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仮面ライダーW 魔法少女のM/探偵のララバイ/エピローグ

2011年08月21日 19:21

仮面ライダーW「さあ、インキュベーター! おまえの罪を数えろ!!」

600 :◆/Pbzx9FKd2 [saga]:2011/05/04(水) 00:34:05.46 ID:hbBXZ3pI0


/エピローグ


 今回の事件もまた、悲しく不幸な事件だった。
 鹿目まどか、美樹さやか、暁美ほむら、巴マミ、佐倉杏子の五名は心にも身体にも深い傷を負い、癒えるには時間がかかるだろう。
 目には見えない魔法という幻想に踊らされ、傷つき倒れ、それでも立ち上がる。
 人間はだからこそ美しい。
 事件の主犯であったネオン・ウルスランドはその際立った頭脳と肥大しきった自我を持て余し、人の手の届かぬ領域を望んでしまった。
 彼女はいわば人間存在を見限り、科学という魔法に酔い、全ての超越者としての存在を希求した愚かな人間の代表であるともいえる。
 オレ達は今回のことを忘れることはないだろう。
 奇跡を望んだ魔女が手を伸ばした呪いにも似た魔法のことを。

 翔太郎はそこでタイプを区切ると、デスクの上に置かれたカップに手を伸ばして口をつけた。

 琥珀色の液体。芳醇な香りを楽しむと、アイボリーホワイトの輝きに目を細め椅子をぎいと揺らした。

「――で。君はいつ自分の家に帰るんだ。なぁ」

「え? 何をいってるんですか、翔太郎さん」

 翔太郎の膝の上。

 にこにこと笑いながらどっしり腰を下ろした巴マミが、手に持ったプレートからカップを持ち上げながらさも不思議そうに返事を返した。

「お前らも笑ってねーで、何とかいってやってくれよ! フィリップ! 亜樹子! 照井! おい!」

「翔太郎、とりあえず男らしく最後まで責任を取ったらどうなんだい」

 フィリップは洋書から目を離さず答える。

「ロリコン探偵にいうことはありません、以上」

 亜樹子はあきれたように腰に手を当てながら、唇を尖らせる。

「左。頼むから、俺に手錠を掛けさせるような真似はしないでくれ」

 照井は淡々と、新聞に目を落としながら告げた。

「――フィリップ。とりあえず、お前からツッコませてくれ。その責任てのはなんだ」

「え? 彼女とは既に愛を誓いあったのではないのかい。マミちゃんがそう僕に話してくれたよ」

「はい。フィリップさんのいうとおりです。あ、お代わりはいかがですか」

 マミは追求を避けるように翔太郎の膝から飛び降りると、フィリップのテーブルに移動し慣れた手つきでカップへと紅茶を注いだ。

「しかし、君もこの事務所に馴染んだものだ」

「はい。翔太郎さん、ともども末永くよろしくお願いしますね」

 マミはしあわせそうにふやけた顔で微笑む。

 追い込まれた翔太郎はいつも以上にその器の小ささを見せながら、両手を振って拒否の姿勢を見せた。

「帰れー!! 勝手に馴染んでんじゃねー!」

「亜希子さん、食器はシンクに運んでおきますから」

「いつもごめんねー」

「聞けよ! 人の話!!」

「マミちゃん、君は三年生だろう。進路はどうするんだい?」

「永久就職です!」

「私、聞いてな――あ、翔太郎くん。祝儀先に渡しとけばいいかな?」

「左、祝辞は任せておけ」

「お前ら全員許さねー!!」

 フィリップは翔太郎がマミを追い掛け回しながら部屋を横切ってドアを突っ切り外に出て行くのを見ながら、ふところに忍ばせたほむらからの手紙へとそっと手を伸ばす。

「やれやれ、渡しそびれたかな」

「ん、どうしたの? フィリップくん、その手紙」

「美少女から翔太郎への熱烈ラブレターさ」

 フィリップは亜樹子の問いかけに答えると、テーブルの上に封筒を置いた。

 窓際から優しく暖かな風都の風が舞い込む。

 封印の合わせのシールが薄く剥がれ、中から一枚の写真がきらきらとした陽光の中へと軽やかに踊りながらひらめく。

 写真の中の少女たちは、満面の笑みを浮かべいつまでも輝いていた。


――END



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Exシナリオ「さよならのM/探偵は群れる中坊がキライ」


翔太郎(あの陰惨な事件から、やがて時間が過ぎた)

翔太郎(ここ数日は、風都にもたいした事件は起こらず。街は平和だ)

翔太郎(あたたかな日差しの中、オレはけだるい気分でティーカップに手を伸ばす)

翔太郎「……ぬりぃ」

マミ「あら、翔太郎さん。お代わりはいかが?」

翔太郎「……」

さやか「……」

杏子「なあ、昼メシはピザでいいか! いいよな!」

マミ「もう、電話してから確認しないでよ。払いはウチなんだから、もう」

杏子「いや、ワリー、ワリー。なんか、ここ居心地よくてよ」

杏子「食いモンはいくらでもあるし、雨露はしのげるし」

杏子「ほら、さやかも、そんな部屋の隅っこで携帯いじってないでこっちこいよ!」

さやか「……」

翔太郎(さやかは杏子の呼びかけに答えない)

翔太郎(うつむいたまま、暗い表情で携帯を見つめ続けている)

翔太郎(しばらくすると、品のない音を立ててドアが開く。亜樹子だ)

亜樹子「翔太郎くーん、ひさしぶりー! 竜くんとの新婚旅行から帰ってきたよー!」

亜樹子「ってなんじゃこりゃー!」

キャッキャッウフフ♪

翔太郎(亜樹子が唖然とするのもしょうがない)

翔太郎(事務所の中は、ファンシーなグッズに占領されている)

翔太郎(もはや、あのハードボイルドな面影はどこにも見当たらなかった)

亜樹子「……悪化しとる」

亜樹子「オホホー、ちょっと用事思い出したから私帰るねー!」

翔太郎(風のように去っていく亜樹子。何しにきたのか亜樹子。どこへ行く亜樹子)

マミ「まあ、亜樹子さんたら、相変わらずせわしないひとね」

マミ「ねえ、翔太郎さん」

杏子「おい、翔太郎。Amazonから荷物届いたら教えてくれよな」

マミ「そんなものどうしたの?」

杏子「翔太郎のクレカで注文した」

マミ「もう、しようがない子ね。ほら、翔太郎さんからも何とかいってあげてくださいよ」

マミ「ウチも苦しいんだから」

翔太郎「……ていうかさ」

翔太郎「ここはおまえらの溜まり場じゃねえ」


BGM「W-B-X 」

http://www.youtube.com/watch?v=7WF2i3LVfB4&playnext=1&list=PL3098D483EC60E3FE

フィリップ「仮面ライダーダブル」

フィリップ「それは二人で一人の探偵」

フィリップ「ハードボイルドに憧れる心優しき半人前、左翔太郎と」

フィリップ「脳内に地球(ほし)の本棚と呼ばれる」

フィリップ「膨大な知識を抱える魔少年フィリップが」

フィリップ「仮面ライダーとなってガイアメモリ犯罪に挑む謎と戦いの物語である」


翔太郎「帰れー!」

マミ「……」

マミ「ほら杏子ちゃん、ウチの人が怒っちゃった」

マミ「ごめんなさい、しなさい、ね」

杏子「そうか、悪かったよ。翔太郎。ピザ、最初の一切れは食べていいから」

翔太郎「オレの金だー! しかも最初の一切れだけかよっ!?」

杏子「わかったよ。……じゃあ、妥協してスパイスを振り掛ける権利をやろう」

翔太郎「っ!? なんだよ、それは譲歩したつもりなのか!?」

杏子「……そんないいかたしなくても、いいじゃんか」グス

マミ「だめよ、翔太郎さん。あんまりイジメちゃ」

翔太郎「おい、フィリップ。どうにかしてくれよ、こいつら」

フィリップ「そうか、気がつかなかった」

フィリップ「すまない、翔太郎。僕としたことが」

翔太郎「……フィリップ」

フィリップ「ハーフ&ハーフという手もある」

翔太郎「フィリップゥゥゥゥゥゥゥゥウッ!?」

さやか「……」

翔太郎(さやかは、先程から延々とソリティアをやり続けている)

翔太郎(今時サルでも、もう少しマシなゲームで暇を潰すはずだ)

翔太郎(オレは彼女の瞳から深い悲しみを感じ、あえてそっとしておくことにした)

翔太郎(何があったか知らないが、きっと時が彼女を癒すだろう)

まどか「こんにちわー、あっ、やっぱりここにいた」

さやか「……」

まどか「ダメだよ、さやかちゃん。学校、無断で休んじゃ」

さやか「……」

まどか「最近ずっと、だよね」

さやか「……」

まどか「何があったか知らないけど、私も仁美ちゃんも心配――」

さやか「……黙れカス」

まどか「ひうっ!」

さやか「……」

さやか「……あたしの前でアイツの名前を出すな」

まどか「ご、ごめん。でも――そんな言い方は、かなしいなって」

さやか「……」

翔太郎(まどかは、困ったように辺りを見回す)

翔太郎(それから、しゅんとした表情でソファに腰掛けた)

杏子「……おい、プリングルズ食う?」

まどか「うん。ありがとうね、杏子ちゃん」

杏子「ん。ま、さやかのことは放っておけって。どうせ、男だろ」

まどか「ん」

さやか「――ッ!!」

まどか・杏子「「ひっ!?」」

翔太郎(ふたりは、さやかの中に静かな狂気を感じ、身を縮こませた)

翔太郎(さやかは、幼馴染の上条とやらにフラれたらしい)

翔太郎(長く生きていれば、いろいろある)

翔太郎(それに、幼馴染とは案外結ばれないものだ)

翔太郎(オレは、真里奈のことを思い出して淡い感傷に浸った)

マミ「にこにこ」

翔太郎「……あのなぁ」

マミ「なあに、翔太郎さん」

翔太郎「ったく」

翔太郎(結局のところ、巴マミは頼れる近親者は近県には居なかった)

翔太郎(家族を亡くした寂しさか、彼女はオレの中に父性を見ているのだろう)

翔太郎(杏子に至っては、ホームレスだった)

翔太郎(何とかしなくてはと思っても、強くいえない部分もある)

翔太郎(状況終了)

フィリップ「ふふふ」

翔太郎「なーんだよ」

フィリップ「いや、君らしいと思ってね。どうせ、しばらくは暇だ」

フィリップ「彼女たちの身の振り方はこれからじっくり考えてあげればいいのさ」

翔太郎「うーん」

翔太郎(しばらく物思いに耽っていると、ドアを叩く音が聞こえた)

ほむら「――失礼するわ」

まどか「あっ! ほむらちゃんだ! 今日は来ないんじゃなかったのかなー」

ほむら「それは、別に――ッ!」

翔太郎(ほむらは、マミの姿を見つけると、猛禽類のような鋭い目つきに変化した)

ほむら「巴マミ、いいかげんに左さんの事務所に入り浸るなと忠告したはず」

マミ「あら、ご機嫌いかがかしら、暁美さん」

ほむら「――あなた、耳はついてるの? それとも、」

ほむら「その蔦みたいにくるくるした毛が鼓膜を塞いで聞こえないのかしら」

マミ「相変わらず、斜に構えて世間を見ているのね」

マミ「その腐った目玉取り出して、ビー玉と交換したら?」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら(死ね、この淫売!)

マミ(フン、薄汚いドロボウ猫め!)

翔太郎「なぁ、フィリップ。どろっどろした、空気を感じるんだが」

フィリップ「安心したまえ、翔太郎。君は高額の保険に加入している。後顧の憂いはないよ」

杏子「……ピザ、まだかな」

ピンポーン

バイト「ちっす、ピザっす!」

杏子「!」

翔太郎(杏子がいまだかつてない微笑を浮かべたまま駆け寄ってくる)

翔太郎(その姿は、主人を慕う無邪気な仔犬のようだ)

杏子「金ェ!」

翔太郎「……」

翔太郎「あーはいはい。金ね、マニー。オーケィ?」

杏子「ハウメニー、オーケイ!」

バイト「ちっす、あざっす!」

バイト「釣りっス、どーもっス!」

杏子「へへへ」

フィリップ「――時間だ。すまない、まどかちゃん。チャンネルを国営放送に」

フィリップ「今日の原発関連のニュースを見たい」

まどか「あ、はい」

ほむら「お昼よ、とりあえず、話はあとにしましょう」

マミ「そうね、ピザも届いたことだし」

まどか「お皿とか用意したよ。あ、フィリップさんもどうですか」

フィリップ「うん、ありがとう」

杏子「ピザうめー」

ほむら「そうね。でも、この大きさでこの値段。いつも思うのだけど高すぎやしないかしら」

マミ「ちょっと高いけど、まあたまにだし。いんじゃないの」

まどか「カロリー多いし、ちょっと、しょっちゅうはねぇ」

さやか「……もぐもぐ」

キャッキャッウフフ♪

翔太郎「……」

翔太郎「おまえら全員サボるなよ、堂々と」

翔太郎(結局、昼食は滞りなくすんだ)

翔太郎(オレの財布の中身のエントロピーは、限りなく減少したが)

マミ「じゃあ、昼食もおわったことだし」

マミ「これから、みんなで親睦を深める為、なにかゲームでもして遊びましょう!」

まどか「あ、さんせーい!」

杏子「よーし、今日は負けないからな」

翔太郎「おまえら中坊か。――ってそうなんだよな」

ほむら「うん、それは有効な時間の利用法ね……ってちょっと」

マミ「ん? なにかしら」

ほむら「いや、そんな無邪気な顔されても」

ほむら「こほん」

ほむら「そうじゃなくて。巴マミ、あなた毎日ここに入り浸って」

ほむら「左さんの営業を妨害してるそうね」

ほむら「どうして聞き入れてくれないのかしら」

ほむら「あなたは結果的に迷惑をかけてるのよ。悪いと思わないの?」

マミ「というか、何がいいたいのか理解できないわ」

マミ「私と、翔太郎さんは貴女が考えているよりも、遥かに堅い絆」

マミ「そう、途切れない円環の理で結ばれているわ」

マミ「やっかみ、かどうかは知らないけど、これ以上私たちの邪魔をしないで欲しいわ」

マミ「ねえ、翔太郎さん」

翔太郎「……っていうかさ」

翔太郎「帰れよ、おまえら」

ほむら「――ぷっ」

マミ「笑うなぁあああああああああああああっ!!」

まどか・杏子・さやか「「「ひっ!?」」」

まどか(マミさん、時々こわいよう)

さやか(……あーびっくりした)

杏子(なんだ、まだ腹へってるのか?)

ほむら「思い込みの激しい人ね。左さんはやさしいから面と向かっていえないだけよ」

マミ「……そんな」

マミ「嘘、よね。翔太郎さん」

翔太郎「あー、フィリップ。なんとかしてくれよぉ」

フィリップ「ふむ」

フィリップ「でも仮にだね。マミちゃんが居なくなったとしても」

フィリップ「ほむらちゃん、君が入り浸るようになれば」

フィリップ「減数の総体的なパーセンテージは変わらないはずだが」

マミ「やっぱり!」

ほむら「――なにが、や、やっぱりなのかしら」

まどか「喧嘩はやめようよ、ほむらちゃん」

フィリップ「そこで提案がある」

フィリップ「幸いここは探偵事務所だ」

フィリップ「次に来る依頼人の頼みを先に解決した方の主張を受け入れる」

フィリップ「フェアな勝負だと思うが、どうかな」

マミ「望むところよ」

ほむら「いいわ。その条件」

翔太郎「おーい、火に油をふりかけてどーするよ」

マミ「……この事務所の平和は私が守るわ。暁美さん、あなたとはやっぱり相容れないようね」

ほむら「何のことかしら。それに、そんなこと最初からわかっていたはずよ」

マミ「私が勝ったら、もうこの辺りをウロウロさせないわよ」

ほむら「あら、おかしいわね? 夢ってのは起きてるときには見ないものだと思ったのだけど」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ(このメス豚ッ!!)

ほむら(ビッチ!)

杏子(……)

杏子(あの部屋の間口で上下してる、団子のような?鎖みたいな?やつなんだろう)

翔太郎「……」

翔太郎「……というか、そもそも依頼なんか今日中にくるのか?」

杏子(……)

杏子(今日のおやつ、なんにしようかー)

まどか「ほむらちゃん」オロオロ

さやか「……」

翔太郎(当たり前のようだが、そう簡単に仕事というものは舞い込んでこないものだ)

翔太郎(オレは自分のデスクに戻ると、再読中の湖中の女を取り出し読み耽った)

マミ「いい天気ね」

翔太郎(寄り添うように、マミが椅子を持ってくると隣に腰掛けた)

ほむら「っ!」

翔太郎「……」

マミ「いい天気ね」

翔太郎「……」

マミ「いい天気ねッ!!」

翔太郎「っ!? あ、ああ」

マミ「にこにこ」

翔太郎(オレに話しかけていたのか)

ほむら「ねえちょっと、アナタ。巴マミ」

マミ「なによ」

ほむら「そんなにベッタリくっついて。左さんのしごとの邪魔でしょう」

ほむら「いや、存在自体邪魔、というか」

ほむら「消えて」

まどか「ほむらちゃん、最後要求になってるから……」

杏子「くぅくぅ」

マミ「ねえ、翔太郎さん。こんな天気のいい日は、出かけたくなりませんか」

翔太郎「いや、誰か来るかもしれないし」

マミ「大丈夫、そこの暇で粘着質そうな子が居ますから」

マミ「いくら無能でも、電話番くらい大丈夫よ」

ほむら「……耳が不自由なのかしら、あなた」

マミ「ほむらさん、年長者に向かって言葉遣いがあまりよろしくなくてよ」

ほむら「私にとって、あなたの態度は幼稚すぎて敬意が払えないのよ」

まどか「ねえ、さやかちゃん、さやかちゃん。ふたりをとめてよう」ゆさゆさ

さやか「……っ、うう、きょうすけぇぇぇ」グスグス

翔太郎(ふたりは腕を組んで、オレを間に挟み仁王立ちしている)

翔太郎(杏子はおなかいっぱいになったのか、ソファで寝息をたてている)

翔太郎(フィリップは風をくらって退散したようだ)

翔太郎(外に視線を向けると、あたたかな日差しの中、心地よい風が吹いている)

翔太郎(オレもあの、風都の風になりたい)

翔太郎(そう、風になっておやっさんに会いに行きたい……)

ほむら「――人の話は聞かない、勝手な思いこみで行動する」

ほむら「あなた、そんなんだから、ぼっちなのよ」

マミ「――ッ!?」

まどか「あ」

マミ「ふ、ふん。私はぼっちじゃないわ。友達くらいいるもん! ねぇ、鹿目さん!」

まどか「え? え? マミさんは、友達というよりか、仲のいいせんぱい?」

ほむら「プーッ、くすくす」

ほむら「残念ね」

マミ「きーっ!!」

翔太郎(ほむらはまどかの肩を抱き寄せながら、親友であることを誇示して見せる)

翔太郎(マミはハンカチを噛み締めながら、キッとほむらを睨みつける)

翔太郎(ガキでも女って生き物はこえーや)

マミ「じゃ、じゃあ! 杏子ちゃん、杏子ちゃんは私のともだちよねっ!」

マミ「この場所で友情を構築した、深い絆があるのよねっ!」ゆさゆさ

杏子「あーん……」ごしごし

翔太郎(杏子は寝起きで目をこすりながら、ソファから身を起こす)

翔太郎(起き抜けで頭がうまく回らないのか、ぼーっとした様子だ)

マミ「ね! ね!」

杏子「……っていうか、おまえの名前なんだっけ」

ほむら「ぶふーっ!(笑)」

まどか「だめだよ、ほむらちゃん! マミさん、さびしい人なんだからっ!」

マミ「――くっ」

まどか「あ、ご、ごめんなさい、その、いまのは悪気があったわけじゃなく、その」

ほむら「まどか、ナイスアシスト」ぴっ

マミ「――っ」ふるふる

翔太郎(マミは、サムズアップするほむらを震えながら見つめ立ち尽くす)

マミ「いいもん」

ほむら「いいの? そんなに一人がいいの? ロンリーウルフなの? (笑)」

マミ「私には、愛する翔太郎さんがいるもん!」だきっ

翔太郎「ちょっ」

ほむら「は、はなれなさいっ!」

まどか「あわわ」

マミ「翔太郎さんがいれば、もう何も怖くないもん!」

マミ「私が赤ちゃん、サッカーチームができるくらい産んでやるんだからっ!!」

翔太郎「おまっ――!」

ほむら「こ、この――っ! 縁起でもないことをっ!」

さやか「ZZZ」←泣きつかれて寝た

杏子「ZZZ」←添い寝

フィリップ「ダウトだ翔太郎」

翔太郎「おお、おい、どこいってたんだよ、フィリップ!」

フィリップ「なに、依頼が無ければ、こちらから探し出せばいい」

女「ど、どうも」

フィリップ「これが、今回の依頼人だ」

翔太郎(フィリップが連れてきた依頼人の案件は猫探しだった)

翔太郎(猫の行動範囲は去勢していないオスでも一キロに満たない)

翔太郎(だが、侮る無かれ。意外と難しいんだ、これが)

翔太郎(場合によっては自動車事故で、という結果もありうる)

翔太郎(経験のない素人ではすぐさまとはいかないだろう)

マミ「翔太郎さんとの愛を守るから、見守っててね」

ほむら「左さん、責任もって私が害虫を駆除します。いくわよ、まどか!」

まどか「う、うん」

マミ「行きましょう、杏子ちゃん!」

杏子「ちゃんと、コンビニでハーゲンダッツ買ってくれよ」

杏子「あ、翔太郎とフィリップは何にする?」

翔太郎「ガリガリくんだ」

フィリップ「僕はサーテーワンアイスだ」

杏子「頼むぜ、マミ!」

マミ「ええ、必ず、指定のアイスを手に入れましょう!」

まどか「マミさん、もう既に目的がすりかわってるよう」

ほむら「戦うまえから勝負は決まっているわ」

翔太郎「あー、まあオレもオレで探すから。お前らは適当に」

マミ「そう、ということよ、暁美さん。彼が見つけたら自動的に私の勝ちね」

ほむら「ちょっと、そんなわけないじゃない。あなた脳味噌まで膿んでるの?」

マミ「だって、彼と私は一心同体なの。ね?」

翔太郎「ないない」

ほむら「だからなんでいちいち左さんに擦り寄るの? 馬鹿なの? 死ぬの?」

マミ「そう、死が二人を分かつまで」

ほむら「アホはほっときましょう」

まどか「えー、ちょっと」

フィリップ「じゃあ、スタート」

翔太郎(こうして、互いの主張をかけて探偵合戦が始まった)

翔太郎(ところでオレの仕事はいつからガキのお守りになったんだ?)

杏子「なーなー、翔太郎。この、名物風都らーめんて美味いのか?」織り込みチラシ

マミ「杏子ちゃんはこっち!」

杏子「えー、なんだよ、マミ。ちょっとよってこーぜ」

マミ「寄りません! ほら、走る!」

杏子「へーい」



ほむら「居なくなった猫の名前はミケ。三歳メス」

まどか「わー、かわいい猫ちゃんだね」

ほむら「手がかりは飼い主が持ってきた写真だけね」

ほむら(……ブッさいくな、猫だなあ)

ほむら「と、はいったものの、迷い猫探しなんて初めてだし、どうしましょうか」

まどか「うーん、まずは聞き込みかな」

まどか「探偵は足を使うのが基本だって、左さんがいってたよ」

ほむら「確かにそれが王道かもしれないけど、時間を有効的に使いたいわね」

まどか「じゃあ、猫ちゃんの気持ちになって」

まどか「猫ちゃんの通りそうな場所からさがしてみたらどうかな」

ほむら「まどか、冴えてるわ。じゃあ、はじめましょう」

まどか「にゃんにゃん、にゃ~ん。ミケちゃん、どこかなぁ~」

ほむら「……」

まどか「あ、ほむらちゃんも、ちゃんと呼びかけないと」

まどか「猫って自分の名前呼ばれると、けっこう反応するんだよ」

まどか「ピクって」

まどか「恥ずかしがってちゃ、マミさんたちに負けちゃうよ!」

ほむら「で、でも」

まどか「ほら♪」

ほむら「くっ……」

ほむら「にゃ、にゃぁ~」

まどか「声が小さい!」

ほむら「――まどかって結構厳しいのね」

まどか「私はやる時はやるんだよ、それに」

ほむら「それに?」

まどか「猫ちゃんの為にも早く見つけてあげたいよ。何かあったら、ヤだし……」

ほむら(私は、巴マミと張り合うことばかり考えて、依頼してきた人の気持ちを――)

ほむら(それにくらべて、まどかは)

まどか「私も恥ずかしいけど、こんなことくらいしか役に立てないし」

まどか「でも、少しは誰かの役に立てれば、それはうれしいなって」

ほむら「……」

ほむら「にゃんにゃんにゃ~ん。にゃんにゃんにゃ~ん」

まどか「そうだよ、それだよ! もっとおおきく!」

ほむら「にゃ、にゃあにゃにゃ~ん!」

まどか「もっとバカっぽく!」

ほむら「にゃ、にゃにゃんにゃ~ん」

まどか「にゃんにゃんにゃにゃ~ん♪」

ほむら「にゃんにゃんにゃにゃ~ん♪」

幼児「ママ~、おかしなおねえちゃんがいるよ~」

主婦「しっ、目を合わせちゃいけません!」

まどか「//////」

ほむら「//////」



ほむら(それから、私とまどかの必死の捜索は続いた)

ほむら(恥を捨て去った私たちに怖いものは無く、聞き込みも随時行ったが)

ほむら(目だった成果は無く、それなりの時間が過ぎていった)

まどか「う~ん。違う猫ならいっぱいいるのに、ミケちゃんはいないねぇ」

黒猫「なお~」

まどか「ちっちっ♪」

ほむら「そうね。それに、風都には猫が多すぎるわ」

ほむら(私はマップの探した部分を蛍光ペンでぐりぐり塗りつぶしながら答えた)

まどか「あ、それなにかな?」

ほむら「これは、ミケちゃんのトイレの砂よ」

ほむら「これを猫が通りそうな場所に撒いておくの」

ほむら「時間をおけば、自分の匂いに安心して出てくるかもしれない」

まどか「張り込みだね」

ほむら(必然的に張り込むことになった)

ほむら(私たちは互いに他愛のない話をしていたが、不意に会話が途切れた)

ほむら(言葉をかわさない沈黙。でも不快ではない)

まどか「ねえ」

ほむら「なに、まどか」

まどか「どうして急にマミさんと張り合うような言いあいになったのかなって」

ほむら「そうね、どうしてかしらね」

まどか「ねえ、もしかしてほむらちゃんって」

まどか「左さんのこと、好きなのかな?」

ほむら「っ!? す、すきとか、そ、そんな」

ほむら「――そうね。正直なトコロ、その辺りは曖昧ね」

ほむら「その、まどかは、男のひととつきあったことってあるかしら?」

まどか「な、ないない! 私なんて、ほむらちゃんみたいにかわいくないもん!」

ほむら「そんなことないわ。……私もないの。だから、その、彼のことは」

ほむら「自分でもまだ、うまく整理できてないの」

まどか「うん。でも、マミさんは、その左さんのこと」

ほむら「――でも、あの女にとられるのだけはヤなのっ!!」

ほむら「それは、想像しただけで気分が悪いのよ!」

まどか「ほむらちゃん! お、落ち着いて!!」

まどか「大丈夫だから! 誰も、とらないから!」

ほむら「……ほんとう?」シクシク

まどか「ほ、ホント、ホント」

ほむら「最近そのことを考えると、ムカムカして夜も寝られないのよ……」

まどか「あ、あはは。へいきへいき、はは……」

ほむら「巴マミのせいで寝られないのぉおおお!!」

ほむら「私は寝られないんだぁあああ!!」ガッガッ←ブロック塀を殴る音

まどか「ほら、ほむらちゃん。猫ちゃんが逃げちゃう」

ほむら「はぁっ、はあっ!」

まどか(うわ~、ほむらちゃんて結構めんどくさい女なんだね)



――一方その頃、マミたちはというと。

マミ「どうしよう、全然見つからないわ」

杏子「おい、マミ。もう帰ろうぜ。今日は暗くなってきたし……」

マミ「こうしてる間にも、暁美さんたちは」

杏子「ダリー、飽きたぜ。お、あれ見なよ!」

マミ「んもう、杏子ちゃんも真面目に探してよ。もお」

杏子「探してるって。ほら、あそこにも似たような猫がいるぜ」

マミ「もしや、これが。そ、そっちにまわって! 早く!」

杏子「はいはい、と」

マミ「逃がさない、これで、終わりよ! ティロ・フィナーレ!!」投網

杏子「はいはい厨二病乙」

猫「ふにゃ~」

マミ「はれ、この猫、写真と全然違うわ、どうしましょう」

杏子「もう、いいんじゃねえの。腹も減ったし」

マミ「もうこれでいいかしら。でも、もしばれたら。私がいい加減なことしたって」

マミ「翔太郎さんに嫌われたりしないかしら」

マミ「そして、二人の永遠の愛に最初の亀裂が入り、それがきっかけで私は娼婦に身を落し、十年後二人はかつて約束した桜の木の下で再会を――」

杏子「んごぉ」

マミ「人がせっかく語ってるのに。寝るなよおお!」



猫「んなぁ~」

マミ「どうですか、私たちの方が先に依頼達成しました」

杏子「しました」

翔太郎「……」

猫「んなぁ」

マミ「にこにこ」

杏子「にこにこ」

翔太郎「――こいつは」

翔太郎「ここで飼ってる猫のミックだ」

マミ「――めたんです」

翔太郎「は?」

マミ「杏子ちゃんがそれでまにあわせようって、でも私反対する勇気がなくて」

杏子「はあ~!? おい、そりゃねーだろ! おい、マミ!」

マミ「こんな弱い私を許してください、翔太郎さん」

マミ「そして暖かく受け止めて抱きしめてぇ!」抱きつきっ

翔太郎「……あの」

翔太郎「全部聞こえてたんで」

杏子「マミ、許さない、絶対にだ」

マミ「……だって、こうするしかないじゃない!」

翔太郎・杏子「「いやいやいやいや」」



翔太郎(結局の所、猫はオレが捕まえた)

翔太郎(亀の甲より年の功といった所か)

フィリップ「翔太郎は猫を探すことについては他の追随を許さない」

フィリップ「誇るべきことだよ」

翔太郎(実際の部分、探偵の仕事で華やかな場面などほとんど見受けられない)

翔太郎(この街が平和であれば、オレの出番などどこにもないのだ)

翔太郎(オレはブラインドの向こう側に落ちてゆく夕日を見つめながら)

翔太郎(かぶったフェルト帽のひさしをまぶかに引き下げ、そっと目をつむった)

マミ「みんな、ごはんよー」ガンガンガン

杏子「メシだー」

フィリップ「今日の夕飯は何かな?」

マミ「うふふ、マミさん特製カレーよ。おなかいっぱい食べてね」

ほむら「……」プクー

まどか「ねえ、ほむらちゃん。マミさん呼んでるから、いこ」

ほむら「……」プクー

翔太郎「なんだ、まだふくれてんのかよ」

ほむら「……だって」

翔太郎「しかたねぇだろ? それに、依頼人だって喜んでたじゃねぇか」

ほむら「……そんなの、なにか、ずるい」

まどか「すいません、左さん。さ、ほむらちゃん、テーブルいこ」

ほむら「……」プク

ほむら(私としたことが、全てをうやむやにしてしまった……)

マミ「うふふ、さあ暁美さんもテーブルについて」

ほむら(なにごともなかったような顔を……っ!)

杏子「なんだ、もう過ぎたことはいいじゃんかぁ。はやくしろよな」バンバン

ほむら(だから、ケツ叩くなっての。馴れ馴れしい女)

ほむら「……すいません、左さん。私帰ります」

翔太郎「なんだ? くってかねえのか?」

ほむら「ええ、申し訳ありませんが……?」

マミ「……」ふるふる

マミ「なんで?」

マミ「なんでよおぉおおっ!」

まどか「マミさん、どうしたの?」

杏子「おい、どうしたんだ」

フィリップ「落ち着くんだ、深く深呼吸をして」

翔太郎「おーい、どした」

マミ「せっかく、頑張ってみんなの夕食作ったのにぃいいい!!」

マミ「楽しく、家族みたいにごはん食べたかったのにぃいい!」

マミ「暁美さんがみんなの輪を乱すのぉおおおっ!」

翔太郎「泣くなって、ああもお!」

マミ「あああーん、あんあん!」

まどか「な、泣かないでよ、マミさん」おろおろ

フィリップ「ほら、このライターの炎をじっと見るんだ」

杏子「お、おい。帰らないから、ほむらは帰らないから、な」チラ

ほむら(なんという典型的かまってちゃん!)

まどか「ね、帰らないよね、ほむらちゃん!」

マミ「暁美さんは、私のこときらいなのよぉおおおおおっ!!」おんおん

マミ「私はさっきのことも悪かったと思って、なかなおりしたかっただけなのにぃい!)

ほむら(しかも、何気に同情を引いて私を悪者にしたてようとしている!)

ほむら(なんというコペルニクス的転回!)

ほむら(聞こえる! 聞こえてくるわ、皆のこころの中の帰るなコールが!)

まどか(ほ・む・ら!)

杏子(ほ・む・ら!)

翔太郎(ほ・む・ら!)

フィリップ(ほ・む・ら!)

ほむら(なんという策士!)

ほむら(だが、慌てるな。備えはある)

ほむら「……ごめんなさい、ちょっとこの後寄らなきゃならない場所があるの」

全員「「「「BOOOOOO!!」」」」

ほむら(くううううううっ!!)

マミ「うそよ」

まどか「え、ウソ?」

マミ「ぼっちの暁美さんに用事なんてあるわけないわ」

フィリップ「確かに」

ほむら(疑うな! 断定するな! 同意するな!)

ほむら「……うそじゃないわ」

マミ「えぐっ、えぐっ……じゃあ、どこ」

ほむら「どこって」

ほむら「……ゲオ、とか」

マミ「ああああぁぁんん!! 私の料理はゲオ以下なんだぁああああっ!!」

マミ「どうせぇ、たいして見たい映画もないのに小一時間店内をうろついてぇえ!」

マミ「クソみたいなB級ビデオを引き当てて」 

マミ「『こ、これはこれで味があるわね』とか自分を誤魔化して」

マミ「貴重な時間を空費して」

マミ「そのあと無性に自分の愚かさがゆるせなくなってぇ!」

マミ「『ファック!!』とか叫んでDVDを壁に叩きつけて、プラケースを割って」

マミ「そしらぬ顔で外のかごに時間外返品し(呼び止められるの怖いから)」

マミ「その後店から電話が掛かってくると」

マミ「『え? うそ? 知りませんよ、そんなの。最初から割れてましたよ、ほんと』」

マミ「とかいって、ひとりほくそ笑むんだあああああっ!!」

ほむら「失礼ね! そんなことあるわけないでしょ!!」

まどか「……ほむらちゃん」

杏子「……おまえ、実はさびしいやつだったんだな」

ほむら「ちがうわよ、もお……」

ほむら「わかった、わかりました。夕食に付き合います」

マミ「もぉ~しょうがいなぁ! そんなにいうなら、ごちそうしちゃうんだからっ♪」

ほむら(……怒りで頭のフタが開きそうだわ)



翔太郎(とか、ひと騒動起きてようやく夕食にありつくことが出来た)

翔太郎(しかし、カレーに紅茶はいささかミスマッチの感がなきにしもあらずだった)

翔太郎「しかし、悪いな。客人に食器まで洗わせちまって」

まどか「え? いいんですよ、ごちそうになってばかりじゃ悪いですから」

杏子「そうそう、皿くらい洗うっての、なあ」

さやか「……」黙々

じゃばじゃば

マミ「そうそう、男子厨房に入らず、ですよ」

ざーっ

ほむら「意外と、古い考えなのね。……ちょっ、大きい尻をぶつけないでちょうだい」

マミ「っな!? あなたねぇ、翔太郎さんの前でそういうことっ!」

まどか「しょうがないよ、狭いんだし。って、そのすいません! そういう意味じゃ」

翔太郎「ははっ、いいって」

マミ「そうそう。気にしないでね、鹿目さん」

ほむら(なんかその、いかにも自分ちです、っていう口ぶりが気に入らないわ)

杏子「おらっ、口動かす前に手ぇ動かせ、ったく」フキフキ

ほむら(……手際いいわね)

杏子「こら、まどか。ちゃんと、泡はすすぐっ。マミ、洗剤使いすぎだっ、たく」

まどか「ご、ごめんね、杏子ちゃん」

杏子「必要最低限の液量で洗う」

杏子「自然にもやさしいし、水道料の節約にもなる」

杏子「常識だろ、まったく」

まどか「はは、杏子ちゃんはいいお嫁さんになれそうだね」

杏子「//////ば、ばかいうなよ。ひとをからかうなって、もお」

マミ「……」

杏子「なんだよ、その目。おい、ちょっと怖いんだけど」

マミ「……べつに」

マミ「あ、杏子ちゃん。あとは、私がやっておくから、いいのよ!」

マミ「いつもどおり、ごろごろしてて! 炊事とか洗濯とか得意だから!」

マミ「私、そーゆうの得意だから!」ちらちら

杏子「な、なんだよ、急に」

杏子「アタシだって言っちゃなんだけど、得意だよ」

翔太郎「……ん?」

マミ「ほ、ほほほ、いーのよ無理しなくて、ほんと」

杏子「いや、べつに無理とかじゃ……」

マミ「無理してるから! 杏子ちゃん無理してるから!」ちらちら

フィリップ「どうしたんだい、落ち着かないね」

翔太郎「……なにか、視線が」

ほむら「……」

さやか「……」黙々

ほむら(わかりやすいというか、底の浅い人格だというか)



翔太郎(オレは椅子に深く身を沈ませ、食後のコーヒーを楽しみながら)

翔太郎(今日一日のことを想った)

翔太郎(……猫つかまえただけじゃん)

翔太郎(フィリップは相変わらず難しい顔をして洋書を読んでいる)

翔太郎(後片付けの終わった皆も思い思いに時間を潰しているようだ)

翔太郎「おい、もうこんな時間だ。そろそろ帰らなくていいのか」

まどか「え? もう、こんな時間? すいません」

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃん、もお帰ろうよ」

さやか「……」

翔太郎(さやかは、脱力したまま、まどかに引っ張られ部屋を出て行く)

翔太郎(見送ろうと立ち上がったオレは、不意にこちらを見つめていたほむらと視線が合った)

ほむら「左さん、今日は本当にありがとうございました」

マミ「ふふ、暁美さんも気をつけて帰ってね。寄り道しちゃダメよ」

翔太郎「……」

ほむら「……」

翔太郎(マミは頭にレースのナイトキャップを付け、パジャマに着替えて枕を片手に持ち、見送るように手を振っている)

ほむら「……左さん」

翔太郎「いや、ちょっと待ってくれ」

翔太郎「状況が掴めない」

ほむら「なんというか、ごめんなさい、まどか。先に帰ってもらえるかしら」

まどか「え? え?」

フィリップ「彼女たちは僕が送ろう。じゃあ」

翔太郎「じゃあ、じゃなくてだな、おーい」

マミ「あら、暁美さんは帰らなくていいのかしら?」

マミ「もうすぐ、最後のバスが出る時間のはずだけど」

ほむら「私も今日は帰りません」

マミ「ええ! まあ、たいへん、早くホテルに連絡しなくちゃ」

マミ「ルートインでいいかしら?」

ほむら(なにがまあ、よ。わざとらしい)

ほむら(なに、その自然な感じでここに泊まります、みたいな)

ほむら(そーいうの、一番嫌なのよ)

ほむら「はっきり聞いておきたいんですけど」

ほむら「あなたは、いったい左さんのなんなんですか!?」

マミ「え? もお、そんなの聞かなくてもわかってるでしょお!」

マミ「ね、ねえ?」

翔太郎「いや、こっちに振られても」

マミ「もお、案外照れ屋さんなんだから♪」

ほむら「巴マミ、そろそろ現実を見つめることね」

翔太郎「……」

ほむら「……」

マミ「……バーイ♪」

マミ「……」

マミ「…」

 バタン←ドアをゆっくり閉める音

翔太郎(マミはゆっくりと室内からフェードアウトしていった)

翔太郎(たぶん客室用の部屋で寝るつもりなのだろう)

ほむら「左さん、なんというか、うん」

翔太郎「……いや、いわなくてもいい」

翔太郎「オレ達は、いま、同じ時間を感じている」

翔太郎「同じ世界を共有しているんだ」

ほむら「ひだり……翔太郎さん」

翔太郎(オレ達は無言のまま手を取り合うと、並んでマミの消えていった扉を見つめていた)

翔太郎(ずっと)

――それから、どっこい

翔太郎(しばらくして、フィリップが戻ってきた)

翔太郎「よう、相棒。おつかれさん」

フィリップ「なあに、お安いご用さ」

フィリップ「さて、僕はこれから朝までガジェットの改良をしようと思う」

フィリップ「君は先に休んでいてくれたまえ」

翔太郎「ああ、わかったぜ」

翔太郎(ちなみに、ほむらは杏子と同じ部屋に泊まることになった)

翔太郎(この事務所、見えない部分で空き部屋がいっぱいある)

翔太郎(オレは熱いシャワーを浴びるとたっぷりのバスタオルで汗を拭う)

翔太郎(ふふふ。これぞハードボイルドだぜ)

翔太郎「さあ、もう夜も遅い。コンディションの管理も仕事のうちだ」

翔太郎「グッナイ」

翔太郎「……」

翔太郎「ZZZZZZ」

翔太郎「ZZZZZZ」

 ガサガサ

翔太郎(心地よい眠りの中、何かの物音を感じた)

翔太郎(意識がゆっくりと浮き上がってくる。それと同時に尿意を感じた)

翔太郎「……うー」

翔太郎「しょんべんだ」

 バタン

?「……」

?「うふふ」

翔太郎(排尿終えて自分の部屋に戻ると、シーツに不自然なふくらみを見つけた)

翔太郎「……」

翔太郎「ま、いっか」

翔太郎「……」

翔太郎「なんだろう、なんだかよく眠れないな」

翔太郎「くそっ、目が覚めちまった」

?「……ん」

翔太郎「だ、誰だ!!」バサッ

マミ「んんん、んう」

翔太郎(完全に思考が停止した。それはそうだ。オレは確かに一人で床についたはず)

翔太郎(頭の中に、ぐるぐると今までの戦いの記憶が駆け巡っていく)

ほむら「これは……まずいですね」

翔太郎「ああ、非常にやばいぜ」

ほむら「どうします。とりあえず、運びやすく分解しましょうか」

翔太郎「いや、それでは足がつく。――なぜ、おまえが居る」

ほむら「……」

ほむら「いえ、他意はないんです」

ほむら「強いていえば、女の勘? みたいな?」

翔太郎「いや、ありえないだろ」

ほむら「先程私が眠れずにうろうろしていると、左さんの姿をお見かけしたので」

ほむら「ついつい」

翔太郎「……」

マミ「……うぅ」

翔太郎「うなされてるようだな」

ほむら「彼女は甘いもの食べすぎです」

マミ「……ママ、パパァ」

マミ「ううぅ……」

翔太郎(苦痛に耐えるように身をよじる)

翔太郎(マミの瞳から涙が一筋こぼれるのが、窓から差し込む月明かりに輝いて見えた)

翔太郎(虚空に向かって両手を伸ばす)

翔太郎(それは、母を捜して彷徨う、赤ん坊のように見えた)

ほむら「……」ぎゅっ

マミ「うぅ……」

翔太郎(無言のままほむらはマミの手をにぎりしめる)

翔太郎(マミの寝顔が安堵に包まれていく)

翔太郎(そう、オレはこの少女の中に確かな母性を感じ取っていた)

ほむら「な。なんですか?」

翔太郎「……いや、へへ」

ほむら「わらわないでくださいよ、もお」

翔太郎(彼女たちの中にある悲しみは一朝一夕では癒せないものだ)

翔太郎(だが、彼女たちはもうひとりじゃない)

翔太郎(互いに支えあう仲間がいれば、どんな苦難も乗り越えていける)

翔太郎(彼女たちは、そんな未来をオレに教えてくれた)

翔太郎(そんなささやかなことが、オレにとっての報酬なんだ)

翔太郎「マミのこと、今夜は頼むわ」

ほむら「……」

ほむら「はい」

ほむら「あ、どこへ?」

翔太郎「ちょっと、一杯やりに、な」

ほむら「……もぉ」

翔太郎(外の空気は冷たく、けれどもとても甘く感じられた)

フィリップ「どこへいくんだい、相棒」

翔太郎「その、な。一杯付き合わないか」

フィリップ「うん。ちょうど息抜きの必要性を感じていたところだ」

翔太郎「へへ」

翔太郎(オレと相棒は頭上に瞬く星をシャワーのように浴びながら)

翔太郎(静かになった風都の街を歩いていく)

翔太郎(夜風に身を竦ませて)

翔太郎(オレは今夜呑む、最初の一杯を思い、目を細めた)







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