マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その15

2011年07月17日 20:27

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」

618 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/04/05(火) 01:14:11.16 ID:SdkdUJFAO

ー少し遡り・リニアトレイン公社本社・総帥室ー

ラグナ「ふむ……とうとう三国がGNーXの運用を開始したか」

ラグナ(私がこれからやれることは多くない……三国が統合の道を歩むなら、むしろ私の存在はアレハンドロの道の妨げになる)

ラグナ(先日もヘマをしたトリニティの後始末に、ユニオンの兵士を抹殺したばかりだ。この変換期、あの強欲な当主は間違い無く仕掛けてくるだろう)

ラグナ「そうはさせんよアレハンドロ……私は私なりに、世界の手綱を握らせてもらう。いかなる手を使ってもな」ニヤッ

ガチャッ

SP「ラグナ様、お車の用意が」

ラグナ「うむ、では……」

フッ

ラグナ「ッ!」

SP「停電……!?」

ラグナ「な、なんだ! 何が起きている!」

バシュッバシュッ

SP「がっ……!」ドサァッ

ラグナ「ッ!」バッ

バシュッガキュンッ

ラグナ「ぬぅっ……!」ビシッ

ラグナ(もう現れたか、アレハンドロの犬め……!)

サーシェス「油断大敵ですな総帥……私を昼に一度招き入れてしまうなんて」

ラグナ「ッ! その声は、サーシェス!?」

サーシェス「うちの大将からの伝言だ……」

サーシェス「【人類の変革に君たちオールドタイプは不必要、時代に取り残されたまま消え去れ俗物】」

サーシェス「だとよ!」チャキッ


←ブログ発展のため1クリックお願いします
ーそして現在ー

サーシェス「さて、稼働した記録のあるエレベーターは……と」

サーシェス「これか。流石にあの場面で階段から逃げれば音でバレる、当然といえば当然だが……」

サーシェス「ま、運が悪かったな」カチカチッ

スタスタスタ


ーエレベーターー

絹江「ッ……」グス

絹江「考えるのよ絹江……泣いてなんかいらんないんだから……」

絹江(このタイミングでの停電、ラグナ・ハーヴェイの死……虎の穴かと思ったら、とんだ魔窟に潜り込んじゃったわね……)

絹江「相手も馬鹿じゃない。きっとこのタイミングで停電させるってことは、私の存在にももう気付いているはず……」

絹江(沙滋、ごめん。お姉ちゃんやっぱり父さんの娘ね……)

絹江「……」

絹江「……!」ヴンッ

カチッ
カチャカチャカチャカチャ

絹江「もがいても仕方無い、私に出来ることをするだけよ……!」

絹江(ラグナ総帥は死の間際アレハンドロと言った……人名? だとするなら、このUSBに手掛かりがあるはず)

ヴンッ

絹江「これは……メールの履歴?」カチカチッ

絹江「!」

絹江「っ」ガサガサッ

絹江「あった、手帳」

ザッ

絹江「ユニオンMSWAD基地への武力介入……人革連朝鮮司令部に対する三度もの殲滅戦……アイリス社への攻撃……」

絹江(メールの送信日時はこれらの前日、ガンダムの侵入経路、被害の多かった施設と作戦対象、撤退経路)

絹江(メールの内容と全て符合する……!)

カチカチッ

絹江「っ! これ……新型のガンダムのパイロット……!?」

絹江「沙滋と同じくらいの歳じゃない……こんな子供をガンダムに乗せるなんて」カチッ

【ヨハン・トリニティ】
【ガンダムスローネ・アイン】

絹江「ガンダムスローネ……」

【ミハエル・トリニティ】
【ガンダムスローネ・ツヴァイ】
【ネーナ・トリニティ】

絹江「女の子……」

『あぁ、確かに聞いた。あれは若い女の声だった、確かにラグナとそう呼んでいた』

絹江「こんなに若いなんて聞いてないわよ……っ」

カチッ

【ガンダムスローネ・ドライ】

絹江「っ!」

『スペインの保養地を攻撃したのは、新型の赤いガンダムという目撃証言が……』

絹江「……狂ってるわ……」ゾクッ

カチカチッ

絹江「ガンダムの活動拠点、物資の搬入時間、経路……」

絹江「一般貨物に偽装してガンダムへ援助していたのね……」

絹江「死の間際で私しか近くにはいなかったとはいえ、とんでもない情報だらけじゃない……裏帳簿って範囲のものじゃないわ」

絹江(まさか新型のガンダムを操っていたのがリニアトレイン公社の総帥だったなんて……世紀の大スキャンダルだわ)

絹江(でもこれが総帥の言っていたアレハンドロにどう繋がるというのかしら……)

絹江「もっと中のデータを調べて見なきゃ……」

絹江「まだ……もう少しだけ時間がかかりそうね」チラッ

ガタンッ
ウィィンッ

絹江「きゃっ!」

ウィィ……ン

絹江「動き……出した? 電力が復旧して……」

ポンッ

絹江(……!)ズザッ

絹江(電力を止めたのがラグナを殺した犯人なら、復旧させたのも犯人のはず)

絹江「だったら、次にく狙われるのは間違い無く私……!」

ウィィ……ン

絹江「っ!」ガンッ

絹江「非常ボタンが利いてない……そんな!?」

ウィィ……ン

絹江「お願い、止まって……何処でもいいからぁ!」

ウィィ……ン

絹江「イヤっ、嫌っ、いやぁぁぁぁぁ!!」ガンッガンッ

チンッ

絹江「」


ー中層ー

ウィィ……ン

サーシェス「……」

ウィィ……ン

サーシェス「3……2……1……!」ジャキンッ

ジャキッ

サーシェス「ッ!?」

チンッ

ウィィンッ

ダダダダダダダァンッ

サーシェス「うぉぉっ!?」バッ

絹江「きゃぁぁぁぁぁ!?」バタンッ

ダダダァンッ
ダダダァンッ

サーシェス「くそがぁッ!」

ダァンッダァンッ

?「くっ……!」チュィンッ

ダダダダダダダァンッ
バゥンッバゥンッバゥンッ
ダダダダダダダァンッ

絹江「あぁぁぁぁ……!」ガクガク

サーシェス「ちぃッ、何モンだてめぇ! 警備員や警察じゃねえよなぁ!」バゥンッバゥンッ

?「……」

サーシェス(チラッと見えた感じじゃあアジア系……中国人か?)

サーシェス「ッ!」

絹江「うぅっ……!」カサカサッ

サーシェス「逃がすかこのアマァ!!」ダァンッダァンッ

絹江「ひぃぃっ!?」
バシィンッ

バラバラッ

絹江「ッ……!」ダッ

サーシェス「待てコラァァ!」

ダダダダダダダッ

サーシェス「うぉぉぉ!?」ズザァッ

絹江(搬入用のエレベーターなら……!)

カチカチッ
ガゴンッ

絹江(動いた……!)

ウィィンッ

サーシェス「逃がしたかッ……!」

ザザッ

サーシェス「!」
サーシェス「……」

シーン

サーシェス「いなくなりやがった……あの女を追ったか、逆に上がったか?」

サーシェス「何がともあれ厄介な話だぜ……」

ザッ

サーシェス「鞄の中身をぶちまけていきやがったか……さて」ガサッ

サーシェス「ん?」

サーシェス「血まみれのUSB……」

サーシェス「……」


ー市街ー

絹江「ハァッ……ハァッ……!」

絹江「バッグの中身……バラしちゃった……」

絹江「でも、PCは無事だしデータは写し取れてた……」

絹江「……っ」グラッ

絹江「まずは、ホテルに帰らなきゃ……」フラフラッ



ピッ

サーシェス「あったあった、名刺入れ」

サーシェス「絹江……クロスロード」

サーシェス「落とし前はつけてもらわなきゃあなあ……絹江さんよぉ」ギリッ



?「お嬢様、ラグナ・ハーヴェイは既に殺害された後でした」

?「はい……ですが犯人以外に、気になる人物を見かけまして」

?「はい、ラグナ氏から送られてきていたデータによれば……確かJNNのジャーナリストで、絹江・クロスロードと……」

?「……分かりました、直ぐにでもコンタクトを」

ピッ

シュッ

紅龍「ふう……」


ーイリノイ基地ー

ビリー「モーラ班はGNコンデンサーとシールド結合の最終チェック! キッド班はアイリス社から届いたパーツを随時基幹部に接続していって!」

ビリー「GNロングブレードの最終チェックは僕がやる! ミカムラ班は二眼カメラや頭部のセンサー類、任せたよ!」

ビリー「メドッソ班はGNドライブと他の主要パーツの移植! 急いでくれよ、形にした上で微調整しなきゃならないんだから!」

『カタギリさん、特注のバインダーユニット届きました!』

ビリー「分かった! 今行くよ!」



マリーダ「プロフェッサーが遺した……設計図ですか?」

ビリー「そもそもGNドライブが正式に発表されるはるか前に、教授が仮定と考察を元に作り上げた想像の産物」

ビリー「GNドライブ搭載型フラッグの、雛型と呼べる代物さ」

マリーダ「GNドライブ搭載型フラッグの雛型!?」

ビリー「ただし新規パーツの整合性、GNドライブに関するデータ、機体バランス、どれも高次元の完成度を誇る。だいたい48%くらいは完成しているといっても過言ではないよ」

マリーダ「48%……」

マリーダ「申し訳ありません、どの程度のものなのでしょうか」

ビリー「人型の完成度はほどほど、可変機構に関しては全くといっても良いくらいに未完成」

マリーダ「……」

ビリー「そう気を落とさないでくれよ、一から作り直すのを考えたらこれほど有り難いものはない」

ビリー「とんでもないじゃじゃ馬に、とりあえず鞍と手綱はつけられる。前もって作った装備との相性も悪くはないはずだ」

ビリー「あとは時間との勝負、やってやるさ」

マリーダ「技術顧問……」

ビリー「そんな不安そうな顔をしないでくれよマリーダ、僕らはユニオンのオーバーフラッグスの整備を一手に担うユニオンの整備班なんだ」

ビリー「君達が最強の部隊なら、僕等はそれを支える最強の整備班として自負がある」

ビリー「グラハムの翼は僕等が造る。だから君達はグラハムの戦場を守ってくれ、頼むよ」

マリーダ「……了解!」ピッ

ビリー「良い返事だ」



ビリー「さて……僕等の妹の期待に応えなきゃ、エイフマン教授にも顔向け出来ないね」

ビリー「オットー! 接合を急いでくれ! こっちが終わったら僕もそっちに向かう!」

ビリー「あとは叔父さんから送られてきたこれも……!」


ーマリーダ自室ー

ピピッ

マリーダ「はい、こちらマリーダ」

ホーマー『元気そうだな。何よりだ』

マリーダ「ホーマー司令!」

ホーマー『辞令は受け取ったか』

マリーダ「……はい」

ホーマー『戦時特例によりマリーダ・クルスを中尉へ昇格、及び暫定的にGNーX部隊の隊長として任命する』

ホーマー『済まんな、私の今の権限では奴を早期に呼び戻すだけの力が無い』

ホーマー『これくらいしか、事態を取り繕えん……』

マリーダ「司令が謝る必要はございません、マスターの冤罪もいずれ晴れましょう」

マリーダ「ですが……GNーXを運用した対ガンダム作戦、やはりマスターのお隣で戦いたいという想いは拭えません」

ホーマー『分かっている……』

マリーダ「オーバーフラッグスのメンバーも皆同じ気持ちです」

マリーダ「司令、引き続き……よろしくお願い致します」

ホーマー『うむ』

ホーマー『しかし、変わったな。お前は』

マリーダ「え?」

ホーマー『挙動の端々に以前とは違う空気を感じるようになった、前は文字通り人形のように無表情だったが、今は人間味を感じる』

マリーダ「意識はしておりませんが……」

ホーマー『グラハムに預けたのも、そうそう悪いことばかりではないということか』

ホーマー『気付かぬ内に周りを自然に染めていく、相変わらずだなあの男は』

マリーダ「?」

ホーマー『……』

ホーマー『……むう……』

マリーダ「司令、如何致しましたか? 表情が厳しくなっていますが」

ホーマー『いや……問題無い』

ホーマー『……複雑だな……』

マリーダ「……?」

ホーマー『まあいい……良い知らせを伝えられるなら連絡をする』

マリーダ「お待ちしています、司令」

ホーマー『無理はするなよ、身体を労れ。あと夜更かしはするな、それと』

マリーダ「司令、私も18です。もうその様なことは……」

ホーマー『私は保護者として、お前が何歳になろうともだな』

マリーダ「失礼致します」

ホーマー『』

プチッ

マリーダ「ハァ……相変わらずだ、あの方は七年前と何ら変わらない」

マリーダ「……」クスッ

マリーダ「寝るか、出発の時間まではまだある」ゴロン


ー???ー

グラハム「む……?」

グラハム「此処は……MSWAD基地の格納庫、か」

グラハム(衝突の跡が生々しいフラッグ、そしてがらんとしたMSドッグ)

グラハム「死後の世界というには少々現実味を帯びすぎているな」

グラハム「……」

グラハム「!」

グラハム「理解した、これは夢だな!」

マリーダ「マスター!」

グラハム「む、マリーダ」

グラハム「夢の中でこのシチュエーション……まず現れるとしたらカタギリかプロフェッサーだと思っていたが、存外華があったな」フッ

マリーダ「ッ……」

グラハム「? どうした、マリー……」

タッ
ギュッ……

グラハム「 」

マリーダ「っ……」ギュー

グラハム「マ、マリーダ?」

マリーダ「……失礼いたしました、夢の中と仰ったので、実体が無いかと不安になりまして」スッ

グラハム「そ……そうか。だが少々いきなり過ぎたな、さしもの私も戸惑いを隠せん」ドッ

マリーダ「マスター、凄い汗です」

マリーダ「やはり拳で確認した方が宜しかったでしょうか?」グッ

グラハム「一発で夢から醒めかねん、断固辞退する」

グラハム「さて……随分と懐かしい場所での邂逅となったな」

マリーダ「はい、マスター」

グラハム「ガンダムと初めて対峙し、MSWAD基地にて対ガンダム調査隊を発足」

グラハム「そしてマリーダ、お前が着任してきたのだったな」

マリーダ「はい。ガンダム調査隊としての着任は完全な偶然では有りましたが」

グラハム「思えば原点は此処からだった……プロフェッサー・エイフマンによるフラッグのカスタマイズ」

マリーダ「私もこの場でプロフェッサーに嘆願致しました」

グラハム「尻を撫でられていたがな」フッ

マリーダ「っ……」カァァ

グラハム「そしてガンダムに対抗出来るフラッグが生まれ、四人でガンダムと対峙していって……」

グラハム「途中焦らされて、無闇に海を飛び回ったり、外出を押し付けられたりもしたな」

マリーダ「あの説は、お世話になりました」

グラハム「いずれあの時の約束も果たす日が来よう」

マリーダ「その日を、心待ちにさせていただきます」

グラハム「そしてアザディスタンでの一件、謎の少年との出会い、そして敗北……」

グラハム「……我々はあれから強くなれたのだろうか?」

マリーダ「少なくとも、前へと進んではいたと理解しています」

グラハム「そうだな……」

グラハム「オーバーフラッグスの結成、ジョシュアを始めとするフラッグファイターの転任はその後だった」

グラハム「そしてタクラマカン砂漠による大規模作戦……」

マリーダ「……」

グラハム「……」

グラハム「間を飛ばしたのは意図的だ」

マリーダ「察しております」

グラハム「そうしてもらえると助かる」

グラハム「大規模作戦を経て、現れた新型のガンダムもどき」

グラハム「……私はハワードとプロフェッサーを失い、お前に傷を負わせてしまった」

マリーダ「マスター、それは」

グラハム「いや、良いんだ。この事は、私が世界と向き合う上で背負わねばならない業として認識している」

グラハム「ハワードの墓前で誓ったガンダム打倒、そしてプロフェッサーが遺したフラッグの想い」

グラハム「どちらも貫き通してこそのフラッグファイターだ」

グラハム「私は……」

マリーダ「……」

ロックオン「……」

グラハム「……」

マリーダ「……」

ロックオン「よっ」

グラハム「……ロックオン・ストラトスッ!? 何故君が此処に!」

ロックオン「いやぁ、何となく?」ハハッ

ロックオン「というのは冗談。お前さん達と俺たちの間を繋ぐ、物理的なバイパスのようなもんが現れたんだろうな」

グラハム「バイパス?」

ロックオン「そうだな、サイコミュ兵器とか、地理的にGN粒子に満ちた場所とか色々だ」

ロックオン「たま~にこういうところに意識だけが潜り込むことが間々あるんだが……」

グラハム「??」

ロックオン「ま、その手の説明はまた後だな」

マリーダ「……」

ピキィィィン

マリーダ「ッ……!」バッ

ロックオン「おっと、夢の中なんだろ? 察してくれたのは助かるが、出来れば身構えないでくれると有り難い」

マリーダ「貴様……ガンダムのッ!」

グラハム「マリーダ、私の友人だ。邪険にしてやるな」

マリーダ「マ、マスター!?」

ロックオン「マスターの言うとおりだぞマリちゃん」

マリーダ「誰がマリちゃんだッ!!」

ロックオン「グラハム、もしかして俺割と嫌われてる?」

グラハム「もしかしなくても割らずとも、ガンダムマイスターだ。嫌われているだろうな」

マリーダ「……マスター……?」

グラハム「案ずるなマリーダ、お前の思うとおり私は裏切ってなどいない」

グラハム「彼とは偶然、何者かの導きにより巡り会ったのだ。丁度良い、お前にも紹介しよう」

グラハム「そして、あの日何が起こったのかもな」



マリーダ「その様な事があのアラスカの地で……」

グラハム「ふっ、有意義な体験ながら結果として反逆者扱いなのは身から出た錆と言ったところか」

グラハム「私自身、あまり良からぬ評価を受けている面も多く、スレーチャー少佐の一件以来上層部にもホーマー司令以外の味方は殆どいない」

グラハム「この案件、自らの立場を知らされたという意味では価値があったと言えよう」

マリーダ「……」

ロックオン「成り上がりが嫌われるのは世の常だな」

ロックオン「あんたの方、やっぱりちょっとヤバい空気かい?」

グラハム「このままだと銃殺刑も有り得るな」

ロックオン「ッ、マジかい?」

グラハム「元々軍内部の情報漏洩の指摘はあった、今ではそれを全部押し付けられそうな勢いだ」

グラハム「証拠は不十分だが、何だかんだ難癖をつけて三国が牽制し合っているのが実情だ」

ロックオン「つまり、あらが出たならタダでアンタを返す訳にはいかんと」

グラハム「そうなるな」

ロックオン「敵ながら、相も変わらずといったところか。下らねえ」

マリーダ「誰のせいでこうなったと思っている!」

ロックオン「俺が助けなきゃ、今頃マスターは海の藻屑だったんだがなぁ?」

マリーダ「ぐっ!」

グラハム(肩身が狭い……)

グラハム「ときにロックオン」

ロックオン「ん?」

グラハム「何時からいた」

ロックオン「…………」

ロックオン「野暮なこと聞くんじゃねえよ」フッ

グラハム「最初からか貴様ッ!」

マリーダ「無駄なタイミングまで狙い撃ちおって……!」

ロックオン「そりゃあ俺はロックオン・ストラトスだからな」ニヤニヤ

マリーダ「くッ……そんな目で見るな!」

ロックオン「それにしても、あんたと戦場で逢えないのは残念なのか幸運なのか……」

グラハム「私にとっては不運だ」

ロックオン「そうなるか」

マリーダ「……マスター、その点に疑問があるのですが」

グラハム「質問を許可しよう」

ロックオン「ん、どうしたマリちゃん」

マリーダ「マスターはこのガンダムマイスターを友人とお呼びになりました」

ロックオン(無視かよ……)

マリーダ「マスターは、友人と殺し合うことを是となさるのですか……?」

グラハム「む……」

ロックオン「おっと、こりゃ痛いところを狙い撃たれたな」

グラハム「良いはずはない。出来るならば争いは避けたいし、平和を望む意志は彼らとて変わらない」

グラハム「だが、目指す場所が同じでも通る道が違えば世界の結末は大きく変化してしまう」

ロックオン「つまりは俺の望む世界、ソレスタルビーイングの望む世界を目指すやり方と……」

グラハム「私の望む世界、我々が関わってきた三国の人間が望む世界を目指すやり方は違うと言うことだ」

グラハム「目的は同じか近しいものでも、過程が違うならやはりそれは別の目的なのだ」

ロックオン「そして話しても絶対に交わらない平行線なら、やっぱり戦うしか無いんだよ。人間ってのは」

グラハム「哀れな話ではあるが……お互い恨みっこ無しのフェアなやり方ではある」

マリーダ「……」

ロックオン「あんまり理解されてなさそうだな」

グラハム「致し方ない。男の世界と言うものだ、マリーダのみならず納得出来る者はそういるまいよ」

マリーダ「申し訳ありません、私にはどうにも……」

グラハム「なに、それが正常な見方とも言える。謝る必要はどこにも無い」

ロックオン「そういうこった、戦場であったら俺はあんたを容赦なく狙い撃つ」

ロックオン「あんたらは狙い撃たれても文句は言えないし、俺を撃っても気に病む必要なんか何処にも無い。そこんところOK?マリちゃん」

マリーダ「……貴様だけは真っ先に宇宙の藻屑に変えてやる」

ロックオン「その意気だ、宜しく頼むぜ」

ロックオン「ん?」ザザッ

グラハム「ッ、どうしたロックオン!」

ロックオン「どうやら、繋ぎが無くなるみたいだな。此処にいられなくなるみたいだ」

ロックオン「じゃあなグラハム、出来れば決着は戦場で着けたいもんだ」

グラハム「あぁ、私もそれを望んでいるよ」

ロックオン「またなマリちゃん、あんたのマスター無理しがちだから、しっかり助けてやりな」

マリーダ「お前などに言われずとも、そうしてきた!」

ロックオン「へいへい、お熱いこって」

グラハム「ロックオン、いやニール」

グラハム「必ず、戦場で逢おう」

ロックオン「おう、必ずだ」

ロックオン「あばよ……グラハム」

…………

グラハム「……」

マリーダ「マスター」

グラハム「不可抗力とはいえ、最も警戒すべき男に出会ってしまったな」

グラハム「彼ならば、一連の会話でGNーXのことに気付いただろうが……」

マリーダ「だとしても、彼は喋らないと」

グラハム「あぁ」

グラハム「彼の方は、大事には至っていないようだな。有る意味では有り難いことだが、敵の結束力が強いことを喜んではいられないのも事実だ」

グラハム「マリーダ、GNーXはその性能こそガンダムに匹敵すると言われているが、やはり量産機。皆の気をあまり逸らせるなよ」

マリーダ「了解」

グラハム「特にダリルとジョシュアだ、義理堅く人情に厚いダリル、腕は私に並ぶがあまり物事を考えたがらないジョシュア、この二人はガンダムの得意とする土壌で戦いかねん」

グラハム「我々はいつの戦場でも、自らのやり方にガンダムを引き込んで戦っていた。GNーXの性能に溺れ、無闇な突貫を繰り返していたら勝てるものも勝てなくなる」

グラハム「青い奴は近づけるな、離れろ。緑は何とかして近づけ、だが近距離砲には注意しろ。デカブツは常に位置を把握し一撃に備えろ、羽根つきはやたらに追うな、落ち着いて複数で迎撃しろ」

グラハム「我々が空を飛んでいた時の基本を忘れるなと、オーバーフラッグスには伝えてくれ」

グラハム「私も必ず追い付いてみせる、その間フラッグファイター達を頼むぞマリーダ」

マリーダ「了解、マスター」

グラハム「……」ザザッ

グラハム「漸く、といったところか」

マリーダ「マスター!」

グラハム「案ずるなマリーダ、カタギリにも待っていてくれと伝えてほしい」

グラハム「アイツはいつもは軟派に見える醸しれんが、根は男の中の男だ……絶対に私のフラッグを造り上げてくれる」

グラハム「だったら私も挫ける訳にはいかん。耐え抜いてみせるさ」

マリーダ「え……?」

グラハム「 」ザザッ……ザー

マリーダ「マスター、マスター!?」


ーマリーダ自室ー

マリーダ「ッ……!」ガバッ

マリーダ「あ……ぐ……!?」

マリーダ(例の発作……薬を……!)

ザラザラッ
ガリッ

マリーダ「ッ……」ゴクッ

マリーダ「ハァー……ハァー……」

マリーダ「マスター……」



グラハム「ぐ……っ」

グラハム(他の二人は寝ていたのだろうか……睡眠と気絶の境界線は曖昧ということだな)

グラハム(二人に比べ、能力に劣る私が彼処にたどり着けたのは、むしろ意識が生への執着に寄っていたからかもしれんが……)

グラハム「さて、せめて上着位は着たいものだな。この季節、流石に堪える……ッ」

グラハム「何のこれしき、自白などしてたまるものかよ……!」


ーホテルー

絹江「それじゃあ……」

紅龍「絹江さん、本当に宜しいのですか?」

絹江「えぇ、決めたことです」

紅龍「失礼ながらあなたの過去に関しては調査させていただきました」

紅龍「お父上に濡れ衣を着せ、獄中死させた公安権力への不信感は理解できます」

絹江「……」

紅龍「ですから、我々がご家族共々保護すればと……!」

絹江「再三その件はお断りさせていただきました」

紅龍「しかし!」

絹江「紅龍さん、でしたっけ」

絹江「貴方にラグナ氏のデータを複製し手渡したのは、私なりのけじめです」

絹江「確かに、私にはこのデータを世間に公表することが出来るし、あなた方のお世話になって隠れることも出来ます」

絹江「でもそれは……私が思う世界の在り方」

紅龍「絹江さん……」

絹江「沙滋には、弟には世界の裏側になんて回ってほしくない。当たり前の生活をして、当たり前の人生を生きてほしい」

絹江「私のせいであの子の道をねじ曲げたりなんか、出来ませんよ」

絹江「それに……私はジャーナリストです。これを公表すれば、一躍世界的なジャーナリストとして名が広まるでしょう」

絹江「正直に言えば、一晩ずっと悩みました……私だってこの世界に生きてましたから、そういうのに憧れてた面もあります」

絹江「でもそれは私の思うジャーナリストの在り方じゃないって、思い出せたんです。世界を混乱に陥れて、何人もの人間を不幸にさせてまで、私はジャーナリストとして成り上がりたくはないって」

絹江「だから……貴方に託しました。直感だけど、きっと貴方達なら正しくこのデータを扱ってくれると信じて」

紅龍「……」

絹江「……宜しくお願いします」

絹江「父のようなジャーナリストになる……そのためにこの世界に入ったのに、結局私も末路まで同じ道を歩んでしまった」

絹江「これは罰なのかもしれませんね……」

紅龍「……」

絹江「……時間ですね。もう、行きます」

紅龍「考え直すことは出来ませんか……?」

絹江「決めたことです」

紅龍「……ッ」

絹江「ごめんなさい……」スッ

ウィィンッ

紅龍「……」

ピッ

紅龍「お嬢様、例のデータを入手いたしました」

紅龍「いえ、その件は物別れに……はい」

紅龍「……」

紅龍「絹江・クロスロードは、自身の死を以てこの一件を留めると」


ー路地裏ー

絹江「……此処なら、誰かが巻き込まれたりはしないわよね」

絹江「父さんみたいに、独りで突っ走って死んじゃうようなジャーナリストにはならないって決めた筈なのに……」

絹江「……」

絹江(強大な国家権力には、個人の力なんて通用しない)

絹江(私や沙滋が無事でも、JNNの仲間や、沙滋のクラスメート……追及の可能性は何処まででも広がる)

絹江(それに、例え彼らが保護してくれたとしても完全に安全とはいかない)

絹江(何処までも何処までも……報復の可能性はついて回る)

絹江(沙滋、ごめんね。でもあなたにまで彼らの手は及ばせないから)

絹江「これが私の、けじめよ」

キキィッ
ジャキンッ

絹江「……」



沙滋「!」

沙滋「姉……さん……?」


TO BE CONTINUED...


王留美「では、早急に此方に戻ってきなさい。えぇ、ではまた」

ピッ

PPP

王留美「!」

ヴンッ

王留美「あら、お耳が早いこと……フフッ」

王留美「変革から爪弾きにされた者はいずれ宇宙に居場所を求める」

王留美「【RGM】……これはその際の牙となるモノ」

王留美「いささか変革を見つめるのも飽きてきた、私もこの舞台に上がらせてもらうとしましょうか」

王留美「そのためには不可欠なのよ……【箱】という存在が」


次回『変革』

野獣と妹の牙、ガンダムに迫る



←ブログ発展のため1クリックお願いします
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://kannki.blog39.fc2.com/tb.php/2757-f4f23823
    この記事へのトラックバック



    アクセスランキング ブログパーツ レンタルCGI
    /* AA表示 */ .aa{ font-family:"MS Pゴシック","MS PGothic","Mona","mona-gothic-jisx0208.1990-0",sans-serif; font-size:16px; line-height:18px; }