2011年07月10日 12:23
まどか「仮面ライダー?」翔太郎「魔法少女?」映司「魔女?」 その2
213 :◆WDUU7xtdEo [saga]:2011/06/05(日) 21:55:46.96 ID:2I/o97yAO
「あ゙ー……くそっ」
深い溜息をつくと、翔太郎はソファに深くもたれかけて天井を仰いだ。
吹き抜けになったフロア、まるでホテルのような造りのそれだが、鼻をくすぐるアルコールの匂いに
ここが病院である事を思い出す。
美樹さやか、彼女の付き添いとして此所に通うようになった訳だが、この風景、やはり慣れない。
風都に馴染みきった身体には、見滝原の近代的過ぎる建築物はしっくりこない。
が、しかし、目下の問題はそんな事より。
「ほんとに何考えてんだ……フィリップの奴」
相棒、フィリップの事。
『――翔太郎、やる事ができた。以後、僕は別行動を取る。鹿目まどか達の事は君達に任せた』
短い語句で必要な事柄だけを告げ、それだけ。以降、一切の連絡なし。
暁美ほむら、彼女を追って飛び出した後に何かあったのだろうが、しかし。
「……しっくりこねえな」
状況から察するに、フィリップは彼女と会い、その結果、別行動をする決断に至ったに違いない。
だとすれば、その理由は何か。
色々と推測を並べてみる。しかし、どれもピッタリとピースが当てはまらない。
あのフィリップをここまで積極的に行動させる要素が彼女には見当たらない。
無論、『魔女』や『魔法少女』というキーワードに興味を示してはいたが、それなら彼女でなくても良いはず。
それこそ、亜樹子と一緒にいる巴マミに興味を持つ方が、話としてはすんなりくる。
なのに、フィリップは暁美ほむらに興味を示したのだ。
――暁美ほむら『だけ』に。
「ほむらちゃん……だけにか。あの子に何があるってんだ、フィリップ?」
ヒントもなく、ばらばらになったパズルピースも当て嵌める事もできず、思考にモヤがかかる。
「だぁ、くそっ! 訳わかんねえ!!」
苛立ちに頭を掻き毟ろうとした時だった。
「左さん」
その声に思考のスイッチを一瞬で切り替える。
探偵らしく、笑顔を彼女に向ける。
「よお、さやかちゃん。終わったのかい?」
「あはは……はい」
美樹さやか、彼女に。
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213 :◆WDUU7xtdEo [saga]:2011/06/05(日) 21:55:46.96 ID:2I/o97yAO
「あ゙ー……くそっ」
深い溜息をつくと、翔太郎はソファに深くもたれかけて天井を仰いだ。
吹き抜けになったフロア、まるでホテルのような造りのそれだが、鼻をくすぐるアルコールの匂いに
ここが病院である事を思い出す。
美樹さやか、彼女の付き添いとして此所に通うようになった訳だが、この風景、やはり慣れない。
風都に馴染みきった身体には、見滝原の近代的過ぎる建築物はしっくりこない。
が、しかし、目下の問題はそんな事より。
「ほんとに何考えてんだ……フィリップの奴」
相棒、フィリップの事。
『――翔太郎、やる事ができた。以後、僕は別行動を取る。鹿目まどか達の事は君達に任せた』
短い語句で必要な事柄だけを告げ、それだけ。以降、一切の連絡なし。
暁美ほむら、彼女を追って飛び出した後に何かあったのだろうが、しかし。
「……しっくりこねえな」
状況から察するに、フィリップは彼女と会い、その結果、別行動をする決断に至ったに違いない。
だとすれば、その理由は何か。
色々と推測を並べてみる。しかし、どれもピッタリとピースが当てはまらない。
あのフィリップをここまで積極的に行動させる要素が彼女には見当たらない。
無論、『魔女』や『魔法少女』というキーワードに興味を示してはいたが、それなら彼女でなくても良いはず。
それこそ、亜樹子と一緒にいる巴マミに興味を持つ方が、話としてはすんなりくる。
なのに、フィリップは暁美ほむらに興味を示したのだ。
――暁美ほむら『だけ』に。
「ほむらちゃん……だけにか。あの子に何があるってんだ、フィリップ?」
ヒントもなく、ばらばらになったパズルピースも当て嵌める事もできず、思考にモヤがかかる。
「だぁ、くそっ! 訳わかんねえ!!」
苛立ちに頭を掻き毟ろうとした時だった。
「左さん」
その声に思考のスイッチを一瞬で切り替える。
探偵らしく、笑顔を彼女に向ける。
「よお、さやかちゃん。終わったのかい?」
「あはは……はい」
美樹さやか、彼女に。

さやかを横に伴い、翔太郎は見滝原の街を行く。
愛機ハードボイルダーを押しながら、四車線道路を切れ目なしに行き交う車達を横目で見送る。
こうして歩いている間も、考えはまとまっていない。
フィリップの真意も分からないまま。
相棒の行動は信頼してるが、その目的を見抜けない自分に歯痒さを覚える。
苦々しい気分、思考のループに陥りそうになったその時だった。
「――って、左さん。話聞いてる?」
隣から張り上げられた声に、翔太郎は視線をさやかに移した。
頬を膨らませて、非難めいた表情をこちらに向けていた。
「あー聞いてる聞いてる」
「聞いてないじゃん、このこのー」
おちょくるように翔太郎をさやかは肘で小突く。
「や・め・ろ」
「なはは~」
ころころと、鈴のような笑い声をあげるさやか。だが、それが不意に止まる。
「…………」
「…………」
お互いに無言、話を切り出す事もないまま道を行く。
そして、プツリと車の列が途切れ、周りが静寂に包まれた。
「――ねえ、左さん」
先に沈黙を破ったのは、さやかだった。
「なんだ、さやかちゃん?」
「――左さんはさ、なんで戦うの?」
静寂に包まれた近代都市に、その声が響いた。
「またそりゃ……いきなりだな」
誰も通らない道に二人、翔太郎はさやかに向き合う。
愛機を傍らに停め帽子を被り直すと、大きく息を吐いた。
「何かあったのか?」
「…………」
答えはなかったが、固く握り締められた手が雄弁に語る。
「左さんもさ、皆を守るために戦ってるんでしょ? マミさんと同じで、さ……」
「間違いじゃ、ねえな」
「――だったらさ!」
叫びが、響き渡る。
「あたしが……あたしが恭介のために願いを叶えて戦うのも、間違ってないよね!?」
悲痛な表情を浮かべて、さやかは翔太郎に訴える。
「それは――」
さやかに、答えようとした時だった。
「――――!?」
ゾクリと、全身を悪寒が。
――――余りにも、世界は静か過ぎた
「――ッ! さやかちゃん!!」
翔太郎が叫ぶと同時、世界が歪んだ。
魔女の結界が二人を飲み込む。
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愛機ハードボイルダーを押しながら、四車線道路を切れ目なしに行き交う車達を横目で見送る。
こうして歩いている間も、考えはまとまっていない。
フィリップの真意も分からないまま。
相棒の行動は信頼してるが、その目的を見抜けない自分に歯痒さを覚える。
苦々しい気分、思考のループに陥りそうになったその時だった。
「――って、左さん。話聞いてる?」
隣から張り上げられた声に、翔太郎は視線をさやかに移した。
頬を膨らませて、非難めいた表情をこちらに向けていた。
「あー聞いてる聞いてる」
「聞いてないじゃん、このこのー」
おちょくるように翔太郎をさやかは肘で小突く。
「や・め・ろ」
「なはは~」
ころころと、鈴のような笑い声をあげるさやか。だが、それが不意に止まる。
「…………」
「…………」
お互いに無言、話を切り出す事もないまま道を行く。
そして、プツリと車の列が途切れ、周りが静寂に包まれた。
「――ねえ、左さん」
先に沈黙を破ったのは、さやかだった。
「なんだ、さやかちゃん?」
「――左さんはさ、なんで戦うの?」
静寂に包まれた近代都市に、その声が響いた。
「またそりゃ……いきなりだな」
誰も通らない道に二人、翔太郎はさやかに向き合う。
愛機を傍らに停め帽子を被り直すと、大きく息を吐いた。
「何かあったのか?」
「…………」
答えはなかったが、固く握り締められた手が雄弁に語る。
「左さんもさ、皆を守るために戦ってるんでしょ? マミさんと同じで、さ……」
「間違いじゃ、ねえな」
「――だったらさ!」
叫びが、響き渡る。
「あたしが……あたしが恭介のために願いを叶えて戦うのも、間違ってないよね!?」
悲痛な表情を浮かべて、さやかは翔太郎に訴える。
「それは――」
さやかに、答えようとした時だった。
「――――!?」
ゾクリと、全身を悪寒が。
――――余りにも、世界は静か過ぎた
「――ッ! さやかちゃん!!」
翔太郎が叫ぶと同時、世界が歪んだ。
魔女の結界が二人を飲み込む。

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