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マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その21

2011年04月26日 10:51

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」

923 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/04/21(木) 00:50:17.08 ID:7lGXf3KAO

ーバージニア艦ー

マリーダ「……」スッ

セルゲイ「君が祈りを捧げているとは、意外だな」

マリーダ「! スミルノフ中佐」

マリーダ「先ほどは有り難うございました」ビシッ

セルゲイ「そうカタくなるな、戦友の救出など軍人として当たり前の事だ」

セルゲイ「……君が神に祈るとは思えん。失った仲間への祈りか」

マリーダ「はい、せめて安らかに眠ってくれと……友に」

セルゲイ「そうか……」
セルゲイ「……」スッ

マリーダ「……」

セルゲイ「……祈っても死者は蘇らず、夢は叶わない」

セルゲイ「だが人は、祈らずにはいられない。技術革新が進み、エネルギー問題を解決し、宇宙にその領域を広げているにも関わらず……奇跡を信じ天を仰ぐ」

マリーダ「……」

セルゲイ「せめてこの作戦の成否だけは、亡くした戦友達に祈らせて貰おう……」

マリーダ「……はい」

『補給艦と合流、各員は負傷兵の送迎と物資の搬入急げ!』

セルゲイ「私はブリッジに戻る。これがブリティッシュ作戦最後の戦いになるだろう」

セルゲイ「……有視界戦闘領域に入るのはまだ先だ。今の内にしっかりと休んでくれ」

マリーダ「了解」

セルゲイ「……グラハムもきっと間に合うさ、きっとな」

マリーダ「お心遣い、有り難うございます中佐……」


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ーブリッジー

マネキン「……」

マネキン(二十七機のMS部隊で四機のガンダムと交戦、十四機大破、内ガンダム含む。敵の損害はガンダム一機の大破のみ、これは敗北に近い結末だな)

マネキン「単純に計算しても、GN-Xがあと六十機あってようやくソレスタルビーイングを殲滅出来る戦力に到達する……」

マネキン「おまけにジョシュア・エドワーズ少尉は重傷で戦線離脱、ヤザン・ゲーブルも同様……現在運用出来るのは十一機のGN-Xのみ……」

マネキン(ヤザン・ゲーブルに関しては、あれしきの損傷で怪我をするとは思えんが……)

ウィィンッ

マネキン「!」

セルゲイ「マネキン大佐、マリーダ機の回収を完了した」

マネキン「ご苦労様です、中佐」

マネキン「マリーダの様子は……どうでしょうか?」

セルゲイ「奇跡的にも軽傷で済んでいる。酷く疲弊しているようだが、本人は作戦行動も可能だと言っていた」

マネキン「そう……ですか」

セルゲイ「グラハムは、間に合わなかったか」

マネキン「その事ですが中佐……」

セルゲイ「?」

マネキン「新たなガンダムが一機、軌道エレベーターに現れグラハムを襲撃したと」

セルゲイ「何だと……!?」

マネキン「幸い、グラハムのフラッグカスタムⅡと国連軍のライセンサーが対抗し追い払ったそうですが、結果として相当な遅れに繋がったと」

セルゲイ「むぅ……」

マネキン「スミルノフ中佐、忌憚ない意見をお願いします」

セルゲイ「うむ」

セルゲイ「大佐、私はこの宙域からの撤退を進言する」

セルゲイ「グラハムには悪いが、彼に一機任せたとして、二機のガンダムを十一機のGN-Xで抑えられるとは言い難い」

セルゲイ「紅く発光してからの驚異的な性能を発揮する能力、ガンダムに装着されたMAタイプの追加武装」

セルゲイ「このままでは、いたずらに兵を失うだけだ」

マネキン「えぇ、私も同意見です」

マネキン「口惜しいのは同じですが……二時間後の後続補給艦と合流し次第、撤退を開始しましょう」

ピピッ

オペレーター「大佐、こちらに接近する友軍機を確認しました」

マネキン「何?」

セルゲイ「生き残りがいたのか」

オペレーター「識別番号を確認……AEU所属、パトリック・コーラサワー少尉です」

ヴンッ

コーラサワー『大佐ぁ、済みません。やられちゃいましたぁ』

セルゲイ「ほう……サブコントロールを破壊されながらよく動かせたものだ」

マネキン「馬鹿者が、心配させおって……」フッ

セルゲイ「!」

セルゲイ「ふふ、成る程な……」


ーバージニア・MSドッグー

コーラサワー「パトリック・コーラサワー、ただいま帰還したぜぇ!」

整備士「あいつまた生きて帰りやがった……!」

Ω「不死身や、彼奴は不死身やで!」

マリーダ「パトリック少尉!」タンッ

コーラサワー「おぉマリーダ、お前も生きてたか」

マリーダ「機体はバラバラにされたがな……多少の打撲と切り傷で事なきは得た」

コーラサワー「そうか」

コーラサワー「……グラハム、間に合わなかったな」

マリーダ「先ほど入った連絡によれば、マスターをガンダムが襲撃したらしい」

コーラサワー「はぁ!? 新型の生き残りか?」

マリーダ「分からん。話に聞く限りでは全くの別物かもしれない」

マリーダ「……もしかしたら、マスターが来ても部隊は撤退かもしれんな」

ピピッ

『後続の補給艦が見えたぞ! 全員準備しろ!』


ー医務室ー

ジョシュア「クソッ……情けねえ、アラスカのジョシュアがこんな事でリタイアとはよ」

ダリル「無理して喋んな。骨が砕けてんだ、肩が上がらなくなるぞ」

ジョシュア「逝っちまった仲間に……ハワードに……何て言えばいいんだ……ッ」

ダリル「……」

ダリル「安心しろ。お前の分まで中尉は御守りしてやる」

ダリル「お前は体を治せジョシュア、フラッグファイターの矜持、見せてやるさ」

ジョシュア「……ゴホッ」

ジョシュア「無理すんなよダリル……ハワードだってよ……」

ダリル「あぁ……分かってるさ」

           ・
           ・
           ・

コーラサワー「へぇ……ソレスタルビーイングにもニュータイプ、か」

マリーダ「マスターとあのガンダムマイスターは、その力で分かり合っていた」ヒュッ

コーラサワー「さんきゅ」パシッ

マリーダ「私は思うんだ……みんなこの能力があれば、人は争わずに生きていけるんじゃないかと」

コーラサワー「……」ズズ……

コーラサワー「プハッ、無理だなそりゃ」

マリーダ「無理……か?」

コーラサワー「幾ら能力を与えられたからって、見えたものが真実とは限らないし、見えた真実に対する行動なんて人それぞれだろ?」

コーラサワー「俺思うんだわ、ニュータイプとか、人類の変革とか……そんなもんに人間が全員なったって、結局人間が人間である限り戦争は起こる」

コーラサワー「それこそ機械か神様にならない限り戦争は終わらない……そしてニュータイプは機械でも神様でもない。つまりはそういうこった」

マリーダ「……」

マリーダ「少尉の能力は私やマスター、ガンダムマイスターとは違う位置にあるようだな」

コーラサワー「あぁ、そりゃ薄々感じてたなぁ」

マリーダ「少尉は……戦争根絶など夢のまた夢だと思うか?」

コーラサワー「まあ、いくら色んなモノが見えたって、俺はAEUのエースとして戦うことしか出来ないしな」

コーラサワー「だから俺は大佐の言葉を信じているのさ」

マリーダ「マネキン大佐を?」

コーラサワー「あぁ、最初こそ一目惚れだが、後々聞いてみたらあの人の考えは現実的かつ俺でも出来ることだ。俺があれこれ変に考えるより、あの人について行けば間違いは無いってそん時思ったね」

コーラサワー「すげー未来が見えても、実現させんのは結局未来に歩いた人間だけさ。俺なんかより、ずっとあの人の方がニュータイプだ」

ゴゥンゴゥンゴゥン

『頭部の接続完了! サブコントロールの調整急げよ!』

マリーダ「……」フッ

マリーダ「パトリック少尉にとっては、マネキン大佐がマスターなのだな」

コーラサワー「おう、大佐は俺のマスターだ!」

マリーダ「ガンダムを倒し、マスターからキスを貰えるといいな少尉」タンッ

コーラサワー「なっ!? 何故その話を……ッ」

マリーダ「あれだけ大きな声で叫べば、な」

コーラサワー「お前だってそんくらい頼めよ、ガンダムに手傷負わせたり艦助けたんだから」

マリーダ「は?」

コーラサワー「頑張れ青春! ってな、じゃあな」

ウィンッ

マリーダ「私も……?」

マリーダ「……」

マリーダ「ッ、私は一体何を考えている……こんなこと!」

マリーダ「ッ……」

マリーダ「…………」ポワワ

マリーダ「~~!」ブンブンッ


ー廊下ー

キュピィィィン

コーラサワー「全く、ちょっとからかったらこれだもんな。可愛い奴」


ーバージニア・廊下ー

ソーマ「……」

ソーマ(あの時の羽根付きの動き、あれは明らかに別人のような動きだった)

ソーマ(中佐や私達が完全に読まれ、ヤザン・ゲーブル大尉でさえ持て余した凄まじい判断力と反射神経)

ソーマ(奴は言った、本当に出来損ないなのは私の方だと)

ソーマ(私は……)

ズキッ

ソーマ「ッ!」

ソーマ「……お前は誰なんだ、マリー、何故私の頭の中で……!」


ーバージニア・ブリッジー

マネキン「どういう事ですか、撤退を認めてもらえないとは!」

『補給艦と一緒に新型機を増援に回した。それらと合同で作戦行動を続行されたし』

マネキン「増援……?」

セルゲイ「まだGN-Xがあるというのか?」

『データを送る。戦術予報に応用されたし』

ピッ

マネキン「……」

セルゲイ「見たことがない通信士だった、デヴァインと名乗っていたか」

マネキン「我々の知らない国連機関が動いている、というのでしょうか?」

セルゲイ「現時点では何とも言えんな」

オペレーター「データが転送されてきました!」

マネキン「モニターに表示してくれ」

カタカタカタッ
ヴンッ

【RGM】

マネキン「ッ!?」

セルゲイ「ご、五十機のMSだと!」

マネキン「何故今更になってこれほどの数を……!」

マネキン「詳細データの方をモニターへ!」

オペレーター「了解しました」

ヴンッ

マネキン「……」

セルゲイ「……これは……」

セルゲイ「どう見る大佐」

マネキン「私は技術者では無いので分かりませんが、このRGMというMSは、疑似太陽炉を搭載せず機体に蓄積した粒子だけで戦うようです」

マネキン「機動力や装甲、機体性能に関しては三国のMSの平均値を少し上げた程度の性能。正直GN-Xほどは期待出来ません」

マネキン「しかし武装にはGNビームライフル、バズーカ大型のGNシールド、GNサーベル……GN-Xの武装と比べても引けを取らない火力を誇る」

セルゲイ「つまり……」

マネキン「これならば、数の暴力でガンダムにも十分対抗しうるかと私は考えます」

マネキン「ただし、トップガンを集めた精鋭三十機で駄目だったのを考えると……」

セルゲイ「数の暴力が何処まで通用するか……だな」

ピピッ

マネキン「!」

セルゲイ「あれがRGMを搭載する輸送艦か」

マネキン「コロンブスtypeと資料には有りますね」

セルゲイ「大きいな、輸送艦というよりは補給艦に近い」

セルゲイ「……む?」

マネキン「あの……金色の光は……?」

ゴォォォォ……


ーアルヴァトーレー

アレハンドロ「…………」

アレハンドロ「ふふ……ふはははは……」


ートレミーー

パァンッ

ティエリア「……ッ!」

スメラギ「今は揉めている時じゃないの、敵はすぐ側に来ているのよ!」

スメラギ「マイスターは自室で待機! これは命令よ!」

ティエリア「……了解」

ウィンッ

スメラギ「……」

スメラギ「……まさか、貴方が此処に来るなんてね。ヨハン・トリニティ」

ヨハン「……」

ヨハン「私の着艦を許可していただき有り難うございます。ミス・スメラギ」

スメラギ「あなた達と同じと思われるのは癪だけど……刹那が武力介入した手前、断る訳には行かないわ」

スメラギ「ティエリアにはああ言ったけど……私も認めてはいないわ。あなた達を」

ヨハン「……申し訳ありません」

スメラギ「と言うのは建て前、王留美から予め貴方の意志は聞いていたんだけど」

スメラギ「私達があなた達トリニティを快く思っていないと知っていながら此処に来て……」

スメラギ「それでも……闘うのね。彼等と」

ヨハン「今となっては、全てあなた方の言うとおりです。私は、我々はガンダムマイスターと言う肩書きに踊らされた愚かな存在」

ヨハン「ですが、我々もガンダムマイスターとしての誇りを持って戦ってきたつもりです……」

ヨハン「ただ一人の欲望の為に利用され散るなど……ッ!」

スメラギ「……」

ヨハン「……済みません、独りよがりに話しすぎました」

スメラギ「いえ……貴方も、一人の人間ってことね」

スメラギ「貴方から手渡されたデータには目を通したわ。まさか、監視者の一人がヴェーダを乗っ取るまでの計画を立てていたなんて……」

ヨハン「アレハンドロ・コーナー。私達を生み出し利用するだけ利用した張本人です」

ヨハン「私は彼に一矢報いると、弟妹に誓いました」

スメラギ「……」

スメラギ「だから、私達を頼ったと言うわけね?」

ヨハン「勘違いをしないでいただきたい」

スメラギ「え?」

ヨハン「あなた達にこの情報を差し出したのは、同じガンダムマイスターとして生き延びてもらう為です。敵が誰かわかれば、私のように罠に嵌る危険性も薄れる」

ヨハン「あなた方は直ぐにこの宙域から撤退を。私が戦うことで謀らずとも時間稼ぎにはなるでしょう」

ヨハン「この艦での私の仕事は終わりました。失礼致します」

スメラギ「待って!」

ヨハン「情報によればアレハンドロはもうすぐ此処に来る。プトレマイオスに寄ったのはそのついでに過ぎません」

スメラギ「敵のGN-Xはまだ十機以上残っているわ! 死ぬつもり!?」

ヨハン「死んだとしてもです! 我々はせめてガンダムマイスターとしての証を立てねばならない!」

スメラギ「そんな……」

スメラギ「犬死にをするために貴方は往くというの……!?」

ヨハン「……」

ヨハン「私は、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターは、その手で数多くの命を奪ってきました」

ヨハン「自らの命が危機に晒されたからといって背中を向けるようなことがあれば、我々にはただ血に濡れた手が残るだけです」

スメラギ「ヨハン……」

ヨハン「何も残らないよりは、せめて志だけでも護りたい。私が奪ってきた命に出来る贖罪があるとするならば、それはやはり戦争根絶に他ならないのだから」

ヨハン「それでは、失礼致します……」

スメラギ「……」

ウィンッ

ヨハン「!」

刹那「……」

ヨハン「刹那・F・セイエイ……!」

スメラギ「刹那……」

刹那「お前のスローネは、ガンダムではない」

ヨハン「……」

スメラギ「刹那!」

刹那「だが」

刹那「お前は、ガンダムマイスターだ」

ヨハン「何……?」

刹那「力を貸してくれ、歪みを正すために」

刹那「スローネの力ではなく、ガンダムマイスター、ヨハン・トリニティの力を」スッ

ヨハン「……良いのか? ティエリア・アーデも言っていた。我々トリニティが居なければ、スローネツヴァイは奴らの手には……」

刹那「ロックオンは言った、ソレスタルビーイングに後退は無いと」

刹那「だったら、過去のことでトリニティを責めることは後退に値する……俺は前だけを見る」

ヨハン(真っ直ぐで歪み一つ無い澄んだ眼差し……)

ヨハン(以前見たときは気付かなかった……成る程、ネーナが惹かれた理由もよく分かる)

ヨハン「一つ聞かせてくれ、刹那・F・セイエイ」

ヨハン「君はガンダムで何を為す?」

刹那「戦争根絶」

ヨハン「今退かねば君は死ぬかもしれない。それでも往くか?」

刹那「死ぬつもりはない。死の果てに神はいない」

刹那「必ず生きて理想を成し遂げて見せる。ロックオンの為にも……必ず」

ヨハン「……ガンダムに乗って、か」

刹那「そうだ、俺がガンダムだ」

ヨハン「ガ、ガンダムか………」

刹那「あぁ、ガンダムだ」

ヨハン「……」

ヨハン「……ミス・スメラギ、作戦に関しては貴方に一任いたします。私はトゥルブレンツ・ユニットの最終チェックをしていますので、そちらに御連絡を」

スメラギ「ヨ、ヨハン君?」

ヨハン「情にほだされた訳ではありませんよ、ただ」

ヨハン「……ただ、賭けてみたくなったのです。刹那・F・セイエイというガンダムマイスターに」フッ

ウィンッ

アレルヤ「あ……」

ヨハン「盗み聞きは感心しないが、そう言える立場に私はいない」

ヨハン「頼りにさせてもらうよ超兵、いや……キュリオスのガンダムマイスター」

タンッ

アレルヤ「……」

アレルヤ「で、どうするんです? スメラギさん」

スメラギ「どうもこうもねぇ……刹那が説得に成功したってことで良いんじゃないかしら」

ハレルヤ「けっ、甘ったりぃ」

スメラギ「え?」

アレルヤ「あ、いえ……何でもないです」

スメラギ「そ、そう……」

刹那「……」

ウィィンッ

イアン『刹那達はいるか?』

刹那「イアン」

スメラギ「イアンさん、整備状況は?」

イアン『ヴァーチェのユニットはフィジカルに切り替えた。だが勝手が違うからな、ティエリア次第ってところか』

イアン『キュリオスは飛行ユニットを切り離せば動かせる。それにしても、手酷くやられたもんだ』

アレルヤ「ヤザン・ゲーブル……奴はまた来るのだろうか?」

スメラギ「もし来たら、任せるわよアレルヤ」

ハレルヤ「お願いしますだろ? 胸だけじゃなく態度もでけえなお姉ちゃんよ」

スメラギ「ちょっ……!?」バッ

アレルヤ「違うんですスメラギさん! 違うんですっ!」

刹那「アレルヤが歪んでいく……」

イアン『何だぁ? やたら楽しそうにしおってからに……』


ースローネアイン・コクピットー

スタッ

ヨハン「ミハエル……結果的とはいえ、一度袂を分かった彼等と行動する私を愚かだと笑うか?」

ヨハン「それとも、いつものように『兄貴がそう言うなら』と認めてくれるか……?」

ヨハン「……きっと、後者なのだろうな」フッ

ヴンッ

ヨハン「待っていろミハエル、私もすぐにそちらに向かうことになる」

ヨハン「アレハンドロ・コーナー……差し違えてでも貴様は倒す……!!」ギリッ

           ・
           ・
           ・


ートレミー・休憩室ー

アレルヤ「ッ……」ズキズキ

ハレルヤ「ようアレルヤ」

アレルヤ「! ハレルヤ」

ハレルヤ「二人格の同時覚醒による超人的反射能力と思考の融合……そりゃ弄くられた脳みそだって許容範囲を脱して、オーバーヒートもするわな」

アレルヤ「……」

ハレルヤ「キツいかアレルヤ、どうせなら俺が代わってやってもいいんだぜ? これからずっとな」

アレルヤ「全く……スメラギさんに弁明するのにどれだけ苦労したか知ってて言うんだから……」

アレルヤ「お言葉に甘えて……とはいかないよハレルヤ」

アレルヤ「君には苦しいことばかり押し付けてきた……今更女々しくはなれない。君こそゆっくりしていてくれ、必ず頼ることになる」

ハレルヤ「ちっ……いっちょ前に気取りやがって」

ウィンッ

ティエリア「……」

アレルヤ「ティエリア」

ティエリア「延々独り言を呟いているからな、気をやったのかと思って入るのを躊躇った」

ハレルヤ「あぁ? ご挨拶じゃねえか男女が、その綺麗なお顔をドロドロにしてやろうか」

ティエリア「冗談だ。その品性が微塵も感じられない発言、君がハレルヤか」

ティエリア「ヴェーダの内容にもあった超兵の研究、その終着点……」

ハレルヤ「……よく調べてやがるじゃねえか」

アレルヤ「……しかし驚いたよ。君が刹那を焚き付けてヨハン・トリニティの作戦への参加を促させた時はね」

ティエリア「我々が国連軍を撃退できれば、世界にソレスタルビーイングの力を誇示しつつ計画を続行出来る」

ティエリア「ヴェーダ無き今私が出来るのは、唯一完全な状態で残ったヴァーチェ・フィジカルを使い戦うことだけ……ヨハン・トリニティはその為に利用しているだけだ」

アレルヤ「……」

アレルヤ(全く、素直じゃないんだから……)

アレルヤ「君が言うなら、そういうことにしようかな」

アレルヤ「ん……?」

フェルト「……」スーッ

アレルヤ「フェルト……あっちはMSドッグのはずだけど……」

ティエリア「先ほど、亡き両親とロックオンに手紙を書いたといっていた」

アレルヤ「遺書かい?」

ティエリア「違う。まだ其方には行けないという決別の手紙だそうだ」

アレルヤ「……」

ティエリア「彼女に嘘をつかせたくはない。アレルヤ、ハレルヤ。この戦い、必ず勝つぞ」

アレルヤ「あぁ……勿論だよ」

アレルヤ「でもティエリア、あまり熱くならないようにね。フィジカルタイプのヴァーチェには慣れていないのだろう?」

ティエリア「そうも言っていられないさ」

アレルヤ「……ふふっ」

『Eセンサーに反応あり、国連軍による第二次攻撃が始まったものと思われるわ』

アレルヤ「!」

ティエリア「来た……!」

『ガンダムマイスターは至急ガンダムで出撃を! 総員、警戒態勢!』

アレルヤ「行こうティエリア」

ティエリア「あぁ……!」


ー宇宙・アステロイド付近ー

マネキン「やはり粒子の移動はデコイだったか……方向からして奇妙だとは思っていたが」

セルゲイ『マネキン大佐、GNーX隊全機出撃用意が出来た』

マネキン「分かりました、敵は恐らくアステロイドの陰に隠れて撤退を試みるでしょう」

マネキン「部隊は当初の予定通り、アルヴァトーレと合同でコロンブスの護衛、予定宙域に到着後RGMを使い六十二機のMS部隊による包囲殲滅を」

セルゲイ『了解した』

マネキン「よろしくお願いします」

マネキン「……MS部隊、発進!」

オペレーター「ね、熱源反応! 本艦の背後ですッ!」

マネキン「え……?」

ズズゥゥン……

マネキン「うぁっ!?」


ーMSドッグー

マリーダ「ッ……!」

ダリル「うぉぉぉ!?」

出撃準備を整え、コクピットの中で待機している最中の激しい揺れ
艦が攻撃を受けたのは間違いなかった、しかしガンダムの攻撃と言うにはあまりにも距離が離れている

マリーダ「大丈夫かダリルッ!」

ダリル「此方は問題ありません!」

ダリルはすぐに平静を取り戻し命令を待っている
流石はMSWAD隊の一員だ、マリーダはモニターの頼もしい部下に微笑みを向けた

マリーダ「よし……ハッチをぶち抜け! 直ぐに艦の外に出る!」

ダリル「了解!」ジャコンッ

異常が発生し開かないハッチを、無理やりビームライフルで破壊しこじ開けようと試みる
容易にバージニアのハッチは砕け、大きな穴の向こうは星の海が広がっている

マリーダ(一体何が起きているというのだ……!)

ダリルはすかさず発進、マリーダも続いて艦の外に飛び出していく

マリーダ「!」

外から見たバージニア艦は、MSドッグの一部を完全に削られ力無く回る棺桶のようであった
辺りにはMSドッグごと破壊されたと思われるGNーXの破片が浮かんでいる、凄惨な光景にダリルが呻くのを耳に感じた

マリーダ「確かあの位置には……」

あの位置はAEUのエース、パトリック・コーラサワー少尉と人革連の残りの兵士がいたはずだ
辺りにはもう片方のドッグから出たと思われるセルゲイ機とソーマ機が浮いている

マリーダ「……」

マリーダ(少尉……まさか……)

ダリル「中尉ッ! 上ですッ!」

マリーダ「はっ!?」

忍び寄る不安をかき消すようにダリルの叫びが響く
マリーダが機体を即座に下がらせる、頭上から粒子を伴う砲弾がすれすれの位置をすんでのところで通り抜けていった

マリーダ「なっ……!?」
マリーダ「馬鹿な、これは……!」

考える間もなく降り注ぐバズーカ弾の嵐、マリーダは機体を加速させそれらを巧みに避けていく
機体を反転させロングライフルを構える、レーダーは敵機を捕捉、この位置ならば当てられる

マリーダ「ッ……!」

放たれた粒子ビームが敵機に着弾する
しかし爆発は起きない……直前で赤い粒子が弾かれて真空にかき消えたようにも見えた

マリーダ「馬鹿な……!」

粒子ビームを防いだ盾の横から、再びバズーカ弾が放たれる
避けることは動作もないが、退いてしまうわけにはいかないのも事実だった
傷ついたバージニア艦を背に、敵を散らさせるようにとビームライフルを放っていく

ダリル「ち、中尉!」

マリーダ「呆けるなダリル! 撃ち返せ?」

ダリル「くそ……何だってんだ一体!」

ダリルは夢でも見ているのかと叫びながらビームライフルを上に撃ち続けている
マリーダからしても、現実に見ていながら半信半疑であった
今自身を撃ち、自身が撃ったMS、それはあろうことか自分達を援護しに来たMS
RGMそのものだったからだ

マリーダ「まずはバージニアを守る! とにかく撃ちまくれ!」

ダリル「了解ッ!」

見える範囲でも十機以上のRGMがこちらを捕捉し攻撃を開始している。バージニアを挟んだ反対側では、既にスミルノフ中佐が二人で別のRGMと交戦しているのが見えた

マリーダ「RGMが此方に戦闘を仕掛けてくるなんて……」

マリーダ(裏切ったというのか……一体何故!)

粒子ビームを回避しながら辺りを見回し、コロンブス艦を探す
ガンダムの方を目指し、一直線に前進している

マリーダ「……いない……!」

マリーダ「あの金色の機体が……何処にもいない!」

目映いばかりの光が、バージニア艦の損壊したMSドッグからマリーダ目掛けほとばしる
全二十二射の粒子ビームの嵐が、壊れて歪んだバージニア艦のコンテナを砕きながら襲いかかる

マリーダ「ッ!?」

機体を回転させ、編み目のような粒子の合間をすり抜けるように避けていく
何かの思念が今此方を見ていた、故に回避も間に合った

マリーダ「誰だ……!」

バージニア艦から剥がれるように姿を現す、金色の疑似太陽炉搭載型MA
マリーダは理解した。最初の一撃は、コイツがバージニア艦に突っ込んだ為に出来たのだと

アレハンドロ「ふはははは……はーっはっはっはっはっはっは!!」

高笑いが星の海を揺らし、MAがGNフィールドの殻に自らを包み込む
二十二門のビームライフル発射口が口を開け、残りのGNーXに狙いを定める

アレハンドロ「さて……誰から殺してやろうか、羽虫共!」

アレハンドロ「私の新世界に不必要なのだよ……貴様等不穏分子はなぁぁぁ!」


ー???ー

リボンズ「アレハンドロは解き放たれたか、ようやく肩の重荷が下りた気分だよ」

プルツー「……ZZZ」スピー

リボンズ「君の妹に対する潜在意識的な非攻撃対象設定は植え付けた……安心して眠るといい、プルツー」

ウィンッ

リジェネ「君は怖い人だリボンズ」

リボンズ「! リジェネか」

リジェネ「あのアステロイド宙域は、さながら君の準備したフラスコの中……」

リジェネ「強化人間、RGM、GNーX、ニュータイプ……果てはイノベイターに至るまで、あの混沌の坩堝でひたすらに殺し合う」

リジェネ「得られるデータが今から楽しみだよ」

リボンズ「……」フッ

リジェネ「RGMまで送り込んだときは、僕も些か真意を図りかねたけどね。現状、三国の機体をカスタム化した方が強いんじゃないかい? オーバーフラッグとか」

リボンズ「三国のMSには先が無いよ。でもRGMにはある、GN粒子の技術が進めば進むほど、その性能を高めることが出来る」

リボンズ「ガンダムやトップガンとの戦闘から得られる戦術データの価値は計り知れない。その為にもRGMの乱入は必須だったのさ」

リジェネ「……」

リジェネ「本当に、そう思ってる?」

リボンズ「……あぁ、無論だよ」

リジェネ「そう、ならいいけれど」

リジェネ(曖昧だねリボンズ、君は彼等を生かしたいのか殺したいのか……)

プルツー「……ん……」モゾッ

リジェネ「っと、これ以上のお喋りはお嬢さんを起こしかねないね」

リボンズ「君の口からお嬢さんと聞くと、無性にむず痒くなるね」

リジェネ「?」

リボンズ「なに、こちらの話さ」

リジェネ「でも、国連軍までアレハンドロの攻撃対象にしなくてもよかったんじゃないかい?」

リジェネ「彼等は人間ながら優秀な戦力だ、おまけに別々の三大国の人間でありながら連帯感もある。計画の第二段階にはうってつけの人間だと思うけどね……」

リボンズ「だからこそ、いなくなってもらわねば困る」

リボンズ「もはや彼等は三大国の軍事力を語る上で欠かせない顔……統合する上で角を落とすのは当然のことさ」

リボンズ「これからの時代、必要なのは一人の英雄ではなく……百人を効率良く動かすシステムだ。オーバーフラッグス、頂武特務部隊……余計な色は塗りつぶすに限る」

リジェネ「その為のRGM、だものね」

リボンズ「……」フッ

リボンズ「無論、自律的に動ける優秀な駒は必要だけど……ね」ナデナデ

プルツー「……ZZZ」

ウィンッ

王留美「それは免許を持った者達が為す役割ということ、ですわね」

リジェネ「!」

リボンズ「……そういうことです」

リボンズ「遅かったですね、王留美」

王留美「あら、これでも最後の瞬間に立ち会えると聞いて飛ばしてきた方なのですよ?」

リボンズ「大丈夫、まだ舞台は始まったばかりだ」

リボンズ「リニアトレイン公社の新総帥を急がせるだけの価値はあると思っていますよ、僕自身は……ね」

王留美「ふふ、楽しみにしていますわ」

リボンズ「いつも一緒にいる男性は……」

王留美「ネーナ・トリニティを見張らせていますわ。兄のヨハンの方は、妙なプロ意識を持ち始めたので切り捨てましたが」

リボンズ「さて、彼の存在が一石を投じることになるのか……」

王留美「見届けましょう。我々が、この青き時代の終わりと変換の始まりを」

                         ・
                         ・
                         ・

アルヴァトーレの二十二の砲口が、周囲のGNーXを確認するかのように別々に動く
狙いを定めようとアレハンドロが意識を集中しようとする中、通信が飛び込んでくる
バージニア艦のマネキン大佐からだった

マネキン『何を考えているのですかアレハンドロ氏! 国連軍を裏切りガンダムの側に付くおつもりか!?』

アレハンドロ「……」

マネキン『答えろ、アレハンドロッ!』

アレハンドロ「事の重大さに気付かぬ駒が……騒々しい」

マネキン『何……!?』

アレハンドロ「世界はもはや私の手中にある。取捨選択の権利は私にあり、君らはその選択にあぶれて落ちた。それだけなのだよ」

マネキン『ばっ……!?』

アレハンドロ「馬鹿を言うな、かね?」

マネキン『!』

アレハンドロ「ならば理由を作ってやろう。そうだな……」

アレハンドロ「君は先ほど私を呼び捨てにした、だから始末する。」

アレハンドロ「これで良かろう、カティ・マネキン!」

もはやまともな会話すら成り立たない。マネキンが絶句する顔をモニター越しに見つめ、アレハンドロは笑みを浮かべた

マリーダ「ふざけるなッ!!」

アレハンドロ「!」

その余韻を打ち消すように、アルヴァトーレのGNフィールドに粒子ビームが撃ち込まれる
機体は些かも揺るぎはしないが、GNフィールドを解除するタイミングを失いバージニア艦を逃してしまう

アレハンドロ「恐るべき妹達の生き残りか……」

マリーダ「違うッ! 私はマリーダ、マリーダ・クルスだ!」

ダリル「俺達はてめえの玩具じゃねえッ! 死ねと言われてはいそうですかと死ねるかよ!」

RGMの猛攻の合間をかいくぐり、アルヴァトーレの周囲を回るように一撃を放っていくGNーX
次第に加速するその輪に、次々と機体が加わっていく

ソーマ「中佐の前に立ちはだかるというなら……私が倒す!」

セルゲイ「マネキン大佐! もはや彼には言葉は通用しない!」

マネキン『ッ……!』

セルゲイ「緊急事態だ、即時撤退を進言する!」

セルゲイ「我々が此奴等を食い止めている隙に艦を安全な位置へ!」

セルゲイの叫びに、困惑の色がマネキンの顔からすっと抜けていく
不測の事態にはもう慣れているではないか、そう自身に言い聞かせ彼女は帽子の位置を直し前に向き直る

アレハンドロ「鬱陶しい小蝿め……」

しかし、周囲を圧するプレッシャーがアルヴァトーレより放たれれば、今にも噛みつかんとしていた国連軍のGNーXも黙して引き金から手を離す
人間性、コミュニケーション能力、人間としての必須機能を手離した代わりに得た力は絶大なもので、アレハンドロを嫌うリボンズでさえ認めた程である

マリーダ「ッ!?」

アレハンドロ「力の差を見せつけてやらねば、ささやかな希望も手放せないと見える」

数多の砲身が、まるで別々の生き物のようにGNーX各機を追随していく
サイコミュによる端末機操作と同様のシステム、その精神波にマリーダも反応を示す

アレハンドロ「おののけ、これがアレハンドロ・コーナーの駆りしアルヴァトーレの力だッ!」

マリーダ「全機、来るぞッ!」

一斉に放たれる粒子ビーム、一門一門が違う機体を狙い、正確に目標を狙い撃つ
一発一発が精密射撃に匹敵する狙撃の域にあった

マリーダ「くぅっ!?」

ソーマ「ッ!」

マリーダ機とソーマ機は辛うじて回避するが、セルゲイ機は左足を貫かれ、ダリル機は数発の粒子がかすり機体の節々から火花を散らしてしまう
そして、残存した八機の内半数にあたる残りの頂武GNーX四機は、跳ね上げられた上に粒子ビームを十数発叩き込まれ、全機無惨に破壊されていった

マリーダ「……おのれッ……!」

ダリル「くそっ! 化け物かよあのMA!」

セルゲイ「圧倒的ではないか……!」

紅いGN粒子の爆炎の中、アルヴァトーレは悠然と佇んでいく
棘のような恐怖が、対峙する精鋭の心に刺さる

アレハンドロ「ふひゃははははは! 一撫でしただけで半壊とはな、国連軍とて私とアルヴァトーレの敵ではなぁぁい!」

反転するアルヴァトーレ、虫の息の国連軍を無視するかのようにコロンブスを追う

マリーダ「……!?」

アレハンドロ「飽きた。やはりガンダムこそが我がアルヴァトーレと世界に捧げる生け贄に相応しい」

アレハンドロ「お前たちの始末はその量産型に任せるとしよう。さらばだ……旧時代の落とし子共」

アルヴァトーレが退いたことで再び周囲を取り囲むRGM、その数は十五機
破損した四機対無傷の十五機、性能差と技量で逃げ切れる範囲を超えた、まさに多勢に無勢の状況にあった

ソーマ「中佐……!」

セルゲイ「慌てるな少尉、無傷の君と中尉だけが今は頼りだ」

ソーマ「は、はいっ!」

マリーダ「ダリル、大丈夫か?」

ダリル「直撃は避けましたぜ! 五体満足、まだやれます!」

ダリル「耐えましょうぜ中尉、あの人はきっと来てくれます!」

マリーダ「その意気だ……!」

セルゲイ(あのMAのパイロット、アレハンドロといったか……)

セルゲイ(感情にムラがありすぎる、不安定といっても過言ではない)

セルゲイ(まさかとは思うが……)

セルゲイ「ぬぅっ!?」

RGMの一機が、方向転換を始めたバージニア艦目掛けビームガンを見舞う
セルゲイは射線上に割って入り、シールドで弾き返しバージニアを守り抜く
一機の攻撃を皮切りに、粒子と砲弾が四方八方から降り注ぐ
GNーX一機辺り、単純に倍の攻撃が集中する。逃げ場など、何処にも無い

マネキン「本艦の損傷はッ!?」

オペレーター「第二ブロック被害甚大、第四出力部のエネルギー供給がストップしています!」

オペレーター「速度は77パーセント低下! 右前部リニアキャノン停止! 被害甚大! 被害甚大!」

マネキン「ッ……」ギリッ

マネキン「第二ブロックへ人を回せ! 第四出力部のエネルギーは第二、第三から回して航行速度の安定を第一に!」

状況は最悪と言って良かった
ものの五分でバージニアは甚大な被害を被り、戦力は三分の一にまで削り落とされた
おまけに敵には包囲され、残りの戦力も損傷しており万全ではない
アルヴァトーレがいなくなった現状でさえ、事態は好転する素振りさえ見せない

マネキン「ッ……!」

砲弾が左舷すれすれで爆発、艦を大きく揺らす
マネキンの脳裏にもまた、死の予感が忍び寄っていた


ーバージニア・MSドッグ(半壊)ー

整備士「こりゃひでえ……!」

別のブロックから様子を見に来た整備士は、アルヴァトーレの突貫により破砕されたMSドッグに言葉を失う
強力な万力でねじられたように変形したGNーXがそこかしこで火花を散らし、その場にいた整備士達の遺体も宇宙に投げ出されたのか、血の一滴さえも其処には存在しない

整備士「ッ……」

彼等もプロだった。亡くなった同僚の為にも、今は使える武器や機体を探そうと辺りを見回していく

整備士「ん?」

整備士(今、奥の方で音がした? いや宇宙空間だぞ……?)

ガタンッ

『いてて……何なんだよこの有り様は、敵襲かぁ?』

整備士「ひぃ!?」

コーラサワー「お? どうしたよお前ら……」

整備士「パ、パトリック少尉!?」

整備士「……何で生きてるんですかこの惨状の中で!?」

コーラサワー「知らねえよ! 生きてて悪かったみたいな言い方すんなっ!」

コーラサワー「まあいい、GNーXはまだあるか!」

整備士「え……?」

コーラサワー「え……じゃねえよ! AEUのエースはこの俺、パトリック・コーラサワーだ!

コーラサワー「俺がやらなきゃ誰がやる! 出撃するったらするんだッ!」


ートレミーー

スメラギ「国連軍同士が交戦している……?」

フェルト「はい、熱源は此方から確認出来るだけでも二十以上あります」

リヒティ「仲間割れ……っすかね?」

ラッセ『どうする、スメラギさんよ』

スメラギ「……」

ピッ

スメラギ「この通信を聞く、全ガンダムマイスターに問うわ」

刹那『……』

アレルヤ『スメラギさん……?』

ティエリア『……』

ヨハン『……?』

スメラギ「国連軍同士か、はたまた第三者が加わったのかは現時点では不明」

スメラギ「でも、現に私達の目の前で国家戦力がぶつかり、戦闘行為を繰り広げている……」

スメラギ「これは、紛争と見なすことが出来ないかしら?」

刹那『!』

ハレルヤ『ほぉ、言うようになりやがった』

ティエリア『無論だな』

ヨハン『フッ……』

リヒティ「行くんすね?」

ラッセ『よっしゃ!』パシンッ

フェルト「ソレスタルビーイングに……沈黙は許されない」

クリス「スメラギさん!」

スメラギ「決定、みたいね」クスッ

スメラギ「これよりプトレマイオスは前進、前方の国連軍の戦闘行為を紛争と断定、武力介入を行います」

スメラギ「ガンダムは全機出撃! プランB2にて対応を!」

刹那『了解!』

ラッセ『行くぜ刹那ァ!』

アレルヤ『了解!』

ティエリア『了解』

ヨハン『……了解』

ヨハン『偵察のためスローネは先行する、ミス・スメラギ、許可を』

スメラギ「許可するわ。ただし、攻撃にはこちらの許可を申請するように」

ヨハン『了解、スローネアイン・トゥルブレンツ、先行する!』



ダリル「畜生! 何て数だ!」

マリーダ「えぇいッ!」

ロングライフルの砲身をパージ、構えたビームライフルとバルカンでひたすらに弾幕を張る
それでも敵機の粒子ビームはバージニアの装甲を焼き、艦の至るところから警告音が発せられていく

マネキン『スミルノフ中佐、小型艇で何とか乗員を脱出させます! 小型艇の援護をしつつ撤退を!』

セルゲイ「バージニア艦を放棄するおつもりか!?」

マネキン『出力も安定しないこの艦では荷物同然です。このまま皆で宇宙の藻屑となるよりはよろしいでしょう……!』

マネキン『本艦はそのままルートを変え囮になります。中佐、後はよろしくお願いします……!』

モニターに映るマネキンは、覚悟を決めたように笑っている
恐らくは艦と運命を共にするつもりなのだろう
バージニア艦が守りきれない以上何処かで放棄するしかない、それはセルゲイにも痛いほど分かっていた
セルゲイは、彼女を直視できずに俯く

ソーマ「まだ諦めないでください、大佐ッ!」

ダリル「俺達だけでもやってやりまさぁ!」

ソーマ機は持ち前の反射神経で火線を押し上げ、敵を下げようと試みる
ダリルは、速度の上がらない機体を上手く扱い何とかして防衛の役割を果たそうとしている
バージニアの傍らで、四機は必死に艦を守り防戦していく
しかし、これ以上は保たない
撃ち込まれた粒子ビームをシールドで受け、マリーダ機が激しく揺れる

マリーダ「つぅっ!」

マリーダ自身、このままではいずれ死ぬ。それもよく分かっていた
だからこそ、無傷の自機が切り開かねばならない。覚悟は、とうに出来ている

マリーダ「ダリル、艦は任せる!」

ダリル「中尉ッ何を!?」

バルカンで牽制しながら、RGMの集団の真っ只中に飛び込んでいくマリーダ
NGNバズーカを構える一機に急接近し、ビームサーベルを抜き放つ

マリーダ「墜ちろォッ!」

シールドでバルカンを受けるRGM、バルカンが命中し赤熱した部分に勢い良く刺突を繰り出す
融解し突き抜けた刃はRGMの胸部まで到達、装甲を切り裂き内部コンデンサーを炸裂させ背部から血のような粒子を噴き出した

マリーダ「はあぁッ!」

ビームサーベルから手を離し、RGMの喉元を掴み引き寄せる
とっさに左方向に向き直ると、RGMを盾代わりに粒子ビームを受け止め、そのまま別の敵機に猛接近
捕まえたままの機体を敵機目掛け投げつけた

マリーダ「二つ目だッ!」

RGMの爆発に怯んだ別の一機、そのシールドの緩んだ隙間をビームライフルで即座に撃ち抜く
まだ十三機いるとはいえ、包囲するように展開するRGMはこれにより片側の攻撃の密度を薄めることになる
それを見逃すカティ・マネキンではない

マリーダ「大佐!」

マネキン『ッ……!』

マネキン『艦を十時の方向に向けろ! 包囲から抜け出すッ』

セルゲイ「ピーリス少尉、バージニアの腹を守れ! 頂武特務部隊の意地を見せろッ!」

ソーマ「了解!」

セルゲイ「無茶をするなよダッジ准尉! 殿は私が務める!」

元々マリーダの認識に自身の存在価値など存在しない。故に無理のある突撃を、何度も何度もこなしていく
四機目のRGMが、胸に風穴を開けられ爆散し消える中、レーダーが高速で飛来する敵機を捕捉する

マリーダ「ッ!?」

マリーダ機の背後から猛追するRGM、そのカラーリングは緑。
背部には他のRGMには無い筒状のプロペラントタンクが四基、そしてGNーXにも劣らぬ速度を見せるスラスターが一際目に付く
指揮官機用にカスタマイズされた特別機、武装も他とは違う

マリーダ「司令塔か……!」

マリーダ(此奴を墜とせば、指揮も乱れる!)

ダリル「中尉、援護します!」

マリーダ「不要だ! バージニアを守れダリル、これは命令だ!」

マリーダ(大佐達を、私の大切な人々を死なせるわけにはいかない!)

マリーダ「私が相手だッ!」ヴンッ

ビームサーベルを抜くGNーX。RGMカスタムもまた、右手に握る高出力のビームジャベリンに粒子の刃を形成させる
向かってくる深緑の影に、自らも操縦桿をきつく握りしめた

ドクンッ

マリーダ「っ!?」

その時だった。心臓が歪むように鼓動を放ち、幾千の針が締め付けるような圧迫感が肺を襲う

マリーダ「かふっ……!」

マリーダ(こんな時に……!)

以前、スローネアインの砲撃により植え付けられた忌々しいGN粒子の毒。不定期に訪れる発作が今になって現れてしまった
呼吸をしようにも、釘で打ちつけられたように横隔膜は動かない
全身の汗腺が開き、汗が噴き出す。GNーXの動きが、止まる

マリーダ「あぅっ!?」

RGMカスタムのジャベリンの刃がGNーXの右腕を叩き斬る
マリーダは激しく揺さぶられながらも、薬を取り出し無造作に口へと放り込む
即効性故に、呼吸を阻害する釘は直ぐに引き抜かれ、空気が肺を満たす

ダリル「中尉ィッ!」

しかし敵機へと向き直る前に、ビームライフルの猛攻で左腕と右足が落とされる
意図して急所を外したような戦い方に、マリーダは為す術を失っていく

マリーダ「う……っ」

薬の効力が出た頃には、頭部を砕かれ全ての武装を失ってしまう
至近距離、サブカメラにはRGMの顔が大々的に映し出されている

ダリル「やらせるかよッ!!」

ソーマ「ッ……!」

二機が援護に向かおうとした瞬間、他のRGMが二機を遮るようにビームガンを乱射する

ダリル「退けぇぇぇぇ!」

ソーマ「中尉ッ、マリーダ中尉ィィィ!」

マリーダ「……」

ダリルとソーマが叫んでいる、しかしそれも段々と遠退いていくように感じた
死を覚悟し、瞼を閉じる
軍属である以上、そしてガンダムと戦う以上、それは避けられない事である
無双の古強者でも死ぬときは死ぬ
自身など、生き延びてこれたのが不思議なくらいだ
死ぬときは造作もなく死ぬ。戦いとは、兵士とはそういうものだ

マリーダ「……」

でも

でもやはり、最期くらいはと思ってしまう

最期だけでもと、願ってしまう

死の間際ならば尚更のこと、逢いたかった

マリーダ「申し訳ありません……マスター……」

何一つ守れなかった後悔から視界が歪み、涙が粒となって辺りに漂う
RGMの指がコクピットに当てられ、ミシリと不吉な音を立て始める
このまま押しつぶそうというのだろうか
潤む眼が、モニターに割って入る影を写し出す

マリーダ「……え」

RGMカスタムが、横合いから突き出された拳に殴られ視界から消える
代わりに現れたのは、漆黒のボディに浮かび上がる、ユニコーンと翼のマーキング

マリーダ「あ……!」

見紛う筈も無い。自身が憧れた、あのマーキングを
見紛う筈が無い。自身が誇りとした、このMSを

マリーダ「フラッグ……!」

『待たせたな、フラッグファイター』

接触回線により通信が飛び込んでくる。あの夢以来待ち望んでいた、主の声が鼓膜をくすぐった

                         ・
                         ・
                         ・

グラハム「無事か、マリーダ」

マリーダ「……はい……!」

グラハム「何とか間に合ったようだな、我等フラッグファイターを繋ぐ赤い糸は、まだ切れてはいないらしい」

グラハム「……」

マリーダ機から少し離れ、バージニア艦とRGM達を見下ろすグラハム
一次戦闘が終わり、半数以上の味方を失ったというのは聞いていた
その無念を晴らすことも出来ず、裏切りによって命を散らせた仲間の悲痛な叫びを彼は感じ取っていた

グラハム「よくもやってくれたものだ……アレハンドロ・コーナー……!」

先ほど殴り飛ばしたRGMカスタムがジャベリンを構え突貫してくる
恐らくは最大戦速、その速度は他機の比ではない
交差する機影。RGMカスタムのジャベリンはGNフラッグを捉えることなく虚空を掠め、通り過ぎていく
すれ違いざまに胴を払われ、下半身のみを僅かに遅らせながら暫く走らせたものの、そのまま爆発し宇宙の塵となる

グラハム「……許さん……!」

グラハム「許さんぞッ! 貴様等ァァァァァァァ!!!」

バイオシートが怒りに呼応、GNフラッグは一瞬で加速しRGMの集団に飛び込んでいく
反応しきれぬ一機が、盾ごとその身を真っ二つに斬り捨てられた

グラハム「まだだぁぁぁぁぁ!!」

急停止からの再加速、乱れた陣形に自らの身を投げ込む
ビームガンの一撃をGNシールドで防ぎ、カタギリがシールドに追加した鉤爪状のアタックスパイクを懐にねじ込む

グラハム「はぁぁぁッッ!!」

そのまま加速、食い込むスパイクがオイルの血に濡れ火花で燃える
別のRGMに押しつけるように体当たりをかまし、ロングソードを振るい諸共に両断する
背後からその隙を狙うかのように、ビームサーベルを抜いたRGMが襲い来る

グラハム「温い!」

サーベルの切っ先がフラッグに突き刺さる前に、振り向きざまの一閃がサーベルを握る腕を斬り飛ばす
刃を握ったままの腕が宇宙空間に舞う

グラハム「剣とは……!」

グラハム「こうして使うものだッ!」

舞ったビームサーベルを腕ごと掴み、上から叩きつけるようにRGMに突き刺す
火花を噴き出す機体を蹴り飛ばし、爆風を背にバージニアの方へと移動する
ダリルがマリーダ機を回収する間、バージニアと敵機の合間を埋めねばならないからだ

グラハム「中佐ッ!」

セルゲイ「グラハム、間に合ったか……!」

グラハム「遅れて申し訳ありません! アレハンドロ・コーナーは!?」

セルゲイ「奴を知っているのか!」

セルゲイ「だがまずはバージニアの安全確保だ、頼らせてもらう!」

グラハム「そのご期待に沿いましょう! ピーリス少尉、残りを一挙に殲滅する! ついて来い!」

ソーマ「了解、グラハム大尉!」

                         ・
                         ・
                         ・

ピピッ

ヨハン『ミス・スメラギ、巨大な熱源を二つ此方で確認した』

スメラギ「二つ? まさかGNーXを展開せずに輸送艦で接近しているというの……?」

ヨハン『そちらに映像を転送する』カチカチッ

ヴンッ

スメラギ「!」

クリス「この光……疑似太陽炉を搭載した新型艦?」

リヒティ「白い方、箱みたいっすね。やたらとデカいっつうか」

スメラギ「輸送艦だとするなら……中身はやはり国連軍のMS?」

スメラギ「もう一つの機体……これは護衛の戦闘艦……いえ、疑似太陽炉搭載型のMA?」

ヨハン『ミス・スメラギ、有効射程内に入った。攻撃の許可を』

スメラギ「……」

スメラギ(敵の出方が分からない以上、先手は撃っておきたい……)

スメラギ「許可します。先制攻撃を!」

ヨハン『了解、スローネアイン・トゥルブレンツ、目標を攻撃する』

クリス「スメラギさんッ! 敵MAから高エネルギー反応!」

スメラギ「この距離からッ!?」


ーアステロイド宙域ー

ヨハン「馬鹿なッ!?」

スローネアインの横を、凄まじい熱量の激流が走る。方角からして、狙われたのはプトレマイオス
通信の状況を鑑みるに、かなりの損害を被ったようだ

ヨハン「……ッ!」

アレハンドロ「出てきたらどうかね、死に損ないの羽虫!」

ヨハン「!」

金色のMAからの通信、モニターに映し出されたのは怨敵とも言える憎い男、アレハンドロ・コーナー
ただしその顔は、投薬と手術により肥大化した神経と血管が浮き出た醜悪なものになり果てていた

ヨハン「アレハンドロ・コーナァァァァァ!!」

隕石の陰から躍り出て、GNブラスターを乱射するスローネアイン。しかし粒子に守られたアルヴァトーレには傷一つつかない

ヨハン「ちっ、厄介な装備を……!」

アレハンドロ「てっきりプルツーとサーシェスに始末されていると思ったが、まだ生きていたとはな」

アレハンドロ「まあいい、私が直々に貴様を冥府に送りつけてやろう。このアルヴァトーレでな……!」

ヨハン「ミハエルの仇、取らせてもらう!」

アレハンドロ「はぁ?」

アレハンドロ「やれるわきゃねえだろぉがぁぁぁぁッ!?」

ヨハン「ッな……」

本人を知る人間からすれば到底吐きようがない罵声、同時にスローネアインのレーダーに追加される三十五の熱源体

ヨハン「新型の量産機!?」

三十一機のRGM、四機のRGMカスタムにより構成される大部隊は、大きく二手に分かれプトレマイオスを目指し移動を開始する
コロンブス艦でさえも前進する中、小さな熱源がヨハンを取り囲む

ヨハン「ッ!」

違和感に身を任せての上方向回避、粒子ビームがスローネアインをすり抜ける

ヨハン「ファングだと……?」

アレハンドロ「その通りッ! このアルヴァトーレには、貴様等ガンダムに搭載された全ての機能が搭載されているのだよぉ!!」

ヨハン「ちっ!」

数多のビームライフルの掃射を、飛行形態に変形し回避していく
隕石群を物ともせずに打ち砕く火力に、ヨハンもまた芽生える恐怖にたじろいだ

アレハンドロ「ふはぁはははははッ! 素晴らしい、素晴らしいぞアルヴァトーレッ!」

アレハンドロ「さぁ来いガンダムッ! 貴様等の太陽炉を手に入れ、私が世界を統べるのだッ!」

ヨハン「笑わせてくれるな、アレハンドロ・コーナー」

アレハンドロ「……何だと……ッ?」

ヨハン「如何にそのMAが強かろうと、乗っているのが貴様では話にならん」

ヨハン「世界を変革に導けるのは、貴様や我々ではない……」

ヨハン「そう、それが為し得るのはソレスタルビーイングと……ガンダムマイスターのみ!」

アレハンドロ「貴様ァァァァァ!」

ヨハン「貴様も私も、この世界には不必要な存在だ……」

ヨハン「トリニティの生みし業は私が背負うッ……貴様を倒して私も死のうッ!! アレハンドロ・コーナー!!」


ーバージニアー

マネキン「……」

オペレーター「信じられない……」

マネキン「私もだよ」

マネキン「まさかあの絶望的な状況から、たった一機の戦力で此方の消耗も無く敵部隊を全滅させられるとは……」

オペレーター「……」

オペレーター「出力部、エネルギー供給安定しました」

オペレーター「このまま撤退するのですか?」

マネキン「……」

マネキン「グラハム大尉は?」

オペレーター「まだMSドッグの方かと」

マネキン「繋いでもらえるか?」

オペレーター「了解しました」

マネキン「……」グッ


ーMSドッグー

グラハム「ガハッ……!」

先刻手渡されたタオルにこみ上げた鮮血を吐き出し、MSドッグの陰の壁に力無く寄りかかる
暴力的とも言えるユニオンフラッグカスタムⅡ、GNフラッグの加速力に内臓はボロボロにされているのだろう
RGM七機を撃墜したその戦闘力も、命を削った故の力であった

グラハム「……」

グラハム(マネキン大佐は、そろそろ決心する頃だろうな……)

グラハム「……」スッ

グラハム「ハワード、決着の時は近いぞ。お前との誓い、必ずや果たしてみせよう」

グラハム「私と、マリーダのフラッグでな」

整備士「グラハム大尉! マネキン大佐より通信が入っています、至急……!」

グラハム「了解した、ブリッジには直ぐに向かうとお伝えしてくれ」

整備士「へ? あ、は、はい!」


ーブリッジー

グラハム「……」

マネキン「来たか、グラハム」

セルゲイ「……」フッ

ソーマ「マスター・グラハム!」パァッ

グラハム「グラハム・エーカー上級大尉、只今ブリティッシュ作戦に合流致しました」ビシッ

マネキン「うむ、先ほどは助かった。緊急時故に挨拶はこれくらいにしよう」

グラハム「……」

ダリル「隊長」

グラハム「ダリル、私のいない間よくぞ戦場を支えてくれた」

グラハム「この礼、言葉では言い尽くせん。感謝するぞフラッグファイター」

ダリル「いえ、俺達は隊長が来てくださると信じておりました。一足先に撤退したジョシュアや、散っていった仲間達も報われます」

グラハム「……」

ダリル「隊長……俺は……俺は……ッ!」グスッ

セルゲイ「准尉……」

グラハム「ダリル……済まなかった」

マネキン「……」

グラハム「大佐、作戦は?」

マネキン「まだ私は何も言っていないぞ?」フッ

グラハム「お顔に書いてありますよ。ガンダムとの決着を着けに往く、最後の作戦を行うとね」

マネキン「……やれやれ」

マネキン「悔しいがその通りだグラハム。だが、参加を拒否する自由は全員にある」

マネキン「我々はこれより、GNーX四機とGNフラッグ一機のみでRGM三十五機、アルヴァトーレ一機、ガンダム三機のいる戦場に飛び込もうというのだ」

ソーマ「……」

ダリル「……」

セルゲイ「……」

グラハム「……」

グラハム「あと一機は、マリーダですか?」

マネキン「いや、残念ながら彼女は出られん。GNーXが大破してしまったのと、例の発作が確認されたからな」

グラハム「!」

マネキン「かなり食い下がりはしたが、修正して思いとどまらせた。済まないグラハム、君の部下に手を上げた」

グラハム「いえ、彼女はそうでもしなければ止まれないでしょう。汚れ役を引き受けていただき、ありがとうございます」

マネキン「何、気にするな」

マネキン「代わりの人員は、君の良く知る男だ」

グラハム「と、言いますと……」

『大佐ァーッ! このパトリック・コーラサワー、いつでも出撃出来ますよー!』

グラハム「!」

グラハム「パトリック・コーラサワー少尉! 生きていたのか!」

コーラサワー『ようトップガン、俺様が出撃するからには、タイタニックに乗ったつもりでいていいぜ!』

セルゲイ「それでは沈んでしまうではないか……」

グラハム「……」

グラハム「あぁ、頼りにさせてもらおう。頼んだぞ少尉」

コーラサワー『おう! 任せとけって!』ドンッ

グラハム「マネキン大佐」

マネキン「やるのだな、グラハム」

グラハム「……」コクン

グラハム「我々はガンダムとの決着のために今まで戦い続けてきました」

グラハム「にもかかわらず、最後の最期、裏切り者の手により幕が下りてしまったら……私は部下の墓前に立つことさえ出来なくなる」

セルゲイ「……」

ソーマ「中佐……」

グラハム「命を賭けて彼等とぶつかってきた我々こそが、ガンダムと雌雄を決するべきです」

グラハム「大佐、ミッションプランを授けていただきたい。戦術予報師としての貴女を、全面的に信頼させていただきます」

マネキン「……」スッ

マネキン「頼む。必ず、全員生きて帰ってきてくれ」

グラハム「……はい、大佐」

セルゲイ「行くぞ少尉、准尉。準備をする」

ソーマ「はい、中佐」

ダリル「了解!」

グラハム「ダリル?」

ダリル「出撃前に、中尉に会っていってくださいよ隊長」

ダリル「あの人が頑張ってくれなきゃ、俺達は全滅してたかもしれませんからね。褒めてやってください」

グラハム「……上官だぞ? ダリル」フッ

ダリル「おっといけねぇ……聞かなかったことにしてください」

ダリル「じゃ、先行ってますぜ」

グラハム「……」

グラハム「部屋にはいないな……となれば、やはり彼処か」タンッ


ーMSドッグー

マリーダ「……」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「!」

グラハム「お前なら、見送りに来てくれると思っていたよ」

マリーダ「マスター……」

グラハム「……」チラッ

ソーマ「!」

ソーマ「……!」ウィンッ

コーラサワー「~♪」ウィンッ

グラハム「全く、余計な気を遣う……」フゥ

マリーダ「マスター」

グラハム「む?」

マリーダ「申し訳ありません……最後の戦場にマスターが間に合って下さったにも関わらず、私は……」

グラハム「謝る必要など何処にもない。お前はフラッグファイターとしての責務を果たした、私はそれを誇りに思うよ」

マリーダ「!」

グラハム「お前の想い、そして散っていった全てのフラッグファイターの想い……我が剣に乗せ、必ずやガンダムとの闘いに終止符を打ってみせよう」

グラハム「それがこの私、グラハム・エーカーが為すべき事……」

グラハム「だから待っていてくれマリーダ、必ず生きて帰る」

マリーダ「……了解、マスター」

グラハム「マスターとは呼ぶな!」

マリーダ「っ!?」

グラハム「……」

マリーダ「……っ」

マリーダ「……待っています、グラハム」

グラハム「それでいい」フッ

グラハム「……」スッ

マリーダ「っ……」





『ミッションタイムまで残り五分、パイロットは準備を始めてください』





グラハム「……」

マリーダ「……」

グラハム「行ってくる」

マリーダ「ご武運を……マスター」

グラハム「あぁ」

ウィンッ

グラハム「……」

ピッピッ

グラハム「粒子は何とか八割方回復したか……」

コーラサワー「良いのかいトップガン」

グラハム「ん?」

コーラサワー「あんた、生きて帰れるって思ってないだろう? だのにあんな……」

グラハム「勝手な男だと笑うか?」

コーラサワー「……いや、あそこで何もしなきゃそれこそ男の名折れだわな」

グラハム「だが、折れてでもあそこは我慢すべきだったのかもしれんがな……」

コーラサワー「我慢弱いくせに強がんなっての」

グラハム「……耳が痛いな」

コーラサワー「……」

コーラサワー「死ぬなよトップガン、あのMAが滅茶苦茶強いのは聞いたし、そのフラッグがやべえのは何となくわかってらぁ」

コーラサワー「だからこそだ、絶対死ぬんじゃねえぞ」

グラハム「……」

グラハム「とうとう君にまでレディの扱いに口を挟まれるとはな……」

コーラサワー「おいおい、女を口説かせたら俺はAEU1、いや世界一だぜ?」

グラハム「生きて帰ったら、酒の肴にしよう」

コーラサワー「おう、一杯奢るぜ!」

グラハム「ふっ……」

グラハム「グラハム・エーカー、フラッグ! 出撃するッ!」


TO BE CONTINUED...

ソーマ「」←見ていた人


次回『union』

時代の変革の波、男は変われるのか、それとも……



【RGM】
見た目としてはジムカスタムに近い。色はジム同様
武装はGNビームガン、GNビームサーベル、NGNバズーカ、GNシールド
機体と武装の全てがGNコンデンサーに貯蔵された粒子によって賄われている、故に稼働時間は短く大気圏内の飛行は可能ではあるが、初期型では考慮されてない
ただし生産性が高く、疑似太陽炉さえあればコロンブス艦などが無くとも運用が出来る
最悪GNーXが一機いれば問題無く部隊レベルで動かせる(GNーXの補給を考えなければGNーXが止まるが)
性能は一般的な全領域型でも三国のMSを少し上回る程度、GNーXには火力を除くあらゆる面で劣る


【コロンブス艦】

疑似太陽炉搭載型の輸送艦。
RGM運用艦として大量の電力と粒子を蓄えることに特化した艦であり、武装は無く、表面はGN複合装甲とシールド技術と同様のフィールドで守られている
コロンブス内の十基の疑似太陽炉で、五十機以上のRGMタイプを問題無く一定期間運用出来る
UCの補給艦としての運用は殆ど出来ない上、生活スペースなどが本来必要なレベルに到達していない等問題点も多い
アレハンドロ御一行はブリング・デヴァインと同様の遺伝子配列のイノベイド兵に強化措置を施し乗せている為コロンブス艦だけの運用が可能


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