なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」  アフター4

2011年09月01日 20:16

なのは「とある科学の」 当麻「魔法少女」

582 :番外編orz ◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/16(月) 18:33:49.11 ID:DUHFG03a0


『1日目』


「リイン曹長!!」
「はぃ?」
なんでしょうか。
「上条様から差し入れとのことです」
え?
当麻くん?
「今どこに?」
「これを渡したらさっさと居なくなってしまいました」
そう言って渡されたのは、小さい私専用のカップに入ったお茶。


「では」
「どうもです」
のどが渇いてた私はそれを一気に飲み、仕事に戻る。
……この文章は訂正はありませんね。
……これは。
「18番のプリント訂正あるので、来てくださーい」
「はい!!」
私がやっているのは、文章作成の確認で、
訂正があれば呼んで指摘する。
地味だけれど意外と面倒な仕事。


「あの、どこが……」
「えっと……あれ?」
「リイン曹長?」
「ちょ、ちょっひょまってくらはい……」
ら、らめら……頭がぐわんぐわんしゅる……。
し、仕事を終えたら、や、やしゅまないと……。
「リイン曹長? 大丈夫ですか?」
「へ、平気でしゅ……3行目ぇっ、あっ……3行目から5行目まで……ていせっいです」
「は、はぁ。了解しました。本当に大丈夫ですか?」
……んっ?!
「はぁっ……はぁっ……」
「リイン曹長?」
「ぐ、具合が悪いので、へ、部屋に戻ります……」

___________


______


__


部屋に戻ったけど……はやてちゃん居なくて良かった。
「んっ……はぁっはぁっ」
なんか変な感じ……。
体が熱いというか……。
それに……。
服を脱ぐと、下半身がびしょびしょに濡れ、下着はおろか、スカートまで洗ったように濡れていた。
「な、なんでこんにゃ……トイレには、行ってたはっぁんずなのに……」
しかも……。
「ひゃぅっ……下着がすれるだけで、変な刺激が……」
「なんや? リインおったん?」
「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ?!」
「な、なんなん?!」


「は、はやてちゃん。いつの間に?」
聞かれた?!
「ついさっき」
良かった……。
……?
「ちょっと、シャワー浴びてくるです」
「なら私も……」
「だ、駄目です!!」
「そ、そっか……」


私は急いでお風呂場へと逃げ込む。
……ごめんなさいはやてちゃん。
でも、今の私……なんか変なんです。
なんて言えば良いか。
少し……ふわふわな気分というか……。
なんで?
なんで……こんな。
シャワーが体に当たるだけで、変な刺激が全身を襲い、私は途中で気を失ってしまった。


『2日目』


「……あれ?」
私が目を覚ますと、医務室だった。
聞くと、私は入浴中に倒れてしまったらしい。
あの感覚。
あれはまるで……。
「リイン。もう平気なん?」
「はやてちゃん?」
「無理はあかんよ。入浴中に倒れるなんて」
……えっと。
「ごめんなさい」
「ええよ。リインが無事何やし」


はやてちゃんはそう言って微笑み、仕事へと向かった。
私も仕事……。
私は昨日中断してしまった仕事へと戻る。
「……」
昨日の変な感覚はまだ抜けていない。
まだ、下腹部がじんじんするし、熱っぽい。
でも、仕事を終らせなければいけない。
「あっ、リイン曹長。お体の方は?」
「平気です。仕事に戻りますね」
「はい。お願いします」
……。


33番までは訂正なし……。
あと22枚。
「リイン曹長。お茶です」
「ありがとうですぅ」
お茶を少し飲み、机に置く。
昨日で終えてるはずの仕事だから休んでられないからなぁ。
んっ……。
はぁっ……。
ま、また?!
熱い……。
仕事中なのに……。
体が熱くて我慢できずにお茶を飲み干す。


けど……飲んでも冷えるどころか、症状は悪化するだけ。
「……あぅ」
汗なのか、昨日みたいな良く解らないものなのか。
私の全身はびしょびしょに塗れ、まるでお風呂上りの状態になっていた。
残りの確認作業を早急に終えて、部屋を出る。
呼吸が荒く、焦点も中々定まらない。
視界がぼやけ、壁にぶつかる。
「はぁっはぁっ……せめて、部屋に戻らないと……」
「あれ? リイン。大丈夫?!」
「だ、だれ……でひゅか?」
声だけで識別できず、焦点が定まらない私は顔も見えない。
「フェイトだよ。リイン。大丈夫? いま――」
あっ……やぁっ―――
フェイトさんの手が私を包んだ瞬間、
私は声にならない叫びを上げて、気を失った。

____________


_________


___


「んっ……?」
「あっ、起きた? 大丈夫?」
えっと……。
あっ……。
「ご、ごめんなさい!!」
「え?」
私が謝ったことに、フェイトさんが驚く。
「私、その……体がなんかおかしくて……漏らしてしまったというか……その」
「ねぇ、リイン。あれは尋常じゃないよ。なにがあったの?」
「わからないんです。お茶を飲んだら、急に……あぁ!!」
そうだ。そうじゃないですか。
昨日もお茶を飲んだら変な気分になって……。


「リインのお茶に変な薬でも入ってたのかな?」
「はいです。可能性というか。それ以外ないです」
フェイトさんは、少し悩んだ末に私を見つめた。
「リインは体がおかしい時、どんな感覚だった?」
「え?」
「体が、疼くだとか、無性に……下半身が気になるだとか」
フェイトさんが気恥ずかしそうに言う。確かに、そんな感覚だった。
私が頷くと、フェイトさんは神妙な面持ちで、口を開いた。
「お茶に入れられてたのは、媚薬だね」
「媚薬?」
え?
媚薬?
え?
聞いたことはあるけど……。
「それって、あの、そのぉ……アレなことに使う……?」


私の言葉にフェイトさんが頷く。
その時に、当麻くんが来た。
「ん。リイン起きたのか」
「あっえ? なんで?」
「いやぁ、フェイトから聞いて驚いたよ。突然、「リインが気絶しちゃった……どうしよう?!」って電話が来てさ」
あぁ、そっか。
私、気絶したんですね。
「ごめんなさい、心配かけてしまって」
「いや、良いよ」
「あっ、当麻。私、仕事戻らないといけないから。お願いできる? はやても少ししたら戻れるらしいから」
「了解」
フェイトさんはそのまま退出して行った。


「リイン」
「はぃ?」
「悪かった」
「へ?」
「リインのお茶。あれは、媚薬茶なんだ」
媚薬茶?
媚薬?
え?
「な、なんでですかぁ?!」
「麦野。お前麦野に魔法かけて帰ったろ」
あっ。
そういえば……。


「めちゃくちゃぶち切れててさ。で、処罰が媚薬を飲ませて放置。ってことでさ」
「わ、私……その……」
「まさか、ここまで強力なやつだとは思わなかった。ごめん」
「い、いえ。私が元々、魔法をかけたままにしたのがいけないので、自業自得です」
……物凄く恥かしかったけど。
「本当は、1週間やらないといけないんだけど、止めとく」
え゙? 1週間?
「あははは、そんなにやられたら私壊れちゃいます」
さすがに、あのむず痒い感覚。
フェイトさんに教えられてなんなのか気づいちゃいましたし……。


「あの。当麻くん」
「ん?」
「私、当麻くんが好きです」
「へっ?!」
「って、媚薬の力で言わせるのが本音だったんですよねぇ?」
「ちげぇよ。そんなことしない。俺にはフェイトがいるから」
「……そう。ですよね」
「ああ」
「もう、戻って良いですよ? はやてちゃんがもうすぐだと思いますし」
思わず、頭が下に下がっていき、俯いてしまう。


「平気なら戻るけど……」
「……平気です」
俯いたまま、答える。
笑え、笑え、笑え。
こんなんじゃ平気じゃないって言ってるようなものなのです。
「――だから、家にもどっていいですよ?」
私は満面の笑みで答える。
しっかりと、当麻くんの顔を見て。
「そっか。飲み物は普通に飲んで良いからな。もう混ぜたりしないから」
「はいです。では、お幸せに」
「ありがと。じゃぁな」
私はその扉が閉まるまで、笑っていた。
閉まっても、暫くは笑顔のままだった。


「――リイン。帰ったよー。体調は……?」
はやてちゃんの手が、私の頬を撫でた。
暖かい……。
「はやてちゃん。私、私……」
「何も言わんでええよ。全てわかっとる。だから、泣いてええ。笑顔で見送れたんなら凄いことや。
今は私とリインしかおらんから、泣いても大丈夫やよ?」
私は、はやてちゃんに優しく包まれたまま、おお泣きした。
子供のように、泣きじゃくった。


――好きだった。今も、好き。


ただ、私のその想いは伝えられることなく、胸の奥へと隠されていった。




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別ver……。
ボツにしたやつですからね。
『2日目』


私が目を覚ますと、医務室だった。
聞くと、私は入浴中に倒れてしまったらしい。
あの感覚。
あれはまるで……。
「リイン。もう平気なん?」
「はやてちゃん?」
「無理はあかんよ。入浴中に倒れるなんて」
……えっと。
「ごめんなさい」
「ええよ。リインが無事何やし」


はやてちゃんはそう言って微笑み、仕事へと向かった。
私も仕事……。
「リイン。大丈夫か?」
そう言って医務室に来たのは当麻くんだった。
当麻くん……?!
そういえば。
「流石に強かった?」
「昨日のお茶。あれ、何か入れたんですか?」
「媚薬」
「びy……」
当麻くんの笑顔が怖い……。


「麦野の伝言」
「え?」
「てめぇ、このクソガキ。よくも変な魔法かけてくれやがったな? 媚薬で変態になれ。とのことだ」
「えっと、その……」
やっぱり、昨日の変な感覚は、エッチな……。
「で、今日も飲んでもらうよ?」
「え? い、嫌です」
「なんで?」
「だって、物凄くエッチな気分になっちゃうし、下着もスカートもびしょびしょに……」
「リインは麦野に何したんだっけ?」
……。
でも。


「べつに、それ使ってセクロスしろとかじゃない。
今日耐えれば、それで良いんだ」
え?
今日?
「今日、今からリインに飲んでもらう媚薬は1週間分」
「ふぇぇぇぇぇ?!」
「昨日のは因みに、1日分」
そ、そんな。
あれで?!
あれで、1日?


「昨日ので失神するくらい辛かったのに」
「だけど、麦野の処罰だし。じゃぁ、飲んで」
……。
「どうしてもですか?」
「ああ。どうしても」
ううっ……。
「おかしくなったら責任とって下さい」
「解った」
渡されたお茶を一気に飲み干す。
お茶というより、少し甘いような、なんともいえない味が口に広がる。


「大丈夫か?」
当麻きゅんのこえがぁ……。
「だいひょうふひゃひゃいれふ」
「……呂律が回ってないぞ?」
クラクラひゅりゅ……。
ぼぉっとしゅる。
ま、また、濡れ……。
立ち上がった状態の私の股下から水滴が滴る。
「ど、どうひゅればいいひょ?」
「そのまま仕事」
「む、むりれひゅぅ……」
このままひゃ……ただの変態になっちゃう。


「ひゃぁぁぁん?!」
「?!」
少し動いただけで、擦れ合う服で私はお漏らしのように、液体を噴出す。
「はっ……はっ……はっ……」
自然と手が、股下へ伸びる。
本能的行動。
抑えられなかった。
「リイン。仕事行かないのか?」
当麻くんは意地悪にそう言う。


「こんなんひゃひぇきるはふないひゃないれふきゃ」
「もう、意味が通じねぇよ」
「と、当麻きゅんにょせいれふっんっよぉ?」
手は伸ばしたまま、触ってはいない。
触らなくても、何もしなくても、
体が勝手に快感を得る。
いつの間にか足元には水溜りが出来ていた。


「て、てちゅだてぇ……」
「ん?」
「おねぎゃい……わ、わたひのここ……」
自分ですら触ったことは無い。
この行為自体、知識としてあるだけでしたことは無い。
「良いのか?」
「み、見てるく、くしぇにぃっ……どうしゅれびゃいいきゃわかりゃないから」
この会話中も、なんども鋭い感覚に襲われ、意識が飛びそうになる。
「じゃぁ……」
当麻くんの指が、私のからだに触れた瞬間、意識が跳ね飛ぶ。
そして倒れこみ、その衝撃でまた意識を取り戻す。
「ひゃぁぁぁぁぁあぁんっ?!」
「ん~と。ここをなぞれば……」
「ひゃぁん。あっ、あひゅん?!」
私の下腹部を、当麻くんの指がなぞって行き、
足の付け根に、指が触れる。
「ふゃぁぁぁあぁっっ?!」

___________


______


__


「……」
頭が痛い……。
気づけば外が暗くなっていて、私は自分の部屋に居た。
「おっ。気がついたか?」
「と、うまくん?」
えっと……。
あれ?
「なんでここに?」
「リインが気を失ったし、あのままじゃ不味いかと思ってさ」
その言葉で、昼間の行為を思い出す。


「あぅ……今朝のは誰にも言わないで下さい」
「なんで? 可愛かったぞ? 喘ぎ声とか」
「そういうこと言わないで下さいっ!!」
は、恥かしい……。
それに……。
それに―――。
「当麻くんには、フェイトさんがいるんですから」
「なんで今フェイトが出てくるんだ?」
……。
「当麻くんは、フェイトさんが好きですよね?」
「ん? ああ」
「じゃぁ、禁句です」
「だから――」
「良いから!! 禁句です。良いですね? 解ったらもう戻ってください」
「……解った。じゃぁ、無理するなよ?」
当麻くんはそう言い部屋を出て行く。


媚薬のせい、媚薬のせい……。
………。
違うってことは解ってる。
ずっと前から好きだった。
おもえば、あの休暇。
ヴィヴィオちゃんを発見したあの日以前より好きだった。
ねぇ?
どうやったら止められるんです?
私の、この想いは。
感情は、涙は……。
どうやったら?


……当麻くん。


――好きです。


『俺って』


「よっ、エリオ」
「当麻さん久しぶりです!!」
「キャロもルーテシアも元気そうだな」
「え? 当麻さん? 来たんですか?」
「当麻。久しぶりです」
どうも。
俺こと上条当麻は元機動六課の施設にきていた。
そして、なぜかエリオたちが、俺の視界に入ったため、話しかけたのだった。


「どうしてここに?」
「んー。なんとなく、みんなに会いたいなって」
フェイトと会えないのが寂しいなんていえない。
「全然こないから嫌いなのかと思った。当麻はミッドの救世主。この世界の誰もが崇める存在なのに」
ルーテシアが微笑む。
まぁ、その通り。
俺はJS事件において、ゆりかごを軌道上まで運び、
地球を包み込んでいたアルハザードの技術で作られたフィールドバリアごとゆりかごを破壊した。
さらに、死ぬかもしれないというか普通死んだはずのその状況から帰ってきたことで、
英雄、救世主。などと、呼ばれていた。
ただ、俺としてはそんなものは暑苦しい限りで、
普通に接して欲しいのが本音である。
フェイトと再会、学園都市に戻ってからはくるのが初めてだ。


「あら、当麻くん。いつきたの?」
「シャマルさん。ついさっきですよ」
「フリードも会いたがってましたよ?」
「当人はどこにいるんだ?」
「あー。フリードは管理局管轄世界の自然保護の監視してます」
エリオが思い出したように言う。
フリードは、キャロのパートナーの白い竜。
で、エリオとキャロとルーテシアは自然保護隊に入隊しており、
どこだっけ。
第1……14? 管轄世界の自然保護を担当している。


「今度会いに行くよ。そういえば、エリオ」
「はぃ?」
「……告白したか?」
「んなっ?!」
耳元でそう囁くと、真っ赤になって固まった。
うん。まだってことか。
っていうか、ルーテシアとキャロ。どっち選ぶんだろ。
「お~。何やきたんか」
「「「八神特別捜査官」」」
「はやて、相変わらずですな」
「ついこの間まで同じ世界で生活しとったやん」
エリオたちが敬意を示して話す相手のはやて。
俺にそんなことは関係ない。
仕事以外で会うなら全てはやて。
仕事であってもそれでもはやて。


「そういや、はやて。リインどこにいる?」
「多分、本局の七におるおもうけど、なんでなん?」
「ちょっとな」
うん。
ちょっと。
主に麦野のことですこーしお話があるだけです。
俺ははやて達に別れを告げて、本局の第7支部に向かった。
支部の部屋の前ですでにリインの声が聞こえた。
さて、どうしようか。
麦野には「媚薬使って放置しろ」なんて言われたけど、
俺に、リインをそんな辱める勇気はないのですよ。


「よっ。リイン」
「はわっ?! と、当麻くん……」
「その様子だと、俺が来た理由解ってるよね?」
「む、麦野さんのことですよね?」
「ご名答。すいません、少しリイン借ります!!」
「はぅわ?! だ、駄目なのです。し、仕事……」
「あっ、上条様の御用でしたらどうぞ」
「あわわわ……」
「様は良いよ。上条で良い」
「し、しかし……」
「俺は当然のことをしただけだから」
はぁ……上条様。ねぇ。
普通に呼んでよ。
まぁ、リインを貸し出しOKになったから良いか。


人気のないところまで、というか屋上に俺たちは来た。
というかリインを連れてきた。
「あ、あの、その」
「麦野めちゃくちゃキレてたけど」
「つ、つい。その。おしとやかな麦野さんにしようと……」
いや、正直あれ気持ち悪いから。
「口が悪いけど、優しい。それが麦野だから。あれは、麦野じゃないからね?」
「はぅ……ごめんなさいです」
「で、だ。麦野から処罰を預かってる」
しょんぼりしたリインから視線を外し、ポケットから小瓶を取り出す。


「な、なんですかそれ。あからさまなドクロが……」
「麦野が態々リインの為に裏ルートで仕入れた媚薬」
「え゙?」
「えっと、説明すると、どんなものでも一滴で欲情させる超強力な学園都市製」
どんなものって言うのがまたあれなんだよね。
説明書には普通の人間で例えると、一滴だけで一般男性が自慰で300万回連続でヌくことが可能だとか。
「よ、欲情って、そのあれな……」
「そうです」
「はわわわわ……」
あー泣きそうだよ。


「でも、麦野は優しいから、それ使って何しろとかは言ってないんだよ」
「ほ、本当ですか?!」
「うん。むしろ放置しろって。因みに一滴じゃなくて全部使って放置」
「そ、そんなことされたら……」
そうなった自分を想像したのか、リインは恐怖に顔を歪めていた。
でもまぁ。
「それじゃ可哀想だから、俺は提案があるんだけど」
「は、はい」
「俺とフェイトの専属メイド一週間ってどうよ」
「め、メイドですか?!」
「ああ、嫌なら良いよ。媚薬使うから」
「い、嫌です嫌ですぅ。め、メイドになります!!」

____________


________


___


「そ、そんなわけでよろしくお願いします」
「当麻、メイド好きなの?」
「いや、リインが麦野にやらせてたの思い出して、じゃぁ、リインも的な感じ」
ははは。
なんとなくリインのメイドが見たくなったなんていえない。
「もぅ。当麻の為ならいつだってメイドのコスプレするのに」
「駄目だよ。フェイトはメイドじゃなくて女神様だから」
「女神がメイド。見てみたくないの?」
「俺を悩殺したいんでせうか?」
「うん。したい」
「……こ、この凄く甘い雰囲気の空間で1週間。ご、拷問です。はやてちゃん」
「あっ。リイン。嫌ならびy――」
「嫌じゃないです!!!」


「そうだ、当麻」
「ん?」
「こっちに来てくれてありがと」
「当然。会いたかったから」
「当麻」
「フェイト」
「……もう何も言いませんです」


俺って、もしかしたらSなのかもしれない。
そう思った日でした。


『何もない1日』


「なぁ、リイン」
「はぃ? なんでしょう。ごひゅ……ご、ご主人様」
「噛んだ?」
「な、なんのことやらぁ」
からかい甲斐があるというか……。
一人、苦笑する。
「やっぱ一家に1人はリインが必要だな」
「ふふ。嬉しいです。けど、そんなこと出来ませんよ?」
「解ってますよ~」
もちろん冗談。
記憶を複製して、見た目を同じにして。


そんな事をしたって、リインは元になったリインだけ。
それ以外はリインであってリインじゃない。
「……で、何のようだったんです?」
「いや、特に。することないから呼んだだけ」
「まぁ、私も今は仕事がないですからね~。暇ですぅ」
どうしようかな。
窓から外を見ると、雨風が視界を狭める。
つまり、天気が悪くて遊びに行くことすら叶わない。


「リイン」
「……はいです」
「こたつの中で丸まってると、間違って蹴っちゃうんですが」
「だってぇ、気持ち良いんですよ~」
「お前一応、氷系魔法専門だろうに」
「寒いわけじゃないです~。この中が暖かくて気持ち良いんですよぉ」
言葉通り、俺の視界にリインはいない。
視界に広がっているのは、コタツとその机の上のみかんと、面白いテレビをやっていないので電源すら入っていないテレビ。
リインは、コタツの中で猫のように丸まってる。と思う。
俺だったら熱くて出来ないことだな。


ひまだなぁ。
腰から下はコタツの中に隠し、上半身だけそこから出てる俺。
大の字で倒れこむ。
「ぷぎゅっ?!」
ぷぎゅっ?
その時、足を動かしたせいでリインを潰したらしい。
「な、にしゅんるんですかぁっ」
俺の体をよじ登ってきた。
「いや、ごめん。見えなかったから。それに言ったぞ。間違えて蹴る。と」
「蹴ったんじゃなくて潰したんですよ? 痛かったです」


リインが睨んでくる。
とはいえ、こんなちっこい美少女に睨まれたところで、
俺が怖い。などと思うことはありませんがね。
部屋の中に響くのは、雨の音と風の音だけ。
互いの呼吸もそれに掻き消されていた。
「当麻くん」
「なに?」
「聞いて、良いですか?」
リインの少しだけ高い声が、そっと、空気を揺らす。
「どこか出かけるとかは無しな」
「解ってますよ~。私も出かけたくないです」
2人互いに苦笑する。


俺のお腹の辺りには、コタツとは違った温もりがあり、
それが徐々に、上へと移動してきた。
「フェイトさんって家だとどんな感じなんです?」
「なんだぁ? はやての刺客か?」
「ちがいますよぉ。単なる疑問ですぅ」
家だと……。
「ここ数日見てきたまんまだよ」
甘えたがりで、寂しがり屋で、少しドジっ子で……。
「あはは。仕事とこっちじゃ正反対ってやつですね」
「そうだな。まぁ、俺としては違うフェイト。もしくは本当のフェイトが見れるから良いけど」
「……楽しいですか?」
「ああ。楽しいよ」
「……そうですか」
ん?


リインはもぞもぞとコタツの中へと戻っていく。
最早ペットに近しい感じがする。
「あーそうだ。リイン」
「はぃ?」
「ちょっと頼みたいことがある」
「聞いてから考えます」
「リインの髪の毛触らせて」
「はぃ?」
またしても、もぞっとコタツから顔を覗かせて人の体をよじ登るリイン。
もうやだ、可愛い。


「触りたい理由は?」
「特にない。なんとなく思っただけ」
「フェイトさんのを触ってるんじゃないんですか?」
「それはもう、毎日」
俺が笑うと、なんか刺すような視線が小動物から……。
「じゃぁ、良いじゃないですか」
「フェイトの髪は、まるでシルクのような感じでさ。さらさらとスルスルって感じ」
「まぁ、女の子は髪を気にしますから」
「リインは?」
「はぃ?」
「気にしないのか?」
ほんの冗談のつもりの言葉。
ただ、リインの髪の手触りが気になり、聞いただけ。
リインも気にしていることは解ってる。


「それは私が女の子に見えないから気にしていないんじゃないかって言葉ですか?」
それに返ってきたのは刺々しい言葉だった。
「あっ、いや……そういうつもりじゃ……」
「何が違うんですか? 女の子は気にしてるといったのに、貴方は……貴方は私に気にしていないのかと聞いた。
私がデバイスだから? だから女の子とは思えない。そういうことですよね!!」
急に怒鳴ったりインに思わずたじろぐ。
「いや……違う――」
「ごめんなさい。ただの八つ当たりです。髪は私も気にしていますよ? 触りたければ今貴方の胸辺りにいるのでどうぞ」
俺の言葉をさえぎって彼女の口から出たのは、高く聞きなれた声ではなく、
少しだけ低い声だった。


八つ当たり?
「何かあったのか?」
「……天気が悪いことの八つ当たりですぅ」
いつもの声色のリイン。
ほっと胸を撫でおろs――
「きゃうっ」
ごつっと何かに……。
というかリインにチョップが決まった。
「なにするんですかぁっ」
「ごーめん。そこにいるというのをすっかり忘れてました」
ポカポカと叩いてくるリインの頭を撫でる。
「サラサラ~」
「当たり前ですよ。私も女の子なんです」
「そうだな」


リインの髪を弄くって遊ぶ。
「三つ編みリイン」
「私は似合わないです」
「じゃぁ、サイドテール」
「これもなんか……」
「ポニーなんてどう?」
「まぁ、ましかなって感じです」
様々な髪型にチェンジして遊ぶ。
「ツインテールッ!」
「私はやっぱりストレートです」
「だな」
一通りやってみたものの、見慣れているのがストレートなので、やっぱりそれが良いかな。


「何か事件おきるのは嫌だけどさ、何かしらの楽しさが欲しいよな」
「私といてもつまらないですかぁ?」
「そういうわけじゃないんだけどさ、話のネタになりそうなものが欲しいってことだよ」
「フェイトさんと当麻くんのイチャイチャ話で良いかと」
「嫌です。やめてください」
俺が返すとリインの小さな笑い声が聞こえた。
「ずっとこのままだと良いな」
「そうですね。私達管理局に仕事がないのは良いことですぅ」
「リインが言うとサボりたいだけに聞こえる」
「あぅっ?! そんなことないですぅ!!」
「ジョークですから、態々大きくなって叩くなよ」
「解ればよろしい」
リインはそう言うと、また小さくなってコタツの中へ消える。


「熱くないの?」
「平気ですよ~」
……そんなこんなで、事件も何にもない平和な一日だった。


『祝福の風、リインフォースⅡ』


「あ、あの……」
「おはよう。リイン」
「よっ。リイン」
「私がメイドの意味なくないですか?」
リインが言ってるのは正しかったりする。
まず、夜のうちにフェイトが洗濯を終え乾燥機に入れてあり、
朝は俺がフェイトの為に朝食と弁当を作っている。
リインの出る幕はありません。


「あぅ……私は何してれば」
「のんびりしてて良いぞ」
「はぃ?」
「あっ当麻行ってきまーす」
「うん。行ってらっしゃい」
フェイトは行っちゃったし……。
う~ん。
「リイン、何かしたいことある?」
「メ、メイドの意味が……」
「リインに媚薬使うかどうか迷った末に適当に言っただけだよ」
ははは。
まぁ、リインの幼女モード(身長1m少し)の白いメイド服(はやて監修)これ見れたし。
……。


「……なぁ」
「はい?」
「リインは過去の記憶とか……気にする?」
「きゅ、急になんですか?」
「俺は、フェイトに隠してることがあるんだ」
「……? 良く解らないですが。気にするべき記憶なら」
気にするべき記憶。
俺の記憶は……。


「私は聞いている通り、2代目です。
しかし、初代としての記憶なんて私は持っていません。
聞けば、数多の屍を踏み潰していた存在。です」
リイン……。
「ですが、それがどうだと言うのでしょうか?」
「え?」
「過去の記憶。振り返るべきなのですか?
確かに、振り返らなければならない時もあります。
自身の過ちを忘れるなんてことはしてはいけませんから。
私は過去を忘れてはいけないんです。記憶はありませんが。
ですが、当麻くんが言う過去の記憶。それは振り返るべきものですか?」


リインが俺を見つめて言う。
振り返るべき記憶だったか……。
その記憶は俺にはない。
俺にとって記憶はあの時インデックスにあってからしかない。


「そうでないのなら、忘れてしまうべきです。
私に過去の……初代の記憶、想い、願い。それらを知るすべはありません。
ですが、今の私の願い。それは知るすべがあるんです」
リインが微笑む。
「祝福の風リインフォース。私は初代ではなく、2代目なんです。
それ以外に何が必要なんでしょうか?
今の私の願い、それは間違いではない、初代の願いとともにある。私はそう信じています」
「……けど、以前と願いが違うとしたら?」
「だとしても。解らない以上どうしようもないじゃないですか。
なら、私は今の自分の願いを叶えるだけですよ。
はやてちゃん、ヴィータちゃん。シグナム、シャマル、ザフィーラ。
なのはさん、フェイトさん、当麻くん、エリオくん、キャロちゃん
スバルさん、ティアナさん。その他のみんなとも。ずっと一緒に。
その願いを叶え続けるだけです」


「強いな、リインは」
「いえ、弱いです。物凄く。でも、弱いから、私は振り返らない。
前だけを見る。振り返る強さを私は持っていないから」
「どこがだよ。強いよ。俺なんかより、ずっと……」
おかしいな。
なんでだろう。
自然と、涙がこぼれた。
「え? あぅ……当麻くん?!」
失われた過去の記憶。
それが重要だと、思ったことはない。
でも、インデックスや御坂。両親。
みんなのことを覚えていない俺。
俺と付き合っていた可能性。
俺が、好きだったかもしれないインデックス。


「記憶がない」
「え?」
「俺には、過去の記憶がないんだ」
「え? えぇぇぇ?!」
「そのなくした記憶の俺は、インデックスが好きで、インデックスと付き合ってたかもしれないんだ。
でも、今の俺はフェイトが好きで……それでいいのかって」
慌てていたリインは、落ち着いていて。立ち尽くしていた俺の手をその小さな両手で包み込んだ。
「良いんです。失くした記憶が好きでも、
今の貴方は彼女を好きですか?
彼女は今の貴方を好きですか?
彼女にそれは打ち明けたんですよね?」
「打ち明ける前にばれたけど……」
「なんて言われました? きっと、今の貴方のしたいようにして。そういわれたんじゃないですか?」
え?
「な、なんで?!」
なんで? 誰にも言ってないはずなのに。


「……女はそういうものですよ? まぁ、例外はいるかもしれませんが……
好きな相手が幸せなら、自分は悲しみを受け止めよう。
そう思うんです。って、私が言っても説得力ないですね」
苦笑するリインが、下にいる。
目線を下げた俺の視界に映る彼女は、
見た目に反して強く、大人だった……。
「隠してるのは、記憶喪失のことですか?」
「……ああ」
「もし、貴方がその失くした記憶の中に、フェイトさんに申し訳ないと思う記憶があるのなら言うべきです。
でも、どうでも良い記憶。今の貴方に、彼女に。関係のないことだと言うのなら、
記憶喪失だと言うことを、忘れて良いんじゃないですか?」
記憶喪失を忘れる……か。
考えたことないことだな。


いつも、常に、インデックスに記憶喪失がばれることに怯えていた。
忘れようにも忘れられなかった。
それは、傍にいたアイツに重要なことだったから。
でも、今傍にいるのはフェイトで。
そのフェイトに必要なこと?
「良いのかな。忘れて」
「……それは、貴方が決めることですよ?」
微笑むリイン。
俺がどうするか。
きっと解っているんだろう。
いらない記憶?
決して、いらないわけじゃない記憶。
でも、俺達に必要な記憶?
そう聞かれたら、答えはきっと「必要ない」そう答える。
だから。


――忘れてしまおう。


――記憶を忘れた。


――そのことを。


――俺達に必要は無いから。


「そういえば、今日、これからどうします?」
「……え?」
「いや、だって暇すぎますよぉ?」
そう言って首をかしげるリイン。
さっきまでの大人なリインは跡形もなかった。
俺に見せたのは、それは本性?
それとも……。
「俺が奢ってやるよ。どこ行きたい?」
「そうですねぇ―――」


ありがとな? リイン。
お前はやっぱり、リインフォースだよ。


「何笑ってるですか?」
「いや、なんでも。さっさと行こうぜ」
「はいですっ」


『ケーキ戦争』


「ミッド? 地球とは関係ない? そんなことはしらん!!」
「は、はやて。落ち着こう。落ち着こうぜ」
現在、12月24日。
地球でひっそりとやる予定だったそれは、
フェイトの本局での仕事により、中止になりそうだった。
けど、
俺はフェイトと過ごす為に一昨日からミッドチルダにきていた。
そしてさらに、はやて開催のクリスマスパーティに巻き込まれていた。


「えーと。大規模だな」
「そうだな。主はやてが元六課面々でやりたいといったからな」
いやしかし……。
「なぜカリm――」
「お気になさらずに」
「でm――」
「お気になさらずに」
「はい」
こぇぇぇぇ?!
睨まれた。
っていうか、カリムさん独り身だったの?


はやて、なのは、フェイト、俺、ヴィヴィオ、エリオ、キャロ、スバル、ティアナ、
シグナムさん、シャマルさん、ヴィータ、ザフィーラ、リイン、カリムさん。
15人も参加していた。
「はやて、ケーキ食べようぜ、ケーキ」
「ヴィータちゃん少し落ち着いて」
「ヴィータさんって子供……」
「なんか言ったかスバル!」
「い、いえ……ティア~」
「今のはアンタがいけないわ」
こうも人数が多いと、収拾つかなそうなんだけど。
そんな中、はやての手を叩く音が響いた。


「はい、静粛に~」
「はやてちゃん。いったい何を?」
「僕も気になります」
「わ、私も」
「ヴィヴィオも楽しみ~」
なのはに続いて言葉を発する子供達。
まるで家族だ。
「まず、ヴィータ」
「ん?」
「ケーキは、ない!!!」


「「「「「えぇぇぇぇ?!」」」」」


「ど、どうするんだよーリイン」
「わ、私に聞かないで下さいよぉ」
あ~。
もしかして、もしかしてあれか?
「なぁ、はやて」
「ん?」
「さっきチラッと見えた俺達全員分くらいのキッチン。あれまさか……」
「そやで、私達が作るんや!!」
「まじで?!」
「まぁ、男が作ってもつまらんから、作るのは女性陣だけやで」
はやてが微笑む。


いや、まぁ別に良いけど……。
「作れない人居るんじゃないのか?」
「あ、主はやて。私は……」
「なんやシグナム作れへんの?」
「は、はい……」
「……」
「カリムさんどうかしたんですか?」
「へ?! う、ううん。な、なんでもないわ」
あれ。
もしかして……。


「じゃぁ、シグナム。それと、ヴィータは採点や」
「ほ~い」
「申し訳ありません」
「当麻。私がんばるからね」
「ああ。頼むよ」
「えっと、私もがんばるよ。エリオ君」
「うん。頑張って」
「けっ。甘いく~きやなぁ、ぶっ壊したるでぇ!!」
……。
俺たちは軽く顔を見合わせて、視線をはやてに向ける。
もしかして、はやてお酒飲んだ?


「えっと……クリームつくるんだよね~」
「ヴィヴィオもやるんですね」
「エリオ。誰の応援?」
まぁ、キャロだろうな。
で、俺たちの前
俺たちというのは、
俺、ヴィータ、シグナム、エリオ、ザフィーラ。
男子勢は審査員固定で、シグナムとヴィータは料理が出来ないかららしい。
そして――。

___________

アッ、ハバネロワスレター
_______

アレェ? クリームガ……
__


「「「「「「「できたー」」」」」」」


「で、誰からにする?」
「じゃぁ、わt――」
「フェイトちゃんは駄目」
「え? な、なんで?!」
「絶対に美味しいとわかっとるからや。なのはちゃんも……カリムもなぁ?」
「ひっ……え、ええ」
……?
「じゃぁ、ヴィヴィオがいちばんー」
ヴィヴィオはそう言って、持って来たのは黒いケーキ。
決して暗黒物質でも、未元物質でもない。
ごく普通のチョコレートケーキだ。


「あのね、アイナさんに習ったの」
「え? なのはじゃないのか?」
「うん。私が色々と忙しい間に、アイナさんが教えてくれたらしいよ」
へぇ……。
ヴィヴィオがとりあえず、俺達審査員5人分切り分ける。
「「「「「いただきまーす」」」」」
……。
え~と?
ん?
あれ?
ヴィータがの表情が引きつり、シグナムは目を閉じて、
エリオは苦笑い、ザフィーラは無言で食べ続けていた。
あれ?
俺が言わないと駄目?


ヴィヴィオの期待の眼差しが痛い。
「ヴィ、ヴィヴィオ」
「なぁに?」
「えっとだな。砂糖を入れたんだよな?」
「えっと……多分」
は、はははは
なのは達も俺の一言で察したのか、首をふったり、
可哀想な目をしていた。
「これ、入ってるの塩だよ。ヴィヴィオ。失格」
「えぇぇぇぇ……残念」
愛情は美味しく頂きました。


で、我こそは、と出てきたキャロ。
「あまーーーーーーーい」
「こ、ここまでとは」
「キャ、キャロ。もう少し甘さ控えめで頼む」
最初に悲鳴をあげたのはエリオ。
次にザフィーラ。そしてシグナム。
ヴィータは甘くてOkらしい。
「う~ん。美味しいけど、甘すぎる。ヴィヴィオと混ざってようやくOKかな」
俺たちは互いに顔を見合わせ頷く。


「じゃぁ、次は私とはやてちゃんですぅ!!」
「どうや、家庭派魔法少女はやてちゃんのクウェーキ!!」
「発音おかしいぞ。はやて」
「気にしたらあかん!! お披露目や!!」
?!
はやてが出したケーキは、白。
白以外何一つ使われていなかった。
「あ、主はやて。真っ白ではありませんか」
シグナムが首をかしげる。
見た目はヴィヴィオの正反対。
ホワイトチョコケーキ。
しかし。
味は……。


「苺?!」
エリオが小さく声を上げた。
し、白いクリームを口に含み、現れた赤き結晶。
こ、これはまさか?!
「刻み苺や。一見、真っ白と思わせといて、実はクリームに苺を仕込んでおいたんや」
「おぉ。美味しい!!」
「流石です」
ヴォルケンのみんなは大喜び。
いや、しかし。
残念だ。
「はやて、苺。良いのを選びすぎだぜ」
「な、なんやて?!」
「ショートケーキの上の苺に、仄かにすっぱさがある理由解るか?」
「え? そ、そんなのたまたま――」
「いいや、違う!! いいか、ケーキというのは甘いのが基本だ。甘いケーキの上に甘い苺? 何の意味がある。答えろ! リイン!!」
「ふぇぁ?!」


なのはは微笑んでる心得ているということか。
「ふふ。ショートケーキの上の苺が仄かにすっぱいのは、甘いケーキを引き立たせる為の味。でしょ?」
「そういうことだ!!」
「な、なんやと……む、無念!!」
「高町なのは。翠屋の娘として必ず勝たせて貰うよ~」
なのはが出したのははやてとはまた少し違ったピンク鮮やかなケーキ。
……なるほど。
「当麻。気づいたね?」
「これは、桃のクリームだな!」
そう。
ピンク色のクリーム。
正体は、桃とシンクロしたクリーム。
そして、スポンジに挟まれた、僅かにすっぱみのある桃。
「完璧だ!!」
「なのはさん。凄い」
「うむ。確かに美味い」
高評価だ。


「わ、私。自信ないけど……」
フェイトがそう言って出したのは、
まさに見た目そのままショートケーキ。
クリームの上にちょこんっと苺。
スポンジの間にも苺。
「テスタロッサ。まさか、シンプルで勝負と?」
「フェイトさんのケーキ……」
審査員全員が一口分のケーキを口に含む。
こ、これは?!


「レ、レモンだと?!」
ザフィーラが唸る。
「く、クリームは白い……まさか!!」
「スポンジにレモンをすっぱさ控えめで沁み込ませたの。いまいちだった?」
フェイトさん、マジ天使。
「いや、これは素晴らしい。甘いクリームの次に来る仄かなすっぱさのスポンジレモン。
すっぱいとも、甘すぎるとも言わせない絶妙な位置での味。完璧だ!!」
「しかも、これ、態々薄めてますよね?」
エリオが聞く。
「うん。そのままじゃすっぱいかなって。レモンと水を9:1くらいで薄めたの。
その後は、スポンジになる工程で薄くなっていくから」

___________

サイテンチュウ……
______

コレハカナリ……
__


「けっかはっぴょー」
「第三位、八神はやてとリインフォースⅡ!!」
「くっ……ぬかった!」
「第二位は……高町なのは!!」
「うっ……でも次は負けない」
「堂々の第一位。自信ない素振りをしておきながら、めちゃくちゃ高度なテクを使用していたフェイト・T・ハラオウン!!」
「え? あの……」
「ん?」
「カリムさんのは?」
……あ。
「って、居ないんですが?!」
どうやらカリムさんは逃げ出したらしい。
「みんなでとっ捕まえるんや!!」
「「「「「おー!!!」」」」」


俺はみんながワイワイやってる部屋から独り抜け出し、
オープンテラスでミッドの夜を眺めていた。
「学園都市も曇りねぇけど、ここも良いもんだな」
そう、呟く。
俺としては天体に興味があるわけではない。
ただ、汚れた自然よりは綺麗な自然の方が良い。そう思う。
「ふふ。珍しいね。当麻が外で寛ぐなんて」
「……フェイトか」
「私じゃ駄目だった? 夜天の下で夜天の主といたかったとか?」
「やめてくれ。この静かな夜天を壊す主の騒ぎから逃げてきたんだから」
「ふふっ。そうだね」
フェイトはそう言うと、俺の隣のイスに座った。


「綺麗だね」
「黒天に光る星。中々ロマンがあると思う」
「当麻が壊れた?!」
「おいおい、たまには良いだろ? 景色に見惚れるのも」
「私には?」
「いきなり振るな~」
「気になった」
そう言って苦笑する隣の女性を、俺は見つめた。
「常に見惚れてるよ。フェイトには」
「私も、常に当麻に惹かれてる。そして、包まれてる」
フェイトは持ってきていた飲み物を口に含んで呟いた。


「包まれてるって……そりゃ、抱きついたり抱いたりしてるけど」
「そうじゃないよ?」
……?
「優しさで私を包み込んでくれる。仕事の時。貴方が待っててくれるから、私は頑張れる。
貴方を待つとき、貴方が帰ることを信じることが出来るから、待っていられる。
そう思えるのは、当麻が暖かくて、優しく私を包み込んでくれる人だからなんだよ?」
……。
え~っと……。
「俺も、フェイトが居てくれるから頑張れるし、絶対に帰れる。
フェイトも、暖かくて優しい。そう思う」
「ほんと?」
「本当」


「ねぇ当麻」
「ん?」
「綺麗だね」
「そうだな」
黒い闇夜に光る金色の月。
フェイトの目はそれを捉えていた。
「……まるで、フェイトみたいに綺麗だよ」
俺はそう付け加えた。
フェイトに目をやると、耳まで赤く染め、何かを考えているようだった。
「フェイト――」
「ふぇ?」
ゆっくりとフェイトに顔を近づけたときだった。


「はよ、チューせぇ!!」
「「?!」」
「あっ、は、はやてちゃん!! 邪魔しちゃ駄目なのに」
「主はやて、流石に最低な行為かと」
「はやて、流石に駄目だわ。今のは」
「は、はやてちゃん。さ、最低ですぅ」
「と、当麻さん。どうぞ続けてください」
……。
おいおいおいおいおいおい。
「いつから?」
「「ねぇ、当麻」あたりからだぜ。確か」
ヴィータが人差し指を立てて言う。
「何してんだよぉ!!」
「と、当麻。わ、私達が不注意だっただけだし……」
もじもじとしたフェイトが呟く。


いやぁ、それでもあれを全員に見られてたとなると……。
……。
「当麻パパ、フェイトママ」
そんな中、純粋無垢な少女は俺たちの前に立って一言。
「チュー見せて?」
「「?!」」
「せや、みせぇみせぇ」
「……ヴィヴィオ」
「なのはママ?」
「ちょっと、お散歩行きましょ」
「え? でも……」
「フェイトママと当麻パパは、はやてちゃんに用事があるらしいから邪魔しちゃ駄目」
「は~い」


なのは。
ありがとう。
なのはとヴィヴィオに続き、スバル達も部屋へと戻っていく。
「ほな、うちも……」
「まぁ……待てよ。はやて」
「え?」
「そうだよ。はやて。なのは言ってたよね? 私達、用事があるって」
「え? あ……ご、ごめんなさい。で、駄目?」
「「駄目!!!」」
「か、堪忍してや~!!!!」


はやてに制裁を加えた後も、
俺たちのクリスマスパーティは終わらず、
結局、フェイト達の仕事の時間まで続いた。


で、その後は、カリムさんのケーキを食べたわけだが、
まぁ、普通。うん。地味だった。
美味しいけれど、どこか物足りない感じだった。
それはどうやら、シャッハさん直伝らしい。
そういえば、はやてがカリムさんに意地悪してたのは、
とって置いて欲しいといわれたお茶を間違えて違う人に出しちゃったとかで。
なんともまぁ、変な話だ。


『大好き。それ以上に愛してる』


「昨日は楽しかったね~」
「そうですね~」
「そうだな」
「……」
「あの……」
「…・・・フェイト。行ってらっしゃい。待ってるよ」
「えっと……」
「ん?」
「あぅ……。行ってきます」


今日は寝ていなかったりする。
昨日のはやてが行ったクリスマスパーティは夜通し行われ、
翌日仕事だったフェイト、なのは、ティアナを限界近くまで苦しめており、
ちょいとサボろうとしていたフェイトを俺は仕事へと向かわせた。
「リイン。俺たちは寝ようか」
なんて呟いた時だった。
通信が入り、なのはの姿が映し出された。
……?
「ひ、暇だよね?」
「いや、これから寝ようかなって」
「私達が頑張ってるのに?」
「はい」
「手伝って。じゃぁ、六課で使用してた訓練場。来てね。リインと一緒に」
わぁ。
拒否権無しだ。
「で、どうするリイン。逃げる?」
「命は惜しいです」
「ですよねー」


というわけで、俺たちはなのはに誘われ、訓練場に来ていた。
「え? なにしたんでせうか?」
「て、徹夜で加減忘れて吹き飛ばしちゃった」
現状を説明すると、訓練生が全滅していた。
いたるところに訓練生が突き刺さったり垂れ下がったり転がってたり。
なにしたの? ねぇ。
なにしたんですか?
加減忘れるにも程って物が(ry
「リインは治療魔法でなおせんだろ。俺となのはで重傷者から救護室に運ぶ。はいっスタート」
俺がそう言い、傷の軽い人(転がってる、ぶら下がってる人)を、リインが治療魔法で治し、
重傷な人(壁にめり込んでる人)を俺となのはが壁から慎重に抜き取り、救護室へと運んでいく。
余りにも多い怪我人の為、シャマルさんまで駆り出された。


「まったく、なのはちゃんはただでさえ高威力なんだから。気をつけてね?」
「ごめんなさい」
「しっかりしろよ~。戦技教官殿」
「ゔ……」
俺のいやみな言葉は予想以上になのはへダメージを与え、
なのはが拗ねてしまった。
「あ、あのぉ……なのはさん?」
「きっと、魔王とか言われるんだろうなぁ」
魔王?
「誰が?」
「私が」
「馬鹿言うなよ」
「管理局の白い悪魔。魔王。私の小さい時、現在。この呼び名がたまにでるの」
「なのはさん……」
合流してきたリインが呟く。
「まぁ、かっこいいから良いけど。そういえば、フェイトちゃんは今日仕事早いんじゃないっけ?」
え?
きいてねー。
俺はなのはに別れを告げて、フェイトが居る本局へ向かった。


「あれ? 当麻。偶然?」
「早く終わるのなら言って欲しかったと、トウマはぼやきます」
「な、何それ」
「御坂妹の真似」
「ば、馬鹿ですか?」
「リインには言われたくない」
「んなっ?!」
リインが小さい体(身長30cm程度)で、ポカポカと叩いてくる。
ごめん痛くない。
あーそうだ。
「リイン」
「はぃ?」
「今日ははやてのとこ帰って良いよ」
「え? 良いんですか?」
「うん。今日は、フェイトと2人で居る予定だから」
「当麻……。リイン。そういうことだから、ごめんね?」
「いえ、むしろ大感激です」
「「?」」

____________


_______


__


「フェイトは待ってて」
「え? うん」
家に帰ってきた俺たちなのだが、
まぁ、まだ午後4時と早い時間なんだが……。
「当麻~」
「なに?」
「暇だよ~?」
……。
「執務官殿が自宅のリビングとはいえ、床でごろごろしているのは聊か問題があるかと」
「固い事言わないでよ当麻。私もたまにはごろごろしたい」
「クールなフェイトの言葉とは思えないな」
軽く笑う。
「当麻の前だからだよ~」
「承知してます」
フェイトは仕事の時だと、クールで真面目。冷静な人。
でも、俺の前だと、甘えたり、慌てたり、泣いたり、床の上でごろごろ、うだーってしてたり。
そんなフェイトが居る。


……さて、こうしとけば後は待つだけ。
30分ほどして、料理の仕込が終わった。
時間はもう、17時30分。
「あれ? フェイト?」
暫く聞こえてこなかった彼女の声。
リビングを覗くと、小さな寝息を立てて、ソファで寝ていた。
「……暇すぎた?」
彼女に囁く。
けど、本当に寝ているフェイトには聞こえていない。


前髪を指で除けて、その表情が露になる。
フェイトが寝ている姿はそうそう拝めるものじゃない。
たしか、以前言った気がする。
携帯の待ち受けにするか。
そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
でもまぁ。
フェイトをお姫様抱っこの形で抱き上げる。
季節はまだ冬。
まだじゃなくて、12月25日って冬のまた冬。
それなのに布団もかけずに寝るのは風邪引くからな。


階段を慎重に上がり、寝室のベッドにフェイトを降ろす。
「んっ……」
少しだけ体が揺れたせいか、小さく声が漏れた。
……起きてない?
「フェイト?」
「……」
また小さな寝息が続くだけ。
たまたまかな。
「……で」
「ん?」
「……行かないで」
やっぱりおき―――?!


寝言か何かを呟くフェイト。
その頬を一筋の涙が伝っていく。
「もう嫌だから……」
フェイト……。
以前、フェイトが言ってた。
黒い空間に俺達がいて、どんなに手を伸ばしても、追いかけても届かない。
失いたくない、怖い。
そう言ってた。
「お母さん……アリシア……アニス……」
そっとフェイトの頬を撫でて、涙をふき取る。
「俺は傍に居るぞ? ずっと」
フェイトの手を優しく握る。


「当麻……嫌だよ。……ないで」
フェイト?
「どうして、帰ってき……ないの?」
「フェイト!!」
「?!」
あっ……やべっ……
「と、うま?」
「どうしたフェイト」
「こわ……かった」
「ん?」
「あの時、当麻が帰ってこなくて……私っ」
っ?!
フェイトが急に俺に抱きつく。
どうしたんだよフェイト。
「俺は、ここにいるだろ?」
「うんっうんっ。解ってる。解ってる……」
「なら平気。俺はどこにも行かないから。安心しろ」
「当麻……好きだよ。当麻暖かいよ。当麻……もう少しこのままで居させて」

____________


________


___


「落ち着いた?」
「うん。ごめんね? なんか」
「気にするなよ。俺もたまに同じような不安に煽られる時がある。
でも、俺はフェイトを信じてるから。そんなのは気にしない」
「……そうだね、当麻」
「ああ」
……って、もう19時?!
「そういえば、当麻夕飯作ってたんじゃ……」
「そ、その通りです」


で、その後、一応煮込み物だったおかげで失敗ということにもならずに済み、
美味しく頂きました。
「美味しかった」
「だろ。で、今日はクリスマスだから」
「え?」
「手作りケーキ。はやてや、なのは、フェイトみたいに美味くは出来ないけど、ショートケーキ」
俺は作っておいたケーキをフェイトに差し出す。
「美味しいっ」
「良かった」
フェイトが笑ってくれる。
それだけで、幸せだから。
泣くなよフェイト。
苦しむなよフェイト。


「なぁ、フェイト」
「なぁに?」
「可愛いよ。フェイト」
「か、かわっ……」
真っ赤になって顔を抑えるフェイト。
それを見て苦笑する。
「だって、綺麗って言うより可愛いの方があってるぞ? 今のフェイトは」
「うっ……でも、嬉しい。そう言ってくれて」
フェイトがケーキを最後まで食べて微笑む。
「ねぇ、当麻」
「ん?」
「愛してる」
「な゙?!」
大好き。
それ以上の言葉。
愛してる。
フェイトはそう言うと、微笑んだ。



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609 : ◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/17(火) 20:39:13.01 ID:DKy07i1Z0
適当に続編の嘘予告作ってみた。


とある世界に暮らす……幸せな一家―――


「じゃぁ、私は本局行ってくるから」
「フェイト、気をつけてな」
「行ってらっしゃいママ~」
「うん。当麻。明日香をよろしくね?」
「任せとけ」

娘と父2人きりになったミッドチルダの休日――


「当麻パパ。何してるの?」
「今日はフェイトママの誕生日だぞ~?」
「私も手伝う~」
「じゃぁ、クリームを混ぜておいて」
「は~い」


仕事を終えた母親に走り寄る、親友――


「フェイトちゃん!!」
「はやて?」


そして、聞かされた、信じたくない言葉――


「落ち着いて、聞いて欲しい―――」
「え?」


同時期に現れた、謎の少女と少年。そして少女を部品と呼ぶフッケバイン一家――


「何がおかしい!!」
「しらねェってのはおもしれェもんだ。てめェが手にしてるそいつが一体どんなシロモノなのか。それもしらねェで部品を助けた?」


母親の前に現れた白きドレスの少女――


「貴女の願い、かなえましょうか?」
「私は……私は―――」


少年と部品と呼ばれる少女が出会い……平和の調律が乱れた時……戦いが――始まる。



――ねぇ、当麻……ずっと……一緒だよ?


610 : ◆LFImFQtWF6 [saga]:2011/05/17(火) 20:44:53.97 ID:DKy07i1Z0
嘘予告(笑
force単行本買わないと全然知識ねぇm9(^p^)
でも完結してないorz
よし、オリストだっ!!
オリキャラだァ!!
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