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唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」 第二十四話 決着! 亡国の凱歌

2011年09月27日 19:38

唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」

133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/05/23(月) 22:53:43.73 ID:o3WbIFfK0

 第二十四話

 地球連邦のギガノス軍攻撃艦隊は艦艇数一五〇〇からなる大規模な戦力である。
 各コロニーには数十から一〇〇隻。
 地球の各防衛ラインにそれぞれ数百隻。
 そしてギガノス侵攻の陰に隠されてジオンへ向けて発進されたレビル将軍率いる七〇〇艦隊。

 宇宙世紀0079――地球連邦軍は年百隻単位で大小多くの戦艦を投入し、その総数は一万を超える。

キョン「ハルヒ、都市はもう近い。速度を落とせ」

 連邦艦隊を遥か後方に捉えつつ、ギガノス軍元親衛隊の四機が月面を滑るように飛んでいる。

ハルヒ「連邦の総攻撃までもう八時間もないわ」

キョン「そうは言うが、ここまで近づけばもう何分かしか変わらない。むしろこれだけ速いと捕まるぞ」

ハルヒ「……わかったわよ」

 ゲルフ三機を大きく引き離していたファルゲン・カスタムが減速する。
 月面都市のドームが頭頂部から見え始めて四機が編隊の形を取り戻す。

古泉「おかしいですね」

 ふと口を開いたのは砲撃戦仕様のヤクト・ゲルフに乗る古泉一樹だった。
 戦場でまずこういうカンが働くのは古泉である。
 博学で常に周囲に目を配っているからだろう。

古泉「もう警戒ラインに入るというのに、帝国軍の動きが見受けられません」

キョン「連邦軍に集中しているからじゃないのか? 俺たちはそこをついてきた訳だしな」

古泉「それでも、ここまで近づいて無反応というのは妙ですよ」

キョン「……罠だって言いたいのか?」

 長門は相変わらず無反応だが、ハルヒのほうからはそれとなく緊張が伝わってきた。

古泉「わかりません。ただ、妙ではあります。まるで蛇に睨まれているような気分です」

ハルヒ「蛇ね、良い例えだわ、古泉くん」

 さらに速度を下げてキョンと古泉の間に並んだハルヒがぐっと下唇を噛んだ。

ハルヒ「ギガノスで、蛇なんて呼ばれるのは一人しかいないわ」

キョン「――朝倉か!?」

 親衛隊のエースとして若手将校に名を馳せる涼宮ハルヒに対して朝倉涼子は軍部のお気に入りであった。
 いかなる命令も確実に遂行し、表沙汰に出来ない事案も容易に解決する彼女を〝毒蛇〟〝毒蝮〟という異名がはびこっていたのだ。

キョン「どうする、ハルヒ?」

 軍の指揮をドルチェノフではなく、朝倉が執っているとなれば、どのような手を使ってくるかはわからない。

キョン「いっそ、ここは連邦に先に踏み込ませたほうがいいんじゃないか?」

ハルヒ「あたしたちは戦争に行くんじゃないわよ、バカキョン」

 部下の提案をぴしゃりとはねつけてハルヒは再びファルゲンの速度を上げた。

ハルヒ「目的はギガノスの降伏を呼びかけることよ」

 呼びかけるとは言っているが、それが失敗することは目に見えている。
 ドルチェノフがハルヒの言葉を聞いて降伏するはずがない。
 よって、ハルヒがすることはただひとつ――左遷された親衛隊を起点にクーデターを起こすことだ。

 そして、ドルチェノフのギルトール殺害を告発し、元老院の主導を奪回する。

 ドルチェノフが行ったことをそっくりそのまま返してやるのだ。

古泉「やはりおかしいですよ、涼宮さん」

 既に防衛ラインに侵入しているというのに、敵機はおろか警報一つ出てこない。

ハルヒ「有希、状況は!?」

 さすがに異変を嗅ぎ取ったのか、フォーメーションの後ろにいるレビ・ゲルフに訊く。

長門「機体、レーダー、反応無し。警備システムが稼動していない模様」

キョン「迎撃を放棄しているってのか?」

 状況解析を反芻している間にギガノス帝国というドームは眼前に迫っていた。
 普通ならば、既にミサイルの雨が降り注いでいるはずだが、長門の言うとおり、運用すらされていないようだ。

長門「それだけじゃない」

 珍しく長門が二の句を継いだ。
 必要以上のことをしゃべらない彼女の言うことは、逆に言えば全て重要な事である。

長門「帝国内は既にもぬけの殻、市民さえ確認できない」

 もはや、完全に異常である。
 月面都市まで200メートルまで距離を詰めてファルゲンが停まった。

ハルヒ「どういうこと……? 軍はおろか、市民まで含めて都市を放棄したの?」

キョン「だとしたら、どこに逃げたって言うんだ?」

古泉「人口三百万近い市民を全て連れて……とにかく、都市は既に空き城です。踏み込むのは危険でしょう」

ハルヒ「いったい何をするつもりなの、ドルチェノフ……」

 気持ちの悪い予感に逆らえず、ハルヒは機首を返すしかなかった。

 ギガノス都市から400メートルばかり離れたクレーターに造られた資材基地にハルヒたちは身を隠して様子を窺うことにした。

ハルヒ「それじゃあ、古泉くん、有希、お願いね」

長門「了解した」

古泉「では、言ってまいります」

 ノーマルスーツにバーニアユニットを装着した古泉と長門が基地を出て行く。
 待っているだけは性に合わないハルヒは連邦軍がやってくる数時間を利用して都市を諜報することにしたのだ。

 当然、本人が出て行こうとしたが、止められて古泉、長門のグループと入れ替えになることになった。

キョン「ハルヒ、こっちを手伝ってくれ」

 基地と宇宙を仕切る扉を閉めたハルヒにキョンが声をかける。
 振り返ると、キョンはコンテナを運んできていた。

キョン「この間に補給を済ませておこう。交換したい部品もあるしな」

 コンテナをファルゲンとゲルフの間に置く。
 ロックを外してコントロールユニットに立って頭上の作業用アームを操作し始める。

ハルヒ「ここまでもぬけの殻とはね。本当にどこにいったのかしら?」

 キョンの横に移動して愚痴るように言った。

 この資材基地もギガノスが開国時に奪取したものだが、都市同様に放棄されていた。
 それも、殆どの機械、資材は放置したまま、人員だけがまるごと消えてしまっている。

 普通ならば、一グラムも資源を渡さないようにと移動させるものだが、手を付けられた跡がないのだ。

ハルヒ「考えられるのは二つね、運ぶ時間がないと判断したのか――」

キョン「その必要がないということか……だが、こうまで完璧に放置するのはおかしいぞ」

ハルヒ「おそらく、ドルチェノフはもうギガノスに戻る気はないんじゃないかしら」

キョン「何だと、そりゃどういうことだ?」

 オート操作で弾薬の詰め替え作業を命令したキョンがハルヒを見る。
 彼女は脚部の装甲版を外しながら呟くように述べる。

ハルヒ「ギガノスを捨てて、新たな土地を求めるのよ……」

キョン「地球かジオンか!?」

ハルヒ「ドルチェノフの性格から逃げることはないわ。たぶん、地球への降下作戦を強行するつもりよ」

キョン「だが、市民を連れて大気圏を突破するか、普通?」

 第一、連れて行く艦がないはずだ。
 三百万の市民が乗り込むなど、ギガノスの全戦艦を動員しても不可能だ。

 そんな風に敵の行動を推察しながらの作業が一時間を越えて古泉、長門が戻ってきた。

古泉「やはり都市内部に人はいません。公共施設には施錠がされていました」

ハルヒ「そう、やはりドルチェノフはギガノスを放棄したと見て正しいようね」

古泉「合わせて報告します。連邦軍は既にギガノスの制宙圏に侵入してきています」

ハルヒ「思っていたより速いわね、あと数十分で到着といったところかしら」

キョン「は、ハルヒ!」

 レビ・ゲルフを通してレーダー探索をしている長門についていたキョンが大声を出した。

ハルヒ「どうしたのよ、キョン?」

キョン「もう見える……二時の方向だ!」

 呼びかけに応じてハルヒたちはその方向へ走っていく。
 二時方向といえば、ギガノス都市がある方向だ。
 そして、連邦軍の進軍ルートの側面でもある。

ハルヒ「な、何、あれ……?」

古泉「小惑星……いや、あれは……」

 都市のドームを覆いつくすように巨大なものが浮かび上がってきていた。
 古泉の言う通り、一つの資源衛星ほどのサイズだが、どう見てもそれは人工物であった。

 表面に敷き詰められた無数の砲台、それを取り囲む戦艦――さながら要塞と呼ぶべきだろう。

長門「ギガノス機動要塞。開国時から設計されていた圧倒的火力による殲滅戦用巨大戦艦」

キョン「三百万市民の居所もハッキリしたな」

 それほど、機動要塞は大きかった。
 ドームを覆い尽くすほどの物量、まさにギガノスの総力といったところだ。


 ギガノス機動要塞 司令部

ドルチェノフ「グフフフフ……この機動要塞の前では、連邦の艦隊など赤子も同然よ……」

 眼下のモニターからは巨大要塞の出現に泡を食っている連邦軍の様子が手に取るようにわかった。

ドルチェノフ「さぁ、さっさと攻撃を開始せい!」

ギガノス通信兵「はっ!」

ドルチェノフ「連邦の奴らをこの月面のクレーターに沈めてしまえい!」

 全身にハリネズミのごとく張り巡らされた砲台が一斉に連邦軍に向けられる。

ドルチェノフ「攻撃開始!」

 シュドォッ! ズドドッ! ドゴォッ! 怒涛の勢いで砲弾が煙幕をつくり、艦隊を覆い尽くしていく。

ドルチェノフ「ガハハハハハハハ! このギガノス無敵要塞があれば、連邦軍はおろかジオンも異星人も敵ではないわ!」

 モニター上で次々と撃沈していく戦艦を見て、ドルチェノフは高笑いを止められない。

ドルチェノフ「クク、グフフフフ……こうなれば止まらんぞ……地球圏をワシの勢力下に置き、ワシは地球連邦の総督となるのだ!」


 ギガノス 資材基地

ハルヒ「まさかあんなものを本当に完成させていたとはね」

 ノーマルスーツのヘルメットを装着してハルヒは呆れ半分の褒め言葉を吐いた。

古泉「なんだかんだと言っても、ドルチェノフは戦争に関しては才覚があるということでしょう」

ハルヒ「ふん、あんなのに従う国民も国民ね。帝国にはほとほと愛想が尽きたわ」

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「ギガノスの理想はこの月に朽ちたのよ。あの日、小父様が倒れられた瞬間に……」

 バイザーを下ろし、コクピットへ泳いでいく。
 足をかけ、手で掴まり、彼女は部下を、友人を見下ろした。

ハルヒ「さぁ、幕を下ろすわよ。主役のいない舞台を続けても、醜い滑稽劇が出来上がるだけよ」

 コクピットに滑り込み、ハッチを閉じる。
 電源が点いて、モニターが明るみを増していく。

 サブモニターに友軍機の情報が映し出されていく。

 ヤクト・ゲルフ――細やかさと図太さを併せ持った古泉一樹は、政治的パイプも持っていて、ハルヒを応援してくれた。

 レビ・ゲルフ――常に精細な情報を収集して、的確に支援を行ってくれた長門有希がいなければ、重慶の基地に倒れ臥していただろう。

 ゲルフ・マッフ――ぶつくさと文句を言いながら、いつも助けてくれた――

ハルヒ「さようなら、小父様……あたしはこれから、あたしのやり方で、理想を追い求めるわ!」

 基地から、蒼き鷹が飛び立った。

 ホワイトベース

ミユリ「敵、巨大要塞からの攻撃で、連邦軍の損害10%を既に超えました!」

シノン「凄まじい制圧力ね……これがギガノスの切り札だったのね」

アレイ「要塞の進路は地球に向けられている。このまま降下するつもりのようだ」

シノン「あれが地球に降りたら途轍もない被害が予想されるわ。何としてでもここで食い止めます!」

 凛とした声に艦橋がピシッと締まる。
 それはモニター越しの格納庫にも伝わったらしく、発進の合図が続々と届く。

霙『天使霙、アルトアイゼン、スタンバイ』

海晴『天使海晴、ヴァイスリッター、いつでもOKよん』

珠姫『川添珠姫、ダンバイン、いけます』

紀梨乃『千葉紀梨乃、ボチューン、いけるよ!』

 ホワイトベースのカタパルトは前後二機一組が左右で二基だ。
 そこから、経験豊富な正規軍人の二人と機動力に優れたオーラバトラーがまず出るのは決定された基本戦略になっていた。

唯『マジィィィィン・ゴー!』

夕映『チェェェンジ・ゲッタードラゴン! スイッチ・オーンッ!』

 射出装置が牽引される間に牽引を必要としないスーパーロボットが発進される。

 ジェットスクランダーを噴かすマジンガーZの上で三機のゲットマシンが合体してゲッタードラゴンが宇宙に立つ。

シノ『天草シノ、ドラグナー1、行くぞ!』

アリア『七条アリア、ドラグナー2、出ます』

スズ『萩村スズ、ドラグナー3、いきます!』

ヒカル『天使ヒカル、ゲシュペンストTYRE-S、出るぞ!』

 三機のドラグナー、ヒカルのゲシュペンストが続き、次に五機のバトルマシンが一斉に飛び出す。

「「「「「レェェェェッツ・コンバイィィィィィン!!」」」」」

 五体のローゼンメイデンがバトルマシンを介して、コン・バトラーVに合体する。

翠星石『コン・バトラーV! ですぅ!』

ゆりえ『ラァァァァァイディィィィィィィィィィン!!』

氷柱『いいわね、立夏!』

立夏『チャオ!』

 ライディーンの後に氷柱のゲシュペンストTYPE-R、立夏のR-WINGが出撃する。

「「「「クロォォォォス・ファイッ! ダン! ガイ! オー!」」」」

 白金のロボット、ダンガイオーにミルキィホームズが乗って出る。

こなた『ブライガー、いっくよー』

 シンクロトロンでブライサンダー、ブライスターから変異したブライガー。

 残りは二機となったところで、カタパルトのスタンバイランプが点灯しなかった。

シノン「すずかさん、どうかしましたか?」

すずか『えっ?』

 呼ばれてモニターに映されたすずかは自分の番が来たことに気付いていなかったようだ。

すずか『す、すみません、すぐに出ます』

アリサ『すずか、ホントに大丈夫なの?』

 Gアーマーで待機中のアリサが気にかかって訊くが、すずかはぐーっと小さく拳を握る。

すずか『うん、大丈夫だよ、アリサちゃん』

アリサ『そう……じゃ、先に行くわよ!』

 Gアーマーが発進する。
 それを見送ってからすずかは表情を落ち着かせた。

すずか『月村すずか、ガンダム、いきまーすっ!』

 勢いよくガンダムが飛び立っていく。
 それを不安げに見ていたのはシノンだけではなかった。

 一番最初に出た四機はギガノス機動要塞から出撃してきたメタルアーマーとすぐに交戦に入っていた。

海晴「いくわよ、霙ちゃん」

霙「速く撃て」

海晴「もうっ!」

 速度を抑えたヴァイスリッターの長い砲身が敵部隊に向けられる。

海晴「始まりの朝はこれいっぽん、オクスタンランチャーのEモ~ド~」

 ビュォォーッ! ガンダムのライフルと同威力だったヴァイスリッターのビームも今では調整されて高威力のキャノンと同等になっている。

ギガノス兵「うおぉっ!」

 ズガガァッ! 二機のダインの腕や脚をかすめていく。

 そこに肉迫するアルトアイゼンの角が赤く光る。

霙「ヒートホーン……!」

 ズジャァ! 一機を一突きで仕留める。もう一機にもダンバインが両刃の剣を構える。

チャム「やっちゃぇぇぇ!」

珠姫「はぁぁっ!」

 ガシュッ! 唐竹割りに振り下ろした刃がダインの頭頂部にめりこみ、それを支えに棒高跳びのように高く舞い上がり、前へ宙返りをして更に一機に体当たりする。

ギガノス兵「うあっ!」

珠姫「そこっ!」

 逆さまになる視界で珠姫は正確に剣を払ってダインの首を切った。

紀梨乃「たぁーっ!」

 ザシュッ! ボチューンに乗る紀梨乃も突出してきた一機を倒す。

 その後ろから、重厚なスーパーロボットが抜けていった。

唯「ロケットパーンチ!」

夕映「ダブルトマホゥゥゥク・ブゥメラン!」

 ズドォッ! ギャリィィッ! 鉄拳と戦斧がそれぞれギガノス兵を撃墜する。

 ホワイトベース部隊の破壊力に敵兵が怯むのが判る。
 その隙を突いて後ろから来る第二、第三部隊が左右に分かれていった。

シノ「敵を引き付けるぞ、スズ、アリア!」

スズ「了解!」

アリア「大きい花火をあげるわよ~!」

シノ「ゆくぞ――ドラグナーはここにいるぞ!」

 ガガガガガガガガッ! 第二部隊の尖兵のシノがハンドレールガンをばら撒く。

ギガノス兵「D兵器だ! 奴には一等の勲章が懸けられているぞ!」

 開発前から辛酸を舐めさせられていたギガノス兵がドラグナーへ集中して追いかけていく。
 後ろにダンガイオーとコン・バトラーVがつくが、音速を出すメタルアーマーには敵わない。

ネロ「えぇい、とにかく撃つよ!」

翠星石「がってんですぅ!」

コーデリア「ショルダーカッター!」

真紅「ロックファイター!」

 シュボボボッ! ダンガイオーの肩から十字刃が、コン・バトラーVの指先からは小型ミサイルが飛んでいく。

 彼女らに敵が向かっていくおかげで、第三部隊は比較的たやすく目標地点へ急ぐことが出来た。

氷柱「いいわね、立夏!」

立夏「オッケー、ぎゅっぎゅ~ん!」

 第三部隊の先頭はR-1が変形した戦闘機R-WINGだ。
 二機のゲシュペンストはその影を守るように並んでいる。

ヒカル「氷柱、来るぞ!」

氷柱「わかってるわ、ヒカル姉様!」

 ギュオッ――追跡してくるダインに向かっていき、二人は同タイミングでミサイルポッドを発射した。

ギガノス兵「このっ! 舐めるな!」

 ズドドドドドッ! ダインが発砲してミサイルが全て誘爆する。

 出来た煙に飛び込んでいくのがヒカル、立ち止まるのが氷柱だった。

ヒカル「斬り抜ける!」

氷柱「いきなさいっ!」

 ジャァァァッ! シュパァッ! ネオ・プラズマカッターとスラッシュリッパーが各々、刃に敵を捉えていく。

氷柱「右、左――左が速いッ!」

 煙の機微を見分けると、氷柱は素早く機体ほどの長さを持つビームランチャーを脇に抱えた。

氷柱「当たれぇっ!」

 ギュボォッ! ヴァイスリッターのオクスタンランチャーから実弾倉を抜いて携行しやすくした銃の口から鋭くビームが走り、敵機を貫く。

ギガノス兵「うおぉぉっ!」

 右手の方からダインが迫る。
 TYPE-Rの長い砲身に、レーザーソードで接近戦を挑むが――

氷柱「この私が――!」

 左手レバーのフィンガースイッチを1,3,4から2,4へ変更する。
 同時に右手レバーをいっぱいに引き、90度右へ動いたカメラの十字戦にダインを捉える。

氷柱「取り回しの利かない武器を作るわけないでしょうが!」

 親指でロックオンが完了する。
 すると、ビームランチャーの側面が燈色に発光してダインの肩口へ食い込んでいった。

ギガノス兵「馬鹿な……うわぁぁぁっ!」

 ドゴォォォンッ! メタルアーマーの爆発をバックにゲシュペンストはヒートサーベルを仕込んだビームランチャーをくるりと回す。

氷柱「さぁ、さっさとかかっていらっしゃい!」

 立夏が向かう目的は廃棄衛星ES-5だ。
 機動要塞は正攻法での攻撃方法では被害が大きい。
 そのため、ラング・プラート博士が立案した作戦をホワイトベース隊が遂行するのだ。

立夏「わふーっ!」

 廃棄衛星に到達した立夏はR-1に変形して取り付いた。

立夏「んーっと、どれカナー……?」

 へばりついてペタペタと撫で回していくと、リンクケーブルソケットを見つけ出す。

立夏「めっけ!」

 星が出そうなくらい目をパチパチさせてR-1の手首からケーブルを出して接続する。

立夏「任務カンリョーッ! チャオ!」

 ピースサインを作ると、サブモニターに氷坂アレイのクールな顔が映る。

アレイ『確認した。作業を開始するから大人しくしていろ』

立夏「ハーイッ!」

 作業とは、要するにハッキングのことだ。
 R-1を介してホワイトベースのメインコンピュータ〝ペガサス〟から〝生きてる〟推進装置を探して起動する。
 廃棄衛星ES-5は宇宙世紀0050年代に打ち上げられた太陽光発電の実験機だったが、新設計の有用性が確保できなかったために捨てられたものだ。
 その大きさは直径140メートル。
 これを盾にしてハリネズミのようなギガノス機動要塞へ接近するのが作戦だ。

立夏「あーぁ、ヒマだーっ!」

 コクピット内で器用に手足を伸ばして立夏はだらけはじめた。
 ハッキング中はR-1は動くことが出来ない。
 ここに来るまでのR-WING飛行は楽しかったが、その分今がヒマである。
 隠し持ってきたクリームソーダのチューブを口につける。
 と、サブモニターが点いて一層クールになったアレイが映った。

アレイ『コクピット内の持込は禁止だ』

立夏「エェーッ! そんなこと言ったって、霙オネーチャンだってあんこ持ち込んでるヨーッ!」

シノン『それはいいことを聞いたわ』

立夏「アッ、ヤバッ……!」

 ピーッ、ピーッ 口を塞ぐ立夏に合図の音が響いた。

シノン「終わったわね」

 本当の作戦開始の合図だった。


 ギガノス機動要塞 司令部

通信兵「敵部隊、廃棄衛星に集結しています」

ドルチェノフ「グフフフ……盾にしようというのだろう。無駄だと言うことを思い知らせてやるわ……」

朝倉「……気になるわ」

 いちいち様になる仕草で相手の動向を探ろうとする朝倉はすぐに床を蹴って司令部を出て行く。

ドルチェノフ「どこに行くか?」

朝倉「用意をしておくだけよ。例の部隊も、いきなり実戦だからね」

ドルチェノフ「ウム、そうであるな。任せたぞ」

朝倉「それと、そうね……T6のポイントを注意したほうがいいわよ」

ドルチェノフ「T6か? 南極点ではないか」

朝倉「ホワイトベース隊の動きに乗じてこそこそしたネズミ……いえ、小鳥さんが来るかもね」

 廃棄衛星ES-5を盾にR-1と二機のゲシュペンスト、ブライガーが機動要塞へ迫る。

かがみ「いいわね、こなた? 攻撃は大型口径の武器に集中するのよ」

こなた「わーかってーるよー」」

 ブライガーのコズモワインダービームが銃口を向けるのは大型レールキャノンを二門肩に設置したドーラだ。

こなた「そーぉれっとー!」

 ズギュゥンッ! プラズマ光線が正確にドーラを撃ち抜く。

ヒカル「氷柱、立夏、私たちもやるぞ!」

立夏「オッケー!」

氷柱「狙い撃つわよ!」

 携行ビームガン、Gリボルバー、ビームランチャーが同じようにドーラを撃ち落とす。

 ズドォッ! ガカァンッ! ドドドドド……!

 ギガノス機動要塞から砲火が集中し、廃棄衛星といえども全てを受け止めきれない。
 まるで精密射撃をしているかのごとく端から削り落とされていく。

立夏「ひゃわぁぁっ!」

 ガズッ! 一発がR-1のすぐ右を破壊して立夏が悲鳴をあげた。

ヒカル「頑張れ、立夏! あともう十秒ちょっとだ!」

立夏「ムッキャーッ!」

 なかばやけっぱちで乱射する立夏。
 廃棄衛星はだんだんと落下していって、もう眼前に機動要塞が迫っている。

つかさ「いまだよ!」

みゆき「皆さん、退避してください!」

 相対距離を観測していた二人の声で、四機は弾けたように衛星の外壁を蹴った。
 このまま廃棄衛星ES-5は要塞に衝突し、波及効果で27%余りの機能が停止する計算だ。

 そのはずだったが――

 グゥン……!

ヒカル「なっ――!?」

シノン「えっ!?」

 その有様はホワイトベースからの目視でも確認できるものだった。
 間近で目撃したヒカルたちの驚愕は推して知るべきであろう。

 激突の直前、ギガノス機動要塞は廃棄衛星の通過軌道上からいなくなっていたのだ。

 どこへ消えたかと言えば、真横に300メートルばかり移動しただけ――

氷柱「ウッソでしょ!? そんなバカな話が――」

ドルチェノフ『グフフフ……見たかね、連邦の諸君。これがギガノス無敵機動要塞の真の力だ』

 氷柱の驚きに割り込んだのはドルチェノフの全方向回線だった。

ドルチェノフ『何をたくらんでいたかは知らぬが、この程度の小細工では機動要塞はびくともせんわ……ぬわぁっはっはっはっは!!』

かがみ「まずいわ、あれが当たらないとなると作戦が……」

氷柱「いいえ、まだよ!」

 機動要塞からの弾幕を潜り抜けていた氷柱のゲシュペンストがR-1を引っ張って前に突撃した。

立夏「ひょぇぇっ! 何ナニオネーチャン!?」

ヒカル「氷柱、何をするつもりだ!」

氷柱「立夏! 私とアンタで衛星を押し出すのよ!」

 ナニが何だかわからないまま引っ張られていた立夏も、それを聞いてギンと目を光らせた。

立夏「リョウカイィーッ! チャオ!」

 ぎゅん――! ゲシュペンストから手を離して自律機動に戻ったR-1は手にしていたGリボルバーを投げ捨てる。

 機体と要塞を繋ぐ線上に衛星を捉えて、両機は挙動を揃えた。

氷柱「行くわよ、立夏! コード・VGP!」

立夏「ドライブ・オンッ!」

氷柱「アタッカー・フルドライブ!」

 ガシュゥッ! 同時に拳を構え、胸を張る。

氷柱「必殺!」立夏「ひっさつぅ!」

立夏<幸運>「T-LINK――!」

氷柱<努力>「ゲシュペンストォ――!」

立夏・氷柱<熱血>「「ナッコォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」」

 ズギャァン! ガァァァァァァァァ――ッ!!

 廃棄衛星に赤く燃える拳を打ち込み、そのまま加速して機動要塞へぶつかっていく!

ドルチェノフ『な、何だと!?』

 マヌケにも回線をつなぎっぱなしにしているドルチェノフの狼狽が届く。

立夏・氷柱「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」

ドルチェノフ『えぇい、落とせ! 撃ち落とせぃ!』

 ドゴォォォォン!! 命令が届く間もなく、廃棄衛星は要塞に激突した。

ヒカル「よくやったぞ! 立夏、氷柱!」

 ズドォン……ドゴォッ! ドドドォ……!

 接着したようにめりこんだ廃棄衛星が自壊機能を発動する。
 まるで、一人でいなくなるのは淋しいとばかりに衛星の爆発が要塞を巻き添えにしていく。

 ヒカルは結集してくるメタルアーマーから姉妹を庇うようにゲシュペンストを動かし、近づく敵には剣を叩き込んだ。

ギガノス兵「おのれ! 近づくな、包囲して殲滅しろ!」

ヒカル「そうやすやすとさせるものか!」

 離れたところから銃口を掲げる敵兵に対して、ヒカルのゲシュペンストがエネルギーを胸部に集中する。

ヒカル<必中>「メガブラスタァァァァァキャノン!!」

 ズギャァァァッ! 高収束のエネルギー砲が指揮官機のダインを撃ち落とし、そこを突破口にして包囲網から抜け出した。

ヒカル「氷柱、立夏、大丈夫か?」

立夏「イヤ~、ちょっとクラクラするよ~」

氷柱「ホントにこの攻撃、叫ばなくちゃいけないのかしら……?」

ヒカル「フフッ、なかなかいい叫びっぷりだったぞ」

 からかうように微笑む姉から赤みを帯びる顔を隠すようにして氷柱は話題を切り替える。

氷柱「私たちの任務はこれで終わりよね?」

ヒカル「あぁ、後は海晴姉たちの仕事だ」

 透過モニターで見る宇宙空間の遠いところでは真っ赤な航跡がチカッと光った。
 廃棄衛星の衝突のおかげで、機動要塞の下半分は大部分が動かなくなっていた。

霙「さぁ、踏ん張りどころの後はチャンス目だ」

 リボルビング・ステークの弾倉を取り換えて、霙は後方の三機に通信した。

霙「緩んだ地盤に私たちが突破口を開く」

唯「うしっ!」

夕映「いいですか、のどか?」

のどか「うん……! チェェェンジ・ライガー!」

 バシュッ! ゲッタードラゴンが分離してゲッターライガーにチェンジする。

海晴「準備はよろしくて?」

 芝居がかった風に海晴が促すと、アルトアイゼン、マジンガーZ、ゲッターライガーが進撃した。

海晴「さぁて、パーリィの始まりよん!」

 ビシュゥーッ! 光彩が強くて射程のあるオクスタンランチャーのEモードは戦力の薄い箇所への道しるべには最適になるのだ。

 だが、逐次変化を続ける三次元の戦場でそれを探し出すのは結構な精神統一が必要なのだ。

ギガノス兵「このぉぉーっ!」

海晴「あらっ……」

 そのために、ヴァイスリッターは隙だらけになるが――

珠姫「たぁーっ!」

 ドシュッ! それを護衛する勇敢な聖戦士がいるのだ。

海晴「ウフフッ、ありがとね、タマちゃん」

珠姫「はぁ」

チャム「なんだか二人って息ぴったしね」

海晴「フフッ、私たち、魂が幼なじみだったりするのかもね」

珠姫「えっ?」

海晴「でも、別の世界じゃもしかしたら私がタマちゃんを守ってあげちゃうかもね」

珠姫「???」

 年齢も性格も離れている相手の言葉の意味がわからない。
 ただ、近くにいるとなんとなくほうっておけなかったりすることは珠姫も感じていた。

紀梨乃「びぇーん! タマちゃんたっけてーっ!」

珠姫「あっ、部長……!」

 ほうっておけない人は一人じゃなかった。

チャム「タマキ!」

珠姫「うん! いっけぇぇーっ!」

唯「スクランダーカッター!」

 ズギャギャッ! 紅の翼でゲバイを斬り裂き、折れた肘の照準は別のダインに向く。

唯「ドリルミサーイル!」

 シュボッ! ドドォンッ!

ギガノス兵「く、くそぉぉぉぉぉっ!」

のどか「チェーンアタック!」

 ジャァァァァーッ! ザシュッ! ゲッターライガーのチェーンで繋がれた左手が伸びてゲバイに突き刺さる。

ギガノス兵「ぐおぉぉーっ!」

のどか「てぇーいっ!」

 グォン……ドドォッ! チェーンを引き戻し、勢いで別のメタルアーマーにぶつける。

ギガノス兵「まだだ! 敵はたかが三機だ!」

 不思議なもので、機動要塞からの攻撃は依然として続いているのに、敵メタルアーマーにはかすりもしない。
 ギガノス軍もそれを解っているのか、まるで障害物のない空間で戦っているかのように仕掛けてくる。

霙「えぇい、面倒だ!」

 ガシュッ! 杭を打ち込んで一体を吹き飛ばしたアルトアイゼンがぐっと肩をいからせた。

霙「当たり所など知ったことか! どうせ死なんだろ!」

 ズドドドドドドドドドドドドドッ!! アルトアイゼンの両肩から吐き出された鉄球の投網が前方に展開していたメタルアーマーを飲み込んでいく。

 次女の霙も、ヒカルに負けず劣らずのオトコマエっぷりである。

霙「さっさと行け!」

のどか「はいっ! ライガーミサーイル!」

 ドシュゥッ! ゲッターライガーから発射された大きなミサイルをギガノス兵は避ける。

ハルナ「うしっ! 行けるわよ、のどか!」

のどか「うん! ライガー、ゴー!」

 霙が広げ、ライガーミサイルが開けたコースにゲッターライガーが突っ込む。
 狙いは機動要塞下部からライガーでの侵入だ。

のどか「ドリルアームッ!」

 ギャルルリィィィィィィィィィィィッ!! まるで泥を進むかのようにライガーは突き抜けていく!

夕映「動力炉はどこにっ!?」

 ズゴォッ! 狭く敷き詰められた場所から急に広い空間に出た。

夕映「こ、ここは……!?」

 制止して三人は驚愕した。

 ゲッターの眼下には月面都市をそのまま持ってきたかのような都市が形成されていたのだ。
 しかも、この都市には人が暮らしている。
 多くの人が突如現れたゲッターを見上げては逃走から抵抗までの対応を迫られている。

ハルナ「アタシたちは帝国そのものと戦っていたってワケね……!」

のどか「もしも私たちが動力炉を破壊したらー……」

夕映「この人たちまで巻き添えになってしまうです……っ!」

 ガコォン……! 夕映が反応した先にあったのは要塞内都市の天井だ。

 そこが今、ゆっくりと開いている。
 円形の出入り口から降りてきたのは、鎧武者を思わせる意匠のメタルアーマー、ギルガザムネだった。

のどか「ゆ、ゆえ……!」

 仲間の驚きと恐れが伝わってくる。
 動揺に夕映も冷や汗を垂らしていた。

夕映「りょ、量産……!」

 先に出てきた金色のギルガザムネの後に、全く同じ威容でカラーリングはより武者のようになったギルガザムネが五機も追随していた。

朝倉「ふふ、先手って打ってみるものね」

夕映「くっ……のどか、チェンジするです!」

のどか「うん! オープン・ゲット!」

 バシュッ! 三機のゲット・マシンに分離する。

夕映「チェェェェェンジ・ドラゴンッ! スイッチ・オォーンッ!!」

 ガシュゥッ! イーグル、ライガー、ベアーの順に合体し、真紅のマシン、ゲッタードラゴンにチェンジした。

夕映「いくですよ、ゲッタァァァァァビィィィィィィィィム!!」

 ビシュッ! ビシュビシュッ! 出力調整でゲッタービームを拡散させて飛ばす。

 ズバシュゥッ! 朝倉のギルガザムネが青龍刀を振ってビームをかき消す。

朝倉「散開、適度に包囲しなさい」

 ぐぉぉっ……! 六機のギルガザムネが散らばってゲッタードラゴンを囲んでいく。

のどか「ゆえ、ここで暴れたら……」

夕映「大丈夫です、時間通りならもうすぐ……!」

唯「とぉーっ!」

 ズバンッ! ライガーが空けた穴からマジンガーZが出てきた!

ハルナ「まだ、アタシたちにもツキはあるわね」

 ニッと笑うハルナ。

夕映「さぁ、やるですよ! ゲッタァァァトマホゥゥゥゥゥク!!」

 ずぉぉんっ! 二本の手斧を合成して一本の長柄の斧に変えた。

ギガノス兵「ギルガザムネのパワーを甘く見るな!」

 ジャキッ! 幅広の剣を手にしたギルガザムネがドラゴンに攻めかかってくる。

夕映「あなたたちも知るです! ゲッターの恐ろしさを!!」

 ぶぉぉっ! 両手で斧を掲げてドラゴンもぶつかっていく!

夕映「ロォング・トマホーゥクッ!!」

 ずばぁっ!! 鬩ぎ合う必要もなく斧は剣の刃を折ってギルガザムネを袈裟切りにした!

ギガノス兵「うおぉっ!」

唯「なんだかわかんないけど、やるよ!」

 見上げる形になっているマジンガーZが胸を張った。

唯「ブレストファイヤーッ!!」

 ゴォォォォォォッ! 最大30000度のブレストファイヤーだが、有人兵器に対しては大幅に威力を下げて使う。

 そのため、連射が可能となって分散しているギルガザムネを追いかけていく。

朝倉「この二体が相手じゃギルガザムネでも不利ね……」

 既に一機が落とされている。
 判断力の高さはギガノス軍でも随一の朝倉涼子は素早く機体を翻した。


 ギガノス機動要塞 都市ブロック

 朝倉涼子が撤退し、残された二機は退くも進むも出来なくなっていた。

夕映「どうしましょうか……我々の任務は動力炉の破壊ですが……」

唯「あのメタルアーマーをそのままにしたらまずいよねぇ……」

のどか「それにー……動力炉を破壊しちゃったらここに住んでる人がー……」

 敵の要塞内では外部との通信も不可能だ。
 ここにいる四人で行動を決定しなければならない。

ハルナ「やれやれ、何も動力炉の破壊だけが作戦じゃないでしょう」

 肩をすくませたのはベアー号のハルナだ。
 もともとは頭のいい(唯以外)二人はその意図をすぐに読む。

夕映「そうですね、少なくとも要塞としての攻撃力を奪えれば……」

のどか「一番は司令部の制圧だけどー……」

唯「どちらにしても場所がわからないと行きようがないよ」

夕映「いえ、とどのつまり行き先は一つです」

唯「ほえ?」

 ゲッタードラゴンが目線を上げた。
 ギルガザムネが出てきた穴が再び空き、そこから多くのメタルアーマーが降りてくる。

ハルナ「ま、そりゃそうね」

唯「あそこに入って進んでいけば見つかるんだね!」

夕映「そうと決まれば行きますよ!」

 ギュオォッ――! トマホークを分離させてドラゴンが接近していく。

夕映「ゲッタァァァァ・トマホゥゥゥゥゥゥク!」

ギガノス兵「させんぞっ!」

 ぐんっ! 先頭のダインがドラゴンの斧を避けたが――

ギガノス兵「ま、待てっ、うわぁぁ!」

 ドラゴンは後ろにいたゲバイに目を光らせていた。

夕映「ゲッタァァァァァァ・レザァァァァァァァァァッ!!」

 ギリィィィィィッ! 空振った手から剃刀刃を繰り出してゲバイの首を削り切る!

唯「冷凍ビーム!」

ギガノス兵「ぐおぉ!」

 避けたダインもマジンガーZの耳から出る光線で動けなくなって落ちていく。

夕映「マッハウィィィイング!」

唯「スクランダー、ゴー!」

 シュゴォォォォォ! 両機は一気に加速して出入り口を破壊して飛び込んでいった。

 機動要塞に取り付こうとする部隊は開いた射出口から出てきた機体に慄いた。

連邦兵「あれは、新型メタルアーマーか!?」

 30機以上のギルガザムネが金色の朝倉涼子機に率いられている。

朝倉「徹底して潰しなさい」

ギガノス突撃兵「「「「ハッ!!」」」」

 ぐんっ――ギュオッ! 明解な命令一つでギルガザムネは散開してそれぞれに狙いを定めた。

連邦兵「敵は少ない! 囲め!」

 対する連邦の主力機はメタルアーマー・ドラグーンとモビルスーツ・ジムだ。

朝倉「無駄だよ」

 四機の編隊で囲もうとする連邦兵たちに朝倉は両手で巨大なレールキャノンを構えた。

朝倉「生きていられるかしら?」

 シュバァァァァァァァァッ!! 砲口から発せられたのは色彩が変容し続けるほどのプラズマだ。

連邦兵「こっ、この……なんだ!?」

 辛うじて避けることに成功したジムだが、プラズマの通過によってセンサーが異変を起こした。

朝倉「はい、さようなら」

 ゴシュッ……! レールキャノンを下げた朝倉は接近しながらミサイルポッドを落とす。

連邦兵「動け、うごっ――!」

 シュボボボボォッ! 金色のギルガザムネは既に加速して編隊を飛び越している。

 その後ろから迫り来るミサイルから逃げることは出来なかった。

朝倉「とりあえず、一隻沈めちゃおっか」

 ギルガザムネはレールキャノンを腰に戻してハンドレールガンを持って、最も先行していたサラミス級巡洋艦へ射撃を行う。

 ビシューッ! ドドドドッ!

 メガ粒子砲とミサイルで反攻されるが、朝倉はたやすく避けてブリッジに肉迫した。

朝倉「おしまいだね」

 ガガガガガガガガッ! 容赦なく銃弾の雨を浴びせて、ブリッジの中をミキサーでかき混ぜたみたいにする。

 さらに下りながら撃ち続けると赤く膨れ上がって爆発した。

朝倉「うん」

 自身の出来に満足して機首を返す。
 ただ、連邦もいつまでもやられっぱなしではなく、量産型ギルガザムネが三機落とされていた。

朝倉「へぇ、なるほどね」

 また一つ落とされたギルガザムネの映像を見て、朝倉はまるでスズメバチとミツバチみたいだと思った。

 通常のメタルアーマーの三倍以上の大きさを持つギルガザムネに対して、連邦は部隊を密集させて数で圧倒しているのだ。
 一機の巨大機に十数機が取り付いている。
 
 数で圧倒している連邦ならではの作戦だ。

朝倉「ていうか、これぐらいしかやり方ないよね」

 くすりと笑って朝倉はギルガザムネに青龍刀を握らせた。

 まずは一番近い僚機の援護――いいや、違う。

朝倉「あれだねっ!」

 通り越して一直線に向かっていく先にいるのは白金の機体だ。

コーデリア「ッ! ネロ、来てるわ!」

ネロ「えーいっ!」

 シュバッ! 相対していたギルガザムネにダンガイオーは破邪の剣を振って牽制し、体を下方へ向けた。

朝倉「反応が速い――」

ネロ「ショルダーカッター!」

 バシュッ! バシュッ! 両肩から十字剣を発射するが、朝倉はなんなく弾く。

ネロ「こいつ、強いぞ!」

エリー「金ぴかです~!」

 ギャキィンッ! 破邪の剣と青龍刀が火花を打ち合い、火花を散らす。

朝倉「それっ!」

 ガツッ! 押し込んでいた刀を上げて剣を逸らし、刃の腹で顔を殴ってよろめかせた。

ネロ「くっ、シャロ!」

シャロ「やってます!」

 機体の装置だけでは止めきれない時、シャロの念動力がダンガイオーの動きを止める。
 素早く復帰したダンガイオーの拳がギルガザムネの肩に当たる。

朝倉「堅い、援護して!」

ギガノス突撃兵「ハッ!」

 先ほどまでダンガイオーと戦っていた一機がハンドレールガンを手に背中を取った。

ギガノス兵「喰らえ!」

 ババババババッ! 統制の取れた弾丸がダンガイオーの足を穿つ。

ネロ「うぅっ!」

朝倉「ここまでよ」

 ギラリ――高く振り上げられた青龍刀が太陽の光りを反射した。

シャロ<不屈>「まだですっ!」

朝倉「なっ!?」

 ガキンッ! 明らかに崩れていた姿勢から剣を出し、青龍刀を受け止め、朝倉は目を見開いた。

 いや、ただ受け止めただけなら彼女もこれほど驚かなかっただろう。
 圧倒的不利な状態からダンガイオーはギルガザムネのパワーを跳ね返したのだ。

エリー「ブーストナックルっ!」

 ドドゥッ! 半ばやけくそ気味な告知の瞬間、ダンガイオーの両手が本体から離れて正面を貫く!

朝倉「くっ――!」

 足首のスラスターのみを器用に噴かして上半身を機体を後ろに傾けなければ、金色のギルガザムネの頭部はどこかへ行っていたはずだ。

朝倉「ただのスーパーロボットでもないのね……ッ!」

 笑顔の能面に確かな動揺が見られた。
 ダンガイオーの後ろを取っていたギルガザムネの更に後ろから五つの戦闘機が集結していたのだ。

朝倉「YG-07、避けなさい!」

ギガノス突撃兵「えっ!?」

「「「「「レェェェッツ・コンバイィィィィィン!!」」」」」

 ガシィィィィッ! 戦闘機が合体して巨大ロボットになった。

 バトルマシンのデータが採取されにくい故の奇襲攻撃だ。

翠星石<奇襲>「コン・バトラーVですぅ! Vレーザー!」

 シュビィィィィィィ! 完全にギルガザムネの隙を突いたコン・バトラーVの頭部からVの字型の熱光線が放たれる。

ギガノス突撃兵「あ、アサクラ様ァァァァァ!!」

 チュドォォォッ! 量産型ギルガザムネは爆散した。

朝倉「くっ……!」

 ドカッ! 気を取られた金色のギルガザムネがダンガイオーのキックで吹き飛ばされる。

 追い討ちをかけようとネロは破邪の剣を振る。

ネロ「やぁぁーっ!」

朝倉「――調子に乗らないで」

 バシッ――! ぞっとするような声音と共に軽く上がった手がまるで布でも払うようにダンガイオーの手首を弾いた。

朝倉<気迫>「あんまり、コケにされるのは好きじゃないの」

 ざっ――ざざ――……

コーデリア「なに!? レーダーが……!」

 ヴンッ――!

蒼星石「消えたっ!?」

ネロ「コーデリア!」

コーデリア「そんな、わたくしにもまったく――」

真紅「後ろよっ!」

 警告は遅かった。

朝倉<ハイパージャマー>「さぁ、誰が死ぬかしら?」

 ダンガイオーの頭上で青龍刀が掲げられている。

翠星石「どぉりゃーっ! ですぅ!」

雛苺「なのー!」

金糸雀「かしらー!」

 そうはさせるかとコン・バトラーVが57メートルの巨体でぶつかろうとするが――

朝倉「人形に〝死〟はあるのかしら?」 

 グォン……! ギルガザムネが90度左を向いた。

翠星石「げっ――!」

 真空を切り裂いて豪腕が青龍刀をコン・バトラーVの頭上に振り下ろされる!

蒼星石「くっ!」

 バリッ! 接触の寸前に蒼星石が自ら合体を解除した。

翠星石「蒼星石!?」

 急に掛かるGに驚きながら翠星石は青龍刀の真下にいるバトルクラッシャーに悲鳴をあげた。

 バギィィ! 切られたというより叩き折おられたと言うほうがいい。

翠星石「蒼星石ぃーっ!」

蒼星石「僕は大丈夫だ、翠星石……でもっ!」

 ドドォン! 蒼星石が脱出し、バトルクラッシャーが爆発した。

真紅「一度戻りましょう。雛苺、金糸雀、バトルクラッシャーをお願い」

雛苺「うゆ!」

金糸雀「了解かしら!」

ネロ「このぉーっ!」

 ガキンッ! ガカッ! キィンッ! 

 激昂したダンガイオーの剣がギルガザムネにぶつかっていく。

朝倉「これ以上は構っていられないわ」

 ぶんっ!! 強い水平斬りがダンガイオーの胸部を引き裂いた!

シャロ「きゃぁぁっ!」

 軽症だが、朝倉が逃げるには充分な隙だった。

朝倉「プレゼントよ」

 ごしゅぉっ……! 距離を取った金色のギルガザムネの腹部が開き、大型巡航ミサイルが射出された。

 それだけではない。
 戦場に残存していたギルガザムネが撤退を開始し、全てが同じ巡航ミサイルを撃っている。

コーデリア「ネロ、落として!」

ネロ「わかってる! ダンガイビームッ!」

 ドドォッ……! 朝倉の撃ったミサイルは破壊したが、まだ二十発以上が残っている。

 ただし、地上で低空を飛ぶならばともかく、三次元空間である宇宙ではステルス性に長けた巡航ミサイルも容易に発見し、撃ち落すことはできる。

 恐ろしいのは、量産型ギルガザムネが放ったミサイルの矛先がホワイトベースに集中していたことだ。

ミユリ「ミサイル、こちらに来てます! あと二十秒!」

シノン「AMM<アンチ・ミサイル・ミサイル>、とにかくありったけ用意して!」

アレイ「船員で回れるものは全員、ミサイル倉へ! 何でもいいからミサイル迎撃を手伝え!」

 ホワイトベースの艦橋はこの異常な集中攻撃に蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。

シノン「なのはちゃん、すずかちゃん、準備はできてる?」

なのは『は、はい!』

すずか『大丈夫です!』

 なのはとすずかは艦の直掩になっている。

 広すぎる戦場でなのはは小さすぎて陽動としての効果が低いと見られて、強力な魔法障壁を利用して艦を守る役割をしている。

 すずかはそのなのはの援護役だ。

シノン「とにかくこっちは迎撃ミサイルを撃つけど、撃ち洩らしが来るかもしれないから、お願いね」

なのは「わかりました!」

アレイ「艦長、C3、発射できる!」

シノン「許可なんていらないから撃って! 一秒たりとも無駄にしないで!」

アレイ「了解した。聞いたとおりだ、撃て!」

 伝達するよりも早くミサイルは発射されていた。
 数秒後にパッと赤い光りと煙が見えて、ミユリが報告した。

ミユリ「一基、破壊。さらに四基、来ます!」

シノン「操舵士はなるべく位置を固定させるようにして。これだけの数よ、回避行動なんて意味がないわ」

 次々と宇宙空間に爆発が生まれる。

 だが、その煙を二基のミサイルが抜けてきた。

アレイ「来るぞ、月村、高町!」

なのは『はい!』

すずか『いきます!』

 ガンダムとなのはが前に出て行く。
 二基のミサイルにハイパーバズーカとディバインバスターが並ぶ。

なのは『ディバイーン――』

すずか『照準――そこっ!』

なのは『バスターッ!』

 ズドドドォーッ……! 見事直撃して、ミサイルは破壊された。

ミユリ「やったぁ……」

 全員が冷や汗を拭う。
 ただ、シノンだけは別の予測に眉をしかめていた。

シノン(オトリとはいえ、これだけ集中的に狙われるなんて……敵は旗艦部隊よりもこちらを優先している……)


 ホワイトベース 格納庫

翠星石「蒼星石、蒼星石!」

 運びこまれたバトルクラッシャーに速攻で翠星石がくっつく。
 彼女たちは酸素がいらないどころか真空でもボディに異常が出ない。

 これはさすがに人形だからという理由ではないはずだ。
 ローザミスティカの力かもしれないが、ドール本人たちにもわからないだろう。

翠星石「そーせいせきぃ……」

蒼星石「平気だよ……まったく、君は泣き虫なんだから……」

翠星石「だって、だって……」

蒼星石「僕を大好きな君のその顔が大好きだから……こうするのもたまにはいいかな……」

翠星石「いいわけねぇですよぅ……ばかそうせいせきぃ……」

律「おぉ~い、早く次を入れさせてくれねぇかなぁ……」

 ボスボロットで回収作業を手伝っている律が気まずそうにバトルクラッシャーを押して運ぶ。

翠星石「でこすけ空気読むですぅ!」

律「ちくしょ~! 今戦争してんだぞ~!」

 バトルクラッシャーをどかすと、二機のゲシュペンストとR-1が回収されてきた。
 ただ、TYPE-Sはビームガンを外してエネルギーを補給するだけなので、船外作業だ。

ヒカル「氷柱、立夏、焦って来なくていいからな」

立夏「ハーイッ!」

氷柱「ヒカル姉様も気をつけてね」

ヒカル「あぁ」

 あっという間にヒカルは踵を返してホワイトベースを離れていく。
 その頼もしい背中は同時に物足りなさを年下の二人に募らせていることにヒカルは気付いていない。

立夏「ねーね、氷柱オネーチャン……立夏たちってやっぱりあんま信用ないのかなぁ……」

氷柱「どうかしらね」

 曖昧にはぐらかすが、氷柱にも確信はあった。

 燃料である。
 二人の機体にはそれぞれ姉たちに比べて半分程度の燃料しか入っていないのである。

 なお、脱出用の燃料はコクピットブロックに用意されている。
 半分程度の燃料ということは、他の人員に比べて戦闘時間は半分程度と見込まれているのだ。

 つまり――

氷柱「私たちはまだ半人前ってことね……」

立夏「うゆ……」

 最新鋭機を駆る少女たちの活躍は内外に知れ渡っている。

 十ヶ月以上も戦争が続くことで若い女性が兵士となることも珍しいことではない。
 そして、数多いる兵士の中で彼女たちが選ばれた存在となったその理由は神のみぞ知るといったところか。

 だが、決して忘れてはならないのは、選ばれなかった兵士の数だ――

 機動要塞破壊作戦開始から二十七分で連邦は五百隻の艦艇、全兵士のおよそ40%以上を損失していた。

 だが、それでも連邦は撤退することをしなかった。

 連邦のパイロットは機動兵器の練度が低いために、精緻な作戦を有効的に進められないと示唆された。
 結果として、連邦が取るべき作戦は物量差で攻め続けて敵を疲労させ、その間に特殊工作部隊を展開することだった。

 陽動に陽動を重ねて本命となるべき作戦が無数に画策されている。

 その中でスーパーロボットはやはり最大の効果を持っているだろう。

ゆりえ『ゴォォォッド・ミサィィィィル!』

ギガノス突撃兵「このっ!」

 ババッ! ババババッ! ライディーンの腹部から発射されるミサイルがギルガザムネの銃で相殺されていく。

 一度は撤退したギルガザムネ部隊はインターバルを挟んで再び出撃した。
 要塞正面に展開していた連邦軍の包囲網を崩した後で、今度は手薄になっていた東ブロックに現れた。

ギガノス突撃兵「うおぉっ!」

ゆりえ『わわっ!』

 ガキンッ! 降りかかる実体剣にぎりぎりで楯を出して受け止める。

ゆりえ『ゴォォォッド・プレッシャァァァァァ!』

 ズゴゴォッ! 楯から振動波が発生し、剣を砕く!

ギガノス突撃兵「なんだと!?」

ゆりえ『ゴォォォッド・ブレィカァァァァ!』

 ザシュァッ! 楯から伸びた刃でギルガザムネの頭部を破壊する。

ゆりえ『ゴッド・バード! チェーンジ!』

 自律機動を失った敵に体当たりをして突き放してから、ゆりえはライディーンを巨鳥形態に変化させた。

 飛び立ち、向かう先にいるのは半分以下の大きさのGファイターだ。

ゆりえ『サンダー・バーン!』

 ズバァァァッ! ライディーンから放たれた稲妻がGファイターを追う敵機を撃ち落とした。

ギガノス兵「うぐぐっ!」

アリサ「やった、サンキューよ!」

ゆりえ『はい!』

つかさ「新型メタルアーマーの効果で、反撃が厳しいよ!」

 遅れてアリサの援護にやってきたブライガーが追跡してくるギルガザムネを牽制しつつ言う。

かがみ「これ以上の攻め込みは困難になるわね、ラインを二つ下げましょう」

アリサ「やっぱり、あのデカブツが邪魔ね……」

 Gファイターのアリサが見上げるギガノス機動要塞は今も無数の砲火を撃ち続けている。
 その圧倒的制圧力を奪えない限り、連邦はいたずらに兵力を削がれていく。
 メタルアーマー専用の通路を逆走しながらマジンガーZとゲッタードラゴンは、目に付いた区画を片っ端から調べていった。

 そして、その途中で思わぬ人物と再会したのだ。

のどか「メタルアーマーの反応。これ、ファルゲン!?」

唯「ハルヒちゃん!?」

 迷わずに両機は反応の方へ距離を変える。
 ファルゲンにはさらに三機が追随している。親衛隊だろう。

 広い空間へ出た。
 どうやらメタルアーマーの整備工場のようだ。
 そこで涼宮ハルヒを筆頭にした四人が交戦していた。

夕映「助けるですよ!」

 すぐにトマホークを出して投げつける。
 一発でダインに突き刺さって落とす。

唯「ロケットパーンチ!」

 鉄拳を飛ばし、二体を同時に倒す。

キョン「マジンガーとゲッターか!」

 やや押され気味であった元・親衛隊はこの援軍で士気が高まったのか、一挙に盛り返して敵機を全て撃墜した。

ハルヒ「さっきから要塞を賑わせていたのはアンタたちだったのね」

 以前の投降時に強化されたファルゲンでマジンガー、ゲッターの前に立ってハルヒは不敵に笑った。

ハルヒ「ありがとう、礼を言うわ」

ハルナ「目的は同じと考えていいのかしら?」

古泉「機動要塞の無力化でしょう。お力添えをいただけるのならば是非」

夕映「当然です」

ハルヒ「制御室の場所は有希が探しているわ」

有希「もう終わった」

 抑揚のない言葉にその場の全員が相槌を打った。

 戦況が変わった、とシノは肌で感じることができた。

シノ「唯君たちが成功したか」

 巨体に似合わぬ俊敏さで恐怖を振り撒いていたギガノス機動要塞がピタリと動きを止めている。
 ただ、動かなくなっただけで、ハリネズミのように伸びた砲口はまだ火を噴き続けていた。

 それらも待ちわびていたように前に出てきた連邦艦隊の集中攻撃で次々と沈黙していく。

スズ「要塞表面の損害、18%から一気に47%まで達しました」

シノ「よし、我々の作戦を開始するぞ、スズ、アリア!」

アリア「はい!」

スズ「了解!」

 近づいてきたゲバイを切り払って、三機のドラグナーが機動要塞の頭頂部へ加速する。
 これまで要塞を前後左右360度から観察して得た情報からD-3が導き出した答えの場所――司令部へ。

 ぐんぐんと最大戦速で突っ切るシノたちを防ごうとメタルアーマーが寄ってくるが、より後方からの射撃で撃破される。
 幻惑的なエネルギー光はヴァイスリッターだ。

 さらに真っ直ぐで細いビームランチャーが一発、二発とダインにぶつかって爆散させた。

 勝利までの道を駆け抜けながら、三機のドラグナーは肩に光子力バズーカを担いだ。

シノ「スズ、照準を頼むぞ!」

スズ「はい!」

シノ「アリア、エネルギーのチャージを!」

アリア「もうやってるよ」

 高性能な三つのAIがリンクして照準線がピタリと合い、パワーの充填が完了した。

シノ「一斉射撃だ! いけぇーっ!」

 最後にシノがトリガーを引くと、D-1、D-2、D-3のバズーカが同時に光りを放ち、要塞の一点に降り注いだ。


 機動要塞 司令部

 こんなはずがない。
 ギガノス帝国総統ドルチェノフは揺れる総統専用椅子にしがみつきながら怒鳴った。

ドルチェノフ「こ、こらぁ! 何だこの揺れは!? 何が起こっておるかぁ!」

ギガノス通信兵「て、敵スーパーロボット及び蒼き鷹の一味が思考コントロール室を制圧しました!」

ドルチェノフ「ば、馬鹿なぁ! 何故あの場所がわかったのだ!!」

 彼の狼狽も仕方ないことだ。
 ギガノス機動要塞の要である思考コントロールシステムは完全に独立したダミー区画で発覚される可能性などありえないはずだ。
 例え裏切り者のハルヒ・スズミヤ・プラートが絡んでいるとしても、この要塞のことを彼女が知っているはずがない。
 
 しかし、何もハルヒは機動要塞のことを知る必要はなかった。

 彼女の配下には太陽系最強レベルのハッカーがいるのだから――

ギガノス通信兵「か、閣下! 連邦軍の艦隊が急速接近してきます!」

ドルチェノフ「う、撃て! 撃ち落とせぃ!」

ギガノス通信兵「駄目です! もう攻撃が――」

 兵の報告を遮って轟音が司令部を揺らし、緊急警報が響き渡った。

ギガノス通信兵「か、火器管制システムがダウンしてます! 通信も取れません!」

ドルチェノフ「どういうことだ!? いったい何が起きている!」

 こんなはずがない。
 ドルチェノフは再び念じた。
 それで全てが元に戻るなら、誰も苦労などしない。

ギガノス通信兵「敵艦隊、迎撃中のメタルアーマーを殲滅しつつ接近! このままでは470秒で接触します!」

ドルチェノフ「ま、守れ! 守るのだ! ネズミ一匹たりとも要塞に入れるな!」

 実際には、既に6機も要塞内にいるが、ドルチェノフはひたすらわめく。

ギガノス通信兵「閣下! 機動要塞北極部から侵入する機影あり! ディ、D兵器です!」

ドルチェノフ「な、なんだと!」

 転がりそうになりながら椅子から立ち上がると、ドルチェノフは側近の肩を掴んだ。

ドルチェノフ「お、おい、キサマ! キサマにワシのSP部隊を貸してやる。D兵器を見事討ち取って来い!」

側近「ほ、本官がでありますか!?」

ドルチェノフ「こんなときこそ、側近であるキサマがワシのために楯にならねばならんのだ!」

側近「そ、総統閣下ぁ!」

 あろうことかドルチェノフは側近のこめかみに銃を押し付けて司令部を出ていった。

 その場にいる誰もが〝逃げた〟のだと理解していた。

 制御室を破壊され、自慢の機動力を失った機動要塞は連邦の大規模艦隊を前に攻撃能力の79%を失っていた。

 その上、総督であるドルチェノフは司令部から逃げ出す始末――

ハルヒ「抵抗は許さないわ」

 ファルゲンで乗り込まれては、どうすることも出来ない。
 司令部にいる全員は諸手を挙げて投降せざるを得なかった。

ハルヒ「結構よ。ドルチェノフはどこ?」

 ドルチェノフがいなくなった後の指示に追われていた側近は銃口を向けられて泡を吹き出さんばかりであった。

側近「か、閣下は前線指揮を執られる為に――」

ハルヒ「逃げたのね。ま、そんなもんよね」

側近「閣下を侮辱するなど!」

ハルヒ「アイツは薄汚い盗人よ」

 ばっさりと切り捨ててハルヒは銃を掲げなおした。

ハルヒ「ギルトール元帥を暗殺し、ギガノスを掠め取った鼠賊。それだけよ」

 ガシュゥッ――振り返り、数歩距離を確保してからファルゲンは発進する。

ギガノス通信兵「元帥を暗殺……どういうことだ?」

 命拾いをして、冷静になった兵士達が囁きあった。



ドルチェノフ「どいつもこいつも馬鹿者めらが! ワシは総督なるぞ!」

 軍靴を響かせてドルチェノフ総督は再召集した親衛隊を前に自らギルガザムネに乗り込んだ。

ドルチェノフ「くそ! くそくそぉ! 百機以上いたギルガザムネが今や二十二機だと!?」

 起動するギルガザムネ。
 ドルチェノフ専用機は藍色のカラーリングが施されている。

ドルチェノフ「えぇい、アサクラはおらんのかぁ!?」

親衛隊「そ、それがまだ戻られていません」

ドルチェノフ「ぬうぅ、役立たずめが……よいか、お前たち!」

 元々は宇宙方面軍の最前線に立つ苛烈な将である。
 例え退路を失ったとしてもその声には迫力が籠もっていた。

ドルチェノフ「ワシはこれから起死回生の作戦を敢行する。キサマらはなんとしてでもワシを守れぃ!」

親衛隊「「「「ははっ!!」」」」

 哀れな彼らはその作戦がジオンへの亡命だとは知るよしもない。

ドルチェノフ「出るぞ、重力を切れい!」

 居丈高な号令で重力装置の電源が切られ、ギルガザムネは宙に浮く。

 自分を含め二十三機が発進体勢に入ったのを確認して、頭上のゲートが開いてゆく。

ドルチェノフ「ゆくぞ、ワシに続けぃ!」

 シュゴォォォ……! 浮上してゆくギルガザムネ。

 円筒形のルートに四基つけられているハンガーに背部をひっかける。
 そこからはハンガーが繋がっているレールに引っ張られて上へ昇っていく。

 ちょうど中間地点を通ったところで、警報が響いた。

ドルチェノフ「何事か!?」

ギガノス通信兵『そ、それが、D兵器の攻撃で上昇装置に異常が出ました!』

ドルチェノフ「何だと!」

 幸い、無重力地帯になっているので慣性に従い上昇は続く。

 ドドォン……! 突如、ギルガザムネの頭上で爆発が起こり、ルートに大穴が開いた!

ドルチェノフ「今度は何だ!?」

ギガノス通信兵『ディ、D兵器です! D兵器の三機が侵入してきました!』

 報告に頼るまでのもなく、レーダーがD兵器だと告げている。

ドルチェノフ「ぬうぅぅぅ! このワシに……総督の頭上に立つとは無礼者どもが!!」

 脚部のバーニアで機体を水平にし、ドルチェノフはハンドレールガンを構えた。

シノ「敵機か、仕掛けるぞ!」

アリア・スズ「了解!」

 ガガァッン! 煙の中から砲撃が放たれるが、ギルガザムネの肩当てで弾かれた。

ドルチェノフ「このギルガザムネには効かぬわ!」

 ガガガガガガガガッ!! 照準も合わせずに徹甲弾をばらまく。

 どうせ煙の中にいるのだから、所構わず蜂の巣にする。

ドルチェノフ「どうだ? むっ――」

シノ「はぁぁぁぁっ!」

 ぶわっ――! 煙を突き破り、ルナ・チタニウム合金の楯を構えたドラグナー1型カスタムが突っ込んでくる!

ドルチェノフ「おのれ!」

シノ「カラーが違う、指揮官機か!」

 ドカァッ! 楯を構えたままギルガザムネに体当たりし、右手にはアサルトナイフを握った。

ドルチェノフ「ぬぅぅ!」

 ザシッ! 首を狙った一撃だが、ぎりぎりで逸らされ、肩当てに突き刺さるに終わった。

ドルチェノフ「忌々しいD兵器めが!」

シノ「その声――まさか!」

 交錯の瞬間に流れ込んできた声にD-1の対話型コンピュータ・クララも同じ解を出している。

シノ「ドルチェノフ中佐か!」

ドルチェノフ「中佐ではない、総督だ!」

 ドラグナーで取り付こうとするが身じろぎして振りほどかれてしまう。

ドルチェノフ「ワシに逆らうとどうなるか思い知らせてくれる!」

 ガカカカカカンッ! 至近距離で銃弾を見舞うが、全てシールドで跳ね返されてしまう。

シノ「信頼性の高いガンダムシールドだ! ビーム兵器にさえ耐えられる!」

 基板に超鋼スチール、緩衝材に高分子素材による特殊樹脂を挟んで最表層をルナ・チタニウム合金を用いたシールドである。
 その対弾性と衝撃緩和力はガンダムによって証明され、ルナ・チタニウムを使用しないドラグーン、ジムにもこのシールドだけが採用されている。
 更に、常に被弾を避ける月村すずかの戦闘データからオートで防御行動を行う為、未熟なパイロットでも致命的なダメージを貰わずに済むようになっていた。

親衛隊「総督閣下!」

 爆発の衝撃から体勢を整えた量産型ギルガザムネがD-1へ両刃の実体剣を持って迫り来る。

アリア「それっ!」

 ドォンッ! D-2からの支援砲撃を受けてシノは後退する。

ドルチェノフ「えぇい、逃がすな! 奴らを捕らえたものは将軍にしてやるぞ!」

 どうせ捨てる国だ。
 
親衛隊「「「「おぉっ!」」」」

 色めきたった親衛隊の半数がドルチェノフを抜いてドラグナーへ飛び込んでいく。
 しかし、侵入者は背後にもいたことをドルチェノフは忘れていた。

親衛隊「総督! 後ろから――うわぁぁっ!」

 ゴォォォォォッ! 真っ赤な光線が下方に残ったギルガザムネを飲み込んだ。

ドルチェノフ「今度はなんだぁ!?」

唯「マジーン・ゴーッ!」

夕映「マッハウィィィング!」

 ドゴォォンッ……! 十機のギルガザムネを瞬殺したマジンガーZとゲッタードラゴンが一挙にドルチェノフに迫る。

ドルチェノフ「役立たずどもが!」

 ギルガザムネが手に手榴弾を持った。

ハルナ「ちゃちな爆弾じゃ傷一つつかないわよ」

 ニヤリと笑うハルナだが、ドルチェノフは手榴弾を真上に投げた。

のどか「えっ!?」

 バシューッ! 手榴弾が爆発すると、強烈な光りがメタルアーマーたちを襲った。

シノ「ぐっ!」

親衛隊「センサーが!? 総統閣下ぁ!」

 ドルチェノフが投げたのは閃光と特殊な粒子で視界と通信領域をゼロにする光熱弾だ。
 自機には及ばぬように計算して投げたギルガザムネが混乱するメタルアーマーの中を突っ切っていく。

ドルチェノフ「わはははは! 見事だ! キサマたちはワシの楯となったのだ。戦死しても二階級、いや三階級も四階級も昇進させてやるぞ!」

 親衛隊にその声は届くことはない。
 D兵器も追い越してゲートから宇宙に出ると、ドルチェノフは更に非道の策をとった。

ドルチェノフ「ぐふふふ……憎きD兵器もスーパーロボットどもも、まとめて沈めてくれるわ!」

 シュボォォッ……! 赤い肩当てを開き、100連装デュアルミサイルポッドをゲートに向けて発射する!

 ドドッ……ドドォォォォォッ!! 

 ゲートがミサイルと爆煙に覆われて崩壊していく。
 ギガノスの威信をかけて建造したものを自らが逃げるために何のためらいもなく破壊しているドルチェノフはやはり国家の事など考えていないのだろう。

キョン「ドル……チェノォォォォォォフ!!」

ドルチェノフ「!?」

 ドスッ! 突然、横合いからゲルフ・マッフがギルガザムネにレーザーソードを突き刺した!

ドルチェノフ「ぬぅっ!」

キョン「覚悟しろ、この豚野郎!」

 しかし、レーザーソードが刺したのは脇の装甲だけで、本体にはさしたるダメージはない。

ドルチェノフ「プラートの金魚のフンが、ワシに盾突こうとは愚か者め!」

 ばきっ! 唸りをあげた拳がゲルフの頬げたを叩き、蹴り飛ばす。

キョン「ぐっ――古泉!」

古泉「わかっています……!」

 ドォン! 取っ組み合っている隙に背後を取った古泉のヤクト・ゲルフが背中の大砲を撃ち、ギルガザムネに当てた。

ドルチェノフ「ぬぅぅ……木っ端どもが!」

 ぶぉんっ! 両刃の直剣を持ってゲルフに斬りかかるが、ヤクト・ゲルフの射撃に邪魔される。

ドルチェノフ「ぐぬぬ……!」

キョン「ドルチェノフ、ぶっ倒す前に聞かせてもらおうか!」

ドルチェノフ「何をだ!?」

キョン「ギルトール元帥暗殺の真犯人だ!」

ドルチェノフ「な、なんのことだ、ワシは知らんぞ!?」

キョン「とぼけるな! さっさと吐け! 元帥殺しはハルヒ・スズミヤ・プラート大尉ではなく、ドルチェノフ自らやったと!!」

ドルチェノフ「何の根拠があってそんな戯れ言を! 元帥殺しはプラート大尉だ、ワシではないっ!」

古泉「それがどうも、そうでは無さそうなさそうでしてね」

キョン「お前がやったんだろ、ドルチェノフ!」

ドルチェノフ「ワシではないっ! ワシではないぞ! 貴様は死刑だ、死刑にしてやるっ!!」

 ギルガザムネが激しく掴みかかる。
 ヤクト・ゲルフの援護を受けながらキョンは糾弾を続けた。

キョン「ハルヒは銃を持たずに玉座へ行き、お前は銃を所持していた。誰が銃を撃つつもりだったか、子どもでもわかることだ!」

ドルチェノフ「貴様は何者だ、ワシはギガノスの総統だぞ!」

キョン「その総統の名が欲しくて元帥を殺したのか!?」

 この時、この場を早く離れることばかりに意識がいっていなければ、周囲にレビ・ゲルフがいないことに気付けていただろう。

「うるさいっ! 貴様には関係ない、貴様は死刑だ、死刑だ死刑だ!」

 子供が駄々をこねるようにギルガザムネはめったやたらに剣を振るう。

ドルチェノフ「ワシは統一帝国ギガノスの総統だぞぉっ! 元帥殺しはワシではない、プラートがやったんだ! 断じてワシではない、ワシではないぞぉぉぉ……!」

 カキンッ! 剣がレーザーソードを弾き飛ばした!

キョン「うおぉっっ!」

 ドカッ! さらに蹴りが当たり、ヤクト・ゲルフを巻き込んで基地の壁面にぶつかった。

ドルチェノフ「ぐふ、ぐふふふ……そうだ、ワシが総統なのだ。総統に逆らったキサマは死刑なのだ!」

キョン「ぐっ……ならば、死刑になる前に真実を聞かせてくれ……」

ドルチェノフ「フフフ……いかなる死刑囚であろうとも最後の望みは叶えてやらねばならんな、聞かせてやろう。ハルヒ・スズミヤ・プラートは現場に居ただけだ、ヤツは犯人ではない。ただヤツは、一言も弁明せず国家に対する重罪人に自ら成り下がった……」

キョン「や、やはり貴様が……!」


ドルチェノフ「そうだ、元帥を射殺したのは貴様の言うとおり、ズバリこのワシだ!」


 まるで宇宙の権力者になったかのような大仰な所作でギルガザムネの腕を広げ、ドルチェノフは高笑いした。

ドルチェノフ「しかしワシは元帥射殺を後悔しとらんぞ……全ては国家のためにやったことだ。ギルトール元帥は間違っておった。ヤツは統一帝国ギガノスの長としてふさわしくない男だった。地球を壊してはならん! ヤツは口を開くとそればかりホザいておったわ。それが甘いというのだ! 戦に勝つためにはあらゆる手段を講じなければならんのだ……!」

古泉「ふ、ふふふ……」

 演説の後、最初に笑ったのは古泉一樹であった。

キョン「は、ははは……あっはははははは!」

 続いて、キョンが馬鹿笑いする。

ドルチェノフ「な、何だ! 何がおかしい!」

キョン「まだわからないのか、ドルチェノフ?」

 たった今まで死体のようだったゲルフの二機がすらりと立ち上がった。
 直後、回線に割り込んできた声にドルチェノフは目を剥くことになる。

『そうだ、元帥を射殺したのは貴様の言うとおり、ズバリこのワシだ!』

ドルチェノフ「!?」

 声と台詞はまぎれもなくつい今しがたドルチェノフが叫んだものだった。

ドルチェノフ「ど、どういうことだ……」

キョン「お前は俺たちだけに回線を開いているつもりだったようだが、ここにいるのは俺たちだけじゃなかったのさ」

 ゲルフがギルガザムネの後ろを指す。
 そちらを向くと、モノアイを光らせるレビ・ゲルフがいた。

ドルチェノフ「な、なな……何じゃ、あいつは!?」

キョン「お前も聞いたことがあるだろ、ハルヒの数少ない部下で、友達の……スーパーハッカーを」

長門「録音したデータを複製、ギガノス、連邦、ジオンを含めて全宇宙に伝播した」

ドルチェノフ「な、なな、なななな……」

 言葉にならない総統は強制的に再生する自らの高笑いを聞かされ続ける。

ドルチェノフ「う、ウソじゃ! ワシが今言ったことは全て嘘じゃ! ヤツに冥土の土産話を聞かせてやろうとしたことじゃ! お、おいそこのキサマたち! こやつらを召し捕れぃ! 階級も褒美も思いのままじゃぞ!」

 歯を鳴らしながら近くを滞宙していたメタルアーマーに命令するが、それらはギルガザムネに背を向けるや、投降のコールサインを出して連邦軍へ向かっていく。

ドルチェノフ「何故じゃ! 何故逃げる! ワシの命令が聞けんのか! ワシは総統なるぞ! ワシの命令を聞けぬものは全員死刑じゃ!」

 全ての部屋に通じているドルチェノフの声は、ギガノス兵の戦意を無くさせるのにじゅうぶんだったのだ。
 機動要塞も一切の攻撃行動を停止し、投降の構えを見せている。

ドルチェノフ「こらぁ! 勝手に、連邦に……敵前逃亡は死刑じゃぞ! 全員、この場で処刑してくれるわ!」

 ギルガザムネが腹部に装填していた大型巡航ミサイルを機動要塞に向けて射出した――が、それは要塞に当たる直前にへろへろと酒に酔ったようにふらついて、やがて全く無関係のほうへ飛んでいってしまった。

ドルチェノフ「な、何じゃ! き、機械にまでワシをバカにしくさりおって!」


『ハダカの王様気分はたっぷり味わえたかしら、ドルチェノフ〝元〟総統閣下?』


 割り込み回線で嘲笑した声のほうを見ると、ドルチェノフは顔一杯に脂汗を浮かべた。

ドルチェノフ「き、キサマ! ハルヒ・スズミヤ・プラート!?」

ハルヒ「ドルチェノフ! アンタの所業もこれまでよ!」

 背負ったレドームの回転を止めたファルゲン・カスタム――〝蒼き鷹〟がレーザーソードを抜く。

ハルヒ「亡き元帥に成り代わり、あたしが貴様を討つ!」

ドルチェノフ「ま、待て……早まるなプラート大尉! 全てはギガノスのため、帝国を勝利に導くためだ!」

ハルヒ「問答無用よっ!」

 ギュオォォォーッ! 〝大義〟という名の疾風に代わったメタルアーマーがドルチェノフに襲い掛かる!

ドルチェノフ「くぉ、小娘がぁ!」

 ガキィッ! 後一歩のところでギルガザムネが素早く動き、直剣でレーザーソードを受け止めた!

ハルヒ「アンタをやらなきゃ、全人類が根こそぎ滅亡するのは必至の理!」

ドルチェノフ「黙れぃっ! かくいうギルトールも、劣性なる地球人類を抹殺しようとしていたではないかぁっ!」

ハルヒ「元帥はただ、宇宙世紀にふさわしい人類を求めていただけよ! アンタのような醜悪な奴こそ葬ろうとしていた相手なのよ!」

ドルチェノフ「ほざけっ! この機動要塞を貴様の墓場にしてやる! そして醜い屍を晒すがいいっ……!」
 
 ガンッ! ズシャッ! 鷹と武者が得物を振るい合い、鷹の爪が武者の膝を裂く!

 ガシュッ! 武者も負けじと剣を払い、鷹の翼をもぎる!

ハルヒ「くっ!」

 平衡感覚を一つ失ってファルゲンのバランスが崩れ、ぎらりとギルガザムネの目が光る。

ドルチェノフ「終わりだ、プラート!」

シノ「させるものかっ!」

 ズドドォッ! 下方から飛んできたミサイルに足を掬われてギルガザムネがよろめいた。

ドルチェノフ「ど、ドラグナー!? 何故だぁっ!」

シノ「お前のような者がいるから、私は戦争などという余計なことをしなければならなくなった」

 装甲をくすぶらせながら、白いメタルアーマーは二本のレーザーソードを接続した。

シノ「その上で味方さえ巻き込む非道、私も怒りを禁じえん」

ドルチェノフ「それがどうしたぁ! 戦は非情だ! 総統を守るが兵の務めではないか!」


シノ「知らないだろうから教えてやる……今日のドラグナーは、死ぬほど痛いぞ!」


 シュゴォォォッ――! D-1が一気に加速してギルガザムネへ接近する!

ハルヒ「待ちなさい! そいつはあたしのエモノよ!」

 争うようにファルゲンもレーザーソードを構えて飛ぶ!

ドルチェノフ「どいつもこいつも愚か者ばかりめ! まとめて打ち砕いてやるわぁ!」

 追い詰められて、ドルチェノフはあがいた。

 下からのD-1は軌道から避け、ファルゲンのソードを弾いた。
 投げつけられたハンドグレネードを叩き落し、左手の自動砲を返してやる。
 鷹がレールキャノンを撃つが、堅牢な装甲を頼りに防御し、ミサイルを撃つ。
 突っ込んでくるD-1を重量差で押し返し、直剣の柄で殴りつけた。

シノ「くっ……!」

ハルヒ「しぶといわね!」

ドルチェノフ「キサマらの首を刎ね、連邦に突きつけてやるわ!」

朝倉「それであなたは満足なのかしら?」

 いきなり降りてきたのは、金色のギルガザムネだった。

ハルヒ「朝倉!?」

ドルチェノフ「キサマぁ! 今さら現れおって!」

朝倉「やぁね、せっかく助けに来てあげたのに」

ドルチェノフ「うるさい! ならばさっさとこやつらを片付けぬか!」

朝倉「そんな乱暴じゃ、助かる命も助からなくなっちゃうよ」

ドルチェノフ「何だと!?」

朝倉「簡単だよ。もう、助かるには連邦に降伏するしかないんだよ」

ドルチェノフ「な、なんだと……!?」

朝倉「残念だけど、ギガノスはもう負けちゃったんだよ。周りはすっかり包囲されちゃってるし」

 その指摘の通り、四機の周囲はまずマジンガー、ゲッターを初めとしたスーパーロボット部隊に囲まれていた。

ドルチェノフ「わ、ワシが……連邦に、降るじゃとぉ……!」

朝倉「気持ちはわかるけど、あなたがここを脱出する方法はないわ」

ドルチェノフ「…………いいや、まだあるぞ」

 うなだれて、絶望している風だったドルチェノフが哄笑と同時に歯の間からよだれを垂らし、腕を伸ばした。

朝倉「きゃっ!」

 ガシッ! ドルチェノフのギルガザムネが、朝倉のギルガザムネの首に腕を回して捕まえていた。

ハルヒ「何をする気、ドルチェノフ!?」

ドルチェノフ「ぐふふ……こやつを楯に連邦の脱出するのだ……!」

シノ「なんだと……!」

ドルチェノフ「キサマらとて、無為にパイロットを殺すことはできまい! ぐはははははは!」

ハルヒ「こ、コイツ……」

シノ「本物の……」

ハルヒ・シノ「「卑怯者!!」」

 二人の声は重なるが、ドルチェノフは笑って吹き飛ばす。

ドルチェノフ「さぁ、武器を捨てぃ。ワシの道を空けるのじゃ」

シノ「くっ……」

ハルヒ「…………」

 腹が立つ相手でも、やはり無下にできない二人がレーザーソードの電源を切ろうとしたとき――


朝倉「あーぁ、せっかく死なないで済むところだったのに」


 心の底から呆れ、軽蔑しきった声調で朝倉涼子がため息を吐き出した。

ドルチェノフ「こ、こらぁ、キサマは喋るな!」

 制止しようとするが、彼女はもうドルチェノフに一切の興味を抱かない様子で唇を動かした。

朝倉「涼宮さん、天草さん、いいこと教えてあげる」

ハルヒ「いいこと?」

 訝しげに眉をひそめるハルヒにも朝倉は動じない。

朝倉「そ、いいこと。ギルガザムネはセンサーに欠陥があるの」

ドルチェノフ「な、何じゃと!?」

 一番に驚いていたのはドルチェノフであった。

朝倉「ギルガザムネのセンサーは二機以上の機体が重なると、異常が起きて機能が停止するの」

ハルヒ「本当にいいことを聞いたわ」

シノ「同感だ」

 そう言って二人は同時にギルガザムネから距離を取り、武器を構え直す。

ドルチェノフ「き、キサマら! 本当にいいのか!? こやつの命がどうなっても……!」

 うろたえている間に、センサーがラグを出していた。

ドルチェノフ「な、何故じゃ! まだ奴らは――っ!」

 重なっていない――そう言おうとしたドルチェノフの目が深い衝撃に窪んでいく。

 ギルガザムネとD-1を結ぶ直線上に捕まえられている朝倉涼子の機体が識別信号を連邦に――敵側のそれに変えていたのだ。

朝倉「じゃあね」

 全力で締め上げていたはずが、あっさりと振り解かれてしまい、金色のギルガザムネが離れていった。

ドルチェノフ「ま、待て、待ってくれ!」

 手を伸ばし懇願する間に、既に白と蒼のメタルアーマーが懐に飛び込んできていた。

シノ「また手を組むことになるとはな」

ハルヒ「前より、腕を上げたようね」

 ザシュッ! 棒立ちになっているギルガザムネに、レーザーソードが前後から袈裟切りにする。

ハルヒ「あたしの動きについてこられるかしら!?」

シノ「やってみるさ!」

 立ち位置を後退した二人は振り向きざまにもう一太刀、さらに返す手を逆袈裟に交錯させた!

ドルチェノフ「ぬぅぅ、おのれ小娘ごもが! 許さん、許さんぞぉぉぉッ!!」

 叫んでも機体は動かなかった。
 何度もぶつかってきた二体のメタルアーマーはまるでつがいの鳥のように鎧武者の周囲を飛びまわり、刃を浴びせていく。

ドルチェノフ「ぐぅぅっ! やめろ、やめてくれぇぇ!」

シノ<覚醒>「これが引導だ、受け取れ!」

ハルヒ<夢>「帝国の崩壊と共に滅びなさい、ドルチェノフ!」

 斬り伏せられ、ほとんどの関節が焼け爛れたギルガザムネの左右で、二人は腰だめにレーザーソードを構え――


シノ・ハルヒ<魂>「「覚悟ぉーっ!!」」


 ザンッ!! ツイン・レーザーソードが胴体と首を直撃した!

 胸部と腕だけになりながら、まだ醜い声は止まない。

ドルチェノフ「ワシは……ワシはまだ死ねん……死んでなるものかぁぁぁぁっ!!」

 僅かに残ったバーニアとミサイルを撒き散らし、ギルガザムネは連邦の包囲を飛び込んでいく。

 政治的意味の失くした敗戦の将に、もはやその価値がないと悟っているのか、誰も捕まえようとはしない。

ドルチェノフ「ワシはまだ死なんぞぉ……ワシが居る限り統一帝国は存続するのだ……! そうとも、帝国は永遠に不滅なのだ!」

 腕の生えた棺桶に抱かれたまま、ドルチェノフは地球に向かっていき、見えなくなった。


 宇宙世紀0079 12月16日――

 崩壊してゆく地球環境保全のために起ち上がった統一帝国ギガノスは切り札であったマスドライバー・キャノンと機動要塞を失い、全面的敗北を喫した。

 ギガノスは、地球連邦軍が機動要塞へ踏み込む直前に、国家解体を宣言する。

 ハルヒ・スズミヤ・プラートは愛機ファルゲンから自らの口で革命の終結を明白にし、帝国民を宇宙難民とすることで、捕虜としての非人道的扱いを回避させた。

 それでも、まともな生活は送れないだろうとは予測するが、少なくとも隷従させられる事はないだろうと考えての事である。

 ただし、その宣言の後、ハルヒ・スズミヤ・プラートは三人の部下と共に戦域を脱出、連邦の追跡から逃れた。

 連邦で最後に彼女と言葉を交わしたのは、天草シノであった。


ハルヒ「……ふぅ」

 演説を終えた彼女にシノは寄り添っていく。

シノ「見事だったよ。あれなら、連邦も乱暴な扱いは出来ないと思う」

ハルヒ「どうかしらね……結局、政治を牛耳っているのはジャブローのモグラたちよ」

シノ「だが、君がいれば――」

ハルヒ「ダメよ、あたしがいたら、それこそ連中の思う壷だわ」

シノ「どうしてだ、君ほどの力があれば……」

ハルヒ「力があるからいけないのよ、今のギガノスは徹底的に弱者にならなくちゃいけないの。なまじ影響力があるあたしを連邦はていのいい人形に仕立て上げるでしょうね」

シノ「そうか……」

ハルヒ「そういう訳だから、あたしたちはしばらく姿を隠すわ」

シノ「止める権利はないさ、本音は違うが」

ハルヒ「わかってるわ。あたしだって、今の地球をほうっておくことはできない」

シノ「そうか、それじゃあ……」

ハルヒ「そうね、また、会いましょう」


 宇宙世紀0079――

 突如として地球に襲い掛かった暗い影から、ようやく一本の爪が落とされた。


 第二十四話 決着! 亡国の凱歌  完



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 『熱』について

 自然界の熱

 太陽の中心 1500万度

 核兵器 1000万度

 地球の中心 6000度(太陽の表面とほぼ同等)

 大気圏再突入 1000度から3000度

 火山のマグマ 1000度から1200度

 宇宙空間 マイナス270度(ほぼ絶対零度)

 月の表面 マイナス18度(前後100度差あり)


 リアル系の耐熱装甲

 ガンダム 盾を使えば大気圏突破可能

 ダンバイン 強獣のなめし皮程度

 オーラバリア 核兵器以上

 ゲシュペンスト 単独での大気圏突破は不可能

 ドラグナー 描写なし


 スーパー系の耐熱装甲

 マジンガーZ 核兵器以上

 ゲッターロボ マグマぐらいは余裕

 コン・バトラーV 4200度くらいまで

 ダンガイオー 大気圏は余裕

 ライディーン マグマは余裕

 ブライガー 太陽系最強レベル
 

  補足
 基本的に原作での劇中描写設定。
 ゲシュは同等の装甲を持つR-2の描写から。
 コンVは特急指令ソルブレインを参考。
 ブライガーは続編のバクシンガー準拠。
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