唯「第一次!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」 第十九話 雷撃! 少女たちの防衛線 後半

2011年09月22日 19:35

唯「まじーん、ごー!」

779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/03/31(木) 18:02:22.52 ID:Ew4Uc/i40

シノン「こ、この地震は……!」

 突如、ジャブローを襲った地震に、一堂に会していた少女たちはすぐさま、自分たちの為すべき事を悟った。

『警報。警報。基地内にて原因不明の爆発事故が発生した。詳細を調査するまで、各員、落ち着いて待機せよ。繰りかえす……』

シノン「私たちの待機場所はホワイトベース、もしくは各ユニットの中よ!」

 鋭い指示に、了解の声が重なり、全員が部屋を飛び出した。
 それなりに場数を踏んできた香月シノン以下、二十数名の少女たちは定時爆撃の後のタイミングの良すぎる爆発事故に、空気中に含んだ違和感を嗅ぎ取っていた。

 それが、如何に哀しい嗅覚であるか、筆舌に難くない。


 テンテレンテレレテンテレンテレレテンテレンテレレレレレレレレレ
 アイーフルエルーアイー ソレハーワカレーウター
 ヒロウホネモーモエツーキーテー ヌレルハダモーツチニーカエルー
 コウヤヲーハシルー シニガミノレーツー
 クロクユガンデー マーァッカーニモーエールー


なのは「すずかちゃん、アリサちゃんを探しにいかないと!」

すずか「うん!」

 なのはは魔法を起動して足にフライヤーフィンですずかを抱えて基地内を滑るように飛んでいった。

なのは「レイジングハート!」

レイジングハート「Yes」

なのは「アリサちゃんを探して!」

レイジングハート「Alllight,my muster」


 アイーイノチノーアイー チノイロハーダイチニステテー
 アラタナートキヲーヒラクカー イキノコルーアイセンシタチー
 コウヤヲーハシルー シニガミノレーツー
 クロクユガンデー マーァッカーニモーエールー


なのは「行くよ、すずかちゃん!」

すずか「アリサちゃんの傍に!」


 シニーユクーオートコタチハー マモールベキーオーンナタチニー
 シニーユクーオーンナタチハー アーイスールオトーコターチヘー
 ナニヲカケルノカー ナニヲノコスノカー 
 I play, play to bring near the new day...




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 ジオン・ギガノス連合軍のジャブロー前線基地総攻撃部隊は、シャナの工場爆発に端を発して五分としないうちに戦線に到達した。

 それを最初に察知したのは、遠隔操作からドラグナー3型のEWACの情報を見たスズだった。

スズ「ジャブロー沿岸に多数の敵機を確認! 既に大隊、連隊規模が集結、降下作戦を開始しています!」

シノン「くっ……出撃体勢を整えた者からすぐに迎撃に移りなさい!」

スズ「ま、待ってください……別ヶ所にも不明の識別があります!」

シノン「なんですって!?」

スズ「こ、これは……地下です! 敵がジャブロー内部に潜入しています!」

シノ「そ、そんなことがあり得るのか!?」

霙「可能性としては充分にあり得る。ジャブローは密林だ。隠れる場所も発見されていない通路も無数にある」

シノン「何機か、そちらに回した方がいいわね……」

唯「それなら、私が行くよ!」

シノン「平沢さん……そうね、マジンガーZならばモビルスーツと同程度の大きさだから、鍾乳洞内でも充分に動けるわね」

律「それなら、アタシたちも中だな、澪」

澪「あぁ」

シノン「本当はD兵器も回したところだけど、メタルアーマーとは貴重な航空戦力だから……立夏ちゃんと霙少尉、内部の巡回をお願いします」

霙「了解したぞ」

立夏「チャ~オッ!」

シノン「オーラバトラー、メタルアーマー、ヴァイスリッターとヒカルさんはホワイトベース及びゴラオン直掩に回り、敵を撃退します!」

ヒカル「わかりました!」

珠姫「了解です!」

シノン「ゲッターチームとバトラーチーム、ゆりえちゃんは各自に降下部隊を撃退しつつ、臨機に変形して行動してください!」

夕映「了解です!」

翠星石「合点承知ですぅ!」

ゆりえ「わかりましたぁ!」

シノン「この攻撃は定時爆撃ではなく、明らかなジャブロー攻略作戦よ。決してジャブローを明け渡してはいけないわ!」

 赤い彗星を取り逃がしたアリサ・バニングスは、急いでモビルスーツ・ドッグへ向かっていた。
 Gファイターに乗るためである。

 また、そんなアリサの動きを見つけていたなのはとすずかも、ほぼ同じタイミングでドッグに入った。

なのは「アリサちゃん!」

アリサ「なのは、すずか!」

すずか「大丈夫だった、アリサちゃん?」

アリサ「えぇ、私は平気よ。それより、赤い彗星を見つけたわ」

なのは「えぇ!?」

すずか「本当!?」

アリサ「本当よ。アイツらが基地の中を爆破したのよ」

なのは「アリサちゃん、場所はわかるの!?」

 言いながら既になのははバリアジャケットを装着している。

アリサ「Fブロックの39エリアよ」

なのは「わかった。先に行ってる!」

アリサ「私とすずかもすぐに行くからね!」

 手を振るアリサに、すずかは不安げに問いかけた。

すずか「アリサちゃん……だいじょうぶなの?」

アリサ「うん、もう大丈夫よ」

すずか「でも、ムリしてない?」

 重ねて訊くと、さすがにガッツポーズを小さくした。

アリサ「平気よ……それより今はしなくちゃいけないことがあるでしょ?」

すずか「うん……そうだね。わかった」

 アリサとすずかはガンダムとGファイターに向かって走った。
 整備をしていたのは、マチルダの部隊にいたあのナイーブそうな少年で、Gファイターを戦車形態であるGブルに換装していた。

「出撃ですね、頑張ってください」

すずか「はい、ありがとうございます」

 少年は不安を隠せない面持ちだが、それ以上にすずかとガンダムを信頼しているようで、新しい機能について簡単に説明してくれた。

「特に、ビームジャベリンとガンダムハンマーは狭い鍾乳洞内でも効果を発揮するはずです」

 また、ガンダムの上部Aパーツとコア・ブロック、GファイターのBパーツを組み合わせた重戦車形態Gブルについても説明をしてくれた。

「実験では、砲身以外はビーム・ライフルの直撃にも耐えられます。ただ、ビーム・キャノンは威力が高いので気をつけてください」

アリサ「わかったわ、行くわよ、すずか!」

すずか「うん!」

 二人は実によく慣れた動きでコクピットに乗り込んだ。
 自分より三、四つ年下なのに戦場に向かう恐怖を受け止めている彼女に、少年アムロ・レイはめったにしない敬礼をした。

 フライヤーフィンはなのはの単独飛行ならば、戦闘機にも迫る速度を出すことも出来る。

なのは「ここだね」

 黒煙があがるのは工場だろうか、既に何人かの連邦兵が集って消火作業を始め――ること時間は永遠に奪われていた。

なのは「そ、そんな……」

 レイジングハートが咄嗟になのはの視覚域にフィルタリングをしなければ、十歳の少女は現実の光景に耐えられなかっただろう。
 連邦兵たちは皆、一刀の下に赤黒い切り口を見せて倒れていた。ほとんど即死だろう。

レイジングハート「Time sift protection.」

 凄惨な光景を主に見せまいと、レイジングハートは独自思考で空間を切り取った。
 倒れた兵士の姿が見えなくなった時、ゆらりと炎に立つ影があった。

なのは「シャナちゃん!」

シャナ「またお前か!」

 赤い彗星フレイムヘイズのシャナは桜色の光りに包まれた高町なのはに猛然と斬りかかった。

レイジングハート「protection.」

 バキンッ! プログラムされていた自動防衛システムがシャナの一撃を逸らし、なのはを間合いの外へ離脱させる。

なのは「ディバイン・シューター!」

 三つの光球が警戒線を引くようにシャナの周囲を飛ぶ。
 シャナの動きが止まるのを見て、なのはは問いかけた。

なのは「シャナちゃんが、こんなことをしたの……?」

シャナ「そうだとしたら、何だっていうのよ?」

なのは「どうしてこんなことをするの!? 戦争なんて……」

シャナ「この戦争は、お前たち連邦が引き起こしたものだ!」

 問い掛けにシャナは糾弾で返した。

シャナ「連邦の蛆虫どもはコロニー政策を人口調整の一つとしてしか考えていない! それだけならまだいい! だが、地球に住む人間こそが優良種だと勘違いし、コロニーに住む人間を家畜のようにコントロールしている! お前も同じコロニーの市民なら、知らないはずはないだろう!」

 突き付けられた切っ先を見据えるには、なのははまだ幼すぎる。

なのは「それは……確かに連邦はコロニーのことをコントロールしているかもしれないけど、それだからって……」

シャナ「そうか……お前はサイド7の人間だったわね……準特権階級の出身にはわからないことね……地球から最も遠いサイド3がどんなところだったのかを……!」

なのは「ど、どういうことなの!?」

シャナ「所詮、お前も連邦の犬ということよ! 生まれた時から檻の中で飼い馴らされて自分が家畜だって事にも気付いていないのよ!」

 ズァァッ! 光球を切り払ってシャナは滑るようになのはの懐へ潜り込み、必殺の刃を振るった。

なのは「やめて、シャナちゃん!」

 危ういところで回避して、なのはは魔法を組み立てていく。
 襲い掛かる斬撃を何重にも重ねた防御障壁で受け止める。
 飛び散る桜色の魔力は破られるたびに小さい障壁を生み出しているからだ。

なのは「戦争なんて方法は間違っているから! 地球まで来て、どうして話し合おうとしないの!?」

シャナ「その言葉、そっくりそのままレビルに言ってやれ!」

 じりじりと刀を押し込んでいくシャナの背中がぴり、と痺れた。
 なのはの背中から出て大きく迂回してきたディバイン・シューターが既にシャナ目がけて飛来していた。

シャナ「ちぃっ!」

 ここで引いたら追撃を喰らう。怪我を承知で光球を受ける覚悟をしたシャナの背後に、ビーム光が走った。

なのは「!」

シャナ「アカハナね、良いタイミングだわ!」

 驚きに目を見開くなのはから瞬時に身を離して、シャナは広く距離を取った。
 赤い髪の少女の後ろには、赤い塗装が施されたモノアイの丸っこいフォルムのモビルスーツが立っていた。
 そこから更に同系統のモビルスーツが三機現れる。

すずか「なのはちゃん!」

アリサ「なのは!」

 また、同時になのはの後ろからガンダムとGブルがやってくる。

すずか「ジオンの新型!?」

アリサ「はん! マヌケなデザインね!」

シャナ「アカハナ、私は白いのを地上に誘き寄せる。ガンダムとあの戦車みたいなのは任せたわよ」

アカハナ「了解!」

 シャナは赤い髪を振るようにして四機のアッガイの後ろへ逃げていく。

なのは「シャナちゃん!」

アリサ「いいわ、なのは、行きなさい! 赤い彗星をひっとらえなさい!」

すずか「ここは、私たちが喰い止めるから……」

なのは「うん。ありがとう、アリサちゃん、すずかちゃん!」

 フライヤーフィンを起動して、なのははシャナの後を追う。
 アッガイの大きな手が迫るが、易々とかわして鍾乳洞の中を進んでいく。

なのは「シャナちゃん!」

シャナ「追ってきたわね……やりなさい!」

 台詞の後半は共通語ではない言語であった。
 次の瞬間なのはの前に何人もの赤い顔の一目見て未開民族であるとわかる集団が不釣合いな火器を持って現れた。

なのは「なに!? この人たち!?」

族長『我等の地から出てゆけ! 白い悪魔!!』

 バババババババ! ライフルがなのはを狙うが全て障壁で跳ね返される。だが、そこで生まれた隙は大きなものだった。

シャナ「落ちろ!」

なのは「!」

 バキィンッ! 刃を上に向けたシャナの突撃に障壁は全て貫通された。

なのは「あうぅっ!」

 それでも贄殿遮那がわき腹をかすめた程度で済んだのは幸運である。

シャナ「チィッ! まだよ!」

 ヒュオッ! シャナはすぐさま刀を返して第二撃を打ち込むが、レイジングハートの障壁と回避行動で避けられる。

族長『火の神様を助けろ!』

 シャナから離れたなのはに集中砲火が浴びせられる。

なのは「ど、どうしよう、レイジングハート!?」

レイジングハート「Temporary Withdrawal.」

なのは「撤退……でも!」

レイジングハート「Or――」

なのは「えっ?」

レイジングハート「Going forward might be also good. 」

なのは「……行こう、レイジングハート」

レイジングハート「Alllight. Have a tactical rout.」

 割り出されたルートにレイジングハートはチェックポイントを置いた。
 なのはが前進したことにシャナはやや驚いたようだった。

シャナ「向かってくるというの、この状況で!?」

 奇麗事を並べるようや奴なら、原住民の被害を避けるためにも撤退するはずだ。
 だが、回避に専念したなのはならば、昨日今日与えられた武器の腕前で当たるはずがないのだ。

シャナ「チッ、付け焼刃じゃ何の役にも立たないわね」

 迫り来るなのはにシャナは贄殿遮那を抜いた。

シャナ「いいわ、今度こそ落としてやるわ!」

なのは「レイジングハート!」

レイジングハート「Flash move.」

シャナ「見えてるわよ、そこっ!」

レイジングハート「Acceleration.」

シャナ「なにっ!?」

 完全に間合いに入っていたはずの影が、止まらずにむしろ加速した。
 張り付く敵意に反応したときには、なのはは魔力を溜めた杖を大振りにしていた。

なのは「えぇーい!」

 ドカッ! 杖の先端がシャナの背中に当たる。

シャナ「ぐっ……! よくもやったわね!」

なのは「まだっ!」

 直接打撃はダメージが目的ではない。
 先端の宝石にセットしていた魔法を起動させるためだ。

シャナ「な、なにっ!?」

 キン、という音がして、シャナは身体の自由が奪われたのがわかった。

レイジングハート「Experimental bind.」

 以前に突如現れてジュエルシードを攫っていった少女に対抗するために、レイジングハートと二人で開発していた魔法が赤い彗星を捕まえた。

なのは「あまり長い時間は捕らえられないから……まず撃墜するからね!」

レイジングハート「Divin buster.」

シャナ「くっ……このぉ!」

 贄殿遮那で無効化するとはいえ、シャナ自身に魔法を打ち消す能力はない。
 原住民たちは二人を追いかけてくるので手一杯だ。
 桜色の光りが、形成された魔法陣に収束されていく。

なのは「いくよっ! シュートッ――」

 声を張り上げたが、トリガーを引くことはできなかった。

「シャナ大佐ぁっ!」

 ダダダダダダダダダダダダダッ! 鍾乳洞内の河を割って現れたザクⅡがマシンガンを撃った。

レイジングハート「Protection.」

なのは「きゃぁぁぁぁっ!」

 自律で稼動していないユニットであったら今ごろ蜂の巣にされていただろう。
 それほど、このザクⅡの浮上位置とタイミングは完璧であった。
 マシンガンも完全に挙動を抑えた撃ち方で、シャナの周囲一メートルに弾が行くことがないことからも、搭乗者の技量が覗えるだろう。

「ジオンの理想を妨げる連邦の魔女に、正義の鉄槌を!」

 潜水艇に立つツノつきのザクⅡはヒートホークを手に跳躍した。
 その狂信的とも言える気迫はスピーカー越しでもなのはを戦慄させた。

レイジングハート「Flash move.」

 なのはがいた場所を燃える斧で切り裂いたザクⅡは、河に流されることなく、丸っこい指を身体の一部のように繊細に操って、バインドに囚われたシャナを確保した。

「大佐、ご無事ですか!?」

シャナ「平気よ。お前、名前は?」

「は! アナベル・ガトー少尉であります! 元はソロモンでドズル中将の警護隊におりました!」

シャナ「特警出身ね。よくやったわ」

ガトー「は! 光栄であります!」

 その時、シャナを拘束していたバインドが時間経過によって外れた。

シャナ「少尉、お前は中に入って先行部隊を援護しなさい。ガンダムが敵よ」

ガトー「は! 了解しました!」

 シャナを離したガトー少尉は一度の跳躍で河から陸へ出て見せた。
 その後の既に上陸していたザクⅡを率いて走る姿も猪突猛進だったが、整った動きであれはエースになるなとシャナは感じていた。

シャナ「さぁ、仕切り直しよ」

 贄殿遮那が鞘走り、なのはは杖を強く握った。


 ジャブロー Dブロック格納庫

立夏「エェェ~ッ! 何でリッカのゲシュペンに氷柱オネーチャンが乗るのぉ~!?」

氷柱「さっき言ったでしょ! 立夏には新型が用意してあるから、私がタイプRに乗るって!」

立夏「え? そだっけ?」

氷柱「はぁ……こんなのが私の一歳違いだなんて……」

立夏「ネネネ、どこにあるの!? リッカのシンガタ!」

吹雪「申し訳ありませんが、まだ微調整が済んでいないので、立夏姉には待機してもらいます」

立夏「エェェ~ッ!! それじゃあ氷柱オネーチャンにシンガタ上げるから、立夏にゲシュペン乗らせてよぉ~っ!」

氷柱「バカ言ってんじゃないわよ、バカ! ちょうどいい機会だから、T-LINKシステムの正しい使い方、見せてあげるわ!」

 自信満々な笑みを浮かべて氷柱はヘルメットを被る。

立夏「T-LINKの……正しい使い方?」

氷柱「ま。そこで見てなさい……霙姉様! 行くわよ!」

 拳を振り上げる氷柱に、アルトアイゼンの目が光った。

霙『わかったわかった、氷柱のおしめはキチンととりかえてやるさ』

氷柱「やめて! 大きな声で言わないで!」


 ジャブロー地表 ゴラオン

珠姫「川添珠姫、ダンバイン、行きます!」

 ゴラオンからオーラ力の光りを散らして、ダンバインが空へ出た。
 既に戦線の火蓋は切って落とされ、ジオン・ギガノスの降下部隊がパラシュートを使って落下している。

 だが、ある程度ジオン軍のモビルスーツが下りてくるとジャブローの密林にカモフラージュされた砲台が一斉に上を向き、対空砲火を開始した。

チャム「すごい……どんどん落ちていくわ」

 連邦軍の本拠地というだけのことはある。
 まるでハエにスプレーをかけているかのように、モビルスーツの大半は着地前に破壊されてしまう。

珠姫「私たちは、海に出るよ」

 ジャブローは基地というよりも巨大な戦艦であると思ったほうがいい。
 のろのろと降下してくるモビルスーツよりも、海上を滑空してくるメタルアーマーのほうが脅威なのだ。

 そのギガノス軍を前線指揮しているのは、プラクティーズの三人である。

キョン「ハルヒがいない今、俺たちがギガノス地上軍の先頭に立つんだ、行くぞ! 古泉、長門!」

古泉「了解しました」

長門「状況、開始」

 海上戦の幕は、珠姫とキョンによって上げられた。

キョン「オーラバトラー、落ちろ!」

珠姫「あなたたちを、近づけさせはしない!」

 ガキィンッ! レーザーソードと、オーラ力に包まれた剣がぶつかり合う。

キョン「チッ! データよりも速い! 長門!」

長門「データ修正、転送」

古泉「いきますよ……ふんもっふ!」

 ドゥッ! ヤクト・ゲルフ・マッフのレールキャノンがダンバインの肩をかすめていった。

珠姫「くっ!」

古泉「セカンドレイド!」

 ドゥッ! ドォンッ! ギリギリで回避するが、風圧が羽を打ってダンバインはバランスを崩される。

キョン「そこだっ!!」

 ズサァッ! レーザーソードがオーラ力の弱まった剣の刃を肉に包丁を通すかのように削ぎ落とされた。

チャム「ダメよッ!」

 ガンッ!

キョン「チッ!」

 突き出された脚にゲルフ・マッフが蹴られる。

長門「……目標捕捉、攻撃を開始する」

 レビ・ゲルフのマッフユニットから落とされた五連ミサイルがダンバインに襲い掛かるが――

紀梨乃「タマちゃん!」

 ガガガガガガガガガッ!
 割り込んできたボチューンがオーラバルカンを斉射され、雷管に当てられたミサイルが爆発して残りのミサイルを誘爆させた。

キョン「ちぃっ! 仲間が増えたか!」

長門「まだ来る」

 ギガノスきっての索敵能力を有する長門が警戒した先には、濃紺と白銀の二機が戦線に到達しようとしていた――いや、既に一機は姿勢を制御している。

海晴「オクスタンランチャーのEモード~」

長門「来る――長距離射撃」

キョン「散開しろ!」

 命令より先に長門がプログラムしていた予測回避システムが稼動して三機はばらけて離れ、彼らがいた位置をビーム光が貫いていく。

ヒカル「そこだ、見逃さない!」

 編隊を戻したプラクティーズの後方にいるヤクト・ゲルフへ、ゲシュペンストTYPE-Sが瞬発力を活かしてジェットマグナムを打つ。

古泉「――くッ!」

 ガァンッ! ヤクト・ゲルフの腰部装甲が溶解されるが、すぐにパージされて大事には至らない。

キョン「古泉! くそっ!」

 レーザーソードが鋭い光りを発するのを見て、ヒカルもプラズマカッターを抜いた。

キョン「喰らえっ!」

ヒカル「型が堅いっ!」

 ギャインッ! キョンの一振りは、身を沈めたゲシュペンストの剣先だけで流される。

キョン「なにっ!? ぐおぉっ!」

 驚いている暇もなく、ゲルフ・マッフに拳骨で殴られたような衝撃が加えられる。

海晴「オクスタンランチャーのBモード、当たると痛いわよん」

キョン「もう当たってるっての!」

 長門の情報処理で中距離回線を拾ったキョンが機体の向きを変え、海に向かってハンドレールガンをばらまく。
 飛沫に紛れて距離を取る間に、仲間の様子を探ると、ギガノス海上部隊はとてつもない劣勢となっている事を知った。

キョン「何だこの彼我戦力差は!? これが連邦の航空部隊だというのか!」

 長門が予想された戦線の範囲が既に40%失われている。
 ものの数分の間にだ。その異常性の正体が今、キョンの前に現れた。

連邦兵「見つけたぞ、親衛隊だ!」

キョン「こいつは……D兵器!?」

 その驚愕は容易に知られるだろう。
 彼らを痛めつけたメタルアーマーが、三機どころか五機、六機と旋回しているのだ。

キョン「そうか、量産型D兵器か! 古泉、長門、下がれ!」

古泉「既に退避を始めています。長門さんが情報を収集しています」

長門「もう終わってる。転送を」

キョン「そんなもの、見ているヒマあるか!」

 ゲルフ・マッフを浮上させながら敵機の背後に回らせてレーザーソードを突き出す。
 量産型など、親衛隊のカスタム機に勝てる筈がない。隊長以外にかわすことの出来なかった攻撃で貫く。

キョン「何っ!?」

連邦兵「馬鹿めっ! ローテクと一緒にするな!」

 一撃必殺の刺突は僅かに機体の脇をかすめただけであった。

連邦兵「このドラグーンを舐めるなよ!」

 ダダダダダダダダダッ! 至近距離でハンドレールガンを浴びてしまった。

キョン「くっ……D兵器以上の動きだ!」

 右腕が潰されて、キョンはひたすらに逃げた。

キョン「こんなことがあってたまるか! ハルヒ!」

 親衛隊の名誉などどうでもいい。
 技術や経験の差では埋められない程の性能差が、ゲルフとドラグーンの間にはあった。

キョン「長門……長門のデータは!?」

 転送途中のファイルを開いて、愕然とした。
 全ての数値が、これまで戦ってきた三種のD兵器を超えている。
 つまり、連邦の量産型メタルアーマーに敵う機動兵器を、ギガノス軍は失ってしまったのだ。

キョン「クソッ! 俺たちは戦争に負けたのか!!」

朝倉「それなら、死ねばいいと思うよ」

キョン「!」

 ずばぁっ――認識する間もなく、ゲルフ・マッフの首が飛んだ。

朝倉「役立たずの親衛隊なんて、税金の無駄遣いだもんね」

 ゲルフ・マッフがいた場所に、鎧武者めいた造形の金色の機動兵器が浮いていた。

古泉「うおおおおおおおおっ!!」

 ゲルフ・マッフが落ちた水柱に滴る機体に、ヤクト・ゲルフが体当たりした。

古泉<熱血>「貴方は! とんでもないことを!!」

 仰々しいいでたちの肩を掴み、古泉はレールキャノンをありったけぶちこむ!

 ドゴォッ! ドドォンッ!
 ヤクト・ゲルフもダメージを受けるが、新型であろうとこの距離で220ミリの砲弾を喰らってまともに済むはずがない。

 だが、それは弱者の望みであった。

朝倉「教えてあげる。この機体の名前……ギルガザムネって言うのよ」

 どぉんっ! 青龍刀が重くのしかかり、ヤクト・ゲルフもまた首をずたずたにされてしまった。

 墜落した二機にレビ・ゲルフがまるで親を殺された子犬のように這い回る。
 パイロットの回収をしているのだろうが、朝倉涼子にはどうでもいいことだった。

朝倉「地上部隊なんて、もう役に立たないのよね。囮として使ってあげたのだから、感謝してね」

 このメタルアーマーともかけ離れたギルガザムネの異常な行動に、連邦軍も困惑しているようだった。
 いや、レールキャノンを何発も喰らって平然としている装甲にどう攻撃を仕掛ければいいのか悩んでいるようである。

チャム「だめ……っ、珠姫! 逃げてぇ!」

 ギルガザムネから発せられる不愉快な空気の流れを敏感に感じ取ったチャム・ファウが珠姫の顔を揺さぶる間に、ギルガザムネは洋上から浮上していた。

朝倉「さぁ、何もかもを巻き込んで壊しましょう」

 金色の装甲の肩部が開いた。
 そこに蜂の巣のように詰め込まれた弾頭に連邦ドラグーン部隊が気付いたときには、辺り一面は爆炎に包まれていた。

ヒカル「そ、そんな……」

紀梨乃「ドラグーンが……あっという間に……」

 ドラグーンにもD-3と同じようにジャミング能力があるが、無数に吐き出されたミサイル弾幕が相手では意味を持たない。
 余波を受けて機体が震動し、バランスを崩したところに新たな爆弾を喰らうのだ。

海晴「味方まで巻き込むなんてね……普通の軍組織では考えられないわ」

朝倉「さぁ、道を空けてあげたわよ。ジャブローを制圧するのはジオンでもギガノスでもないわ……」

珠姫「この波動……オーラ力!」

 いち早く勘付いた珠姫の頭上を、巨大な砲撃が過ぎていった。

紀梨乃「ハイパーオーラキャノン!?」

チャム「来る! 来るよ、悪しきオーラが!」

珠姫「ドレイク・ルフト……!」

 ギガノス軍に代わって空を埋め尽くしたのは、オーラマシンだった。

夕映「チェイィィンジ・ゲッター1! スイッチ・オーン!!」

 ガシィン!
 地上でジオン降下部隊を相手取っていたゲッターロボがハイパーオーラキャノンを見て駆けつけてきた。
 コン・バトラーVとライディーンの二機はジャブロー基地で激しい対空戦をしている。

夕映「まさかドレイク軍が……」

ハルナ「ギガノスとの共闘体勢はないと思っていたら、まさか強制排除してくるとはね……」

夕映「ジオンの差し金でしょうね……裏取引でドレイク軍とギガノス軍を戦わせて、漁夫の利を取るつもりでしょう」

のどか「これでジオンがまだ部隊を隠していたらー……」

ヒカル「私たちがここでドレイク軍を食い止めなければ、ジャブローは二局面から攻撃を受けることになる……!」

 居並ぶ機体の前に、あの金色のメタルアーマーが現れた。

朝倉「私のこと、忘れちゃいやだよ」

 ぶぅん! 青龍刀がうねりをあげて、空間を切り裂いた。

海晴「そこよ!」

 ギュボォッ! オクスタンランチャーがEモードでギルガザムネに直撃するが、その威容を削ることは出来なかった。

海晴「もしかして……対ビームコーティング……?」

朝倉「綺麗な蝶々ね。羽を毟り取ってあげるわ」

 圧倒的な機体の差に気をよくしているのか、朝倉涼子は海晴の挑発に乗ってくれた。

 バババババババババババ! ギルガザムネが巨体に見合ったハンドレールガンを連射するが、高い運動性のヴァイスリッターは曲芸飛行のように避ける。

 その過程で海晴はオクスタンランチャーを実弾に切り替えて撃ち、脚部の付け根に当てたが、やはり対したダメージは与えられない。

海晴<集中>「さぁ、いらっしゃい。本当の龍騎兵が待っているわ」

 回避重視の軌道に朝倉も罠に誘われている事に気付いた。

朝倉「いいわ。それなら、元を絶ってあげる」

 ギルガザムネの腹部が開いた。そこに格納されていたのは、都市破壊用の大型巡航ミサイルだ。

 ぼしゅぅっ! ミサイルが発射される。ジャブローの一区画ぐらいは吹き飛ばせるほどの威力だ。

海晴<集中>「くっ……Eモード……ッ!」

朝倉「させないわよ」

 ぶん! 青龍刀がヴァイスリッターの左脚を抉った!

海晴<集中>「あうっ! もう、ヴァイスちゃん装甲薄いんだからやめてよね!」

朝倉「何をたくらんでいるかは知らないけど、吹き飛ばしちゃえばどうにもならないよね」

シノ「そうでもないぞ!」

朝倉「なに!?」

 大きな声を捉えたレーダーには、沿岸部に立つ三機の機体、D-1、D-2、D-3の識別がくっきりと浮かんでいた。

シノ「朝倉涼子! 君にも私は貸しがある! まずはそれを返させてもらうぞ!」

朝倉「あの時のパイロットね。よくまた乗れたものね」

シノ「私はドラグナーに乗るさ、何度でも。私の答えを出すために!」

アリア「光子バズーカ、チャージ完了よ」

スズ「照準、いつでも行けます!」

シノ「よし! 一斉射撃だ! Dフォーメーション・アタック!」

 沿岸部に並んだ三機のドラグナーはそれぞれ手に大きな円柱状のものを持っていた。
 光子力エネルギーをビームにして撃ち出す新兵器のバズーカ砲が、彼女たちの新たな力だ。

シノ<指揮>「撃てぇーっ!」

 バシューッ! 三つの光りが交じり合って虹色になって巡航ミサイルに直撃、大きな炎の塊りが空に咲いて、後には何も残らなくなった。

朝倉「ふぅん」

 ミサイルが撃ち落とされたことに朝倉涼子は大した感想は持たないようだった。
 代わりに、愉しそうに鼻を鳴らしてギルガザムネの右手に青龍刀を持たせた。


 ウィル・ウィプス 艦橋

ドレイク「ゴラオンが来るまでにどれほどの時間がある?」

 禿げ上がった頭部を傾けてアの国の王は、地上人に訊ねた。

ショット「は、あと数分でしんがりの包囲を破るかと」

ドレイク「ハイパーオーラキャノンのチャージには?」

ショット「は、200秒ほどでしょう」

ドレイク「よし、ウィル・ウィプスを全速させい。戦力を惜しむことなく、ジャブローへ到達し、ハイパーオーラキャノンを発射する」

ショット「既に、聖戦士たちはスタンバイしております」

ドレイク「うむ」


 ジャブロー 洋上

珠姫「――来るっ!」

 感じ知ったオーラの波動に珠姫は鋭く視線を上げた。
 その先には、黒と濃緑の新型オーラバトラー、ズワァースが鎌のように折れ曲がった刃の剣を構えて飛んできていた。

珠姫「トッド・ギネス――!」

トッド「ダンバイン!」

 それ以外の言葉はなかった。
 チャム・ファウが喋る暇なく両者は剣を弾かせている。

珠姫「新型!? でも遅いっ!」

 威圧的な様相だが、鈍重な動きのオーラバトラーに珠姫は籠手打ちを繰り出したが、ガンという音がして刃は跳ね返されていた。

珠姫「えぇっ!?」

トッド「ショットにも、意地があるんだとよ、タマキ!」

 ガギンッ! 曲剣が肩口に切りかかるが、どうにか返した剣で受け止めることに成功した。

 その間にも、戦場には他の聖戦士が現れていた。

アレン「邪魔なんだよ!」

フェイ「落ちちまいな!」

紀梨乃「くうぅっ……!」

 ガンッ! キィンッ! ビランビーとレプラカーンが紀梨乃のボチューンに襲い掛かり――

ジェリル「はっ! ガキがしゃしゃり出てくるんじゃないよ!」

ヒカル「うくっ、速い!」

 ジェリルとヒカルがオーラソードとプラズマカッターを打ち合っていた。
 ドレイク軍は、地上に来たことでオーラ力が世界に充満していることを知り、オーラコンバーターの大々的な改造を行っていた。
 結果、これまで伸び悩んでいた量産機のレプラカーンやビランビーでさえも、その運動性が格段に上昇している。

 また、トッド・ギネスが乗る新型ズワァースは、ジオン軍残党から接収した金属に含ませたことで、熱量兵器にもある程度耐えうる装甲を得ている。
 開発したショット・ウェポンは、これを自らが信頼するトッド・ギネスとんもう一人、バイストン・ウェルのコモンでありながら高いオーラ力を計測したミュージィ・ポゥに与えた。

夕映「トマホゥゥゥゥゥゥク・ブゥゥゥメラン!!」

ミュージィ「見えている!」

 マシンと同じほどの大きさがある手斧を避け、白いカラーリングのズワァースの股間に取り付けられた連装オーラキャノンを発射する。

夕映「これしき!」

 ズドォンッ! ゲッター合金を貫通には至らせないが、想像以上の損傷があった。

のどか「データと威力が違っているよー……」

ハルナ「大きな戦闘はしていなかったっていうからね」

夕映「これならどうですか、ゲッタァァァァァァビィィィィィム!!」

 ギュィィィィィィィ!! 光線がズワァースを捉えるが、瞬前で避けられ、またオーラキャノンを喰らった。

ミュージィ「ショット様の作られたズワァースだ!」

のどか「う、ウィル・ウィプスが……!」

 最前線にまで乗り出してきたアの国の巨大戦艦にはゲッターロボといえども簡単に相手取れない。
 それでなくともミュージィ・ポゥが立ちはだかるのだ。

ミュージィ「おとなしくその首を渡せ!」

夕映「オーラ力の攻撃を受けるわけには!」

 ガキィンッ! トマホークと曲剣。全く大きさが違うというのに、打ち合いは互角であった。


 ジャブロー 鍾乳洞内

唯「すずかちゃん、アリサちゃん、助けに来たよ!」

すずか「唯さん!」

アカハナ「ちっ、増援が来たか! だが、ズゴックとアッガイなら行ける!」

律「おぉっと、そいつはどうかな?」

 マジンガーZとガンダムが並ぶ。後ろにはダイアナンAとボスボロット、Gブルがいる。

アカハナ「やってみなければわからんぜ。ゲリラ部隊が鉄の城と白いモビルスーツを相手に出来るんだ。しかも、大佐の作戦を手伝ってな」

 戦闘は、合図もなく始まった。

唯「光子力ビーム!」

澪「スカーレットビーム!」

 二つの光線が交じり合い、ズゴックに迫るが、丸っこい身体に似合わぬ俊敏な動きで避ける。

ジオン兵「ぐわっ!」

 ずどぉんっ! だが、その後ろにいたアッガイに当たり、いきなりモニターが破壊されてもんどりうった。

アカハナ「ちっ!」

 ズゴックは回避の最中で一番近いガンダムへ向かった。

すずか「内蔵武器があるようには見えない……!」

 少女の判断は速かった。突き出される右腕を膝を落として頭部をかすめさせると、バルカンを撃つ。

アカハナ「おらぁっ!」

 ガァンッ! ズゴックの左腕が思いきり振り下ろされるが、シールドで防いだ。

すずか「ビームサーベルで!」

アカハナ「おぉっと!」

 敵機の膝に向けてビームを伸ばそうとするが、攻撃の反動を利用されて避けられた。

アカハナ「やってやるぜ!」

 ズゴックの手がガンダムの前で黒い穴を見せた。
 直後に計測した僅かな粒子にすずかの顔色が変わった。

すずか「メガ粒子砲!?」

 戦艦を一撃で落とす兵器を、ジオン軍も本格的に実用化したのだ!

アリサ「すずかーっ!」

 ビシューッ!
 後方に控えて危機に素早く反応したアリサがビームキャノンを発射し、ズゴックの腕に直撃させることに成功した。

アカハナ「くぅっ! へへっ、やるなぁ……」

唯「マジンガーパーンチ!」

 ぶぉん! 重いパンチを出すが、アッガイは容易く避けて、アイアンネイルのパンチを繰り出した。

 ガァンッ! しかし、超合金Zはびくともしない。

アッガイ兵A「ちくしょう! 何て硬い装甲なんだ!」

唯「このっ! ちょこまかして!」

 ぶん! ぶん! めったやたらに腕を振るがやはり当たらず、鍾乳洞の天井を破壊するばかりだ。

澪「唯! あんまり壊すと地盤沈下するぞ!」

唯「そんなこと言ってもぉ! ならこうだぁ!」

 マジンガーZが大きく両手を広げた。

唯「マジンガークロスチョーップ!」

 ががぁんっ! まるで抱きつくように両手を刀にしてアッガイにぶつけた。

アッガイ兵A「うわぁぁぁっ!」

 アッガイの太い足がひしゃげてしりもちをつく。

律「よぉ~し、トドメは律様とボスボロットがやってやるぜ!」

澪「律、ダメだ! まだいるぞ!」

 忠告は遅かった。鍾乳洞の奥から生まれでた影がモノアイを光らせていた。

ガトー「何と忌まわしいなりか! 主義も主張も見られぬ!」

 シュボッ――ドゴォンッ! ザクバズーカがボスボロットの体で爆発し、あっという間に手足がふっ飛んだ。

律「ぎょえぇーっ! こんなのってアリナシ? ナシじゃ~ん!」

澪「律ーっ!」

ガトー「させるかぁ!」

 シュボッ!
 岩に立った指揮官用ザクⅡが再びバズーカを発射するが、顔を腕で覆ったダイアナンAの装甲は砕けなかった。

ガトー「鉄の屑ではないようだ。腰を据えさせてもらう!」

 もう三発目のバズーカを撃って、アナベル・ガトーはヒートホークを握らせた。

澪「このーっ!」

ガトー「浅い!」

 大仰に構えたのは最初だけだった。
 ダイアナンAの腕が真っ直ぐ伸びてくると見抜くや、ガトーはまるでホバークラフトでも使っているかのようにザクⅡの脚を滑らせてダイアナンAの後ろを取ると、ヒートホークの柄に左手を添えて刃をダイアナンAの膝に押し付けた。

澪「わぁぁぁ!」

 膝が折れ、ダイアナンAが転ぶ。

ガトー「他愛もない! スーパーロボットといえど、我らジオンの志には勝てぬ!」

唯「澪ちゃん! きゃぁっ!」

アッガイ兵A「へっ、こっちはまだ動けるぜ!」

ザク兵A「よし、今だ!」

 アッガイの体当たりにマジンガーZもしりもちをついた。
 その隙を突いて、ガトーの後についてきたザクⅡがバズーカを撃つ。

唯「くぅぅ~、超合金Zが、このくらいでやられるものか~!」

 ガトーは既にスーパーロボットから離れていた。
 ガンダムと一進一退の戦いをしているズゴックを援護するためだ。

ガトー「ジオンの理想を達成するために!」

 ガガガガガガガガガガ! ザクマシンガンでガンダムの脇を狙い撃った。

すずか「きゃぁぁ!」

 動きが鈍ったガンダムとズゴックの間にザクⅡを割り込ませる。

ガトー「特務少尉! ご無事でありますか!?」

アカハナ「おう! まさかザクに助けられるとは思っていなかったぜ!」

ガトー「は!」

 共に少尉であるが、ガトーはアカハナの任務の特殊性に一目置いていた。

ガトー「連邦の白き悪魔よ。アナベル・ガトー、特務少尉の道を切り開くため、まかり通る!」

 トゲのついた左肩を前に出して、ガトーはガンダムへ突進した。

すずか「来るっ! きゃぁっ!」

 ガァンッ! シールドの上からガンダムにぶつかり、ガトーはもう一撃、二撃と重ねていった。

アリサ「邪魔するんじゃないわよ!」

 バシュゥッ! Gブルがビームキャノンを放つが、ガトーにもアカハナにも当たらない。

アカハナ「へへっ、いい加減、うざったいぜ」

 そうこうしているうちにアカハナは自分のターゲットを重戦車に変えた。
 ズゴックで高く跳躍して天井を少し削りながら、Gブルへ落下した。

アリサ「そんなの!」

 ギュルルルルッ!
 アリサは急バックでズゴックのボディプレスを避けるが、アカハナは更に小さく跳んでGブルの脇についた。

アカハナ「オシャカにしてやる!」

 グォォッ! アカハナがズゴックの太い腕を振り下ろした。Gブルの頭頂部に当たれば、主兵装は役立たずになるだろう。

アリサ「えぇーい!」

 バックを続けていれば砲口に腕が上がっていただろうが、アリサはあえて前に戻って、硬い尻に当てさせることができた。

アカハナ「ちっ! それならこいつを喰らわせてやるぜ!」

 ズゴックの手先についたメガ粒子砲が光りを集め始めた。
 基地破壊用に設計されているために威力が高く作られていて、発射までに数秒のタイムラグがある。
 それがアリサを救った。横から飛んできた弾丸がズゴックの腕を打ち、狙いを逸らさせたのだ。

アカハナ「何だとォ!」

ガトー「特務少尉!」

 ガトーが体当たりでズゴックをどかしていなければ、迫り来る鉄の杭を避けることはできなかっただろう。
 ザクⅡから小さな爆発が起こったのは、敵手に潰されたクラッカーが暴発したのだ。

霙<加速>「ふむ、捉えたと思ったのだがな」

アカハナ「パーソナルトルーパー!?」

氷柱「一機じゃないわよ」

 突如現れたアルトアイゼンに驚く間にも、高台に立っているゲシュペンストTYPE-Rの周囲には、小さな円盤が二つ宙に浮いている。

氷柱<集中>「スラッシュリッパー、行きなさい!」

 ビシュッ! 円盤から三枚の刃が輝き、ザクⅡに向けて放たれた。

ガトー「ぬぅっ! 連邦の小細工か!」

 カァンッ!
 ガトーは一つをヒートホークで叩き落すことに成功したが、もう一つを左肩に喰らってトゲのついたショルダーガードを失った。

霙「ヒートホーン」

 短く呟いたアルトアイゼンの角が白く光った。狙いを定めた目はザクⅡの首に向けられている。

ガトー「おのれぇ!」

 ドォンッ! 爆発的瞬発力にガトーは負けなかった。

霙「むっ!」

 ザクⅡの両手が張り手のように突き出され、アルトアイゼンの顔を覆った。
 ヒートホーンとの差を僅か十数センチにされながらザクⅡは後退を続け、岩壁にぶち当たっても尚、手は離れなかった。

ガトー「ジャブローのモグラ如きに!」

霙「それは不愉快だ。一緒にしてほしくはないな」

ガトー<信念>「黙れ! 怠忽にスペースノイドを弾圧するだけの愚か者どもが!」

 咆哮にザクⅡの脚部が開いた。
 そこに収納されていたミサイルポッドが、自機誘爆の警告を無視して発射される。

 ドドォンッ! アルトアイゼンとザクⅡが爆炎に包まれた。

氷柱「霙姉様!?」

霙「心配するな、氷柱。私は無事だ」

 全身火薬庫のようなアルトアイゼンは、特に正面の装甲が厚く作られている。
 多少の損傷はあるが、問題はザクⅡのほうである。無事で済むとは思えない。

霙「!」

 センサーを確認していた霙が表情を変えた。
 黒煙の中、敵機のハッチが開いていたのだ。

霙「この爆発の中を逃げるのか?」

ガトー「私は倒れん! ジャブローの魔窟を滅ぼすまで!」

 マイクが拾った音声は確かにあのパイロットだった。
 アナベル・ガトーは、燻るザクⅡのコクピットブロックから持ち出したバズーカをアルトアイゼンに撃った。

 ドゴォッ!

霙「ぐっ! バランサーが……!」

 関節を狙い撃たれ、相撲取りのような体系をしているアルトアイゼンは自重を支えきれずに膝を着いた。

アカハナ「アナベル少尉! 作戦はもうダメだ! 撤退しろ!」

ガトー「特務少尉! ……了解しました。アナベル・ガトー、撤退します!」

 敬礼をしてバズーカを捨てたガトーは、ひらりとザクⅡから飛び降りて、鍾乳洞のごつごつした岩場に隠れ逃げていく。
 アカハナもまた、ズゴックを翻して高く跳躍して鍾乳洞の天井にアイアンネイルを突き刺し、ターザンのように撤退を開始していた。

アカハナ「アッガイ三機、ザクⅡ三機も全滅か……!」

 酷い有様だった。まさか、こんな場所に素早く七機もの機動兵器が現れるとは思っていなかった。
 この七機が全て同じ部隊だとしたら、指揮官はおそらく名将になるだろう。
 アカハナの考える背後で、急速に接近してくる物体があった。

アカハナ「なにっ!?」

氷柱「逃がさないわよ……!」

 あの奇妙な飛び道具を使うゲシュペンストだ。
 機動力も開戦時に戦っていたものとは全く違う。

アカハナ「畜生! たかだかガキ一匹に手間取っていられるか!」

氷柱「私にはアンタたちの思想なんて興味ないわ。ただね、ユキの未来を食い潰そうっていうのなら!」

 コンソールの端にガラスで守られている黄色いスイッチを、氷柱は押した。
 海晴が封印したプログラムが発動し、ディスプレイに文字が浮かび上がり、氷柱は叫んだ。

氷柱「コード・VGP!」

 瞬間、飛行するゲシュペンストはぐるんと前方へ回旋して全身の挙動を張り詰めさせた。

氷柱「ドライブ・オン! アタッカー・フルドライブ!」

 バシュッ! 体勢を整えたゲシュペンストが拳を握り固めて胸を張る。

氷柱「必殺!」

 ドゴォンッ!
 姿勢を低くしてゲシュペンストはロケットスタートのようなブースターの爆発力に自分の怒りを重ねた。

氷柱<熱血直撃努力>「ゲシュペンスト! パァァァァァンチ!!」

アカハナ「なにぃぃぃぃぃぃ!?」

 ドゴォォォォォォォォォォォォォォォンッ!! 全霊の一撃がズゴックの腹を直撃した!

 元の形がわからなくなるほど破壊された機体は、鍾乳洞の中を通る河に溺れて流れていく。

氷柱「この技……本当に叫ばなくちゃいけないのかしら……?」

 地面に下りた氷柱がそんなことを呟いたのは、始めての実戦を終えた緊張をほぐすためだった。

氷柱「助からないわよね……でも、お互い様よ……」

 思いの外、実感は薄かった。覚悟は相当に積んでいたはずだ。
 何より、やらなくてはならないという気持ちが、氷柱を支えている。
 どうせいつか血で汚れる手だ。救える命と救えない命を、天秤にかけることはできない。
 あの小さな妹は、氷柱よりもずっと前に、あの暗い病院の中で知っていたのだ。

氷柱「ユキ……これで私も……」

 呟きは、損傷箇所の報告に紛れて聞こえなかった。

 
 ジャブロー 洋上

 連邦、ギガノス、ドレイク軍が入り乱れるジャブローの防衛ラインは、一層の混迷を極めていた。

 ドレイク軍の後ろを、ゴラオンが追撃してきたのである。
 800メートルにもなる戦艦は到着と同時にドレイク軍にぶつかっていき、オーラノバ砲を発射した。

エレ「ドレイク軍の様子はどうなっていますか?」

エイブ「主砲で範囲内のほぼ半分を撃墜しました。次の戦力投入までは有利になりましょう」

エレ「わかりました。各隊、攻撃を開始してください」

 ラウの国の技術を結集したオーラノバ砲の威力はオーラ力の充満した地上世界にて更なる威力を発揮し、ジャブローにまで届いた。

トッド「ちぃっ!」

 その勢いに煽られたズワァースは打ち合っていたダンバインともども体勢を崩していた。

チャム「タマキ! 落っこっちゃうわよ!」

トッド「そこだ! もらったぜぇ!」

 ドシュゥッ! オーラキャノンがダンバインをかすめていく。

珠姫「くっ……ダンバイン!」

 ガキィンッ! 即座に迫り来るズワァースの曲剣を辛うじて受け止める。

トッド「今日こそやってやるぜぇ、タマキぃ!」

珠姫「あなたみたいな人が――っ!」

 ギン! ギィッン――! 二機のオーラバトラーが激しく打ち合う。

トッド「お前にやられてから、オレのオーラが疼くんだよ!」

珠姫「オーラ力に憎しみを込めてはいけない!」

トッド「お前がオレにやられちまえばいいんだよ!」

珠姫「聖戦士なんてやめればいい!」

トッド「今さら遅ぇんだよぉ!」

 ギャリィィンッ! 火花が散る。

トッド「わかるか、タマキ? 一度やりあっちまったら、後は食うか食われるかなんだよ!」

珠姫「そうやって自分を狭くしていくの!?」

チャム「タマキ! ダメだよ、憎しみの力を強くしちゃダメぇ!」

 必死の呼びかけが戦闘だけを見ていた珠姫の意識を揺さぶった。

珠姫「チャム……」

チャム「タマキ! アイツと話しちゃダメ! タマキが呑みこまれちゃう!」

珠姫「そうだ……憎しみはオーラ力を強くするけど……!」

トッド<気合>「タマキィィィィィ!!」

 ガギィィィィンッ! 加速してゆくオーラ力を制御する瞬間に、ズワァースの曲剣がダンバインの剣を弾き飛ばした。

 だが、それは思わぬ結果を招いてしまう。

フェイ「何だと!?」

 ダンバインの剣がレプラカーンの肩にぐっさりと刺さったのだ。
 突然、機体の四分の一を失ったフェイ・チェンカが事態を確認するより先に、ヒカルはネオ・プラズマカッターを振り下ろした。

ヒカル「やぁぁぁぁっ!」

 ズバァッ!! 出力が強化されたプラズマカッターはレプラカーンを左肩から股関節までを袈裟切りにした。

フェイ「ちきしょうめ! この俺がこんなところでぇっ……!」

アレン「ふん、自分の不運を呪うんだな、フェイ・チェンカ」

 墜落していく友軍機の上を飛ぶビランビーは剣にオーラソードを纏わせてゲシュペンストに向けていく。

 一方で、剣を失ったダンバインと、新たな剣を出させないように攻め立てるズワァースの間では尚、激しく戦いのオーラが渦巻いていた。

珠姫「わかった!? 貴方のオーラ力が味方まで巻き込んだ!」

トッド「違うな! お前も聖戦士ならわかるだろぉ!? 大気中のオーラ力の流れが! それを探ればあの程度避けられたはずだぜ!」

珠姫「それが傲慢だって何故気付かないの!?」

チャム「タマキ! ダメだってばぁ!」

珠姫「わかってる!」

 大きく前へ出て行ったダンバインが身を翻してズワァースと対峙した。
 珠姫は自分のイメージとダンバインを重ねる。
 あの畳の部屋で、坂本美緒少尉の剣を受け止めたときの自分の心を強くイメージする。
 オーラの流れを自分のものとして、それを手と剣のように発揮する!

珠姫「オーラ力だけをやってみる!」

 両手両足を広げたダンバインのオーラ力がズワァースを覆っていく。

トッド「チィ! 動かなくなる!? 舐めるなよぉ!」

 グアァ――トッドもまた、オーラ力を膜状に展開してバリアのようなものを発生させた。

トッド「どうだ、タマキ! お前だけがオーラ力を操れると思うなよ!」

珠姫「人間がオーラの力をこんな風に使っては世界を歪めるだけなのに! どうしてそれがわからないの!?」

トッド「言葉だけでわかった気になれるのも、人間だからだよ、タマキ!」

 やはり、憎しみの力はオーラを強くするのか――次の瞬間、トッドのオーラ力は珠姫のオーラを爆散させた。

トッド「所詮、ジャップのイモにはわからねぇのさ、東部の落ちこぼれのことはなぁ!!」

 ズワァースが両手に曲剣を持った。
 確実にダンバインを仕留める腹づもりだ。

チャム「ダメよぉ、タマキィ!」

トッド「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ! タマキィィィィィィィィィィ!!」

珠姫「くぅっ……!」

夕映「ゲッタァァァァァァァァァ!!」

 だが、二者の間に割り込んだ赤い影が、その痛みを引き取った。

トッド「ちきしょったれめぇ! デカブツがでしゃばるんじゃねぇ!」

夕映「ゲッターロボは世のため人のためにあるです! それを破壊するものに、私たちは容赦しません!」

のどか「いけるよ、ゆえ!」

夕映「ゲッタァァァァァァァァビィィィィィィィィィム!!」

 ズバァァァァァァァ!! 量子レベルで溶かしつくす光線にたまらずズワァースは離れた。

トッド「ミュージィ、どこにいやがる!?」

 ゲッターロボの相手はミュージィがしていたはずだ。トッドが回線に怒鳴り散らすと、逼迫した声が返ってきた。

ミュージィ「申し訳ありません。別の敵が……くっ!」

 白いカラーリングのミュージィのズワァースは、同じく白い機体のヴァイスリッターと曲芸飛行の如き空中戦を展開していたのだ。

海晴「アラアラ、まだ私の実力は見せてないわよん」

 尾の長いビーム光がトッドにも視認できた。ヴァイスリッターの白線が綺麗な螺旋を描き、ミュージィを追い詰めている。
 戦局そのものは長い間膠着しているが、この空域はフェイ・チェンカが落とされたことにより、アレンとジェリルが苦戦を強いられている。
 ショットが交渉していたギルガザムネとかいうのも、メタルアーマーとやらに阻まれている。

トッド「連中に任せていたら、日が暮れちまう!」

 元々、今回のドレイク軍の作戦はあくまでもジオン軍降下部隊のサポートである。
 そのジオン軍は、ジャブローの対空防御に苦戦している。
 ドレイク軍が陸に近づき、少しでも多くの防衛機能を割かせなければ、帰る道のないジオン軍の勝利は絶望的なのである。

ヒカル<熱血必中努力>「メガブラスタァァァキャノォン!!」

 ズドォォォォッ!!
 ゲシュペンストの胸部から発射された高エネルギー砲がジェリルのレプラカーンの背中に直撃した!

ジェリル「このぉぉぉぉぉぉ!!」

トッド「ジェリルか! 引き揚げ時か!?」

 ダンバインは既に新しい剣を抜いている。
 トッド自身も先ほどのオーラの放出で疲労している。
 一時後退して、戦線を立て直させるか――

 ずぁっ――

トッド「!?」

珠姫「なに!? この……」

エレ「邪悪な……悪意が……」

 オーラに敏感な者達が先に気付くと、それに怯えたオーラが戦場に伝播していく。

ドレイク「風が……変わった……か……?」

チャム「危険だよぉ……タマキ!」

紀梨乃「これは……いったい……?」

ミュージィ「何かが……来る!?」

 圧し掛かるような威圧感の正体は、最も高いところにいる白銀の天使に標的を定めていた。

海晴「どうしたの……みんな……ッ!?」

 快晴の空を引き裂く一撃が、ヴァイスリッターの軽い機体を吹き飛ばした。

 水しぶきが柱の如く立ち上がる。

チャム「あれだよ……恐ろしいオーラの持ち主は!」

珠姫「あれは……レプラカーン……?」

 一帯が固唾を呑む中に浮かび上がってきたのは、染めたように漆黒のレプラカーンであった。
 だが、レプラカーンがあれほどの速度を出すはずがない。
 そして、ただの人間があれほどの強烈なオーラ力を出すはずがない。

 黒いレプラカーンで特に異様であったのは、バイストン・ウェルのものとは大きく異なる細身の剣であった。
 金色の翼を模した柄の剣は、昆虫類に似るオーラバトラーとはとても見合う物ではないが、邪悪なオーラ力とは波長が合うようで、禍々しく光っていた。

 黒いレプラカーンはダンバインを探し、見つけると細剣を構えた。

「カワゾエ・タマキ……」

珠姫「……何でしょうか?」

 隠し切れない嫌悪感を舌に乗せて応じる珠姫に、黒いレプラカーンは動じることなく名乗った。

「我は黒騎士。貴様とダンバインに尋常の勝負を挑む!」

チャム「タマキ……アイツ変だよ……恐いよ!」

珠姫「うん……でも、敵である以上は……!」

 ダンバインが剣を構えたとき、レプラカーンは既に剣を振り上げ斬りかかってきていた。

黒騎士「カワゾエ・タマキ、いざ勝負!!」


 ジャブロー連邦基地 第三高射砲拠点

美緒「砲口の修正は済んでいるか?」

 管制塔の屋上で眼帯に隠された魔眼を光らせながら、特別防衛魔女部隊坂本美緒少尉は、真下にいる管制官に問うた。

連邦兵「はっ! いつでも迎撃可能であります!」

美緒「よし、約四秒後だ。三、二、一、撃て!」

 最後の指示だけは管制官と重なる。
 途端に、無数の爆音がして、青空に花火が上がった。

美緒「命中、十七か……私もまだまだだな」

 たった一度の指令で降下するモビルスーツ大隊を潰滅させたウィッチは眉をひそめた。

美緒「次は空母、ガウを狙うぞ。第一小隊から……」

 再び魔眼を光らせながら、美緒は高射砲の角度を細かく指示していった。
 管制室にいる拠点部隊長は「これは本当に戦争なのか」と疑った。

 降下してくるモビルスーツは着地の直前にバーニアを噴射すればよいため、降下は自重で垂直に落下してくる。
 要するに、位置、高さ、速度が、従来の戦闘機を追うタイプの高射装置では縦の落下に対応しきれないのだ。
 そのため、モビルスーツ降下作戦が行われると、高射砲部隊の仕事はないと言われていたのだ。
 だが、魔眼を持つ坂本美緒少尉が立つと、状況は一変した。

 元々、ジャブロー防衛部隊の兵士たちは彼女らウィッチなどという存在を理解していなかった。
 いわゆる虎の子として本営直属にされていたのだ。
 それが今回のジオン・ギガノス総攻撃に対して突然、最前線に現れて「私が指示を出す」と言い出したのだ。

 実際に引力を真に受けて降下するモビルスーツを捕捉できていなかった高射砲部隊は面白がって従った。
 第一に、少尉が美人だったからだ。
 ようやく大人の域に到達したばかりのサムライ・ガールの異様に細かい指示に、戸惑いながらも言うとおりにする。

 結果、彼らはジャブロー防衛において、現時点で最大の戦果を挙げたのだ。

美緒「……よし、撃ち方用意……」

 遥か上空に浮かぶ攻撃空母ガウを見据えて、美緒は抜いた刀を空へ向ける。

美緒「撃て!」

 即座に砲弾が射出される。
 だが、それらの一つとして、ガウに当たることはなかった。

シャナ「はあぁぁぁぁぁ!!」

 陽炎のように表れた燃え上がる炎のように赤い少女が、刀を振ると、見えない網に引っかかったように砲弾は全て落ちてしまった。

美緒「なにっ!? そうか……あれが赤い彗星か!」

 刀を握りなおした美緒をシャナ大佐が見下ろす。

シャナ「あれがジャブローの魔女ね……第二波まであと140秒……それまでに落とす!」

 急降下するシャナは火を纏うため、燃え盛る流星のように見える。

美緒「私と刃を交えるつもりか……面白い」

シャナ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

美緒「せぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ぎゃりぃぃぃぃぃぃぃっ!! 裂帛の気合が鍔迫あう。

美緒「なるほど! 赤い彗星、凄まじい!」

シャナ「連邦に私の剣を受け止める奴がいるとはね!」

 二人は立ち位置をほとんど変えることなく、数十合を打ち合った。

シャナ「燃えろ! 贄殿遮那!」

美緒「吼えろ! 烈風丸!」

 巨大な魔力と炎がぶつかりあい、波動にジャブローの密林が薙ぎ倒されていった。


 ジャブロー 洋上

 ギルガザムネと黒いレプラカーンが戦場に混沌の渦を作り上げている。

朝倉「あはははっ! 邪魔だよ! 邪魔ぁ!」

 青龍刀の一太刀でドラグーンを二機叩き落とし、その爆炎の中から大口径のハンドレールガンを乱射する。

黒騎士「どけっ! 斬り伏せるぞ!」

 予測も追いつかないほどの高機動性でダンバインを執拗に狙い、道中を遮る機体を敵味方問わず黒騎士は破壊した。

珠姫「こんな……っ! 憎しみの力で!」

チャム「タマキぃ! 危ない!」

 切っ先でレプラカーンの細剣をかわす珠姫の背中に何者かが張り付いた。

トッド「お前は俺が倒すんだよ!」

 ズワァースの斬撃を上昇して避けたダンバインはさかさまになって、黒いレプラカーンに剣を突き出した。

珠姫「このぉ!」

黒騎士「まだだ!」

 ガキィンッ! ダンバインの両手で握った剣がレプラカーンの片手に持たれた細剣に逸らされた。

珠姫「スピードだけじゃない! パワーも違う!?」

黒騎士「私は、貴様を倒すために、悪魔に魂を売り渡したのだ!」

 オーラが波紋になって周囲の機体を巻き込みながら、二人をぶつけさせた。

黒騎士「私のオーラ力で、今日こそ貴様を倒す! ダンバイン!」

珠姫「これがオーラ力!? こんな禍々しい力で!」

紀梨乃「タマちゃん、危ない!」

 にじり寄っていたビランビーにボチューンが突っ込む。

アレン「チッ、邪魔をするんじゃねぇよ!」

紀梨乃「寄ってたかってタマちゃんをいじめるんじゃない!」

海晴「紀梨乃ちゃん!」

 戦場の高いところにいるヴァイスリッターから援護砲撃がビランビーに当たる。

アレン「うおっ!」

紀梨乃「やぁぁぁぁっ!」

 ズバァッ! ビランビーの背中が鮮やかな切り口を見せて飛行能力を失った。

アレン「くそぉ……!」

朝倉「やっぱり、アナタが一番邪魔なようね」

 チームでも最年長になる海晴へ、ギルガザムネが走る。

海晴「ヒカルちゃん!」

ヒカル「あぁ!」

 その動きを予期していた海晴の合図で、ゲシュペンストが飛び込んでくる。

ヒカル「ジェットマグナム!」

朝倉「同じ手は喰らわないわ!」

 巨体に似合わぬ素早さをギルガザムネは見せた。
 その場で停止して独楽のように旋回し、重い刃でゲシュペンストの腕を拉ぎ取る。

ヒカル「ぐっ……!」

海晴「サンキュウよ、ヒカルちゃん。その動きも計算どおり!」

 ちょうど九十度回ったヴァイスリッターは、ギルガザムネのハンドレールガンにオクスタンランチャーを向けた。

海晴「蝶のように舞い、蜂のように刺すのよ」

 ドゥッ! ドゥンッ! 威力抜群の実弾が鎧武者の右手に当たる――はずだった。

朝倉「ダメよ」

 ガァンッ! ギルガザムネの肩当てが不自然に浮かび上がり、弾丸を弾いてしまった。

海晴「副腕<マニピュレーター>!?」

朝倉「このために近づいちゃったね」

 ジャキ――射程内のハンドレールガンが海晴に火を噴く!

シノ「そうはさせるかぁ!」

 ガガガガガガガガガガガガガガッ!!
 両者の間に割って入ったドラグナー1型カスタム機がルナ・チタニウム製のシールドで、ヴァイスリッターを守った!

朝倉「あら? ふーん……」

 カチ、カチ――弾薬の切れた銃を朝倉涼子は海に捨てた。それが海面に着くより早く彼女は動き出した。

朝倉「楽しませてね」

 ぶぉん! 青龍刀が唸りをあげてシノに襲い掛かる!

シノ「――!」

 その瞬間、シノは数週間前の恐怖をフラッシュバックした。
 尻から膝までが竦んで、現実感がなくなる。

アリア「シノちゃん!」

 控えていたドラグナー2型カスタム機が640ミリと人間の顔よりも巨大な砲丸をギルガザムネの前に飛ばした。
 その風圧にシートを締めたドラグナー1型のメインコンピュータ<クララ>が対応を求め、シノは意識を戻した。

シノ「今こそ……打ち勝つ時!」

 コクピットの中で集中する。
 坂本美緒の剣を受けたあの澄んだ空気が甦ると、今度ははっきりとギルガザムネの邪悪な気配が読み取れた。

シノ「そこだっ!」

 バキィンッ! 左肩をやや沈ませたD-1が振り上げた右手には抜き放たれたレーザーソードがある。

朝倉「……へぇ」

 切断された左手を確認して、朝倉涼子は笑った。頭上に飛ばされた青龍刀を右手でキャッチして、肩に担ぐ。

朝倉「簡単に壊せると思ったら、簡単に直っちゃった。人間って、面白いよ――ねっ!」

 遅れて落ちてきた左手をまるでテニスのレシーブのように青龍刀の腹で打った。

シノ「くっ!」

 シールドで防ぐと、目の前には既に金色の巨体が迫っていた。

シノ「まだいける!」

 へばりつく恐怖に立ち向かうように改良されたバーニアを噴かし、突進する。
 D-1カスタムの肩とギルガザムネの脚がぶつかり、傾くが、そのおかげでギルガザムネは孤立してバランスを崩すことになった。

朝倉「うくっ……」

シノ「今だ! 二人とも!」

アリア「ソニアちゃん、速攻でチャージ!」

スズ「光子バズーカ、スタンバイ!」

 高く躍り出た二機のドラグナーがギルガザムネを十字砲火に捉えた!

スズ<熱血>「懺悔はセルフサービスよ!」

アリア「轟けぇーっ!」

朝倉「一次装甲!」

 ドシューッ! 強力な光子ビーム砲の交差点に曝されたギルガザムネだったが、副腕で盛り上がる肩当てを外すことにより、衝撃を二次的なものにすることに成功した。

 実弾ならば、それで本体は無傷だが、実体を持たないビーム兵器はそうはいかない。
 圧倒的な熱量で鎧の装甲をじりじりと溶かしていく。

朝倉「あーぁ……何か変だなぁ……レーダーが追いついてないのかしら……」

 機体損耗率が危険域に達したことを報せるアラームを聞き流して、朝倉涼子はコンソールに指を這わせる。

朝倉「あら、これって……」

 今回の戦闘のデータのバックアップしていく最中、彼女は索敵システムの動作に違和感を見つけた。

朝倉「ふぅーん……」

 指先を形のいい唇にあててしばらく考え事をした後、彼女は自爆の命令を出して脱出ポッドを作動させた。

スズ「これは……七条先輩! 会長! 早く離脱を!」

アリア「スズちゃん!?」

シノ「離脱するぞ、アリア!」

 ドドォッ……! ドラグナーの背に爆風が当たる。



チャム「いっけぇぇぇぇ! 必殺のオーラ斬りだぁっ!」

珠姫「はぁぁぁっ!」

 ズバァッ! ミュージィ・ポゥのズワァースが両腕を斬り落とされた。

ミュージィ「ショ、ショットさまっ……!」

 この報せが入った瞬間、ドレイク・ルフトは攻撃をやめることにした。
 もともとは、リョウコ・アサクラとかいうギガノス帝国の使者の甘言に乗せられていただけだと自覚していたのだから、彼女が墜落し、聖戦士もトッド・ギネスだけになってしまっては、ドレイク側にはもはや旨みはない。

ドレイク「地上の軍隊、城というものは、かくも恐ろしきものであったか」

 彼もまだ、王としては若い。それに事実上、北アメリカは彼の領土と化している。
 地上で戦える力を蓄える必要がある。幸い奴らは内乱を起こしている。

トッド「チッ……黒いレプラカーンが邪魔したせいで熱が冷めちまったぜ」

 負け惜しみという訳でもないが、曲剣を投げつけてボチューンに当ててやった。
 これで少なくともアレンにでかい顔をされることはない。
 素早くトッドは戦域から離脱した。

 よって、残ったのは黒いレプラカーンに乗る黒騎士だけとなった。

黒騎士「貴様らに告ぐ。私の目的はカワゾエ・タマキならびにダンバインとの決着をつけることだ」

海晴「あら、正々堂々の勝負ってことかしら?」

ヒカル「どうする、川添さん?」

珠姫「……やります」

チャム「タマキって、こういうの好きよね」

スズ「会長、私たちはジャブローを攻撃する別部隊へ向かいましょう」

シノ「うむ、わかった」

夕映「私たちも行きますよ」

ハルナ「えぇぇ~」

夕映「あからさまに嫌な顔をしないでくださいです」

のどか「あ、赤い彗星の介入でー……ジオンの降下部隊が続々下りてきてるみたいー……」

 ドラグナーとゲッターロボが身を返す後ろで、ダンバインと黒いレプラカーンはお互いの剣を構えていた。

 真剣勝負――互いに一切の隙を見せず緊張する時間が両者の間に流れた。

珠姫「…………」

黒騎士「…………」

 二人とも、相手のオーラを読んでいる。それは槍先にも似て、その切っ先から出方を察することができるのだ。
 ヒカル、海晴、紀梨乃はどちらが先に仕掛けるのか……固唾を呑んで見守るが、結局、干戈が交わることはなかった。

あしゅら男爵「ゆけぇぇぇぇぇぇい!! 海底要塞サルード!!」

 ざばぁぁぁあぁっ!
 いきなり海面が盛り上がり、太い塔の頂上と土台に岩をくっつけたような物体が珠姫と黒騎士の間に現れたのだ!

黒騎士「なにっ!?」

珠姫「これは!」

あしゅら「わぁ~っはっはっはっはっは! 愚かな地球人どもめが! 仲間割れをしている貴様らの基地、我があしゅら軍団が制圧してくれるわ!!」

ヒカル「あしゅら男爵!?」

海晴「最近おとなしくしていたと思ったら、こういうことだったのね」

あしゅら「ゆけぃ! ドクター・ヘル様の機械獣軍団! ジャブローへの上陸地点を確保するのだ!」

 ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉん!! 杖を高く振り上げる号令で、浮上した要塞の上部分からダブラスM2、ガラダK7、アブドラU2、ジェノサイダーF9が飛び出した。

ヒカル「機械獣が四体も!」

海晴「機械獣が相手じゃジャブローの防衛システムも危ないわね」

黒騎士「ククク……何者かは知らぬが邪魔が入らなくなるならば好都合! ダンバイン、いざ勝負!」

 黒いレプラカーンがサルードを飛び越えてダンバインに斬りかかった!

チャム「正面! 当たっちゃうぅ!」

珠姫「やらせない!」

 ギィィッ――! 剣と剣が正面からぶつかりあい、火花がオーラ力に混じる。

黒騎士「そうだ! これだ! 血沸き、肉躍る! 我が尊厳を取り戻す時が今!」

珠姫「強い……! 憎しみの力が、オーラを充満させている!」

 まるで接着したように両者の剣が長く鍔迫り合いを始めた。


 ジャブロー 鍾乳洞

 ジオン軍の特殊工作部隊の攻撃を退けたマジンガーZ、ガンダム、Gブル、ゲシュペンストTYPE-R、アルトアイゼンと合流したなのはは、鍾乳洞の河を溯っていく。
 損壊したダイアナンAとボスボロットはホワイトベースへ戻り、修理後直掩に回る。

唯「地上では戦いが激しくなっているんだよね」

氷柱「報告だと、ギルガザムネというギガノス軍の新型が連邦のドラグーン部隊を潰滅させたみたい」

霙「私たちはこの鍾乳洞を出た先に潜伏していると思われるジオンの工作部隊を倒す……むっ」

 ガトーに潰されたアルトアイゼンの膝関節部は既に交換してある。
 重力下で巨体を支える重要な部位であるため、予備パーツを格納しているのだ。

『我等の土地から出て行け!』

 先頭を走る赤い巨体に石がぶつけられた。
 続いて歩兵用のアサルトライフル、なのはの邪魔をした原住民族たちである。

なのは「あの人たちは、シャナちゃんを火の神さまとして味方しているみたいなんです」

 レイジングハートが解析した言語をそのまま伝えると、霙はやれやれと首を振った。

霙「ジャブローの開発は原住民たちに何のことわりもなく行われた。以来、彼らは何代にも渡って抗議活動を続けている」

すずか「わかってもらうことはできないのでしょうか……」

霙「いったい何をわからせると言うんだ? そもそもジャブローがなければジオンは攻めてこなかったんだぞ。連邦中枢において、コロニーへの移住はいわばゴミ出しと一緒なのさ。地球が窮屈になったから、余計なものを放り出そうということだ」

なのは「シャナちゃんは、サイド3は家畜のようにされているって言ってました……」

霙「移住がゴミ出しなのだとしたら、コロニーは焼却炉さ。都市から一番遠い焼却炉が一番粗悪な物を燃やす。そして使えなくなれば打ち捨てるだけだ」

氷柱「地上なら地続きでどうにかなるけど、コロニーは宇宙に漂っているわ。人工栽培物以外の物資は地球に依存しなければならない」

霙「結果として、コロニー側は連邦政府に対して圧倒的に隷属させられる運命にある訳だ。それを実際に見て確かめたレビル将軍はジオンに兵なしと言った訳だ」

唯「あっ、知ってるよ。何度もニュースに出てたもんね」

氷柱「言っておくけどね、生放送時以外の将軍の演説は大きく歪曲させられているわよ。将軍はジオンと同時に連邦の腐敗した中枢部もまた敵だと言ったのに、以後の放送ではその箇所はまるきりカットされているんだからね」

アリサ「本ッ当にどうしようもないわね……」

 鍾乳洞を出て、彼女たちは驚いた。
 そこは予想していた戦場ではなかったのだ。

唯「機械獣だ!」

 最初に反応したのは唯だった。彼女が倒した機械獣がジャブローに上陸して防衛部隊を蹂躙している。

唯「くっそー! あしゅら男爵め!」

 マジンガーZを走らせて機械獣に突進していく。

あしゅら「出てきおったな、マジンガーZ! 喰らえぃ!」

 ボシュッ! ボシューッ! サルードからミサイルが発射されて、マジンガーZに当たった。

唯「うわぁっ! あしゅら男爵め、そこにいるのかー!」

 ぐっと腰を下ろして、マジンガーZを飛翔させた。

 ぐぉーん……ジェットスクランダーから光子力ジェットエンジンで海中に沈み始めているサルードへ向かって飛ぶ。

唯「ドリルミサーイル!!」

 シュボボッ! ドォォンッ! マジンガーZの肘から発射されるミサイルがサルードに命中する。

 唯は機械獣が射出されて開き放しにされているサルードの登頂部に飛び込んでいく。

あしゅら「ぬうぅ! 早く海の中に入れぃ!」

唯「ふおぉぉぉぉぉーっ!!」

 サルードの口が閉じるよりも、ジェットスクランダーのほうが速い!

あしゅら「やれぃ! 水中機械獣グロッサムX2!!」

グロッサム「ぐおぉぉぉぉん!!」

 ざばぁっ!
 今しもマジンガーZがサルードの入り口に乗り込もうかという瞬間、波を割って巨大なハサミを頭部に持つ機械獣が体当たりをして海に叩き落した。

唯「う、うわぁっ!」

グロッサム「ぐおぉぉぉぉん!!」

あしゅら「くくく……グロッサムX2よ、お前は水中でしか戦えぬが、水中でのお前の力は素晴らしい! 水中で自由の利かないマジンガーZを叩き潰してしまえ!」

グロッサム「ぐおぉぉぉぉぉぉん!!」

 海中を凄まじいスピードで進んでグロッサムX2は巨大なハサミをマジンガーZに開いた。

唯「速い、すごく速いよ!」

 ガチィンッ! ハサミがマジンガーZの腹に噛み付いた!

唯「うくっ……! 超合金Zが、こんなのに負けるかーっ!」

 海底の砂に脚をとられながら、マジンガーZは頭上で拳を固めて振り下ろす。

グロッサム「ぐおぉぉぉぉぉぉん!!」

唯「このっ、この!」

 がしっ! がしっ! 何度も叩くが、水の抵抗で威力が半減されている。

唯「それなら、ルストハリケーンだ!」

 ぶおぉぉぉぉぉぉ! 檻のような口からルストハリケーンが噴き出す!

 海の中では酸は効果を失うが、強力な風がグロッサムX2を襲う。

グロッサム「ぐおぉぉぉぉぉぉん!!」

唯「これなら、何とかなるかも……」

あしゅら「そうはさせんぞ、平沢唯!」

 ぐおぉぉ……! グロッサムX2のピンチにあしゅら男爵は海底要塞サルードをぶつけにきた。

 ドカァッ! 直撃を喰らってマジンガーZは海中を流される!

唯「うわぁぁぁ!」

ハルナ「唯ちゃん!」

 がしっ! マジンガーZを捕まえたのは、ゲッター3であった。

唯「ふぃ~、ありがと~」

夕映「どういたしましてです」

のどか「こ、ここはゲッターにまかせて、ゆいさんは地上の機械獣をお願いしますー……」

唯「うん、わかったよ! 海の中じゃマジンガーのパワーが発揮できなくて大変だよ!」

ハルナ「あとはこのパル様とゲッター3にまっかせなさい!」

 ジェットスクランダーから光子力エンジンを燃やしてマジンガーZは浮上し始める。

あしゅら「むっ、マジンガーZが逃げるぞ、グロッサムX2!」

ハルナ「おおっと、やらせないわよ」

 唯を狙う水中機械獣の前に、ゲッター3が立ちはだかった。

あしゅら「ぬぅぅ! 邪魔をするならやってしまえぃ、グロッサムX2!」

グロッサム「ぐおぉぉぉぉぉぉん!!」

ハルナ「ふふふ……ここんぼところ活躍しているのはほとんど夕映ばかりで鬱憤が溜まってたのよ」

のどか「ぱ、ぱるが不気味……」

 ガッチィン! 無限軌道の戦車のようなゲッター3が腕を伸ばしてグロッサムX2のハサミを掴んだ。

ハルナ「おんどりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ドゴォン! バックしながら右に回り、機械獣を岩に叩き付けた!

あしゅら「ええぃ! 何をやっておるか! グロッサムX2を援護せい!」

 ボシューッ! ボシューッ! サルードからミサイルが発射される。

ハルナ「甘っちょろいわよん! ゲッターミサイル!」

 迎え撃つハルナもミサイルを発射して、ミサイル同士を命中させた。
 爆発が起きて、視界が泡で見えなくなった。

グロッサム「ぐおぉぉぉぉぉぉん!!」

 泥煙に紛れてグロッサムX2がゲッター3の首に喰らいつく!

ハルナ「遊びはここまでよ! 機械獣ちゃん!」

 がしっとハルナはゲッター3の手でグロッサムX2の刃を掴み、無理やりにこじ開ける。

あしゅら「むぅぅ! ゲッターロボめ!」

ハルナ<気合>「月まで届かせるわよ! 大・雪・山おろしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 グロッサムX2を掴んだゲッター3がその場でぐるぐる回り、遠心力を利用して高くぶん投げた!

 そしてなんという幸運か、その真上には黒いレプラカーンがいたのだ。

黒騎士「なにっ!?」

 どがぁぁぁんっ! 突如下から機械獣をぶつけられた黒いレプラカーンは大きくバランスを崩す。

 それは当然、対峙していた相手に大きな好機を与える。

珠姫「今しかない!」

チャム「やっちゃぇぇぇぇ!」

 ダンバインを上昇させ、剣を高く掲げた。
 その剣にオーラ力を宿して、振り下ろす!

珠姫<熱血>「邪悪なオーラ力なんか!」

チャム<幸運>「いっちゃぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 ズバンッ! 黒いレプラカーンが一刀両断された!!

黒騎士「くぉぉっ……! こんなことでっ!!」

珠姫「憎しみのオーラは、憎しみしか生まない……!」

黒騎士「ククク……莫迦を言うなタマキ!」

珠姫「負け惜しみを!」

黒騎士<ド根性>「こんなことで、この私が終わるはずはないのだ!」

 ぞるっ――肩から腰までを切り離された黒いレプラカーンの傷口から、茨が這い出て絡まり、繋ぎ合った。

紀梨乃「な、何が!?」

チャム「いやぁっ!」

黒騎士「私は悪魔に魂を売り渡したのだ! 我が手で貴様を討つために!!」

珠姫「バーン・バニングス!! あなたという人は!」

 再生を果たした黒いレプラカーンは細身の剣に禍々しいオーラ力を纏わせる。

黒騎士「我が剣を受けよ! タマキィィィィィィィィィィィィィ!!」

 剣から発せられたオーラ力がダンバインに巻きつき、捕縛した。

紀梨乃「タマちゃん!」

珠姫「う、動かない!」

チャム「だめぇ! やられちゃうぅぅ!」

黒騎士「ハァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

「「「「ブライスピアーッ!!」」」」

黒騎士「なんだと!?」

 ズシャァァァッ! 上空から投げられた巨大な槍に、黒いレプラカーンの剣が弾かれていった。

 黒騎士を撃ったのは、真紅の手足に鎧のような装甲を持つ巨大なロボットだった。全長はオーラバトラーの四倍はあるだろう。

 それを巨獣のレンズ越しに視認したとき、ジャブロー全域に声が轟いた。

こなた「夜空の星が輝く陰で!」

かがみ「ワルの笑いがこだまする!」

つかさ「星から星に泣く人の!」

みゆき「涙背負って宇宙の始末!」

かがみ「銀河旋風ブライガー! お呼びとあらば即参上!」

こなた・つかさ・みゆき「「「イェーイ!」」」

 ジェイナインジェイナイン ナサケームヨウ
 アステーロイドーベルトノー
 アウトーローモーフルエーダスー
 コズモレンジャージェイナイン!


黒騎士「ぞ、増援か、敵の!」

「「「「クロォォォォス・ファイトッ! ダン! ガイ! オー!!」」」」

黒騎士「なっ! そこにもか!?」

 反対方向を見上げた黒騎士の目の前で、白金のロボットが現れた!

シャロ・ネロ・エリー・コーデリア「「「「ダンガイオー! 見参!!」」」」

 クロースファーイト クロスファイッ!(クロスファイッ!
 ジャストクロスフォラァーブ!
 アーツークアーツークアーツークタータカエー ダンガイオー!!


黒騎士「いったい、どうなっているというのだ!? 空からスーパーロボットが!」

かがみ「私たちはコズモレンジャー・J9。今回は連邦政府からの依頼を受けて彼女たちを地球まで連れてきただけよ」

ネロ「なんだよー、地球でも戦争やってるのかよ!」

エリー「あぅぅ、トラブルの予感がするぅ……」

こなた「あーきらめるしかなーいねー」

黒騎士「おのれ……まさか地上人がこのような切り札を用意していたとは……」

かがみ「私たちはこの戦争と直接関係はないけれど、それでも依頼人がいなくなるのは困るわ」

シャロ「戦うというのなら、私たちミルキィホームズがお相手します!」

ネロ「勝手に決めんな!」

シャロ「えぇ! ここはそう言う場面じゃない!」

黒騎士「くうぅ……!」

 更に、ジャブローから向かってくるスーパーロボットがあった。

黒騎士「あやつはコン・バトラーVとかいうやつ!」

蒼星石「真紅、アイツだ!」

真紅「あの悪趣味な様相……やはりあの子の仕業ね……」

 コン・バトラーVである。

翠星石「やいやいやいやい! 隠れているなら出てきやがれですぅ、水銀燈!」

雛苺「なのー!」

金糸雀「かしらー!」

黒騎士「そうか……奴らが水銀燈の言っていたドールズか……」

真紅「あなたには訊きたい事があるわ」

黒騎士「私に答えることなどないッ!」

翠星石「ならば力づくでも訊いてやるですぅ!」

 コン・バトラーVが手のひらを出し、指先からミサイルを出した。

翠星石「ロックファイターですぅ!」

黒騎士「なめるなっ!」

 水平に払った剣に五つのミサイルは打ち落とされた。

黒騎士「私が望むはダンバインとの決着! それが果たされぬ今、ここに居座る理由はない!」

 そう吐き捨て、黒騎士は乗機を包む邪悪なオーラを解除した。

黒騎士「カワゾエ・タマキ! 次こそは貴様を討ち取ってみせよう!!」

 高く飛翔し、黒いレプラカーンは身を固めたかと思いきや、全身から無数の黒い羽根を放射した!

珠姫「うっ!」

紀梨乃「タマちゃん!」

翠星石「あぶねーですぅ!」

真紅「ホーリエ!」

つかさ「こなちゃん!」

こなた「わーかってるぽー」

コーデリア「シャロ! 上よ!」

シャロ「はいっ!」

 各々が回避をとる間に、黒いレプラカーンは影も形もいなくなってしまっていた。


 ジャブロー 沿岸部

ゆりえ『ゴォォォォッド・アロォォォォォォォ!』

 バシュッ! ライディーンの手から矢が投げられて、機械獣ダブラスM2の片方の頭に刺さった。

ダブラス「ぎゃおぉぉぉん!」

ゆりえ『ゴォォォォッド・ブロック・スピィィィィン!』

 シャイィィィィィ……! もう片方の頭部に手首の盾から伸びた刃を回転させてぶつける。

ジェノサイダー「」

 チュドォォォォォン! 空を飛ぶジェノサイダーF9が直前でミサイルを落とし、邪魔をした。

ゆりえ「きゃあぁぁぁっ!」

霙「いかん、リボルビングステーク!」

 ドォンッ! 後を追うように突進したアルトアイゼンの杭打ち機がダブラスM2の腹に突き刺さった!

霙「さすが機械獣、硬いな。全弾、打ち込んでやる」

 ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! ガンッ! 

ダブラス「ぎゅぉぉぉぉぉぉぉん!」

あしゅら「むっ、やられたのか、ダブラス!?」

 潜望鏡から地上を見ていたあしゅらの目の前で、ダブラスM2が崩れ落ちていく。

あしゅら「ぐぐぐ! やれぃ、ガラダK7! ダブラスの仇をとるのだ!!」

ガラダ「あぎゃぁぁぁぁん!」

 頭の二つの鎌を飛ばしながら、ガラダK7は朋友を討ったアルトアイゼンに突撃する。

霙「さぁ、受け取れ。スクエア・クレイモアだ」

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
 誘いこまれたガラダK7に無数の鉄球が打ち込まれ、蜂の巣となり、倒れた。

ガラダ「がおぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!」

843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/14(木) 11:46:31.93 ID:+MTRWc200

あしゅら「おぉぉ! ガラダK7まで……許せん! このあしゅら自らが奴を叩きのめしてくれようぞ!」

夕映「逃がさないですよ、あしゅら男爵!」

あしゅら「えぇい、うるさいハエめが! ミサイルをお見舞いしてやれ!」

 ドドォンッ! サルードからミサイルが発射され、泥煙を起こし、ゲッターロボの視界を奪った。

ハルナ「くっ、まずいわね……」

のどか「ハルナ、オープンゲットだよ!」

ハルナ「今そう思ってたところよ、オ-プンゲット!」

 バシュッ! 三つのゲットマシンに分離して海上に出た三人の前では既にサルードがジャブローに接岸していた。

夕映「チェィィィンジ・ゲッタァァァァァ1! スイッチ・オォーン!」

シャナ<加速>「そこだっ!」

 ズバァッ! 合体直後の腕が、贄殿遮那によって絶ち斬られた!

のどか「きゃぁぁぁっ!」

ハルナ「くうぅっ!」

夕映「まさか、合体の瞬間を狙うとは……!」

シャナ<再攻撃>「とどめだ!」

 ズシャァァッ! 燃える刀身にゲッターロボの首から左腕まで落とされた!

夕映「り、離脱するです!」

 操縦系の回路を失ったゲッターロボは分離することも出来ずに海へ戻っていってしまった。

なのは「シャナちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

 ガキィンッ! 真下から突き上げられるようにレイジングハートが贄殿遮那の鍔にぶつかった!

シャナ「何だと!?」

なのは<突撃>「零距離!」

レイジングハート「Divine buster.」

なのは「シュートッ!」

 ドゴォンッ!! 

シャナ「うああぁっ!」

 非殺傷だが、そのダメージは途轍もない。
 ゲッターロボを追うように海へ墜落していくシャナを捕らえようとなのはが下方を向いた時、咆哮が響いた。

アルフ<熱血>「でりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

なのは「――ッ!?」

 バキィッ! 橙色の長髪を振りかざした女が握りしめた拳で殴り、なのはを障壁ごとふっ飛ばした。

なのは「あなたは、あの時の――!」

「Foton luncer get set.」

レイジングハート「Protection.」

 ギィンッ! ギィンッ! 右方から飛来した雷の矢をレイジングハートが自動で展開した新しい障壁で防いだ。

なのは「この雷……!」

 矢が来たほうへ振り向くと、あの雷光の如き輝きを湛える少女が佇んでいた。

「君は……また会ったね」

 声音から、少しだけ相手も驚いているようだとなのはは思った。
 だが、決して友好的な態度ではないのはわかる。

なのは「もしかして、ここにジュエルシードが……?」

 少女はこくりと頷いた。そして黒い斧の形をした杖を構えた。

「私たちは争いに来たわけじゃない。目的を、ジュエルシードを回収したらすぐにいなくなるから……邪魔をしないで」

なのは「そんなこと……お願い! 理由を教えて! ジュエルシードを集めてどうするの!? あれは、とても危険なものなんだって、知っているはずだよ!」

 彼女は少しためらっているようだった。やがてぽつりと口を開こうとする。

「私は……」

アルフ「フェイト! あんなやつに教えてやることはないよ!」

 牙を剥く女に止められて、再び黙るが、なのはは他に問い質したいことがあった。

なのは「フェイト。それがあなたの名前なの?」

アルフ「答える必要なんかないよ!」

 暗くて、大きな瞳が揺れて、静かに告げる。

「フェイト……フェイト・テスタロッサ」

アルフ「フェイトぉ!」

 それ以上、誰かが何かを言う前に、アルフは猛撃した。

アルフ「こんなやつの! こんなやつの言う事なんか聞かなくていい!!」

なのは「あなたは……! あなたはアルフさん!」

 バキャッ! 正面から展開した障壁に、アルフの拳が止まる。

アルフ「お前に……名前を呼ばれる筋合いなんてないッ!!」

 ぎゃりりぃっ! アルフが娘の姿から狼に変身し、ぎらりと光る爪を立て、障壁を乱暴に引き千切った!

アルフ「アンタみたいに! 幸せ面でのんきなバカガキに! フェイトの邪魔はさせないッ!」

 ドガッ! アルフはなのはの腹に体当たりする。

なのは「あぅっ!」

アリサ「なのはーっ!」

 Gアーマーに合体したアリサが墜落するなのはを助けた。

アルフ「フェイト! 早くジュエルシードを!」

フェイト「うん、アルフ……いくよ、バルディッシュ」

バルディッシュ「Yes sir. Thunder fole get set.」

 黒い斧が掲げられると、ジャブロー上空に暗雲が起ち込め、雷鳴がした。

フェイト「サンダー・フォール!」

 ガシャァァァァァンンッ! 雷が海に落ち、次に青白い光りが空に浮かび上がってきた。

フェイト「ジュエルシード……シリアルⅩⅠ……」

なのは「ディバイーン――」

フェイト「えっ……!」

 不吉な響きに振り返った彼女の先で桜色の光りが収束していた。

なのは「バスタァァーッ!!」

 ズドォォーッ! Gアーマーに乗ったまま発射された収束砲はフェイトを狙っていたが、それを彼女が避けると、延長線上にあったジュエルシードを巻き込んだ。

フェイト「しまった!」

なのは「ジュエルシード! シリアルⅩⅠ!」

レイジングハート「Seeling.」

なのは「封印!」

アリサ「どーよ! アタシたちを出し抜こうなんて二億万年速いのよ!」

アルフ<憤怒>「かぁぁぁえええええせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 空を駆ける狼がなのはに襲い掛かる。
 だが、その牙と爪がGアーマーに届くことはなかった。

アルフ<憤怒>「――ッ!」

 Gアーマーの前にゲシュペンストとヴァイスリッターが二人を守るように立ち塞がっているのだ。

アルフ<憤怒>「ぐぅぅぅぅるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 それでもアルフは止まらない。ヴァイスリッターの腹に突進していく。

海晴「おいたはダメよ、わんちゃん」

 バキャァッ!
 楯代わりにしたオクスタンランチャーが破壊されるが、ヒカルのジェットマグナムが既にスタンバイしていた。

ヒカル「はぁぁぁぁぁぁっ!」

 ズガァンッ! 身長ほどもある拳に殴られ、アルフは苦鳴をあげた。

アルフ「ぐぅっ!!」

フェイト「アルフ!」

バルディッシュ「Size srash get set.」

 斧がの先端が変形し、魔力の鎌が生まれた。

フェイト「はあぁーっ!」

 振り下ろすと、刃が飛び、アルフを捉えようとするロボットを牽制する。
 その隙にフェイトはアルフを助けた。

なのは「フェイトちゃん!」

 アルフの容態を確かめていたフェイトにGアーマーからなのはが呼びかけた。

フェイト「もう、私たちに構わないで……お願いだから」

なのは「フェイトちゃん!」

 もう一度名前を呼ぶが、少女は背中を向けて飛び立とうとしている。

なのは「わたし……なのは! 高町なのは!」

アリサ「何のんきなことやってんのよ! えぇい、私はアリサ・バニングスよ!」

フェイト「…………」

 何言か呟いたようだったが、誰も聞き取れなかった。
 そして、フェイト・テスタロッサは飛び去っていってしまった。



唯<必中>「ブレストファイヤー!」

 ゴバァァァァァァァァァァァァァァ!! 空を飛ぶマジンガーZの30000度の熱光線がジェノサイダーF9を直撃した。

ジェノサイダー「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉん!」

あしゅら「ジェノサイダー!?」

ゆりえ『ゴォォォォッド・ゴーガンンンン!!』

 キュィィィン……ズギャンッ! ライディーンから放たれた矢がアブドラU2を貫く!

あしゅら「アブドラ! お前まで! 奴らはもう疲弊しているというのに!」

唯「はぁ、はぁ……あとはおまえだけだぞ、あしゅら男爵ぅ……」

 あしゅら男爵の言うとおり、ジャブロー防衛軍は止む事のない戦闘に消耗しきっていた。
 シャナに撃墜されたゲッターロボ以外に、ガンダムは装甲を損耗しドラグナーやゲシュペンストはエネルギー不足に陥っている。
 だが、既にジオン軍の攻撃空母も総員撤退し、ジャブローに取り付く敵はあしゅら男爵の海底要塞サルードだけとなっていた。

あしゅら「えぇい、戦力を出し惜しみしている場合ではない! こうなれば最後の切り札を出すまでだ!」

唯「き、きりふだ……?」

霙「まだ隠し玉があったか……」

あしゅら「まずはゆけぃ! 機械獣ストロンガーT4!」

 ずずん……! ズゴックに似たサルードから落とされる。その胸部には巨大な送風機が取り付けられている。

唯「へん! そんな機械獣をいくら出したって……!」

あしゅら「くくく……こやつはジャブローを破壊するだけ……貴様らの相手はこのミネルバXがする!」

紬「ミネルバXですって!?」

 驚きの声を出したのは、基地にいた紬だった。
 直後、ストロンガーT4の隣りに落とされたロボットを見て、唯も驚いた。

唯「ま、マジンガーZにそっくり!?」

 ミネルバXはマジンガーZを女性型にしたような形状をしていた。

唯「あしゅら男爵め! マジンガーZのニセモノを作ったな!」

あしゅら「ふはははははは! 平沢唯、これはドクター・ヘル様が作ったものではないわ!」

唯「な、なにぃ!?」

紬「そのとおりよ……唯ちゃん……」

唯「ムギちゃん!?」

あしゅら「くくく……琴吹紬か……お前のところの研究者は兜十蔵に匹敵する発明家のようだな!」

紬「いいえ……それを設計したのは亡き十蔵博士よ……」

唯「ムギちゃん、どういうこと!?」

あしゅら「教えてやろう、平沢唯! このミネルバXは光子力研究所で開発されていたマジンガーZのパートナーロボットだ!」

唯「え! えぇぇぇ!?」

あしゅら「さらにコクピットを見ろ!」

 ミネルバXの腹部が開いた。そこに座らされているのは、唯が最もよく見知っている姿だった。

唯「の、のどかちゃん!」

紬「そんな……和ちゃんが……」

あしゅら「わぁ~っはっはっはっはっは! わかったか、平沢唯! お前が少しでも妙な動きをすれば、この娘の命はないぞ!」

唯「うぅぅぅ……汚いぞ! あしゅら男爵!」

あしゅら「ふはははははははははは! 何とでも言うがよい! ドクター・ヘル様の望みのためならば、あしゅらは悪魔にもなろうぞ!」

唯「ぐぅぅ~……!」

あしゅら「さぁ! ミネルバXよ! マジンガーZを叩きのめしてしまえぃ!」

ミネルバX「ぐぉぉぉぉ!」

 ぶぉん! 真鍋和を乗せたまま、ミネルバXはマジンガーZにパンチを繰り出した。

唯「きゃぁっ!」

 為す術もなく、マジンガーZはパンチを喰らって倒れる。

あしゅら「さぁ、ストロンガーT4よ! 連邦基地を吹き飛ばしてしまえぃ!」

ストロンガー「がしゅぉぉぉぉぉぉぉん!」

 ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……! 送風機が回り始め、強い風がジャブローの木々を押し始める。

霙「まずいな……ジャブローは人質など気にせず攻撃するぞ」

ゆりえ「そ、それじゃあ……」

霙「我々が機械獣を止めねば!」

あしゅら「そう簡単にこのあしゅら男爵がやらせるとでも思ったか!」

 ズババババババババババババッ! あしゅら男爵が振りかざした杖から電撃が飛び、ストロンガーT4を止めようとする機体に振りそそいだ!

霙「くぅっ!」

ゆりえ「きゃぁぁぁっ!」

ミネルバX「ぎゅおぉぉぉぉ!」

 がきん! がん! その間にも、ミネルバXは執拗にマジンガーZを殴り続けていた。

唯「う、うぅ……和ちゃんが……どうすれば……」

ネロ「そういうことなら、ボクたちに任せてよ!」

 飛んできたのは、ダンガイオーだった。

紬「あ、あなたたちは!?」

シャロ「私たちはミルキィホームズ! あなたたちのお世話になります!」

 ババッ! ダンガイオーの右手がミネルバXにかざされる。

シャロ<集中>「サイキック・ウェィィィィィィブ!!」

ミネルバX「…………!!」

 ダンガイオーの掌から出る念波動がミネルバXを捉え、宙に浮き上がらせた。

かがみ「彼女たちが持つ不思議な力、トイズはいわばサイコキネシスに似たものです。きっと人質を救い出せるでしょう」

シノン「じ、J9……どうしてここに……」

かがみ「依頼です。私たちが彼女たちをここへ連れてきました」

紬「そうですか……ありがとうございます……」

 だが、その時、地の獄を抜け出てきたような声が轟いた。

「見つけたぞ……ミルキィホームズぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

コーデリア「こ、この声は!?」

ネロ「ギル・バーグ!?」

 ズァァァァァァァァァァァァァァァッ!! ダンガイオーの真上に巨大なプラズマが落下してきた!

ネロ「破邪の剣!」

シャロ「やぁぁーっ!」

エリー「やめてぇぇぇぇぇぇ!」

 ズバァンッ! 泣き叫ぶエリーのいる手が持つ剣でプラズマを打ち砕いた!

ギル「ミルキィホームズ……! ダンガイオォォォォォアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 ズギャァッ! 赤黒い影がプラズマの奥からダンガイオーに飛びかかった!

シャロ「ギル・バーグ! 生きてたんですか!」

ネロ「しつこいやつだぜ!」

ギル「しくじった者は死あるのみ! 貴様らを殺すまではぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ガキンッ! ガカッ! ギィンッ!
 重い装甲を全て脱ぎ捨てたブラッディⅡが腕から伸びる剣でダンガイオーと打ち合う!

つかさ「こなちゃん!」

こなた「いっくーよー! ブライソード!」

 ブライガーが剣を持ち、ブラッディⅡの背後をとるが――

ギル「馬鹿めが!」

 剣を振り下ろした瞬間、ブラッディⅡは陽炎のようにいなくなっていた。

かがみ「なっ!」

みゆき「あぶないっ!」

エリー「ひゃぁぁぁっ!」

 カキンッ! ブライソードと破邪の剣がぶつかる。

ギル「ククク……ブラッディⅠと一緒にするな!」

 ブラッディⅡは異常な俊敏性でブライガーの背後をとり、強く蹴りつけた。

つかさ「ひゃあぁっ!」

シャロ「はわわっ!」

 ズズーン……! 抱き合う形になってブライガーとダンガイオーは倒れてしまった。

ギル「ククククク……追い詰めたぞ……ミルキィホームズ!!」

あしゅら「くくく……何奴かは知らぬが、これは好機! ゆけぃ、ミネルバX! ストロンガーT4!」


     「待てぃ!」

 
 声は天上から響いていた。

ギル「なにっ!?」

「弱肉強食の獣でも、殺す事のみを楽しみにはしない。悪の道に落ちた者だけがそれをするのだ――」

 陽光を背に、その人物は天に立っていた。

「しかし、キサマらの邪悪な心を、天は許しはせぬ。大いなる天の怒り……人それを『雷』と云う」

あしゅら「何者だ、貴様!」

「お前たちに名乗る名前は無い!」

 シャキーン! ボディアーマーに身を包んだような人物の口元が、マスクに覆われた。

「剣狼よ! 勇気の雷鳴を呼べ!!」

 パラパラッパーパラパラッパー
  光りのエネルギーが
 パラパラッパーパラパッパラパッパララッパッパー
  頂点に達するとき、
 ドウダオモイシッタカ! オォレタチノーソコヂカラー
  剣狼は、次元の壁を超えて
 キョウモドウドウショウリノー ダーイコウシンー
  ケンリュウを呼び寄せるのである。
 ソーラーヲコガシターマッカーナタイヨウー
  カミジョウ・トウマは
 セーイギーヲマーモルーカーガーリビーダー
  ケンリュウと合身することにより、
 ヨーワイアイィテーハーモーォゥーアキーター
  その力を数十倍にまで
 ツーヨイアイィテーハードーコーニイルー
  高めることができるのである!
 ワレラサイキョウ! ワレラサイキョウ!
 サイキョウマシーンロボ!
 ワレラサイキョウ! ワレラサイキョウ!
 サイキョウマシーンローボォー!


上条当麻「闇あるところ光りあり……悪あるところ正義あり! 天空よりの使者、ケンリュウ! ここに見参!!」

当麻「天空真剣・奥義! 爆裂空転!」

 ズギュァァァァァァァァ! 剣狼を突き出した当麻の手から竜巻型の光りが発せられ、ミネルバXの腹を撃ち抜く!

ミネルバX「ぎゃぉぉぉぉぉ……!」

唯「和ちゃんが!」

当麻「心配はいらない! とあぁーっ!」

 跳躍し、ミネルバXと交錯したケンリュウの手に和が収まっていた。

あしゅら「な、なにぃ!?」

当麻「さぁ、早く安全なところに!」

唯「は、はい……!」

 マジンガーZのコクピットに下ろされた和は、気を失っているが外傷なないようだった。

唯「和ちゃん……」

あしゅら「おのれぇぇぇぇぇぇ! 邪魔をしくさりおって! 喰らえぃ!」

 ズババババババババババババババ! 電撃がケンリュウに襲い掛かる!

当麻「無駄だ!」

 キュイン! だが、電撃は突き出された右手に触れた瞬間、霧散してしまった。

あしゅら「なんだと!」

当麻「俺の右手の幻想殺しは、あらゆる異能の力を打ち消す!」

あしゅら「ぐぐぐ……ストロンガーT4! パワー全開で全て吹き飛ばしてしまえ!」

ストロンガー「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉん!」

 ぶぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……! 猛烈な風がケンリュウやマジンガーZ、ライディーンまで巻き込む!

唯「わわわっ!」

ゆりえ「ひえぇぇ……」

当麻「くっ……この風は……!」

あしゅら「そこの貴様! 奴らにとどめを刺せぃ!」

ギル「ちぃ! 俺に命令をするな!」

 ダンガイオー、ブライガーと取っ組み合っていたブラッディⅡだが、持ち前の俊敏性で影も残さない程の速度でストロンガーT4を跳び越えてきた。

ネロ「ヤバイ!」

かがみ「ここからじゃ……!」

ギル「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」

立夏「チャーーーーーーーオーーーーーーーッ!!」

 シュバァンッ――ブラッディⅡの脇を流星のようなシルエットがかすめていった!

ギル「ぐぉっ! まだ邪魔が入るか!!」

霙「フッ……遅かったじゃないか……」

立夏「イックヨーッ! RIKKA-Only-Oneアターック!!」

 ガシュッ、バシュインッ!

 ブラッディⅡの後ろに出た戦闘機の各部位が開き、滑り、閉じて、人型のパーソナルトルーパーに変形した!

 テッテッテッテーステテテ テッテッテッテーレステテテ 
 テッテッテッテーステテテ テッテッテッテーレステテテ 
 GO! GO! GO! GO! GO! GO! デデデデッデン
 ソビエターツーメノマーエノカベー ムネヲウーツータカマールコードウ
 ヒトツヅーツーノリコーエテーユケー ソノサキーガータトエヤーミーデモー
 トーオーイユメートーアーキーラーメールーナー
 ホラフーリームカズーニー アシタヘー
 Every where you go! Keep on fighting R-1!
 オレノォトーウシヲーカァーテニィ!
 Every where you go! サーアタチアーガレェ!
 テンカァムーテキノーセーンシ!
 Every where you go! Keep on shoutng R-1!
 クダケェコークウノーシーシャヲ!
 Every wahere you go! シーンジタコトヲ!
 ワスーレーズニィ! タチムーカーエェェェ!


霙「立夏、赤い奴より機械獣を狙え!」

立夏「リョウカーイッチャオッ!」

 ジャキンッ! 新型パーソナルトルーパーは両手でリボルバー銃を構え、ストロンガーT4の背中に狙いを定める。

立夏<直感>「ハートを狙い撃ち! ばっきゅーん! ばっきゅーん!」

 ガァン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガンッ! 六発全てが命中した!

ストロンガーT4「ぎゃおぉぉぉぉぉん!」

あしゅら「ストロンガーT4! おのれぇぇぇぇぇぇ!!」

 杖の柄が折れんばかりに歯軋りするあしゅら男爵。
 だが、そうしていたのも短い間で、半男半女の使いは激しい憤りを飲み下した。

あしゅら「申し訳ありませぬ、ドクター・ヘル様! ここで……ここでサルードを失うわけには参りませぬ!」

 振り上げた杖に、屈辱の撤退命令を込める。

あしゅら「全軍! 退却せよ!」

 号令から海底要塞サルードはありったけのミサイルをばらまいて煙幕をつくり、その隙に波の中へ消えていった。

当麻「さぁ、後はお前だけだ。ギル・バーグ!」

 取り残されたブラッディⅡに当麻は剣狼を突きつけた。

当麻「もはやお前の勝機は潰えた。さっさと手を退け!」

ギル「ふざけるな……! 元から俺は一人だ!」

 ブラッディⅡが唸りをあげて地面を踏む。ギル・バーグの殺気は欠片ほども消えてはいなかった。

ギル「俺は……俺をコケにしたミルキィホームズを……ダンガイオーをこの手でグチャグチャに引き裂き! 骨も残らぬほど粉々にしてやらねば気が済まんのだ!!」

ネロ「なんだよ! まだやるつもりだってのかよ!」

 臨戦態勢に入るダンガイオーを、当麻の手が制した。

当麻「いいぜ、ギル・バーグ……ここまで譲ってやってもまだ、お前が復讐なんていう幻想に取り憑かれているのなら……」

 ケンリュウの――上条当麻の右手が強く、強く握りしめられる。


当麻「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!」


 その時! 剣狼が眩い光りを放った!

当麻<気迫>「パァァァァァァイルフォォォォォォォォォォォメイショォォォォォン!!」

 ムーネニ エガーイター ヘイーワノホーシガー
 イーツカ キーット ヤサシクホホエム
  トウマの意思を受け
 チーカラ アワーセルーナーカマトトーモニー
  剣狼が空中で光りとなると、
 セイギ ヒトスジ メザシテスースメー 
  時を超え、次元を超え、
 オマエーノミーチハーハーテーシーナーイー
  パイルフォーメーションは完成する。
 ツーラーイキーセーツーヲーコエテーイケー
  バイカンフーは
 タタカーイハマーダーオーワーラーナーイー
  地上全てのエネルギーとシンクロし、
 ミーンナーオーマーエーヲーミーツーメーテルー
  自然現象さえも
 バイ、バイカンフー! バイカンフー!
  変えるパワーを出す事が
 タタカエ、タタカエ、バイカンフー!
  可能となるのだ!
 マシーンロボ! マシーンロボ!
 モエールグンダン マシーンロボ!



当麻「天よ地よ……火よ水よ……我に力を与えたまえ!」

 ガカァンッ! 天から雷を掌に受け止め、バイカンフーが跳ぶ!

当麻「サンダー! ボルトスクリュー!!」

 ズドォッ! 天空から当麻自身が急転直下し、ブラッディⅡに蹴りを叩き込む!

ギル「ぐおぉぉっ!!」

当麻「とあぁぁーっ!!」

 ドカッ! バキッ! ドドドドドドドドド! 目にも留まらぬ速度の連撃がギルをラッシュ! ラッシュ! ラッシュ!!

当麻<魂>「天空宙心拳奥義! ゴッドハァァンド! スマァァァァァーッシュ!!」

 ズガァァッ!! 全身全霊、渾身の右手がブラッディⅡを握り抉る!!

ギル「ぐふっ!」

当麻<勇気>「成敗ッ!!」

 ドゴォォォォォォォォォォォォォォン!!

ギル「ぐあああああああああああああああああああああっ!!」

 爆散したブラッディⅡとギル・バーグを最後にジャブローの脅威は全て去った。

唯「あ、あのぅ……」

 パイルダーのキャノピーを開け、唯は幼なじみの恩人にお礼をする。

唯「和ちゃんを……ありがとうございます」

当麻「……本当は、まだ出る予定ではなかった」

唯「えっ?」

当麻「だが、剣狼の導きは全ての非道を見逃さない」

 バイカンフーから合身を解いた上条当麻はマジンガーZの肩に立った。

当麻「そして、いかなる悪の幻想を、俺は許さない」

唯「いったい、何者ですか……?」

当麻「君たちの心に、愛と正義がある限り、いつか巡り合うことが出来るはずだ」

唯「愛と正義……」

当麻「そうだ。また出逢う時まで……とあぁーっ!」

 掛け声と共に剣狼を掲げ上条当麻は光りに包まれて消えた。

唯「行っちゃった……」

律「なんつーか……最初から最後までヒーローみたいな奴だったな」

海晴「うぅーん、ヒーローというよりも〝兄さん〟って感じよね」

 激戦の翌日。ぐっすり眠った唯たちは再び作戦室に集められた。

シノン「予定通り、翌々日にホワイトベースは宇宙へ出発します。それまで各員は待機状態です」

紬「あの……よろしいですか……?」

シノン「何かしら?」

紬「私たちは、光子力研究所をドクター・ヘルに襲われて、ミネルバXを奪われています。一度、日本へ戻ってもよろしいでしょうか?」

シノン「そうね……確かに日本をそのままにしては不安が残るわね」

律「だけどよ、そうするとアタシら宇宙に行けなくなっちゃうぜ」

紬「それは心配いらないわ。自家用のHLVがあるから」

唯「さすがムギちゃん!」

澪「唯! 和はいいのか?」

唯「うん! 全然平気みたいだし、今は憂がついているもん」

澪「そうか……怪我とかしてないのか?」

唯「それも全然平気! 眠らされてただけみたい」

梓「よかったですね、唯先輩」

唯「うん!」

シノン「コホン、話を戻してもよろしいかしら?」

唯「あわわ、ごめんなさい。何の話だったんですか?」

澪「ムギが一度光子力研究所に戻ろうと言ったんだ」

唯「そっか、ドクター・ヘルに襲われちゃったんだもんね」

翠星石「それなら、翠星石たちだって研究所が気になるですよぅ」

真紅「結局、あの場に水銀燈が現れなかったから、余計にね」

蒼星石「ジュン君が心配ならそう言えばいいのに……」

雛苺「なのー」

金糸雀「かしらー」

ゆりえ「私は……宇宙に行くことも話しておいたから、大丈夫かな……」

夕映「私たちもこのまま宇宙に直行予定です」

シノン「あ、ゲッターチームは早乙女研究所から帰還命令が出ています」

ハルナ「え、そなの?」

シノン「はい。ですので、紬さんたちと一緒に日本へ戻ってください」

のどか「そういうことならしかたないねー……」

夕映「しかし、いったい何の理由なんでしょうか……」

シノン「モビルスーツ部隊、ドラグナー部隊はホワイトベースの乗員として宇宙に出てもらいます」

すずか「わかりました」

シノ「了解です」

アリア「宇宙に戻るの、久しぶりね」

スズ「そうですね」

アリサ「ということは、なのはも一緒ね」

なのは「うん」

アリサ「なのは……やっぱりあのフェイトとかいう子のこと、気にしてるの?」

なのは「ふぇ?」

アリサ「ふん、顔に書いてあるわよ」

なのは「うん……そうだね。まだちゃんと、お話聞けてないから……」

シノン「J9の皆さんは彼女たちについてはわかりますか?」

かがみ「いえ、あの女の子たちは私たちもまるで知らない子たちです」

こなた「そーもそもー、ジューエルシードのことだってはーつみみだもんにぇー」

つかさ「ゆきちゃんも知らないんだもんね」

みゆき「えぇ……お役に立てなくて申し訳ありません」

シノン「ミルキィホームズの皆さんも……」

シャロ「ぜんぜん知りません!」

エリー「いばれることじゃない~……」

ネロ「第一、ボクたちの星はここからうーんとうーんと遠いところだもん!」

シノン「惑星ラテシアと宇宙海賊バンカー……J9はこちらの情報はいかがでしょう?」

かがみ「ラテシアはわかりませんが、バンカーについては、流れ者の噂を聞いたことがあります」

みゆき「狙った獲物は決して逃がさない。宇宙の果てまで追いかけて必ず捕まえるという恐ろしい組織で、一つの銀河団を制するほどの力を持っていると言われています」

コーデリア「わ、私たちはそんなのから狙われているの!?」

律「おいおいやめてくれよー……ただでさえ大変なときなのにそんなのに来られたら……」

澪「こらっ、律!」

ネロ「まー、仕方ないよ。ボクらは完全な漂流者みたいなもんだしね」

コーデリア「ひとまず、ここからアステロイドベルトへ戻り、そこから元の星に帰る準備をしたいと思います」

シノン「それが……少し難しそうなんです」

シャロ「えっ! 何で!?」

霙「今回の作戦失敗で、ジオン・ギガノス連合は地球制圧の機会を失ったから、これからは防衛対策を厳しくすることになるだろう」

エリー「ということは……」

シノン「地球圏から出ることはいかにダンガイオーというロボットでも至難でしょう」

ネロ「そんなー!」

かがみ「私たちも協力してあげたいけど……ジオンを正面から敵に回してしまうと、アジトのほうが不安になるから……」

シャロ「じゃあ、私たちは一生ここで過ごすの!?」

シノン「一生って訳じゃあないと思うけど……」

コーデリア「大丈夫よ、シャロ。どんなところでも、心を強くもっていればそこはおはなばたけぇ~」

海晴「そんなアナタタチに魅力的な提案があるんだけどっ」

ネロ「へ? なに?」

シノン「正直、連邦はこれからジオン・ギガノスに対して大規模な反攻作戦を開始する予定なんですが、優秀な戦力はいくらあっても足らない状況です」

ネロ「ボクたちに協力しろってこと?」

霙「そのとおりだ。ま、速い話が、さっさとジオンを倒してしまえば安心して地球圏を出られるということだ」

ネロ「どーするぅ?」

シャロ「っていうかその方法しかないです!」

ネロ「だよねー。コーデリアとエリーは?」

エリー「わ、私もいいです……」

コーデリア「おはなばたけぇ~」

ネロ「じゃ、オッケーです」

シノン「そ、そう……助かるわ。J9の皆さんは……」

かがみ「先ほど新しい依頼を受けたわ。ホワイトベース隊の一員としてギガノス帝国を倒してほしいとね」

シノン「それでは、お願いします。次はゴラオンとオーラバトラーですが……」

エレ「わたくしたちは、現状のまま、ドレイク軍を追討しようと思います。ですが……」

シノン「何でしょう?」

エレ「タマキ様とキリノ様の二人は、そちらで預かっていただいてもよろしいでしょうか?」

珠姫「エレ様!?」

シノン「それはこちらとしてもありがたいのですが……理由をうかがってもよろしいですか?」

エレ「あの黒いレプラカーンが気になるのです」

紀梨乃「黒騎士とかいうのが乗っていた奴だね?」

エレ「はい。あの禍々しいオーラ力は、聖戦士の二人には害悪となるでしょう。今はまだ戦ってはいけない……私はそう感じています」

珠姫「私が……オーラ力を上手に扱いきれてないから……」

チャム「タマキ! そんなことないよ!」

エレ「チャム・ファウの言うとおりです。タマキ様。ですが、万が一にも黒騎士のオーラ力に感化されてしまい、タマキ様がオーラ力に憎しみの力を込めてしまうと……とても恐ろしいことが起こってしまうかもしれないのです」

霙「なるほど、とどのつまりは、宇宙でゆっくりとオーラ力を開花させて、黒騎士に臨んでほしいということですね」

エレ「はい、その通りです」

珠姫「わかりました……川添珠姫、がんばります」

紀梨乃「うん、タマちゃん、その意気だよ」

チャム「タマキー、ファイトー、オーッ」

シノン「それでは、あらためて編成をまとめます」

霙「フッ、ちゃんとメモにまとめておいたほうがいいぞ」

立夏「オネーチャン、何言ってるの?」

霙「お約束だ」

シノン「宇宙に上がるホワイトベース隊はMS、MA、ライディーン、ダンガイオー、ブライガーに高町さん、川添さん、千葉さん。部隊長は天使海晴中尉です」

海晴「了解よん」

チャム「私もタマキと一緒に行くわよ!」

シノン「地球に残るのは光子力研究所、早乙女研究所、超電磁研究所の各チームにゴラオン艦隊です」

エレ「かしこまりました」

紬「安全が確認できれば、宇宙に上がります」

シノン「また、帰還組には、監督として天使霙少尉についていってもらいます」

霙「あぁ」

氷柱「それなら、私も家に帰ってユキの顔が見たいわ」

海晴「立夏ちゃんは私と一緒に宇宙でR-1の練習ね」

立夏「ハーイ!」

ヒカル「あの……私は……?」

海晴「実はね……ヒカルちゃんについてはママが迷ってるの」

ヒカル「ママが?」

海晴「うん。ヒカルちゃんにも専用機を用意したいらしいんだけど……宇宙戦闘のデータと地上戦闘のデータ。どっちも欲しいんだって」

ヒカル「それは確かに、どっちかしかないな」

海晴「だから、ヒカルちゃんが決めてって、ママの伝言」

ヒカル「わ、私が!?」

海晴「うん。地球に残るか、宇宙に上がるか……ヒカルちゃんの好きにしていいわ」

ヒカル「好きにしろって言われても……」

霙「フッ、出発まで二日はあるんだ。ゆっくり考えればいいさ」

ヒカル「うん……それでいいですか、香月中尉?」

シノン「えぇ、決まったら私に報せてね」

ヒカル「ありがとうございます」

シノン「それでは皆さん、まだ戦いは長く、これから険しいものとなります。ですが、全ての戦いに無意味なものはありません。私たちの平和を、暮らしを守るために、誰一人欠けることなく、戦争を終結へと導きましょう」


 第十九話 雷撃! 少女たちの防衛線 完

 第二部 激動乱! 地球戦線異常アリ! 完



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