いーちゃん「桜高けいおん部?」 【オトキリシニカル】

2011年01月06日 19:52

いーちゃん「桜高けいおん部?」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/07/23(金) 09:03:04.48 ID:+Z7B/KsLO

いーちゃん「桜高けいおん部?」

哀川「そ、こないだ居酒屋で呑んでる時にそこの顧問と仲良くなってな」

いーちゃん「それで……それと僕が今拉致されているのは何か関係があるんですか?」

哀川「察しが良くなってきたじゃねーか。
   あたしはこれから一週間ちょっと仕事が忙しいからよ、顧問の山中さわこの頼みを聞いてやってくんねーか?」

いーちゃん「はぁ……」

いーちゃん「まぁ良いですよ。どうせ断るなんて選択肢は僕には無いんでしょうから」

哀川「なぁに人聞きの悪いこと言ってんだよいーたん。まるであたしがいつもお前を振り回しまくってるみたいじゃねーか」

いーちゃん「振り回してるじゃないですか。まぁ哀川さんの仕事は小遣い稼ぎには丁度良いから良いんですけど……」

哀川「あたしの事を名字で呼ぶなって、お前何回言えば分かるんだよ」

いーちゃん「すみませんね潤さん。なにぶん戯言遣いは物覚えの悪さには定評がありまして」

いーちゃん「で、結局頼みってのは何なんです?」

哀川「知らねーよそんなモン。あたしの役目はお前を桜高に届けることだけだよ。
   頼み事に関してはお前が勝手にやって勝手に解決しろ」

いーちゃん「そんな横暴な……」

哀川「うっし、着いたぞ」

いーちゃん「へぇ……女子校ですか」

哀川「なぁに鼻の下伸ばしてんだよ。いーたんのえっち!」

いーちゃん「ひかりさんの声で言うな!」

哀川「マジギレかよ!?」

いーちゃん「まぁこの学校を見て安心したのは確かですけどね。いたって平和そうだし曲絃師も策士も居なさそうだ」

哀川「はっ、そんなもんがゴロゴロしてるほど世の中は危なくねーって」

いーちゃん「潤さんが言っても説得力無いですよ……とまぁともかく、今回は戯言も必要無さそうですね」

哀川「だと良いけどな……」

いーちゃん「? 何か言いました?」

哀川「なんでもねーよ。じゃあねーん」

いーちゃん「行っちゃった……相変わらず嵐みたいな人だな」ドンッ!

唯「きゃっ!」

いーちゃん「うわっ?」

唯「ごめんなさいおにーさん! あたし急いでて──」

いーちゃん「大丈夫だよ。急いでるんなら早く行きなよ立てるかい?」

唯「うん! ありがと、おにーさん!」タッタッタッ


いーちゃん「……可愛らしい娘だったな。巫女子ちゃんみたいだ」

いーちゃん「荒野に咲く一輪の花。ただし食人植物マンイーター、みたいな?」ボソッ

いーちゃん「まぁ……」

いーちゃん「戯言だけどね」



オトキリシニカル




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────

さわこ「あなたが潤ちゃんお抱えの請負人さん?」

僕「請負人はあの人以外には務まりませんよ。僕はただのしがない戯言遣いです」

さわこ「? 戯言?」

僕「あぁ気にしないで下さい。それより分かってたんなら早く迎えに来て下さいよ。
  お陰で警備員の方に追いかけ回されましたよ」

さわこ「なんで逃げたのよ……」

いーちゃん「…………」

さわこ「…………」

僕「まぁそれはさておき……」

さわこ(話を逸らした!?)

僕「僕は哀川さんの代わりにあなたの頼みを聞きに来たわけなんですけど、用件を教えてもらえますか?」

さわこ「ええ、実は後一週間で吹奏楽部のコンクールがあるの。
    私は軽音部と吹奏楽部の掛け持ち顧問をやってるのだけれど、暫くは軽音部に来れそうにないから……」

僕「代わりに僕が軽音部を見る、と」

さわこ「そう。放っておいても良いかと思ったけど、何だか嫌な予感がしたから……」

僕「…………」

さわこ「私用でごめんなさいね。あなたの学校の出入りに関しては私が融通利かせておくから」

────

さわこ「ここが音楽室よ。軽音部の活動場所はここだから、放課後にここに居れば他の時間は好きにしてて良いわ」

僕「好きにしてて良い、ですか」ピクッ

さわこ「……更衣室を覗こうなんて考えちゃ駄目よ。絶対問題は起こさないように!」

僕「覗きませんよ。僕実は女の人の裸を見ると石になる体質ですから」

僕「…………」

さわこ「…………」

僕(何か喋れよ)

さわこ(この人、変態さんかしら……)



いーちゃん「また取り残されちゃった……」

いーちゃん「これから放課後までどうやって時間潰そうかな……ん?」

トンちゃん「プカプカ、プカプカ」

いーちゃん「亀だ。でもなんで亀が?」

いーちゃん「…………」

いーちゃん「よし、僕が名前を付けてあげよう。君の名前は今日からクラムボンだ」

────

唯「いてて……膝擦り剥いちゃった」

澪「どうしたんだ……って、血が出てる!?」

律「なんだちょこっとじゃねーか。唾つけとけ唾」

唯「あははっ、りっちゃんおばさん臭いよー」

律「なにぃ!?」

紬「私絆創膏持って来た~」

唯「ありがとームギちゃん!」

澪「」

律「でもなんだって擦り剥いてんだ? 流石のお前も何も無いとこでコケたりしないだろ?」

唯「んーとねぇ、校門のとこで変なおにーさんとぶつかったの」

律「え?」

唯「え?」

紬「それって不審者じゃないかしら……」

唯「違うよー! おにーさんとっても優しかったもん!」フンスッ

律「でも初めは優しくしといていざとなったら凶暴な殺人鬼に、なーんてよくある話だもんなぁみーお?」ポンッ

澪「きゃーーーっ!!」

律「いてて……殺人鬼より澪の方がよっぽど凶暴だよ」

澪「律が変なこと言うからだろ!」

紬「でも殺人鬼って言えば最近この辺りでもニュースになってるから心配だわ」

律「あーあのバラバラ死体か。物騒だよなぁ」

唯「澪ちゃん……」

澪「」

律「…………」ニヤリ

律「澪大変だー! あたしの指がちぎれるー! もうダメだー!! うわー!」

澪「いい加減にしろ!!」

────

僕「学校の図書館にも面白いのがあるな……ってもう四時か」

僕「昼ご飯食べるの忘れてたけど、もう放課後だしなぁ」

ガチャッ

梓「…………」

僕「いらっしゃい。何も無いところだけどゆっくりしてってよ。僕もクラムボンも歓迎するよ」

梓「どなたですか……?」

僕「おっと名乗るのが遅れたね。僕はしがない戯言遣いさ。本名を名乗るつもりはないからいーちゃん、いーたん、いのすけ、いの字、いーの、いっきー、いー兄、いっくん、戯言遣いのお兄ちゃん、この中から好きなように呼んでよ」

梓「……き」

僕「き?」

梓「きゃーーーっ!!」

僕「え? なんで? なんで?」

────

きゃーーーっ!!!

律「悲鳴だ!」

唯「あの声はあずにゃん!?」

澪「どうしよう……取り敢えずさわこ先生を呼んで……」

律「そんな暇あるか! あたしらで何とかするんだよ!」

紬「急がなきゃ!」



律「大丈夫か梓!?」バタンッ

僕「いらっしゃい。何も無いところだけどゆっくりしてってよ。僕もクラムボンも歓迎するよ」

律「ふざけんな! 梓から離れろ!」

紬「もしもし斎藤? 直ぐ来て!」

澪「だ、大丈夫か梓!」

僕「……え?」

唯「あーーーっ!!?」

律「どうした唯!?」

唯「今朝のおにーさんだ!」

僕「え? どちらさんで?」

唯「もう! 惚けたって駄目だからね!」

僕「はぁ……」

紬「唯ちゃん知り合い?」

唯「うん。今朝話したおにーさんはこの人なんだ!」

律「てめぇやっぱり唯に付け込む気だったんだな! あたしらがとっちめてやる!」

僕「うわっ? ドラムスティックはしまってよ!」

────

律澪紬「すみませんでしたーっ!!」

僕「気にしてないよ。素手で両手両足と顎を折られるよりはマシだったし」

梓「でもいきなりあんな挨拶する方にも問題があるような……」

唯「まさかおにーさんがさわちゃんの代わりの顧問だったなんて!」

僕「うん。まぁ一週間の間だけど上手くやっていこうよ」

唯「そこは普通仲良くやっていこうよじゃない? おにーさんへんなのー」

僕「仲良く、か。君達がそれで良いならそうしよう」

律「おにーさんへんな人だな。んじゃ自己紹介しよう。あたしは部長の田井中 律! ドラム担当だ」

澪「わ、私は秋山 澪です。担当はベースです……」

梓「私は中野 梓です。担当はリズムギターです。ちなみにその子はクラムボンじゃなくてトンちゃんですから」

唯「わたしは平沢 唯だよ! 担当はリードギターなんだ!」

紬「私は琴吹 紬です。担当はキーボードです」

僕「へぇ……琴吹か」

紬「え?」

僕「もしかして琴吹財閥の令嬢さん?」

紬「え、えぇまぁ……。父とお知り合いですか?」

僕「いや、僕が一方的に知ってるだけさ」

唯「やっぱりムギちゃんとこの会社は有名なんだねー」

僕(……そういえば壱外と提携してる財閥でそんな名前のところがあったっけ。
  まぁどうでも良いけど、幾らなんでもパトロンが玖渚機関ってわけでもないだろ)

律「おにーさんの名前は何って言うんだ?」

僕「僕は人様に名乗れる名前を持ってないんでね。いーたん、いーちゃん、いっくん、いーの、いのすけ、いの字、いっきー、いー兄、いーくん、戯言遣いのお兄ちゃん。この中から好きなように呼んでよ」

律澪紬梓「…………」

唯「じゃあいーちゃんさんだねぇ。よろしくいーちゃんさん!」

僕「よろしく。えーと……澪ちゃん」

唯「わたしは唯だよ!」フンスッ

僕「ごめんごめん、よろしくりっちゃん」

律「あんたわざとやってるだろ……」

僕「わざとじゃないよ紬ちゃん」

律「嘘つけ」

僕「嘘じゃないよ唯ちゃん」

律「嘘だろ」

僕「嘘だけれど」

僕「と、それはさておき……」

律(話を逸らした!?)

僕「顧問って言ってもいきなり押しつけられた身でね。僕も何をすれば良いか分からないんだ。
  自慢じゃないが僕は楽器なんて握ったこと無いからね」

梓(大丈夫かなこの人……)

澪(大丈夫なのかこの人……)

紬「ま、まぁ取り敢えずお茶にしましょう!」

唯「わーい! 今日のお菓子はなぁにムギちゃん!」

紬「瓦煎餅よ」

律(し、渋い……)

僕「良いね。僕も好きだよ煎餅」

紬「いーちゃんさんは飲み物紅茶で良いですか?」

僕「うん。砂糖は控え目でお願い」

澪「ティータイム終わったらちゃんと練習するからな!」

律「分かってるって」

唯「わぁ! お煎餅おっきぃ!」

梓「これは当分食べきれそうにないですね……」

僕「昼ご飯食べてないから丁度良いや。ありがとう澪ちゃん」

澪「えっ!?」

律「あんたいい加減しつこいって……」

────

唯「もうお腹いっぱいだよー」

律「食べたら眠くなってきたな……ふゎーあ」

澪「こら! 練習するって言ったじゃないか!」

律「うるせーな。ちょっと休んでただけじゃないか」

澪「そんなだから毎日練習出来ないんだろ!」

律「何でお前が仕切りたがるんだよ! そんなに嫌なら文学部にでも行けよ!」

澪「……っ!」

紬「りっちゃん!」

唯「あわわ……」

僕「…………」

律「……悪かったよ。少し言い過ぎた」

澪「もういい」

律「えっ?」

澪「そんなに私が鬱陶しいんなら私は辞めさせてもらうよ。一緒に武道館に行こうなって言ってたのも嘘だったんだな」

律「なっ……!?」

紬「澪ちゃん!」

澪「ムギ、もう良いんだ。私はもう疲れたから、お前達は仲良くやってれば良いさ」

僕「笑わせんなよ」

澪「…………」

僕「武道館に行こうなって言ったのは嘘だった?
  その判断は君の主観に基づいたもので、一人よがりのエゴでしかないんだよ」

僕「僕は昔の君達の仲なんて知らないけど、多分紬ちゃんもその時は本心で言ってたと思う」

紬「紬は私です」

僕「黙ってろ沢庵眉毛」

僕「でも哀しいかな現実に変わらないものなんてない。
  君は自分に都合の良い事実、つまり武道館に行こうなって言葉がずっと変わらないものだなんて幻想を抱いたお子ちゃまなんだよ」

澪「だったらどうだって言うんだ……」

僕「君は会話に簡潔さを求めるタイプかい? そんなんじゃ駄目だよ。
  人間は古来から風情を求める生き物であって、そう在るべき生き物なんだから」

僕「まぁ良いや、じゃあ言わせてもらうよ。くだらない意地張ってまで善人面したいのか? なぁ偽善者。
  君が言ってることは戯言でも正論でもない、幼児の我儘だ」

律澪「…………」

唯「いーちゃんさん……」グスッ

紬「澪ちゃん……」

僕「まぁ……」

僕「戯言だけどね」

澪「ああそうだ! 私はどうせ偽善者だよ! それの何が悪い!?」

僕「悪いなんて言ってないよ。ただ黙って聞いてるにはあまりにも滑稽だったから質問してみただけ」

澪「ふざけるな!」ダッ

紬「澪ちゃん待って!」

唯「わたしも行く!」

僕「その必要は無いよ」

僕「ここであの子を追うのは今まで自分達が培ってきた絆を否定するのと同義だよ。
  僕はそれでも構わないけど君達はどうなんだろうね?」

唯「だったらいーちゃんさんはどうしろって言うの!?」

僕「放っておけば良いんだよ。偽善者は孤独に弱い。だから正義を取り繕って人と群れる。
  あの子にこの輪から抜ける勇気は無いよ」

紬「いい加減にしてください!」パシンッ

僕「いたいなぁ……」

紬「群れる事は卑怯なんですか? 手を取り合って仲良くする事は醜悪なんですか? 人は一人で生きてるんじゃないんです!」

僕「違うね」

紬「何がですか!?」

僕「どんなに苦しくても人は一人で生きていかないといけない。一人は辛い。一人は苦しい。
  でも一人で生きていけないってんなら死んだ方がマシだ」

律「だったら……」

唯「勝手に一人で死んじゃえ! いーちゃんさんなんかだいっきらい!!」ダッ

僕「…………」ピクッ

律「おい唯!!」

紬「待って唯ちゃん!」

僕「いーちゃんさんなんかだいっきらい、か……」

『いーちゃんきらい』

僕「胸糞悪いだけだよ。やっぱり君は僕のことを『いーちゃん』と呼べる人間じゃないみたいだ」カチカチップルルル

僕「もしもし。哀川さん、僕はどうやって帰れば良いんですか?」

哀川『あたしの事を名字で呼ぶなって! その辺で寝泊まりしてろ!!』ワーワー! ヘルプミー! チュドーン パララララッ

僕「あれ? きれちゃった。あんた何やってんですか哀川さん」

僕「まぁ良いや、取り敢えず夕食でも食べよう」

────

僕「マクドナルドなんて久し振りだなぁ。やっぱり日本人はジャンクフードを美味しく食べられないとね」モグモグ

僕「しかし険悪な空気にしちゃったなぁ……この場合依頼は失敗なのかな?」

僕「まぁ事後処理はいつも哀川さんの仕事だし、僕がどうにかしようとしても周りが狂うだけか……」

僕「もう遅いかもだけどね」

「相変わらず独り言が多いやつだな、欠陥製品」

僕「やぁ人間失格。元気そうでなによりだよ。何でこんなところに居るのかは聞かないけれど、お陰で夕食が排泄物の味に変わったよ」

人識「かははっ、そりゃなによりだ。こちとらはお前のせいで晩飯が人肉の味に変わっちまったよ」

僕「戯言だよ」

人識「傑作だろ?」

僕「出来れば二度と君には会いたくなかったんだけどね」

人識「そう言うなよ。俺だって好き好んでこんなところに居るわけじゃねーんだから」

僕「へぇ……夕食の肴には丁度良さそうだ。聞かせてよ」

人識「お前今聞かねーって言ったばかりじゃん。つーかお前酒呑めねーじゃん」

人識「大体お前こそなんでこんなとこにいんだよ。まさか自分の家忘れちまったんじゃねーだろうな?」

僕「まさか。記憶力に関しては青色サヴァンよりも良い自信があるよ」

人識「ふーん」

僕「僕は今女子校の軽音部の顧問をしていてね。いやぁ困った。
  出勤初日から『先生愛してる』なんて五人の女の子から詰め寄られちゃったよ」

人識「かははっ、そりゃ災難だったな」

僕「で、君の方はどうなんだい?」

人識「まぁ簡単に言えば家族探しだよ。この辺りに零崎が居るみたいでな。まぁ正確には成りかけかもしんねーけど」

僕「零崎が? 真心に全滅させられたって……」

人識「まぁそこんとこは色々あんだよイロイロ。零崎一賊は根本的に滅ぶことはねーんだ」

僕「へぇ、意外と家族思いなんだね」

人識「止めてくれ気持ち悪い。お前に褒められてると虫が這ってるみたいな感覚になんだよ。
   大体俺が家族思いだってんなら兄貴達はそれこそ異常だったよ」

人識「んじゃそろそろ行くか」

僕「もう行くのか? そんなに忙しい身分でも無いだろ?」

人識「なに人事みたいな事言ってんだよ。お前も来るんだよ」

僕「えっ? えっ?」

────

僕「言っとくけど血みどろな事件は御免だからな」

人識「かははっ、お前が言って良い言葉じゃねーだろ欠陥製品」

僕「君には言われたくないよ人間失格」

人識「そう言うなよ。さっきアドレナリン全開ねーちゃんから電話があってな。お前のお守りを任されたんだよ」

僕「哀川さんが?」

人識「あのねーちゃんは何でもお見通しだよな。何で俺がこんなとこに居るの知ってんだろ……」

僕(よりにもよってお守りがこいつか……やっぱり人が悪いな)

人識「だがまぁ殺しも一時解禁されたし、久し振りにわくわくしてんだよ俺は」

僕「人殺しは面白くないんじゃないのか?」

人識「じゃあお前今から一年間ハンバーガー食べるなって言われてみろよ。
   ハンバーガーなんて好きじゃなくても食べたくなるだろ?」

僕「人の命とハンバーガーを同列にすんなよ」

人識「かははっ、同じことだろそんなもん。よぉ牛さん、あんたが生きた世界は楽しかったかい? ってな!」

僕「戯言だよ」

人識「傑作だろ?」

僕「大体哀川さんが人殺しを許したってのもうさん臭いんだけどね」

人識「そんだけあのねーちゃんがお前の事が大好きって事だろ?
   いーたんの邪魔になるやつに限りぶっ殺しても良いってよ。かははっ、愛されてますねーいーたん」

僕「嫉妬かい? ぜろりん」

人識「まさか! これに関しちゃお前に感謝してんだよ。お前の用が済むまではお前の命、この零崎人識が保証してやるさ」

僕「頼もしい限りだよ」

人識「まーな。欠陥製品に纏わりつく虫はこの俺が……」



 殺して
 解して
 並べて
 揃えて
 晒してやんよ
 


────

律「くそっ澪のやつ……」

律「いつもみたいにバカ律! なんて言って殴ってくれた方が清々するっての……」

律「いーちゃんだっけ? あいつもあいつだ。一体全体何がしたいんだよ……」

律「澪のやつ……明日謝ったら許してくれるかな?」

────

紬「澪ちゃん大丈夫かしら……」

紬「ううん、澪ちゃんだけじゃない。りっちゃんもきっと悲しんでる筈だわ」

紬「いーちゃんさんの言う事なんて真に受けちゃ駄目よね……」

紬「明日はみんなの分まで私が明るくしなきゃ!」フンスッ

────

澪「…………」

澪「なんで分かってくれないんだよ……」

澪「一人になんてなれる筈無いじゃないか。一人は怖いよ」

澪「怖い……怖い……怖い怖い怖い……怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いっ!!」

────

唯「ふふっ……」

憂「お姉ちゃん?」

唯「きっとみんなは怖いんだよね。バラバラになっちゃうのが……」

憂「どうしたのお姉ちゃん。具合でも悪いの?」

唯「皆がバラバラで独りぼっちじゃ寂しいもんね……でも大丈夫だよみんな」

憂「…………」

唯「わたしが全部なんとかしてあげる。だから怖がらなくても良いんだよ……ふふっ」

────

ぼく「この御時世段ボールハウスなんてあるんだな……」

人識「立派な豪邸だろ? この俺が丸一日かけて作ったんだ」

僕「強がるのはその涙を拭ってからにすることを強く薦めるよ」

人識「……殺して解して並べて揃えて、晒してやろーか?」

ぼく「遠慮しとくよぜろりん。これでも僕は今感動してるんだ。
   まさかあの骨董アパートよりもボロな住まいがあるとは思わなかったからね」

人識「かははっ」チャキッ

ぼく「無言でナイフを取り出すな。うわなにすんだやめ……」

────

ぼく「おはようございますさわ子さん」

さわ子「……おはよう」

ぼく「どうしたんですか浮かない顔して。聞いてくださいよ、ぼく昨日殺人鬼と一夜を共にしたんですよ」

さわ子「悪いけどあなたの戯言を聞いてる場合じゃないの。ちょっと来てくれる?」

ぼく「? まぁ構いませんけど、何かあったんですか?」

さわ子「何かあったどころじゃないわよ。とにかく来て!」グイッ

ぼく「引っ張らなくても歩きますって……」

────

ぼく「まぁ予想は出来てましたけど……」

さわ子「どういう事よ!?」キッ

ぼく「突っ掛からないでくださいよ。僕が殺したわけじゃないんですから……」

さわ子「……唯ちゃん」

ぼく(まぁどうせぼくが悪いんだろうけど)

ぼく「四肢断裂。眼球破損。頭部破損。内臓破裂。素人目に見ても即死どころじゃない、オーバーキルだ」

さわ子「いい加減に──!」

ぼく「うるさいなぁさっきから」

さわ子「えっ?」

ぼく「貴女が悲しんだところでこの子は帰ってこない。平沢 唯は何者かに殺されたんだ」

ぼく「その現実から目を逸らすのは彼女に対する冒涜ですよ。死ぬべきなのは彼女ではなく貴女の方だ」

ぼく「そりゃ楽だろうよ思考停止は。与えられた課題から目を逸らして逃げれば良いんだから。
   でもそれじゃだめだ。分かったら考えるか死ぬか選べ」

ぼく「もし死ぬなら丁度良い殺人鬼を紹介してあげますよ。
   きっと殺して解して並べて揃えて、晒してくれますから」

さわ子「…………」

ぼく「警察には連絡したんですか?」

さわ子「……えぇ」

ぼく(やりづらいな……流石に斑鳩さん達は来ないだろうけど)

ぼく「誰がやったのかは知らないけれどぼくは犯人を許さない。それこそ彼女に大した思い入れもないけどね」

さわ子「…………」

ぼく「ここからは戯言遣いの領分だ。殺して解して並べて揃えて、晒してやるから」

ぼく(クビを洗って待っていろ、殺人鬼)

────

律「そんなっ……」

紬「唯ちゃん……」グスッ

澪「……う、うっ……」

さわ子「哀しいのは分かるけど目を背けちゃ駄目よ。唯ちゃんが悲しむわ」

律「……先生だって泣いてんじゃねーかよ! うわあああんっ!」

紬「何で唯ちゃんが……」グスッグスッ

澪「……もういやだよ。何で唯が……」

さわ子「今日は休校だから、気をつけて帰りなさい」グスッ

────

ぼく「なぁぜろりん」

人識「なんだいーたん」

ぼく「お前まさか僕に黙って人殺しなんてしてないだろうな」

人識「かははっ、傑作だぜ。仮にそうだとしてお前に報告する義務なんてあんのかよ?
   殺し名の勉強し直した方が良いぜ、俺は零崎なんだからよ」

ぼく「零崎一賊が変人集団なのは重々理解してるつもりだよぼくは。
   でもそれとこれとは話が違う、お前は哀川さんに飼われてる犬じゃないか」

人識「言うねぇ欠陥製品」チャキッ

「あれ? 人識くんじゃないですか~」

ぼく「……知り合いかい?」

人識「……ああ」

舞織「こんなところで会うなんて奇遇ですねー。人識くんも新しい零崎に会いに来たってヲチですか?」

舞織「あぁ、というかそちらさんは誰ですか? 見た感じ殺し名でも無さそうだけど……」

ぼく「しがない戯言遣いだよ」

舞織「え? じゃあ貴方が前人識くんが言ってた京都の欠陥製品さん?」

ぼく「欠陥製品はどこかしこに居るもんじゃないけどね。ぼくがその欠陥製品で間違いないよ」

舞織「一度会ってみたかったんですよ。私は零崎舞織です。縁が有ったらよろしくお願いします」

ぼく「縁……ね。無い越したことはないけど」

舞織「え?」

ぼく「こっちの話だよ。ぼくはちょっと用事があるから失礼するよ」

舞織「え、あぁはい」

ぼく「おい人間失格」

人識「なんだ欠陥製品」

ぼく「ぼくに黙って人を殺してみろ。その時は殺すからな」

人識「かははっ、楽しみにしてるよ」

舞織「行っちゃった……」

人識「ほっとけ」

舞織「? 人識くんもしかして拗ねてる?」

人識「くだらないこと言ってんなよ。お前も零崎探しにここに来たんだろ? さっさと行くぞ」

舞織「え? 待っててば人識くーん!」

────

梓「先輩達大丈夫かな……」テクテク

梓「まさか唯先輩が殺されるなんて……」グスッ

梓「憂は大丈夫かな? 行ってみよう……かな」ドンッ

梓「あ、ごめんなさい……って!?」

梓「──先輩? 大丈夫なんですか?」

梓「え? え? なんで……」

梓「いや、来ないで……きゃああああああっ!!」

────

人識「かははっ、白昼堂々零崎をおっぱじめやがるか」

舞織「でも零崎ってそんなもんですよね?」

人識「まぁ俺は零崎の中でも特別だからそっちの基準はよく分かんねーけどな」

舞織「どうする? 接触してみます?」

人識「……今日は気分が乗らねーな。暫く泳がせておいても大丈夫だろ」

舞織(やっぱり拗ねてる……)

────

ぼく「繋がらないな……哀川さんが駄目となると小唄さん……いや駄目だ、ますます面倒になりそうだし」

ぼく「戯言遣いの領分、なんて大見得切ったは良いけど……アテらしいアテもないし」

ぼく「新しい零崎が犯人ってのが有力かな……。でもそれだと事件解決したらぼくが零崎に追われるのか?」

ぼく「……堂々巡りも良いとこじゃないか。頭が痛いな……」

──

律「……もしもし。えっ!? 梓が……?」

律「分かった。うん、お前はそこ動くなよ! 絶対だぞ!」ガチャッ

律「くそ……何なんだよ! 何で梓まで!」

律「うわあああんっ!!」ダッ

────

律「なんだよこれ……」

紬「うっ……うっ……私どうしたら……」

律「うっ……気持ちわり……」

紬「どうして? 私達が何かしたの……?」

律「ふざけんなよ!」

紬「りっちゃん……」

律「なんなんだよ! 出てこいよ殺人鬼! お前だけは絶対許さねーからな!!」

────

ぼく「あれ? 寝てたのかな……」

ぼく「起きます……っと」

人識「よう」

ぼく「…………」

人識「んな親の敵を見るみたいな目で見んなよ。危ねーやつが来ないように見張っててやったんだからよ」

ぼく「君以上に危ないやつなんてそうそう居ないだろうけどね」

人識「かははっ、お前以上に危ないやつも、そうそう居ねーけどな」

ぼく「舞織ちゃんは?」

人識「あぁ新しい零崎と接触しに行ったよ。俺はほっとけって行ったんだけどな」

ぼく「見つかったのか?」

人識「あぁ。丁度一人ぶっ殺してる最中だったよ。可哀相に、まだ高校生だってのによ」

ぼく「えっ?」

人識「なんだ心当たりでもあんのか? ちっこい黒髪ツインテールの子がこう、包丁でズタズタにされてよ」

ぼく「梓ちゃん──!」

────

ぼく「…………」

人識「いきなり走り出すなっての……もう夜中だぜ? 普通に考えてもう撤去されてるっての」

ぼく(また軽音部の子が殺された……ということは)

ぼく「なぁ零崎」

人識「ああ?」

ぼく「もう誰なのかは予測はついてる。でも確認の為聞くよ。梓ちゃんを殺したのはどんな子だった?」

人識「ああそれなら……」



舞織「こんばんわ、零崎さん」

「人違いだろ? 私は零崎なんかじゃない」

舞織「いやあなたは零崎さんですよ。私の妹、いやそれともお姉ちゃんかな?」

「悪いけどあんたの妄言に付き合ってる暇は無いんだ」

舞織「そんなわけにはいきませんよぅ。これは私にとってもあなたにとっても大事なことなんですから」

「…………」

舞織「ねぇ……」

舞織「秋山 澪。いや、零崎魅織さん」



ぼく(くそっ! ふざけるな! こんな戯言があってたまるか!)

ぼく(唯ちゃんや梓ちゃんはこの際どうでも良い! 死んだ人間に依存する資格なんてぼくには無いんだから……)

ぼく(でも! ぼくのせいで人が死ぬのを黙ってみてるなんて出来るか! 死に続けるのはもう止めだって誓っただろ!)

人識「おい待てって!」

ぼく「着いてくんな! これはぼくの問題だ!」

人識「ああもうっ! 勝手にしやがれ欠陥製品!」

ぼく(勝手にさせてもらうさ人間失格。これを見過ごしたらぼくはまた死に続ける、そんな気がする)

ぼく「くそ! どこだ零崎!」

────

澪「零崎か……。つまり私達は同じ感覚を共有する家族ってことか」

舞織「そう。寂しいから家族になる。苦しいから手を取り合う。殺人鬼って言っても本質は家族なんです」

澪「ずっと怖かったんだ。いきなり目に映る人が殺しの対象にしか見えなくて……そして」フルフル

舞織「殺したんですね」

澪「ああ……」

澪「ずっと怖かったんだ。人を殺しても何も感じない自分が怖かった。こんな自分から軽音部の皆が離れていくのが怖かった……」

舞織「安心してください。零崎は独りぼっちの味方だから……きっと人識くんも良くしてくれますよ」

澪「…………あぁ」

「そういう事かよ……」

澪「律……ムギ……」

紬「澪ちゃん……」

律「ふざけんなよ! 人を殺しても何も感じない!? 知ったこっちゃねーよそんなの!」

律「何でなにも言ってくれなかったんだよ! 何で頼ってくれなかったんだよ! そんな理由で唯と梓を殺したのかよ!」

澪「そんな理由……?」

舞織「あれ? あれ?」

澪「ふざけるな!!」

澪「零崎の感覚なんてお前達に分かってたまるか!」

澪「中途半端な同情なんて苦しいだけなんだよ!」チャキッ

律「なっ!?」

澪「死ねえええええっ!!」

紬「りっちゃん危ない!」ドンッ

律「っ!」

律「そ、そんな……ムギ……」

紬「りっちゃん……ごほっ」

澪「うわあああっ!!」ドスッドスッ

紬「澪……かはっ……ちゃん……あっ!……」

律「止めてくれよ澪! ムギももう喋るな!」

紬「責め……ちゃ……だ……」ガクッ

律「ムギイィィィイイ!!」

澪「うわあああああああっ!!!」ドスッドスッ

律「ふざけんなあああああっ!!」バキッ

澪「かはっ……」

律「いてーか? でも皆の痛みはこんなもんじゃねーぞ!」

澪「いちいち小癪なんだよ!!」ブンッ

律「くっ!」

律(だめだ……避けれねぇ!)

律(ごめんなぁ皆……あたしもう駄目かも)

律「…………」

律「え?」

ぼく「いたいなぁもう……」

澪「くっ! 何でお前が居るんだよ」

ぼく「見てよこれ。ぐっさり手の平貫通してるよ」グリグリッ

澪「なっ!?」

ぼく「はぁ……こりゃまた入院、いや通院かな?」

澪「くっ……抜けない」

ぼく「何でそんな顔するんだい? こうしたかったんだろ笑ってみなよ」グリグリッ

ぼく「はははっ、痛いなぁ」グリグリグリグリグリグリッ

澪「止めろ! こんのっ!」ズボッ

ぼく「いてっ!」

ぼく「あれ? 抜けちゃった」

澪「く……なんなんだよ! お前ふざけんなよ!!」

ぼく「立てば嘘吐き。座れば詐欺師。歩く姿は詭道主義。戯言遣いってのは言っちまえばそんなもんでね。
   生憎これがぼくのスタンスなんだよ」

澪「戯言遣い……?」

ぼく「そう。殺人鬼でも殺し屋でもない。零崎じゃない君を助ける為にやってきた普通の人間さ」

澪「助けるだと……?」

澪「独りの私がようやく手に入れた絆……それが零崎なんだ」ワナワナ

舞織「……うなー」

澪「それを否定する権利がお前にはあるのか!?」

ぼく「あるよ」

ぼく「君は零崎なんかじゃない! さっさとこっちに戻ってくるんだ!」

澪「知ったような口を聞くなあああああっ!!」ブンッ

律「危ねぇっ!」

人識「傑作だぜ」

澪「くっ! わらわらと沸いてきやがって! なんなんだよお前達は!?」グググッ

ぼく・人識「仲良しさ」

人識「ようメロス……と、この場合は俺がメロスか。このねーちゃんぶっ殺すぞ? 良いな?」

ぼく「あぁ。セリヌンティウスが許すよ。人殺しはぼくが最も嫌う人種だからね」

人識「かははっ、こりゃ良いや。久し振りに楽しめそうだぜ」チャキッ

澪「くっ……」

人識「よぉねーちゃん」

人識「俺はひさーしぶりに機嫌が良いんだ。ちょっとは遊んでやっても良いぜ? 一般人」

澪「わたしは零崎だ!!」

舞織「いいえ、違いますよぅ」チャキッ

澪「鋏……? どいつもこいつも惚けやがって!!」

舞織「自殺志願《マインドレンデル》って言うんですよ。こうすると……ほら凄いでしょ?」チャキッチャキッ

人識「そんな雑に扱ってると俺が貰っちまうぞ?」

舞織「あげませんよーだ!」

舞織「そこのお友達が来た時からおかしいと思ってだんですよね……なんであなたみたいな人が零崎なんだろうって」

澪「…………」

舞織「零崎は独りぼっちじゃないとなれない。独りが怖いから集まるんです。でも……」

律「澪……澪……」グスッ

舞織「あなたには居るじゃないですか。あなたの為に泣いてくれて、あなたの為に怒ってくれる友達が」

澪「っ!!」

人識「その通り」

人識「零崎は逃げ道なんかじゃない。そう成るしかない人間しか成っちゃいけない」

ぼく「君は秋山 澪だ。零崎なんかにはなれない。成っちゃいけないんだ」

澪「今さら……」フルフル

澪「今さら元に戻れるかあああああっ!!」ダッ

人識「しっかたねーな。まぁ最初から殺すつもりだったけど……いっちょ派手に行くとするか!」

舞織「それでは……」

人識「殺して解して並べて揃えて……」


舞織「零崎を始めます!」
人識「晒してやんよ!」


────

澪「…………かはっ……」

ぼく「えげつねぇ……」

人識「ちょいと遊び過ぎたな。まぁ遺言タイムにゃ丁度良いだろ」

舞織「うなー」

律「澪! 澪!」ダッ

澪「……ゆらすな……よ……傷に障るだろ」

律「馬鹿だよ……お前は」

澪「はは……そうだな。私は……馬鹿だ……ごめんなぁ唯、梓、ムギ」

律「…………」

澪「律……ごめん。そして……」

澪「ありが……とう。こんな私と……友達になってくれて……」

律「違う……違う違う違う違う!! そんな礼が聞きたいが為にお前の友達やってんじゃねぇよ!!
  そんな悲しいこと……言うんじゃねぇよ!」

澪「律……律……私……ずっと」

律「澪……あたしずっと……」

澪・律「お前のことが大好きだ!」

澪「…………」

律「…………」

澪「はは……はははっ……」

律「はは……はははっ……」

律・澪「あははははははっ!!」

人識「かははっ、傑作だぜ」

ぼく「戯言……いや、確かに傑作だ」

舞織「うなー、良く分かんないですよぅ」

────

律「もう行くのか?」

ぼく「うん。臨時顧問は解雇だしね。これ以上ここに居る意味もないし、京都で待ってるぼくの愛人達が淋しがってるだろうし」

律「…………」

ぼく「何か言ってよ……」

律「ふふっ。あたしはもうあんたには会いたくないよ」

ぼく「奇遇だね。ぼくもそう思ってたところだよ」

律「でも……ありがとう」

ぼく「ん」

律「あたしを助けてくれて……ありがとう」

ぼく「うん」

律「澪を救ってくれて……ありがとう」

ぼく「うん」

律「じゃあな! いーちゃん!!」タッタッタッ

ぼく「いーちゃん……か」

ぼく「やっぱり友と真心以外に呼ばれるのは、だめだ」

ぼく「あの子、どこかの通り魔にやられたりして……」

ぼく「まぁ」

ぼく「戯言だけどね」

人識「傑作だろ?」

ぼく「やぁ、舞織ちゃんはどうしたんだ?」

人識「先にどっか行っちまったよ。兄弟離れってやつだ」

ぼく「そりゃ何より。哀川さんには君の活躍、ちゃんと報告しておくよ」

人識「おう。ついでにデートの約束でも取り付けてくれよ」

ぼく「考えとくよ。ばいばい、セリヌンティウス」

人識「走れ、メロス」

ぼく「哀川さんは電話に出てくれないし、結局交通機関を使う羽目になるのか……」

ぼく「まぁ後払いで請求しとけば良いか。土産でも買って友のとこでも行こうかな」

ぼく「いてて……やっぱ応急処置じゃ駄目だな。友のとこより先に病院か。らぶみさん元気にしてるかな?」


 珍しく哀川さんが美味しいとこどりをしなかった今回の事件。
 これが哀川さんが現われるまでもない些細な事だったのだとしても。
 零崎に成りたがった少女は終わった
 残された少女は終わり続ける。
 終わりというものは目撃してしまえば平坦で、直面してしまえば凄惨なものなのだろう。
 こんな事を人類最強の赤色に話せばきっと、回りくどいこと考えてんじゃねーよ、なんて言いながらシニカルな笑みを浮かべるのだろうけど。
 ぼくはきっと忘れないだろう。
 酷く平坦で凡庸な少女が引き起こした、酷く乱暴で単調な事件を。


 結局軽音部の演奏を聞くことはままならなかった。
 でも既に思い出となった彼女達を思い浮かべ、彼女達の脳内ライブを繰り広げるのも悪くはないだろう。
 思い出はとても都合が良くて、とても綺麗なものだから。
 凄惨な記憶を忘れて今は思い出に浸るとしよう。
 これは零崎に成りたがった少女が零崎によって終わらされて、もう音を奏でる事は無くなってしまった少女と鬼の御伽話のような皮肉な物語。



オトギリシニカル《了》



律「もう県内には居ないだろーな」

律「まぁ居ても会いたくなんかねーけど……」

律「あいつらの分も……あたしが頑張って生きないとな!」

律「よーし! 頑張るぞー!!」ドンッ

律「あっごめんなさいって……憂ちゃん?」

憂「どうして……」

律「えっ?」

憂「どうしてお姉ちゃんが死んで……貴女が生きてるんですか……」

律「う……憂ちゃ……」

憂「おかしいよね? お姉ちゃん。何でこんな世界は壊れちゃわないんだろうね? でも大丈夫だよお姉ちゃん。
  あたしがちゃーんと壊してあげるから……うふふ」チャキッ




160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/07/23(金) 19:39:40.89 ID:+Z7B/KsLO
終わり、まぁこんなもんだろ
ss見るぶんはつまんねーけど書いてる方は楽しいな!
何か質問あったらどぞー


161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/07/23(金) 19:42:47.12 ID:Uwut3u9w0
>>160

この場合平沢姉妹は準零崎ってことになるのか?


163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/07/23(金) 19:44:43.17 ID:+Z7B/KsLO
>>161
そんな感じかな、唯はその前に澪にやられたけど憂は想像に任せるよ


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