ネウロ「ここが見滝原総合病院か」

2011年10月04日 19:44

ネウロ「ここが見滝原総合病院か」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 16:24:45.31 ID:uq82auni0

ニュース『一昨日の午後5時ごろ、見滝原総合病院で同市の見滝原中学に通う美樹さやかさん(14)の遺体が発見されました』

    『美樹さんは病院の屋上から飛び降りたと見られ、警察は自殺とみて調べています』

    『美樹さんはこの病院へよくお見舞いに来ていたそうです』

弥子「見滝原市だって。結構近いね、ネウ」

ネウロ「この病院に行くぞ、謎の気配がする」

弥子「謎って……それじゃあ自殺じゃな」

ネウロ「モタモタするな。引きずられたくなければ早くしろ」

弥子「……話聞いてよ……」


見滝原市総合病院・屋上

屋上の端には腰の高さほどの段差があり、そこから1mほど手前に金網のフェンスが立てられている。

そのフェンスに人がギリギリ通れる程度の穴が開けられてた。

その前には花束や飲食物、故人の物と思われる書籍、CDなどが並べられている。

弥子「ここから飛び降りたのかな……」

弥子「それにしても、警察の人いないね。自殺だと切り上げ早いのかな?」

ネウロ「だが、我輩には分かる。これは自殺などではない」

ネウロ「警察がいないと情報収集が面倒だな……被害者はよく見舞いに来ていたそうだな」

弥子「そうらしいね、誰の見舞いとは言ってなかったけど」

ネウロ「貴様はまず、ここでそいつが誰が調べろ」

ネウロ「その上で、この病院で情報収集していろ」

ネウロ「我輩は中学校のほうで関係者を探す」

そういうと屋上からそのまま飛び出していった。

弥子「……ちょっとは人目を気にしようよ」



弥子「ナースステーションで聞いたら教えてくれるかな……」

?「あの、今の方大丈夫なんでしょうか?」

弥子「あいつなら大丈夫ですよ、人間じゃ……ってうわっ!」

?「大丈夫って、こんな高さから飛び降りたりしたら」

弥子「いやいや、気にしないでください!」

弥子「あいつ短気なんですよ、飛び降りた方が早いって、いつも飛び降りてるんです!」

?「はぁ、変わった方ですのね……それであなたは? あなたもさやかさんのお知り合いですか?」

弥子「えっと、そうじゃないんですけど……あなたは美樹さんの友達ですか?」

仁美「ええ、同じクラスの志筑仁美と申します」


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見滝原中学校

すでに下校時間を過ぎ、校舎内から校門付近まで生徒はまばらだった。

俯きながら、のろのろと歩く二人の生徒がいた。

まどか「……マミさん、さやかちゃんは魔女に狙われたわけじゃないんですか?」

マミ「それはないと思うわ。あの病院付近で魔女の気配を感じたことはないし……」

まどか「さやかちゃん……どうして自殺なんか」

マミ「契約したら一緒に戦う仲間になると思ってたのに……」

キュゥべえ「彼女にはどんな悩みだろうと吹き飛ばすチャンスがあったのに、まさか自殺なんて」

キュゥべえ「まったく、ワケがわからないよ」

まどか「ほんとにね……相談してくれたらよかったのに……」

ネウロ「突然すみません、美樹さやかさんのお友達の方々でしょうか?」

まどか「えっ……え、あの、えっと」

マミ「そうですが……失礼ですが、どちら様でしょうか?」

マミ(キュゥべえ……あなたは普通の人には見えないんだったわね?)

キュゥべえ(その通り。だから僕のことは気にしないでくれ)

ネウロ「これは失礼しました。僕は『名探偵』桂木弥子先生の助手を務めています、脳噛ネウロといいます」

ネウロ「この度は誠にお気の毒でした。心中お察しします」

マミ「桂木弥子……アヤ・エイジアの事件を解決した探偵ですね。アヤのファンだったからよく覚えてます」

まどか(アヤ・エイジア……あぁ、あの友達少なそうな歌手……マミさんファンなんだ)

マミ「それで、その探偵の助手さんが何のご用ですか?」

ネウロ「はい、先生は今回の美樹さやかさんの自殺……と、思われている殺人事件について捜査しています」

まどか「殺人事件?! さやかちゃんは殺されたんですか!」

ネウロ「ええ、先生は間違いないと言っておられます」



仁美「本当ですの? 他殺だなんて……にわかには信じがたいですわ」

弥子「確かに、他殺というのは突拍子もないと思われるかもしれませんけど……」

仁美「いえ、そういうワケではありません」

弥子「? 何か自殺だという思う理由があるんですか?」

仁美「……屋上のフェンスに開けられた穴の前にさやかさんの靴が揃えてあったそうです」

仁美「そういうのがあったから、私はすぐホントに自殺したんだなぁって……」

弥子(靴が揃えてあった……自殺に見せかけるためだろうな)

弥子(靴を脱がせてから突き落としたってことか……)

弥子「靴が揃えてあったっていうのは初めて聞きました」

弥子「あ、そうだ。美樹さんがよくお見舞いに来てた入院患者を探してるんですけど、知りませんか?」

仁美「上條さんのことですね……今は会わない方が……」

弥子「えっ、どうして?」

仁美「上條さんはさやかさんの遺体の第一発見者」

仁美「……いえ、遺体になる直前のさやかさんを見ているんです」

弥子「! それって……」

仁美「落ちていくさやかさんを見てしまった上條さんに、なんて声を掛ければいいのか……」

仁美「私、今日は面会に来たんですけど、やっぱり帰ろうと思ってたところです」

弥子「そういうことですか……それは確かにショックだったでしょうね」

仁美「本当に……死んでも上條さんに迷惑かけて」ボソッ



ネウロ「それで美樹さんのご友人であるお二人に聞きたいことがありまして」

ネウロ「彼女が誰かに恨まれていたということはありませんか?」

まどか「そんなことないとありません!」

まどか「さやかちゃんは、先走って、闇雲に、駆け出すところがあったり」

まどか「差し出がましくて、やかましくて、かしましいところもあったけど」

まどか「殺されるような恨みをかっていたなんてことは……」

ネウロ「そうですか、よく分かりました。そちらの……」

マミ「巴マミと言います。そちらは鹿目まどかさん」

ネウロ「これはこれは。では巴さん、あなたは何か心当たりがありませんか?」

マミ「……恨みではないんですけど、美樹さんがいなくなることで得をする人がひとり」

まどか「えっ……マミさん、それって」

マミ「暁美ほむら。詳しい事情はお話できませんが、彼女は美樹さんを含めた私たちと対立しているんです」

ネウロ「ほう! それは興味深い情報です、先生もお喜びになるでしょう」

マミ「私たちが話せるのはこれくらいです。失礼してもよろしいですか?」

ネウロ「すみません、最後にもう1つ。一昨日の5時ごろ、あなた方は何をしていましたか?」

マミ「……ずいぶんと直球ですね。私たち疑われてます?」

ネウロ「申し訳ございません。先生の言いつけでして」

ネウロ「『関係者のアリバイを調べてこないとお前を身元不明の遺体にしてやる』と……」

まどか「弥子さんって、ずいぶんバイオレンスな探偵さんなんですね……」

マミ「一昨日のアリバイねぇ……」
・・
マミ(キュゥべえを連れてあれに行ってたけど、これは言えないわね)

マミ「……私にアリバイはないわ、学校が終わってからすぐ家に帰って、ずっと1人だったわ」

まどか「私は、えっと……一昨日、一昨日……」

まどか「あっ、CDショップで買い物しました」

まどか「店員さんが覚えてたら、アリバイになりますよね?」

ネウロ「ええ、店なら監視カメラもあるでしょうし、十分なアリバイです」

まどか「よかったぁ、えへへ」

マミ「……もうよろしいかしら?」

ネウロ「たいへん参考になりました。ありがとうございます」

ネウロ「この事件は先生が必ず解決して下さるでしょう」

マミ「それでは、さようなら」

まどか「あの……犯人、捕まえてくださいね」

ネウロ「お任せください! 名探偵桂木弥子に迷宮入りはありえません」

二人はネウロと別れ、離れていった。

まどか「いきなりで驚いたけど、さわやかな人でしたね」

マミ「そう? かえって怪しさ満点だったけど……」

まどか「それにしても、殺人事件かぁ……」

まどか「……マミさんはほむらちゃんが犯人だと思ってるんですか?」

マミ「さてね、少なくとも彼女には動機がある」

マミ「美樹さんはグリーフシードを奪い合うライバルになるかも知れなかったんだからね」

まどか「でも、まだ契約もしてなかったのに……」

マミ「魔法少女になっていないうちなら、楽に殺せると思ったんでしょう」

まどか「そんな……」

マミ「鹿目さんも気をつけないとね、いつ彼女が狙ってるか分からないわよ」

まどか「でも、ほむらちゃんは……」

マミ「……鹿目さん、あなたは私の仲間よね?」

まどか「マミさん……?」

マミ「大丈夫よ、あの得体の知れない女が襲ってきても守ってあげるわ」

マミ「……私たちは仲間ですものね?」


見滝原総合病院

仁美「それでは桂木さん、私、これから茶道のお稽古ですのでこれで失礼させていただきます」

弥子「茶道……なんかすごいですね」

仁美「そんなことありませんわ。全然成ってないって、このところ毎日特訓です」

仁美「……ああ、いけない、本格的に遅刻してしまいますわ。それでは、御機嫌よう」

弥子「うん、さようなら」

弥子(茶道の稽古に、御機嫌ようって……お嬢様なのかな)

弥子「んー、上條さんか……何とか会えないかな」

病院内で考えながら歩いていると、前方で病室から車椅子の少年が出てきた。

?「よいしょ……ふぅ」

弥子「あっ、車椅子押しましょうか?」

?「え、いえ、そこのトイレまでですから、結構ですよ」

弥子「そうですか……あれ、この病室……上條恭介?」

弥子「じゃあ、今の人が!」



恭介「あー、スッキリ、ってあれ? あなた、僕に何か用ですか?」

弥子「あの、上條恭介さんですよね? 実は、美樹さやかさんのことで話を聞きたくて」

恭介「さやかの話? ……かまいませんよ、病室で話しましょう」

弥子「ありがとうございます!」

弥子(思ったほど落ち込んでなさそうだな……よかった)

恭介「さてと、それでどういうことが聞きたいんですか?」

弥子「えー、美樹さんが誰かに恨まれてなかったか、とか……」

恭介「……変なこと聞きますね。さやかは自殺したんですよ?」

弥子「それはその、ひょっとすると他殺かも知れないなぁー、って思いまして」

恭介「ふぅん……ところであなたお名前は? どうしてさやかの話を?」

弥子「私、桂木弥子って言います。えっと、一応探偵をやってます……」

恭介「探偵? 桂木弥子……あぁ! ヒステリアの逮捕に貢献したって噂の……」

弥子「はい、その桂木弥子です……」

弥子(全部ネウロが解決してるんだけどね……)

恭介「そんな探偵さんに他殺かもしれないなんて言われたら、そんな気がしてきますね」

恭介「確かに、さやかが自殺するとは思えないですから」

弥子「? それはどうしてですか?」

恭介「いえ、根拠はないけど、さやかはいつだって笑顔で、学校のことも楽しそうに話してくれるんですよ」

弥子「へぇ……よくお見舞いに来てたそうですね」

恭介「ええ、バイオリンが引けなくなった僕に珍しいCDとか持ってきてくれて」

恭介「さやかのおかげで入院生活も退屈じゃなかったんです」

弥子「優しい人だったんですね……」

弥子「ところで、バイオリンって……?」

恭介「ああ、僕、以前はよくバイオリンを弾いていたんです」

恭介「天才少年なんて持てはやされてたんですけど、事故で左手がうまく動かせなくなって……」

弥子「それは……お気の毒というか……」

恭介「気にしないでください。それより、さやかを殺した犯人、絶対に見つけてください」

恭介「……さやかは丁度、今ぐらいの時間に落ちていったんです……」

恭介「窓の外を見てると、また落ちてくるんじゃないかって……」

弥子「大丈夫です。そんなことはあり得ません」

弥子「犯人なら任せてください。絶対に見つけてみせますから」

弥子(ネウロなら、簡単に見つけてくれるだろう)

弥子(美樹さんを殺した犯人……どんな人物なんだろ?)



ネウロは二人と別れた場所から動かずにいた。

ネウロ「さてと……せっかくですから、あなたからもお話を伺いたいですが」

?「!」

ネウロ「中学生の放つ殺気とは思えませんよ」

ネウロ「あなたが暁美ほむらさんですね?」

ほむら「……あなたは誰? 何が目的なの?」

ネウロ「聞いていたでしょうに、人が悪い」

ほむら「いつから気付いていた?」

ネウロ「はじめから……ずっと鹿目さんの肩の辺りを睨み付けておられましたね」

ネウロ「その不自然さが僕の目を引いたと言いましょうか」

ほむら(不自然な視線……そんなもので私に気付いた?)

ほむら(……キュゥべえは見えていない。魔法少女の関係者ではないようね)

ネウロ「それで、お話を伺ってもよろしいですか?」

ほむら(この男……まるで底が知れない)

ほむら(イレギュラーは重なるものなのかしらね……)

ほむら「ええ、でも手短にお願い。これでも暇じゃないの」

ネウロ「分かりました、ではまず一つ。巴さんの言っていたことは事実ですか?」

ほむら「ええ、私は巴マミたちと対立している。それは事実」

ほむら「でも、美樹さやかが死ぬことで私が得をすることはない」

ほむら「美樹さやかは、私の敵ではない」

ほむら「たとえ、向かってきたとしても、撃退することも容易」

ネウロ「なるほど、では二つ目。あなたは誰が殺したと考えていますか?」

ほむら「……本当に他殺だとすると候補は二人。まず志筑仁美」

ネウロ「初めて聞く名前です。どのような人ですか?」

ほむら「美樹さやかのクラスメイト」

ほむら「志筑仁美と美樹さやかの二人は、同じ男性に思いを寄せていた」

ネウロ「三角関係というわけですね! 確かに殺人の動機としては十分です」

ほむら「もっとも、それに気付いていたのは志筑仁美だけ」

ほむら「美樹さやかは志筑仁美の思いを知らなかったはず」

ほむら「二人目は巴マミ」

ネウロ「ほう、それはなぜ?」

ほむら「巴マミは思い込みが激しいところがある」

ほむら「美樹さやかが障害になると思ったら、殺しておかしくない」

ほむら「巴マミはそれほどの激情を内に秘めている」

ネウロ「そうですか。では最後に、あなたのアリバイを教えてください」

ほむら「……他人に証明できるようなアリバイはないわね」

ほむら「もう、このへんでかまわないかしら?」

ネウロ「ええ、助かりました。これで捜査も……」

ネウロ「……消えただと?……ふん、妙な人間だ」

ネウロ「あの白いのといい……この町には何かあるな」


見滝原総合病院・玄関前

弥子「さてと、ネウロ学校行くって言ってたけど、こっちに戻ってくるのかな」

弥子「どこで合流とか、言っといてくれたらいいのに……ん?」

そこでポッキーを加えたまま病院の屋上を見上げている赤毛の少女に気付く。

弥子(中学生ぐらいか……ひょっとして、美樹さんの知り合いかな?)

弥子「すみませーん、あなたも美樹さんの友達ですか?」

杏子「あぁ?! 友達じゃねぇよ、あんな女!」

弥子(ヒィッ、ガラ悪っ!)

弥子「す、すみません……でもあの、さっき屋上見てたよね?」

弥子「それもフェンスの穴あたり……美樹さんが飛び降りたらしい場所を」

杏子「ちっ、うっぜえ、見てんじゃねぇよ……」

弥子「すみません……」

杏子「ハッ、まぁいいか。で、アンタこそ何だ? さやかの知り合いか?」

弥子(やっぱり、知り合いなんだ……)

弥子「そうじゃないんだけど、私、桂木弥子。探偵なの」

杏子「探偵ねぇ……あたしは佐倉杏子だ」

弥子「美樹さんが殺された可能性があって、それを調べてるの」

杏子「殺されたァ? 自殺じゃないのか?」

弥子「はい、たぶん……」(確実に)

杏子「そっか……てっきり金に困って身投げしたんだと思ってたよ」

弥子「金に困って? どうしてそう思ったの?」

杏子「……たいした話じゃないさ、聞きたいか?」

弥子が肯くと持っていた紙袋からリンゴを取り出した。

杏子「食うかい?」



杏子「あたし、隣町に住んでてさ、こっちに来ることは滅多になかったんだ」

杏子「ニュースで見たこの病院見つけんのも、ずいぶん苦労したよ」

杏子「んで、さやかとはその隣町の繁華街で会った」

杏子「いや、見かけた、だな。最初は話もしなかった」

杏子「夜中でね、見かけない制服着てフラフラしてたからよく覚えてるよ」

杏子「それからも何度か見ることがあって、一体何やってんだかって気にはなってたんだ」

杏子「それでさ、いつだったか、さやかが路地裏でヤクザに絡まれてたんだ」

弥子「あの、ちょっといい?」

杏子「ああ? 口挟むなよ……何だ?」

弥子「……リンゴもう一個もらえる?」

杏子「食うの早えーなアンタ」

杏子は紙袋ごと弥子に渡して、話を再開した。

杏子「どこまで話したっけ……そうそう、ヤクザに絡まれてたんだよ」

杏子「いつもなら無視するところだけど、なんか放っとけなくてね」

杏子「助けてやったんだ。こう見えても腕っ節は自信あるからね」

杏子「で、さやかから話を聞いてみたら、あいつロクでもねー方法で金稼いでたんだよ」

弥子「ロクでもない方法?」

杏子「……わざわざ知り合いの少ない隣町まで出てきて」

杏子「鬱憤溜まったサラリーマンが闊歩してる夜の繁華街で」

杏子「それでいて、ヤクザに因縁つけられそうな稼ぎ方つったら……」

弥子「あ……か、肩たたきの延長みたいな?」

杏子「それ、笑えねーよ」

杏子「……制服着てたのも、その方が食いつきがいいんだって言ってたよ」

杏子「この辺はヤクザの管理下だから、勝手に客取ったりしたらまた因縁つけられるぞって」

杏子「忠告してやってんのにまだ続けて、やっぱり絡まれて」

杏子「その度にあたしが追っ払って、ほんと学習しねーやつだったよ」

杏子「ま、そんなことがあったから、借金でもして金に困ってるんじゃねーかなって思ったんだ」

弥子「そうだったんだ……」

杏子「あたしとさやかの関係はそんだけだよ……」

弥子(……絡まれる現場に毎回たまたま遭遇できるワケないじゃない)

弥子「美樹さんのことを心配してたんですね」

杏子「あぁん!? テメーどんな耳してんだ! そんなんじゃねーよ!」

杏子「どう聞いたらあたしがさやかを心配してるなんて思うんだ!」

弥子(えー……)

杏子「あんた探偵つったな!?」

弥子「は、はい!」

杏子「さやかを殺した野郎、絶対捕まえろよ!」

弥子「……うん、まかせて!」

弥子(野郎とは限らないけど……)

杏子「……チッ、もう帰る。リンゴ返せ」

弥子「あっ、はい」

杏子「おぅ……って全部食ってんじゃねーよ! 芯すら残ってないってどういうことだ!」

弥子「ごめんなさい、つい……」

杏子はリンゴの恨み言を言いながら走り去っていった。

弥子「悪いことしちゃったなぁ……」

弥子「……あ、ネウロと合流しないと。あいつどこにいるんだろ?」

ネウロ「我輩ならここだ」

弥子「うわっ! いきなり出てこないでよ!」

ネウロ「黙れ、本来ならば奴隷である貴様の方から我輩のもとへ馳せ参じるべきだろう」

ネウロ「ゴミムシの貴様に出来ることはもう、我輩にご足労かけたことをただひたすら懺悔するだけだ」

弥子「懺悔って……神様とか、仏様とか、そういうこう、神聖なものにするもんでしょうが」

ネウロ「? なにも間違ってはいないではないか。おかしな奴だ」

弥子「あんたねぇ……自分が神聖だとで」

ネウロ「弥子よ、事件の情報は集められたのだろうな?」

弥子「ほんと、人の話を聞かないわね……」

ネウロ「どうなのだ? まさかリンゴをむさぼっていただけではあるまいな?」

ネウロ「だとしたら、貴様の頭をリンゴのように……」

弥子「情報ならちゃんと集めてきたよ」

弥子「美樹さんの知り合い3人から話を聞いてきた」

ネウロ「上出来だ。我輩が接触できた関係者も3人……と1匹だな」

弥子「1匹?」

ネウロ「気にするな、この謎に奴は無関係だ」

弥子「ふーん? よく分かんないけど関係ないんだね」

ネウロ「ああ、無視しても構わんだろう」

ネウロ「では、弥子よ、話すがいい。貴様の集めてきた情報を」

弥子「うん、まずは――――」



ネウロ「――ふむ、美樹さやかの人間関係についてはおおよそ把握できた」

ネウロ「ところで弥子よ、貴様の携帯、ネットに繋がっていたな?」

弥子「何いきなり? パケット定額じゃないけど繋がるよ」

ネウロ「よし、貸せ」

弥子「あっ、ちょっと! 何に使うつもりよ!」

ネウロ「美樹さやか個人の情報をネット上から探す。ニュースで顔も見た、検索条件は十分だ」

ネウロ「HALの時は全身を使うため、パソコンが必要だったが……」

ネウロ「女子中学生の個人情報程度なら、指先ひとつが入れば十分だ」

           イビルスクリプト
――魔界777ッ能力『異次元の侵入者』――

ネウロの指先が弥子の携帯の表面に沈んでいく。

弥子「ちょっと! パケット定額じゃないって言ったじゃん!」

弥子「これ、すごい通信料かかってるんじゃないの?!」

ネウロ「うるさい。早く終わって欲しいなら静かにしていろ」



ネウロ「……よし、見つけた。返すぞ」

弥子「あー、もう……何探してたの?」

ネウロ「うむ、我々には今更なことだが、自殺ではないという根拠を探していた」

ネウロ「人間どもに納得させるには重要なことだ」

弥子「確かにね。他殺かもって言っても根拠がないと……あれ、メール?」

弥子「……ねぇ、ネウロ? なんか料金請求のメールがガンガン来てるんだけど……」

ネウロ「ああ、さっき我輩の指先がかすったせいかも知れんな」

弥子「やっぱ、アンタのせいかぁッ!」

弥子「どうしてくれんのよ、この請求……樋口さんに相談しよっかな……」

ネウロ「弥子よ」

弥子「……何よ」

ネウロ「これから我輩はこの町で各関係者の証言の裏を取る」

ネウロ「貴様は一足先に事務所に戻って吾代にエサでもやっていろ」

弥子「え、ちょっと、ネウ……行っちゃった」

弥子「先に帰れだなんて……意外だな。どうしちゃったんだろ?」

弥子「……ま、もうすぐ暗くなるし、お言葉に甘えて帰らせてもらうとしますか」


桂木弥子魔界探偵事務所

弥子「吾代さん、ただいまー。会社忙しいのに、留守番頼んでゴメンね」

吾代「やっと帰ってきたか……おい、あの化け物はどうした?」

弥子「ネウロなら先に帰れって言って、どっか行っちゃった」

吾代「あの野郎がねぇ……で、今日は何調べてたんだよ?」

弥子「うん、美樹さやかっていう子がね――」



吾代「へー、佐倉杏子にあったのか」

弥子「吾代さん知ってるの?」



吾代「ヤクザの間じゃ結構な有名人だぜ」

吾代「いつだったか佐倉杏子に身包み剥がされたヤクザがいてな」

吾代「そのヤクザが報復に、仲間を引き連れて奴のねぐらを襲撃したんだ」

吾代「……次の日には全員が路地裏にパンツ一丁で並べられてたらしい」

弥子「……それホント?」

吾代「さぁな、でも似たようなことは最近でも続いてる」

吾代「つい2日前にも、靴下だけの状態で放り出された男がいてよ」

吾代「『赤髪、リンゴ、変身……』とか妙なこと口走ってたそうだ」

弥子「えげつないなぁ……」

弥子(そんな子には見えなかったけど……っていうか変身って何?)




見滝原市・某所

ネウロ「……これでよし。4人のアリバイは確認できた」

ネウロ(それにしても、やはりこの町、何か匂う……)

ネウロ(魔力の気配だ……それも憎悪や絶望が濃縮されたかのような……)

ネウロ(この世のすべてを恨むかのような……)

ネウロ「……じつにそそる匂いだな」ジュルリ

ネウロ(弥子を先に帰して正解だった)

ネウロ(回収できれば、非常時の魔力の備蓄に出来るかも知れん)


その晩、事務所に戻ったネウロの手には、3つのグリーフシードが握られていた。


鹿目まどか邸

キュゥべぇは窓の外に、まどかはベッドに座り込んでいた。

まどか「……ネウロさんは任せてって言ってたけど、ほんとに見つかるのかな」

まどか「さやかちゃんを殺した犯人……誰なんだろう?」

キュゥべえ「ネウロとかいう男、あまり信用しないほうがいいと思うよ」

まどか「どうして?」

キュゥべえ「彼は事件を調査していると言ったけど、これはおかしい」

まどか「おかしいって……探偵さんなら事件を調べるのは当たり前じゃないの?」

キュゥべえ「まどか、探偵の調査っていうのはお仕事なんだよ?」

キュゥべえ「そして探偵が働くのは、依頼があった時だけだ」

キュゥべえ「今回の場合、警察はさやかの死を自殺だと考えている。さやかの両親もだ」

キュゥべえ「なら、一体誰が桂木弥子とかいう探偵に依頼したっていうんだい?」

まどか「あっ……そっか」

キュゥべえ「誰かに依頼されたわけじゃないんだから、解決したってお金にはならない」

キュゥべえ「事件を解決したところでお腹がふくれるワケもないしね」

キュゥべえ「ね? ここまで考えたらネウロという男の助手という肩書きも怪しく思えてくる」

キュゥべえ「ほんとに彼は探偵の助手なのかな? ひょっとすると彼がさやかを殺した犯人かもしれないよ」

キュゥべえ「君たちと接触してきたのだって、次の獲物を探していただけかもしれない」

まどか「そんな……怖いよ、キュゥべえ」

キュゥべえ「大丈夫だよ、君には途方もない力がある」

キュゥべぇ「もし万が一、あの男が襲ってきたって、君なら楽勝だよ」

まどか「そう、かな」

キュゥべえ「そうだよ、だからもし不安なら僕と契約して、魔法少女に」

まどか「ありがと、キュゥべえ! なんか安心しちゃった。もう寝るね、オヤスミ!」

キュゥべえ「……人の話は最後まで聞いて欲しいものだね」

まどかの部屋のすぐ外に、もうひとり現れた。

ほむら「そういえば、あなたという可能性もあったわね」

キュゥべえ「ああ、君か。何の可能性だって?」

ほむら「美樹さやかを殺した犯人」

キュゥべえ「まさか、僕がそんなもったいないことするワケないじゃないか」

ほむら「どうかしら? 今の会話を聞くと、まどかを契約させるためならやりかねないと思ったけど」

キュゥべえ「やれやれ、いくら、さやかから採集できそうなエネルギーが、まどかと比べればちっぽけなものでもね」

キュゥべえ「簡単に拾えるそれを捨てることはないよ」

キュゥべえ「さやかも、まどかも、もちろん君も、全ての魔法少女とその候補は貴重なエネルギー源なんだからね」

ほむら「……チッ」

キュゥべぇ「君こそどうなんだい? 暁美ほむら」

ほむら「わたしはあり得ないわ」

キュゥべえ「言葉だけならいくらでも誤魔化せるよ」

ほむら「……そうね、すごい説得力だわ」

キュゥべえ「君はずいぶんと鹿目まどかに執心している」

キュゥべえ「まどかと親しくしているさやかが妬ましかったんじゃないかい?」

ほむら「勝手なことを……『妬み』なんて分からないくせに」

キュゥべえ「知識としては知ってるつもりだよ」

ほむら「その程度の知識では人間の感情は計れないわ」

キュゥべえ「だからこそ、そのエネルギーも計り知れないものになるのかも知れないね」

ほむら「……本当に癪に障る奴」


次の日

見滝原総合病院の前にネウロと弥子、そして刑事の笹塚衛士がいた。

ネウロ「今日はわざわざお呼び立てして申し訳ありません」

笹塚「気にすんな、丁度非番だったし……」

弥子(ねぇ、ネウロ、笹塚さんを呼んだってことは、もう犯人が分かってるの?)

ネウロ(当然。この謎はもう、我輩の舌の上だ)

笹塚「なぁ、弥子ちゃん?」

弥子「は、はい! 何でしょうか?!」

笹塚「なんだってこの自殺を調べようと思ったの?」

弥子「えっと、それは……」

ネウロ「先生は少しでも妙だと思ったニュースは徹底的に調べないと、食事がのどを通らなくなるんですよ」

ネウロ「金にならない事件でも、そうやって何度も解決されているんです!」

笹塚「そうだったの? いつもよく食べるなって思ってたけど」

ネウロ「そんな性分ですから、存分に食事できる機会が少なくなるんです」

ネウロ「そのせいで、一回の食事量がとんでもないことになるんですよ。ね、先生!」

弥子「はい、そうなんです……」

笹塚「ふーん、大変だな」

笹塚「あ、そうだ。俺はここで待ってるから、何かあったら呼んでくれ」

弥子「え? 笹塚さん来てくれないんですか?」

笹塚「……病院内を警察がうろちょろしてっとさ、来院者が不安になるんだよ」

笹塚「正式な出動でもないし、あんま出しゃばったマネはしない方が……な」

弥子「そうですか……じゃあ、終わったら呼びに来ますね」



弥子「……ところで、ネウロ。関係者のひとは集めなくていいの?」

弥子「とりあえず、上條さんは病室にいると思うけど、他の人は?」

ネウロ「問題ない。すでに来ているようだ」

弥子「来てるって……アンタが呼んだの?」

ネウロ「いや、偶然だ。好都合だな」

弥子(ホントかなぁ……)


上條恭介の病室前

マミ「どうしてあなたがこの町にいるのか、教えてくれるかしら、佐倉さん?」

杏子「あんたこそ、この病院に何の用だよ? 魔女と戦って怪我でもしたのかい?」

マミ「あたしはお見舞いに来た後輩に付き添ってきただけよ」

杏子「後輩? 戦ってばっかりの魔法少女に、学年違いの付き合いがあったなんてねぇ」

杏子「同年代の友達もいないと思ってたよ……いや、だから目下の人間と付き合ってんのか?」

マミ「人のこと言えた立場じゃないでしょうに……家無しが」

杏子「……喧嘩売ってんのか、テメェ」

マミ「そう聞こえた? そんなつもりじゃないんだけど……」

マミ「気に入らない格下魔法少女と話してると、つい刺々しくなっちゃうのよ」

杏子「……勝てるとでも思ってんのかよ、この間合いで」

マミ「……私が遠距離攻撃しかできないと思ってるなら、それは大きな間違いよ」

杏子「そうかい……だったら見せてもらおうかなぁ」

マミ「ここでやるつもり?……私も構わないけどね」


ネウロ「これはこれは、巴さん! そしてあなたが佐倉さんですね!」


杏子「ああ? 誰だテメェ……って、後ろのアンタは昨日の探偵じゃねぇか」

弥子「また会ったね、昨日はリンゴ全部食べちゃってゴメン」

弥子「今日はどうしたの?」

杏子「……屋上を見に来たんだよ。昨日は下から見ただけだったからな」

弥子「……そっか」



マミ「ネウロさん……? この病室の患者に何か用事ですか?」

ネウロ「そんなところです。ところで、今日は鹿目さんとご一緒ではないのですか?」

マミ「鹿目さんなら、この中に。同級生の……志筑さんだったかしら?」

マミ「彼女と病院前で会って、2人で上條さんをお見舞いしています」

マミ「私は彼と直接面識があるわけでもないんで、こうして待ってるんです」

杏子「で、そっちの男は誰なんだ?」

弥子「ああ、こいつは助手の」

ネウロ「脳噛ネウロと申します!この名探偵、桂木弥子先生の助手を勤めさせていただいております!」

ネウロ「昨日は食い意地の張った先生に、リンゴをお分けくださいましたそうで、誠に感謝しています」

ネウロ「ほら、先生。佐倉さんに感謝のジャンピング土下座を、さあ早く!」

杏子「いや、土下座とかそういうのはいいから……」

マミ「へぇ、その方が噂の名探偵さんなのね」

弥子「桂木弥子です、どうぞよろしく……」

弥子(なにこの胸、ホントに中学生?)

ネウロ「そうだ、丁度皆さん揃っていらっしゃるようですし」

ネウロ「お二人にも同席していただいてはどうでしょうか、先生?」

マミ&杏子「「同席?」」

弥子「ちょっと、ネウロ、何勝手にモゴ」

ネウロ「そうと決まればさぁ入りましょう。上條さーん、失礼しますよ」

上條「あれ、桂木さん?」

まどか「ネウロさん?」

仁美「ちょ、ちょっと、こんな大人数で……」

ネウロ「志筑さん、上條さん、お初にお目にかかります」

ネウロ「私、こちらの桂木弥子先生の助手を勤めさせていただいております、脳噛ネウロと申します」

恭介「はぁ、助手……ですか」

仁美「桂木さん? こんな人数で一体何の用事ですの?」

弥子「ホントすみません、時間は取らせませんから……」



まどか(マミさん、その子は?)

マミ(……佐倉杏子。隣町の魔法少女よ)

杏子(んだよ、後輩って魔法少女の後輩かよ)

マミ(鹿目さん、彼女には気を許しちゃ駄目よ)

杏子「……チッ」

ネウロ「先生の用事はひとつ」

ネウロ「美樹さやかさんを殺害した犯人が分かったことをお伝えに参りました」

杏子「なんだと?! 誰なんだソイツは!」

恭介「まさか、本当に?」

仁美「そんな、他殺って根拠もないのに……」

まどか(ひょっとして、この中にいるの?)

マミ「……詳しく説明してくれるんでしょうね?」

キュゥべえ(やれやれ、まどかに付いてきたら、またこの男……)

キュゥべえ(一体何を考えているんだ? 仕事じゃないのか?)

ネウロ「勿論説明させていただきますよ、巴さん」

ネウロ「ですが、その前に……あなたも入ってきたらどうですか? 暁美ほむらさん?」

まどか「えっ、ほむらちゃん?」

ほむら(気付かれた?! あの男の視野には入らないようにしていたのに?!)

ほむら「あなた……ホント何者なの?」

恭介「な、誰だよ君は! なんで窓から……ここ10階なのに……」

マミ「……何してたの、暁美さん?」

ほむら「キュゥ……あいつを追っていただけよ」

仁美「どうして、あなたまでここにいるの……ワケが分かりませんわ」

ネウロ「さて、これで関係者は揃いました」

杏子「おい! ならとっとと犯人を教えろ! 誰がさやかを殺したんだ!」

ネウロ「それは先生の口から教えていただきましょうか」

ネウロ「さ、いつものように、その指で犯人をお示しください……」

ネウロの瞳が妖しく輝き、弥子の指が動きだす。



弥子「犯人は……お前だ!」



弥子の指は上條恭介を指していた。

恭介「……えっ、僕? 冗談でしょう?」

ネウロ「いいえ、あなたが犯人です。先生の目は欺けませんよ」

仁美「そんな……ありえませんわ! なんの根拠が」

まどか「まぁまぁ、落ち着いて仁美ちゃん……」

恭介「まさか、僕が疑われるなんてなぁ」

恭介「……まず、さやかは自殺ではない、という根拠から教えてくれませんか?」

ネウロ「ええ、それは僕から説明させていただきます」

ネウロ「ここの屋上から美樹さんは飛び降りたとされています」

ネウロ「その場所に、飲食物や故人の持ち物が供えられていますね?」

ネウロ「そのひとつにCDがありました」

ネウロ「両親に伺ったところ、そのCDはさやかさんの死後、届けられたものだそうです」

弥子(いつのまに、両親のとこなんて行ったのよ……)

ネウロ「気になって調べてみたところ、そのCD、既に廃盤になっている貴重なものでした」

ネウロ「現在は3万円前後で取引される代物だそうです」

ネウロ「誰から届けられたのか、これも調べてみました」

ネウロ「美樹さんはどうやらネットオークションでそれを落札していたようです」

ネウロ「以前にもオークションでそういったCDを購入した履歴が残っていましたから、間違いないでしょう」

杏子(じゃあ、さやかはCD買うためにあんな稼ぎ方してたってことか……)

ネウロ「……その入金がされた日付は、彼女の死亡した日です」

マミ「……つまり、自殺する人間が、わざわざ代金の支払いをしているのは不自然だと、そう言いたいのね?」

ネウロ「仰るとおり。これが美樹さんは自殺ではないという根拠です」

恭介「……まぁ、納得できなくもない理由です」

恭介「他殺だというのは認めましょう、でもですよ?」

恭介「さやかを屋上に呼び出して突き落とすなんて、誰でも出来たんじゃないですか?」

ネウロ「いえ、美樹さんが地面に叩きつけられた時間、他の人たちにはアリバイがあります」

恭介「……なら教えてくださいよ」

ネウロ「まずは、鹿目まどかさん」

まどか「は、はい!」

ネウロ「伺っていたCDショップで確認してきました」

ネウロ「店員は覚えていませんでしたが、監視カメラにはしっかりと写っていました」

まどか「……よかったぁー」

ネウロ「次に、志筑仁美さん」

仁美「私なら、あの日は――」

ネウロ「先生から聞きました。茶道を嗜んでおられるそうで」

ネウロ「『全然成ってないって、このところ毎日特訓』だそうですね?」

仁美「……その通りです」

ネウロ「茶道教室に確認しました。あなたは確かに美樹さんが亡くなった日、茶道教室に行っていた」

ネウロ「どんどん行きましょう、次は佐倉杏子さん」

杏子「……あたしはアンタにも探偵にも、あの日の行動なんて話してねーぞ」

ネウロ「ええ、ですが、知り合いのガラの悪いチンピラに聞きました」

ネウロ「あなたは3日前、ひとりの男を靴下だけの状態にして放置したでしょう?」

杏子「あー……確かにそんなこともしたな」

マミ「あなた何やってんのよ……」

仁美「野蛮ですわ」

杏子「うっせー、色々事情があんだよ」

ネウロ「男の消息が絶えたのが丁度、午後5時前後だったという証言が得られています」

ネウロ「あなたはその頃に身包み剥いでいたんでしょう? アリバイ成立です」

ネウロ「……さて、巴さんと暁美さんはアリバイがないと言われていましたね」

マミ「ええ」

ほむら「その通りよ」

ネウロ「あるじゃないですか、教えてくださればよかったのに」

マミ「……えっ? まさか」

ネウロ「カラオケ店の店員がよく覚えていましたよ」

ネウロ「見えないペットでもいるかのように、虚空を撫で回しながら来店した、金髪をロールさせた中学生のことを」

マミ「なぁっ……!」

ネウロ「4時から6時の約2時間。ひとりで熱唱していたそうじゃないですか」

マミ「そそそそんなこと……」

まどか(ひとりカラオケとかちょっと引くわぁ)

杏子「……やっぱ友達いねーんだな」

マミ「うっさいわよ! あなたに何が分かるのよ!」

マミ「アヤの曲はひとりで歌ってこそ、盛り上がるのよ!」

まどか(ひとりじゃ盛り上がるも盛り下がるもないと思うけど……)

キュゥべえ(あれは辛かったなぁ……僕にまで歌わせようとしてくるし)

ネウロ「これで巴さんのアリバイも成立です」

ほむら「よかったわね、巴マミ」

マミ「良かないわよ……」

ネウロ「最後に暁美ほむらさん」

ほむら「……」

ネウロ「美樹さんが亡くなった時間、あなたも鹿目さんと同じCDショップにいましたね?」

ほむら「……ええ」

まどか「そうなの?」

ネウロ「あなたは徹底して鹿目さんの視野に入らないようにしてようですね」

ほむら「………………ええ」

ネウロ「そればかり気にして不審な動きになっていたあなたの姿、店員の印象に強く残ったそうですよ」

ネウロ「その後も、鹿目さんの行く先々であなたの目撃証言が得られました」

ネウロ「これはこれで犯罪の匂いがしますが、美樹さやかさん殺害の方はアリバイ成立です」

まどか「ほむらちゃん……何してたの?」

仁美「ストーカーですわ。恐ろしい」

ほむら「違うわよ……違うのよ……そんなんじゃ……」

ネウロ「これであなた以外の人間にはアリバイがあると納得していただけますね?」

恭介「……アリバイに関してはね」

恭介「でも、やっぱり僕には不可能ですよ」

ネウロ「ほう、というと?」

恭介「屋上を見たなら分かるでしょう? 屋上の端にはそれなりの高さの段差があります」

恭介「そこから1m手前にフェンスがあって、そのフェンスに穴が開けられていた」

恭介「フェンスの外に無理やり押し出すことが出来たとしても、すぐに落下するワケじゃない」

恭介「僕は移動の際、車椅子を使ってますから、あの程度の穴では通り抜けられません」

恭介「だから、そこからさらに突き飛ばすことは出来ないんですよ」

恭介「もちろん、フェンスの内側から突き飛ばすなんてことも不可能」

仁美「そ、そうですわ! 上條さんには不可能だったん」

ネウロ「いいえ、可能です。実際にあなたは美樹さんを突き落として殺した」

恭介「だから、それは屋上の端を見れば……」

ネウロ「しかしそれは、屋上からではありません」

恭介「……!」

ネウロ「この病室は地上10階。人が死ぬには十分な高さです」

マミ「まさか……」

ネウロ「……この部屋の窓から落としたのでしょう?」

ネウロ「あなたはまず、自分の部屋の丁度真上にあたる場所のフェンスに穴を開けた」

ネウロ「それから美樹さんを病室に呼び出し、適当な理由をつけて窓の外を見るように頼んだ」

ネウロ「あなたのベッドは窓際ですし、高さも窓の高さとほぼ同じ」

ネウロ「美樹さんは言われたとおりに、窓の外を見ようとベッドに乗り上げた」

ネウロ「身を乗り出して、窓の外に注意を向けている女の子を突き落とすぐらい、怪我をしていても容易いでしょう」

ネウロ「あとは美樹さんがベッドに乗った際に脱いだ靴を、フェンスの穴の前に揃えて置いておく」

ネウロ「……これであたかも屋上から飛び降りたかのような死体の完成です」


3日前

上條恭介の病室

さやか『おいーっす。どうしたのー、恭介の方から来てくれなんて珍しいじゃん』

さやか『あれ、車椅子なんか座っちゃって、どっか行きたいの?』

恭介『いや、さやかを呼んだのはそのことなんだけど……この部屋を覗いてるやつがいるんだ』

さやか『えー、何それ。どこからよ?』

恭介『ほら、あの煙突の横にマンションがあるだろ?』

さやか『えーっと……ああ、あるね』

恭介『そこの屋上から望遠鏡を使ってこっちを覗いてるんだ、なんか気味悪くて……』

さやか『んー、今はいないみたいだけど……』

恭介『もっとよく探してみてよ』

さやかは靴を脱いでベッドに乗りあがった。
 
さやか『……やっぱ、見当たらないなぁ、見間違いじゃ、って恭介?』

いつのまにか、恭介もベッドの上にいた。

さやか『え、恭介? なんか2人でベッドの上って……ちょっと恥ずかしいなぁ、あはは』

恭介『……』

さやか『恭介? ちょ、危ないって、恭』

ドンッ

美樹さやかは背中から落ちていった。

恭介「……証拠は?」

ネウロ「この部屋の外、真下の辺りにペンチが落ちていました」

ネウロ「フェンスを切断するのに使ったものですね? 警察が引き上げた後に捨てたのでしょう?」

ネウロ「調べれば、あなたの指紋が採取できるはずです」



その瞬間、恭介の体からネウロの主食たる悪意のエネルギーが溢れ出した。

ネウロ(――いただきます――)バクン

キュゥべえ(今のは……! まさかあの男……!)



仁美「そんな、まさか、上條さんが……」

まどか「恭介くん……?ホントに……?」

恭介「…………さやかはさ、僕をいじめてたんだ」

恭介「バイオリンを引けなくなった僕に、いつもいつも引けもしない音楽なんか聞かせて……」

マミ「それが……返って辛かったのね……」

恭介「あんな音楽で……あんな僕の足元にも及ばない雑音みたいな演奏を聞かせて……」

ほむら(……上條恭介の様子が変わった?)

恭介「さやかはさぁ!あんなCDが僕の演奏の代わりになると思ってたんだよ!」

恭介「この天才バイオリニスト、上條恭介の演奏を!あんな雑音と同評価だと!」

恭介「ホントうざいったらなかったよ、音楽の良し悪しが分かんない凡人の相手はさぁ!」

弥子(なんて……なんて高慢なの……私の知ってる天才は、少なくともこんな人じゃなかった)

恭介「だから、絶対手に入らないようなプレミア付きのCD持ってきてって言ってやったのさ」

恭介「……なのに毎回見つけてきてさ。もう来んなって意味で言ってんのに……」

杏子「テメェ……そのCD、さやかがどんな思いで買ったと思ってんだ!その金を稼ぐためにさやかはなぁ!」

恭介「そんなこと知ったことじゃないよ、僕のご機嫌でも取ろうと思ってたんじゃないの?」

杏子「さやかは……こんな奴のために……クソッ!」

恭介「こんなやつとはヒドいなぁ、僕はさやかの思い上がりを正そうと思っただけだよ」

弥子「……思い上がり?」

恭介「そうさ、何の取り柄もないさやかが、僕と対等に付き合えるワケないだろ?」
          オモイアガリ
恭介「そんな夢みたいな思い上がりしてたからさぁ、まずその 幻想 をブチ殺そうと思ったんだよ」

ほむら「……ワケが分からないわ」

恭介「……太陽に近づこうと飛び上がったイカロスは海に落ちた」

恭介「なら、僕に近づけると思い上がったさやかは地に落ちてしかるべきだろ?」

マミ「それで、突き落としたのね……私の後輩になるはずだったのに……」

弥子「あなたは……さやかさんの気持ちを理解しようとは思えなかったんですか?」

恭介「思ったことはあるさ、でも無理だね。凡人の気持ちってのはどうも理解できない」

ネウロ「そうですか。確かに天才バイオリニストのあなたには、周りの人間は遠すぎるんでしょうね」

恭介「助手の君はよく分かってるじゃないか、そう、遠すぎるんだよ。まるで世界が違う」

ネウロ「ではまず、手近なところから理解できるようしてみてはいかがでしょう?」

恭介「手近なところ?」

ネウロ「例えば、そう、あなたにとって相棒とも言える……バイオリンの気持ちとか」

恭介の頭に、ネウロの手が伸びる。
               イビルストリンガー
――魔界777ッ能力『拷問楽器「妖謡・魔」』――

コウモリのような楽器が、恭介の神経を引きづりだし、掻き鳴らした。

恭介「ギィイアアァァアアアァァアアアッッ!!!」

仁美「か、上條さん?! どうしましたの! 上條さん?!」

恭介「あ、ギ、ウワァァァアアアァァアァァッ!」

まどか「うるさいなぁ」(ボソッ

マミ「……ナースコール押した方がいいんじゃない?」

仁美「それですわ! あ、あれ? ナースコールが反応しない?!」

杏子「不思議なこともあるもんだねぇ、日頃の行いが悪かったんじゃねーのぉ?」

ほむら(……あなた、さっきコードを切ったでしょう?)

杏子(あんたも同業者だったのかい)

杏子(へっ、いい気味だと思わないか?)



キュゥべえ(やっぱり間違いない……どうしてあの存在がこの世界に……)



弥子「ちょっと、ネウロ……どう収拾つけんのよ、これ」

ネウロ「我輩が知るか、あの刑事でも呼んできたらどうだ?」

弥子「あっ、そうか……戻ってくるまでにあの楽器外しときなさいよ」



ネウロ「それにしても……天才バイオリニストでも、この絶叫の調べは凡人と同じだな」

恭介「が、アァァア、ガアァアァ……ギャアァアァアアッ!!!」



笹塚「ああ、大体話は分かった。でも逮捕できんのは明日以降だな」

弥子「どうしてですか?」

笹塚「現行犯じゃないから逮捕状取らなきゃなんないし……」

笹塚「犯人が入院中だから……どうすりゃいいんだったかな」

笹塚「まあ、笛吹の奴に聞きゃ分かるか……お手柄だな、弥子ちゃん」

弥子「はい、ありがとうございます」

笹塚「それで、そっちの5人が関係者か……調書取らないとな」

笹塚「……事後処理は任せてくれていいよ、お疲れ様」

ネウロ「では、我々は引き上げます! 不明瞭な点があればすぐに参りますので!」

笹塚「おぅ、じゃあな」



弥子「天才バイオリニストか……思い上がってんはどっちだっつーの」

弥子「……あれ? ネウロ?……どこ行った?」



ネウロ「……そこにいるのだろう? インキュベーター」

キュゥべえ「……やっぱり、僕のことに気付いていたんだね」

ネウロ「突然、魔界に現れ宇宙のエネルギーがどうのと言っていた貴様らのこと、よく覚えてるぞ」

ネウロ「魔界では、低級な魔人どもに『食っても減らない非常食』として人気者だった貴様らが、なぜ人間界にいる?」

キュゥべえ「君たち魔人は僕らのことをそんな風に思っていたんだね……」

ネウロ「こそこそ付いてきたのは、我輩に何か用があるのではないのか?」

ネウロ「さっさと用件を言え」

キュゥべえ「つれないなぁ、僕と君は似たもの同士じゃないか」

キュゥべえ「僕たちは魔法少女の絶望からエネルギーを得る」

キュゥべえ「君は人間の作る謎を解き、そして悪意のエネルギーを得る」

キュゥべえ「魔人の中でも特異な君の代謝機能は、とても興味深いものだ。ぜひとも解明したいな」

ネウロ「……失せろ、感情のない貴様らは痛めつけても面白くない」

キュゥべえ「怖い怖い。それじゃ退散するとしようかな」

キュゥべえ「あぁ、最後にひとつだけ聞かせてよ」

ネウロ「……なんだ?」

キュゥべえ「君はどうしてこの世界に来たんだい?」

ネウロ「知れたこと、我が脳髄の空腹を満たすためだ」

キュゥべえ「……脳噛ネウロ。君はまったく恐ろしい存在だね」

キュゥべえ「食欲のために、世界を超えてくるとは……」

キュゥべえ「君はとても興味深い存在だけど、その底知れなさはリスクが大きすぎる」

キュゥべえ「やはり君には近づかない方が良さそうだ。もう二度と会わないよう祈ってるよ」

ネウロ「……まったく、不愉快なものに会ってしまったな」

弥子「あっ、いた。どこ行ってたの、ぐへっ!」

ネウロ「弥子よ、帰ったら我輩のストレス解消に付き合え」

弥子「なんで、私いきなり殴られてんの……?」

ネウロ「拒否できると思うなよ、チビゴミムシ」

弥子「昨日より罵倒が酷くなってる気がする……」



弥子(……そういえば、巴さんがカラオケ店に行った時の話……)

弥子(『見えないペットでもいるかのように』ってどういうことだったんだろ?)

弥子(吾代さんから聞いた杏子ちゃんの被害者のうわ言、『変身』っていうのも変だし)

弥子(もっと変なのは10階の病室に窓から入ってきた暁美さん……)

弥子(なんか釈然としないことが残ってるけど……ネウロがいいならそれでいっか)



――終――




182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 18:49:01.12 ID:uq82auni0
ごちそうさまでした。

オマケ書きます。


183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 18:50:00.30 ID:uq82auni0
桂木弥子魔界探偵事務所?

弥子「……事務所がお菓子まみれなんだけど、この改装はあんたがやったの?」

ネウロ「いや、この空間はどうやら何者かの結界のようだ」

弥子「何者かの結界って、ひょっとしてアンタの知り合い? 他にも魔人が来てるの?」

ネウロ「違うな。たぶん見滝原市で拾った魔力の塊が原因だろう」

弥子「はぁ? 何でそんなもん落ちてるのよ、そして何で拾ってくるのよ」

ネウロ「魔力の備蓄になると思ったのだがな……思ったより安定していなかったようだ」

ネウロ「そのせいで、こうして溢れた魔力が結界を構成している」

弥子「よく分かんないけど……このお菓子食べられるかな」

ネウロ「おそらく、結界の最深部にその何者かがいるはずだ」

ネウロ「そいつを消せば、この結界も消えるだろう」

弥子「ふーん、消えちゃうんだ……あ、これおいしい」

ネウロ(事務所をこんなことにされては客が来れないではないか)

ネウロ(魔力が溢れているのは1つだけか……あとの2つは廃棄だな)

ネウロ(今思えば、あれは卵のようなものだったのかも知れんな)

弥子「このクッキーもいける……あっちのドーナツもおいしそう……」

ネウロ「おお、弥子。パイもあったぞ、食うか?」

弥子「食べる食べる……ちょ、何構えて、ぶへっ!」

ネウロ「どうだ、うまいか? まだまだあったぞ、遠慮するな」

弥子「投げつけないでよ、もったいないなぁ……ああ、これもおいしい」

弥子「ネウロ、ここって天国なんじゃない?」

ネウロ「アホか、さっさと結界の主を叩くぞ」

弥子「はいはい……あ、ペロペロキャンディもらい」


結界最深部

開けた場所の中央、高い椅子にシャルロッテが座っていた。

弥子「……あのぬいぐるみみたいなのが結界の主?」

ネウロ「ああ、間違いない。魔力をひしひしと感じるぞ」

弥子「ずいぶん可愛らしいね……お菓子はあの子が作ってるのかな」

ネウロ「結界内の物はそうだろうな」

ネウロ「さて……そのキャンディを寄越せ」

弥子「あ、ちょっと……まあ、いっか。こっちのケーキ食べよ」

ネウロ「迂闊に近づくと何があるか分からんからな……」

ネウロはキャンディをシャルロッテに向かって投げつけた。

魔人の豪腕から放たれたキャンディはたやすくその体を貫いた。

弥子「あれ、案外あっけない……ッネウロ!」

シャルロッテの本体がぬいぐるみのような体から吐き出され、ネウロに迫った。

ネウロ「……これでも『食らえ』」
                   ・・
が、ネウロは一瞬早くシャルロッテの口にそれを放つ。

           イビルバジャー
――魔界777ッ能力『生まない女王様』――

弥子「ネウロ、大丈夫……みたいね」

ネウロ「無論だ、だまし討ちしか能のないような奴に我輩が負けるか」

弥子「……で、あれは何してるの?」

シャルロッテはあたりのお菓子を血走った目で一心不乱に食べ続けている。

ネウロ「いつかのアメリカ人に使ったのと同じものだ」

ネウロ「特定の食べ物を食べ続けない限り、苦しみ続ける」

ネウロ「今使った蟲も納豆が好物のはずだからな」

ネウロ「お菓子しかないこの結界では、あの苦しみは――」

弥子「……でも落ち着いたみたいだよ?」

ネウロ「何?」

シャルロッテはいつのまにかぬいぐるみの姿に戻っていた。

その姿でひたすらお菓子を口に運んでいる。

ネウロ「馬鹿な、こいつお菓子以外にも作り出せるのか」

弥子「……いや、お菓子しか作れないみたいだよ」

弥子「……納豆おこし食べてる」



その後、無害化したシャルロッテは弥子の意向により、事務所で飼われることになった。

結界はネウロが力技で粉砕した。シャルロッテが結界の外にいられるのもこの事務所だからだそうだ。

魔人がいて、壁に埋まった死体がいて、2人の人間の死に関わったデスクのあるこの事務所は、

すでにあの結界のような人外魔境になっているらしい。

シャルロッテは今でも納豆おこしを食べ続けている。

その納豆おこしが非常に美味、というのは食いしん坊探偵、桂木弥子の感想である。



――終――




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