2011年04月07日 22:03
カズイ「俺の居場所、みんなを守るためにこの機体――ストライクで俺は戦う!」
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:15:13.20 ID:G+Kwiw0ho
―C.E.71年5月8日 アラスカ基地―
ブリッジ内部には不穏な空気が流れている
『ザフト軍を誘いこみサイクロプスで戦力の大半を奪う』
アークエンジェルはその為の人身御供
連合の本部に僅かな戦力しか配備されていないことも
はみ出し者ばかりが集められていることも、全ては計画の一部であった
大挙するザフト軍に阻まれ脱出は不可能
カズイ(どうしてこんな事になってしまったのだろう……)
軍に志願したときは、こんな事になるなど思いもしなかった
カズイ(もういやだ……こんなところで死ぬために志願したわけじゃないのに……)
その時一体のジンの機銃が艦橋を捉えた
カズイ(うわぁあああ……もうダメだぁあああ……)
誰もが死を覚悟したその時
一発の光弾がジンの機銃を貫いた
カズイ(あれは……まさか………)
C.E.71
革命戦争、私設武装組織ソレスタル・ビーイングによる、地球圏規模の武力介入を経てもなお
地球=プラント間の溝は埋まらず、国連軍の引き起こした血のバレンタイン事件を契機に、
両陣営は本格的な武力衝突へと突入した
開戦当初は擬似太陽炉搭載型MS GNX-603Tジンクスを中心に、プラントを遥かに上回るMS保有量を誇る
国連軍の勝利は必至と思われていた
しかし、国連軍よりも高い科学力を持つプラントは、擬似太陽炉の技術をジンシリーズに転用し
圧倒的な生産力をもってその量産、配備を進めた
その軍力をもって、地球のライフラインである軌道エレベーターの一つ『アフリカタワー』を占拠
その後も国連軍を封じ込めるために、『タワー』『天柱』更には各地のマスドライバーを制圧
地球ではニュートロンジャマーによって原子力発電までもが封じられたために
深刻なエネルギー危機に見舞われ、戦局は硬直したまま約一年と半年が経過した
『オーブ解放作戦』
擬似太陽炉研究において、プラントに遅れをとることとなった国連軍は
秘密裏にオーブの協力を得て、ジンクスの量産、及びGシリーズの生産に成功
そのデーターを基に量産されたジンクスⅡと、ストライクダガーがこの戦いで初めて投入された
そして、国連軍の圧倒的な戦力によってオーブはその保護下に置かれた
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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:15:13.20 ID:G+Kwiw0ho
―C.E.71年5月8日 アラスカ基地―
ブリッジ内部には不穏な空気が流れている
『ザフト軍を誘いこみサイクロプスで戦力の大半を奪う』
アークエンジェルはその為の人身御供
連合の本部に僅かな戦力しか配備されていないことも
はみ出し者ばかりが集められていることも、全ては計画の一部であった
大挙するザフト軍に阻まれ脱出は不可能
カズイ(どうしてこんな事になってしまったのだろう……)
軍に志願したときは、こんな事になるなど思いもしなかった
カズイ(もういやだ……こんなところで死ぬために志願したわけじゃないのに……)
その時一体のジンの機銃が艦橋を捉えた
カズイ(うわぁあああ……もうダメだぁあああ……)
誰もが死を覚悟したその時
一発の光弾がジンの機銃を貫いた
カズイ(あれは……まさか………)
C.E.71
革命戦争、私設武装組織ソレスタル・ビーイングによる、地球圏規模の武力介入を経てもなお
地球=プラント間の溝は埋まらず、国連軍の引き起こした血のバレンタイン事件を契機に、
両陣営は本格的な武力衝突へと突入した
開戦当初は擬似太陽炉搭載型MS GNX-603Tジンクスを中心に、プラントを遥かに上回るMS保有量を誇る
国連軍の勝利は必至と思われていた
しかし、国連軍よりも高い科学力を持つプラントは、擬似太陽炉の技術をジンシリーズに転用し
圧倒的な生産力をもってその量産、配備を進めた
その軍力をもって、地球のライフラインである軌道エレベーターの一つ『アフリカタワー』を占拠
その後も国連軍を封じ込めるために、『タワー』『天柱』更には各地のマスドライバーを制圧
地球ではニュートロンジャマーによって原子力発電までもが封じられたために
深刻なエネルギー危機に見舞われ、戦局は硬直したまま約一年と半年が経過した
『オーブ解放作戦』
擬似太陽炉研究において、プラントに遅れをとることとなった国連軍は
秘密裏にオーブの協力を得て、ジンクスの量産、及びGシリーズの生産に成功
そのデーターを基に量産されたジンクスⅡと、ストライクダガーがこの戦いで初めて投入された
そして、国連軍の圧倒的な戦力によってオーブはその保護下に置かれた

―6月23日 学園都市―
混迷する地球にあって中立を貫き、プラントをも上回る科学力を持つ学園都市
ここでは薬物や催眠を用いて人為的に超能力を開発する、記録術が行われている
カズイ・バスカークは学園都市、第七学区の陣代高校に転入することとなった
カズイ「ヘリオポリスのカトーゼミから転入してきた
カズイ・バスカークです」
生徒A「ヘリオポリス? あそこはザフトの襲撃を受けて五ヶ月も前に崩壊したんじゃないのか?」
生徒B「一体どういう奴なんだ?」
クラス内が俄にざわつく
青髪ピアスの青年「何やカミやん面白そうな奴が転入してきたなあ。ちーとばかし気ぃ弱そうやけど」
上条「ああ、そうだな」
小萌「それじゃカズイちゃんの席はですねぇ……
上条ちゃんの後ろですね」
まるで小学生のような体躯を誇る女教師が指を指す
小萌「上条ちゃん、ちゃんとカズイちゃんの面倒を見てあげるのですよ」
上条「ういーっす」
カズイ「あ、あのよろしく上条くん」
上条「よろしくな、カズイ」
ツンツン頭の少年――上条は気さくに返す
小萌「それじゃ早速授業を始めるですよ」
こうしてカズイ・バスカークの学園都市での生活が始まった
―放課後 繁華街―
男1「ねぇ、僕? お兄さんにお金貸してくれない?」
カズイ「………」
いつの間に自分の周りを数人の男達が取り囲む
明らかに紳士的な雰囲気とは言い難かった
男2「おいおい、聞いてんの?」
カズイ(鬱陶しい……)
男3「僕ら今日のメシ代、足りなくて困り申し上げてんのよね」
カズイ(こういう時に採るべき行動など決まっている)
カズイ「い、いくらですか?」
気が弱く腕力もない自分にはこうすることしか出来ない
男1「うーん……一万円ぐらいかな?」
カズイ「ど、どうぞ……」
素直に財布から紙幣を取り出す
学園都市が独自に製造しているものだ
男3「おいおい、一人一万円に決まってますでしょ?」
カズイ「え?」
男3「もしかして貸して頂けないの?」
男2「そりゃねーぜ、今日の夕飯どうすんだよ?」
カズイ(俺こそ今日の夕飯どうすればいいんだよ……)
男1「仕方ないよね、困ってる俺らに金貸してくんないこの子が悪いんだよ」
突然、カズイの体が宙に浮き壁に叩きつけられた
カズイ「っ……」
男1「どうよ僕の能力、テレキネシス」
カズイ「うぅ……」
男3「ほらさっさと金お出しになっちゃいなよ」
そういって男が胸ぐらをつかみ腕を振り上げた時
?「おい、うちのクラスメイトに手ぇ出してんじゃねぇよ」
男3「どなただテメェ?」
男2「なに? この子の友達?」
上条「だったらどうなんだよ?」
男2「ちょうどよかったこの子からお金を借りようと
思ってたんだけど彼、渋っててね」
男3「君がお貸しくださるのか?」
上条「断る」
男2「だろうな。おい、まさる!」
まさる「任せな!」
先ほどテレキネシスを繰り出した男が構える
まさる「吹き飛べや!」
カズイ「か、上条、逃げて!」
上条「………」
上条は無言で右手を構える
するとどういう訳かテレキネシスが働くことはなかった
男2「不発ぅ?」
カズイ(まさか……打ち消した?)
上条「まだやんのか?」
男3「なんだよこの方の能力は?」
まさる「ひ、退くぞお前ら」
男2「お、おう……」
上条「はぁ……大丈夫かカズイ?」
カズイ「あ、ああ。ありがとう助けてくれて」
上条「別に気にすんなって」
?「ちょっとあんた?」
中学生ぐらいであろう女子が声をかけてきた
上条「何だ、ビリビリ中学生か……」
?「ビリビリじゃなくって御坂美琴、いい加減覚えなさい」
カズイ(御坂美琴って……まさか常盤台の超電磁砲?)
レベル5の一人『超電磁砲』
学園都市に来てまだ日の浅い自分でもその名は知っている
上条「で、今度は何なんですか? また勝負ですか?」
美琴「そうよ、この前は何故だか私の電撃が通じなかったけど
今日こそアンタを焦がしてやるわ」
カズイ「上条、その子は?」
美琴「……アンタ誰?」
カズイ「そ、その俺は……カズイ・バスカーク。上条のクラスメイト……です…」
美琴「ああ、そう。こいつの知り合いってことはアンタも変な能力を持ってるわけ?」
上条「こいつ学園都市に来たばっかでな、身体検査も記録術も受けてねーんだよ」
美琴「ふーん。それよりもアンタ、今日こそ決着付けるわよ」
上条「ったく、懲りねー奴だな……カズイ、また明日な」
カズイ「あ、うん……」
カズイ(上条くん大丈夫かな……)
その様子を遠くから何者かが見つめている
男「ターゲットを発見しました。如何致しますか?」
?『捕らえろ』
男「はっ!」
カズイ「学園都市って変な人が多いなぁ……」
カズイ「記録術を受けると俺もああなるのかな?」
男「………」
カズイ「……? 俺に用ですか?」
男「………」
カズイ「がはっ……」
腹部に激痛が走り意識が遠のく
カズイを気絶させた男は端末を操作する
男「目標を確保しました」
?『連れて帰れ。直ちに実験を開始する』
帰還命令を受けた男はカズイを連れて闇に消えた
―プリベンター―
革命戦争の終結後、地球連邦直属の治安維持部隊として
国連軍とは異なる組織体系で地球圏の治安維持を影から支えている
モニターの前にはスーツを纏った長髪の女性
さらにその前には無愛想な少年と長い髪を三つ編みにしばった少年が立っている
レディ「ヒイロ、デュオ。君達に任務だ」
デュオ「俺とヒイロなんて珍しい組み合わせだな」
ヒイロ「………」
レディ「これを見てくれ」
モニターにカズイと彼を誘拐した男が映しだされる
ヒイロ「これは何だ?」
レディ「この少年はカズイ・バスカーク。『原石』と目されている少年だ」
デュオ「『原石』? この気弱そうな少年がねぇ……」
レディ「彼は現在ブルーコスモスに誘拐され、対コーディネイター用の
強化兵士開発の実験台となっている」
ブルーコスモス――反コーディネーター思想を信奉する者達の総称である
ヒイロ「任務はその男の救出か」
レディ「その通りだ」
デュオ「なるほどね……で、ガンダムはどうするんだ?」
レディ「一応カトルを待機させるが、出来ることなら秘密裏に救出をして欲しい。
また今回の任務にはミスリルからSRT所属の相良宗介軍曹が出向することになっている」
ヒイロ「ミスリルが参加するのか?」
レディ「ミスリルは『原石』であろう彼の能力を非常に重視しているようだ」
デュオ「そんなにすごいやつなのか? そのカズイってのは」
レディ「恐らく、メンデルで生み出されたスーパーコーディネイター……
彼をも凌駕しうる力を秘めているだろう」
―6月24日 ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―
カズイ「っ……ここは……?」
目覚めると見知らぬ天井が目に映った
周囲には無機質な実験器具が置かれている
ジブリール「お目覚めかね?」
カズイ「あ、あなたは?」
身なりの良さそうな中年の男性が話しかける
ジブリール「私の名はジブリール。ブルーコスモスの幹部だよ」
カズイ「ブルーコスモスだって? どうして俺を?」
ジブリール「君はコーディネイターに対して劣等感を抱いているだろう?」
カズイ「………?」
ジブリール「当然だ。彼らはおぞましい遺伝子操作に手を染め、我らを遥かに凌ぐ才能を得ている。
そんな連中が跳梁跋扈する世界を君は認めることが出来るかね?」
カズイ「一体何を言って……」
ジブリール「私は君に力を与えたいと思っている。彼らコーディネイターを殲滅する力を」
カズイ「な、何をするつもりなんですか?」
ジブリール「ただの記録術さ。君に眠る能力を解放するのだよ」
カズイ「俺にそんな力は……」
ジブリール「あるのだよ君には……」
カズイ「まさか!? いや、それよりも、コーディネイターを殲滅するなんて……」
ジブリール「フフフ、コーディネイターに対する恐怖が拭いきれていないようだな。
だが安心するがいい、再び眠りにつけば君は対コーディネイター用の
最強の強化兵士として生まれ変わるだろう」
カズイ「お、俺にそんな気は……」
ジブリール「さぁ、安らかに眠るがいい……」
―6月25日 教室―
カズイが誘拐されてから二日が経った
青髪ピアス「なあ、カミやん。カズイ、今日も休んどるで」
土御門「転入二日目にして不登校だにゃんて、妙な話だにゃあ、カミやん?」
上条「一体どうしたんだカズイの奴……」
上条と親しげに話すのは青い髪にピアス、金髪にサングラスという妙な扮装の少年たちである
―放課後 職員室―
小萌「はぁ……」
黄泉川「小萌先生、何だか元気ないじゃん。何かあったの?」
転入生の欠席に気を揉む小萌に声をかけたのはジャージに後ろ髪を縛っただけ、というラフな格好の女性である
小萌「黄泉川先生、それが昨日から転入生のカズイちゃんが来ていないのですよ」
黄泉川「どうせ風邪かなんかじゃん、そんなに気にすることじゃないじゃんか」
小萌「でも彼の寮に連絡しても応答が全くないのですよ」
神楽坂「月詠先生もですか? 実は私のクラスの相良くんもなんですよ」
黄泉川「神楽坂先生のクラスの転入生じゃん」
神楽坂「ええ、一体どうしたのでしょうか?」
―ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―
ジブリール「どうだね彼の様子は」
研究員「想像以上です。稀有な空間認識能力や高度な反射神経を保持し
身体面においてもかなりのポテンシャルを秘めています」
ジブリール「それは素晴らしい……」
研究員「それだけではなく、高度な演算能力をも有しています。
また、ひと通りの検査から彼の能力は自身の視覚、空間認識能力の大幅な強化であると思われます。
彼の演算能力と組み合わされば、的確な戦況予想、効果的な戦術の
構築が可能となるでしょう」
ジブリール「彼の目覚めが楽しみだな」
―研究所前―
宗介「待っていたぞ。プリベンターのヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェルだな」
デュオ「ああ、俺がデュオでこっちの無愛想なのがヒイロだ」
宗介「了解した。よろしく頼む」
ヒイロ「ああ」
―研究所内部―
宗介「カズイ・バスカークは地下16階。研究所深部で実験を受けているはずだ」
デュオ「地下へはどうやって行くんだ?」
ヒイロ「カードキーは研究員が持っているだろう」
宗介「力づくか……あまりスマートとは言えんな」
デュオ「じゃあどうするってんだ?」
宗介「いや、今は時間が惜しい。その方法で行くぞ」
ヒイロ「問題はどの研究員が地下へ続くカードキーを持っているのかだ」
宗介「手分けをしてカードキーを持つ研究員を探すぞ」
デュオ「へいへいっと」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:33:15.05 ID:G+Kwiw0ho
―30分後―
ヒイロ『こちらヒイロ。収穫は今のところ無い』
宗介『こちらウルズ7。状況は前に同じだ』
デュオ「こちら、デュオ。状況は前に……っと、ビンゴだ!
こちら、デュオ。地下へと向かう研究員を発見した。直ちにカードキーを奪ってくる。
ヒイロ達はさっきの場所に戻っていてくれ」
ヒイロ・宗介『了解』
デュオ「さてと……こんばんは、兄さん」
研究員「誰だ貴様は?」
デュオ「ちょいとすまねぇなっと……」
研究員「ぐっ……き、貴様……」
デュオ「さて、戻るとしますか」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:06.18 ID:G+Kwiw0ho
―10分後―
デュオ「待たせたな、お二人さん」
ヒイロ「待ったぞデュオ」
宗介「あまり時間をかけないでくれ」
デュオ「お前らなぁ……」
宗介「早速地下へ向かうぞ」
ヒイロ「了解」
デュオ「はいよっと……」
―深部―
デュオ「誰もいねぇぞ」
ヒイロ「妙だな」
宗介「だが好都合だ、カズイ・バスカークを捜すぞ」
―5分後―
デュオ「こっちは駄目だ」
ヒイロ「こっちもだ。そっちはどうだ相良」
宗介「ビンゴだ」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:37.78 ID:G+Kwiw0ho
―研究所地下―
カズイ(ここに連れて来られてからどれくらい経ったんだろうか……)
ジブリールと名乗る男の言葉を思い返す
カズイ(確かにコーディネイターは怖いし、正直嫉妬してる。
だからって殲滅するなんて……非道だし、無理に決まってる)
カズイ(戦争が嫌だから学園都市に来たのに……)
宗介「ビンゴだ」
カズイ(! 人の声……あの男じゃない!?)
宗介「起きろ! カズイ・バスカーク」
カズイ(今度は何をする気なんだ……)
カズイ「やめてくれ、俺はコーディネイターを殲滅する気なんて無い」
宗介「? 何を言っている。俺はお前の救出に来た、ミスリルのSRT所属、相良宗介軍曹だ」
カズイ「ミス…リル?」
デュオ「宗介、早くそいつを連れてずらかるぞ」
宗介「了解した。カズイ・バスカーク、ともかくここから
脱出をする。走れるか?」
カズイ「う、うん……」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:23.85 ID:G+Kwiw0ho
―研究所外―
デュオ「大丈夫か? カズイ?」
カズイ「大丈夫……だけど…君たちは?」
デュオ「俺はデュオ・マックスウェル。こっちのムッツリがヒイロ・ユイ」
カズイ「君たちもミスリル?」
デュオ「俺らは違うんだが……」
ヒイロ「デュオ、話はここから退避してからだ、見てみろ」
カズイたちの周囲にMSが数機展開している
カズイ(あれってストライクダガー?)
宗介「囲まれているようだな」
デュオ「仕方ねーな。カトル、後は頼んだぞ」
カトル『ええ、分かりました。サンドロックで応戦するのでデュオ達は早く脱出してください』
通信終了後、曲刀を携えたMSが出現した
カズイ「が、ガンダム? 君らは一体?」
ヒイロ「行くぞ」
―研究所外 合流地点―
宗介「このヘリコプターでトゥアハー・デ・ダナンへ向かう。お前たちも来てくれ?」
カズイ「とぅあは……何だって?」
宗介「トゥアハー・デ・ダナンだ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:52.69 ID:G+Kwiw0ho
―6月26日深夜 日本近海 トゥアハー・デ・ダナン―
テッサ「ようこそ、トゥアハー・デ・ダナンへ、カズイ・バスカークくん」
カズイ「ど、どうも?」
カズイ(女の子?)
マデューカス「大佐、彼が?」
テッサ「ええ、ヒイロさん達が持ち帰ったブルーコスモスの
研究報告書では間違いなく『原石』であると」
カズイ「『原石』?」
テッサ「『原石』とは自然界の偶然作用によって
超能力を発現させた異能者の事です」
カズイ「俺がその『原石』ってやつなの?」
テッサ「どうやらあなたは最高の演算能力、空間認識能力、反射神経を持っているようです」
カズイ「それが、俺の能力なんですか?」
テッサ「それらはあくまでもあなたの資質です。真の能力は
視覚、空間認識能力の強化による正確な戦況把握、高度な戦術構築、そして超反応」
カズイ「そんな能力が俺に?」
テッサ「ええ、そうです。他のレベル5のように世界の軍事バランスを揺るがしうる能力です」
カズイ「そんなの、今まで一度も……」
テッサ「それは恐らく、あなたの性格が原因です」
カズイ「俺の……性格?」
テッサ「あなたがかつて感じていたコーディネイターへの恐怖、羨望、嫉妬、
そういった感情があなたの本来持っていた資質を抑制していたのです。
ですが、アラスカ攻防戦後その資質は徐々に解放されて来ています」
カズイ「………」
テッサ「きっと、その時感じた死の恐怖があなたの資質、能力を
本能的に目覚めさせたのでしょう。一種の防衛本能ですね」
カズイ「………」
テッサ「正式な検査はまだですが、あなたの能力は恐らくレベル5に相当するでしょう」
カズイ「レベル5!? 俺が?」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:37:32.28 ID:G+Kwiw0ho
―朝 教室―
ヒイロ達に救出されたカズイは再び学園都市に戻る
テッサは今後、彼が今回の様な目に遭うことがないよう
プリベンター――ヒイロ達が所属する組織に、護衛を要請した
カズイ(僕に能力が……しかもレベル5相当だって?)
妙な話である、レベル5に属する者は学園都市に7人しか居ない
その稀有な能力者に、自身が分類されるというからだ
カズイ(とても信じられない……)
カズイは突如告げられた自身の能力に戸惑いを感じながらも教室の戸を開く
生徒A「おい、カズイじゃねぇか」
生徒B「突然休むなんてどうしたんだよ?」
吹寄「転入早々欠席とは……たるんでいるぞ、カズイ・バスカーク」
転入生の身を案じたクラスメイトの声にカズイは包まれる
小萌「さあ、みんな座るのですよ。今日は転入生を紹介します」
生徒A「また?」
カズイ「転入生って……まさか」
教室へ入ってきたのは長い髪を三つ編みに縛った少年と育ちの良さが伺える金髪の少年だ
デュオ「俺の名前はデュオ・マックスウェル。よろしくな」
カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」
小萌「二人はコロニーからの移住者なのです。みんな仲良くしてくださいね」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:38:08.35 ID:G+Kwiw0ho
―休み時間―
カズイ「まさか、デュオが転入してくるなんて」
デュオ「護衛するならこの形が一番だと思ってな」
カズイ「そっちの君は?」
カトル「あの時は直接顔を合わせていなかったね。
僕は、カトル・ラバーバ・ウィナー。
ガンダムサンドロックのパイロットさ」
カズイ「もしかしてあの時ダガーと戦っていた?」
カトル「そうだよ。カズイ、これからよろしく」
カズイ「よろしく、カトル」
上条「お前たち、カズイの知り合いだったんだな?」
カトル「君は?」
上条「俺は上条当麻。二人ともこれからよろしくな」
デュオ「よろしくな、上条」
カトル「よろしく、上条くん」
デュオ「それとカズイ、今日の放課後、ちょっと付き合ってくんねーか?」
カズイ「どうしたの、デュオ?」
カトル「君に渡したい物があるんだ」
カズイ「渡したい物?」
―放課後 某所―
カズイ「ここは?」
カトル「プリベンターの学園都市支部さ」
デュオ「お前に渡したいものはこの先にある」
デュオは壁の端末を操作し、ゲートのロックを解除する
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:07.98 ID:G+Kwiw0ho
―MSハンガー―
カズイ「これは……ストライクダガー?」
カトル「少し違うかな。これはGAT-01A1ダガー、通称105ダガー
渡したいものってのはこれのことだよ」
カズイ「俺、MSの操縦は……第一どうして俺に?」
デュオ「お前を狙う組織ってのは、ブルーコスモス以外にもいくらでもあんだよ
そん時には俺らだけで守りきれるとは限らないからな」
カトル「だから、君にはMS操縦技術と体術を身に付けて欲しいんだ」
カズイ「そ、そんな……俺は戦争が嫌でこの学園都市に来たのに……」
カトル「学園都市も、もはや安全とは言えない。ブルーコスモスの急進派には
学園都市自体を敵視する者もいるんだ」
カズイ「だからって……どうして俺が狙われなきゃいけないんだよ」
デュオ「それだけお前の能力は稀少なんだよ」
カトル「僕らの力不足で君に負担を強いるのは気がすすまないけど……」
デュオ「別に戦争に協力しろだとかプリベンターに参加しろと言ってるわけじゃねぇんだ。
訓練には俺らが付き添うしな」
カズイ「そ、それなら……」
カトル「ありがとう、カズイ」
その後、彼らは共にプリベンターのノインという人物の指導で
訓練を受けることとなった
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:40.63 ID:G+Kwiw0ho
―6月30日 プリベンター学園都市支部―
カズイが学園都市に来てから一週間が経った
身体検査の結果も出され、付けられた能力名は
『空間掌握(カリキュレーター)』第八位の『超能力者(レベル5)』だ
ノイン「カズイ、もうバテたのか?」
ノインがそう言い放つも
カズイは息を切らせまともに返答できない
デュオ「無理ねーぜ。こいつは元々、ナチュラルの学生なんだからな」
ノイン「だが、カズイ。君の上達ぶりは相当なものだ」
デュオ「まあ、これならこないだのように、誘拐されたりはしないだろうな」
カトル「MSの扱いにも大分、慣れてきたようだしね」
カズイ「ハァ…ハァ……」
ノイン「よし、今日はこれぐらいにしておこう」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:40:07.97 ID:G+Kwiw0ho
―繁華街―
男2「久しぶりだね、君」
カズイ「?」
男3「僕らさ、お金に困り申し上げてんのよね。今日こそ貸してくださらない?」
カズイ(この前の不良だ……)
男2「聞いてんの?」
男3「あまり困らせないでくださいよ……」
男はそう言ってカズイの腕を掴もうとした、しかし……
カズイ「ッ!」
男3「え?」
男は地面に叩きつけられていた。正確にはカズイが彼の腕を取り投げ飛ばしたのだ
男2「て、てめぇ…よくもみつるくんを……」
みつる「うぅ……痛い、痛い、痛いーーーーーーーっ!」
男2「許さねぇ、俺の能力を見せてやるっ!」
もう一人の男は人差し指を構え
男2「俺のこの手が真っ赤に燃えるぅっ…勝利を掴めとかぁがやk…ぐはっ……」
?「無事か、バスカーク?」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/06(水) 22:40:17.93 ID:3iYIdnAAO
これ何か読んだことあるような
27 :>>26 以前VIPに上げたやつです [saga]:2011/04/06(水) 22:41:22.20 ID:G+Kwiw0ho
カズイ「相良!? どうして君が学園都市に?」
宗介「俺は元々、陣代高校の生徒だ」
カズイ「そうだったの?」
?「ん? おい! みつる! あきお! どうした? 誰にやられた?」
みつる「あ、あいつらが……」
あきお「頼む、まさる。あいつらを……」
まさる「ああ、任せろ……仇は…取る!!」
宗介「まだ、居たのか」
まさる「許せないんだよ……お前らぁあああああああっ」
カチャッ
宗介は不良に銃を向ける
まさる「ひっ……」
宗介「両手を頭の後ろに組み、直ちに……」
パァンと耳に心地よい音が響く
宗介「痛いぞ、千鳥」
かなめ「このバカ、そんなおもちゃ振り回して何やってるのよ」
宗介「千鳥、これはおもちゃではなく、グロック19という信頼性の高い銃だ」
かなめ「ああ、はいはい。そろそろ完全下校時刻なんだから早く帰りなさい」
宗介「もう、そんな時間か」
かなめ「そこの君たちも早く帰りなさいよ」
そういって宗介たちは帰っていった
まさる「きょ、今日はここで退いてやる。次こそは金を貸してもらうからな……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:08.55 ID:G+Kwiw0ho
―7月3日 教室―
小萌「その……今日は皆さんに、て、転入生を紹介します。刹那ちゃん、入ってきてください」
青髪ピアス「何や、また転入生かいな?」
土御門「いい加減、物憂げで薄幸な美少女でも転入してこないかにゃ~」
刹那「ちょりーっす、転入生の刹那で~す。よろしちょりーっす」
カズイ(………ナニコレ?)
小萌「え、えーと……それじゃセイエイちゃんはバスカークちゃんの後ろに座ってください」
カズイ「えぇ~!?」
刹那「何、君? 俺のクラスメイトになっちゃうげ? なっちゃう感じ?」
カズイ「え、あ……その……」
刹那「何々? 何かテンション低いじゃん、どしたの? どしたの?
もしかして、あれ? 五月病ってやつなのかーなー?」
カズイ(鬱陶しいな……)
小萌「それと来週から修学旅行なのですよ。みなさん、準備はしっかりとしておいてくださいね」
カズイ「あれ? 先生、俺たちはどうするんですか?」
小萌「カズイちゃんたちの旅行費はすでに支払われているので安心してくださいなのです」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:42.82 ID:G+Kwiw0ho
―7月9日 プリベンター学園都市支部―
ノイン「さて、今日の訓練はここまでだ」
デュオ「あーあ、疲れた疲れた……」
ノイン「ところで、お前たち。明日からの修学旅行の事だが……」
デュオ「ん?どうしたんだよ?」
ノイン「先日、プリベンターの諜報員から入った情報だが、
どうやら、このタイミングにとある組織が『原石』の強奪を画策しているらしい」
カズイ「俺を?」
デュオ「んじゃ、俺らは旅行中止かよ!?」
ノイン「いや、彼らの狙いはもう一人の『原石』」
カトル「カズイ以外にも『原石』が?」
ノイン「ああ、君らには有事の際、適切に対処して欲しい」
カズイ「も、もしかして……俺もですか?」
ノイン「ああ」
カトル「な!? 危険過ぎますよノインさん!」
ノイン「もう一人の『原石』はカズイと同じように、
いやそれ以上に世界の軍事バランスを崩しかねない」
デュオ「その為には俺らの力は不可欠だし、カズイ一人学園都市に置き去りに
することもできないって訳か……」
カズイ「理屈ではそうかもしれませんけど……俺は……」
ノイン「このようにせざるを得ないのは不本意ではある。
だが、私の訓練を耐えた君なら大丈夫だ。自分の素養と実力を信じるんだ」
カズイ「素養と……実力……」
ノイン「もちろん、バックアップは付ける。君を連中に渡すようなことにはさせない」
カズイ「分かりました……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:43:14.75 ID:G+Kwiw0ho
―某所―
ガウルン「プリベンター、ミスリルにソレスタルビーイングのガンダムマイスター……
随分とご機嫌なメンツが集まってるじゃねぇか、この学園都市は」
傭兵「ガウルン、あくまでも我々の目的は『ウィスパード』だぞ」
ガウルン「んなことは、分かってるさ」
傭兵「連中の介入があった場合、貴様にも動いてもらうぞ。アリー・アル・サーシェス」
サーシェス「おう、任せな。俺のガンダムも丁度修理が終わったところだしな」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:17.28 ID:G+Kwiw0ho
―7月10日 機内―
カズイ「デュオたちはやっぱり沖縄は初めて?」
カトル「そうだね、僕らはコロニー育ちだから」
カズイ「俺も沖縄は初めてだよ」
デュオ「だけど、この時期に修学旅行は助かったぜ。最近はノインさんに
散々しごかれてたからな」
カズイ「ご、ごめん、俺に付きあわせたばかりに」
デュオ「別にお前を責めてるわけじゃねーって」
その時、ガタンと機体が揺れた
カズイ「な、何? エアポケット?」
カトル「窓を見て、あれは連合軍のメビウス」
デュオ「どういう事だ? 何だって沖縄にそんなのが?」
カトル「まさか……」
飛行機は着陸を始める
しかし、周囲の風景は沖縄どころか日本ですらない
カズイ「あれはAS? それに……」
カトル「ああ、トーラスだ」
デュオ「あっちにはジンクスやティエレンか……」
カトル「恐らく、ここは旧人革連領だろうね。
ただ、ダガー系の機体やジンクスⅡが、配備されていないということは
連邦での発言力があまり無い小国かな」
その時、機内放送を告げるチャイムが鳴った
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:46.59 ID:G+Kwiw0ho
?『機内の皆さん、私は機長に代わりこの機の責任者となった者です』
上条「? どうしたんだ突然……」
?『当機はやむをえぬ事情からハンカ自治州の空軍基地へ着陸しました』
小萌「ハンカ自治州って……まさか!?」
?『皆さんには複雑な政治情勢にあるこのスリリングな地にふさわしく人質になって頂きます』
刹那「………」
?『逃亡を試みた者、不穏な動きを見せた者については、我々は躊躇せず射殺させて頂きます』
デュオ「カトル、カズイ!」
カトル「まずいね、何とかレディさんに連絡を取らないと……」
動揺する機内に複数の傭兵が入ってきた
ガウルン「さて、そこのお嬢さん。マスコミ用の映像を撮りたいのだが
ご同行願えるかな?」
かなめ「え? そんな、私みたいなチンケな小娘、映えませんよ」
ガウルン「いいから、来いよ」
かなめ「っ……離してよ、離してったら」
カズイ(あれは、この前、相良といた……)
上条「おい、離してやれよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:45:52.96 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン「誰だ?」
上条「誰だっていい、その手を離せよ。人質なら俺がなってやる」
ガウルン「君ではダメだ。市民の同情を誘うにはね……」
上条「黙れよ外道」
ガウルン「ん?」
上条「いい大人が子供を利用しようなんて、恥ずかしくねえのかよ?
テメェの正義を貫きたいんだったら、こんな姑息な真似してんじゃねえよ」
ガウルン「イイね……恐れを知らないってのは、でも……うるさいよ君」
男は胸元から銃を抜きその銃口を向ける
?「伏せろ!」
上条「!」
上条はとっさに身を伏せ、銃声が響く
ガウルン「ん? ったく、誰だよ? 興が冷めちまったじゃねぇか……
連れて行け」
女子とハイジャック犯はそのまま去っていった
宗介「!」
何者かがハイジャック犯たちとは逆方向に去っていった
カズイ(今のは……相良?)
デュオ「行くぞ、カトル、カズイ」
カズイ「え?」
カトル「レディさんに連絡をとるんだ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:46:31.88 ID:G+Kwiw0ho
―基地内倉庫群―
カトル「ここなら誰も来なさそうだね」
デュオ「よしカズイ、見張りは頼んだ」
カズイ「え?」
デュオ「ここ数週間、ノインさんに散々しごかれたお前なら大丈夫だ。頼んだぞ」
カズイ「あ、ああ……」
―基地内倉庫内部―
宗介「マックスウェルか?」
デュオ「何だ宗介じゃねーか。お前もミスリルに連絡をって所か」
宗介「肯定だ。それよりもだ、マックスウェル、機内に爆弾が設置されている」
デュオ「何だって?」
宗介「とりあえず、俺はこの事をダナンに知らせる……」
カズイ「う、うわあ!」
カトル「カズイ!?」
悲鳴の響いた先では男が気絶していた
デュオ「これ、お前がやったのか?」
カズイ「あ、ああ。ノインさんの訓練のおかげかな? ところで君は……」
宗介「相良宗介軍曹だ。久しぶりだなカズイ・バスカーク」
カズイ「相良!? さっき走り去っていったのは、やっぱり君だったんだね」
宗介「肯定だ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:47:12.97 ID:G+Kwiw0ho
レディ『そうか爆弾が……』
カトル「周囲にはAS、MSが多く配備されています」
レディ『わかった、直ちにガンダムを送る。現時点では乗客の命を優先して行動してくれ』
カトル「わかりました」
宗介「どうだった?」
デュオ「すぐにガンダムを送ってくれるそうだ。それから乗客の命を優先しろとな」
宗介「なるほど。こちらも似たようなものだ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:48:16.47 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「そこまでだ、貴様らどこと交信していた?」
彼らが立ち去ろうとすると、複数の武装した傭兵が現れ道を塞いだ
デュオ「見つかっちまったか……」
傭兵「質問に答えろ」
傭兵たちはカズイ達を取り囲む
宗介「囲まれた……」
カズイ「も、もうダメだ……」
傭兵「さあ、改めて問う、貴様らはどこへ交信していた?」
デュオ「万事休すだな……」
?「伏せろ!」
声が響いたと思うと……
―カンッ
発煙筒が投げ込まれ視界を遮る、そして……
―ダダダダダッ
銃声が響く
傭兵「ぐっ……何者………だ?」
ヒイロ「………」
刹那「………」
煙が晴れるとそこには二人の少年が立っていた
デュオ「ヒ、ヒイロ?」
カズイ「刹那?」
カトル「ヒイロはともかく、どうして君が?」
ヒイロ「話は後だ。まずは状況を整理する、良いな?」
デュオ「ああ……」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:13.61 ID:G+Kwiw0ho
刹那「最初に言っておこう。俺の名は刹那・F・セイエイ。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」
宗介「ソレスタルビーイング? 奴らは二年前に滅びたはずでは?」
刹那「確かに二年前の国連軍の攻撃でソレスタルビーイングは離散した。
今は組織を離れ独自に行動している」
カズイ(あのキャラも独自行動の一環……なのかな?)
ヒイロ「現在、多くのが乗客が旅客機に囚われている。
その目的はウィスパードと呼ばれる『原石』入手の為の保険だ」
宗介「まさか…千鳥のことか?」
ヒイロ「その通りだ」
デュオ「なるほど、それでテロリストも彼女をね……」
ヒイロ「現在ミスリルとプリベンターが共同での救出部隊の編成を行っている。
その間、俺達は敵AS、MSの撹乱、爆弾の撤去、千鳥かなめの救出を行わなければならない」
刹那「だが、今の俺達にAS、MSの撹乱、爆弾の撤去は不可能だ」
ヒイロ「サンドロックとデスサイズ、それとバスカークのダガーは
すでにサリィによって運び込まれている」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:46.31 ID:G+Kwiw0ho
宗介「ならば、千鳥の救出は俺達か?」
ヒイロ「ああ、千鳥かなめ救出は俺たち三人で行う」
刹那「了解した」
ヒイロ「まず優先すべきは爆弾の撤去だ。これはジャマーとステルス機能を持つ
デスサイズに任せる」
デュオ「あいよ」
ヒイロ「爆弾撤去後、救出部隊到着までの20分、ASとMSの撹乱はカトルとカズイ、お前たちに任せる」
カトル「了解」
カズイ「りょ、了解……」
宗介「待て、バスカーク。お前MSでの実戦は何度目だ?」
カズイ「それは……」
ヒイロ「カズイ・バスカークは曲がりなりにも元軍人だ。
それに今は一機の戦力も惜しい。素人でも出てもらうほかない」
カズイ「だ、大丈夫だよ、相良。それに、みんなの命がかかってるんだ。
俺だけ逃げるわけにはいかない」
宗介「わかった。ウィナー、バスカークを頼んだぞ」
カトル「ああ、任せて」
ヒイロ「よし、作戦開始だ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:50:12.24 ID:G+Kwiw0ho
―基地内―
ヒイロ「………」
宗介「………」
刹那「………」
宗介「ユイ、ウィスパードとは一体何だ?」
ヒイロ「聞いていないのか?」
宗介「あ、ああ……」
ヒイロ「ならば俺から話すことはない」
宗介「どういう事だ?」
刹那「それよりも、彼女はどこに囚われているんだ?」
ヒイロ「おそらく、この辺りにウィスパード実験用の器具が搭載されたトレーラーがあるはずだ」
宗介「そう簡単には見つかりそうにないな」
刹那「手分けをして捜すぞ」
宗介「これを持って行け」
刹那「これは?」
ヒイロ「カロリーフレンドか、どうやらフルーツ味のようだな。ありがたく貰おう」
刹那「………」
宗介「どうしたセイエイ? まさか、チョコレート派か?」
刹那「いや、俺もフルーツ派だ」
ヒイロ「では、トレーラーを発見次第、連絡しろ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:14.18 ID:G+Kwiw0ho
―数分後―
宗介「あれは……例のトレーラーか」
宗介「こちらウルズ7。ユイ、セイエイ目標を発見した直ちに来てくれ」
―トレーラー付近―
ヒイロ「間違いない。この中に千鳥かなめは囚えられている」
刹那「見張りは3人…1人ずつ蹴散らすぞ」
傭兵「貴様ら、どこから……」
宗介「遅い」
傭兵「ぐあっ……」
ヒイロ「千鳥かなめを救出し、撤退するぞ」
宗介「了解」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:52.46 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カトル「デュオ、ヒイロたちが『原石』の救出に成功したそうだよ」
デュオ「こちらも爆弾を撤去した」
カトル「了解、僕らは敵を撹乱するよ」
カトル「さて、カズイ。準備はいいかい」
カズイ「あ、ああ…行こう」
カズイはエールストライカーを装備したダガーを駆り、初めてのMS戦を行う
カズイ(ここがMSから見る戦場……キラが見ていた光景……)
ティエレンは超滑腔砲でダガーを狙撃する
カズイ「うわああああああ……」
傭兵「パイロットは素人か」
カズイ(擬似GN粒子で装甲を強化しているとはいえ……)
カズイは、ビームライフルを構え光弾を撃ち出す
傭兵「そんな腕で」
カズイ「か、かわされた!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:52:31.56 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「後ろがガラ空きだ!」
ダガーの背後からもう一機、ティエレンが迫り、カーボンブレイドを振り上げる
カズイ(な、何とかしないと)
ダガーはサーベルを抜きながら、機体を翻しティエレンの頭部をはねる
カズイ(やれた!?)
傭兵「チッ……ビームサーベルか」
カズイ「残りの機体も……」
ダガーはもう一機のティエレンに迫る
傭兵「クッ、さすがは連邦の新鋭機、素早い……」
ティエレンは再び超滑腔砲を構える
カズイ「うおおおおおおおおお」
ダガーはティエレンの左腕を切り落とす
傭兵「何!?」
カズイ「これで止めだ!」
胴を裂かれたティエレンは爆散する
カズイ「ハァッ…ハァッ…ハァッ……」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:17.29 ID:G+Kwiw0ho
続いて、四機のサベージが包囲する
カズイ(今度はビームライフルで……)
四方から迫るサベージのメインカメラと、武器を正確に撃ち抜く
傭兵「コイツ、急に動きが!?」
カズイ「よし、いける! これなら救出部隊が来る前に……」
?「ところがぎっちょん」
カズイ(!?)
飛んできた赤い光弾を咄嗟にかわす
カズイ(今のは?)
カトル「カズイ! 逃げて。あの機体は……」
光弾が飛んできた方向にはバスターソードを携えたガンダムが浮遊していた
カズイ「ガンダム!?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:48.43 ID:G+Kwiw0ho
―トレーラー前―
ヒイロ「サベージが2機か……」
かなめ「ちょ、ちょっと、どうするのよ?」
刹那「見ろ、あれを」
ヒイロ「あれは、待機中のサベージか。だが、俺にASの操縦は出来ん」
かなめ「そっちのアンタは?」
刹那「俺も無理だ」
かなめ「まさか、誰も動かせないの?」
宗介「俺がやる」
かなめ「はぁ!? 何言ってるの、相良くん。アンタがいくら軍事オタクでも
素人には無理よ」
宗介「素人……? 何を言っている俺は専門家だ」
宗介「ユイ、セイエイ、千鳥を頼んだ」
ヒイロ「任せろ」
かなめ「え、ちょっと……ヒイロくん?」
宗介はサベージで敵機に体当たりをすると単分子カッターを引き抜き
一瞬で全機沈黙させた
かなめ(嘘……あれが相良くん?)
宗介「俺が退路を開く、ここから立ち去るぞ」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:30.38 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン『待ちな……』
宗介「あの機体は……ぐっ……」
コダールはサベージをライフルで撃ち抜く
ガウルン『まさかこんな高校生がエージェントだとはな……』
宗介「この声は……」
ガウルン『ん? お前カシムか? まさかこんな所で会えるとはな。
カリーニン大尉…あの腰抜けは元気か?』
宗介「なぜ貴様が生きている?」
ガウルン『昔の負傷のおかげでな、頭にチタンが埋めこんであってね……
おかげでお前にまた会えた。
まぁ、積もる話もあるだろうが、まずはそこの娘を渡してもらおうか』
宗介「断る」
ガウルン『そうか……ならここでお別れだな』
クルツ『させるかよ!』
ガウルン『?』
クルツ『イーヤッホゥー』
コダールのライフルが軽快な声と共に弾き飛ばされる
宗介「クルツか?」
クルツ『待たせたな、お前の機体もすぐやってくるぜ』
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:58.18 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カトル「アリー・アル・サーシェス……まさか生きていたのか……」
サーシェス「今のをかわすとは以外にやるな……」
カトル「カズイ、あの機体は僕がやる。君は下がっていて」
カズイ「わ、わかった」
サーシェス「ほう、革命戦争の英雄じゃねぇか、相手にとって不足はないな」
カトル(アリー・アル・サーシェス……今の僕に勝てるだろうか?)
サーシェス「行けよ、ファングッ!」
カトル「は、速い……だけどサンドロックの装甲なら……」
サンドロックは敵機の攻撃を物ともせず二刀で斬りかかる
サーシェス「さすがの装甲だな……だが……」
敵機―スローネツヴァイはバスターソードでそれを薙ぎ払い
即座にサンドロックを蹴り飛ばす
カトル(くっ……なんてムダのない動きなんだ……)
サーシェス「もう終わりか? もっと楽しませてくれよ」
カトル「くっ…」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:55:29.78 ID:G+Kwiw0ho
サンドロックは再び二刀で斬りかかり、スローネツヴァイはバスターソードで応戦する
サーシェス「さすがに、さっきのようにはいかねぇな」
両機のパワーはほぼ互角で鍔迫り合いを続けている
カズイ(だけど、あの機体にはさっきの飛び道具が……)
カズイ「カトル、逃げて!」
カトル「!?」
サーシェス「ファング!」
スローネツヴァイはサンドロックのメインカメラを破壊し
バスターソードで両肩を斬り落とす
サーシェス「逝っちまいな、ガンダム!」
バスタソードがコクピットを捉える
カズイ「や、やめろおおおおおおお!」
その時、妙な違和感がカズイを襲う
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:03.36 ID:G+Kwiw0ho
カズイ(!? 視界がスローに……)
カズイ「カトルはやらせない!」
カズイはビームライフルでスローネツヴァイを牽制する
サーシェス「さっきの機体か!?」
カトル「カズイ、駄目だ!」
サーシェス「行きな、ファング」
6基のファングがダガーを狙う
カズイ(見える……)
カズイは四方から迫るファングをかわし距離を取る
サーシェス「かわした!?」
カズイ(アレのせいで迂闊には近づけない……)
サーシェス「こいつは、退屈しないで済みそうだぜ」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:54.38 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―
コダールにM9を大破させられた宗介たちは
M9を放棄しコダールから逃亡していた
クルツ「っ……何なんだあの機体は……」
ヒイロ「ウェーバーの弾は確実に命中したはずだ……」
刹那「しかし、実際に大破したのはクルツの機体だ」
クルツ「一体何の手品だよ」
かなめ「手品じゃない……技術……」
クルツ「おい…かなめちゃん、どうしたんだよ?」
宗介「千鳥?」
かなめ「さっきのは、ラムダ・ドライバ……使用者の攻撃衝動、防衛衝動を物理的な……」
宗介「どうしたんだ!? 千鳥……)
―基地内森林―
ガウルン「カシムの奴……どこへ逃げた……
ん? あれは……」
ガウルンの視線の先では、スローネツヴァイとダガーが切り結んでいた
ガウルン「おいおい、あの野郎……量産機なんぞに遅れをとりやがって……
それにしても、あのダガー随分といい動きをするな……」
ガウルン(まさか……クククッ、少し寄り道していくか)
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:57:22.91 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
サーシェス「何なんだ、テメェは? 量産機でどうしてそこまで動ける」
カズイ(ハァッ…ハァッ……この男……強すぎる、どうすれば……)
ガウルン「まずは、足を貰うか」
コダールは銃口をダガーの足へ向け、弾丸を放つ
カズイ「!?」
カズイは咄嗟に回避し左手でビームライフルを抜きコダールを撃つ
ガウルン「チッ…やるな、だが…」
コダールの眼前には障壁が展開され光弾は跳ね返された
カズイ「な!?」
サーシェス「余所見すんなよ!」
カズイ「くっ!?」
カズイはビームライフルを捨て、両手でサーベルを抜きバスターソードと光弾を弾く
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:13.46 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「おいおい、これはどういう事だよ……なぁ、ガウルンさんよぉ?」
ガウルン「サーシェス、そいつは『原石』だ」
サーシェス「『原石』……まさか、先日ブルーコスモスの施設から脱走した奴か?」
ガウルン「出来ればそいつは持ち帰りたい。共同戦線と行こうじゃねぇか」
サーシェス「ったく……しょうがねぇな」
カトル「くっ……状況は最悪だ、いくらカズイでもあの二機を相手にするのは……」
デュオ「カトル、カズイ大丈夫か?」
カトル「デュオ!」
デュオ「おいおい、ボロボロじゃねぇか……」
カトル「僕よりもカズイを……彼を死なすわけには……」
デュオ「カズイ? おいおい、ありゃさすがに分が悪いぞ……」
デュオはカズイの元に向かう
五飛「そこまでだ、デュオ」
デュオ「五飛……どうしてここに?」
五飛「此処から先は一歩も通さん」
カトル「五飛、どうして」
五飛「さぁ、お前の正義を見せてみろ」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:40.42 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―
宗介たちがコダールから逃走している間一機のASが投射された
刹那「この、機体は?」
クルツ「どうやら、来たみたいだな……宗介!」
宗介「了解した」
宗介はARX-7アーバレストに搭乗した
アル「声紋チェック開始・姓名、認識番号を」
宗介「相良宗介軍曹、B-3128」
アル「照合完了。サージェント相良と確認、命令を」
宗介「ハッチ閉鎖、モード4に調整開始、バイラテラル角3.5」
アル「ラジャー」
カリーニン『この音声は、君が無事このARX-7アーバレストとの合流を果たしたことを
前提で進められる。現在諸君らの働きによって、乗客の救出は完了している。
あとは、千鳥かなめと相良、ウェーバー両軍曹の帰還を以て
本作戦は終了となる。なんとしても、指定した地点へ到達しろ。
なおAIのコールサインは[アル]、高価な実験機なので必ず持ち帰るように、以上』
宗介「アーバレスト……」
ヒイロ「相良、どうやら先程の機体はカズイ・バスカークを狙っているらしい」
宗介「何だと?」
ヒイロ「バスカークは現在、スローネツヴァイと先程の機体を同時に相手している」
刹那「!?」
刹那(まさか、あの男が……)
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:07.14 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カズイ「はぁっ…はぁっ……」
ガウルン「そろそろ、終いだな」
サーシェス「手こずらせやがって」
カズイ(やっぱり僕には無理だったんだ……)
宗介「バスカーク!」
カズイ「相良くん!?」
ガウルン「あの、AS……まさか、カシムか?」
宗介「あの銀色のASは俺がやる。そっちの、ガンダムを頼めるか?」
カズイ「え?」
宗介「みんなの命を助けるのだろう?」
カズイ「!? うん……任せて」
サーシェス「1対1か…まぁ、良い、テメェを倒して、目障りな連中は全て片付けてやるよ」
カズイ「みんなはやらせない。お前は、俺が倒す!」
サーシェス「ガギがナマ言ってんじゃぇぞ!」
スローネツヴァイはファングを放つ
カズイ「こんな攻撃……」
ダガーはライフルで全機撃ち落とす
サーシェス「バカが、後ろがガラ空きなんだよ!」
カズイ「……!」
カズイはサーベルを抜き、バスターソードを受け止める
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:33.57 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「チッ……」
カズイ「もう、お前の攻撃は通用しない」
カズイはバスターソードを薙ぎ払いもう一本のサーベルを抜き追撃する
サーシェス「!?」
カズイ「うおおおおおおおお!」
ダガーはサーベルを振り下ろし、スローネツヴァイは辛うじてそれをかわす
サーシェス「クソが……」
カズイ「はぁっ…はぁっ……」
サーシェス「今回は退いてやる。
だが、いずれこの借りはきっちり返させてもらうぞ」
カズイ「はぁっ…はぁっ…」
ノイン「カズイ、無事か?」
カズイ(トーラス……ノイン……さん?)
ノイン「あっちのASの方も決着がついた。直に救出部隊が来る、お前はゆっくり休め」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:17.92 ID:G+Kwiw0ho
―7月11日 病院―
カズイ「ここ……は?」
デュオ「目が覚めたみたいだな」
カズイ「デュオ? それに……」
かなめ「あんたがあのダガーっていう機体のパイロット? とてもそうは見えない……」
カズイ「千鳥さん? どうしてここに?」
かなめ「あの時、あんたが居なかったら、私たち死んでただろうから、お礼をね……」
ノイン「カズイ、ご苦労だった」
デュオ「ノインさん?」
ノイン「お前に客だ」
カズイ「?」
上条「カズイ、元気か?」
カズイ「上条くん? どうして?」
上条「クラスメートがぶっ倒れたってんだから、見舞いに来るのは当たり前だろ?
それに俺だけじゃないぞ」
青髪ピアス「大丈夫か、カズイ?」
生徒A「心配かけんなよ」
吹寄「まったく、お前というやつは……あまり心配をかけさせるな」
小萌「そうですよ、デュオちゃん。デュオちゃんたちと一緒に居なくなるなんて……
先生とっても心配したんですよ」
カズイ「みんな…先生…ありがとう……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:46.89 ID:G+Kwiw0ho
―窓のないビル―
アレイスター「ラウ・ル・クルーゼ、久しぶりだな。今回は何の用かね」
クルーゼ「君に頼みがあるのだよ」
アレイスター「ネットワークの件か?」
クルーゼ「その通りだ。私のバックアップ製造、ミサカネットワークを介したクローン間での
意識の共有。この二つをお願いしたい」
リボンズ「お安い御用さ、ラウ・ル・クルーゼ」
クルーゼ「リボンズ・アルマークか?」
リボンズ「ヴェーダがあれば、君のクローンの生成、
脳量子波を介した意識の共有は容易く行える」
アレイスター「そういう訳だ、ラウ・ル・クルーゼ」
クルーゼ「人類の統一を目指す君が私に協力をするとは、
どういった風の吹き回しかね?」
リボンズ「君の出自ゆえ、人類に憎しみを抱いているのは知っているよ。
だけど、見てみたいとは思わないかい? 人類の革新を」
クルーゼ「フッ、来るべき対話を前にした人類の新たな変革……
君の望む世界が本当に訪れるというのなら、
ぜひとも見てみたいものだがな……」
リボンズ「アレイスター、君はどうするつもりだ」
アレイスター「君がヴェーダを提供してくれるのならば、君の計画に干渉するつもりはない」
リボンズ「それなら、一向にかまわないよ。ぜひとも、君の『プラン』に役立ててくれ。ただ、一つ条件があるんだ」
アレイスター「何だ?」
リボンズ「カズイ・バスカーク、彼の身体検査のデータを提供して欲しいんだ」
アレイスター「それなら、一向にかまわない」
―某所―
ミゲル「クルーゼ隊長、私に任務とは?」
クルーゼ「私は直ちに宇宙へ戻らねばならない。君には密偵としてここに残って欲しい」
ミゲル「密偵…ですか?」
クルーゼ「能力者を中心とする学園都市の戦力は侮れん。
もしも、彼らがこの戦争に参戦すれば、その影響は計り知れない。
それを回避するためにも君にはうまく立ち回って欲しいのだよ」
ミゲル「了解しました」
クルーゼ「では、これを渡しておこう。君がここで生活するにあたり必要な物だ」
ミゲル「転入届……それに腕章?」
―7月12日 教室―
小萌「カズイちゃん、あなたに推薦状が来ているのですよ」
カズイ「推薦状ですか?」
小萌「何と、風紀委員への推薦状なのです」
カズイ「風紀委員?」
小萌「知らないのですか? 風紀委員は警備員とは別に、学区内の治安維持を担当する
学生組織のことですよ」
カズイ「へぇ、そんなのがあるんですか」
小萌「はぁ……とりあえず、バスカークちゃんは放課後、この推薦状を持って第一七七支部へ行くのです」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:32:26.61 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
固法「あなたがカズイ・バスカークくん?」
カズイ「はい」
デュオ「よう、カズイ」
カズイ「デュオ? それにカトル? どうして、ここに?」
カトル「僕らはレディさんの推薦でここに、君もそうなんでしょ?」
カズイ「ああ、俺もレディさんに……」
黒子「あら、御三方はお知り合いでいらしたのですね」
初春「それにしても風紀委員が一気に四人も補充されるなんて、どうしたんでしょうか?」
カズイ「四人?」
ミゲル「今回新しく風紀委員に配属された、ミゲルだ。よろしく」
黒子「自己紹介は後です。それよりも固法先輩」
固法「どうしたの、白井さん?」
黒子「三つ編みポニーテールの方と金髪のお二人はともかく、そこの青髪の方、
彼には風紀委員の適性があるようにはとても見えませんの」
カズイ「え? 俺?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:33:00.39 ID:dr+vk/6Ho
固法「彼は……」
黒子「そこのあなた、風紀委員の仕事は清掃だけではありませんのよ。
能力者同士の諍いを止めなければならないこともありますの。
あなたに、それが務まるのですか?」
固法「白井さん、彼はね……」
黒子「あなた、わたくしと勝負なさい」
カズイ「えぇ?」
初春「白井さん?」
―第一七七支部 外―
デュオ「こりゃ、面白いことになったな」
ミゲル「あっちの彼に勝ち目があるのか?」
デュオ「まぁまぁ、見てなっての」
黒子「これから見るのはあなたの能力と体術の素養
どこから掛かってきても構いませんのよ」
固法「はぁ……」
カズイ「えっと……固法先輩、どうすれば?」
固法「白井さん、話を聴きそうにないから……とりあえず、相手をしてあげて」
カズイ「は、はぁ……」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:16.10 ID:dr+vk/6Ho
カズイは地を蹴り拳を構える
黒子「あら、意外と速いのですね」
しかし、彼の拳は空を切る
カズイ「き、消えた!?」
黒子「こちらですわ」
カズイ「!?」
カズイは声がした方へ体を翻し、後方へ下がる
黒子「さて、あなたがいかなる能力を持っているかは存じませんけど、
そう簡単にわたくしを倒せるとは思わないことですね」
カズイ(やっぱり、学園都市って何でもありなんだなぁ……)
カズイは心の中でそう呟くと再び黒子の方へ突進する
黒子「何度やっても……」
カズイ(消えた……だけど、そう何度も『空間移動』は出来ないはず……)
カズイはすぐさま、彼女の出現ポイントの予測を始める
カズイ(彼女はきっと僕の背後を狙って、跳んでくるはず………来たっ)
黒子「!?」
カズイは彼女が現れるやいなや彼女へ拳を繰り出す
黒子「くっ……」
黒子はすぐさま『空間移動』で回避する
カズイ「え!?」
カズイ(まさか、あの能力にタイムラグはないの?)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:52.03 ID:dr+vk/6Ho
黒子「身体能力はそれなりに高いようですね。ですが、能力も使わずに
わたくしを倒そうなどというのは、大変甘い考えですのよ!」
カズイ(僕の能力で彼女に対応できるのか?)
黒子はカズイの背後に回り、後ろ回し蹴りを食らわす
カズイ「くっ……」
咄嗟にガードするが受け止めきれずにカズイはよろめく
黒子「ふむ、、まだ能力を使わないというのですか?」
カズイ「こうなったら……」
カズイは『空間掌握』を発動させる
黒子「では、もう終いにしましょう」
黒子は再び姿を消す
しかし、彼の目は彼女の移動をはっきり捉えていた
カズイ「そこだ!」
カズイは黒子の出現と共に彼女の腕をとった
黒子「な!?」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:35:30.43 ID:dr+vk/6Ho
初春「カズイさん、すごい!」
固法「勝負ありね、白井さん」
黒子「能力も使わずにわたくしの腕を……」
固法「はぁ……白井さん、今のが彼の能力よ」
黒子「?」
固法「彼は学園都市第八位『空間掌握』よ」
黒子「『空間掌握』と言えば、最近新たに認定されたレベル5ではありませんか」
初春「ええええええ?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:36:20.12 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
黒子「先程は失礼しましたわ。白井黒子と申しますの」
固法「固法美偉よ。よろしくね」
初春「初春飾利です。皆さんよろしくお願いします」
デュオ「デュオ、デュオ・マックスウェルだ」
カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」
カズイ「カズイ・バスカークです。よろしく」
ミゲル「さっき言いかけたがミゲル、ミゲル・アイマンだ、よろしく」
固法「それじゃ、早速貴方達には研修に行ってもらうわ」
カズイ「研修?」
固法「実技に関してなら貴方達に訓練は要らないでしょうから。
実際に、風紀委員の仕事を覚えてもらうのよ」
黒子「デュオさんとカトルさんはわたくしと共に」
固法「カズイくんとミゲルくんは私に付いてきて」
―繁華街―
固法「さて、説明はこんな物よ、分かったかしら」
ミゲル「あぁ、問題ないぜ」
固法「それでは、見回りに行きましょう」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:14.48 ID:dr+vk/6Ho
ミゲル(地球とプラントは戦争をしてるっていうのに呑気な街だなここは……)
カズイ「ミゲルさん?」
ミゲル(しかし、ここではコーディネイターも普通に暮らしてるそうだな……)
カズイ「ミゲルさん、どうしたんですか? ぼーっとして」
ミゲル「ん? あぁ、すまない」
固法「一応、研修中なんだから、しっかりしてよ」
学生「うわぁああああああ」
ミゲル「何だぁ?」
固法「あれは……」
みつる「ねぇ、僕、ジュースおごってくれませんか?」
あきお「俺ら、めっちゃ喉乾いてんのよね」
まさる「あんまり、脅しちゃだめだよ。怯えているじゃないか」
学生「うぅ……」
ミゲル「何だあの頭の弱そうな連中は……」
カズイ(またあの人達か……)
カズイ「俺、行ってきます」
固法「カズイくん?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:42.16 ID:dr+vk/6Ho
あきお「な? いいだろ?」
学生「い、いやです……」
まさる「ひどい……ぼくらこんなに困ってるのに……」
カズイ「待ってください」
あきお「あん? 誰君?」
みつる「どこかで拝見したような……」
まさる「!? 君はあの時の……」
あきお「無抵抗な俺とみつるくんを一方的にやったやつか!」
カズイ「そ、そんなことしてないだろ……」
まさる「あの時は油断したが今日こそは! みつるくん、あきおくん行くぞ」
みつる「承知」
あきお「おうさ」
カズイ「はぁ……」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:38:15.34 ID:dr+vk/6Ho
三人「参りました……」
カズイ「もう、こんな事はしないでくれよ……」
まさる「肝に命じます」
ミゲル「見事なもんだね」
固法「さすがレベル5、といったところかしら」
カズイ「いや、それほどでも」
固法「さて……そろそろ完全下校時刻ね。研修はこれで終わりにするわ
もう、帰っていいわよ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:39:52.77 ID:dr+vk/6Ho
―7月17日 廃工場―
風紀委員となってから5日が経過した
俺とミゲルさんはこの頃頻発している、能力者による怪事件の対応に追われている
ミゲル「カズイ、そっちに行ったぞ」
能力者「捕まってたまるか!」
能力者は右手から真空波を繰り出した
カズイ「おっと……」
カズイはそれを回避し、能力者の袖と襟を掴み、右ひじと腰を入れる
能力者「なっ!?」
カズイ「はぁああああああ」
能力者「うっ………」
ミゲル「これで、4人目だ。学園都市ってのは随分と治安が悪いな」
カズイ「それにしても、能力者の強度が高いような……」
ミゲル「そうなのか?」
カズイ(どういうことなんだ……)
ミゲル「さて、俺は引き続き、この辺りの見回りをしてくる。
お前は先に支部に戻っていいぞ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:40:33.39 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―
カズイ(今日戦った能力者は、恐らくレベル4。
昨日まではレベル3の能力者による事件が多発していたけど……)
?「おい、カズイじゃねぇか」
カズイ「え? き、君は!?」
カズイの前に立っている人物
まさしく、数ヶ月前、オノゴロ島での戦いで討たれたはずの人物であった
トール「何だよ、久しぶりの再開なんだから喜んでくれよ」
カズイ「トール……君はあの時死んだんじゃ?」
???「トール、彼は?」
トール「カズイだよ、元アークエンジェルのクルーさ」
カズイ「そっちの、彼は?」
ニコル「ニコル・アマルフィです。ブリッツのパイロットをしていました」
カズイ「!」
ブリッツ……かの機体もまた、オノゴロでの戦いでキラ操る
ストライクに撃墜されたはずだった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:41:03.17 ID:dr+vk/6Ho
ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」
カズイ「ブリッツのパイロット……君はキラにやられて死んだはずじゃ……」
トール「俺らあの時、瀕死の重傷を負ってな、後は死を待つだけの筈だったんだよ」
ニコル「でも、目覚めると僕らは学園都市のとある病院に居たんです」
トール「しかも、同じ病室でさ」
ニコル「体も動きませんでしたし、様々な話をしていました。
戦争に参加した理由とか、オノゴロでの戦いの話とか」
トール「俺ら妙に気があってな、軍に戻るつもりもないし、
ここで新しい人生を歩もうと思ってたんだよ。
でも、まさかお前もいるとは思わなかったぜ」
カズイ「僕こそ、またトールに会えるなんて……」
トール「俺もまさか、カズイが学園都市に居るとは思ってなかったぜ」
ニコル「カズイ、あなたの事はトールから聞いています。
よければ、僕と友だちになってくれませんか?」
カズイ「え?」
ニコル「トールと話していて分かりました。僕らコーディネイターとナチュラルは
争う必要など無いと。
だから、君とも友だちになりたい」
カズイ「ああ、俺でよければ。よろしく、ニコル」
トール「さて、俺らはもう行くぜ。転入手続きを済ませなきゃならねぇからな」
カズイ「学校は何処に?」
ニコル「僕は長点上機学園中等部に」
長点上機学園、学園都市屈指のエリート学園である
傑出した能力の持ち主の他、一芸に秀でた物、そしてコーディネイターが多く通う
ミゲルもここの高等部に在籍している
トール「俺は陣代高校だ」
カズイ「そうなんだ、僕も陣代高校だよ」
トール「まじかよ、お前と一緒なら気が楽だな。
ま、これからよろしく頼むぜ」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:01:21.50 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
カズイ「戻りました」
佐天「おかえりなさい」
カズイ「佐天、また来てたの?」
佐天「まぁまぁ、いいじゃないですか」
固法「それで、今日はどうだったの?」
カズイ「恐喝が1人、細かい窃盗が3人、いづれも警備員に引き渡しました」
黒子「計4件の能力者事件……この辺りだけでその数は多いですわね」
カズイ「それだけでなく、窃盗のうち一人はレベル4相当の能力者でした」
固法「今日は些末な事件ばかりだったけど、ここのところ、事件の数もその悪質さも
悪化するばかりね……」
黒子「何か原因でもあるのでしょうか?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:02:08.76 ID:dr+vk/6Ho
―7月18日 寮室―
その日の昼頃、トールとニコルがカズイの寮を訪ねてきた
トール「な、頼むよ。俺らまだ、ここに慣れてなくてさ」
カズイ「そう言っても、俺、風紀委員の仕事が」
トール「風紀委員?」
ニコル「学園都市の治安維持を担当する学生組織のことですね」
トール「お前が? あまり、向いてるようには思わないけどな」
カズイ「悪かったな、向いてなくて」
トール「ま、ま、それよりも頼むよ、学園都市の案内」
カズイ「今日は殆ど仕事ないからな……分かった付き合うよ」
トール「おっし、まずは……」
ニコル「服を買いにいきませんか?」
トール「っと、そうだな俺ら全然替えがないからな」
カズイ「それじゃ、セブンスミストに行こう」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:03:18.05 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト―
ニコル「下着は、こんな物でしょうか」
トール「ああ、これだけあればなんとかなるだろ。
後は……」
佐天「あれ、カズイさんじゃないですか?」
カズイ「佐天に初春、御坂じゃないか」
トール「カズイの知り合いか?」
カズイ「うん、初春は風紀委員の同僚で、佐天と御坂はその親友だ」
ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」
トール「トール・ケーニヒだ、よろしく」
美琴「私は御坂美琴です」
佐天「佐天涙子です」
初春「初春飾利です」
トール「よろしくな、二人とも」
美琴「カズイさんたちはどうしてここに?」
カズイ「トールに頼まれて学園都市の案内を……」
佐天「へぇ、私たちも一緒に行っていいですか?」
初春「佐天さん!?」
カズイ「それは、別にいいけど……」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:04:30.12 ID:dr+vk/6Ho
―数時間後―
トール「これで、一通り服は揃ったな」
ニコル「佐天さんたちも、服選んで頂いて助かりました」
佐天「いえいえ、あたしも楽しかったですし」
ピリリッピリリッピリリッピリリッ――
美琴「初春さん、携帯鳴ってない?」
初春「あれ、誰からだろう?」
ピッ――
黒子『初春! 虚空爆破事件の続報ですの』
――『虚空爆破(グラビトン)事件』
先日から頻発している連続爆破事件
18日までに9人の風紀委員が巻き込まれ負傷している
また、『量子変速(シンクロトロン)』と呼ばれる能力によって
引き起こされていると推測されている
アルミを用いられており、主にぬいぐるみ等、子供の警戒心を削ぐものに仕掛けられている
黒子『学園都市の監視衛星が重力子の爆発的加速を観測しましたの』
初春「か、観測地点は? 観測地点はどこですか?」
黒子『第七学区の洋服店、セブンスミストですの!』
初春「! 今そこに居ます。直ちに避難誘導開始します」
黒子『な、何ですって!』
ピッ――
カズイ「どうしたの?」
初春「落ち着いて聞いてください。ここに、例の事件で使われている爆弾が
仕掛けられています」
美琴「何ですって!?」
初春「御坂さん、カズイさんは避難民の誘導を。佐天さんたちは避難してください」
佐天「あ……うん……初春も気をつけてね」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:05:31.48 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―
初春「避難は終わりましたね」
カズイ「ああ、大丈夫だ」
美琴「初春さん!」
初春「御坂さん、それに……」
カズイ「上条くん? 君もここに?」
上条「ああ、一緒に居た女の子とはぐれちゃったんだけど……」
初春は携帯を取り出す
黒子『初春! 今すぐそこを離れなさい!』
初春「え?」
黒子『今回の事件における人的被害は風紀委員だけですの!
犯人の真の狙いは爆弾設置場所周囲の風紀委員。つまり、あなたですの!』
初春「え!?」
カズイ「初春?」
初春「カズイさん! 今回の爆弾、狙いは私たち風紀委員です!」
カズイ「そ、それって……」
上条「ちょ、ちょっと待て、爆弾!? 何だってそんなものが?」
少女「お姉ちゃん!」
初春「!」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:06:41.64 ID:dr+vk/6Ho
少女「このぬいぐるみ、眼鏡の人がお姉ちゃんにって」
カズイ「! 初春! それは……」
美琴「初春さん!?」
初春は少女からぬいぐるみを奪い、投げ捨てる
初春「逃げてください! それには爆弾が!」
美琴「! それなら超電磁砲で爆弾ごと……あっ!」
手元からコインが溢れる
美琴「しまった!」
カズイ(こ、このままじゃ……)
上条「下がれ、カズイ!」
上条の声と共にぬいぐるみが爆発する……
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:07:18.67 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト外 裏路地―
少年(良いぞ、徐々に強い力が使いこなせるようになっている)
少年「クククククッ……ハハハハハッ……アッハハハハッ!」
少年「このまま数をこなしていけば、無能な風紀委員も不良のクズどももみんなまとめて吹き飛ぶぁっ……」
少年のセリフを遮るように背後から蹴りが繰り出された
少年「クッ……一体誰が……」
美琴「こんばんは、要件は言わなくても分かるわよね、爆弾魔さん」
少年「!」
―7月19日 第一七七支部―
カトル「昨日の事件の犯人、介旅って人、レベル2みたいですね」
カズイ「あの威力、どう考えてもレベル4クラスだったと思うけど……」
固法「ええ、そこで、最近噂になっている、能力の強度を上げる薬――幻想御手、
それの調査を事件取り締まりと並行して行う事になったわ」
デュオ「あれって、ただの都市伝説じゃねぇのか?」
固法「初春さんが見つけてくれたサイトに、使用者の書き込みらしきものが
掲載されていたの。連中の溜まり場は二つ。一方は、御坂さんが
聞き込みに行ってしまったから、こっちの方はカズイくんとミゲルくんに頼むわ」
カトル「それでは、僕とデュオは学区内の事件の見回りに行きます」
固法「おねがいね」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:09:30.36 ID:dr+vk/6Ho
―深夜 廃工場―
カズイ「ここが例の溜まり場」
ミゲル「見てみろ、あいつら……」
―廃工場内―
不良1「おい、これっぽっちか?」
不良2「全然足りねぇよ、あぁ?」
学生「そ、そんな……僕もう金が」
不良3「なら、用はねぇよ。とっとと、帰んな」
学生「は、話が違うじゃないか!?」
不良4「うるせぇよ」
不良は学生の首を絞めた
学生「ぐ……う……」
不良1「幻想御手が欲しけりゃ、金を出せ。金がねぇなら失せろ」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:10:47.32 ID:dr+vk/6Ho
カズイ(あいつら……)
ミゲル「お、おい、カズイ?」
この時の俺は増長していたのかもしれない
レベル5の称号を得たこと、体術やMSの操縦技術が著しく向上したこと
それらは、他人にコンプレックスを抱き、戦場に怯え、コーディネイターを畏怖していた俺に、
初めて、他人を守る感覚、他人を圧倒する感覚を与えていた
カズイ「そこまでだ」
不良1「あん? 誰だよ?」
カズイ「風紀委員だ!」
不良2「はぁ? お前が? 馬鹿も休み休み言え」
カズイ「その手を離せ!」
不良3「はん、てめぇみたいなボンクラの指図なんざ受けねぇよ」
カズイ「だったら力尽くで……」
不良1「クックック……てめぇ、どの面でそんな偉そうな口叩いてんだよ
こりゃ、おしおき確定だな……」
不良は手の平をカズイに向ける
不良1「俺の能力、『水流操作』を受けてみ……グハッ……」
カズイ「遅いよ」
カズイの拳に不良は倒れる
不良2「! テメェ……」
不良3「どうやら、マジでこいつ風紀委員だ……まとめてかかるぞ」
不良2・不良4「おう!」
カズイ「遅ぇっていってんだろ!」
ミゲル(! あいつ…キレてんのか?)
カズイは不良2の頭を掴み、地面へと叩きつける
不良2「がはっ……」
不良3「うおおおおお」
カズイは半身ずらして腹部に拳をねじ込ませる
不良3「ぐおっ…」
不良4「なら、俺の能力で」
カズイ「させねぇよ!」
不良の首をつかみ、壁へ叩きつける
不良4「ぐおっ……」
カズイ「言え」
不良4「え?」
カズイ「どこで、幻想御手を手に入れたかだよ」
不良4「ね、ネットで拾ったんだ」
カズイ「ネットだ? 馬鹿な言い訳してんじゃねぇぞ!」
不良4「ほ、本当だ……幻想御手ってのは音楽ファイルなんだ」
カズイ「ならば、実物を見せろ」
不良4「は、はい」
不良はミュージックプレイヤーを差し出す
不良4「こ、これで許してくれますか?」
カズイ「ああ、後はゆっくり眠ってろ!」
不良4「ぐはっ……」
ミゲル「カズイ! 何をしている」
ミゲルさんの一言で冷静さを取り戻す
カズイ「え? あ……俺……」
ミゲル「カズイ、一体どうしたんだ……」
カズイ「俺は……」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:12:53.02 ID:dr+vk/6Ho
―7月20日 第一七七支部―
能力者による事件が頻発して以来、数日が経過すると妙な事象が起きた
事件に関わった能力者達が、次々に昏倒したのだ
以来、目をさますことはなく、幻想御手調査も難航している
固法「大変なことになったわ……」
初春「まさか、幻想御手使用者がみんな、昏睡状態に陥るなんて……」
黒子「まずは、カズイさんたちが持ち帰ったデータ、木山先生に
解析してもらいましょう」
ミゲル「木山? 誰だそいつは?」
初春「幻想御手使用者回復のために、出向した方ですよ」
美琴「確か、大脳生理学の専門家だったかしら」
ミゲル「状況の整理をするためにも、一度その木山という人物に会った方がいいな」
黒子「ええ、そうしましょう」
カズイ「………」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:13:43.10 ID:dr+vk/6Ho
―ファミレス―
木山「ふむ、その幻想御手が最近の能力者事件の一因だと」
初春「恐らく、幻想御手とは直接脳に作用する類のシステムだと思われます」
木山「なるほど、ところで………窓の外にいる女子は君らの友人かな?」
黒子「え?」
窓の外には黒子たちと同じくらいの長髪の女子が貼り付いていた
佐天「へぇ…脳学者さんなんですか、木山さん」
ミゲル「さて、本題に戻すぞ」
佐天「あ、どうぞどうぞ」
木山「幻想御手についてだが……」
佐天(幻想御手? それって……)
ミゲル「現在までの幻想御手についての情報を纏めると、
幻想御手は音楽ファイルであること、流通方法はネット、及び売買、
使用者は犯罪に手を染めやすくなる、現在使用者は軒並み昏睡、
といったところだろう」
美琴「その、対策として。所持者は保護するそうね」
佐天(!? 保護……?)
木山「ふむ、では幻想御手の解析は私に任せてもらおう」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:14:26.69 ID:dr+vk/6Ho
―7月22日 廃墟―
佐天(幻想御手……か……
聞くだけでレベルが上がる不思議なアイテム……
もちろんそんな物使って得た能力、褒められたものじゃない……
分かってる、そんなことは……でも、それじゃ、あたしは? 才能を持たないあたしは?
才能がないからってそれを受け入れることなんて……)
?「は、話が……話が違うじゃないかっ!」
佐天「?」
少年「10万揃えれば、幻想御手を売ってくれるって言ったじゃないか!」
不良1「悪ぃがさっき値上げしたんだよ」
不良2「これが欲しけりゃもう10万集めてきな」
少年「なら、ならさっき渡した10万を返して……うっ……」
不良1「うっせーな、オラッ!」
少年「ぐっ……」
不良2「10万用意できねぇなら、テメェに何ざ用はねぇよ!」
少年「うっぷ……ゲホッ…ゲホッ……」
不良3「おい、ちょっと待てお前ら」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:05.22 ID:dr+vk/6Ho
不良1「あん?」
不良3「そいつでお前らのレベルがどれぐらい上がったのか試してみろ」
不良1「おいおい……」
不良2「マジかよ……」
少年「ひぃっ……」
不良1「残念だったな、オマエ」
不良2「もしかしたら、死んじまうかもな」
佐天(! 警備員に通報しないと……)
不良1「おい、そこ何見てんだよ」
不良2「なんか文句でもあんのかよ」
佐天「い、いえ、あたしはただの通りすがりで……」
佐天(最低だ…あたし……)
少年「う、うわあああああああああ、や、やめてくれえええええええええええ」
佐天(!)
佐天「も、もうやめなさいよ」
佐天(い、言っちゃった)
不良3「おい、今なんつった?」
佐天「ひっ……」
不良3「テメェみたいな何の力ももたないガキがナマ言ってんじゃねぇよ」
佐天(だ、駄目だ…あたし……)
?「チートで得た力を振りかざすあなた方に、そんな風に彼女をバカにする
資格がありますの?」
不良3「あん? 誰だテメェ?」
黒子「風紀委員ですの」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:40.23 ID:dr+vk/6Ho
―7月23日 第一七七支部―
デュオ「能力者事件もめっきり減っちまったから、暇だな」
固法「今は木山先生の解析を待つしかないものね」
カトル「しかし、待つだけというのはもどかしいですね」
カズイ「………」
デュオ「何か、最近あいつ元気ねぇな……なぁ、ミゲル?」
ミゲル「あ、ああ、そうだな……」
カトル「ミゲルさん?」
美琴「ちょっといいかしら?」
カトル「御坂さん、白井さん、どこへ行ってたんですか?」
黒子「えぇ、ちょっとした野暮用ですわ」
美琴「ちょっと、初春さんの力を借りたいんだけど、居るかしら?」
デュオ「初春なら木山先生のところへ行ったぜ」
黒子「困りましたわね……」
ミゲル「どうかしたのか?」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:10.39 ID:dr+vk/6Ho
美琴「どうやら、昏睡した人たちは誰か、別の人の脳波パターンで脳が
無理やり動かされているらしいのよ」
カトル「誰が、何の目的でそんなことを」
黒子「それを調べるために、初春の力をお借りしたかったんですけど……」
固法「なら、私に任せて」
固法がパソコンを操作すると膨大な量のデータが表示された
デュオ「で、結局、連中を操る目的はなんなんだ?」
カトル「これは推測なんですけど……」
ミゲル「何だ?」
カトル「恐らく、頒布者の狙いは幻想御手使用者間を繋ぐこと。
つまり、幻想御手をプロトコルとして、異なる脳波パターンを
持つ者同士を繋ぎ、巨大なネットワークを構築したんです」
美琴「なるほど、そうして同系統の能力者は思考パターンを共有して、
より強力な能力を発動させていたってわけね」
デュオ「だけど、その先の目的がわからねぇな……」
固法「出た! これは……木山春生!」
デュオ「木山が連中を……」
美琴「初春さんが危ない!」
固法「警備員に通報を、デュオくんとカトルくんは木山春生を追って」
美琴「私も行くわ」
固法「御坂さん?」
黒子「わ、わたくしも行きますわ」
美琴「あんた、先日のアレで怪我してるでしょ」
黒子「ですが……」
美琴「いいから、私に任せておきなさい」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:51.38 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力施設付近―
デュオ「おいおい……警備員が全滅じゃねぇか」
木山「? 初めて見る顔だな……」
カトル「木山春生さんですね、幻想御手頒布の容疑で拘束します」
木山「ふむ、もうバレてしまったか……
だが、出来るかな……一万の脳を統べるこの私を」
カトル「能力者が相手だ、僕らも能力を使おう、デュオ」
デュオ「任せな」
デュオの腕が風を纏うと刃を形成した
木山「ふむ、『風刃使い』といったところか」
デュオ「行くぜ」
木山「甘い…」
木山が前方に障壁を展開するとデュオは弾き飛ばされた
デュオ「ぐっ……」
美琴「次はこっちよ」
美琴は電撃を放つも、かき消された
木山「効かぬな、レベル5と言えど、この程度か?」
カトル「後ろがガラ空きですよ」
カトルは指向性の衝撃波を放った
木山「ふむ、良い攻撃だ……」
木山は姿を消した
カトル「『空間移動』!?」
木山「これで終わりだ」
木山は空き缶をばらまく
デュオ「虚空爆破事件の……マズイぞ!」
カトル「任せて」
カトルは障壁を展開し爆発を凌ぐ
木山「これを凌ぐか、大した能力者だな」
デュオ「よそ見してんじゃねぇよ」
木山「な!?」
デュオは風の鞭を生成し木山の四肢を拘束する
カトル「今です御坂さん!」
美琴「!」
美琴は木山にしがみつき
美琴「これで終わりよ」
電撃を流しこむ
木山「ぐあああああああああっ……」
美琴「!」
木山は地面に倒れ込む
カトル「やりましたね、御坂さん」
美琴「………」
デュオ「どうした、御坂?」
美琴「今のは?」
木山「き、君が見たとおりさ、AIM拡散力場制御実験と銘打った
暴走能力の法則解析用誘爆実験……」
美琴「それって……」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:19:42.00 ID:dr+vk/6Ho
カトル「以前、資料を読んだことがあります。
レベル6を生み出すために木原幻生が行った実験。
その被験者は故意に起こされた『事故』により昏睡状態に陥った」
木山「一体どこで、そんな情報を仕入れたのやら……
そうさ、あの子たちは今も眠り続けている
私たちの行った人体実験のせいで!」
美琴「だったら警備員に通報すれば……」
木山「23回」
美琴「?」
木山「事故原因の究明のために『樹形図の設計者』を申請した数だ
あれを使えば、再びあの子たちを呼び起こせる
なのに、却下された……23回とも全て!」
デュオ「………」
木山「グルなんだよ、統括理事会は。警備員が動くはずがない」
美琴「だからってこんなやり方……」
木山「君たちに何が分かる! あの子たちを救うためなら、私は何だってする
例え、学園都市全てを敵に回しても…私は、私は……ぐっ……
ぐあああああああ……」
デュオ「な、何だよ、あれ……」
美琴「木山の背中から何かが……」
カトル「あれは!? 胎児?」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:20:51.65 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
ミゲル「カズイ、まずいことになった」
カズイ「どうしたんですか?」
ミゲル「木山を倒した後、巨大な生物兵器のようなものが暴れだしたらしい」
カズイ「!?」
ミゲル「俺は現場へ向かう、お前も来い」
カズイ「……嫌です……」
ミゲル「!? どういう事だ」
カズイ「俺が行けば、またあの廃工場みたいに……」
ミゲル「………」
カズイ「俺は傲慢な人間だ……力を手に入れれば、何でも出来ると思いあがって……他人をねじ伏せて……
元々、俺は平凡に暮らしたいがために学園都市に来たんだ。
もう、うんざりだよ」
ミゲル「!? もういい、俺だけで行く」
カズイ「………」
黒子「随分と情けないレベル5だこと……」
カズイ「な……」
黒子「ミゲルさんから聞きましたけど、あの事態を招いたのはあなた自身の弱さが原因でしょう?」
カズイ「うるさい! 君に何が分かる!」
カズイは第一七七支部から飛び出した
黒子「はぁ……」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:21:21.87 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―
カズイ(弱くて何が悪い……元々、俺はこういう人間なんだ……誰かの影でびくびくするだけの………)
ノイン「カズイ!?」
カズイ「の、ノインさん?」
ノイン「こんなところで何をしている? 生物兵器はどうした?」
カズイ「俺は行きませんよ……もうあんな風になりたくはない……」
ノイン「何があった?」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:22:12.47 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「そうか……そんなことが……」
カズイ「俺は……俺なんて………」
ノイン「カズイ、お前は喧嘩など滅多にしたことはなかっただろう?」
カズイ「え?」
カズイ(確かにいつも、喧嘩になる前に悪くなくても謝って場を収めてた……)
ノイン「君が感じた高ぶり……」
カズイ「?」
ノイン「それは、誰もが内に秘める感情だ。今まで他人への恐怖で、覆い隠されていただけで、君の中にもある」
カズイ「………」
ノイン「初めて感じる感情に困惑しているのだろう?
だが、君に眠る感情は『怒り』だけではないはずだ」
カズイ「え?」
ノイン「自身の能力への不信感、他人の素養への恐怖。
その中で押し殺していたもう一つの感情……誰かを救いたいと願う心、
君は持っているだろう?」
カズイ「そんなこと……」
ノイン「ハンカ自治州での戦いや廃工場での出来事を思い出せ。
お前は何のために戦い、誰のために戦ったんだ?」
カズイ「!」
ノイン「思い出したか」
カズイ「はい……俺、行ってきます!」
ノイン「ああ……」
カズイは駆け出した
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:10.80 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「これでいいのか、刹那?」
刹那「ああ、すまないな」
ノイン「それにしても、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターが何故カズイを?」
刹那「俺もかつては、戦いへの恐怖や自分の無力さを感じていた。
境遇は違えど、奴と昔の俺は何処か似ていると思ってな……」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:53.32 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力発電所付近―
鉄装「何かあれ、大きくなってませんか?」
黄泉川「怯むな、撃ち続けろ」
幻想猛獣に銃は効かず、触手が鉄装へ伸びる
鉄装「ひぃっ…」
その時雷撃が触手を払う
美琴「ぼさっとしないで、死にたいの?」
鉄装「あなたは? どうして学生がここに?」
美琴「そんなことはいいから」
黄泉川「何だか、まずいじゃん……」
幻想猛獣は市街地へ向かっている
美琴「任せて、あれは私が相手する」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:24:51.87 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は全高50mにも及んでいた
美琴「なんてでたらめな大きさ……でも、ここで食い止めないと町が!」
幻想猛獣は光弾を美琴に放つ、砂鉄剣で全て捌くも触手に捕らわれる
美琴「くっ……この……」
美琴は電撃を食らわすがまるで効く気配はない
美琴(まずい……これじゃ……)
ミゲル「こいつを食らいな!」
機銃が触手を貫く
美琴「オレンジ色のMS?」
ミゲル「ミゲルだ。今から援護する」
美琴「ミゲルさん? どうしてザフトのMSなんか?」
ミゲル「話は後だ。奴を市街地に近づけるわけには行かない。抑えるぞ!」
美琴「けどアイツの触手を何とかしないと……」
ミゲル「任せな、俺が触手を何とかする。お前は本体を」
オレンジ色のジンは機銃で幻想猛獣の触手を撃ち落とす
美琴「くらいなさい!」
美琴は雷撃を繰り出す
ミゲル「おいおい……なんつー電気量だよ」
舞い上がる土埃を裂き
巨大な光弾が撃ち出される
ミゲル「な!?」
光弾はジンの右腕を消し飛ばす
ミゲル「くっ……」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:26:32.06 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は再生した触手でジンの四肢を掴み光弾のチャージを始める
ミゲル「コイツ……」
美琴「まずい……どうすれば……」
カズイ「ミゲルさん!」
I.W.S.P.を装備したダガーがガトリングで触手を全て焼き払い
対艦刀で幻想猛獣を一閃する
カズイ「ミゲルさん、御坂、下がっててくれ。こいつは俺が相手する」
美琴「カズイさん?」
ミゲル「カズイ、なぜお前が連合の機体を!」
カズイ「話は後です。今はこいつを」
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」
カズイ「触手が再生した!?」
木山「まさかこんなモノが生まれるとはな……」
美琴「木山春生……」
木山「今、花飾りの娘がワクチンを流しに向かっている。いずれ、再生能力は失われるはずだ。
あとは核を破壊すれば……」
美琴「だったら、こいつで」
美琴は先程よりも強力な雷撃を放つ。誘電力場に阻まれながらも
雷撃の熱は幻想猛獣の体表を焼く
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:27:42.40 ID:dr+vk/6Ho
美琴「次は……」
幻想猛獣が放つ触手を砂鉄剣で全て切り払う
ミゲル「これが、レベル5……」
美琴「これでとどめよ」
美琴はコインを弾き『超電磁砲』を放つ
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」
しかし、幻想猛獣を貫くには至らない
木山「やはり、レベル5といえども……」
カズイ「任せて、アイツの体表は俺が薙ぎ払う」
美琴「え?」
カズイは幻想猛獣にレールガン、単装砲、ガトリングを一斉に叩き込み
幻想猛獣の懐へ飛び込む
カズイ「まだだ!」
両肩の対艦刀を引き抜き追撃する
カズイ「ダガー、もう少しだけ保ってくれ……」
カズイは『空間掌握』を発動し、超速で幻想猛獣の体表を切り剥がす
ミゲル「あの機体で、あんな動き……もう保たんぞ!」
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
止め処ない斬撃にダガーの両腕は耐えられず砕け散った
カズイ「もう一発!」
止めと言わんばかりにダガーが放ったレールガンを受け
幻想猛獣の核が現出した
カズイ「今だ御坂!」
美琴は静かにうなずき、再びコインを弾く
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:10.37 ID:dr+vk/6Ho
―7月25日 第一七七支部―
固法「カズイくん、御坂さん。今回はお手柄だったわね」
黒子「木山は警備員に捕らわれ、幻想御手使用者も意識を戻りましたの」
カズイ「それは、良かった」
固法「それにしても、カズイくん、ミゲルさん、どうしてあなた達MSなんて……」
カズイ「それは……」
デュオ「ああ、こいつは元軍人なんだ」
美琴「えっ?」
ミゲル「………」
カズイ「色々あって退役したんです」
カズイ(実際は脱走兵のようなものだけど……)
黒子「ミゲルさんも?」
ミゲル「まぁ、そんなとこだ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:42.86 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部 外―
カズイ「どうしたんですか、ミゲルさん?」
ミゲル「洗い浚い話してもらおうか、お前がこの学園都市にいる理由を」
ミゲルは銃を突きつけカズイに問いかける
カズイ「え?」
ミゲル「連合のスパイか?」
カズイ「ち、違います、俺は……」
ミゲル「なら何故、連合のMSを持っている?」
カズイ「それは……」
デュオ「そこまでだザフトのスパイさんよ」
ミゲル「!?」
カトル「あなたの素性、調べさせてもらいましたよ。ミゲル・アイマンさん」
ミゲル「お前たちも連合のスパイか?」
デュオ「俺らは組織系統が違うんだが……」
カトル「僕たちはプリベンター。地球連邦直属の治安維持部隊」
デュオ「ちなみにそいつが退役軍人ってのも本当だ。
元アークエンジェルクルーのな」
ミゲル「な? 貴様……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:29:54.33 ID:dr+vk/6Ho
デュオ「なぁ、お前が何の目的でここに居るのかは知らんが
今は同僚だろ?」
ミゲル「だが、お前たちはコーディネイターに仇なす存在だ」
カトル「僕らプリベンターはプラントも含めた地球圏の治安維持を
目的としています。君達と事を構えるつもりはありません」
ミゲル「信じられるものか……狡猾で薄汚いナチュラル共が……」
カズイ「なら、どうして幻想御手事件で幻想猛獣を止めようと……」
ミゲル「学園都市に住むコーディネイターの為に決まっている」
カズイ「だったら、御坂さんまで助ける必要なかったじゃないですか」
ミゲル「それは……」
カトル「ミゲルさんも心の底からナチュラルを憎んではいないはずです」
ミゲル「知ったような口を……」
カズイ「俺は元々国連軍の士官でしたけど、コーディネイターが憎くて
志願したわけではないです」
ミゲル「………」
カズイ「俺らは敵じゃない。それどころかここ数日はずっと
あなたと二人で仕事をこなしてきたじゃないですか」
デュオ「聞いた話じゃ、あんたのジンが大破したとき助けてくれたのは
こいつだったそうじゃないか」
ミゲル「! そう……だったな……カズイ、銃なんか向けてすまなかったな」
カズイ「気にしないでください」
ミゲル「ナチュラルへの憎しみで盲目していたようだな……
確かに、お前たちや風紀委員の連中も信用に足る人物だよ……
これからもよろしく頼む、カズイ、デュオ、カトル」
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混迷する地球にあって中立を貫き、プラントをも上回る科学力を持つ学園都市
ここでは薬物や催眠を用いて人為的に超能力を開発する、記録術が行われている
カズイ・バスカークは学園都市、第七学区の陣代高校に転入することとなった
カズイ「ヘリオポリスのカトーゼミから転入してきた
カズイ・バスカークです」
生徒A「ヘリオポリス? あそこはザフトの襲撃を受けて五ヶ月も前に崩壊したんじゃないのか?」
生徒B「一体どういう奴なんだ?」
クラス内が俄にざわつく
青髪ピアスの青年「何やカミやん面白そうな奴が転入してきたなあ。ちーとばかし気ぃ弱そうやけど」
上条「ああ、そうだな」
小萌「それじゃカズイちゃんの席はですねぇ……
上条ちゃんの後ろですね」
まるで小学生のような体躯を誇る女教師が指を指す
小萌「上条ちゃん、ちゃんとカズイちゃんの面倒を見てあげるのですよ」
上条「ういーっす」
カズイ「あ、あのよろしく上条くん」
上条「よろしくな、カズイ」
ツンツン頭の少年――上条は気さくに返す
小萌「それじゃ早速授業を始めるですよ」
こうしてカズイ・バスカークの学園都市での生活が始まった
―放課後 繁華街―
男1「ねぇ、僕? お兄さんにお金貸してくれない?」
カズイ「………」
いつの間に自分の周りを数人の男達が取り囲む
明らかに紳士的な雰囲気とは言い難かった
男2「おいおい、聞いてんの?」
カズイ(鬱陶しい……)
男3「僕ら今日のメシ代、足りなくて困り申し上げてんのよね」
カズイ(こういう時に採るべき行動など決まっている)
カズイ「い、いくらですか?」
気が弱く腕力もない自分にはこうすることしか出来ない
男1「うーん……一万円ぐらいかな?」
カズイ「ど、どうぞ……」
素直に財布から紙幣を取り出す
学園都市が独自に製造しているものだ
男3「おいおい、一人一万円に決まってますでしょ?」
カズイ「え?」
男3「もしかして貸して頂けないの?」
男2「そりゃねーぜ、今日の夕飯どうすんだよ?」
カズイ(俺こそ今日の夕飯どうすればいいんだよ……)
男1「仕方ないよね、困ってる俺らに金貸してくんないこの子が悪いんだよ」
突然、カズイの体が宙に浮き壁に叩きつけられた
カズイ「っ……」
男1「どうよ僕の能力、テレキネシス」
カズイ「うぅ……」
男3「ほらさっさと金お出しになっちゃいなよ」
そういって男が胸ぐらをつかみ腕を振り上げた時
?「おい、うちのクラスメイトに手ぇ出してんじゃねぇよ」
男3「どなただテメェ?」
男2「なに? この子の友達?」
上条「だったらどうなんだよ?」
男2「ちょうどよかったこの子からお金を借りようと
思ってたんだけど彼、渋っててね」
男3「君がお貸しくださるのか?」
上条「断る」
男2「だろうな。おい、まさる!」
まさる「任せな!」
先ほどテレキネシスを繰り出した男が構える
まさる「吹き飛べや!」
カズイ「か、上条、逃げて!」
上条「………」
上条は無言で右手を構える
するとどういう訳かテレキネシスが働くことはなかった
男2「不発ぅ?」
カズイ(まさか……打ち消した?)
上条「まだやんのか?」
男3「なんだよこの方の能力は?」
まさる「ひ、退くぞお前ら」
男2「お、おう……」
上条「はぁ……大丈夫かカズイ?」
カズイ「あ、ああ。ありがとう助けてくれて」
上条「別に気にすんなって」
?「ちょっとあんた?」
中学生ぐらいであろう女子が声をかけてきた
上条「何だ、ビリビリ中学生か……」
?「ビリビリじゃなくって御坂美琴、いい加減覚えなさい」
カズイ(御坂美琴って……まさか常盤台の超電磁砲?)
レベル5の一人『超電磁砲』
学園都市に来てまだ日の浅い自分でもその名は知っている
上条「で、今度は何なんですか? また勝負ですか?」
美琴「そうよ、この前は何故だか私の電撃が通じなかったけど
今日こそアンタを焦がしてやるわ」
カズイ「上条、その子は?」
美琴「……アンタ誰?」
カズイ「そ、その俺は……カズイ・バスカーク。上条のクラスメイト……です…」
美琴「ああ、そう。こいつの知り合いってことはアンタも変な能力を持ってるわけ?」
上条「こいつ学園都市に来たばっかでな、身体検査も記録術も受けてねーんだよ」
美琴「ふーん。それよりもアンタ、今日こそ決着付けるわよ」
上条「ったく、懲りねー奴だな……カズイ、また明日な」
カズイ「あ、うん……」
カズイ(上条くん大丈夫かな……)
その様子を遠くから何者かが見つめている
男「ターゲットを発見しました。如何致しますか?」
?『捕らえろ』
男「はっ!」
カズイ「学園都市って変な人が多いなぁ……」
カズイ「記録術を受けると俺もああなるのかな?」
男「………」
カズイ「……? 俺に用ですか?」
男「………」
カズイ「がはっ……」
腹部に激痛が走り意識が遠のく
カズイを気絶させた男は端末を操作する
男「目標を確保しました」
?『連れて帰れ。直ちに実験を開始する』
帰還命令を受けた男はカズイを連れて闇に消えた
―プリベンター―
革命戦争の終結後、地球連邦直属の治安維持部隊として
国連軍とは異なる組織体系で地球圏の治安維持を影から支えている
モニターの前にはスーツを纏った長髪の女性
さらにその前には無愛想な少年と長い髪を三つ編みにしばった少年が立っている
レディ「ヒイロ、デュオ。君達に任務だ」
デュオ「俺とヒイロなんて珍しい組み合わせだな」
ヒイロ「………」
レディ「これを見てくれ」
モニターにカズイと彼を誘拐した男が映しだされる
ヒイロ「これは何だ?」
レディ「この少年はカズイ・バスカーク。『原石』と目されている少年だ」
デュオ「『原石』? この気弱そうな少年がねぇ……」
レディ「彼は現在ブルーコスモスに誘拐され、対コーディネイター用の
強化兵士開発の実験台となっている」
ブルーコスモス――反コーディネーター思想を信奉する者達の総称である
ヒイロ「任務はその男の救出か」
レディ「その通りだ」
デュオ「なるほどね……で、ガンダムはどうするんだ?」
レディ「一応カトルを待機させるが、出来ることなら秘密裏に救出をして欲しい。
また今回の任務にはミスリルからSRT所属の相良宗介軍曹が出向することになっている」
ヒイロ「ミスリルが参加するのか?」
レディ「ミスリルは『原石』であろう彼の能力を非常に重視しているようだ」
デュオ「そんなにすごいやつなのか? そのカズイってのは」
レディ「恐らく、メンデルで生み出されたスーパーコーディネイター……
彼をも凌駕しうる力を秘めているだろう」
―6月24日 ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―
カズイ「っ……ここは……?」
目覚めると見知らぬ天井が目に映った
周囲には無機質な実験器具が置かれている
ジブリール「お目覚めかね?」
カズイ「あ、あなたは?」
身なりの良さそうな中年の男性が話しかける
ジブリール「私の名はジブリール。ブルーコスモスの幹部だよ」
カズイ「ブルーコスモスだって? どうして俺を?」
ジブリール「君はコーディネイターに対して劣等感を抱いているだろう?」
カズイ「………?」
ジブリール「当然だ。彼らはおぞましい遺伝子操作に手を染め、我らを遥かに凌ぐ才能を得ている。
そんな連中が跳梁跋扈する世界を君は認めることが出来るかね?」
カズイ「一体何を言って……」
ジブリール「私は君に力を与えたいと思っている。彼らコーディネイターを殲滅する力を」
カズイ「な、何をするつもりなんですか?」
ジブリール「ただの記録術さ。君に眠る能力を解放するのだよ」
カズイ「俺にそんな力は……」
ジブリール「あるのだよ君には……」
カズイ「まさか!? いや、それよりも、コーディネイターを殲滅するなんて……」
ジブリール「フフフ、コーディネイターに対する恐怖が拭いきれていないようだな。
だが安心するがいい、再び眠りにつけば君は対コーディネイター用の
最強の強化兵士として生まれ変わるだろう」
カズイ「お、俺にそんな気は……」
ジブリール「さぁ、安らかに眠るがいい……」
―6月25日 教室―
カズイが誘拐されてから二日が経った
青髪ピアス「なあ、カミやん。カズイ、今日も休んどるで」
土御門「転入二日目にして不登校だにゃんて、妙な話だにゃあ、カミやん?」
上条「一体どうしたんだカズイの奴……」
上条と親しげに話すのは青い髪にピアス、金髪にサングラスという妙な扮装の少年たちである
―放課後 職員室―
小萌「はぁ……」
黄泉川「小萌先生、何だか元気ないじゃん。何かあったの?」
転入生の欠席に気を揉む小萌に声をかけたのはジャージに後ろ髪を縛っただけ、というラフな格好の女性である
小萌「黄泉川先生、それが昨日から転入生のカズイちゃんが来ていないのですよ」
黄泉川「どうせ風邪かなんかじゃん、そんなに気にすることじゃないじゃんか」
小萌「でも彼の寮に連絡しても応答が全くないのですよ」
神楽坂「月詠先生もですか? 実は私のクラスの相良くんもなんですよ」
黄泉川「神楽坂先生のクラスの転入生じゃん」
神楽坂「ええ、一体どうしたのでしょうか?」
―ブルーコスモス 対コーディネイター研究所―
ジブリール「どうだね彼の様子は」
研究員「想像以上です。稀有な空間認識能力や高度な反射神経を保持し
身体面においてもかなりのポテンシャルを秘めています」
ジブリール「それは素晴らしい……」
研究員「それだけではなく、高度な演算能力をも有しています。
また、ひと通りの検査から彼の能力は自身の視覚、空間認識能力の大幅な強化であると思われます。
彼の演算能力と組み合わされば、的確な戦況予想、効果的な戦術の
構築が可能となるでしょう」
ジブリール「彼の目覚めが楽しみだな」
―研究所前―
宗介「待っていたぞ。プリベンターのヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェルだな」
デュオ「ああ、俺がデュオでこっちの無愛想なのがヒイロだ」
宗介「了解した。よろしく頼む」
ヒイロ「ああ」
―研究所内部―
宗介「カズイ・バスカークは地下16階。研究所深部で実験を受けているはずだ」
デュオ「地下へはどうやって行くんだ?」
ヒイロ「カードキーは研究員が持っているだろう」
宗介「力づくか……あまりスマートとは言えんな」
デュオ「じゃあどうするってんだ?」
宗介「いや、今は時間が惜しい。その方法で行くぞ」
ヒイロ「問題はどの研究員が地下へ続くカードキーを持っているのかだ」
宗介「手分けをしてカードキーを持つ研究員を探すぞ」
デュオ「へいへいっと」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:33:15.05 ID:G+Kwiw0ho
―30分後―
ヒイロ『こちらヒイロ。収穫は今のところ無い』
宗介『こちらウルズ7。状況は前に同じだ』
デュオ「こちら、デュオ。状況は前に……っと、ビンゴだ!
こちら、デュオ。地下へと向かう研究員を発見した。直ちにカードキーを奪ってくる。
ヒイロ達はさっきの場所に戻っていてくれ」
ヒイロ・宗介『了解』
デュオ「さてと……こんばんは、兄さん」
研究員「誰だ貴様は?」
デュオ「ちょいとすまねぇなっと……」
研究員「ぐっ……き、貴様……」
デュオ「さて、戻るとしますか」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:06.18 ID:G+Kwiw0ho
―10分後―
デュオ「待たせたな、お二人さん」
ヒイロ「待ったぞデュオ」
宗介「あまり時間をかけないでくれ」
デュオ「お前らなぁ……」
宗介「早速地下へ向かうぞ」
ヒイロ「了解」
デュオ「はいよっと……」
―深部―
デュオ「誰もいねぇぞ」
ヒイロ「妙だな」
宗介「だが好都合だ、カズイ・バスカークを捜すぞ」
―5分後―
デュオ「こっちは駄目だ」
ヒイロ「こっちもだ。そっちはどうだ相良」
宗介「ビンゴだ」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:34:37.78 ID:G+Kwiw0ho
―研究所地下―
カズイ(ここに連れて来られてからどれくらい経ったんだろうか……)
ジブリールと名乗る男の言葉を思い返す
カズイ(確かにコーディネイターは怖いし、正直嫉妬してる。
だからって殲滅するなんて……非道だし、無理に決まってる)
カズイ(戦争が嫌だから学園都市に来たのに……)
宗介「ビンゴだ」
カズイ(! 人の声……あの男じゃない!?)
宗介「起きろ! カズイ・バスカーク」
カズイ(今度は何をする気なんだ……)
カズイ「やめてくれ、俺はコーディネイターを殲滅する気なんて無い」
宗介「? 何を言っている。俺はお前の救出に来た、ミスリルのSRT所属、相良宗介軍曹だ」
カズイ「ミス…リル?」
デュオ「宗介、早くそいつを連れてずらかるぞ」
宗介「了解した。カズイ・バスカーク、ともかくここから
脱出をする。走れるか?」
カズイ「う、うん……」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:23.85 ID:G+Kwiw0ho
―研究所外―
デュオ「大丈夫か? カズイ?」
カズイ「大丈夫……だけど…君たちは?」
デュオ「俺はデュオ・マックスウェル。こっちのムッツリがヒイロ・ユイ」
カズイ「君たちもミスリル?」
デュオ「俺らは違うんだが……」
ヒイロ「デュオ、話はここから退避してからだ、見てみろ」
カズイたちの周囲にMSが数機展開している
カズイ(あれってストライクダガー?)
宗介「囲まれているようだな」
デュオ「仕方ねーな。カトル、後は頼んだぞ」
カトル『ええ、分かりました。サンドロックで応戦するのでデュオ達は早く脱出してください』
通信終了後、曲刀を携えたMSが出現した
カズイ「が、ガンダム? 君らは一体?」
ヒイロ「行くぞ」
―研究所外 合流地点―
宗介「このヘリコプターでトゥアハー・デ・ダナンへ向かう。お前たちも来てくれ?」
カズイ「とぅあは……何だって?」
宗介「トゥアハー・デ・ダナンだ」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:36:52.69 ID:G+Kwiw0ho
―6月26日深夜 日本近海 トゥアハー・デ・ダナン―
テッサ「ようこそ、トゥアハー・デ・ダナンへ、カズイ・バスカークくん」
カズイ「ど、どうも?」
カズイ(女の子?)
マデューカス「大佐、彼が?」
テッサ「ええ、ヒイロさん達が持ち帰ったブルーコスモスの
研究報告書では間違いなく『原石』であると」
カズイ「『原石』?」
テッサ「『原石』とは自然界の偶然作用によって
超能力を発現させた異能者の事です」
カズイ「俺がその『原石』ってやつなの?」
テッサ「どうやらあなたは最高の演算能力、空間認識能力、反射神経を持っているようです」
カズイ「それが、俺の能力なんですか?」
テッサ「それらはあくまでもあなたの資質です。真の能力は
視覚、空間認識能力の強化による正確な戦況把握、高度な戦術構築、そして超反応」
カズイ「そんな能力が俺に?」
テッサ「ええ、そうです。他のレベル5のように世界の軍事バランスを揺るがしうる能力です」
カズイ「そんなの、今まで一度も……」
テッサ「それは恐らく、あなたの性格が原因です」
カズイ「俺の……性格?」
テッサ「あなたがかつて感じていたコーディネイターへの恐怖、羨望、嫉妬、
そういった感情があなたの本来持っていた資質を抑制していたのです。
ですが、アラスカ攻防戦後その資質は徐々に解放されて来ています」
カズイ「………」
テッサ「きっと、その時感じた死の恐怖があなたの資質、能力を
本能的に目覚めさせたのでしょう。一種の防衛本能ですね」
カズイ「………」
テッサ「正式な検査はまだですが、あなたの能力は恐らくレベル5に相当するでしょう」
カズイ「レベル5!? 俺が?」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:37:32.28 ID:G+Kwiw0ho
―朝 教室―
ヒイロ達に救出されたカズイは再び学園都市に戻る
テッサは今後、彼が今回の様な目に遭うことがないよう
プリベンター――ヒイロ達が所属する組織に、護衛を要請した
カズイ(僕に能力が……しかもレベル5相当だって?)
妙な話である、レベル5に属する者は学園都市に7人しか居ない
その稀有な能力者に、自身が分類されるというからだ
カズイ(とても信じられない……)
カズイは突如告げられた自身の能力に戸惑いを感じながらも教室の戸を開く
生徒A「おい、カズイじゃねぇか」
生徒B「突然休むなんてどうしたんだよ?」
吹寄「転入早々欠席とは……たるんでいるぞ、カズイ・バスカーク」
転入生の身を案じたクラスメイトの声にカズイは包まれる
小萌「さあ、みんな座るのですよ。今日は転入生を紹介します」
生徒A「また?」
カズイ「転入生って……まさか」
教室へ入ってきたのは長い髪を三つ編みに縛った少年と育ちの良さが伺える金髪の少年だ
デュオ「俺の名前はデュオ・マックスウェル。よろしくな」
カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」
小萌「二人はコロニーからの移住者なのです。みんな仲良くしてくださいね」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:38:08.35 ID:G+Kwiw0ho
―休み時間―
カズイ「まさか、デュオが転入してくるなんて」
デュオ「護衛するならこの形が一番だと思ってな」
カズイ「そっちの君は?」
カトル「あの時は直接顔を合わせていなかったね。
僕は、カトル・ラバーバ・ウィナー。
ガンダムサンドロックのパイロットさ」
カズイ「もしかしてあの時ダガーと戦っていた?」
カトル「そうだよ。カズイ、これからよろしく」
カズイ「よろしく、カトル」
上条「お前たち、カズイの知り合いだったんだな?」
カトル「君は?」
上条「俺は上条当麻。二人ともこれからよろしくな」
デュオ「よろしくな、上条」
カトル「よろしく、上条くん」
デュオ「それとカズイ、今日の放課後、ちょっと付き合ってくんねーか?」
カズイ「どうしたの、デュオ?」
カトル「君に渡したい物があるんだ」
カズイ「渡したい物?」
―放課後 某所―
カズイ「ここは?」
カトル「プリベンターの学園都市支部さ」
デュオ「お前に渡したいものはこの先にある」
デュオは壁の端末を操作し、ゲートのロックを解除する
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:07.98 ID:G+Kwiw0ho
―MSハンガー―
カズイ「これは……ストライクダガー?」
カトル「少し違うかな。これはGAT-01A1ダガー、通称105ダガー
渡したいものってのはこれのことだよ」
カズイ「俺、MSの操縦は……第一どうして俺に?」
デュオ「お前を狙う組織ってのは、ブルーコスモス以外にもいくらでもあんだよ
そん時には俺らだけで守りきれるとは限らないからな」
カトル「だから、君にはMS操縦技術と体術を身に付けて欲しいんだ」
カズイ「そ、そんな……俺は戦争が嫌でこの学園都市に来たのに……」
カトル「学園都市も、もはや安全とは言えない。ブルーコスモスの急進派には
学園都市自体を敵視する者もいるんだ」
カズイ「だからって……どうして俺が狙われなきゃいけないんだよ」
デュオ「それだけお前の能力は稀少なんだよ」
カトル「僕らの力不足で君に負担を強いるのは気がすすまないけど……」
デュオ「別に戦争に協力しろだとかプリベンターに参加しろと言ってるわけじゃねぇんだ。
訓練には俺らが付き添うしな」
カズイ「そ、それなら……」
カトル「ありがとう、カズイ」
その後、彼らは共にプリベンターのノインという人物の指導で
訓練を受けることとなった
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:39:40.63 ID:G+Kwiw0ho
―6月30日 プリベンター学園都市支部―
カズイが学園都市に来てから一週間が経った
身体検査の結果も出され、付けられた能力名は
『空間掌握(カリキュレーター)』第八位の『超能力者(レベル5)』だ
ノイン「カズイ、もうバテたのか?」
ノインがそう言い放つも
カズイは息を切らせまともに返答できない
デュオ「無理ねーぜ。こいつは元々、ナチュラルの学生なんだからな」
ノイン「だが、カズイ。君の上達ぶりは相当なものだ」
デュオ「まあ、これならこないだのように、誘拐されたりはしないだろうな」
カトル「MSの扱いにも大分、慣れてきたようだしね」
カズイ「ハァ…ハァ……」
ノイン「よし、今日はこれぐらいにしておこう」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:40:07.97 ID:G+Kwiw0ho
―繁華街―
男2「久しぶりだね、君」
カズイ「?」
男3「僕らさ、お金に困り申し上げてんのよね。今日こそ貸してくださらない?」
カズイ(この前の不良だ……)
男2「聞いてんの?」
男3「あまり困らせないでくださいよ……」
男はそう言ってカズイの腕を掴もうとした、しかし……
カズイ「ッ!」
男3「え?」
男は地面に叩きつけられていた。正確にはカズイが彼の腕を取り投げ飛ばしたのだ
男2「て、てめぇ…よくもみつるくんを……」
みつる「うぅ……痛い、痛い、痛いーーーーーーーっ!」
男2「許さねぇ、俺の能力を見せてやるっ!」
もう一人の男は人差し指を構え
男2「俺のこの手が真っ赤に燃えるぅっ…勝利を掴めとかぁがやk…ぐはっ……」
?「無事か、バスカーク?」
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/04/06(水) 22:40:17.93 ID:3iYIdnAAO
これ何か読んだことあるような
27 :>>26 以前VIPに上げたやつです [saga]:2011/04/06(水) 22:41:22.20 ID:G+Kwiw0ho
カズイ「相良!? どうして君が学園都市に?」
宗介「俺は元々、陣代高校の生徒だ」
カズイ「そうだったの?」
?「ん? おい! みつる! あきお! どうした? 誰にやられた?」
みつる「あ、あいつらが……」
あきお「頼む、まさる。あいつらを……」
まさる「ああ、任せろ……仇は…取る!!」
宗介「まだ、居たのか」
まさる「許せないんだよ……お前らぁあああああああっ」
カチャッ
宗介は不良に銃を向ける
まさる「ひっ……」
宗介「両手を頭の後ろに組み、直ちに……」
パァンと耳に心地よい音が響く
宗介「痛いぞ、千鳥」
かなめ「このバカ、そんなおもちゃ振り回して何やってるのよ」
宗介「千鳥、これはおもちゃではなく、グロック19という信頼性の高い銃だ」
かなめ「ああ、はいはい。そろそろ完全下校時刻なんだから早く帰りなさい」
宗介「もう、そんな時間か」
かなめ「そこの君たちも早く帰りなさいよ」
そういって宗介たちは帰っていった
まさる「きょ、今日はここで退いてやる。次こそは金を貸してもらうからな……」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:08.55 ID:G+Kwiw0ho
―7月3日 教室―
小萌「その……今日は皆さんに、て、転入生を紹介します。刹那ちゃん、入ってきてください」
青髪ピアス「何や、また転入生かいな?」
土御門「いい加減、物憂げで薄幸な美少女でも転入してこないかにゃ~」
刹那「ちょりーっす、転入生の刹那で~す。よろしちょりーっす」
カズイ(………ナニコレ?)
小萌「え、えーと……それじゃセイエイちゃんはバスカークちゃんの後ろに座ってください」
カズイ「えぇ~!?」
刹那「何、君? 俺のクラスメイトになっちゃうげ? なっちゃう感じ?」
カズイ「え、あ……その……」
刹那「何々? 何かテンション低いじゃん、どしたの? どしたの?
もしかして、あれ? 五月病ってやつなのかーなー?」
カズイ(鬱陶しいな……)
小萌「それと来週から修学旅行なのですよ。みなさん、準備はしっかりとしておいてくださいね」
カズイ「あれ? 先生、俺たちはどうするんですか?」
小萌「カズイちゃんたちの旅行費はすでに支払われているので安心してくださいなのです」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:42:42.82 ID:G+Kwiw0ho
―7月9日 プリベンター学園都市支部―
ノイン「さて、今日の訓練はここまでだ」
デュオ「あーあ、疲れた疲れた……」
ノイン「ところで、お前たち。明日からの修学旅行の事だが……」
デュオ「ん?どうしたんだよ?」
ノイン「先日、プリベンターの諜報員から入った情報だが、
どうやら、このタイミングにとある組織が『原石』の強奪を画策しているらしい」
カズイ「俺を?」
デュオ「んじゃ、俺らは旅行中止かよ!?」
ノイン「いや、彼らの狙いはもう一人の『原石』」
カトル「カズイ以外にも『原石』が?」
ノイン「ああ、君らには有事の際、適切に対処して欲しい」
カズイ「も、もしかして……俺もですか?」
ノイン「ああ」
カトル「な!? 危険過ぎますよノインさん!」
ノイン「もう一人の『原石』はカズイと同じように、
いやそれ以上に世界の軍事バランスを崩しかねない」
デュオ「その為には俺らの力は不可欠だし、カズイ一人学園都市に置き去りに
することもできないって訳か……」
カズイ「理屈ではそうかもしれませんけど……俺は……」
ノイン「このようにせざるを得ないのは不本意ではある。
だが、私の訓練を耐えた君なら大丈夫だ。自分の素養と実力を信じるんだ」
カズイ「素養と……実力……」
ノイン「もちろん、バックアップは付ける。君を連中に渡すようなことにはさせない」
カズイ「分かりました……」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:43:14.75 ID:G+Kwiw0ho
―某所―
ガウルン「プリベンター、ミスリルにソレスタルビーイングのガンダムマイスター……
随分とご機嫌なメンツが集まってるじゃねぇか、この学園都市は」
傭兵「ガウルン、あくまでも我々の目的は『ウィスパード』だぞ」
ガウルン「んなことは、分かってるさ」
傭兵「連中の介入があった場合、貴様にも動いてもらうぞ。アリー・アル・サーシェス」
サーシェス「おう、任せな。俺のガンダムも丁度修理が終わったところだしな」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:17.28 ID:G+Kwiw0ho
―7月10日 機内―
カズイ「デュオたちはやっぱり沖縄は初めて?」
カトル「そうだね、僕らはコロニー育ちだから」
カズイ「俺も沖縄は初めてだよ」
デュオ「だけど、この時期に修学旅行は助かったぜ。最近はノインさんに
散々しごかれてたからな」
カズイ「ご、ごめん、俺に付きあわせたばかりに」
デュオ「別にお前を責めてるわけじゃねーって」
その時、ガタンと機体が揺れた
カズイ「な、何? エアポケット?」
カトル「窓を見て、あれは連合軍のメビウス」
デュオ「どういう事だ? 何だって沖縄にそんなのが?」
カトル「まさか……」
飛行機は着陸を始める
しかし、周囲の風景は沖縄どころか日本ですらない
カズイ「あれはAS? それに……」
カトル「ああ、トーラスだ」
デュオ「あっちにはジンクスやティエレンか……」
カトル「恐らく、ここは旧人革連領だろうね。
ただ、ダガー系の機体やジンクスⅡが、配備されていないということは
連邦での発言力があまり無い小国かな」
その時、機内放送を告げるチャイムが鳴った
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:44:46.59 ID:G+Kwiw0ho
?『機内の皆さん、私は機長に代わりこの機の責任者となった者です』
上条「? どうしたんだ突然……」
?『当機はやむをえぬ事情からハンカ自治州の空軍基地へ着陸しました』
小萌「ハンカ自治州って……まさか!?」
?『皆さんには複雑な政治情勢にあるこのスリリングな地にふさわしく人質になって頂きます』
刹那「………」
?『逃亡を試みた者、不穏な動きを見せた者については、我々は躊躇せず射殺させて頂きます』
デュオ「カトル、カズイ!」
カトル「まずいね、何とかレディさんに連絡を取らないと……」
動揺する機内に複数の傭兵が入ってきた
ガウルン「さて、そこのお嬢さん。マスコミ用の映像を撮りたいのだが
ご同行願えるかな?」
かなめ「え? そんな、私みたいなチンケな小娘、映えませんよ」
ガウルン「いいから、来いよ」
かなめ「っ……離してよ、離してったら」
カズイ(あれは、この前、相良といた……)
上条「おい、離してやれよ」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:45:52.96 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン「誰だ?」
上条「誰だっていい、その手を離せよ。人質なら俺がなってやる」
ガウルン「君ではダメだ。市民の同情を誘うにはね……」
上条「黙れよ外道」
ガウルン「ん?」
上条「いい大人が子供を利用しようなんて、恥ずかしくねえのかよ?
テメェの正義を貫きたいんだったら、こんな姑息な真似してんじゃねえよ」
ガウルン「イイね……恐れを知らないってのは、でも……うるさいよ君」
男は胸元から銃を抜きその銃口を向ける
?「伏せろ!」
上条「!」
上条はとっさに身を伏せ、銃声が響く
ガウルン「ん? ったく、誰だよ? 興が冷めちまったじゃねぇか……
連れて行け」
女子とハイジャック犯はそのまま去っていった
宗介「!」
何者かがハイジャック犯たちとは逆方向に去っていった
カズイ(今のは……相良?)
デュオ「行くぞ、カトル、カズイ」
カズイ「え?」
カトル「レディさんに連絡をとるんだ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:46:31.88 ID:G+Kwiw0ho
―基地内倉庫群―
カトル「ここなら誰も来なさそうだね」
デュオ「よしカズイ、見張りは頼んだ」
カズイ「え?」
デュオ「ここ数週間、ノインさんに散々しごかれたお前なら大丈夫だ。頼んだぞ」
カズイ「あ、ああ……」
―基地内倉庫内部―
宗介「マックスウェルか?」
デュオ「何だ宗介じゃねーか。お前もミスリルに連絡をって所か」
宗介「肯定だ。それよりもだ、マックスウェル、機内に爆弾が設置されている」
デュオ「何だって?」
宗介「とりあえず、俺はこの事をダナンに知らせる……」
カズイ「う、うわあ!」
カトル「カズイ!?」
悲鳴の響いた先では男が気絶していた
デュオ「これ、お前がやったのか?」
カズイ「あ、ああ。ノインさんの訓練のおかげかな? ところで君は……」
宗介「相良宗介軍曹だ。久しぶりだなカズイ・バスカーク」
カズイ「相良!? さっき走り去っていったのは、やっぱり君だったんだね」
宗介「肯定だ」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:47:12.97 ID:G+Kwiw0ho
レディ『そうか爆弾が……』
カトル「周囲にはAS、MSが多く配備されています」
レディ『わかった、直ちにガンダムを送る。現時点では乗客の命を優先して行動してくれ』
カトル「わかりました」
宗介「どうだった?」
デュオ「すぐにガンダムを送ってくれるそうだ。それから乗客の命を優先しろとな」
宗介「なるほど。こちらも似たようなものだ」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:48:16.47 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「そこまでだ、貴様らどこと交信していた?」
彼らが立ち去ろうとすると、複数の武装した傭兵が現れ道を塞いだ
デュオ「見つかっちまったか……」
傭兵「質問に答えろ」
傭兵たちはカズイ達を取り囲む
宗介「囲まれた……」
カズイ「も、もうダメだ……」
傭兵「さあ、改めて問う、貴様らはどこへ交信していた?」
デュオ「万事休すだな……」
?「伏せろ!」
声が響いたと思うと……
―カンッ
発煙筒が投げ込まれ視界を遮る、そして……
―ダダダダダッ
銃声が響く
傭兵「ぐっ……何者………だ?」
ヒイロ「………」
刹那「………」
煙が晴れるとそこには二人の少年が立っていた
デュオ「ヒ、ヒイロ?」
カズイ「刹那?」
カトル「ヒイロはともかく、どうして君が?」
ヒイロ「話は後だ。まずは状況を整理する、良いな?」
デュオ「ああ……」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:13.61 ID:G+Kwiw0ho
刹那「最初に言っておこう。俺の名は刹那・F・セイエイ。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ」
宗介「ソレスタルビーイング? 奴らは二年前に滅びたはずでは?」
刹那「確かに二年前の国連軍の攻撃でソレスタルビーイングは離散した。
今は組織を離れ独自に行動している」
カズイ(あのキャラも独自行動の一環……なのかな?)
ヒイロ「現在、多くのが乗客が旅客機に囚われている。
その目的はウィスパードと呼ばれる『原石』入手の為の保険だ」
宗介「まさか…千鳥のことか?」
ヒイロ「その通りだ」
デュオ「なるほど、それでテロリストも彼女をね……」
ヒイロ「現在ミスリルとプリベンターが共同での救出部隊の編成を行っている。
その間、俺達は敵AS、MSの撹乱、爆弾の撤去、千鳥かなめの救出を行わなければならない」
刹那「だが、今の俺達にAS、MSの撹乱、爆弾の撤去は不可能だ」
ヒイロ「サンドロックとデスサイズ、それとバスカークのダガーは
すでにサリィによって運び込まれている」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:49:46.31 ID:G+Kwiw0ho
宗介「ならば、千鳥の救出は俺達か?」
ヒイロ「ああ、千鳥かなめ救出は俺たち三人で行う」
刹那「了解した」
ヒイロ「まず優先すべきは爆弾の撤去だ。これはジャマーとステルス機能を持つ
デスサイズに任せる」
デュオ「あいよ」
ヒイロ「爆弾撤去後、救出部隊到着までの20分、ASとMSの撹乱はカトルとカズイ、お前たちに任せる」
カトル「了解」
カズイ「りょ、了解……」
宗介「待て、バスカーク。お前MSでの実戦は何度目だ?」
カズイ「それは……」
ヒイロ「カズイ・バスカークは曲がりなりにも元軍人だ。
それに今は一機の戦力も惜しい。素人でも出てもらうほかない」
カズイ「だ、大丈夫だよ、相良。それに、みんなの命がかかってるんだ。
俺だけ逃げるわけにはいかない」
宗介「わかった。ウィナー、バスカークを頼んだぞ」
カトル「ああ、任せて」
ヒイロ「よし、作戦開始だ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:50:12.24 ID:G+Kwiw0ho
―基地内―
ヒイロ「………」
宗介「………」
刹那「………」
宗介「ユイ、ウィスパードとは一体何だ?」
ヒイロ「聞いていないのか?」
宗介「あ、ああ……」
ヒイロ「ならば俺から話すことはない」
宗介「どういう事だ?」
刹那「それよりも、彼女はどこに囚われているんだ?」
ヒイロ「おそらく、この辺りにウィスパード実験用の器具が搭載されたトレーラーがあるはずだ」
宗介「そう簡単には見つかりそうにないな」
刹那「手分けをして捜すぞ」
宗介「これを持って行け」
刹那「これは?」
ヒイロ「カロリーフレンドか、どうやらフルーツ味のようだな。ありがたく貰おう」
刹那「………」
宗介「どうしたセイエイ? まさか、チョコレート派か?」
刹那「いや、俺もフルーツ派だ」
ヒイロ「では、トレーラーを発見次第、連絡しろ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:14.18 ID:G+Kwiw0ho
―数分後―
宗介「あれは……例のトレーラーか」
宗介「こちらウルズ7。ユイ、セイエイ目標を発見した直ちに来てくれ」
―トレーラー付近―
ヒイロ「間違いない。この中に千鳥かなめは囚えられている」
刹那「見張りは3人…1人ずつ蹴散らすぞ」
傭兵「貴様ら、どこから……」
宗介「遅い」
傭兵「ぐあっ……」
ヒイロ「千鳥かなめを救出し、撤退するぞ」
宗介「了解」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:51:52.46 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カトル「デュオ、ヒイロたちが『原石』の救出に成功したそうだよ」
デュオ「こちらも爆弾を撤去した」
カトル「了解、僕らは敵を撹乱するよ」
カトル「さて、カズイ。準備はいいかい」
カズイ「あ、ああ…行こう」
カズイはエールストライカーを装備したダガーを駆り、初めてのMS戦を行う
カズイ(ここがMSから見る戦場……キラが見ていた光景……)
ティエレンは超滑腔砲でダガーを狙撃する
カズイ「うわああああああ……」
傭兵「パイロットは素人か」
カズイ(擬似GN粒子で装甲を強化しているとはいえ……)
カズイは、ビームライフルを構え光弾を撃ち出す
傭兵「そんな腕で」
カズイ「か、かわされた!」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:52:31.56 ID:G+Kwiw0ho
傭兵「後ろがガラ空きだ!」
ダガーの背後からもう一機、ティエレンが迫り、カーボンブレイドを振り上げる
カズイ(な、何とかしないと)
ダガーはサーベルを抜きながら、機体を翻しティエレンの頭部をはねる
カズイ(やれた!?)
傭兵「チッ……ビームサーベルか」
カズイ「残りの機体も……」
ダガーはもう一機のティエレンに迫る
傭兵「クッ、さすがは連邦の新鋭機、素早い……」
ティエレンは再び超滑腔砲を構える
カズイ「うおおおおおおおおお」
ダガーはティエレンの左腕を切り落とす
傭兵「何!?」
カズイ「これで止めだ!」
胴を裂かれたティエレンは爆散する
カズイ「ハァッ…ハァッ…ハァッ……」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:17.29 ID:G+Kwiw0ho
続いて、四機のサベージが包囲する
カズイ(今度はビームライフルで……)
四方から迫るサベージのメインカメラと、武器を正確に撃ち抜く
傭兵「コイツ、急に動きが!?」
カズイ「よし、いける! これなら救出部隊が来る前に……」
?「ところがぎっちょん」
カズイ(!?)
飛んできた赤い光弾を咄嗟にかわす
カズイ(今のは?)
カトル「カズイ! 逃げて。あの機体は……」
光弾が飛んできた方向にはバスターソードを携えたガンダムが浮遊していた
カズイ「ガンダム!?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:53:48.43 ID:G+Kwiw0ho
―トレーラー前―
ヒイロ「サベージが2機か……」
かなめ「ちょ、ちょっと、どうするのよ?」
刹那「見ろ、あれを」
ヒイロ「あれは、待機中のサベージか。だが、俺にASの操縦は出来ん」
かなめ「そっちのアンタは?」
刹那「俺も無理だ」
かなめ「まさか、誰も動かせないの?」
宗介「俺がやる」
かなめ「はぁ!? 何言ってるの、相良くん。アンタがいくら軍事オタクでも
素人には無理よ」
宗介「素人……? 何を言っている俺は専門家だ」
宗介「ユイ、セイエイ、千鳥を頼んだ」
ヒイロ「任せろ」
かなめ「え、ちょっと……ヒイロくん?」
宗介はサベージで敵機に体当たりをすると単分子カッターを引き抜き
一瞬で全機沈黙させた
かなめ(嘘……あれが相良くん?)
宗介「俺が退路を開く、ここから立ち去るぞ」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:30.38 ID:G+Kwiw0ho
ガウルン『待ちな……』
宗介「あの機体は……ぐっ……」
コダールはサベージをライフルで撃ち抜く
ガウルン『まさかこんな高校生がエージェントだとはな……』
宗介「この声は……」
ガウルン『ん? お前カシムか? まさかこんな所で会えるとはな。
カリーニン大尉…あの腰抜けは元気か?』
宗介「なぜ貴様が生きている?」
ガウルン『昔の負傷のおかげでな、頭にチタンが埋めこんであってね……
おかげでお前にまた会えた。
まぁ、積もる話もあるだろうが、まずはそこの娘を渡してもらおうか』
宗介「断る」
ガウルン『そうか……ならここでお別れだな』
クルツ『させるかよ!』
ガウルン『?』
クルツ『イーヤッホゥー』
コダールのライフルが軽快な声と共に弾き飛ばされる
宗介「クルツか?」
クルツ『待たせたな、お前の機体もすぐやってくるぜ』
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:54:58.18 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カトル「アリー・アル・サーシェス……まさか生きていたのか……」
サーシェス「今のをかわすとは以外にやるな……」
カトル「カズイ、あの機体は僕がやる。君は下がっていて」
カズイ「わ、わかった」
サーシェス「ほう、革命戦争の英雄じゃねぇか、相手にとって不足はないな」
カトル(アリー・アル・サーシェス……今の僕に勝てるだろうか?)
サーシェス「行けよ、ファングッ!」
カトル「は、速い……だけどサンドロックの装甲なら……」
サンドロックは敵機の攻撃を物ともせず二刀で斬りかかる
サーシェス「さすがの装甲だな……だが……」
敵機―スローネツヴァイはバスターソードでそれを薙ぎ払い
即座にサンドロックを蹴り飛ばす
カトル(くっ……なんてムダのない動きなんだ……)
サーシェス「もう終わりか? もっと楽しませてくれよ」
カトル「くっ…」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:55:29.78 ID:G+Kwiw0ho
サンドロックは再び二刀で斬りかかり、スローネツヴァイはバスターソードで応戦する
サーシェス「さすがに、さっきのようにはいかねぇな」
両機のパワーはほぼ互角で鍔迫り合いを続けている
カズイ(だけど、あの機体にはさっきの飛び道具が……)
カズイ「カトル、逃げて!」
カトル「!?」
サーシェス「ファング!」
スローネツヴァイはサンドロックのメインカメラを破壊し
バスターソードで両肩を斬り落とす
サーシェス「逝っちまいな、ガンダム!」
バスタソードがコクピットを捉える
カズイ「や、やめろおおおおおおお!」
その時、妙な違和感がカズイを襲う
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:03.36 ID:G+Kwiw0ho
カズイ(!? 視界がスローに……)
カズイ「カトルはやらせない!」
カズイはビームライフルでスローネツヴァイを牽制する
サーシェス「さっきの機体か!?」
カトル「カズイ、駄目だ!」
サーシェス「行きな、ファング」
6基のファングがダガーを狙う
カズイ(見える……)
カズイは四方から迫るファングをかわし距離を取る
サーシェス「かわした!?」
カズイ(アレのせいで迂闊には近づけない……)
サーシェス「こいつは、退屈しないで済みそうだぜ」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:56:54.38 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―
コダールにM9を大破させられた宗介たちは
M9を放棄しコダールから逃亡していた
クルツ「っ……何なんだあの機体は……」
ヒイロ「ウェーバーの弾は確実に命中したはずだ……」
刹那「しかし、実際に大破したのはクルツの機体だ」
クルツ「一体何の手品だよ」
かなめ「手品じゃない……技術……」
クルツ「おい…かなめちゃん、どうしたんだよ?」
宗介「千鳥?」
かなめ「さっきのは、ラムダ・ドライバ……使用者の攻撃衝動、防衛衝動を物理的な……」
宗介「どうしたんだ!? 千鳥……)
―基地内森林―
ガウルン「カシムの奴……どこへ逃げた……
ん? あれは……」
ガウルンの視線の先では、スローネツヴァイとダガーが切り結んでいた
ガウルン「おいおい、あの野郎……量産機なんぞに遅れをとりやがって……
それにしても、あのダガー随分といい動きをするな……」
ガウルン(まさか……クククッ、少し寄り道していくか)
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:57:22.91 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
サーシェス「何なんだ、テメェは? 量産機でどうしてそこまで動ける」
カズイ(ハァッ…ハァッ……この男……強すぎる、どうすれば……)
ガウルン「まずは、足を貰うか」
コダールは銃口をダガーの足へ向け、弾丸を放つ
カズイ「!?」
カズイは咄嗟に回避し左手でビームライフルを抜きコダールを撃つ
ガウルン「チッ…やるな、だが…」
コダールの眼前には障壁が展開され光弾は跳ね返された
カズイ「な!?」
サーシェス「余所見すんなよ!」
カズイ「くっ!?」
カズイはビームライフルを捨て、両手でサーベルを抜きバスターソードと光弾を弾く
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:13.46 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「おいおい、これはどういう事だよ……なぁ、ガウルンさんよぉ?」
ガウルン「サーシェス、そいつは『原石』だ」
サーシェス「『原石』……まさか、先日ブルーコスモスの施設から脱走した奴か?」
ガウルン「出来ればそいつは持ち帰りたい。共同戦線と行こうじゃねぇか」
サーシェス「ったく……しょうがねぇな」
カトル「くっ……状況は最悪だ、いくらカズイでもあの二機を相手にするのは……」
デュオ「カトル、カズイ大丈夫か?」
カトル「デュオ!」
デュオ「おいおい、ボロボロじゃねぇか……」
カトル「僕よりもカズイを……彼を死なすわけには……」
デュオ「カズイ? おいおい、ありゃさすがに分が悪いぞ……」
デュオはカズイの元に向かう
五飛「そこまでだ、デュオ」
デュオ「五飛……どうしてここに?」
五飛「此処から先は一歩も通さん」
カトル「五飛、どうして」
五飛「さぁ、お前の正義を見せてみろ」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:58:40.42 ID:G+Kwiw0ho
―基地内森林―
宗介たちがコダールから逃走している間一機のASが投射された
刹那「この、機体は?」
クルツ「どうやら、来たみたいだな……宗介!」
宗介「了解した」
宗介はARX-7アーバレストに搭乗した
アル「声紋チェック開始・姓名、認識番号を」
宗介「相良宗介軍曹、B-3128」
アル「照合完了。サージェント相良と確認、命令を」
宗介「ハッチ閉鎖、モード4に調整開始、バイラテラル角3.5」
アル「ラジャー」
カリーニン『この音声は、君が無事このARX-7アーバレストとの合流を果たしたことを
前提で進められる。現在諸君らの働きによって、乗客の救出は完了している。
あとは、千鳥かなめと相良、ウェーバー両軍曹の帰還を以て
本作戦は終了となる。なんとしても、指定した地点へ到達しろ。
なおAIのコールサインは[アル]、高価な実験機なので必ず持ち帰るように、以上』
宗介「アーバレスト……」
ヒイロ「相良、どうやら先程の機体はカズイ・バスカークを狙っているらしい」
宗介「何だと?」
ヒイロ「バスカークは現在、スローネツヴァイと先程の機体を同時に相手している」
刹那「!?」
刹那(まさか、あの男が……)
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:07.14 ID:G+Kwiw0ho
―飛行機周辺―
カズイ「はぁっ…はぁっ……」
ガウルン「そろそろ、終いだな」
サーシェス「手こずらせやがって」
カズイ(やっぱり僕には無理だったんだ……)
宗介「バスカーク!」
カズイ「相良くん!?」
ガウルン「あの、AS……まさか、カシムか?」
宗介「あの銀色のASは俺がやる。そっちの、ガンダムを頼めるか?」
カズイ「え?」
宗介「みんなの命を助けるのだろう?」
カズイ「!? うん……任せて」
サーシェス「1対1か…まぁ、良い、テメェを倒して、目障りな連中は全て片付けてやるよ」
カズイ「みんなはやらせない。お前は、俺が倒す!」
サーシェス「ガギがナマ言ってんじゃぇぞ!」
スローネツヴァイはファングを放つ
カズイ「こんな攻撃……」
ダガーはライフルで全機撃ち落とす
サーシェス「バカが、後ろがガラ空きなんだよ!」
カズイ「……!」
カズイはサーベルを抜き、バスターソードを受け止める
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 22:59:33.57 ID:G+Kwiw0ho
サーシェス「チッ……」
カズイ「もう、お前の攻撃は通用しない」
カズイはバスターソードを薙ぎ払いもう一本のサーベルを抜き追撃する
サーシェス「!?」
カズイ「うおおおおおおおお!」
ダガーはサーベルを振り下ろし、スローネツヴァイは辛うじてそれをかわす
サーシェス「クソが……」
カズイ「はぁっ…はぁっ……」
サーシェス「今回は退いてやる。
だが、いずれこの借りはきっちり返させてもらうぞ」
カズイ「はぁっ…はぁっ…」
ノイン「カズイ、無事か?」
カズイ(トーラス……ノイン……さん?)
ノイン「あっちのASの方も決着がついた。直に救出部隊が来る、お前はゆっくり休め」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:17.92 ID:G+Kwiw0ho
―7月11日 病院―
カズイ「ここ……は?」
デュオ「目が覚めたみたいだな」
カズイ「デュオ? それに……」
かなめ「あんたがあのダガーっていう機体のパイロット? とてもそうは見えない……」
カズイ「千鳥さん? どうしてここに?」
かなめ「あの時、あんたが居なかったら、私たち死んでただろうから、お礼をね……」
ノイン「カズイ、ご苦労だった」
デュオ「ノインさん?」
ノイン「お前に客だ」
カズイ「?」
上条「カズイ、元気か?」
カズイ「上条くん? どうして?」
上条「クラスメートがぶっ倒れたってんだから、見舞いに来るのは当たり前だろ?
それに俺だけじゃないぞ」
青髪ピアス「大丈夫か、カズイ?」
生徒A「心配かけんなよ」
吹寄「まったく、お前というやつは……あまり心配をかけさせるな」
小萌「そうですよ、デュオちゃん。デュオちゃんたちと一緒に居なくなるなんて……
先生とっても心配したんですよ」
カズイ「みんな…先生…ありがとう……」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/06(水) 23:00:46.89 ID:G+Kwiw0ho
―窓のないビル―
アレイスター「ラウ・ル・クルーゼ、久しぶりだな。今回は何の用かね」
クルーゼ「君に頼みがあるのだよ」
アレイスター「ネットワークの件か?」
クルーゼ「その通りだ。私のバックアップ製造、ミサカネットワークを介したクローン間での
意識の共有。この二つをお願いしたい」
リボンズ「お安い御用さ、ラウ・ル・クルーゼ」
クルーゼ「リボンズ・アルマークか?」
リボンズ「ヴェーダがあれば、君のクローンの生成、
脳量子波を介した意識の共有は容易く行える」
アレイスター「そういう訳だ、ラウ・ル・クルーゼ」
クルーゼ「人類の統一を目指す君が私に協力をするとは、
どういった風の吹き回しかね?」
リボンズ「君の出自ゆえ、人類に憎しみを抱いているのは知っているよ。
だけど、見てみたいとは思わないかい? 人類の革新を」
クルーゼ「フッ、来るべき対話を前にした人類の新たな変革……
君の望む世界が本当に訪れるというのなら、
ぜひとも見てみたいものだがな……」
リボンズ「アレイスター、君はどうするつもりだ」
アレイスター「君がヴェーダを提供してくれるのならば、君の計画に干渉するつもりはない」
リボンズ「それなら、一向にかまわないよ。ぜひとも、君の『プラン』に役立ててくれ。ただ、一つ条件があるんだ」
アレイスター「何だ?」
リボンズ「カズイ・バスカーク、彼の身体検査のデータを提供して欲しいんだ」
アレイスター「それなら、一向にかまわない」
―某所―
ミゲル「クルーゼ隊長、私に任務とは?」
クルーゼ「私は直ちに宇宙へ戻らねばならない。君には密偵としてここに残って欲しい」
ミゲル「密偵…ですか?」
クルーゼ「能力者を中心とする学園都市の戦力は侮れん。
もしも、彼らがこの戦争に参戦すれば、その影響は計り知れない。
それを回避するためにも君にはうまく立ち回って欲しいのだよ」
ミゲル「了解しました」
クルーゼ「では、これを渡しておこう。君がここで生活するにあたり必要な物だ」
ミゲル「転入届……それに腕章?」
―7月12日 教室―
小萌「カズイちゃん、あなたに推薦状が来ているのですよ」
カズイ「推薦状ですか?」
小萌「何と、風紀委員への推薦状なのです」
カズイ「風紀委員?」
小萌「知らないのですか? 風紀委員は警備員とは別に、学区内の治安維持を担当する
学生組織のことですよ」
カズイ「へぇ、そんなのがあるんですか」
小萌「はぁ……とりあえず、バスカークちゃんは放課後、この推薦状を持って第一七七支部へ行くのです」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:32:26.61 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
固法「あなたがカズイ・バスカークくん?」
カズイ「はい」
デュオ「よう、カズイ」
カズイ「デュオ? それにカトル? どうして、ここに?」
カトル「僕らはレディさんの推薦でここに、君もそうなんでしょ?」
カズイ「ああ、俺もレディさんに……」
黒子「あら、御三方はお知り合いでいらしたのですね」
初春「それにしても風紀委員が一気に四人も補充されるなんて、どうしたんでしょうか?」
カズイ「四人?」
ミゲル「今回新しく風紀委員に配属された、ミゲルだ。よろしく」
黒子「自己紹介は後です。それよりも固法先輩」
固法「どうしたの、白井さん?」
黒子「三つ編みポニーテールの方と金髪のお二人はともかく、そこの青髪の方、
彼には風紀委員の適性があるようにはとても見えませんの」
カズイ「え? 俺?」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:33:00.39 ID:dr+vk/6Ho
固法「彼は……」
黒子「そこのあなた、風紀委員の仕事は清掃だけではありませんのよ。
能力者同士の諍いを止めなければならないこともありますの。
あなたに、それが務まるのですか?」
固法「白井さん、彼はね……」
黒子「あなた、わたくしと勝負なさい」
カズイ「えぇ?」
初春「白井さん?」
―第一七七支部 外―
デュオ「こりゃ、面白いことになったな」
ミゲル「あっちの彼に勝ち目があるのか?」
デュオ「まぁまぁ、見てなっての」
黒子「これから見るのはあなたの能力と体術の素養
どこから掛かってきても構いませんのよ」
固法「はぁ……」
カズイ「えっと……固法先輩、どうすれば?」
固法「白井さん、話を聴きそうにないから……とりあえず、相手をしてあげて」
カズイ「は、はぁ……」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:16.10 ID:dr+vk/6Ho
カズイは地を蹴り拳を構える
黒子「あら、意外と速いのですね」
しかし、彼の拳は空を切る
カズイ「き、消えた!?」
黒子「こちらですわ」
カズイ「!?」
カズイは声がした方へ体を翻し、後方へ下がる
黒子「さて、あなたがいかなる能力を持っているかは存じませんけど、
そう簡単にわたくしを倒せるとは思わないことですね」
カズイ(やっぱり、学園都市って何でもありなんだなぁ……)
カズイは心の中でそう呟くと再び黒子の方へ突進する
黒子「何度やっても……」
カズイ(消えた……だけど、そう何度も『空間移動』は出来ないはず……)
カズイはすぐさま、彼女の出現ポイントの予測を始める
カズイ(彼女はきっと僕の背後を狙って、跳んでくるはず………来たっ)
黒子「!?」
カズイは彼女が現れるやいなや彼女へ拳を繰り出す
黒子「くっ……」
黒子はすぐさま『空間移動』で回避する
カズイ「え!?」
カズイ(まさか、あの能力にタイムラグはないの?)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:34:52.03 ID:dr+vk/6Ho
黒子「身体能力はそれなりに高いようですね。ですが、能力も使わずに
わたくしを倒そうなどというのは、大変甘い考えですのよ!」
カズイ(僕の能力で彼女に対応できるのか?)
黒子はカズイの背後に回り、後ろ回し蹴りを食らわす
カズイ「くっ……」
咄嗟にガードするが受け止めきれずにカズイはよろめく
黒子「ふむ、、まだ能力を使わないというのですか?」
カズイ「こうなったら……」
カズイは『空間掌握』を発動させる
黒子「では、もう終いにしましょう」
黒子は再び姿を消す
しかし、彼の目は彼女の移動をはっきり捉えていた
カズイ「そこだ!」
カズイは黒子の出現と共に彼女の腕をとった
黒子「な!?」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:35:30.43 ID:dr+vk/6Ho
初春「カズイさん、すごい!」
固法「勝負ありね、白井さん」
黒子「能力も使わずにわたくしの腕を……」
固法「はぁ……白井さん、今のが彼の能力よ」
黒子「?」
固法「彼は学園都市第八位『空間掌握』よ」
黒子「『空間掌握』と言えば、最近新たに認定されたレベル5ではありませんか」
初春「ええええええ?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:36:20.12 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
黒子「先程は失礼しましたわ。白井黒子と申しますの」
固法「固法美偉よ。よろしくね」
初春「初春飾利です。皆さんよろしくお願いします」
デュオ「デュオ、デュオ・マックスウェルだ」
カトル「カトル・ラバーバ・ウィナーです。よろしくお願いします」
カズイ「カズイ・バスカークです。よろしく」
ミゲル「さっき言いかけたがミゲル、ミゲル・アイマンだ、よろしく」
固法「それじゃ、早速貴方達には研修に行ってもらうわ」
カズイ「研修?」
固法「実技に関してなら貴方達に訓練は要らないでしょうから。
実際に、風紀委員の仕事を覚えてもらうのよ」
黒子「デュオさんとカトルさんはわたくしと共に」
固法「カズイくんとミゲルくんは私に付いてきて」
―繁華街―
固法「さて、説明はこんな物よ、分かったかしら」
ミゲル「あぁ、問題ないぜ」
固法「それでは、見回りに行きましょう」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:14.48 ID:dr+vk/6Ho
ミゲル(地球とプラントは戦争をしてるっていうのに呑気な街だなここは……)
カズイ「ミゲルさん?」
ミゲル(しかし、ここではコーディネイターも普通に暮らしてるそうだな……)
カズイ「ミゲルさん、どうしたんですか? ぼーっとして」
ミゲル「ん? あぁ、すまない」
固法「一応、研修中なんだから、しっかりしてよ」
学生「うわぁああああああ」
ミゲル「何だぁ?」
固法「あれは……」
みつる「ねぇ、僕、ジュースおごってくれませんか?」
あきお「俺ら、めっちゃ喉乾いてんのよね」
まさる「あんまり、脅しちゃだめだよ。怯えているじゃないか」
学生「うぅ……」
ミゲル「何だあの頭の弱そうな連中は……」
カズイ(またあの人達か……)
カズイ「俺、行ってきます」
固法「カズイくん?」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:37:42.16 ID:dr+vk/6Ho
あきお「な? いいだろ?」
学生「い、いやです……」
まさる「ひどい……ぼくらこんなに困ってるのに……」
カズイ「待ってください」
あきお「あん? 誰君?」
みつる「どこかで拝見したような……」
まさる「!? 君はあの時の……」
あきお「無抵抗な俺とみつるくんを一方的にやったやつか!」
カズイ「そ、そんなことしてないだろ……」
まさる「あの時は油断したが今日こそは! みつるくん、あきおくん行くぞ」
みつる「承知」
あきお「おうさ」
カズイ「はぁ……」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:38:15.34 ID:dr+vk/6Ho
三人「参りました……」
カズイ「もう、こんな事はしないでくれよ……」
まさる「肝に命じます」
ミゲル「見事なもんだね」
固法「さすがレベル5、といったところかしら」
カズイ「いや、それほどでも」
固法「さて……そろそろ完全下校時刻ね。研修はこれで終わりにするわ
もう、帰っていいわよ」
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:39:52.77 ID:dr+vk/6Ho
―7月17日 廃工場―
風紀委員となってから5日が経過した
俺とミゲルさんはこの頃頻発している、能力者による怪事件の対応に追われている
ミゲル「カズイ、そっちに行ったぞ」
能力者「捕まってたまるか!」
能力者は右手から真空波を繰り出した
カズイ「おっと……」
カズイはそれを回避し、能力者の袖と襟を掴み、右ひじと腰を入れる
能力者「なっ!?」
カズイ「はぁああああああ」
能力者「うっ………」
ミゲル「これで、4人目だ。学園都市ってのは随分と治安が悪いな」
カズイ「それにしても、能力者の強度が高いような……」
ミゲル「そうなのか?」
カズイ(どういうことなんだ……)
ミゲル「さて、俺は引き続き、この辺りの見回りをしてくる。
お前は先に支部に戻っていいぞ」
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:40:33.39 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―
カズイ(今日戦った能力者は、恐らくレベル4。
昨日まではレベル3の能力者による事件が多発していたけど……)
?「おい、カズイじゃねぇか」
カズイ「え? き、君は!?」
カズイの前に立っている人物
まさしく、数ヶ月前、オノゴロ島での戦いで討たれたはずの人物であった
トール「何だよ、久しぶりの再開なんだから喜んでくれよ」
カズイ「トール……君はあの時死んだんじゃ?」
???「トール、彼は?」
トール「カズイだよ、元アークエンジェルのクルーさ」
カズイ「そっちの、彼は?」
ニコル「ニコル・アマルフィです。ブリッツのパイロットをしていました」
カズイ「!」
ブリッツ……かの機体もまた、オノゴロでの戦いでキラ操る
ストライクに撃墜されたはずだった
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 20:41:03.17 ID:dr+vk/6Ho
ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」
カズイ「ブリッツのパイロット……君はキラにやられて死んだはずじゃ……」
トール「俺らあの時、瀕死の重傷を負ってな、後は死を待つだけの筈だったんだよ」
ニコル「でも、目覚めると僕らは学園都市のとある病院に居たんです」
トール「しかも、同じ病室でさ」
ニコル「体も動きませんでしたし、様々な話をしていました。
戦争に参加した理由とか、オノゴロでの戦いの話とか」
トール「俺ら妙に気があってな、軍に戻るつもりもないし、
ここで新しい人生を歩もうと思ってたんだよ。
でも、まさかお前もいるとは思わなかったぜ」
カズイ「僕こそ、またトールに会えるなんて……」
トール「俺もまさか、カズイが学園都市に居るとは思ってなかったぜ」
ニコル「カズイ、あなたの事はトールから聞いています。
よければ、僕と友だちになってくれませんか?」
カズイ「え?」
ニコル「トールと話していて分かりました。僕らコーディネイターとナチュラルは
争う必要など無いと。
だから、君とも友だちになりたい」
カズイ「ああ、俺でよければ。よろしく、ニコル」
トール「さて、俺らはもう行くぜ。転入手続きを済ませなきゃならねぇからな」
カズイ「学校は何処に?」
ニコル「僕は長点上機学園中等部に」
長点上機学園、学園都市屈指のエリート学園である
傑出した能力の持ち主の他、一芸に秀でた物、そしてコーディネイターが多く通う
ミゲルもここの高等部に在籍している
トール「俺は陣代高校だ」
カズイ「そうなんだ、僕も陣代高校だよ」
トール「まじかよ、お前と一緒なら気が楽だな。
ま、これからよろしく頼むぜ」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:01:21.50 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
カズイ「戻りました」
佐天「おかえりなさい」
カズイ「佐天、また来てたの?」
佐天「まぁまぁ、いいじゃないですか」
固法「それで、今日はどうだったの?」
カズイ「恐喝が1人、細かい窃盗が3人、いづれも警備員に引き渡しました」
黒子「計4件の能力者事件……この辺りだけでその数は多いですわね」
カズイ「それだけでなく、窃盗のうち一人はレベル4相当の能力者でした」
固法「今日は些末な事件ばかりだったけど、ここのところ、事件の数もその悪質さも
悪化するばかりね……」
黒子「何か原因でもあるのでしょうか?」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:02:08.76 ID:dr+vk/6Ho
―7月18日 寮室―
その日の昼頃、トールとニコルがカズイの寮を訪ねてきた
トール「な、頼むよ。俺らまだ、ここに慣れてなくてさ」
カズイ「そう言っても、俺、風紀委員の仕事が」
トール「風紀委員?」
ニコル「学園都市の治安維持を担当する学生組織のことですね」
トール「お前が? あまり、向いてるようには思わないけどな」
カズイ「悪かったな、向いてなくて」
トール「ま、ま、それよりも頼むよ、学園都市の案内」
カズイ「今日は殆ど仕事ないからな……分かった付き合うよ」
トール「おっし、まずは……」
ニコル「服を買いにいきませんか?」
トール「っと、そうだな俺ら全然替えがないからな」
カズイ「それじゃ、セブンスミストに行こう」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:03:18.05 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト―
ニコル「下着は、こんな物でしょうか」
トール「ああ、これだけあればなんとかなるだろ。
後は……」
佐天「あれ、カズイさんじゃないですか?」
カズイ「佐天に初春、御坂じゃないか」
トール「カズイの知り合いか?」
カズイ「うん、初春は風紀委員の同僚で、佐天と御坂はその親友だ」
ニコル「初めまして、ニコル・アマルフィです」
トール「トール・ケーニヒだ、よろしく」
美琴「私は御坂美琴です」
佐天「佐天涙子です」
初春「初春飾利です」
トール「よろしくな、二人とも」
美琴「カズイさんたちはどうしてここに?」
カズイ「トールに頼まれて学園都市の案内を……」
佐天「へぇ、私たちも一緒に行っていいですか?」
初春「佐天さん!?」
カズイ「それは、別にいいけど……」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:04:30.12 ID:dr+vk/6Ho
―数時間後―
トール「これで、一通り服は揃ったな」
ニコル「佐天さんたちも、服選んで頂いて助かりました」
佐天「いえいえ、あたしも楽しかったですし」
ピリリッピリリッピリリッピリリッ――
美琴「初春さん、携帯鳴ってない?」
初春「あれ、誰からだろう?」
ピッ――
黒子『初春! 虚空爆破事件の続報ですの』
――『虚空爆破(グラビトン)事件』
先日から頻発している連続爆破事件
18日までに9人の風紀委員が巻き込まれ負傷している
また、『量子変速(シンクロトロン)』と呼ばれる能力によって
引き起こされていると推測されている
アルミを用いられており、主にぬいぐるみ等、子供の警戒心を削ぐものに仕掛けられている
黒子『学園都市の監視衛星が重力子の爆発的加速を観測しましたの』
初春「か、観測地点は? 観測地点はどこですか?」
黒子『第七学区の洋服店、セブンスミストですの!』
初春「! 今そこに居ます。直ちに避難誘導開始します」
黒子『な、何ですって!』
ピッ――
カズイ「どうしたの?」
初春「落ち着いて聞いてください。ここに、例の事件で使われている爆弾が
仕掛けられています」
美琴「何ですって!?」
初春「御坂さん、カズイさんは避難民の誘導を。佐天さんたちは避難してください」
佐天「あ……うん……初春も気をつけてね」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:05:31.48 ID:dr+vk/6Ho
―数分後―
初春「避難は終わりましたね」
カズイ「ああ、大丈夫だ」
美琴「初春さん!」
初春「御坂さん、それに……」
カズイ「上条くん? 君もここに?」
上条「ああ、一緒に居た女の子とはぐれちゃったんだけど……」
初春は携帯を取り出す
黒子『初春! 今すぐそこを離れなさい!』
初春「え?」
黒子『今回の事件における人的被害は風紀委員だけですの!
犯人の真の狙いは爆弾設置場所周囲の風紀委員。つまり、あなたですの!』
初春「え!?」
カズイ「初春?」
初春「カズイさん! 今回の爆弾、狙いは私たち風紀委員です!」
カズイ「そ、それって……」
上条「ちょ、ちょっと待て、爆弾!? 何だってそんなものが?」
少女「お姉ちゃん!」
初春「!」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:06:41.64 ID:dr+vk/6Ho
少女「このぬいぐるみ、眼鏡の人がお姉ちゃんにって」
カズイ「! 初春! それは……」
美琴「初春さん!?」
初春は少女からぬいぐるみを奪い、投げ捨てる
初春「逃げてください! それには爆弾が!」
美琴「! それなら超電磁砲で爆弾ごと……あっ!」
手元からコインが溢れる
美琴「しまった!」
カズイ(こ、このままじゃ……)
上条「下がれ、カズイ!」
上条の声と共にぬいぐるみが爆発する……
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:07:18.67 ID:dr+vk/6Ho
―セブンスミスト外 裏路地―
少年(良いぞ、徐々に強い力が使いこなせるようになっている)
少年「クククククッ……ハハハハハッ……アッハハハハッ!」
少年「このまま数をこなしていけば、無能な風紀委員も不良のクズどももみんなまとめて吹き飛ぶぁっ……」
少年のセリフを遮るように背後から蹴りが繰り出された
少年「クッ……一体誰が……」
美琴「こんばんは、要件は言わなくても分かるわよね、爆弾魔さん」
少年「!」
―7月19日 第一七七支部―
カトル「昨日の事件の犯人、介旅って人、レベル2みたいですね」
カズイ「あの威力、どう考えてもレベル4クラスだったと思うけど……」
固法「ええ、そこで、最近噂になっている、能力の強度を上げる薬――幻想御手、
それの調査を事件取り締まりと並行して行う事になったわ」
デュオ「あれって、ただの都市伝説じゃねぇのか?」
固法「初春さんが見つけてくれたサイトに、使用者の書き込みらしきものが
掲載されていたの。連中の溜まり場は二つ。一方は、御坂さんが
聞き込みに行ってしまったから、こっちの方はカズイくんとミゲルくんに頼むわ」
カトル「それでは、僕とデュオは学区内の事件の見回りに行きます」
固法「おねがいね」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:09:30.36 ID:dr+vk/6Ho
―深夜 廃工場―
カズイ「ここが例の溜まり場」
ミゲル「見てみろ、あいつら……」
―廃工場内―
不良1「おい、これっぽっちか?」
不良2「全然足りねぇよ、あぁ?」
学生「そ、そんな……僕もう金が」
不良3「なら、用はねぇよ。とっとと、帰んな」
学生「は、話が違うじゃないか!?」
不良4「うるせぇよ」
不良は学生の首を絞めた
学生「ぐ……う……」
不良1「幻想御手が欲しけりゃ、金を出せ。金がねぇなら失せろ」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:10:47.32 ID:dr+vk/6Ho
カズイ(あいつら……)
ミゲル「お、おい、カズイ?」
この時の俺は増長していたのかもしれない
レベル5の称号を得たこと、体術やMSの操縦技術が著しく向上したこと
それらは、他人にコンプレックスを抱き、戦場に怯え、コーディネイターを畏怖していた俺に、
初めて、他人を守る感覚、他人を圧倒する感覚を与えていた
カズイ「そこまでだ」
不良1「あん? 誰だよ?」
カズイ「風紀委員だ!」
不良2「はぁ? お前が? 馬鹿も休み休み言え」
カズイ「その手を離せ!」
不良3「はん、てめぇみたいなボンクラの指図なんざ受けねぇよ」
カズイ「だったら力尽くで……」
不良1「クックック……てめぇ、どの面でそんな偉そうな口叩いてんだよ
こりゃ、おしおき確定だな……」
不良は手の平をカズイに向ける
不良1「俺の能力、『水流操作』を受けてみ……グハッ……」
カズイ「遅いよ」
カズイの拳に不良は倒れる
不良2「! テメェ……」
不良3「どうやら、マジでこいつ風紀委員だ……まとめてかかるぞ」
不良2・不良4「おう!」
カズイ「遅ぇっていってんだろ!」
ミゲル(! あいつ…キレてんのか?)
カズイは不良2の頭を掴み、地面へと叩きつける
不良2「がはっ……」
不良3「うおおおおお」
カズイは半身ずらして腹部に拳をねじ込ませる
不良3「ぐおっ…」
不良4「なら、俺の能力で」
カズイ「させねぇよ!」
不良の首をつかみ、壁へ叩きつける
不良4「ぐおっ……」
カズイ「言え」
不良4「え?」
カズイ「どこで、幻想御手を手に入れたかだよ」
不良4「ね、ネットで拾ったんだ」
カズイ「ネットだ? 馬鹿な言い訳してんじゃねぇぞ!」
不良4「ほ、本当だ……幻想御手ってのは音楽ファイルなんだ」
カズイ「ならば、実物を見せろ」
不良4「は、はい」
不良はミュージックプレイヤーを差し出す
不良4「こ、これで許してくれますか?」
カズイ「ああ、後はゆっくり眠ってろ!」
不良4「ぐはっ……」
ミゲル「カズイ! 何をしている」
ミゲルさんの一言で冷静さを取り戻す
カズイ「え? あ……俺……」
ミゲル「カズイ、一体どうしたんだ……」
カズイ「俺は……」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:12:53.02 ID:dr+vk/6Ho
―7月20日 第一七七支部―
能力者による事件が頻発して以来、数日が経過すると妙な事象が起きた
事件に関わった能力者達が、次々に昏倒したのだ
以来、目をさますことはなく、幻想御手調査も難航している
固法「大変なことになったわ……」
初春「まさか、幻想御手使用者がみんな、昏睡状態に陥るなんて……」
黒子「まずは、カズイさんたちが持ち帰ったデータ、木山先生に
解析してもらいましょう」
ミゲル「木山? 誰だそいつは?」
初春「幻想御手使用者回復のために、出向した方ですよ」
美琴「確か、大脳生理学の専門家だったかしら」
ミゲル「状況の整理をするためにも、一度その木山という人物に会った方がいいな」
黒子「ええ、そうしましょう」
カズイ「………」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:13:43.10 ID:dr+vk/6Ho
―ファミレス―
木山「ふむ、その幻想御手が最近の能力者事件の一因だと」
初春「恐らく、幻想御手とは直接脳に作用する類のシステムだと思われます」
木山「なるほど、ところで………窓の外にいる女子は君らの友人かな?」
黒子「え?」
窓の外には黒子たちと同じくらいの長髪の女子が貼り付いていた
佐天「へぇ…脳学者さんなんですか、木山さん」
ミゲル「さて、本題に戻すぞ」
佐天「あ、どうぞどうぞ」
木山「幻想御手についてだが……」
佐天(幻想御手? それって……)
ミゲル「現在までの幻想御手についての情報を纏めると、
幻想御手は音楽ファイルであること、流通方法はネット、及び売買、
使用者は犯罪に手を染めやすくなる、現在使用者は軒並み昏睡、
といったところだろう」
美琴「その、対策として。所持者は保護するそうね」
佐天(!? 保護……?)
木山「ふむ、では幻想御手の解析は私に任せてもらおう」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:14:26.69 ID:dr+vk/6Ho
―7月22日 廃墟―
佐天(幻想御手……か……
聞くだけでレベルが上がる不思議なアイテム……
もちろんそんな物使って得た能力、褒められたものじゃない……
分かってる、そんなことは……でも、それじゃ、あたしは? 才能を持たないあたしは?
才能がないからってそれを受け入れることなんて……)
?「は、話が……話が違うじゃないかっ!」
佐天「?」
少年「10万揃えれば、幻想御手を売ってくれるって言ったじゃないか!」
不良1「悪ぃがさっき値上げしたんだよ」
不良2「これが欲しけりゃもう10万集めてきな」
少年「なら、ならさっき渡した10万を返して……うっ……」
不良1「うっせーな、オラッ!」
少年「ぐっ……」
不良2「10万用意できねぇなら、テメェに何ざ用はねぇよ!」
少年「うっぷ……ゲホッ…ゲホッ……」
不良3「おい、ちょっと待てお前ら」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:05.22 ID:dr+vk/6Ho
不良1「あん?」
不良3「そいつでお前らのレベルがどれぐらい上がったのか試してみろ」
不良1「おいおい……」
不良2「マジかよ……」
少年「ひぃっ……」
不良1「残念だったな、オマエ」
不良2「もしかしたら、死んじまうかもな」
佐天(! 警備員に通報しないと……)
不良1「おい、そこ何見てんだよ」
不良2「なんか文句でもあんのかよ」
佐天「い、いえ、あたしはただの通りすがりで……」
佐天(最低だ…あたし……)
少年「う、うわあああああああああ、や、やめてくれえええええええええええ」
佐天(!)
佐天「も、もうやめなさいよ」
佐天(い、言っちゃった)
不良3「おい、今なんつった?」
佐天「ひっ……」
不良3「テメェみたいな何の力ももたないガキがナマ言ってんじゃねぇよ」
佐天(だ、駄目だ…あたし……)
?「チートで得た力を振りかざすあなた方に、そんな風に彼女をバカにする
資格がありますの?」
不良3「あん? 誰だテメェ?」
黒子「風紀委員ですの」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:15:40.23 ID:dr+vk/6Ho
―7月23日 第一七七支部―
デュオ「能力者事件もめっきり減っちまったから、暇だな」
固法「今は木山先生の解析を待つしかないものね」
カトル「しかし、待つだけというのはもどかしいですね」
カズイ「………」
デュオ「何か、最近あいつ元気ねぇな……なぁ、ミゲル?」
ミゲル「あ、ああ、そうだな……」
カトル「ミゲルさん?」
美琴「ちょっといいかしら?」
カトル「御坂さん、白井さん、どこへ行ってたんですか?」
黒子「えぇ、ちょっとした野暮用ですわ」
美琴「ちょっと、初春さんの力を借りたいんだけど、居るかしら?」
デュオ「初春なら木山先生のところへ行ったぜ」
黒子「困りましたわね……」
ミゲル「どうかしたのか?」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:10.39 ID:dr+vk/6Ho
美琴「どうやら、昏睡した人たちは誰か、別の人の脳波パターンで脳が
無理やり動かされているらしいのよ」
カトル「誰が、何の目的でそんなことを」
黒子「それを調べるために、初春の力をお借りしたかったんですけど……」
固法「なら、私に任せて」
固法がパソコンを操作すると膨大な量のデータが表示された
デュオ「で、結局、連中を操る目的はなんなんだ?」
カトル「これは推測なんですけど……」
ミゲル「何だ?」
カトル「恐らく、頒布者の狙いは幻想御手使用者間を繋ぐこと。
つまり、幻想御手をプロトコルとして、異なる脳波パターンを
持つ者同士を繋ぎ、巨大なネットワークを構築したんです」
美琴「なるほど、そうして同系統の能力者は思考パターンを共有して、
より強力な能力を発動させていたってわけね」
デュオ「だけど、その先の目的がわからねぇな……」
固法「出た! これは……木山春生!」
デュオ「木山が連中を……」
美琴「初春さんが危ない!」
固法「警備員に通報を、デュオくんとカトルくんは木山春生を追って」
美琴「私も行くわ」
固法「御坂さん?」
黒子「わ、わたくしも行きますわ」
美琴「あんた、先日のアレで怪我してるでしょ」
黒子「ですが……」
美琴「いいから、私に任せておきなさい」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:16:51.38 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力施設付近―
デュオ「おいおい……警備員が全滅じゃねぇか」
木山「? 初めて見る顔だな……」
カトル「木山春生さんですね、幻想御手頒布の容疑で拘束します」
木山「ふむ、もうバレてしまったか……
だが、出来るかな……一万の脳を統べるこの私を」
カトル「能力者が相手だ、僕らも能力を使おう、デュオ」
デュオ「任せな」
デュオの腕が風を纏うと刃を形成した
木山「ふむ、『風刃使い』といったところか」
デュオ「行くぜ」
木山「甘い…」
木山が前方に障壁を展開するとデュオは弾き飛ばされた
デュオ「ぐっ……」
美琴「次はこっちよ」
美琴は電撃を放つも、かき消された
木山「効かぬな、レベル5と言えど、この程度か?」
カトル「後ろがガラ空きですよ」
カトルは指向性の衝撃波を放った
木山「ふむ、良い攻撃だ……」
木山は姿を消した
カトル「『空間移動』!?」
木山「これで終わりだ」
木山は空き缶をばらまく
デュオ「虚空爆破事件の……マズイぞ!」
カトル「任せて」
カトルは障壁を展開し爆発を凌ぐ
木山「これを凌ぐか、大した能力者だな」
デュオ「よそ見してんじゃねぇよ」
木山「な!?」
デュオは風の鞭を生成し木山の四肢を拘束する
カトル「今です御坂さん!」
美琴「!」
美琴は木山にしがみつき
美琴「これで終わりよ」
電撃を流しこむ
木山「ぐあああああああああっ……」
美琴「!」
木山は地面に倒れ込む
カトル「やりましたね、御坂さん」
美琴「………」
デュオ「どうした、御坂?」
美琴「今のは?」
木山「き、君が見たとおりさ、AIM拡散力場制御実験と銘打った
暴走能力の法則解析用誘爆実験……」
美琴「それって……」
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:19:42.00 ID:dr+vk/6Ho
カトル「以前、資料を読んだことがあります。
レベル6を生み出すために木原幻生が行った実験。
その被験者は故意に起こされた『事故』により昏睡状態に陥った」
木山「一体どこで、そんな情報を仕入れたのやら……
そうさ、あの子たちは今も眠り続けている
私たちの行った人体実験のせいで!」
美琴「だったら警備員に通報すれば……」
木山「23回」
美琴「?」
木山「事故原因の究明のために『樹形図の設計者』を申請した数だ
あれを使えば、再びあの子たちを呼び起こせる
なのに、却下された……23回とも全て!」
デュオ「………」
木山「グルなんだよ、統括理事会は。警備員が動くはずがない」
美琴「だからってこんなやり方……」
木山「君たちに何が分かる! あの子たちを救うためなら、私は何だってする
例え、学園都市全てを敵に回しても…私は、私は……ぐっ……
ぐあああああああ……」
デュオ「な、何だよ、あれ……」
美琴「木山の背中から何かが……」
カトル「あれは!? 胎児?」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:20:51.65 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部―
ミゲル「カズイ、まずいことになった」
カズイ「どうしたんですか?」
ミゲル「木山を倒した後、巨大な生物兵器のようなものが暴れだしたらしい」
カズイ「!?」
ミゲル「俺は現場へ向かう、お前も来い」
カズイ「……嫌です……」
ミゲル「!? どういう事だ」
カズイ「俺が行けば、またあの廃工場みたいに……」
ミゲル「………」
カズイ「俺は傲慢な人間だ……力を手に入れれば、何でも出来ると思いあがって……他人をねじ伏せて……
元々、俺は平凡に暮らしたいがために学園都市に来たんだ。
もう、うんざりだよ」
ミゲル「!? もういい、俺だけで行く」
カズイ「………」
黒子「随分と情けないレベル5だこと……」
カズイ「な……」
黒子「ミゲルさんから聞きましたけど、あの事態を招いたのはあなた自身の弱さが原因でしょう?」
カズイ「うるさい! 君に何が分かる!」
カズイは第一七七支部から飛び出した
黒子「はぁ……」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:21:21.87 ID:dr+vk/6Ho
―繁華街―
カズイ(弱くて何が悪い……元々、俺はこういう人間なんだ……誰かの影でびくびくするだけの………)
ノイン「カズイ!?」
カズイ「の、ノインさん?」
ノイン「こんなところで何をしている? 生物兵器はどうした?」
カズイ「俺は行きませんよ……もうあんな風になりたくはない……」
ノイン「何があった?」
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:22:12.47 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「そうか……そんなことが……」
カズイ「俺は……俺なんて………」
ノイン「カズイ、お前は喧嘩など滅多にしたことはなかっただろう?」
カズイ「え?」
カズイ(確かにいつも、喧嘩になる前に悪くなくても謝って場を収めてた……)
ノイン「君が感じた高ぶり……」
カズイ「?」
ノイン「それは、誰もが内に秘める感情だ。今まで他人への恐怖で、覆い隠されていただけで、君の中にもある」
カズイ「………」
ノイン「初めて感じる感情に困惑しているのだろう?
だが、君に眠る感情は『怒り』だけではないはずだ」
カズイ「え?」
ノイン「自身の能力への不信感、他人の素養への恐怖。
その中で押し殺していたもう一つの感情……誰かを救いたいと願う心、
君は持っているだろう?」
カズイ「そんなこと……」
ノイン「ハンカ自治州での戦いや廃工場での出来事を思い出せ。
お前は何のために戦い、誰のために戦ったんだ?」
カズイ「!」
ノイン「思い出したか」
カズイ「はい……俺、行ってきます!」
ノイン「ああ……」
カズイは駆け出した
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:10.80 ID:dr+vk/6Ho
ノイン「これでいいのか、刹那?」
刹那「ああ、すまないな」
ノイン「それにしても、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターが何故カズイを?」
刹那「俺もかつては、戦いへの恐怖や自分の無力さを感じていた。
境遇は違えど、奴と昔の俺は何処か似ていると思ってな……」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:23:53.32 ID:dr+vk/6Ho
―旧原子力発電所付近―
鉄装「何かあれ、大きくなってませんか?」
黄泉川「怯むな、撃ち続けろ」
幻想猛獣に銃は効かず、触手が鉄装へ伸びる
鉄装「ひぃっ…」
その時雷撃が触手を払う
美琴「ぼさっとしないで、死にたいの?」
鉄装「あなたは? どうして学生がここに?」
美琴「そんなことはいいから」
黄泉川「何だか、まずいじゃん……」
幻想猛獣は市街地へ向かっている
美琴「任せて、あれは私が相手する」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:24:51.87 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は全高50mにも及んでいた
美琴「なんてでたらめな大きさ……でも、ここで食い止めないと町が!」
幻想猛獣は光弾を美琴に放つ、砂鉄剣で全て捌くも触手に捕らわれる
美琴「くっ……この……」
美琴は電撃を食らわすがまるで効く気配はない
美琴(まずい……これじゃ……)
ミゲル「こいつを食らいな!」
機銃が触手を貫く
美琴「オレンジ色のMS?」
ミゲル「ミゲルだ。今から援護する」
美琴「ミゲルさん? どうしてザフトのMSなんか?」
ミゲル「話は後だ。奴を市街地に近づけるわけには行かない。抑えるぞ!」
美琴「けどアイツの触手を何とかしないと……」
ミゲル「任せな、俺が触手を何とかする。お前は本体を」
オレンジ色のジンは機銃で幻想猛獣の触手を撃ち落とす
美琴「くらいなさい!」
美琴は雷撃を繰り出す
ミゲル「おいおい……なんつー電気量だよ」
舞い上がる土埃を裂き
巨大な光弾が撃ち出される
ミゲル「な!?」
光弾はジンの右腕を消し飛ばす
ミゲル「くっ……」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:26:32.06 ID:dr+vk/6Ho
幻想猛獣は再生した触手でジンの四肢を掴み光弾のチャージを始める
ミゲル「コイツ……」
美琴「まずい……どうすれば……」
カズイ「ミゲルさん!」
I.W.S.P.を装備したダガーがガトリングで触手を全て焼き払い
対艦刀で幻想猛獣を一閃する
カズイ「ミゲルさん、御坂、下がっててくれ。こいつは俺が相手する」
美琴「カズイさん?」
ミゲル「カズイ、なぜお前が連合の機体を!」
カズイ「話は後です。今はこいつを」
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」
カズイ「触手が再生した!?」
木山「まさかこんなモノが生まれるとはな……」
美琴「木山春生……」
木山「今、花飾りの娘がワクチンを流しに向かっている。いずれ、再生能力は失われるはずだ。
あとは核を破壊すれば……」
美琴「だったら、こいつで」
美琴は先程よりも強力な雷撃を放つ。誘電力場に阻まれながらも
雷撃の熱は幻想猛獣の体表を焼く
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:27:42.40 ID:dr+vk/6Ho
美琴「次は……」
幻想猛獣が放つ触手を砂鉄剣で全て切り払う
ミゲル「これが、レベル5……」
美琴「これでとどめよ」
美琴はコインを弾き『超電磁砲』を放つ
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア」
しかし、幻想猛獣を貫くには至らない
木山「やはり、レベル5といえども……」
カズイ「任せて、アイツの体表は俺が薙ぎ払う」
美琴「え?」
カズイは幻想猛獣にレールガン、単装砲、ガトリングを一斉に叩き込み
幻想猛獣の懐へ飛び込む
カズイ「まだだ!」
両肩の対艦刀を引き抜き追撃する
カズイ「ダガー、もう少しだけ保ってくれ……」
カズイは『空間掌握』を発動し、超速で幻想猛獣の体表を切り剥がす
ミゲル「あの機体で、あんな動き……もう保たんぞ!」
幻想猛獣「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
止め処ない斬撃にダガーの両腕は耐えられず砕け散った
カズイ「もう一発!」
止めと言わんばかりにダガーが放ったレールガンを受け
幻想猛獣の核が現出した
カズイ「今だ御坂!」
美琴は静かにうなずき、再びコインを弾く
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:10.37 ID:dr+vk/6Ho
―7月25日 第一七七支部―
固法「カズイくん、御坂さん。今回はお手柄だったわね」
黒子「木山は警備員に捕らわれ、幻想御手使用者も意識を戻りましたの」
カズイ「それは、良かった」
固法「それにしても、カズイくん、ミゲルさん、どうしてあなた達MSなんて……」
カズイ「それは……」
デュオ「ああ、こいつは元軍人なんだ」
美琴「えっ?」
ミゲル「………」
カズイ「色々あって退役したんです」
カズイ(実際は脱走兵のようなものだけど……)
黒子「ミゲルさんも?」
ミゲル「まぁ、そんなとこだ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:28:42.86 ID:dr+vk/6Ho
―第一七七支部 外―
カズイ「どうしたんですか、ミゲルさん?」
ミゲル「洗い浚い話してもらおうか、お前がこの学園都市にいる理由を」
ミゲルは銃を突きつけカズイに問いかける
カズイ「え?」
ミゲル「連合のスパイか?」
カズイ「ち、違います、俺は……」
ミゲル「なら何故、連合のMSを持っている?」
カズイ「それは……」
デュオ「そこまでだザフトのスパイさんよ」
ミゲル「!?」
カトル「あなたの素性、調べさせてもらいましたよ。ミゲル・アイマンさん」
ミゲル「お前たちも連合のスパイか?」
デュオ「俺らは組織系統が違うんだが……」
カトル「僕たちはプリベンター。地球連邦直属の治安維持部隊」
デュオ「ちなみにそいつが退役軍人ってのも本当だ。
元アークエンジェルクルーのな」
ミゲル「な? 貴様……」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/04/07(木) 21:29:54.33 ID:dr+vk/6Ho
デュオ「なぁ、お前が何の目的でここに居るのかは知らんが
今は同僚だろ?」
ミゲル「だが、お前たちはコーディネイターに仇なす存在だ」
カトル「僕らプリベンターはプラントも含めた地球圏の治安維持を
目的としています。君達と事を構えるつもりはありません」
ミゲル「信じられるものか……狡猾で薄汚いナチュラル共が……」
カズイ「なら、どうして幻想御手事件で幻想猛獣を止めようと……」
ミゲル「学園都市に住むコーディネイターの為に決まっている」
カズイ「だったら、御坂さんまで助ける必要なかったじゃないですか」
ミゲル「それは……」
カトル「ミゲルさんも心の底からナチュラルを憎んではいないはずです」
ミゲル「知ったような口を……」
カズイ「俺は元々国連軍の士官でしたけど、コーディネイターが憎くて
志願したわけではないです」
ミゲル「………」
カズイ「俺らは敵じゃない。それどころかここ数日はずっと
あなたと二人で仕事をこなしてきたじゃないですか」
デュオ「聞いた話じゃ、あんたのジンが大破したとき助けてくれたのは
こいつだったそうじゃないか」
ミゲル「! そう……だったな……カズイ、銃なんか向けてすまなかったな」
カズイ「気にしないでください」
ミゲル「ナチュラルへの憎しみで盲目していたようだな……
確かに、お前たちや風紀委員の連中も信用に足る人物だよ……
これからもよろしく頼む、カズイ、デュオ、カトル」

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