魔法少女まどか☆イチロー 第一話

2011年07月29日 19:09

 最悪の結末を迎える未来。

 その未来を変えるため、親友との約束を守るために暁美ほむらは時間を逆行する。

 しかし、現実は非情である。

 何度時を繰り返しても、変わらない結末。
 
 そんな彼女が最後に頼ったのは、ある一人のメジャーリーガーだった。


 苦しいことの先に、あたらしいなにかが見つかると信じています――


 史上最強のアスリートが人類存亡の危機に立ち向かう



   魔法少女 まどか ☆ イチロー




魔法少女まどか☆イチロー

1 :◆pbCrJT38xt7R [sage]:2011/04/09(土) 19:59:07.41 ID:y4wKISZKo

 鹿目まどかは、荒廃した暗い街の中で、“闇”と戦う一人の長い黒髪の少女の姿を見た。

 闇の中心には、巨大な歯車のようなものが見える。まどかにとって、これまで見たことのない物体。
 でもそれが危険なものであることは本能で理解できた。

 巨大なビルが宙を舞う。

 闇と戦う少女は、不思議な力を持っているらしく、飛んでくるビルやコンクリートなどの塊をかわしながら、巨大な闇に向かって攻撃をしようとする。

 しかし、少女の力はその闇に対してはあまりにも小さかった。

 十分な攻撃を加えるどころか、相手側からの攻撃をかわすだけで精いっぱいといった印象だ。

「酷い……」その光景を見てまどかは言葉をもらした。

「しかたないよ。彼女一人には荷が重すぎた」

 どこからともなく声がする、と思ったら彼女の隣には、小型犬くらいの大きさで、白い身体、そして赤い瞳をもつ不思議な生物だ。

 しかし、まどかはその時、不思議とその生物のことを知っているような気がして、“それ”が喋ることをなんら不思議とは感じなかった。

 白い生物は、まどかの動揺を他所に淡々と喋る。

「でも、彼女は覚悟の上だよ」

 次の瞬間、何かの波動のようなもので吹き飛ばされる黒髪の少女。

「そんな、あんまりだよ! こんなのってないよ」

 絶望的な戦いを強いられている少女の姿を見て、まどかもまた悲しくなった。

 ふと、戦っている少女と目が合った気がした。
 遠くにいるはずなのに、なぜか彼女の顔や体型が目の前にあるように感じることができる。
 自分と同じくらいの歳の少女だ。

「あきらめたらそれまでだ」白い生物は相変わらず淡々とした調子で喋る。

「でも、キミなら運命を変えられる。その力がキミにはあるんだ」

「ほ、本当なの……? 本当に、私にそんな力があるの?」

「もちろんさ」

「ど、どうすればいいの?」

「そのために、僕と契約して、魔法少女になってよ!」

「魔法……、少女?」


 ――その必要はない


「え?」

 不意に目の前の生物が爆発した。
 正確には、何かにぶつかって砕け散ったと言ったほうが正しいかもしれない。

「ええ?」


 状況が分からずその場に立ちすくむまどか。
 そんな彼女の後ろから、彼女を追い越すように歩いて行く一人の背の高い男性。

「あなたは……」

 どこかで見たことのあるような白い野球のユニフォーム。そして背中には、大きく「51」という文字が見える。



 彼女が目を開くと、そこはいつもの自分の部屋だった。

「夢オチ?」

 わかっていた、といえばわかっていた。巨大なビルが飛び交うあんな非現実的な光景が現実とは思えない。

 しかし、夢の中で見た黒髪の少女、そして背番号51の野球選手とは、どこかで会ったような感じがしたのだった。






       魔法少女 まどか ☆ イチロー






  第一話  感情を、おさえることにしました。自分が、壊れると思いましたから。


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 その日、担任教師の早乙女 和子は、朝のショートホームルームの時間に転校生を紹介した。

 転校生が教室に入ってくると、生徒たちはざわく。

 まどかには、一瞬で空気が変わったように思えた。

 長い黒髪に黒のカチューシャ、それが彼女の見に纏うミステリアスな雰囲気を更に増幅させるようだ。

(あの子は……。うそ……)

 まどかは、彼女の顔に見覚えがあった。

 夢の中で戦っていた、あの少女だ。

「はい、それじゃあ自己紹介いってみよう」担任は笑顔で促す。

「暁美 ほむらです。よろしくお願いします」

 担任教師のどこか浮ついた雰囲気とは対照的に、ほむらはとても落ち着いた声ではっきりと自己紹介をし、ゆっくり礼をした。
 とても中学生とは思えない立ち振る舞いに圧倒されるクラスの生徒たち。

 それはまどかも例外ではない。

 ふと、彼女と目が合う。

 その真っすぐな視線に、彼女は居心地が悪くなるのを感じた。

 暁美ほむらは自分のことをあまり語らない。
 好奇心を持て余す女子生徒たちが彼女の周りに集まり、色々と質問しているけれど、必要最低限の答えをするのみで、それ以上の会話の発展はない。
「なんか、嫌な感じだな」

 まどかの親友でもありクラスメイトの美樹さやかはそう言ってほむらから目をそらした。
 さやかはああいうタイプは苦手なんだろうな、とまどかは思う。

 暁美ほむらは感情を表に出さないタイプ。感情を前面に出すさやかとは対称的だ。

「……」

「そういやまどか、さっきあの暁美っていう転校生と目があったよね」

「え? いや」

「知り合いなの?」

「そういうんじゃないけど……」

 夢の中で会った、などとはなぜか言えない。

「ちょっとまどか」不意にさやかが呼びかけてくる。

「なに、さやかちゃん」

 顔を上げると目の前に、暁美ほむらが立っていた。

「保健係の鹿目まどかさんは、あなたね」

「え、はい」

「気分がよくないの。保健室に連れて行ってくれるかしら」

「あ、はい。ちょっと待ってね。じゃあ、行こうか暁美さん」

 まどかは、ほむらを連れて教室を出ようとするけれど、彼女のほうが先にずんずんと外へ歩いて行くのだ。
 まるで目的地がわかっているように。

「あの、暁美さん」

「……」

 まどかが呼びかけると彼女は立ち止まる。

「?」

「ほむら……」

「ほむらと呼んでもらえない。私もあなたのことはまどかと呼ぶわ」

「え、うん」

「じゃあ、行きましょう、まどか」

「うん……」

 初対面なのに、下の名前で呼ばれるなんて幼稚園のころならばともかく、最近ではあまりなかったことだ。

 でも、不思議と悪い気はしなかった。なんだか、いつも呼ばれているような気がしたから。


   *


 その日の夕方、まどかは親友のさやかと一緒に大型ショッピングモールの中にあるCDショップにいた。

「それにしてもあの転校生、ちょっと気味が悪いよね」さやかはまだ、あの暁美ほむらのことを気にしている
らしい。

「気味が悪いって?」

「いや、なんていうか、あんまり自分のことは喋らないし、それに」

「それに?」

「時々まどかのこと、見てるじゃない?」

「そ、そうだけど」

「ねえまどか、本当にあの子と会ったことはないの?」

「うん」

「なんなんだろうな。モヤモヤする。明日学校で問い詰めてみようか」

「やめてよさやかちゃん」

「冗談だよ冗談」

「本当? 目がマジだったような……」

「あはは、じゃあ私、向こうでちょっとCD見てくるから」

「うん、わかった」


《助けて――》


「え?」

 さやかと別れた直後、まどかの頭に直接響く声がした。

 この声は、どこかで聞いたことがある気がする。

《助けて、まどか――》

 今度は確実に聞えた。しかも自分の名前を呼んでいる。

 まどかは周囲を見回した。

 誰もこちらを気にした様子はない。しかし声は確実に聞えるのだ。

「誰? どこにいるの?」

 まどかはその声に誘われるように、その場から走りだした。

「あ、まどか。どこに行くんだよ」

 さやかの声を他所に、まどかは動き出した。
 ショッピングモールには、現在改装中で立ち入り禁止の区域がある。
 薄暗いその空間にまどかは足を踏み入れた。

《助けて――》

 その声とともに、天井から何かが落ちてくる。

「あっ!」まどかは驚きの声を出してしまった。

「ううう……」

「あなたはあの時の猫さん?」

「ね、猫ではないけど……」

 猫のような大きさの、白い色をした生物。大きな尻尾と、耳の中から垂れている長い毛のようなもの。

 そして丸く赤い瞳。

 夢の中で見た、あの生物だ。

「大丈夫?」

《ううう……》

「酷い傷……」

 その白い生物はボロボロで傷だらけであった。交通事故にでもあったのか。

「そいつから離れなさい、鹿目まどか」

 再び聞き覚えのある声が無人のフロアに響く。薄暗いから声がよく通る。

「ほむら……ちゃん?」

 声の主は、転校してきたばかりの暁美ほむらであった。
 しかし暗くてよく見えないけれど、彼女の格好は学校の制服とは違い、やや灰色がかった妙な服装で、腕にはなぜか、円盤状の楯ののようなものを付けていた。
 ただ、全体的に地味な色合いの服装にも関わらず、彼女の頭につけられたカチューシャは、優しい桃色をしている。

「今すぐここから離れなさい」

「だって、この子、怪我してるし」

「あなたには関係ないわ」

「でも、私に助けを求めたのよ」

「いいからそいつをわたしなさい」

「でも……」

 何か焦りと悲しさを感じさせるほむらの目に、まどかは背中が少し冷たくなるのを感じた。

 彼女は、どうしたんだろう。

「まどか!」

「さやかちゃん」

 親友の美樹さやかが声をかけてきた。自分の様子を心配して追いかけてきたのだろう。

「暁美さん、だったよね。そんな格好で何をしているんだ」

「あなたには関係ないわ」

「行くよ、まどか」

「で、でも……」

「早く!」

 美樹さやかに手を引かれ、まどかはその場を走り去った。


   *


 その後、まどかたちは同じ中学校に通う巴マミと出会う。
 巴マミは、まどかたちが助けた謎の生物、キュウべえと契約した魔法少女だったのだ。

 マミは偶然遭遇した魔女を、魔法少女の力で撃退し、その効果を見せつける。
 そしてマミの魔力で回復したキュウべえは、まどかに対して言うのだ。

《ぼくと契約して魔法少女になってよ》

 キュウべえと契約をすれば、何でも願いごとを一つかなえられるという。
 その代わり、人々の絶望や呪いが具現化した“魔女”という存在と戦う魔法少女にならなければならない。

 戸惑うまどかたちに対して、マミはしばらく自分、つまりマミ自身の戦いを見て、それで決めてもらおうと提案する。

 そしてまどかとさやかは実際にマミの戦いに同行することになった。

 その間、ほむらはまどかたちと関わらず、以前のようにまどかを見ることもなく
(まどかたちにとって)不気味な沈黙を保っていた。

 そんなある日、まどかは友人の美樹さやかのお見舞いに同行して病院に来ていた。
 病院には、さやかの幼馴染の上條恭介が入院している。

 見舞いの帰り、まどかとさやかの二人は、病院の壁に魔女の“卵”であるグリーフシードを発見する。

 グリーフシードを放置しておけば魔女が生まれてしまうのは明らか。
 まして、人の多い病院ともなれば、魔女の魔力で多くの犠牲が出てしまう可能性が高い。

 さやかの提案で、さやかとキュウべえがグリーフシードを見張り、まどかが巴マミを探すことになった。
 魔女を倒すには、魔法少女としての能力(チカラ)持つマミの存在が不可欠だからだ。

 その後、駅前の『○八うどん』で温卵ぶっかけうどんを食べていたマミを発見したまどかは、二人でさやかたちの待つ病院へと向かった。

 病院ではすでにグリーフシードが孵化して、魔女の結界が発動していた。
 このためマミとまどかの二人は魔女の本体がいる、結界の最深部へと向かおうとする。



 しかし結界の入り口には、これまで沈黙を保っていた暁美ほむらがいた。



「もう“私たち”の前には現れないでって、言ったわよね」優しい口調ではあるけれども、言葉の節々に敵意の感情がにじみ出ている声でマミは言った。

「今回の敵は強力。あなたには力不足」薄暗い結界の中で、彼女のつけた桃色のカチューシャがやけにキレイに見える。

 魔女の結界の中で対峙する巴マミと暁美ほむら。

 その後継を、まどかはどこかで見た気がした。

 しかし思い出せない。

 ふと、ほむらが構える前にマミの魔法が発動した。
 黄色いリボンのようなもので、あっと言う間にほむらの身体は拘束された。

「うぐっ……」

 両手両足もしばられて身動きが取れない状態のほむら。

「マミさん……」思わず不安になったまどかは彼女に声をかける。

「大丈夫よ鹿目さん」そう言ってマミはまどかに微笑みかけると、表情を引き締めてほむらのいる方向に向き直し言った。
「しばらくそうしていなさい。帰りに解放してあげる」

「ダメよ、今回の相手は……」

 しかしマミは、ほむらの話を最後まで聞かず、結界の奥へと向かって行った。
 マミに手を引かれ、まどかも歩きだすけれど、まどかにはほむらの言葉が気になって仕方がなかった。


   *

 
「マミさん!」

 結界の最深部ではさやかとキュウべえが待っていた。どうやら二人とも無事らしく元気そうだ。
 さやかとキュウべえの姿を見てほっとするまどか。

「どうやら間に会ったみたいね」

 そう言うとマミはまどかたちの前に出た。

「あなたたちはそこで隠れて見ていなさい」

「マミさん、気をつけて!」まどかは不安な心を打ち消すように声を出した。

「大丈夫、今日のお姉さんは強いのよ」

 そう言ってマミは、片目をつぶる。

《マミ! 魔女が来るよ》

 キュウべえの声とともに、魔女が姿を現す。
 しかし今回の魔女は、これまで見てきたようなおどろおどろしいものではなく、可愛らしい縫いぐるみのような姿だった。

「さあ、ちゃっちゃと片付けましょう」そう言って、マミは持っていたマスケット銃をバットのように振り回して、魔女に叩きつける。魔女はその衝撃で吹き飛び、壁にぶつかった。

 戦いは終始、マミが優勢に進めている。

 以前のように、ピンチらしいピンチもない。
 まだ孵化したばかりだからなのか、魔女のほうも抵抗らしい抵抗を見せておらず、マミの攻撃を一方的に受けているだけだ。

「よっしゃあ、マミさん行けえ!」

 マミの攻勢に喜ぶさやかの横で、まどかは不安を感じていた。

 どこかで見たことのあるような光景。

「さあ、そろそろトドメを行くわよ」

 マミはそう言うと手のひらに魔力を集め、大きな銃、というか大砲を形作る。


「ティロ・フィナーレ!!」
 

 魔女に対する止めの一撃。
 並みの魔女ならば、マミのこの一撃をくらって無事でいることはない。
 並みの魔女ならば……。

「マミさん!?」

「え?」

 ここにいる誰もが勝ちを確信したその時、マミの目の前に巨大な芋虫のような化け物が、大きな鮫のような牙を持つ口を広げて彼女に襲いかかっていた。


 間に合わない――


 まどかの脳裏に、首のないマミの死体の映像がフラッシュバックする。

 ここで“また”、マミさんは死ぬの?



 レーザー――


「な」


 ビィーム!!!!



 巨大な化け物が、マミの身体を飲み込もうとしたその瞬間、その身体に何かが当たった。
 そして同時に、化け物は内部から爆発した。

「マミさん!」

 強烈な爆発と煙の中で、地面にへたり込むマミの姿が見えた。

「何があったんだ? あ、待てよまどか!」

《危ないよまどか!》

 さやかやキュウべえが止めるのも聞かず、まどかはマミの元に駆け寄った。

「あ、ああ……」

「マミさん」

 まどかはマミの顔をそっと触る。外傷はない。

「か、鹿目さん」

 まどかが触ったことで、正気を取り戻したのか、マミは虚ろな表情で彼女の苗字を呼ぶ。

「危ないところだったね」

「誰!?」

 煙の向こうから人影が見える。
 暁美ほむらかと思ったけれども、彼女よりもずっと大柄だ。大人の男性くらいある。

「間に会って良かったよ」ベージュのジャケットを着た男性はそう言った。

「あなたは……、イチロー?」

 マミとまどかの目の前にいるのは、ユニフォームを着ていないから分かりにくかったけれども、間違いなく米大リーグ、シアトルマリナーズの外野手、イチローその人であった。

「そうだ、キミを助けに来たんだ。鹿目まどかクン」

「どうして、私の名前を……」

「ちょっとちょっとちょっと!!」

 まどかとイチローとの間に割って入るように、さやかが飛び出してきた。

「どうしてイチロー選手がこんなところに? いや、本当にイチローさん? そっくりさんじゃなくて??」

「ああ、間違いなく僕がイチローだよ」

「メジャークォリティーの?」

「え、うん……」

「さやかちゃん、落ち着いて」

 まどかは興奮するさやかを宥める。

「あの、イチローさん」

「なんだい」

「私たち、どこかで会ったことありました?」

 まどかは以前、イチローの夢を見たことがある。
 しかし彼は、まどかが物心ついたころにはすでに海の向こうでプレーしていた。

 直接イチローと会う、などということがあるはずもない。

 つまり、まどかはイチローと夢の中でしか会ったことはないはずだ。
 それなのに、なぜか彼女はイチローと会ったことがあるような気がしてならなかった。

「……いや、はじめましてだよ」

 イチローは少し考えるそぶりを見せつつ、そう答えた。

「何言ってんだよまどか! あんたとイチロー選手が会うことなんてあるわけないだろう? あたしたち、
平凡な中学生だよ」

「えへへ、そうだよね」

「それはそうとマミさん」

「ふえ? マミさん」

 さやかの言葉に、マミのほうを振りかえるまどか。

「よかった、忘れられたかと思ったわ」

 マミはまだ立ち上がっておらず、女の子座りで笑顔を見せた。

「大丈夫ですかマミさん」

「ええ、何とか。少し魔力と使い過ぎたみたい」

「大丈夫ですか? 私につかまってください」そう言ってまどかはマミを抱き起こす。
「ありがとう、鹿目さん」

「いえ」

「それと……」

「ん?」

「本当は一番にあなたにお礼を言わなければならなかったのよね」

「ああ」

 マミは長身の男性に目線を向ける。

「危ないところを助けていただき、ありがとうございます」

「いや、いいよ。大したことはしていない」

「あの、イチローさん」マミを抱えながら、まどかは恐る恐る聞いた。

「なんだい?」

「どうしてここに、日本にいるんですか?」

「あ、確か今ってもう……」さやかも何かに気づいたように言った。

 今はもう、シーズンオフではない。日本ではなく、米国で野球をしているはずである。

「それはね……」


 ふと、遠くから声が聞こえる。


「イチロー!」


「ん?」


「イチロー! 気を付けて、魔女の本体はまだ生きてるわ!!」


 物凄い勢いで、こちらに向かってきたのは、先ほど巴マミに魔法で拘束されていた暁美ほむらであった。

「危ない!!」

 いきなりまどかを突き飛ばすマミ。

「……!?」

 まどかの意識はイチローのほうを向いていたので、急につきとばされたまどかはバランスを崩す。
 地面に倒れこむ瞬間、まどかの目の前に物凄いスピードで何かが通り過ぎた。
 それはまるで、駅のホームを通り過ぎる急行列車のように。

 地面に倒れこむ。

 肩に衝撃とともに痛みが走る。しかし今のまどかには、そんな痛みを感じる暇はなかった。

 マミは、自分を守るために突き飛ばしてくれた巴マミはどこにいるのか。

「マミさん!」

 倒れこみながら、さきほどマミがいた場所を確認する。

 そこには、黄色い魔法少女の衣装の身を包んだ巴マミの姿があった。



 よかった――



 しかしほっとしたのもつかの間だった。


 まどかを助けるために、突き出したマミの右腕は、完全に千切れていた。



   つづく




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