・貴様本気で言っているのか」

シャア「冗談さ」



ディアナ「・・・・どうです?」

ローラ「アムロ・レイは危険な人物ではないと思いますが・・・・。月光蝶の偶発的な解放は心配です」

ディアナ「・・・ではあの計画を・・・・。くれぐれも内密に」

ローラ「・・・・・・はい」

ディアナ「よしなに・・・・・・」

ハマーン(ディアナめ・・・・・こそこそと動きおって。ハリー・オードの入れ知恵か・・・・・?)



アムロ「シャア・・・・・なぜ貴様が・・・!」

シャア「私の意志が、貴様をこの世界へ引き寄せたと思いたくは無いがな」

アムロ「そもそもこの世界はなんだ!?二年前、アクシズで何が起こったんだ・・・・!?」

シャア「そんな疑問、私は千五百年も前に捨てたよ」

アムロ「・・・・・・・何だと・・・!?」

シャア「月の技術ならば可能さ。今も百万の民が冷凍睡眠の中にいる」

シャア「私はこの世界を生きることに決めたのだよ、アムロ」

アムロ「まだ何か企んでいるのか!」

シャア「安心しろ。地球に対して月落としを仕掛けたりはしないさ」

アムロ「冗談!」

シャア「では、先に失礼させてもらう。・・・・ハマーンが待っているのでな」
 
アムロ(あのハマーン・カーンとシャアが組んで何も企んでいないハズはない・・・・・・。
    一体何を・・・・・?)

交渉は滞っていた。サンベルト一帯の提供というムーンレィスの要求を、地球の領主たちは受け入れない。
狭い仮入植地に押し込められた帰還民たちは困窮し、亡命が相次いだ。

その頃、アルマイヤーのブリッジではカロッゾ・ロナが締め上げるような胃の痛みと必死で闘っていた。

ハマーン「このザマは何だ?貴様の交渉術の至らなさが、このような事態を招いているのだぞ」

カロッゾ「・・・・・うぬぅ・・・・しかし、わしとて──」

ハマーン「言い訳はいい!!これ以上の貴重な人材の流出は避けねばならん。だいたい貴様は・・・・・・」

カロッゾ「・・・・・ええい・・・・胃がキリキリと言うておる・・・・・。
     ハマーンなど月へ帰ってしまえ・・・・・・!」

ハマーン「・・・・・・・何か言ったか」

カロッゾ「・・・何でもない!通信終わり!」ブツッン・・・・

そのころ、地上の視察のため、ディアナ・ソレルがグエン・ラインフォードの飛行船に招かれていた。

ソシエ「あーあ、ムーンレィスの女王がお姉さまにそっくりだなんて・・・なんだか気後れしちゃった」

アムロ「これを機にパイロットを降りてみるのはどうです、お嬢さん」

ソシエ「そんなことするわけないでしょ!いつからそんな生意気な口を利くようになったのよ!」

キエル「まぁ、相変わらず二人は仲がいいわね」

アムロ「どちらに?」

キエル「ワタクシですか?ディアナ様とお茶をしていました」

アムロ(・・・・・?なにか・・・・)

ハリー「ディアナ様、そろそろソレイユに戻らなくては」

ディアナ「はい。ではグエン殿、わたくし共はここで」

グエン「この視察が交渉に良い結果をもたらすこと、期待しておりますよ」

ディアナ「ええ。では参りましょう、ハリー」

ハリー「・・・・・・・」

ディアナ「ハリー中尉・・・・・?」

ハリー「・・・・失礼。先ほど、ハマーン執政官から通信がありまして、
    アルマイヤーのカロッゾ少将との連絡が途絶えたとのことです」

ディアナ「・・・・・・・?」

程無くして、カロッゾが部隊を率い、ボストニア城を急襲した。ディアナ、グエン不在の中での変事であった。
駐在していたミリシャはその圧倒的な兵力の前にことごとく敗走し──ノックスは陥落した。

男性「ノックスは落ちたんだ・・・・!早く逃げなきゃ、クリス!」

女性「そんな・・・・・バーニィ・・・・私たちの街が・・・・・」

男性「しっかりするんだ!家ならまた建てればいい!でも、死んじゃったら何にもならないんだぞ!」

グエン「一体なぜ!?交渉は?!今までの努力を、無駄にするつもりか、ディアナ・ソレル!!」

壊滅したノックスの街で、凋落したグエンの叫びが空しく響くのであった。


─ソレイユ

ディアナ「ロナ少将との連絡はまだとれないのですか!」

ハマーン「既にシャアを偵察に向かわせておりますが・・・・・・」

ディアナ「ハマーンがいながら、この失態は何か!!」

ハマーン「申し訳ございません。しかしヒステリーを起こした男の心中など、容易には察せませなんだ」

ディアナ「・・・・・ともかく、事態の収拾を急ぎなさい」

ハマーン「は」

ハマーン(いきがるなよ、小娘が・・・・!)

その頃、敗走したイングレッサ・ミリシャは、カロッゾ・ロナの執拗な追撃を受けていた。

メシェー「ソシエ!十一時の方向からカカシが二機!!」

ソシエ「まだ来るの・・・!?もう戦う気力なんて・・・」

ゴメス「ええい!カロッゾがこうもねちっこい男だとは!アムロのヒゲをもっと前に出せ!!
    ガロードとロウも出撃しろ!!」

ガロード「ドーベルマンはまだ動かせないっての!」

ゴメス「アルマジロがあるだろ!!」

ロウ「武器がねぇよ!!」

ゴメス「なら体当たりでもすればいい!!」

アムロのホワイトドールは四機のウォドムと十機近いウァッドに足を止められていた。

ポゥ「これだけの戦力差がありながら・・・なぜ墜ちないッ!ヒゲェ!!」

アムロ「カカシの装甲は自己修復機能を備えているのか・・・!?・・・・ならば!!」

アムロはビームライフルの出力を絞り、矢継ぎ早に撃ちつつ一機のウォドムに接近、すかさず二本のサーベルで両断する。

ポゥ「速い──」

ポゥのビーム砲がようやくホワイトドールをとらえた。
シールドに阻まれ機体には届かったが、その一撃は再びアムロの足を止めた。

アムロ「・・・チィッ!」

ガロード「アムロ!メシェーが!!」

アムロ「!」

激しく損傷したメシェーのカプルがガロードとロゥのウァッドに抱えられていた。
ミサイルの直撃を受けたのだ。

ソシエ「ホワイトドールは何をやっているのよ!アムロ!!」

アムロ「くそ!!」

その時、後方から迫るMS部隊があった。

ギャバン「俺の大事な花嫁は無事なのか!?」

ソシエ「ギャバンなの!?」

ゴメス「ルジャーナの援軍か!!」

アムロ「スエサイド部隊・・・・!」

ポゥ「・・・撤退でありますか!?しかしあの程度の援軍――」

カロッゾ『引き際を見誤り、いらぬ損害を被るわけにはいかんのだ!たわけ!』

ポゥ「了解!」

ポゥ(少将殿、お人柄が変わっても、逃げ足の速さだけは変わっていない・・・・)

イングレッサ・ミリシャの残兵は、リリ・ボルジャーノが治めるルジャーナ領のミリシャとの合流を果たした。

メシェー「戦線離脱だってさ、情けないよね」

ソシエ「そんなことない、メシェーはよくやったわよ」

メシェー「・・・・・ありがとう。あたし、すぐに帰ってくるよ!絶対!」

アムロ「・・・・・止めないのかい」

ラダラム「父親としちゃあ、そうしてぇが・・・・・あいつも根っからの飛行機乗りだからなァ・・・・
     止めても帰ってくるだろうなァ・・・・」

メシェー「ソシエを頼んだよ、ギャバン」

ギャバン「おうよ!お前はしっかりケガ治してこい!」

アムロ「すまなかったなギャバン。俺が不甲斐ないばかりに・・・・」

ギャバン「いいんだよ、あんたには借りがあるからな」

アムロ「・・・・・ああ、去年のパーティでソシエとの仲を取り持ったことか」

ギャバン「そっちじゃない、半年前の軍事訓練で俺の戦闘機を派手に撃ち落としてくれた方だ!!」

アムロ「そっちだったか・・・・・」

ロウ「おい!グエンさんが帰ってきたってよ!お客さんもいるみてぇだ!」

グエン・ラインフォードはルジャーナ・ミリシャのマリガン中佐に保護され、辛くも逃げ延びた。

ジュド「む?見知らぬMSを連れておるな・・・」

グエン「みんなすまない。迷惑をかけたな」

キエル「すっかりおやつれになって・・・・」

リリ「でも、そんなグエン様もワイルドで素敵ですわ」

セレーネ「そのMSは・・・・?ルジャーナが掘り出したものかしら?」

ロラン「これはフラットっていう、ムーンレィスのMSです」

ギャバン「なんだと!貴様はムーンレィスなのか!?ソシエの父上をやったのか!?」

マリガン「落ち着きたまえギャバン君!・・・・これには事情があるのだ」

グエン「彼らは帰還地からの脱走者だ。詳しくは彼の口から話してもらおう。・・・クワトロさん」

クワトロ「始めまして皆さん。私はクワトロ・バジーナ。こっちは甥のロラン・セアック」

ロラン「始めまして」

アムロ(・・・・シャアめ・・・・!)

キエル(・・・・・・・・大佐がなぜ・・・・・!?)

クワトロ「私たちは二年前、地球の環境調査のため月から降りてきたのです。このフラットを使って」

ロラン「調査員は、調査が終わったら地球に定住することを許されているんですが・・・・
    ハマーン執政官は人員不足を理由に、僕らを帰還地に召集して・・・・・・」

ガロード「なるほどねぇ・・・・・そのハマーンとか言うおばさん、アレだな、みんなから嫌われるタイプだな」

ギャバン「・・・・スパイなんてことないだろうなァ?」

ロラン「・・・・・・・」

グエン「やめたまえ、ギャバン・グーニー。
    彼らはこの二機のMSと月の技術を提供するとまで言ってくれているのだ」

ジュド「それはありがたい!さっそく見てもらいたいMSがあるんじゃが・・・・・」

アムロ(・・・・・ハマーンの差し金か・・・?)

クワトロ(・・・・・貴様に答える義理はないな)

ソシエ「内緒話してる・・・・・知り合いかしら・・・・?」



ロウ「・・・・・つまり、ディアナの地上視察は罠だったんじゃないかって思うんだよ」

ソシエ「その隙に、ノックスをやったのね・・・!」

グエン「出来れば信じたくないがな・・・・・」

キエル「そのような・・・・・!・・・・ディアナ様がそのような策謀をめぐらすことはしないでしょう」

ソシエ「お姉さま、敵の肩を持つの!?」

アムロ「しかしカロッゾ・ロナの今までの交渉ぶりから考えると、
    確かに今回の突然の侵攻には違和感を感じるな」

キエル「ワタクシもそう感じます。何者かがディアナ様の不在に付け入って、
    あのような暴挙をはたらいたに違いありません!」

ソシエ「お姉さま!アムロまで!」

ガロード「ま、考えてもしゃーないことを考えてもしゃーないんじゃない?」

ロウ「それもそうだな」

アムロ(シャアなら何か知っているのか・・・・?)



ロラン「驚きました。まさかシャア大佐と鉢合わせるなんて・・・・・」

シャア「私も驚いたよ」

ロラン「大佐は誰からの指示で潜入を?・・・・・ハマーン執政官ですか?」

シャア「いや、女王陛下直々の密命を受けた。ハマーンは介していない」

ロラン(え・・・・・?)

シャア「君はハリー中尉の命令だろう?」

ロラン「・・・・・え、ええ、そうです。ターンタイプの調査のためにと・・・・」

シャア「私も同じさ」

ロラン「そうでしたか・・・・・」

シャア(フッ、甘いな、ロランの坊やは。
    それにしても、あのディアナ・ソレルが知恵を付けたというのは本当だったのか・・・)

ロラン(どういうことだ・・・?大佐もディアナ様の・・・・?でも大佐はハマーン執政官の側近のはず・・・)

ソシエ「こんな所にいたのね!」

アムロ「お嬢さん落ち着くんだ・・・・!」

ロラン「!!・・・・え、えっと、確かソシエ・ハイムさんと、アムロ・レイさん」

ソシエ「ロラン・セアック・・・・・」

ロラン「はい?」

パンッ!

アムロ・クワトロ「!?」

ロラン「え・・・・・えええ・・・・・!?な、何で僕がぶたれないといけないんですかぁ!?」

ソシエ「知らないわよ!でも、なぜだか・・・・・あなたをぶたなきゃいけない気がしたの!!」

ロラン「言いがかりですよ!」

クワトロ「ソシエ・ハイムとは、生命力に溢れる女性なのだな。貴様の主人だろう?」

アムロ「ソシエお嬢さんの平手は痛いのさ」

そのころDカウンターは、カロッゾの追撃・混乱の鎮圧に追われていた。
主戦派の将校たちは続々とカロッゾの傘下に入り、その勢力はもはや見過ごせない規模になっていた。

ソレイユでは、偵察から戻ったハリー・オードが報告を始めていた。

ハリー「性格が一変したカロッゾ少将は、一部の帰還民を使ってマウンテンサイクルを掘り返し、
    戦力のさらなる増強を図っている模様です」

ディアナ「まずいですね・・・・シャア大佐との連絡も途絶え・・・・・。
     少将の身に何が起きたのでしょうか?」

ハリー「問い詰めましたところ、
    あくまでディアナ様への忠誠心から起こした行動であるとのことですが・・・・・
    あまりに不自然な点が多い」

ハマーン「陛下の交渉、交渉の一点張りの姿勢では、兵の不満も溜まりましょうなぁ・・・・」

ディアナ「ハマーンは戦争をしたいと申すのか?」

ハマーン「そのような・・・・・」

ディアナ「少しよいか、ハリー中尉と二人で話したい」

ハマーン「・・・・は」



ディアナ「・・・・・どうしましょう、わたくし、わたくし・・・・」

ハリー「・・・・・お気を確かにお持ち下さい。ハマーンに弱みを見せてはなりません」

ディアナ「ハリー・・・・・・わたくしは本当は──」

ハリー「もう何も申されるな。・・・・・・何かあれば私にお頼り下さい」

ディアナ「・・・・ハリー殿・・・・・いつから気づいていたのです?」

ハリー「地上視察の時からです。においと気配で感づきました」

キエル「わたくしたち、ほんの小さな出来心から・・・こんなこと──!・・・・んっ・・・・」

ハリー「・・・・小うるさい唇の黙らせ方です」

キエル「・・・・・・ハリー・・・・・」

ハリー(さて、どうしたものかな)


─アルマイヤー

カロッゾ「戦力は揃ったな・・・・・。ハリーが動き出す前に、ミリシャの敗残兵どもを叩き潰す!!
     月からの増援も来る予定だ」

ポゥ(増援・・・・?まさかあの女ではないだろうな)

カロッゾ部隊による再追撃が始まった。
ミリシャは二人のムーンレィスの助けもあり、万全の体勢でこれを迎え撃つ。

ゴメス「いいか、俺たちはこのギャロップを軸に戦線を張り、
    ゆっくりと後退しつつ敵をキングスレーの谷まで誘い込み、
    スエサイド部隊による爆撃で一網打尽にする!わかったな!」

ソシエ「私たちは囮ってことじゃない」

ゴメス「何か言ったか!」

ソシエ「何にも!」

ロラン「来ますッ!」

アムロ「まずは俺とロウのドーベルマンで仕掛ける!」

クワトロ「私とロランとソシエ嬢は後方から援護だ」

ソシエ「金ぴかのクワトロさんが仕切らないでよ!!」

ポゥ「ムットゥー隊は上空から援護だ!増援などには期待せず私たちだけで仕留めるぞ!!」

ポゥのウォドムが先制した。超長距離ビーム砲を搭載した強化型である。
極太のビームが大地を抉り、谷を揺らす。

ギャバン「なんだこの振動は!アムロ!ソシエは無事なんだろーなぁ!!」

ロウ「こりゃあとんでもねぇ!けど機動性でこのドーベルマンに勝てるわきゃねぇぜ!」

ロウが躍り出た。ドーベルマンのキャタピラが唸り声をあげる。
背部ミサイルポッドから一斉にミサイルが発射される。

ポゥ「なんだこの犬っころは!そんな拾い物で何が出来るッ!」

ロウの進撃を三機のウォドムと複数のウァッドたちが阻んだ。

ロウ「こりゃ骨が折れる・・・・ソシエ!ミサイルが切れた!ドーベルマンに乗っかれ!」

ソシエ「わたしを砲台代わりにする気!?」

ロウ「足の遅いカプルじゃメシェーの二の舞だってんだ!!」

ポゥ「玉っころが、犬っころに乗っかって・・・・・遊んでいるのかこいつらッ!?」

そのころアムロは、上空からビームライフルを乱射するムットゥーをあしらいながら、強化型ウォドムを真っ直ぐに目指していた。

アムロ(パワーをチャージしている間につぶせば・・・・)

ポゥ「ふふっ、甘いんだよヒゲェ!!」

アムロ「速い!?・・・・ホバークラフトだと!?」

ポゥ「ほらほら!捕捉してみろヒゲめ!出来るものなら──ッぐぅ──こ、こいつ、ほんとに当ててきたぞ!?」

アムロは胸部のマルチパーパスサイロに装填されたミサイルで巧みに撹乱しながら、ビームライフルを正確に命中させる。この程度、造作も無かった。

アムロ「ビームコーティングされている・・・・なら!」

アムロはライフルでは有効打を与えられないと気づくと、すかさずホワイトドールの尻部にマウントされているバズーカに持ち替え、撃ちかける。

ポゥ「くそっ・・・!おい、ムットゥーは何をやっている!?」

ムットゥーが激しく攻めかける。アムロはその全てを受け流す。

アムロ「ウサギがうるさいッ!」

ポゥ「ヒゲよ沈めェッ!!」

長距離ビームの第二射の轟音が谷に響き渡った。アムロは驚異的な反射速度でこれをかわす。

アムロ「当たるか!」

ポゥ「この距離で外すのか!?」

クワトロ「アムロ!前に出すぎるな!まだターンAのIフィールドは使えん!!」

アムロ「わかってるよ!・・・・・ターンAだと・・!?」

ロラン「ギャロップが後退します!」

ポゥ「敵が後退するぞ!一機に畳み掛けろ!」

勢い込むDカウンター勢に、クワトロの黄金色のフラットとロランのフラットが銃弾を浴びせかける。

ポゥ「金色のMS!?ハリー中尉じゃないのか!?・・・・
   フラットのソニック・シールドとは、やっかいな・・・・!」

ギャロップによる援護射撃も加わり、Dカウンター側の苦戦が目立ち始めた。

ポゥ「月からの増援はッ!?何をしているんだよ!!」



カロッゾ「・・・・ポゥめ、勇み足を踏みおって・・・!本艦も援護に向かう!」

仕官「少将!援軍が到着しました!」

カロッゾ「来たか!」

ギャバン「おい、本当に大丈夫なんだろうな・・・!ラカン!様子を見て来い!」

ラカン「了解!・・・・・むっ?」

ギャバン「どうした!?」

ラカン「空から・・・・飛行船が!こっちに落ちてきます!」

ギャバン「何ィ!?」

ポゥ「・・・・あんなしょぼい輸送船が増援だと!?舐めるんじゃないよ!!」

「しょぼいとはご挨拶だな、泣き虫ポゥ・エイジ少尉殿」

ポゥ「・・・・・・その声・・・・・やっぱり貴様かッ・・・・・・!モニク・キャディラック!!」

モニク「モニク・キャディラック特務大尉殿だろう?無礼者!──マイ技術中尉!MSを全機発進させろ!!」

オリヴァー「パイロットたち、準備は──」

オリヴァー「あれいない?」

オルガ「おらおらおらおらァ!!ぶちかますぜェ!!!」

クロト「うりゃああああああ!まとめて滅殺!!!!」

シャニ「きっもちいいいいいいいいい!!!!」

オリヴァー「うわぁ!何だこいつら!」

モニク「これまた奇怪な奴らをよこしてきたものだ・・・・あの青臭い少佐殿も・・・・」

ムーンレィスの試験パイロットが操る三機のMS・イルフートが、スエサイド部隊のボルジャーノンに襲いかかった。

オルガ「おい、敵はどれだよ!!」

クロト「しらねぇよ!!」

シャニ「どれでもいいじゃん」

ギャバン「おい!敵の増援が来るなんて聞いてないぞ!!」

潜んでいたボルジャーノンたちが一斉に姿を現し、空の急襲者たちに攻撃を仕掛ける。

クロト「なんかいっぱい出てきた!」

シャニ「何アレ・・・だっさ・・・」

オルガ「まずは緑のドンくさいのをぶっ潰す!!」

ギャバン「撃ち落とせぇぇ!」

キングスレーの谷が銃撃音に包まれた。

ソシエ「アムロ!ギャバンたちが!!」

クワトロ「これでは作戦にならんな・・・・・」

ロラン「どうするんです!?」

ロウ「戦艦まで出てきたぞ、おい!!」

アムロ「俺はギャバンの救援に行く!シャアはあのカカシを!!三人はMSを頼む!!」

ソシエ「シャアって誰!!?」

ロウ「艦砲射撃がくる!!!」

ポゥ「伏兵・・・!?敵は緑のやつで奇襲をかけようとしていたのか!!
   ならば逆に谷に追い込み、一網打尽にしてやるッ!!」

ソシエ「ロウ、大変!カプルの弾も切れちゃった!」

ロウ「あんだとぉ!?──うわッ」

ドーベルマンのキャタピラを、一条のビームが捉えた。

ロウ「しまった!!」

ソシエ「ちょっと、何やってるのよ!」

足を潰され、地に伏すドーベルマン。ムットゥーのヒートサーベルが迫る。

ロラン「やらせるかぁー!」

フラットのソニック・ブレードがサーベルごとムットゥーを両断する。

ロラン「ここは僕に任せて、お二人は早く補給へ!」

ソシエ「ありがとう、ロラン!すぐに戻るから!」

カプルがドーベルマンを抱え上げ、どすどすと走って行った。

ロラン「撃ち漏らすわけにはいかない!」

ロランは精密な射撃で、ウァッドを、ムットゥーを撃ち落していく。

アムロがキングスレーの谷に駆けつけた時、スエサイド部隊は三機のMSに翻弄され、甚大な被害を受けていた。

ギャバン「アムロ!ボルジャーノンじゃ、まるで歯が立たん!」

アムロ「ギャバンもやられたのか!」

クロト「なんだあいつ!」

オルガ「ヒゲが生えてる!?」

シャニ「うわ・・・だっさ」

アムロ「こいつら・・・・武装が・・・・!」

三機が一斉にアムロに飛び掛った。
まずオルガのキャノン・イルフートが両肩のビーム砲を撃ちまくり、続いてクロトのソード・イルフートがヒートロッドとビームマシンガンで牽制、アムロの攻撃にはシャニのシールド・イルフートのIフィールドバリアで巧みに対応した。

アムロ「この連携、強化人間か!」

クロト「抹殺!!」

アムロはソード・イルフートのビームソードをシールドで受け、あえてアイドリング状態のサーベルで斬りつけ──
光刃が空を切り、クロトのイルフートが防御体勢を崩した瞬間、出力を上げた。
イルフートの頭部を最大出力の光刃が貫ぬく。

クロト「何なんだよこいつはァ!!」

オルガ「ぜんぜん墜ちやがらねぇ!」

ラカン「アムロ!援護するぞォ!」

三機のボルジャーノンが地上からバズーカを放つ。

シャニ「あ~・・・うざい!」

オルガ「ん?ビームの出力が・・・・パワー切れかよ!?」

モニク「マイ、試作機はどうだ?」

オリヴァー「今のところ、小破したクロト機以外の二機は何の問題もなく稼動していますけど、
      少々エネルギー消費が激しいですね」

モニク「・・・・それは機体の問題というというよりはパイロットの方の問題だろうな」

オリヴァー「・・・・僕もそう思います。・・・・あ、通信入ります」

ポゥ『おいモニク!あのうるさい三匹のハエどもを何とかしろ!!やり辛くてしょうがない!!』

モニク「・・・・そこで機転を利かせられないから貴様はいつまでたっても下っ端なんだよ」

ポゥ『なんだとッ!?自分の部下も躾けられないお前に言えたことか!』

モニク「躾けも何も、あいつらが月の研究機関から我が隊に配属されたのは昨日のことだ」

ポゥ『何!?正規兵では無いというのか!?』

モニク「ああ、その通り──」

モニク「!!!」

モニク「マイ!迎撃しろ!!」

ギャバン「母艦を落とせばァ!!」

ギャバンのボルジャーノンがヒートホークを輸送船に叩き込み、輸送船の機銃が唸りをあげたのは、ほぼ、同時だった。

ポゥ「何だ!?通信が切れた?!あの女がやられたのかッ!?」

クワトロ「こんな所で余所見とはな」

ポゥ「!!」

ポゥはすかさずミサイルと機関砲で応戦するも、クワトロには掠りもしない。

ポゥ「速い!!こいつ・・・ヒゲはついていないんだぞッ!?」

あっという間に距離を縮められ、ビーム砲を潰される。

ポゥ「このぉ!このぉおお!!」

クワトロ「一応自軍のMSなのでな。壊しはしないさ」

フラットのソニック・ブラストの低周波がポゥを襲った。

ポゥ「ぐぅッ!?──ごぼぉぉ!!」

撤退する強化型ウォドムのコックピット内では、かわいそうなポゥ少尉が吐しゃ物と涙に顔を濡らしていた。

ポゥ「うわぁぁあぁあぁっ!私はもう月に帰るぞ・・・・!帰るぞぉ!!」

両軍の被害は拡大の一途をたどっていた。ロランのフラットが補給に戻ると、敵がギャロップになだれかかる。
補給を終えたカプル、ドーベルマンが艦の護衛にあたるも、疲弊は隠せなかった。

ロウ「いつ終わるんだよこの戦いは!?」

ゴメス「御曹司はリリ様連れて逃げた方がいい!このギャロップももうもたん!」

グエン「指揮官の私が逃げるわけにはいかない!」

リリ「私も、グエン様と運命を共にしますわ」

その戦場に、数機のMSが駆けつけた。ハリー率いるディアナ親衛隊である。

ハリー「両軍とも、戦闘を中止しろ!」

シャニ「また変なのが来た」

キエル「ハリー中尉!」

ロラン(マリィとイザークたちもいる・・・・)

オルガ「趣味の悪いMSに乗りやがって!」

オルガのキャノン・イルフートが放ったビームを、ハリーのスモーのビームガンが撃ち落とした。
一気に距離を詰め、サーベルでキャノン・イルフートのビーム砲の砲身を真っ二つにする。

オルガ「なにぃ!?」

ハリーはオルガには目もくれず──

ハリー「アムロ・レイのターンAの力・・・見せてもらう!」

アムロ「──!」

アムロの反応より一瞬早くハリーは動いた。
スモーのヒートファンがホワイトドールの頭部を打ち、ヒゲが折れ、メインカメラが割れる。

アムロ「・・・・ハリー・オードか!やるなッ!!」

ソシエ「ホワイトドールがやられた!?」

アムロは倒れざまにビームサーベルを一閃、スモーの右腕を切断し、歴戦パイロットの意地を見せた。

ハリー「・・・不意打ちをかけたつもりだったのだがな」

アムロ「・・・・・・・」

ハリー「・・・・・・・」



カロッゾ「ハリー・オードが来たか・・・・全軍撤退せよ!これよりサンベルト制圧に向かう!!
     ・・・・いよいよ地球制圧も大詰めだ・・・・・ふふふ」

シャニ「もう終わり?」

クロト「逃げろってさ。あれ、輸送船ぶっ壊れてんじゃん」

オルガ「紫の亀の方に帰ればいいだろ!」

三人の試験パイロットを加えたカロッゾ率いるアルマイヤーの一軍が撤退していく。



グエン「・・・・・・それでは、ディアナ・ソレルには未だ交渉の意思がある、ということで良いのだな」

ハリー「ええ。カロッゾ少将の暴走は我々が総力をもって止めますので、ご安心を」

キエル「・・・・・・・」

ハリー(ディアナ様はご無事のようだ)

ハリー「ソレイユへ帰還する!」

その後、補給を終えたミリシャは、戦力の補充のため、近くのマウンテン・サイクルへ向かった。


─ギャロップ

ソシエ「怪我の具合はどう?りんご剥いてあげる!」

ギャバン「すまないな。それよりも──」

ソシエ「?」



ロラン「け、け、結婚式ですかぁ!?あのおしゃべりソシエさんが結婚!?」

ソシエ「なによ!あなたには関係ないでしょう!」

ロラン「そ、それはそうですけど・・・・」

ガロード「でも、今は止めといた方がいいぜ。
     なかなか発掘が進まなくて、ジュド爺さんやグエンさん、すっげーピリピリしてんだもん」

クワトロ「しかしギャバン、十五歳のソシエ嬢と結婚など・・・・いささか不純ではないか?」

アムロ「・・・・・・・・」

クワトロ「・・・・・アムロ、その目は何だ」

アムロ「いや・・・・・・」


─マウンテンサイクル

ジュド「ボルジャーノンは使えんのだからもっと要領よくやらんか!」

ロウ「ドリルがたんねーぞ!!クワトロさんも手伝って下さいよ!」

セレーネ「まずいわね。五日かけて収穫ゼロだなんて・・・・」

ロラン「アムロさん!ウァッド持って来ました!」

アムロ「ああ、すまない」

キエル「あの、もし、ロランさん」

ロラン「何です?キエルさん。すいません、今ちょっと手が離せないんです!」

キエル「今すぐでないと駄目なんです!」

ロラン「・・・・・・?はい、わかりました」

ラカン「こっちも掘れそうだ、ソシエの嬢ちゃん!」

ソシエ「今行く!」

ラカン「ん?」

オリヴァー「あ」

ラカン「!」


その頃サンベルトでは、カロッゾ・ロナ軍が侵攻作戦を決行していた。

カロッゾ「地上を這うナメクジどもを一掃せよ!
     ディアナ様が到着し建国宣言を行うまでに、この土地をクリーンにしておかねばならぬのだ!」

ロラン「・・・・・・・へ?」

キエル「ですから、ワタクシはディアナ・ソレルなのです」

ロラン「ご冗談はやめて下さい・・・」

ディアナ「ローラ!このワタクシの声がわからぬと申すのか?」

ロラン「・・・・・・ほ、本当なんですか・・・・?でも、なんでこんな所に!?」

ディアナ「後で説明いたします。それよりロラン、まずいことになって来ました」

ロウ「おい!二人ともこんな所にいたのかよ!」

ロラン「!」

ディアナ「ロウ、どうしました?」

ロウ「収穫があった!」

オリヴァー「いいんですか?特務大尉!」

モニク「いいんだよ!どうせ二人で掘り出せるようなものではない。ちょうど人手が足りなかった所だしな」

オリヴァー「ですけど!」

ソシエ「いつまで歩かせるつもりなのよ!」

ガロード「まさか罠じゃないだろーな!」

モニク「黙ってついて来い!ガキ!」

アムロ「・・・・・!あれは!?」

クワトロ「木馬か?!」

シャアとアムロにとってその宇宙船は、とりわけ馴染み深い物であった。

ソシエ「モクバ?」

モニク「私たちの船は壊れてしまったからな、お前のせいで」

ラカン「俺じゃない!隊長が──」

モニク「で、どこかに代わりの宇宙船が落ちてないかと三日三晩探したら、これがあったのだ」

オリヴァー「まあ、探したのは僕なんですけど・・・・」

ロウ「くじ運いいよなあ!俺たちなんて五日も探して何も無かったんだぜ!」

ジュド「こりゃあMSじゃぞ・・・・ホワイトドールに似とる」

オリヴァー「この宇宙船の中に、一機だけ積まれていたんです。武器は劣化して使い物にならないですけど」

アムロ「ガンダムだ・・・・!V字アンテナはないが、このトリコロールカラーは・・・」

ソシエ「字が掘ってある!かすれて見づらい・・・・0・GUN・・・・ゼロ、ガン?」

クワトロ「ゼロガン・・・ジェガンの後継機か?」

セレーネ「変わったエンジンね」

ガロード「貝みてぇだな」

発掘作業は急ピッチで進められた。
宇宙船のエンジンは、撃墜されたモニクの輸送船のものを代用し、簡単な進水式が行われることになった。

グエン「ところで、この宇宙船の名前を決めたいんだが、何かいい案はあるかね?」

ガロード「グレート・ガロード・ウルトラ・ムーン船!」

ソシエ「ぜっっっったいに嫌よ!」

ロウ「ホワイト・インパルス~白い衝撃~で決まりだろ!」

ソシエ「あんたたち黙りなさいよ!」

ロラン「白いし、ホワイト・ベースなんてどうです」

アムロ「!」

ゴメス「いやいや、俺の考えたホワイト・アークが一番良い!」

ソシエ「ペガサス号なんてどうかしら!」

クワトロ「・・・・・モクバだな・・・・・」

一同「・・・・・・・」

アムロ「決まりだな」

ガロード「じゃあ、モクバに決定!」

ソシエ「何で!?わたしは反対よ!」

ソシエ「だいたい、モクバって何よ!馬でもなければ木でもないじゃない!」

ジュド「モクバだと思って見れば、案外モクバにも見えてくるじゃろ」

ソシエ「どういう意味よ!?」

クワトロ「つまり・・・・もの事は全てタイミング次第ということさ。
     私の発言のタイミングがみんなの心を掴んだのだよ」

ソシエ「大人ってなんて卑怯なの・・・」

グエン「うむ。この船の名前は決まったな。ところで進水式の日時についてなんだが、私に良い提案がある」


グエンの計らいにより、進水式はソシエとギャバンの結婚式を兼ねて、ミリシャによる全面協力のもと行われることになった。

─式当日

ソシエ「どうしよう、こんな大事になっちゃうなんて・・・・・・
    わたし緊張しちゃって・・・・上手くやれるかしら?」

キエル「大丈夫よ、ソシエなら。お父様も天国からご覧になっているでしょうから、しゃんとなさい」

ソシエ「お姉さま・・・・ごめんなさい、先にウェディングドレスを着ることになっちゃって・・・」

キエル「ま!・・・ふふ、その様子なら大丈夫そうね、ソシエ」



ギャバン「どうだ?ネクタイ曲がってないか?なれない格好でどうも勝手がわからん」

ロウ「ばっちりだぜ!」

ラカン「似合ってますよ、隊長!あの世からスエサイド部隊の仲間たちも見てるに違いありません」

ガロード「でもこんな物騒な時に結婚することないぜ。別に平和になってからでも・・・・」

ガロード「・・・・・・・」

ロラン「・・・ガロード・・・」

クワトロ「・・・・・・・ガロードも分かってはいるようだが、あえて言わせてもらう。
     こんな時だからこそ、済ませておくべきこともある」

アムロ「明日にはまた戦地に赴くことになるかもしれないんだ。
    今までは何とかやってきたが、次はみんな無事じゃ済まないかもしれない」

ギャバン「・・・やめよう。今日はみんなでパーッとやるんだろう?
     せっかくの上酒が不味くなってもいいのか?」



式は晴れやかに、豪勢に行われた。

キエル「・・・・では、誓いのキスを」

ソシエ「・・・・・・」

ソシエにとってそれは初めてのキスであった。彼女は心の奥深くから込み上げる何かを感じていた。

ギャバン「ソシエ、泣いてるのか・・・?」

ソシエ「・・・・・・・うれしくって・・・・・・」

ソシエ(わたし、何で泣いてるの・・・?これは誰の涙なの?)

それはソシエ自身にさえ理解できない感情だった。そして、同じく、制御できない感情に動揺するものがいた。

アムロ「どうした、ロラン。あのソシエお嬢さんのあんな姿、貴重だぞ」

ロラン「み、見れません」

アムロ「どうしてだい?」

ロラン「見ていられないんです・・・・」

ロラン(僕は一体・・・?)


─ソレイユ

ハマーン「陛下、カロッゾ・ロナがサンベルトを占領いたしました」

ディアナ「・・・・すでに聞いております」

ハマーン「・・・・・我々も参りませんと」

ディアナ「なりません。交渉も無しに建国宣言など、地球の人々への裏切り──」

ハマーン「カロッゾはサンベルトに陣を構えております。
     おそらく周辺都市に進行し、さらなる領土の拡大を図るでしょうな」

ディアナ「ハリー大尉が部隊を率い戦っています」

ハマーン「兵力があまりに違います。侵攻は食い止められますまい。
     陛下、こうしている間にも地球の民が死んでいるのです。ご決断なされよ!」

ディアナ「・・・・・・・!わたくしは、グエン殿と交渉の約束を──」

ハマーン「交渉などどこでしているのですか?きゃつらは今、のん気に結婚式などしておりますが。
     あなたの妹君のね」

ディアナ「ソシエの?・・・!!」

ハマーン「キエル・ハイム、茶番は終わりにしよう。進路をサンベルトへ向けろ」

キエル「わたくし──」

ハマーン「ハリーが死ぬぞ」

キエル「!!」


─モクバ

グエン「サンベルト共和国の建国宣言だと!?」

マリガン「サンベルトは敵の攻撃を受けていたのです」

グエン「馬鹿な!我々には何の情報も無かったのだぞ!!」

アムロ「情報操作か・・・・?しかし・・・」

クワトロ「・・・・・・・」

キエル(ワタクシがあの時、サンベルトの危機を伝えていればこのような・・・・・)

ディアナ・ソレルのその決断を鈍らせたのは、ソシエ・ハイムの結婚式であった。
ディアナ自身、思い人との結婚を経験し、その幸福を知っているだけに、ソシエとギャバンを戦場へ駆り立て、その幸せを打ち砕くことはどうしても出来なかったのだ。

ガロード「早く止めに行こう!」

ゴメス「しかし俺たちだってまだ部隊の建て直しが出来てないんだ。
    今はソレイユに任せておいていいんじゃないか」

モニク「今の状況だと、じいさんが正しい。今この戦力で飛び込んで行っても、ひねり潰されて終わりだろう」

ガロード「けどよ・・・・!」

キエル「・・・・・・サンベルトへ参りましょう。
    ディアナ様だって万全の体勢で戦いに望んでいるわけではないでしょうし」

キエル(キエルさんではこの状況を打破することはできないでしょう・・・・早く助けてあげなければ)

ロウ「決まりだな!」

グエン「サンベルトに向かう!MSの整備を急がせろ」

クワトロ(ディアナ・ソレル・・・・・発言のタイミングを計ったな)


─サンベルト前線

イザーク「マリィ!連携して追い込むぞ!」

マリィ「イザーク、上!」

イザークのシルバースモーのIフィールドバリアーが、キャノンイルフートのヴェスバーを防いだ。

イザーク「ソレイユは何をしているッ!?ディアナ様の威光があれば、こんな無駄な戦いは!」

シャニ「あれ?なんで味方同士で戦ってるんだっけ?」

クロト「そんなこと俺が知るかよ!」



カロッゾ「ポゥ少尉も出撃しろ!」

ポゥ「げほげほ・・・少将殿、私、ひどく熱がありまして──」

カロッゾ「白々しい仮病など使うな、愚か者!銃殺されたくなければウォドムで出ろ!」

ポゥ「了解であります、げほっ」

ポゥ「地球に来てから災難ばかりじゃないか・・・・・」



ハリー「建国式典の式場まで用意しているのか・・・・」

ハリー(やはりあの時、本物のディアナ様をお連れしてくるべきだったか・・・・む?)

砲弾飛び交う戦場を横断するハリーの目に、一機のシルバースモーが映った。

ハリー「こんな所で何を・・・?」

閉じるコックピットのハッチの隙間から、金髪の女の頭が、見えた。

ハリー「あの女、見覚えが・・・・おい、そこのスモーのパイロット聞こえるか」

女は答ぬまま、戦場に消えた。ハリーの目をくらますほどの器量の持ち主である。
ハリーの脳裏に一瞬、とある苛烈な女の顔が浮かんだ。

ハリー「・・・・まさかな」

その人物は現在、冷凍刑に処されているはずなのだ。

苦戦を強いられているハリーの部隊の元へ、ディアナから、サンベルト建国宣言を行う、との通信があった。

ハリー「・・・・・では、部隊を引き上げさせます」

ディアナ「是非に。これ以上被害を拡げるわけにはまいりません。
     このような形での建国、本意ではありませんが・・・・・そちらには夜明けまでには到着します」

イザーク「隊長!ディアナ様のお力はこの程度のモノだったのですか!?」

マリィ「イザーク、落ち着いて」

イザーク「うるさい!この程度のいさかいも鎮められず、何がディアナ・ソレルだ!!」

ハリー「イザーク、これには少々複雑な事情があるのだ。

マリィ「複雑な・・・?」

ハリー「そのことで君たちに協力してもらいたいことがあるのだ」


─モクバ

グエン「ソレイユが建国式典場に到着したらしい。私にも、式典への招待状が来ている」

ガロード「俺たち、MSで攻め込むんだよなぁ?」

クワトロ「一足遅かったようだ。戦闘は既にディアナ様がお鎮めになった」

ロウ「なんとかならねーのか!勝手に地球の領土が奪われてんだぞ!?黙って見過ごせっていうのかよ!」

ソシエ「攻撃が取りやめになったこと、ギャロップのギャバンたちも知ってるわよね?」

グエン「ああ。マリガン中佐には私から伝えた」

グエン「式典へは、私とキエル嬢とリリ、それからクワトロさんとロラン。この五人で参加する」

ソシエ「わたしたちは?」

ゴメス「俺たちはモクバで待機だ」

式典が開かれた。壇上にディアナ・ソレルが上がり、ハマーン執政官とロナ少将がそれに続いた。
地球の領主たちがその様子を注意深く見守っている。

リリ「ロランさんとキエルさんの姿が見えませんわね」

グエン「・・・・時間までには戻るだろう」

キエル「ロラン、結い方はわかりますね?」

ロラン「はい。ハリー中尉から習いましたから」

キエル「・・・・・・・・・・・では、参りましょう」

壇上のディアナ・ソレルが今まさに建国を宣言しようとした時であった。

ディアナ「お待ちを」

式典場が騒然となった。演壇の裏から、ディアナ・ソレルが現れたのである。

グエン「ディアナ・ソレルが・・・・・二人!?」

カロッゾ「どういうことだ!?偽者か!どちらが!?」

ハマーン「・・・・・・・!?」

ディアナ・ソレルが壇上に上がり、ディアナ・ソレルの隣に並んだ。
二人のディアナが、同じ顔で、聴衆を見下ろしているのである。

ディアナ(ディアナ様、これは一体・・・・・・?!)

ディアナ(大丈夫です、キエルさん。流れに身を任せてください)

グエン「ディアナ・ソレル!何を遊んでいるのだ!キエル嬢も!」

ハマーン(グエン・ラインフォードに招待状など送った覚えは無いが・・・・・ハリーの仕業か・・・・!)

カロッゾ「蛮族の娘が陛下を装っておるのか!」ジャキッ

ディアナ「・・・・・・・・」

ディアナ「・・・・・・・・」

カロッゾ「み、見分けがつかん・・・・!」

ディアナ「主君であるこのわたくしに、銃を向けるのか!カロッゾ!」

カロッゾ「ええい、ではこちらが偽者かッ!」ジャキ

ディアナ「カロッゾ、目を覚ましなさい!このワタクシの声を忘れたとは言わせません!!」

カロッゾ「・・・・・・!ぬぅ!・・・・・・あ、頭が・・・・・・!」

ハマーン(・・・・・・・まずいな)

ハリー「待てカロッゾ!本物のディアナ様は、この親衛隊が嗅ぎ分ける!」

マリィ「銃をお下げ下さい、カロッゾ少将」

イザーク「この場は我々が引き受けます!少し下がっていてください!」

ハマーン「ハリー、貴様──」

その時、耳をつんざく砲撃音が鳴り響いた。ルジャーナ・ミリシャによる式典の襲撃である。

カロッゾ「・・・・・ぐう・・・・MS隊に・・・迎撃させろッ・・・!」

ハマーン(シャアの仕業か・・・・・ふふ、よくやった)

リリ「マリガン!?なぜ!?」

グエン「作戦の中止は私が伝えたはずだぞ!」

クワトロ「・・・・・どうやらルジャーナミリシャとイングレッサミリシャの間の連絡網は、
     うまく機能していないようだ」

グエン「止めさせなければ!」

マリガン「リリ様をお助けするのだ!ギャバン、一気に攻め込むぞ!」

ギャバン「ラカン!あの三機が来るぞ!ぬかるなよ!」

ラカン「先手必勝!」

ラカンのボルジャーノンが飛び出し、チェーンマインが炸裂する。
不意を付かれたシャニのイルフートの右足が吹き飛んだ。

シャニ「こいつ、前より速くなってる!」

クロト「武器も増えてんじゃん!」

オルガ「関係ねぇッ!おらぁぁ!」

ホバーを上手く使い、ギャバンはオルガのイルフートの砲撃を全弾回避する。

オルガ「まじで速ぇッ!こいつ!」

アムロ「ギャバン聞こえるか!戦いをやめろ!作戦中止をわからないのか!」

ギャバン「アムロ!リリ様とグエン様が捕らえられたんじゃなかったのか!」

アムロ「何だとッ・・・・・!?」

ソシエ「どうするのよ!敵が来るわよ!」

ロウ「迎撃するんだよ!」

ガロード「俺はゼロガンで出るよ!武器はヒゲのを借りる!」

ゴメス「よーし!モクバも動かすぞ!全砲門開けー!」

ソシエ「男の子ってどうしてこうなの!?」

オリヴァー「大尉、僕たち、自軍の敵の艦にいるんですよね・・・・」

モニク「細かいことは気にするな、乗りかかった船だと思え」



カロッゾ「うう・・・・・あ、頭が割れる──」

ブツッン・・・・・・・

カロッゾ「・・・・・・・・・・・・」

カロッゾ(・・・・わしはここで何を・・・・・?)

ハマーン(洗脳が溶けた・・・・・薬の効力をディアナへの忠誠心が打ち払ったか・・・・
     ここまでだな、後は奴らに任せるとしよう)

ハマーン「陛下、ここは危険です。ソレイユへお戻り下さい」

ディアナ「うむ。ひとまず、建国式典は中止いたします。領主のみなさんもどうか避難してください」



ソシエ「アムロ!助けにきたわよ!」

アムロ「お嬢さん!ゴメス艦長が動いたか・・・!」

クロト「撃滅!!」

アムロのホワイトドールにクロト機がビームマシンガンを撃ちかける。
アムロはIフィールドでそれを受け流し──

アムロ「そこッ!!」

振り向きざまに放ったビームがオルガ機を撃ち抜いた。

オルガ「後ろにも目があるのかよッ」

キャノン・イルフートが爆散した。

シャニ「オルガが!このぉおおお!」

クロト「──ん!?撤退命令!?」

ウォドムやムットゥーたちが続々と帰投していく。


─アルマイヤー

カロッゾ「早く退かぬか!わしとしたことが、こんな失態を演じるとは・・・・・!
     交渉もふいになり、ディアナ様への謀反まではたらいた・・・!
     娘や娘婿に合わせる顔がないッ・・・・・!!」

カロッゾ「・・・・・・おのれハマーンめ!!珍しくやつが茶など淹れるものだから変には思ったが・・・・
     薬を忍ばせていたのか!!」


─モクバ

グエン「ゴメス艦長、敵は退いたのだ!こちらも──」

ゴメス「御曹司!あの二機がまだいるんですよ!」



クロト「オルガの仇!!」

シャニ「でぇぇぇぇい!!」

ガロード「しっつこいヤローだぜこいつらも!」

ソシエ「ちょっとやばいかも・・・・!アムロ!」

アムロ「お嬢さん、今援護に──」

キィィィィィィ・・・・ン

『アムロさん、今やらなきゃいけない敵は、そいつらじゃない!』

アムロ「精神波!!!カミーユだと・・・・!?」

カミーユ『あのスモー、核を使う気です!!!』

アムロ「なんだって・・・・?!」

夜の帳が下りたサンベルトの空に浮かぶ二機のMSがあった。
アムロは、その二機のスモーが悪意を持ってそこに佇んでいることを感じ取った。

アムロ「・・・・・なんだこの不快感は・・・・やつら何者なんだ・・・!?」

カテジナ「ターンAがこっちに気づいた・・・・あれがニュータイプのアムロ・レイか」

サーシェス「ソレイユが上がるまでこれは使えねえが、相手してやるよ!」

二機が動き出した。

ハリー「む?我が隊のものか?」

アムロ「みんな聞こえるか!!あの二機のスモーは核爆弾を持ってる!この地ごと俺たちを焼きつくす気だ!!」

カロッゾ「!?」

イザーク「核だとぉ!?」

ハリー「何・・・!?アムロ・レイ!妄言ではあるまいな!!」

アムロ「嘘なものかよ!!」

サーシェス「ちょいさァッ!!」

ハリー「あの声!アリー・アル・サーシェスか!?」

その時、ハリーの脳裏にスモーに乗り込む金髪の女が再び思い起こされた。

ハリー「もう一機はカテジナ・ルースか!」



ソシエ「核って何よ?」

ガロード「さあ?」

シャニ「核だってさ」

クロト「へぇー、本物見るのは初めてだ!」



モニク「おい、今の通信が聞こえなかったのか!!」

ゴメス「聞えたさ。何を取り乱して──」

モニク「もうろくじじぃか貴様!?核だよ、核!!」

キエル「核・・・?」

グエン「モニク大尉、核とはなんだね」

モニク「はぁ!?貴様らトチ狂ってるのか!!」

オリヴァー「モニク大尉落ち着いて下さい、ここは地球ですよ」

クワトロ「地球の人々が知らないのも無理は無い。あれは黒歴史の遺物なのだから」

ロラン「僕のフラットも出してください!アムロさんたちを助けに行きます!!」



二機のスモーがアムロとハリーに激しく攻めかかる。

アムロ「くそッ!核を持ってちゃ迂闊に撃てない!!」

ハリー「アムロ!接近戦でしかける!」

カテジナ「ふふふ、ハリー・オード!千年前の屈辱を晴らさせてもらうよ」

カテジナ機はゴールドスモーと切り結びながら、ビームガンをゼロ距離から連射する。
黄金の装甲が拉げ、コックピット内で火花が散る。

ハリー「ええい・・・・やんぬるかな!!」

アムロ「ハリー!!──うわっ」

サーシェス「どうしたガンダムさんよぉ!!その立派なおヒゲは飾りってことねぇだろうなぁ!?」

窮地のハリーを黄金色のフラットが救った。

クワトロ「情けないな、ハリー・オード!」

ハリー「シャア・アズナブルに救われるとはッ・・・・!」

カテジナ「こいつ・・・!金に塗れば映えるとでも思ってるのかい!」

ロラン「アムロさん、援護します!」

アムロ「ロランか!」

サーシェス「なんだこのハイヒールはァ・・・!邪魔すんじゃねえよ!」

ロラン「なんだこの人!核を持って戦っている自覚はあるのか・・・・!?」

サーシェスの猛然たる攻撃に、ロランはたじろいだ。
その隙をサーシェスは見過ごさず、ヒートファンがロランのフラットの両足を斬りおとす。

ロラン「うわッ!」

アムロ「ロランは下がれ!こいつは普通じゃない!!」



ギャバン「核とかいうのは、町ひとつ簡単に消し飛ばすらしいぞ!」

ソシエ「そんな兵器があるの!?逃げたほうがいいんじゃない!?」

ギャバン「馬鹿言え!アムロたちは戦ってるんだぞ!」

クワトロ「何!?ソシエ嬢たちは戻れ!ここは私たちに──」

カテジナ「甘いよねぇ!!余所見なんてさぁ!」

クワトロ「!!」

カテジナがIフィールドサーベルでクワトロ機に斬りかかった。
クワトロの卓絶した操縦技術が直撃から一度はその身を守ったが──卓絶したパイロットであるのはカテジナもまた同じだった。返す光刃がクワトロ機を大破させる。

クワトロ「ええいッ!この状況ではッ・・・!撤退する!」



アムロ「核など使わせる物かよ!」

サーシェス「はっはっはァ!こいつァすげえ!
      俺の動きを先読みできるパイロットは、カミーユなんちゃら以来、千年ぶりだぜ!」

アムロのホワイトドールが打って出た。
二本のビールサーベルを合わせ、巨大な光刃を形成させると、中距離から核を搭載したスモーのバックパックを切断した。

ロラン「拾いました!核拾いましたよアムロさん!」

アムロ「よくやったロラン!急いでモクバへ戻れ!」

サーシェス「おいカテジナァ!ソレイユはもういい!核をぶちかませ!!」

カテジナ機が上空へ飛び上がった。ハリーが追う。

カテジナ「シロッコからの餞別だ!!受け取れェェェェ!!」

アムロ「間に合わない!みんな逃げろォ!!」

核爆弾が上空で炸裂した。モクバまで退避したロランとクワトロがその様子を眺めていた。

ロラン「アムロさんやソシエさんは・・・?!」

クワトロ「・・・・・・・」

ゴメス「隔壁閉鎖!各員衝撃に備えろ!」

グエン「何だこの光は・・・!」

キエル「夜が・・・・朝になってしまいました・・・」

爆心地近くのMSは必死に退避を試みていた。

イザーク「マリィ!ソレイユには追いつかない!あのミリシャの艦へ逃げ込むぞ!」

マリィ「ハリー隊長は!?」

クロト「うわッ、眩し──」

シャニ「きれー──」

核の光が全てを飲み込んでいく。

ラカン「隊長ォ!間に合わな──」

ギャバン「ラカァァン!!・・・・・・アムロ!ソシエを頼む!!」

そう言ってギャバンは、ソシエのカプルを、ホワイトドールへ投げつけた。

ソシエ「ギャバン!?嫌よ!ギャバン!!!」

アムロ「ソシエ振り返るな!!」

カプルを抱えたアムロはフルスロットルで安全地を目指した。

ソシエ「アムロ!?待って、ギャバンが!戻って!」

アムロ「・・・・・・・」

ソシエ「返事をしてよ!アムロ!お願い!!」

アムロの判断は最も冷酷で、最も正しいのものであった。やがてギャバンも光に飲み込まれ、見えなくなった。



カテジナ「アハハハハ!!キレイな光だねぇ、黒歴史の光って言うのはさぁ!
     黒歴史が再現されれば、この地球のお空を花火みたいに彩ってくれるんだろう?
     これだからあんたの女は止められないよ、シロッコォ!!」

サーシェス「宇宙へ帰るぞ。シロッコとハマーンの計画が始まるぜ」

カテジナ「ふふ、共謀してディアナを貶めようなんて、よくやるよねぇあの二人も」

サーシェス「共謀?俺には利用し合ってる様にしか見えねェが」



ロラン「こんな・・・こんなことをする人は一体・・・・・・」

シャア「夜中の夜明け、か・・・・・」

シャア「しかし夜明けと呼ぶには、これはあまりに不穏だ」


─ソレイユ

ハマーン(シャアは無事だろうな・・・・宇宙で待っているぞ)

ディアナ「核の光・・・夜中の夜明けなど・・・あってはならない歪み・・・・」

ハマーン「キエル・ハイム。貴様にはまだ利用価値がある。月まで同行してもらうぞ」

ディアナ「ハマーン、やはりそなたが裏で動いておったか。
     カロッゾを操り、核まで持ち出して──この大罪、現世の罰のみで償えると思うな!!」

ハマーン「・・・・貴様本物の・・・!いつの間に・・・!」

ディアナ「親衛隊とミリシャのロランの協力です。
     式典の混乱の中、そなたの目を盗むことは容易なことでしたよ」

ハマーン「口の聞き方には気をつけるのだなディアナ・ソレル。
     宇宙では既にカイラス・ギリ、そしてターンXさえ我が手中に入ろうとしているのだぞ」

ディアナ「何と・・・・!」

その頃、宇宙では一人の男が吠えていた。


―ギンガナム艦隊旗艦ディアナ・ソレル

ギンガナム「千年前!!マリア主義者たちによる月事変の折!
      我輩は初めて月の防衛にあたり、見事、敵を撃退した!!
      まさに軍神の名に相応しき活躍であったといえよう・・・・・・!」

ギンガナム「そんなことはどうでも良い!!!!」

メリーベル「・・・・・・・」

ギンガナム「そんなことよりも肝要なのは!その我輩に対して、ディアナ様がなんと仰ったか・・・・・!!
      ディアナ様が仰った言葉とは!!!」

ディアナ『ご苦労さまでした、ギム・ギンガナム』

ギンガナム「そう言ってディアナ様はディアナ様のお手にキスをすることを、
      この我輩に許可して下さったのである!!」

ギンガナム「我輩の魂は震えた・・・・!気づけば我輩は全身全霊で泣いていた・・・・!!
      あのディアナ様が我輩を、ねぎらって下さったのだ!!」

ギンガナム「ねぎらって下さったのだ!!!!」

ギンガナム「ねぎらって下さったのだァァァァ!!!!!!!」

メリーベル「・・・・・この下り、何度目だい」

ギンガナム「ディアナ様ァ!月は本日も変わりなく美しいですぞォォ!!ディアナ様ァァァ!!!早く!!
      戻って!!!こォォォォォォい!!!!!!!!!」


―再び地球・モクバ艦内

ソシエ「どうしてギャバンを助けてくれなかったのよ!?」

アムロ「・・・・あの時、ああしなければお嬢さんだってやられていたんだぞ・・・!」

ソシエ「だったら何!?わたし、もう大事な人を目の前で失うのは嫌なの!」

ソシエ「どうせならあの時わたしも見捨ててくれれば良かったのよ!」

パンッ!

ソシエ「・・・・・ぶったの?ぶったのね・・・アムロのくせに・・・・!」

アムロ「二度とそんな馬鹿なことを言わないと、お父様の墓前に誓いなさい!」

ソシエ「・・・・何よ・・・!アムロは戦いばっかりで、わたしが苦しい時そばにいてくれなかったじゃない!」

アムロ「お嬢さん、それは――」

ソシエ「アムロじゃわたしのお父様の代わりなんて、出来っこないんだから!!」

アムロ「お嬢さん、待て!」

アムロ「・・・・・・・」

クワトロ「・・・・・かつて私に、器量の小ささを指摘した一人の男がいた」

アムロ「・・・・・・・」

クワトロ「その私の前でよもや彼自身の器の小ささを晒すとは、皮肉なものだ」

アムロ「何が言いたい・・・!」

クワトロ「フッ、文字通りの意味で受け取ってもらってかまわんよ」

アムロ「他人事と思って!」



ロウ「ソシエは部屋に篭りっきりか・・・・」

ガロード「・・・・・今はそっとしておいてやろうぜ」

ロラン(ソシエさん・・・かわいそうに・・・)

イザーク「ロラン!」

ロラン「イザーク!マリィも!」

ロウ「こいつら確か親衛隊の・・・ロラン、知り合いなのか?」

ロラン「ええ、そうなんです」

マリィ「ハリー隊長がブリッジに集合しろですって」

ガロード「あの変態メガネがかよ!」

イザーク「・・・キサマッ!!!」

ガロード「ひぃ!」

ロラン「まぁまぁ・・・・」



ハリー「つまり、一連の事態はハマーンが引き起こしたものと見て良いでしょう」

ロラン「でも・・・どうして執政であるハマーンさんが・・・・」

ハリー「もともと油断ならぬ女であったから、裏で手ぐすねを引いていても、何ら不思議ではない」

キエル「とても恐ろしい目をした女性でした。ギラギラと・・・・」

マリィ「それにしても、ディアナ様とキエルさんがいつの間にか入れ替わっていただなんて・・・
    親衛隊としての自信を失ってしまいそう・・・・・」

イザーク「安心しろ。俺なんてまだ、このキエルさんが実は陛下ではないかと疑ってる程なのだからな」

グエン「うむ。似ているというより、同じと言い切ってしまっても良いくらいだ」

ハリー「ところで、あなたはこのハマーンの暗躍をどこまで知っていたのだ?
    クワトロ・バジーナ。いや、シャア・アズナブル大佐」

グエン「!?」

キエル「えっ!?」

クワトロ「・・・・・・」

ガロード「シャアってハマーンの側近の!?クワトロさん、あんたやっぱりスパイだったってのかよ!!」

シャア「・・・・スパイであることは認めよう。だが、ハマーンとの繋がりはない」

ゴメス「どういうことだ?」

シャア「ハマーンはここへ私を送り込んだが、その後は連絡がつかなくなった。
    恐らくやつは自分の計画が私に悟られるのを嫌って、ここへ遠ざけた。スパイはその口実だろう」

アムロ「それを信じろと?」

シャア「証拠などないが──今までみんなと共に戦ってきた時間に、嘘は無い」

ロウ「確かにそうだぜ・・・・クワトロさんは、よく戦ってくれたよ」

モニク「私たちを信用させるための芝居だったのかも知れないぞ」

ガロード「ババァは黙ってろよ!」

モニク「何だと、このガキ!絞め殺すぞ!!」

ガロード「クワトロさん!俺は信じるぜ!」

ロウ「俺も!」

シャア「・・・ありがとう。ではこれからも、私はクワトロ・バジーナとしてこの艦にいさせてもらおう」

ソシエ「ちょっと待って」

キエル「ソシエ!?もう大丈夫なの?」

ソシエ「それってつまり、クワトロさんと一緒に来たロランもスパイだったってことじゃない」

ガロード「あ、そっか」

ロラン「・・・え・・・!?いや、その・・・・」

ソシエ「わたしたちを騙してたのね!?最低よ!!」

ハリー「ロランはディアナ様の密命で、ホワイトドールの調査に来ていたのだ」

キエル「ロランさんがいなければ建国式でハマーン執政を欺くことも出来なかったでしょうし・・・・
    責め立てることはないでしょう」

ソシエ「でも・・・こんな顔して嘘をついてたなんて!!一発殴らせてよ!」

ロラン「ソシエさんは僕を叩きたいだけなんじゃないですか!?」

アムロ(お嬢さんは悲しみを乗り越えたみたいだ・・・・・良かった)

グエン「・・・・・シャア大佐、とりあえず今は、あなたの言葉を信じよう。
    引き換えに、あなたの知る月の秘密をひとつ、教えてもらえないだろうか」

クワトロ「・・・・グエン・ラインフォードとは、ずいぶん打算的な人なのだな」

グエン「これくらいでないと、新しい時代など興せんよ」

クワトロ「いいだろう。ではこの混乱のもう一人の黒幕をお教えしよう」

ハリー「・・・・・・パプティマス・シロッコ、だろう?」

クワトロ「ご名答」

モニク「シロッコだと・・・・・?!」

イザーク「やつは千年前に冷凍刑になったんじゃなかったのですか!」

クワトロ「ああ。数年前、秘密裏に解凍された・・・・ハマーンによって」

ゴメス「話がわからん!」

ロラン「パプティマス・シロッコは、千年前の月事変の首謀者の名前です」

ロウ「月事変?」

ハリー「マリア主義者という一派が、月の首都ゲンガナムで起こしたクーデターのことだ」

クワトロ「私やハマーンはディアナ派として、シロッコやカテジナ、サーシェスらと戦ったのだ」

マリィ「なのになぜ、ハマーンはシロッコと手を組んだのかしら・・・」

ガロード「すげぇ!クワトロさん千年も生きてんのかよ!」

クワトロ「1533歳だ。無論、冷凍睡眠と延命手術は使っているがな」

ハリー「やつらが何を企んでいるかは知らんが、我々も月へ向かい、その野望を止めねばなるまい」

キエル「わたくしの身代わりになったディアナ様も心配ですし・・・・・」

ゴメス「・・・・決まりだな!御曹司!」

グエン「うむ。これよりモクバは月への直接交渉に赴く!」

ミリシャと地上のカロッゾ少将の間で、停戦協定が結ばれた

カロッゾ「ディアナ様はこの不甲斐ないわしをお許しくださった・・・・・!ポゥ中尉!
     MS隊を率い、ノックスの支援に向かえ!!」

ポゥ「は!了解であります!」

ポゥ(寝込んでいる間に昇進するなど、ふふ、私にもようやくツキが回ってきたぞ!)


一方ミリシャは・・・

グエン「では地上のことは任せたぞ、マリガン中佐」

マリガン「はい、リリ様は私が守ります故」

ガロード「ロウ、お前の分まで宇宙旅行を楽しんできてやるよ!」

ロウ「土産を忘れんなよ!」

ソシエ「メシェーとラダラムさんによろしくね」

ロウ「おうよ!ソシエも調子に乗って食いすぎるなよな!
   重くて地球に落っこちてきたって、受け止められねぇからな!」

ソシエ「ばか言わないでよ!」



クワトロ「いいのか、セレーネ。君が月の技術を学べば、きっと一流の技師になれるぞ」

セレーネ「いいの。宇宙はここから見上げていたい・・・・なぜだかそう思えるのよ」

アムロ「見上げる、か・・・・・」

ジュド「マウンテンサイクルの発掘や地上のMSの整備のためにも、セレーネはこっちにいた方がいいじゃろ」

オリヴァー「宇宙へ戻れる・・・・・やっと本来の目的を果たせますね!」

モニク「帰ってからどうするか・・・・・」

オリヴァー「フォン・シティで弟さんに会うんでしょう?」

モニク「その後だよ。私はキンケドゥ艦隊にはもう戻りたくないぞ。
    どうせまた面倒を押し付けられるだけだろうしな・・・・・」

こうして一行は別れ、モクバ組は宇宙へと飛び立った──



                        地球光編・完



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148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/11(月) 00:54:09.87 ID:58Xr1c1u0
ディアナ「・・・・・どうしましょう、わたくし、わたくし・・・・」

ハリー「・・・・・お気を確かにお持ち下さい。ハマーンに弱みを見せてはなりません」

ディアナ「ハリー・・・・・・わたくしは本当は──」

ハリー「もう何も申されるな。・・・・・・何かあれば私にお頼り下さい」

ディアナ「・・・・ハリー殿・・・・・いつから気づいていたのです?」

ハリー「地上視察の時からです。においと気配で感づきました」

キエル「わたくしたち、ほんの小さな出来心から・・・こんなこと──!・・・・んっ・・・・」

ハリー「・・・・小うるさい唇の黙らせ方です」

キエル「・・・・・・ハリー・・・・・」

ハリー(さて、どうしたものかな)


150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/11(月) 00:58:41.66 ID:NOMZu8xvO
ディアナ「ハリー殿・・・この様な事がバレてしまいましたら・・・・」

ハリー「何か問題でも?」

ディアナ「私の恋人のカテジナが嫉妬してしまいます・・・」

ハリー「カテジナ?女性の名前みたいだが?」

ディアナ「はい、ノックスのルース商会のお嬢様です」

ハリー「まさか趣味か!?」

ディアナ「いいえ愛ですわ」


172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/11(月) 02:38:13.88 ID:58Xr1c1u0

既出キャラまとめときます


地球

グエン・ラインフォード(∀)    キエル・ハイム(∀)
イングレッサ領主          ハイム家長女、ディアナと入れ替わり中         

アムロ・レイ(CCA)       ソシエ・ハイム(∀)
ハイム家執事兼ヒゲパイロット    ハイム家次女、カプルのパイロット

ジュド(?)            セレーネ・マクグリフ(スターゲイザー)
山師                地球の技術者       

ロウ・ギュール(アストレイ)    ガロード・ラン(X)
ジュドの助手            ジュドの助手。ロウの兄弟分

ロベルト・ゴメス大尉(V)     メシェー・クン(∀)
ミリシャの士官           カプルのパイロット。負傷につき戦線離脱

ラダラム・クン(∀)        ミハエル・ゲルン大佐(∀)    
メシェーの父            イングレッサ・ミリシャの指揮官。戦死

ヤーニ・オビュス軍曹(∀)     リリ・ボルジャーノ(∀)
ミリシャの下士官。戦死         ルジャーナの領主。グエンの婚約者

マリガン中佐(∀)         ギャバン・グーニー(∀)
ルジャーナミリシャの指揮官     スエサイド部隊隊長。ソシエの婚約者

ラカン・ダカラン(ZZ)
スエサイド部隊パイロット


ムーンレィス

ディアナ・ソレル(∀)                 ハマーン・カーン(ZZ)
月の女王。キエルと入れ替わり中         月の執政

シャア・アズナブル大佐(CCA)   ハリー・オード中尉(∀)
ハマーンの側近。偽名を用いミリシャへ     ディアナ親衛隊隊長

ロラン・セアック少尉(∀)              マリィ・パーファシー(00)
親衛隊パイロット。ミリシャに潜入中        親衛隊パイロット

イザーク・ジュール(SEED)             カロッゾ・ロナ少将(F91)
親衛隊パイロット                   ディアナ・カウンター指揮官。性格急変中 

ポゥ・エイジ少尉(∀)                 フィル・アッカマン大尉(∀)
Dカウンターパイロット。泣き虫           Dカウンター主戦派。戦死

モニク・キャディラック特務大尉(IGLOO) オリヴァー・マイ技術中尉(IGLOO)
月からの増援                     モニクの部下

オルガ、クロト、シャニ(SEED)
三馬鹿


464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 15:51:10.05 ID:Ij+Cy0740
>>172まとめ
グエン・ラインフォード(ttp://dwi.at.infoseek.co.jp/guin.html
キエル・ハイム(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/02.html
アムロ・レイ(ttp://www.gundam-c.com/manual/character/counter/amuro.html
ソシエ・ハイム(ttp://dwi.at.infoseek.co.jp/sochie.html
セレーネ・マクグリフ(ttp://www.seed-stargazer.net/character/index.html
ロウ・ギュール(ttp://www.astrays.net/vsastray/character/index.html
ガロード・ラン(ttp://www.gundam-x.net/library/chara/01.html
ロベルト・ゴメス(ttp://www.v-gundam.net/character/17.html
メシェー・クン(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/28.html
ラダラム・クン(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/27.html
ミハエル・ゲルン(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/22.html
ヤーニ・オビュス(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/26.html
リリ・ボルジャーノ(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/17.html
マリガン中佐(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/18.html
ギャバン・グーニー(ttp://www.turn-a-gundam.net/character/19.html
ラカン・ダカラン(ttp://www.gundam-zz.net/character/15.html

意外と覚えてなかった

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