翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」 その3

2011年03月12日 20:02

翔一「転校生の仮面ライダーアギトです!」巴マミ「あ、アギ……?」

※『魔法少女まどか☆マギカ』と『仮面ライダーアギト』のクロスSSスレです

※クロスオーバーに伴なう原作改変あり注意

※この作品のアギトは津上翔一でも芦河ショウイチでもありません
 言ってしまえば、上記2人とはまた違う世界の仮面ライダーアギトです

379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/22(火) 22:19:29.65 ID:rKQo4XFm0

 ショッピングモールの地下。
 薄暗い闇が支配するこのフロアに、今現在5人の人間と1匹の正体不明の生き物がいた。

まどか「わぁ……」

さやか「凄い……。みるみるうちに傷が塞がってる……」

 鹿目まどかと美樹さやかは目の前で起きている現象に驚きの声を上げる。
 今、2人の前では魔法少女・巴マミが治癒魔法でキュゥべえの回復を行っている真っ最中だ。
 さやかの言葉どおり、治癒魔法を受けているキュゥべえの身体は徐々に傷が消えていき、キュゥべえ自身の血色も良くなってきているようだった。

 ――そんな光景を横目に、3人と1匹から少し離れた場所に立っているもう1人の魔法少女・暁美ほむらが口を開く。

ほむら「いずれ後悔するわよ、そいつを助けてしまったこと……」

マミ「…………」

さやか「転校生……!」

 その言葉に対して、マミは無視を決め込み、さやかは敵意の籠った眼差しをほむらに向けた。

翔一「あ、暁美さん、止めましょうよ、自分から敵を作るようなこと言っちゃ……」

ほむら「事実を正直に言ったまでよ」

翔一「あ、暁美さ~ん……」

 そして、5人の中で唯一の男子である沢野翔一がほむらを咎めようとするが、ほむらは全く聞き耳を持たなかった。
 そんな会話が繰り広げられているうちに、キュゥべえは完全に回復したようだった。

キュゥべえ「ありがとうマミ、助かったよ!」

 ぱっちりと目を見開き、起き上がったキュゥべえが開口一番――といっても、キュゥべえは会話の際も口を開かないため、この言葉は正しいのか微妙なところだが――マミへお礼を言う。

さやか「しゃ、喋ったあああああ!?」

まどか「さ、さやかちゃん、落ち着いて……」

 そんなキュゥべえが、いきなり人間の言葉を発したので、何も知らなかったさやかは、驚きのあまり2、3歩ほど後ろへ後ずさってしまう。
 対して、キュゥべえの助けを求める声を聞いてここまで来ていたまどかの方は、特に何の反応も示さなかった。


 ――そして、この男も内心驚いていた。

翔一(や、やっぱり喋れたんだ……)


マミ「お礼ならこの子たちに言って。私は魔女を追っていたところを偶然通りかかっただけだから」

 マミにそう言われたキュゥべえは、すぐさままどかとさやかの2人の方を見やる。

キュゥべえ「言われてみれば、そうだね。ありがとう、鹿目まどか、あと美樹さやか」

まどか「やっぱり、あなたなのね。私を呼んだのは?」

さやか「ちょ、ちょっと待って……! まどか、あんたコイツと知り合いなの!?」

まどか「ううん。初対面だよ。ただ、さっきこの子の助けてって声が突然頭の中に聞こえてきて……」

キュゥべえ「そう。僕がまどかに助けを求めていたんだ。でも、まさか本当に来てくれるなんて……。やっぱり、まどかは僕の見込んだとおりだ!」

さやか「あ、あのさ……。勝手に話進めちゃってるところ悪いんだけど……アンタ、誰? 何で私たちの名前を知ってるの?」

キュゥべえ「おっと、失礼。僕の名前はキュゥべえ」

まどか「キュゥ……べえ?」

さやか「見かけによらず、何か冴えない名前ね……」

キュゥべえ「まぁ、名前のことは今は置いておいて……。今日は君たちにお願いがあって来たんだ」

さやか「へっ?」

まどか「お願い?」


ほむら「――!?」

翔一「? どうしました、暁美さん?」


キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

 そう言いながら、キュゥべえはまどかたちに愛くるしい笑顔を浮かべた。



OP
ttp://www.youtube.com/watch?v=yEXxEny2BvY

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ほむら「駄目……!」

翔一「あ、暁美さん!?」

 突然、ほむらがまどかたちの方へと歩み寄ろうとする。
 が、そんなほむらの行く手をマミが阻む。

ほむら「……どきなさい」

マミ「嫌よ」

ほむら「あなたは……!」

マミ「彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ? 魔法少女になるか、ならないかを決めるのは彼女たち自身。あなたや私じゃないわ」

ほむら「……!」

翔一「ま、まぁまぁ……。暁美さんも、巴さんも、押さえて押さえて……」

マミ「……ところで、沢野くん」

翔一「はい?」

マミ「よく考えたら、何故あなたがここにいるのかしら?」

翔一「え? あぁ、それは……」

まどか「あ、あの~……」

翔一「ん?」

マミ「あら?」

 不意に、今しがたキュゥべえと話をしていたはずのまどかに声をかけられ、マミは振り返る。
 マミが目を向けると、そこにはまどかだけでなく、さやかの姿もあった。

さやか「い、いや~、こんな時に言うのもタイミング悪いような気がするんですけどね……」

まどか「さ、さっきは助けてくれてありがとうございました!」

 まどかは、お礼を言うと、さやかと2人でマミに対して頭を下げた。

マミ「あぁ、いいのよ、気にしないで。私は魔法少女として最低限の勤めを果たしただけだから……」

まどか「魔法……少女?」

マミ「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私は巴マミ。あなたたちと同じ見滝原中学校の3年生よ」

まどか「か、鹿目まどか、2年生です……!」

さやか「同じく、2年の美樹さやかでっす! まどかとは同じクラスで親友やってま~す!」

マミ「鹿目さんに美樹さんね。よろしく」

さやか「ハイ、よろしくお願いいたします!」

まどか「…………」

翔一「ん?」

まどか「あ、あの……あなたは?」

翔一「あ。俺は沢野翔一。巴さんのクラスメイトで、ここには……まぁ、いろいろあっているんだ。よろしく」

まどか「沢野……」

さやか「翔一……?」

マミ「あら?」

翔一「ど、どうしたの、2人とも? 俺の名前に何か問題でもあった?」


 翔一の名を聞いた瞬間、突然黙りこむまどかとさやか。
 しかし、次の瞬間――


さやか「あぁー! うちのクラスの転校生が、転校初日早々いきなり告った3年生の先輩ってあなたのことかー!」


翔一「……はい?」

マミ「あぁ……」

ほむら「――――」

 ガンっ!

ほむら「…………」

 突然のさやかの爆弾発言に、翔一は目を点にし、マミは「またか」というような顔をし、ほむらにいたっては――表面上では冷静を装っていたが、後頭部を寄りかかっていた壁に強打した。

翔一「あ~……。それ、完全に誤解だから」

 昼休みの出来事を思い出した翔一は、さやかたちの誤解を解くために説明をはじめた。

翔一「確かに俺は暁美さんから直々に呼び出されたけど、美樹さんたちが想像しているようなことは断じてなかったから……」

さやか「えっ? そうなんですか?」

まどか「な、な~んだ、そうだったんだ~……」

ほむら「……鹿目まどか、今のその発言はどういうことかしら?」

まどか「ち、違うの! ほむらちゃんって見かけによらず惚れっぽい子だったんだな~とか勘違いしていただけで……!」

ほむら「…………」

キュゥべえ「……何か、さっきから僕の存在を忘れられているような気がするけど、ちょっといいかな?」

 いつの間にかまどかの足元へとやって来ていたキュゥべえが、まどかたちを見上げながら、声をかける。
 その声に、その場にいた全員の視線がキュゥべえに集中した。

キュゥべえ「まどか、その子にそんな無用心に近づいていていいのかい? 彼女は元々は僕を狙っていたとはいえ、君にも襲いかかろとしていたんだよ?」

まどか「あっ……」

さやか「そういえば……!」

 キュゥべえの言葉に、先ほどの出来事を思い出したまどかは自然とほむらと距離を取り、そうしてできたまどかとほむらの間のスペースにさやかが割って入った。

ほむら「…………」

マミ「そういえば、聞いていなかったわね。何故あなたがキュゥべえを狙ったのか……!」

 気がつけばマミの手には先ほど同様、マスケット銃が握られていた。

まどか「ひっ――!?」

 先ほどの光景を思い出したのか、それを見たまどかはビクリと一瞬身体を震わせ、さやかの影に隠れてしまう。

ほむら「――鹿目まどかをソイツと契約させるわけにはいかない」

 そう言いながら、キュゥべえに鋭い視線を向けるほむら。
 ちなみに、まどかがさやかの影に隠れてしまったため、今現在キュゥべえはマミの足元に移動している。

マミ「だから鹿目さんと接触する前にキュゥべえを襲った……と?」

ほむら「それ以外に理由がある?」

マミ「…………」

 再び一触即発の空気があたりに漂う。
 しかし――

翔一「……あの~、いきなり横から割り込んですいませんけど、俺からひとつ質問していいですか?」

マミ「? 沢野くん?」

ほむら「沢野翔一――」

 マミとほむらの間に、右手を上げながら翔一がひょっこりと割って入る。

マミ「沢野くん……あなた、状況というものを少し理解して……」

翔一「いや~、すいません巴さん。多分すぐに終わる質問なんで……」

 そう言いながら、翔一はその場にしゃがみ込んで、マミの足元にいるキュゥべえに話しかけた。

翔一「えっと、君は……キュゥべえ……だっけ? さっきから君や暁美さんたちが口にしている『契約』って何だい?」

キュゥべえ「!? 君は……」

翔一「? どうしたの?」

キュゥべえ「君は……僕の姿と声がわかるのかい?」

翔一「あぁ、わかるよ。そういえば、君って先日もうちの学校に来てたよね? 廊下で走っているところ見かけたよ」

キュゥべえ「――――!?」

 一見ほむら以上の無表情に見えるキュゥべえの顔に、一瞬だけ驚きのような表情が浮かんだ。

キュゥべえ(僕を視覚できて、声まで聞こえている――まさか……)

マミ「あぁ、キュゥべえ、驚かせちゃってごめんなさい。どうやら彼、一種の特異体質みたいでね……魔法少女やその候補者でもないのに、あなたの姿が見えていたのよ」

キュゥべえ「特異体質?」

マミ「えぇ。でも、まさか声まで聞こえるなんて私も思わなかったけど……」

キュゥべえ「…………」

キュゥべえ「……そうか、特異体質か。さすがにそれは僕も驚いたよ。僕の姿や声は、マミが言ったとおり本来は魔法少女とその候補者である女の子にしかわからないからね」

さやか「そ、そうなの?」

キュゥべえ「うん。だから僕は常日頃魔法少女の候補者を探しているんだ」

ほむら「……よく言うわ」

さやか「ねぇ、それで、その『契約』っていのは何なの? あと、魔法少女のこととかも詳しく教えてほしいんだけど……」

キュゥべえ「そうだね。君たちには知る権利がある。1から説明するよ」

翔一「あ。だったら、一度場所を変えません? ここって本来なら立ち入り禁止の場所なんで、いつまでもいるのはマズいような……」

マミ「そうね……。それなら、これから私の家に行きましょうか?」

まどか「ま、マミさんの家……ですか?」

マミ「えぇ。こう見えても私1人暮らしだから、他の人に話を聞かれることもないし……。いかがかしら?」

さやか「おぉ! 是非行かせていただきますとも! まどかももちろん行くよね!?」

まどか「え? ……う、うん。さやかちゃんが行くなら……」

さやか「よし、決まり!」

翔一「えっと……。巴さん、俺も行っても……?」

マミ「構わないわよ。今日説明しきれなかった魔法少女のこともついでに教えてあげる」

翔一「わかりました。それじゃあ、お邪魔させていただきます」

マミ「…………」

ほむら「…………」

マミ「……他の子たちはみんな来るそうだけど、あなたはどうする?」

ほむら「私が用があるのはあなたじゃない」

マミ「飲み込みが悪いのね。今回はお咎め無しにしてあげるって言ってるの」

ほむら「…………」

マミ「あなたがキュゥべえを狙ったのにも何か他に訳がありそうだし、同じ魔法少女なんだから、少しぐらいはお互いのことを知ってもいいんじゃないかしら?」

ほむら「私は他人と馴れ合うつもりはないわ」

 そう言うと、ほむらはその場から立ち去ろうとする。
 が、その前に翔一が割って入った。

翔一「まぁまぁ、暁美さん。いいじゃない、ちょっとばかり家にお邪魔するくらい……。巴さんだって今回のことは許してくれたんだから……」

ほむら「どきなさい、沢野翔一。さもなければ、力づくでも押し通るわよ?」

翔一「あ~……。でも、ほら、こうして5人いると何か部活動みたいじゃない? ここにいるのってみんなキュゥべえが見える人たちだから、さしずめ『キュゥべえ愛好会』みたいな……」

ほむら「…………」

翔一「あ! そうか、暁美さんはキュゥべえのこと嫌いなんだっけ!? ゴメンゴメン……。『魔法少女部』とかの方がよかった? あ……それだと俺が入れないか……」

ほむら「…………」

翔一「あ……あ~、じゃあこうしよう。暁美さんは鹿目さんに契約っていうのをしてほしくないんでしょ? それなら、鹿目さんがその契約をしないように見張っているという名目で一緒に行けば……」

まどか「ええっ!? な、何でそこで私の名前が出てくるんですか、沢野さん!?」

翔一「いや~、こうでも言わないと来てくれないかもしれないじゃない? 俺、出来ることならみんなに仲良くしてほしいし……」

ほむら「……わかったわ」

まどか「だからって、私を話の……って、え!?」

翔一「ほ、本当かい暁美さん!?」

ほむら「あくまでも鹿目まどかがアイツと契約することがないように監視することが目的よ。そこを勘違いしないでほしいわ」

さやか「……マミさん」

マミ「何、美樹さん?」

さやか「あの2人って、意外と仲良いんじゃないでしょうか?」

マミ「そ、そうかしら……?」

キュゥべえ「…………」



ほむら「……沢野翔一」

翔一「? 何だい、暁美さん?」

 マミに連れられ、一同が彼女の家へと案内されている道中、ほむらが不意に翔一に声をかけた。

ほむら「本来なら最初に言うべきだと思っていたけれど……私以外の者には可能な限りあなたがアギトであることは隠しておきなさい」

翔一「え? まぁ、今までも暁美さん以外の人には黙ってたけど……。別に巴さんにはそろそろ明かしてもいいんじゃ……?」

ほむら「駄目」

翔一「えぇ~……」

ほむら「……この世界にとっても、私たちにとってもアギトは必要な力だから……」

翔一「? 今何か言った?」

ほむら「別に……」

 とある町外れのマンションの一室、そこが巴マミの家だった。

マミ「ここよ。さっきも言ったけど、一人暮らしだから遠慮しないで」

翔一「お邪魔します」

ほむら「…………」

さやか「おぉ、これはこれは……」

まどか「素敵なお部屋……」

マミ「お客さんなんてまず来ないし、おまけに今回は急なことだからろくなお持て成しも出来ないけど……紅茶でいいかしら?」

まどか「あ、はい……」

ほむら「…………」

さやか「……アンタも、そんな所いつまでもつっ立ってないで、こっちに座ったら?」

ほむら「私がここにいるのは、あくまでも鹿目まどかの監視。あなたたちと馴れ合うためじゃない」

さやか「あ~そうですか~」

翔一「まぁまぁ、美樹さん。元はといえば、俺が無理やり連れてきたようなものだし……」

まどか「ほ、ほむらちゃん、こっちに来なよ? さすがに私もそんな所から見られてばかりいるっていうのも恥ずかしいし」

ほむら「……近くならいくらでも見ていいと?」

まどか「い、いや、そういうわけじゃなくてね……」

翔一「……今の暁美さんなりの冗談かな?」

さやか「いや、素で言った可能性もなくはないっすよ?」

 その後、マミから出された紅茶とケーキ――一応、ほむらの分も用意されていたが、当然、彼女が手を付けるわけがなかった――を頂きながら、マミによる魔法少女という存在についての説明が始まった。
 翔一もほんの数刻前に簡単な説明はされていたが、本格的な説明を聞くのは初めてなので、まどかたちと一緒にマミから語られるこの世界に隠されたもうひとつの素顔について耳を傾ける。

マミ「これがソウルジェム。キュゥべえに選ばれた女の子が、契約によって生み出す宝石よ。魔法少女の証であると同時に、魔法を使うために必要な魔力の源でもあるの」

さやか「うわぁ……。綺麗ですね~」

まどか「あ、あの……。今もまた出てきましたけど、その『契約』というのは……」

キュゥべえ「それは僕から説明するよ」

 声のした方にまどかたちが目を向けると、いつの間にか床にいたはずのキュゥべえがテーブルの上に座っていた。
 ――ちなみにこの時、翔一がキュゥべえに対して「食事に使うテーブルに腰掛けるなんて行儀が悪い」と発言したが、スルーされた。

キュゥべえ「僕は君たちの願い事を何でもひとつ叶えてあげられるんだ」

まどか「願い事?」

キュゥべえ「うん。何だって構わない。どんな願いだって叶えてあげられるよ」

さやか「何でも!? 億万長者とか不老不死とか満漢全席とかでも!?」

キュゥべえ「もちろん」

翔一「へぇ~……。凄いんだね」

ほむら「…………」

キュゥべえ「その代わり、願いを叶えてあげる代償として出来上がるのがソウルジェムなんだ。ソウルジェムを持つ者は魔女と戦う使命を課される」

まどか「魔女?」

さやか「それって魔法少女とは違うの?」

キュゥべえ「似ているようで、全然違うよ。魔法少女は『願いから生まれるもの』だけど、魔女は『呪いから生まれた存在』だからね」

さやか「の、呪い……?」

翔一「――ん? ちょっと待って、それって具体的にはどう違うの?」

キュゥべえ「? どういう意味だい?」

翔一「いや……。あくまでこれは俺の個人的な考えの延長に過ぎないんだけど……。さっき君が言ったことが本当なら、魔法少女の契約で叶えられる願いっていうのは基本的に何でもありなんだよね?」

キュゥべえ「そうだよ。それがどうかしたのかい?」

翔一「それってつまり、契約する子が欲深い子――例えば、世界征服とかを本気で願っちゃうような子で、仮にその願いで契約して魔法少女になってしまったらどうなるんだい?」

まどか「!?」

さやか「!?」

マミ「!?」

ほむら「……!」

翔一「もし、それで本当にその願いが叶っちゃうなら、俺からしてみたら『願い』も『呪い』も対して変わらない気がするな。下手をすれば、女の子の願いっていう欲ひとつで関係ない人たちが迷惑被るハメになっちゃうんだからさ……」

キュゥべえ「…………」

まどか「い、言われてみたら確かに……」

さやか「本当に何でもありなら、『嫌いな奴を殺してほしい』とか……そういう願い事もありってことなんだよね……?」

まどか「さ、さやかちゃん、何か私……今の沢木さんの発言で、急に怖くなってきちゃったよ……」

さやか「あ、あたしも……」

翔一「あ……ゴメン。別に2人を怖がらせようと思って言ったわけじゃなくて……」

キュゥべえ「……いや、可能か不可能かのどちらかで言うなら、そう言った願いも一応は可能だと思うよ」

翔一「えっ!?」

キュゥべえ「ただし、その場合は契約した瞬間願いが成就されることはないだろうね。もしくは、何らかの形で修正が加えられる可能性もある」

翔一「というと?」

キュゥべえ「実際のところ、僕もそこまでスケールの大きな願いは今まで叶えたことがないから正直わからないんだよ。僕にだって契約する相手を選ぶ権利はあるしね」

翔一「あ、あぁ~……。そ、そうだよね。そりゃあ君だって、無関係な人を巻き込みたくはないもんね」

キュゥべえ「そういうこと。第一、そんな誰から見ても邪な願いを持った子と契約するなんて、僕からも願い下げだよ」

ほむら「どうだか……」

 そう呟くと、今までその場を全く動かなかったほむらがまどかたちの方へと歩み寄る。

まどか「ほ、ほむらちゃん?」

ほむら「今のコイツと沢野翔一のやりとりで大体わかったでしょ? コイツは、ほんの一時期のみの幸福と引き換えに、契約者の全てを奪い去る。言ってしまえばドラッグの密売人と何の変わりもない」

キュゥべえ「そういう言い方はないんじゃないかな、暁美ほむら? 君だって魔法少女である以上、魔女と戦う使命を負ってまで叶えたい願いがその時はあったんだろう?」

翔一「確かに、言われてみたら……。一体どんな願いを叶えて暁美さんは魔法少女になったんです?」

ほむら「…………」

翔一「……あれ?」

 ほむらは何も答えず、ただその場で黙りこくってしまった。

キュゥべえ「……まぁ、いいや。マミ、悪いけどここから先は君から説明してあげてもらえるかい? 僕がこれ以上話すと説明もろくに出来そうにないしね」

マミ「えっ? ……あ。そ、そうね。じゃ、じゃあ、魔女について私が知っている限り説明するわね?」

さやか「は、はい。お願いします」

マミ「魔女というのは、簡潔に言ってしまえば魔法少女とは対局に位置する存在よ。魔法少女が希望を振りまく存在だとすれば、魔女は絶望を撒き散らす存在ってところね」

まどか「絶望を撒き散らす……?」

マミ「よく、ニュースとかで原因不明の事故や自殺が報道される時があるでしょ? ああいう類の事件の裏には、高い確率で魔女が関わっているの」

さやか「嘘っ!?」

マミ「信じられないでしょうけど、事実よ。さっき、キュゥべえは魔女は『呪いから生まれた存在』だって言っていたでしょ?」

まどか「はい」

マミ「その『呪い』というのは不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみといった負の感情のことなの。要は、魔女はそんな負の感情の塊で、そんな災いの種を世界にもたらしているってわけ」

まどか「私たちの知らないところで、そんなことが起きていたなんて……」

さやか「でも、そんなヤバい奴らがいるのに、なんで誰も気づかないんですか? 勘の良い人なら何かしら気づくんじゃ……?」

ほむら「無理よ」

さやか「えっ?」

 さやかのその質問には、気づけば先ほどと同じ場所に戻っていたほむらが答えた。

ほむら「普段魔女は自身の巣である結界の最深部に隠れ潜んでいる。だから、いくら勘が良かろうと悪かろうと、人間がその姿を捉えることなんてまず不可能よ」

まどか「結界?」

さやか「……もしかして、ショッピングモールの地下であたしたちが迷い込んじゃった、あの気持ち悪い空間のこと?」

マミ「そう。結界の中は迷路みたいになっているし、あなたたちも見たと思うけど、魔女の手下である使い魔がうようよいる……。だから、あれに迷いこんでしまった人間は普通は生きて出ることは……」

まどか「じゃあ、私たちは運が良かったんですね……」

さやか「……なぁ、転校生」

ほむら「……何?」

さやか「そういえば、アンタにはまだお礼を言ってなかった……よね?」

まどか「!? そ、そうだった……!」

 さやかの言葉にはっとしたまどかも、体ごとほむらの方へ視界を向ける。

さやか「最終的にあの使い魔とかいう化け物たちをやっつけてくれたのはマミさんだけど、思えば最初にあたしたちを助けてくれたのはアンタだった……。だから、その……ありがと……」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

 感謝の言葉と共にほむらに頭を下げるまどかとさやか。
 それに対してほむらは――

ほむら「――別に、あなたたちが気にすることじゃないわ」

 と、さらりとそう答えただけで、2人の方に一瞥すらしなかった。

まどか「……でも、考えてみたら、マミさんもほむらちゃんは今までそんな恐ろしいなものと誰も知らないところで戦っていたってことですよね?」

マミ「そうね、命がけよ。常に死と隣り合わせの世界だもの」

翔一「暁美さん」

ほむら「何?」

翔一「……暁美さんほどの子でも、やっぱり魔女と戦うことを今でも怖いと思う?」

ほむら「…………」

翔一「…………」

ほむら「……ない、と言い切ることは出来ない……」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ「鹿目さん、美樹さん」

まどか「は、はい」

さやか「何でしょう?」

マミ「これだけは覚えておいて。キュゥべえと契約すれば、どのような願いでも叶えるチャンスがある。……だけど、それによって与えられる見返りは想像するよりも遥かに大きなものよ」

まどか「…………」

さやか「…………」

マミ「だから、もし契約するのなら、叶えたい願いが本当に見返りに足るものなのかじっくりと考えた方がいいわ」

 私はそれを考える余裕もなかったから――と、呟くように最後に付け加えると、マミはソウルジェムを指輪の形に戻した。

ほむら「……代償を考えるなら、契約しない選択を選ぶ方が遥かに良いと私は言い切るけどね」

翔一「暁美さん……」

マミ「……さて、じゃあ今度は私たち魔法少女について説明しましょうか」

 一度紅茶に口をつけた後、重くなってしまった場の空気を変えようと、マミが再び口を開いた。

マミ「さっきも言ったけど、魔法少女が魔法を使うために必要な魔力はソウルジェムを源としているわ。だけど、そのソウルジェムから生み出される魔力にも当然限りはある」

翔一「使い続けていれば、いずれ無くなってしまうってことですね?」

マミ「そうね。魔力が枯渇してくると、ソウルジェムにどんどん濁りが生ずるの」

まどか「濁り……ですか?」

マミ「えぇ。おまけに、この濁りを取り除く――つまりは魔力を回復させるのがまたちょっと厄介でね。あるものが必要になってくるの」

さやか「あるもの?」

マミ「それがコレ」

 そう言いながら、マミはポケットから手のひらサイズの黒い『何か』を取り出した。

翔一(あれ? 確かあれって……)

さやか「何ですそれ? 見た感じ黒いソウルジェムにも見えますけど……」

マミ「確かに見た感じ似ているけど、実際は違うわ。これはグリーフシード。魔女の卵よ」

まどか「えっ!?」

さやか「ま、魔女の卵!?」

ほむら「…………」

 そう。マミが取り出したのは、昨日病院の外で発生した魔女の結界でマミとアギトが協力して魔女を倒した際に、マミが手に入れたグリーフシードだった。

マミ「あぁ、大丈夫。今のところはまだ大丈夫よ」

翔一「今は大丈夫って……それって、やっぱりいずれは大変なことになるってことじゃ……」

キュゥべえ「だからこそ僕がいるのさ」

翔一「うわっ!? び、びっくりした~……。急に視界の中に飛び込んで来ないでよ」

キュゥべえ「ゴメンゴメン。でも、これはさすがに僕がやって説明しないといけないことだからね」

さやか「は? それってどういう……」

キュゥべえ「マミ」

マミ「えぇ、お願いね?」

 そう言うと、マミは持っていたグリーフシードをキュゥべえの長い尻尾の先端部へとそっと置いた。
 グリーフシードを受け取ったことを確認したキュゥべえは、今度はそれを自身の頭の上へと移動させ、2、3度転がしてバランスをとると、最後に背中の方へとポンとそれを放り――

 ――突然開いた背中の模様部分から、グリーフシードを体内へ飲み込んでしまった。

 模様部が開いたのはほんの一瞬だったため、中がどのようになっていたかはその場にいた誰の目にもわからなかったが、飲み込むと同時に、キュゥべえの模様部分がカッと発光した。

キュゥべえ「きゅっぷぃ」

 やがて、背中の発光が収まると、キュゥべえは軽くげっぷをした。

まどか「…………」

さやか「…………」

翔一「…………」

キュゥべえ「これでもう安全だよ。……? 君たち、どうかしたのかい?」

さやか「た、食べちゃったの……?」

キュゥべえ「これもまた僕の役目のひとつだからね」

まどか「そ、そんなもの食べちゃって、お腹とかは本当に大丈夫なの?」

キュゥべえ「うん。全然問題ないよ」

マミ「ま、まぁ、最初見た時は誰だって驚くでしょうね。私もそうだったもの……」

ほむら「…………」


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