2011年06月29日 19:57
唯「まじーん、ごー!」
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/16(水) 17:29:20.60 ID:AfBoYm140
第十六話
「シャロ……起きて、シャロ」
頬を叩かれる痛みの中で、少女は目を覚ました。
「う、うん……なにー?」
「起きた、シャロ?」
「どうしたの、コーデリア?」
シャーロック・シェリンフォードを起こしていたのは、コーデリア・グラウカ。ミルキィホームズのメンバーで青色のチェックワンピースを着ている。
「おい、エリーも起きたぜ」
「ネロ、ここはどこなの?」
黄色のハーフパンツの譲崎ネロの横で緑の帽子のエルキュール・バートンが不安げにきょろきょろしているのにならって、シャロも首を動かす。
シャロ「なに、ここ……研究所?」
四人がいるのは、見慣れた探偵学園の寮ではなかった。薄暗い灰色の壁の部屋のいたるところに機械が置かれてところどころ光りを発している。
コーデリア「ねぇ、シャロ、エリー。あなた、寝る前までのことは覚えてる?」
シャロ「普通にご飯食べて、お風呂に入って、ポッキー食べて寝てたー!」
エリー「シャロに同じく!」
ネロ「ボクらもそこまではちゃんと覚えてんだよ。じゃあ、寝ている間にまとめてここに連れてこられたってことだよな」
「その通りだ!」
バン! 部屋のドアと思しき場所にライトが当たり、そこに白衣を着た男といかついボディスーツの金髪の男が立っていた。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「だれ!?」
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714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/16(水) 17:29:20.60 ID:AfBoYm140
第十六話
「シャロ……起きて、シャロ」
頬を叩かれる痛みの中で、少女は目を覚ました。
「う、うん……なにー?」
「起きた、シャロ?」
「どうしたの、コーデリア?」
シャーロック・シェリンフォードを起こしていたのは、コーデリア・グラウカ。ミルキィホームズのメンバーで青色のチェックワンピースを着ている。
「おい、エリーも起きたぜ」
「ネロ、ここはどこなの?」
黄色のハーフパンツの譲崎ネロの横で緑の帽子のエルキュール・バートンが不安げにきょろきょろしているのにならって、シャロも首を動かす。
シャロ「なに、ここ……研究所?」
四人がいるのは、見慣れた探偵学園の寮ではなかった。薄暗い灰色の壁の部屋のいたるところに機械が置かれてところどころ光りを発している。
コーデリア「ねぇ、シャロ、エリー。あなた、寝る前までのことは覚えてる?」
シャロ「普通にご飯食べて、お風呂に入って、ポッキー食べて寝てたー!」
エリー「シャロに同じく!」
ネロ「ボクらもそこまではちゃんと覚えてんだよ。じゃあ、寝ている間にまとめてここに連れてこられたってことだよな」
「その通りだ!」
バン! 部屋のドアと思しき場所にライトが当たり、そこに白衣を着た男といかついボディスーツの金髪の男が立っていた。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「だれ!?」

ターサン「ワシの名はターサン。ターサン博士と呼んでくれて構わない」
コーデリア「ターサン博士?」
シャロ「そんなことよりここはどこなの!?」
エリー「そうよ! 朝食のパンとミルクはどこ!?」
ネロ「カリカリのベーコンと黄身が二つの目玉焼きは!?」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「めーし! めーし!」
ターサン「えぇい、うるさい奴らだのう!」
ギル「博士。このギル・バーグが黙らせましょうか?」
ターサン「いい。お前たち、飯を食わせてやるからこっちについてこい」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「やったー!」
四人はターサンとギルの後について研究所の中を歩いていく。
ターサン「おぬしたち、惑星ラテシアの者たちは『トイズ』と呼ばれる不思議な力があるそうだのう」
コーデリア「えぇ、その力を使って私たちミルキィホームズは怪盗帝国の様々な難事件を解決しているのよ」
シャロ「私は念動力!」
エリー「私は筋力強化!」
ネロ「ボクは電子制御!」
コーデリア「私は五感強化!」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「私たちミルキィホームズ!!」
ターサン「えぇい、うるさいと言っておろう! ポーズをとるな!」
ギル「博士……本当にこんなやつらが……」
ターサン「ふふん、トイズを使用するとき、強力なエネルギーソースが得られることは調査済み。こやつらは中でも指折りのトイズの持ち主じゃ」
ターサン「飯を食わせる前に、見せたいものがある」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「えぇ~!」
ネロ「ご飯は~!?」
エリー「お腹すきました~」
シャロ「ケーキ食べた~い」
コーデリア「除湿機ほし~い」
ターサン「えぇい! 口々に本当にうるさい奴らだのう!」
そして、四人が連れて行かれたのは、先ほどの部屋の十倍はありそうな大きな部屋だった。
シャロ「ここにご飯があるの?」
ターサン「だから飯は後だと言っとろう!」
ギル「貴様らが見るものはこれだ」
ライトアップされたのは、四機の戦闘機だった。
ターサン「これがワシの最高傑作、ダン・メカニックじゃ!」
シャロ「ださ~い」
ネロ「どうでもいい~」
エリー「ごはん~」
コーデリア「ケーキ~」
ターサン「こ、こやつらは~……!」
ギル「貴様ら、飯を食いたければ俺の言うことを聞け!」
ギル・バーグが一歩進み出て声を張った。
シャロ「絶対イヤです~!」
ネロ「パワハラだー!」
エリー「裁判ですー!」
コーデリア「賠償金よー!」
非難ゴウゴウの四人にギルは青筋を立てて怒鳴った。
ギル「貴様らに文句を言う権利はない! 大人しく言うことを聞け! さもなくばぶっ殺すぞ!」
ターサン「こ、これギル!」
ギル「博士、こういう奴らは一度きつく躾けるべきです」
ボキボキッ! ギルが指の骨を鳴らすのを見て、ミルキィホームズは叫んだ。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「キャ~ッ!」
シャロ「暴力よ~!」
ネロ「DVだよ~!」
エリー「変態よ~!」
コーデリア「ロリコンよ~!」
ギル「グダグダとうるさい! 黙らせてやる!」
ぶぅん! ギルの拳がうねりをあげた!
ギル(ここでこやつらを始末すれば再び俺が最強の戦士として立てるのだ!)
コーデリア「――ッ! エリー、左よ!」
エリー「はい!」
ギル「なに!?」
コーデリアの鋭い指示にギルの拳がエリーの小さなてのひらで止まってしまった。
シャロ「えぃっ!」
シャロのトイズでギルの大きな体が床から離れた。
ギル「う、うおぉっ!?」
どすん! ギルは情けなくしりもちをついた。
ギル「ぐっ……体がぁ……っ!」
ネロ「そりゃ!」
ネロが鉄のへらを近くのコンピュータに突き刺した。
ヴーッ! ヴーッ! 途端に研究所内に警報が鳴り響いた。
ターサン「な、なんじゃ!?」
さらに、戦闘機ダン・メカニックのコクピットハッチが開く。
ネロ「みんな! 戦闘機で逃げよう!」
シャロ・エリー・コーデリア「おーっ!!」
四人は軽やかな動きでダン・メカニックに乗り込み、あらかじめネロが開いておいたカタパルトから一斉に発進した。
ターサン「な、ななななななんとぉー!?」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「ばいば~い!」
ターサン博士の研究所から飛び出た四機のダン・メカニックは、小惑星郡の帯域を駆けていく。
シャロ「これからどうしましょうか~?」
ネロ「とりあえずラテシアに帰ろうよ。ボクお腹ぺこぺこだもん」
エリー「でも、ここからラテシアは相当遠いみたいですよ」
シャロ・ネロ「えぇ~っ!? 遠いってどれくらい?」
エリー「だいたい七ヶ月ぐらいかな」
シャロ・ネロ「げぇ~っ! 餓死しちゃうよ~!」
コーデリア「ここから一番近い惑星系列ですと、およそ二日で到着しますわ」
シャロ「追いつかれたらどうしよう?」
コーデリア「その太陽系には、第三惑星・地球を中心とした連邦組織があるみたいです。そちらに救援を要請しましょう」
ネロ「コーデリアあったまいい~!」
コーデリア「えへん」
シャロ「それじゃあ、地球に行きましょう!」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「お~っ!」
その頃、ターサン研究所では――
ターサン「あぁぁ~! ガリモス大船長様に捧げる最高傑作が飛んでいってしまったぁ~!」
ギル「博士、今すぐ奴らを追いかけましょう」
ターサン「馬鹿者! この研究所にはダン・メカニックに追いつけるマシンなどないわ!」
ギル「ならば、バンカーへ赴き、マシンを借り受けましょう」
ターサン「しかし、ガリモス大船長には、最高の兵器を用意するという名目で援助を受けておるのじゃ……」
ギル「ならば博士! 今こそこの俺を最高のサイボーグに仕立て上げ、バンカーに捧げればよろしい」
ターサン「むむむ……よし、わかった」
ギル(あのクソガキどもが……この礼は必ずしてやる!)
ターサン博士が去った後の暗い部屋でギル・バーグは笑いのこみ上げる喉を宇宙に向けた。
ギル「待っていろ……ミルキィホームズ……最強のサイボーグと化した俺が貴様らを叩き潰し、臓物を抉り出してやるわ……ククク……フハハハハハハハ!」
ミルキィホームズがターサン研究所から脱出して27時間後……
ガリモス大船長「すると、貴様はその逃げた裏切り者を捕らえるために、ワシに兵器を貸せと言うのか?」
ターサン「は、ははぁ~っ! まさしくその通りでございまして、ワタクシは恐縮の限りにございます~っ」
ガリモス「して、貴様がターサンの用意した最強のサイボーグか?」
ギル「はっ! ギル・バーグと申します。ガリモス大船長様」
ガリモス大船長「いいだろう。貴様に我がブラッディⅠを貸してやろう。必ずやそやつらをとっ捕まえて来い」
ギル「ははっ!」
ガリモス大船長「だが! わかっておるな、ギル・バーグ」
ギル「承知しております。宇宙海賊バンカーを前に、失敗と裏切りは、死をもって償うべしと」
ガリモス大船長「ならばゆけぃ! ギル・バーグ!」
ギル「ははぁっ! くくく……待っていろ、ミルキィホームズ!」
太陽系の端。
シャロ「あっ! あれが冥王星!?」
モニターに小さく映った歪な形の矮小惑星を指したシャロにエリーが頷いた。
エリー「そうです。地球連邦では、2009年から冥王星を系列惑星に入れるかどうかで議論しているみたい」
ネロ「これで太陽系に到着だね。もう簡易食料食べつくしちゃったよ」
コーデリア「通信では、天王星付近が合流ポイントですわ」
ネロ「ところでみんな、ちょっと聞いてほしいんだけど」
シャロ「なになに?」
エリー「ひょっとして、おいしいキノコでも見つけたんですか?」
コーデリア「それとも、ゼンマイとか?」
ネロ「食べ物じゃなくて、えっとね、このダン・メカニックを一日調べてたんだけど……」
シャロ「うんうん」
ネロ「どうやら、四機が変形して――」
ギュボォッ! ネロの言葉はビーム光で遮られた。
エリー「きゃあぁぁぁっ!」
ビームに一番近かったエリーが煽られて機体が傾く。
コーデリア「何が起きたの!?」
シャロ「う、後ろに何かいるよ!」
ダン・メカニックのレーダーが捉えていたのは、血を被ったように真っ赤なブラッディⅠだった。
ギル「クククク……追いついたぞ、ミルキィホームズの小娘ども!」
ネロ「この声、アイツだよ!」
エリー「ロリコンでDVで変態な上にストーカーですか!?」
シャロ「いや~っ!」
四人はいっぺんにスピードを上げてブラッディⅠから距離を取って逃げ始めた。
ギル「ククク……逃げられると思うなよ、喰らえぃ!」
ボシュッ! ボシュゥッ! ブラッディⅠからミサイルが発射される!
コーデリア「――ッ! シャロ、右! エリーは下! ネロはそのまままっすぐよ!」
五感強化のトイズで常識外の空間把握能力を持つコーデリアの指示で四人は最小限の動きでミサイルを避けきった。
ギル「ちぃ! ならば直接叩き込んでやるわ!」
ブラッディⅠが加速してエリーのダン・メカニックへ接近する。
ギル「ぶち殺してやる!」
エリー「いやぁーっ!」
ぐぉんっ! ブラッディⅠの巨大な腕がエリーに襲い掛かる!
「コズモワインダービーム!」
ズガァァッ! どこからかビームが飛んできて、ブラッディⅠの腕に直撃した!
ギル「なにぃ!? どこのどいつだ!」
ギルを撃ったのは、真紅の手足に鎧のような装甲を持つ巨大なロボットだった。
それをモニタ越しに視認したとき、宇宙空間に声が轟いた。
こなた「夜空の星が輝く陰で!」
かがみ「ワルの笑いがこだまする!」
つかさ「星から星に泣く人の!」
みゆき「涙背負って宇宙の始末!」
かがみ「銀河旋風ブライガー! お呼びとあらば即参上!」
こなた・つかさ・みゆき「イェーイ!」
ジェイナインジェイナイン ナサケームヨウ
アステーロイドーベルトノー
アウトーローモーフルエーダスー
コズモレンジャージェイナイン!
ギル「な、なんだこいつらはぁ!?」
こなた「悪党に名乗る名前などないわー!」
ギル「ぐぐぐ……! ふざけた奴らめが、ならば殺してやる!」
ブラッディⅠの腹部が開き、砲口が顔を出した。
ギル「プラズマキャノン砲だ! 死ねぇぇぇい!」
つかさ「こなちゃん! ブライソードだよ!」
こなた「イェーイ! ブライソードビーム!」
ズバババババ! ブライガーが装備した剣から発するビームでプラズマキャノンを相殺する。
ギル「おのれぃ! 死ね! 死ねぇ!」
ギュアァッ! ギュボォッ! プラズマキャノンが連続で発射される。
かがみ「うっ、この威力が連射されるのはさすがにツライわね」
ギル「このまま押し切ってやる……!」
シャロ「あわわ、あれじゃやられちゃうよ~」
エリー「あの人たちが地球連邦からの救援の人たちですよね?」
コーデリア「そうみたいだけど……」
ネロ「ねぇ、みんな! ボクの話を聞いて!」
シャロ「なぁに、ネロ?」
ネロ「さっきは話の途中になっちゃったけど、この戦闘機にはある秘密が隠されているんだ!」
エリー「秘密ですか!?」
ネロ「この戦闘機は四機が合体することで、戦闘ロボットになるんだ!」
シャロ・エリー・コーデリア「「「な、なんだってぇ~!?」」」
衝撃が走るチームメイトたちにネロがガッツポーズを作る。
ネロ「ボクたちが合体すれば、アイツを追っ払えるよ、きっと!」
シャロ「よ~し、やろうよ!」
エリー「はい!」
コーデリア「やりましょう!」
ネロ「うん! じゃあ、いくよ! 一斉に言うんだ!」
四人のコクピットに文字が浮かび上がる。合体コードだ。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「「「「クロォォォォス・ファイトッ! ダン! ガイ! オー!!」」」」
その言葉に、四つのダン・メカニックが光りを放ち、宇宙空間に統制された動きで軌道を描き出した!
ギル「な、なんだっ!?」
驚愕に目を見張るギルの前で、四つのダン・メカニックは重なり合い、一つの白金のロボットとなる!
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「「「「ダンガイオー! 見参!」」」」
テテッテテッテテンテテーレテーレテーテテー テーテレッテーレテテテー
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスフォラァーブ!
アーツークアーツークアーツークタータカエー ダンガイオー!!
ヒトツノタマシイムスンダ ヨニンノセンシヨ モエツクセ
マゴコロサマヨウ プラネットー ホノオノイローォニー ソメテー
ナゾメイーター カナシミーヲー ヤキクダーケー ジュウモンジニー
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスユアドリーム!
マバタクヒカリノ ダンガイオー!!
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスフォラァーブ!
アーツークアーツークアーツークタータカエー ダンガイオー!!
ギル「だ、ダンガイオーだとォ!? ターサンめ、そんな話は聞いてないぞ!」
こなた「ほっほーぅ、あーちらさんもやるよーうだにぇー」
ギル「ぐぉぉ……おのれぇぇ! ブラッディⅠで踏み潰してやるわ!」
ブラッディⅠがプラズマキャノンを連射しながら、猛スピードでダンガイオーの許へ飛んでいく。
コーデリア「来るわよ、ネロ!」
ネロ「わかってるよ、コーデリア!」
ダンガイオーが軽快な動きでブラッディⅠの突撃をかわす。
ターサン博士が開発したダンガイオーの秘密とは、パイロットのトイズをシンクロさせることである。
つまり、コーデリアの研ぎ澄まされた五感がそっくりそのままコントロール役のネロにも流れ込んでくるのだ。
ネロ「いくよぉ、エリー!」
エリー「ちょ、ちょっとまって……」
ネロ「ブーストナックル!」
ドシュゥッ! ダンガイオーの右腕が射出される!
エリー「きゃぁーっ! 勝手に飛ばさないでぇ!」
右腕にはエリーが乗っているのである。
そのエリーのパワーがダンガイオーの人造筋肉とも重なり、強力なパンチがブラッディⅠを揺らした。
ギル「ぐおぉぉ! おのれぇ……小娘どもがぁ!」
こなた「わーたしたちを忘れーてもらっちゃーぁ、困るーよー」
みゆき「ブライスピアー!」
こなた「イェーイ!」
ズシャァ! ブライガーの巨大な三つ又槍がブラッディⅠの左脚を貫いた!
ギル「しまった! バランスが取れん!」
ネロ「サンキュー! シャロ! キミの出番だよ!」
シャロ「うん! サイキック・ウェィィィィィィィィブ!」
グォォォ!
ダンガイオーの右腕が突き出され、そこからシャロの拡大された念動力が放出され、ブラッディⅠを覆い始める。
ギル「な、なんだ……絞めつけられる……機体が動かん!」
ギャシュインッ! 念動力の波がブラッディⅠを捕縛した!
ギル「ぐおぉ! 動け! 動けぇ!」
どれだけもがいても、もはやブラッディⅠはぴくりとも動こうとはしない。
シャロ「ネロ! やっちゃって!」
ネロ「うん! 破邪の剣!」
ダンガイオーの両腕の間に一振りの剣が出現し、それをエリーがいる右手が掴む!
コーデリア「サイキック・斬でおしまいよ!」
バッ! ダンガイオーが宇宙で蹴り跳び、破邪の剣を両手で頭上に振りかぶる!
コーデリアの感覚で捉えた狙いはブラッディⅠだ!
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「サイキック・ざぁーんっ!!」
ズバァァッ!!
強固な宇宙海賊装甲のブラッディⅠが交錯したダンガイオーとミルキィホームズの後ろで一刀両断された!
ギル「馬鹿な……っ! この……この俺ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドガァァァァァァァァァンッ!! 大爆発を起こしたブラッディⅠがモニターの彼方へ飛んでいく。
ギル「み、ミルキィホームズ! 貴様らは俺が……っ!」
ギル・バーグの断末魔の叫びが次第に小さくなっていき、聞こえなくなった。
みゆき「敵機体は冥王星の重力に囚われたみたいですね」
かがみ「それなら、しばらくは追ってこれないわね」
こなた「そーの前にー、生ーきてるかどーうかも怪しーいねー」
つかさ「とりあえず、セカンドミッションまで完了だね」
こなた・かがみ・みゆき・つかさ「イェーイ!」
コーデリア「あのー、たしか、ブライガーさん……でしたっけ?」
親指を出すグーサインで画面を四分割していたブライガーの回線に割って入ったコーデリアにかがみが咳払いする。
かがみ「はい。正確には私たちはコズモレンジャー・J9。木星圏のアステロイドベルト付近を拠点に活動する宇宙の何でも屋といったところです。そして、この機体の名前がブライガーです」
コーデリア「そうでしたか、危ないところをありがとうございました。あなたたちが地球連邦からの救援でよろしいでしょうか?」
みゆき「はい。正しくは連邦政府からあなたたちの救出を依頼されてきたのです」
ネロ「とりあえず味方なんだよね!」
シャロ「よかったぁ~、これでご飯が食べられる~」
エリー「お風呂にも入れます~」
こなた「うんうん、とーりあえず諸くーんらをわーたしたちのアージトまで案なーいするからー、つーいてきたまーえ」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「はーいっ!」
こうして、地球を目指す少女たちが宇宙を揺るがせる戦いに加わろうとしていた。
アステロイドベルトに向かう途中のブライサンダーにて。
こなた「ねーねー、かがみかがみ」
かがみ「なによ、こなた?」
こなた「さっきのダンガイオーのサイキック・斬なんだけどね……何かに似てるなーって気になるんだよね」
かがみ「はぁ? いや、まあ……あんな大雑把な必殺技に似ているものなんてたくさんあると思うけど」
こなた「いや、なんか本当に一つのイメージにぴったりなんだよねー……こう、ダイナミーックって感じで」
かがみ「アンタ……もう答えが何か分かってて言ってるでしょ」
こなた「まっさかー、誰も蒸着なんて言ってないよー」
かがみ「分かってるじゃない!」
第十六話 蒸着! ギャバンダイナミック! 完
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コーデリア「ターサン博士?」
シャロ「そんなことよりここはどこなの!?」
エリー「そうよ! 朝食のパンとミルクはどこ!?」
ネロ「カリカリのベーコンと黄身が二つの目玉焼きは!?」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「めーし! めーし!」
ターサン「えぇい、うるさい奴らだのう!」
ギル「博士。このギル・バーグが黙らせましょうか?」
ターサン「いい。お前たち、飯を食わせてやるからこっちについてこい」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「やったー!」
四人はターサンとギルの後について研究所の中を歩いていく。
ターサン「おぬしたち、惑星ラテシアの者たちは『トイズ』と呼ばれる不思議な力があるそうだのう」
コーデリア「えぇ、その力を使って私たちミルキィホームズは怪盗帝国の様々な難事件を解決しているのよ」
シャロ「私は念動力!」
エリー「私は筋力強化!」
ネロ「ボクは電子制御!」
コーデリア「私は五感強化!」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「私たちミルキィホームズ!!」
ターサン「えぇい、うるさいと言っておろう! ポーズをとるな!」
ギル「博士……本当にこんなやつらが……」
ターサン「ふふん、トイズを使用するとき、強力なエネルギーソースが得られることは調査済み。こやつらは中でも指折りのトイズの持ち主じゃ」
ターサン「飯を食わせる前に、見せたいものがある」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「えぇ~!」
ネロ「ご飯は~!?」
エリー「お腹すきました~」
シャロ「ケーキ食べた~い」
コーデリア「除湿機ほし~い」
ターサン「えぇい! 口々に本当にうるさい奴らだのう!」
そして、四人が連れて行かれたのは、先ほどの部屋の十倍はありそうな大きな部屋だった。
シャロ「ここにご飯があるの?」
ターサン「だから飯は後だと言っとろう!」
ギル「貴様らが見るものはこれだ」
ライトアップされたのは、四機の戦闘機だった。
ターサン「これがワシの最高傑作、ダン・メカニックじゃ!」
シャロ「ださ~い」
ネロ「どうでもいい~」
エリー「ごはん~」
コーデリア「ケーキ~」
ターサン「こ、こやつらは~……!」
ギル「貴様ら、飯を食いたければ俺の言うことを聞け!」
ギル・バーグが一歩進み出て声を張った。
シャロ「絶対イヤです~!」
ネロ「パワハラだー!」
エリー「裁判ですー!」
コーデリア「賠償金よー!」
非難ゴウゴウの四人にギルは青筋を立てて怒鳴った。
ギル「貴様らに文句を言う権利はない! 大人しく言うことを聞け! さもなくばぶっ殺すぞ!」
ターサン「こ、これギル!」
ギル「博士、こういう奴らは一度きつく躾けるべきです」
ボキボキッ! ギルが指の骨を鳴らすのを見て、ミルキィホームズは叫んだ。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「キャ~ッ!」
シャロ「暴力よ~!」
ネロ「DVだよ~!」
エリー「変態よ~!」
コーデリア「ロリコンよ~!」
ギル「グダグダとうるさい! 黙らせてやる!」
ぶぅん! ギルの拳がうねりをあげた!
ギル(ここでこやつらを始末すれば再び俺が最強の戦士として立てるのだ!)
コーデリア「――ッ! エリー、左よ!」
エリー「はい!」
ギル「なに!?」
コーデリアの鋭い指示にギルの拳がエリーの小さなてのひらで止まってしまった。
シャロ「えぃっ!」
シャロのトイズでギルの大きな体が床から離れた。
ギル「う、うおぉっ!?」
どすん! ギルは情けなくしりもちをついた。
ギル「ぐっ……体がぁ……っ!」
ネロ「そりゃ!」
ネロが鉄のへらを近くのコンピュータに突き刺した。
ヴーッ! ヴーッ! 途端に研究所内に警報が鳴り響いた。
ターサン「な、なんじゃ!?」
さらに、戦闘機ダン・メカニックのコクピットハッチが開く。
ネロ「みんな! 戦闘機で逃げよう!」
シャロ・エリー・コーデリア「おーっ!!」
四人は軽やかな動きでダン・メカニックに乗り込み、あらかじめネロが開いておいたカタパルトから一斉に発進した。
ターサン「な、ななななななんとぉー!?」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「ばいば~い!」
ターサン博士の研究所から飛び出た四機のダン・メカニックは、小惑星郡の帯域を駆けていく。
シャロ「これからどうしましょうか~?」
ネロ「とりあえずラテシアに帰ろうよ。ボクお腹ぺこぺこだもん」
エリー「でも、ここからラテシアは相当遠いみたいですよ」
シャロ・ネロ「えぇ~っ!? 遠いってどれくらい?」
エリー「だいたい七ヶ月ぐらいかな」
シャロ・ネロ「げぇ~っ! 餓死しちゃうよ~!」
コーデリア「ここから一番近い惑星系列ですと、およそ二日で到着しますわ」
シャロ「追いつかれたらどうしよう?」
コーデリア「その太陽系には、第三惑星・地球を中心とした連邦組織があるみたいです。そちらに救援を要請しましょう」
ネロ「コーデリアあったまいい~!」
コーデリア「えへん」
シャロ「それじゃあ、地球に行きましょう!」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「お~っ!」
その頃、ターサン研究所では――
ターサン「あぁぁ~! ガリモス大船長様に捧げる最高傑作が飛んでいってしまったぁ~!」
ギル「博士、今すぐ奴らを追いかけましょう」
ターサン「馬鹿者! この研究所にはダン・メカニックに追いつけるマシンなどないわ!」
ギル「ならば、バンカーへ赴き、マシンを借り受けましょう」
ターサン「しかし、ガリモス大船長には、最高の兵器を用意するという名目で援助を受けておるのじゃ……」
ギル「ならば博士! 今こそこの俺を最高のサイボーグに仕立て上げ、バンカーに捧げればよろしい」
ターサン「むむむ……よし、わかった」
ギル(あのクソガキどもが……この礼は必ずしてやる!)
ターサン博士が去った後の暗い部屋でギル・バーグは笑いのこみ上げる喉を宇宙に向けた。
ギル「待っていろ……ミルキィホームズ……最強のサイボーグと化した俺が貴様らを叩き潰し、臓物を抉り出してやるわ……ククク……フハハハハハハハ!」
ミルキィホームズがターサン研究所から脱出して27時間後……
ガリモス大船長「すると、貴様はその逃げた裏切り者を捕らえるために、ワシに兵器を貸せと言うのか?」
ターサン「は、ははぁ~っ! まさしくその通りでございまして、ワタクシは恐縮の限りにございます~っ」
ガリモス「して、貴様がターサンの用意した最強のサイボーグか?」
ギル「はっ! ギル・バーグと申します。ガリモス大船長様」
ガリモス大船長「いいだろう。貴様に我がブラッディⅠを貸してやろう。必ずやそやつらをとっ捕まえて来い」
ギル「ははっ!」
ガリモス大船長「だが! わかっておるな、ギル・バーグ」
ギル「承知しております。宇宙海賊バンカーを前に、失敗と裏切りは、死をもって償うべしと」
ガリモス大船長「ならばゆけぃ! ギル・バーグ!」
ギル「ははぁっ! くくく……待っていろ、ミルキィホームズ!」
太陽系の端。
シャロ「あっ! あれが冥王星!?」
モニターに小さく映った歪な形の矮小惑星を指したシャロにエリーが頷いた。
エリー「そうです。地球連邦では、2009年から冥王星を系列惑星に入れるかどうかで議論しているみたい」
ネロ「これで太陽系に到着だね。もう簡易食料食べつくしちゃったよ」
コーデリア「通信では、天王星付近が合流ポイントですわ」
ネロ「ところでみんな、ちょっと聞いてほしいんだけど」
シャロ「なになに?」
エリー「ひょっとして、おいしいキノコでも見つけたんですか?」
コーデリア「それとも、ゼンマイとか?」
ネロ「食べ物じゃなくて、えっとね、このダン・メカニックを一日調べてたんだけど……」
シャロ「うんうん」
ネロ「どうやら、四機が変形して――」
ギュボォッ! ネロの言葉はビーム光で遮られた。
エリー「きゃあぁぁぁっ!」
ビームに一番近かったエリーが煽られて機体が傾く。
コーデリア「何が起きたの!?」
シャロ「う、後ろに何かいるよ!」
ダン・メカニックのレーダーが捉えていたのは、血を被ったように真っ赤なブラッディⅠだった。
ギル「クククク……追いついたぞ、ミルキィホームズの小娘ども!」
ネロ「この声、アイツだよ!」
エリー「ロリコンでDVで変態な上にストーカーですか!?」
シャロ「いや~っ!」
四人はいっぺんにスピードを上げてブラッディⅠから距離を取って逃げ始めた。
ギル「ククク……逃げられると思うなよ、喰らえぃ!」
ボシュッ! ボシュゥッ! ブラッディⅠからミサイルが発射される!
コーデリア「――ッ! シャロ、右! エリーは下! ネロはそのまままっすぐよ!」
五感強化のトイズで常識外の空間把握能力を持つコーデリアの指示で四人は最小限の動きでミサイルを避けきった。
ギル「ちぃ! ならば直接叩き込んでやるわ!」
ブラッディⅠが加速してエリーのダン・メカニックへ接近する。
ギル「ぶち殺してやる!」
エリー「いやぁーっ!」
ぐぉんっ! ブラッディⅠの巨大な腕がエリーに襲い掛かる!
「コズモワインダービーム!」
ズガァァッ! どこからかビームが飛んできて、ブラッディⅠの腕に直撃した!
ギル「なにぃ!? どこのどいつだ!」
ギルを撃ったのは、真紅の手足に鎧のような装甲を持つ巨大なロボットだった。
それをモニタ越しに視認したとき、宇宙空間に声が轟いた。
こなた「夜空の星が輝く陰で!」
かがみ「ワルの笑いがこだまする!」
つかさ「星から星に泣く人の!」
みゆき「涙背負って宇宙の始末!」
かがみ「銀河旋風ブライガー! お呼びとあらば即参上!」
こなた・つかさ・みゆき「イェーイ!」
ジェイナインジェイナイン ナサケームヨウ
アステーロイドーベルトノー
アウトーローモーフルエーダスー
コズモレンジャージェイナイン!
ギル「な、なんだこいつらはぁ!?」
こなた「悪党に名乗る名前などないわー!」
ギル「ぐぐぐ……! ふざけた奴らめが、ならば殺してやる!」
ブラッディⅠの腹部が開き、砲口が顔を出した。
ギル「プラズマキャノン砲だ! 死ねぇぇぇい!」
つかさ「こなちゃん! ブライソードだよ!」
こなた「イェーイ! ブライソードビーム!」
ズバババババ! ブライガーが装備した剣から発するビームでプラズマキャノンを相殺する。
ギル「おのれぃ! 死ね! 死ねぇ!」
ギュアァッ! ギュボォッ! プラズマキャノンが連続で発射される。
かがみ「うっ、この威力が連射されるのはさすがにツライわね」
ギル「このまま押し切ってやる……!」
シャロ「あわわ、あれじゃやられちゃうよ~」
エリー「あの人たちが地球連邦からの救援の人たちですよね?」
コーデリア「そうみたいだけど……」
ネロ「ねぇ、みんな! ボクの話を聞いて!」
シャロ「なぁに、ネロ?」
ネロ「さっきは話の途中になっちゃったけど、この戦闘機にはある秘密が隠されているんだ!」
エリー「秘密ですか!?」
ネロ「この戦闘機は四機が合体することで、戦闘ロボットになるんだ!」
シャロ・エリー・コーデリア「「「な、なんだってぇ~!?」」」
衝撃が走るチームメイトたちにネロがガッツポーズを作る。
ネロ「ボクたちが合体すれば、アイツを追っ払えるよ、きっと!」
シャロ「よ~し、やろうよ!」
エリー「はい!」
コーデリア「やりましょう!」
ネロ「うん! じゃあ、いくよ! 一斉に言うんだ!」
四人のコクピットに文字が浮かび上がる。合体コードだ。
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「「「「クロォォォォス・ファイトッ! ダン! ガイ! オー!!」」」」
その言葉に、四つのダン・メカニックが光りを放ち、宇宙空間に統制された動きで軌道を描き出した!
ギル「な、なんだっ!?」
驚愕に目を見張るギルの前で、四つのダン・メカニックは重なり合い、一つの白金のロボットとなる!
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「「「「ダンガイオー! 見参!」」」」
テテッテテッテテンテテーレテーレテーテテー テーテレッテーレテテテー
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスフォラァーブ!
アーツークアーツークアーツークタータカエー ダンガイオー!!
ヒトツノタマシイムスンダ ヨニンノセンシヨ モエツクセ
マゴコロサマヨウ プラネットー ホノオノイローォニー ソメテー
ナゾメイーター カナシミーヲー ヤキクダーケー ジュウモンジニー
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスユアドリーム!
マバタクヒカリノ ダンガイオー!!
クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
ジャストクロスフォラァーブ!
アーツークアーツークアーツークタータカエー ダンガイオー!!
ギル「だ、ダンガイオーだとォ!? ターサンめ、そんな話は聞いてないぞ!」
こなた「ほっほーぅ、あーちらさんもやるよーうだにぇー」
ギル「ぐぉぉ……おのれぇぇ! ブラッディⅠで踏み潰してやるわ!」
ブラッディⅠがプラズマキャノンを連射しながら、猛スピードでダンガイオーの許へ飛んでいく。
コーデリア「来るわよ、ネロ!」
ネロ「わかってるよ、コーデリア!」
ダンガイオーが軽快な動きでブラッディⅠの突撃をかわす。
ターサン博士が開発したダンガイオーの秘密とは、パイロットのトイズをシンクロさせることである。
つまり、コーデリアの研ぎ澄まされた五感がそっくりそのままコントロール役のネロにも流れ込んでくるのだ。
ネロ「いくよぉ、エリー!」
エリー「ちょ、ちょっとまって……」
ネロ「ブーストナックル!」
ドシュゥッ! ダンガイオーの右腕が射出される!
エリー「きゃぁーっ! 勝手に飛ばさないでぇ!」
右腕にはエリーが乗っているのである。
そのエリーのパワーがダンガイオーの人造筋肉とも重なり、強力なパンチがブラッディⅠを揺らした。
ギル「ぐおぉぉ! おのれぇ……小娘どもがぁ!」
こなた「わーたしたちを忘れーてもらっちゃーぁ、困るーよー」
みゆき「ブライスピアー!」
こなた「イェーイ!」
ズシャァ! ブライガーの巨大な三つ又槍がブラッディⅠの左脚を貫いた!
ギル「しまった! バランスが取れん!」
ネロ「サンキュー! シャロ! キミの出番だよ!」
シャロ「うん! サイキック・ウェィィィィィィィィブ!」
グォォォ!
ダンガイオーの右腕が突き出され、そこからシャロの拡大された念動力が放出され、ブラッディⅠを覆い始める。
ギル「な、なんだ……絞めつけられる……機体が動かん!」
ギャシュインッ! 念動力の波がブラッディⅠを捕縛した!
ギル「ぐおぉ! 動け! 動けぇ!」
どれだけもがいても、もはやブラッディⅠはぴくりとも動こうとはしない。
シャロ「ネロ! やっちゃって!」
ネロ「うん! 破邪の剣!」
ダンガイオーの両腕の間に一振りの剣が出現し、それをエリーがいる右手が掴む!
コーデリア「サイキック・斬でおしまいよ!」
バッ! ダンガイオーが宇宙で蹴り跳び、破邪の剣を両手で頭上に振りかぶる!
コーデリアの感覚で捉えた狙いはブラッディⅠだ!
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「サイキック・ざぁーんっ!!」
ズバァァッ!!
強固な宇宙海賊装甲のブラッディⅠが交錯したダンガイオーとミルキィホームズの後ろで一刀両断された!
ギル「馬鹿な……っ! この……この俺ぐぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドガァァァァァァァァァンッ!! 大爆発を起こしたブラッディⅠがモニターの彼方へ飛んでいく。
ギル「み、ミルキィホームズ! 貴様らは俺が……っ!」
ギル・バーグの断末魔の叫びが次第に小さくなっていき、聞こえなくなった。
みゆき「敵機体は冥王星の重力に囚われたみたいですね」
かがみ「それなら、しばらくは追ってこれないわね」
こなた「そーの前にー、生ーきてるかどーうかも怪しーいねー」
つかさ「とりあえず、セカンドミッションまで完了だね」
こなた・かがみ・みゆき・つかさ「イェーイ!」
コーデリア「あのー、たしか、ブライガーさん……でしたっけ?」
親指を出すグーサインで画面を四分割していたブライガーの回線に割って入ったコーデリアにかがみが咳払いする。
かがみ「はい。正確には私たちはコズモレンジャー・J9。木星圏のアステロイドベルト付近を拠点に活動する宇宙の何でも屋といったところです。そして、この機体の名前がブライガーです」
コーデリア「そうでしたか、危ないところをありがとうございました。あなたたちが地球連邦からの救援でよろしいでしょうか?」
みゆき「はい。正しくは連邦政府からあなたたちの救出を依頼されてきたのです」
ネロ「とりあえず味方なんだよね!」
シャロ「よかったぁ~、これでご飯が食べられる~」
エリー「お風呂にも入れます~」
こなた「うんうん、とーりあえず諸くーんらをわーたしたちのアージトまで案なーいするからー、つーいてきたまーえ」
シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「はーいっ!」
こうして、地球を目指す少女たちが宇宙を揺るがせる戦いに加わろうとしていた。
アステロイドベルトに向かう途中のブライサンダーにて。
こなた「ねーねー、かがみかがみ」
かがみ「なによ、こなた?」
こなた「さっきのダンガイオーのサイキック・斬なんだけどね……何かに似てるなーって気になるんだよね」
かがみ「はぁ? いや、まあ……あんな大雑把な必殺技に似ているものなんてたくさんあると思うけど」
こなた「いや、なんか本当に一つのイメージにぴったりなんだよねー……こう、ダイナミーックって感じで」
かがみ「アンタ……もう答えが何か分かってて言ってるでしょ」
こなた「まっさかー、誰も蒸着なんて言ってないよー」
かがみ「分かってるじゃない!」
第十六話 蒸着! ギャバンダイナミック! 完

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