マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その19

2011年07月21日 20:11

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」

823 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/04/13(水) 00:10:18.63 ID:uCVaL05AO

バヂィッ

プルツー「っ……!」

プルツー「あたしにバリアまで使わせるなんて……ガンダム……!」ギュォッ

プルツー「サーシェス、一旦引く!」

サーシェス「お、おう!」

刹那「ッ!」

ピピッ

刹那「アリー・アル・サーシェス……!?」

ザバァッ
キィィィィン

ラッセ『何だありゃあ、新型の輸送機か!?』



プルツー「ガランシェールのハッチを!」

ガコンッ
ガシャン

プルツー「スローネツヴァイの搬入は!」

サーシェス「完了してるよ。だがアインにゃまだ手も触れてない」

プルツー「ドライは!」

サーシェス「アイン抱えてさっき逃げた。大方例の王留美が言ってた【手筈通り】ってヤツだろ?」

サーシェス「あのクルジスのガキの始末はどうすんだ」

プルツー「……」

プルツー「ひとまずは退く。あの訳の分からないガンダムのシステム……詳しいことが分かるまでは、相手に出来ない」

プルツー「帰投する、ヴァラヌスが損傷したのを考えると、ツヴァイを投入することも考えなきゃ」

サーシェス「あいよ」グンッ

サーシェス「俺個人としては大歓迎だがな……こんなたぎる戦争は久しぶりだからよぉ」

プルツー「野蛮だね。でもリボンズが気に入るのもよく分かる気がするよ」

プルツー「……」グスッ

サーシェス「けっ、何しょげてんだよ。シラケるぜ」

プルツー「リボンズの命令をこなせなかったんだ……平気な顔してた方がおかしいだろ」

サーシェス「まだまだお子様だな」

プルツー「何だと!?」

サーシェス「右に曲がります、と」

プルツー「うわぁっ!?」

ギュゥゥン



ラッセ『速いなあの輸送機……大気圏内でのMS運用前提って感じだな』

刹那「……あんなものを用意する準備がある程の敵……」

刹那「!」



ガコンッ

ネーナ「ヨハ兄ィ……ミハ兄ィが、ミハ兄ィが……」グスッ

ネーナ「エネルギー半分分けたからさ……いこ、ヨハ兄ィ……」

ヨハン「……」

ヨハン「ミハエル……」ツゥ……

ギュンッ

ラッセ『……刹那』

刹那「ラッセ、必要ならばスローネを破棄させパイロットだけを其方に預けることになるかもしれない」

ラッセ『何!』

刹那「彼等のアジトはもう無い、放置すれば紛争が起こりスローネは奪われる」

刹那「この紛争を終わらせるには、それしかない」

ラッセ『……了解だ刹那』

刹那「エクシア、目標に再接近する」

王留美『その必要は有りませんわ』

刹那「!」

ラッセ『通信、王留美からか!』

王留美『ごきげんようマイスター、それに砲手さんも』

ラッセ『……』

王留美『彼等は私達エージェントが責任を以て保護します、あなた方はすぐに宇宙へ』

刹那「しかし……」

王留美『先ほど人革連のGNーX部隊がエレベーターにより宇宙に上がりました』

王留美『まもなく、ブリティッシュ作戦の総力を以てプトレマイオスを攻撃するでしょう』

ラッセ『何だと!?』

刹那「……!」

王留美『此方は私達に任せ、早くプトレマイオスの援護に』

王留美『スローネと宇宙の仲間、自ずと重要性は違ってくる筈では?』

刹那「ッ……」

刹那「……」

ラッセ『刹那!』

刹那「ラッセ、強襲用コンテナとのドッキングを。直ぐに宇宙に上がる!」

ラッセ『了解だ! シェリリンのブースターもある、一気に上がれるぜ!』

王留美『素晴らしい判断ですわ刹那・F・セイエイ』

刹那「此処は危険だ、すぐに撤退を」

王留美『無論ですわ』

刹那「俺達の代わりにスローネの調査、及びマイスターに関する報告書を直接トレミーに頼む」

王留美『えぇ、必ず』

王留美(あなた方が生きていたらの話ですが……)

ラッセ(何か企んでいやがるか……いや、今はトレミーに!)

ラッセ『間に合ってくれよ、みんな』

刹那(ティエリア……アレルヤ……ロックオン)

刹那(待っていてくれ、直ぐに戻る!)


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ーラグランジュ1・資源衛星群ー

スメラギ「トランザムシステム……機体に蓄積された高濃度圧縮粒子を全面開放することにより、スペックの三倍に相当する出力を得る……」

アレルヤ「オリジナルの太陽炉にのみ許された、ガンダムの切り札……」

ロックオン「……」

ロックオン(このヴァラヌスの周りに張られたバリア……かなり高位のNTが乗ってるって訳か)

ロックオン(つまりはサイコミュが存在する機体、てことになる)

ロックオン(トランザムシステムの存在を加味しても、やっぱり安心は出来ないって訳か)

ロックオン「……結構なことじゃないか。イオリアの爺さんも大層な置きみやげ残してくれたもんだ」

スメラギ「でも、トランザムが切れた後は機体性能が著しく低下するわ。Eカーボンの強度も、機動力も……」

ロックオン「そのためのあんただろう? タイミングも含め、期待してるぜ戦術予報」

スメラギ「もう、おだてないで頂戴。事態は切迫してるのよ」

アレルヤ「その割には、顔が弛んでますけど?」

スメラギ「あらやだ、年かしら」

ロックオン「ははははは!」

スメラギ「ふふっ」

アレルヤ「あははは……」

ロックオン「……ふっ」

ロックオン(悪いなアレルヤ、気を使わせちまって)

アレルヤ(ロックオンは何か別のことに気付いたみたいだ。こんな時だからこそ、下手に緊張しない空気を作らなきゃ……)

ティエリア「……フッ」

ピピッ

スメラギ「!」

スメラギ「刹那からの暗号通信だわ」

ロックオン「あいつ、ちゃんと帰ってこれんのか?」

ティエリア「強襲用コンテナの追加ブースターの出力なら、早い帰還が望めるが……」

スメラギ「開いて」

ウィンッ

刹那『エクシア、トレミーへの帰投命令を受領。報告用件あり』

刹那『地上にいた、疑似太陽炉搭載型MSが全機宇宙に上がった』

刹那『王留美の情報によれば、人革連のセルゲイ・スミルノフ率いる部隊』

アレルヤ「!」

スメラギ「やはり来たわね……超兵」

アレルヤ「……」

刹那『そして、ガンダムスローネの一機が敵に奪取された』

ティエリア「何ッ!?」

刹那『スローネを奪取したのは、ヴァラヌスと呼ばれたガンダム』

アレルヤ「ということは国連軍か」

刹那『パイロットは以前不明、だが、随伴していた輸送機にアリー・アル・サーシェスの姿を確認した』

刹那『これから宇宙に上がる。報告を終了する』ピッ

ロックオン「ッ!?」

ロックオン「アリー・アル・サーシェス……あの野郎が関わっているのか」

アレルヤ「誰なんだい?」

ティエリア「傭兵だと聞いた。刹那の話では、相当腕が立つとか」

ロックオン「どこまでも人をコケにしやがって……!」ギリッ

スメラギ「……」

スメラギ「圧倒的な戦力差に拍車がかかったわね……酷な話だわ」

スメラギ(刹那が来るまでの間、耐えられればまだやりようもある)

スメラギ(問題は、耐えられるかということ……そして、刹那達がいたとしても勝機は薄いということ……)

スメラギ「お願いエミリオ……私に力を貸して」


ー国連軍・バージニア級大型輸送艦ー

マネキン「……」

マネキン「【ロシアの荒熊】セルゲイ・スミルノフ中佐を軸に、【エーカーの麗鷹】マリーダ・クルス、【グリプスの野獣】ヤザン・ゲーブル、【不死身】パトリック・コーラサワー、【超兵】ソーマ・ピーリス」

マリーダ「世間の子供達に『君が最強の部隊を作るとしたら誰を選ぶ?』という質問をして作り上げたような部隊だな」

コーラサワー「不死身……やはり素晴らしい響きだぜ」ジーン

マネキン「皮肉を真に受けて喜ぶな少尉」

コーラサワー「大佐、マリーダの異名ってなんすかこれ」

マネキン「ライセンサー・【マスター】グラハム上級大尉の副官にして、アザディスタンのクーデター時には反乱軍のMSを各地で多数撃破し鎮圧に尽力、ミサイルによる受信施設の攻撃を未然に防止」

マネキン「グラハム大尉の隣に連れ添うように飛ぶ様から、彼女のフラッグを鷹になぞらえそう呼ばれたらしい」

コーラサワー「完全にマスター・グラハムなんすね、あのトップガン……」

マネキン「彼が聞いたら、しかめっ面を浮かべながら呻くことだろうよ」

マネキン「先程彼から連絡があった、ユニオンのトップガンが作戦に合流するぞ」

コーラサワー「!」ガタンッ

マネキン「だが予定上途中からの参加となるだろう……その前に我々は、ソレスタルビーイングの母艦に先制攻撃を仕掛ける」

マネキン「グラハムが来るのをわざわざ待つ必要はない! 戦果を期待するぞパトリック!」

コーラサワー「了解です、大佐!」


ー輸送艦ー

マリーダ「……」

ポンッ

マリーダ「!」

セルゲイ「マリーダ中尉、久しぶりだな」

マリーダ「スミルノフ中佐! それに……」

ソーマ「お久しぶりです、マリーダ中尉」

マリーダ「ピーリス少尉も」

ソーマ「ガンダムを中破させたとお聞きしました、流石はマスター・グラハムの懐刀!」

マリーダ「その呼ばれ方、嫌いではないがこそばゆいな……」

セルゲイ「はっはっは、相変わらずだな君も」

セルゲイ「顔がこわばっていたぞ、君ほどの兵士でもやはりガンダム戦は緊張するか」

マリーダ「いえ……そんなことは」

セルゲイ「……」フッ

マリーダ「……!」

マリーダ「中佐はずるいお人です、全て見透かしながらお聞きになられる」

セルゲイ「大人をたばかろうとしても無駄だよ中尉」

セルゲイ「やはり……緊張するようだな」

マリーダ「……はい、まだ馴れません。手に握る汗を止めるのにも必死です」

セルゲイ「そうか、だが君の技量なら落ち着いて戦えば問題あるまい」

マリーダ「中佐にそう言っていただけると心強いです」

セルゲイ「私は事実を述べたまでさ」

セルゲイ「お互い、地球に生きて帰ろう。頼りにしているぞフラッグファイター」

マリーダ「はっ!」ビシッ

マリーダ「スミルノフ中佐……ありがとうございます」

セルゲイ「礼ならグラハムに言うのだな」

マリーダ「え?」

セルゲイ「私が宇宙に上がる前に連絡してきてな、一歩遅れて宇宙に上がるとの報告を受けた」

マリーダ「!」

セルゲイ「加えて、自分がそちらに着くまで中尉を頼むと言付けも受けてな」

セルゲイ「だが……この様子なら大丈夫そうだな」

ソーマ「戦果を期待させて頂きます中尉、及ばずながら私も尽力致します」

マリーダ「……」

マリーダ「ありがとうございます中佐、少尉。今の私にとって、マスターの言葉は何よりの励みです」

セルゲイ「ふふ、だろうな」

ソーマ「……」クスッ

マリーダ「それでは……」

ピキィィィン

マリーダ「ッ!」

バッ

マリーダ(この感覚、アザディスタンの時の……!?)

マリーダ「馬鹿な、あの男がこの船に……!?」

セルゲイ「どうしたマリーダ中尉?」

ソーマ「何か……?」


ー輸送艦・MSドッグ横待機室ー

サーシェス「流石に換装も速いな、もう間に合わせてくるとは」

サーシェス「スローネツヴァイ……俺好みのガンダムだぜ全く」

サーシェス「しかしまぁ、最初からあのやり方で捕まえるつもりだったのか……プルツー、末恐ろしいガキだ」

ウィンッ

サーシェス「ん?」

マリーダ「!」

マリーダ(間違いない、コイツはあの時のイナクトのパイロット……!)

マリーダ「貴様……ッ!」

サーシェス「!」

サーシェス(コイツ、あの時のフラッグファイター……)

サーシェス「おや、ユニオンの麗鷹が何かご用ですかな?」

マリーダ「とぼけるな! 貴様、何故この艦にいる!」

マリーダ「薄汚いテロリストが、ガンダムなぞ抱え込んで……!」

サーシェス「お言葉ですなぁ中尉殿。自分はフランス第四独立外人騎兵連隊所属のゲイリー・ビアッジ少尉でありますが」

サーシェス「薄汚いテロリストとやら、誰かは知りませんが誤認なされているのでは? マリーダ・クルス中尉」

サーシェス「いや……プルトゥエルヴと言った方が良いかいお嬢ちゃん」

マリーダ「ッ!?」

サーシェス「いや何、あんたの話は色々と知っていてね……」

スッ

マリーダ「ッ、触るなぁ!」バシンッ

サーシェス「おっと……へへ、気が強いのは姉貴譲りってわけか」

サーシェス「そういう女は嫌いじゃあないぜ、マリーダちゃんよ」

マリーダ「な、何者なんだ貴様は……!」

サーシェス「すっかり怯えた顔しちまって、やっぱりガキだねぇ」ククク

サーシェス「お前のお姉ちゃんから言付けだ」

サーシェス「俺の事柄、俺に関係する事柄、下手にバラそうとしたら」

サーシェス「【再調整】するぞ……だってよ」ボソッ

マリーダ「ひっ……」ビクッ

ドスンッ

マリーダ「あ……!」

サーシェス「おやおや、尻餅ついちゃって可哀想に。そんなに嫌なもんかい【再調整】ってのは」

サーシェス「ま、流石に今更になって自分の頭の中いじくり回されんのは嫌だよな。要はそういうことさ」

サーシェス「仲良くしようや、精々此処にいる間くらいはな」

マリーダ「っ……」グッ

サーシェス「はっはっはっはっは!」

ウィンッ

マリーダ「ぅっ……」ガクッ

マリーダ「姉さん……あの計画の生き残りがいるというのか……?」

マリーダ「……【再調整】……」ゾクッ

マリーダ「……それだけは嫌だっ!」

マリーダ「忘れたくない……忘れたくないんだ……!」


ー廊下ー

サーシェス「プルツーのガキと違って、成長した方は悪くねえなぁ」クックック

サーシェス「だが大将に釘刺されてっから手は出せねえ……下手に逆らってアレハンドロみたく脳みそ改造されちゃたまらねえからな」

サーシェス「それにどうせこの艦は沈む……あの作戦が始まると同時にな。それまでの間、精々楽しませてもらうとするか、ガンダム」

ヤザン「サーシェス!」

サーシェス「お……」

ヤザン「てめぇガンダムに乗って来やがるとはな、全く抜け目のない親父だぜ!」バシンッ

サーシェス「おめぇみたいに新型与えられて抜け駆けかます奴が言うかよ兄弟!」バシンッ

ヤザン「ハッハッハ! まだ根に持ってやがんのかてめぇ!」

サーシェス「冗談だよ、そのことはおいおい話すとしてだ」

サーシェス「……どうだった? ガンダムの味は」

ヤザン「あぁ、どいつもこいつも青臭いが活きはいい、喰いごたえがあるぜ」

サーシェス「だろうよ、そうでなきゃガンダム担いで宇宙に上がった意味が無い」

ヤザン「それで、てめえが来たってことはやっぱり……」

サーシェス「あぁ、例の作戦が始まるぜ」

サーシェス「手はず通りに行くなら、この作戦が最後のお楽しみになるだろうな」

ヤザン「ちっ……つまらねえ作戦を採用しやがったもんだ」

サーシェス「お前は良いよな正式な軍属だから、いつでもライセンス掲げて戦争が出来る」

サーシェス「気ままにやるには、ちと住み辛い世の中になって来ちまったからなぁ……今回はちっとばかし暴れさせて貰うぜ」

ヤザン「好きにしやがれ」

サーシェス「……シッ」

ヤザン「!」

ウィンッ


ー大西洋上空・輸送機ー

王留美「申し訳ありません……ミハエルさんを助けられなくて」

ヨハン「…………」

ネーナ「ぅっ……ひっく……ひっく」

王留美「あなた方だけでも生き延びられたのは幸いでしたわ。でももう、スローネの優位性は此処には無い」

ネーナ「!」

ヨハン「……」

王留美「ほとぼりが冷めるまでは私の下でゆっくりしていってくださいな……ネーナさん、ヨハンさん」

ネーナ「ミハ兄ィ……うわぁぁぁぁん……」グスッグスッ

紅龍「……」

紅龍(わざと無人の輸送機をプルツーとやらに落とさせたのは、あくまで留美自身は彼等に関わっていないというデモンストレーション……)

紅龍(あわよくば漁夫の利を、という今回の足運びは無駄にはならなかったか)

紅龍「お嬢様、これからどちらに向かいましょうか?」

王留美「屋敷に向かって。ひとまず彼女には落ち着ける場所が必要よ」

王留美(そう……彼女らの力を利用出来るまでの、鳥籠にね)

ヨハン「それについてですが」

王留美「え?」

ヨハン「寄っていただきたいところがあります。そこで私だけを降ろしてください」

ネーナ「ヨハ兄ィ!?」

ヨハン「ネーナ、ドライの全エネルギーをアインに」

ヨハン「ミハエルの仇を討つ……あの新型でな」


ー輸送艦・廊下ー

ウィンッ

ヤザン「む?」

サーシェス「ん……」

セルゲイ「マリーダ中尉は何処にいったのだ?」

ソーマ「見当たりませんね……」

セルゲイ「む?」

サーシェス「……」ビシッ

ヤザン「……」ビシッ

セルゲイ「君は確か、ガンダムのパイロット……」

ソーマ「……」ビシッ

ソーマ(何だ、この不愉快な感覚……私の中の何かがこの二人を嫌っている)

セルゲイ「頂武特務部隊所属、セルゲイ・スミルノフ中佐だ。以後よろしく頼む」スッ

ヤザン「ほう、あんたがロシアの荒熊」

サーシェス「直々のご挨拶とは恐縮ですな」

サーシェス「AEU、フランス第四独立外人騎兵連隊所属、ゲイリー・ビアッジ少尉であります」ビシッ

ヤザン「同じくAEU所属、ライセンサー、ヤザン・ゲーブル大尉であります。以後よろしく」

セルゲイ「!」
ソーマ「!」

セルゲイ「ライセンサー……!?」

ソーマ「マスター・グラハム以外にもライセンサーが!」

ヤザン「一応、そういうことになってますなぁ。戦ってみれば、資格があるかどうかは分かるんじゃあないですかい」

ソーマ(中佐の前での不遜な態度……気に入らん)ムッ

セルゲイ「ヤザン・ゲーブル……ヤザン……」

セルゲイ「……まさか、【グリプスの野獣】か!?」

サーシェス「ほう」

ヤザン「荒熊に覚えて頂けていたとは、光栄で」

ソーマ「中佐、知っているのですか?」

セルゲイ「……以前人革連がAEUの軍事基地を占領した際、AEUは当時天才ともてはやされた二人の戦術予報士を作戦に参加させた」

セルゲイ「その上官は、二人の天才を競わせる形で双方の優劣を確かめようと考え、二人にそれぞれ部隊を与えた」

サーシェス「部隊は二人の予報ミスにより同士討ち……基地の名前を取り、後に語り継がれるグリプス事件として記録された」

サーシェス「その時片方の部隊にいて、もう片方のヘリオン部隊を全滅させたのが、このヤザン・ゲーブルです」

ヤザン「戦術予報士がミスっちまってんだ。俺がとやかく言われる筋合いもあるまいよ」

サーシェス「言うなれば彼が強すぎただけ……そうでしょうスミルノフ中佐」

セルゲイ「……」

セルゲイ「過去のことをとやかく言うつもりもないよ、戦場での活躍を期待している」

ヤザン「はっ!」ビシッ

サーシェス「はっ!」ビシッ

ソーマ「……」

セルゲイ「最後に、ゲイリー・ビアッジ少尉」

サーシェス「何でありましょうか?」

セルゲイ「聞かせてほしいものだな、どうやってガンダムをろかくしたのかを」

サーシェス「……そいつぁ、企業秘密ということで」ニヤッ

セルゲイ「そうか」クルッ

ソーマ「あっ……中佐!」

セルゲイ「行くぞ少尉、マリーダを探さねばならん」

ソーマ「は、はい!」

セルゲイ「……」

ソーマ「グリプスの野獣……あれがヤザン・ゲーブル」

セルゲイ「あの場では言わなかったが」

ソーマ「?」

セルゲイ「例の一件、同士討ちが早い段階から発覚し、通信で作戦の中止が発せられていたそうだ」

セルゲイ「だがそうまでしても三十分以上戦闘は継続され……結果として悲劇を生み出した」

ソーマ「どういうこと……ですか?」

セルゲイ「目撃証言によれば、作戦の前日、ヤザン・ゲーブルが付いた戦術予報士の側と、もう片方の戦術予報士の側で取っ組み合いに近い激しいトラブルがあったそうだ」

セルゲイ「故に、ヤザン・ゲーブルは混乱に乗じて味方を暗殺したのでは、という疑惑が浮上した」

ソーマ「!」

セルゲイ「軍法会議にも発展したが証拠不十分で当時は無罪……結局その後ヤザンは別件の罪で刑務所に送られた」

セルゲイ「当時ヤザン・ゲーブルに指示を出していたのはカティ・マネキン。たしか対抗馬はリーサ・クジョウといったか……」

ソーマ「マネキン大佐が……?」

セルゲイ「……」

セルゲイ「グリプス……大鷲と獅子の半身を併せ持つ怪物の名。奴はまさしく、グリプス事件を境に生まれた野獣なのかもしれんな」

セルゲイ「奴が呼び寄せられたのはマネキン大佐の意思ではあるまい。荒れなければいいがな……」


ー宇宙ー

ラッセ『追加ブースターの切り離しを確認、強襲用コンテナ、ラグランジュ1に急行する』

刹那「了解」

ラッセ『刹那、答えは出たのか?』

刹那「……分からない」

刹那「だが俺は、俺達は託された。イオリア・シュヘンベルグに、ガンダムを」

刹那「ならば俺は戦う。俺自身の意志で、紛争根絶のために、ガンダムと共に……」

ラッセ『……』

ラッセ『刹那、バタフライエフェクトって知ってるか』

刹那「え?」

ラッセ『俺も詳しくは知らねえんだがな、要は蝶々が羽ばたいて起こした風が、地球の反対側で台風になるっつう話だ』

刹那「……」

ラッセ『これは、どんな些細な現象差でも、未来では大きな大きな差となるという意味を分かり易く喩えたもんだ』

ラッセ『……正直俺は、紛争根絶が出来るなんて思っちゃいねえ』

ラッセ『だが俺たちのバカげた行いは、良きにしろ悪しきにしろ人々の心に刻まれた』

ラッセ『俺らの行いが蝶々の羽ばたきとは言わねえ……だが、今になって思う』

ラッセ『ソレスタルビーイングは、ガンダムは、存在することに意義があるんじゃねえかってな』

刹那「存在すること……」

ラッセ『人は経験したことでしか本当に理解しないってことさ』

ラッセ『今は無理でもよ……いつかはこの行いが報われるかもしれねえ。だからこそ、俺達は羽ばたき続けなきゃならないんだ。少しでも理想に近づくためにもよ』

刹那「……」


ーユニオン・軌道エレベーターー

グラハム「……」

GNフラッグ『……』

グラハム「遂に完成した我が愛機、マリーダのフラッグを元に作り直したGNドライブ搭載型MS」

グラハム「……」

『忘れたくない……』

グラハム「分かっている」

『忘れたくないんだ……!』

グラハム「分かっている!」

グラハム「そのために私は宇宙に上がるッ!」

《グラハム大尉、準備が整いました!》

グラハム「早いな、助かるぞタケイ」

グラハム「今行くぞガンダム……決着をつけよう!」


ーバージニア級・MSドッグー

『有視界戦闘領域まで2000、総員第一種戦闘配置』

マリーダ「……」ズーン

コーラサワー「おい。どうしたマリーダ」

マリーダ「……何でもない。気にするな」

コーラサワー「何でもないったってよぉ」

コーラサワー(察しちまうんだよなぁこっちは……どう対応していいものやら)

コーラサワー(変に気を引くようなこと言って大佐に誤解されたくないし、トップガンに殺されたくないし……)アーアー

ソーマ「中佐」

セルゲイ「見るな少尉、あのような軽い男に関わったら馬鹿を見るぞ」

ソーマ「はい中佐」

セルゲイ「私の許可無くして少尉には近付くなよ諸君……頂武特務部隊の鉄の掟、AEUユニオン問わず守って貰う」

ジョシュア(こえー……保護者かよ)

マリーダ「……」

マリーダ(再調整は嫌だ、再調整は嫌だ)

マリーダ(再調整だけは嫌だ!)ギュッ

コーラサワー「……」

ソーマ「……」

セルゲイ「……」

ダリル「……」

ジョシュア「……」

サーシェス「あーりゃりゃ、だいぶ参っちまってるみたいだなありゃ」ボソッ

ヤザン「あんた変なこと吹き込んだんじゃあるまいな、あれじゃあ使い物になるかどうか」

サーシェス「別に、何とかなんだろ」

サーシェス「それにな、戦いを楽しむ上で邪魔なのは少ない方がいいだろ」

コーラサワー「……あーもー面倒くせ」

マリーダ「え?」

コーラサワー「おらァッ! しっかりしやがれマリーダ・クルスゥ!」

バッシィン!

マリーダ「い゙っ……!?」

サーシェス「あん?」

ソーマ「!」

セルゲイ「ほう……」

マリーダ「っ、パトリック少尉、貴様何を!」

コーラサワー「お前トップガンに部隊任されて来たんだろ? あのナルシストはそんなちんけな顔してフラッグに乗んのかよ」

マリーダ「!」

コーラサワー「何悩んでんのか知らねーし興味も無いが、どうしてもと言うならこのパトリック・コーラサワーに相談してみろよ。ズバッと答えてやるぜ?」

コーラサワー(本当はだいたい察知しちゃってんだけど……)

コーラサワー「たかが18年生きただけの小娘に、独自解決なんかムリムリ! 少しは大人を頼れっつうの!」

マリーダ「あ……」

セルゲイ「彼に頼るのが正しい判断かは分からんが、言っていることは間違いないな」

コーラサワー「うっ」グサッ

マリーダ「スミルノフ中佐……」

セルゲイ「君のマスターの代わりにはなれんが、私も君やグラハムよりは長く生きている」

セルゲイ「遠慮なく頼ってくれ中尉、君は独りではないのだ」

マリーダ「……」

ソーマ「私もいます中尉」

マリーダ「ピーリス」

ソーマ「でも、私は至らない存在です。とても中佐やパトリック少尉のようにはいきません」

ソーマ「だから、頼らせてください。代わりに、頼って下さい」

ソーマ「私には歳の近い同志がマリーダ中尉しかおりません。宜しければ、もっと親密になりたいのです」

マリーダ「っ……」

ピピッ

マリーダ「!」

マネキン『中尉、私の存在も忘れないでほしいものだな』

マリーダ「大佐……」

マネキン『私はかつて過ちを犯した、友人を失う取り返しのつかない過ちだ』

ヤザン「……」

マネキン『だが、過ちから学ぶこともある。過ちを他の者に伝え、道を踏み外さぬよう教えることが出来る』

マネキン『マリーダ、この戦いが終わったらまた話をしよう。私の過ちから学び、より良い道を生きてくれ』

マリーダ「……はい……!」

マネキン『……総員、MSに乗り込め! ガンダムは恐らく此方の動きも予測しているだろう』

マネキン『先手を打つ! 此処で全て終わりにするぞ!』

セルゲイ「よし、全機発進準備だ」

バタバタバタ……
ガシャンッ

マリーダ「……」

バシンッ
バシンッ

マリーダ「ッ!?」

ジョシュア「勿論俺らも忘れちゃいないよなマリーダ」

ダリル「隊長の次に付き合い長いんだ、水臭い話は無しですぜ中尉」

マリーダ「ダリル、ジョシュア!」

ジョシュア「行こうぜマリーダ、今度こそだ」

ジョシュア「今度こそガンダムをやっちまおう、そうすりゃグラハム大尉の面目躍如だ」

ダリル「やっちまいましょう中尉! 俺達で、オーバーフラッグスで、フラッグファイターで!」

マリーダ「……」

マリーダ「あぁ、やろう。今度こそやってやろう」

マリーダ「行くぞフラッグファイター」

マリーダ「……」スッ

マリーダ「マスター、いつの間にか私の周りには、こんなにも人が集まっていました」

マリーダ「マスター、貴方のお陰です。私はあなたの隣にいて本当に良かった」

マリーダ「……」

PiPi

マリーダ「オーバーフラッグス全機に通達する」

マリーダ「我々の目標はソレスタルビーイング、ガンダム!」

マリーダ「GNーX総数26、ガンダム一機。これで勝てなければ次は無い!」

マリーダ「此処を奴らの墓場にし、世界の安寧を手に入れる! 決死の覚悟で臨め!」

『了解!』

マリーダ「オーバーフラッグス……全機出撃!」

マリーダ「今行くぞ、ガンダム!!」


ートレミーー

ロックオン「あぁ……」

ロックオン「来いよ、フラッグファイター!!」


TO BE CONTINUED...


グラハム「……」

『大尉、緊急用の高速リニア、発進態勢に入りました』

グラハム「その旨を良しとしよう」

ビリー『グラハム、後は任せたよ』

グラハム「あぁカタギリ、行ってくる」

グラハム「……」グッ

グラハム「今行くぞ……フラッグファイター!」

バシュンッ

ドゴォッ!

グラハム「ぐぅぅッ!?」

《粒子ビーム!?》

ビリー「あ……あれは……!?」

グラハム「どうしたカタギリ!!」

ビリー「ガン……ダム……!?」

グラハム「ッ……!」

コォォォ……

リボンズ「君を宇宙に上げる訳には行かないんだよグラハム・エーカー」

リボンズ「ガンダムアストレア……目標を駆逐する」


次回『ロックオン』

それは、果たせない約束



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