唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」 第二十五話 思惑! それは、わかりあえない気持ちなの?

2011年09月28日 19:45

唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」

193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [saga]:2011/06/22(水) 16:27:37.80 ID:290dlkr60

 第二十五話


 ホワイトベース 食堂

シノ「…………」

 小難しい顔をしてクッキーをつまんでいるのはドラグナー1型のパイロット、天草シノだ。

アリア「やっぱり、気になっちゃうの、シノちゃん?」

シノ「あ、あぁ、アリア……」

 要領を得ない回答をするシノに、珍しく七条アリアも卑猥な発言は控える。
 普段なら唇を噛むだけでアレの日を疑うが、やはり環境は性格に深く影響を与えるのだと萩村スズは肯いた。

スズ「たしかに、追跡は逃れたといっても、反乱軍の実質的な首魁ですからね。連邦軍もこのまま見過ごすことはないはずですね」

 話題はやはりギガノス帝国の〝蒼き鷹〟ハルヒ・スズミヤ・プラートとその仲間達である。

シノ「逃走ルートから計算するとサイド6に向かっているらしい」

スズ「私たちの行き先とは逆方向ですね」

 ホワイトベースは月から発進し、サイド4テキサスを通ってからジオン公国の攻撃拠点ソロモンへ向かう。

 ギガノス殲滅の作戦名・星光と同時且つ極秘に発動されたチェンバロ作戦の概要は以下の通りだ。

 1.対ギガノス艦隊から分離した突撃部隊がキシリア・ザビが指揮する月面基地グラナダを攻撃。

 2.レビルの影武者がグラナダ接収宣言と同時に名称をF.S<ファースト・ステップ>と変更する式を行い、注意をひきつける。

 3.これら主力の三分の二を使った陽動の間にティアンム指令率いる第二艦隊を密かにサイド1に集結。

 4.レビル将軍は自ら第一艦隊でサイド2に駐留してソロモンに対して陽動作戦を展開する。

 5.作戦名・星光の終了後、第三、第四艦隊はテキサスゾーンを抜け、サイド4からソロモンへ出発、更なる陽動をかける。

 6.徹底的な陽動作戦に隠れた第二艦隊はサイド1からソーラ・システムによる攻撃を行い、ソロモン防衛網を突破する。

 ハルヒたちが逃げたとされるサイド6はサイド1と近接している為、追撃の手はそう長くは及ばないだろう。
 下手をすればジオンに第二艦隊の存在を気取られてしまう。

 おそらく、サイド6から先、ハルヒたちの居所は全く分からなくなってしまうだろう。

スズ「まさかとは思いますけど、追いかけるつもりじゃないですよね?」

シノ「そんなことはしないさ。見てくれ」

 顎を上げたシノの襟には青地に白い一本線に加え、金色のひし形がついている。

シノ「私は少尉になったんだ。これで退役するには二ヶ月の申請期間が必要になった」

アリア「向こうからは早いのに、こっちからは遅いのね」

 この昇進はドルチェノフ打倒を評価されての事だが、ハルヒと懇意していると見られたシノを足止めする為であることは明白であった。

スズ「勝手に飛び出せば命令違反で軍法会議ですからね」

シノ「あぁ、だから少尉であることを利用することにした」

アリア「利用?」

シノ「うむ、民間協力者とそう変わらない准尉から正式な士官になったことで、月ぎめの給料が貰える様になった。私はこれで人を雇おうと思う」

スズ「なるほど、それでその人たちに涼宮さんたちを追いかけてもらうんですね」

シノ「その通りだ」

スズ「でも、誰を雇うんですか?」

こなた「そーれはわたしたちだーにゃー」

スズ「こなたさん!? ってことは、J9を?」

シノ「そうだ」

かがみ「あたしたちも動向は気になるからね。格安で引き受けたわ」

シノ「それでも、給料二年分の前借りだが」

スズ「二年って……会長、二年間、軍にいるつもりですか?」

シノ「えっ?」

スズ「いや、だって、そういうことじゃないですか……」

シノ「しまった……そういえばそうだったな……」

かがみ「まあ、ウチとしてはお金を払ってもらえれば、軍の給料じゃなくてもいいんですけど」

シノ「それなら、終戦したらアリアの会社で働かせてもらおうか」

アリア「でも……それだったら最初からウチに言ってくれればよかったのに」

シノ「…………」

 七條家は大金持ちだった。

シノ「生徒会長には……自腹を切らねばならん時があるんだ」


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 ホワイトベース 艦長室

シノン「秘密の話とは何かしら?」

 この部屋にシノンが来ることは稀だった。
 いつでも人手不足のホワイトベースで一番、数が足りないのが隊長で、シノンは海晴と交代でブリッジと格納庫を見ている。

アムロ「は、はい、ガンダムの戦闘データで相談に乗ってほしいんです」

 がちがちに緊張してアムロがシノンの前に立つ。
 始めは椅子に座ったシノンだが、座り慣れていないので、すぐに立ってコーヒーを注ぎ始める。

シノン「あなたもいかがかしら?」

アムロ「い、いえ、いいです」

 大戦初期に戦力の大部分を失った今の連邦では、女性士官<ウェーブ>の占める割り合いは三分の一以上である。
 制服はピンクの色で短いスカートにタイツのようなパンツ――ナイーブな十五歳にはむしろ辛いものだ。

アムロ「ガンダムにはこれまで三人の人が乗りました。他にも、ギガノスとの対決でモビルスーツ・ジムの戦闘データもたくさん手に入りました」

 最初にアムロが見せたのはすずか、アリサ、アレイのデータとジム・パイロットのデータの平均データだった。

シノン「やっぱり、すずかちゃんが抜きん出ているわね」

アムロ「は、はい、そうです。サイド7脱出時のデータから見ていくと、物凄いスピードで成長しています」

シノン「でも、これはモビルスーツ同士の戦闘が少なかったからこそのものだと思うけれど?」

アムロ「それが……見てほしいのはこっちなんです」

 次に表示されたものを見るのは初めてだった。
 モビルスーツの模擬戦<シミュレーター>のソフトデータである。

アムロ「これは、ジャブローまでのすずかさんの戦闘データを元に作られたものなんです。今の連邦軍では、戦闘の基準が全てこのすずかさんのデータに集約されています」

シノン「連邦兵の目標といったところね」

アムロ「そうなんです。それで、さっきはジム・パイロットの平均を見せましたけど、今度は全パイロットから計測された数値で最高のものを見てください」

 推力調整、操作技術、判断力、把握力、適応力、実行力――機動兵器パイロットの要素がラインナップされている。
 平均から大幅に上回っているものもあれば、それほど推移のないものもある。

シノン「7:3でシミュレーター<すずかちゃん>の勝ちね」

 例えば、自分はおろか相手との安全性まで図るために、実行力や判断力ではやはりベテランの兵士が勝るが、それ以外ではすずかが圧倒的であった。
 ただ、これらの要素ならばエースの海晴や霙も充分にあるので、取り立てるようなことではないはずだ。

アムロ「先ほども言いましたけど、それはジャブロー……つまり地上での戦闘データが中心になって出来たデータです。そして、これが宇宙に再び上がってからのデータになるんです」

シノン「これは……」

 今度こそ、シノンは目の色を変えた。
 宇宙に出てからの戦闘――地球を起ってからすずかは三度の出撃があった。

 その時から、戦闘データの伸びが地上にいたときよりも遥かに上昇している。
 特に、空間把握能力と環境適応力は以前のものとは比べ物にはならないものになっている。

シノン「たしか、新たな模擬戦データ構築の為に、宇宙戦のデータ提出を要求されていたわね」

アムロ「はい、それで、テストタイプを作ったんですけど……」

 すっかり技術者の顔つきになってアムロが大型モニターにシミュレーションを展開した。

アムロ「相手はジム・パイロットの最高データから構築したプログラムです。互いの行動開始時間は全てデータに残ります」

シノン「……マイナス、ね」

アムロ「そうなんです。ジムが攻撃に移ってからすずかさんへ照準を移動していく間――すずかさんはセンサーがそれを認識する前に回避行動を開始しているんです」

シノン「つまり、すずかちゃんは敵を見る前に発見しているということ、かしら?」

アムロ「あ、あと、これは……すずかさんから内緒で聞いたんですけど……」

シノン「あら、もうそんな仲なのね」

アムロ「か、からかわないでください……」

シノン「そうかしら? それで、報告したい内緒ごとって何かしら?」

アムロ「はぁ……すずかさんがホワイトベースの主砲を撃ったときのことです」

シノン「敵のモビルアーマー、だったっけ? それを撃墜したときのことよね」

アムロ「はい、すずかさん、その時、聞いたそうなんです……」

シノン「なにを?」

アムロ「て、敵の声、です……」

 沈黙の時間はシノンが目をつむり、コーヒーを飲む数秒分だった。

シノン「技術者とは思えない、非現実的な話ね」

アムロ「あ、あの時のすずかさんは嘘なんてつける状態じゃないです……」

シノン「妄想、ということもあるわ」

アムロ「は、はい……」

シノン「あなたが何かを私に伝えたいのはわかるわ。すずかちゃんの能力に、性能や技術では片付けられない場面があることは艦長の私が一番よく知っているから」

アムロ「そ、そうですか……」

シノン「例えば、ギルガザムネから発射された巡航ミサイルの迎撃――ホワイトベースのAMMはペガサスの演算能力を利用して狙いをつけるのだけど、ガンダムにはそんな精密射撃の能力はないの」

アムロ「だけど、すずかさんは全弾、命中させていたんですよね」

シノン「そうよ、八回も」

 まるで狙撃兵のような射撃を重いだけのハイパーバズーカでやってのけたのだ。

シノン「聞こえるはずのない敵の声を聞いて、当たる確率の低い射撃を全て当てた――まるで超能力者ね」

 そして今、地球圏に住む人はそんな人物に対する言葉を用意していた。

シノン「――ニュータイプ……か」

 その呟きに少年アムロは屹立した。

アムロ「す、すずかさんがそうだとしたら、上層部の人たちが……」

シノン「いえ、たぶん、あなたが心配しているようなことにはならないと思うわ」

アムロ「そ、そうですか」

シノン「このホワイトベースは、とっくの昔からニュータイプの実験場になっているのだからね」

 それはおそらく、ホワイトベースがジャブローを起ってから――いや、サイド7でガンダムとドラグナーが起動したときから決定していたことだ。

 少女ばかり、新鋭機ばかりの部隊。
 それが地球連邦第四艦隊第十三独立遊撃部隊ホワイトベース。

 出立前、部隊編成に尽力した一人、天使美夜はシノンに言った。

美夜『ペガサスって、オトメの象徴なのよ。たくましい真っ白いノアの方舟が選ばれたSpace Guardian Girl's Projectのかわいい私の娘達を守ってくれるの――きゅん』

シノン「――……ところで、次の偵察はすずかちゃんたちだったわよね?」

アムロ「はい、キリノさんとタマキさんの後です」

シノン「とりあえず、模擬戦のデータは送らなくていいわ。私のほうでごまかしておくから――代わりに、偵察の記録はあらゆる方向から観測しておいて、それを全部私に提出して」

アムロ「りょ、了解しました」

 さぁ、また忙しくなる――アムロが振り返った途端、艦長室が開いて甲高い声が響いた。

立夏「うわーん! ヤダヤダーッ! 絶対イヤーッ!」

アレイ「こら! 暴れるな!」

霙「いい加減、観念しろ、立夏」

立夏「イヤーッ! 三日間オヤツ抜きだけでも耐えられないのに一週間なんて絶対イヤーッ!」

霙「仕方ないだろ、それがイヤなら独房に入れられるんだぞ」

立夏「アンナトコもっとイヤーッ!!」

シノン「……また、勝手におやつ食べたのね」

 さぁ、また忙しくなる――シノンはこめかみを押さえて頭痛を堪える仕草をした。


 ホワイトベース 周辺宙域

 直径二キロほどの岩を潜り抜けながら、ダンバインはホワイトベースの進路予定コースを確認していく。
 行きで確認したものをもう一度見るだけなので、変わり映えのしようのないものに、安堵する。

紀梨乃「タマちゃーん、そろそろホワイトベースに到着だよー」

 岩を飛び越えてさらに一キロ離れた場所にいるボチューンからの通信。
 この辺りはミノフスキー粒子が濃い上に、ルウム戦役で破壊されたコロニーの残骸があって、通信が撹乱されやすい。

珠姫「……いる」

 通常のレーダーとは別物のオーラのアンテナを張っていた珠姫が呟き、ダンバインを下に向けた。

チャム「いるって、敵?」

珠姫「うん……」

 同乗しているチャム・ファウに頷き返して珠姫は別の岩に取り付く。
 人が通った痕跡――機動兵器の操縦には人体の観測できないオーラ力が発散される。

 特に、宇宙に出てから、それを敏感に察知することが珠姫には出来るようになっていた。

 もちろん、誰にも出来るようなことではなく、ダンバインに積まれている試作型オーラコンバータにオーラ力を増幅する作用があるから発揮できる能力であった。

 左のほうにテキサスコロニーが遠望できる。
 そして、自転する岩陰から、哨戒しているザクを三機発見した。

珠姫「この距離じゃ、通信は気付かれる……」

チャム「待ってよ! 一人で行くつもり!?」

珠姫「先制攻撃で、オーラの光りを出す。それで気付いてくれる!」

チャム「ザクはおっきいのよ! 捕まったら――きゃあっ!」

 忠告の途中で珠姫はダンバインを発進させた。

珠姫「一つめ……そこっ!」

 奇襲は成功だ。
 敵のザクはダンバインを認識しないうちに、オーラソードで頭部を切り離される。

珠姫「右ッ! 二つめ!」

 残った二機が左右からダンバインをターゲットにする。
 だが、それよりも早く動いていた珠姫はオーラショットでザクの胴体を貫いていた。

 ドドォンッ……! ザクが爆破し、体重の軽いダンバインが煽られて最後のザクの前に運ばれる。

ジオン兵「やったぜ!」

チャム「いやぁっ!」

珠姫「わかってる!」

 三者はほぼ同時の声だった。
 ヒートホークを振り下ろすザクの右腕に逆さまになったダンバインの怪鳥のような足のかぎ爪に掴まえられて、腰をひねった横薙ぎの一撃で胴体を輪切りにされる。

ジオン兵「う、うおぉぉ!?」

チャム「爆発しちゃうよ、タマキぃ!」

珠姫「南無三!」

 ザクの下半身を蹴って核融合エンジンの爆発に距離を取ろうとしたが、間に合わなかった。
 オーラバリアーを展開して直撃は免れるがダンバインはふっ飛んでいく。

チャム「きゃぁぁぁぁっ!」

珠姫「コントロールが……っ!?」

 何キロも飛んでいって、ダンバインがようやく止まると、そこは三隻もの戦艦の前だった。

 すぐにビームとミサイルが飛んでくる。

チャム「いやぁぁぁ! 死んじゃうぅぅぅぅぅぅ!」

珠姫「うるさい! 集中できない!」

 オーラ力を背中に集めてエアバックのようにして無理やり挙動を整える。
 大急ぎで船底へ移動する。
 敵の攻撃が散発になるが、代わりにモビルスーツの発進が急がれる。

 珠姫はうるさいミ・フェラリオをつまんで後ろに投げると、冷静になった。
 ムサイが二隻とさらに大きいチベが一隻ある。
 中央のチベは手前にいるムサイが邪魔でこちらを捉えきれない。

 ダンバインはさらに位置を調整して、手前のムサイにオーラショットを撃った。

珠姫「やった!」

 ゴドォォッ……! うまく片方の舷を破壊することに成功する。

 これでチベは舵の利き難くなったムサイに気を取られるはずだ。

チャム「タマキ、早く逃げないと!」

珠姫「うん!」

 ジオン軍の動きは思っていたより性急で、十機のザクと十二機のリック・ドムがすでに発進していた。

珠姫「これはホワイトベースを倒す部隊なんだ!」

 ダンバインを加速させて珠姫は逃げ出す。
 同時に、この敵をこのままホワイトベースに遭遇させてはならないと直感する。

 しかし、思惑は外れてホワイトベースは珠姫を探しに近くに来ていた。

 誤算は良い意味でもあって、艦長のシノンは既に臨戦態勢を整えている。

シノン「珠姫さんの援護を最優先にして、モビルスーツの動きにも注意して」

 出撃していたのは、偵察の交代要員であったすずかとアリサ、そしてゆりえだ。

紀梨乃「タマちゃん、だいじょぶ!?」

珠姫「はい、ありがとうございます」

 手配したのはボチューンに乗っていた紀梨乃だろう。
 突然、ダンバインがルートを外れたのでホワイトベースを呼んだのだ。

シノン「珠姫さん、叱るのは後です。戦闘が継続できるなら、このまま合流してください」

珠姫「はい、いけます!」

 ダンバインを切り返す。
 隣りにガンダムとGファイター、ボチューン、ライディーンが並ぶ。

アリサ「さぁ、さっさと追っ払っちゃうわよ!」

すずか「すごい数だよ!」

ゆりえ「前に出ます!」

 スーパーロボット、ライディーンが楯を構えて敵部隊へ近づいていく。

 先頭のリック・ドムが三機、バズーカを撃つ。

ゆりえ『ゴォォォッド・ブロォォォォォック!』

 大きな手でバズーカの弾を殴り、爆発させる。
 その隙にリック・ドムはライディーンの脇を抜けてガンダムに近づいていく。

すずか「この動き、知ってる!」

 そう、この三機は地上で戦ったドム・パイロット、黒い三連星なのだった。

ガイア「白いヤツめぇ……!」

オルテガ「地上では後れを取ったが、今度はそうはいかねぇぜ」

マッシュ「宇宙が俺たちの戦場なんだよ!」

 シュンッ、シュンとリック・ドムがスラスターを噴かせて滑るように移動してくる。

アリサ「やってやるってのよ!」

 Gファイターがビームを撃つが避けられる。
 そうしているうちに三機が縦に並ぶ。

ガイア「いくぞ、ジェット・ストリーム・アタックだ!」

すずか「その攻撃はもうわかってる!」

 学習型コンピュータが対応策を呼び出すと、警戒予報も一緒に出た。

すずか「そうか、三次元攻撃――ッ!」

 先頭のリック・ドムがバズーカを撃つ。
 その隙に二機目が左下に、三機目が右上に現れた。

オルテガ「喰らえ!」

マッシュ「落ちろ!」

 オルテガが上へ逃げるガンダムの足首をヒートサーベルで切断した。
 そしてマッシュのバズーカがガンダムの正面で放たれるが、運良くシールドに当たった。

すずか「きゃぁぁぁっ!」

 ガンダムがぐらつき、駆け抜けていったリック・ドムは大きく旋回して再びガンダムをロック・オンする。

すずか「ど、どう――上ッ!?」

 接近してくる黒い三連星の攻撃の気配にすずかはビームサーベルに手を伸ばした。

 リック・ドム三機はバズーカを構え、縦に並びながら順に上昇し、ガンダムの頭上を取ろうとしていた。

ガイア「何ぃ!?」

 慌ててガイアはリック・ドムを更に上昇させた。
 ビームがまだ伸びきっていなかったためにガイアは助かったが、その後ろにいる二機は――

オルテガ「うおぉ!」

マッシュ「わぁぁぁ!」

 被害者はオルテガであった。
 十メートルで固定されたビームサーベルに股間から両断され、Iフィールドに守られたシンプル・コクピットを押し出した。

 マッシュは危ないところで上昇に成功し、サーベルからは逃れた。

オルテガ「畜生! バカなーっ!」

ガイア「お、オルテガぁっ!」

 リック・ドムが爆発する。
 そして、ガイアの前にはボチューンがいた。

紀梨乃「たぁーっ!」

 ドスッ! 十字のスコープに剣が突き刺さり、ガイアもまた、武器を失った。

ガイア「ち、畜生! マッシュ? マッシューッ!」

マッシュ「う、うわぁぁーっ!」

 ホワイトベースから発射されたミサイルの四発がマッシュ機を包んだ。

すずか「ひっ!」

 どどぉっ! 爆発の光に乗って何かがすずかにのしかかった気がした。

 でも、それを認識するよりも早く次の敵が来ていた。

ジオン兵「うおぉーっ!」

すずか「ダメっ!」

 正面にきていたリック・ドムに撃ったバルカンが発射直前のバズーカに吸い込まれて暴発させた。

すずか「左、二!」

 持ち替えたライフルを五回、撃つ。

 一機に二発ずつ当たって倒した。

すずか「――ッ!」

 戦慄にスティックを振り回すが、背中に回ってきていたドムから回避をとりきれない。

アリサ「すずかーっ!」

 シュドォッ! 投げるように放たれたミサイルがそれを直撃した。

すずか「前に――!」

 言うより早く動かしている。
 ペダルを踏み込み、バルカンを撃ちまくりながら、ライフルの弾を全部使うつもりで撃ち続ける。

 閃光が三つ見えた。
 もう二機、リック・ドムがいて、ビームライフルを捨ててビームジャベリンを取った。

すずか「前に出てくるからっ!」

 どぅっ! バズーカを楯で受けきって、ジャベリンで頭部を突き刺し、抜くと今度は右に投げて当たった。

ジオン兵「センサーがぁ!」

すずか「おとなしくしててください!」

 言い捨てて、最後のリック・ドムに肉迫していった。

ジオン兵「来るなぁ! 連邦の悪魔!」

 バズーカを構える。
 こんな距離で、とすずかはなじりたかった。

 ガンダムのパンチでバズーカを殴り飛ばし、二本目のビームサーベルで肩と頭部を破壊した。

ジオン兵「うわぁぁ! 脱出する!」

 十機のザクもまた、ライディーンとダンバインに歯が立たなかった。

コンスコン「さ、三分だぞ……! 十三機のザクと十二機のリック・ドムが三分ともたずに全滅か!?」

ジオン通信兵「は、はい」

 重巡洋艦チベに乗っていたコンスコン少将は勇猛果敢なひとかどの司令官だったが、この惨状に椅子から腰を浮かして戦慄いた。

コンスコン「補給も受けていない戦艦一隻に、二十五機のモビルスーツが……ば、化け物か……!」

ジオン通信兵「後方からザンジバルが来ています!」

コンスコン「しゃ、シャナ大佐か!?」

シャナ『手ひどくやられたみたいね』

コンスコン「わ、わたしを笑いに来たのか!?」

シャナ『退くなら今のうちよ』

 その言葉は確かなもので、もはや攻撃の手立てを失ったコンスコンは急いで艦隊を転進させる。

すずか「逃げていく……? あっ!」

 方向を変えるチベの後ろにザンジバルを見たとき、すずかは飛び立つ何かを見た。

すずか「と、鳥だ……白鳥……?」

 白い鳥で、幻影にしか見えないのに、確かにそこにあるかのようにすずかは見ていた。

すずか「な、何が……あぁっ、何かがいる……」

 鳥の形が変わる。
 ひらひらした形――服だ、そして、人だ――

すずか「だ、だれ……あ、あなたは……!」


『美しいものが嫌いな人がいるのかしら?それが年老いて死んでいくのを見るのは悲しいことじゃなくって?』


 それは声などでは決してなかった。
 でも、すずかは確かにそれを認識して、会話をしようとした。

すずか「な、なんで、あなたはジオンの戦艦から出てきて、わ、わたしに話しかけるんですか……」

『私はあなたを感じることができるけど、あなたがどこにいて、何をしているのかわからないの』

すずか「そ、それなら、どうしてわたしに見せるんですか……あ、あなたがいたら……」

『そう、私がいるから……そして、あなたがいるから……』

 それ以上は何も聞けなかった。

 なのに、ジオンの戦艦はようやく転進を終えて全速力で逃げるところだった。

 そして、二人が飛ばしあった思惟が、戦場の片隅を震えさせた。

なのは「あきらめたのかな……」

 ホワイトベースの近くで艦対戦に備えて待機していたなのはが肩を下ろしていると、手元が光った。

レイジングハート『Please prepare it.』

なのは「えっ!?」

 キィン――

なのは「これ、この反応は!?」

レイジングハート『Juwel seed.』

 青白く、魔力が小さな銀河のように渦巻いている。

 途端、なのはは飛んだ。

シノン「なのはさん!?」

なのは「ジュエルシードです! 封印してきます!」

 返事が届くよりも速く、なのははデブリの海を泳いでジュエルシードの場所に飛び込んでいく。

 そして見つけた。
 目的のものと、もう二人――

フェイト「あ……」

 会いたかったか、会いたくなかったか――

 たぶん、会えたらいいな、という気持ち。

アルフ「また……アンタかい!」

バルディッシュ『Seeling form get set.』

レイジングハート『Seeling mode stand by ready.』

 互いのデバイスが変形し、魔力砲の先行波を飛ばす。

アルフ「このっ――ッ!」

アリサ「邪魔すんじゃないわよ!」

 飛びかかろうとしたアルフにGアーマーのバルカンが飛んだ。

 バシンッ! 先行波は同時にジュエルシードを捉えた!

なのは「リリカル・マジカル――!」

フェイト「ジュエルシード・シリアルⅩⅣ!」


なのは・フェイト「「封印!」」


 ズドォッ――!! なのはのディバインバスターが、フェイトのサンダースマッシャーがジュエルシードに降り注ぐ!

 ギュゥッ……シュキィンッ――

 ジュエルシードは、その動作を止め、魔力に捕縛された状態でなのはとフェイトの間に留まった。

 フェイト・テスタロッサは喋らなかった。

 僅かに見つめ合った時間、なのははいろんなことを考えた。

なのは(たぶん、目的があって、それで目的がある同士だから、ぶつかりあうのは仕方がないことかもしれない――だけど……)

 一歩、前に進むと、バルディッシュの宝石が前に出てくる。

なのは「知りたいんだ。私は」

バルディッシュ『Size form.』

 ジュアッ……! 黒い槍に、金色の刃が生まれ、レイジングハートが警戒する。

 だが、なのはは止まらなかった。

なのは「どうして、そんなに――」

 さみしい目をしているの――そう、訊きたかったなのはの願いは届かない。

 フェイトは疾く身を翻し、バルディッシュを構えた。

なのは「っ!」

フェイト「ふっ――!」

 長い柄を振り下ろし、金色の鎌が襲い掛かりレイジングハートがフライアーフィンで回避した。

なのは「フェイトちゃん!」

 呼びかけに応えてはくれなかった。

 距離を稼ごうとするなのはの真後ろにフェイトがブリッツアクションで現れ、またレイジングハートが助けた。

レイジングハート『Please you have attack sequense.』

なのは「でも……でもっ!」

 首を振るなのはにフォトンランサーが飛び、障壁が弾き返す。

なのは「――ッ! フェイトちゃん!」

 奥歯を噛んで、なのはは自分の動きを制御した。

レイジングハート『Divine buster.』

 杖を突き立て、魔力砲を撃つ。
 フェイトは障壁で消し飛ばした衝撃で落ちていきつつ、バルディッシュを構え直す。

 ド、クン――ジュエルシードが息を吹き返すように鼓動するが、だれも気付けない。

なのは「フェイトちゃん!」

フェイト「!?」

 宇宙中に響くんじゃないかと思えるような大きな声がフェイトの鼓膜に飛び込んできた。

なのは「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないかもしれないけど……」

 絶対零度に近い場所で、声は驚くほど澄むけれど――それ以上の何かが、この子にはある……

なのは「だけど! 話さないと、言葉にしないと伝わらないこともきっとあるよ!」

フェイト「ッ――!」

 声にならない驚きが、瞳に表れて揺れる――

なのは「ぶつかりあったり、競い合うことになるのは、仕方ないことかもしれないけど……」

 どうして、まっすぐ――こんなにまっすぐな瞳で、私を……

なのは「このまま、何もわかりあえないままぶつかりあうのは、いやだ!」

 一生懸命、伝えようとしてくれて、ぶつかってこようとしてる子がいて……


『いつか……フェイトにも、できるかもしれませんね――……』


フェイト「私は……」

 それを教えてくれようとした人が――

アルフ「そいつの話を聞いてちゃダメだ! フェイト!!」

フェイト「ッ!」

 血を吐くような叫び声が、フェイトを呼び戻した。

アルフ「アタシたちの最優先事項は、ジュエルシードの捕獲だよ!」

フェイト「……くっ!」

バルディッシュ『Size form.』

 再び、金色の鎌が形成され、なのはを脅かす。

なのは「きゃっ!」

 ばさぁっ! 目をつむった隙にフェイトは身を翻し、ジュエルシードに一直線で飛び込んでいった。

なのは「しまった!」

フェイト「……――ッ!」

 慌ててなのはが追いかけるが、フェイトのほうが速い。

なのは「もっと! もっと! レイジングハート!!」

レイジングハート『Acceleration.』

 応えようとするレイジングハート。

 だが、フェイトが一瞬速く、ジュエルシードにバルディッシュをぶつける!

フェイト「とっ――」

なのは「た――!」

 レイジングハートが交差して、ジュエルシードを掴む!

 ド、クン――ドッ、ドクンッ! 

なのは・フェイト「「ッ!?」」

 ビキッ――! そして――

 バキィィィィィィィンッ!!

 ジュエルシードが青白い光りを爆発させ――

なのは「っきゃぁぁー!」

フェイト「ッ……くうぅっ!」

 ドォォォォォッ!!

 二人は正反対の方向に弾き飛ばされてしまった。

 そして、二人はお互いがしてしまったことを知る。

なのは「レイジングハート!?」

レイジングハート『A……llligh……t……my……mus……ter……』

フェイト「バルディッシュ!」

バルディッシュ『Ye――s……sir……』

 ジュエルシードから放出された強大な魔力をもろに喰らってインテリジェント・デバイスが砕けてしまったのだ。

フェイト「だいじょうぶ、ごめんね、バルディッシュ……」

バルディッシュ『Yes sir……』

 主を弱気にさせまいと、力強く光りを発し、バルディッシュは金色の宝石に戻ってフェイトの手の甲に収まった。

フェイト「おやすみ……」

 やさしく指で撫でると、フェイト・テスタロッサは力強く駆け出した。

アルフ「フェイト!?」

 なのはが傷ついたデバイスに気を取られている隙に、フェイトは手を伸ばしてジュエルシードを掴まえた!

アルフ「そんな……無茶だよ、フェイト!」

 キィィィ……! 手の中に握りしめたジュエルシードが暴走する。

フェイト「と、止まれ……! 止まれ!」

 熱い。炎で熱した石のように熱い。
 手が焼け焦げ、穴が空くかと思うほどに、痛い。

アルフ「フェイトぉ!!」

フェイト「止まれ……止まれ……止まって、止まって!」

 ばしゅぅっ! 何枚もの剃刀で切り付けられたように、手から血が噴き出し、真空に漂って砕けていく。

フェイト「止まって! お願い、いい子だから……止まって!!」

 駄々をこねる赤子をあやすように、願う少女の心を知るのか――

 リィ――リン……

アルフ「フェイト……」

フェイト「……ありがとう」

 発光をやめたジュエルシードを抱きしめ、微笑むフェイトの体がくずおれる。

アルフ「フェイトぉ!」

 急ぎ、小さな体を抱きとめる。

 なんて、軽くて、薄い体なのか……

アルフ「フェイト、フェイトぉ……」

なのは「ぁ……」

アルフ「来るなぁ!!」

 身を削られても、こんな声は出せないような悲鳴に似た声音に、なのはもアリサも動けなくなった。

アルフ「楽しいかい……」

なのは「え……」

アルフ「良い子ぶって! 自分の考えだけ押し通そうとして! 人をこんなに傷つけて、楽しいかって訊いてんだよ、この悪魔!!」

なのは「そんな、つもりじゃ……」

アルフ「だから始末が悪いってんだよ、アンタみたいなガキが! 善人面して……!」

アリサ「何よ! そんなの――」

アルフ「ほっといてくれって言ってるだろ! ずっと前から! もう、やめておくれよ……!」

 小さな粒がこぼれていた。
 小さな主を胸の中に抱きしめて牙を剥き、涙のたまる目で睨みつける狼はただ、希う。

アルフ「これ以上、フェイトを苦しめないでよ……!」

なのは「アルフさん……」

アルフ「アタシたちの問題なんだよ……ややこしくしないでよ……!」

 橙色の魔方陣が生まれ、アルフとフェイトを包んだ。

なのは「あっ……」

アリサ「くっ……」

 二人が反応しようとしたときにはもう遅くて、そこには誰もいなくなっていた。

なのは「……ごめんね、レイジングハート」

 謝る言葉は、自分に向けられるべきものではないと知りながら、宝石は赤く輝く。

レイジングハート『Let's do one's best at the next chance. 』


 第二十五話 思惑! それは、わかりあえない気持ちなの? 完



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