魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第3話「私たちの相手は魔女じゃないわ」

2011年03月31日 19:18

まどか「仮面ライダーアギト?」翔一「魔法少女まどか☆マギカ?」

ちなみに、このクロスオーバーSS、当初はまどか☆マギカ×アギトではなく、まどか☆マギカ×てつをでやる予定でしたw
その内容も、創世王撃破直後のてつをがキングストーンの力で中学生の姿になりまどか☆マギカの世界にやって来るというものw
プロットの時点で終始シリアスを超越したギャグにしかならなくて結局お蔵入りしちゃいましたが……w

191 :◆vbVOcxusrc [saga]:2011/03/06(日) 00:54:58.64 ID:7pOOoGSL0




 遥か昔。

 宇宙にはただ混沌があり、テオスはその混沌より生まれ混沌を闇によって黒一色に染め秩序を作った。

 そして、星々を闇に浮かばせ光を生んだ――




???(……ここ、どこだろう……?)

 荒廃した大地が延々と続く世界に、少女――鹿目まどかは立っていた。
 何故彼女はこんな所にいるのか。それは彼女自身もわからなかった。

まどか「…………」

 ぼんやりとあたりを見回してみる。
 しかし、彼女の瞳に映る景色は地平線の彼方まで続く大地だけであった。

まどか(何でだろう……? ここにいちゃいけない気がする……)

 そう思ったまどかは、どこか違う場所へ行こうと足を一歩前へと踏み出した。


 ――ぐにゃり。


まどか「えっ――?」


 すると、突然まどかの周囲の光景が大きく歪んだ。
 いや――周囲などというレベルではない。彼女がいた世界そのものが歪んだのだ。


 ――やがて歪みが収まると、そこに広がっていたのは悍ましい光景であった。


まどか「何……? 何なの……?」

 ――それは戦いの光景だった。

 剣や弓、槍などで武装した人間たちと、見たこともない怪物たちが戦っていた。
 怪物は一見動物のようにも見えたが、彼らは皆人間と同様に、2本の足で直立し、かつ手には何か武器を持っていた。
 (もちろん、中には何も武器を持ってないものもいたが、そこは割愛する)

 その戦いは、怪物たちが圧倒的に優勢のようであった。
 人間たちの放つ矢は、怪物たちの強靭な肉体に次々と弾かれ、剣や槍も怪物たちの力の前に軽々とへし折られていく。


 ――やがて、人間たちはそんな怪物の前に1人、また1人と倒れていき、気がつけば、そこにはまどか以外の人間は誰も立ってはいなかった。


まどか「…………」

 呆然と目の前の光景をただ黙って見つめるまどか。
 逆に、怪物たちの方はまどかの存在に気づいたのか、徐々に彼女の方へと近づいてくる。

まどか「あ……」

 それに気づいたまどかも、すぐさま逃げようと思考するが、身体がその命令をすぐには実行できなかった。

 怪物の1体が、まどかを射程内に捉えたのか、持っていた剣状の武器を構え、振り挙げる。
 しかし――


まどか「!?」


 突然、まどかの視界が白い光に包まれた。
 あまりの眩しさに、まどかは思わず目を閉じてしまう。

 やがて、光が収まり、まどかが再び目を開くと、そこには怪物たちの姿はなかった。

 ――代わりに、1人の青年が彼女の前に立っていた。

 少年の装いは白一色。
 制服姿であった自身もあまり人のことは言えないが、今自分たちがいる荒廃した大地にはあまり似合わない服装であった。

 しかし、まどかはそんな青年の姿を見て、無意識にこう呟いていた。



 ――天使だ、と。



 ――まどかが目を覚ましたのは、その言葉を言い終えるのとほぼ同時であった。

まどか「……夢オチ……?」

 そう言いながら、まどかは自身が眠っていたベッドからゆっくりと身を起こした。




OP
ttp://www.youtube.com/watch?v=yEXxEny2BvY

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 その日、巴マミが朝教室へやって来ると、自身の机の上に思わぬ来客の姿があった。

キュゥべえ『おはよう、マミ』

マミ『? キュゥべえ?』

 そう。キュゥべえである。
 その白い姿は、明らかに学校では目立つうえに注目の的となるであろうはずだが、すでに教室にいた他の生徒たちは、まるでキュゥべえの存在などそこにはないかのごとく平然としていた。

 それも当然である。なぜなら、本当にキュゥべえが見えていないからだ。
 キュゥべえの存在と声を知覚できるのは、キュゥべえ自身と魔法少女、そしてその候補者である女の子だけだと魔法少女たちの間では実しやかに囁かれている。

マミ『おはよう。でも、なんであなたが学校に?』

キュゥべえ『ほら、この間この街で新しい魔法少女の候補者を見つけたって話をしたでしょ?』

マミ『えぇ』

キュゥべえ『あれからその子のことを色々と調べてみたら、なんとその子はこの学校に通う生徒だったんだ』

マミ『えっ!?』

キュゥべえ『もう少し様子を見て、可能なら今日中にもその子と接触してみようと思う。僕が思うに、マミならその子とは絶対に良い魔法少女コンビになれると思うよ?』

マミ『…………』

キュゥべえ『それじゃあ、僕はこのあたりで失礼するよ。マミ、またね』

マミ『え、えぇ。またね』



マミ「…………」

翔一「おはようございます」

マミ「あ……。おはよう、沢野くん」

翔一「? どうしたんですか、巴さん? もしかして、今朝もまた嫌な夢でも見たんですか?」

マミ「いや、今日は違うの。ちょっと……ね……」

 以前も説明したが、巴マミは自身が魔法少女である反面、魔法少女という存在が増えることに関しては結構複雑な心境であった。
 魔法少女の候補者である女の子には、当然それまでの平穏で幸福な生活がある。
 果たして、それを投げ捨てさせてまで魔女と命がけで戦う世界に身を投じさせて良いものなのか――?

翔一「あっ、そうだ。巴さん」

マミ「何?」

翔一「俺、やっぱり魔法や超能力の存在信じることにしました」

マミ「……はい?」

翔一「ほら、巴さん以前聞いてきたじゃないですか、『魔法や超能力はこの世界に存在すると思うか』って?」

マミ「あぁ……」

翔一「あの時俺、『自分が魔法使いでも超能力者でもないから信じない』って言いましたけど、あれ訂正します」

マミ「?」

翔一「実は俺――魔法使いじゃないけど超能力者だったんです!」

マミ「ちょ、超能力者……? 沢野くんが?」

翔一「はい!」

 満面の笑みを浮かべて頷く翔一。
 その顔は嘘をついているようにはマミには見えなかった。
 単に翔一が天然故に、何を考えているのかさっぱりわからないだけという可能性もあったが――

翔一「あ。でもあれって超能力って言っていいのかな? まぁ、似たようなものだと思いますけど……」

マミ「……それって、今ここで見せてもらえる?」

翔一「あ。それは駄目です」

マミ「何故?」

翔一「いや~、今ここで見せたらきっと巴さんやクラスの皆も驚いちゃうでしょうし……」

マミ「……じゃ、じゃあ、具体的にはどんな力なのかくらいは教えて貰えないかしら?」

翔一「はい! 強くなります!」

マミ「……へ?」

翔一「だから、強くなるんですよ。そして、パンチやキックで相手と戦うんです!」

マミ「……もしかして私のことからかってる?」

翔一「からかってるだなんてとんでもない! マジです!」

マミ「…………」

翔一「……あっ。そういえば、巴さん。話は変わりますけど、さっきそこの廊下でおかしなものを見ましたよ」

マミ「おかしなもの?」

翔一「えぇ。なんか白くて尻尾が長い犬だか猫だかわからない変な生き物が、俺や他の生徒達の足元をぴゅ~っと走り去っていったんです」

マミ「!?」

翔一「なんか俺以外の人は全然驚いた様子じゃなかったけど……。本当にあれなんだったのかな~?」

マミ(キュゥべえが見えている……!? まさか……本当に何か特別な力を持っているの……!?)



 授業中、マミはここ数日のことを思い返していた。

 突然の転校生・沢野翔一。
 その日を境に、自身の前に姿を現すようになった黄金の怪人・アギト。
 最初アギトと遭遇した時、その場に落ちていた翔一の生徒手帳。

 そして、今日になって急に魔法や超能力を信じると言い始めた翔一。
 おまけに、その翔一はキュゥべえを視覚することができた――

マミ(――ということは、やっぱり沢野くんがアギト?)

 そう思いながら隣の席にチラリと目を向けるマミ。
 翔一はいつもどおり授業を受けていた。

マミ(……でも、2度目に遭遇した時、アギトはキュゥべえが見えていなかったようにも見えたわね)

マミ(…………)

マミ(……駄目だわ。まだ確信までには至れない……)



 そして昼休み――

翔一「巴さん、巴さん。聞きしましたか?」

マミ「? 何を?」

翔一「何でも、今日2年生にすんごい子が転校してきたそうです」

マミ「凄い?」

翔一「はい。俺が聞いた話だと、容姿端麗でスポーツ万能、おまけに滅茶苦茶頭も良い女の子だそうですよ」

マミ「ふぅん……」

翔一「あれ? 何かあまり興味なさそうですね?」

マミ「そりゃあ、転校生なら目の前に1人いるし、それに2年生の話だしね……」

翔一「そうですか? 俺は結構興味ありますけど?」

マミ「それはあなたが男の子だからでしょ?」

翔一「ん~……。そうなんですかね~?」

 その時、突然教室や廊下がざわめき始める。

翔一「あれ? 何か妙に賑やかになってきましたね?」

マミ「言われてみれば……あら?」

 廊下の方へ2人が目を向けると、そこには1人の少女が翔一たちの教室へと入ってくるところであった。

マミ「3年生じゃないわね。下級生……」

翔一「あっ! 昨日の!」

マミ「えっ!?」

 声と共に思わず立ち上がる翔一。
 それに釣られるように、マミをはじめ、教室やその周囲にいた者の視線が一斉に翔一に向けられる。
 当然、教室にやって来た下級生の少女、暁美ほむらの視線も――

ほむら「…………」

 無言、かつ無表情で翔一の方へと歩み寄っていくほむら。
 彼女の足が一歩一歩進むごとに、教室及び周囲のざわめきが大きくなっていく。

 そして、ついにほむらが翔一の前に立ち、その足を止めた。

翔一「やぁ。いや~、驚いたな。君もここの生徒だったんだね」

ほむら「いえ、私は今日ここに転校してきたばかりですから」

 周りから向けられる視線に気にすることなく会話を始める2人。

翔一「へぇ~……ん? もしかして、噂の凄い転校生って君のことだったの?」

ほむら「…………」

 その質問に対して、ほむらは答えなかったが、翔一はそれを肯定と判断した。

翔一(結構謙虚なのかな?)

マミ「えっと……。沢野くん、その子とお知り合いなの?」

翔一「はい。昨日、巴さんが突然病室からいなくなっちゃった後に出会ったんです。……いや、あれは声をかけられたと言ったほうが正しいのかな……?」

ほむら「…………」

マミ「!?」

 ほむらがほんの一瞬、チラリとマミの方へと視線を向ける。
 マミも瞬時にそれに気づいたが、次の瞬間にはほむらは再び視線を翔一の方へ戻していた。

 ――だが、マミは見てしまった。
 その少女の左手の中指にはめられていた指輪と、中指の爪に浮かぶタトゥーのような紋章を。

ほむら「……沢野翔一さん、あなたにお話ししておきたいことがあります」

翔一「? 俺に?」

 思わず自分自身を指さす翔一。
 ちなみに、周囲の者たちは今のほむらの発言から何故か「おぉ!」だの「な、なんだってー!」などと勝手に騒ぎ始めている。

ほむら「……ここでは言えないことなので、場所を移させてもらってもいいでしょうか?」

翔一「あぁ、いいよ」

ほむら「じゃあ、付いてきてください」

 そう言って背を向けて歩き出すほむら。
 それを見た翔一も、その後に続いて歩き出す。

 2人が教室を後にすると、教室は先ほど以上に騒がしくなった。
 ――特に男子の方にやたら動揺していたり、狼狽えている様子の者が多い気がする。

マミ(魔法少女……)

マミ(――でもわからないわね。何で声をかけたのが私じゃなくて沢野くんなのかしら?)

マミ(……ちょっと調べてみる必要がありそうね)

 そう判断すると、マミは未だに騒ぎが収まらぬ教室からひっそりと外へ出た。



 屋上――

ほむら「……ここなら特に人目もつかないわ」

 自分たち以外の者が誰もいないことを確認すると、ほむらは先程とは口調を変えて翔一の方に振り返った。

翔一「……えぇと、話の前にひとついいかな?」

ほむら「何……?」

翔一「いや、君の名前をまだ聞いてなかったなと思って……。君は俺の名前知っているのに、なんか不公平だな~と……」

ほむら「……暁美ほむら」

翔一「暁美さんか……。なんか変わった名前だね」

ほむら「…………」

翔一「? どうかした?」

ほむら「別に……。同じことをクラスメイトの子にも言われたなと思っただけよ」

翔一「も、もしかして、気にさわった?」

ほむら「別に……」

翔一「……あ、そうだ! ところで、俺に話したいことって何?」

ほむら「単刀直入にいうわ、沢野翔一。私に協力して欲しい」

翔一「……協力?」

ほむら「えぇ。あなたが私の知る『アギト』と同等のものだと見込んだうえでお願いする」

翔一「えぇと……。具体的にはどんなことを?」

ほむら「私はある存在を倒すためにこの街へ来た。そのためには可能な限りの戦力が欲しい」

翔一「ある存在……? もしかして、俺や巴さんが倒してるあの怪物たちのこと?」

ほむら「……似たようなものね」

翔一「なぁんだ、それならお安いご用だよ。……あ。でも、俺自身まだこの力のこと完全に把握しているわけじゃないけど……それでもいいの?」

ほむら「構わない。その力については、いずれ来るべき時が来れば、あなたも自然と知ることになるはず」

翔一「……なんか、俺よりも暁美さんの方がこの力について詳しそうだね?」

ほむら「そうね……。現時点では確かにあなたよりは……」

翔一「う~ん……。なんかソレってズルいな~。俺は暁美さんのこと全然知らないのに、逆に暁美さんの方は俺のことほとんど知っているのって……」

ほむら「…………」

翔一「? 暁美さん?」

ほむら「……そんな所に隠れていないで、出てきたら? あなたになら聞かれても特に問題ないことだもの」

翔一「えっ? えっ?」

 突然そのような言葉を口にするほむらに思わず戸惑う翔一。
 すると、翔一の背後――屋上の出入口の影から1人の少女が姿を現した。
 他でもなく、巴マミである。

翔一「と、巴さん……?」

マミ「…………」

翔一「えぇと……。巴さん、何時からそこに……?」

マミ「つい今しがた。それよりも……あなた、やっぱり魔法少女なのね?」

ほむら「…………」

マミ「何が目的なの? 確かに沢野くんはキュゥべえを視覚できる。普通の子には無い特別な力があるかもしれない……」

ほむら「…………」

マミ「でもね。沢野くんは私たちとは違う。それ以外はれっきとしたただの人間なのよ」

ほむら「……そうね。確かに、力があることを除けば、沢野翔一はただの人間ということになるわね」

マミ「じゃあ、何故……!?」

ほむら「巴マミ、あなたは何もわかってはいない……」

 そう言うと、ほむらは1人屋上から去ってしまった。

翔一「え、えぇと……」

マミ「沢野くん」

翔一「は、はい?」

マミ「あまりこういうことは言いたくないけど、彼女にはこれ以上関わらないほうがいいわ」

翔一「えっ!? どういうことですか? 別に悪い子には見えませんでしたけど……?」

マミ「それは私もわかっているつもりよ。だけど……下手をすればあなたは命を落としかねない」

翔一「命を落とすって……。何言っているんですか、巴さん。今暁美さんと話していたこともそうでしたけど、何か言っていることが滅茶苦茶ですよ?」

マミ「……そうね。今更隠し通すのも無理でしょうし……沢野くんには私たちのことを少しだけ教えるわ」

翔一「はい?」

マミ「――この世界にはね、人間に不幸をもたらす『魔女』と呼ばれる存在がいるの」

翔一「ま、魔女……ですか?」

マミ「そう。そして、魔女は人々の知らないところで世界に呪いを撒き散らし、表向きでは原因不明とされる事故や自殺を人間に引き起こさせて死に追いやる」

翔一「…………」

マミ「そうした魔女を狩るのが『魔法少女』。言ってしまえば、魔女を倒すために選ばれた女の子のことね」

翔一「『魔法少女』? もしかして――」

マミ「えぇ。さっき、あの子との会話を聞いていたならもう言う必要もないと思うけど、私がその『魔法少女』なの」

翔一「そっか~……。だから昨日あそこで……」

マミ「?」

翔一「あ、いや……。つまり、暁美さんも巴さんと同じ『魔法少女』だと言いたいわけですね?」

マミ「えぇ」

翔一「なるほど……。あれ? じゃあ、何で暁美さんは巴さんじゃなくて、俺を呼び出したんでしょう? 同じ魔法少女である巴さんの方が話し易いはずじゃ……?」

マミ「それは……魔法少女にもいろいろと事情があるから……」

翔一「事情……ですか?」

マミ「えぇ。……あ、そろそろお昼休みが終わっちゃうわね。この話の続きはまた放課後にしましょう」

翔一「え? あ、ハイ……」

翔一「…………」

翔一(そうか~、昨日あのよくわからない空間で巴さんと戦ったのが『魔女』ってやつだったのか……)


 ――ちなみに、この後教室に戻った翔一はクラスの男子たちから質問攻めにあったことは言うまでもない。


翔一「……巴さん、もしかして俺、とんでもない誤解をされているんじゃ……」

マミ「さすがにそれは私に言われてもね……」


 放課後――

マミ「……さて、それじゃあ、お昼休みの話の続きといきましょうか」

翔一「あ。それなんですけど、巴さん」

マミ「?」

翔一「もしよかったら、一緒に帰りながら説明してくれませんか? 帰りながら今晩のおかずの材料買って帰りたいんですよ」

マミ「…………」



翔一「――なるほど、それが魔法少女の証であるソウルジェムですか」

マミ「えぇ。普段は指輪として身につけているんだけど、魔女を探すときはこうして本来の形に戻しているの」

翔一「へぇ……。ん? 待ってください。『探す』ってことは、魔女って向こうからは人間の前に姿を現さないんですか?」

マミ「そう。魔女は結界っていう自身の巣に隠れ潜んでいるから、表向きには姿を見せないの。この世界の人間の殆どが魔女の存在を知らないのもそのため」

翔一「……なんか汚いですね。自分は安全な場所にいながら、こっちのことは一方的に攻撃できるなんて……」

マミ「そうね……。だからこうして魔女を探して見つけ次第狩っていかないと、どれだけの被害が出てしまうか……」

 その時、マミのソウルジェムが微かに光り始める。

マミ「!? これは――」

翔一「? どうしました? も、もしかして……」

マミ「えぇ。微かだけど、魔力の反応をキャッチしたわ。おそらく、そう遠くないところに魔女がいる……!」

翔一「本当ですか!? じゃあ、俺も手伝い――」

マミ「ダメ!」

翔一「ええっ!? 何でですか!?」

マミ「さっきも言ったけど、沢木くんは魔法少女じゃないでしょ? ここから先は専門家である私に任せて……ね?」

翔一「で、でもやっぱり心配ですよ。それに、俺だって昨日――」

マミ「沢野くん、心配してくれているのは嬉しいけど、私はあまり無関係な人を巻き込みたくないの。それに……」

翔一「それに?」

マミ「女の子の言う事を素直に聞けない男子は嫌われるわよ?」

翔一「む……。巴さん、俺そういうのは何かズルいと思います……」

マミ「ごめんなさい。でも本当に大丈夫だから……。それじゃあ沢野くん、また明日ね」

翔一「…………」

翔一(……やっぱり心配だな)

翔一(――ん? でも変だな。昨日魔女ってやつが現れた時は、確か俺も頭が突然キーンと……)


ほむら「沢野翔一」

翔一「うわっ!? あ、暁美さん……?」

ほむら「…………」

翔一「び、びっくりした~……。もう、いきなり背後から声をかけないでよ……。一体何の……」

ほむら「早速で悪いけど、あなたの力を貸してもらうわ」

翔一「俺の力を? ……あっ。そうか、魔女ってやつをやっつけるんだね? やっぱり巴さん1人じゃ心配……」

ほむら「いいえ。私たちの相手は魔女じゃないわ」

翔一「えっ? どういうこと?」

ほむら「今回の魔女は巴マミ1人に任せておいても特に問題はない。私たちは別の存在を討つ」

翔一「別の存在?」

ほむら「えぇ。人によっては、そいつは魔女以上に厄介な『敵』だから……」



 ほむらに連れられて翔一がやって来たのは、ショッピングモールの地下だった。

翔一「『改装中につき立ち入り禁止』って看板があったけど……。本当に入って良かったの?」

ほむら「そんなこと気にしている余裕はない。今はこれから討つ『敵』のことだけに集中して」

翔一「あ、うん……。ところで、その魔女とは別の『敵』っていうのは本当にここに現れるの?」

ほむら「えぇ。そいつは今、ある女の子に接触しようとこの近くまで来ている。出来ることならその子に接触する前に仕留めたい」

翔一「どうやって?」

ほむら「私がそいつを上手く誘導する。あなたはここで待機していて、そいつが来たらすぐに『アギト』の力で止めを刺してほしい」

翔一「なるほど……。わかったよ」

ほむら「それじゃあ、私は行くわ。もうあまり時間もないし……。あとは任せるから……」

 そう言い残すと、ほむらは地下の薄暗い闇の中へとその姿を消していった。
 1人残された翔一は一度深呼吸すると、よしと覚悟を決め、昨日と同じ動作で早速アギトへと変身する。

翔一「変身!」

 ほんの一瞬、ショッピングモールの地下が光りに包まれる。
 そして、再び闇が地下を覆う頃には、そこには黄金の異形が敵を待ち受ける姿のみがあった。



マミ(……徐々に反応が大きくなってる)

マミ(間違いない。やっぱりこのショッピングモールのどこかに結界が……)


マミ「……あら?」


さやか「まどか、悪いけどこのままCDショップ付き合ってもらっていい~?」

まどか「いいよ。また上條くんの?」

さやか「へへ……まぁね~」


マミ(見滝原の制服……2年生かしら?)

マミ(…………)

マミ(私も魔法少女になっていなければ、ああいう普通の学生生活が送れたのかしら……?)

 そう思った瞬間、はっと我に返る。

マミ(やだ……。今更何考えているのかしら、私……。『あの時』から、そんなもの当に諦めたはずなのに――)



 場所は変わってショッピングモール地下のある一通路。
 そこでは今、2つの影による壮絶な追走劇が繰り広げられていた。

 影の正体のひとつは暁美ほむら。
 そして、もうひとつは、ほむらよりも遥かに小さい犬のようにも、猫のようにも見える不思議な白い存在――キュゥべえであった。
 追うものは前者、そして終われているのは後者である。

 ――そう。ほむらが翔一に言っていた『敵』とは、他でもなくこのキュゥべえであった。

キュゥべえ「!?」

 キュゥべえの近くの床が突如として爆発を起こす。
 それに吹き飛ばされ、キュゥべえの小さな身体は、まだ改装も終わり切っていないショッピングモールの地下フロアを軽く数十センチメートル程転がり回った。

ほむら「――もう逃がさない……!」

 そう呟きながら、じりじりとキュゥべえとの距離を詰めていくほむら。
 だが、生命としての本能か、すぐさまキュゥべえも起き上がると再び全速力で逃亡を開始する。

キュゥべえ『助けて――!』

 まだ出会ったこともない1人の少女に、届くかどうかもわからぬ助けを求める心の声を上げながら――



アギト「…………」

 薄暗い地下に1人佇むアギトは、場の空気が先程までとは変わったことをその身に感じていた。
 ほむらが言っていた『敵』がすぐそこまで来ているのだろう。
 ならば、こちらも万全の体制をもって、その『敵』に備えなければならない。

アギト「…………!」

 昨日の変身の際も見せた、右腕を曲げて肘を前にかざし、左腕を腰の横に引きながら両膝を僅かに曲げて重心をやや下に落とす構え――
 アギトの戦闘準備は完全に完了した。
 後は、目の前に現れる『敵』に、自身の全身全霊の一撃を叩き込むのみ――


 ガシャアアアアアン!


 アギトの視界に映る一角から土煙が上がる。
 それと同時に、彼の目の前に小さな白い存在が姿を現した。

アギト「――!」

 アギトはその存在を知っていた。
 先日、学校で見かけた謎の生き物――

 まさか、こんな愛くるしい存在が、ほむらの言っていた『敵』だというのか――?
 無の境地に入っていたはずのアギトに、ほんの一瞬の迷いが生まれる。
 だが、すぐさま見かけに惑わされてはならないと己に言い聞かせ、右腕を大きく振り上げ――

???「止めて!!」

 ――振り上げるも、下ろされることはなかった。
 突然アギトの背後から響き渡る少女の声。
 思わず、アギトも声のした方へと視線を向ける。

 そこには、見滝原中学校の制服を見に纏ったツインテールの少女――鹿目まどかの姿があった。



 ――話を少し前に戻す。

 鹿目まどかは、親友である美樹さやかと2人でショッピングモールにあるCDショップを訪れていた。
 そこまでは特に何でもない、まどかたちにとってはよくある日常風景の一片に過ぎない。
 だが、突然聞こえてきた声が、彼女たちのそんな日常に終止符を打つことになった。


 ――助けて!


まどか「えっ!?」

 店内で新作CDを試聴していたまどかは、突然頭の中に直接響き渡ったその声に思わず目を見開いた。
 最初は気のせいかと思い、再びCDの試聴を再開しようとしたまどかであったが、ここで再び声が響く。


 ――助けて、まどか……!


まどか「!?」


 聞こえた。確かに。ハッキリと。
 これは幻聴なんかではない。


 誰かが助けを求めている――


 一体誰が? 誰に?
 いや、前者はともかく、後者についてはわかっているではないか。


 誰かが、鹿目まどかに助けを求めている――!


 この声が誰の声で、どこからどのように発せられているのかなど、今は関係ない。


 ――気がついたら、まどかの足は自然にCDショップの外へと歩き出していた。


さやか「――? まどか?」

 そんなまどかの様子を、彼女の親友である美樹さやかは、しばらくの間、不思議そうに眺めていた。
 だが、親友がCDショップを出て、フラフラと何処かへ向かっていく姿を見ているうちに、何か嫌な予感でもしたのか、彼女もその後を追い、CDショップを後にした。



 ――そして今に至る。

キュゥべえ「まどか……!」

 キュゥべえはアギトの注意がまどかへ向いていることに気づくと、とっさにまどかの元へと駆け寄った。
 すでにほむらから受けた攻撃によって、その身体はいたる所がボロボロになっていたが、まだ駆け出すほどの力があったのは、おそらく彼(?)の生存本能――人間的に言えば『火事場の馬鹿力』というやつであろう。

まどか「……あ、あなたなの? 私を呼んだのは?」

 ボロボロになったキュゥべえを抱き抱えながら、そう問いかけるまどかだが、答えは返ってこない。
 どうやら返答をする程の気力も今のキュゥべえには残されてはいないようだった。

まどか「…………」

アギト「…………」

 まどかとアギトの視線が重なる。
 アギトのその現実的にはありえない――あくまでもまどかの知る現実のレベルでの話だが――その姿に、思わずまどかの足は後ずさる。

まどか「な、何……? 誰なの、あなた……? いや、それ以前に、人……なの……?」

 思わずまどかの口からそのような言葉が漏れる。
 だが、アギトは何も答えない。

アギト「…………」

まどか「あ、あなたがやったの……? 酷い……どうして、こんな……?」

アギト「…………」

まどか「こ、答えてよ……!」

ほむら「!? この状況は……一体どういうこと!?」

まどか「!? ほむら……ちゃん……!?」

ほむら「……鹿目まどか……!」

 アギトの背後から、もう1人の影がその場に姿を現す。
 それは魔法少女の装いを見に纏った暁美ほむら。
 偶然にも、彼女はまどかのクラスメイトであった。

ほむら「まさか……仕留め損ねたというの? あなたともあろう者が……?」

アギト「…………」

 ほむらは睨みつけるようにアギトの方を見やる。
 だが、そんな彼女に対してもアギトは目を向けるだけで、何も答えようとしない。

ほむら「……まぁ、いいわ。鹿目まどか、今あなたが手にしているそいつをこっちに渡して。もしくは、そいつから今すぐに離れなさい」

まどか「な、何言ってるのほむらちゃん……!?」


 まどかには現在の状況が上手く理解できなかった。
 いや、誰もがこんな状況に陥ったら、まず状況を理解することなど不可能であろう。

 不思議な声に導かれて、まず誰も足を踏み入れようとは思わない地下へと来てみたら、そこには見たこともない黄金の怪物がいた。
 しかも、その怪物は、これまた見たこともない白くて小さな生き物に今にも襲いかかる直前だった。

 挙げ句の果てには、今日自身のクラスに転校してきたクラスメイトが、コスプレ染みた格好で現れ、自身が現在抱き抱えている白い生き物を渡せと迫ってきた。
 おまけに、その様子からクラスメイトは怪物とお知り合い――
 正直、訳がわからない。
 これが夢ならば、さっさと覚めて欲しかった。


まどか「……で、でもこの子、怪我してるんだよ!?」

キュゥべえ「ま……まど、か……」

まどか(!? やっぱり、この子……!)

ほむら「……相変わらず汚い手を使うのね」

まどか「ほ、ほむらちゃん、酷いよ! どうしてこんなことするの!?」

ほむら「あなたには関係がないことよ……」

まどか「で、でも……この子、私のこと呼んでたんだよ!? 『助けて』って……!」

ほむら「……出来ることなら穏便に済ませたかったけれど、仕方がないわね……」

まどか「!?」

 ほむらの足がまどかの方へと近づいていく――

ほむら「アギト、手を貸して」

アギト「…………」

ほむら「多少強引な手を使うことになるけど、これも彼女のため……」

さやか「まどか!」

ほむら「!?」

まどか「えっ!?」

 突然、地下に美樹さやかの声が響き渡ったかと思うと、次の瞬間にはまどかとほむらたちの間に、大量の白い煙が巻き上がった。
 まどかの後を追い、ここまでやって来たさやかが、今にも怪物(あとほむら)に襲われそうな親友のピンチを救うべく、近くにあった消化器の中身を一気にぶち撒けたためである。

アギト「――――」

 だが、アギトはそんな状況でも冷静だった。
 瞬時に煙の発生源がさやかの手にある消化器であると知ると、それを止めさせようと、さやかに向かい飛びかかった。

さやか「げっ!?」

 突然、煙の中から自身の方へと飛び出してきた怪物。
 それに対してさやかは――

さやか「うわあああああ!」

 持っていた消化器を怪物に向かって思いっきり放り投げた。

アギト「――!」

 もちろん、その程度の攻撃がアギトに通じるはずもなく、放り投げられた消化器はアギトが繰り出したパンチによってバラバラに粉砕された。
 だが、まだ中身が残っていたのか、粉砕された消化器から再び消火剤による白い煙が巻き起こった。

さやか「ま、ま、まどか、こっち!!」

まどか「う、うん!」

 消化器をあっさりと粉砕してしまう程のアギトのパワーを目の当たりにし、恐れをなしたさやかだったが、何とか声を上げ、親友と共にその場から逃げ出すことに成功する。

ほむら「……逃がさない!」

 ほむらが左腕をブンと縦に振ると、周囲に充満していた煙は一瞬で吹き飛ばされ、やがて掻き消えた。

アギト「…………」

ほむら「……話は終わってから聞かせてもらうわ。今は鹿目まどかたちを……!?」

アギト「――!?」

 ほむらがまどかたちを追いかけようとしたのと、ショッピングモールの地下フロアが異界へと姿を変え始めたのはほぼ同時であった。
 瞬く間に、薄暗かった地下は、禍々しい極彩色が支配する未知の空間へと変化する。
 空間が歪み、人間たちにおける『常識』などという概念が一切通じなくなる世界が形成されていく――

 ――魔女の結界だ。

ほむら「……こんな時に……!」

 ほむらは一瞬だけ苦虫を噛み潰すような表情を浮かべると、すぐさま臨戦態勢に入る。
 だが、そんなほむらの前にアギトがスッと一歩前に出ると、チラリと視線を向けた。

ほむら「アギト?」

アギト「…………」

ほむら「『ここは自分に任せて、私は2人を追え』――と言いたいわけ?」

アギト「…………」

ほむら「……わかったわ。その代わり、ここが片付いたらすぐにあなたも鹿目まどかたちを追いなさい。間違っても、この結界の元凶である魔女を倒そうなどとは思わないで」

 そう言い残すと、ほむらはアギトの目の前から瞬時にその姿を消した。
 おそらく、瞬間移動もしくはその類であろう。


Believe Yourself
http://www.youtube.com/watch?v=ANEt7s6bu6Q&feature=related



アギト「…………」

 アギトは一度周囲を軽く見やる。
 極彩色に彩られた空間のいたる所に、立派な口髭を生やした紳士のような――あと、どことなく某ポテトチップスのパッケージのキャラクターを彷彿させる――使い魔たちが次々と姿を現していた。
 そして、その使い魔たちの手と思える場所には、ハサミが握られていた。
 チョキチョキと、ハサミ独特の金属音が一帯に響き渡る。
 おまけに、使い魔たちは何か歌っているのか、または喋っているのか、声のようなものも聞こえてくる。

 ――が、そんなものアギトには関係がなかった。

アギト「…………」

 クロスホーンと口元にあるクラッシャーが展開し、4本のツノと歯牙状の器官が露出する。
 この時点で、勝敗はほぼ決したことは言うまでもなかった――



 その頃、ほむらたちの元から何とか逃亡することに成功したまどかたちも、魔女の結界に迷い込んでいた。
 ――いや、この場合は巻き込まれていたと言ったほうが正しい表現であろうか。

さやか「冗談だよね……? あたし、悪い夢でも見てるんだよね……?」

 先程の怪物に続いて、目の前に広がっているこの異様な光景に、さやかの思考はもうおもちゃで遊んでいる子供の部屋の如くグチャグチャだった。
 それでも、何とか理性を保っていられたのは、ひとえに隣に親友であるまどかの姿があったからだろう。

まどか「…………」

 逆に、まどかの方は――こちらもギリギリ理性を保っているとはいえ――すでに恐怖のあまり声も出なかった。

 ――どうすればいい?

 まどかは僅かばかり残っていた理性で、その言葉を何度も頭の中で繰り返していた。
 だが、その問いに対する答えは、今の彼女からは当然出ることはなかった。

 気がつくと、2人の周囲には先ほどアギトの前に現れたものと同じ使い魔たちが次々とその姿を見せる。
 当然、その手(と思える場所)にはハサミ――

 それを見たまどかたちは、残された理性も完全に恐怖に支配され、互いの身を寄せ合ってただ震えることしか出来なくなってしまう。

ほむら「――!」

まどか「えっ!?」

さやか「ウェ!?」

 だが、突然2人の目の前で爆発が起き、周囲にいた使い魔のうち数匹が爆風に飲み込まれ霧散する。
 それと同時に、2人の目の前に再び姿を現すほむら。

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

さやか「な……!? なんなのよ、アンタ!? コスプレでバケモノと通り魔やってるかと思ったら、今度はあたしたちを助けるって言うの!?」

ほむら「……そうよ。私の標的はあくまでも、ソイツだもの」

 そう言いながら、未だにまどかが抱いているキュゥべえを睨みつけるように見やるほむら。
 それに対して、キュゥべえは一瞬ビクリとその身体を震わせた。

さやか「そういえば……まどか、ソイツは一体何なの? 見た感じボロボロのぬいぐるみみたいだけど……」

まどか「え? あ……その……」

ほむら「説明は後。それよりも、あなたたち」

さやか「な、何よ?」

ほむら「こんな所で死にたくなかったら、ソイツから離れなさい」

さやか「はぁ!? アンタ、何言ってんのさ!?」

まどか「そ、そうだよ! 駄目だよ! さっきも言ったけど、この子私を呼んでたんだよ!?」

ほむら「……!」

 もう埒があかないと判断したのか、ほむらの手がまどか――正確にはまどかに抱かれていたキュゥべえ――へと伸ばされる。
 ――が、ほむらの手がキュゥべえを引っ掴むよりも先に、3人(とキュゥべえ)の周囲に光が差し込んだ。

さやか「えっ!? 今度は何!?」

まどか「これって……」

マミ「危ないところだったわね」

さやか「!?」

まどか「!?」

ほむら「――巴マミ」

 まどかとさやかが声のした方へと振り返ると、そこには自身のソウルジェムを手にした巴マミの姿があった。

ほむら「…………」

 マミに対して敵意にも似た視線を向けるほむら。
 しかし、マミはそれをちらりと一瞥しただけで軽く流し、自身の視線をまどかとさやかの方へと向ける。

マミ「あなたたちも見滝原の生徒みたいね。……2年生?」

さやか「あ、あなたは……?」

マミ「そうそう、自己紹介しなくちゃね。でも、その前に――」

 そう言うと、自身のソウルジェムを一度頭上へ放り投げるマミ。
 それと同時に、彼女は自分たちの周囲で未だにチョキチョキとハサミの音を響かせる使い魔たちの方へと向き直る。

マミ「ちょっと一仕事片付けちゃっていいかしら?」

 その言葉と同時に、マミは落ちてきた自身のソウルジェムをキャッチし、それを前へとかざす。
 すると、マミは黄色い光に包まれ、やがてその姿は制服から魔法少女の装束へと変わった。
 それまでのマミの一連の動作は、まるでフィギュアスケートの演技のようにも、舞を舞っているかのようにも見えた。

マミ「はっ!」

 魔法少女への変身が完了すると同時に、マミはその場から数メートル頭上へと跳躍する。
 そして、右手を一度軽く横に振った。
 すると、マミの周囲から大量のマスケット銃が姿を見せた――かと思うと、次の瞬間にはそれらが全て、周囲にいる使い魔たちに向けて一斉に火を吹いた。
 単発であるマスケット銃も、大量にあればそれはマシンガンにも劣らぬ威力と連射となる。
 それは――厳密に言うとちょっと違うが――戦国時代の長篠の合戦において、織田・徳川連合軍が武田軍の騎馬隊を破った際に用いたとされる鉄砲隊戦術を彷彿させる光景であった。

まどか「凄い……」

 まさに、圧倒的――
 マスケット銃から放たれた魔力の弾丸が着弾したことで発生した爆風が晴れた頃には、周囲に使い魔の姿は1体も残っていなかった。

 それと同時に、世界が再び歪み始める。
 ――が、今度は徐々に現実味を帯びていき、やがて周囲に広がる光景は、ショッピングモール地下の薄暗いそれへと戻った。

さやか「戻った……の?」

まどか「そ、そうみたい……」

ほむら「…………」

マミ「ふぅ……。さてと……」

まどか「あ、ありがとうござ……」

 自分たちの方へと振り返るマミに対してお礼を言おうとしたまどかとさやかであったが――

マミ「どうしてキュゥべえを狙ったのか、答えてもらおうかしら? 暁美ほむらさん?」

 そのマミが、手にしていたマスケット銃の銃口をいきなりほむらへと向けたため、思わず固まってしまう。

まどか「え――」

さやか「ちょ、ちょ、ちょ――!? ちょっと、いきなり何やっているんですか!?」

マミ「あなたたちは悪いけど少し黙っていて。これは私と彼女の問題だから――」

まどか「あ、あぁ……」

 目の前で突然始まった一触即発の光景に、まどかは腰を抜かし、その場に尻餅をついてしまう。
 その目にはうっすらと涙が浮かび、手足をはじめ、身体のいたる所がガタガタと震えていた。

 ――怖い。
 先ほどの光景もそうだったが、今は目の前にいる自身の命の恩人であるはずの人が――

ほむら「……そいつの肩を持つつもり?」

マミ「キュゥべえは私の大切なお友達だもの」

ほむら「……無抵抗のままやられる気はないわ」

マミ「そう……!」

 マミがマスケット銃の引き金を引こうとしたその瞬間――


???『人が人を殺してはならない――』


マミ「!?」

まどか「!?」

さやか「!?」

ほむら「!?」

 突如、その場にいた4人全員の脳裏に、男の声が響き渡った。

さやか「な、何!? 今の!?」

マミ「男の人の声――」

まどか「で、でも一体……」

ほむら「…………」

 コツン……

まどか「!?」

 今度は地下に何者かの足音が響いた。
 おまけに、それはどんどんリズムを早め、まどかたちの元へと近づいてくる――!

さやか「だ、誰か来る!?」

マミ「まさか、今の声の――」

ほむら「――! あなたは……!」


 そして、4人の目の前に姿を現したのは――


翔一「あれ? 暁美さんに巴さん……それに知らない子たちまで……。何かあったんですか?」


 ――見滝原中学校の3年生、沢野翔一であった。


ED



次回予告

「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

「――鹿目まどかをソイツと契約させるわけにはいかない」

「あの怪物はいったい何だったんだろう?」

「あれは『アギト』。僕達の『敵』だよ」

「過去を持たない人間が、未来を得ちゃいけないなんてルールはないはずだからね」

「やっぱり、沢野くんがアギトだったのね……!」


次回
第4話「私はそう思わない」


目覚めろ、その魂!



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