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銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その3

2011年09月12日 19:22

銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」

634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga]:2011/05/22(日) 21:33:00.04 ID:s44FeMKO0


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翌日、学校

銀時「うーし、じゃあ出席取るぞー………」

銀時「……次ィ、美樹さやかー」

さやか「Zzzzz…Zzzzz……」

まどか「お、起きてさやかちゃん!」

銀時「あー、寝かせとけ寝かせとけ」

さやか「Zzzzz…Zzzzz……」

銀時「えー…美樹さやかは感心・意欲・態度が非常に悪いため落第…っと」

さやか「嘘です、寝てませんでした起きてます!」

銀時「いやいいよ寝てろって、そのままもう一年この教室で寝てていいから」

さやか「それだけは勘弁して!やる気その気大好きだから!意欲だけは誰にも負けませんから!」

さやか必死の弁明と銀時の掛け合い、クラスが朝から暖かい笑いに包まれた。

銀時「とりあえずアレだ、この前の抜き打ちテストの答案返すからな」

さやか(テストってかあれ…ほとんどアンケートだったじゃん、正解なんかあるわけないって……)

まどか「どうしよう…私、54点だった……」

さやか「私は72点…だけど、何か納得いかない……」

ほむら「…………」

さやか「あ、そういえばアンタは?せっかくだし見せてよ」

ほむら「私はいい、見せる必要もないわ」

銀時「いたよクラスにこういうことするヤツ、点数の書いてある部分を折り曲げて何点か分からないようにするの」

さやか「いいじゃん、みんなひどい点数取って落ち込んでるんだから!一蓮托生だって!」

ほむら「あっ…ちょっと……!」

半ば強引にほむらの答案を手に取る、そこに書かれていた点数は

さやか「96点……だと……!」

ほむらの間違えた問題
ゼルダの伝説、時のオカリナにおいて最も難しいと思われるダンジョン名を一つ書け

ほむらの答え…闇の神殿
模範解答…水の神殿

さやか「これは…うん、間違えても仕方ないって…こんなの分かるワケないから」

ほむら「私の場合、闇の神殿は水の神殿よりクリアするのに十倍は時間がかかったわ」

さやか「どんだけ苦戦したのよ、ていうかそんなに難しかった?確かに暗くて怖い感じのステージだったけど……」

ほむら「……あの雰囲気が受け付けなかった、とでも言うべきね」



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放課後

銀時「次のテストはどうすっかな…手堅くスターフォックス辺りで……」

ほむら「…………」

銀時「…いたのかお前か、何かようか?」

ほむら「確認したいことがあるわ…あなたはなぜ私が幾度も時を戻して戦い続けていたか覚えてる?」

銀時「まどかちゃん親衛隊隊長だから」

ほむらの鉄拳が一発。

ほむら「そんなことはどうでもいい」

銀時「あ、別に否定はしねーのか」ダラダラ

ほむらの鉄拳が二発。

ほむら「…………」

銀時「何かデカい魔女が来てそいつをまどかの力を借りずに倒すためでした」ドクドク

ほむら「……ワルプルギスの夜が現れる日は近い、それは覚えておいて」

銀時「……ここが最後の山場ってわけか」

ほむら「そう、これで最後…これですべてが決まるといっても過言ではないわ」

銀時「だったら一発、やっとくしかねーな」

ほむら「?」


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ほむら宅

銀時「第一回、何かデカい感じの魔女&無限残機を頑張って何とかしましょうね会議ー」

杏子「何だよその適当な感じ、全然やる気出ねぇぞ」

さやか「まあ…いつものことだし気にしたら負けじゃない?」

銀時「いーんだよこのぐらい適当なほうが、背伸びして無理してても途中で足攣っちまうだろ」

ほむら「………」

マミ「これは…一体なんの集まりなのかしら?」

ほむら「もう間もなくワルプルギスの夜がこの町に現れる、それに対する対策会…とでも言うべきかしら」

マミ「!」

杏子「……確かなのか、それ?」

ほむら「ええ、まず間違いないわ」

さやか「ワルプルギス…って?」

杏子「簡単に言っちまえば…超弩級の大型魔女だ、普通の魔女とは比べものにならねぇ」

ほむら「そして一度具現化すれば、それだけで何千人もの人が犠牲になる」

さやか「そんな…めちゃくちゃヤバい奴じゃない!」

マミ「何とかしないと……!」

ほむら「そして…問題はもう一つあるわ」

杏子「もう一つ……?」

ほむら「契約を迫るキュゥべえからまどかを何としても守らなきゃ…すべてが終わりになるわ」

さやか「まどかを守るって…よく意味が分からないんだけど……」

ほむら「……なぜキュゥべえは私たちを魔法少女にさせたがるのか…その理由から説明したほうがよさそうね」


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ほむら「……理解できたかしら」

さやか「良くわからない部分もあったけど…アイツの狙いって……」

マミ「魔法少女が魔女になるときに発生するエネルギーの回収して宇宙の寿命を延ばす、そういうことなのね」

ほむら「その通り、そして…まどかは魔法少女としては信じられないほどの素質を秘めている」

杏子「つまり…それだけの力があるんなら、回収できるエネルギーも大きいってわけか……」

ほむら「…………」

杏子「ふっざけんなよ…私たちをただの便利な『物』みたいに扱いやがって……!」

さやか「でも…今のまどかだったらそう簡単には契約なんかしないんじゃない?」

マミ「……そうね、どんな願いが叶うといっても今まで何があったかをみてきているわけだから」

ほむら「……あの子は優しすぎる、私たちが目の前で傷つくのを黙ってみていることができない」

杏子「私たちの誰かがやられそうになったら…なりふり構わずそいつを助けようとするってことか」

銀時「……つーわけで、その辺を何とか出来る良い案を思いついた奴はいねーか?」

銀時「(会議を)一発やるって意味を如何わしい意味に捉えた野郎は、後でほむらのビンタが炸裂するから覚えとけ」

ほむら「何で私?」

杏子「はい」

銀時「はーい、佐倉杏子ー」

杏子「あのキュゥべえの野郎を残機がなくなるまで叩き潰す!」

銀時「いやーアイツの残機がいくつあるか分からねェからそいつァ微妙だな」

さやか「はい」

銀時「はい、美樹さやかー」

さやか「逆にまどかを何とかしてみるってのはどうかな?」

銀時「例えば?」

さやか「うーん…すっごい強引だけど、どっかに閉じ込めておくとか……」

ほむら「あなた…まどかを監禁するつもり?」

さやか「いや、だからたとえばの話で……」

ほむら「例えばでも……ダメ、絶対」

さやか「ですよねー」

銀時「じゃあ最後、アースジェットくん」

マミ「いや、どうして最後は私で落とそうとするの!?せめてキイロールにしてくれないの!?」

銀時「グダグダ言ってねーで何かあんなら言えよ面倒くせーな」

マミ「ワルプルギスの夜を圧倒して倒せれば…鹿目さんが契約することもない、そうね?」

ほむら「……何が言いたいのかしら?」

マミ「ワルプルギスの夜の強さは聞いてるわ…でも、今はこれだけ戦える魔法少女が揃ってる」

マミ「みんなで力を合わせればきっと何とか……」

ほむら「無理よ」

マミの言葉を途中で切ると、おもむろに杏子とマミの肩を軽く叩いた。

マミ「痛っ!!」

杏子「ぐっ!?」

叩くというより触れるに近い行動、ただそれだけの行動で杏子とマミは肩に走るような激痛を覚えた。

ほむら「先日の戦いであなたたちの体はボロボロでしょう…特に杏子、あなたはね」

杏子「けど、戦えないわけじゃない…私は……!」

ほむら「そんな傷だらけの体で戦うあなたたちを見て…まどかは何を思うかしら?」

杏子「!」

さやか「ごめん…こんなところでも足引っ張っちゃって……」

ほむら「あなたもよ、今のあなたじゃ…おそらく戦うことは不可能だわ」

さやか「えっ…な、何でよ?」

ほむら「奇跡的に蘇ることができたとはいえ…あなたの肉体はしばらく死んでいたのよ?」

ほむら「そんな状態で魔法少女になってワルプルギスと戦えるとは思えないわ」

さやか「まさか…今日は朝から眠くて仕方なかったのは……!」

銀時「それは関係ねーだろ馬鹿」

さやか「あはは、バレたかー……」

ほむら「そして…あなたも」

銀時「俺ァ別に何とも……」

ほむら「…………」

マミや杏子にやったのと同じく銀時の体に触れる、平気な顔をしてはいるが、彼も無理をしているに違いないのだ。

銀時「…………」

ほむら「……?」

おかしい、まるで痛がるそぶりを見せない。あれだけ死力を尽くして戦ったのに無傷なんてことはあり得な……

銀時「痛っ……たくねー、うわー全然痛くねーわ、うん、でもなんか頭が天パーだから病院行ってくるわ」

ほむら「…………」

やはりあり得なかった。

さやか「つまり…どういうこと?」

杏子「まともに使い物になるのは結局ほむら…しかいないってことだ……ちきしょう…!」

ほむら「あなたたちが気に病むことじゃないわ…大丈夫、必ず勝ってみせるから」

勝てる保証があるわけではない、それでもみんなを心配させるわけにはいかなかった。

ほむらがその場にいる者を安心させようと言葉を発した瞬間

キュゥべえ「これは一体なんの集まりだい?」

ほむら「!」

杏子「今さらどの面下げてのこのこ現れやがった、テメー」

キュゥべえ「たった今、やるべきことがすんで外に出てきてみれば…」

キュゥべえ「何やら魔法少女が一か所に集まっているのを感じたから顔を出してみた、というわけさ」

銀時「やるべきこと?…テメー、今までどこにいってやがった?」

キュゥべえ「まどかの家さ」

ほむら「!?」

迂闊だった、当事者のまどかにこの話は聞かせるべきではないとこの場に呼ばなかったのが裏目に出てしまった。

さやか「まどかの家って…まさか……!」

キュゥべえ「安心しなよさやか、君が今心配しているような事態にはなっていないからね」

キュゥべえ「ほんの少し話をしただけさ、共存関係の話や…過去の魔法少女のことをね」

ほむら「……!」

どんなことを話したかは分からない、だがそれがほむらたちにとって良い話でないことは明らかだった。

キュゥべえ「そうそう、君たちに言っておこうと思っていたことがあったんだ」

キュゥべえ「美樹さやかの件ではなかなか面白いものを見させてもらったよ、実に興味深い現象だった」

それはまるで他人事のような口ぶり、面白そうなおもちゃを手に入れた子供の声を彷彿とさせた。

キュゥべえ「君たちはもう気が付いているんだろう?僕の目的も…この後に何が起こるのかも」

さやか「だったら何だっていうのよ……」

キュゥべえ「君たちにお願いをしようと思ってね」

杏子「お願い……?」

様々な少女たちの願いを叶えてきたキュゥべえの願い、それは

キュゥべえ「鹿目まどかが魔女になったら何とかもとに戻してあげてほしいんだ」

ほむら「……!?」

全員が予想だにしなかった、いったい何を言っているのだろうか?

杏子「どういうつもりだ…お前の目的はアイツを魔女にしてエネルギーを……」

キュゥべえ「そう、でも…もしそうなれば彼女は一生を魔女として過ごすことになる」

キュゥべえ「感情のない僕には分からないけれど…君たち人間を基準にすれば、それは『可哀想』と形容される部類になるだろう?」

キュゥべえ「だから…彼女がもしも魔女になったら、美樹さやかのように助けてあげてよ」

さやか「アンタ……一体何を考えて……!」

キュゥべえ「これは僕の本心だ、まどかが魔女になったら魔法少女に戻してあげてほしい、嘘じゃないと誓っていえるよ」

ほむら「……」

明らかに何か裏があるはずだ、だが今回はそれが見えてこない…

銀時「外道の考えは…外道にしか理解出来ねェらしいな」

看破していたのは、やはりこの男一人だった。

杏子「どういうことだ…何かわかったのかよ?」

銀時「茶番は終わりにしようや無限残機…回りくどいこと言ってんじゃねーぞ」

キュゥべえ「……」

さやか「今回はどこに嘘が……」

銀時「いや、コイツは嘘なんか言っちゃいねーよ」

さやか「え…ま、まさか本当にまどかを助けたいって……?」

銀時「……テメーの目的はエネルギー回収とか言ってやがったな、無限残機」

銀時「で、そのエネルギーってのは『魔法少女から魔女になるとき』に出るんだったか?」

ほむら「それが一体………!!」

ほむらの背中に嫌な汗がにじんでくる、まさかキュゥべえの狙いとは……

銀時「平たく言えば…リサイクルしてーんだろ、まどかの奴をエネルギー源として」

銀時「我が社は環境に優しいリサイクル運動を推進していますってか…笑えねェな」

キュゥべえ「やれやれ、これは君たちにとっても素晴らしい取引だと思うんだけれど…」

キュゥべえが返答の中に、銀時の発言に対する否定の言葉はなかった。

ほむら「あなたは…そこまでして……!」

キュゥべえ「それだけ鹿目まどかの持っている力は魅力的なのさ」

キュゥべえ「エネルギー回収を鹿目まどか一人で賄えるならこれ以上魔法少女が増えることもない」

キュゥべえ「回収した莫大なエネルギーを使って宇宙の寿命を効率よく伸ばすこともできる」

キュゥべえ「そう、たった一人の犠牲だけでこの宇宙全体に対して多大な利益が出るんだ」

キュゥべえ「こんなに素晴らしいことは他にない…君だってそう思うだろう、坂田銀時」

銀時「…………」

キュゥべえ「君には感謝しなきゃね、君が美樹さやかを救い出したことによってエネルギー回収に新しい道が開かれた」

キュゥべえ「無理に魔法少女を増やすことなく…エネルギー回収を出来る道の可能性がね」

全力を尽くして魔女化した美樹さやかを救い出した…普通ではありえないはずの奇跡。

その奇跡でさえキュゥべえは自分の目的のために利用価値を見出していた。

杏子「テメーは…何てことを……!!」

怒りに我を忘れてキュゥべえに掴みかかろうとする杏子を銀時は制止する、コイツを叩き潰しても意味はない。

杏子「放せよ!コイツはもう百回ぶっ飛ばしたぐらいじゃ気がすまねぇ!」

銀時「いったん落ち着け、もう少し冷静に考えろ」

銀時「コイツを潰してもすぐに第二第三のキュゥべえが現れちまう、そうなったら何の意味もねェ」

銀時「だったら……」

キュゥべえ「?」

---

キュゥべえ「…!…!」

銀時「これでよし」

数分後…キュゥべえは、ふん縛られて簀巻きにされて吊るされて蝋燭で炙られていた。

さやか(ドSだ…この先生……)

ほむら(その手があったか……)

---

銀時たちが帰った後、ほむらは一人で今後の対策を考えていた。

結局、今回も戦うのは一人きりになりそうではある…それでも収穫自体はあった。

魔女化した人間でも魔法少女に戻ることが出来る事実、これは大きかった。

仮に今回ワルプルギスの夜に敗北したとしても、この情報は次に役立つはず……

ほむら「……馬鹿ね、私は」

次があるなどと考えていては勝てるはずもない、終わらせるのだ…この世界で、何としても

『そう簡単にいくかな?』

不意に頭の中に声が響いてくる、それは聞きなれた声だった。

ほむら「……なるほど、縛られて口を開けないから頭に直接呼びかけているのね」

『少しでも僕を不憫に思うならこの拘束を解いてはくれないかい?』

ほむら「その選択肢はあり得ないわね…それで、わざわざ何か話すことがあるのかしら?」

『時間遡行者、暁美ほむら…君はその時を操る力を使って幾度も世界をやり直してきたんだね』

『友達である鹿目まどかを救い出し、ワルプルギスの夜を倒すために……』

ほむら「…………」

『やっぱりね、でも…これでまどかがなぜあんなに途方もない力を秘めているのか納得がいったよ』

ほむら「どういうことかしら…」

『君のせいだよ、暁美ほむら…君が何度もまどかを救うために世界をやり直してきたからさ』

ほむら「!」

『君が繰り返してきた時間、その中で循環した因果の係数が巡りめぐって鹿目まどかに繋がってしまったんだ』

『魔法少女の素質は背負った因果の量で決まってくる…僕の言っている意味が分かるかい?』

そんな…つまり、まどかを救おうと私が今まで世界をやり直してきたことが……

まどかが強力な魔女になってしまうことに繋がっていたというの……?

これ以上時を戻せば、次の世界ではまどかがさらに強力な魔女となってしまう。

この瞬間、暁美ほむらは是が非でもワルプルギスの夜を倒さなければならなくなった。


---
夜、ほむら宅

まどか「入っていいかな?」

ほむら「……!」

その日の夜、ほむらの家には鹿目まどかが訪れていた。それはキュゥべえも誰もいない、二人だけの空間。

まどか「聞いたよ…もうすぐにワルプルギスの夜っていうとてつもない魔女が来るんだよね?」

ほむら「……ええ、具現化するだけで何千人もの被害者が出るわね」

まどか「じゃあ絶対に倒さなきゃね…でも、現状で戦えそうなのはほむらちゃんだけなんでしょ…だったら……」

ほむら「一人で十分よ」

まどか「!」

ほむら「強いといっても私はそれなりに準備はしてきたわ、私一人でも十分に撃退できるわ」

まどか「…………」

ほむらは言い切った、自分一人で勝てると。友を信じているならばそれで安心しなければいけないはずなのに

まどか「……何でだろう、私ほむらちゃんを信じたいのに…全然大丈夫だなんて思えない……!」

ほむらの言葉を信じきれない自分が嫌だった、その思いは涙となってまどかの目から零れ落ちる。

ほむら「……っ!」

その涙とまどかの言葉はほむらを突き動かす。気が付けば、ほむらはまどかを抱きしめていた。

まどか「ほ、ほむら…ちゃん?」

ほむら「本当のことなんて話せるわけがないのよ…私はあなたとは違う時間を生きているんだもの……」

まどかと同じくほむらも泣いていた、冷静なはずの彼女には似合わない涙。

……それは語弊があるかもしれない。魔法少女であるとはいえ、幾何の時を乗り越えているとはいえ

彼女は本来、感情豊かな普通の女子高生なのだから。

ほむら「あなたを救いたい一心で…私は今までの時を繰り返してきた」

ほむら「そのたびにあなたが死ぬところも…同じだけ見てきたのよ」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「ごめんね、何を言ってるのか全然わからないよね……でも、それでも……!」

少女は、今この瞬間まで伝えられなかった思いを震える声で紡ぎだす。

ほむら「お願いだから…最後まで…あなたを私に守らせて……!」

まどか「…………」

ほむらの決意と思いの強さにまどかは何も言うことが出来なかった。

---
某所

観測員「雷雲がとんでもない勢いで分裂と回転を起こしています!明らかにスーパーセルの前兆です!」

観測員「ただちに避難指示の発令を!!」

突如として現れたスーパーセル、それが強力な魔女によって引き起こされたものであることを知る者は少ない。

ほむら「来る……!」

人々が安全な場所へと非難する中、雷鳴の響く無人の街に一人降り立つ少女。

今、暁美ほむらにとっての最終決戦が始まろうとしていた。

それは突如現れた、一言では形容のしがたい…今までの魔女とは明らかに異なるものだった。

宙を浮かぶそれに生物らしさはあまり見受けられず機械的であり、何よりも強大な力を感じさせる。

ただの人間がまともに戦って勝ち目があるとは到底思えない相手だった。

ほむら「今度こそ…決着をつける!」

暁美ほむらの戦いは通常の魔法少女のそれとは大きくことなっている。

魔法を使った攻撃手段が一切ないのだ、ゆえに攻撃には近代化学兵器を使用している。

自らの能力で時を止め、その間に重火器で攻撃を仕掛ける。それが彼女の戦い方だった。

この戦いのために膨大な量の武器を蓄えてきた、そのすべてをぶつけなければアレを倒すことは不可能だろう。

数えきれないほどのバズーカ砲撃、自らの能力を応用して大型車両を操っての打撃攻撃、大量の迫撃砲による連続爆撃…

それはまともに食らえば一個の軍隊が壊滅するほどの攻撃。

そしてほむらはそれらすべてを的確に魔女に命中させた。


それでも、ワルプルギスの夜を止めることは出来なかった。


---
某避難所

まどか「……ほむらちゃん」

避難指示によってまどかは家族とともに体育館の中に避難していた。

窓を叩く強風が、徐々にスーパーセルが接近していることを知らせている。

まどか「…………」

ほぼ間違いなく、このスーパーセルは魔女によって発生した天災だろう。

それが止まることなく近づいているということは、戦っているほむらが劣勢であることを意味している。

まどか(行かなきゃ……!)

優しすぎる鹿目まどかが何もしないで待っていることなど出来るはずがなかった。

---

ほむら「くっ……」

あれだけの攻撃を仕掛けたにもかかわらず魔女には傷一つ付いていなかった。

それどころか、ほむら決死の攻撃をあざ笑っているかのような声さえ聞こえてくる。

ほむら「これ以上…先へ進ませるわけには……!」

魔女「キャハハハハハハ!ククキャハハハハハハハ!」

子供の笑いにも似た声を上げながらワルプルギスの夜は反撃を仕掛ける。

魔女の周囲にあるビルが地響きを立てながら浮かび上がり…一直線に暁美ほむらへと向かってきた。

ほむら「!」

とっさに時間を停止して攻撃を回避しようとする、魔力で肉体が強化されているとはいえあれを受けてはひとたまりもない。

だが、時間停止魔法は発動しなかった。

ほむら(そ、そんな……!)

一度の戦闘で使える魔力の限界、それが最悪のタイミングで訪れてしまったらしい。

操られたビルは勢いを弱めることなく、無防備な暁美ほむらの体に直撃した。

ほむら「ぐっ……うぅ……!」

先の一撃を受けても暁美ほむらは死んでいなかった。

魔力によって強化された肉体によって即死は免れ、意識もはっきりとしている。

だが、ダメージまでゼロにすることは当然不可能である。

ほむら(足が……!)

激痛を感じ足元を見る、すると衝撃で砕けたビルの瓦礫に足が挟まれていた。

……これでは動くこともままならない。

ほむら「…………」

最後に残しておいた魔力、再び世界をやり直すためにとっておいた最後の手段。

今までならば、勝ち目のなくなった瞬間にそれを発動させていた。だが

ほむら(もし時間を戻してしまったら…またまどかの因果が増えて……)

今回…彼女にそれは出来なかった、するわけにはいかなかった。

ほむら(どうして…どうして…何度やっても…アイツに勝てない……!)

絶望の涙がほむらの頬を流れていた。

ほむら(結局…今まで私がやってきたことは…全部……!)

足掻くだけ足掻いた、最後まで全力で戦い抜いた、努力もした、準備もしてきた、ましてや慢心などあるはずがなかった。

それでも…訪れる最後の魔女を止めることができない。

負の思いに捕われたほむらの心を反映するかの如く、彼女のソウルジェムを黒い濁りが支配していく。

希望などあるはずがなかった。

「下向いてんじゃねーよ…前を向きな」

ほむら「!」

―――それは聞こえてくるはずのない声。

銀時「テメーの魂はこんぐらいじゃ染められやしねェだろうが」

―――信じられない思いで声の聞こえるほうに目を向ける。そこにあったのは

―――共に戦いを切り抜けてきた、自分を助けると言ってくれた

―――白髪の侍の姿だった。

ほむら「……何故来てしまったの」

逃げろと言ったはずだった、そのまま戦えば間違いなく死ぬ。だから逃げろと言っておいたはずだった。

それでも男はここに来た。

銀時「こっちだってとっとと逃げ出してーよ、俺ァ何でこんなところに来ちまったかね」

ほむらの言いたいことは分かっているとでも言いたげに銀時は言葉を返す。

「ま…こういうのを女に全部丸投げするわけにもいかねーしよ、男ってのは見え張って生きてくモンだしな」

お気楽な口調の裏にある覚悟、それをほむらは感じ取っていた。

ほむら「あなた…そのまま戦ったらどんなことになるか分かってるの……?」

暁美ほむらの呟きに銀時は

銀時「どうなるか?んなモン、最初から分かってるに決まってんだろ」

何の恐れもないかのごとく、少女の不安を根こそぎ吹き飛ばすかの如く

銀時「てめー自身の手でコイツをぶっ倒す未来を創るんだからよ」

ほむら「!」

ほむら「……どうして」

他人の前では決して涙を見せまいという少女の誓いが破られる。

ほむら「どうしてあなたはそうやって…魔女と戦う能力なんか持ってないくせに……」

ほむら「最初に魔女と戦った時も…美樹さやかを助けた時も…そして今でさえ……!」

ほむら「私は…ワルプルギスを倒すために命を捨てる覚悟があったのに…!」

銀時「命を捨てる覚悟なんざ邪魔なだけだ、不燃ごみと一緒にその辺に出しとけ」

銀時「代わりに、どんなことがあっても必ず生き抜く覚悟を持ってろ」

ほむら「…………」

そうだ…片足は動かなくなったがまだ戦えないわけじゃない、諦めるにはまだ早すぎるだろう。

思えば、美樹さやかのときもそうだった。あの時、諦めずに戦い続けることの意義を知ったはずだ。

ほむら「私は死なないわ…そしてあなたも死なせない…その覚悟があればいいのかしら?」

その表情は決して自暴自棄になった者のそれではない、最後まで戦い抜く決意に満ちていた。

それを見た銀時は半笑いを浮かべ

銀時「……行くぜ、こっから仕切り直しといこうじゃねーか」

銀時の参戦、それによって今の状況に変化が現れるかと思われた。

だが、以前として不利な状況は変わっていない。

ほむら「くっ……」

空中で一人奮闘するほむらだったがその傍らに銀時の姿はない、何やら地上で立ち往生をしているようだった。

見かねたほむらは一時戦闘を中断し、立ち尽くす銀時に詰め寄った。

ほむら「あなた…私を助けに来てくれたのよね?」

銀時「ああ…そうだな……」

ほむら「あれだけかっこよく登場したんだからもう少し真面目に戦っ……」

銀時「…………」

銀時「飛べねェんだよ…俺ァ……」

ほむら「…………」

ほむら「ど、どうも……」

---

銀時「飛ぶってのはあんまりいい気分じゃねーな、何この浮遊感、気持ち悪っ!」

ほむらは自らの能力の応用でトラックを操ったことを応用し、銀時の体を浮かせていた。

能動的に飛行しているわけではない銀時にとってそれは大きな違和感を感じさせるものだったらしい。

ほむら「我慢して…来るわ」

ワルプルギスの夜(魔女)「キャハハハハハハ!キイャハハハハハハハハ!」

奇妙な笑い声をあげたかと思ったとき、魔女の力によって使い魔が現れた。

召喚された使い魔たちは真っ直ぐに銀時たちに向かって攻撃を仕掛けてくる。

強大な魔女の使い魔だけあって動きも早い、これを相手にしつつ攻撃を仕掛けるのは厄介だろう。

銀時「コイツらの相手は俺がしてやらァ…テメーは本元をぶっ叩け!」

ほむら「ええ、使い魔は任せるわ……!」

ほむらの用意した攻撃はすべて使い尽くされてはいない、まだ十分な量の武器が手元には残されている。

使い魔は銀時が押さえ込んでいる今ならば邪魔をされずに攻撃を仕掛けることも可能だ。

ほむら「でも…ただ闇雲に撃ってもアイツには……!」

単純な攻撃ならば先に嫌というほど試していた、それも計算されつくした連続爆撃によって。

それでも最強の魔女を止めるどころか怯ませることさえ叶わなかった。

ほむら「…………!」

何か策を考えなければならない、ワルプルギスを倒せるだけの破壊力を秘めた一撃を生み出す策を。

そうして考えている間にも使い魔と戦闘を繰り広げる銀時には大きな負担がかかってします。

最初は一匹だけでしかなかった使い魔も今では五匹に増えていた。

銀時「ぐっ……!」

ほむら「!」

使い魔の攻撃が銀時を掠める、やはり体の怪我は未だに治ってはいないらしい。

その状態で五匹もの強力な使い魔の攻撃を捌いているのはさすがというべきだろう。

だが、このままでは体力の低下とともに追い詰められるであろうことも明らかだった。

ほむら「…………!」

マズイ……自分が何とかしなければ銀時の身が……。そうして焦れば焦るほど頭からは冷静さが失われていく。

ほむら(どうすればいいの…どうすれば……!)

焦燥にかられ正常な思考力を失っている最中のこと

??「間に合ったみたいね、良かったわ」

???「待たせちゃってごめん!二人とも!」

??「なーに遊んでんだよ、とっとと本気だしやがれ!」

ほむら「あ、あなたたち……!」

マミ「ごめんなさいね、来るのが遅れて…」

さやか「とりあえず私、先生の手伝いに行ってくる!」

杏子「カッコつけんなよ馬鹿、肝心要のお前が行ったらダメに決まってるだろ」

さやか「うっ…確かに」

銀時に続く援軍として現れた三人にほむらは戸惑っていた、一体なぜ

ほむら「どうしてあなたたち三人が…戦える状態じゃなかったはずなのに……!」

マミ「フフ…簡単な治癒魔法くらいだったら私だって出来るのよ?」

ほむら「…………」

それにしてもおかしい、簡易な治癒魔法で完治するような怪我ではなかったはずだが……

さやか「知ってるかもしれないけど、私は魔法少女になるときに癒しの祈りで契約してるんだよね」

杏子「早い話がそいつをマミの治癒魔法と組み合わせたってことさ」

ほむら「!」

魔法少女と魔法少女の力を組み合わせる…?幾度もの世界の中でも経験していないことだった。

巴マミがワルプルギスの夜と戦って命を落とした世界でも、美樹さやかが魔女と化してしまった世界でも。

そんなことを試みた者は誰一人としていなかった。

それは、巴マミが錯乱せずに生存しており、美樹さやかが健在であり、杏子が他の魔法少女と協力しあったからこその結果。

魔女となった美樹さやかを全員で救い出すという奇跡が達成できたからこそ実現したことだった。

銀時「来てやがったのかテメーら…」

杏子「ボロボロのアンタは一旦下がってろ、ここは私が食い止める…その間に傷を治してきな!」

銀時「やれんのか、アイツら相当厄介だぞ?」

杏子「見くびるんじゃねぇよ馬鹿、私を誰だと思ってんのさ」

銀時「……死ぬなよ、ベジータ」

杏子「フン、大きなお世話……ていうか誰がベジータ?」

---

マミ「………よし、これでさしあたっては大丈夫かしら」

銀時「やるじゃねーかアースジェット、やっぱパーティに回復キャラは一人は必要だわ」

マミ「だ、だからアースジェットは……」

銀時「わーったよ、じゃあ巴マミとアースジェットの間を取ってノーマットで」

マミ「何で中間を取ってノーマット!?何なのそのスイッチ一つで蚊を落としそうな呼び方!」

銀時「蚊と同じ感じでワルプルギスの夜も撃ち落としてほしいという願いを込めました、マル」

マミ「いや作文じゃないんだから……」

ほむら「今は気にしている場合じゃないわノーマット、ワルプルギス打倒に全力を尽くしましょう」

マミ「ちょっと待って、さらっとあなたまでノーマットって言った?」

魔法少女三人の奇跡的な参戦、だがそれも大きく戦況を変えるには至らなかった。

杏子「チッ…コイツ、頑丈にもほどがあるぜ……!」

さやか「頑丈ってレベルじゃないでしょコレ…明らかにチートじゃない……」

さやか全力の斬撃も、杏子の槍撃も敵を止めるには至らなかった。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

出し惜しみなどしてはいられない、序盤から自らの持つ最大の技をマミは撃ち放つ。

マミ「……!」

その一撃すらもまるで効果が見られない。

ほむら「これだけ頭数がそろっていても…まるで歯が立たないなんて……」

銀時「……!」

その時、坂田銀時に電流走る。

銀時「だったら、あれをやるしかねーな……」

ほむら「…………あれ?」

銀時「まず二人がある程度の距離を置いて立つ…腕の角度に気を付けろ」

ほむら「……え?」

銀時「フュー……腕を反対にしながら二人が近づく、このとき動かす足は三歩分だ」

さやか「…………」

銀時「ジョン、手はグーに変える!やはり足の角度に気を付けろ!」

杏子「…………」

銀時「はっ!こうして二人の指を合わせ……」

全てを言い終わる前にほむらの鉄拳が炸裂した。

ほむら「こんな時くらいは真面目になったらどうかしら……」

銀時「ブウを倒すにはこれしかねーぞお前、もうホムラマミとキョウコヤカになるしかねーよ」

さやか「ブウって何!?いつからそんなのが目標になってたの!?」

さやか「ていうかホムラマミとキョウコヤカって何なの!?ただくっつけただけじゃない!」

杏子「…………」

マミ「佐倉さん…あなた、どうして腕を伸ばして立っているの?」

銀時「ま…冗談は置いといてだ、あのラピュタ撃ち落とすのは簡単じゃねェ」

銀時「さすがに俺もあんなデカい戦艦みてーな野郎と戦ったこともねーしな」

ほむら「……何か考えがあるの?」

銀時「とりあえず、あの化け物をこれ以上先へ進ませるわけにゃいかねェだろ」

銀時「上手くすりゃ怯ませるくらいのこたァできるかもしれねェ」

作戦自体は単純明快だった、それは最大限の火力攻撃を休むことなく浴びせ続けること。

ほむら「巴マミ、準備は出来ているかしら?」

マミ「ええ…いつでも問題ないわ」

その言葉を受けたほむらが時間を止める、今までと異なるのはほむらの体が触れているマミも動けることだった。

マミ「やれるだけやるしかないわね……行くわよ!」

具現化された大量の魔法銃をワルプルギスに向かって撃ち放っていく。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

加減した一撃ではない、全力の一撃が時を止められている間に蓄積されていく。

すでに十発を優に超える魔法攻撃が溜められていた。

ほむら「……そろそろ時が動き出すわ」

マミ「ここからはあの三人ね……!」

ほむらの魔法具がカチリと音を立てると同時、止められていた時が動き出した。

溜められていたマミの魔法攻撃が一気に魔女へと炸裂する。

さやか「よしっ!マミさんたちは成功したみたいだね!」

杏子「次は私らの番だよ、ここで一気に片付けちまおうぜ」

銀時「行くぜテメーら…!!」

魔法攻撃による攻撃が終わると同時、接近戦を得意とする三人が追撃を仕掛けて畳み掛ける。

共闘するのは初めてであったにも関わらず、互いが互いの邪魔をすることはなかった。

作戦の直前、銀時が二人に言い含めておいたこと。それは

決して止まるな、攻撃の手を休めるな、呼吸を乱すな

この三つだった。

ほむら「十分よ!もう一度時を止められるわ!」

銀時「離れろテメーら!」

三人が少し距離を置く、そして時が止められる。

マミ「時を止める間に私たちが遠距離から火力の高い攻撃を仕掛けて…」

マミ「暁美さんの時間停止が解けたら、次にそれが発動できるまで三人が追撃をする…か」

マミ「単純だけれど思いのほか上手くいくものね」

ほむら「…………」

たしかに単純と言ってしまえばそれまでだった。だが、単純ゆえに効率よく動いている策でもある。

ほむらやマミの攻撃は火力が高く遠距離攻撃であるため、接近戦を得意とする三人を巻き添えにする可能性もあった。

だがここまで極端に役割分担すれば、ほむらたちの攻撃が三人を巻き添えにすることもない。

そして、巻き添えになる危険がなければ三人も周りを気にせずに全力で魔女を叩くことができる。

現状の五人にとっては最も効率が良いと思われる戦い方だった。

遠距離、近距離の攻撃を何度繰り返したかは分からない。どれほどダメージが通っているのかも分からない。

だが、一つはっきりとした変化として

ワルプルギスの夜(魔女)「………………」

魔女が奇妙な笑い声をあげることがなくなり、そしてその進行自体が止まっていた。

ほむら(魔女が先に進めていない……!)

過去の世界では足止めすら出来ていなかった、時を戻す直前にはあの笑い声を嫌というほど聞いていた。

だが、今回は今までとは明らかに違う変化が表れている。ほむらにとっては良い意味で信じがたいことだった。

……だが

銀時(コイツの動きを止められようが…コイツを完全にぶっ壊せなきゃ意味がねェ!)

この策も、『ワルプルギスの夜を倒す』という根幹の目的を達成するには至らなかった。

‐‐‐

まどか「何…これ……!」

壮絶な戦いを繰り広げる五人から少し離れた場に鹿目まどかは立っていた。

自分に何が出来るかは分からない、それでも何もせずにじっとしていることは出来なかった。

まどか「あれが…ワルプルギスの夜……!」

宙を浮かぶ巨大な魔女、戦いの経験がなくとも一目でその強さが伝わってくた。

五人は善戦しているようではあったが、苦しい戦いを強いられているのが見て取れる。

まどか「こんな…こんなのって……!」

そのまどかの声に反応したかのようにその場へ現れたのは

キュゥべえ「このままだと彼らは勝てないね」

まどか「キュゥべえ……?」

キュゥべえ「彼らなりに工夫して戦ってはいるみたいだけれど、それでも相手は舞台装置の魔女…現時点では最強の魔女だ」

キュゥべえ「このままジリ貧状態に陥ればまず間違いなく全滅するだろうね」

まどか「!」

キュゥべえの言葉は簡単に信じるべきではないことはこれまでの経験からも十分に理解している。

だが…今回ばかりはキュゥべえの言葉には一寸のまやかしもないように思える。

まどか「どうすれば…どうすればいいの…?」

キュゥべえ「どうしようもないさ、逃げろと言ったところで彼らが聞く耳を持つはずがないしね」

キュゥべえ「かといってこのまま戦いを続ければ彼らの敗北は目に見えている」

まどか「……!」

その時、まどかが返す言葉に詰まったのを見逃すはずもなかった。

キュゥべえ「でも…この最悪な状況でも手は残されているよ、まどか」

キュゥべえ「君の力さえあれば彼ら全員を助けることが出来る、ワルプルギスから人々を救うことができる」

キュゥべえ「君に秘められている力はそれだけとてつもないものなんだ!だから……」

キュゥべえ「僕と契約して魔法少女になってよ!」

まどか「…………!」

卑怯な誘い掛けだった、あたかも自らの勧める提案が最善の策であるかのように見せかける物言い。

五人が追い詰められて選択肢が狭まったこの状況を見計らっての言葉。

まどか「……そうやって私を契約しなきゃならない状況に追い込むつもりなんだね」

キュゥべえ「ひどい言い方をするね、これでも君にとっては最も良い選択肢だと思って提言してあげたんだよ?」

まどか「…………」

まどか「分かった…私、魔法少女になる……」

まどか「でも、その前に少しだけ……!」

‐‐‐

マミ「これだけ撃っても倒せないなんて……!」

ほむら「諦めるにはまだ早すぎるわ、進行を止めることは出来ているのよ」

さやか「けど…このままジリ貧状態が続いたら……!」

杏子「…………!」

さやかの力を借りたマミの回復魔法も完璧ではない、怪我は治せても消費した魔力まで完全に戻すことは不可能だ。

そして何より

魔力を消費すればするほど彼女たちのグリーフシードには穢れが溜まっていく。

これ以上の持久戦など出来るはずもなかった。

まどか『みんな、聞こえる?』

ほむら「!」

聞こえてきたのは守るべき大切な者の声だった。

さやか「まどか…まさか、アンタどこかにいるの!?」

まどか『うん…みんなの戦い、ずっと見てたよ』

ほむら「早くここから離れて!でないと……」

まどか『……ありがとうほむらちゃん、そしてごめんね』

まどかの伝えたかったこと、それは今まで自分のために戦ってくれていたほむらへの心からの感謝。

そして、これから自分がとる行動に対しての謝罪の言葉だった。

まどか『私…魔法少女になる』

ほむら「!?」

杏子「ば、馬鹿か!お前がそれをやっちまったら元も子もないんだよ!」

ほむら「止めてまどか!あなた、キュゥべえに騙されて……」

まどか『ううん、これは私が自分で考えて決めたこと……』

さやか「まどか…アンタ一体何を考えて……!」

まどか『……お願いみんな、私を信じて…必ずみんなを救って見せるから!』

銀時「…………」

決断しなければならなかった、無理にでも契約をやめさせるか…はたまたは……

ほむら「や、やめてまどか!お願いだから…魔法少女にだけはならないで!」

ほむら「約束したの!『キュゥべえに騙されたあなたを助ける』って!」

銀時「……今のアイツはキュゥべえに騙されてるわけじゃねェ、てめーの頭で考えて悩み抜いて答えを捻りだしたんだ」

ほむら「!」

マミ「暁美さん……」

杏子「ここまで来たら…私らにはアイツを信じてやることしかできないのかもな」

さやか「私は信じるよ…魔女になった私を最後まで信じてくれたまどかだったら!」

ほむら「…………」

それが彼女たちの出した結論だった。

まどか「ありがとうみんな、私を信じてくれて……」

キュゥべえ「もう心は決まったようだね、じゃあ改めて聞くよ…君の願いは何だい?」

ここで願いを言えばもう引き返すことは出来ない、戦いから逃げ出すことは出来なくなる。

だが、不思議とまどかに恐怖はなかった。そして、必死に考えて出した自らの結論を言葉にする。

まどか「私の願いは…………!」

『全宇宙の過去から未来において…魔法少女を含めた全部の人が過ごすはずだった、一つの平和な日々をあの魔女を倒して取り戻すこと』

キュゥべえ「そ、その願いは……まさか君はそこまでの……!」

それはあり得ない願いだった。

過去に凄惨な戦いを繰り広げていた魔法少女が平和な日々を手にするということ。

彼女が戦いのない日々を送るには魔女、もしくはそれに類するものの存在があってはならない。

つまり、本来あるはずだった魔女という存在を無に帰すということだ。

すべての時間軸と場所の概念を超越する神のごとき願い。

願いにこたえるかのように輝くソウルジェムが具現化され、光とともにまどかの体は魔法少女の姿となる。

それはまさに鹿目まどかが魔法少女となった証明であり、彼女の願いが叶えられたことを意味していた。

ほむら「ま、まどか……!」

まどか「そんな顔しないで…ほむらちゃん、私なら大丈夫だから」

杏子「考えるのはあとからだ…今はアイツを倒すことだけを考えろ」

---

キュゥべえ「やれやれ、まさかこの宇宙の因果そのものをひっくり返すような願いをするとはね……」

離れたところからキュゥべえは事の成り行きを興味深そうに窺っていた、もはやどちらが勝とうが問題ではないらしい。

魔法少女のエネルギーを利用して宇宙の延命をすること…それが彼の役割だった。

だが、まどかの願いで魔女という存在自体が否定されてしまえば一体どうなるのだろうか?

それは考えても分かることではない、ならば今は目の前の戦いを観察しているほうが有意義と言える。

キュゥべえ「でもねまどか…君は一つ失敗してしまったようだ、君の願いが本当に叶うとは限らないよ」

キュゥべえ「ワルプルギスの夜の本当の力を君たちはまるで分かっていない」

---

この戦いを終わらせてみんなを救う、その思いを胸にまどかは魔力によって生み出された自身の弓を構えた。

そこから繰り出される絶大な威力を持った一撃によって悪夢に終止符を打つ、その思いを胸に。

銀時「……!?」

異変に気が付いたのは銀時だった、敵である魔女が先ほどとは若干変わっているように思える。

それは『姿』が変わっているわけではない…『体勢』が変化しているのだ。

そう…先ほどから奇妙な感覚はあった、敵対している魔女は明らかに不格好というべきだった。

まるで『本来あるべき頭が下に来ている』かのような外観…それが今、元に戻ろうとしているかのような……

銀時「ちょっと待てオイ…まさか……!」

まさか…あの野郎は今まで『逆さ』になった状態で俺たちと戦ってやがったのか?

それはあの魔女にとってはまるで子供の遊び、そう考えればあの笑い声をあげていたことも得心がいく。

だが…銀時たちによる決死の攻撃によってあの魔女の何かを刺激してしまった。

そしてその頭が本来の位置に戻った時……

魔女にとってのお遊びは終わりを告げる。

銀時「離れろテメーらァァァァ!!」

まどか「…………!」

本能的に危機を感じたまどかが反射的に弓を放ったのと魔女が動きを見せたのはほぼ同時。

その瞬間、暴風が吹きすさびその場にいるもの全員を吹き飛ばした。

さやか「み、みんな……?」

風によって巻き上げられた粉塵は完全に視界を遮り、状況を確認するのは困難だった。

今は聴覚でしか互いの居場所を知ることができない。

マミ「わ、分からないわ…でも……私たちは無事みたいね」

杏子「くそっ…何がどうなったってんだ!」

時がたつにつれ徐々に視界が回復してくる、そしてその時見えた光景は

まどか「うっ……!」

仲間をかばって傷ついた鹿目まどか、そして無傷のまま空を浮かぶワルプルギスの夜だった。

ほむら「ま、まどか!!」

不思議ではあった、なぜ町を吹き飛ばさんほどの衝撃があったにも関わらず自分たちが無傷だったのかが。

まどか「大丈夫…みんな……?」

それはすべてまどかがその身と魔力を犠牲にして仲間を守ったからに他ならない。

だが、仲間を守った代償も大きかった。

ほむら「まどか…その腕……!」

血にまみれたまどかの両腕はだらりと垂れさがり既に全く力が入っていない、戦闘においては致命的だった。

さやか「ま、マミさん!早くまどかの腕を治してあげて!!」

必死に叫ぶさやかに応えたマミはまどかに駆け寄り治癒を始めようとしたが

まどか「…ダメだよさやかちゃん、今の私を治す魔力があるんだったら……それは残しておかないと……」

マミ「何言ってるの鹿目さん!そんなこと言ってる場合じゃ……」

まどか「今の私は…あの魔女を一撃で倒せるだけの魔力が残ってないんです」

そう、彼女は地球の文明すべてをひっくり返すような魔女の攻撃をその身一つで押さえ込んだのだ。

それも防御魔法などではない、ただ己の膨大な魔力をとっさに利用して無理やりに押さえ込んだのだ。

そんな無茶をしたまどかにワルプルギスの夜を仕留められるだけの力が残っているはずもなかった。

杏子「嘘だろ…それじゃ……!」

最悪のイメージが頭に浮かぶ、だがまどかの目からは未だに希望の光は失われていない。

まだ手は残されていた。

まどか「私ね…過去や未来、全宇宙の法則を越えて一つの平和を取り戻すっていう願いをしたの……」

美樹さやかは癒しの祈りで契約をしたことで、圧倒的な回復力を手に入れた。そして鹿目まどかは

まどか「……私の魔力の本質は分裂している多くの力を一つにすること」

バラバラになっていた運命を一つにまとめ上げる、結束の力を手にしていた。

ほむら「……!」

杏子「つまり…私ら全員の力を文字通り一つにすれば…アイツに勝てるってことか?」

まどか「それが多分…私たちに残された最後の望みだと思う」

銀時「ここまで来たらやるしかねェ…足掻くだけ足掻いてみようじゃねーか」

まどか「でも…あの魔女を倒すにはみんなの力を限界まで借りなきゃいけない、そうなったら……」

ほむら「魔力を使い果たした私たちは動くことが出来なくなる…そういうことね」

さやか「じゃ、じゃあ誰が攻撃を……!」

銀時「…………」

銀時「……俺がやるしかねーな」

杏子「死ぬかもしれねぇぞ…アンタ……!」

もともと魔法少女としての契約を交わしていない銀時は魔力自体を使えるような存在ではない。

ましてや複数の魔法少女の力を一つにした魔力を扱えばその身がどうなるかの保証もできないだろう。

だが銀時は

銀時「生憎と俺ァしぶといのが取柄でな、そう簡単にくたばりはしねーよ」

それは己の覚悟と信念を強く心に抱いているからこそ発せられる言葉だった。

杏子「……フン、面白いじゃねぇか」

そういうと杏子は髪をほどき、立膝になって手を組み、祈りを捧げるかのような姿勢を取った。

杏子「いいよ、私はアンタだったら望みを託せるよ…坂田銀時……」

さやか「私も一回は先生に助けられた命だからね……信じてるから、先生のこと」

マミ「……私もあなたには感謝してる、美樹さんの時…本当に弱い自分から立ち直らせてくれたからね」

他の二人も杏子と同じく手を組んだ、恐怖の焼きついた表情ではなく穏やかな笑顔を浮かべながら。

まどか「……最後の最後で先生に任せちゃってごめんね…でも、先生なら安心して魂を預けられるよ」

ほむら「…………」

ほむらに残されている魔力、それは時間遡行のために温存しておいた最後の魔力。

それを銀時に受け渡すことは…『過去』へ戻る扉を自らの手で閉ざすことを意味していた。

ほむら「……不思議ね、どうしてこんな気持ちになっているのかしら」

少女は決心した、『過去』へ戻る扉にはもう未練はない。自分が進まなければならないのは

ほむら「私たちの『未来』はあなたに託すわ……銀時」

希望に満ち溢れた『未来』でなければならないのだから。

五人の魔力は銀時の持つ木刀に集中して一つになると巨大な光の刀身となった。

それはまるでいつぞやの陰陽師家で銀時が振るった刀を彷彿とさせる。

銀時「テメーらの魂…確かに預かったぜ……!」

銀時は宙を浮かびこちらの様子を窺っているかのような魔女を真っ直ぐに見据えた。

そして

銀時「舞台装置の魔女っつったか…テメーの作った下らねェ脚本の舞台なんざで俺たちは踊るつもりはねーよ」

かつて、自らの師が教えてくれた言葉を頭に思い浮かべ

銀時「明けねェ夜なんざ存在しねーんだ…そろそろお天道さんの顔を拝ませてもらうとしようじゃねーか」

―――敵を斬るためではない弱き己を斬るために

―――己を護るのではない己の魂を護るために

―――そして、己の大切な者の魂を護るために

銀時「ウオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!」

持てる力のすべてを使い、最後の斬撃を放った。

その途方もない力を秘めた一撃によって空を覆っていた厚い雲が斬り払われれ、隙間から太陽の光がこぼれ出す。

銀時「これで…シメーだァァァァァァァァァァァァァ!!」

六人が結束して生み出した一撃を魔女は躱すことなくその身に受けた。

あの笑い声すらあげる暇もなかったらしい。

宙を浮かぶ魔女の体は真っ二つに二分され地上に着く前に灰となって消え去った。

銀時「…………」

キュゥべえ「まさかそんな方法でワルプルギスの夜を倒せるとは思わなかったよ」

キュゥべえ「個人的にはワルプルギスを倒せずにまどかたち全員が絶望して魔女化してくれたほうが良かったんだけれど…」

銀時「失せろコノヤロー…テメーの面なんざ見たかねーよ」

キュゥべえ「……じゃあ、君の望み通り僕はこの場から立ち去ることにするよ…でもね、一つだけ言っておくよ」

銀時「……?」

キュゥべえ「確かに君たちはワルプルギスの夜を倒してこの世界を救った、魔女という存在自体を消滅させた」

キュゥべえ「それによって過去と未来の魔法少女たちの運命も変えられたわけだけれど…」

キュゥべえ「君たちの行った改変がすべて正しかったと思うのは大きな間違いだ」

銀時「…………」

それだけ言うとキュゥべえはどこへともなく立ち去って行く、言葉の意味するところを問いただしてもよかったがそれはしなかった。

訊かずとも大体の意味は分かっていたからだ。

まどか「せ、先生……?」

銀時「よう、気が付いたか」

さやか「あれ…私たち……?」

マミ「魔力を使いすぎて…意識を失っていたみたいね……」

杏子「そんなことよりあの魔女は……!」

銀時「ああ、何とかなったわ、うん」

杏子「いや…あれだけ苦労させられて何とかなったわ、の一言かよ……」

銀時「つーかこれ銀さん英雄だよホント、王様から表彰とかされたりしねーの?」

まどか「あはは、それはないんじゃないかな……」

杏子「ていうか全部自分の手柄みたいに言ってんなよ!」

さやか「ま、まあまあ……」

ほむら「…………」

何でもないような言い合い、くだらないことで笑いあう仲間たち。

それはとても代えがたく尊いもので…戦いの日々が終わりを迎えたことを意味していた。

ほむら「うっ…うう……」

少女の目から零れ落ちた涙、それは決して悲しみのものでも絶望のものでもなく

まぎれもない、喜びの涙だった。

杏子「ったく…ポロポロ泣いてんじゃねーぞ」

ほむら「私…私はやっと……!」

杏子「だから…泣くなって言ってんだろ…馬鹿……」

銀時「…………」

銀時「ま、とりあえず世界の危機ってのも終わったみてーだし、ひとまずはよかったじゃねーか」

まどか「うん…みんなと先生のおかげだよね」

さやか「うえっ…もしかして明日からまたテストとかあるんじゃ……!」

銀時「心配すんな、あんなモンもう二度とやらねーよ」

さやか「えっ。そうなの?よかった…あんなんで成績つけられたらたまったモンじゃないからさ」

銀時「ああ…そうだな……」

あんなテストはもうない、その言葉の意味するところをその場にいる全員が理解していなかった。

銀時「じゃあなテメーら」

さやか「……え?」

耳を疑った、今一体彼は何と言った?

ほむら「な…何を言ってるの……?」

銀時「何って…言葉そのままの意味に決まってんだろ」

銀時「俺とお前らはここでお別れだ」

杏子「お、オイ…それってどういう……!」

銀時「……説明してる時間もほとんどねェらしいな」

まどか「せ、先生!?」

目を疑う光景だった、目の前にいる人間が足の先から光のようになって消えていっている。

少女たちには何が起きているのか理解できなかった。

ほむら「ぎ、銀時!これはいったいどういうこと!?」

叫ぶかのような大声を出してほむらが銀時に問いかける、対する銀時は至って冷静だった。

銀時「まどかの奴が言ったのは…『全員が過ごすはずだった平和な日々を取り戻す』ってことだったろ?」

銀時「まあアレだよ…元々テメーらが過ごすはずだった世界には俺は存在してねェってわけだ」

ほむら「!」

忘れていた、彼は前に自分で言っていた…異世界から来た人間であると。

銀時「まどかの願いが叶って魔女がいなくなったってんなら…俺もこっからは消えることになるんだろうよ」

ほむら「そ…そんな……!」

杏子「ちょっと待てよ…それじゃアンタが消えちまうだけじゃない……!」

杏子「アンタの存在自体がこの世界じゃあり得なかったことになる…ってことは」

杏子「私たちがこうして出会ったことも…全部なかったことになるじゃねぇか!」

まどか「そ、それって……!」

さやか「先生のことも…私たちは忘れちゃうってこと…!?」

銀時「…………」

キュゥべえの言っていた言葉…それはつまり、こういうことだったのだ。

さやかを救うため共に戦ったことも、馬鹿をやって騒いだことも、魂を預けて魔女と戦った記憶も

すべてがなかったことになる。

銀時「ま、大したことじゃねェだろ。テメーらが気にすることじゃねェ」

ほむら「でも…でもあなたは!私たちのために命を懸けて戦って!何度も何度も死にそうな目にあって!」

ほむら「それなのに…この世界の誰からも忘れ去られて…あなたが世界を救ったこともなかったことにされて…!」

それは、幾度にもわたって時をさかのぼってきた暁美ほむらだからこそわかる痛み。

誰かから忘れ去られる痛みを誰よりも知っている彼女だからこそ分かる痛みだった。

銀時「…………」

銀時「俺ァ誰かの記憶に残りたくてこんな面倒くせーことやってたわけじゃねェ…」

自らの体が光となって消え行く中、銀時は目を閉じて口元で静かに笑っていた。

銀時「今回は目の前の大切なモンをこぼさずに掬い取れた…俺ァそれだけで十分だ」

ほむら「銀時……!」

さやか「でも…こんな終わり方なんて…こんな別れ方なんて……!」

銀時「止めろ馬鹿、俺ァ湿っぽいのは好きじゃねェ…なら、もうやるしかねーな」

銀時「全員並べェ!出席を取るぞォォォォォ!」

まどか「!」

杏子「は…はぁ……?」

マミ「しゅ、出席……?」

銀時「アレだよ、こっちじゃ一応教師ってことになってるし?やることはやっとかねーとな」

銀時「めんどくせーからアイウエオ順な、じゃあ最初…暁美ほむらー!」

ほむら「は、はい……?」

銀時「……今までよくやったじゃねーか、中学のガキとは思えねーよ」

銀時「ただ…これからはてめーを作らねェで正直に生きな、泣きてェ時には泣いて笑いたきゃ笑え、いいな」

ほむら「……そうね、検討してみ…」

銀時「それだそれ、もうそういう冷静キャラみてェなの作らなくていいだろ?」

ほむら「……フフ、確かにね」

ほむら「……ありがとう、銀時先生」

銀時「じゃあ次は…鹿目まどかー」

まどか「は、はい」

銀時「悪かったな、最後の最後に契約させちまってよ」

まどか「ううん…あれは私が自分で考えて決めたことだから……!」

銀時「お前に言いてェのはアレだな…もう少し適当になれってことだな」

まどか「て、適当……?」

銀時「何でもかんでも真面目に一人で背負いこみすぎなんだよお前は、たまには他人に迷惑かけてもいいじゃねーか」

銀時「お前には迷惑かけられるダチ公がたくさんいるんだろ?」

まどか「……そうだね、私…もっと気楽に生活してみるよ!」

まどか「ありがとうね、先生…!」

銀時「じゃあ次…佐倉杏子ー」

杏子「わ、私は別にアンタの教え子ってわけじゃ……」

銀時「とある母ちゃんが言ってたぞ、田舎じゃ誰かの家の母ちゃんはみんなの母ちゃんだ、みてーな?」

杏子「……??」

銀時「まあ細かいことは置いといてだ…最初はよくも石ぶつけてくれやがったなコノヤロー」

杏子「お、覚えてたのかよ…あれはわざとじゃないって……」

銀時「ま…あれがなけりゃこうして顔合わせてることもなかったわけだしな……」

杏子「…………」

銀時「何はともあれお疲れさんだったな…さやかを元に戻せたのもお前が必死こいて戦ったからだしよ」

杏子「……別に感謝されるようなことしてねェよ馬鹿、調子狂うんだよ」

杏子「……ありがとな、色々と」

銀時「……あ、言い忘れてたわ…お前間違ってもチンピラになるんじゃねーぞ、椿平子とかそんな感じの」

杏子「…………???」

銀時「えー次は…巴マミ(ノーマット)ー」

マミ「どうしてあなたは巴マミと書いてノーマットと読むの……?」

銀時「本気と書いてマジと読むのと同じ理屈です、ありがとうございました、はいじゃあ次ー」

マミ「終わり!?私、まだ何の言葉も受け取ってないんだけれど!?」

銀時「心配すんな、一割冗談だから」

マミ「九割は本気ってことよね、それ」

銀時「冗談は置いといてだ……えー……」

マミ「…………?」

銀時「……特にないんでパス」

マミ「何で私だけそんな感じ!?」

銀時「まあアレだ、お前の場合はもう少し汚れてもいいんじゃねーか?」

マミ「よ、汚れて……?」

銀時「綺麗なやり方ばっかじゃ見えてこねぇこともあんだろ、泥臭ェやり方でもいいじゃねーか」

銀時「どんなことでも最後までやり抜いてみな、そうすりゃ新しい道だって見えてくんだろ」

マミ「諦めない心…ね、先生…ありがとう」

銀時「最後…美樹さやかー」

さやか「はい!」

銀時「お前はいろいろ引っ掻き回してくれやがって…こっちの身にもなれってんだ」

さやか「ご、ごめん……あの時の私、どうかしてて……」

銀時「あんだけのことがあったんだ、もう進んでく方向を間違えはしねェだろ」

さやか「え…うん、多分」

銀時「心配いらねェよ、テメーはもう大切なモンを持ってる…俺が保証してやらァ」

さやか「ありがと…先生」

銀時「さて…と、もういよいよ時間がねーな……」

さやか「……行かないでよ、先生」

銀時「そればっかは無理だな、俺にもどうにもならねーしよ」

杏子「…………」

銀時「テメーらが俺を忘れようがそれでつながりが切れるわけじゃねェ…」

銀時「魂がつながってるなら…俺とテメーらはずっとダチ公なんだからよ」

さやか「……私、絶対忘れないから!先生のこと、全体に!」

杏子「私も…絶対に!」

マミ「また…いつか必ず!」

まどか「必ずまた一緒に……先生!」

ほむら「……これが永遠の別れだなんて言わせない、また会う日を楽しみに待ってるわ」

銀時「……ああ、いつか…な」

―――そして、次の瞬間

―――坂田銀時という名の存在はまどかたちの世界から完全に消え失せた。

---

銀時「…………」

新八「銀さん、何でトイレの前で寝っころがってんですか…風邪ひきますよ?」

銀時「なあぱっつぁん、もしお前魔法が使えたらどうするよ?」

新八「何ですか急に魔法って…でも…そうだな、多分最初はありきたりなことからやると思いますよ?空を飛んだりとか」

銀時「だったらアレだ、あと二十年間彼女作らねェでムラムラしながら過ごせば魔法使いになれるから、頑張れよ」

新八「しばき倒しますよアンタ」

---

まどか「ほむらちゃん!おはよう!」

ほむら「まどか!おはよう!」

あの日以降、私の持っていたソウルジェムは跡形もなく消え去っていて、魔女の姿もキュゥべえも見ることはなくなった。

それはまどかたちも同じなようで今の私たちは平和な日々を過ごしている。

……ただ、私を除く全員は魔女の存在を覚えていない。

魔女がきっかけとなった杏子とさやかの出会いも私が知っているものとは食い違いが発生している。

二人はゲームセンターでダンスゲームを一緒に対戦したことがきっかけで知り合いになったことになっているらしい。

何故私だけが魔女の記憶を持っているのかは分からない…時間遡行の能力を持っていたことが関係しているのだろうか?

……もっとも、今はそんなことはどうでもいい。

そう、魔女の存在を忘れているということは…一緒に戦ったあの人のことも忘れているのだ。

仕方のないことだとは思ってもやはり心のどこかでは割り切ることができない。

まどか「あっ、さやかちゃんたちだ!」

さやか「よっ!まどかとほむらじゃん!今日も仲がよさそうで…妬けちゃうなー」

マミ「おはよう、二人とも」

杏子「しっかしいい天気だなー、あの白い雲とかのんびり浮かんでてさぞかしいい気分だろうな」

ほむら「…………」

ふと、彼のことが頭をよぎった…彼は今も元気でやっているのだろうか……

杏子「私さ、ああいう雲見てると…思い出しちゃうんだよな」

ほむら「!」

マミ「そうね、元気でやっているといいんだけれど……」

さやか「大丈夫だって!またいつかひょこっと顔だしたりするんじゃない?」

ほむら「……!?」

まさか…覚えている……?魔女たちのことは完全に忘れているのに……?

ほむら「みんな…もしかして……」

まどか「ほむらちゃん、それ以上は……ね?」

見ればまどかは笑いながら口元に指を当てて、それ以上の言葉は言うべきでないとのしぐさをした。

ほむら「ま…まどか……?」

まどか「……さあ、学校に行こう!みんなも遅刻しちゃうよ!」

ほむら「…………」

ほむら「フフ……」

そうか…つまりは、そういうことだったのだ。

銀時

私たちは忘れないわ

いつでも、どこででも、私たちのために戦ってくれていたあなたがいたことを

私たちが生きている限り、私たちとあなたの繋がりは…永遠に途切れたりしないわ

あなたのおかげで…私は…私たちは……

だから、もう一度だけ言わせて?


―――ありがとう


fin



ED『SIGNAL』(KELUN)


910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [saga]:2011/05/30(月) 02:30:25.69 ID:DIJrHeOr0
三年Z組ー銀八先生!

銀八「はい、ギリギリになっちまいましたが何とか終わらせることができました」

銀八「今日はもう遅いんであれこれ書いたりはしませんが、時間があったら何か書くかもしれません」

銀八「つーわけで本編自体はここで完結です、ここまで読んでくれた物好きな連中にゃホント感謝だな」


こんな出来になってしまいましたが、最後まで読んでくれて本当にありがとうございました。


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コメント

  1. 名無し―ネームレス― | URL | -

    Re: 銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その3

    最高だった

  2. 名無し―ネームレス― | URL | Fyhn/ZFY

    Re: 銀時「魔法少女まどか☆マギカ?」  その3

    この人がかくssはほんと最高だわ

    とあるもひぐらしも最高だよこんちくしょーと思えば次はまどまぎだかんな。
    全部好きなマンガで嬉しい。

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