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シャア「夜中の夜明け、か・・・・・・」 月光蝶編

2010年11月17日 20:25

シャア「夜中の夜明け、か・・・・・・」

411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/12(火) 23:09:04.56 ID:JSqyUMx90

                         月光蝶編


─宇宙

ギンガナム「ねぎらって下さったのだ!!」

メリーベル(まだやってんのかい・・・・)

ギンガナム「ねぎらってくだ──」ピピピピ

ギンガナム「ホエールズからの通信だとォ!?下卑た割り込みをォ、キンケドゥ・ナウ!!!」

キンケドゥ『取り込み中すまない。ディアナ様が帰還なされると、カロッゾ少将からの連絡があった。
      それと、今はもうキンケドゥ・ナウではなく、キンケドゥ・ロ──』

ギンガナム「我が世の春が来たァァァァ!!!」

キンケドゥ『!?』

ギンガナム「無聊な日々は終わりを告げ、我が世に春が到来せり!!!!」

メリーベル「なんだい、ディアナに会うたびに来る春なんて」

ギンガナム「黙れメリーベル!キサマは我輩の後ろで鈴を鳴らしていれば良いのだ!!」

ギンガナム「全軍総出で御出迎えする!
      キンケドゥ・ナウ、お主のパトロール艦隊もミスルトゥへ差し向けろ!!」


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─モクバ

ガロード「すっげェ!月があんなにでっけェ!!」

ゴメス「・・・・うっぷ・・・・気持ち悪い・・・・」

マリィ「宇宙酔いに効く薬、持ってきました」

ソシエ「ふわふわする・・・・!怖いよー!アムロはなんで平気なの!?」

ロラン「ちゃんと手すりにつかまって下さい」

グエン「しかし、地に足が付かないことが、ここまで人の心を不安にさせるとはな・・・・」

ジュド「・・・・・宇宙なんて久しぶりだ」

クワトロ「ジュド爺さんは以前にも来たことがあるのかい?」

ジュド「ん?すまん、ボーっとしておった。わし、今何か言ったかい?」

ハリー「キエル殿、よかったら二人きりで、部屋でゆっくり地球でも眺めないか?」

キエル「・・・・!・・・・はい、是非に・・・・」

アムロ「宇宙、か・・・・・」

オリヴァー「ん?なんだあの船団は!?」

イザーク「あれはギンガナム艦隊!」

モニク「キンケドゥ・ロナ少佐の艦隊まで来ているぞ!?」



ギンガナム「む!?見慣れぬ宇宙船だが、あれにディアナ様が乗っているのだな?キンケドゥ・ナウ!!」

キンケドゥ『ああ、そうだが、俺はもうキンケドゥ・ロ──』

ギンガナム「ではこれより女王ディアナ・ソレルは先行し、本艦・ディアナ・ソレルを出迎え──ん?」

メリーベル「逆、逆。ややこしい名前をつけるから・・・・」



モニク「なんとか振り切れないのか!?」

ゴメス「無理だ、あんなに出張られちゃあ」

アムロ「一隻近づいてくるぞ」

オリヴァー「通信はいります」

ギンガナム『ディアナ様ァ!お迎えに上がりましたぞォ!!』

一同「!!??」

ハリー「ギンガナム!?待て、この艦には──」

ギンガナム『ハリーか!聞いたぞ、大尉に昇進したのだろう?めでたいなぁ!』

ハリー「ああ、ありがとう、しかしディアナ様は今──」

ギンガナム『今このディアナ・ソレルで牽引してやろう!待っていろォ!!』プツン・・・

一同「・・・・・・・・・・」

ソシエ「な、なにいまの・・・・・」

アムロ「・・・・・・なんて強烈な男だ」

ガロード「しかもプードルみてぇな髪型だったな・・・・・」

ハリー「やつはギム・ギンガナム。首都ゲンガナムの留守を任されている男だ」

クワトロ「熱心なディアナ崇拝者だよ。二千年も前からな」

ソシエ「二千年も・・・・・わたし、ディアナ・ソレルを恨むのやめようかしら・・・・」

そして、誤解は解けぬまま、ギンガナムがモクバへ乗艦した。

ギンガナム「やぁ、皆の衆!見慣れぬ顔も多いが、取りあえずご苦労であったなぁ!」

ハリー「・・・・・・」

ギンガナム「あの口うるさいハマーンはどうした?」

グエン「ギンガナム殿、落ち着いて聞いて頂きた──」

ギンガナム「!!!ディアナ様ァ!!」

キエル「!!」

ロラン(キエルさん、どうして出てきたんです!?)

ギンガナム「おや、御髪をどうなされました?そうか、小生に結って欲しかったのですなァ?!
      お可愛いことよ!!」

ギンガナム「やや!!?この手触り・・・・・ディアナ様の物ではない!?・・・・・くんくん・・・
      匂いも違う!!ディアナ様のものはもっと芳しいハズだぞ!!」

ギンガナム「・・・・・おのれ、お主!何者かァ!!ディアナ様を装う不届き者ォ!手打ちにしてくれる!!」

その後数時間に渡る説得の末、ようやくギンガナムは落ち着き、肩を落とし艦へ戻っていった。


─ギンガナム艦隊旗艦ディアナ・ソレル

ギンガナム「いや、申し訳なかったな。小生の早とちりでこのような・・・・・・」

ハリー『気にするな。それより、ソレイユを見なかったか?』

ギンガナム「見ていないな。地球の情報はこちらにはほとんど入ってきていない。カロッゾの謀反もな。
      核の投下などもっての他だ」

モニク『しかし、私はキンケドゥ少佐に指示されてカロッゾの元へ下りたんだぞ?』

ギンガナム「何ィ?・・・・キンケドゥ・ナウのホエールズに繋げ!」

オペレーター「・・・・・・・・・・応答ありません!!」

メリーベル「・・・・あの後方の艦隊を拡大して写せ!」

キンケドゥのホエールズ月軌道パトロール艦隊のさらに後方の、アスピーテ艦隊がモニターに写しだされた。

ギンガナム「ダミーバルーンだとォ!?」

メリーベル「白のアスピーテはマシュマーの艦隊・・・・・ハマーンの私設部隊だよ!」

ギンガナム「ええい、ハマーンが動いているのか!本物の艦隊を探し出せ!!」

オペレーター「御大将、資源衛星ミスルトゥよりガトー大名(※ギンガナム艦隊における隊長格のこと)
       から通信です」

ガトー『御大将、凶報です。ミスルトゥが月に向けて動き出しました』

ギンガナム「何?!一体何が起こっているというのだ!!」

ガトー『何者かによる策略としか思えません』

ギンガナム「ええい、ハマーンの仕業だな!!ガトー!何としても月への衝突を阻止せよ!!」

ガトー『全力を尽くします!』

ギンガナム「ハリーたちにも協力を要請しろ!!小生もターンXで出る!!」

その時、ギンガナムの後方のキンケドゥ艦隊が、動き始めた。


─モクバ

クワトロ「なるほど。衛星落としか。いかにもハマーンらしい手だ」

ロラン「衛星落としだなんて・・・・!月には数千万の人々が住んでいるんですよ!?」

アムロ「とにかくミスルトゥに向かうぞ!!」

ゴメス「各員、配置につけ!MSは全機発進!!」

ソシエ「ガロード!なんでドーベルマンを持ってきたのよ!宇宙じゃ走れないのよ!?」

ガロード「へへっこいつ、宇宙も飛べるんだぜ!」

クワトロ「私のフラットはまだ使えないのか」

ジュド「無理じゃよ。損傷が激しすぎる。ゼロガンが余っとるよ」

クワトロ「ああ、ありがとう」

クワトロ(この私がガンダムに乗るとはな・・・・・・)

モクバ隊がミスルトゥに向かっている頃、月の裏に潜伏していたソレイユが動き出した。

ハマーン「プルの姿が見えんな」

マシュマー「カイラス・ギリーの監視に向かいました」

ハマーン「そうか。では、合図をするまでここを動くなよ、マシュマー」

マシュマー「は!ご武運を!」

マシュマー・セロの艦隊はアスピーテ級戦艦により構成される。
アスピーテ級は本来ギンガナム艦隊のものであったが、ハマーンからの再三の要求で、一機のバンデットとともに数隻がハマーンに譲渡された。
ハマーンに戦艦を授けられたマシュマーはそれらを白く塗り上げ、赤い薔薇のマーキングを施し、ハマーン親衛隊を結成した。

──そのマシュマー艦隊が、虎視眈々と月の裏側に潜んでいるのである。


─ミスルトゥ

ガトー「各機散開して調査せよ!恐らくノズルのような物があるはずだ。
    ミスルトゥが月の引力に引かれる前にそれを破壊するッ!」

隊員たち「了解!」

ガトー「ウラキ、君は私の後ろに付いていろ」

コウ「は、はい!」

ガトー「肩の力を抜け。初陣は誰だって緊張するものだ」

コウ「は、はい!」

キンケドゥ艦隊は、ギンガナム艦隊を包囲するように陣形をとった。

ギンガナム「キンケドゥ・ナウ!お主どういうつもりだ!」

キンケドゥ『・・・・・・・』

ギンガナム「お主の後方の艦隊はダミーだったのだぞ!
      そして今、ハマーンによって月が危機に瀕している時に、このような戯れを!」

キンケドゥ『ギンガナム、ターンXをこちらへ渡してもらおう』

ギンガナム「何ィ!?」

キンケドゥ『我々はカイラスギリーを掌握した。白の宮殿も直に陥落するだろう。
      ギンガナム、この意味が分かるか』

ギンガナム「貴様・・・・!まさかハマーンの・・・・?!」

キンケドゥ『おとなしくターンXを渡してくれれば、攻撃はしない』

ギンガナム「・・・・・・貴様が裏切るか!!キンケドゥ・ナウ!!MS隊を出せ!
      ディアナ様に仇なす者どもを討滅するッ!!



ロラン「キンケドゥ少佐が寝返ったのか!?」

ハリー「にわかには信じ難いが・・・・・」

クワトロ「後ろも気になるが、今はギンガナムに任せよう」

ガトー「ハリー・オードの救援か!」

ハリー「ガトー!ノズルは見つかったか」

ガトー「かなり高度な細工が施されている。
    至る所に偽のノズルが散りばめられ、衛星の外壁内にもそれらしき物を見つけた」

アムロ「厄介だな」

クワトロ「しらみ潰しにするしかあるまい」

ガロード「そんな面倒臭いことしなくてもよ、俺たちがミスルトゥを吹き飛ばしちまえばいいんじゃないの?」

イザーク「アホか貴様!」

ソシエ「あれ、何?MSがこっちに来るわよ?!」


─首都ゲンガナム

ディアナの居城である白の宮殿近くでは、戦闘が起きていた。
宮殿を防衛していたギンガナム艦隊のノリス隊を、一機のMSが急襲したのだ。

ノリス「ええい!たかが一機のMSにこうまで苦戦するとはな・・・!」

サーシェス「臓物ぶちまけやがれぇ!!」

サーシェスの駆るMS・゛LE・O゛(レ・オ)のヒートロッドがマヒローのコックピットを貫く。

サーシェス「機体は爆発させんなだとォ?無茶言いやがるぜシロッコの野郎。
      ドーバーガンも使えねぇってのによ」

ノリス「シロー、何としても宮殿をやらせるなよ!御大将は今手が離せんのだからな!」

シロー「ノリス大名!冬の城にもMSが!」

ノリス「何!?──むぅッ!」

ノリスはレ・Oのビームサーベルをすんでの所で避け、マヒローの左腕のカッターでレ・Oのサーベルの柄を切断し、すかさず回し蹴りを食らわせる。シローのマヒローもハンドガンで攻めかかり、サーシェスは後ずさった。

サーシェス「ノリス相手じゃこっちがもたねぇな・・・・
      約束は違ェが、奥の手を使わせてもらうぞ、シロッコォ!!」



ノイン「いいか、キンケドゥ少佐の計画通りやるぞ!」

隊員たち「了解!」

ミスルトゥのハリーたちに迫ったのは、キンケドゥ艦隊のルクレツィア・ノイン率いるMS部隊であった。

ガトー「ノインのズサン隊!我々を阻みに来たか!」

マリィ「撃ってくるわ!」

アムロ「迎え撃つ!!」

粒子ビームとミサイルが飛び交った。

ハリー「ガトー、ここは我々に任せろ!ロランも、そのフラットでは戦えん!ガトーと共に行け!」

ガトー「頼む!」

ロラン「了解!」

ガロード「おい、みんな驚け!ドーベルマンの真の姿によ!!」

ガロード「トランスフォーム!!」

ソシエ「え!?」

ドーベルマンが背を起こし、四足が二足になる。頭部が押し上げられ、双眼とV字アンテナの付いた顔が現れた。

ソシエ「ドーベルマンが人になった!?」

クワトロ「可変MSだったとは!」

アムロ「それも、ガンダムタイプじゃないか・・・・!」

勇み立つガロードが敵中に飛び込んだ。ビームライフルを乱射し、挑発する。
ノインの部隊はそれを受け流し、ガロードを無視してミスルトゥへ接近する。

ガロード「おい!そりゃないよ!せっかくの見せ場なんだぜ!?」

イザーク「ガトー隊をやるつもりだな!?やらせるかよッ!」

イザークのスモーがノインの隊長機に接近戦を仕掛ける。
ノインのズサンは腕部のミサイルでイザークを軽く牽制すると、再び機体を衛星に向けた。

イザーク「こいつ・・・!舐めやがってェ!!」

アムロ「待てイザーク!様子が変だ・・・・!」

ガトー「くそッ、またしてもダミーか!」

ロラン「こっちもダミーです!!」

コウ「大名!マヒローのメガ粒子砲では外壁は崩せません!」

ガトー「どうしたものか・・・!」

ロラン「ガトーさん!敵が来ますッ!」

ズサン隊が火器を斉射する。ミサイルはロランたちの遥か遠方、ミスルトゥの外壁に着弾する。

コウ「へ、下手!?」

ロラン「いえ、違います・・・・この人たち・・・・・・!」

ガトー「・・・・・・・・・」

同じ頃、ギンガナム艦隊とキンケドゥ艦隊の間でも戦端が開かれた。

メリーベル「MSが来た!ギム、ここは私に任せてキンケドゥのホエールズを叩きな!──行け、お前たち!」

メリーベルの操るバンデッツ──MW(モビル・ウォーリア)システムにより無人操作される五機のバンデットたち──が一斉にズサンの一隊に撃ちかかった。ミサイルの直撃を受け、たちまち六機のズサンが爆散する。

ギンガナム「ええい、ちょろちょろと小ざかしいッ!!」

ギンガナムのターンXがホエールズの艦載機を撃ち落としていく。発掘されたばかりで万全の状態ではないターンXといえども、熟練したパイロットであるギンガナムが操れば、驚異的な力を発揮するのだ。

ギンガナム「なんだこいつら、逃げてばかりで骨が無いなァ!」

キンケドゥ「ギンガナム!待て!」

ギンガナム「あれは、キンケドゥ・ナウのズサン!!このターンXの前に、のこのこやってくるとはなァ!!!」

ギンガナムがライフルを連射する。その全てを回避したキンケドゥ・ナウが、ターンXに組み付いた。

ギンガナム「ぐぁッ!流石にやるな──接触回線だとッ!?」

キンケドゥ『ギンガナム、聞いてくれ!』

白の宮殿に、パプティマス・シロッコのシャトルが降り立った。宮殿の周囲にはマヒローの残骸が散乱していた。

シロッコ「サーシェスめ・・・・ゼロシステムは使うなと言ったはずだがな」

程なくして、そこにソレイユも到着した。

ハマーン「・・・・・派手にやったな」

シロッコ「あの男は戦闘狂だ。言葉など通じんよ」

ハマーン「冬の城はどうか」

シロッコ「既にカテジナが制圧した」

ディアナ「パプティマス・シロッコ・・・・・!!」

シロッコ「ご無沙汰しております、陛下」

ディアナ「核を持ち出したのはそなたか・・・!」

シロッコ「黒歴史が望んでいるのです。私はその手助けをしたに過ぎませんよ」

ディアナ「やはり、あの時、そなたを殺していれば・・・・・・・!」

シロッコ「フフ、今さら後悔しても遅いのだよ。サーシェス!ディアナを軟禁しろ」

シロッコ「では私はターンXを受け取りにキンケドゥのもとへ行く」

ハマーン「ぬかるなよ」


─ミスルトゥ

ガロード「こいつら、わざとはずしてんのか!?」

ソシエ「そんなわけないじゃない!ハマーンに寝返ったんでしょ?!」

マリィ「とにかく今は、衛星を止めることだけを考えましょう!」

ノイン「・・・・察してくれたか」

アムロ「ハマーンが現れただと!?」

ゴメス『ああ、ゲンガナムで演説を始めてる。ディアナ・ソレルも宮殿で拘束されているようだ』

クワトロ「やはりこのミスルトゥ落としは陽動だったのか。やつは月の実権を握るつもりだぞ」

アムロ「あのズサン隊の動きは気になるが・・・・俺は先に月へ行きハマーンを止める!」

クワトロ「待て!一人では危険だ。私も同行させてもらう。それと、ターンAは置いていけ。
     気づかれないように潜入せねばならん!」

アムロ「わかった!ハリー、ここは任せる!」

ハリー「ディアナ様を頼む!私もすぐに向かう!」


─ゲンガナム演説広場

ハマーン「──そして、軟弱なディアナ・ソレルの姿勢がカロッゾ・ロナの独走を招き、
     親衛隊とディアナ・カウンターの不毛な争いを許した!」

ハマーン「月への情報統制をした後、ディアナは秘密裏に地球のグエン・ラインフォードと通じ、
     月の技術と引き換えに地球の土地の独占権を得たのだ!
     ──さらにディアナは、決して許されぬ大罪を犯した。この映像を見ていただきたい」

聴衆からざわめきの声があがる。

ハマーン「そう、核です!ディアナは黒歴史の封印を解き禁忌の核を持ち出すと、親衛隊を使い、
     サンベルトを制圧していたカロッゾを抹殺しようと企んだ!
     核の力の前に平伏したカロッゾのディアナ・カウンターは今、地球人の軍を纏め上げ、
     月制圧への準備を着々と進めている!」

ハマーン「──断言しよう。ディアナ・ソレルは私利私欲のため月を売った、
     女王たる資格を持たぬ偽善者であると!!」

聴衆が沸き立った。

ハマーン「これより私はそのディアナを討つべく、ディアナ信者のギンガナム艦隊を殲滅した後、
     再び地球に降下し、ディアナ・カウンターを一掃する!ムーンレィスの民よ!
     私ハマーン・カーンが、月と地球に、真の平和をもたらすであろう!!」

万雷の拍手がこれに応えた。

少女「・・・・・お兄ちゃん・・・・・」

少年「俺はディアナ様を信じるよ」

少女「でも・・・・・」

少年「大丈夫だって。ここが戦場になったりはしないさ。アイスクリーム買ってやるから、元気出せよ、マユ」

少女「うん!」



アムロ「くそッ!一足遅かったか!!」

クワトロ「アムロ、ここで二手に分かれよう。私は港で待ち伏せる」

アムロ「ああ!」

クワトロ「・・・・・・・」

クワトロ「・・・・さらばだ」


─白の宮殿

サーシェス「はっはァッ!!こりゃあ戦争だぜディアナさんよォ!そりゃあもうとんでもねぇ規模のなァ!!」

ディアナ「・・・・・・このような・・・・ッ!」

サーシェス「そんな顔すんなよ、楽しもうぜ?ここには俺たちしかいねぇんだからよ」

ディアナ「触れるな、汚らわしいッ!!・・・・・・・・よくも我が臣下たちを・・・・!」

サーシェス「ああ、ここにいたヤツらのことか?
      楽しかったぜぇ、泣き叫びながら逃げ惑いやがってよォ・・・・・
      特にてめぇの侍女、あれは堪んねェよなァ!!」

ディアナ「・・・・・下衆がッ・・・・・!!」


─ミスルトゥ

ガロード「ちくしょう!またハズレかよ!」

マリィ「こっちもよ!」

ハリー「ええぃ・・・!これでは!」

イザーク「おい!ソシエはさっきから何を転がっているッ!」

ソシエ「宇宙で機械人形の運転なんてしたことないもの!」

ノイン「間に合うのか・・・・!?」

ガトー「駄目だロラン・セアック!月の引力がミスルトゥを捉えた!もはや止まるまいッ!」

ロラン「そんな・・・!・・・・・そうだ!」

ソシエ「どこに行くのよ、ロラン!」

ロラン「アムロさんが置いて行ったターンAですよ!サイロの中に、核爆弾が入っていたはずです!
    もう手段は選べませんッ!!」

ガトー「!!」

ハリー「あの時拾ったものがあったか!頼んだぞロラン!」



シロッコ「ミスルトゥは動いているな。キンケドゥ、状況を知らせ!」

キンケドゥ『パプティマス殿、ギンガナム艦隊は我が艦隊を前に降伏いたしました。
      予定通りターンXを射出します』

シロッコ「よろしい。座標を送れ」

シロッコ「・・・・・・後はシャアがターンAを持ち出せば全てのカードがこちらのモノになる・・・
     フフフ・・・」


─モクバ

ゴメス「どうしたロラン!今モクバからも砲撃してるが、ノズルらしきモノは見当たらん!」

ロラン「ターンAを借ります!」

グエン「ターンAだと!」

ロラン「ヒゲです!」


─ゲンガナム

ハマーン「ミスルトゥが落ちるか・・・プル、シャトルを持って来い」

プル『了解』

ハマーン「!」

ハマーン「このプレッシャー・・・・・・・アムロ・レイか」

アムロ「ハマーンには死んでもらうッ!」ジャキッ

ハマーン「そんな玩具で!」キィィィン

アムロ「──!!グッ・・・・・!がァッは!!」

ハマーン「・・・・・この程度のサイキック・インプレッションにも耐えられんとはな。
     パイロットばかりやっていれば、こうもなろうが」

アムロ「ぐ・・・待て、ハマーン・・・・!!」

ハマーン「殺しはしないよ。シャアが悲しむ」



ロラン「ターンAか・・・・なんだか懐かしい気がする・・・・・」

ロラン「核を使います!皆さん、ミスルトゥから離れてください!!」

ソシエ「ロラン!」

ハリー「目いっぱい離れろ!スロットル全開でェ!!」

ガロード「逃げろォー!!」

ノイン「ターンAが何か掲げている・・・・ハリーオードからの光通信?・・・・・・!!」

ノイン「全員退避しろ!今すぐに!!」

ロラン「人の英知が生み出したものなら──」

ロラン「人を救ってみせろォォォ!!!」



シロッコ「ターンX・・・・・・生命反応は無し。小細工はないな・・・フフ」

シロッコが乗る、赤く塗られたバンデットがターンXに接近した時であった──

ギンガナム「かかったなァ!!シロッコォォォ!!!」

シロッコ「──ッ!?」

ターンXが起動し、溶断破砕マニピュレータが唸りを上げる──

ギンガナム「穿て!!!シャァァイニング!フィンガァァァァ!!!」

──その瞬間、ミスルトゥが閃光に包まれた。周辺宙域が震撼し、一瞬あらゆる電波が乱れる。

ギンガナム「な、何だァ!?」

シロッコ「あの光・・・・・!やつら、核を奪っていたのか!おのれ!!」

核爆弾により、崩落していくミスルトゥ。

ロラン「止まった・・・止まったのか・・!?」

ノイン「これが、黒歴史の光・・・・・!」

ソシエ「核・・・・・・」

ソシエの脳裏によみがえる、最愛の人が消え去る瞬間──

ソシエ「・・・・・ギャバン・・・・・!」

ガトー(・・・・・・・・・)


─モクバ

オリヴァー「ミスルトゥは完全に停止しました!」

グエン「相変わらず、凄まじい威力だ・・・!」

キエル「・・・あの光、人殺し以外にも使い道があったのですね」

ゴメス「これでようやく一息つけるな」

モニク「それはキンケドゥ艦隊を何とかしてから言う言葉だ」



ハマーン「何が起きた!?」

ガトー『・・・・ターンAの核爆弾がミスルトゥを焼いた。作戦は失敗だ』

ハマーン「何・・・・!?」

ガトー『私は一度ギンガナム艦隊へ戻る』

ハマーン「わかった。ジャンダルムで合流しよう」

ハマーン「・・・・・・」

ハマーン「・・・・シャアか」

クワトロ「・・・・・・・」

ハマーン「ターンAはどうした」

シャア「すまない。機を逃した」

ハマーン「・・・・・・この代償は高くつくぞ」

シャア「すまないと言っている」

そこにプルのシャトルが現れた。

プル「キャスバルー!迎えに来たよ!」



ギンガナムが追撃し、シロッコが応戦する。

ギンガナム「シロッコ!逃がすかァ!!」

シロッコ「貴様!コックピットには生命反応など・・・・!」

ギンガナム「数分間心の臓を止める程度のこと、このギム・ギンガナムに出来ぬと思ったか!!」

ターンXとバンデットの間を閃光が走った。

カテジナ「詰めが甘いんだよ、シロッコ!」

シロッコ「気をつけろ!ターンXは本来の力を取り戻しつつある!」

ギンガナム「カテジナァ!!!」

ターンXのメガ粒子砲がレ・Oを捉えた──と思われた瞬間、レ・Oが、超絶的な動きでそれを回避した。

ギンガナム「何だとォ!?小生の動きを先読みしたというのか!」

カテジナ「うふふ・・・・ゼロシステムを舐めるんじゃないよ!!」

高揚状態のカテジナがギンガナムと激しく切り結ぶ。

カテジナ「!!シロッコ、キンケドゥ艦隊がまっすぐこっちに向かってくるぞ!」

シロッコ「キンケドゥ・ロナめ・・・・!こちらにはカイラスギリーがあること、忘れたわけではあるまい!」

ギンガナム「カイラスギリーはなぁ!
      このターンXのコックピット、つまりターンXトップがトリガーになるんだよォ!!」

シロッコ「万全でないターンXが、トリガーなどになれるものかよ!!」

ギンガナム「それはどうかなァ!?やってみなければわからんぞォ!!」

シロッコ「俗人が偉そうにッ!」

ギンガナム「俗人で結構である!!!」

カテジナが接近しギンガナムに斬りかかり、シロッコがミサイルで動きを封じる。
二人のコンビネーションの前に、苦戦を強いられるギム・ギンガナム。

ギンガナム「ほらほら、小生が苦戦しておるぞォ!?誰が救援に駆けつけてくれるかなぁ!?」

そこへ駆けつけたのは──

ロラン「御大将!!」

カテジナ「ターンAが来た!!」

シロッコ「シャア・アズナブルがぬかったか!あのニュータイプの出来損ないめ!!」

ギンガナム「ローラァ!その声はローラではないかァ!?」

時を同じくして、荷電粒子砲塔を搭載した月の要塞・カイラスギリーに、ハマーンが座乗する戦艦・ジャンダルムが現れた。

ハマーン「ディアナ討伐の最初の一歩として、ギム・ギンガナム艦隊を駆逐する!我に続け!!!」

ピピニーデン「ハマーン様の仰ることこそが正義!!我々はハマーン様の旗下に入らせていただく!!」

キンケドゥ「待て!あの演説を鵜呑みにしちゃだめだ!ハマーンはディアナ様を貶めたんだぞ!
      義父さんは──いや、地球の人たちは月制圧なんて考えちゃいない!!」

ピピニーデン「止めるのならば!ロナ少佐とて容赦はしませんぞ!」

ハマーンの号令に応えたのはピピニーデン隊、チャリオット隊を始めとする、キンケドゥ艦隊の実に半数以上であった。

キンケドゥ艦隊のハマーン派たちが、一斉にギンガナム艦隊に攻撃を始めた。

キンケドゥ「ディアナ・ソレル、応答しろ!」

スエッソン『なんだ、御大将は今いないぞ』

キンケドゥ「俺たちはギンガナム艦隊を援護するッ!」

スエッソン『助かる!あのモクバも共同戦線を張ってくれるらしい』

キンケドゥ「ターンタイプが二機いれば、この戦力差もあるいは・・・・!」



モニク「おい!ルクレツィア・ノイン聞えるか!」

ノイン『キャディラック特務大尉か!マイ技術中尉も・・・・』

モニク「試験パイロットにはもっとまともな奴をよこせと、お前の彼氏に言っておけ!!」

ノイン『ゼクスに・・・わかった。伝えておこう』


─ゲンガナム・白の宮殿

ハリー「アムロとシャア大佐はどこだ?ハマーンにやられたわけではあるまいな・・・・」

ハリー「あれはソレイユ!・・・・!


サーシェス「おいでなすったな、ズングリムックのおスモーさんよォ!!」


バンデットのミサイルをシールドで弾きながら、ターンAがレ・Oのヒートロッドを斬り落とす。
二機のターンタイプが背中を合わせる。

ギンガナム「ターンAを上手く使いこなしているじゃないか、ローラァ!!我が艦隊に入るつもりはないか!?
      こっちで男を磨けば、小生のように逞しく魅力的な男になれるぞぉ、ローラァ!!」

ロラン「僕はロランです!御大将、ハマーン一派がギンガナム艦隊を攻撃しています!
    ここは僕に任せて下さい!」

ギンガナム「そうはいかんのだ!ここでシロッコを叩かねば取り返しのつかないことになるのだぞ!!
      そんなことも解らぬローラではあるまいにィ!!」

シロッコ「何をゴチャゴチャと!落ちろッ!!」

カテジナ「死ねェ!!」

ロラン「うおおおおおッ!」

ギンガナム「チェエエストォォォォ!!!」

四機が激突する。二機のターンタイプが、光を放つ。

ロラン「なんだこれは!?」

ギンガナム「どうしたのだ、兄弟ィ!!」

シロッコ「これは・・・!?・・・聞えるぞ、黒歴史の声が!!」

その頃、ギンガナム艦隊とハマーン一派は激しく交戦していた。

ガロード「敵も味方もごちゃごちゃしてやがるぜ!」

ガロードのドーベルマンがズサンをなで斬りにしていく。
宇宙にあがってからのガロードのパイロットとしての成長には、目覚しいものがあった。

ソシエ「ほんとにガロードなの!?アムロじゃないわよね!?」

マリィ「アムロさんたちはいないのだから、気を引き締めましょう!」

イザーク「ハマーンにカイラスギリーを撃たれたらおしまいだぞ!!」

ゴメス「ミノフスキー粒子散布!弾幕を張れ!モクバで突っ込むぞ!」

モニク「おい!死にに行くんじゃないんだぞ!?」

オリヴァー「左舷前方より敵MS六機、来ます!」

ゴメス「迎撃ィ!!」


─ジャンダルム

プル「キャスバル、私たちも行こう!」

シャア「しかし、私のバンデットはシロッコが持っていってしまったのだ」

プル「私が取り返してきてあげる!キュべレイで出るよ!」


─D・ソレル

スエッソン「ガトー、待ちやがれ!!御大将を裏切る気か!」

ガトー「ディアナ・ソレルでは、月と地球に安寧をもたらすことはできん!
    より強い主導者が求められているのだ!」

スエッソン「ハマーン・カーンが女王になどなれるものかよ!」

コウ「ガトー大名!ハマーンは衛星落としを仕掛けるような人間なんですよ!?」

ガトー「犠牲も無しに革命など果たせん!ウラキよ、大義のため時には必要な血もあるのだ!」

コウ「納得できません!」

ガトー「ならば死んでもらうッ!」

ガトーのマヒローがD・ソレルのブリッジにサーベルを振り下ろした。が、三発のミサイルがそれを防いだ。

ノイン「ガトー覚悟ォ!!」

ガトー「邪魔をするなァ!」

スエッソン「おい、コウ、ノイン!この御大将の船をぶっ壊すんじゃねぇぞ!
      いや、むしろ傷一つでもつけてみろ!!俺の首が飛ぶぞ!!!」



カテジナ「ターンタイプがどうしたんだい!?」

ロラン「共鳴しているのか・・!??∀?の文字が出てきた!」

ギンガナム「こっちは?X?の文字がァ!」

シロッコ「・・・・・・冬の城へ向かうぞ!カテジナ!」

カテジナ「!!まさか・・・・・?!」

シロッコ「黒歴史を公開する時が来た」

カテジナ「アハハハハッ!やっとかい!最後まで付き合わせてもらうよ、シロッコォ!」

ギンガナム「行かせるかァ!!」

そこへ、真紅のMSが単機で現れた。

プル「キャスバルのバンデットを返してよ!シロッコ!」

シロッコ「プルのキュべレイか!カテジナ、そっちへ乗せろ!」

プル「ファンネル!!」

キュべレイが全てのファンネルを放った。プルの脳波に操られ、複雑な軌道を描きながら一斉に襲い掛かる。

ロラン「サイコミュ兵装か!」

ギンガナム「ええい!ターンXのサイコミュはまだ使えんのだぞ!!」

無数の粒子ビームが二機のターンタイプを翻弄する。

ロラン「御大将、シロッコが逃げます!」

ギンガナム「待てやァァァ──ぐわッ」

プル「落ちろ、落ちろ!」

ギンガナム「ローラはシロッコを追え!ここは小生に任せェい!!」

ロラン「頼みました!」

─ジャンダルム

ハマーン「む?接近する友軍機があるな」

シャア「私のバンデットだ。無人操作で帰ってきたのだろう。私も出る」

ハマーン「墜ちるなよ」

シャア「ギンガナムごときに不覚はとらんよ」

冬の城──数百万人のムーンレィスが眠るこの場所に、黒歴史がそっと息を潜めている。
城の管理を任されるのは、千年前ディアナ軍としてマリア主義者と戦った七人の兵士たち──
カミーユ・ビダン、ブライト・ノア、アスラン・ザラ、ジャミル・ニート、マフティー・ナビーユ・エリン、ウッソ・エヴィン、ドモン・カッシュ
──この七人が五年ごとに交代で城を管理し、その間、他の六人は冷凍睡眠の中にいる。

アムロ「・・・う・・・・ここは?」

ドモン「・・・・・・・・・」

アムロ「君は・・・」

ドモン「ドモン・カッシュだ。この冬の城を管理している」

アムロ「・・・俺は、確かハマーンを・・・・」

ドモン「あんたは気絶していた」

アムロ「・・・・・ミスルトゥは?」

ドモン「ロラン・セアックの核が防ぎとめた」

アムロ「ターンAを使ったのか」

ドモン「・・・・・」

アムロ(無口な男だな・・・・)



ロラン「逃がしません!」

シロッコ「ええぃ、しつこい!カテジナ!」

カテジナ「任せときな!」

レ・OがターンAに向けてダミーバルーンを撃ちだす。

ロラン「小賢しいッ!」

ターンAがサーベルで切り払うと、仕込まれていたEMP爆弾が炸裂した。
ロランとターンAを電磁パルスが襲う。

ロラン「ぐぁぁあッ!」

カテジナ「ちょろいよねぇ」



プル「何なんだよぉ、お前!」

プルは今にも泣き出しそうだった。三十基ものファンネルが放つビームが一発もターンXに当たらないのだ。
それどころかギンガナムはそのファンネルを、サクサクと斬り落とし始めている。

ギンガナム「ふぅむ。シロッコの言ったとおりターンXはどうも本調子ではないようだなぁ。
      果たしてカイラスギリーをコントロールできるのか、不安になってきたぞ」

珍しく後ろ向きな発言を口にしつつも、既に十基近いファンネルを落としているギンガナムなのである。

ギンガナム「貴様はなァ!シャア・アズナブルの周りで、プルプル言っていればいいのだァ!!」

プル「うわぁあ!助けてぇ、キャスバル!」

ターンXの溶断破砕マニピュレータを、真紅のバンデットのビームサーベルが受け止めた。

ギンガナム「む!?何やつ!シロッコではないな!?」

シャア「遅れてすまないな、プル」

プル「キャスバル!」

ギンガナム「シャア・アズナブル!貴様、クワトロ・バジーナをやっていたのではなかったのかァ!!」

シャア「お遊びはやめたのだよ」


─冬の城

アムロ「──そうか・・・・ブライトやカミーユもこっちに来ていたんだな」

ドモン「こっち?」

アムロ「この世界にだよ」

ドモン「ここ以外の世界があるのか?」

アムロ「・・・何だって」

ドモン「・・・・・・・」

ドモン「そういえば昔、カミーユやシャアも同じようなことを言っていたな・・・・・
    元の世界では、とか、こっちの世界は、とか・・・・俺には何のことかさっぱりなんだがな」

アムロ「気づいたら見知らぬ場所で寝ていたんだ。理由は分からない」

ドモン「黒歴史が別の記憶を呼び覚ますことがある、というのは聞いた事がある。カミーユなんかもそうだろう。
    黒歴史に触れる前は普通のムーンレィスだった。
    あんたのように世界を飛び越えて来たのは他にシャアだけかもしれない。
    彼も千年以上前、突然現れたらしい」

アムロ「一体どういうんだ・・・・」

ドモン「俺には理屈で理解できるとは思えない。そういうものだと諦めるしかないな」

ロラン「アムロさん!」

アムロ「!!ロラン、ターンAも!」

ロラン「わあ!ドモン・カッシュさんだ!」

アムロ「知り合いなのか?」

ロラン「ドモンさんはアクションスターなんですよ!去年公開された、
   『東方不敗、暁に死す!』すごく面白かったです!CGに見えませんでしたよ、あれ!」

ドモン「いや、あれはだな・・・・・」

ロラン「僕の友達のイザークが大ファンなんです!」

ドモン「そうか・・・・」

ロラン「そんなことよりアムロさん、大変なことになりました」

アムロ「話はドモンから聞いた。俺がハマーンを討ち損じたばかりに・・・」

ロラン「あまり自分を責めないで下さい。それより、ここにはもうすぐ──」

冬の城上空に、レ・Oが現れた。

アムロ「!!このプレッシャー・・・!シロッコか!」

ロラン「アムロさんはターンAに乗ってください!僕はソレイユのホワイトスモーをとってきます!」

アムロ「わかった!」


─モクバ

グエン「ゴメス艦長、後退しろ!前に出すぎた!」

ゴメス「MS隊は何をやってる!」

ソシエ「敵に囲まれるわ!」

ガロード「ふんばれェ!!」

三機のズサンがモクバにミサイルを発射する。機関砲の迎撃を潜り抜けた数基が船体に直撃する。

モニク「うわ、食らったぞ!」

グエン「被害は!!」

オリヴァー「メガ粒子砲が一門潰されました!このままでは・・・!」

メリーベル「モクバはもう沈むのかい!」

マリィ「メリーベル・ガジットのバンデッツよ!」

グエン「救援感謝する!」

メリーベル「モクバ隊はD・ソレルと連携してジャンダルムを叩きに行くよ!」


─白の宮殿

ゼロシステムを解放しバーサーカーと化したサーシェスの怒涛の攻撃の前に、さすがのハリーも窮地に陥っていた。

ハリー「これがあのノリスをやった力なのかッ・・・・!しかし、ここでやられる訳にはッ・・・・・!」

サーシェス「どうしたどうしたァ!親衛隊のハリーさんよォ!!」

レ・Oのヒートロッドがビームガンを持ったスモーの右腕を切り落とす。

ハリー「なんとォ!」

スモーのヒートファンがレ・Oの右足を叩き切る。

サーシェス「ハッハァ!楽しませてくれるじゃねぇか!」

ロラン「ハリー隊長!」

ハリー「ロランのスモーか!」

ロラン「ハリー隊長、冬の城にシロッコが!おそらく黒歴史の封印を解くつもりです!」

ハリー「何!?」

ロラン「今アムロさんがターンAで戦っています!」

ハリー「ロラン!シロッコの前にまずはサーシェスを討つ!」

サーシェス「やれるもんならなァ!!」

ロランのスモーがビームガンを連射した。サーシェスはその全てを完璧に回避、ハリーのスモーを踏み台にし、接近し斬りつける。
ロランがそれをヒートファンで受けるのを予測したサーシェスは、サーベルを投げ捨て、ドーバーガンを構える。ロランのスモーのサーベルが空を切った。

ロラン「!!」

サーシェス「もらったァァァ!!」

その瞬間ハリーのスモーが後ろから蹴りをいれ、バランスを崩したレ・Oの頭部をロランが斬りおとし、さらにハリーが追撃しドーバーガンを叩き落す。
サーシェスはとっさにロランのスモーにヒートロッドで突きをいれるが、わずかにコックピットを外し、逆にハリーのスモーのIフィールドサーベルに乗機の両腕を斬りおとされる。

サーシェス「この俺の予測が追いつかねェだとォ!?」

ロランがビームガンをゼロ距離からコックピットに撃ちまくり、レ・Oは四散した。

ハリー「ロランは先にアムロのところへ!私はディアナ様をお助けする!」


─冬の城

アムロ「カテジナ・ルースか!!」

カテジナ「シロッコはとっとと黒歴史の管理室へ行きな!アムロ・レイは私がやる!」

シロッコ「ドモン・カッシュ。鍵を渡してもらおう」

ドモン「・・・・・・」

シロッコ「・・・カイラスギリーは私の一存で撃てるのだぞ」

ドモン「・・・・・受け取れ」

カテジナ「死ねェ!アムロ・レイ!!」

カテジナのドーバーガンをかわしつつ、アムロがビームサーベルを引き抜く。
それを見たカテジナもサーベルを引き抜くが、アムロはサーベルをダーツのごとくカテジナ機に投げつけた。

カテジナ「何!?」

カテジナがサーベルでそれを弾いた時には、ターンAが目の前で二本目のサーベルを振っていた。
カテジナは何とかそれを避け、斬り返すがかわされる。

カテジナ「こいつ、前より速くなってないか・・・・・!?」

アムロ・レイはターンAに乗り続けることで、その感覚をさらに研ぎ澄ませることに成功していた。
アムロ・レイは成長しているのである。カテジナは戦慄した。

シロッコ『アムロ・レイ聞えるか!私は今黒歴史の部屋にいる』

アムロ「シロッコ、黒歴史を解放してどうするつもりだ!」

シロッコ『宇宙世紀、未来世紀、アフターコロニー、アフターウォー、コズミック・イラ、
     そして西暦──これら全ての時代の技術と歴史が、この正暦というひとつの時代に再現された時、
     一体どんなカオスが我々を待っているのか・・・・・私は単純に興味があるのだよ』

アムロ「貴様は自分の欲求のために世界を破滅させるつもりか!」

シロッコ『自分の欲望に正直に生きることは、何も悪いことではない。
     黒歴史自身がそれを望んでいるのなら、なおさらな』

アムロ「黒歴史の意思だっていうのか・・・!」

シロッコ『そうだよ。私は千年前、黒歴史に触れた時から、黒歴史の声を聞くことが出来る唯一の人間になった。
     戦うことしか能の無い貴様とは格が違う!』

シロッコ『黒歴史がこの世界に、人の心にどんな波紋を描くか・・・・とくと刮目せよ!』

黒歴史が解放され、月の上空、宇宙空間、いたるところにその映像が投射された。

変調が起きた。黒歴史が、一部の人々の記憶を呼び覚ましていく。

『ソロモンよ、私は帰って来たッ!!』『今持っている肉体にだけ囚われるから!』

グエン「何だこれは!?」

キエル「このような光景は初めて目にします・・・・!」

ゴメス「月の技術によるものなのか!?」

オリヴァー「スクリーンなんて無いのに・・・!?」

モニク「映画か、アニメか!?」

ジュド「・・・・・・・・・違う・・・・アニメなんかじゃない・・!これは・・・・・・これは・・・・・!」

『戦いの歴史は、繰り返させません!』『引き金くらい感情で引け!己のエゴで引け!無慈悲なまでにィ!!』

ソシエ「なによこれ・・・・・見て、ロランが映ってる!」

マリィ「何か・・・・頭の中に何かが・・・・・!」

ガロード「この動く写真みたいなの、宇宙に浮いてるのか!?」

イザーク「どういうことだ、これは!!」

メリーベル「・・・・・・えらい事になったね、こりゃ・・・・」

『バーニィ、もう戦わなくていいんだ!』『月光蝶であるッ!!』

ハマーン「シロッコめ・・・・!」

シャア「・・・・・・・・黒歴史が・・・・・ッ!」

プル「なぁにこれ・・・!?」

ギンガナム「おおッ?!小生はいつの間に銀幕デビューしたのだァ!?」

ギンガナム「──と思ったが・・・・これは間違いなく黒歴史であるなぁ・・・・・シロッコめぇ・・・
      ディアナ様が決して公開してはならぬと仰っていたものを垂れ流すとはとんだ不届き者だ!!
      誅さねばならぬなァ!!!」

『待たせたな、ヒヨッコどもォ!!』『女たちの所へ戻るんだ!!』

ハリー「間に合わなんだか!」

ディアナ「シロッコ・・・・お主は取り返しのつかないことを・・・」

『また戦争がしたいのか!あんたたちは!』『悲しいけどこれ、戦争なのよね!』

少女「・・・・・・これ、お兄ちゃんだよね?」

少年「・・・・・・・・・マユ・・・・・・・生きてる・・・・」

少女「え?」

少年「マユが生きてる!!」

少女「???」

『行け、アクシズ!忌まわしい記憶と共に』『早く戦争にな~れ!』

アムロ「シャアだとッ!?この映像は、俺の生きた世界のものだ・・・・!!」

ロラン「これが・・・黒歴史だというのか・・・・?」

ドモン「・・・・・・これは禁忌だ」

カテジナ「アハハハハハ!すごいじゃないのさ!これが──」

『ガンダムよ、天に昇れ!』

カテジナ「──!!!」

カテジナ「・・・・・・・あ、あああ、ああ、坊やが・・・」

シロッコ「カテジナの記憶も目覚めているな。人々の記憶の目覚めが世界をどう変えるか・・・見ものだな」

『カテジナさん・・・!」

カテジナ「!!」


少年の声を聞いたカテジナは激しく動揺した。そしてその動揺は錯乱を招いた。
カテジナが気づいた時には彼女はもう引き金を引いていた。
カテジナの記憶と共に呼び覚まされたトラウマが、彼女にそうさせたのだ。


冬の城が崩れ落ちていく。
辛くも逃げおおせたシロッコが、アムロとロランとドモンがその様子を呆然と眺めていた。

冷凍睡眠中の人々と、六人の城の管理人の声無き断末魔の声が、宇宙を駆けた。
その断末魔は殊にニュータイプたちの精神に大きな打撃を与え、身体にまでその影響を及ぼした。

アムロが吐血し、シロッコが嘔吐し、ハマーンが失神し、シャアが号泣する。

シャア「カミーユ・・・・・・ブライト・・・・・・おのれ!カテジナ!!」

アムロ「・・・・・人は過ちを繰り返すのか・・・・!」

シロッコ「カテジナァ・・・・・!貴様何をしたァァ!!」

カテジナ「だ、だって、坊やの声が・・・・」

ウッソ『カテジナさん・・・・・・・』

カテジナ「ほら!」

シロッコ「幻聴だ!愚かな真似を・・・・
     カミーユ・ビダンたちを殺したことは間違いなくハマーンやシャアの逆鱗に触れた・・・!
     奴らは我々を敵として認知するだろうな・・・!」

ウッソ『カテジナさん、こんな過ちを、いったい何度繰り返すんです・・・!』

カテジナ「アタシは今全てを思い出したんだよ・・・クロノクル・・・シャクティ・・・
     カルルマンだって・・・・」

カテジナ「こんな記憶が頭の中にいっぺんに流れこんできて、人が正気でいられると思うのかい!?」

ウッソ『あなたの業が強すぎたんですよカテジナさん!』

カテジナ「じゃあそれなら、アタシの深すぎた罪業がまた過ちを生んだのなら、
     あんたが今度こそ止めを刺しておくれよ!アタシを救っておくれよ!
     坊やならそれができるんだろ!?ウッソ・エヴィンなんだろう!?」

ウッソ『・・・・・・できませんよ・・・あなたが今、すべてを焼いてしまったんです・・・・・』

カテジナ「ウッソ!待って、アタシも連れて行って──」

ドモン「カテジナァァァ!!絶対に許さんッ!!!」

カテジナ「!!」

ロラン「ドモンさん、生身でどうしようっていうんです!?」

ドモンが超人的な動きで約十メートルの高さにあるレ・Oのコックピットへ駆け上がった。
装甲を素手で引き剥がし、ハッチをこじ開ける。

ロラン「僕は今夢でも見ているんでしょうか・・・・・・・」

アムロ「あれで本当に人間なのか!?」

ドモンはカテジナを地上に引きずり下ろすと、カテジナの頭めがけて拳を振り上げた。

ドモン「!」

カテジナ「ウウウ・・・・殺しておくれ・・・・もう・・・」

ドモンは拳を収めた。

ドモン「・・・できない」

カテジナ「・・・どうして・・・・・・」

その様子を、ソレイユのハリーとディアナが見ていた。

ハリー「よろしいのですか?あのような大罪人には、情け容赦ない報いを与えるべきかと」

ディアナ「罪びとに情けをかけぬなと申すのなら、彼女の場合、情けをかけ生かすべきでしょう・・・・・」

アムロ「・・・・・・・・・」

ロラン「・・・・・・・・・」

記憶の再生が、人を幸福にした。

少年「あああ・・・マユ・・・!マユゥ!!」

少女「お、お兄ちゃん!離れてよ!痛いし・・・・・恥ずかしいよ!!」

少年「離れるもんか!!もう二度と!!」

人に背負いきれぬ罪科を与えた。

カテジナ「アアア・・・・・ウワアアアアア・・・・・」

黒歴史の公開が人類と世界に幸をもたらすのか不幸をもたらすのかは、誰も知らない。
しかし、采は投げられたのである。

シャア「ええい、放せプル!彼らの仇をとらねばこの心は鎮められんッ!!」

プル「だめだよ!その機体じゃ、シロッコに殺されちゃう!」

ハマーン『プルの言うとおりだ。トリガーはまだシロッコのブラックドールが握っている。
     前へ出れば我々も背後を撃たれるぞ』

シャア「しかし、カミーユたちが殺されたんだぞ!シロッコとカテジナと刺し違えてでも・・・・!」

ハマーン『落ち着け!ここで我々が討たれては元も子もない。シロッコは孤立している。
     使えるものは利用しきったほうが良い。殺すのならばその後でも遅くは無い』

シャア「・・・・・・・しかし・・・」

シャア「すまない、カミーユ・・・・・またしても・・・・お前を救うことができなかった・・・・・!」

ジャンダルムとピピニーデン率いる護衛艦隊が、カイラスギリーの裏側へと引き上げていく。

シロッコ「フフ、英断だよ、ハマーン。
     さて、ターンXが力の全てを解放する前に、ギンガナムを叩かねばな・・・・」



ギンガナム「冬の城が焼かれたァ!?先ほどのえも言われぬ不快感はそのせいであったか・・・・ハリー!!
      我が親友のドモン・カッシュは生きておるのであろうなァ!!」

ハリー『奴は不死身だ。人類では殺せんよ。それよりも、そちらにシロッコが向かったはずだ、気をつけろ。
    カイラスギリーは制圧できたか』

ギンガナム「いや、ハマーン一派の防衛網がなかなか破れんのだ。ガトーも裏切り、どうも旗色が悪い」

ハリー『ソレイユとターンAもすぐそこへ駆けつける』

ギンガナム「ディアナ様はご無事だろうなァァ!?」

ハリー『無論だ、私を誰だと思っている』

ギンガナム「親衛隊隊長のハリー・オード大尉であるッ!!」

ギンガナム「む?あれはブラック・ドール!シロッコめェ!あんなモノを持ち出しおって!!」


─モクバ

スエッソン『ハマーンが要塞の裏側に逃げた!
      カイラスギリーの制御を誰が握っているかわからん以上は、奴も放置しておくわけにはいかん!
      ここはギンガナム艦隊に任せろ!!』

ゴメス「わかった!俺たちはキンケドゥの兄ちゃんと一緒にジャンダルムを討つ!」

モニク「マリィが帰投するぞ、ハッチ開け!」

グエン「どうしたのだ、マリィ!」

マリィ『すみません・・・あの映像を見たら、何だか気持ちが悪くて・・・・・・』

オリヴァー「んん?僕は何ともないぞ?」

モニク「お前みたいな昼行灯とマリィじゃ比較にならないんだよ、バカ!」

その時、一機のMSがハッチを飛び出していった。

ゴメス「ゼロガン!?おい、誰が乗ってる!」

ジュド「これ以上、悲しみを増やしちゃいけない!!」

キエル「ジュドお爺さん!?」

グエン「おい、ジュド爺さん!どうしたというのだ!!」

ジュド「違う・・・・!俺はジュド爺さんじゃない・・・・」

ジュドー「俺はジュドー・・・・!ジュドー・アーシタなんだよ!!!」

ガロード「なな、何だって!?」

イザーク「とうとうボケたのか!!」

ソシエ「ジュド爺さん、どこへ行くのよ!!」

ジュドー「ハマーン・・・!あんたはまた・・・間違いを犯すのかよ!!」



ハマーン「!!」

ハマーン「この波動・・・ジュドー・アーシタ・・・・!・・・黒歴史が記憶をここへ呼び寄せたのか」

シャア「・・・・・モクバが来る」


シロッコのブラックドールのメガ粒子砲の斉射が、三隻の戦艦と二十数機のMSを鉄くずに変える。


─D・ソレル

スエッソン「ば、化け物かァッ!?メリーベルを前に出せ!この艦が危うい!」

ギンガナム『スエッソン!メリーベルは下げろ!冬の城が焼かれたんだぞ!!』

スエッソン「しかし御大将、このままではD・ソレルが・・・・!」

ギンガナム『シロッコは小生に任せておけばよい!!貴様はガトーを警戒しろ!』

コウ「ガトォォォォォォォ!!!」

ガトー「む!ウラキか!」

コウ「ここで・・・決着をつけるッ!!」

ガトー「!!動きが違う・・・・・!!本当にあのウラキなのか!?」

コウとガトーのマヒローが激突した。

シロッコ「ふ、ギンガナムめ。ターンXなどと、俗人に似合わぬ代物をッ!!」

ギンガナム「ブラック・ドールゥ・・・・・でかければ強いというのはなァ!!
      心の弱い人間が、力の限りを尽くして張る薄っぺらな虚勢なんだよォォ!!!」

シロッコのブラックドールのサイコミュハンドがターンXを襲う。
さしものギンガナムも、シロッコ相手では余裕は無い。

ギンガナム「おこちゃまプルのようには行かんかァ!」

ターンXの機体の各部が分離し、ブラックドールのオールレンジ攻撃をかわす。

シロッコ「ええい、サイコミュ兵装を解放したか・・・!時間が無い!」

ハリー「シロッコ覚悟ォ!!!」

シロッコ「ゴールド・スモー!まとめて始末されに来たかァ!!!」

ハリー「ギンガナム!!チームワークでェェ!!!」

シロッコ「ディアナ・ソレルの飼い犬は、ディアナの尻だけ追いかけていればいいッ!!!」

ハリー「何ィッ・・・・!!」

ギンガナム「ディアナ様の尻とほざいたかァァ!!」

ハリー・ギンガナム「オ・ノォォォォレェェェェェ!!!!」


─D・ソレル

スエッソン「コウのやつがあのガトーと渡り合いやがってるのか!
      ま、その程度のこと、この俺様にもできるがな!」

ロラン『スエッソン大名!救援に来ました!』

メリーベル「ローラのロランかい!すっかりギンガナム艦隊の一員になってるじゃないか、アハハッ!」

ロラン「僕は親衛隊のロランですッ!」

ロラン「メリーベルさん・・・・あなたを死なせるわけにはいかないんです・・・!」

メリーベル「・・・・・そうかい。迷惑かけるね」

スエッソン「チャリオットの隊が来るぞ!撃ち方始めーッ!」

メリーベル「行け、お前たち!」

メリーベルのバンディッツとロランのホワイトスモーが、敵味方入り混じる戦闘に飛び込んだ。

その頃、カイラスギリーの裏ではジャンダルム艦隊とモクバ・キンケドゥ艦隊も交戦状態にあった。

プル「ぷるぷるぷるぷる~!」

先鋒のプルのキュべレイがファンネルを発射した。

ソシエ「なにあれ!?ふわふわしたのが来るわ!」

ガロード「変なキノコ!」

イザーク「サイコミュだッ!ソシエは下がれ!」

ピーリス「大佐、あの艦から、何か嫌な感じがします」

シャア「モクバだよ。ティファは実戦の感覚を掴めればいい。私のそばを離れるな」

ティファ「・・・・・・・はい」

キンケドゥ「おい、弾幕薄いぞ!左舷から敵が来てるじゃないか!」

キンケドゥの艦ではオペレーターは役立たずである。
レーダーが危機を知らせるより先に、キンケドゥ・ロナの感覚がそれを察知してしまうのだ。


─モクバ

ディアナ『冬の城が焼かれ、冷眠中の民とワタクシの古き友が死にました』

グエン「何と・・・・」

ディアナ『同時に黒歴史の記録も闇に葬られてしまいました』

グエン「!!」

ゴメス「あんなもの始めから無いほうがいいんだし、良かったじゃないか」

ディアナ『必要だからあのような形で残されていたのです。
     戦いの歴史を繰り返さないためには、無くてはならぬ物なのです』

グエン「もとに戻す方法は無いのですか!」

ディアナ『・・・・・一つだけあります』

モニク「と、言いますと?」

ディアナ『かつて黒歴史を、人体に移植する計画がありました』

キエル「体の中、でございますか?」

ディアナ『ええ。千年前、ギルバート・デュランダルという遺伝子学者が、
     人の遺伝子に黒歴史の情報を刷り込む技術の開発に成功しました』

ディアナ『大変危険が伴う移植手術です。何せ人類の何百万年分もの歴史の全てを一身に宿すのですから、
     普通は精神が溢れて壊れてしまうのです。多くの実験体が犠牲になりました。
     しかし、ひとりだけ成功した実験体がいました。
     実は千年前の月事変は、その人物をめぐる争いでもあったのです』

ディアナ『──その人物を、ぜひそちらで保護していただきたい』

グエン「まだ生きているというのですか・・・!」

ディアナ『直にそちらに到着するでしょうから、どうぞよしなに・・・・・・
     それと、キエルさんにお願いがあるのです』

キエル「わたくしに・・・でありますか?」

ディアナ『・・・・・・これがワタクシからの最後の頼みごとになるかもしれません』

マリィ「ディアナ様・・・!?何を・・・・?!」

キエル「・・・・なんなりと」

ディアナ『ふふ・・・思えば、あの入れ替わりも、ワタクシが言い出したことでしたね・・・・
     本当に、ご迷惑をおかけして・・・・』

キエル「いえ、わたくしこそ・・・・」

ディアナ『マリィ、そなたもお手伝いしてくださいね』

マリィ「・・・・はい!」

ブラックドールが拡散粒子砲をばら撒く。サイコミュハンドが飛び交う。
粒子ビームの嵐の中で、ターンXとゴールドスモーがIフィールドを展開しながら必死に応戦する。

ギンガナム「ニュータイプがァ!!」

ハリー「我々ディアナ様の下僕にィ!!」

ハリー・ギンガナム「勝てるわけねェだろォォォォォォ!!!!」

シロッコ「騒がしいッ!!」

ハリーのスモーがメガ粒子砲をIフィールドサーベルで弾きながら、ギンガナムのターンXがサイコミュハンドを叩き斬りながらブラックドールに接近する。

ハリー「接近戦ならばァ!!I・フィールド・サーベルッ!!!」

ギンガナム「ばァァァくねつッ!!ゴッド・フィンガァァァァァ!!!」

二つの得物がブラックドールを貫いた。

シロッコ「甘いッ!!!」

至近距離からのメガ粒子砲による反撃で、撥ね飛ばされる二機。

ギンガナム「ええぃ、頑丈な!
      ハリー、貴様のスモーは片腕が無いのだから、あまり前に出すぎるんじゃないッ!!」

ハリー「そうはいかんッ!ここで引かば親衛隊隊長の名が泣くというものッ!!」

シロッコ「まだだ・・・!カイラスギリーはもっと敵を引きつけてからではなければ撃てんッ・・・・!」



ジュドー「ハマーンは止まれ、ジャンダルム!!」

シャア「ゼロガンだとッ!パイロットは誰だ・・・!?」

プル「突っ込んできた!やっちゃえ、ファンネ──」

シャア「プル!なぜ撃たん!」

プル「・・・・・撃てないよ」

シャア「お腹が痛いのか!」

プル「違う、心が痛いの・・・・!」

シャア「プルは私のことを嫌いになったのか?」

プル「ううん!キャスバルのことは大好きだよ!でも・・・・あの人は撃てない・・・・
   撃っちゃいけないの・・・・・!」

シャア「ええぃ!プルはモクバをやれ!私がヤツを──!!!」

アムロ「シャアめ!!」

シャア「ちぃッ!ピーリス!ティファとともにあの白いのをやれ!」

ピーリス「ヒゲのやつでありますか!」

シャア「そっちには絶対に手を出すな!殺されるぞ!!」



ハマーン「・・・シャア、頼んだぞ・・・・・カイラスギリーに転進せよ!」

ジュドー「待て、ハマーン!!」

ピーリス「行かせるかッ!!」

ティファ「・・・・・・落とす・・・・!」

ジュドー「くそッ!邪魔なんだよ!!」

無数のファンネルがゼロガンに迫る。ジュドーは老躯を軋ませながら、操縦桿を握る。

ジュドー「なんなのこの体はッ!?全然動きやしない!!」



アムロ「シャア、貴様はいつも!ガロードやロウたちの善意を踏みにじって!」

シャア「何も知らない貴様が、偉そうに言う!」

アムロの白いターンAとシャアの赤いバンデットが斬り結ぶ。が、機体の性能の差から、勝敗は明らかであった。

シャア「ええぃ、如何ともしがたい!!ここでむさと命を散らしても何にもならんッ!!」

アムロ「シャア、やらせてもらうッ!」



ガロード「何だよこれ!速ェ!!」

プルのファンネルが、ガロードのドーベルマンを釘付けにする。
イザークがスモーのビームガンでファンネルを撃ち落していく。

プル「あのスモーが邪魔だな!」

プルがサーベルを引き抜いた。

イザーク「この俺に接近戦を仕掛けるとはな!」

迎撃するイザークの進路を、ファンネルのビームが塞ぐ。

イザーク「姑息なんだよォォ!!」

スモーとキュべレイが衝突する。

プル「強い!」

イザーク「このォォォ!!!」

ガロードが被弾しつつも、その順応性を活かしてファンネルを落とし始めた。

ガロード「負けられないッ!!」

キンケドゥ艦隊はピピニーデンの護衛艦隊と砲撃戦を繰り広げていた。

キンケドゥ「全艦、ピピニーデンのアルマイヤーに集中砲火!全砲門開け!」

ゴメス「あの中央のをやるそうだ!主砲照準、撃てーィ!!」

ミサイルとビームの嵐の中で、アルマイヤー級が撃沈する。

ソシエ「MSが来る!」

ノイン「君は下がっていろ」

ソシエ「なめないでよ!わたしだって!」

敵のズサのミサイルが火を噴いた。キンケドゥ艦隊のズサとソシエのカプルが迎撃する。

ソシエ「なんとー!」



マリィ「キエルさん、終わりましたよ」

キエル「うむ。よしなに」

マリィ「・・・・本当に見分けがつかない・・・・」

キエル「ふふ」

マリィ「今出て行くのは危険です。もう少し待ちましょう」



スエッソン「よーし!一気に敵中突破するぞ!MS隊前へ出ろ!!ソレイユは下がっててくださいよ!」

チャリオット艦隊の防衛網を破ったギンガナム艦隊がカイラスギリーを目指し猪突猛進する。

ロラン「スエッソン大名!敵はカイラスギリーで僕らを一掃するつもりですよ!!」

スエッソン「御大将を信じろ!既にターンXがトリガーを掌握しているハズだ!」

ロラン「根拠はなんです!?」

スエッソン「そんな難しい言葉、ギンガナム家の辞書には載っていない!!」

ロラン「そんなこと!」

ガトー「ええい、突破されたか!そこをどけ、ウラキッ!!」

コウ「どくものかァー!!」

ガトー「ぐッ・・・・!しかし、なにかデジャヴのようなものを感じる・・・・!これは何だッ!」



ギンガナム「我が艦隊が来たか!命数尽きたなシロッコォォォ!!ターンXは万全なのだァァ!!!」

シロッコ「撃てッ!!カイラスギリー!!!」

カイラスギリーの荷電粒子砲が発射された。

ギンガナム「なんだとォォ!?」

ハリー「ギム・ギンガナム!!!」

凄まじい威力の粒子ビームがターンXを飲み込んだ。

ギンガナム「うおオオオオ!I・フィールド・バリアァァァァ!!!」

ギンガナムが必死にその威力を拡散させようとするも、粒子はギンガナム艦隊の半数を消し飛ばし──

スエッソン「御大しょ──」

ロラン「スエッソン大名ォォ!!!」

ロラン「──地球が──!」

カイラスギリーの粒子砲が地上を焼いた。宇宙を、再び悲しみと痛みが満たした。

シロッコ「ハハハハ!残念だったな、ギム・ギンガナム!!」



グエン「カイラスギリーが撃たれただと!!」

キンケドゥ「ギンガナム艦隊が壊滅・・・・・!!・・・・・地球に着弾だって!?」

ディアナ「ターンXは・・・・間に合わなかったのですね・・・・・・・」



ハマーン「上手く掃除をしてくれたな、シロッコ」

ジュドー「撃たせちゃいけなかったんだ・・・・地球をッ・・・・・!」



ソシエ「地球が、やられたの!?」

ゴメス「・・・・・・今、情報が入った。照準はルジャーナで間違いないそうだ」

ガロード「そんな・・・!!ルジャーナには、セレーネやロウもいるんだぞ!!」

ソシエ「メシェーや、ラダラムさんやマリガン中佐だって・・・・・・・・」

グエン「・・・・リリ・・・・・」



アムロ「くそォォ!!こんなこと・・・・ッ!」

シャア「・・・・・・・・・・・・」


その頃、荷電粒子ビームの直撃を受けたギム・ギンガナムとターンXは、大気圏にまで押しやられていた。


ギンガナム「ええい、ターンXは機能不全を起こしたか!機体の制御がきかぬ・・・・・!
      このまま地表に激突すれば、小生とて無事ではすまん・・・・・!」


ギンガナム「・・・・・・・・・・」


ギンガナム「・・・・・・ディアナ様・・・・・・・」


ギンガナム「ディアナ様にお仕えした二千年間、小生は幸せでしたぞ・・・・・・・」


大気圏を抜け、ギンガナムが最期に目にしたものは──



ギンガナム「ほぅ・・・!地球から眺める月も、美しいのだなぁ・・・・・・・!」



一瞬の混乱の後、再び戦場が爆炎と閃光に包まれた。

ハリー「おのれシロッコォォォォ!!」

シロッコ「そんな機体ひとつで何ができるッ!十分もあれば第二射を撃てるのだぞ!!」

ロラン「──カイラスギリーは本来、隕石破砕用に建造されたものなんですよ・・・・!」

シロッコ「!」

ハリー「ロラン!」

ロラン「それを地球に向けて、あまつさえ大勢の人々を巻き添えにして撃つなんて・・・・・!」

ロラン「僕は許しませんッ!絶対にッ!!許しませんよォォォ!!!」

シロッコ「許さぬか・・・・!ならば、このシロッコを何とするッ!」

ロラン「その御命をもって贖ってもらいますッ!!」

シロッコ「笑止ッ!!」

ブラックドールの放つ網の目のごときビームの中を、ロラン・セアックが駆ける。

シロッコ「なぜだ、なぜ当たらんッ!!」

ロラン「でやああああああ!!」

ロランのホワイトスモーのIフィールドサーベルが、ブラックドールを袈裟に斬った。

シロッコ「小僧ォォォォ!!」

ブラックドールが閃光を放ち爆発していく。

ロラン「やったのか・・・・?」

カイラスギリーの発射。それが〝合図〟であった。月の裏側のマシュマー艦隊が、動いた。

マシュマー「これより我々は、ハマーン様の地球降下をお助けする!気を引き締めて行け!!」

セロツー「ようやくこの時が・・・・・ハマーン様バンザーイ!!」

セロスリー「私の勇士を今こそお見せする時・・・・ハマーン様バンザーイ!!」

セロフォー「我らがハマーン様バンザーイ!!」

セロファイブ「ハマーン様・・・・ああ、ハマーン様・・・・!!ハマーン様!!」

セロシリーズ「ハマーン様、バンザーーーイ!!!!」

十五人のマシュマー・セロのクローン──通称〝セロシリーズ〟──の鬨の声が、宇宙に轟いた。



749 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 22:59:30.22 ID:VHY6yRpe0
誰得


750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 23:00:51.13 ID:/osQdlgN0
まったくだよwww


751 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 23:02:16.62 ID:3iENkR98O
薔薇い


752 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/15(金) 23:03:09.88 ID:T4KDaKn90

パプティマス・シロッコは頭部のコックピットブロックで辛くも脱出していた。

シロッコ「私は、この世界の行く末を見届けねば・・・・!死に切れるものではない・・・・ッ!」

ハマーン「貴様が黒歴史を公開などしなければ、シャアが悲しむこともなかった・・・・」

シロッコ「キュべレイ!・・・・ハマーン・カーン!」

ハマーン「さよならだ。お前はよくやってくれたよ」

キュべレイのビームサーベルがコックピットのシロッコを貫いた。

シャア「何!?シロッコは私に討たせろと言ったではないか!」

ハマーン『一刻も早くカイラスギリーを掌握する必要があったのだ。
     部隊を引き上げさせろ。マシュマーが動いた』

シャア「・・・・・了解した」

シャア「プル、ソーマ、ティファ、撤退する!」

少女たち「了解!」

アムロ「逃げるのか、シャア!!」

シャア「引き際をわきまえていると言ってもらおう」

ゴメス「おい、ガロードたち戻れ!月の裏から増援が来たぞ!!それもかなりの規模だ!」

ガロード「おいマジかよ!」

アムロ「ちィッ!俺はシャアを追う!」

グエン「待て!アムロは行くな!ターンAが無ければここは切り抜けられない!」

アムロ「・・・・だがッ・・!」

ゴメス「カイラスギリーにはジュド爺さんが向かった」

アムロ「何だとッ!?」

ガロード「俺はジュドーなんちゃらだーって言ってさ。口調もなんか変わってた」

アムロ「ジュドー・・・・・?ジュドー・アーシタか!!」

ガロード「なんだ、聞いてたのか?」

ソシエ「すっごく強かったのよ」

コウとガトーの戦いは続いていた。
カイラスギリーのビームが通過していった、MSと戦艦の残骸漂う宙域で、二機のマヒローはぶつかり合い、離れ、ぶつかり合う。武装などとうに無くし、カッター一振りで切り合う二人。

コウ「うおおおおお!!」

ガトー「おおおおおお!!」

コウのマヒローがガトーのマヒローに刃を突き立てる。ガトーのマヒローがコウのマヒローを切り付ける。
コウのマヒローが殴りつけ、ガトーのマヒローが蹴り飛ばす。

コウ「これで決めるッ!」

コウが戦艦の残骸を蹴り、勢いをつけガトーに吶喊した。

ガトー「ぬぅッ!!」

コックピット付近に刃を受け、ガトーが激しく体を打ち付ける。
コウも、ガトーが返した刃の一撃を食らい、コックピットから投げ出される。

コウ「今度こそ、決着をつけたぞ・・・・!ガトー・・・・・!」

ガトー「ウラキ・・・・連邦の、コウ・ウラキ少尉、か・・・・!」

マヒローが四散した。

カイラスギリーのトリガーを、ハマーン・カーンが掌握した。

ハマーン「チャージが完了し次第ディアナのソレイユを撃つ。射線上の友軍機に伝えよ」

ジュドー「待て!ハマーン!」

ジュドーが駆るゼロガンが、カイラスギリーの粒子砲塔の前に現れた。

ハマーン「ジュドー・・・・久しいな。だいぶ年老いてはいるが」

ジュドー「あんたにも分かるだろ!地球の人々の叫びが!!」

ハマーン「・・・・そこをどけ。お前を殺したくはない」

ジュドー「分かんないんなら、教えてやる!この光で教えてやる!!」

ゼロガンのバックパックから、おびただしい量の、緑色に輝く光が放出される。

ハマーン「何だこれは・・・・・!」

ジュドー「人の心を繋ぐ光だッ!あんたを救う光なんだぞ、ハマーン!!」

ハマーン「私の中に、人の意識が、入り込んで・・・・・ッう!」

ハマーン「不愉快な・・・・私から出て行けェェッ!!」

ハマーンの拒絶が、ハマーンの意思と直結しているカイラスギリーのトリガーを引いた。

ジュドー「ハマーン!!!!」

ジュドー・アーシタを乗せたゼロガンが蒸発し、カイラスギリーの二射目がソレイユに迫る──

ハリー「うおおおおお!!」

地球を撃たせないため、自ら標的となったソレイユを、損傷したゴールドスモーが左腕一本で押し出した。
カタログスペック上、絶対にあり得ない力で。そのすぐ背後を粒子が通過する。

ディアナ「!?ハリー、お止めなさい!ワタクシはここで死ぬ運命なのです!月にはキエルさんが──」

ハリー「たとえこの魂燃え尽きようともォ!!ディアナ様はやらせん!やらせはせんッ!!」

ゴールドスモーの両足が溶解する。

ハリー「ユニバァァァァァァス!!!!」

ゴールドスモーのバーニアが唸りを上げる。限界を超えた機体が自壊していく。

ハリー「ディアナ様!!我が務め、全ういたしましたぞ!ロラン、後のことは頼ん──」

ハリーのゴールドスモーが爆散した。

ロラン「ハリー隊長ォォォォ!!!」

ジュドーとハリーの死が、アムロを突き動かした。

アムロ「これ以上やらせるものかッ!!」

ソシエ「アムロ、どこに行くのよ!敵が──」

──アムロのターンAがふっ、と姿を消した。

ソシエ「──え?」

次の瞬間、アムロ・レイとターンAはカイラスギリーの砲塔前にいた。

シャア「!!」

ハマーン「ターンAだと!?一体どこから──」

アムロの精神波がターンAを包みこみ、全てのエネルギーが一本の巨大なビームサーベルとなって凝縮される。

アムロ「ターンAガンダムは、伊達じゃないッ!」

ターンAが振り下ろしたビームサーベルが、砲身ごと要塞を両断する。

ハマーン「急ぎ進路を地球へ向けろ!!奴は化け物だ!!ターンXを回収するッ!!」

逃げていくジャンダルムを、オーバーロードしたターンAのコックピットから睨み付けることしかできないアムロ・レイであった。


─ソレイユ

ディアナ「カイラスギリーは落ちましたか・・・・・ロラン、ジャンダルムを追い地球へ降下します」

ロラン「・・・はい」

ゴメス『おい、ディアナ・ソレルさん!』

ディアナ「なんでしょう、ゴメス艦長」

ゴメス『キエルのお嬢ちゃんが大変なんだ!あんたから何か言ってくれ!』


─モクバ

キエル「放してください、マリィさん!ハリーの元へ行かせて下さい!
    ここでこの身を投げれば、彼と再会できるのです!」

マリィ「いけません!キエルさん!!」

ディアナ『キエルさん、聞えますか』

キエル「!」

ディアナ『ハリー・オードは忠義に生き、その忠義に殉じました。
     彼の遺志を無下にする行為は、このワタクシが許しません』

キエル「・・・・・・!」

ディアナ『・・・・キエルさん。ハリーが愛したキエル・ハイムは少なくとも、
     自らの務めを放棄し悲しみに暮れるあなたではなかったでしょうね・・・』

キエル「ディアナ様・・・・・・・」

キエル「・・・・・申し訳ございません。
    わたくしはいやしくもディアナ・ソレルの御名をお借りする身でありながら、
    このような痴態を・・・・・」

ディアナ『良いのです。ディアナ・ソレルもまた人の子であると、改めて思い知りましたよ・・・・・』

ディアナにとって、キエルは鏡の中の自分であった。キエルにとってもそれは同じことだった。
二人はお互いを見つめることで、我が身を顧みるのである。

ディアナ「もう大丈夫です。月へ参りましょう」

マリィ「お送りいたします」

ディアナ「是非に」

十五機のハンマ・ハンマが鬼神のごとき活躍で、キンケドゥ艦隊を苦しめていた。

キンケドゥ「くそッ!たった十五機のMSにこれほど・・・・・!ターンAは!どこに消えちゃったんだよ!」

ソシエのカプルのミサイルが、一機のハンマ・ハンマを捉える。
すかさずノインのズサンのアームパンチが止めを刺す。

ノイン「やるな!」

ソシエ「任せなさい!」

ゴメス「弾幕薄いぞ!もっと突っ込め!!」

オリヴァー「十二時の方向より敵MS五!」

モニク「前に出すぎなんだよ!死にたがり!!」

ゴメス「この艦が囮になれば、ソシエ嬢ちゃんたちの負担が減るだろ!!」

モニク「増やしてるんだよ、馬鹿め!」



ガロード「モクバが危ねェ!!」

イザーク「行くぞガロード!遅れをとるなよ!」

ガロード「癇癪持ちのイザークなんかに遅れるかよ!」

イザークのスモーとガロードのドーベルマンが、五機のハンマ・ハンマに突っ込む。

ガロード「三機そっちに行った!!」

イザーク「でえええい!」

イザークのスモーが一機のハンマ・ハンマと切り結ぶ。後方からのビーム砲を受ける。

イザーク「こんのォ!!」

ガロード「イザーク!」

ドーベルマンのサーベルが一機を切り捨てる。スモーのビームガンが一機を撃ち落す。

ガロード「大丈夫かよ!!」

イザーク「お前に助けられるとはな!!」



グエン「・・・・艦長、ジャンダルムに通信を繋げ」

ゴメス「なんだって!?」

グエン「ハマーン・カーンと交渉がしたい」

モニク「交渉だと!?そんなものが通じると思うのか!?」

グエン「ハマーンはカイラスギリーを潰され、ターンAはこちらにあるのだ」

ゴメス「だがハマーン派の艦隊はまだ──」

グエン「指揮官は私だ!ゴメス艦長!」



ハマーン「モクバからの通信だと・・・・?・・・・・繋げ」

グエン『ハマーン・カーン執政に、少しお話がある』

ハマーン「・・・・何だ」

グエン『あなたは黒歴史のバックアップをとっているはずだ』

ハマーン「なぜそう思う」

グエン『あなたほどの人物が、その程度の予防線を張っていないはずがない』

ハマーン「・・・・・確かに、こちらには黒歴史の記録が残っている。全てではないが」

グエン『やはり私の読みは正しかった。執政、取引だ』

ハマーン「取引?」

グエン『黒歴史は人類が共有すべき財産であると、私は考えている。
    黒歴史の象徴的な存在であるターンタイプも同じだ』

グエン『こちらはターンAを差し出す。引き換えにその黒歴史のデータを、譲っていただきたいのだ』

ハマーン「正気か・・・?!」

シャア「罠かもしれんな」

グエン『騙まし討ちなどするつもりはない。信じて欲しい』

ハマーン「・・・・・・わかった。合流地点の座標を送る」

モニク「お前頭おかしいんじゃないのか!!」

ゴメス「ターンAは貴重な戦力だ!手放すわけにはいかん!!」

グエン「黒歴史があればターンタイプの量産とて可能なのだ!!そうなればハマーンを出し抜ける!!
    モクバを発進させろ!!」

ゴメス「・・・・・断る!」

グエン「これは命令だッ!!」

モニク「行きたいのなら一人で行け!私たちはこんな馬鹿げたことに付き合っていられない!」

グエン「馬鹿げたことだと・・・・!地球の命運がかかっているのだぞ!!」

メリーベル「──話は聞いたよ!グエン・ラインフォード!」

モニク「バンデッツだと!?」

グエン「メリーベル・ガジット!なぜ君が・・・!」

メリーベル「袖振り合うも多生の縁っていうじゃないか!さ、早くこのシャトルに乗りな!」



アムロ「モクバはどこだ・・・・!?」

グエン「アムロ!」

アムロ「グエン様か!バンデッツが一緒だと・・・」

グエン「アムロ、ターンAを渡してもらおう」

アムロ「!?」

グエン「ハマーンと取引をした。黒歴史のデータを受け取る代わりに、そのターンAを譲り渡す」

アムロ「・・・・・・見損なったぞ、グエン・ラインフォード!
    地球の領主であるあなたが、黒歴史の語ったものを分からないわけではないだろうに!!」

グエン「地球の未来を思うからこその行動だよ、アムロ!理解してくれ!!」

アムロ「ハマーンがそんな交渉を飲むわけがない!殺されるだけだ!」

グエン「あちらにはシャア・アズナブルもいるのだ!彼に仲介役をやってもらえばいい!」

アムロ「甘いよ、グエン!シャアはそんなお人よしじゃない!!」

グエン「ならば、結構!メリーベル、行くぞ」

メリーベル「ターンAはいいのかい?」

グエン「後払いでもかまわないだろう。交渉相手を待たせるわけにはいかない」

アムロ「待て、グエン!!」

グエン「安心したまえ。量産型ターンタイプの試作機は、君にパイロットをやってもらうよ」

アムロ「そんなこと!・・・・・・・グエン、これでは道化人だぞ・・・!」


─モクバ

キンケドゥ『ここは俺たちに任せて、モクバ隊はジャンダルムを追ってくれ!!』

ゴメス「わかった!今頃お馬鹿な御曹司がハマーンを引き止めている頃だろう。MS隊は早く帰還しろ!」

モニク「アムロもどこかにいるはずだ。拾わないとな」



ハマーン「来たか・・・・ターンAはどうした」

グエン「ターンAは諸事情あって今は渡せない。しかし、この私を証人としてそちらに同乗させていただく!」

ハマーン「何・・・・・・?」

グエン「このラインフォード、ガリアとアメリアの架け橋となり、ゆくゆくは地球をその掌中に収める男だ!!
    決してそちらに不都合はないはずだ!」

ハマーン「笑わせるな!己の器も推し量れぬ俗物に、世を動かせると思ってか!!」

グエン「待ちたまえ!話し合いは──」

ハマーン「世迷言の続きははあの世でするんだな。・・・・・殺れ!シャア!」

シャア「そういうことだ。グエンの坊や」

グエン「ええぃ!メリーベル!!」

メリーベル「グエンはやらせないよ!」

シャア「道化のメリーベル・ガジット・・・・君を殺す理由が、私にはある!」

メリーベル「数ならこっちの方が多いんだ!やれ、お前たち!」

バンデッツがシャアの赤いバンデットを取り囲み、ミサイルによる飽和攻撃を仕掛ける。
シャアはその全てを避け、切り払い、撃ち落す。

シャア「血と肉の通わぬマシンなどに、この私は倒せん!」

シャアのバンデットが、バンデッツの無人機を撃破していく。

メリーベル「な、なんだいこいつ!ミサイルをファンネルみたいに使って!」

赤いバンデットのミサイルの攻撃を受けたメリーベルのバンデットが、グエンのシャトルに激突する。

グエン「シャア・アズナブル!あなたが私を見限ったのではない!私があなたを見限ったのだ!
    それを忘れるな!!」

シャア「見限る?ハッハッハッハッ!!いかにも坊やらしい物言いだな、グエン・ラインフォード!」

シャトルが閃火に消えた。

ハマーン「無駄な時間を割いたな。地球へ急ぐぞ、シャア」

その頃、月の首都ゲンガナムの演説広場には、親衛隊のマリィ・パーファシーを従えたディアナ・ソレルが現れていた。

ディアナ「月に住むムーンレィスの皆様、どうかお聞き下さい。
     ハマーン・カーンとパプティマス・シロッコの企みにより、
     地球に住む多くの人々が、命を落としました」

聴衆「黙れ偽善者が!貴様が核など使ったせいだろう!」

ディアナ「・・・・!」

マリィ(キエルさん・・・・)

ディアナ(ハリー、どうかわたくしに力を・・・・!)

ディアナ「・・・・・わたくしは核など持ち出しておりませんし、
     ましてや月を売るような行為も断じてしておりません。
     力が至らずにこのような事態になってしまいましたが、わたくしは月と地球の和平に向け、
     身を削り努力をしてきたつもりです。地球の人々との友好を望むお気持ちは、皆様とて──」

聴衆「地球人などどうなろうと構うものか!売国奴はナメクジみたいに地上を這っていろ!!」

ディアナ「・・・・・・そのような物言い、わたくしは大変残念に思います。
     なぜ地球を、上から見下ろすことしかできないのですか?この宇宙には上も下もないのです。
     月だろうと、地球だろうと、この宇宙の一部ではないですか!月に住んでいるから、
     文明が発達しているからといって地球の人々に対し尊大に構えて良いはずがないのです!
     人はみな、人なのです!」

拍手と野次が飛び交う。

キエル「わたくしには、これで精一杯です・・・・お力になれず、申し訳ありません・・・・・」

マリィ「いえ、十分ですよ・・・・後は、ディアナ様が・・・・」

グエンのシャトルの残骸の中を、メリーベル・ガジットが漂っていた。
彼女はかつて幾度も命の危機にさらされた経験から、生き延びる術を心得ているのだ。

メリーベル「グエン、死んだのかい」

グエン「・・・・・まだ、死ぬわけ、には・・・・・」

メリーベル「天があんたを生かした。そうだろう?」

グエン「しかし、私は、全てを失った・・・・黒歴史も・・・・」

メリーベル「それなら心配はいらないよ。地球に戻ったら、あたしの体を隅々まで調べてみるんだね。
      あんたの望みを叶えられるはずだよ」

グエン「何・・・?まさか、君が・・・・・!」

メリーベル「移植手術に成功した、唯一の実験体さ」

千年前、月事変の原因となったひとりの少女は、道化として振る舞い、生き長らえることに成功していたのであった。

グエン「ならばなぜ、それを最初に言ってくれなかったのだ・・・・・!そうすればハマーンになど・・・!」

メリーベル「黒歴史の危険性と重要性はあたしが一番良く知ってる。
      あんたが黒歴史を正しく扱える人間かどうかを試させてもらったのさ。
      あんたは若くて短絡的だけど、愚か者じゃない」

グエン「なんとも・・・・・・」

ジャンダルムは、ターンXの落下地点に降りた。

ハマーン「損傷がひどいな」

部下「ですが、カイラスギリーの直撃を受け、
   大気圏を越えて地表に落下して原型を留めているだけでも、驚きです」

ハマーン「パイロットは死んだか」

部下「ええ。あ、コックピットの中は見ないほうがよろしいかと・・・・」

ハマーン「・・・・・・・」

ハマーン(あのギム・ギンガナムも、骸と為ればただの人間、か・・・)

ハマーン「ターンXトップは予備のものを使え。他は修復して使う。モクバが降りてくるまでに済ませろ」

部下「努力します」

シャア「・・・・・・」

その頃、イングレッサではハマーン一派の艦隊とD・カウンター、ミリシャ連合が交戦していた。

ポゥ「ムーンレィス同士でやり合うのにはもう飽き飽きだ!」

シルバースモーを与えられたポゥ率いるMS部隊が必死に応戦する。

カロッゾ「ソレイユやモクバもすぐに駆けつける!ここを耐え忍べば、戦況は覆る!」

ポゥ「本当なのか・・・?はったり言ってんじゃないだろうな!?」

カロッゾ「聞えておるぞポゥ!減給されたいか!」

ポゥ「申し訳ありません!」

ポゥ(洗脳が解けたというのに、やや強気なのは何なんだ・・・・?)

ズサン・マヒロー部隊の攻撃が地上を揺らす。
ボルジャーノン、カプル、ウォドムは地上から、ムットゥーやスモーやフラットが上空からそれを迎撃する。

ポゥ「おい!ミリシャはもっと働け!敵に回すとあんなに面倒くさかったのに、この頼りなさは何だ!?」

ロウ「るっせー!ルジャーナが壊滅したんだよ!そっちの復旧のせいでこっちまで手がまわんねぇんだ!」

ポゥ「ここはお前たちの土地だろ!?D・カウンターばかりが被害を受けるのはおかしいじゃないか!」

メシェー「見て!ソレイユが降りてきた!」



ディアナ「ではロラン隊長、出撃してください」

ロラン「は!ロランセアック、ホワイトスモー行きますッ!」

ロラン率いる新・親衛隊が戦場に飛び込んだ。

カロッゾ「ディアナ様!」

ディアナ『ご苦労様でした、カロッゾ少将。ノックスは復旧したようですね』

カロッゾ「はい。しかし、ルジャーナはもはや再建不可能かと思われます」

ディアナ『地上がどれほど混乱したことでしょう・・・申し訳ございません。
     我々の力が足りず、このようなことに・・・』

カロッゾ「ディアナ様が御謝りになることはありません。ハマーンです。
     あやつを何としても討ち取らねばなりますまい」

ディアナ『カロッゾ・・・変わりましたね。言動が少々過激に・・・・』

カロッゾ「はて・・・?」


─ジャンダルム

シャア「私も出る。プルは艦の護衛に回れ。ティファとピーリスと私で親衛隊をやる」

ハマーン「ロラン・セアックには気をつけろ」

シャア「少年一人に苦戦する私ではない」



ポゥ「ロラン・セアックのスモーか!」

ロラン「ポゥ中尉、救援に来ました!」

ロウ「ロランか!?」

ロラン「えっ・・・!ロウ!?ロウなのか!?」

ロウ「この声を忘れたとは言わせねーぞ!」

メシェー「あたしもいるよ!」

ロラン「ふ、ふたりとも、カイラスギリーの照射で死んじゃったのかと・・・・」

ロウ「ああ!?」

メシェー「あたしたちはノックスの復旧を手伝ってたから無事だったんだよ。パパやリリ様やマリガン中佐も」

ロウ「セレーネもな!」

ロラン「そうだったのか・・・・!」

シャアのバンデットと二機のキュべレイが戦場に現れ、オールレンジ攻撃で連合軍に猛威を振るう。
特にミリシャのパイロットにとって、初見のサイコミュ兵器など、対処しきれるものではない。
成すすべなく撃破されていくカプルとボルジャーノン。

ポゥ「ロラン、ここはムーンレィスの私たちが!」

ロラン「はい!」

ロラン「シャア・アズナブル・・・・・!」

シャア「ロラン・セアックか」

ロラン「なぜ裏切った!クワトロさん!!」

バンデットとスモーがサーベルで斬り合う。

シャア「私は私の成すべきことをするために、ここにいる。裏切りなどと君に詰られる筋合いはない」

ロラン「裏切りでしょう!みんなあなたを信じていたのに、結局ハマーンの言いなりじゃないですか!」

シャア「ハマーンの言いなりか。確かにそうだが、それはあくまで手段でしかない」

ロラン「言ってることがわかりません!」

シャア「始めから君に理解など求めていない!」

ロラン「ああ言えばこう言う!」

シャア「子どもが言う事か!」

バンデットが距離をとり、ミサイルを放つ。絶妙な間隔で発射された数発のミサイルが、スモーを捉える。
爆炎に包まれるスモー。

シャア「これで終わりというわけではあるまい!」

ビームガンを撃ちながら、爆炎からスモーが飛び出す。
かわすバンデットの右腕に、スモーが投擲したヒートファンが命中する。

シャア「やるな!・・・ピーリス、こっちを頼む」

ピーリス「了解!」

ロラン「逃げるのか!シャア!」

シャア「大人には大人の都合というものがある」

ロラン「そんな言い逃れ!」

ピーリスのキュべレイのサーベルがロランの行く手を阻んだ。

ロラン「くそッ」

シャアのバンデットがDカウンターの包囲網を破りつつ、ソレイユに接近する。

カロッゾ「あれはシャア・アズナブルだ!MS隊!ソレイユをお守りしろ!」

シャア「ディアナ・ソレルには恨みはないが──」

上空から迫る艦があった。

ディアナ「・・・・モクバが来ましたか」

シャア「ちィッ!ターンXの整備はまだ終わっていない・・・!ハマーン、退くぞ!」

ハマーン「うむ。全軍、撤退する!」


─モクバ

ガロード「おい、なんだよ!これからって時に逃げるのかよ!」

アムロ「地球に落ちたターンXが気になるな」

ソシエ「壊れちゃったんでしょ?」

モニク「カイラスギリーの直撃を受けて消滅したんじゃないのか?」

連合軍も撤退し、部隊の再編成を行った。


─モクバ

メシェー「グエン様とジュドお爺さんが・・・・」

ロウ「せっかく再会を喜び合えると思ったのにな・・・・」

ガロード「カイラスギリーなんてものを人に向けて撃つ人間をよ、許しておけるほど俺は優しくないぜ」

アムロ「もちろんだ。ハマーンとシャアだけは何としても討つ」

ソシエ「クワトロさん、悪い人じゃなかったわよね・・・?」

オリヴァー「僕にはそう思えたな」

モニク「やっぱり演技だったってことか。全部」

セレーネ「信じたくはないわね・・・」

ゴメス「どんな理由があろうと、ハマーンと共にいる以上は敵だ。情は捨てるべきじゃないか?」

アムロ「シャアは俺が倒す」

ソシエ(アムロとクワトロさんって・・・・)


─ソレイユ

イザーク「キンケドゥ艦隊からの連絡は!?何もないのですか!」

ロラン「落ち着けよ、イザーク」

イザーク「落ち着いていられるか!あっちにはマリィだっているんだぞ!」

ディアナ「キンケドゥ少佐は優秀です。そう易々とやられはしないでしょう」

ロラン「ノインさんだっているんだし、大丈夫さ。今は目の前の敵に集中しよう」


─アルマイヤー

カロッゾ(キンケドゥは生きておる・・・・鼓動を感じるぞ・・・・)

カロッゾ「ポゥ中尉」

ポゥ『何でありますか!』

カロッゾ「明日の決戦を生き延びたら、昇進させてやろう」

ポゥ『ほ、本当でありますか!』

カロッゾ「うむ。今夜はしっかり英気を養っておくように」

ポゥ『了解!』


─ジャンダルム

シャア「ターンXの修復は進んでいるのか?」

ハマーン「ターンXは私に任せておけ。お前が気にすることではない」

シャア「・・・・・・・」

プル「マシュマーは来るの?」

ハマーン「明日の夜までにはキンケドゥを追い立てて地上へ降下するだろう」

ピーリス「決戦は明日でありますか」

ハマーン「そうだな。今日はしっかり休んでおけ」

プル「じゃあみんなでお風呂に入ろう!ね、キャスバル!」

シャア「ん?そうだな。そうしよう」

ハマーン「・・・・・・」

シャア(・・・・・アムロ、明日こそ必ず・・・・!)


夜明けと共に、決戦の火蓋が落とされた。


決戦はイングレッサ。
ムーンレィスと地球人が最初に交戦したこの場所で、ムーンレィスと地球人が入り混じり戦っていた。


メシェーとソシエの率いるカプル隊が地上から全弾を撃ちまくる。秋空を爆炎が彩る。

メシェー「すごい数!」

ソシエ「少し下がったほうがいいかも!ロウたちと合流しよう!」

カプルたちがどしどし走るその上空を、ポゥ率いる部隊が飛ぶ。

ポゥ「後退するのが早いんだよ!あの玉っころども、私たちに面倒を押し付けて!」

マヒローが急降下しながら斬りかかるのを、ポゥがビームガンで冷静に撃ち落す。

ポゥ「迂闊なんだよ!おい、ボルジャーノンども!援護はどうした、援護は!」

催促されて、ボルジャーノンたちが地上からバズーカを撃ちかける。
数機が空中に飛び上がり、マシンガンとヒートホークで攻撃する。

ポゥ「そうそう、それでいいんだ!早く私を昇進させてくれ!」

ロウ「おい、こっちにも敵が来たぞ!」

ガロード「ちゃっちゃと片して、飯たらふく食いてーな!」

ロウのフラットとガロードのドーベルマンが迎撃する。

ロウ「お前、腕上げたな!」

ガロード「宇宙で戦ってみりゃわかる!」

ズサンのミサイル群を、フラットのソニック・シールドが防ぐ。ガロードのドーベルマンが跳躍し、変形する
ビームサーベルが閃き、ズサンがスクラップになる。

ロウ「おい!何だそれ!?」

ガロード「へへッ!驚いたろ!!」

メシェー「みんなー!」

ソシエ「助けてー!」

ロウ「何だお前ら!敵がわんさか来るじゃねーか!」

ガロード「よし、フラット隊、ウァッド隊、前へ出るぞ!迎え撃つ!」

最前線では、プルたちニュータイプ部隊と親衛隊が交戦していた。

三機のキュべレイの放つファンネルがスモーを損傷させ、撃墜していく。

イザーク「くっそォ!ひらひら飛び回りやがって!!」

プル「見飽きたんだよその顔!」

ピーリス「一気に決めるッ!!」

ピーリスのキュべレイがサーベルを抜き、ロラン機に仕掛ける。

ティファ「・・・・落とす・・・・ッ!」

ティファ機がビームガンで援護する。

ロラン「この人たち、ニュータイプというものか!」

ロランがピーリス機を蹴り、ティファ機に打ちかかる。

ピーリス「虚仮にしてェェ!!」


─アルマイヤー

カロッゾ「敵の艦隊が前に出てきたな。我々も前に出る。ソレイユは後方に下がっていてよろしい!」

─ソレイユ

ディアナ「よしなに」

ディアナ(カロッゾ・・・・頼れる男に成長して・・・・
     やはりあなたをDカウンターの指揮官に任じて良かった)


─モクバ

ゴメス「よーし、カロッゾさんを援護するぞ!主砲照準!」

モニク「このおっさんは何でこんなに前に出たがるんだ?」

オリヴァー「知りませんよ・・・・でも生き生きしてて良いんじゃないですか?」

ゴメス「何をひそひそやってる!睦言ならベッドの中だけでしろ!」

モニク「スケベじじぃがァ!」

オリヴァー「べ、ベッド・・・・」

モニク「想像してるんじゃない!!」

─ジャンダルム

ハマーン「シャア、お前も出ろ。私も後からターンXで追う」

シャア「・・・・・・分かった」

アムロのターンAは単機で敵中にいた。ビームライフルとバズーカの連射がアルマイヤー級を轟沈させる。

アムロ「シャアはどこだ・・・・・・!」

アムロ「!」

シャアのバンデットのファンネルミサイルが駆ける。

アムロ「追加武装か!」

アムロの感覚がファンネルを捉え、ターンAが彼の超速の反射に追随し、それを撃ち落す。

アムロとターンAの相性は完璧だった。
その上、アムロはターンAを乗りこなし、その性能を半分以上引き出している。
これは今までのターンAのパイロットの中で最も高い数字であろう。

シャア「ええぃ!しかし私はこの千五百年間、貴様との決戦の演習を怠ったことはないのだ!
    負けられるものか!」

シャアは血の滲むような努力と意地で、このアムロが駆るターンAと、何とか渡り合っているのである。

戦いが数時間続いたころ。上空にキンケドゥ艦隊とマシュマー艦隊が現れた。
激しく撃ち合い、数隻が炎上し、爆発する艦もあった。

ソシエ「なにあれ・・・・・!」

ロウ「馬鹿でけぇMS!!」

巨大なMAがキンケドゥ艦隊を蹂躙していた。

ディアナ「アルパまで出してきたか!ハマーン!」

カロッゾ「おのれ!キンケドゥ・・・・!耐えよ!」


─ホエールズ

キンケドゥ「振り切れない!このままじゃ・・・・!」

ホエールズは被弾していた。

ノイン「ハンマ・ハンマも半数が残っているというのに・・・!」

マリィ「ホエールズは先に友軍と合流してください!」

キンケドゥ「すまない!」

マシュマー「逃がさんぞォ!当たれェ!」

キンケドゥ「下げ舵20!取り舵いっぱい!」

ホエールズをメガ粒子砲が掠める。

マシュマー「キンケドゥ・ロナはニュータイプであったな・・・・!簡単には沈まぬか!」

ターンAのビームサーベルが、バンデットを裂いた。

シャア「ちぃッ!」

機体が爆発するも、シャアは辛くも脱出する。

アムロ「逃げられたッ!?」

アムロ「!」

上空の艦隊が戦場に乱入し始める。

カロッゾ「全艦、キンケドゥ艦隊を援護しろ!」

ディアナ「ワタクシも前に出ます」

カロッゾ「致し方ありますまい!どうかご無理はなさらぬよう!」

ピーリス「また、不愉快が来るッ!」

マリィ「!・・・・この感覚は一体・・・!?」

マシュマー「ハマーン様!お助けに参りました!!」

ハマーン「キンケドゥ艦隊は虫の息、か。私もターンXで出る!」

マシュマーの巨大MA・アルパが、有線ビーム砲と百基を超えるファンネルで猛攻をかける。
一瞬で数十機のMSが塵と化す。

アムロ「ロラン、奴をやる!」

ロラン「わかりました!」


─ジャンダルム

ハマーン「ターンX・・・・これがあれば、敵を殲滅できよう。雌伏千年、ようやくこの時が──」

シャア「そこまでだ、ハマーン」

ハマーン「シャアか、どうした?アムロ・レイとの決闘は?」

シャア「ターンXには私が乗らせてもらう」

ハマーン「・・・・・やはりな。この程度の裏切り、予想はできていたよ。
     しかしターンXをお前に渡すつもりはない」

シャア「悪いが、ターンXの制御は私が握っている」

ハマーン「何・・・・?」

ハマーン「!」

ハマーン「機体が、動かん・・・!」

シャア「ターンXの本体は、私が乗っているこちらのターンXトップと接続されている」

ハマーン「入れ替えていたのか・・・・!」

シャア「お前には黒歴史のバックアップとともに消えてもらう」

ハマーン「それがお前の野望か・・・」

マシュマー「!!ハマーン様の危機!やらせんぞ、シャアァァ!!!」

アルパが放ったメガ粒子砲がジャンダルムを軽く、弾いた。
艦内が激しく揺れ、ハマーンがその隙にキュべレイに乗り込む。

シャア「マシュマーか!ええい、小賢しいまねを!」

ターンXとキュべレイがカタパルトを飛び出し、空中で斬り合う。

シャア「プル、ピーリス、ティファ!マシュマーを止めろ!」

ハマーン「マシュマー!その小娘たちを全員始末しろ!!」

二百基以上のファンネル飛び交う地獄の戦場を、二機の白いMSが馳せる。
アムロのターンAと、やや遅れてロランのホワイトスモー。

ロラン「アムロさんの背中が、遠い!」

ロラン「機体の性能じゃない・・・・・!圧倒的な経験値と、センスの差だ!
    何であんなに避けられるんだ?アムロさんは全身が目なのか!?」

ピーリス「マシュマァァ!!」

プル「マシュマーにアルパなんて扱えるわけないだろ!!」

ティファ「・・・・行きます・・・ッ!」

マシュマー「子どもが戦場に出るなど・・・・!」

ニュータイプたちの精神が戦場でぶつかり合う。
アルパと三機のキュべレイの戦闘に、ターンAが介入する。

プル「おヒゲのターンAだ!!」

ピーリス「大佐が気をつけろと言っていた奴!!」

アムロはファンネルを巧みに避けつつ、アルパに迫るが、三機のセロシリーズに邪魔される。

アムロ「くッ!さすがにキツいな!」



マリィ「アムロさんが危ない!ホエールズを頼みます!」

ノイン「任せてくれ!」

ピーリス「!!来たな・・・!」

マリィ「アレがいる!」

マリィのスモーとピーリスのキュべレイのサーベルが火花を散らす。

ピーリス「何なんだ、貴様ッ!」

マリィ「あなたこそ!」

その頃、ハマーンとシャアも激しく撃ち合っていた。

シャア「ハマーン。お前と千五百年間連れ添ってみて、気付いたことがある」

ハマーン「・・・・・何だ」

シャア「お前とは愛し合うよりも、殺し合うほうが似合っている、と」

ハマーン「・・・・そうか。お前がそう思うのなら、そうなのかもしれんな・・・・
     だが、ターンXは返してもらおう」

モクバはアルマイヤーとともにキンケドゥ艦隊と合流を果たしていた。

キンケドゥ「みんなすまない!」

ゴメス「気にするな。それより、アムロたちは平気か?」

モニク「あそこに突っ込む気か!?あのファンネルの数を見ろ!」

カロッゾ「ジャンダルムに集中砲火を浴びせるぞ!!」

戦艦の一斉射撃は、ジャンダルムのIフィールドに弾かれる。
逆にジャンダルム艦隊の斉射が連合軍の艦隊に降り注ぐ。

ガロード「おい、MSが来るぞ!モクバは手が放せないから、俺たちでやる!」

ポゥ「お前が仕切るな!ガキンチョ!」

ロウ「カプルは地上からこっそり援護してくれればいい!」

ソシエ「こっそりって何よ!わたしたちだって──」

メシェー「心配してくれてんだよ。前にあたしがやられたこと、あっただろ?」

ピーリスとマリィがぶつかり合う。
ピーリスはファンネルに牽制させつつ、接近を試みるが、マリィのビームガンがそれを許さない。

ピーリス「ええぃ!ここまでやり辛いのは初めてだ!!」

マリィ「この人の戦法が・・・読める・・・!」

マリィ「それどころじゃない・・・・感情も・・・すごく苛立っている」

マリィが斬りかかる。ピーリスのビームガンはスモーのIフィールドを破ることができない。
キュべレイがスモーのヒートファンを蹴り落とし、サーベルで突く。
スモーが身をよじってそれを避け、Iフィールドサーベルでキュべレイの腕を斬りおとす。
その後方からキュべレイのファンネルがビームを──

プル「だめェェェ!!」

ピーリス「!」

プル「その人をやっちゃだめ!」

ピーリス「何を・・・!」

マリィ「隙ありッ!!」

マリィのサーベルがキュべレイを両断した。

ピーリス「うあああ──」

ピーリスの断末魔に反応したファンネルが、マリィの機体を貫く。

マリィ「・・・・・私は、何を殺したの?私が、私を、殺したの・・・?」

マリィのスモーが墜落し、動かなくなった。

ロラン「マリィが!」

イザーク「マリィィィィ!!」

プル「こんなの・・・もう嫌だよ・・・!自分で、自分を殺すなんて・・・・!」


ハマーンのキュべレイのファンネルと、シャアのターンXのオールレンジ攻撃──ブラディ・シージ〝血の包囲網〟──が入り乱れ撃ち合う。が、ハマーンの劣勢は明らかであった。

ハマーン「シャア・・・!私は、お前と──」

シャア「ええい!慣れぬMSだと、こうも・・・・・!」

ハマーン「お前は地球で、私は月で、ともに人類の繁栄を見守ろう!
     世界を正しく導きたいのなら私とともに生きろ!シャア!!」

シャア「ハマーン・・・・悪いがそれはできない。私の目指す世界では、お前は弊害でしかない」

ハマーン「・・・・シャア・・・・どうして・・・・・」

キュべレイの最後のファンネルが落とされた。対峙する両機。

『あんたは、そうやってシャアを地球に閉じ込めようとしてるから!』

ハマーン「ジュドー・・・・!!」

『ともに生きることは、歩み寄ることなんだ!それなのにあなたは・・・・!』

ハマーン「カミーユ・ビダン・・・!」

ジュドー『あんたの心は、人を求めて泣いていたのにッ・・・・!』

ハマーン「・・・・よせっ・・・・!」

カミーユ『誰かを恨まなきゃ戦えないのかよ・・・・!何かを憎まなきゃ生きられないのかよ・・・・!
     そんな命の、何がうれしいんだよッ!!』

ハマーン「やめろっ・・・・やめてくれ!」

ジュドー『その心と向き合えれば、シャアとだって・・・・・・!』

ハマーン「・・・・私は・・・・私はァ・・・・!」

シャア「ハマーンの動きが止まった・・・・仕留めさせてもらうッ!」

ハマーン「!」

ターンXのビームサーベルが、キュべレイを貫いた。

シャア「すまないな、ハマーン。だが私も、ここで止まるわけにはいかんのだ」

ハマーン「ふ、ふ・・・・お前の・・・手で・・・・終わる、のも・・・・悪くはない、か・・・・」

ハマーン「・・・・・・・シャア・・・・・・・・」

ハマーンとキュべレイを閃光が包んだ。

シャア「これで、黒歴史はこの世から消えたか・・・・後はこのターンXの月光蝶で・・・・」

シャア「──この不快感・・・・ピーリスが死んだ・・・・!?
    いや、それだけではない・・・・ハマーンが、死んだ・・・・」

カミーユ『クワトロ大尉!あなたも、なぜハマーンにもっと──』

シャア「ええい!邪魔をするなカミーユ!」



マシュマー「ハマーン様が・・・・・・ハマーン様がァアァァァァァァ!!!!!」

マシュマーのオーラがアルパを包み、眩い光を全身からほとばしらせる。

アムロ「なんだ、このエネルギーは・・・!」

鬼と化したマシュマーと乗機アルパが暴走を始めた。

マシュマー「ハマァァァンさまァァァァアァア!!!」

ロラン「なんだこれは!?本当に人間が動かしているのか!?」

百基のファンネルがプルとティファを襲う。

プル「キャスバルゥ!!たすけて──」

プル機がエンジンに直撃を受け、制御不能のまま戦場の彼方へと消えていった。
ティファ機も被弾していく。両足を、両腕を、頭部を爆破され、コックピットにビームが迫る。

ティファ「あッ──」

シャア「ティファは下がれ!」

シャアのターンXがティファを守る。

ティファ「シャア大佐・・・・・」

ロラン「ターンX!」

アムロ「シャア!!」

マシュマー「シャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

アルパの拡散メガ粒子砲が迸る。ロランのスモーのIフィールドが貫かれ、機体が損傷する。
ティファのキュべレイもビームの嵐の中で見えなくなった。

ロラン「これ以上は・・・・!」

シャア「ええい!ティファまでも・・・・!」

シャア「!」

アムロ「シャア、貴様はまた、幼いニュータイプを戦争の道具に使って!」

アムロがターンAのライフルででアルパのファンネルを撃ち落しつつ、ターンXに斬りつける。

シャア「道具ではない。昔の反省を生かして、ひとりひとり人間として大切に扱ってきた!」

アムロ「その結果がこれか!かわいそうに、彼女たちももっと生きたかっただろうに!」

シャア「死地に赴いたのは彼女たちだ!私は生かそうと頑張った!」

アムロ「情けないやつ!!」

シャア「貴様に何がわかるッ!」

ターンAがターンXを蹴り飛ばし、ターンXがビームライフルを落とす。
立て続けにターンAの腹部ビーム砲がターンXに直撃し、地上へ落下するターンX。

シャア「ええい!Iフィールドが・・・!シートも私に反発しているッ!」

ロランのスモーがアルパの機体を切り裂いていく。しかし巨大な機体には決定打とならない。

イザーク「ロランッ!援護するぞ!」

イザークと数機の親衛隊のスモーが駆けつけ、ファンネルを撃ち落していく。

二機のスモーがメガ粒子砲の直撃を受け蒸発する。

ロラン「イザーク!こいつにIフィールドは通じないッ!」

イザーク「化け物ォォォ!!」

マシュマー「この私にそんな薄っぺらい膜が通じるものか!!
      この私の、厚き、そして熱きハマーン様への忠誠心が、全てを貫くのだ!!
      シャアを焼き消せば、ハマーン様も冥界よりこの私を褒めて下さるはずなのだッ!!」

スモーが蒸発する。その攻撃はシャアには届かない。

イザークとロランがIフィールドサーベルに全エネルギーを送り、頭部コックピットを貫いた。

マシュマー「ハマァァン様ッ!!今、あなたの御許に──」

スモーたちがアルパの爆発に巻き込まれる。

アムロ「ロラン!イザーク!」

シャア「ターンXよ!私に力を示せッ!!」


そして、シャアのターンXがついに最終兵器──月光蝶を解放した。


アムロ「!!これは!?」

ディアナ「月光蝶・・・・!あれを拡げてはいけません!!文明が・・・・滅びてしまう!!」

カロッゾ「ソレイユの盾となれ!ディアナ様をやらせるなァ!!!」

キンケドゥ「黒歴史の輝きが・・・・!」

ガロード「オーロラかァァァ!?」

ロウ「なわけねーだろォォォ!!」

ゴメス「隔壁閉鎖!!衝撃はくるのか!?」

ソシエ「みんな死んじゃうの!?」

ロラン「月光蝶を呼ぶんじゃない!!!」

アムロ「黒歴史の映像が正しければ、この光は・・・・・!」

アムロのターンAも月光蝶を放つ。

シャア「なにッ!?」

月光蝶がぶつかり合う。せめぎあい、混ざり合い、やがて光の拡散が止まった。

ノイン「月光蝶を、月光蝶が止めた・・・・!」

カロッゾ「ひとまず、安心か・・・・むッ!?ソレイユが!!」



その頃、アーク山を歩く一人の僧がいた。

コレン「つぅ~きのたまよぉ~やどれ~やどれ~やど・・・・・ん?」

コレン「・・・・・ありゃあ、月光蝶の光だなァ・・・・こうしちゃいられねぇ!」



シャア「ええい、アムロ!私がわざと置いて行った機体で・・・・!」

アムロ「シャア!なぜ月光蝶などを使う!文明を、世界を破滅させる気か!!」

シャア「アムロ!あの時アクシズで貴様が見せた人の心の光は人々に伝わらなかったのだよ!!
    ラプラス戦争、マフティー動乱、コスモバビロニア建国戦争、木星戦役、宇宙戦国時代・・・・
    あの後も人間たちは戦いを止めなかった!だから!」

アムロ「だがそれが歴史だ!事実を曲げてまで作る未来には何の意味もない!」

シャア「ではこの世界はどうだ!戦いの記憶が、数多の悲劇を生んだ!
    黒歴史がなければ死なずにすんだ人間が、どれだけいるというんだ!
    だから私は、黒歴史を葬り、このターンXで文明を再び土に還し、新しい歴史の創始者となる!」

アムロ「そんな勝手!人の過ちに目を瞑り、都合の良い所だけを切り抜いて歴史などと!!」

アムロ「──シャア貴様、黒歴史に残されていた、
    元の世界で行った自分の悪行を隠蔽しようとしてるんじゃないのか!」

シャア「私がそんなに小さい人間に見えるのか!」

アムロ「見えるとも!!」

月光蝶発動の混乱の間隙を突いて、ジャンダルムがソレイユに猛然と攻めかかり始めた。」ソレイユの船体を多数のビームとミサイルが直撃し、そこかしこから煙を上げている。

カロッゾ「!!ディアナ様が!!」

カロッゾ「アルマイヤーを突っ込ませろ!!特攻をかける!!!」

アルマイヤーがソレイユの前に出、集中砲火を受ける。

ディアナ「カロッゾ!おやめなさい!あなたまで・・・あなたまで散ることはないのです!!」

カロッゾ「なんとォォォォォ!!!!」

アルマイヤーがジャンダルムに激突する。船体が拉げ、爆炎をあげながら地上に落ちていく。
カロッゾ・ロナの体が、宙を舞った。その意識が、空を駆けた。

カロッゾ『──キンケドゥ、聞えるか、私だ!カロッゾ・ロナだ!』

キンケドゥ「義父さん!?今助けに──」

カロッゾ『もう遅い!ベラを・・・・・我が娘ベラ・ロナを頼んだぞ!あの子は優しい子だ・・・・
     情けないこのわしを抱きしめてくれた・・・!温かい胸を持っておる・・・・!
     お前も知っていることと思うがな・・・・・』

カロッゾ『・・・・ああ、できることなら一度だけ、我が孫をこの腕に抱いてみたかった──』

キンケドゥ「義父さん・・・・!!うわあああああ!!!」

キンケドゥ「・・・・・・・博物館に・・・・行くんじゃなかったのかよ・・・・!
      三人で一緒にさぁ・・・・!」

キンケドゥ「・・・・・・・・俺のズサンを用意しろ!!」

ノイン「何をするつもりです!!」

キンケドゥ「戦うんだよ!仇だってとれば、癒される心もあるんだろ!?」

ノイン「落ち着いてください!指揮官であるあなたが!」

キンケドゥ「・・・・・・・ッ!」

キンケドゥ「・・・・・落ち着く・・・落ち着け・・・冷静に・・・・・・そうだ・・・
      ベラの暖かい胸を思い出すんだ・・・・俺には帰るところがあるんだ・・・・!子どもを作ろう。
      いっぱい作ろう。五人は欲しいな。
      それで、みんなで毎年お墓参りに行って、義父さんが寂しくないように──」

キンケドゥ「・・・・・取り乱してすまない。戦闘を続行するッ・・・・・!」



ゴメス「カロッゾ・ロナが!!・・・・・・・・!」

ゴメス「敵艦隊はまだ健在だ!!モクバも特攻をかける!!!みんな退艦しろッ!」



ポゥ「少将殿ォォォ!!ウワアアア!!!!」

ソシエ「モクバが動いた!私たちも──」

ロウ「いや、ゴメス艦長は特攻をかけるつもりだッ!!」

メシェー「そんな!」

ガロード「俺たちはどこに帰ればいいんだよォ!!」

ソシエ「止めなきゃ・・・!みんな、みんな、死んじゃ──」

ソシエのカプルの足元に砲弾が着弾し、爆風で吹き飛ぶカプル。

メシェー「ソシエが!!」

ガロード「ソシエエエ!!!!」

モニク「ふざけるな!!特攻など、今すぐ艦を戻せ!!」

ゴメス「じゃあここでソレイユがやられるのを、見てろって言うのか!!」

モニク「ソシエやガロードの帰る場所はどうなる!?この船は私たちの家だッ!命なんだよ!
    分からないのか!!」

ゴメス「だが──」

モニク「今からオリヴァーもMSで出る!こいつの帰る場所を奪ったら、私はお前を許さないからな!ゴメス!」

オリヴァー「え!?僕・・・・!?」

モニク「何か文句があるのか!早く出ろ!お前作業用モビルリブの操縦上手かっただろ!」

オリヴァー「しかし・・・・・!」

モニク「月に帰ったら、私の手料理を振舞ってやる!だから早く行け!」

オリヴァー「は、はい!!」



オリヴァー「と、勢い込んで来たけど、モニク大尉の手料理は、
      命を懸けてまで食べる価値はあるんだろうか・・・・?」

セレーネ「オリヴァー!どうしたの?」

オリヴァー「まだいたんですか!?MSを借ります!」

セレーネ「待って!死ぬ気!?」

吹き飛ばされたソシエのカプルが、戦場をゴロリと転がる。

ロラン「ソシエ!ソシエさん!」

ソシエ「・・・・・う・・・・・・ロラン?」

二機のターンタイプが激突する。撃ちあい、斬り合い、翻り、旋回し、あらゆる兵装を使い戦う。

シャア「黒歴史の存在は、それを我欲のために利用せんとする者も同時に生むんだよ!アムロ!」

アムロ「グエン・ラインフォードやシロッコの事を言っているのなら、確かにそれも事実だが──
    黒歴史があったからこそ、月光蝶や核の別の使い道も示せた、これも事実だ!」

シャア「真実は常にひとつだ!このメビウスの輪のごとき戦いの連鎖を断ち切るため、私はここにいる!
    ララァの導きでな!」

アムロ「!・・・シャア、貴様は何にも変わっちゃいない!!
    人々が後世に残した声を、ちっぽけなエゴで踏みにじるだけでは飽き足らず、女をその言い訳にして!」

シャア「アムロ・・・・・・!今の言葉、聞き捨てならん!!そもそも貴様がララァを──」

アムロ「そのセリフなら、二年前にも聞いたよ!」

シャア「そうかい!だが私は千五百年ぶりなのでな!言わせてもらう!!」



ソシエ「ロラン、月光蝶の光って大昔に地球の文明を滅ぼしたものだって言うけれど・・・
    なぜだろう、この青い光、わたしにはどこか暖かくも感じられるわ」

ロラン「そうですね。僕もそう感じます。力って結局、使う人次第なんじゃないでしょうか」

ソシエ「怖い人が使うから怖い兵器なのね。ギャバンを殺した核と、ロランが使った核も、同じ物なのね」

ロラン「・・・はい」

いつ果てるとも無きターンタイプ同士の戦い。地球はもう、夜明け前である。
戦いの火も消えた戦場で、アムロとシャアだけが戦っている。

ソシエ「あの二人、ずっと闘ってる・・・・あんなに純粋な人たちなのに」

ロラン「純粋だから闘うんですよ。純粋すぎるから」

ソシエ「そういうものなの・・・・」

ロラン「ソシエさん、笑わないで聞いてもらえますか」

ソシエ「なに?」

ロラン「僕、あの二人はどこか別の時間から来たんだと思うんです。
    そうでなきゃ腑に落ちないことが多すぎるんですよ。
    きっと黒歴史にあるような悲劇を何度も目の当たりにしてきたんだろうなって」

ロラン「僕、今、変なこと言ってますよね」

ソシエ「ううん、わたしもそう思うわ」

ロラン「僕、そういう素直なソシエさん、好きですよ」

ソシエ「・・・・・・!そんなこと・・・・・・・」


コレン「宿命は時間も空間も選ばねぇのよォ。たとえ時空が隔てようとも・・・・宿命がふたりを引き合わせる。
    殊にガンダムが紡ぐ宿命とあっちゃァ、人は永劫、逃れる術を知らねェわなァ」


アムロ「シャア!!」

シャア「アムロ!!」

ターンAのサーベルがターンXの腹部を切裂き、ターンXのマニピュレータがターンAの胸を貫く。

地上に落下した二機のターンタイプを、繭状のナノマシンがそっと包み込む。

ソシエ「繭がたってるみたい・・・・」

月が二つの繭を優しく照らしていた。

やがて、月日が経ち、黄金の秋が、地上を彩った頃──


─月

キラ「やぁ」

マユ「あ!キラさんだ!」

シン「こんちわ先輩!ゼミ帰りですか?」

キラ「うん。そんなところ」

シン「フレイさんとはどうなんです?」

キラ「ん?まぁ、ぼちぼちかな・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

テクス「残念だが、もうMSには乗れないだろうな。何かあったらナースコールしてくれ」

シロー(ノリス大名が守ってくれたこの命。大事にしなければ)

アイナ「シローさん、大丈夫ですか?」

シロー(かわいいナースさんだなぁ)

アイナ「じゃあ下全部脱いで、お尻をこっちにむけて下さい」

シロー「えっ」

アイナ「座薬ですよ。テクス先生、呼んできます?」

シロー「いえ!今脱ぎますッ!!」

ハマーン一派の残党との戦いは、しばらくの間続いた。キンケドゥ中佐率いる艦隊はその鎮圧に追われていた。

キンケドゥ「ポゥ大尉、この宙域にはもういないだろう。月に帰るぞ」

ポゥ「了解!」

ポゥ「一年で二階級昇進だなんて・・・・・!もうモニクには偉い顔させないぞ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

オリヴァー「あの、モニク大尉、手料理はいつ・・・・・」

モニク「知らん!」

オリヴァー「それより、新しい試験パイロットというのは?」

モニク「間もなく到着するはずだ。今度はまともなやつだぞ。ゼクスのお墨付き──」

プル「ぷるぷるぷる~」

プル「あれ?」

オリヴァー「子ども・・・・?」

モニク「ガキだとォ!?ゼクスのやつ!!騙したのかァ!!」



ゼクス「?今誰か私を呼んだか?」

ノイン「ゼクス、入りますよ」

ゼクス「ああ・・・・・・」

ゼクス「二年と六十三日ぶりだな・・・・」

ノイン「二年と六十三日と十二時間ぶり、ですよ」

ゼクス「そうだったか・・・」


─白の宮殿

ディアナ「では親衛隊の皆様、ご苦労でした」

ロラン「は!」

ロラン「あれ、イザークは?」

マリィ「ドモン・カッシュのサインをもらいに行ったわ」


─冬の城

ドモン「じゃあ俺は、しばらく冷凍睡眠に入る。ここの管理は任せたぞ」

カテジナ「・・・・・・ああ」

カテジナ「聞えるかい、坊や。坊やのところへ行くのは、しばらく先のことみたいだ・・・・・
     待っていてくれるよね・・・・・」


─地球

ガロード「おい!こっちも掘れそうだ!」

ロウ「俺はシド爺さんのところに行って道具もらってくる!」

ガロード「ああ!」

ガロード「ん?」

ティファ「・・・・・・・・」

ガロード「女、の子?」

アメリア大陸はアメリア合衆国として生まれ変わった。
グエン・ラインフォード初代大統領は、メリーベル・ガジットの遺伝子に刷り込まれている黒歴史の情報を月へと返上した。
その際、ディアナ・ソレルとの間で何らかの取引があったようだが──真相を知るものはほんの一握りである。

グラハム「サンベルト自治州より馳せ参じた、グラハム・エーカー部隊であるッ!
     グエン・ラインフォード大統領と大統領夫人リリ殿に謁見賜りたい!!」

ヒイロ「・・・・・・・・」

メシェー「なにあれ、かっこつけちゃってさ」

ゴメス「閣下なら今いないぞ!」



グエン「紹介しよう。左から、カトリーナ、ティエリア、カリスタ」

カトル「どうぞ」

ティエリア「よろしく」

カリス「お願いします」

キエル「・・・・・ま、まぁ・・・・」

メリーベル「新しい舎弟だってさ。ローラのロランには断られたらしいけど」

ソシエ「趣味・・・・?」

セレーネ「ソシエ、いる!?大変よ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ソシエ「ギャバン!!」

ギャバン「ソシエ・・・・・・地獄から這い上がってきたぞ・・・・」

ギャバン「まぁ、体はこんなになっちまったけどな・・・・」

ソシエ「いいのよ!私がギャバンの足になってあげる!だからもう、遠くへ行かないで!」

ギャバン「行くもんか・・・・・・・」

その頃。ガリア統合領主トレーズ・クシュリナーダは宮殿の窓から月を眺めていた。

五飛「ヒイロは無事に潜入したみたいだ。」

トレーズ「・・・そうか」

五飛「こいつらは?」

トレーズ「我々の新たな仲間だよ」

アレルヤ「ああ、世界の声が聞える・・・・また戦争になるんだね、ハレルヤ。え?
     マリィもいるのかい・・・?」

ソラン「・・・・・俺はガンダムになる。どこの世界であろうとも」

五飛「大丈夫かこいつら・・・・・」

トレーズ「さぁ戦争を始めよう!・・・・・この地球を覆う戦火が真の勝者と敗者を決定付ける。
     グエン・ラインフォード・・・・相手にとって不足はない。私は、勝者になりたい・・・・・・!」

──グエン・ラインフォードの戦いは、これから始まる。

コレン「ときがみらいにすすむと~・・・っかァー!酒がんまい!!やっぱり地球の夜明けは最高の肴だねェ!
    お天道さんと酌み交わす酒のなんと美味いことよ!」

コレン「・・・・さて、あの二人は宿縁を断ち切れたのかねェ・・・・・」


─UC93、3、12─

アムロ「・・・・ここは・・・・アクシズ・・・・・!」

シャア「全ては泡沫の夢だったというのか・・・・・しかし・・・私たちは何度も戦ったが、いつも決着はつかないのだな」

アムロ「何を!この戦いでは、貴様は負けたんだぞ!」

シャア「千五百年も前のことなど、いちいち覚えちゃいない!」

アムロ「都合のいい奴!」

シャア「・・・・アムロ、私は、ロランやソシエがいたあの世界を幻想だったとは思えない。
    いや、そう思いたくない自分がいる」

アムロ「俺も同じさ。
    彼らは、殺し合うことしかできないニュータイプとも、地球に縛られたオールドタイプとも違うから」

シャア「・・・・・ああ・・・暖かい・・・・・心が、溶けてゆく・・・・・・・・」

アムロ「ここからでも、月がみえたんだな・・・・・・ロランたちも違う場所から、
    同じ月を見ているのかもしれない。シャア、そうだとしたら──・・・・・」

アムロ「・・・・・・・シャア、俺は、この光が人々に伝わらなかったとは思わない。
    歴史は事実を語るが、人の心までは映せない。そう思うよ──」


                                                                              終     

                



948 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/17(日) 05:21:27.82 ID:Hq5R94h20
終わりました。途中けっこう辛かったりもしたけど、みなさんのたくさんの支援のおかげで何とか完結できました!
おかげで寝不足です。どうしてくれる。
語彙不足、言葉の誤用、酷い展開、などなど御見苦しい点ばかりの駄文でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
ほんとはトレーズたちガリア組は本編に出てくる予定だったんですが、やめました。Wファンの方申し訳ない

小6の時SEEDを見てハマる→ガノタに

特に好きな作品は
Z、逆シャア、F91、MSイグルー、SEED無印、スターゲイザー、∀

でもどの作品も好き

でしゃばってすいません。乙してくれてありがとう!!


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529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 22:21:16.64 ID:GjZ2z47MO
ケータイから>>1です
レ・Oは元々リーオー/トールギス系統のMSであったのを、シロッコが再設計したという設定です

なのでジ・Oの特徴も継承してるというトンデモMSです


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