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なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」  第六章 襲撃の連鎖

2011年08月26日 19:34

なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」

202 : ◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/04(水) 21:00:00.62 ID:8ni6IQae0


『襲撃の地上本部』


「私となのはちゃん、フェイトちゃん、当麻、美琴ちゃん、シグナムが中に入る」
「うん。解った」
「りょーかい」
俺たちは地上本部へと来ていた。
というのも、カリムさんの予言による地上部隊の壊滅や管理局システムの崩壊という脅威を恐れてのことである。
俺と御坂が中にいるのは、デバイス無し、魔法無しの戦闘が可能だからである。
なぜかと言うと、
前回俺が拉致された時に、魔法が使用できなくなる特殊な力場―AMF(アンチマギリンクフィールド)―というものが確認されたからである。


「あっ、カ、カリムさん」
「あっ、えっと……その……」
いきなりカリムさんと遭遇。
これはマジでついてないな。
はやてがめちゃくちゃ睨んでるし。
「前回。あれは不可抗力だったので、特に何も無ければ何もおきませんよ」
「へぇ、何も起きんかったとしても、当麻が起こすことはあるんやろ?」
「はやて。俺を何だと思ってやがる」
「犯罪者、変態、最低男、非常識人etc……」
ひでぇ。
酷すぎる。


「はやてちゃんとイベント起こしてないもんね」
「なのはちゃん? どういう意味や」
「え? なんか言った?」
あれぇ、今物凄くメタっぽい発言した気がするよ。なのは。
まぁ、いいか。
「それより、配置どうするのよ。流石に全員同じ場所ってわけにもいかないでしょ?」
「そうだね。美琴。はやて。どうするの?」
フェイトの質問に暫く唸った挙句、はやてがひらめいたように手を叩いた。


「私とシグナムは、カリムたちと居る。なのはちゃんフェイトちゃんは、待合室。ヴィータは予定通り外の指揮。へんt――当麻と美琴ちゃんは自由や」
今、変態って言おうとした。今、絶対に!!
というか、自由って。
「主はやて。お言葉ですが、戦闘において未熟な2人を自由行動はいかがなものかと」
「そうだぜはやて。私らが自由の方がまだましだ」
「へぇ、子供がでしゃばってくれるわねぇ」
「そうやってすぐ突っかかるから駄目だって言ってんだ」
ヴィータが言ってるのはもっともだけどあんま御坂を刺激しないで。頼むから。
「でもはやてちゃん。2人が敵に出会ったらしたら大変だよ?!」
「せやね。当麻が大空に羽ばたくことを期待しとるで」
「はやてさん、マジ勘弁して」
「冗談や。せやけど自由行動は本気や。敵に捕まらんよう、動いててもろうたほうがええんや」
へぇ、意外と考えてるのか。
冗談が少し笑えないけど。
「それじゃ、各自頼むで」
「「「「了解」」」」
こうして俺たちは散開し、地上本部のレジアス・ゲイズとかいうおっさんの会見が始まった。
「何にもおこらないに越したことは無い」
俺と御坂は適当に歩きながら、会話していた。
「どうかしらね。何かしら起きる気がするわ」
「おいおい、やめてくれよ」
「冗談じゃなくて。なんかこう、嫌な気配がするのよ。神経がぴりぴりしてるって言うか……」
もしかしたら、御坂の発している微弱な電磁波が何かに触れているんじゃないか。
と、考えたが、その何かが解らないから黙ってようかと考えている時だった。
「ひゃあははははは。解ってない。解ってないねぇ。地上本部の馬鹿どもは」
「?!」
「このォ黒夜海鳥が、教えてあげるよォ……警備システムの甘さってやつをさァ!!」
イルカのぬいぐるみを持った少女が不気味に笑い、叫ぶと近くの部屋が爆発した。
「うっすィンだよォ……中に入られたことを考えて対処しとけェ!! 開戦だァ!! ナンバーズゥ!!」
黒夜と名乗った少女が叫ぶと、さらに各所で爆発が起こり、警報と共に、隔離防壁が通路を遮断して行き、俺と御坂は少女から分断されてしまった。


「くっ……レールガンで壁を吹き飛ばせば」
「一般人を巻き込む気か?!」
「じゃぁ、どうすればいいのよ!!」
「わかんねぇよ!!」
くそっ……どうすれば良い?
なのは達は無事だろうけど……。
待てよ?
「御坂。お前の能力でこの隔壁を操作できないか?」
「え?」
「制御はCPUを使ってるはずだ。なら、お前の能力で操作できないか?」
「解らないけど……やってみる」
御坂はそう言うと、扉に触れて目を閉じた。
頼むみんな。
無事でいてくれよ!!


「できそうか?」
「もう少し待って」
「解った」
現在、俺たち機動六課は地上本部へと出向いていた。
その理由は、地上部隊の壊滅と管理局システムの崩壊の予言。
そして、それは唐突に起きてしまった。
地上本部の偉いおっさんレジアス・ゲイズ。
こいつの会見開始から数分後。
俺たちの目の前にいたイルカのぬいぐるみを持つ少女―黒夜海鳥―が不気味に笑い叫び、
各所で爆発が置き始めた。
さらに、身を守る為の隔壁が仇となり、
念話の無い俺たちは完全隔離された。


そして今、御坂の電子操作能力で自分達の目の前の隔壁を開こうとしている。
「できた、隔壁ロック解除申請。ロック解除。行くわよ!!」
「ああ」
隔壁を開くと、少女はいなかった。
さらに、ハヤテたちがいる方向へ向かう為の通路をふさいでいたであろう隔壁は木っ端微塵に吹き飛んでいた。
「急ぐぞ御坂!!」
不味い不味い!!
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
悲鳴?
俺たちが急いで向かっていると、
陸上部隊の兵士達の悲鳴が上がった。


「今の……」
「ああ。はやて達のところだ!! 急ごう!!」
「解ってるわよ。ちょっと、能力使うわね!!」
「へ?」
御坂はそう言うと俺の襟首を掴み、能力で加速して走りだした。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ……」
「我慢しなさい!! すぐ着くから!!」
すぐって言ったって。
これじゃぁ、ついた瞬間吐くぞ!!


「着いた」
「きゅ、急に止まるな!!」
「……」
「開けるぞ」
御坂に確認し、扉を開ける。
「っ……これは……」
「あン? てめェ何しにきたンだァ?」
さっきの子……?!
「はやて!!」
「き、来たらあかん……私なら大丈夫や」
「まだァ大丈夫なだけだぜェ? 私がこの手に力入れたら簡単に首が折れる」
はやては、宙に浮いていた。
それは魔法ではなく、黒夜と言う少女がはやての首を掴んで持ち上げているせいだった。


「ぐっ……」
「シグナム?!」
「あ、主はやてを……守る!!」
「や、やめるんや、シグナム!! あかん!!」
「馬鹿な女だァ。認めてやらァ。その心意気。だから……貫け空槍」
「がっ……」
はやての元へ走って行ったシグナムが後ろに突き飛ばされた?
なにが……?
まさか、あの子。学園都市の能力者なのか?!
「眠れベルカの騎士ィ。弾けろォ窒素爆槍ゥ!!」
間に合え!!


俺がシグナムの体の周囲を右手で隙間無く探ると、
何かが割れた音が響いた。
「あァ?! なぜ発動しない?!」
「動かないで!! 能力者!!」
「ちィ。てめェ。常盤台の超電磁砲かァ」
「?!」
やっぱり、能力者か。
「うごかねェのは良いけどよォ。コイツ。殺しちまうぜェ?」
っ……はやて。
「さっさと、その女を殺せ!!」
レジアスが怒鳴る。
「仲間ごと撃てる訳ないだろ!!」
「できるわけ無いでしょ!!」
「仲良しこよしの馬鹿どもがァ。だからよえェってんだよォ!!」
「ぐぅっ?!」
「はやて!!」
「ええから、撃たんかい!!」
はやて……。
畜生。
「みs――」
「――その必要はないですの!!」
「?!」


「はやてが消えた?!」
「……今の声」
「御坂!!」
「アンタを拘束する!!」
「はっ。舐めんなァ!! 爆ぜろォ窒素爆槍!!」
っ?!
壁を爆破した?!
逃げられた……。



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『我慢』


「何をやっているのだ!! 追え!!」
「無理だ。俺たちは空を飛べない。デバイスが無いからな」
「使えんやつらだ!! それに加えさっきの言葉遣い。屑の集まりだな!!」
「黙りなさい髭親父!!」
御坂?
「仲間を見捨てて敵を撃てと言う腐ったアンタに屑と呼ばれる筋合いは無い!! 大体!! アンタが設置した隔壁のせいで救援が遅れたのよ?!
もう少し遅かったらはやて達が殺されてたのかもしれないのよ?!」
「っ……」
「シグナム。平気か?」
「あ、主はやては?」
「――ここですの」
あ、あいつ!!


「白井?!」
「黒子?!」
はやてを抱えて現れたのは、
御坂の親友で後輩。
露払いをしているとかいうテレポーター。
白井黒子だった。


「で? 白井。お前どこにいたんだ?」
「どこも何も、拘束されてたんですの。ここの施設に」
「へ?」
「お姉さまを見つけてダイブしたら光に飲み込まれまして……出てきたのがさっきのおじさんの部屋で……」
あぁ……それは不審者扱いだし、不法侵入だし。
捕まるわな。
「……シグナム。肩を貸すよ」
「忝い。本来なら私は……」
「まぁ、気にすんな。怪我してるんだから。頼ってくれ。それより、なのはたちが待合室にいなかったのが問題だ。
多分、自力で出ただけだと思うけど、俺みたいに拉致されたりしたのかもしれないからな。それだったら不味い」


なのは達もデバイスが無いし、はやて達が言うには、AMF濃度が高いらしく、
魔法も使用できないらしい。
外に出ると、すでに戦いは終わっていた。
しかし地上本部はほぼ崩壊に近かく、
ティアナたちもかなりボロボロだった。
シグナムとはやてを医療班に任せ、フェイトのところへ向かう。
「フェイト。なのはとスバルは?」
「……」
フェイト?
「なのはは機動六課に向かった。スバルは病院」
「え?」
「なのはは特に怪我はしてないけど……スバルがボロボロ。それと、ギンガが攫われた」


「あと、もう1つ。最悪の自体……」
フェイトの表情が暗くなる。
「機動六課が壊滅した。みんなかなりの重症……ヴィヴィオも……攫われた」
なっ……。
なんだと?
「ザフィーラたちが護衛をしてたんじゃ……」
「してたけど、ザフィーラ達もかなりの重症だって……私達もここの事態の収拾つきしだい、全速力で向かう」

206 : ◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/04(水) 21:03:18.48 ID:8ni6IQae0
______________


_______


__



「これは……」
俺たちはすぐに地上本部でのことを終え、機動六課へと向かった。
そして視界にはいったのは変わり果てた機動六課の施設だった。
襲ってきたのはナンバーズの内3人。
たった、それだけに機動六課は壊滅させられたってのか?
くそ……。
「なのは……」
「当麻、それに美琴ちゃん、フェイトちゃんと……だれ?」
そういえば、紹介してないけど……なのは。
見回っていると、普通に仕事をしているなのはがいた。
「わたくしは白井黒子ですの」
「あっ。美琴ちゃんのお友達の……私仕事あるから、終わったらあらたm――」
「ちょっとなのは。話がある」
俺がそう言うと、フェイトがなのはから仕事に使う電子板を奪い取る。
「こっちはやっておく。なのは。話してきていいよ」
「で、でも……」
「いいから来てくれ。美琴と白井はフェイトの手伝いを頼む」
俺たちはそう言い残し、その場から離れた。


「な、なに?」
「大丈夫か?」
「別に怪我とか――」
「そうじゃなくて、ヴィヴィオのことだよ」
「……」
やっぱりか。
「泣きたい時は泣くべきだろうに。我慢すんな。泣きたいだけ泣いてやるべきことにやるべき時に、全力でやれるよう。溜め込むな」
「お、お兄ちゃん……ヴィヴィオが……ヴィヴィオが……」
「殺されはしないはずだ。麦野たちが鍵という。ナンバーズが必要以上に追う。つまり、何らかの鍵で重要な何かってことは確かなんだ。機会を待とう。そして絶対。助け出そう」
「うん……うん!!」
すすり泣くなのはを軽く抱きしめ、俺はヴィヴィオとギンガさんを救出することを心に誓った。


『美琴と当麻』


俺は泣き止んだなのはを、無事だった部屋へ連れて行くと寝かせた。
ただでさえ訓練漬けだったなのは。
ヴィヴィオ達の事もあり、疲労もあるだろうと俺が休むように言った。
「フェイト?」
俺が部屋から出ると、フェイトが歩いて行くのが見え呼びかけるが、
返事どころか気づいてすらいないようで、さっさと行ってしまった。
「フェイト?」
不思議に思いながらも用事があるんだろうと、俺は美琴たちのところへ向かうことにした。


「あっ、類人猿さんではありませんの」
いきなりそうきたか。
訓練場の建物の屋上に2人はいた。
「おい白井。せめて上条とか名前を使う気にはならないのか?」
「野蛮人の方がよろしくて?」
「ああそうかい。ならこっちはお前が呼ばれたく無いだろう呼びかたしてやるよ」
「わたくしは別に呼ばれたくない名など―――」
「黒子。黒子。ねぇ黒子」
「?! そ、その呼び方はお姉さまだけしか許してませんの!!」
「しらねぇよ。黒子黒子黒子黒子黒子~」
「いやぁぁぁ。止めて下さいですの。上条さん、上条さんとお呼びしますからぁぁぁ」
俺はにやっと笑って「それでよし」と言い、御坂に視線を向けた。


「……良いなぁ」
「何が?」
「ふぇ?! べ、別になんでもないわよ!!」

バチバチとなり始めた御坂に慌てて右手を置く。
「落ち着け馬鹿。ただでさえボロボロの六課に止めさす気か?」
「あっ……」
気づいたのか放電はなくなり大人しくなったのだが……
「これって、戦争……なんだよね?」
「お姉さま?」
「御坂?」
疑問系で聞いたが、俺は解っている。
多分、白井も解っている筈だ。


俺たちは学園都市のただの学生で。
そりゃ、能力者っていう類に分類されるだろうけど、
戦争なんてものとは無縁だった。
たしかに、俺も御坂も一方通行の絶対能力進化実験において、戦いを繰り広げた。
けど、そんなものは、これに比べたらただの喧嘩に等しいものだ。
関係ない人が傷つき、
関係ある人が嘆き苦しみ、
多大な力と力のぶつかり合い。
―――戦争。
その言葉が異様に重く感じられた。


「私達……どうしたらいいのか。解んないよ。第4位の人たちや、あの黒夜という少女。あの子達だって学園都市の子じゃない!! なのになんで、あんなに平気で人を傷つけられるのよ」
「御坂……」
御坂はそう言って、俺に体重を預けるように寄りかかった。
「お姉さま……。力は所詮力ですの。学園都市、同じ地球。同じ世界で生まれたからと、考えが同じになるとは限らないんですの。
人を傷つけるか否か。問題はそこではないんですの。今ここにある己の力をどう使うかそれを考えるべきですわ。
ここに比べたら学園都市は平和ですの。ですが、学園都市だけでなく、地球と言う惑星の中でも戦争はあったんですの。いえ、平和にはその前に戦争があるのが物事の道理ですの。
ならば今、ここは戦時中かもしれませんが、平和はあるんですの。その平和を手に入れるために、わたくしたちは戦うのではないんですの?」
白井が色々と言う。
ごめん。
俺にはなんて言ってるかさっぱりです。
「平和の為に人を傷つけなくちゃいけないの……?」
ここまで弱弱しい御坂は初めてだな……。


「そうですの。でも、殺す必要はありませんの。必要な犠牲それは死なせることではなく、相手を弱らせて戦闘不能それだけでいいんですの」
「でも、相手が強くて頑固だったりしたら?」
「それでも、俺たちで何とかするだけだ。もちろん、誰一人死なせることなく……な。敵も味方も」
俺が白井の言葉を盗ったせいか、軽く睨まれたが、
ため息をついて白井は歩いて行った。
何なんだ一体。
「ねぇ、アンタはさ……」
「ん?」
「アンタは、戦える?」
「誰と?」
「敵と」
「それが敵ならな」
「……強いわね」
「別に、ただ、守らなくちゃいけないものがあるから戦うんだよ。誰だってそうだろ」


暫くの沈黙。
御坂は、俺に寄りかかったまま。
そして不意に、御坂が顔を上げて聞いてきた。
「守らなくちゃいけないのって……何?」
「六課のみんなだよ」
「……つまんない回答ね」
「悪かったな」
「でも……アンタらしいわよ」
「そりゃどうも」
「ねぇ……」
「ん?」
「当麻って呼んじゃ駄目?」
……?
「そう呼ぶのに、許可は要らないだろ」
「そうだね。ねぇ、当麻」
「なんだ?」
「ううん。やっぱり……いい」



俺たちはその後、普通に会話して部屋へと戻った。
余談だが、
ほとんどの部屋が駄目な状態だったので、
俺、白井、御坂、なのは、フェイトが同じ部屋だったと言う。
そこそこ広くて、隣同士とはならなかったものの、
白井の何かしたらコロスというオーラが尋常じゃなく恐ろしく、寝ている余裕が無かったのは言うまでも無い。
そういえば、誰か知らないけど息が荒い人がいたような……
多分白井の獲物―俺だと思う―を狙う息遣いなんだろうけどな。


『お兄ちゃんと呼ばせて』


「本部襲撃から2日目。大分持ち直してきたが……本部をどうするか……」
「それなら……考えてあるで」
え?
はやて?
「ちょっ……はやて大丈夫なのか?」
「はやてちゃん、大丈夫なの?」
「全然問題はあらへんよ。ただちょぉ首絞められとっただけや」
いやいや。
それ十分危ないから。
最後、気を失ってたし。


「ほんまに助かったで? 当麻」
「当然のことを―――」
「せやけど、なんで私ごと撃たんかった? ああいう場合、どうするかは教えとるはずやよ?」
「……俺と御坂にそんな度胸は無いんでね」
「そないな躊躇しとったら死ぬで?!」
「ははっ。どんなことがあっても俺は死なない。みんなを残して先に逝くほど、上条さんは薄情ではないんですよ」
「……大馬鹿者や」
それで結構。
「それで、はやてちゃん。本部についての考えって?」
「アースラ。アースラを本部として借りることにした」
「え?」
アースラ?
なんだそれ……?


「また後で話し聞かせてくれ」
「え? ちょっ―――」
なのはの呼び止めの声を無視して、
ある人物が歩いて行った方向へと向かう。
……え~っと?
いた……。
「おいフェイ――?!」
言葉を止めて駆け出す。
急に倒れこみやがって……。
俺が追ったのはフェイト。
なんかフラフラして危ない足取りだと思ったら……。


「おいフェイト!! フェイト!!」
「……」
くそっ。シャマルさんがいないってのに。
医務室もぶっつぶれてるし……。
「おいフェイト……?!」
フェイト……すごい熱じゃねぇか!
額に触れるとかなりの熱さで、フェイト自身の息も荒い……。
「今部屋に連れてってや――?」
急に突き飛ばされ、倒れこむ。
……?
なにが?


見上げるとフェイトが佇んでいた。
「大丈夫……大丈夫だから」
「どこがだよ?!」
「ヴィ……ヴィヴィオが待ってるはずだから……は、はや……」
っ!!
膝からがくっとフェイトが崩れるのを何とか支える。
「フェイト……大丈夫じゃねぇだろ?」
「だいじょ……うぶ」
「フェイト?!」
だぁぁぁ。この馬鹿。
無茶しすぎなんだよ!!


急いで部屋へと担ぎ込み、ベッドに寝かせて濡らしたタオルを額に置く。
「……ごめん」
「ん?」
「心配させたよね」
「もしかしてさ、一昨日から調子悪かったんじゃないのか?」
「……どうして?」
「呼んでも返事が無かったから。急いでたんじゃないかって考えてたけど急いでるんなら小走り程度してるはずだからさ」
俺がそう言うと、フェイトは黙り込む。
……。
「うん……そうなんだ。2日前から少し具合悪くて……」
「もしかして……寝てなかったりもする?」
俺が聞くと、少し驚いた表情をしたものの、
申し訳なさそうに頷く。


「なんで言わなかった?」
「……みんなに心配かけたくなかった」
「馬鹿。余計心配かけたぞ? なのはが知ったら怒るぞ。きっと。「フェイトちゃんの馬鹿」なんて感じで」
「ふふっ。多分そうだね」
いつもクールなフェイト執務官。
まぁ、普段を知る俺は優しいとことか、慌ててる部分とか、驚いてる時とか。
フェイトの色んな部分を知ってるけど、
熱で弱弱しくなってるフェイトはなんかこう……物凄くイイデス!!


「ねぇ、当麻」
「ん?」
「当麻となのはってどんな関係?」
急に何を聞くんですか貴女は。
俺となのは……?
「ただの友達……かな」
「本当?」
なんだよ。ただの友達以上?
「親友かな」
「……そっか」
「急になんで?」
「……気になっただけ」
まぁ、良いけど。


「当麻は、なんて呼ばれるのが良いの?」
「はい?」
「当麻とか上条とか、上条さんとか、当麻くんとか、貴方とか君とか……お兄ちゃん。とか」
「お兄ちゃんは駄目です」
「なんで? なのは専用?」
なぜなのはがそう呼んでいる事を知ってるんだ?
小さい姿の時は知ってるだろうけど、
今の姿の時にそう呼んでるのは2人だけの時……待てよ?
そういえば、前にはやてがお兄ちゃんとか言ってきてたな。
まさか。


「もしかして、なのはが俺をお兄ちゃんと呼んでいる事を?」
「はやてと私、シグナムも知ってる。はやてが当麻となのはのプライベートをストーキングしてたらしいよ」
あの野郎。
マジ何してくれてるんだよ。
「私もお兄ちゃんって呼ぶのは駄目?」
「なんで?」
「クロノがあんまり呼ばせてくれなくて……」
「俺のほうが年下だろ」
「当麻は弟って感じがしないんだもん」
なんだそれ。


「駄目?」
「別に良いけどさ……なのは同様、他といる時は呼ぶのやめてくれよ?」
「うん。できるだけ2人になるよ」
「ちょっとー聞いてますかー?」
クスクスっと笑うフェイトを視線から外し、欠伸と共に伸びをする。
「お兄ちゃんも寝たら?」
早速使うんだな……まぁ良いけど。
「じゃぁ、そうす―――?!」
立ち上がった途端、腕を引かれてベッドに倒れこむ。
フェイト?


「傍にいて……お願い」
……?
「どうした?」
「1人は嫌だから……お願い」
そう懇願され仕方なく、フェイトの隣に寝転ぶ。
「お休み、お兄ちゃん」
「うん。ゆっくり休め」
フェイトが寝たら離れるつもりだったが、
思いのほか睡魔が強敵で、幻想殺しが効かなかった為俺も寝てしまった。


その後、
異様な室内の雰囲気に目を覚ますと、なのは、白井、はやて、ヴィータ、御坂に囲まれてるんだもんな。
みんないますぐ殺してやるってオーラだったし。
でもまぁ、フェイトが弁解してくれたおかげで何にも無くてすんだってことで不幸ではなかった。
フェイトも翌日にはすっかり回復して、体調万全になったようだった。


そんなつかの間の休息は突如、終わりを告げた。


聖王教会が襲撃され、壊滅。
カリムさんが連れ去られたと連絡が入ったのだった……。


『ありえない敵』


「カリム……」
「もうしわけありません……一生の不覚です」
崩落した聖王教会の建物が戦闘の凄まじさを物語っていた。
……?
「御坂?」
「襲撃者は麦野たちよ」
「なっ……」
なのは達が驚く。


「どうしてわかるん?」
「建物が少し特殊な焦げ方してる。これは麦野の原子崩しを受けた証拠なのよ」
御坂が神妙な顔つきで言う。
この2人は多少の因縁があるようだ。
「一体何の目的が……」
「カリムさんのレアスキル。あれは他の場所にもれているってことは無いのか?」
「あれは、最高機密です!! 知られれば狙われてしまう!!」
シャッハが怒鳴る。
「けど……狙われたのは事実だよ。どうする? はやて」
フェイトがはやてに判断を委ねる。


フェイトの言った通り、襲撃され連れ去られたことは事実。
可能性としては、カリムさんの能力がばれていることは確実だ。
けど、それだけでここを襲撃しようと考えるか?
ここの守りは格別薄いわけじゃない。
どちらかといえば、地上本部より堅いはずだ。
それに、本来なら機動六課へ緊急出動要請が来てたはず。
襲撃で壊されてなければ……待て?
「なぁ、なのは」
「なにかな?」
「機動六課の襲撃事件は外部に漏れてるか?」
「いや、それは無いと思う。一般市民の不安を無駄に煽らないようにって規制かけてあるはずだよ?」
なのはが言ってることが事実なら、これは相当不味いことになってるかもしれない。


「それがどうかしたの?」
「……いや、少し気になっただけ」
「? そう?」
今は仮定の段階。
隊長陣を混乱させるべきじゃないからな。
「シャッハ。敵は何人やった?」
「7人です」
「?!」
7?!
まて、おかしいぞ?
麦野達は4人じゃ……


「詳しくは確認できていませんが、あの4人のほかに男性一人、金髪の背の高い女性が一人、そして……」
「え?」
シャッハさんが御坂を見据えて、衝撃の言葉を口にした。
「貴女です。御坂さん」
?!
そう言うと同時に、シャッハが武器を構える。
「ちょっと、そんなわけ無いでしょ?!」
「いいえ、警備隊のほぼ全員が敵のうちの1人が貴女だったと確認しています。丁寧に敵も自分の名前を口にしていましたミサカ。と」
「違うってば!! そんな馬鹿なことないわよ!!」
御坂……?
もしかして御坂妹のことか?!


「さぁ、居場所を吐いて頂きます」
「っ……」
「抵抗したらあかんよ。美琴ちゃん」
「え?」
「シャッハ。私らは襲撃の当日、美琴ちゃんと一緒に居った。せやけど証明はできへん。せやから身柄を拘束してくれてかまわへん」
「なっ……」
「はやて?!」
「当麻、仕方ないことなの。証明できない以上こうする他に手は無いの我慢して」
なのはが俺の腕を掴んで言う。
なのは自身も苦虫を潰した表情を浮かべていた。


「では……」
「せやけど、拘束しかゆるさへんで。美琴ちゃんは無実や。もし拷問でもしようもんなら私らが全力で阻止するで? 手ェ出したらあかんからな? シャッハといえどそこは許すわけにはいかん」
はやてがシャッハを見据える。
沈黙が数秒その場を支配する。
「解りました。騎士カリムのご友人はやて様を信じます。しかし、拘束はいたします。犯人をお連れしてくだされば解放をお約束いたしましょう」
「御坂……」
「当麻!! 私は大丈夫よ。よろしくね?妹達のこと……」
御坂は俺にそう微笑みかけると、シャッハと共にいなくなった。
よろしくってどうすりゃいいんだよ。
御坂妹と御坂どっちかを犠牲にしなきゃいけないって言うのか?!
くそっ!!
御坂妹……なにしてんだよ馬鹿野郎!!
「大丈夫? 当麻」
フェイト……。
「少し動揺したけど平気。まずは今後どうするか決めよう」
「うん」


『鉄球少女マジカルヴィータ』


現在……俺こと上条当麻は、
六課の新本部、アースラの食堂にいた。
アースラに移ったのは昨日。
で、俺は机に突っ伏していたのだが……
「どうした、お前が元気ねぇと調子狂うんだけど」
ヴィータが心配なのか話しかけてきた。
「ああ、ちょっとな」
一昨日、御坂は聖王教会に拘束された。
何かしたわけじゃない。
だけど……襲撃犯のなかに御坂妹がいた。
みんなにクローンと説明するのは構わないが、証拠が無い。
一緒にいた。でも証拠が無い。
結局、御坂を拘束させたまま犯人を捕らえ、聖王教会に突き出さなきゃいけない……。
そう、御坂妹を。
「だぁぁぁぁぁ!!! 辛気臭い顔してんじゃねぇよ当麻!!」
「急に怒鳴るなよヴィータ」


「けどさぁ……当麻が変態で変質者で、すぐに体を触るし、襲ったりする最低野郎だってわかってるけど……」
「待てヴィータ。それは偏見だ。そして誤解ってレベルじゃない」
「けど、やっぱ、お前が元気ないとこっちまで暗くなっちまう。だから元気出せよ」
隣に座るヴィータが軽く背中を叩く。
「ああ……」
「ったく。美琴は無実だって解ってるだろ? とっとと麦野とかを見つけてとっちめて美琴の偽者を突き出してやろうぜ?」
ヴィータは知らない。
いや、ヴィータだけじゃない。
みんな知らない。
敵の中にいるのは御坂のクローンで、偽者ではないことを。
本来は敵になんかなるようなやつじゃないことを。


そして、御坂を助けるには御坂妹を、御坂妹を助けるには御坂を。
どちらかを犠牲にしなければいけないということを。
「当麻……今日はあたしと付き合え」
「は?」
不意にヴィータがそんなことを言い、
「いーから。さっさと行くぞ、ほら」
「うおっ……」
俺は無理やりに近いかたちで、食堂の外へと連れ出され、
連れてこられたのはヴィータの部屋だった。


「で? なにすんだよ」
「えっと、今からやることは誰にも言うなよ?」
「は?」
「いいから。解ったら少し目を瞑っててくれ」
「ほいほい」
何だよ一体。
連れてくるなり誰にも言うなとか、目を瞑ってろとか。
目を瞑っていると、服の擦れ合う音が部屋に響いた。
……?!
「な、何してんだよヴィータ!!」
「煩い、あと少しで準備終わるから待ってろ。良いって言う前に目を開けたらアイゼンを血で洗わせて貰うからな」
解ってるよ……。


暫く服の音が響きそれが止む。
沈黙が部屋を包み込み、俺とヴィータの静かな息遣いのみが聞こえていた。
「も、もう良いぞ。ゆ、ゆっくり目を開けてくれよ?」
ヴィータの少しだけ震えた声に目を開けると、視界に入ったのは……
「マ、超機動少女カ、カナミン!! あ、あな……貴方をげ、元気にしてあげる!!」
トリコロールカラーの露出度高めな、超機動少女カナミンという、
学園都市でやっているアニメのコスプレをし、真っ赤になって意味不明な台詞を言うヴィータだった。
「あのぉ……なにしてるんでせうか?」
「っ……あのシスターが、これ着てこの台詞言えば当麻が元気になるって言ったから……駄目だったか?」
いやぁ、駄目と言うかなんと言うか。
驚きで上条さん言葉が出ませんよ。


「結構恥ずかしいんだぞ?」
「そりゃそうだ。そんな露出度の高い……」
ヴィータは俺のためにこんなことしてくれたんだよな。
「ありがとな、ヴィータすごく元気になった」
「ほ、ほんとか?!」
ここらでこういう喜び方をするあたり……子供に思えるんだよな。
そう心で呟きククッと笑う。
「なんだよぉ。まぁ、笑ってくれたなr―――」
「ヴィータ? 部屋に居るん?」
「ちょっまっ―――」
がちゃっとはやて、怪我から回復したシグナム。
なのはにフェイトが入ってきた。


「「「「え?」」」」
「ヴィータちゃん、なんでそんな格好してるの?」
なのはが不思議そうに聞き、
「あのヴィータが……」
シグナムとフェイトは同じ驚き方をして……
「ヴィータ? 何しとるん?」
はやてが聞く。
そして……。
「と、当麻に着ないとアイゼン壊すって脅されたんだ!!」
へ?
んなばかな。
アイゼンはヴィータが……あれ?
俺の胸ポケットにはなぜかヴィータのデバイスであるグラーフアイゼンが収められていた。


「へぇ……当麻。そういう趣味があったんだね」
なのはが怖い。あの魔王化のときと同じくらいに!!
「ヴィータは嫌がってるみたいだよ?」
フェイト……目が笑ってない。目も笑って!!
「ほぅほぅ。ご立派な身分やねぇ……? 当麻くん?」
はやてが、こ、わ、い、よ。
「く……くくくっ。ヴィ、ヴィータが……」
シ、シグナムさん?
何笑ってんでせうか?


「「「覚悟。しなさい」」」

「なっ、俺はそんな要求してねぇぇぇ!!」
「往生際が悪いで!!」
「ふこーだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


『天使vs天使』


「ほんっとごめん」
「別に良いけどさ。慣れてるし」
ヴィータに謝られながら、それを適当に受け流していた。
「そういや、なのはは?」
「なのはなら管轄世界に出てるよ。一応麦野とかが逃げてるかも知れないからな」
「そうか」
麦野達……か。
なぁ、御坂妹。
お前は何であんなことをしたんだ?
自分の意思でしてるわけじゃないって信じてるからな?


「た、たいへんですぅ!!」
「な、なんだ?!」
憂鬱な気分になっていると、リインの叫び声がアースラに響いた。
急いで管制室に向かうと画面にはなのはそして、なのはと対峙する羽が生えた男が映っていた。
「な、なんだよ……あいつ」
「どうしたん?!」
「はやてちゃん、フェイトちゃん。大変です。なのはちゃんのところに敵が――」


〔誰……なのかな?〕
〔俺か? 俺は学園都市のレベル5の第二位。垣根帝督だ。時空管理局のエース・オブ・エース。高町なのは〕
〔学園都市?!〕
〔やはり、すでに学園都市の者と接触していたか〕
学園都市?
何なんだ一体。
どうしてこんなに一杯、学園都市から流れ込んできてるんだ?
それに学園都市第二位って……やばい。
「リイン、いますぐなのはを呼び戻せ!!」
「え? え?」
「あいつは御坂や麦野よりやばい!! 能力制限のかかったなのはじゃ殺される!!」
くそっ……不味いな……。
「はやて、能力解除の許可を」
「わかっとる。なのはちゃん、能力限定解除許可!!」


〔ほぅ……限定解除か。俺のことを知っているやつがいるみたいで良かったな高町なのは〕
〔どういう意味?!〕
〔いや、ただお前が瞬殺されてはつまらないだろう?〕
?!
あいつ……。
「駄目だ!! なのはを戻せ!!」
「す、すぐには無理……」
〔さぁ、始めようか。高町なのは。抵抗してくれよ?でなきゃつまらない〕
〔くっ……アクセルシューターシュート!!〕
〔打ち消せ、烈風〕
?!
アクセルシューターがかき消された?!
ただ、翼を動かしただけだぞ?!


〔なっ……〕
〔さて、お前の動きを止めていては転送魔法で連れて行かれてしまうからな。死ぬ気で動かなきゃ死ぬぞ?〕
垣根が翼を動かすと、抜けた羽根がなのは目掛けて飛ぶ。
〔こんな羽根……っ?!〕
「なのはちゃんが動かないといけないから、転送魔法が捕捉できません!!」
「なんで、あの羽根は魔法防壁を突き抜けたん?!」
あいつの能力って何だ?
「あれは……垣根帝督?」
白井……?


遅れて管制室に来た白井が呟く。
「何か知ってるのか?!」
「……かなり最悪の敵ですの」
「どういうことなん?」
「あの人の能力は、未元物質。例えばあの羽根。あれが魔法防壁を突き抜けたのは、魔法の影響を受けない羽根として生成されたからですの」
「対処法は?!」
「恐らく無いですの。逃げるしか……」
「っ、フェイトちゃん、向こうに援護にいくんや!!」
「了解!!」
《なのはちゃん、救援にフェイトちゃんを向かわせるからあんs―――》


〔ほぅ、フェイト・T・ハラオウンが来るのか。して、今の声は八神はやてか?〕
〔?!〕
「「「「?!」」」」
なっ……どういうことだ?
「な、なんでなん?! 念話やったはずなのに……」
〔なんで? そんな顔してるな高町なのは。教えてやろうか?〕
〔え?〕
〔俺に常識は通用しない。ただそれだけだ〕
どうすれば良い?
あのままじゃなのはが……。


〔私は、負けない!!〕
〔ほぉ?〕
〔レイジングハート!!〕
〔……集束魔法。一撃必殺のスターライトブレイカーか〕
〔スターライトォォォォォォォォォ、ブレイカァァァァァァ!!!!〕
なのはの全力のスターライトブレイカーが垣根を飲み込む。
あれなら!!
「駄目。あの人にアレは効かないですの」
え……?
白井?


〔え? ど、どうして?!〕
なのはの驚きの声が管制室に響いた。
〔だから言ってんだろぉ? お前じゃ俺には勝てない。潔く死ね〕
〔なんで無傷なの?!〕
〔簡単なことだ。俺の周囲の空気中に魔力を分解し酸素に変換する物質をばら撒いただけだ〕
〔そん……な……〕
〔お前は話に聞くと天使らしいな〕
〔え?〕
〔俺の翼は天使の羽〕
こいつ……なにを?


〔天使は一人で良い。空気中に未元物質撒布。魔力の結合を解除する効力を追加した酸素だ〕
〔え?〕
なのはの足の羽根が消えた?!
〔堕ちろエセ天使。未元物質生成。土の性質に衝撃で核以上の爆発を起こす成分を追加〕
それが起きたらなのはが木っ端微塵に吹き飛んじまう!!
〔魔力の生成ができない……〕
なのはの声が映像と共に流れる。
「なのはぁぁぁぁぁ!!」
俺の声はなのはに届かない……。
そしてなのははそのまま、地上へと堕ちていった。


『信頼』


〔――間に合った!!〕
「フェイト?!」
さっきから声が聞こえなかったのは転移してたからか……。
「ようやったで、フェイトちゃん。リイン。そのまま撤退や!!」
〔……まぁ、良いだろう〕
〔……〕
〔お前たちごときじゃ、俺に勝てないことは解っただろう?〕
〔……次は負けません〕
〔はっ。言ってろレプリカ。夜天の女に伝えろ。いずれ殺しにいく。と〕
「っ?!」
そう言い残し、フェイト達が転送されるより先に垣根はいなくなった。
完全なる敗北。
隊長陣が“見逃された”それが衝撃的過ぎた……。
管制室に……嫌な沈黙が立ち込めていた……。

_______________


________


___


「……ごめん」
「……生きててくれただけでええよ」
なのは、はやて……。
俺にはかける言葉なんてない……。
「一応、医務室へ行っといた方がええで」
「うん」
……。
なのはが医務室へ向かった後、俺たちは暫く黙り込んでいたが、
はやてが不意に言葉を放つ。


「どうなん? 黒子ちゃん。あいつについて詳しく教えてくれへん?」
「ええ。そのつもりですの……初春がこの世界にいないのが惜しいですが……」
白井が電子板を受け取り、さっきの垣根の画像を映し出す。
「未元物質。この世に存在しない素粒子を生み出す、または引出して操作する能力 。
及びそれによって作られたこの世に存在しない素粒子(物質)ですの 」
「暗黒物質とかそういうものではないってことか?」
ヴィータの問いに、白井が静かに頷く。
っていうことは、
さっき白井が言った通り、なのはの魔法防壁を突き抜けたのは魔法を中和し、盾に阻害されない効果が付属されていたからか……。
なのはが魔法を使えなくなったのも……。
垣根帝督。厄介とかそういうレベルの敵じゃない……か。


あいつと戦えるのは俺くらいか?
付属効果がつけられてもそれは能力でのものだから、触れれば効果は消える。
「彼とであった場合は逃げることしかできません。それほど、危険な相手ですの」
白井の言葉に、なのはが何もできずに終わった先ほどの戦いを思い出す。
再び沈黙する管制室……。
「俺が、俺が戦う」
「な、何を?!」
フェイトが驚愕の表情で俺を見つめる。
「垣根帝督が出てきたら俺が戦う」
「無茶や!!」
「いえ、上条さんは間違ってませんの。上条さんの右手。異能を打ち消すとか言う曖昧なものですが、垣根帝督の能力で生成されたり歪められたものを消したり元に戻すことが
できるはずですの。ただ、物凄く危険なことに変わりはありませんの」
白井がいつもと違った優しげな目で、俺を見ていることに気がつく。



「あんまり、無理はなさらないことですの」
「解ってる」
「なら言うことはありませんの。私の知っている情報は以上ですの。部屋に……戻ってますわ」
白井はそう言うと部屋を出て行き、俺たちもそれぞれ解散した。
俺は無意識の内に、医務室に来ていた。
今回の戦い。
なのははきっとプライドをズタズタに引き裂かれた気分だ。
自身の必殺技が無傷。
隊長でありながら見逃された事。
なんて声をかければいいんだろう?


戸惑いながら俺が医務室の扉を開けると、なのはは居らずいたのはシャマルさんだけだった。
「……なのはちゃん、すごい落ち込んでたわ」
「解ってます」
「傍にいてあげて。多分。それだけで良い筈だから」
シャマルに言われ、なのはの部屋へと向かう。
「あっ、当麻さん」
「スバル……みんなもか」
途中、スバルやエリオたちフォワード陣とであった。
スバル達も映像を見たんだろう……。


「なのはさん……怪我は無いんですよね?」
スバルの質問に頷く。
「……あのなのはさんが手も足も出なかったなんて」
「違うわ!! あれは、相手の力がわからなかっただけよ!!」
「ティアナさん……そんな怒鳴らなくても」
エリオの言葉にティアナが怒鳴りキャロが止める。
……最悪の空気だ。くそっ。
「なのはだけじゃない。アイツとまともに戦うのは、魔導師じゃ無理だ」
「「「「え?」」」」
「あいつと戦えるのは俺だけだ」
そう言うと、ティアナたちは一瞬疑ったが、
すぐに信じたのか、心配そうな視線に変わった。


「その時が来たら全力で援護するわ」
ティアナが微笑む。
「僕も」
「私も」
「私もです」
エリオ、スバル、キャロ。と頷く。
「みんな……」
こいつら……みんな良いやつだな……。
「なのはさんのところに……行ってあげて下さい」
エリオたちがそう言うと、歩いて行った。


なんて声をかけるか……よし。
なのはの部屋をノックし入る。
「なのは……」
「当麻……」
扉を閉めると、寝るときのような仄かにオレンジ色の光のみが明かりとなっていた。
その明かりの下のベッドに、なのはが座っていた。
「私……物凄く惨めだったよね」
「……」
「能力の限定解除もして、スターライトブレイカーも撃って。でも、無傷だった。子供のようにあしらわれた。いつでも殺せる程度だって見逃された……隊長失格だよ私」
なんていえば良いか。
わからねぇけど。
でも……。
「なのはは隊長失格なんかじゃない。白井によれば、あいつと戦うこと自体愚かな事だって話だ。あいつは魔法を使えなくしたりできるんだ。なのはが―――」
「そんなの気休めにもならない……」
「なのは。俺がなのはの仇を討ってやる」
「え?」
「なのはにこんな屈辱を与えたあいつを、俺が叩き落してやる。俺みたいな無能なやつが、有能を叩き落すんだ。それ以上の屈辱は無いだろ」
「……」


「なのは。みんなはなのはのことを惨めだとか、隊長失格だなんて思ってない。だから安心しろ」
なのはの隣に座って、言う。
「……そうかな? 私、いいのかな」
「ああ。大丈夫だ。駄目っていうやつがいたら俺がぶん殴ってやるよ」
「ねぇ、当麻。無茶はしないで」
「……」
「当麻?」
「解ってるよ」
垣根との戦闘自体無茶ということは伏せておこう。


「あははは。じゃぁ、ご飯食べに行こうよ。お腹すいちゃった」
なのはが不意に立ち上がり、俺の手を引く。
「ったく、浮き沈みが激しいな。なのはは」
そう笑うと、なのはも笑う。
無茶はするけど、絶対帰ってくるさ……。絶対。
来たるべき垣根との戦いに、覚悟を決めた俺は、
なのはと一緒に食堂へと向かった。



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