2011年06月30日 19:13
唯「まじーん、ごー!」
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/20(日) 18:19:51.69 ID:LXOChzrJ0
とうとう推敲再投下が終わりました。
包み隠さずに申しますと、ジャブロー防衛戦になる第十九話はようやく戦闘が始まったばかりです。
十幾つもの参戦作品に加えて、いろいろと出し惜しみしたくなかった部分があったので、設定を整えるのに尋常ではない時間を費やしてしまいました。
その間にまたいろいろと始めました。
ssスレッドをwikiでまとめようプロジェクトに参加しました。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E5%94%AF%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%98%E3%83%BC%E3%82%93%E3%80%81%E3%81%94%E3%83%BC%EF%BC%81%E3%80%8D
深夜十時ぐらいからこちらをやっております。自己脳内設定では、このSSの平行世界だったりしないでもない。そんなこと言い始めたら全てのSSは平行世界だけど。
美琴「最近、黒子で遊んでないから安価する」黒子「えっ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299676840/
黒子かわいいよ黒子
それとは別の創作も一段落着いたので、四月までにはジャブロー編を投下できるように頑張りたいです。
十話以降の順番が入れ替わっていたりと、地味に変わっていたりしますが、だいたいは設定の矛盾みたいなものを直したぐらいです。
ぶっちゃけ読んでいなくてもそれほど問題はありませんwwドルチェノフが昇降格してますが、些細な問題です。
ちなみに今の段階で一番の矛盾点はMAとゲシュはムーバブルフレームなのにガンダムは(ryですが、それらはジャブロー編前半で無理やり説明付けます。
XOでは放置してたけどね!
あと、何回か書いたと思いますが、なのはたちは九歳ではなく十一歳という設定にしています。それでも無茶って言えば無茶なんだけどね……
他にも、魔女が出る作品をスポット参戦させる予定です。
←ブログ発展のため1クリックお願いします
744 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/20(日) 18:19:51.69 ID:LXOChzrJ0
とうとう推敲再投下が終わりました。
包み隠さずに申しますと、ジャブロー防衛戦になる第十九話はようやく戦闘が始まったばかりです。
十幾つもの参戦作品に加えて、いろいろと出し惜しみしたくなかった部分があったので、設定を整えるのに尋常ではない時間を費やしてしまいました。
その間にまたいろいろと始めました。
ssスレッドをwikiでまとめようプロジェクトに参加しました。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E5%94%AF%E3%80%8C%E3%81%BE%E3%81%98%E3%83%BC%E3%82%93%E3%80%81%E3%81%94%E3%83%BC%EF%BC%81%E3%80%8D
深夜十時ぐらいからこちらをやっております。自己脳内設定では、このSSの平行世界だったりしないでもない。そんなこと言い始めたら全てのSSは平行世界だけど。
美琴「最近、黒子で遊んでないから安価する」黒子「えっ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299676840/
黒子かわいいよ黒子
それとは別の創作も一段落着いたので、四月までにはジャブロー編を投下できるように頑張りたいです。
十話以降の順番が入れ替わっていたりと、地味に変わっていたりしますが、だいたいは設定の矛盾みたいなものを直したぐらいです。
ぶっちゃけ読んでいなくてもそれほど問題はありませんwwドルチェノフが昇降格してますが、些細な問題です。
ちなみに今の段階で一番の矛盾点はMAとゲシュはムーバブルフレームなのにガンダムは(ryですが、それらはジャブロー編前半で無理やり説明付けます。
XOでは放置してたけどね!
あと、何回か書いたと思いますが、なのはたちは九歳ではなく十一歳という設定にしています。それでも無茶って言えば無茶なんだけどね……
他にも、魔女が出る作品をスポット参戦させる予定です。

第十八話
半壊したミーアを治療するために、ガルーダはめったに来ない調整室に入る。
そこで彼は、恐るべき秘密を知ってしまった――
ガルーダ「こ、これは……いったいどういうことだ!?」
その部屋は、巨大なシリンダーがいくつも並んだ部屋だった。
内部は既にその機能のほとんどを停止してしまっているらしい。
だが、ガルーダはそのシリンダーを一つずつ見ていって、驚愕に目を見開いた。
ガルーダ「お、俺はいったいどこに来たというのだ!? 俺の姿をしたロボットが……こんなに……」
そう、シリンダーの中にはガルーダと全く同じ形をしたロボットが浮いていたのだ。
一つだけではない。
次も、次も、次も、次も……どれを見ても、全てのシリンダーには大将軍ガルーダが生のない姿で浮かんでいた。
ガルーダ「ここはいったいなんだ……なんなのだ!」
一番奥にあったコンピュータを起動させた。
すると、とあるメモリが強制再生される。
『ガルーダ1号、記憶回路に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「なん、だと……」
『ガルーダ2号、人格造形に歪みあり。失敗、廃棄。ガルーダ3号、感情回路に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「ま……さか……そんな……そんなことが……う、うそだ……うそだ……」
感情のない音声が無情理にただ、記録だけを重ねていく。
『ガルーダ4号、人工筋肉に異常。失敗、廃棄。ガルーダ5号、自走機能に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「や、やめろ……やめろ! やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/20(日) 17:55:45.35 ID:LXOChzrJ0
『ガルーダ6号、右腕部の神経伝達に異常。失敗、廃棄。ガルーダ7号、消化機能に異常。失敗、廃棄』
叫んでも、声はやまなかった。
ガルーダは拳を振り上げ、己が身体の勇敢な腕でコンピュータを破壊し、嗚咽した。
ガルーダ「おぉ……おぉぉ……あんまりだ……あんまりだ母上……私まで……私まで母上の作ったロボットだったというのですか!?」
全ては仕組まれていたこと。
治療と称して行われるガルーダの手術。
その後の電撃浴。全てはオレアナが一からプログラムした人格――
ガルーダ「感情を与えられ、自分をキャンベル星人だと思い込んでいた滑稽な機械人形……それがこの俺……大将軍ガルーダだったというのか……」
それでは、自分が今までしてきたことは何だったのか?
キャンベル星人の将軍として、我が物顔に振る舞い、弱者を虐げ、アンドロイドを――ミーアを傷つけていた自分が――
ガルーダ「フ……フフ……フハハハハハ……ミーアよ、笑ってくれ……私はお前と同じロボット……母上の操り人形だったのだ……ハハハハ……ハハハハ……」
むせび泣くこの涙も、全ては作り物――ガルーダが感情を荒げるたびにオレアナはそれを肴に楽しんでいたのだ。
ガルーダ「クククク……許さん……許さんぞ、オレアナ! よくもこの俺をたばかってくれたな!」
超電磁研究所
久しぶりの快晴で屋外にパラソルを置いてティータイムを満喫していた真紅たちのところへ二つのチカチカと光りがやってきた。
真紅「おかえりなさい、ホーリエ、レンピカ。キャンベル星人の基地は見つかったのね?」
肯定するように光りが強く明滅する。
真紅「そう、海底に……わかったわ、ご苦労さま」
律「キャンベル星人の基地が見つかったのか!?」
蒼星石「はい、南太平洋のソロモン諸島のあたりです」
紬「ソロモン諸島といえば、以前のコロニー落としの影響で連邦の管理外地域に指定されたところですね」
翠星石「隠れて基地を建設するにはもってこいの場所って訳ですかぁ」
唯「それなら早速行こうよ! 最近はドクター・ヘルの機械獣も来なくなってるし」
梓「でも、ひょっとしたらキャンベル星人を追って日本を離れたときを狙っているかもしれませんよ」
澪「そうだな、今はゲッターロボもライディーンもオデッサに行ってしまっているから、日本の守りが手薄になってしまっている」
紬「明日にはダンバインとガンダムが、明後日にはホワイトベースが日本に戻ってくるから、それを待ってからでも遅くはないと思うわ」
律「でもよぉ、こっちがうだうだしてる間にまた奴らが攻めてくるかもしれねーんだぜ」
翠星石「そうですぅ! 先手必勝で奴らのそっ首切り落としてやるですぅ!」
そこにコン・バトラーの修理を終えた桜田博士がやってきた。
JUM「連邦基地に空輸船の派遣を申請したよ。今日中には届くはずだ」
紬「桜田博士!?」
JUM「ひとまず、コン・バトラーVを先に送り出して、ホワイトベースが戻ってからあらためて増援を送ればいいだろう」
翠星石「さっすがチビ人間ですぅ! チビなりに役に立つですぅ!」
JUM「チビは余計だ」
南太平洋 上空
空輸艇の窓から見下ろす海原には、火山島があった。
真紅「あそこが敵のアジトのようね」
蒼星石「海底の地形や隆起から考えても、あそこに火山島があるのは不自然だ。たぶん、人工の島だろう」
翠星石「なんでもいいですぅ! さっさと行くですよぅ!」
真紅「まあ、待ちなさい、翠星石」
翠星石「ぐぇ。襟を引っ張るなですぅ、真紅!」
真紅「もう午後の紅茶の時間よ。まずは落ち着いて、鋭気を養うことが大切よ」
翠星石「うぅぅ、こんな時まで真紅はー!」
雛苺「しんくはー!」
真紅「イギリスでは紅茶の栽培が困難になるという理由から核戦争の無益さを説いたとも言われているわ。人は皆、自分たちの生活の習慣や日常の文化を守るために戦うのだわ。私たちもそうあるべきでしょう」
蒼星石「真紅は……今はアリスゲームのことはどう思っているんだい?」
真紅「今はアリスゲームをするべき時ではない――そう思っているわ。蒼星石、あなたが再び動いているのが、その証しだもの」
金糸雀「真紅……」
蒼星石「そうかも、しれないね……」
真紅「さぁ、温かい紅茶をいただいて、キャンベル星人のアジトへ乗り込むわよ」
「「「「おーっ! ですぅ! なのー! かしらー!」」」」
デレッテレッテーテテテデレテレッテッテテー
ブイブイブイ ビクトリー
コーンバイーン ワンツースリー フォーファーイブ シュツゲキダー
ダイチヲユルガスチョーデンジロボ
セイギノセンシダコーンバトラーブイー ブイ ブイ ブイ
海底城 内部
オレアナ「コン・バトラーVが攻めてきただと! えぇい、ガルーダめ、後をつけられたか!」
拡声器の音量を目一杯にするのと同時に、城が大きく揺れた。
オレアナ「くっ! マグマ獣をありったけ出せ! くくく、この城に来たが最後、コン・バトラーVを返り討ちにしてくれるわ!」
ガルーダ「その必要はない、オレアナ」
暗闇からの声に、オレアナは一瞬、我を失った。
聞き慣れた声から聞き慣れぬ言葉が発せられたのだ。
オレアナ「おぉ、ガルーダ、どうしましたか、早くコン・バトラーVを迎え撃つのです!」
ガルーダ「黙れ! オレアナ、覚悟!!」
ビッグガルーダを呼び出し、ガルーダはウィングソードで切りかかった!
ズシャァッ! ウィングソードの刃が真っ直ぐにオレアナの肩に突き刺さる!
オレアナ「うぐっ! が、ガルーダ、何をするのです……! 私はお前の母なのですよ……」
ガルーダ「うるさいっ!! もはや騙されはせん!」
オレアナ「ガルーダ、血迷ったか!?」
ガルーダ「ロボットでも、血迷うことがあるのかな、オレアナ!」
オレアナ「な、なにを馬鹿なことを……!?」
翠星石「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいですぅぅぅ!!」
ドガァンッ!
ガルーダとオレアナがじりじりと距離を取る玉座にけたたましい音をたてて、コン・バトラーVが突入してきた。
オレアナ「こ、コン・バトラーV!?」
ガルーダ「ふっ……さすがはコン・バトラー……もう来たか」
翠星石「やいやいやいやいですぅ! キャンベル星人のべらぼうどもめ! いざ尋常に勝負ですよぅ!」
真紅「待ちなさい、翠星石。様子が変よ」
翠星石「ほえ?」
蒼星石「もしかして……仲間割れ?」
オレアナ「が、ガルーダ……今ならまだ許して差し上げます! コン・バトラーVを倒しなさい!」
ガルーダ「黙れ、ペテン師め!!」
ズシャァッ! 大きく振りかぶった剣でオレアナを切り裂く!
オレアナ「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」
ガルーダ「俺は貴様を倒す! そして、ミーアを失った悲しみと俺を含めたこの世界の全てのロボットの誇りを賭けて、コン・バトラーVと戦う!!」
翠星石「あ、アイツ、ロボットだったですか!?」
オレアナ「愚かなガルーダ!! それが産みの親に対する仕打ちか!?」
ガルーダ「その愚か者の剣で貴様は死ぬのだ、オレアナ!!」
ビッグガルーダが両手に持った剣を頭上に構えると、オレアナは初めて狼狽を声に出した。
オレアナ「ま、待ちなさい、ガルーダ! 頼む、待ってくれ!!」
ガルーダ<魂>「それが貴様の本性か!? 機械の俺にも劣る醜い魂を抱いて地獄に堕ちろ、オレアナァァァァァァァァ!!」
ズギャァァァァァッ!! 真一文字に振り下ろされたウィングソードがオレアナを唐竹割りにした!!
オレアナ「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドゴォォォォォォォォォン!! 渾身の斬撃で真っ二つになったオレアナは爆散する。
ガルーダ「仇は取ったぞ……ミーア……俺がもっと早く、自分がロボットだと知っていれば、そなたの愛に報いたであろうに……」
翠星石「ガルーダ……おめぇ……」
呆然と佇んでいたコン・バトラーVにビッグガルーダが振り返った。
ガルーダ「コン・バトラーVよ、オレアナは死んだ!」
威風堂々とした声だった。敵でなければ非常に頼もしく思えただろう。
翠星石「ガルーダ……本当におめぇと戦わなくちゃならねぇですか……?」
ガルーダ「俺は俺自身を弄んだオレアナを俺自身の意志で倒した」
翠星石「そうですよぅ、ガルーダはもう操り人形じゃないですぅ!」
ガルーダ「なればこそ! キャンベル星人の将軍である余は、正々堂々と貴様達と戦うぞ! コン・バトラーV!!」
ビッグガルーダはウィングソードを腰だめに構えて、コン・バトラーVに突進してきた!
翠星石「ガルーダ!? 馬鹿野郎ですぅ!」
真紅「ビッグブラストなのだわ!」
コン・バトラーVは腰を落とし、みぞおち部位に格納された大型ミサイルを発射した。
ガルーダ「ぬおぉ!」
ドォォォォォン! 強力な爆撃を受けて、ビッグガルーダの猛進は止められる。
ガルーダ「くくく……言い忘れたがコン・バトラーV」
翠星石「な、何ですぅ、ガルーダ?」
ガルーダ「この基地の管制システムは全てメインコンピュータでもあるオレアナが支配していた。自爆システムもな!」
翠星石「な、なんですってぇ!?」
蒼星石「それじゃあ、まさか!」
言うやいなや、大きな地震が玉座に起こった。
金糸雀「ひぇぇぇっ!」
雛苺「やーっ!」
ガルーダ「あと十分でこの島は海底に沈む! 貴様達をここに足止めにすれば、余の勝ちということだ!!」
翠星石「馬鹿を言うなですぅ! 死んじまったら元も子もねぇですぅ!」
ガルーダ「貴様達を生かしておいては、我らキャンベル星人の地球侵略の大きな仇となる! 余の命と引き換えに、将来の禍根を絶つ!!」
ドガァッ! 地震でバランスを崩していたコン・バトラーVにビッグガルーダが体当たりをして倒した。
翠星石「痛ぇですぅ!」
蒼星石「君はキャンベル星人に騙されていたのに……それでも戦うというの!?」
ガルーダ「余には記憶がある。キャンベル星人の大将軍ガルーダとして戦っていた記憶が!」
ツインランサーを出したコン・バトラーVにウィングソードで切りかかりながら、ガルーダは声を張る。
ガルーダ「余の身体は作られた機械なれど、魂と記憶は実在のキャンベル星人の者! 高潔な武人の誇りは、我が母星キャンベルの為にある!!」
ガキンッ! 鋭い太刀筋にコン・バトラーVの急造の装甲が剥がされていく。
ガルーダ「これで終わりだ! コン・バトラァァァァァァァァァァァァァ!!」
翠星石<ド根性>「こうなったら一か八かですぅ! 超電磁タツマキィ!!」
早口で唱えられた呪文で、コン・バトラーVの二つの電極から電磁の嵐が飛び、腕ではなく直接ビッグガルーダに当たった!
ガルーダ「しまった! そんなに早く出せるのか!」
翠星石「ガルーダ! 今ならまだ間に合うですぅ! 翠星石たちと一緒に脱出するですよぅ!!」
ガルーダ「言ったはずだ! 余は誇り高きキャンベル星人の将軍ガルーダなるぞ! なんじょうそなたら下賎な地球人と手を取り合おうか!!」
ギギギギ……! 超電磁タツマキに捕らわれながら、ガルーダはビッグガルーダの駆動をフルパワーにさせ、右腕を動かし始めた。
真紅「翠星石……もう……!」
翠星石「わかっているですよぅ! 真紅のあほーっ!」
大きな声で翠星石は無念を叫び、超電磁ギムレットを出現させた。
僅かに浮上したコン・バトラーVはギムレットを軸に高速で回転し始める。
ガルーダ「さらばだ、コン・バトラーV! 貴様達と戦えた事を誇りに想う!!」
そして、空高く飛び上がったコン・バトラーVは回転しながら一直線にビッグガルーダに落下していった!
翠星石<熱血必中>「超電磁・スピィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!」
ズギャァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
ガルーダ「ぐっ……がはっ! くくく……真だ……余の身体は……機械だ」
超電磁スピンがコクピットの下部を掠めていったらしい。
ガルーダは失った下半身を見て、自嘲気味に笑った。
漏電する人造筋肉とバランサー、滴り落ちる皮下循環剤――全て愛するものと同じものだ。
翠星石「ガルーダ!」
停止したコン・バトラーVから降りて翠星石は横たわるビッグガルーダへ登ってきた。
ガルーダ「貴様は……コン・バトラーの……翠星石と言ったか……」
腰から上だけだというのに、視界は全く霞むことなくクリアだ。
皮下循環剤が流れ尽きたとき、最も容量の多いデータ――記憶素子から消去され、修復を求めて最後の最後まで最優先事項へと動力を供給する。
それも出来なくなったとき、最優先事項の生命維持装置が活動を停止する。
つまり、死ぬということだ。
ガルーダ「余は……貴様達と同じ人形であった……全てはプログラムされた人格……この苦しみも誇りも用意されたものに過ぎなかったのだ……」
翠星石「……スィドリーム…………」
胸の前で器を作った翠星石の手から、小さな光りが宙に飛んだ。
ガルーダ「何をしている……翠星石……早く脱出せねば、貴様達も……」
翠星石「ガルーダ……今の翠星石にしてやれることは、これくらいしかねぇですぅ……」
ガルーダ「な、なんだ……いったいこれは……?」
視界を囲うアラートフレームを排除するガルーダの目の前が淡い色の渦を巻いていく。
翠星石「夢の扉ですぅ……」
ガルーダ「ゆ、夢の……?」
幻想を見ている気分――夢心地のガルーダに甘やかな声が聞こえてくる。
翠星石「夢は、記憶の整理と言われるですけど、そんなの愚かな人間が決めつけた世迷言ですぅ。夢は世界樹を伝っていのちの意識を繋ぐ心の橋ですぅ」
ガルーダ「お、おぉぉ……ミーア……ミーアが……」
翠星石「いのちのない、心がない機械が夢を見るはずはないですぅ。ガルーダ……」
ガルーダ「…………」
確かにそこに存在しているガルーダにしか見えない夢の扉に伸びていた手が、静かに落ちていった。
翠星石「ガルーダ……」
ズズゥン……! 沈黙した身体に瞑目していると、また大きな地震が翠星石を揺らした。
真紅「翠星石、早く戻ってきなさい!」
蒼星石「脱出するよ!」
翠星石「わかってるですぅ、今行くですよぅ!」
ドレスの裾を翻し、翠星石はビッグガルーダから飛び降りた。
すぐさまコンバトラーVに乗り込み、崩壊するキャンベル星人基地から脱出する。
翠星石「あばよですぅ、ガルーダ……」
第十八話 高潔! 大将軍ガルーダの悲劇! 完
←ブログ発展のため1クリックお願いします
半壊したミーアを治療するために、ガルーダはめったに来ない調整室に入る。
そこで彼は、恐るべき秘密を知ってしまった――
ガルーダ「こ、これは……いったいどういうことだ!?」
その部屋は、巨大なシリンダーがいくつも並んだ部屋だった。
内部は既にその機能のほとんどを停止してしまっているらしい。
だが、ガルーダはそのシリンダーを一つずつ見ていって、驚愕に目を見開いた。
ガルーダ「お、俺はいったいどこに来たというのだ!? 俺の姿をしたロボットが……こんなに……」
そう、シリンダーの中にはガルーダと全く同じ形をしたロボットが浮いていたのだ。
一つだけではない。
次も、次も、次も、次も……どれを見ても、全てのシリンダーには大将軍ガルーダが生のない姿で浮かんでいた。
ガルーダ「ここはいったいなんだ……なんなのだ!」
一番奥にあったコンピュータを起動させた。
すると、とあるメモリが強制再生される。
『ガルーダ1号、記憶回路に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「なん、だと……」
『ガルーダ2号、人格造形に歪みあり。失敗、廃棄。ガルーダ3号、感情回路に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「ま……さか……そんな……そんなことが……う、うそだ……うそだ……」
感情のない音声が無情理にただ、記録だけを重ねていく。
『ガルーダ4号、人工筋肉に異常。失敗、廃棄。ガルーダ5号、自走機能に異常。失敗、廃棄』
ガルーダ「や、やめろ……やめろ! やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga ]:2011/03/20(日) 17:55:45.35 ID:LXOChzrJ0
『ガルーダ6号、右腕部の神経伝達に異常。失敗、廃棄。ガルーダ7号、消化機能に異常。失敗、廃棄』
叫んでも、声はやまなかった。
ガルーダは拳を振り上げ、己が身体の勇敢な腕でコンピュータを破壊し、嗚咽した。
ガルーダ「おぉ……おぉぉ……あんまりだ……あんまりだ母上……私まで……私まで母上の作ったロボットだったというのですか!?」
全ては仕組まれていたこと。
治療と称して行われるガルーダの手術。
その後の電撃浴。全てはオレアナが一からプログラムした人格――
ガルーダ「感情を与えられ、自分をキャンベル星人だと思い込んでいた滑稽な機械人形……それがこの俺……大将軍ガルーダだったというのか……」
それでは、自分が今までしてきたことは何だったのか?
キャンベル星人の将軍として、我が物顔に振る舞い、弱者を虐げ、アンドロイドを――ミーアを傷つけていた自分が――
ガルーダ「フ……フフ……フハハハハハ……ミーアよ、笑ってくれ……私はお前と同じロボット……母上の操り人形だったのだ……ハハハハ……ハハハハ……」
むせび泣くこの涙も、全ては作り物――ガルーダが感情を荒げるたびにオレアナはそれを肴に楽しんでいたのだ。
ガルーダ「クククク……許さん……許さんぞ、オレアナ! よくもこの俺をたばかってくれたな!」
超電磁研究所
久しぶりの快晴で屋外にパラソルを置いてティータイムを満喫していた真紅たちのところへ二つのチカチカと光りがやってきた。
真紅「おかえりなさい、ホーリエ、レンピカ。キャンベル星人の基地は見つかったのね?」
肯定するように光りが強く明滅する。
真紅「そう、海底に……わかったわ、ご苦労さま」
律「キャンベル星人の基地が見つかったのか!?」
蒼星石「はい、南太平洋のソロモン諸島のあたりです」
紬「ソロモン諸島といえば、以前のコロニー落としの影響で連邦の管理外地域に指定されたところですね」
翠星石「隠れて基地を建設するにはもってこいの場所って訳ですかぁ」
唯「それなら早速行こうよ! 最近はドクター・ヘルの機械獣も来なくなってるし」
梓「でも、ひょっとしたらキャンベル星人を追って日本を離れたときを狙っているかもしれませんよ」
澪「そうだな、今はゲッターロボもライディーンもオデッサに行ってしまっているから、日本の守りが手薄になってしまっている」
紬「明日にはダンバインとガンダムが、明後日にはホワイトベースが日本に戻ってくるから、それを待ってからでも遅くはないと思うわ」
律「でもよぉ、こっちがうだうだしてる間にまた奴らが攻めてくるかもしれねーんだぜ」
翠星石「そうですぅ! 先手必勝で奴らのそっ首切り落としてやるですぅ!」
そこにコン・バトラーの修理を終えた桜田博士がやってきた。
JUM「連邦基地に空輸船の派遣を申請したよ。今日中には届くはずだ」
紬「桜田博士!?」
JUM「ひとまず、コン・バトラーVを先に送り出して、ホワイトベースが戻ってからあらためて増援を送ればいいだろう」
翠星石「さっすがチビ人間ですぅ! チビなりに役に立つですぅ!」
JUM「チビは余計だ」
南太平洋 上空
空輸艇の窓から見下ろす海原には、火山島があった。
真紅「あそこが敵のアジトのようね」
蒼星石「海底の地形や隆起から考えても、あそこに火山島があるのは不自然だ。たぶん、人工の島だろう」
翠星石「なんでもいいですぅ! さっさと行くですよぅ!」
真紅「まあ、待ちなさい、翠星石」
翠星石「ぐぇ。襟を引っ張るなですぅ、真紅!」
真紅「もう午後の紅茶の時間よ。まずは落ち着いて、鋭気を養うことが大切よ」
翠星石「うぅぅ、こんな時まで真紅はー!」
雛苺「しんくはー!」
真紅「イギリスでは紅茶の栽培が困難になるという理由から核戦争の無益さを説いたとも言われているわ。人は皆、自分たちの生活の習慣や日常の文化を守るために戦うのだわ。私たちもそうあるべきでしょう」
蒼星石「真紅は……今はアリスゲームのことはどう思っているんだい?」
真紅「今はアリスゲームをするべき時ではない――そう思っているわ。蒼星石、あなたが再び動いているのが、その証しだもの」
金糸雀「真紅……」
蒼星石「そうかも、しれないね……」
真紅「さぁ、温かい紅茶をいただいて、キャンベル星人のアジトへ乗り込むわよ」
「「「「おーっ! ですぅ! なのー! かしらー!」」」」
デレッテレッテーテテテデレテレッテッテテー
ブイブイブイ ビクトリー
コーンバイーン ワンツースリー フォーファーイブ シュツゲキダー
ダイチヲユルガスチョーデンジロボ
セイギノセンシダコーンバトラーブイー ブイ ブイ ブイ
海底城 内部
オレアナ「コン・バトラーVが攻めてきただと! えぇい、ガルーダめ、後をつけられたか!」
拡声器の音量を目一杯にするのと同時に、城が大きく揺れた。
オレアナ「くっ! マグマ獣をありったけ出せ! くくく、この城に来たが最後、コン・バトラーVを返り討ちにしてくれるわ!」
ガルーダ「その必要はない、オレアナ」
暗闇からの声に、オレアナは一瞬、我を失った。
聞き慣れた声から聞き慣れぬ言葉が発せられたのだ。
オレアナ「おぉ、ガルーダ、どうしましたか、早くコン・バトラーVを迎え撃つのです!」
ガルーダ「黙れ! オレアナ、覚悟!!」
ビッグガルーダを呼び出し、ガルーダはウィングソードで切りかかった!
ズシャァッ! ウィングソードの刃が真っ直ぐにオレアナの肩に突き刺さる!
オレアナ「うぐっ! が、ガルーダ、何をするのです……! 私はお前の母なのですよ……」
ガルーダ「うるさいっ!! もはや騙されはせん!」
オレアナ「ガルーダ、血迷ったか!?」
ガルーダ「ロボットでも、血迷うことがあるのかな、オレアナ!」
オレアナ「な、なにを馬鹿なことを……!?」
翠星石「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいですぅぅぅ!!」
ドガァンッ!
ガルーダとオレアナがじりじりと距離を取る玉座にけたたましい音をたてて、コン・バトラーVが突入してきた。
オレアナ「こ、コン・バトラーV!?」
ガルーダ「ふっ……さすがはコン・バトラー……もう来たか」
翠星石「やいやいやいやいですぅ! キャンベル星人のべらぼうどもめ! いざ尋常に勝負ですよぅ!」
真紅「待ちなさい、翠星石。様子が変よ」
翠星石「ほえ?」
蒼星石「もしかして……仲間割れ?」
オレアナ「が、ガルーダ……今ならまだ許して差し上げます! コン・バトラーVを倒しなさい!」
ガルーダ「黙れ、ペテン師め!!」
ズシャァッ! 大きく振りかぶった剣でオレアナを切り裂く!
オレアナ「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」
ガルーダ「俺は貴様を倒す! そして、ミーアを失った悲しみと俺を含めたこの世界の全てのロボットの誇りを賭けて、コン・バトラーVと戦う!!」
翠星石「あ、アイツ、ロボットだったですか!?」
オレアナ「愚かなガルーダ!! それが産みの親に対する仕打ちか!?」
ガルーダ「その愚か者の剣で貴様は死ぬのだ、オレアナ!!」
ビッグガルーダが両手に持った剣を頭上に構えると、オレアナは初めて狼狽を声に出した。
オレアナ「ま、待ちなさい、ガルーダ! 頼む、待ってくれ!!」
ガルーダ<魂>「それが貴様の本性か!? 機械の俺にも劣る醜い魂を抱いて地獄に堕ちろ、オレアナァァァァァァァァ!!」
ズギャァァァァァッ!! 真一文字に振り下ろされたウィングソードがオレアナを唐竹割りにした!!
オレアナ「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドゴォォォォォォォォォン!! 渾身の斬撃で真っ二つになったオレアナは爆散する。
ガルーダ「仇は取ったぞ……ミーア……俺がもっと早く、自分がロボットだと知っていれば、そなたの愛に報いたであろうに……」
翠星石「ガルーダ……おめぇ……」
呆然と佇んでいたコン・バトラーVにビッグガルーダが振り返った。
ガルーダ「コン・バトラーVよ、オレアナは死んだ!」
威風堂々とした声だった。敵でなければ非常に頼もしく思えただろう。
翠星石「ガルーダ……本当におめぇと戦わなくちゃならねぇですか……?」
ガルーダ「俺は俺自身を弄んだオレアナを俺自身の意志で倒した」
翠星石「そうですよぅ、ガルーダはもう操り人形じゃないですぅ!」
ガルーダ「なればこそ! キャンベル星人の将軍である余は、正々堂々と貴様達と戦うぞ! コン・バトラーV!!」
ビッグガルーダはウィングソードを腰だめに構えて、コン・バトラーVに突進してきた!
翠星石「ガルーダ!? 馬鹿野郎ですぅ!」
真紅「ビッグブラストなのだわ!」
コン・バトラーVは腰を落とし、みぞおち部位に格納された大型ミサイルを発射した。
ガルーダ「ぬおぉ!」
ドォォォォォン! 強力な爆撃を受けて、ビッグガルーダの猛進は止められる。
ガルーダ「くくく……言い忘れたがコン・バトラーV」
翠星石「な、何ですぅ、ガルーダ?」
ガルーダ「この基地の管制システムは全てメインコンピュータでもあるオレアナが支配していた。自爆システムもな!」
翠星石「な、なんですってぇ!?」
蒼星石「それじゃあ、まさか!」
言うやいなや、大きな地震が玉座に起こった。
金糸雀「ひぇぇぇっ!」
雛苺「やーっ!」
ガルーダ「あと十分でこの島は海底に沈む! 貴様達をここに足止めにすれば、余の勝ちということだ!!」
翠星石「馬鹿を言うなですぅ! 死んじまったら元も子もねぇですぅ!」
ガルーダ「貴様達を生かしておいては、我らキャンベル星人の地球侵略の大きな仇となる! 余の命と引き換えに、将来の禍根を絶つ!!」
ドガァッ! 地震でバランスを崩していたコン・バトラーVにビッグガルーダが体当たりをして倒した。
翠星石「痛ぇですぅ!」
蒼星石「君はキャンベル星人に騙されていたのに……それでも戦うというの!?」
ガルーダ「余には記憶がある。キャンベル星人の大将軍ガルーダとして戦っていた記憶が!」
ツインランサーを出したコン・バトラーVにウィングソードで切りかかりながら、ガルーダは声を張る。
ガルーダ「余の身体は作られた機械なれど、魂と記憶は実在のキャンベル星人の者! 高潔な武人の誇りは、我が母星キャンベルの為にある!!」
ガキンッ! 鋭い太刀筋にコン・バトラーVの急造の装甲が剥がされていく。
ガルーダ「これで終わりだ! コン・バトラァァァァァァァァァァァァァ!!」
翠星石<ド根性>「こうなったら一か八かですぅ! 超電磁タツマキィ!!」
早口で唱えられた呪文で、コン・バトラーVの二つの電極から電磁の嵐が飛び、腕ではなく直接ビッグガルーダに当たった!
ガルーダ「しまった! そんなに早く出せるのか!」
翠星石「ガルーダ! 今ならまだ間に合うですぅ! 翠星石たちと一緒に脱出するですよぅ!!」
ガルーダ「言ったはずだ! 余は誇り高きキャンベル星人の将軍ガルーダなるぞ! なんじょうそなたら下賎な地球人と手を取り合おうか!!」
ギギギギ……! 超電磁タツマキに捕らわれながら、ガルーダはビッグガルーダの駆動をフルパワーにさせ、右腕を動かし始めた。
真紅「翠星石……もう……!」
翠星石「わかっているですよぅ! 真紅のあほーっ!」
大きな声で翠星石は無念を叫び、超電磁ギムレットを出現させた。
僅かに浮上したコン・バトラーVはギムレットを軸に高速で回転し始める。
ガルーダ「さらばだ、コン・バトラーV! 貴様達と戦えた事を誇りに想う!!」
そして、空高く飛び上がったコン・バトラーVは回転しながら一直線にビッグガルーダに落下していった!
翠星石<熱血必中>「超電磁・スピィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!」
ズギャァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!
ガルーダ「ぐっ……がはっ! くくく……真だ……余の身体は……機械だ」
超電磁スピンがコクピットの下部を掠めていったらしい。
ガルーダは失った下半身を見て、自嘲気味に笑った。
漏電する人造筋肉とバランサー、滴り落ちる皮下循環剤――全て愛するものと同じものだ。
翠星石「ガルーダ!」
停止したコン・バトラーVから降りて翠星石は横たわるビッグガルーダへ登ってきた。
ガルーダ「貴様は……コン・バトラーの……翠星石と言ったか……」
腰から上だけだというのに、視界は全く霞むことなくクリアだ。
皮下循環剤が流れ尽きたとき、最も容量の多いデータ――記憶素子から消去され、修復を求めて最後の最後まで最優先事項へと動力を供給する。
それも出来なくなったとき、最優先事項の生命維持装置が活動を停止する。
つまり、死ぬということだ。
ガルーダ「余は……貴様達と同じ人形であった……全てはプログラムされた人格……この苦しみも誇りも用意されたものに過ぎなかったのだ……」
翠星石「……スィドリーム…………」
胸の前で器を作った翠星石の手から、小さな光りが宙に飛んだ。
ガルーダ「何をしている……翠星石……早く脱出せねば、貴様達も……」
翠星石「ガルーダ……今の翠星石にしてやれることは、これくらいしかねぇですぅ……」
ガルーダ「な、なんだ……いったいこれは……?」
視界を囲うアラートフレームを排除するガルーダの目の前が淡い色の渦を巻いていく。
翠星石「夢の扉ですぅ……」
ガルーダ「ゆ、夢の……?」
幻想を見ている気分――夢心地のガルーダに甘やかな声が聞こえてくる。
翠星石「夢は、記憶の整理と言われるですけど、そんなの愚かな人間が決めつけた世迷言ですぅ。夢は世界樹を伝っていのちの意識を繋ぐ心の橋ですぅ」
ガルーダ「お、おぉぉ……ミーア……ミーアが……」
翠星石「いのちのない、心がない機械が夢を見るはずはないですぅ。ガルーダ……」
ガルーダ「…………」
確かにそこに存在しているガルーダにしか見えない夢の扉に伸びていた手が、静かに落ちていった。
翠星石「ガルーダ……」
ズズゥン……! 沈黙した身体に瞑目していると、また大きな地震が翠星石を揺らした。
真紅「翠星石、早く戻ってきなさい!」
蒼星石「脱出するよ!」
翠星石「わかってるですぅ、今行くですよぅ!」
ドレスの裾を翻し、翠星石はビッグガルーダから飛び降りた。
すぐさまコンバトラーVに乗り込み、崩壊するキャンベル星人基地から脱出する。
翠星石「あばよですぅ、ガルーダ……」
第十八話 高潔! 大将軍ガルーダの悲劇! 完

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