仮面ライダー ―『約束 2011』― 第1話『開幕』

2011年11月16日 19:33

仮面ライダー ―『約束 2011』―(魔法少女まどか☆マギカ×小説版仮面ライダー)

1 :◆U7CDgQgh.w [saga]:2011/05/22(日) 19:43:19.16 ID:r+8ZPoNy0

本SSは、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』と、小説『仮面ライダー 1971―1973』とのクロスオーバーSSです。
以下の点に御留意頂いた上で、本SSをお楽しみ頂ければ幸いです。

・本SSはクロスSSです。故に、世界観の摺り合わせの為に、双方の設定の一部に変更、捏造、独自解釈が存在します。
・『まどか☆マギカ』は本編開始直前、『小説版仮面ライダー』はエピローグの2年後からの開始になります
・一部、平成ライダーシリーズ、映画the First、the NEXT、仮面ライダーSPIRITSからのキャラ・設定・ガジェットの借用があります
・連載速度はかなりの低速です

それでは、開幕で御座います


―――そこは…実に異様な空間であった


何処までも何処までも続く、白と黒、ただその二色のみで構成された空間。
チェッカーズフラッグを思わせる白黒の市松文様の、歪みきった螺旋階段、
錯覚かとすら考えてしまう程に長い長い廊下、宙に浮き回転する、複雑な文様を描く切り紙状のオブジェ……

ここは果たしてアントニオ=ガウディの作か、それともフリーデンスライヒ=フンデルトヴァッサーの作か、
兎も角、人智を大きく跳び越えたセンスによって満たされた、真っ当な人が造ったとも思えぬ、奇っ怪極まりない建築物であった。


―――その中を、一人の『少女』が駆け抜ける。


桃色の髪を、赤いふた筋のリボンで左右に纏めた、可愛らしい少女であった。
まだ発展途上ながら、ハリがあって、モチモチとした感触の少女の肉体を包むのは、
白いストッキングに、可愛らしい靴、クリーム色を基調とした、どこかの学校の制服と思しきスカート姿。

身長、体格、顔立ちから判断するに、年齢は十代の半ばであろうか。
だとすれば、彼女の体を包むソレは、何処かの中学校の制服なのであろうか。

「―――ハァ」
「―――ハァ」
「―――ハァ」

少女は、白と黒の陰陽二色が描く螺旋回廊を駆け抜ける。
口からは、過度の運動により上がり切った息が漏れ出て、頬や額には汗が伝っているにも関わらず、
少女は決してその足を止める事は無い。

―――行かなくては、ならない

少女の考える事は、ただそれだけであった。
その思いだけを胸に、少女は、走る走る走る。
白黒だけの世界で、引き起こされる目の錯覚に、目測の狂うこの世界を、この空間を、
それでも、何処とも解らぬ終着地点を目指して走り続ける。

自分が何処へ向かっているのか?
自分は何故、そこへと向かっているのか?

その両方ともが、少女には判然としていない。
ただ、行かねばならぬ、と言う強迫観念めいた衝動だけに従って少女は走る。

解らぬ筈の終着点、知らぬ筈の終着点。
しかし、不思議と、体は自然に動いた。
肉体が、何処へ行くべきかを知っているかの様だった。

その導きに従い、彼女は走り続け―――

「―――ハァ」
「―――ハァ」
「―――ハァ」
「やっと……見つけた」

そうして、彼女は辿り着いた。
目の前には、都合20段ほどの、やはり白黒文様の階段があり、
その先に、唯一この世界で『白』と『黒』以外の色を備えた、
緑色の『EXIT』の誘導灯と、その下の分厚く大きな金属製だと思われる扉が見えた。

乱れた息も、高鳴る心臓も鎮める事無く、彼女はそのまま階段を駆け足で昇って、

―――ガシャン

ドアノブを回せば、重々しい金属音が響いて、
その重厚な外見に反して、扉は軽い感触で開いた。

少女は扉を潜り―――そして見た。

「――――ッ!?」

それは…『終わりの風景』だと言えた。

かつてはそこに林か森の木々の様に乱立していた高層ビルは、根こそぎになぎ倒され、
アスファルトとコンクリートで舗装され、適度に自然も備えた、実に綺麗に整備された地面は、
そのことごとくが、見渡す限り洪水でもあったかのように大水で覆われている。

世界は色を失い……空は黒雲で覆い隠され、ほんの僅かな陽光すら差し込む事は無い、暗黒の世界となっていた。

そして、この暗黒世界あって、ひときわ少女の目をひくのは―――


―――『キャハハハハハハハハハハハハハハハハ』

―――『キャハハハハハハハハハハハハハハハハ』

―――『キャハハハハハハハハハハハハハハハハ』

―――『キャハハハハハハハハハハハハハハハハ』


耳障りな甲高い哄笑を上げ続ける、宙に浮かんだ巨大なさかしまの『魔女』。
その大きな大きな濃紺のスカートの内側では、何重にも重なった歯車が回り続けている。

その周囲では、少女を模したと思われる『影』の『使い魔』達が、
『魔女』のあげる哄笑をBGMに、狂々狂々と踊り狂っていた。

少女には一目で理解できた。直感的に理解することができた。
この惨状は、この災禍は、この惨禍は、この空を覆い尽くす黒い『魔女』の仕業なのだと。

―――『キャハハハハハハハハハハハハハハハハ』

『魔女』の哄笑がまたも響いたかと思えば、それと同時に、
空の『魔女』を中心に七色の波動が辺り一面へと広がって行き、
その波動は、荒廃した風景をさらなる廃墟へと変えて行く。

「やめてっ!!もうやめてっ!!」

少女は思わず『魔女』へと叫んでいた。
しかし、少女の叫びは『魔女』には届かない。
『魔女』はさらに哄笑を上げ続け、虹色の波紋は黒い空を走り、
高層ビルが浮かび上がり、宙で弾け、折れ、微塵に砕けて行く。

その余波たる突風は、少女の所にも伝達し、その勢いの強さに、
少女は思わずその身を屈めていた。

―――その時であった

『赤』『青』『黄』『黒』の軌跡が、流星の様に絶望に塗り潰された天を翔ける。
その姿を、少女は確かにその目で目撃した。

それは、4人の仮面の騎士であった。
青と銀の鎧に身を包み、その手に両手剣を構えた騎士が一人。
赤と黒の鎧に身を包み、その手に大長槍を構えた騎士が一人。
黄と紫の鎧に身を包み、その手に大鉄砲を構えた騎士が一人。
黒と白の鎧に身を包み、その手に大円盾を構えた騎士が一人。

顔の上半分は誰も兜に覆い隠されて見る事が出来ないが、
露わになっているその顎の形、頬の形、唇の形から察するに、
騎士たちはいずれもが『女』だと思われた。

少女と騎士たちの間にはかなりの距離があり、
しかも、騎士たちはみな、驚くべきスピードで飛翔しているにも関わらず、
少女には何故か、そんな騎士たちの姿、動きの一つ一つが、静止画を見る様にハッキリと見る事ができていた。

おのおのが、おのおのの得物を手に、絶望の『魔女』へと立ち向かっていく。
これは果たして『御伽噺』の一場面か、さもなくば『黙示録』の情景か。

どす黒い絶望に支配されたこの空間において、その四色の騎士たちだけが、
最後に残された希望の光の様に、少女には見えた。

しかし――――

「――――っ!?」

四騎士の攻撃は『魔女』の肉を裂けども、骨を穿つまでには至らず、
反撃の波動は、まるで嵐を前にした紙飛行機の様に、彼女達を吹き飛ばし、
彼女達の体は、残らず地へと墜落した。

彼女達のあらゆる技も、武器も、力も、あの『魔女』には通じなかったのだ。

「―――ひどいよ」
「こんなのって……ないよ!!」

少女は思わずそう叫んでいた。
地に伏した騎士たちは、尚も立ち上がって『魔女』に挑まんとするも、
その体は深く傷つき、血は流れだし落下した廃墟ビルの地面へとしみこみ、装甲にはヒビが走っている。
立ち上がるのがやっと……見るからに、そんな様相であった。

「(どうしよう)」
「(どうすれば)」
「(助けなきゃ)」
「(誰か―――)」
「(誰か―――っ!!)」

そんな彼女の祈りに応えたのであろうか
かくて『救いの騎兵』はその姿を現した。

「―――!!」

少女が最初に聞いたのはエンジンの爆音であり、
何かが風を切ってこちらにやって来る音であった。

少女は、音のする方を向いた。
そして見た。聞いた。

廃墟の街を駆ける、白い鋼鉄の騎兵。
『竜巻(サイクロン)』の冠する、白い鋼鉄の騎兵。

それに跨るのは、黒と緑の騎士。
その顔を包むのは、髑髏の様な、昆虫の様な複眼の仮面。
その首には、炎よりも紅いマフラーが風に棚引く。

―――この世界には『神』は居ない
―――『奇跡』も『魔法』も在りはしない
―――だが……それでも

―――時代が望む時
―――世界が望む時

―――誰かが救いを求めて叫ぶ時
―――少女が救いを求めて祈る時

―――『彼』は必ず蘇る
―――『彼』は必ず現れる

だから少女は、その名を呼んだ。




「――――『仮面ライダー』っ!!」




―――そこで…『目が覚める』




「――――あふぅ?」
「……………」
「―――――夢オチぃ?」
少女、『鹿目まどか』は、寝ぼけ眼を擦りながら、そう呟いた。










仮面ライダー ―『約束 2011』― 第1話『開幕』










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しゃかしゃかと、歯ブラシが歯を磨く音が二つ分響き、
それに合わせて、洗面台へと蛇口から水の落ちるジャバジャバという音が共鳴する、朝の風景。

鹿目まどかと鹿目詢子の母娘は今日も仲良く、朝の歯磨き。
これは、鹿目家の朝の恒例であり、朝の日課でもあった。

「ねぇママ?」
「んん~~?何~~?」

まどかは、自分の隣で、まだ少し寝ぼけた調子で歯を磨く母親に、ふと気になった事を尋ねた。

「ママは…『仮面ライダー』って単語に…聞き覚えがある?」

彼女が気になっている事、それは今朝がた見た夢の事であり、基本的に彼女は、
あの夢に対して『変な夢を見た』以上の印象を抱いては居なかったのであるが、
ただ一つだけ、気になり、引っかかっている事があったのだ。

―――『仮面ライダー』

まどかは、夢の中で出会ったあの奇妙なバイク乗りの事を、
自分が確かにそう呼んだのを覚えていたが、
実の所、まどかには『仮面ライダー』と言う単語に聞き覚えがなかったのだ。

一体、夢の中の自分は、何を思ってあの謎の人物を『仮面ライダー』と呼んだのか。
確かに、髑髏の様な仮面を被った、バイク乗り(ライダー)ではあり、そう意味では、
その有り様をありのままに形容し、読んだだけとも解釈できるのだが、
まどかには、どうにもそうではないような、そんな引っかかりを覚えていたのである。

何か…特別な意味を持った『単語/名前』であるような……そんな気がしていたのだ。

詢子ママは、歯ブラシを一旦口内から出すと、娘の質問に直ぐに答えてくれた。

「えぇ~~と……確か有名な『都市伝説』じゃなかった?」
「……『都市伝説』?」

詢子ママは、自分の知っている『仮面ライダー』についての情報を、
娘まどかに語って聞かせたが、その内容を簡潔に纏めてみれば以下の様になるだろう。

その顔を、髑髏、あるいは飛蝗を思わせるフルフェイスの仮面で覆い隠し、
その首には紅いマフラーを巻いて、白いバイクに跨った『正義の味方』。
毎晩、バイクで日本中を駆け巡り、闇の中に蠢く『怪物』達と、人知れず闘い続けているという、不死身の男。

それが『仮面ライダー』の伝説であった。

「なんか最近…これを元ネタにした特撮ドラマをやってるらしいよぉ」
「たっくんが喜んで見てるって知久パパが言ってたよーな~」

「ふーーん」

言われてみれば、毎週朝の日曜日に弟のタツヤが早起きしてテレビの前ではしゃいでたのを思い出した。
中学生ながら、若さに似合わぬのんびり屋さんのまどかは、日曜日に早起きする事は少なく、
例え早い時間に目が覚めても、たいていは二度寝をしてしまう為に、タツヤの見ている番組を一緒に見た事は無いのだ。
もしかすれば、あれが『仮面ライダー』を題材にした番組なのかも知れない。

「(でも……それだと……)」

不思議なのは、何故その『仮面ライダー』が自分の夢の中に出て来たのであろうか。
夢の中でヒーローとして出て来る配役としては、余りに自分と縁が薄い様な気がする。

「(……うーーーーん)」

まどかの夢の中であそこで出て来るのが適当なのは、
彼女の感覚的には『銀色の光の巨人』であるように思えた。

小さい時に見た、あのシリーズの主人公の1人が、自分と同じ名前だったから、
以来、まどかはあの特撮シリーズに何かと愛着があったのであった。

―――閑話休題

「んで……何でまどかがそんな事を聞くのさ?」
「んーーー……友達との話で名前が出て来て…何だろうなぁ~~って」
「ふーーーーーん」

そんな受け答えの後に、取り敢えずまどかは、
これ以上、あの夢の事を考えるのをやめにする事にした。

所詮は『夢』の話である。論理的に考えてどうにかなる話では、所詮ないではないか。
これ以上考えた所で、『答え』が出るとも思えない。

故にまどかは、直ぐに今朝の『夢』の事を忘却の彼方へと押し遣ってしまった。
夢に出た…『四色の騎士』の事も、『仮面ライダー』の事も。

この時―――まどかは知る由も無かった。

あの夢の出来事が…そう遠くない未来に…殆ど『正夢』の光景として、
現実に起きる出来事だと言う事を。

鹿目まどかは知らない。

『伝説上の存在』と…すなわち『仮面ライダー』と、
その『実物』と、自分が対面する事になるなどとは。

今、こうして、何気なく享受している日常が、
この日を境に、ガラガラと崩れてしまうという事を。

世界を隈なく覆い尽くす『闇』の一端が、
この『見滝原』を侵そうとしているなどと。

彼女は知る由も無かったのだ。





綺麗に整備された、見滝原の朝の白い街並みを、
朝の通勤ラッシュ…には少し早い時間帯でありながら、
それでもそれなりに走っている自動車の群れの中を、一台のバイクが走り抜ける。

―――『ホンダ CBR1000RR』

それが、そのバイクの車種である。
白を基調としたこの大型バイクは、2004年から、
現在である2011年まで継続して発売され続けている人気シリーズであり、
その最新モデルの一つであった。

それに跨り、この鉄の馬を軽快に走らせているのは、
一人の男と、一人の少女であった。
運転手は男の方で、少女はその広く大きな背中にしがみ付いて乗っていた。

男の身長が2メートル近くはあると思われる大男で、
通勤しているのか黒色の革ジャケットの下は以外にも濃紺の背広姿で、
白いヘルメットの下からは、癖っ毛の黒髪と、引き締まった剽悍な相貌が見える。

美男子――では無い。では無いが、決して醜くは無く、むしろある意味『美しい』と言える。
ただしその美しさは、単純な顔かたちの良さ、と言うよりも、風雨にさらされて研ぎ澄まされた巌を連想させる、
そんな剛毅木訥な内面が滲み出す、そんな無骨な『美しさ』であった。

そんな彼にしがみ付いているのは、平均よりやや背が低めの、中学生ぐらいの年齢と思しき少女であった。
燃える様な紅い長髪が、ヘルメットの下から伸びて、風に棚引いている。
中々の美少女であるが、どこか野性的な、負けん気の強そうな顔立ちである。

その身を包むのは…鹿目まどかも通う『見滝原中学校』のクリーム色を基調とした制服であった。

「なぁ……本郷の旦那」

信号が赤の為にバイクが止まった拍子に、
その少女は、自身がしがみ付いている男へと向けて、何やら尋ね始めた。

「私……その…あのさ」
「学校……上手くいくかなぁ?」

少しはにかむ様な、不安な様な調子の声で、少女は『本郷』と呼んだ男へと向けて問うたのだ。

「いや…そのさぁ」
「どうせ…通うのは『仕事』の一環だし」
「別に無理してクラスになじむ必要なんてねぇんだけどさ」
「その…やっぱり…学校に通うの自体…久しぶりだから…」

「色々と…その…」

そこから先は、声が急に小さくなり、何やらゴニョゴニョとしていて、
何を言っているのか上手く聞き取れなくなる。

『本郷』は、胆っ玉の強いこの少女が、珍しく緊張しているらしいのを、
その声の調子と…『心音』の高鳴りで理解し、クスリと小さく笑った。

この娘も…やはり『少女』であるのだ。
こういう所は、如何にも『年相応』で、何とも微笑ましい。

そう思えば『本郷』は、背後の少女を元気づけるべく。

「大丈夫だろう」
「君は明るいし…人の心が解る人間だ」
「クラスにも…直ぐに溶け込めるさ」

「えへへ…そうかな?」

背後の少女が、若干顔を赤くしているのを、
その心音と血流音から理解した『本郷』は、
信号が青に変わるのを確認すると、愛車のアクセルをひねった。

2人の向かう先は―――『見滝原中学校』。

男は『教師』として、少女は『生徒』として、
今日この日から、この中学校へと通う事になる。

それは…さる『目的』の為に。

男の名前は『本郷猛』。
そして少女の名前は―――





長い黒髪の少女…『暁美ほむら』は、外見こそ努めていつもの鉄面皮を装いつつも、
その内心は、かつて無い程に動揺していた。

その理由は……『有り得ないモノ』を見たからに他なら無い。

「それじゃぁ…暁美さん」
「今日からあなた『達』が通うクラスへと案内するから…ついて来てくれるかしら」

本日より自分のクラスの担任となる早乙女和子女史が自分を呼ぶ声が聞こえるが、
その声も、動揺に支配された彼女の耳には、まるで届きはしない。

それでも、彼女の体が殆ど無意識的に早乙女女史の後をついていったのは、
この動作を、彼女がそれこそ『何十回』も『繰り返した』が故か。

「なぁなぁ…アンタも転校生なんだろ?」
「同じ日に…同じ学校に、それも同じクラスに転校して来るなんて奇遇だよなぁ」

隣を歩くの赤い少女が話しかけて来るに、ほむらはかろうじていつもの冷たい視線を向ける事が出来た。
望まぬ『繰り返し』の中で、否応なく顔に張り付いた、冷たい鉄面皮に、今は感謝する。

かつての『弱い自分』であれば、動揺のあまり、とっくに正体を無くしていただろう。

「(どういう…事なの?)」

ほむらの中で何度も繰り返された疑問が、またも立ち上がる。
何度となく続く『繰り返し』の中でも、こんな事は一度たりとも無かった事なのだ。

余りにも、余りにも突然の予期せぬ事態に、彼女の心は『不安』と『期待』に押し潰されそうになる。

『繰り返し』の中で手に入れた、編み出した『パターン』が、この『時間軸』では役に立たないのではという『不安』。
『繰り返し』の中では今まで見た事の無かったこの新たな『事象』が、この『時間の牢獄』を突破する『鍵』となるのではと言う『期待』。

この二つの感情を、決して表に出さぬように努力しながら、ほむらは隣の少女を見る。

今までの『繰り返し』の中で何度も出会って来た『彼女』は今、初めて見る格好に身を包んでいる。
自分と同じ…『見滝原中学』の女子用制服に……

「アタシは…『佐倉杏子』ってんだけど…アンタの名前は?」

そう問うてくる、この『時間軸』では予期せぬ形での『初対面』となった『魔法少女』に、
暁美ほむらは、自分の名前を名乗り返した。

「――――『暁美ほむら』よ」

いつもの…静かで冷たい声で、そう返したのであった。





『監視対象「本郷猛」』
『ならびに「佐倉杏子」の』
『見滝原中学校への到着を確認』
『引き続き…監視を継続します』

「御苦労さま…ただし、無理はなさらない様に」

『監視員』からの無線連絡に『須藤雅史』はそう答えて通信を切り、
彼が腰掛けている椅子の背もたれに、その身を預けた。

見滝原中学校から少し離れた所に停車した大型トレーラーのコンテナーの中に今、須藤雅史は居る。
コンテナーの中には、数々の電子情報機材と、椅子とテーブルが置かれ、何人もの『監督官』が、
その機材を前にして、『監視員』や、『監視ロボット』へと指示を出し続けている。

「(全く……面倒な事です)」

須藤は、目前のコンソールの隣におかれていたマグカップを手に取った。
中のインスタントコーヒーは、ただでさえ味がイマイチな所に、冷めてしまっているが故に、とても飲めたものでない『泥水』同然と化している。

故に、ゲェッと嫌そうな顔を一つして、須藤はひと啜りしただけでマグカップから口を離したのだ。

「(やれやれ…小娘一人見張って…時が来れば誘拐するだけの仕事が……)」
「(まさかあの…『仮面ライダー』まで絡んで来る事態になるとは……)」

須藤は、自分の前で明滅を繰り返すモニターの一つをぼんやりと眺めた。
その中では、桃色の髪を赤いリボンで左右二つに纏めた少女が、青の短髪の友人と笑い合っている姿が写っている。
『彼ら』の…『最重要監視対象』であり…『標的』である少女…『鹿目まどか』であった。

「こんな小娘が……ねぇ」
「『宇宙の行く末を左右する』などと」
「本当なんでしょうかねぇ?」

そうぼやきながらも、須藤は他の監督官と共に、監視対象の観察を続ける。
莫大な『見返り』を与えられるのと引き換えに…『指令』は必ずこなさねばならない。

それが…その一員である筈の須藤雅史にも、その実体を正確には捉える事が出来ない…『組織』の『掟』。


須藤の所属する『組織』……その名は『ショッカー』と言う。





『鹿目まどか』を軸に絡みあった『因果の糸』は今、
この宇宙に無限の連なった『他の世界』の一つを引き寄せた。

その二つの『世界』が重なり合い、『同化』した時、新たなる物語は始まりを迎える。

『仮面ライダー』と『魔法少女』のモノガタリが―――今、始まる。



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