なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」  第七章 決戦!!ゆりかご

2011年08月27日 19:37

なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」

256 :◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/07(土) 01:30:55.42 ID:F/t7nyMi0


聖王教会襲撃の5日前。
『アイテム作戦会議』


「……で? だれだてめぇは」
「お姉さんに向かってその口の聞き方は無いと思うなぁ。要求不満中なのかしら?」
「ぶっころされてぇのか?! あぁ?!」
「む、麦野。超落ちついて下さい。とりあえず、敵ではないんですから」
「……」
私達は、ヴィヴィオという聖王のゆりかごを動かす為の鍵を一度は手中に収めていたものの、あの餓鬼には発信機のようなものが仕込まれていたのか、機械人形みたいなやつらに襲撃され、防衛線を開始。
そいつら自体はただの雑魚。
しかし、時空管理局の犬共。
機動六課とかいう組織に挟み撃ちの形で襲撃され、抵抗むなしく、餓鬼も捕まえていたちっちゃいやつとツンツンの餓鬼も取られ、
あえなく撤退し、今は身を潜めている状態だった。


そんな中、2人の女に出会ったわけだ。
一人は背の高い金髪の女。
もう一人は第3位のクローン。
今はその背の高い金髪と話している最中だった。
「まぁ、一応自己紹介すると、オリアナ・トムソン。魔術師よ」
「じゃぁ、こっちの世界の人間ってわけよ」
「残念。貴女達と同じ地球の人よ」
「出鱈目言ってんじゃねぇ。魔術師が地球に? ちゃんちゃらおかしい妄言だなぁ……」
「あら、誰が魔術は無いと証明したのかしら? 教えて欲しいわね」
「っ……」
「結局、証明できないわけよ」
「そんなことは超どうでもいいです。私達を手伝ってくれるのは本当ですか?」
絹旗……。
確かに戦力補強はありがたいけど……。
わけの解らないやつを仲間に入れるわけには……。


「ミサカ10032号は、その質問に対し頷いて答えましたと、ミサカは説明します」
「私もよ。早くこんなわけの解らない世界から帰りたいし。まぁ、面白くはあるけどねぇ」
オリアナの不敵な笑みが気になるが……
別に問題はなさそうだな。
絹旗とフレンダも賛成のようだし。
「仕方ないわね。でも、私の指示に従ってもらうわよ?」
私がそう言うと、2人は素直に頷く。
それが本心かどうかは解らないけどね。


「何か作戦でもあるのですか? と、ミサカは心の内を明かします」
「聖王のゆりかごってロストロギアを知ってるか?」
「この世界のものだったら知らないよ?」
私が聞くと2人は首を横に振る。
オリアナの逐一揺れる胸がいr――。
「まぁ、いい。実はそれが地球へと帰るための手段なんだよ」
「誰がいってたのか知りたいわね」
「垣根帝督っていういけ好かないやつよ。でも、あいつは情報通だから、信じられないわけでもない」
「それで。具体的に超何するんですか?」
浜面が戻ってこないわね……。
まぁ、いいか。
「手始めに聖王教会を叩き潰す」
「え?」
「それに何の意味があるってわけよ」


「あそこにいる騎士カリムという女は預言書というものを持っているらしいし、あの女を掌握すれば機動六課の部隊長八神はやての能力リミッターを外せる人が減るわ」
「へぇ、中々良いと思うわ。その案」
オリアナがニィッと笑う。
「……はまづらが帰ってきた」
さっきまで寝ていた滝壺が頭を上げて呟く。
同時に、ドアが開き浜面が本当に帰ってきた。
「良くも無く悪くも無くって情報だ」
「いいからさっさと教えなさい」
一々面倒な浜面とのやり取りを省略する。
「地上本部と機動六課が壊滅した」
「は?」
まさか。
あのくそウザイやろうどもを壊滅させたやつらがいるってのか?


「正確には本部が。だけどな」
「は~まぁづらぁ!!」
ガセか?
あぁ?!
「で、でもよ。六課のギンガ・ナカジマが拉致。スバル・ナカジマ、ザフィーラ、リインフォースⅡ、シグナム、八神はやてが重傷って話だ」
「あぁ? でたらめじゃねぇよな?」
「マジな話に決まってる。態々、六課にまで出向いたんだからな」
まぁ、コイツに嘘をつくメリットないしな……
「超それだけですか?」
「いや、鍵が攫われた」
「?!」
「あの機械人形共か?!」


まさか先手を打たれるとは……。
「で、見たところ、高町なのはが精神的に追い詰められていて、どうやらフェイト・T・ハラオウンもやばいらしい」
「だからどうした?」
「結局その2人潰せば、機動六課の隊長全滅ってわけよ」
そうか……。
いや、しかし待て?
今ここで機動六課を潰すべきか?
「ミサカは、機動六課を放置し、機械人形と争わせることを提案します」
「うん。お姉さん賛成~」
「私も超その方がいいです。主に楽だから」


……そうね。
「その方が良いわね」
「ですが、聖王教会を叩くのなら好機です。と。ミサカはもう一度提案します」
「ああ、地上本部と機動六課が瀕死状態。なら、聖王教会を攻略するのは簡単って訳よ」
「超いいですね。それ」
「じゃぁ、5日後。カリム・グラシアの拉致そして、預言書を頂く。良いわね?」
「「「「「了解」」」」」



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『ミサカはミサカ』


「ミサカは何をするべく、ここにいるのでしょうか……と、ミサカは自身への問いを空に向けてします」
ミサカは、ミサカ10032号。
ミサカネットワーク起動申請。
起動は確認できません。
……。
現状の個人的見解での整理を完了した為、それに基づいた今後の動きを自問自答(プラン)します。
ここは地球ではない他の惑星。または、異世界。
私達の地球が科学で発展した世界とするならば、この世界は魔法で発展した世界。と、捉えておきます。
私がこの世界に来た方法は、光に吸引されたことによる、空間転移と考えられます。
しかしながら、アレについては聊か不可解な点がある為、今は伏せておくことにしますとミサカは思考から除けます。
そして、現在私が共にいる、麦野沈利、絹旗最愛、滝壺理后、フレンダ・セイヴェルン、浜面仕上、オリアナ・トムソンについて、
ある程度考察することを先決します。
麦野、絹旗、滝壺、フレンダ、浜面。
以上五名は学園都市の暗部組織、アイテムのメンバーである。
彼女達がここに来たのもまた、光に吸引と、聞かされています。


オリアナについては不可解な点が多々あるのですが、省いて考察いたします。
彼女は私より先にここに来たことが解っている。
私がここにきたのは学園都市の日付で9月30日。
お姉さまたちの行方不明事件により延期となっていた大覇星祭を行ったのがその日であり、
オリアナは、本来大覇星祭を行う予定であった9月19日にここに来たと、彼女は言っている。
そして、彼女は魔術師というこの世界の人間に近しい存在でありながら、
私達の世界から来たという不可解な点が挙げられます。


では、今後の行動について考えることにしましょうと、ミサカは自身に提案します。
暫くは、この人たちと行動を共にします。
願わくば、お姉さまたちと対峙することが無いことを願っております。と。ミサカは些細な願いを込めて呟きます。
一体、どこにいるのですか? 光に吸い込まれてこの世界に来ているのですか?
と、何度かたずねます。
……。
そして先日、不本意ながら聖王教会を襲撃しなければならなかったと、ミサカは残念そうに俯きます。
必要なこと……周りはそう言いますがどうもミサカは気乗りしませんでした……と、ミサカは胸中を露にせず、心で呟きます。


「こんなところで超なにしてるんですか」
「……ミサカはただ、黄昏ていました。と、貴女の問いに答えます」
「まぁ、別に超どうでも良いですけど……」
……?
ミサカは絹旗のどこか物寂しそうな表情に気づき、声をかけることにします。と、ミサカは心で決意します。
「どうかしたのですか? と、ミサカは貴女を心配して、問います」
「……」
「黙っていては―――」
「超煩いです。黙ってください」
……。
貴女はかなりの興奮状態にあります。
ミサカは……落ち着くように。
「ちょ、超何するんですか?!」
「抱擁です。と、ミサカは素直に答えます。ミサカはこの行動で貴女が興奮状態から抜け出せると考えます」
実際……もう落ち着いてるようですね。と、ミサカは心で呟き、微笑みます。


「そろそろ、はなれま―――?」
「もうちょっとだけ。もうちょっとだけ超こうしてて下さい」
「ミサカは構いませんよ? と、抱擁したまま呟きます」
……?
「脈が少々速いようですが、大丈夫ですか? と―――」
「平気です。超正常です。ただ少し……嬉しいだけ」
「この行動が嬉しいのでしたら、ミサカもそう言って頂いた事が嬉しいですと、ミサカは……」
「……」
「……?」
「貴女の喋り方はムードを超ぶち壊すので、超直した方がいいと思います」
あっ……。
絹旗がいなくなってしまったと、絹旗が私から離れて部屋で戻ってしまったことを悲しみます。
私の喋り方……検討してみますと、ミサカは誰もいないベランダで呟きます。
「もう少し、抱擁していたかったですと、ミサカは胸中を露にして、部屋へと戻って寝ることにします」

______________



_______



__


「お加減はいかがですか? と、ミサカは……」
「私は何をされても力を使うことはいたしません絶対です」
……ミサカの心遣いですら敵意と感じるのでしょうか。と、ミサカは少し悲しくなりましたと、心の中で呟きます。
「少々、怪我が増えているようですが、治療しますか? と、ミサカは貴女に尋ねます」
「別になんともありませんので、お気になさらず。敵に治療されるつもりはありません」
「そうですか。ミサカの目には、貴女が大分出血しているように見えますが? と疑問を口にします」
「結局、その女は死のうとしているわけよ。そうでしょ? カリム・グラシア」
「フレンダさん。私を拘束したところで何が得られるのでしょうね? 貴女達のリーダーは未熟のようね」
そのようなことは言わない方がいいのでは、とミサカは少しだけ恐怖を感じて震えますとミサカは状況を心で解説します。


「まぁ確かに暴走すると手がつけられないって欠点はあるけど、未熟って言われる人ではないわけよ」
「どうかしら? 現に私は――」
「ミサカは貴女を哀れみます」
「え?」
「ミサカ達は会議の結果、貴女に自白剤を投与することになりました。と、結果を報告します」
「……」
少し、恐怖しているようですね。と私は貴女を哀れみます。
ですが……
「恐れる必要はありませんよ? と、ミサカは貴女に優しくお話します」
「どういう……」
「薬の効力って訳よ。話すだけ話してもらったら、私達のことがばれないようとある副作用つきってわけ」
そして、その副作用は、まるで人道的ではない……と、ミサカは……


「幼児退行。無様に床に這い蹲ってあぅあぅ言うことしかできなくなるって訳よ。薬の副作用で脳細胞を破壊されてね」
「っ……」
フレンダ少し言いすぎです。とミサカは思うのですが。
薬の効力については嘘偽りはない。と、思い出して頷きます。
「嫌だったら話すしかないわけよ」
「お断りします。私は聖王教会騎士カリム。そのような脅しに動じる女ではありません」
その強引さは少しばかりあの人を思い出します。と、ミサカは懐かしきあの人の表情を思い浮かべます。
ミサカを実験から救ってくれたあの人。
どこにいるのでしょうか……と、ミサカは……。


「別に私達は貴女の自白剤を使用された後の惨めな姿を見れるから構わないって訳よ」
「……」
「それに、その後は裸にひん剥いて、路地裏にでもほっぽり出す予定って訳よ」
「フレンダ~。流石におしえすぎじゃないかなぁ……?」
「麦野?!」
「まぁ、いいけど。裸にして路地裏、きたねぇ、男共の×××でも××××って×××でもして、×××にでもなれ」
「卑猥な言葉ばかり並べて……人として恥ずかしくは無いのですか?」
「あぁ? べつにぃ? お前の×××を引き裂いて中身晒しても良いんだけどぉ? 生かしてあげてるんだから言葉には気をつけようかぁ?!」
「がっ……あっ……」
麦野の右足が、カリムの右頬を直撃し、カリムの口から血が滴る。
「聊かやりすぎなのでは? と、ミサカは制止します」
「あぁ? 第三位のクローンが、たてつこうってのか? あ゙ぁ゙?」
「いえ、ミサカは純粋にこの人が死亡して計画が無意味になることを恐れての行動です、と、ミサカは正直にお話します」
流石にミサカは見逃すわけには行きませんと、麦野をじっと見据えて立ちふさがりますと、ミサカは心の中に状況を記録します。


「ちっ。浜面が薬を取ってきたら即使っててめぇの自尊心ズタズタに引き裂いてやるよ。せいぜいそれまで生を楽しんでろぉ」
麦野とフレンダはそのまま部屋から出て行った。
「「……」」
「口を開けてくださいと、ミサカは貴女に指示します。お願いではなく命令ですと、ミサカは予め伝えます」
「……」
黙って口を開いたカリムの切れた唇に血を吸い取る為に綿を押し当てて、ミサカはカリムを見つめる。
「少し沁みますが、我慢してくださいと、ミサカは消毒を開始します」
私は何をしているのでしょうか。と、ミサカは少し悲しくなります。
この人はなにも悪いことはしていない、危害を加えてきたわけでもない。と、
ミサカは今までのことを思い出しながら考えます。


「貴女は……優しいはずなのに……」

「貴女はなぜあの人たちと行動しているの?」
なぜ……でしょうか。
「ミサカは居場所がない。たまたまであった彼女達と協力しているだけです。と、ミサカはお答えします」
「居場所が無い……?」
「はい。ミサカはこの世界の人間ではないと、告白します。そして、どこで何をすればいいか、なぜここにいるのか。それさえも理解できていないのですと、ミサカは正直に胸中を露にします」
なぜ普通に話しているんでしょうか。
こんな治療をしても、自白剤を投与されたら彼女は……。
「ミサカは貴女に聞きたいことがあります。と、ミサカはの目を見据えて問います」
「?」
このような質問をしてはいけないのかもしれませんが、とミサカは自分自身にため息をつきます。
きっと、あの人に出会ってなければこんな風に思うこともなかったでしょう。
それ以前にミサカはここにいることも無かったでしょう。
利用するだけされて殺されるはずだったミサカはあの人に救われてここにいる。
ならミサカはあの人の真似事でもしてみようかと思いますと、ミサカは結論にたどり着きましたと、ミサカは内心大喜びします。
「貴女は―――か? とミサカは尋ねます」
カリムは一瞬驚き、意を決したように口を開いた。


『襲撃の予告』


「みんな。集まったな?」
「はやて、緊急事態とは?」
フェイトが聞く。
いったいなんだ?
最近起きてることは確かに緊急事態だとは思うけど、
今度は一体……。
「実はついさっき、とある所から映像が送られてきたんや」
はやてが電子板を操作しながら言う。
「どういうことなの?」
「……まぁ、見て貰った方がええ」


〔やぁやぁ、全世界管理局の皆様どうも~〕
?!
「J・スカリエッティ!!」
フェイト……。
「っ……」
「落ち着け。フェイト」
フェイトの手を掴んで、そっと言う。
〔私は世界を滅ぼす。悔しければ私を見つけてみろ。止めて見せろ。3日後。聖王は目覚め、翼が羽ばたく時。世界は終焉の時を迎える!!!〕
こいつ……正気か?!
なんで滅ぼす必要があるんだ?
〔はははははは。では、3日後終焉の日に会おうではないか!!〕
そこで映像は途切れた。


「態々手の内を晒した……」
「余裕があるってことかよっ!」
シグナムがレヴァンティンを握り締め、ヴィータが怒鳴る。
聖王っていうのは、聖王教会の……?
「聖王が目覚めるっていうのは?」
なのはが聞く。
「聖王は古代ベルカの王のことや。それが目覚めるって言うのはありえへん……それに」
「それに?」
「翼が羽ばたく。聖王で翼。いや、ありえへん……そないなこと……あかん」
はやて?
何か知ってるのか?


「聖王の翼とも呼ばれる兵器、当時の呼びかたで戦船。現在は聖王のゆりかごって呼ばれとるロストロギア。アレが起動するなら、ホンマに世界が滅ぶ」
「聖王の……ゆり……かご?」
なのは?
「せやけど、鍵の聖王がなければ動かないはずやし、見つかってもおらんはずやのに」
「―――鍵はヴィヴィオだと思う」
「なのは?」
急になのはが震えた声で言う。
「どういうことですか?」
スバルが聞くと、なのはが酷くうつろな目で答えた。


「あの麦野と言う人が、言っていたのを思い出したの……聖王のゆりかご。その為にヴィヴィオが必要だと」
「なっ……」
「ごめんなさい。私がもっとしっかりしてれば……」
「な、なのはのせいじゃないよ?! ……当麻、なのはをお願い」
フェイトに言われ、俺はなのはに肩を貸してなのはの部屋へと向かった。

_________


___


_


「大丈夫か?」
「うん……ちょっと、ショックが大きくて……でも平気。当麻に言われたように落ち込んでたって意味無いから」
そっか……。
「なのは、麦野は必要って言ったんだよな?」
「うん。確か……帰るのに必要だって」
帰るのに?
地球にか?
「……もしかしたら大変なことになるかもしれない」
「え?」
「前に言った第3勢力の麦野さん達。あの映像を彼女達が見てたとしたら?」
?!
ってことは……。
「スカリエッティ達と麦野さん達の聖王のゆりかごの取り合いが起きる」
なのはが真剣な表情で言う。


「けど、俺たちも行くんだよな?」
「うん。ヴィヴィオを助けたいから」
っとすると……問題があるな。
「最悪挟み撃ちになるぞ?」
「うん。そこら辺ははやてちゃん達が作戦を立ててるはず。それにカリムさんを探さなくちゃいけない」
カリムさん……どこにいるんだ?
それに御坂妹……。
どうするかまだ決断できていない……。


「当麻? どうかした?」
「え?」
「顔が怖いよ?」
「……なのは。話しておきたいことがある」
「え?」
「実は、カリムさんを浚った中にいる御坂に似ているやつっていうのは御坂妹」
「え? 妹って……そんな」
それだけじゃない。
以前……えっと、あれか。


「学園都市でクアットロたちの襲撃受けたの覚えてるか?」
「うん」
「あの時、J・スカリエッティの名前が出たんだ。その御坂妹っていうのは、プロジェクトFATEの副産物」
「え? じゃぁ……」
「ああ、御坂のクローンだ」
「「……」」
そこまで言うと俺達は沈黙し、沈んだ空気が漂っていた。


「どうするの?」
……。
「美琴ちゃんの妹と美琴ちゃん。どっちかを聖王教会に差し出さなくちゃいけないんだよね?」
解らない。どうすればいいかなんて。
「……選びたくないよね」
「当たり前……だけど……」
「他に回す?」
「いや、決断する。必ず」
「そっか……」
なぁ、御坂。
お前は……。
あの時なんで御坂妹をよろしくって言ったんだ?
まさか……。


どうすればいい。
決断しなくちゃいけないんだよな……。
何でこんなことばかり決断しなくちゃいけないんだ……。
畜生……。


『寂しいのが嫌だから』


いよいよ明日、J・スカリエッティの言っていた聖王が目覚め、翼が羽ばたく時。
それが……明日。
結局、聖王のゆりかごの在処はつかめずにおわった。
……。
「なぁ、フェイト」
「なに?」
「いや、なに? と返されると困るっつうか……」
「そうだね、私が呼んだんだし」
俺たちはアースラという時空管理局の巡視艦にいた。
現在、このアースラは機動六課の本部になっている。
そして俺は昨日、フェイトに明日一日付き合って欲しいと頼まれ、
フェイトの部屋に来て、フェイトと並んでベッドに座っていた。
アースラの中と限られた空間であり、
特に散歩とかもできないのがフェイトの部屋に来ることになった理由である。
そしてなぜか、呼び出した張本人は心此処に在らずって感じなのが今。


「明日……全てを決める戦い……だよね」
「ん? そうだな……」
それで全てが決まるといったらそうではないのかもしれないが、
少なくともフェイトの因縁である、プロジェクトFATEに終止符を打てる。
「私、所詮レプリカなんだよ? アリシア・テスタロッサの」
フェイト?
急に空気の悪い言葉がフェイトの口から漏れ始めた。
「お兄ちゃんは、レプリカってどう思う?」
「何だよ急に」
「前から考えてた、私は所詮人間ではなくて、ただの人形なんじゃないかって」
っ?!
「フェイト!!」
「えっ?!」
「二度とそんなこと言うな。フェイトは人形なんかじゃない。立派に生きてる人間だろ?! 何でそんなこと言うんだよ」
名前を呼んで、肩を掴んで怒鳴る。
何でそんなこと……言うんだ?


「ごめんなさい、少し変なこと聞いちゃったね」
「ああ、二度と聴きたくない言葉だよ」
「うん……ごめん」
フェイトは謝ると、思い出したように続ける。
「そういえば、私達はジュエルシードがきっかけで出会ったんだよね」
「そうだったな」
「なのはと同じ出会い方」

「ジュエルシード……そういえば、後1つ見つかってないんだ……」
「え?」
「反応は無いから地球ではないと思うよ」
「そっか……結構びびるぞ。反応あったら」
救援にいけないからな。


そういうと、フェイトがぎゅっと俺の手を握った。
「ど、どどどうしたんでせうか?!」
「この前……1人は嫌って言ったよね…… 私」
「あ、うん」
あの熱出した時か。
それがどうかしたのか?
「当麻……ううん。お兄ちゃん。絶対に帰ってきて」
「え?」
「私はもう……失いたくない。お母さんのように、ぬくもりを与えてくれるお兄ちゃん……どこにも行って欲しくない
戦いに出ないで欲しい。それが私の本心。でも、それは許されないことだから……絶対に帰ってきて」
「それはまぁ……当たり前だろ」


「本当? 絶対帰ってきてくれる?」
「なにをそんな……」
「私、あの時、寝てないだろって言われて頷いた。あれね? 正確には寝てるの」
……?
「なにが――」
「真っ黒な空間に、私と当麻が浮かんでるの……」
握られていた手が、そこにあることを再確認するように強く握られる。
「それで、お兄ちゃんがどんどん遠くへ行ってしまう。手を伸ばしても届かない。どんなに追いかけようともがいても……」
フェイト?
「怖い、怖いの……お兄ちゃんがいなくなってしまいそうで……怖いんだ……私は」
急に仕事モードの口調に変わり、思わず焦る。
「どうすれば良いのかな? 私は当麻の上の立場なのに……どうすれば良いかな?」
……?
「何が言いたいんだ?」
「……それに答えるのは明日の戦いが終わったらで良いかな」
はぃ?
「いや、別に良いけどさ」
「ありがと」


「じゃぁ、もう別れよう?」
「今日一日付き合うって約束だろ?」
「ううん。良いの。私は目的を果たしたから。あとは明日に備えるだけ」
「無理……するなよ?」
「お兄ちゃんこそ」
たがいに軽く笑って俺は部屋を出て行った。
今日のフェイトは少し様子が変だったけど……
なんかあったのかなぁ……。
明日は浮上したゆりかごが軌道上に行く前にナンバーズを捕縛、ゆりかごを奪取しないといけない。
最悪のケースである、麦野達との挟み撃ち。
そして、垣根帝督。
麦野達なら何とかできるかもしれないけど、
垣根が来たら……。


余計なことは良い。やれることをやる。
ただそれだけだ。


『聖王強制覚醒』


「あれが……聖王のゆりかご……」
大きい……。
あれを外部からの攻撃で破壊はできそうにない。
内部から打ち抜くしか……ない。
「なのはちゃん、フェイトちゃん。ええな?」
「待ってください!! 地上本部周辺にナンバーズ確認!! 防衛に向かわせてください!!」
リインの声が、司令室に響く。
「どないするか……」
「私達が行きます!!」
「スバル……ティアナ、エリオとキャロも?」


「スバルと私は空が飛べません。地上を守るべきです」
「人数的に、隊長たちを陸上にまわす余裕は無いと思います。僕らも地上を」
……みんな。
確かに私とはやてちゃん、フェイトちゃんを、地上に回してたら、
ゆりかごを逃してしまう……。
「ホンマに大丈夫なんか?」
「あと、俺と白井も下に行く」
「どういうこと? 当麻」
「麦野達が現れるかもしれないから、そしたら俺たちが叩く」
「そういうこと、異論は認めないですの」
黒子ちゃん……当麻……。


「では、送り届けますの。わたくしたちは先行いたしますわ!!」
黒子ちゃんが消え、当麻も部屋を出て行く。
「じゃぁ、私達も行きましょう」
「うん」
みんな……。
「気をつけてね!! 必ずまた集合だよ!!」
「大丈夫です。そのための訓練を、私達は受けてきましたから」
ティアナが笑って言い、スターズ分隊、ライトニング分隊。
ともに、地上へと向かった。


「なのはちゃん……私らも行くで。みんな強い。大丈夫や」
「……うん」
……ティアナ。
「フェイトちゃん、西側。私は東側。行くよ!!」
「了解!! ライトニング1出ます!!」
「スターズ1出ます!!」
私達は出撃と同時に、違う方向へ向かう。
《中距離火砲支援します!! 離れてください!!》
味方に思念通話で通達し、
レイジングハートを構える。
「ディバイィィィィン、バスタァァァァァァ!!」
無限増援ともいえる敵の数。
敵は機械、こちらは人間。
機械は致命傷でも破壊しない限り攻撃してくるけど、
人間は……。
ただでさえ、こっちは人数で負けているのに…


《広域魔法打ち込むで、範囲はA-23からC-18までや、総員退避して!!》
はやてちゃんからの念話がきて一時的に、下がる。
はやてちゃんの魔法は敵を半分削る。
けど、また敵は出てくる。
どうしよう、どうすれば。
そんな時だった。
「なに……? あれ」
地上に、現れた多数の魔物?
《はやてちゃん!!》
《こっちも確認した、シャマル、ザフィーラが向かってる。大丈夫や。フェイトちゃん、ヴィータ、なのはちゃんはゆりかご内部頼む》
《こちら、ライトニング1。ゆりかご内部への入り口発見。スターズ1、スターズ2東側にもあるはずだからそっちから》
《スターズ2了解》
《スターズ1了解》
念話を終了し、ゆりかごへと接近する。
この中にヴィヴィオが……。


「なのは!!」
「ヴィータちゃん」
「慎重に行くぞ」
「うん……?」
中に入ると、足元の羽根がかき消され、魔法が使えなくなった。
これは……
「AMF濃度が高い。歩いていくしかないみたいだな」
「道が分かれてる」
「あたしは駆動炉に向かう。なのはは、ヴィヴィオのところに」
「ヴィータちゃん、気をつけて」
「誰に向かって言ってんだ」
「それもそうだね」
軽く笑い、互いに違う道に進む。


念話もできない……
敵が出てきたら逃げるしか……?!
「よぉ。高町なのは」
最……悪だわ。
「垣根帝督……」
「ははっ。まぁ、そう警戒するな。俺としてもこの船をスカリエッティに渡しておくのは我慢できないんでな」
「どういうこと?」
「地球を包んでるわけのわからねぇフィールドバリアをコイツでぶっ壊す」
「え?」
「帰るにはそうしないといけない」
……。


「協力してやるよ。高町なのは。船全体にしかれたAMFを中和する物質を空気中に撒く。そうすれば魔法を使えるだろ?」
「……」
「おいおい、本当に戦うつもりはねぇよ。それに、お前みたいな雑魚は殺す価値も無い」
「っ……」
雑魚……私が。
「屈辱ですってか? 仕方ないだろ。本音を隠すのが難しくてな」
「じゃぁ、なぜはやてちゃんには殺す。と?」
「決まってる。夜天の女だからだ」

「知らなくていい。いつか知ることになる」
「え?」
「さっさと行け。聖王の玉座はこの奥だ」
……今は訪う問答してる余裕は無い……。


垣根と別れ、さらに奥へと進むとナンバーズの1人が横たわっていた。
バッテリーかな。
そんな感じのものが引き剥がされ機能停止に陥っているみたい。
そして、あからさまに大きな扉を開けると、ヴィヴィオがいた……
「ヴィヴィオ!!」
「マ……マぁ……なのはママぁ!!」
ヴィヴィオ!!
駆け寄ろうとすると、どこからとも無く声が響く。


〔はっあ~い。おひさしぶりだねぇ、エースオブエースさぁん〕
この声。
地球で襲ってきた……クアットロ?!
〔その子を渡すわけには行かないの。だ・か・ら。殺されてくれるかな。その子に〕
?!
「やっ、やだぁぁぁぁぁ。ママ!!! ママァぁぁぁぁぁぁ!!」
「ヴィヴィオ?!」
〔聖王の強制覚醒よぉ〕
「え?」
〔さぁて、我が子に殺されるか、我が子を殺すか。見せて頂戴。高町なのはさん〕
声はそこで消えた。


目の前で悲鳴を上げていたヴィヴィオはいつの間にか大人しくなり、
そして、虹色の光がヴィヴィオを包み込んだ。


『ゆりかごへ』


「白井、サポート頼むぞ!!」
「癪ですがお姉さまだったら協力するでしょうから」
俺たちは、地上へと来ていた。
地上本部を襲撃する予定なのだろうか、ナンバーズが数人確認されたからだ。
そして、俺たちはその中の1人と対峙していた。
「女の子っていうのが、やり難いな」
「……ディードです。こんな場でなければ、よろしく。と言いたかった」
この子……。
「上条さん、解っておりますわね?」
「ああ」
さて……


「では……戦うんですね?」
ディードがたずねる。
「君が大人しく拘束されてくれるなら、戦わなくて良いんだけど」
「それは……できません」
やるしかない……か。
「行きますわよ!!」
白井が先行し、様々なものを転移してディードの頭上へと落とす。
「転移系魔法? でも、かわすくらいは簡単」
「おらぁぁぁ!!」
「?! マジックシールド!!」
「無駄だ!! 打ち砕く!!」
「魔法が無効化された? 該当魔法を検索」
「そのような余裕、与えませんの!!」
「がっ?!」
白井がディードの下がろうとした方向に車を転移させ、ディードが後頭部をそれに直撃させた。


「捕獲する!!」
「されるわけには行きません!!」
っ?!
「ま、まだ、私は戦えます」
「フラフラしてるだろ。もう止めようぜ」
「断ります」
……。
「そこまでして、貴女は何を守りたいんですの?」
「私が私でいられること」
「?」
「私には、博士が全て、博士の命令しかない。それを守ることが私が生きている意味」
この子は……。


「じゃぁ……死んで良いんじゃねぇかぁ!!!」
?!
「白井!!」
「言われずとも!!」
白い光線が、ディード目掛けて放たれ、
白井がディードと共に転移して回避した。
「ちっ。敵同士庇ってんじゃねぇ!! いらいらする。裏切りはあるし、ゆりかごは敵の手だし、邪魔すんなぁ!!」
あいつが麦野……。


「超死んで貰いますね」
?!
こっちも?!
「なんで、私を守ったんですか?」
「死なせたくない。敵も味方も」
「ただのあまちゃんの考えだなぁ!!」
「だとしても、殺すよりましですの。貴女はそうは思わないようですが」
「で、超殺していいんですよね、生意気ですから」
……あっちは絹旗か。
レベル的には……。


「白井。絹旗を」
「命令しないで欲しいですの」
「だぁ。そんな余裕はねぇだろ」
「……無理だけは、なさりませんよう」
「わかってら。ディードだっけか? 君は動かないでそこにいてくれ。頭打ってふらふらなんだから」
「……」
「ブ・チ・コ・ロ・ス!!」
「やってみろ!! カリムさんの居場所を吐かせてやる!!」


白井と絹旗は少し遠くに離れたか……
「さぁて、クソガキ。てめぇの×××をぐちゃぐちゃにしてやる!!」
おいおい……そんな言葉平然と……。
「カリムさんはどこにいる!!」
「さぁな。私は把握してないんでね!!」
ふざけてるのか?
「拉致したのはお前たちだろ!!」
「逃げられたんだよぉ!! 第三位のクローンが見事に裏切りやがったからなぁ!!」
え?


御坂妹が?
あいつ……。
「それでいらついてんだぁ、殺させろぉ」
「むちゃくちゃだ!!」
「ちょこまかと避けてんじゃねぇ!!」
そんなこといわれても。
あの白い光は右手で消せるかどうか……。
「こうなったら、全てを吹き飛ばすからなぁ!!!」
げっ……乱射?!


「ディード!!」
「?!」
ディードの方に向かった白い光線の前に立ち、右手を翳す。
「あ゙ぁ?!」
打ち消せた!!
「私を守らなくて良い。敵なのだから」
「じゃぁ、避けてくれ。俺たちは君に死なれて欲しくない」
……?


「私は死ぬではなく、壊れるです」
ったく。
こいつは……
御坂妹みたいなやつだな……。
「いちゃいちゃしてんじゃねぇクソガキどもがぁぁ!!」
してるつもり無いんだけどな。
「君は、壊れるじゃない。生きているんだ。自分を機械みたいにいうなよ」
「……」
「麦野!! お前を止める為に殴らせてもらう!!」
「やれるもんならやってみろぉ!!」
やってやるさ。

_________


______


__


「くそがきがぁぁぁぁぁ!!!」
「くそっ……なんて出鱈目な使いかたしやがるんだよ畜生!!」
俺は現在学園都市のレベル5麦野沈利と交戦中であった。
他に、
白井が絹旗と、地上にはスバル、ティアナ、エリオ、キャロが降りてきているはず。
そして、キャロたちが降りたであろうとこには2体の巨大なドラゴン? らしきものが佇んでいて、
スバル達のほうにはウイングロードが2つ並んでいた。
1つは、スバルの。
もう1つはギンガさんのだ。
入った情報によれば、ギンガさんは敵に何かされ、俺たちを敵と認識しているらしい。
スカリエッティとかいうやつをぶっとばしたい……んだけど。


「隠れてねぇで出てこいよクソガキぃ!! てめぇの×××を×××に×××してぐちゃぐちゃにしてやるからよぉ!!」
さっきから言葉が怖い!!
「私も……戦う?」
「は?」
「貴方は敵じゃなさそうだけれど、あの人は私の兄弟を……傷つけたから」
「その必要はありませんの」
「? 黒子? 勝ったのか?」
「違う。あの黒夜って子が割り込んできたのよ」
……?!
「御坂?!」
「私もいるんだよ」
インデックスも……


「カリムさんを連れて妹が戻ってきたわ」
「え? じゃぁ……」
「大丈夫。カリムさんは、妹はスパイしていただけですって言ったわ」
カリムさん……。
「当麻、インデックス、黒子。私に麦野は任せなさい」
御坂がポケットから砂鉄入りの袋を取り出す。
え?
「とうま。聖王のゆりかごを使って、地球を覆うフィールドバリアを壊すんだよ」
え?
そんなことできるのか?


「聖王のゆりかごの内部構造、防衛システム、操作法。全て私が記憶してる。行くよ」
インデックスが覚悟を決めた表情で頷く。
かなり危険だけど……。
行くか。
「ウイングロード展開!!!」
「そこかぁぁぁ!!」
「第四位!!」
「超電磁砲?!」
俺がウイングロードを展開したと同時に、麦野が構えたが、御坂が飛び掛り攻撃を阻止した。
白井がインデックスを空間跳躍で運び、俺がウイングロードで、ゆりかごの内部へと向かう。


『ゆりかご進入』


俺たちはみんなの援護を受けながら、ゆりかご内部へと入ることに成功した。
「……システム強制介入」
インデックスが、空中に浮かぶ電子板のキーボードを叩き、操作していく。
「インデックス?」
「A……H。見つけた、防衛システム介入、クラッキング開始。完了。防衛システムより、増援派遣システムを停止。完了」
インデックス……全て暗記してたのか……。
〔ちょっと、ちょっと!! 何よアンタ!! 私のところから防衛システムを奪うなんてなんてことしてくれてるのよ〕
空中に画面が現れ、ナンバーズのクアットロが怒鳴る音声が響いた。
「音声識別、六課情報より検索、ナンバーズ。クアットロ……あってるかな?」
インデックスが嫌味な笑いを浮かべて聞く。
〔アンタ一体何者? 船のコントロールルームの外からクラッキングなんて……〕
「基礎システムから割り込んだだけだよ? システムの全てを知っていれば、穴を見つけるのは簡単なこと」
〔はぁ? そんな出鱈目……〕
「無限書庫の本を、全て読破した私の知識を舐めないでほしいかも!!」
え……?


一度だけ見せていただきましたが。
あの量を全て読んだ?
しかも、能力が能力だから暗記した?
まじか?!
いや、確かにそうじゃないと、機械音痴なインデックスさんがクラッキングなんてできるわけ無いんですけども。
〔……まぁいいわ。どうでも。これ見なさい〕
クアットロがそう言うと、空中に2つの映像が流れた。
1つは、聖王の玉座の間。
もう1つは……ゆりかご内部の研究施設だろうか……。
どちらにせよ、あまり見たくはない映像だった。


〔玉座の間ではただいま、娘と母親の喧嘩の真っ最中で~す。それも殺し合いのような……ね?〕
クアットロがクスクスと笑う。
映像を見る限りでは、ほぼ一方的にやられていた。
なのはなら、相手が聖王だとしても一方的とはならないはずだった。
だけど、その聖王はヴィヴィオだった。姿が少し変わってはいるものの、
あの目、あの髪……ヴィヴィオだと思わせるものがあるから、ヴィヴィオだと解る。
なのはは本気で攻撃ができていない。
だから一方的にやられてる……。
「あのままじゃ、なのはは殺されちゃう。あんな柔らかい攻撃してても聖王の鎧は貫けない」
「その聖王の鎧……というのは?」
白井が聞く。


「聖王がもつ、固有スキルって言ったら分かり易いかな。あの虹色の光がそれに当たる。聖王を守るオートな障壁。並大抵の攻撃は弾かれちゃう」
「じゃぁ……」
「なのはの攻撃は通ってない。ただの一度も」
まずいな……。
急がないと。
〔そしてもう一方は私達と同じフェイトさんそして、博士の直接対決で~す〕
「あの術式……あれは、古代の古代……ううん。あれは……見たことない」
「インデックスさん。先に進んだほうが良いですわ。こんなところで、映像を分析するよりも、やることがあるはずですわ」
「そうだな」
〔あら、まにあ―――〕
「うるせぇ!! 全員で帰る。フェイトとそう約束した。それはヴィヴィオもなのはもフェイトもってことだ。誰一人欠けさせるわけにはいかねぇんだよ!!」


「とうまは、フェイトのところ行って。術式が解らない以上、私のスペルインターセプトも無意味」
「聖王の方は?」
「あれは基本、古代ベルカで組まれてるから大丈夫」
「じゃぁ、頼んだ」
「お姉さまを悲しませないで下さいませ。上条さん」

白井とインデックスが空間転移で消える。
さて、あの施設はどう行けば……?
「レプリカを助けに行くのか?」
?!
「垣根帝督!!」


道を曲がろうとした矢先、俺の前に垣根が立ちはだかった……。
血まみれのヴィータを抱えて。
「落ち着け、戦う気は無い。こいつも道中拾っただけだ」
「信じられるか!!」
「問答している暇があるのか?」
「っ……」
「これを、左手で受け取れ」
「え?」
垣根がそう言い、小袋を投げてよこして来た。


「それを肌身離さず持っておけ」
「どういうことだ?」
「そのままだ」
……。
「この餓鬼は、俺が外に出しておく」
「待て、垣根」
出て行こうとした垣根を呼び止める。


「なんだ?」
「はやても、なのはも……お前には殺させない。絶対」
「おれもできるならそうするけどな。きっと……いや。今は時間がない。急げ」
できるなら?
なにがあるっていうんだ?
はやてが反旗を翻したりするはずがない……
くそっ。
わからねぇ!!
白い羽根を広げて垣根が飛び去ったのを見送り、俺は奥へと進んでいった。


『お父様』


「フェイト!!」
研究室の扉を開けると同時に、叫ぶ。
「おやおや……救援ですか?」
スカリエッティ……
「フェイトは?!」
「彼女ならそこで磔中です。かの神様も十字架に磔られた……確か地球にはそんな話がありましたよねぇ?」
くっくっと笑うスカリエッティを睨み、壁に磔にされているフェイトを見る。
どうする……?


「君は、学園都市の子だろう?」
「……」
「私はこれを使って地球を破壊するのが目的なんだよ」
「どういうことだ!!」
「アレイスターと管理局最高評議会にね、ちょっとばかりお仕置きをしなくちゃいけない。己のエゴで私を作った……
愚かな人間どもに制裁を。くくくくくっ。私を作ったことを後悔させて挙げなければいけない」
作った?
まさか……
「アンタ、まさか……」
「私はさっき言った愚かなやつらがアルハザードの技術で作り上げたいわば人造人間さ」
「ならなんで、そいつらと同じような研究をする?!」
「人造人間の復讐とでも考えておけば良いじゃないか」
……こいつ。


「そういえば、君のその右手。それは、まるであれのようだね」
……?
「制御できなくなった聖王を止める為の魔力を消し去る装置」
「だからどうした」
「いや、別にどうもしないさ。ただ、君が私を倒そうとしているのなら無駄だよ? 君の力は私の攻撃を消せない」
「俺は、この世界に来て幻想殺し以外の戦い方を知った。なのはに、フェイトにシグナムさん。いろんな人から教わったこの戦闘スタイルでお前をぶっ飛ばす!!」
「やれるものならやって見せてくれたまえ」
スカリエッティが余裕の笑みを浮かべる。
何であんなに余裕そうにしてられるんだ?
考えるな、目の前にいるやつを力の限りにぶっ飛ばすただそれだけで良い。
「うおぉぉぉぉ!!」
「ただの突撃か。それじゃぁ――」
「カートリッジリロード……シグナム直伝、紫電一閃!!」
スカリエッティに直撃し、あたりに煙が立ち込める。
俺自身に魔力はない。
でも、カートリッジをロードすることによって、武器に纏わせる魔法に近いものを行使できる。


「魔力がないと思ってたのは私の間違いだったのか? まぁ、それでも傷1つつかないのだがね」
煙が晴れ、笑っているスカリエッティが視界にはいる。
予想はしていたけどまさか無傷とは……。
「私は君と戦うのは少しつまらないな」
「え?」
「彼女と戦ってくれたまえ」
スカリエッティがそう言うと、磔にされていたフェイトが地面に落ち、立ち上がった。
フェイトと戦う?
なに言ってるんだ?


「仲間同士の殺し合い。これは楽しめる」
スカリエッティがにぃっと笑った瞬間、視界からフェイトが消え――
「がっ……はっ」
気づけば、壁に叩きつけられ、一瞬息が詰まった。
なに……が?
自分がさっきまでいた場所に拳を突き出したフェイトが立っていた。
まじかよ……くそっ。
「何をしやがった!!」
「少しだけ弄らせて貰っただけだよ。フェイト・テスタロッサの脳をね」
……。


「彼女に何を言っても無駄だよ。君が彼女を、彼女が君を。どちらかが死ぬまで、戦い続けるしかないのさ」
高笑いするスカリエッティ……。
フェイトを見ると、臨戦態勢に入っていた。
武器を取って構えろ。
どちらかが死ぬまで戦おう。
そういうことか?
なぁ、フェイト。
俺は、この力でお前を傷つけなきゃいけないのか?
「フェイト!!」
「……」
「くそっ……カートリッジロード。ライトザンバー……」
ライトザンバーは、フェイトが使うジェットザンバーを小さく止め、軽くしたもの。
カートリッジは残り20程度。
だけど……。


「……」
フェイト。
「フェイト!!」
大きく振りかぶったジェットザンバーをライトザンバーで受ける。
本物である、それに対し、偽者であるそれは敵わない。
でもだからこそ……。
フェイトが教えてくれたかわしかたで。
ジェットザンバーの軌道上から自身の体を逸らし、ライトザンバーを中断。
ジェットザンバーが地面を切り裂くと同時に駆け出し、フェイトに接近する。
「フェイト……我慢してくれよ」
右手を握り締め、力いっぱいフェイトの腹を目掛けて打ち抜く。
瞬間張られたシールドを簡単に砕く。
フェイトなら知ってるはずだろ……。
俺の右手に盾は無意味。
バリアジャケットの装甲も撃ち抜く一撃だって。


今の俺のパンチ力は、学園都市にいた時とは違う。
戦う為に、守る為に鍛えた力。
「?!」
「ぶち抜けぇぇぇぇぇぇ!!」
握り締めた拳がフェイトを捉え、撃ち抜く。
フェイトの体が壁に衝突した音が響いた。
これで……気を失ってくれれば――え?
「言ったじゃないか。彼女の体は彼女が操作しているわけじゃない。意識が無くても攻撃はしてくるよ」
スカリエッティがにやっと笑う。
意識がない為、魔法が使えないのかは知らないが、
フェイトがバルディッシュを乱雑に振り回しながら、接近してきた。
くそっ……どうしろって言うんだよ。
「このままじゃ、本当に殺すしかないのか?」


「その必要はありません。と、ミサカはたどり着いて早々に叫びます」
「御坂妹?!」
「なに? なんでここにいるっ?!」
「この世界にきた理由。やっと解った気がしましたと、ミサカは自身の問題を解決したことを報告します」
「お前……」
「初めまして、お父様。ミサカはお父様を止める為にここにきたのでしょう。と、答えを口にします」
「学園都市の産物の父はアレイスターだろう?」
「いいえ、その研究の発端であるプロジェクトFATE。それはお父様のものですから。ミサカの父は貴方で間違いありませんと、ミサカは微笑みます」
絶対能力進化実験のことか……。


「あの人の生体電気を弄くっている機械を特殊な電波で破壊します。少し時間かかるので、ミサカを守ってくださいませんか?」
「オーケイ解った。死んでも守る」
「貴方はいつだってそうやって、みんなを守ってきたんですね? この世界で」
御坂の口調が少し……変わった?
「ミサカは貴方を信じて破壊に集中します。貴方はミサカを守ること。自分が死なないことに集中しなさいと、ミサカは指示します」
御坂妹……。
「任せろ。そして任せた」
「任されました。そして任せます」


「バインド!!」
「カートリッジロード。紫電一閃」
シグナムさんの技で、御坂妹を捕らえようとしたバインドを切り裂く。
「バインドを……面白い、ならば……」
「させるか、ソニックムーブ!!」
足のデバイスが瞬間的な速度を上げ、一瞬でスカリエッティの正面に出る。
「カートリッジロード。ACSドライブ!!」
「それは……」
「なのは直伝、エクセリオンストライク。貫けぇぇぇぇ!!」
「無駄だ!!」
「カートリッジダブルロード、セカンド。3・2・1。イグニッション!! スフィア展開。ACSフルドライブ!!」
俺が持つ、シグナムが選んでくれた剣の形のデバイスが、ピンク色に光り輝く。
それと同時に、何かが徐々にひび割れる音が響いた。


「俺の攻撃が無駄だって言うなら、まずはその幻想をぶっ殺す!!」
「なっ―――」
俺の一撃がスカリエッティの強固な装甲を撃ち貫き、スカリエッティが壁に衝突して動かなくなる。
「フェイトォ!!」
振り返って、名前を呼ぶ。
「……」
フェイトの攻撃目標は俺しか設定されていないらしく、
御坂妹のは目もくれていなかった。
「カートリッジロード、ライトザンバー!!」
今度は金色に輝いた剣をフェイトに向ける。
「今、助けてやる」
俺の金色の剣と、フェイトの金色の剣が接触し、爆発した……。


『俺は君が好きだった』


「はぁ……はぁ……はぁ」
「お疲れ様でした。機械の破壊に成功しましたよ。と、ミサカは微笑みます」
良かった……。
〔こちら、インデックス。とうま、こっちは終わったよ!! 短髪と黒子となのはとヴィヴィオは脱出したよ〕
そうか……。
「御坂妹」
「何でしょうか?」
「早く脱出しろ」
「貴方はどうするんですか?」
……。


「少し、やることがある」
「それは、貴方がミサカ達の元へ戻れるような内容ですか?」
どうだろうか。
多分……。
「詳しく聞くのは止めます。ただ一言で良いです。それが終わったらお帰りなさいとミサカ達に言わせて下さい」
「ああ、解った」
「……当麻」
「フェイト?」
意識が戻ったのか……。
魔法を使って飛んでいってくれそうだな。


「なのはから念話で聞いたよ。この船で地球のフィールドを壊すんでしょ?」
「あ、ああ」
「そしてこれを操作する為に、貴方は残る」
……。
「そんなことさせない」
「くっ……力ずくでもどいてもらうぞ。フェイト」
俺の前に立ちはだかったフェイト……。
御坂との鉄橋でのやり取りが脳裏に浮かぶ。


「何してるんですの?!」
白井か?
白井が空間転移で入ってきた。
「白井。御坂妹とスカリエッティを外に、そしたら戻ってきてくれ」
「……? 了解ですの」
白井が御坂妹とスカリエッティと共に、転移して消える。
「軌道上まで運んだら、白井の転移で戻る。それで良いだろ?」
「解った」
……ごめん、フェイト。


白井が戻ってきた後、インデックスの待つコントロールルームへ向かう。
インデックスに一通りの操作法を聞き、俺が操縦する。
フェイトが、魔法で欠けた機能を修復して、何とか操作していく。
「なぁ、フェイト」
「なに?」
「フェイトのザンバー威力半端なかった」
俺がそう言うと、フェイトが当たり前だよと笑う。
「なのはのスターライトブレイカー。あれは歩く教会ですら破壊されるかもしれないよ」
「かなりの大威力。この船が大破しかけましたわね」
白井とインデックスも軽く笑う。


「へぇ、あれが地球を覆うバリアか」
地球を覆うように半透明の膜が出ていた。
「結局、あれって何なんだろうな」
「あれは、学園都市の技術ですの」
「は?」
「学園都市、統括理事長アレイスターさんが、上条さんたちは異世界からの侵略者に連れて行かれたなどと迷言を。それで、そうならないようにと、覆ったのですわ」
「でも結局白井達が……」
「あれは、垣根帝督の仕業ですの」
はぃ?!


「垣根さんは、アレイスターさんの―何かは存じませんが―計画を潰す為に、上条さんの知り合いや、その敵をフェイトさんたちの世界に送ったんですの」
なんだそれ。
「何でそんなこと知ってんだ?」
「さっき、外でお聞きしたんですの」
何がしたいんだ? 垣根は。
「それで、これがバリア破壊に必要な理由は?」
「それはね、あれがアルハザードの技術でできてるからなんだよ」
インデックスが急に口を開いた。
あれが?
「アルハザードのものは、アルハザードのものでしか破壊はできない。無限書庫の本に書いてあった。あのバリアのことも、これのことも」
「へぇ……」
「聖王って言うのは、アルハザードの人だった可能性があるんだよ?」
え?


「そんな……」
「フェイト。だってそう思わない? たくさんの魔法がある中、異質な力の聖王。古代ベルカですらロストロギアといわれたこの聖王のゆりかご。これを所持していた聖王」
……言われてみれば……。
「そうかもしれないね」
「まったく、良く解らない言葉ばかりですの」
「そりゃそうだ。俺たちは違う世界の人間だからな」
俺たちは軽く笑ってから、地球を見る。
「さて、そろそろこれをぶつけて爆発させよう」
インデックスが微笑む。
「私は信じてるからね? とうま」
「インデックス……」
白井が、インデックスとフェイトの肩を掴む。
「こればっかりはなんといえばいいか。とりあえず、お待ちしてますわ」
「ああ」
初めて俺に対し白井が微笑む。


「当麻……一緒に戻るんじゃないの?」
「いやぁ、ごめん。俺さ。右腕のせいで白井の転移打ち消しちゃうんだわ」
あははっと笑う。
「ふざけないで!!」
?!……。
「俺は真面目だよ。フェイト。最後まで誰かが操縦してなきゃいけないんだ。自動操縦プログラムは破損してるからな」
「そんな……そんなのって」
「ごめん、フェイト。でも大丈夫。俺は絶対戻ってくるから」


「お兄ちゃん!!」
おいおい、その呼び方は2人の時だけにして欲しかった。
「お兄ちゃん。昨日言った……明日話すって言った内容。それは―――」
「俺が帰って来た時に聞かせてくれ。それを聞く前に、俺は言いたいことがあるんだけど」
ククッと笑う。
「じゃぁな、フェイト。みんなによろしく」
「そろそろ友軍艦に転移できる限界距離ですの。これを越えたら宇宙空間に転移することになりますの」
「お兄ちゃん。また……後でね?」
「ああ、また今度」
白井が2人と共に、転移して消える。


「さぁてと、最後の一仕事……いきますか」
俺はインデックスが開いていった操作盤を見つめる。
多分、俺はこれで死ぬだろうな。
衝突させて爆発。
それがバリアの破壊方法。
フェイト……俺、フェイトが好きだよ。
そう……言いたかった。


直後、俺を乗せた聖王のゆりかごは地球を覆うバリアに衝突し、バリア共々木っ端微塵に吹き飛んだ



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