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銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その1

2011年09月10日 19:19

銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」

1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/05/08(日) 22:44:30.47 ID:PFvyI+3h0

銀時「何それ、読みにくくてしょうがねーんだけど」

新八「お通ちゃん親衛隊の中でものすごく流行っているアニメなんです」

新八「影響がちょっと強すぎるみたいなんで没収してきました」

銀時「その前に何この☆、つのだ☆ひろのパクリ?」

神楽「銀ちゃん、どっちかっていうとこれプリキュアっぽいアル」

銀時「やめろその名前を出すな、ババア達がやらかしてそこから怒られてんだから」

神楽「今となってはいい思い出ネ、サンライズの土下座根性は伊達じゃないアル」

新八「いやそれ自慢できることじゃないよね!?結局はそれただの平謝りだよね!?」

銀時「で、どうすんだこれ」

新八「さすがに処分するのはかわいそうなんで…しばらくしたら返そうかと思ってます」

神楽「変わったアルな新八、前ならすぐに処分しようとしてたのに」

銀時「やっぱアレなんだな、一時期でも二次元に取り込まれると丸くなるもんだな」

新八「ら、ラブチョリスのことはもういいじゃないですか!一時の気の迷いですよ!」

神楽「マジキモいアル、お前はおはようからおやすみまで一生ゲームに話しかけてろヨ」

銀時「誰だっけ新八くんの彼女の名前…えーと…忘れたからもう一回教えてくんね?」

新八「ぎ、銀さんだってピン子に入れ込んでたじゃないですか!!」

銀時「誰のせいだと思ってんだテメー!!」


---
深夜

銀時「さて…と、もう夜も更けてることだし寝るとするか」

銀時「…………」

銀時(あれ?なんか寝たら負けな気がすんだけど、何この嫌な予感?)

銀時「大丈夫だよな…うん、何も起こるはずがないからね、何のフラグもないからね」

銀時「…………」

銀時「クカー…クカー……」



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翌朝

銀時「クカー…クカー…」

早乙女「先生!坂田先生!何を寝ているんですか!?」

銀時「あん?先生だ?なーに寝ぼけたこと言って……」

銀時「…………」

銀時(あれ、知らない天井?)

早乙女「赴任初日から寝るとはどういうことですか!しっかりしてください!」

銀時「あ、これ夢か?なんだ夢か、きっと夢だ、夢に違いないね、うん」

早乙女「何をさっきから…まぎれもない現実ですよ、夢なんかじゃありませんから!」

銀時「さっきからいちいち声でけーな、ヒステリーな女に男はよってこねーぞ」

バキッ

早乙女「私は悪くない!卵の焼き加減くらいで女の価値は決まるはずないわ!」

銀時「いきなり人の鼻っ柱殴る女の価値なんざたかが知れてるよね」ダラダラ

バキッ!

早乙女「いい加減にしないとしばき倒しますよ」

銀時「もうすでにしばき倒してるけどね」バタッ


---
教室前、廊下

銀時(つーかちょっと待てよオイ、どうなってんだこの状況?何が起こってんだコレ?)

銀時「マジで夢じゃねーのかコレ、夢の国から使者とか来るんじゃねーの?」

ほむら「…………」

銀時「ほわああああぁっ!?」

銀時(こ、コイツいつからいやがった!?まさか夢の……なわけねーか)

銀時「……よう、テメーも廊下で待たされてるクチか?」

ほむら「…………」

銀時「…………」

銀時(なんか喋れやお前、何で話し掛けた俺が浮いた感じになってんだ)


---
教室

早乙女「つまりですね!卵の焼き加減ごときで女の価値は……」

さやか「あー、あれは振られちゃったんだな…まあやっぱりって感じだけど」

まどか「あはは、みたいだね」

早乙女「さて…最後に一つお知らせとして、今日は転校生と新任の先生を紹介します」

さやか「なんでそういう重要なことを最後に持ってくるかな……」ボソッ

早乙女「じゃあ暁美さん、坂田先生、入ってきてください」

ほむら「………」スタスタ

さやか「うわー…すげー美人」

まどか「!」

まどか(嘘…あの子…前に夢で見た……!)

早乙女「じゃあ二人とも、自己紹介を」

ほむら「暁美ほむらです、よろしくお願いします」

銀時「どーも…なんか教師に仕立て上げられてた坂田銀八でーす」

さやか「対してあの教師は…なんともやる気がなさそうな……」

まどか「…………」

さやか「まどか?」

まどか「あっ、ううん…何でもないよ……」

銀時(帰りてェェ!こんなワケ分からねーところでいきなり教師なんざできるわけがねェェェ!)

ほむら「……」


---
休み時間

ほむら「……ごめんなさい、気分が悪いから保健室へ行かせてもらえるかしら?」

クラスメイト「あ、だったら私たちが案内しようか?」

ほむら「いいえ、保健委員の人にお願いするわ…鹿目まどかさん」

まどか「えっ…あ、うん……」

まどか(どうして…私が保健委員だって……?)

ほむら「それと…念のために先生も付き添いで付いてきてもらえないかしら?」

銀時「いや、俺ァ保健室とか知らねーぞ?」

ほむら「それでも…念のために」

銀時「……?」


---
廊下

ほむら「…………」

まどか「……あの、何で私が保健委員だって知ってたのかな?」

ほむら「早乙女先生から聞いたの」

まどか「あ、そ…そうなんだ……」

ほむら「…………」

まどか「…………」

銀時(何この気まずい空気、何これ俺が悪いの?胃が痛くて仕方ないんだけど?)

銀時「あの…うん、何か俺ァ邪魔みてーだからこの辺でフェードアウトし……」

ほむら「しなくていいわ」

銀時「いや…アレだ、胃が痛くなってて?保健室に行かなきゃいけねーから?」

ほむら「保健室に行くなら私たちと一緒に来る必要があるはずよ」

銀時(しまったァァァ!今まさに保健室に向かってたァァァァァ!!)

まどか「……あの、暁美さん?」

ほむら「っ……ほむらでいいわ」

まどか「ほ、ほむらちゃん…ほむらちゃんって…あの……いい名前だよね!」

ほむら「…………」

まどか「あの…なんていうか…珍しい名前だし……その………」

ほむら「…………っ」

銀時(三点リーダー多すぎね?お前らもうちょっと頑張れよ)

ほむら「鹿目まどか、あなたは自分の人生が尊いと思う?家族や友達を大切にしてる?」

まどか「え…う、うん……大切だよ?家族も…友達のみんなも?」

ほむら「嘘じゃないわね…?」

まどか「嘘な訳ないよ!私は…本当にみんなのことが大好きだから!」

ほむら「なら…今の自分を大切にしなさい、今と違う自分になろうだなんて思わないで」

ほむら「さもなければ…すべてを失うことになるわ」

まどか「…………??」

銀時(いや頑張れってそっちの意味じゃないからね、何で中二病を頑張ってんの?)


---
放課後、CD屋

さやか「ごめんねまどか、いつも付き合わせちゃって」

まどか「ううん、気にしないで?私も音楽好きだから」

まどか(ほむらちゃん…いったいどうして私にあんなことを……?)

『助けて……』

まどか「!」

『助けて…まどか……!』

まどか(何…?誰かが私を呼んで……?)

さやか「どうしたの、まどか?」

まどか「呼ばれたの!」

さやか「は、はぁ!?」


同時刻

CD『大人の階段昇るー♪君はまだシンデレラさー♪』

銀時「あー、サビでやっと思い出したわこの曲、どっかで聞いたことあったんだよな」

銀時「何かのアニメのエンディングだったっけ?思い出せねーな……」

さやか「ちょっとまどか!」

銀時「……ん?」

銀時(アイツら…何やってんだ?)


---
某所

まどか「どこなの?誰が私を呼んだの…?」

キュゥべぇ「ハァ…ハァ……」

まどか「だ、大丈夫!?あなたが私のことを呼んだの!?」

まどか(見たことない生き物だけど…ひどい傷…お、お医者さんに連れて行かなきゃ……)

さやか「な、何なのその生き物!」

まどか「分からない、でも怪我してる!早く手当してあげないと……」

さやか「それは…そうだね、じゃあ早く……!?」

二人が走り出そうとした瞬間、少女たちを取り巻く空間に異変が生じた。
不可思議、異常、そうとしか表現できない世界が辺りに広がる。

さやか「な、何なのよこれ!道がなくなって…いったい何が……!!」

銀時「何がどうなってんだァァァァ!?」

まどか「」

さやか「」

さやか「ぎ、銀時先生!?」

銀時「オイどうなってんだ!?今にも宇宙人とか神人とか出てきそうな空気だぞコレ!」

さやか「いや知らないよ!ていうか何で先生がここにいるのさ!?」

銀時「お前ら二人がTSUTAYAでうろちょろしてんのたまたま見かけてな」

銀時「気になったから後を付けてみたらこの状況だコノヤロー」

さやか「付けてきたって…それ半分は自分のせいなんじゃ……」

まどか「二人とも!のんきなこと言ってる場合じゃないよ!」

銀時「?」

まどか「何かが…今、何か動いた……!」

さやか「何かって…せ、先生見てきてよ!」

銀時「いや無理だろ、丸投げとかホント止めてくんない?」

さやか「男だったら女の子の前に立っていいところ見せてよ!」

銀時「レディーファーストって言葉があんだろうが!お前が先陣切っていけよ!」

銀時・さやか「何だコルァァァ!!このビビリがァァァァァァ!!」

マミ「…………」

マミ(どうしよう、出ていくタイミングがわからない……)

マミ「あの……ちょっといいかしら?」

銀時「馬鹿かお前!GCの最高傑作はソニックアドベンチャー2バトルに決まってんだろうが!」

さやか「何言ってんの、カービィのエアライドしかありえないでしょ!!」

マミ「あの…助けに……」

さやか「うるさい!!」

銀時「今取り込み中だから後にしろコノヤロー!」

マミ「ご、ごめんなさい……」グスッ

まどか「…………」

まどか(どこをどう突っ込めばいいのか全然わからないよ……)

まどか「あの…助けに来てくれたんですか?」

マミ「そうなんだけど…何だかちょっとやりにくくてね」

まどか「こ、ここは一体どこなんですか?なんで私たちがこんな……」

マミ「説明する前に、ちょっと一仕事してもいいかしら?」

マミ「この世界から抜け出すには…ここに潜んでる魔女を倒さなきゃいけないの」

まどか(いつの間にか銃を持ってる…ま、魔法みたい……!)

銀時「ジャンプが最強だろうが!こればっかは譲れねェぞ!」

さやか「誰が何と言おうが私はマガジン派なの!こっちだって引き下がる気はないから!」

まどか(そしてあの二人はいつまでやってるんだろう……)


---

マミ「何やかんやで全員無事で助かったわね」

銀時「いや何やかんやって何?適当すぎんだろそれ」

まどか「それは酷いよ先生、マミさんが戦ってる間もずっと口喧嘩してたのに……」

さやか「あはは…あの、助けてくれてありがとうございました」

マミ「気にしなくていいわ、これが私の仕事だもの」

まどか「それで…さっきのは一体なんだったんですか?」

マミ「それを説明する前に…まずはキュゥべぇを……」

ほむら「…………」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「そいつから離れて」

まどか「で、でも…今からこの子の手当てを……」

マミ「なるほど…キュゥべぇに怪我をさせたのはあなたね?」

さやか「なっ……!」

マミ「今は退きなさい、お互いに無駄な戦闘はしたくないでしょう?」

ほむら「…………」

銀時「まままま、ちょっと落ち着けテメーら」

ほむら「?」

銀時「こちとらいきなりのことでわけがわからねェんだ、詳しく話を聞かせてもらうぜ」

マミ「……この子の怪我を治してから、ね」

ほむら「…………」


---

キュゥべぇ「ありがとう!君たちのおかげで助かったよ!」

マミ「良かったわね、キュゥべぇ」

銀時「じゃーもう一度聞くけどよ、テメーら一体何なんだ?」

マミ「私たちは魔法少女、一言でいえば魔女と戦う存在…とでも言うべきかしら」

銀時「魔女?ああ、ツインローバか」

さやか「ゼル伝かー、懐かしいなー」

マミ(ぜるでん……って何かしら?)

まどか「あの…とりあえずマミさんたちは魔女をやっつけるのが仕事なんですよね?」

マミ「え、ええ」

まどか「じゃあなんでほむらちゃんは…そのキュゥべぇって子を襲ったり……?」

ほむら「…………」

マミ「…鹿目まどかさんだったわね、あなたにはキュゥべぇの助けを求める声が聞こえたんでしょう?」

まどか「は、はい…聞こえましたけど……」

マミ「……いずれわかることだろうから今、ここで言っておくわ」

マミ「鹿目まどかさん、あなたには魔法少女になるだけの資質がある」

まどか「!」

まどか「私が…魔法少女に……?」

さやか「でも…それと何の関係が……」

マミ「魔法少女になるにはこのキュゥべぇと契約をする必要があるの」

マミ「逆を言えば…キュゥべぇがいなければ魔法少女になる契約をすることはできない」

マミ「つまりはそういうことでしょう、あなたがキュゥべぇを狙った理由は?」

ほむら「…………」

まどか「言ってる意味がよくわからないんですけど…」

マミ「彼女は新しい魔法少女が増えることを避けたいのよ、何としてもね」

さやか「なんで?仲間が増えるんだったらいいことじゃないの?」

マミ「それがそうとも限らないの…魔女を倒した時のメリットが減ってしまうから」

まどか「………?」

マミ「倒された魔女はグリーフシードという卵を落とすことがあってね」

マミ「これは魔法少女にとっては必要不可欠なものなの」

銀時(……めんどくせー話になってきたな)

まどか「魔女の卵なんか…どうしてほしがるんですか?」

マミ「私が持ってる宝石…ソウルジェムが私たち魔法少女の力の源なの」

さやか「わぁ、綺麗ですね…すごく……」

マミ「でもこの宝石はほんの少し汚れているの、さっき魔法を使ったからね」

まどか「魔法を使ったから?」

マミ「そう、私たちが魔法を使うとソウルジェムは少しずつ汚れていく…」

マミ「そしてソウルジェムの汚れがひどくなると私たちは魔法が使えなくなってしまうの」

銀時「………」

マミ「魔女の落とすグリーフシードにはその汚れを浄化するはたらきがある…つまり」

さやか「魔法少女が増えちゃうと、それを取れる機会が少なくなっちゃうってこと…?」

マミ「そういうことね…あなたはそれが困るからキュゥべぇを狙うんでしょう?」

ほむら「……仮に違うといってもあなたは信じてくれないでしょうね」

マミ「信じるかどうかはあなたの話の内容にもよるわね」

ほむら「…………」

銀時「すいまっせーん、ちょっと聞きてーことがあんだけど」

マミ「?」

銀時「何でテメーら魔法少女さんは仲間の魔女を倒してんだ?」

キュゥべぇ「!」

マミ「な、仲間じゃないわ!魔法少女と魔女は全く別物よ!」

銀時「え?だって魔法少女が大人の階段昇ると魔女になんじゃねーの?」

ほむら「!」

マミ「お、大人の階段って…」

銀時「いや今はいいよ?お前らまだ学生だしね、まだ少女でも問題ないけどね」

銀時「で、時がたって十年後、いまだにお前らは少女ですか?永遠の十代でいられますか?」

銀時「いい年こいても幸せは誰かが運んでくれると信じてんの?」

マミ「いや、それは……」

銀時「シンデレラも大人の階段昇る時が来るんだよ、そん時少女は大人の女になんの」

銀時「つまり魔法少女もいずれは魔女になるってことだな、うん」

銀時「まあそこからさらにワンステップ進むと魔法熟女という新世界に達するけどね」

マミ「…………」

ほむら(な、何者なの…坂田銀時……!)

マミ「キュ…キュゥべえ……」

キュゥべえ「何を聞きたいかはわかっているよ、マミ」

マミ「まさかとは思うけど……その……」

キュゥべえ「逆に聞くけれど、君は自分があんな魔女になると思っているのかい?」

キュゥべえ「人に災いをもたらすだけのおぞましい存在になると、本当に思うのかい?」

マミ「そんな…そんなことは絶対にないと思ってるけど……」

キュゥべえ「だったら何も心配はいらないじゃないか、マミが何を不安になっているのかわからないよ」

マミ「そ、そうね……」

銀時「………」

銀時(あれ、何か話の方向変わってね?)

キュゥべぇ「とりあえず…もう一度お礼を言っておくね、助けてくれてありがとう!」

まどか「そんな…お礼なんか言わなくても……」

銀時「あれ、スルー?ちょ、年増になったら魔女になるってのはスルーすんの?ねえ」
 
キュゥべぇ「僕が君たちに助けを求めたのはちゃんと理由があるんだ」

まどか「理由……?」

銀時「オイ聞いてんのかネコウサギ」

キュゥべえ「マミも言っていたけど、君たちには魔法少女になれるだけの才能がある」

キュゥべえ「だから、僕と契約して魔法少女になってほしいんだ!」

まどか「魔法少女に…私が……?」

銀時「何なのコイツ、人の話全然聞いてねーんだけど」

さやか「魔法少女って…そんなことを急に言われても……」

ほむら「ダメよ、そんなことをしてもあなたたちの得になることなんて一つもないわ」

さやか「た、確かに…いきなり魔女と戦えって言われてもな……」

キュゥべえ「もちろんただでなってくれとは言わない、それに見合う代価は払うつもりさ」

まどか「?」

キュゥべえ「魔法少女になってくれたら、どんな願いでも一つだけ何でも叶えてあげるよ」

銀時「マジで?じゃあ叶えれる願いを百個にしろ」

キュゥべえ「いや…あの…それはちょっと……」

銀時「何お前、どんな願いでもって言ったよね?嘘つきか、イッツオールフィクションか」

銀時「みなさん詐欺師です、ここに悪徳業者がいるから気をつけるようにー」

キュゥべえ「…………」

銀時「つーか何そのドラゴンボールみたいな設定、もうちょっと何とかならなか……」

銀時「……ドラゴンボール?」

その時、坂田銀時に電流走る

銀時(あれ、もしかして『元の世界に帰らせろ』って言えば帰れるんじゃねーか?)

銀時(魔女だかなんだかはかぶき町にゃ存在しねーし…すべて解決じゃね?)

まどか「願い事って言われても…そんな……」

さやか「思いつかないよね、急には」

キュゥべえ「どんな願い事だっていいよ、『願いを増やせ』以外だったらね」

銀時「しょうがねェな、だったら俺がその魔法少女ってのに……」

キュゥべえ「先に言っておくけれど、君じゃ魔法少女になるのは無理だよ」

銀時「何だとこのウサギもどき」

キュゥべえ「魔法少女になる資質があるのは思春期の女の子だけなんだ」

銀時「何そのピンポイントな条件、明らかに如何わしいこと企んでるよね」

ほむら「…………」

ほむら(わからない…彼は私の味方なの……?)

マミ「とりあえず…ここを出ましょうか、暗くて少しジメジメしてるしね」

キュゥべえ「そうだね、いきなりここで決めろというのも酷だからね」

キュゥべえ「少し考えてみてから返事を聞かせてくれないかな?」

まどか「うん、分かった」

マミ「じゃあ…今度、私と一緒に魔女退治についてきてみる?」

マミ「そういうのって一度、ちゃんと見てから決めたほうがいいと思うの」

さやか「い、一緒に行って邪魔にならないんですか?」

マミ「もちろん来たくないなら無理に来なくてもいいわ、危険も伴うしね」

マミ「でも…可愛い後輩が大きな決断をしようとしてるんだもの、少しくらい手伝わせて」

まどか「マミさん…ありがとうございます!」

ほむら「巴マミ、あなた…自分が何を言っているかわかっているの?」

マミ「私はこの子たちが自分で決断できるよう手伝うだけ、ただそれだけよ」

ほむら「危険な命懸けの戦いに…一般人を巻き込むというの?」

マミ「キュゥべえに選ばれた時点ですでに一般人とは言い切れないわ」

ほむら「あなたは……」

マミ「……今日のところは退きなさい、暁美ほむらさん」

ほむら「…………」

銀時「よくわからねーが…とりあえず今日のとこはこれで解散っつーことで……」

そう言いかけた銀時が何気なしに自分の腕を見ると、そこにはヤツがいた。
毛でおおわれた体を八本足で支え、口からは獲物をからめ捕る糸を吐き出すスナイパー。

銀時「うほわあああぁぁぁ!蜘蛛だぁぁぁぁ!!」ダダッ

マミ「ちょ、暗いのにそんなに走り回ったら危な……」

キュゥべぇ「え?」

銀時「あ」

プチッ

銀時「」

まどか「」

さやか「」

ほむら「」

マミ「」

銀時(ね、ネコ踏んじゃった!ネコ踏んじゃったァァァァァ!?)

マミ「キュ…キュゥべえぇぇぇぇぇぇ!?」

まどか「」

さやか「ちょ、アンタなんてことしてんのよ!?まさかあんたも敵!?」

銀時「事故だろ今の!違う!違うからね!断じてわざとじゃないからね!?」

銀時「どうしたらいいんだコレ!誰に謝ればいいの!?ねえ!!」

その時、絶望する彼の肩を叩くものが一人

ほむら「……」

銀時「…………?」

ほむら「グッジョブ」グッ

銀時「何で『よくやった』みてーな顔で語りかけてんだァァァ!何その親指!?」

銀時「やべーよこれ、亡霊とかになって化けて出てくんじゃねーだろうな!?」

キュゥべえ「ビックリしたじゃないか、全くなんてことするんだい」

銀時「だからわざとじゃねーて言って……あれ?」

キュゥべえ「どうしたんだい?」

銀時「………」

銀時(ば、化けて出たァァァァァ!?)

マミ「キュ、キュゥべえ…?え、でも……なんで?」

キュゥべえ「やれやれ、まさかこんな形で潰されちゃうとは思わなかったよ」

まどか「キュ、キュゥべえがもう一匹……?」

キュゥべえ「代わりはあるけどむやみに壊されても困るんだ、もったいないじゃないか」

マミ「代わりってあなた……」

キュゥべえ「心配させてごめんよ、でも…僕は君たちを魔法少女にする存在なんだ」

キュゥべえ「それくらいの力があるのに、簡単に死ぬはずがないだろう?」

さやか「そ、そうなんだ……」

銀時「何なのお前、無限残機?焦って損したんだけど?」

キュゥべえ「元はといえば君の不注意のせいなんだよ、少しは反省してくれると嬉しいんだけど」

銀時「はいはい、すんませんっしたー」

銀時「………あれ?」

銀時(つーか無限残機なら別に殺されるとか関係なくね?助けとか必要なくね?)

銀時(だったらコイツ、何で助けなんか呼んだんだ?)


---
翌日、昼休み…屋上

まどか「さやかちゃん…願い事決まった?」

さやか「ううん…全然決まらない、急なことだったからね」

まどか「そうだよね…私もほしいものって言われても思いつかないんだ」

さやか「……恵まれているんだね、私たちって」

まどか「?」

さやか「私は魔女っていうのがどれくらい怖いのか…実はよくわかってないんだよね」

まどか(先生とずっと口喧嘩してたからだよね、それ)

さやか「でも…すごく大変なことだっていうのは分かる、命懸けの戦いなんだってことも」

まどか「あはは…命懸けって言われちゃったらちょっと怖いよね」

さやか「そう、そう思えるから私たちってすごく恵まれてるんだよ」

まどか「……?」

さやか「世界には、命懸けの人生を送ることになっても叶えたい願いを持ってる人はたくさんいると思う」

さやか「何で…私たちなのかな、何でこういうチャンスが他の人に回らないのかな?」

まどか「さやかちゃん……」


---
放課後

マミ「ティロ・フィナーレ!」

魔女「グギャアアアァァァ……」

さやか「すごい…さっすがマミさんだ」

マミ「もう…見世物じゃないのよ、ちゃんと今後の進退の参考にしてくれてる?」

さやか「ま、まあ一応は」

マミ「ふう…困った後輩ね」

まどか「でも…やっぱり迷っちゃいますよね、願いって言われても思いつかないし……」

マミ「それは仕方ないわね、今まで考えたこともないだろうし」

まどか「マミさんは…その、どんな願いをして魔法少女になったんですか?」

マミ「…………」

まどか「あ…あの、言いたくないんだったら別に……」

マミ「私の場合は…こうして生きるためには選択肢が一つしか与えられなかったの」

さやか「え……?」

マミ「強いて言えば…自分の命を助けて、が願い事だったかしら」

まどか「ま、マミさん……」

マミ「でも…あなたたちには私と違って選択肢がある、選択を間違えないようにね」

さやか「……マミさん、その願いを他人のために使うっていうのはどうなんですか?」

マミ「あまり関心はしないわね…あなたには他人のために自分の命を懸けられるの?」

さやか「私は……」

マミ「……願いを決めるのはあなたたち自身、私からはこれ以上なにも言わないわ」


---
翌日、放課後…病院

さやか「恭介、来たよ!」

上条「やあ、さやか!来てくれてうれしいよ」

さやか「これ、借りてきたCDね」

上条「いつもありがとう、わざわざ借りてきてくれて」

さやか「ううん、気にしないで…少しでも恭介が元気になってくれればそれでいいから」

上条「うん、そうだね……」

さやか「退院できる日が来るの、待ってるから……」


---
病院、廊下

さやか「…………」

銀時「よう、奇遇じゃねーか」

さやか「……何で先生がここにいるの?」

銀時「なるほどな、あん時TSUTAYAにいたのはこういう理由だったってこった」

さやか「……あんまり人に言わないでね」

銀時「心配すんな、俺ァそこまで意地は悪かねーよ」

さやか「約束だからね」

銀時「わーってるよ、誰もお前が好きな男に尽くす健気な女だなんて言わねーから」

さやか「ちょっとでも口滑らせたらマジで屋上から突き落とすから」


---
病院、外

さやか「さて…と」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「まどか…それにキュゥべえも!」

まどか「さやかちゃん…上条君のお見舞い?」

さやか「ん、まあね……」

キュゥべえ「二人ともまだ色々と迷っているみたいだね」

まどか「うん、ごめんね?待たせちゃって」

キュゥべえ「気にすることはないさ、契約を強要するつもりなんて僕にはないしね」

銀時(うさんくせー、何この胡散臭さ?アグ○スの霊感商法並みの胡散臭さなんだけど)

さやか「…………何でも願いがかなう、か」ボソッ

まどか「さやかちゃん、何か言った?」

さやか「え、あ、ううん!何でもない!さあ帰ろ!まど……!」

まどか「ど、どうしたの?」

さやか「あの壁にくっ付いてるのって…魔女が出てくる卵じゃ!」

まどか「えっ!?」

銀時「!」

まどか「た、大変だ!マミさんに知らせないと……!」

さやか「まどか!マミさんの携帯番号とかわかる!?」

まどか「分からない、聞くのすっかり忘れちゃってた!」

さやか「先生は!?」

銀時「携帯なんざ持てるわけねーだろ、基本料金どんだけかかると思ってんだ」

さやか「……まどか、マミさんを呼んできて!私はここでこの卵を見張ってる!」

まどか「そんな!」

キュゥべえ「無茶だ!魔法少女でもない君じゃ万が一があったときにどうしようもない!」

さやか「魔女ってのは生まれたら周辺にいる人に災いをもたらすんでしょ?」

さやか「こんな病院の近くでそんなことになったら大変なことになっちゃうよ!」

まどか「さ、さやかちゃん!」

さやか「急いで、まどか!」

まどか「う、うん……!」

キュゥべえ「それなら、僕もここに残るよ!」

さやか「キュゥべえも…?」

キュゥべえ「僕がここにいれば、最悪の事態になった時も君を魔法少女にしてあげられる」

キュゥべえ「そうすれば魔女と戦うことだって出来るからね」

さやか「できれば…そうならないことを祈るしかないね」

銀時「………」

銀時「めんどくせーが俺も残るしかねーな、この流れだと」

さやか「先生…!」

銀時「俺ァマミってやつの家も知らねーし、生徒をほっとくわけにもいかねーしな」

さやか「……ありがと、先生」

銀時(つーか無限残機のコイツが見張ってればよくね?俺たちいなくてもいくね?)


---
数分後

マミ「ここね…確かに魔女の気配がするわ」

まどか「さやかちゃんたち…大丈夫かな……」

マミ『キュゥべえ聞こえる?そっちの状況は?』

キュゥべえ『まだ卵が孵化する様子はないよ、でも刺激しすぎるのもマズイね』

キュゥべえ『魔力は極力抑えてこっちまで向かってきてくれないかな?』

マミ『了解、ありがとう』

マミ「さて…じゃあ行きましょうか」


異空間

まどか「う……」

マミ「やっぱり慣れないわよね、こんな場所」

まどか「ご、ごめんなさい…マミさんを信頼してないわけじゃないんですけど……」

マミ「怖くて当然よ、何も引け目を感じることはないわ…さあ、先に進みましょう」

ほむら「待って」

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

マミ「……何のようかしら?」

ほむら「今回の魔女は私が仕留める、あなたたちは下がっていて」

マミ「後輩が待っているの、そうもいかないわ」

ほむら「彼女たちの安全は私が保証する」

マミ「信用すると思っているのかしら?」

ほむら「!」

一瞬、瞬きをするか否かの間にほむらの体はマミの繰り出した拘束魔法で縛り上げられていた。

ほむら「何を…こんなことをしている場合じゃ……!」

マミ「心配しないで、魔女を倒したらちゃんとその拘束は解いてあげるから」

マミ「行きましょう、鹿目さん」

まどか「は、はい……」

ほむら「待って…くっ……!」



まどか「ほむらちゃん…私たちを心配してくれていたんじゃ……」

マミ「そうかもしれないわね、でも…まだ彼女は完全に信用できるわけじゃない」

マミ「万が一のことを考えたらああするしか方法はなかったの」

まどか「でも…ここにいる魔女は強いって……」

マミ「…鹿目さん、あなたには今までの私の戦いがどう見えていた?」

まどか「え……?」

マミ「簡単に勝てた魔女なんて極僅か…私はいつも怯えながら戦っていたことに気が付いた?」

まどか「そ、そんな…」

マミ「強い魔女なんてたくさんいる…でも、私は戦わなきゃいけないの」

マミ「自分のためにも…あなたたち後輩のためにも…この町に住む人ためにもね」

まどか「……怖いのに戦えるマミさんは強いんですね」

マミ「そんなことないわ、私なんてちっとも強くなんかない」

まどか「私が…私が魔法少女になれば…マミさんの怖さも半分に出来るんですか?」

マミ「か…鹿目さん……?」

まどか「私にもしもみんなを守れるだけの力があるなら…私は戦いたいです、マミさんと一緒に!」

マミ「簡単なことじゃないの、これは…本当に怖い戦いで……」

まどか「それでも…私に出来ることがあるんだったら」

マミ「!」

マミ(この子…本当に私のために力になろうとしてくれてるの……?)

マミ(一人で戦っていた私のために…自分も戦ってくれると言っているの?)

マミ(……優しい子なのね)

マミ「ありがとう、なんだかすごく元気をもらったわ」

まどか「あ…ありがとうなんて言わないでください、私なんて……」

マミ「自分を過小評価しないの、あなたは本当に強い人間なんだから」

まどか「そ、そんなことないですよ!からかわないでください!」

マミ「フフ…鹿目さんがそばにいてくれるだけで力が湧いてくるみたいよ」

マミ「さあ、このまま魔女まで一気に行きましょう!」

まどか「はい!」

マミ(体が軽い…こんな気持ちで戦ったこと、今までに一度もなかった……!)

マミ(私…もう何も怖くない!)


---

マミ「お待たせ、美樹さん、坂田先生」

まどか「みんな、大丈夫だった!?」

さやか「平気平気、魔女の卵に変化もなかったからね」

銀時「ぱっつぁんの人気投票の順位並みに変化がなかったな、マジで」

銀時「ぱっつぁんいつになったら新一になれんだろうな、コナン君になれる日は来んのか?」

キュゥべえ「わけがわからないよ」

マミ「でも…そろそろ出て来るわね」

銀時「コナン君が?」

マミ「そっちじゃなくて魔女が」

キュゥべえ「来るよ!」

シャルロッテ(魔女)「………」

銀時(なんだ…人形?)

マミ「せっかく出てきたところ悪いけれど…一気に決めさせてもらうわよ」

具現化されたマミの魔法銃が人形のような魔女を打ち抜いた、倒れた魔女を魔力の込められた特性のリボンで拘束する。

さやか「やった!」

憧れの先輩の勝利を確信したさやかが歓喜の声を上げるとマミは笑顔で応え、最後の一撃を魔女に放った。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

マミの最大の一撃が拘束された魔女の中心を貫く、これですべてが終わるはずだった。

その場にいた誰もが巴マミの勝利を確信していた。

―――ただ一人、歴戦の侍を除いては。

銀時「目ェ逸らすな!まだ終わってねーぞ!」

マミ「えっ……?」

何故そんなことを言ったのかはわからない、だが彼にはある種の確信があった。

死地を切り抜けてきた者が持つ研ぎ澄まされた第六感が警鐘を鳴らしている。

而して…その悪い予感は的中した。

シャルロッテ「―――――!」

マミ「!?」

倒したはずの子供の人形のごとき魔女、その口から何かが飛び出てきた。

ピエロの顔がついた芋虫としか形容の出来ないそれは一瞬で巴マミの間合いに入り…


牙を剥き出しに―――――首を食いちぎった。


マミ「……?」

キュゥべえ「」

マミ「え?え?」

銀時「惚けてねーでとっとと逃げろ!そいつが食われてる間に!!」

マミ「!」ダッ

マミ(な、何が起こったの……?)


数秒前

銀時(くそっ、案の定やられちゃいねェじゃねーか!)

マミ「……!」

銀時(やべェ!あれは自力じゃ逃げ切れねーぞ!何かねーか!?何か……あ)

銀時「お前…無限残機だったよな?」

キュゥべえ「え?」

コナンテーマ『うつむーくー♪その背中に痛い雨がつき刺ーさる♪』

銀時「サクリファイス・エスケープ・シュートォォォォォォォ!!」バキッ

キュゥべえ「ええええええ!?」

パクッ


キュゥべえ、銀時によって二度目の死を迎える。

銀時が魔女を確認してからキュゥべえを蹴り飛ばすまで

―――その間、実に二秒ッッッ!!


銀時「よう、無事で何よりだったな」

マミ「で、でもキュゥべえが…あの子が……!」

銀時「いやアレ無限残機だったろ、お前もみてたじゃねーか」

マミ「それでもなんというか…あの…罪悪感が……」

銀時「ありがとうキュゥべえ君…俺、君のことは忘れるまで忘れないからァ!」グスッ

銀時「……はい、反省終了っと…じゃー次はとっととこの変な芋虫を何とかしねーとな」

マミ「…………」

マミ(これでいいの?何だか釈然としないんだけど……)

銀時「ったく、甘いモンで埋め尽くされた天国みてーな場所だってのになんで芋虫の相手しなきゃならねーんだ」

マミ「あ、あなた…まさか戦うつもりなの!?なんの力もないのに!」

銀時「やるしかねーだろ、今のテメーじゃ荷が重いんじゃねーか?」

マミ「そんなこと……っ!」

マミ(どうして…足が…震えてる……?)

銀時「……今は下がっとけ、ついでにほむらのヤローもここへ連れてこい」

マミ(さっき私…本当に死ぬところだったんだ……だから体がこんなに……!)

まどか「マミさん!大丈夫ですか!?」

さやか「か、間一髪でしたけど…怪我とかもしてないですか!?」

マミ「え、ええ…平気……それよりもあの先生が……!」

銀髪の侍は既に魔女との戦闘に移っていた。

誰かが思った、勝てるわけがないと…もう逃げるしか道は残されていないと

不意を突かれたとはいえ、敵は戦闘経験が豊富なマミが殺されかけたほどの強さを持っている。

ましてや彼に魔力などありはしない、武器にしても木刀一本しか持っていない。

まともに考えれば勝機などあるはずがなかった。

だが三人は知らなかった、魔女と相対している彼のことを、自分たちの教師をしている男のことを

銀時「ウオオオオオオオッ!!」


―――天人という人外の敵との戦争を戦い抜き、白夜叉と呼ばれた侍のことを


銀時「ずあっ!」バキッ

シャルロッテ「!」

銀時の選んだ作戦は至って単純、魔女の攻撃を回避しつつ小回りのきく木刀で反撃をする、ただそれだけだった。

だが、行うのは簡単ではない。敵が大柄で素早いだけではない、一度でも攻撃を食らえば致命傷になるのだ。

加えて、リーチの短い木刀で反撃することも考えれば大きく距離をとって躱すことも不可能である。

つまるところ、銀時の策では致命の攻撃を紙一重で回避しつづけなければならない。

―――それだけリスクの高い策でも彼は一歩も退かなかった。

―――一僅かの怯えも見せることなく、木刀を片手に鬼神のごとく戦い続けた。


「………」

少女たちは立ち尽くしていた、木刀一本で魔女を圧倒する侍を前に言葉一つ発せられなかった。

まどか(あれが…銀時先生……?)

さやか(す、すごい…あの先生…あんなに強かったの?)

マミ(どうして…あんな無茶な戦い方を恐れずに実行できるの……!)

銀時の戦いに目を奪われているのは三人だけではなかった。

ほむら「どうなっているの…これは……?」

まどか「ほむらちゃん!」

マミ「来て…くれたのね、暁美さん」

ほむら「教えて…なぜ彼が戦っているの……?」

---

ほむら「そう、事情は大体わかったわ……命があって良かったわね、巴マミ」

まどか「ほ、ほむらちゃん…その言い方は……」

マミ「……ごめんなさい、あなたの忠告を聞いておくべきだったわ」

ほむら「謝罪なんて求めていないわ、ただしきちんと自覚することね」

ほむら「あなたは自分のせいで一般人を巻き添えにして命の危険にさらしたことを」

さやか「巻き添えって…そもそも原因は私が……」

マミ「……暁美さんの言ってる通りよ、すべて私の責任だわ」

ほむら「……とりあえず、今は魔女を倒すことを考え………!?」

シャルロッテ「―――――――――」

ほむらが見たもの、それは体の中心から一刀両断にされた魔女の亡骸

そして、息を切らしつつもこちらへ歩いてくる銀時の姿だった。

ほむら「え……?」

銀時「よう…お前来るのおせーぞ、もうちっと早く来いや」

ほむら「あなた…まさか一人で魔女を倒したの?」

銀時「……いや、何か勝手に爆発した」

さやか「爆発って…あの死骸…明らかに斬られたっぽい形跡があるんだけど」

銀時「あの…何か真ん中がきれいに真っ二つになるように爆発した」

さやか「どんだけピンポイントな爆発!?そんなのあり得なくない?」

銀時「ありえないなんて事はありえない」

さやか「どこの鋼の錬金術師!?ジャンプ派だって言ってなかった!?」

銀時「あーあー、ゴチャゴチャ言うなめんどくせーな…全員無事でめでたしめでたしだろ」

まどか「それは…そうかもしれないですけど……」

ほむら「…………」

ほむら(どうなってるの…魔法少女でもないのに魔女を倒すなんて!)

ほむら(彼は…彼は一体……!)

銀時「ところで…一個気になってることがあってな」

ほむら「な、何かしら……」

銀時「ここにある甘いモンってテイクアウト出来んのか?」

ほむら「…………」


---
翌日、学校

銀時「はーい、授業始めんぞー、教科書出せー」

まどか(先生…昨日あんなことがあったのにもう普通に授業してる……)

銀時「じゃあ今日は抜き打ちテストやっから教科書しまえー」

まどか「先生、最初に教科書出せって言ってませんでした?」

銀時「人ってのは過去を振り返ってたら前に進めねーぞ」

さやか「ていうか抜き打ちテスト!?聞いてないですよそんなの!!」

銀時「はいお前は馬鹿ですか、先にテストやるって教えたら抜き打ちにならねーだろ」

さやか「…………」

さやか(あー…これは終わったな…補習とかなきゃいいけど……)

さやか(えーっと…問題は…っと……)

問一
ゼルダの伝説、時のオカリナで最もよくやることを次のうちから選びなさい

1…空き瓶でガノンドロフと戦う
2…釣り場で親父の帽子を釣る
3…リーデット怖いから常に太陽の歌を使う
4…ルト姫を投げて敵を倒す

まどか「…………」

まどか(選択肢からもう全然わからないよ)

さやか(選択肢の意味は分かるけどこんなの選びようがないんだけど……)

さやか(………1にしよう)

ほむら「…………」

ほむら(これはどう考えても…3)


---
放課後

さやか「疲れた…何なのよあのテスト、ワケ分からない問題ばっかりだったよね?」

まどか「どうしよう、私…このままじゃ補習かもしれないよ」

さやか「私も……って落ち込んでる場合じゃないや、今日は早く帰らないと」

まどか「何か用事?」

さやか「うん、ちょっとね」

ほむら「………」


---
病院

恭介「………」

さやか「恭介…借りてきたCD、ここに置いておくね」

恭介「………」

さやか「あの、恭介……」

恭介「さやか…さやかは僕をいじめているのかい?」

さやか「え……?」

恭介「何で…何で指が動かなくなって音楽が出来ない僕にこんなものを聞かせるんだ!」

さやか「だ、大丈夫だよ!頑張ってリハビリすれば必ず……」

恭介「治らないって言われたんだ、バイオリンはもう諦めろって……」

さやか「!」

恭介「もう…魔法とか奇跡でもない限り、僕は……!」

さやか「…………」

さやか「あるよ」

さやか「魔法も奇跡も…あるんだよ!」

恭介「……?」


---
某所

さやか「…………」

さやか(私が…恭介の腕を治してあげられるんだったら……そのためなら……)

銀時「自分が命懸けの戦いを背負っても構わねェってか」

さやか「!」

銀時「あっちこっちフラフラしやがって…探したぞコノヤロー」

さやか「……何で」

銀時「今のお前の顔見りゃ大体の想像はつくわ、こちとら事情も知ってるしな」

さやか「……はぁ、分かってるんじゃ嘘ついたって仕方ないよね」

さやか「多分、先生の予想は間違えてないよ…私は先生の想像通りのことをしようとしてる」

銀時「…………」

さやか「色々考えてみたんだけど…これが私にとってのベストな選択だと思うんだよね」

さやか「魔法少女になって魔女と戦うってちょっとカッコいいし…この町の人を守れるしね」

さやか「それに…自分の運命に絶望している人も一人、救うことができる」

銀時「…………」

さやか「何か間違ってる?私の選択」

銀時「……間違ってはいねェんじゃねーか?」

さやか「そうだよね…やっぱり……」

銀時「ただ…俺ァ気にくわねェな」

さやか「……どうして?」

銀時「確かにテメーの言う通りにすりゃ周りの連中は助かるだろうよ、そこは否定するつもりはねェ」

銀時「ただ…それじゃ結局『テメー自身』は救われねェじゃねーか」

さやか「!」

銀時「お前の願いが叶ってダチ公の腕が治ったとして…その後はどうなるよ」

さやか「…………」

銀時「テメーは生きるか死ぬかの戦いを一生続けなきゃならねーんだぞ?」

銀時「ダチ公助けてェ気持ちはわからなくはねーが…ちっとばっか考えがずれてんだろうが」

さやか「…………」

さやか「……もう少しだけ考えてみる、けれど…最後に決めるのは私だから」

銀時「そうかい…ま、後悔だけはしねーように気を付けろよ」

銀時「……間違っても俺みてーな後悔しか残らねェ道は選ぶんじゃねーぞ」

さやか「……?」


---
同日、夜

まどか(さやかちゃん…今日の用事ってなんだったのかな)

まどか「……あれ?あそこにいるのって…仁美ちゃん?」

まどか「仁美ちゃーん!こんな時間にどうしたのー?何か習い事……!」

仁美の首筋に何かが見えた気がした、決して見えてはならないはずの何かが。

―――魔女の口づけ、それを受けた人間は原因不明の自殺や殺人を犯すとマミから説明を受けた。

さやかと一緒にマミの魔女討伐に付き添った際、口づけを受けて自殺しようとした女性を助けたことがあったが…

その女性につけられた口づけの跡と同じものが友人である志筑仁美にはっきりと見て取れた。

仁美「…………」

まどか(ひ、仁美ちゃん……まさか!)

まどか「仁美ちゃん!何やってるの!」

仁美「あら…鹿目さん、ごきげんよう…どうかなさいました?」

まどか「ひ、仁美ちゃん…どこに行こうとしてたの?」

仁美「どこって…フフ、とっても素晴らしいところへ……」

まどか「素晴らしい……?」

仁美「そうだ!鹿目さんも一緒に行きましょう…そうですわ!それがいいですわ!」

まどか「や、やめて…私の声を聴いて!仁美ちゃん!」


---
同時刻、某所

ほむら「………」

銀時「こんな時間に何の用ですかいお嬢さん、パフェでも奢ってくれんのか?」

ほむら「私が頼んだこと…やってくれたかしら?」

銀時「とりあえずはな…ただ、あれはどう転ぶかわからねーな」

ほむら「……そう」

銀時「で…お前は何でさやかの奴がダチ公のために契約しようとしてるなんて知ってたんだ?」

ほむら「過去の経験から推測した…ただそれだけよ」

銀時「経験……?」

ほむら「それより…私からあなたに聞きたいことがあるの」

銀時「聞きてェことがあるのはお互い同じらしいな、腹据えて話すとしようじゃねーか」

ほむら「一番根本から聞かせてもらうわ……あなた、いったい何者なの?」

銀時「甘いモンが好きな遊び人とでも答えりゃいいのか?」

ほむら「……質問の仕方を変えるわ、あなたは『この世界』の人間なのかしら?」

銀時「…………」

銀時「仮に俺が『いやー実は異世界から来ちゃいましてー』って言えばお前は信じるのか?」

ほむら「……信じるわ、あなたはここに現れるはずのない人間だもの」

銀時「……?」

銀時「オイ、そいつはどういう……」

ほむら「待って……魔女が現れたわ」

銀時「その前に俺の質問にだな…」

ほむら「ここからかなり近いみたいね、それもかなりの人が巻き込まれてる」

銀時「いや二十秒、二十秒だけでいいから答えろって、こっちはわからねェことだらけなんだよ」

ほむら「行きましょう、早くしないと犠牲者が出かねないわ」

銀時「とりあえずお前のスルー力が半端じゃねェことは分かったわ」


---
某工場

工場長「ダメだ…こんな小さな工場ひとつ切り盛りできないようじゃ……」

工場長「一番の見せ場でミスをするような俺なんか…死ぬしかないんだ……」

まどか「………!?」

仁美に連れてこられたまどかは目を疑う、寂れた工場には多くの人が集まっていた。

その全員が虚ろな目をして怨念のように何かを小さく呟いている。

まどか(な、何なのここ…?どうしてこんなに人が…全員が魔女の口づけを……!?)

おもむろに一人の女性がバケツに二種類の洗剤を入れ始める。

犯してはならないタブーを見たまどかは慌てて止めに入ろうとしたが、薄ら笑いを浮かべる仁美に道を阻まれた。

仁美「どうしたんですか、鹿目さん」

まどか「な、何やって…あれ止めないと!!」

仁美「あれは神聖な儀式です、素晴らしいところへ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」

まどか「!」

まどか(ダメだ…話も聞いてくれない…無理やりにでも止めなくちゃ!)

そう決心したまどかは友人の手を振り払って危険物と化したバケツを奪い取り、それを外に向かって放り投げた。

まどか「よ…よかった……!」

ひとまずの危機は去った、そう安堵した瞬間…工場に集まっていた人間が一斉にまどかへ襲いかかる。

その眼には明らかな怒り、憎しみ、そして殺意が見て取れた。

まどか「ひっ…!」

慌てて工場内の一室に逃げ込み内側から鍵をかけるが、外から扉を打ち破ろうと叩く音が響いてくる。

まどか(怖い…なんで…こんなことになって……!)

恐怖心が少女の心を埋め尽くした時、彼女を取り巻く空間に異変が起こった。

それは過去に何度か見たことがある光景で…ここに何かがいることも容易に想像がついた。

まどか「……私への罰なのかな」

魔法少女としての能力があるにも関わらず、命懸けの戦いを恐れている自分への罰。

自分に魔法少女の力があれば友人の仁美はもちろん、先の人々も全員救えるのに…

魔女の結界に引きずり込まれたまどかの心は自責の念で縛られていた。

どこからか声が聞こえた気がする。

『みんなを救いたいかい?今からでもいい、力を付けてみんなを守りたいかい?』

声の主の姿は見えない、だが頭の中には確かに声が響いている。

『君だったらこの状況でも必ず何とかできる、友人はもちろん多くの人を救うことができる』

『まどか、君が勇気を出せば…君を含めた多くの人が救われるんだ』

そうだ…この状況を招いたのが自分が臆病だったせいなら…魔法少女になれば……

今からでも私にできることがあるなら…勇気を出して変わることができるなら……

『まどか…今こそ僕と契約して魔法少女になる時が来たんじゃないかな?』

まどか「私…魔法少女に……」


―――そう言いかけた瞬間

―――目の前を青い閃光が走り、結界に潜む魔女を斬り付けた。


まどか「え……?」

目を疑った、自分を助けに来てくれたのは先輩のマミではなく…同級生の暁美ほむらでもなく…

さやか「…………」

自分と同じく魔法少女になることを悩み続けていた親友だった。

まどか「さ、さやかちゃん!?」

さやか「…………」

青い髪の少女は何も言わずに微笑みで返事をする、自分なら大丈夫だと。


新しい魔法少女と魔女の戦いが決着するまでに長い時間はかからなかった。


---

さやか「あははは、いやー間一髪だったね」

まどか「さ、さやかちゃん…それって……」

さやか「ん…どう、似合ってる?……なんてね」

まどか「契約…しちゃったの……?」

さやか「うん…すっごく悩んで…それでも最後は自分で決めたの」

まどか「………」

さやか「なーにさ、そんな顔しないでよ!初めてにしちゃさっきだってうまく戦えてたでしょ?」

まどか「でも…でも私……!」

さやか「いいんだって、これは私が勝手に決めたことなんだからさ」

さやか「ていうかキュゥべえ!何で私が助けに向かってたのにまどかを契約させようとしたのさ!」

キュゥべえ「さやかが間に合うとは限らなかったし、あの状況では一刻を争ったからね」

キュゥべえ「念のためと思っての行動だったんだ、悪意があったわけじゃないよ」

さやか「それならいいけどさ……」

ほむら「…………」

さやか「今来たんだ…遅かったじゃない、転校生」

ほむら「美樹さやか…あなた……!」

銀時「…………」

さやか(……先生も来てたんだ)

銀時「……やっちまったのか、お前」

さやか「ごめん…でも、私なりにちゃんと考えた結果だから」

さやか「後悔なんてしない、するはずがないよ…絶対にね」

銀時「…………」


---
同時刻、病院

上条「……!」

上条(指が…動く……!!)


---
さやかが魔女を倒してから数時間後、某所

杏子「何よアレ、あんなのがいるなんて聞いてないんだけど」

キュゥべえ「ついさっき魔法少女になったばかりだからね、知らなくて当然さ」

杏子「はぁ…巴マミの調子が悪いって聞いたから来たってのに……うざいな、あいつ」

杏子「こんないい狩場をあんな新人に渡すのも癪だよね……」

キュゥべえ「どうするつもりだい?」

杏子「邪魔なやつがいるなら…そいつに消えてもらえばいいだけでしょ?」

キュゥべえ「そううまくいくかな?」

杏子「何だよ、私があんな弱そうなヤツに負けるとでも思ってんのか?」

キュゥべえ「確かに君は美樹さやかよりは経験も豊富だし、実力では上回ってるよ」

杏子「……美樹さやかよりは?」

キュゥべえ「美樹さやかの他にも、君の障害になりそうなイレギュラーが存在しているのさ」

杏子「イレギュラー……?」

キュゥべえ「暁美ほむらさ」

杏子「……知らねーな、それも魔法少女なんだよな?」

キュゥべえ「おそらくね」

杏子「おそらくって何だよ、ソイツもお前と契約したんだろ?」

キュゥべえ「そうとも言えるし…そうでないとも言えるね」

杏子「良くわからない答えかたしやがって……」

キュゥべえ「そしてもう一人…君にとっての障害がこの町にはいるよ」

杏子「?」

キュゥべえ「坂田銀時という人間だね」

杏子「誰だよそれ、男か?」

キュゥべえ「彼については僕もまるで分からない、唯一わかるのは…僕と契約していないということだけだね」

杏子「何で契約もしてないような奴が私の邪魔になるってんだ?」

キュゥべえ「そんな予感がするだけさ、詳しいことはその時が来なければわからないよ」

キュゥべえ「ただ…本当にこの町を君の思うようにしたいのなら…その二人の存在は邪魔になるだろうね」

杏子「はーん、つまり…邪魔者は全員消しちゃえばいいんだろ?」

キュゥべえ「君にとってはそれが最善の策かもしれないね」


---
某所

銀時「……ワリーな、アイツのこと止められなくてよ」

ほむら「あなたが謝ることじゃないわ、私が美樹さやかへ注意を向けておくのを怠ったからよ」

銀時「……聞かせな、テメーは一体何を目的に動いてやがる?」

ほむら「……あなたには、言っておくべきかもしれないわね」

ほむら「私のことも…目的も…そしてこの世界のことも……」

銀時「……?」


---

ほむら「……理解できたかしら?」

銀時「……つまり、お前は『まどかちゃん親衛隊隊長』ってことでファイナルアンサー?」

バキッ

ほむら「真面目に答えて」

銀時「いや、あの、うん…なんかとりあえず頑張ってることは分かったわ」ダラダラ

ほむら「…………」

ほむら「もうすぐこの町にはワルプルギスの夜がやってくる、具現化すれば何千人もの犠牲者が出るわ」

ほむら「私は何としてもそれを止めなきゃならない…そして、あの子のことも守らないと……!」

銀時「そのバケモンと正面からかち合って勝てんのか?」

ほむら「…………」

銀時「……ま、簡単に勝てりゃ苦労してねェだろうな」

ほむら「勝つわ…一人でも戦って次こそ……!」

銀時「一人じゃねーよ」

ほむら「え……?」

銀時「安心しな、テメーは一人でそのバケモンと戦うなんてことはねーよ」

銀時「女に背中預けて逃げるよか、一緒に戦ったほうがずっとマシってモンだしな」

ほむら「……」

ほむら「気持ちは受け取っておくわ…」


---

翌日、さやか宅

さやか「よし…じゃあ、行きますか」

キュゥべえ「怖いかい?」

さやか「そりゃちょっとはね…でも、そんなことも言ってられないよ」

さやか「私が戦わなきゃ犠牲になっちゃうかもしれない人がいるんだからね」

キュゥべえ「すごいねさやか、まるでテレビに出てくる正義の味方みたいだよ」


さやか宅、玄関前

まどか「さやかちゃん!」

さやか「まどか…アンタどうしてここに?」

まどか「付いて行っていいかな…邪魔になっちゃうかもしれないけれど……」

まどか「せめてさやかちゃんのそばにいられたらって…私…何もできないから……」

さやか「……ありがと、まどかが近くにいてくれるだけで心強いよ」


---
某所

さやか「ここだ…行くよ、まどか」

二人が魔女の作り出した結界に入ろうとした瞬間、二人の足元に何かが突き刺さった。

剣、いや…槍にカテゴライズされる武器だろうか?

それもただの槍ではない、多くの節があるその形式はまるでヌンチャクのようにも見えた。

さやか「なっ…!」

杏子「馬鹿じゃねーの?あれ、使い魔だから、グリーフシードは持ってないよ」

二人の行く手を阻んだのは魔女ではなく、さやかと同じ魔法少女だった。

さやか「アンタ…何をやってるのよ……」

杏子「それはこっちのセリフだ馬鹿、テメェこそ何のつもりだ?」

さやか「魔女の使い魔がいるんだから倒さないとダメじゃない!」

杏子「だーかーらー、まだ倒す必要はないって言ってんだろ」

さやか「倒さなきゃダメに決まってるでしょ!使い魔でも人間に害を及ぼすんだから!」

杏子「そう、何人か喰って魔女になってから倒したほうが効率がいいだろ?」

さやか「……!」

さやかは悟った、コイツは話してわかる相手じゃない…魔女に対する考えの根本が自分とは違っているのだと

見たところ自分と同じ魔法少女であるらしい、それがさらに気に食わなかった。

他人を守る気のないこんな奴と一緒の立場にいることが許せなかった。

さやか「どいて…今から追えばあの使い魔を仕留められる」

杏子「本気で頭悪いのかお前、あれを倒しても何のメリットもないって言ってんだろ」

さやか「どかないなら…無理やりにでも押し通るけど?」

杏子「通れるとでも思ってんのかよ、ていうか…先輩に対する口のきき方がなってないんじゃない?」

さやか「黙れ!!」

激高したさやかは剣を抜くと同時に杏子に斬りかかった。

が、以前に魔女の使い魔を倒した一閃も杏子には届かない。

さやかの一撃は片手で槍を持つ杏子にあっさりと受け止められていた。

杏子「……はあ、遊び半分で首突っ込まれるのってホントにむかつくんだ」

さやか「!」

経験したことのない衝撃がさやかに襲いかかり、抵抗を許さずに体を吹き飛ばす。

敵の魔法少女の力量がうかがえる一撃だった。

杏子「ひよっこのくせに粋がるからそうなるんだよ」

さやか「ハァ…ハァ……」

息切れしつつも立ち上がるさやかを見た杏子は不快感をあらわにして

杏子「……おかしいなぁ、全治三か月くらいの怪我のはずなのに何で立てるんだろうなぁ?」

まどか「さ、さやかちゃん!」

キュゥべえ「彼女は癒しの祈りで僕と契約しているからね、怪我には耐性があるんだ」

さやか「私…アンタにだけは絶対に負けない!!」

杏子「うぜぇ…超うぜぇ!!」

この瞬間、二人の小競り合いはまぎれもない『殺し合い』に変貌した。

杏子「ほらほらぁ!これくらいの攻撃でフラフラしてんじゃねーよ!」

さやか「くっ!」

形成は明らかだった、誰が見てもさやかが追い込まれている。

力と速さに任せて剣を振るだけのさやかと異なり、杏子は自分の武器を自在に操っている。

実戦経験、戦闘能力、そのどちらをとってもさやかは杏子にとても及ばないだろう。

むしろ、ここまで粘っている彼女を褒め称えるべきなのかもしれない。

だが、それも長くは続かなかった。

さやか「しまっ……!」

変形する杏子の武器に足を取られ体勢を崩される。

杏子はさやかが足に注意を向けた一瞬を狙い、さやかの武器を弾き飛ばした。

さやか「くっ……」

杏子「終わりだよ」

丸腰となったさやかに対しても杏子は容赦することなく攻撃を仕掛けようとしている。

いくら治癒力が高いとはいえ、あの一撃を食らえばただではすまないのは明らかだった。

まどか「キュゥべえ!あの二人を止めてよ!!こんなのってないよ!!」

キュゥべえ「無理だよ、あの二人は自分の信念がまるで違うんだ」

キュゥべえ「生き物っていうのは自分の領域を侵すものを許したりはしないよ」

まどか「そんな……!」

キュゥべえ「でも…あの二人を止める方法がないわけじゃない」

まどか「!」

キュゥべえ「魔法少女の戦いに介入できるのは魔法少女だけだ…つまり」

キュゥべえ「君が魔法少女になればあの二人を止めることだって不可能じゃない」

まどか「私が…魔法少女になれば……?」


ほむら「それには及ばないわ」


佐倉杏子は困惑した、一体…何が起こったというのだろうか?

自分は確かに美樹さやかを串刺しにすべく槍を構え、そして攻撃を仕掛けたはずだ。

躱すことのできない一撃だったはずだ、なのに…何故自分の攻撃は空を切った?

杏子「……!?」

混乱していたのは美樹さやかも同じだった、武器をはじかれ体勢を崩された絶望的状態。

自分に出来たのはせめて急所は守ろうと身をかがめることだけ。

なのに…何故自分に傷一つ付いていないのだろうか?

さやか「何が……!」

ただ、二人が共通して分かったこと…それは

ほむら「……」

この暁美ほむらが何かを仕掛けたという事実だけだった。

杏子「テメー…いったい何を……!」

この女の得体は知れないが、何かの力を持っていることは間違いないだろう。

杏子はそう思いつつ槍を構え、最速で攻撃の態勢を作り上げる。

だが…その矛先にほむらの姿はない。

それどころか、気が付けば自分の背後をとられていた。

杏子「なっ!?」

消えた、そうとしか表現できない現象が起こっている。

催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなものでは断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を杏子は味わっっていた。

戦いを中断されて怒りをあらわにしているのは杏子だけではなかった。

さやか「邪魔しないで!」

ほむらへの敵意をむき出しにそう叫ぶ、何だったらこの転校生も一緒に打ち倒してやろうか…

……そんな考えが頭をよぎった時、一人の人物がさやかの手を優しく握りしめた。

マミ「美樹さん、もう止めなさい」

さやか「え……!」

それは最初に自分が魔法少女としての生き方に憧れを抱いた先輩であった。

さやか「マ、マミさん…?」

マミ「落ち着いて、私たちのすべきことはこんなことじゃないでしょう?」

さやか「でも…アイツは!」

杏子「はっ、今さら何しに来たんだよマミ…そのひよっこのお守りか?」

マミ「あなたたちを止めに来た、ただそれだけよ」

杏子「聞いた話じゃ…アンタ、最近は全然魔女と戦っていないらしいじゃないか」

杏子「魔女に殺されかけて戦うことが怖くなったんじゃないのかよ?」

マミ「………」

さやか「アンタいい加減に……」

マミ「間違ってはいないわ、その子の言う通りよ」

さやか「!」

マミ「後輩にカッコ悪いところなんか見せたくないけれど…これは事実なの」

マミ「最後にあなたたちと戦った時から…私、魔女と戦うたびに足が震えちゃってるの」

マミ「今…私がこうして生きていられるのはたまたま運が良かったから、味方がいたからでしょう?」

マミ「一人であの魔女と戦っていたら…間違いなくあそこで殺されていたでしょうね」

マミ「それからは…一人で魔女を倒そうとするたびに……足が震えちゃってるの……!」

さやか「そんな……!」

杏子「正直さ、魔女に怯えてる今のアンタに横から口を出されたくないんだよね」

マミ「……その言い方には少し語弊があるわね」

杏子「何……?」

マミ「私、魔女が怖くなかったことなんて一度もない……でもね」

杏子「?」

マミ「私が戦うことで誰かが救われるなら…そんなに素晴らしいことってないでしょう?」

マミ「だったら私は戦うわ、足が震えようと…涙を流そうと…最後までね」

杏子「…………」

ほむら「それで…あなたはどうするの、佐倉杏子」

杏子「テメー…何で私の名前を……どこかで会ったか?」

ほむら「さあ…どうかしらね」

杏子「…………」

杏子「……やめた、手札がまるで見えないんじゃね…マミの奴もいるしな」

杏子「でも分かったよ…アンタは確かにイレギュラーな存在らしいね」

杏子「今日は降りさせてもらうよ」

ほむら「…………」

さやか「あの…マミさん……」

マミ「失望したかしら…美樹さん」

さやか「そんな…そんなことないです……!」

マミ「……あなたが魔法少女になったことについては私からは何も言わない」

マミ「あなたが自分で考えて…自分で決めたことなんだからね」

マミ「……でも、一つだけ覚えておいて」

さやか「?」

マミ「あなたの選んだ道は決して平らじゃない…いばらの道だということをね」

マミ「その道を歩む途中で…決して折れたりしちゃダメよ」

さやか「……はい」

さやか「まあ確かに、マミさんの胸は平坦じゃないですよね」

ほむら「……山あり谷間ありね」


---
某所

杏子「何なんだよアイツ…まるで能力がわからないじゃねぇかよ……!」

暁美ほむら、仮にアイツと戦うことになったら自分は勝てるのだろうか?

しかも…どういうわけか、既にこっちの情報もある程度は調べてあるらしい。

杏子「くそっ……」

イラつく…何故こんなにも気分が悪いのだろうか、ひよっことの戦いに水を差されたからか?

……違う

マミ『私が戦うことで誰かが救われるなら…そんなに素晴らしいことってないでしょう?』

マミが口にしたその言葉は常に自分のためだけに戦ってきた杏子の心を大きく揺るがしていた。

杏子(甘いんだよ…どいつもこいつも……!!)

憂さ晴らしにすらならないとは分かっていつつも、あまりのイラつきに地面の石を思い切り蹴り飛ばす。

その石は……

杏子「あ」

銀時「ん?」

景気のいい音を立てて、前を歩いていた白髪の天然パーマの頭に直撃した。

銀時「いってーなオイ、何しやがるコノヤロー!」

杏子「ち、違う!絶対にわざとじゃないからな!」

銀時「言い訳する前にごめんなさいの一言はねーのかテメー!わざととかんなことどうでもいいんだよ!」

銀時「まあ仮にわざと当てたってんなら許さないけどね、後ろから当てていいのは女の子の胸だけだからね」

銀時「当ててんのよ、とかって言われたらもうその瞬間に気分はもうフライアウェイだからね」

杏子「……??」

何を言っているのかはよくわからなかったが、とりあえず断片的に聞き取れたことを実践する。

面倒事を起こすのは嫌だったし、石をぶつけた非はこちらにあるのだ。

杏子「さ、さっきの石ならわざと当てたんだっての!」

銀時「よしお前こっち来い、警察だ」

杏子「何で!?当ててるって言えば上機嫌になるんじゃないのかよ!?」

銀時「誰がわざと石ぶつけられて上機嫌になるっつったよ」

杏子「アンタ…名前は?」

銀時「坂田…銀時、金じゃなくて銀だからな」

杏子「坂田銀時……?」

杏子(ま、まさか…コイツがキュゥべえの言っていたもう一人のイレギュラー!?)

銀時「で、テメーはどこの悪ガキだ?」

杏子「…………」

この男は暁美ほむらと異なり、こちらの情報は持っていないのだろうか?

仮にこの男が自分の障害となるのならば、むやみにこちらの情報を教えるのは得策ではない。

だが……

杏子「……佐倉杏子」

この男が自分の敵だとはどうしても思えなかった。

杏子「ねえ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

銀時「あん?」

杏子「美樹さやかって…知ってる?」

銀時「……知らなくはねーけどよ、それが何だってんだ?」

杏子(知ってるってことは…魔法少女に関係のある奴だってことは間違いないな)

杏子「私もソイツと同じ…魔法少女なんだよな」

銀時「!」

杏子「ほら、コイツが私のソウルジェム」

少女の見せた赤い宝石、それは以前に巴マミが見せたものに酷似していた。

銀時はあからさまに嫌そうな顔をしてため息をつき

銀時「……まーためんどくせーことになりやがったな」

杏子「私は回りくどいことが嫌いなんだ、だから一番最初に直球で聞くけどさ」

杏子「アンタ…魔法少女についてどこまで知ってるんだい?」

銀時「詳しくは知らねーよ、魔女と戦ってるとかそんぐれーだな」

杏子「キュゥべえのことは?」

銀時「ああ、ウサギみてェな無限残機だろ?」

杏子(無限残機ってのはよくわからねぇけど…とりあえずキュゥべえは見えてるんだな)

杏子「……そうだ、ちょっと聞きたいことがあってさ」

銀時「?」

この男が仮に暁美ほむらたちとつながっているのならば聞きたいことは山ほどあった。

アイツの能力について何か聞き出せればそれだけで十分な収穫になる。

それが最も聞くべきことであるはずなのはわかっている、だが彼女の口から出た問いは

杏子「美樹さやかってやつが何を願って魔法少女になったか…知ってるかい?」


---
数日後、病院

看護婦「あら、上条君のお見舞い?」

さやか「は、はい」

看護婦「ごめんなさい、実は上条君…少し早めに退院してるの」

さやか「え……?」

看護婦「症状の回復が異常に早かったから特例でね…連絡できなくてごめんなさい」

さやか「いえ…ありがとうございました」

さやか(退院…良かった、ちゃんと恭介の腕…治ったんだ…!)


---
恭介宅前

さやか「………」

幼馴染の家の玄関先でさやかは立ち尽くしていた、家の中からはバイオリンと思しき楽器の音色が聞こえてくる。

演奏しているのは誰か、それは考えるまでもないだろう。

本心では恭介と話がしたかった、だが…今、彼は諦めていたバイオリンとの対話をしているのだ。

それを中断させてまで家に上がりこむのは幼馴染でもさすがに気が引ける。

いや、気心の知れた幼馴染だからこそ遠慮したのかもしれない。

さやか「……フフッ」

ほんの少し微笑みを浮かべて上条の家を後にしようとするさやかの前に

杏子「会いもしないで帰るのかい?今日一日追い掛け回してたくせに」

さやか「!」

彼女にとっては最も会いたくない相手が現れてしまった。

さやか「お前は…」

杏子「知ってるよ、この家の坊やなんだろ?アンタが契約した理由って」

杏子は心の底から呆れたような表情を浮かべていた、溜め息まじりに言葉を続ける。

杏子「まったく…たった一度の奇跡のチャンスををくっだらねぇことに使い潰しやがって」

あからさまな挑発、だがその挑発に耐えられるほどさやかは大人ではなかった。

何より挑発だろうと今の杏子の言葉はさやかにとっては許しがたいものだった。

さやか「お前なんかに何が!」

杏子「…………」

言い返すさやかの姿を見て一瞬、数日前の記憶が蘇る。あの天然パーマからさやかの願いを聞いた時の記憶を。


---
数日前

杏子「美樹さやかは…そんなことのために願いを使っちまったってのか……!」

他人のために魔法を使う、それがどれだけ誤った行為であるか杏子はすでに知っていた。

自分がそれで取り返しのつかない失敗を犯している経験があるだけに、さやかがこの上なく愚かに思えてしまう。

銀時「俺ァ一応止めたんだけどな…アイツがてめーで決めたことだ、これ以上とやかく言うことは出来ねーよ」

杏子「どんだけアイツは頭が悪くて…馬鹿なんだ!」

銀時「…………」

銀時「アイツの選択を正しいと思え…とは言わねェ、ただ…分かってくれや」

杏子「……?」

銀時「自分の身を犠牲にしてまで他人を助けるのが素晴らしいとは言わねーが…」

銀時「今のアイツにとっちゃ、そんだけ譲れねェモンがあったってことだ」

杏子「…………」

銀時「ま、その辺はテメーに任せるとするぜ」

杏子「な、何で私がアイツのことを!」

銀時「テメーならアイツの力になってやれんだろ、ダチ公」

杏子「ダチ…公?」


---

友達、自分と同じ始まりをしたアイツのなら…もしかしたら……

確かにそう思っていた…だが、やはり今のコイツを見ているとどうしてもイラつくのだ、まるで過去の自分を見ているようで……

知らず知らずのうちに感情的になり、口調も厳しいものになっていく。

杏子「分かってねぇのはそっちだ馬鹿、魔法ってのは徹頭徹尾、自分だけの願いをかなえるためのモンなんだよ」

杏子「他人のために使ったからってろくなことにはならないのさ」

つい挑発的な言葉になってしまう、本当はこんな口調で語りかけるつもりではなかったのに。

だがやはり先日に激しく刀を交えていることもあり、思うように言葉を紡ぐことができなかった。

何より、今までずっと一人で生きてきた自分が急に素直になるなんて……できっこなかった。
だが、さやかはそんな杏子の心まで読み取ることは出来ない。杏子の発した言葉をそのまま挑発として受け取ってしまう。

さやか「アンタだけは……絶対に……!」

杏子「………」

その反応に杏子もさらに気分が悪くなる。

何だよその目は…自分がどれだけ間違ってずれたことをしてるのか本当に気づいてないのかよ。だったら…

杏子「場所変えようか…ここじゃ人目につきそうだ」

言って分からないなら…ぶん殴ってでもわからせてやるしかない。


---
鉄橋の上

杏子「ここなら遠慮なくやれるよね、いっちょ派手にいこうじゃない?」

杏子のソウルジェムが赤く輝くと、以前に見た多節槍を使う魔法少女の姿になった。

さやか「!」

対抗してさやかも魔法少女に変身しようとソウルジェムを取り出す、その時

まどか「さやかちゃん!」

自分の名を呼ぶ友人の声が聞こえてきた。

さやか「まどか…どうして……?」

まどか「キュゥべえにさやかちゃんが危ないって言われて……」

さやか「……邪魔しないで、これはまどかには関係ない!」

あれはさやかの友人だろうか、考えてみれば前にも一緒にいた気がする。

魔法少女ではないようだが…それでも、さやかとはある程度の信頼関係はあるのだろう。

杏子「はっ……ウザいやつにはウザい仲間がいるモンだねぇ」

もう剣を抜いてしまったからには退くわけにはいかない…そう自分に言い聞かせ、攻撃を仕掛けようとしたとき

ほむら「じゃああなたの仲間はどうなのかしら?」

杏子「!」

銀時「なんでテメーらこんなところで乳繰り合ってんだ」

背後から聞き覚えのある声が二つ聞こえてきた。

銀時「ほむらのヤツに呼ばれたから来てみりゃ…何やってんだお前ら」

銀時「つーか女二人が鉄橋の上で決闘ってどんな構図?何これバトル漫画だったっけ?」

杏子「何しにきやがったお前ら、コイツは私たちの問題だ」

さやか「そうよ…横から余計なことしないで!」

まどか「………!」

『正しすぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい』

以前聞いた母の言葉がまどかの頭に響いてくる、もう親友を止めるには自分が間違えるしかない。

嫌われようと罵声を浴びせられようと、親友には怪我をしてほしくない。まどかは意を決すると

まどか「さやかちゃん…ごめん!」

さやかの手からソウルジェムを掴みとると鉄橋から道路へ投げ捨てた。

ほむら「!」

それを見たほむらが一瞬驚愕の表情を浮かべた、直後に忽然として姿を消す。

何らかの能力で姿を消したのだろうか、だが今のさやかにとってはそんなことはどうでもいいことだった。

さやか「まどか…アンタなんてことを!」

戦う術を奪い取ったまどかに食って掛かる、さらに何かを言いかけた瞬間のこと

さやか「…………」

ひもの切れた操り人形の如くさやかの体から力が抜け、まどかの胸へと倒れこんだ。

まどか「さ、さやかちゃん…?」

何が起こったのかわからず名前を呼びかけるも反応は全くない、混乱するまどかにキュゥべえは

キュゥべえ「今のはまずかったよ、まどか…友達を放り投げるなんてどうかしてるよ!」

まどか「そ…それって一体……」

事態を見ていた杏子はさやかの首を掴みあげる、それと同時にそこから伝わる感覚に愕然とした。

杏子「どういうことだオイ…コイツ死んでるじゃねぇか!」

銀時「!」

まどか「え……!?」

言葉では言い表せない絶望が辺りの空気を覆い尽くした。

まどか「さやかちゃん…どうしたの…ねえってば……」

杏子「何がどうなってやがんだ……オイ!」

説明しろと言わんばかりにキュゥべえを怒りの目で睨みつけた。

だが、当の本人は何に腹を立てているのかわからないといった様子で事態の説明を始める。

キュゥべえ「君たち魔法少女が肉体をコントロールできるのはせいぜい百メートルが限度だからね」

杏子「百メートル…どういう意味だ!」

キュゥべえ「こういう事態はめったに起こることじゃないんだけど……」

まどか「何言ってるのキュゥべえ…さやかちゃんを死なせないで!」

キュゥべえは倒れたさやかにしがみ付いて懇願するまどかを一瞥すると、呆れてため息を交えながら言い放った。

キュゥべえ「まどか…そっちはさやかじゃなくて、ただの抜け殻なんだってば…さやかは君が投げて捨てちゃったじゃないか」

銀時「どういうことだテメー…」

キュゥべえ「ただの弱い肉体で魔女と戦えなんてとてもお願いできないよ」

キュゥべえ「今の君たちにとって肉体は外付けのハードディスクでしかない」

キュゥべえ「だから君たちの本体としての魂には魔力を効率的に運用できるコンパクトで安全な姿が与えられているんだ」

そういうと一呼吸を置き、すべての確信となる部分を口にする。いつもと変わらぬ、無表情のままで。

キュゥべえ「魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目は……」

キュゥべえ「君たちの魂を抜き取ってソウルジェムに変えることなんだ」

杏子「ふざけんじゃねぇよ!それじゃ私たち、ゾンビにされたようなモンじゃないか!」

怒りを爆発させてキュゥべえを掴みあげる、キュゥべえはそれでも全く動じることなく言葉を続けていた。

キュゥべえ「君たちにとっても便利じゃないか、ソウルジェムさえ壊れなければ君たちは無敵なんだよ?」

キュゥべえ「たとえ心臓が破れても、どれだけ骨を砕かれようとね」

機械のような声だった。いや、機械というのは少々誤りであるかもしれない。

だが…機械を思わせるほど、感情のかけらも感じ取れない無機質な声であったのは間違いないだろう。

まどか「そんなのひどいよ…こんなのってないよ!」

指一本動かないさやかにすがりついてむせび泣く、絶望の涙がさやかの制服を濡らしていった。

キュゥべえ「君たち人間はいつもそうだ、事実を伝えるといつもきまって同じ反応をする」

キュゥべえ「わけがわからないよ」

その時、絶望で覆い尽くされた空気を打ち破る声を出すものが一人。

銀時(裏声)「四番、バッター…坂田銀時」

キュゥべえ「え?」

銀時「言いてェことは腐るほどあるけどな…とりあえず、今は……」

銀時は大きく息を吸い込んで振りかぶった木刀を力いっぱい握りしめ

銀時「そんなクソ大事なこと説明してなかった責任とってソウル何とかはテメーで取ってこいやァァァァァァ!」

キュゥべえ「きゅっぷい!?」

そのままフルスイングした。


―――キュゥべえ(三号)、輝く夜空の星になる。


ほむら「ハァ……ハァ……」

キュゥべえが殴り飛ばされたのと同時、消失していた暁美ほむらが再び姿を現した。

肩で息をしてはいるものの、その手にはさやかのソウルジェムが握られているのが見て取れる。

銀時「お前…そいつは……!」

ほむら「…………」

ほむらは何も言わずにソウルジェムをさやかの手に握らせた。

さやか「……っ!」

さやか「………あれ?」

意識を取り戻したさやかは周りの状況が理解できなかった。



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コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: 銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その1

    なんかのこきゅうべえかわいそうに感じる。ぎんときいると安定するなぁ

  2. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: 銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その1

    ギャグを挟むと展開が安定する不思議!

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