仮面ライダーW & 仮面ライダーOOO & 魔法少女まどか☆マギカ Fの契約/少女と魔法と仮面ライダー 第七話

2012年05月07日 02:24

まどか「仮面ライダー?」翔太郎「魔法少女?」映司「魔女?」 その2

1 :◆WDUU7xtdEo [sage]:2011/05/04(水) 03:07:19.82 ID:myqBfVFDo
『魔法少女まどか☆マギカ』と仮面ライダーW、OOOのクロスです


*設定として九話までのものを利用。そのため、まどか側の設定として
 ある程度の予想改変が入ります、あしからず。

*仮面ライダーWはMOVIE大戦CORE終了後、OOOは24話終了後くらいを想定。


以上が、本SSのおおまかな設定となります。よろしくお願いします


前スレ
まどか「仮面ライダー?」翔太郎「魔法少女?」映司「魔女?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1299282663/


まどか×W×OOO!前スレの3つの出来事!


1つ! 見滝原という街で、再びオーズとダブルが出会った!

2つ! 魔法少女との新たな出会い! 映司、そして鳴海探偵事務所の面々は彼女達と交流を始めた!

3つ! まどかから生まれたヤミー! しかし、その裏でキュゥべえがなにやら画策をしていた!


余りにも情報量が多いので、この辺りで、はいww


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/04(水) 12:58:53.63 ID:AGB9JOiAO
まどか×W×OOO!前スレの3つの出来事!

1つ! 仮面ライダーと魔法少女の出会い! トラのメダルでは効果的な戦いが出来ないと映司が叫ぶ!
2つ! それも全て乾巧ってヤツの仕業なんだ!
3つ! 何だって! それは本当かい!?


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/04(水) 14:10:57.04 ID:OnpewaJ00
トラ・・・


9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/04(水) 14:26:50.77 ID:NTZg5cZAO
トラ「解せぬ」


7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/04(水) 13:28:00.69 ID:4l3t/F/X0
誰か、まどか×W×OOO!今回の依頼は!で相関図作って


10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/04(水) 14:52:50.46 ID:zCY7J8ga0
ライダー組
探偵事務所
翔太郎
ほっとけない→マミ
フィリップ
興味深い→ほむら
亜希子
ほっとけない→マミ

OOO組
映司
だいじょうぶかな→まどか
あ、あの時の→仮面ライダーW

アンコ
イライラする→QB


魔法少女
マミ
期待の新人候補→まどか
友達→QB
両親のぬくもり→亜希子

QB
契約したい→まどか
邪魔してくる→ほむら
邪魔→ライダー組

ほむら
おのれオーズ!貴様のせいでry→映司


カザリ
厄介な宿主→まどか

さやか
親友→まどか
まどかの友達←ほぼ全員


ごめん超適当


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『オオォォ……オゥゴォォォォォ……!!』

苦しそうなうめき声を上げるヤミーを、アンクは追いかける。

整備された河川をふらふらと下り、大人が簡単に入るような下水の横穴を入り、ヤミーは歩いていく。

「何処に行くつもりだ?」

ひくつくような匂いに顔をしかめながらヤミーの後を追おうとするアンク。

だが、その前に一つの影が立ち塞がった。

「やあ、アンク。こんなところで出会うとは奇遇だ」

銀髪の青年、カザリだった。

「カザリ……!」

一瞬で警戒態勢。
逃げの体勢を取るアンクだが、カザリは敵対の意志はないとでも言うように両手を挙げて降参のポーズをとった。

「待ちなよ、アンク。今の僕は、君のメダルを取る気なんてないよ」

「信用できるか。それに、あのヤミーはお前のだろうが」

指さした先、壁にもたれかけながら呻くヤミーにカザリの表情が歪む。

「僕のヤミー……ねぇ」

「あ?」

その様子に、違和感を覚える。いつものカザリなら、自分のヤミーを利用する事はあれ、忌避するような真似はしない。

いぶかしむアンクだが、考えがまとまる前にカザリが口を開いた。

「あれはもう、僕のヤミーじゃないんだよねぇ」

「…………なんだと?」

「アレ、もう、僕の手におえないしね」

あっけらかんと告げられた、余りにも意外なその言葉にアンクは驚きを隠せなかった。

カザリは、アンク自身が認めるほどに狡猾なグリードだ。

それが、こうも簡単に敗北を認めるような言葉を発するなんて、アンクには到底予想も付かない事態だった。

「それはそうとアンク。君の側にいる鹿目まどかという子……アレ、気をつけたほうが良いよ」

「鹿目まどか……ヤミーの親か?」

「ま……そうだね」

互いの視線が、互いの手の内を読むように交差する。

「奇跡売り……アイツが狙ってるくらいだし」

「…………何を考えてる」

カザリの顔に、薄っぺらい笑みが浮かぶ。

「僕らグリードにとって、アレは色々と邪魔だろ? だから協力しようよ」

さも当然、そんな口ぶりで言うカザリだが、それだけの訳がない。

カザリほどのグリードがそんな単純な申し出をするからには、間違いなく裏がある。

当然分かっている――が、しかし。

「それに、アイツがこの街に『残り滓』や『果実』をばら撒いてくれてるしね。
 アンク、君だって、それのせいで困ってるんじゃない?」

「…………」

痛いところを突かれ、黙り込む。
カザリも同じグリード、ヤミーやグリードの気配が読めなくなってるのは少し考えれば分かる事。

「だから、ここはいったん休戦して、僕と手を組みなよ、アンク」

差し伸べられる手、人間の良くする協力の証としての握手とやらを求めているのは分かった。

実際、カザリの申し出は、そう悪くない。

グリードとしての力の制限、そして、奇跡売りというイレギュラーがいる現状を思えば、カザリの力を利用するのはアリなのだ。

無論、向こうも、こちらの持つ駒であるオーズの力を狙ってるのだろうが。

「それで? もし手を組んだとして、俺とお前でどうする気だ?」

「ああ、ソレね」

カザリの口端が、つぅ、と持ち上がる。

「アンクの側に、あの子がいるんだろ? だったらさぁ……」

カザリの瞳の奥、猛獣のソレが爛々と輝く。

「奇跡売りが手に入れる前に、あの子を殺すのも、アリだよねぇ?」


***


「――って事なんだけど、分かってくれた?」


見滝原駅前のビジネスホテルの一室、説明を終え、映司はその顔をほむらに向けた。

「…………ええ」

納得しかねる、そんな表情を浮かべたままほむらだったが、まどかのいる手前か素直に首を縦に振った。

そして、その当の本人のまどかといえば、沈んだ表情のまま動かなかった。

「…………」

ベッドに腰掛けたまま、ずっと外に視線を向けたままだった。

無理もなかった。自分のせいでこの街を、そして映司達を危険に陥れかけたのだから。

優しすぎる心を持つまどかにとって、その事実は重すぎるほどに彼女に大きく圧し掛かっていた。

「まどかちゃん、大丈夫かい?」

そんなまどかに映司は近づき、顔を覗き込む。

「火野さん……」

「っ……」

まどかの側に寄る映司を見て、ほむらの表情が歪む。

大事なものを取られた子供のような、ひどく幼い嫉妬にも似たそれ。

だが、それもすぐ無表情な仮面の奥に消えた。

ほんの数秒も経たずに、いつもの『暁美ほむら』がそこに現れる。

何事にも動じない、人形のような少女が創り上げられる。

しかし、

「鹿目まどか。あの子は君にとって、本当に大事な少女なんだね」

その言葉を聞いた瞬間、また、崩れた。

「なっ……!」

頬に桃色が差し、恥じらいにも似た表情が顔に浮かぶ。

そして、そんなほむらに対し、部屋に備え付けの椅子に深く腰掛け、フィリップは笑みを投げかける。

いつもの含んだような笑みではなく、普通の微笑を。

「取り繕う必要はない。検索をしなくても、君の様子を見るだけで分かる」

「……あなたに関係ない」

「確かに関係ないね」

くすくす、とフィリップは笑いをこぼした。



――こういうのも悪くはない。

目の前で必死に自分を取り繕うとする少女の姿に、フィリップは懐かしさにも似たものを覚えた。

そして、その脳裏に映るのは、家族、園咲家の姿。

風都にガイアメモリをばらまき、犯罪を誘発させていたミュージアムの中核にしてその創設者、園咲家。

仮面ライダーWとしての戦いは、そんなガイアメモリを使ったドーパントとの戦い。
同時に、彼、フィリップにとっては家族との戦いだった。

大事なものを守ろうとして守れず、理解しあえず、果たして、何度苦しんだだろう。

傷つけられ、傷つけ、手をとりあえず、何度胸を痛め、もがいただろう。

しかし、そのたびに相棒に支えられ、仲間達に支えられ。

様々な苦しみを乗り越え、そして、最後に分かり合えた。

今はもうこの世になく、地球と共にある家族をフィリップは想う。
未だに苦いものは胸にあるが、もう、それは自分の中で整理できた記憶。

それは、自分という存在の本棚に納められた『思い出』。

「ふふっ」

彼女を見てそんな事を思い出す自分が妙に可笑しくて笑いがまたこみあげた。

「なにがおかしいの」

「いや、別に」

穏やかな笑顔のままフィリップは答える。
理由は分からないが、目の前にいる暁美ほむらという少女に、フィリップは興味以上の感情を持ち始めていた。

それは、まるでもう一人の自分を見ているような。

「――んで、何時になったら話を始めるんだ、フィリップ?」

「おっと」

さも退屈げな相棒の声に、フィリップは現実に戻る。

部屋の隅へと視線を移すと、そこには翔太郎とさやかが。

「いやはや済まない、翔太郎。すっかり忘れてたよ」

「忘れてたってお前なぁ……」

はぁ、と大きな溜息が一つ。そして、たはは、と苦笑いが一つ。

「まあ、良いや。とりあえず、こうして集まったって事は話があるんだろ?
 始めてくれよ、フィリップ」

「ああ、任せてくれ翔太郎」

そして、フィリップは何処で買ってきたのか、大きな白い紙とペンを取り出すとそれに一気にこれまで起きた事項を全て書きなぐり始めた。

瞬く間にこれまでの事が矢印で関係性を結ばれていき、理路整然と纏められていく。

それを、映司も、まどかも、ほむらも、さやかも、呆気に取られて見ていた。

「とりあえず、こんなところかな」

そして出来上がる相関図を、この場にいる全員が覗き込む。

魔法少女と魔女の関係、鳴海探偵事務所と火野映司とまどかたちの関係、ヤミーとグリードの関係、それらが全て一枚の紙の中に在った。

「鹿目まどか」

「は、はひ!?」

フィリップにいきなり名前を呼ばれ、まどかが飛び上がる。

「君はヤミーの親にされた。間違いないね?」

「……はい」

事実を突きつけられ、しゅんとうなだれる。

「あなた……!」

「ちょっと!」

それに抗議の声をさやかとほむらが上げるが、フィリップはそれを手で制する。

「ヤミー。グリードが人間の欲望を元に生み出す怪人。その性質は親となった人間の欲望に基づく」

室内をフィリップが歩き始める。

「これまでの行動を見るに、君の欲望を再現して生み出されたヤミーという事になるが、ふむ」

フィリップは、ブツブツとああでもない、いやしかし、と問答を始めた。

「あ、あの左さん? あれって……」

「ああ、あれ。いつもの事だから気にすんな」

軽く引いているさやかに、翔太郎はそう答える。

「火野映司、あのヤミーは君の知るヤミーとは違うというのは本当かい?」

「ん……ああ。今まで、あんなヤミー見たことない」

「そうか」

床においた紙にフィリップは更に事項を書き足していく。

「なるほど、ゾクゾクするねぇ……」

段々と書き込まれていく情報量は増え、それが何故か、まどかを中心にして広がる放射線になっていく。

「あ、あの……」

砂場ではしゃぐ子供のようなフィリップの背に、まどかが声をかけようとした瞬間だった。

「よし、できた」

「ひゃっ!」

スっと立ち上がったフィリップに驚き、まどかがまた飛び上がった。

「んで、どういう事だ、フィリップ?」

「ああ、翔太郎」

翔太郎に向かってフィリップは満面の笑みを浮かべた。


「完全な―――情報不足だ」

「たっはぁっ!!」


翔太郎は、ずっこけた。


「おま……フィリップ!?」

「鹿目まどかを中心にして、何かしらの事象が動いている事は分かった。
 がしかし、なぜ、鹿目まどかを中心にして物事が動いてるのかが理解できない」

そうやって、フィリップはまどかへと視線を向けた。

「教えてくれ、鹿目まどか。君は、いったい何者だい?」

「わ、わたし……」

そう言われても、まどかには答えようがなかった。
まったく思い当たる当てがないのだ。

確かに、キュゥべえには『素質がある』、『最強の魔法少女になれる』とは言われた。

だが、何のとりえもない自分にそんな事が出来るはずもない。

もし出来ていたなら、昨日、マミさんが死にそうになった時、奇跡を起こして助ける事だってできたはず。

でも、できなかった。

そう、そんな自分が何者であるはずがないのだ。

自分は何のとりえもない、ただの中学生なのだ。

「ごめんなさい……」

「ふむ」

首を横に振るまどかに、フィリップは自分の顎に手をやった。

まどかから情報を引き出せるとは、フィリップ自身も大して思っていなかった。

美樹さやかという友人を置く事で安心させて、何かしら手に入ることをある程度は期待していなかった訳でもないが。


だが、フィリップの目的としては、むしろ彼女ではなく――。


「……ふむ」


――大きな動揺を見せる暁美ほむらの方にあった。


「暁美ほむら」

「っ!」

ビクン、とほむらが体を震わせた。

「そろそろ、君の持つ手札を僕達にも見せて欲しい。
 これまでの君の行動からおおよその見当はついているが、できれば君の口から聞きたい」

「そ、それは……」

その目は、明らかに見抜いていた。

確信を持って、ほむらを射抜いていた。


これまで、何度も繰り返してきたループ。その中で誰もそれに気づく事はなかった。

いや、説明しても誰も信じなかった。


左翔太郎の横で、何も分からず戸惑いの表情を浮かべる美樹さやかなんて、その筆頭。

まどかだって、殆どの場合、そう。


だからこそ、今起きている異常な状況にほむらは考えを纏めきれなくなる。


話してしまう?

話して、助けを求める?

でも、それで本当に助かるの?

信じてもらえる?

今まで、信じられる事なんて殆どなかったのに?

リスクを背負える?

まどかを本当に助けられる?


頭の中で多くの疑問が浮かんで、浮かんで、満杯になる。

これまで起きた事のない出来事に、頭がパニックになる。

対処法が分からない。

初めて起きた事にどんな選択を取れば良いのか、分からない。

しかし、だが、しかし。


「ほむらちゃん……?」

「まどか……」


まどかの顔を見て、思いが定まった。
そう、今やってる事は全てまどかを救うためにやってきた。

これまで、ずっと、そうだった。

だったら、これからも、それは同じ。


ほむらの中で意思が固まる。


今、再び問われた問いに対して、今度こそ真実を明かそう。

自分という時間遡行者の真実を明かそう。


そして、今度こそ、まどかを――。


『うん、それは僕も知りたいね、暁美ほむら』


そこに、アレはいた。

部屋の窓辺、あの白いバケモノは平然とそこにいた。

「キュゥべえ!?」

まどかが、ソレに気づいて声を上げる。

「キュゥべえ? え、なんだ? フィリップ?」

「翔太郎、君には見えてないのかい?」

「いや、だから、何が?」

キュゥべえは、訳も分からず顔を右左に振る翔太郎の足元をすり抜けて焔の前へとやってくる。

「キュゥべえ……!」

『暁美ほむら。僕は君に何度も攻撃をされている。
 被害を受けた僕としてはその理由を聞く権利があると思うんだけどな』

赤い瞳が、ほむらに注がれる。

「誰が……! だれが、お前に……!!」

一瞬で、目の前が真っ赤に染まった。

脳内化学物質が、怒りで一気に放出される。


瞬時に戦闘衣装に変わり、その右手にまた拳銃が握られる。

狙うのはキュゥべえ――いや、インキュベーターの眉間。


しかし、だがしかし。



「――だめえっっっ!!」

「っ!!」



その前に、また、まどかが。



その姿に、一瞬動きが止まる。

それが、ほむらにとってのミス。

「ちょ、ほむらちゃん! なんてモンを持ってんだ!!」

「あ……っ!!」

次の瞬間、翔太郎によって拳銃が奪われる。

「転校生……またアンタ!!」

「ほむらちゃん……なんで、キュゥべえを傷つけようとするの?
 キュゥべえは、何も悪い事なんて……」


違う、違うの。

そうじゃないの。


口に出して、思い切り言いたかった。

だが、言えない。


『暁美ほむら……君はまた……』


この、バケモノがいる前では、絶対に。


「っ……ぅぅぅ……!!」

唇を強く噛み締める。血が出るほど、強く。

「ったく……何なんだよ、コレ一体なんなんだ?!
 いきなり、まどかちゃんに銃を向けて、いったいなにがどうなってんだよ!?」

翔太郎は明らかに事態についていけなかった。

翔太郎の目には、いきなりほむらが激昂してまどかに銃を突きつけたようにしか見えていなかったのだ。

だが、それは翔太郎にとっては仕方のない事。
翔太郎にはキュゥべえは見えていなかった。

「ほむらちゃん、いったいなにがあったんだ? まどかちゃんは君の友達なんだろ?
 なあ、おい!?」

彼女の肩に手を置き尋ねるが、しかし、その視線はずっとまどかに向いたまま。

そして、次の瞬間、


「――あ?」


ほむらの姿が消えた。
部屋の中に、もう、ほむらの姿はなかった。

イリュージョンと呼ぶには完璧すぎるほどに何の痕跡もなく、先程奪ったはずの拳銃も綺麗サッパリと翔太郎の手の中から消えていた。

「……! 翔太郎、此処は任せた!」

「は!? あ、ちょ、フィリップ!?」

いきなり部屋を飛び出すフィリップに反応も出来ず、へっぴり腰のマヌケな姿のまま翔太郎は見送るしかなかった。



焼け付くような胸の痛みと共に世界が動きだす。

見上げた先には、ほんの一瞬前まで居たホテル。間近にあるというのに、今はその距離が果てしなく遠く感じる。

「っ……」

込み上げるのは悔しさ、自然と目頭が熱くなる。
心はズタズタに引き裂かれ、全身は酷く重い。

しかし、それも全て自分が招いてしまった失態。

インキュベーターを見て激昂し、よりにもよって、まどか達の前であんな真似をしてしまった。

短慮に過ぎた行い、悔やんでも悔やみ切れない。

ようやく掴めたと思ったまどかを救うための道を自分で断ってしまったから。

「私……私、は…………っ!」

悔しさ、辛さ、悲しみ、そんなもの全てが一緒くたになる。
無限にも等しい旅の中で幾度ともなく繰り返し、乾き切ったはずのそれが溢れる。

目に映る全てが歪み、歪み、そして――。


「――暁美ほむら」


その声が、ほむらの耳を打った。

「ぁ……」

振り向いた先、そこにいたのはフィリップだった。

零れそうになった涙を湛えたまま、彼と視線が合う。

「ふむ……空間への干渉か。しかし、それだけでは翔太郎の手から
 拳銃を奪い去った事への証明は難しい」

「何を……」

フィリップは、ほむらの様子に動じる事も反応も示す事なく近付いていく。

そして、彼女の目の前に立つ。

「実に興味深い」

その微笑は、ただただ純粋に好奇心。

だが、今、その好奇心は『暁美ほむら』自身に向いていた。

フィリップの瞳がほむらを貫く、その心を見透かすように。

それに、ほむらは揺らぐ。


――それは、不思議な高鳴り。


「暁美ほむら、僕は君について検索を行なった」

「…………」

答える事は出来なかった。

しかし、それでも彼の言葉は続く。

「君が病気から快復したのが一ケ月ほど前。
 そして、その日からの君の行動を僕はアキちゃんと共に追ってみた」

それは、式の証明を行うように朗々と。

「実に興味深かった。君の行動は、常に鹿目まどかに関連する場所に限定されていた。
 しかも、その行動は、彼女の後を『追う』のではなく、『先回り』をしてだ」

「……!!!」

その微笑が魔的なものを帯びる。

「暁美ほむら、君はHG・ウェルズを知っているかな?」

「……え?」

いきなりの話題転換、頭がついていかない。
困惑するほむらを、しかし、フィリップは微笑を湛えたまま見つめ続ける。

「どうだい?」

「HG・ウェルズ……………タイムマシン?」

「そう、その通り。タイムマシン、古典SFとして最も著名だ」

「それで?」

「タイムマシン、タイムトラベル、タイムリープ、人間は時に干渉する力を求めて止まない」

顎に手をやり、フィリップは更にほむらの顔を覗き込んだ。

その瞳が、また、深くほむらを見透かすように貫いた。

そして理解する、今度こそ間違いなく。

「ぁ……!」

「ふふっ」

「あ、あなた――!」

しかし、それを遮るように、フィリップは自分の口元に指を当てて笑んだ。

「暁美ほむら、焦る事はない」

「で、でも……あなたは!!」

そして、再び微笑。フィリップがほむらの目線まで背をかがめる。

「時として、沈黙は言葉にする以上に全てを語ってくれる。
 僕が必要とする情報は、今、君からもらった。つまり、そういう事だ」

「で、でも――!」

「暁美ほむら」

これまでにないほど優しい微笑が、ほむらに向けられた。

そして――。

「君はもう『繰り返し』、『求める』必要はない」


ただ、一言。

包み込むように、穏やかに。


「――――あ……あぁっ!」


その言葉、無限の中で何度も聞きたかった言葉。

その言葉を、今、目の前の彼は。

「わ……わた、し……わたし!!」

もう、抑え切れない。ぼろぼろと、零れる。

次から次へと。

もう、枯れ果てたと思っていたのに。


――涙が、溢れ出す。


「っ……フィリップ……さっ……」

はぎ取られた仮面、涙でぐしゃぐしゃになった顔を、ほむらは彼に晒した。

そんな彼女の頭をフィリップは静かに撫でる。



二人の間を見滝原の風が吹き抜けた。

それは、今までと違う、爽やかな風



「あ゙ー……くそっ」

深い溜息をつくと、翔太郎はソファに深くもたれかけて天井を仰いだ。
吹き抜けになったフロア、まるでホテルのような造りのそれだが、鼻をくすぐるアルコールの匂いに
ここが病院である事を思い出す。

美樹さやか、彼女の付き添いとして此所に通うようになった訳だが、この風景、やはり慣れない。

風都に馴染みきった身体には、見滝原の近代的過ぎる建築物はしっくりこない。

が、しかし、目下の問題はそんな事より。

「ほんとに何考えてんだ……フィリップの奴」

相棒、フィリップの事。


『――翔太郎、やる事ができた。以後、僕は別行動を取る。鹿目まどか達の事は君達に任せた』


短い語句で必要な事柄だけを告げ、それだけ。以降、一切の連絡なし。

暁美ほむら、彼女を追って飛び出した後に何かあったのだろうが、しかし。


「……しっくりこねえな」

状況から察するに、フィリップは彼女と会い、その結果、別行動をする決断に至ったに違いない。

だとすれば、その理由は何か。

色々と推測を並べてみる。しかし、どれもピッタリとピースが当てはまらない。

あのフィリップをここまで積極的に行動させる要素が彼女には見当たらない。

無論、『魔女』や『魔法少女』というキーワードに興味を示してはいたが、それなら彼女でなくても良いはず。

それこそ、亜樹子と一緒にいる巴マミに興味を持つ方が、話としてはすんなりくる。

なのに、フィリップは暁美ほむらに興味を示したのだ。


――暁美ほむら『だけ』に。


「ほむらちゃん……だけにか。あの子に何があるってんだ、フィリップ?」

ヒントもなく、ばらばらになったパズルピースも当て嵌める事もできず、思考にモヤがかかる。

「だぁ、くそっ! 訳わかんねえ!!」

苛立ちに頭を掻き毟ろうとした時だった。

「左さん」

その声に思考のスイッチを一瞬で切り替える。

探偵らしく、笑顔を彼女に向ける。

「よお、さやかちゃん。終わったのかい?」

「あはは……はい」

美樹さやか、彼女に。

さやかを横に伴い、翔太郎は見滝原の街を行く。

愛機ハードボイルダーを押しながら、四車線道路を切れ目なしに行き交う車達を横目で見送る。

こうして歩いている間も、考えはまとまっていない。

フィリップの真意も分からないまま。

相棒の行動は信頼してるが、その目的を見抜けない自分に歯痒さを覚える。

苦々しい気分、思考のループに陥りそうになったその時だった。

「――って、左さん。話聞いてる?」

隣から張り上げられた声に、翔太郎は視線をさやかに移した。

頬を膨らませて、非難めいた表情をこちらに向けていた。

「あー聞いてる聞いてる」

「聞いてないじゃん、このこのー」

おちょくるように翔太郎をさやかは肘で小突く。

「や・め・ろ」

「なはは~」

ころころと、鈴のような笑い声をあげるさやか。だが、それが不意に止まる。

「…………」

「…………」

お互いに無言、話を切り出す事もないまま道を行く。

そして、プツリと車の列が途切れ、周りが静寂に包まれた。

「――ねえ、左さん」

先に沈黙を破ったのは、さやかだった。

「なんだ、さやかちゃん?」


「――左さんはさ、なんで戦うの?」


静寂に包まれた近代都市に、その声が響いた。

「またそりゃ……いきなりだな」

誰も通らない道に二人、翔太郎はさやかに向き合う。

愛機を傍らに停め帽子を被り直すと、大きく息を吐いた。

「何かあったのか?」

「…………」

答えはなかったが、固く握り締められた手が雄弁に語る。

「左さんもさ、皆を守るために戦ってるんでしょ? マミさんと同じで、さ……」

「間違いじゃ、ねえな」

「――だったらさ!」

叫びが、響き渡る。

「あたしが……あたしが恭介のために願いを叶えて戦うのも、間違ってないよね!?」

悲痛な表情を浮かべて、さやかは翔太郎に訴える。

「それは――」

さやかに、答えようとした時だった。

「――――!?」

ゾクリと、全身を悪寒が。


――――余りにも、世界は静か過ぎた


「――ッ! さやかちゃん!!」

翔太郎が叫ぶと同時、世界が歪んだ。

魔女の結界が二人を飲み込む。



窓の外は、紫に染まっている。

ほんの数日前までだったら、この紫の空を自分の部屋から見ることなんて
ありえない事だった。

魔女を探しては何時間も街を歩き回り、日が変わる頃に帰ってきて質素な
食事を摂って眠りに付く。

それがマミにとっての日常だったのだ。

でも、今は。

「んー……やっぱ竜くんが作るトマトソースにはならないなぁ」

振り返れば、キッチンに立つ亜樹子の姿。

自分のために晩御飯を作ってくれているその光景に、マミは心が
弛緩するのを感じた。

なぜなら、それはずっとマミが待ち望んでいたものだったのだから。

この一人では大きすぎた部屋も、今は心地良い揺り篭。

「ん? どしたの、マミちゃん?」

「……ううん、なんでもないです。亜樹子さん」

孤独を忘れるための魔女との戦いも、彼女がいてくれるのだからその意味もなくなる。

だから、自分はもう戦わなくて良い――そう思った時だった。


『――マミ、魔女が現れたよ』


聞き馴染んだその声がマミの耳を聾した。


「キュゥ……べえ……!?」

大事な親友が、そこにいた。

赤い瞳をこちらに向けて、マミを見ていた。

『マミ、魔女だよ。君の姿が見えなかったから教えに来たんだ』

「ま……じょ……」

『新しい魔女だけど、もう、結界を作って人を引き込んでるみたいなんだ。
 早く倒しに行かないと大変な事になっちゃう』

「たお……たおす」

『……? マミ、どうしたんだい? 行かないのかい?』

これまでのマミなら、その親友の言葉に、すぐにでも飛び出して魔女の元へと
向かっていたに違いない。

だが、今のマミは――。


「い…………いや」


――もはや、かつての巴マミではなかった。


『嫌? なぜだい、マミ? 訳がわからないよ』

「い、いや……わたし、もう戦いたくない! もう、こわいのはヤダ!
 もう魔女と戦いたくない!」

『だけど、マミ。君も分かってるはずだよ? 魔女と戦わないと君のソウルジェムは
 濁る一方だ。そんな事になれば、どうなるか分からない君じゃないだろ?』

「でも……でも、私……!」

その正論に、何も言い返せなかった。

キュゥべえの言う事は何も間違っていない。

むしろ、間違ってるのは自分。

理性では理解しているが、しかし、感情はそうではなかった。

「もうヤダ! 戦うのなんてヤダ! 痛いのも、死にそうなのも、もうやだ!!
 放っておいてよ! わたし……私、もう戦いたくない!!」

『マミ、それが君の本心なのかい?』

「だから何よ!! キュゥべえは私の親友でしょ!? だったら分かるでしょ!?
 私だって普通の女の子なんだよ!?」

『でも、君は契約したじゃないか』

「契約したから何!? 私だって、普通の女の子みたいに生活したいの!!
 それくらいしたって、良いじゃない! それを望んで何が悪いの!?」

『……ふぅ。そうか、君がそう言うなら仕方ないね』

軽い溜息をついて、キュゥべえは部屋の窓際へと向かっていった。

それを、マミは震える自分の体を掻き抱えて見ていた。

そしてキュゥべえは、いつ開けたかわからない窓の隙間の前へ立つと、マミの方へと
その赤い瞳を向けた。

『じゃあ、もう良いよ、マミ。君はもう必要ない』

「…………」

ガラス球のような無機物的な色を帯びた瞳が感情を乗せずにマミを射抜いた。

『魔法少女でありたくないと言うのなら、そうしたら良い。
 ボクは、他の街の魔法少女に来てもらって魔女退治をしてもらうだけだしね』

その言葉には彼女への思いやりは一切なかった。

親友だと思っていた彼の言葉はとても冷たかった。

『じゃあね、マミ。もう会うことはないだろうけど』

そして、彼はマミの部屋から去った。

「マミちゃん? なんか、すっごい叫んでたけど……大丈夫?」

「ぁ……亜樹子、さん」

部屋に入ってきた亜樹子に、マミは狼狽した表情を浮かべた。

「えっと……もしかして、電話だった、とか? あ、それだったら
 アタシ、ちょーっち邪魔だったかな?」

「……いえ、大丈夫です。もう、終わりましたから」

「へ? あ、そう? あー……だったら、もうすぐ御飯だけど、たべるよね?」

「はい……」


胸が苦しかった。これまでにないほどに。


「そっかそっか。じゃあ、用意しちゃおっかな」

「……はい」


全身を襲う震えが、止まらなかった。


だから――。


「それじゃあ、まずはチーズとお皿を――おぉっ!?」


喋る亜樹子に、マミは抱きついてた。

「ま、マミちゃん?」

「お願いです、亜樹子さん……私を抱きしめてください」

「…………」

自分に抱きつくマミの手は震えていた。

彼女のこれまでを考えると、その手を振り解くことなんて亜樹子には出来なかった。

甘いのかもしれないけれど、そうするしか思いつかなかった。

「マミちゃん……」

マミの頭を撫でてやりながら、亜樹子は彼女の体を優しく抱きしめた。

昔、本当に小さい頃、父にしてもらったように。

「ぁ……」

和らいだマミの声、震えが落ち着いていくのが分かった。

「ママ……」

きゅっ、と亜樹子の服を掴むマミの手。

年頃より幼い少女の心を亜樹子は垣間見た気がした。



「ったくよ……運が悪いにも程があるぜ!」

悪態をつき、仮面ライダーと変身した翔太郎は眼前に迫っていた使い魔を蹴り上げた。

「――!!」

両腕と両足をバイクのホイールと化したソレは、悲鳴を上げる代わりに鉄のひしゃげたような音を立てて異界化した高速道の壁に叩きつけられた。

「ひ、左さん……」

震えるさやかの声を背に受けながら、翔太郎は周囲を確認する。

異界化した高速道、隣接していたビル群は飴細工のように溶け落ち、代わりに剥き出しの鉄骨が歪に組み合わさったオブジェが乱立している。

そして、その鉄骨の隙間から現れるのは今蹴り飛ばしたのと同じ使い魔達。

何十という群れを作って次々とアスファルトへと飛び跳ね、落ちてくる。

「ちっ……」

非常に不味い。翔太郎は超人の仮面の下で眉間に皺を寄せた。

この使い魔、それ自体は仮面ライダーとなった翔太郎にとって大した敵ではない。
蹴りを一撃叩き込むだけで吹っ飛ぶ程度の相手だ。

どれだけ数がいようと叩きのめす事自体はそう難しくない。

問題は、別。


――美樹さやかだった。


後ろで震える少女、彼女が翔太郎にとってネックとなっていた。

仮面ライダージョーカーは近接戦闘に特化した形態、どうしても戦うには彼女の側を離れなければならない。

だが、この状況下でそれは彼女を危険に晒す事を意味する。

「こんな時にフィリップがいねえなんてな……!」

最悪だ、翔太郎は考える。

フィリップがいればダブルドライバーを使って遠距離攻撃のできるフォームにチェンジすることが出来る。

しかし、今現在フィリップは単独行動で行方知れず。
それに加えて、この魔女の結界の中では電話など通じる筈もない。

まさしく、最悪だ。

しかし、こんな時だからこそ翔太郎の思考は最善に近い手を直感的に導き出す。

鳴海壮吉から教えられたノウハウと経験、そして仮面ライダーとなってからの戦いの日々がそれを可能としていた。

視界の端に映るハードボイルダー、眼前に広がる整備されたままの高速道。

そして、波の様に迫るバイクの使い魔たち。

「……やるしかねえか!」

拳を返し、ハードボイルダーに翔太郎は飛び乗った。

エンジンに魂が吹き込まれ、エグゾーストノイズが咆吼を上げる。

「さやかちゃん!」

「は、はいっ!?」

漆黒の強化皮膚で覆われた手で、翔太郎は自分の後ろを指差した。

「後ろに乗るんだ、早く!!」

「え?」

「悪ぃが、俺と一緒に――――」


その瞬間、飛び出した使い魔が雄叫びをあげてハードボイルダーに襲い掛かった。

無防備な状態の翔太郎へと迫る使い魔――――しかし。


「――地獄をドライブしてもらうぜ?」


高速回転するホイールがその使い魔の頭部を噛み砕いていた。

地面を噛んだ前輪の勢いを殺さぬまま、跳ね上がったハードボイルダーの後輪は更に激しい唸りをあげて使い魔を吹き飛ばす。

最高速度580km/h、ミュージアムによって開発されたマシンが生み出すその破壊力。
吹き飛ばされた使い魔は立ち上がる事無く霧散した。

「さあ、さやかちゃん!」

投げ渡されるヘルメット。
それを受け止め、さやかは翔太郎と視線を交わす。

「乗ってくれ!!」

僅かな逡巡もなかった。
髪が乱れるのも構わず、さやかはヘルメットを深く被り、翔太郎の後ろに飛び乗った。

「オーケー……しっかり掴まってろッッ!!」

アクセルを回し、エンジンが雄叫びを上げた。

バーンアウトの白煙と共に、ハードボイルダーはロケットスタートで異界のコースへと飛び出した。


――使い魔とのバイクチェイスが幕を上げる。



一陣の風が大気を裂く。
エンジンノイズが轟き、異界化した高速道が軋みを上げる。

「きゃあああああああああ――――――っっっっ!!!!!」

そんな中で悲鳴を上げるさやかの声は、しかし、爆音をあげるハードボイルダーの雄たけびの中に掻き消される。


――時速300k/h


まだまだ速度をあげる暴れ馬を翔太郎はいとも容易く乗りこなしていた。

それは、身体能力を引き上げる【ジョーカー】のメモリの力だけによるものではない。

それは、数々の修羅場と数々の経験に裏打ちされた翔太郎自身の実力によるもの。


「うぉぉぉぉぉ―――――らぁあッッッッ!!!」


道路上を並行して追いすがってくる使い魔の集団を、翔太郎はハードボイルダーを片手で征し、裏拳でしこたまに殴り飛ばした。

「――!!」

その衝撃、バランスを崩した使い魔は一瞬でアスファルトに叩きつけられ、周りの仲間を巻き込みながら粉々に砕け散って後方へと流れ去った。

「しょ、しょうたろ――さっ!」

「悪ぃな、さやかちゃん。もう少し辛抱してくれ!」

後ろで必死にしがみつくさやかにそう声をかけて、更に翔太郎はアクセルを引き絞った。


――――時速400キロ


もはや、さやかの目には周りの景色は流線のように一つの形には認識できなかった。

いや、そんなものに気を使う余裕すら今のさやかにはなかった。

翔太郎の体を握り締める腕、これを離した瞬間に自分がどうなるかを考えれば
ただただ、彼を抱きしめる腕に集中するしかなかった。


しかし、そんなときでも、頭のどこかは冷静になるもの。


さやかは、今この状態になっても自分達を助けに来ないマミのことを考えていた。

(やっぱり、マミさんはもう……)

この前の魔女との戦いの一部始終を思い出す。

魔女に危うく殺されかけ、恐慌状態に陥った彼女の姿を。

あんなに頼り甲斐のあった彼女の、これほどまでにない情けない姿を。

(もう、マミさんじゃ無理なんだ……)

さやかの中で、マミの存在は最早大きな割合を占めるものではなくなっていた。

そして、それ以上に。

(だったら、魔女と戦える魔法少女は……もう)

さやかの思考は、明らかに悪い方向へと向かっていた。

「……ちっ!」

一向に数を減らさない使い魔に、流石の翔太郎も舌打ちをせざるを得なかった。

(思ったよりもコイツら速ぇ! 引き離せばなんとかなると思ったけどミスったか!?)

口には出さないが、内心で焦りを覚える翔太郎。

プランとしては、使い魔を完全に引き離した上で、さやかを安全な場所に隠して自分が始末をつけるつもりだった。


――だが、こうも追いついてくるようでは。


そう考えた瞬間、一瞬だけ翔太郎の緊張が緩んでしまった。

思考に気を取られたその代償、それを翔太郎は自分自身で見せ付けられることとなった。



「――――なっっ!!」



目の前に降ってきたのは、一体の、それも、たった一体の使い魔。

だが、それが不味い。

非常にまずかった。


――時速500キロ


それは、反応しても遅すぎる距離。

思考の停滞が招いた完全な失態。


1秒の間を置く事無く。


コンマ秒の後。


「しょ――」

「くっ―――!!」



ハードボイルダーは、使い魔と激突し、空を舞った。




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コメント

  1. クッキング馬 | URL | -

    Re: 仮面ライダーW & 仮面ライダーOOO & 魔法少女まどか☆マギカ Fの契約/少女と魔法と仮面ライダー 第七話

    なんで555のタッ君が出てくんだよw

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