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さやか「銀河美少年?」 タクト「魔法少女?」

2011年09月05日 19:42

さやか「銀河美少年?」 タクト「魔法少女?」
さやか「銀河美少年?」 タクト「魔法少女?」後編

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/25(水) 16:31:40.19 ID:xCvGDlUj0

ヘッド「思っているよりも早くシンゴが目覚めてくれて助かったよ」


カタシロ「予定よりもだいぶ早いが…、シルシを受け取ったのか?」


ヘッド「あぁ。これで君から貰った方はもう用済みだ。

    直すにもリスクを伴うし、役に立たないモノの為にそのリスクを伴うのも馬鹿馬鹿しいよ…」


カタシロ「………」


不穏な空気が流れる。

カタシロは無口で無愛想な男である為、その感情は表には出ていない。

だが…。

今ヘッドが持っているシルシはカタシロから譲り受けたモノ。


ようするに彼の発言は他人から貰ったモノを壊しただけでなく、元の持ち主の前でそれに対して唾するに等しい行為だ。

元の持ち主がどういう心境でそれを渡したかにもよるが、普通の神経であれば良い気分のする行為ではない。


それでも傲慢なヘッドはカタシロに対して、強気な姿勢を崩さない。


ヘッド「不満かい…?」


カタシロ「いや…」


ヘッド「どっちにしろ、これは返しておくよ。

    使うつもりなら、アブリボワゼの際にリスクを伴うけどね…。

    それでもシルシがないよりはサマになるだろう」



カタシロ「………」



ヘッドのシルシが一瞬だけ輝き、その形を失う。

サイバディに乗る資格であるシルシは、持つ者の意思次第で他人に譲渡できる。

かつてヘッドがカタシロから受け取ったシルシは、元の持ち主の元に帰る。







………筈だった。




カタシロ「シルシが現れない…?」


ヘッド「………何?」


ヘッド「そんな馬鹿なことがあるか。

    よく調べてみたらどうだ」


カタシロ「いや、シルシを持った時のあの感覚は今でも忘れない。

     俺はシルシを受け取っていない」


いつもより厳しい顔をしたカタシロに呆れたヘッドは元はシルシがあった箇所をカタシロへ見せる。


ヘッド「僕は知らないぞ。見ろ、僕の所にシルシはない」


カタシロ「…………」



重い重い沈黙の中、カタシロが小さく呟く。

自身への蔑みを含んだその言葉は小さくも、確かにヘッドの耳へ入る。



カタシロ「……拒まれたのかもな」



あり得ない発言をしたカタシロをヘッドが笑う。

そう、本来はあり得ないのだ。



だが、カタシロは思った。

仮にサイバディに心があるとすれば、どれだけ自分が惨めな姿になろうとも、一度自分を捨てた者の所になど戻るだろうか?

まして、サイバディの搭乗者に求められるリピドーなどとうに無くした自分の元になど…。



せめて…。

今度は良い持ち主の元に宿って欲しい。

カタシロはそう願った…。




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────────

────

──


さやか「もう何もかも…、訳わかんなくなっちゃった…」


杏子「おい!」



そう、何もかもがわからなくなった。

あたしの目の前は真っ暗だった。



事故で夢を追えなくなった一番大切な人の為に魔法少女になり、

契約の『願い』でまたバイオリンを弾けるようにした。


だけど、その人はあたしを見てはくれなかった。

たぶんほんの僅かも…。

おまけに魔法少女になってから命を助けたあたしの友人が、そいつの事を好きだと言う。



あたしはまるでピエロのよう。

笑える話だ。



マミさんのように、魔女を人知れず倒す正義の味方になろうともした。

でも、現実は甘くない。

戦えば戦うほど消耗していくのがわかる。



体の事じゃない。

あたし達、魔法少女の体は魔力で回復する、魂のない死体同然の戦いの道具。

疲れなんてそうそう感じない。



疲れているのはたぶん、心の方なんだろう。

自分で下らないと思いながらも、明確にそれが溜まってくのがわかる。



誰にも知られず、感謝もされない。

正義の味方なんて聞こえはいいが、所詮は泥臭い縁の下の力持ち。

祝福するものなんていない。



勿論あたしだって誰かに祝福されたくて戦かったわけじゃない。

だけど、あたしの弱い心は言う事を聞かない。

あぁ、結局あたしも誰かに見て欲しかっただけなんだと自己嫌悪。


でも、あの転校生やここに居る杏子って子のように関係ないと割り切る事もできなかった。



結局、自分の裁量を超えて戦って…最期はこのザマ。

本当にピエロのようだ。



(…!)



さやか「希望と絶望のバランスは差し引き0だって、いつかあんた言ってたよね…?

    今ならそれ…、よくわかるよ。」


恭介の手を治すのがあたしの希望だった。

じゃあ、恭介を含めた他の現実に裏切られるのが、たぶん絶望なんだろう。

治らない手を治す奇跡ってのはやっぱり相当重いものらしい。



(……!)

何か聞こえたけど、空耳だとあたしは無視した。

さやか「確かにあたしは何人か救いもしたけどさ…。

    だけどその分、恨みや妬みが溜まって…。一番大切な友達さえ傷つけて…!」


杏子「さやか、あんたまさか!」



恨み、妬み…。

綺麗事を抜かしてもあたしは結局そこに落ち着いたんだ。

正義の味方ではなく、正義の味方ごっこをしていただけ。

マミさんのような本物にはなれなかった。


そして、まどかに八つ当たりした。

最後までこんなあたしの事を見ててくれた優しいあの子さえ…。



(………!)

また何か頭に響く。

けど、それに対して言及する気力はあたしにはもうない。

さやか「誰かの幸せを祈った分、誰かを呪わずにはいられない…。

    あたしたち魔法少女ってそういう仕組みだったんだ…」



これがQB、あいつが仕組んだ魔法少女の真理なんだろう。


そして、その先に待つのは恐らくだけど『魔女』。

自分自身が腐って近い存在になっているのか、予想や妄想じゃ無くて確信に近いモノを持って言える。


あたしが敵としてきたあの醜い存在。

魔法少女が、穢れて魔女になるなんてもっともらしい。


でも…。

もういい。

あたしは疲れた。

それになって、綺麗な演奏でも聞いていたい。

恭介が弾いてくれないのなら、あたし自身がそれを弾こう。

それだけが今のあたしの望み。

誰にも邪魔はさせない…!




さやか「あたしってほんとバカ」








あたしの全てはそこで終わった筈だった。



終わった…そう思ったのに何かが響く。

その声があたしの終わりを許さない。

さっきから煩く響くそれはここに来て鮮明になった。




(煩いな…、さっきから何よ!)

(カナシイコエ…)

(だから何…? あたしはもう…何もかもどうでもいいのよ…!!)

(ナニモカモニミステラレタ…)

(邪魔…、しないでよ…!!!)

(オナジクルシミ…、ワカチアイタイ…)

(そっか、あんたも…)

(コドクハ…モウ…)

(なら、最後くらい一緒に終わろうか…)

(…!)

(そう言えば…、いいの…?)








さやか「…………アプリボワゼ」


あたしの胸の中央で何かが淡い光を放った。

そんな気がした。


その言葉は『コイツ』を呼び出す為の呪文のようなものだったらしい。

でも、その時の『コイツ』は壊れてた。

壊れてるそれを呼び出すと、それは自己を修復する為に呼び出した者のリピドーを食うんだそうだ。


リピドー。

野心、野望、欲望。

綺麗な物である必要はなく、破壊衝動や嫉妬心、執着みたいな醜い感情でさえ、その中に含まれる。


じゃあ、魔女になるほどの魔法少女の穢れは…?


答えはその時のあたし自身が証明することとなった。


謎の声とも話が付き、ギリギリで持ちこたえてたあたしのソウルジェムも限界を迎えたのだろうか?

あたしを中心によくわからないエネルギーが吹き出る。



杏子「くそっ、さやかっ…!」



結果的に横であたしの最期をみとる事となった杏子がエネルギーの奔流に飛ばされないように耐えている。


あぁ、これが魔女になると言う事なんだ。

周りに汚物のようなエネルギーを撒き散らして、醜い何かに変貌していく…。

あたし自身はそれに取りこまれてもう動けない…。

あぁ…、これでやっと…。


────────

────

──

タクト「!?」


ワコ「…ゼロ時間!」


スガタ「……綺羅星十字団か?」


ゼロ時間。

それは主に南十字島に存在するサイバディなる人型ロボットを封じた特別な時空の事で、

まず、シルシか綺羅星十字団の所持する特製の仮面を持つ者以外の時間が停止。

その後、時間停止しなかった者達を特別な空間の中へ強制転送する仕組みを持っている。


これの発動は誰かがサイバディを起動したということと同義で、

同時にタクト達にとっては、ゼロ時間の封印を持つワコを狙う綺羅星十字団との決戦の合図でもあった。


だが、その日のゼロ時間は何か様子がおかしかった。


本来ゼロ時間の発動は綺羅星十字団側の作戦行動である為、その幹部に当たる各分隊のリーダーへは事前に予定が聞かされる。

仮面を装備しておく事で、ゼロ時間外へ弾かれないようにする為である。

だが、今日のゼロ時間にはその綺羅星十字団の観戦者が極端に少ない。


タクト「アレは、この前戦った…!」


スガタ「しかし、あの様子は…」


ゼロ時間に現れたのは、先日タクトと戦闘し、彼を苦しめたヘッドの所有していた筈のサイバディ。

だが…。


イヴローニュ(たまたま綺羅星十字団の活動中で仮面があったから良いが…、いったい誰だ?)


ソードスター「おいおい、連絡のないゼロ時間とか誰だよ」


スティックスター「どうせ、ヘッドでしょ…?」


バンカー「いや…、違う」


ヘッド「聞かされていないゼロ時間の発動だと…。

    あれは…? いったいどういうことだ…!?」


ヘッドはサイバディに乗りこんでいなかった。

他の者同様、ゼロ時間内に発生する球体桟敷の中で事態を見ていたのだ。


ゼロ時間の中央に立つ巨人。それは確かにヘッドが先日まで所有していたサイバディ。

しかし、そのドス黒いオーラに染まりきったそれは先日ヘッドが駆ったモノとは異なる禍々しい存在だった。


黒いオーラのサイバディは眺めるように周囲を見回す。

そして、一人の男を見つけるとその動作を止め、赤く鋭い眼光を放った。



綺羅星十字団の攻撃目標はゼロ時間を守るワコ、ないしそのワコを守るタクト。

それ以外を狙うのはまずあり得ない筈だった。

だが、その巨人はその二人が居る方向とは真逆の方向へ進んで行く。



ウインドウスター「ウフフ…w なぁにアレ?w」


ニードルスター「わからないけど…。面白い事になって来たね」


ヘッド「僕の方に向かってくる!?」


ヘッド(なんだコイツは…?)

ヘッド(くっ、僕がアプリボワゼするしか…?)

ヘッド(しかし、僕のサイバディがアレになった事がバレれば僕の計画に支障が出る可能性が…!)


ヘッド「くそっ…!!! アプr…」



タクト「アプリボワゼェェェェェェ!!!!」



タクトの叫びと共に、貴公子のような外見をした、姿だけはヘッドを狙うサイバディそっくりな巨人が現れる。

しかし黒いオーラに染まった邪悪なそれと違い、タクトの背後に現れた巨人は白と赤を基調とした正義の味方そのものと言った印象だ。

巨人の胸にある赤い球体へタクトが吸い込まれ、その服装は演劇の衣装のようなモノへと変わる。




タクト「颯爽登場! 銀河美少年ッ、タウッ!バーン!!!」




タクト「パイルッ!」


登場もそこそこに、タクトはさっそく攻撃を仕掛ける。

彼の声とともに腰の後ろに浮いていた4つの小型兵器を飛ばし、それに敵を牽制させる。


小型兵器の放った無数の光線が黒の巨人の動きを止める。

その瞬間、黒いオーラを纏う巨人の攻撃対象はヘッドからタクトの乗るタウバーンへ移った。



タクト「そいつへは僕も色々あるから、わからないでもないんだけどさ…。

    だからって、丸腰の相手を狙っちゃまずいでしょ…」


?????「………」



振り返るその黒いオーラの巨人は強烈な禍々しさを放つ。

連戦連勝のタクトですら寒気を覚えるほどの殺気を放つと、

どこかゆっくりとしたそれまでの動作から想像できない速さで、タウバーンに襲いかかった。

タクト「速いッ!」

眼前に迫った巨人が繰り出す拳を咄嗟に防御するタクト。

だが、想像を超える威力を持った拳にガードごと後方へ弾き飛ばされる。

ふらふらと後方へ飛んだタウバーンに付け入る隙を見たのか、黒の巨人は追撃に走った。


だが、タクトも伊達に何度も戦ってはいない。

態勢を立て直し、同時にパイルを動かした。


その速さは確かに脅威だ。

だが、二度同じ技を食らうタクトではない。


空中へ配置した4基のパイルが、黒の巨人を迎撃する。

手に、肩に、腹に、背に、頭に、肘に、腿に…。

次々と攻撃を受ける黒の巨人。


何度も攻撃を受け、あちこちの装甲が剥がれて痛々しい姿になっても進み続ける。

速度を落としながらも巨人は前進することをやめない。


タクト(来る…!)


タクトは反射的にパイルを戻してバリアを作り出す。

先日戦った強敵、ヘッドが言うにパイルとは『本来はこう使う』ものらしい。


タクトの予想通り、距離を詰めた黒の巨人は先ほどのそれを上回る高速で自分の間合いに入って一撃を繰り出す。

バリアはそれを防いだが、敵は怯まずに二撃、三撃と続けた。


ただ、ただ、ただ、ただ殴り続けた。


そんな戦い方をすれば搭乗者もただでは済まないような、乱雑で粗暴な動きを繰り返すサイバディ。

そのパワーも相まってタクトは完全に防戦一方になる。




ワコ「タクト君…!」


スガタ「………」


スガタが右手を大きく振りあげる。

彼だけが持つ強力な特殊能力『王の柱』。

その一撃で援護を行う為の予備動作である。


ワコ「スガタ君、ダメッ!」


『王の柱』は確かに強力。

しかし、それを使えばスガタは目覚める事のない眠りに落ちる危険性がある。

ワコが制止するのも無理はない。




スガタ「言ってる場合か!」


普段は冷静なスガタが苛立ちを見せる。

状況が切迫している証拠だった。


ワコの制止を聞かず、王の柱を発動させるスガタ。

ゼロ時間内の上空から地上へ、青白い光の柱が黒の巨人に向かって落ちていく。


ヘッド「…無駄だな」


『王の柱』はいかに強力と言えど、所詮第一フェーズの能力。

先日二人目の巫女を破り、第三フェーズへ到達したサイバディにはもう通用する力ではないのだ。



光の柱を弾く黒の巨人。

圧倒的な量の光が周囲へ拡散する。



本来であればヘッドが正しい筈で、実際黒の巨人に王の柱によるダメージはなかった。



あたしは眠っていたのだろうか…?

あるいはまだ眠っているのか…。


何かが一瞬だけあたしを呼んだ気がして、気付いてみれば全身がドス黒い何かに縛られているような感覚…。


これが魔女になった感覚なんだとすれば、笑えない。

何も見えない、何も聞こえない、ただただ黒い闇の中で動いてる感覚だけがある…。


『助けて』

そう言おうと思ったけどやめた。

こうなったのはある意味自業自得だ。

勝手に誰かを救って、勝手に戦って、勝手に絶望して、勝手に堕ちた。


こんなあたしを救う必要なんて誰にもない…。



少女は助けを求めなかった。

だが、その悲しい心が僅かに漏れる…。


タクト「ようやくあんたがわかったよ…」



タクト「あんたもいつかの眼の奴の時と同じだったんだ…」



アインゴッド。

かつてタクトが戦った巫女を探し出す『眼』を持つ邪悪なサイバディ。

搭乗者を取りこんで暴走した所を『王の柱』で弱らせ、タクトが倒して暴走を止めた。



今思えば黒いオーラを纏って暴れまわる目の前のサイバディは、アインゴッドの時のそれによく似ていた。


『やりたい事とやるべき事が一致した時、世界の声が聞こえる』


タクトの旧友の受け売りである。

だが、それを信条にするタクトがその状態になった時、その力はいつもよりさらに強く発揮される。


タウバーンを守っていたバリアが強い光を放って黒の巨人を弾き、僅かだが隙が生まれる。

その瞬間にタウバーンは今までにない構えを取った。


タクト「そんな闇の中に埋もれて、声も出さずにいる必要はないさ…!」


タクト「今、そこから助け出す…!」


タクト「銀河の光よ!この身に集え! 輝く流星! タァウッ!ミサイィィィィィルッ!!!!」



搭乗者がいるコアを抉りだす事で、相手を殺す事無くサイバディを撃破するタウミサイル。


この技で抉りだしたコアの中には、全てに絶望し魔女になる筈だった少女の姿があった。


敵対するサイバディを倒せばゼロ時間は解除される。

この時、ゼロ時間内にいた人物もゼロ時間発動前に居た場所へ戻されるようになっている。



タクト「え…?」


だが…。

この時のゼロ時間は最初から最後までおかしかった。



さやか「あははははは…。 どうも~……」


タクト「ええええええぇぇぇぇぇぇ!?!?」


気が付けばあたしは見知らぬ男の人と、たぶんその人の部屋に二人向き合っていた。


普通だったら、女のあたしの方が貞操の危機!とか言って動転する場面なんだろう。


でも、あたしは落ち着いていた。

この人があたしの恩人だってこと知っていたから。


何も見えない闇。

そこから光が射して、突然この人は現れた。


片方の手であたしの手を掴んで、もう片方の手で闇を突き破る。

気が付けば、あたしは魔女の外へ連れ出されていた。


何もかも諦めたあたしを、わざわざ助けに来てくれた。

救う価値も、救われる資格もないであろうあたしを。

それが当然と言わんばかりに…。


タクト「な、な、なんでこんな事に…?」

タクト「やっぱあの技まずかったのかな…?」


あの時の凛々しい顔と打って変わって、動転する様は面白いけど、

いい加減「わかってますから大丈夫ですよ」って切りださないと可愛そうに思えてきた矢先だった。


タクト「…すいませんでした」


さやか「…え?」


タクト「なんか無茶苦茶な技を使って、結果見知らぬ男の部屋連れ込むような形になって…」


確かに魔女をぶち破って、中にいるあたしを助けて脱出するあの技は無茶苦茶だけど、

あの人の驚きようをみても、この結果は不可抗力なんでしょ…?

それでも謝罪を行う誠実なこの人に、あたしはますます好感を覚えた。


比較するのはどうかとは思うけど、毎日毎日見舞に行ったのにお礼の一つも言いに来ない恭介に爪の垢でも煎じて飲ませたいくらい。

あ、思い出したらムカムカしてきた…!


さやか「そんな、やめてくださいって!

    あたしも、あなたが魔女の中から助け出してくれたあの状況わかってますから…!」


タクト「……魔女?」


なぜ疑問形?

あたしの発音が悪かった?

いや、魔女なんて言葉から発音違いで聞き違うような語句は思いつかない。

確認する意味も含めて、もう一度返してみる。


さやか「あたしは魔女になって暴れてたんじゃないんですか?」


あたしの記憶を辿って状況を整理すると、魔女になってしまって暴れたって線がもっとも濃厚だと思うんだけど…。

よくよく考えれば魔女の中から魔法少女が出てくるなんて状況、そもそもあり得るんだろうか…?


魔法少女が堕ちると魔女になるってのはあたしの思い込みで、もっと別の何かになるんだろうか…?


あたしが僅かに考える事ができる程度の間をおいてから、彼から質問の答えが返ってくる。


タクト「…なんか話が見えないけど、綺羅星十字団では暴走したサイバディをそう呼ぶの…?」


さやか「キラ…? サイバ…? 何それ?」


全く知らない語句が返ってくる。

たぶんあたしの魔女発言を聞いた彼も同じ心境だったんだろう。


あたしとこの人。

似たような何かを知っているようだけど、どうも話が噛み合っていない。


そもそも今まで気にせずにいたが、この人の性別はどう見ても♂。

助けてくれた時の派手派手な格好がそれっぽいので気にせずにいたが、魔法少女になれるのかさえ疑問だ。


『魔法少年』と言うなんとなく胡散臭い気のする語句が浮かんだが、

聞いた事がない言葉を想像で繰り出すとますます訳がわからなくなるから、そのまま確認してみる。


さやか「あなたは魔法少女………か、それに似た何かじゃないんですか?」


タクト「君は綺羅星……かはともかく、銀河美少年じゃないの?」



さやか「銀河美少年?」

タクト「魔法少女?」


互いの最終確認の言葉は、やはり空振りしあって終わった。


タクト「とりあえず互いの持っている情報を洗いざらい話して、交換しようか。

    そうしないと、互いに質問攻めになっちゃうし」


そうするより他にない。

互いに互いの情報を知ってそうで知らない。

それならば、互いに互いの知っている事を0から話して、情報交換するしかないんだろう。


タクト「まずは互いに自己紹介だけでもしておこうか。

    僕はツナシ・タクト。年は16。この島にある南十字学園に通ってる」


さやか「あたしはさやか。美樹さやかって言います。

    見滝原ってとこにすんでまして、そこにある中学の2年になります…」


互いに簡単な自己紹介が済んだ所で、タクトさんから話を聞く。

タクトさんは「どっちから先に話す?」って聞いてくれたので、あたしは後にしてもらった。


先にあたしの話を聞いたら、タクトさんが気が滅入って話しにくくなっちゃうかもしれないから。


タクト「僕もここへ来てそこまで経ってないから簡単な事しか話せないけど…」


タクトさんは話してくれた。

サイバディとシルシ、スタードライバーの事。

ゼロ時間とそれを守る巫女の事。

最強のサイバディ『ザメク』とそのドライバーの事。

巫女を狙い、サイバディを世界に解き放って悪用を目論む綺羅星十字団の事…。


さやか「タクトさんはその巫女のワコさんを守る為に、綺羅星十字団と戦ってるんですね…?」


タクトさんの在り方は、あたしのなりたかった理想の魔法少女の形によく似ていた。

(これはあたしの予想だけど)想い人の為にその身を省みず、世には出てはいけないモノを封じる為に人知れず戦う…。

そして、そんな生き方をしながら何を省みる訳でもない…。


なりたくてなれなかった理想の生き方をする彼を僅かに妬む自分に呆れながら、

今度はあたしが、重苦しい魔法少女の身の上話を自虐気味に話し始めた。


さやか「お恥ずかしい話になっちゃいますが…」


あたしは話した。


願いと引き換えに魔女と戦う宿命を背負う魔法少女の事。

大切な人の指が治って、またバイオリンが弾けるようにと願い、魔法少女になった事。

今は亡き憧れた先輩魔法少女のように、人々を守る為に戦う正義の味方になろうと思った事。

理不尽な魔法少女との出会い、動く死体と変わらない魔法少女の真実。

そして大切な人を想う友人に対し、何もできなかった事。

ただ一人あたしを想ってくれた親友に八つ当たりして、何もかもに絶望し魔女になった…筈だった事。


途中彼に気を使わせないように、深刻過ぎる部分は話すのをやめようかとも思った。


でも…、そのままを伝えた。

途中を削ってうまく伝えるほどの頭はあたしにはなかったし、それに何より…。



誰かに聞いてほしかった。

似たような人智を超えた世界に身を置いた彼は、あたしにとってこの上ない相手だった…。


さやか「………」


タクト「………」


重苦しい空気が流れる。


そりゃそうだよね。

こんな話して同情引けばこうもなる…。


タクト「あのさ…、これ使いなよ」

さやか「え…?」


彼は持っていたハンカチを手渡してくれた。


それを渡されて初めて気が付いた。

涙が頬を伝っていた。


さやか「あはは…。なんで…?

    おかしいな…、こんなつもりじゃ…」


そんなつもりは無かったのに…。

それでもあたしは涙を堪え切れなかったみたいだ。



タクトさんは、自分の涙に困惑するあたしの頭を軽く撫でると…。

ずっとあたしが欲しかったその言葉をかけてくれた。





タクト「よく…、頑張ったね」


見返りを求めて戦った訳じゃないけど…。

感謝の言葉が欲しくて戦った訳じゃないけど…。


それでも…。

ずっと…。

たぶん、あたしが欲しかった言葉…。



その言葉をきっかけにあたしの涙は溢れ続けた。

今日あったばかりの人の前で、号泣し続けた。


────────

────

──


さやか「…あの、ありがとうございました」


ようやく泣きやんだあたしに対し、タクトさんは何を言うでもなく笑顔で返すだけだった。

彼の笑顔を見てようやく我に返り、思いっきり泣き顔を晒してしまった事実に気づき、恥じらいが押し寄せてくる。


さやか「あの…///」


タクト「…?」


さやか「今泣いた事、秘密にしてくださいね…?///」


タクト「…言わないよ」


優しくて温かい笑顔。

この人にもっと早く出会えていれば…。

明日はまた戦うだけの日々に戻るとしても、せめて今だけはこの人の優しさに触れていたい…。


だけど、そんなあたしの願いは届く事無く、無情な星々は再び時を止めた。


それは突然起こった。

周囲の景色が凍りつく。


さやか「え…? 何これ…?」


タクト「ゼロ時間…!

    こんなに早く、また仕掛けてくるのか!?」


そして、間もなくあたしとタクトさんは魔女の結界の中とはまた少し違う妙な世界に飛ばされた。


これがゼロ時間。

タクトさんの話に中にあったサイバディを動かした際に起動する、閉じた世界…。

よく見れば周囲に泡のような物が浮かび、その中にはそれぞれ仮面を被りエキセントリックな格好をした怪しげな連中がいる。


ヘッド「やはりいたな、もう一人の銀河美少年…!」


その中の一人、紫とピンクの中間の色をした髪をした青年らしき仮面の男があたしを見て何かを言っている。

こいつらが、綺羅星十字団だと言うのはさすがのあたしにもすぐわかった。



ヘッド「ツナシ・タクト一人ならともかく、二人も銀河美少年が敵対する可能性があっては、我々の計画に差し支える。

    頼むぞ。ウインドウスター! ニードルスター!」


ウインドウスター「絢爛登場! 銀河美少年、ヘーゲント!!」


ニードルスター「貴介公子、一刀両断! 銀河美少年、コフライト!!」


ゼロ時間に二体のサイバディが現れる。

ファンタジーに出てくるゴーレムのような外見が印象的な『へーゲント』と、

重厚感のある黒と各部の金が高級感を感じさせる『コフライト』。


現れた二機のサイバディのドライバーは会話をしながら、こっちへ向かってくる。


ニードルスター「確かに敵勢サイバディが増えたのに、こちらの戦力を削るあのクーデターはまずいことになりかねないけど…」


ウインドウスター「まぁ良いじゃない。せっかく許可が下りたんだから楽しみましょ?」

タクト「さやかちゃん…、やっぱり君は…」


さやか「そう言えば、なんであたしがゼロ時間に…?」


スタードライバーの証であるシルシを持つか、綺羅星十字団の仮面を付けない者はゼロ時間の外へ弾かれる。

そう聞いていた。


それなのにあたしはここにいる。

魔法少女は例外となるのか、それとも…。


近寄ってくる二体のサイバディはあたしに考える時間を与えてはくれない。


タクト「二人同時になんて…、そんなのアリ?」


ウインドウスター「そっちだって二人じゃない。

         それに、いい加減一体づつ相手するのにも飽きたでしょ?」



今までは綺羅星十字団側の事情やプライドもあったのか一騎討ちで行われ続けたと聞いた。


でも、今日の敵は二体同時に現れてる。

やはり、あたしの存在は何か変化を及ぼしてるの…?


タクト「さやかちゃん…。ここは僕に任せて」

さやか「でも、タクトさん…!」


タクト「良いから…! 早くここから離れて…!」




あたしが渋々駆け出したのを見て、タクトさんはアプリボワゼを始める。




タクト「颯爽登場! 銀河美少年ッ、タウッ!バーン!!!」


タクトさんのサイバディ『タウバーン』

その姿はとても頼もしい…。

だけど…。


ニードルスター「もう一人はどうした…?」


タクト「あの子は関係ない。相手は僕一人でする」


ニードルスター「あまり舐めるなよ…。早くもう一人を…」


ウインドウスター「良いじゃない」


ニードルスター「ウインドウスター…? しかし…」


ウインドウスター「私達の主義には反するけど、そのよろしくない口が叩けないように少しだけ痛めつけてあげましょ…?

         あの黒いのも、それを見れば気が変わって出てくるかもしれないし…!」


タクトさんは善戦していた。

だが、相手の実力は高く、しかも連携に隙がない。


飛行形態へ変形し、高速移動して射撃を行うコフライトと肩や腕、脚から現れる複数のレンズから放つレーザーで広範囲を攻撃できるへーゲント。

おまけにこの二機は光の剣を使った剣術も得意としている。



ウインドウスター「そろそろ助けを呼ぶ気になったんじゃなぁい?」


タクト「誰がッ…!」


ニードルスター「ウインドウスター。これ以上は…」


ウインドウスター「わかってるけど、一応あちらからの指示はどちらかの銀河美少年を始末する、よ」



ウインドウスター「指示に従うだけが能じゃないけど…。

         せっかくだから、あの黒いのを纏ったのとやりあってみたいじゃない」


ニードルスター「だけど、これ以上続ければ…」



ウインドウスター「ウフフ…。ようやく反応してくれたみたい」


見てられなかった。

タクトさんならひょっとしたらと、できることもしないで甘えた自分が恥ずかしかった。

あんな魔女よりも大きくて頑丈そうな相手に、あたしの力が通じるかはわからないけど…。



さやか「はぁぁぁぁぁっ!!!」


一瞬で魔法少女に姿を変えたあたしは、一気に跳躍しへーゲントの頭部目掛けて斬りかかった。



さやか「ッ!」


敵はあたしの斬撃を避けもしなかった。

それもその筈で、頑丈な敵の装甲に折られたあたしの剣の刀身は、どこかへ飛んでいく。


ウインドウスター「それがあなたの第一フェーズ? なかなか便利そうだけど…」


輝く剣を持たないへーゲントの左手が動く。

それを見たあたしは敵の顔を蹴って地上へ向かって逃げる。

羽虫を払うように動いた左手は空振り。


だが、へーゲントには態勢を変えずに撃てる武器がある。


ウインドウスター「そんなものでサイバディを倒そうってのは、馬鹿にしすぎじゃないッ…!?」


肩や腕、脚にある蓋が開き、現れた赤いレンズから一斉に放たれるレーザー。

わざとだろうが、そのレーザーはあたしには当たらず地上へ着弾、爆風をもってあたしを吹き飛ばした。


さやか「ぐぁっ…」


あたしは受け身を取れずに地上へ叩きつけられる。

敵のサイバディは、そんなボロボロのあたしを見下しているように見えた。


その様子を見たタクトさんのタウバーンがこちらへ向かおうとしているのを見る。

だが、その動きは飛行したコフライトに封じられる。



ウインドウスター「逃げてるだけじゃない分マシだけど…。結局は腰ぬけなのね」


さやか「何…?」


ウインドウスター「だってそうでしょ…? 

         復活時にリビドーを吸い取られるリスクが怖いか、暴走して見境なく暴れるのを恐れてるのか知らないけど、

         自分のサイバディを使わずに人任せにしてる…」



ウインドウスター「結局は怖いんでしょう…? アプリボワゼするのが」

ウインドウスター「この、腰ぬけ銀河美少年…!」


さやか「え…!?」


へーゲントのドライバーは言った。

あたしの事を『銀河美少年』だって。


タクトさんとあってすぐの時、彼はあたしの事を銀河美少年かと聞いた…。

でも、あれは魔法少女をそれと勘違いしていたんじゃないの…?




タクト「よせっ! その子は…」

ニードルスター「どこを見ているッ!」


こちらへ向かおうとしたタウバーンを飛行したコフライトが回り込み、再度妨害する。


あたしは銀河美少年…?

そう考えれば今あたしがこのゼロ時間にいるのも納得できる…。


じゃあ、サイバディを呼び出せるの…?

だけど、あたしのサイバディは…。




ウインドウスター「煩いわね…。あと少しなのに…!

         とりあえずあっちのサイバディ、一度壊して黙らせておこうかしらッ!」


へーゲントの方向がタウバーンへ向く。

それが何を意味するかは言うまでもない…。


さやか「やめてッ!」


ウインドウスター「そこで黙って見てなさい!」



こんなあたしに労いの言葉をくれた優しい人。

その人があたしを守って死ぬ…?

また、繰り返すの…?


マミ『え…?』



まどか『あ…』

さやか『あぁ…』



優しかった先輩が血に染まる。

あたし達を気にかけてくれたその人が、物言わぬ惨たらしい死体に変わった瞬間。

その凄惨な光景、今でも忘れられない。


もし、あの時あたしが魔法少女になるのを迷わなかったら…?


そうだ。あたしが迷ったから助けられなかった…。

また、あれを繰り返すの…?



そんなの…。

嫌だ…!


ウインドウスター「消えなさい!タウバーン!」


タクト「くっ…!」



コフライトの前で肩膝を着いたタウバーン…。

離れた位置のヘーゲントのレンズを隠す蓋が開く…。

腕の、肩の、腰の赤いレンズが輝く…。



さやか「アプリボワゼェェェェェェ!!!!!!」



何かが体のあちこちにまとわりついてくる。

それがあたしに触れる度、意識が飛びそうになるのにその量はだんだんと増えていく。


視界が暗くなって、何も聞こえなくなる。

その状況は魔女になった時のそれに似ていた。


でも…。


『よく…、頑張ったね』

あの人はそう言ってくれた。

何もかもに負けて、全部投げ出したあたしに。


―よく頑張った?―

確かにそうだったかもしれない。

でも今は…?


―頑張らずに諦めるの…?―

そうなればどうなる…?

楽になれる…?


―頑張るって何を?―

わからない。

でも、このまま流されればきっとそれはできていない筈。



もう一度だけ…、頑張ってみよう。

もう一度だけ…!


……さやかのアプリボワゼ。


それは無事成功した。

サイバディ修復の際に行われる、リビドーの徴収にも彼女は負けなかった。

ゼロ時間に4体目のサイバディが現れる。


しかし、その姿は先にタクトが破壊したドス黒いオーラを纏う禍々しいモノだった。


ウインドウスター「コレよ、コレ! コレを待ってたのよ!!!」


ヘーゲントがさやかの乗る黒のサイバディに襲いかかる。


ヘーゲントの放ったレーザーが黒のサイバディを派手に吹き飛ばす。

黒のサイバディはまるで糸の切れたデク人形のように転がる。


狂気のままに暴れまわった、タウバーンとの戦闘の時とは大きく様子が違っていた。


さやか「これ…」


あたしは再び真っ暗な空間で、全身を纏う黒い何かに縛られていた。

見覚えのあるこの光景は、魔女の中だと思い込んでいた空間。

それはこのサイバディの中だと言う事がわかった。


だけど…。

先のそれに比べると少しではあるけど圧迫感が弱い。

あの潰されるような縛りは薄らいでいたから、あたしは出来る限りの抵抗をしてみた。

不快感を撒き散らすこのサイバディが動きまわれば、どうなるかは言うまでもないから…。


さやか「でも、これやっちゃったのはあたしか…」


さっきの奴はサイバディの修復にはリビドーがどうたらって言っていた。

そして、あの時のあたしにそんなのがあったとは思えない。


でも、魔女に至る魔法少女の穢れがリビドーになるとしたら…?

一度目のアプリボワゼの際に穢れを吸い取ったこのサイバディはこの姿になったと考えられなくもない…。


さやか「自業自得だって言うならさ…。何とかしないとね…」


ウインドウスター「つまらないわねぇ…。何で動かないの…?」


地面に転がった黒のサイバディを眺めて退屈そうに言う。

飛行を行うコフライトに苦戦するタウバーンを横目に見ながら、先ほど同様数の少ない観戦者たちの注目は黒のサイバディにあった。


スガタ「………王の柱を使う」


ワコ「ダメだよ、スガタ君! 今日二回目だよ!?」


スガタ「あのサイバディ。さっきと様子が違う」


ワコ「でも、さっきだって効果はなかったじゃない。

   第三フェーズのサイバディに、第一フェーズの王の柱は通用しないよ!」


スガタ「…だが、あの時一瞬でも奴の動きは鈍り、その際にタクトが何かを感じ取ったのは事実だ」

スガタ「今度は最初からそれが感じ取れる…。

    中で何かに足掻いているような感覚。これならばあるいは…」


ワコ「ダメだよ…! そんなの危険すぎる!」


スガタ「危険は百も承知だ。だが、このまま行けば俺は愚かタクトもワコも、そしてあいつも…。一人残らず全滅するぞ…」


ワコ「でも…」


スガタ「やるしか…ないんだ」


ワコもわかってはいるのだ。

ただ、そのリスクを考えると制止せずにはいられなかった。


ワコ「…じゃあ、一つだけ約束して」


スガタ「…?」


ワコ「…明日はスガタ君の家で朝食。

   タクト君とあの子も一緒に、4人で」

―明日もみんなで一緒に―

自分もタクト君も、そしてスガタ君も欠ける事無く、明日を絶対に迎えよう。

だから、絶対に倒れないで…。


ワコなりのスガタを思う言葉…。


スガタ「…あぁ! 行くぞ!!!」


天より光の柱が落ちる。

弾かれたそれは、黒のサイバディを隠すように拡散した。


さやか「この感覚…!」


さっきまで抑えつけるので精いっぱいだった、自分を縛る何かの力が弱まるのを感じる。

今なら…。



さやか「ねぇ、アンタさ…」

さやか「あたしが魔女になりそうな時に声かけた子だよね」


魔女になりそうなあたしの頭に響いた声。

あたしと同じ孤独を感じたあの寂しい声。

あの時のあたしは、一緒に堕ちてあげる事しかできなかった…。

でも…。

さやか「こんな事になっちゃってごめんね。

    そして、あたしを助けてくれてありがとう…」


さやか「辛いよね…。苦しいよね…。

    よくわかる。大切な人の為に頑張ったのに、その人は自分の事なんて見向きもしてくれなかったあの寂しさ…」


さやか「でもさ…。立ち止まるのは終わりにしよう。

    あたしも一緒にもう一度立ちあがるから…」


さやか「もう一度あたしと…」


あたしを縛る黒い何かが剥がれていく。

きっと『コイツ』もわかってくれたんだろう。

もう一度だけ頑張ろうって思ってくれたんだろう…。



あたしの胸にあるシルシが光を放つ。

その光に煽られ、全身を縛るドス黒い何かは完全に消え去った…。



さやか「…『コイツ』ってのもないよね。

    アンタの名前を…、教えて?」

倒れていた黒のサイバディを隠すように落ちる、青白い光の柱が徐々に薄れてゆく。


その中のサイバディのシルエットが、ゆっくりと立ち上がるのが見える。

良くも悪くも、何かしらの変化が起きたと言う事だ。


スガタ「うまく…、行ったのか?」


ワコ「それとも…、失敗したの…?」


ウインドウスター「ようやく立ち上がった…!」


タクト「さやかちゃん……」


ニードルスター「…………」



???「………お待たせしましたっ!」



明るい少女の声がゼロ時間に響き、青白い光が完全に晴れる。

そして、その中にはタウバーンとよく似た姿をした白と青を基調にしたサイバディの姿があった。



頭部のパーツから、ピンク色の煙のようなエネルギー状の飾りが吹き出し、

腰にくっ付いていた4基のパイルが、離れて浮遊する。

サイバディの全身が一瞬だけ眩く輝く。


そして、胸のパーツがほんの少し開き、覗いた球体状のコクピットの中央で、魔法少女の姿のさやかが叫ぶ。


さやか「颯爽登場! 銀河美少年!! レシュバル!!!」



ヘッド「とうとう暴走状態すら解除されたッ…!

    あいつらはさっきから一体何をやってるんだ!!!」



ウインドウスター「へぇ…。黒いのは無くなっちゃったのォ…? でもまぁ…」

ウインドウスター「楽しませてくれるなら、どっちでもいいわぁ!!」


さやか「待たせちゃって悪いね…!

    でもその分、アンタの期待を超えるモノを見せてあげるよ!」


へーゲントが近寄ってくる。

剣も持たず、まずは小手調べと言わんばかりに格闘戦を仕掛けてくる。


ウインドウスター「ガッカリさせないでね? 腰ぬけちゃん!!!」


レシュバルと違い、その重そうな体躯から繰り出されるパンチ。

だけど、今のあたし達にはそんなモノは通用しない。


さやか「腰ぬけも、魔女も、後ろ向きな生き方も、もう卒業したんだ…!」


相手のパンチを左手で捌き、さっき魔法少女の剣が折れた辺りに向かって右の拳を繰り出す。


ウインドウスター「!!!!」


バキッと鈍い音を立て、あたしの剣を弾いたあの硬い頭部に軽いヒビが入る。

思い切り殴られたへーゲントは足元から宙を浮き、仰向けに派手に倒れた。


突きだした右の拳を戻しながら、今度はこちらが見下して言ってやる。


さやか「コイツ、『レシュバル』と一緒にね!」


ウインドウスター「ウフフフフフ…!」


自分が倒されたのにも関わらず、不敵に笑うヘーゲントのドライバー。

どこか威圧的な動きで体を起こすと、得意の攻撃を仕掛けてきた。


ウインドウスター「良いわぁ…! ゾクゾクしちゃうッ!」


ヘーゲントの各部にあるレンズからレーザーが次々に放たれる。

回避を試みたけど、不規則に乱れ撃たれるレーザーを今の距離で回避しきるのは困難だ。


やむを得ず、一旦距離を離す。


ウインドウスター「悪いけど…、ここからは本気で行くわよ!」

ウインドウスター「スターソード! ペルル!」


両手を胸にある水晶型のコクピットへ向け、そこから引き抜かれるようにピンクの光の剣が現れる。



剣を取り出すや否や、レーザーで牽制をかけてくるへーゲント。

だけど、その狙いが随分甘い。


レシュバルの手前の地上へ落ちたレーザーは爆風と煙を上げる。


ウインドウスター「はぁぁぁぁぁッ!」

さやか「くっ…!」


煙を目暗ましにして、へーゲントが近接し剣技を仕掛けてくる。

あたし達は、その力強い剣技をどうにかかわし続ける。


ウインドウスター「やるじゃない…。けど…!」

ウインドウスター「こっちを忘れてなぁい!?」


再び開いた各部のレンズから、一斉にレーザーが放たれる。

後退を試みるも間に合わず、レーザーは直撃。

大きく後ろへ吹き飛ばされ、今度はあたし達が仰向けに倒れる。


ウインドウスター「あら、もう終わりかしら…?」


さやか「あっははははは」


今にも笑いだしそうなへーゲントのドライバーの代わりにあたしが笑ってやった。

不服そうな声色になりながら、へーゲントのドライバーがお決まりの文句を言う。


ウインドウスター「何がおかしいのかしら…?」


レシュバルの体を起こす。

あたし達は、飛び起きるように立ち上がった。


さやか「よっと。いやさ…、銀河美少年の初戦がアンタとでよかったって思ってさ」


ドライバーが苛立つ様子が伝わってきそうなへーゲントは、両手で剣を構えたまま突進してくる。


ウインドウスター「よろしくないわねぇ…、その態度!」


さやか「いやさ…、こんなモノの使い方も教えてくれたしね!」


あたしは自分のシルシに右拳をあて、レシュバルもその動きをトレースする。



さやか「スターソード! スィトリンヌ!!!」


ヘッド「バカな…! 行方不明になった10本目のスターソードを何故…!?」



引き抜かれたあたしの光の剣は、強い黄色みを帯びた金色だった。

自分を救ってくれた先輩魔法少女の髪の色を思わせるそれは、単なる偶然とは思えなかった…。



さやか(マミさん…、力を貸してくれてるんだね…)



さやか「いくよッ!」



思い切り剣を振り下ろす。

ガチンと火花を散らして、その攻撃をへーゲントの剣は受け止める。

だけど、完全に防御に成功した筈のへーゲントの様子が明らかに様子がおかしい。


袈裟斬り、横薙ぎ、突きと一方的に攻撃を仕掛ける。

攻撃を防いだり、避けたりする度に少しづつへーゲントの動きが悪くなっていく。


ウインドウスター「な、なんなの…? コイツのスターソードの輝きはッ…!」


あたし達の斬撃を防いだヘーゲントが両手の剣をもったままふらつき、棒立ちになる。


さやか「動きが遅い! 貰ったッ!」


隙を晒したへーゲントの握った両手を、スターソードごと斬り飛ばす。

両手が付いたままのスターソードはくるくると回転しながら地面に突き刺さる。


それでもまだ勝負は決まらない。

相手にはレーザー攻撃が残っている。


あたしは少しだけ距離を離して、再び剣を構える。

だけど、ヘーゲントはその目から輝きを失い、そのまま動きを止めてしまった。


さやか「勝った…の?」


ウインドウスター「この私のシルシが輝きを失う…!?

         こんな小娘にリビドーの強さで負けたとでも言うの…!?」


ニードルスター「ウインドウスター!?」


タクト「こりゃあ、僕達も負けてられないな!」


コフライトが飛行形態に変形して空中に逃げる。

だけど、タクトさんはそれを超える技をその場で作りだした。


タクト「やれそうなこの感じはやれるってことだよな!? タウバーン!!」


タクト「パァァァァァイル! ジェェェェェットッ!!!」


腰の後ろを浮いていたパイルが大型化して背中に装着される。

そのパワーはタウバーンを飛行させ、コフライトの速度を圧倒するほど。


コフライトの後ろを取ったタウバーンは、あの時あたしを救ってくれた技を繰り出す。


タクト「お持ち帰りがちょっと怖いけど…!」


タクト「輝く流星! タァウッ! ミサイィィィィィルッ!!!!」


その一撃はコフライトの胸を貫き、コクピットを抉りだす。

コフライトの爆風を背にして、タクトさんも勝利を無事収める。


ヘッド「スターソードの輝きで、相手を圧倒してシルシを強制停止させる程のドライバーだと…!?

    こんな…! こんなバカな事が…!」


唸る仮面の男を背に、タクトさんは仮面を付けていない男女の元へ向かう。

たぶん、あの人がスガタさん。

そこから少し離れた所にいる女の人がワコさんだろう…。


タクト「スガタ…、無事か…?」


スガタ「何とかな…」


タクト「ありがとう…」


スガタ「明日の朝、家へ来て事情を説明しろ。いいな…?」



ここからだと何を言ってるのか聞こえるような聞こえないような…。

近寄って見ようかと思ったけど、体がもう動かない。

あれ…?



ワコ「タクト君、お疲れ様!」


タクト「…あぁ!」


ワコ「聞こえないと思うけど…、あっちの子にも…。お疲れ様!」


タクト「あの子はね…、さやかちゃんって言うんだ。

    たぶん誰よりも勇敢な『魔法少女』 そして…」


タクト「誰よりも強い輝きを持つ『銀河美少年』なんだ」



対抗勢力を失ったゼロ時間が静かに消えていく…。

ゆっくりと…。

薄らと…。

…。



タクト「さやかちゃん…?」


タクト「疲れ過ぎて眠っちゃったのか、そりゃそうだよね」


タクト「おやすみ、さやかちゃん…」


タクト「今日はよく…、頑張ったね」



これが全ての始まりだった。

『魔法少女』として輝きを失ったあたしが、『銀河美少年』として輝く為の…。



『人生と言う冒険は続く』




46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 00:18:29.59 ID:T2PTXocM0
一応終わりです。

まどかって言うか、さやかと銀河美少年を絡めてみたくて衝動で書きました。

初SSなんで色々不備が多いのと、勉強不足でミスが多かったのはすいませんでした。


続編は現在企画進行中…のつもり。

やってみたいなって気持ちはあるけど、どうなるやら…。


やるんなら、スレタイはたぶん…。

さやか「銀河美少年!」か 杏子「綺羅星十字団?」になると思う。


レシュバルはROBOT魂版が出ずに改造自作する羽目になり、むしゃくしゃしてやった。
反省はしていない。


それでは…。


このスレを見てくれた者に栄光を…!
美樹さやかに祝福を…!

綺羅星☆


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