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マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」 その29

2011年10月12日 19:18

マリーダ「了解、マスター」グラハム「マスターとは呼ぶな!」二機目

556 :>>1 ◆/yjHQy.odQ [saga]:2011/07/26(火) 01:00:35.27 ID:xjV4v0OAO

――中東・クルジス――

広い荒野にポツンと取り残された廃墟群を、月の光が白く優しく照らしている
かつては人の営みを支えていたこの場所も、今では砂と風のみが昔を語っていた

ジンネマン「ずぇああっ!!」

ギラ・ドーガの振るう両刃のビーム刃が、GN-Xの胴体部に喰らいつき横一文字に吹き飛ばす
残された下半身が落下し土煙を上げ、唸る風も止み巻き上がる砂も落ち着いた
ようやく戦場に静寂が戻ったのだった

ジンネマン「お前ら、生きてるか?」

クワニ『えぇ、何とか』

アイバン『コイツのじゃじゃ馬具合にはまだ手を焼くってのに。流石はキャプテン、手慣れたもんだ』

ジンネマン「リアルド以前の奴らに比べりゃずっとよく動いてくれる。贅沢言うんじゃねえよ」

専用GNビームアックスの長柄を中心から折り畳み、機体腰部に収納するジンネマン
ギラ・ドーガの左腕には特徴的な形状の盾、更にその裏には二連装ビームガン、B型装備と呼ばれるバリエーション装備が顔を覗かせていた

ジンネマン「利用できる物は何でも利用する……懐事情ってやつだ」

一人ごちながら目の前に転がるGN-Xのビームライフルを回収
隠してある小型の汎用輸送機の方角へと機体を進めていく
このままでは規格が合わず使えないものの、簡単な改造ですぐに使用に足る物へ変えることが出来るのだ

ジンネマン「シュツルムファウストやグレネードは無駄遣いするな。暫くは補給もままならん、節約していくぞ」

『『了解』』

ジンネマン「あいつも連れてこれりゃ良かったが……ユニオンの家族の保護が確認出来なきゃ闘わせるわけにもいかねえしな」

アイバン『次の機会を待ちましょう』

ジンネマン「分かっている」

辺りには偵察に現れた三機のGN-Xが残骸となって転がっている
連絡が途絶えれば直ぐにでも後発が現れるだろう。
それでは、軌道エレベーターによる監視システムが開発される前に事を起こした意味がない

ジンネマン(さっさと移動しないと、また次が来るか……)

ジンネマン「行くぞ。すぐにこの場所から……」

クワニ『キ、キャプテンッ!!』

ジンネマン「っ!」

機体を後方のギラ・ドーガに向けた、その時だった

『あげゃげゃげゃげゃげゃ!!』

反応は、下から飛び出すように突然現れた
空中に躍り出た真紅の機体。広域用無線の回線からは、耳を塞ぎたくなるような爆発的な笑い声が響き渡る
吹き飛ばされたようにくるくると舞い上がりながら、右手の巨大なGNソードが展開し粒子の光を纏う
その刃が描く軌道は、微塵の迷いも無くジンネマン専用ギラ・ドーガに向けられていた

ジンネマン「ちぃっ!!」

とっさにGNビームアックスを掴み、刃を受け止める
粒子が火花となって辺りを眩く照らし上げる、辛うじてパワー負けはしていないようだ
サブモニターは、砂にまみれたMS用のカバーシートがゆっくりと落下するのを捉えている
――まさか、ずっとここに隠れていたのか
ジンネマンは焦りはしなかったものの、降下が何者かに読まれていたという事実に呻いた

『あげゃ、なかなかやるなおっさん』

ジンネマン「ガキの声……だと!?」

『あげゃげゃげゃげゃ!』

『はじめまして……そしてサヨウナラ、だ!』

ジンネマン「嘗めんじゃねえ……よッ!」

機体を捻りながら柄を展開、一気に真紅のMSを弾き飛ばす
弾き飛ばした瞬間自身も反動で下がるが、その瞬間敵の機体は空中で軽やかに反転、ビームサーベルを抜き放ち虚空を切り裂いていた

ジンネマン(少しでも離れるのが遅けりゃ、やられていたってか……!)

『ぎぃっ!』

ジンネマン「近付ける訳には行かねぇ!」

『あげゃげゃげゃげゃげゃ!!』

背筋に刺さる冷たい感覚を振り払いながら、シールドの二連装ビームガンの引き金を引く
幾多の朱い粒弾が敵機に襲い掛かるが、真紅のMSはGNソードを盾代わりに使い、避けることなく向かってくる
その真っ赤な様相はけたたましい笑い声と重なり、ジンネマンにはまるで返り血に濡れた狂人に見えていた

クワニ『キャプテン、援護します!』

アイバン『下がってください!』

ジンネマン「おう……!」

二機のギラ・ドーガが後方から左右に展開、真紅のMSは二機が弾幕を張ってようやく距離を取ってくれた
だが諦めた様子は微塵もない。GNソードを振り上げ、無謀ともいえる突撃をただひたすらに繰り返してきたのだ

クワニ『何つう動きだ、化け物かコイツ!?』

ジンネマン「気張れよお前ら! こんなとこでやられたら、大佐と大佐を信じた同朋に顔向け出来んッ!」

再び風が吹き荒び、砂煙は渦となって巻き上がる
黒の斑と真紅の怪物が、刃と刃をぶつけ合う

ジンネマン「こんなところでェッ!!」

『あげゃげゃげゃッ!』


西暦2308年、【袖付き】と【ガンダム】、最初の邂逅であった



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――イリノイ基地・輸送機グラハム部屋――

グラハム「……」

フェルト「……」

マリーダ「……」

グラハム「……埒があかんな」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「はっ」

グラハム「フェルト・グレイス、少し席を外す。もう一度、自身がどうすればいいかよく考えて貰いたい」

フェルト「…………」

グラハム「君はまだ若い。私としても、君への待遇は穏便に済ませたいのだよ」

グラハム「では、失礼する」

ウィンッ

フェルト「……」

フェルト「私……どうすれば……っ」


――グラハム部屋前――

グラハム「うぅむ……やはり何も喋らん。素性を調べれば早いのだが、今回ばかりはあまり大きな動きを見せられんのが痛い」

マリーダ「マスター、そろそろカタギリ技術顧問とリーサ・クジョウが怪しむ筈です。これ以上の個人的拘留は限界かと……」

グラハム「個人的拘留……あまり良いネーミングではないな。私にその様なアブノーマルな趣味はない、第三者に聞かれたら誤解を招きかねん」


――AEU・ロシア某山中――

刹那「クシュンッ」

刹那「風邪か……?」

――――

マリーダ(19)「……」

グラハム「……私にはその様な趣味は無い、断じてッ!」

マリーダ「承知していますマスター、お気をお鎮め下さい」

グラハム「ぬぅ……」

マリーダ「……しかし、確かにこのまま帰すわけにも行きません。かといって銃を向けた事を出すわけにも行かない……」

マリーダ「ただ彼女に対し、少し下手に出過ぎている気もします。曲がりなりにもマスターのお命を狙った者、立場を考えさせねば……」

グラハム「先刻言ったはずだマリーダ、それに関してはお前も少しは感応したはずだとな」

マリーダ「……それは……」

グラハム「あの時の彼女の興奮状態、あれは何らかの情報を得たとき、周囲の負の感情を取り込んで心が暴走した形だと推測出来る」

グラハム「私にも心当たりがないわけじゃない。アイリス社の軍需工場で新型のガンダムを追い返した時は、他者の怨念や奴等への憎悪が肌を通して骨身に染み着いたような感覚だった」

マリーダ「……」

グラハム「私は軍人で大人だ、ある程度ならば流されずに我を保てようが……」

グラハム「彼女は年端もいかぬ乙女、そうも言ってはいられまい」

マリーダ「では彼女の行為は不可抗力であると、マスターは仰るのですね?」

グラハム「無論、彼女自身に私への敵対心が僅かでもなければああはなるまい」

グラハム「だがそれ以上に……彼女は誰かに支えてもらいたがっている、そう感じたまでのことだ」

マリーダ「し、しかし!」

マリーダ「……感傷です、それは」

グラハム「分かっている、私には彼女が求めているような役は相応しくない」

グラハム「若さ故の感情の流れにつき合えるほど……私は優しい男では無いからな」

グラハム「彼女も先ほどの一件で熟知したはずだ、面倒なことにはならずに済みそうだよ」

マリーダ「……」ホッ

マリーダ(……今何故私は安堵した?)

グラハム「とはいえ、それのせいで話が進まなくなっているのも事実だ。さっきから一言たりとも口を開いてくれんしな」

マリーダ「マスターに求めた感情が無駄になると悟ったから……ですか」

グラハム「感覚としては失恋に近いのだろうか? 私には分からんが、本人と意志の疎通も出来ないのでは話にならん。取引云々以前の問題だ」

マリーダ「沈黙が一番有効であることを彼女は理解してはいないでしょうが、あの様子では心を開いてくれそうにありません」

グラハム「はったりの一つでもぶつければ答えるか……しかし、そういうのはどうにもな」

グラハム「どうやら彼女にも我々のような【素養】は有るようだ。此方に敵意が無いことくらいは感じ取ってもらえればやりやすいが……」

マリーダ「彼女は自身の殻に籠もっています、いくら力が有ろうとも、心に余裕がなければ如何ともし難いかと」

グラハム「感情を制御する、か。私も自信が無い分どうこう言えんが……」

グラハム「はぁ……厄介だな。私は異性への接し方が昔から不慣れな男だ、どうにも上手い手段が浮かびそうにない」

マリーダ「側にいると容易に理解出来ます、マスター」

グラハム「……」

マリーダ「とにかく、彼女の殺人未遂を露見させずとも彼女を易々と帰さないような手を考えれば良い訳ですが……」

グラハム「……どうしたものかな」

『やっほーお二人さん、デートの相談かしら?』

グラハム「!」

マリーダ「!」

ミーナ「お久~、こんなところで正座なんかして、どうしたの?」

マリーダ「……」

グラハム「……」

ミーナ「? どうしたのか(ry」

グラハム「その手があった……逢いたかったぞッ! ミーナ・カーマイン!」

ミーナ「ひゃうっ!?」


――イリノイ基地・暫定NT研究室(元ビリー技術顧問研究室)――

十二畳ほどの広さの部屋に簡単な工事で取り付けたマジックミラーの仕切り壁、事情聴取を行う部屋の一方がかなり広いという感じの暫定研究室
四畳の部屋にはNT脳波に反応するバイオシートが安置され、八畳の部屋にはそれをモニタリングする機器が並んでいる
ビリー・カタギリからミーナ・カーマインが奪い取っ……貸してもらったこの部屋で、フェルトは実験を受けていた


――脳波感知室――

フェルト「……」


――モニタリングルーム――

ミーナ「凄い……まさか此処に来てサイコミュに反応するだけの脳波を出せる子が見つかるなんて……!」

ミーナ「こんな逸材どっから探してきたのよグラハム、貴方って人はいつも突然なんだからもうっ!」カタカタカタ

マリーダ「やはり、か」

グラハム「何……たまたまだ」

グラハム(第一段階はクリア)

マリーダ(問題は第二段階……此方に関してはマスターが行うよりは私がやった方が確実だな)

グラハム「それで、どうだ? 彼女は」

ミーナ「実験用とはいえ、バイオシートにしっかり反応しただけじゃないわ」

ミーナ「暫定的な数値だけでもグラハムを上回っている、此処まで来ればマリーダ中尉並みね。この若さでこの数値……驚嘆に値するわ」

ミーナ「もしかしたら逆に、年齢が若ければ脳波が強くなる傾向にあるのかしら? まだ分からないことが多すぎるけど……」

ミーナ「あの子は間違い無く、本物のニュータイプよ」

マリーダ「……」

グラハム「そうか……」

ミーナ「あ……ごめんなさい。貴方が偽物みたいな言い方だったわね……少し興奮しすぎたわ」

グラハム「構わんよ。私としても自身がニュータイプである実感はあまりない」

グラハム「力があるだけでなく……他者の想いを感じ取れる、彼女やマリーダのような者が、人類の変革の名には相応しい」

マリーダ「マスター……」

グラハム(そろそろか……)

グラハム「マリーダ」

マリーダ「はい、マスター」

ウィンッ

ミーナ「? 彼女は何をしに行ったのかしら」

グラハム「説得だよ。少し思うところがあって、マリーダに頼んだのさ」

ミーナ「説得……?」

グラハム「さて、私も私の仕事にかかるとするか」

グラハム「此方の方が、少し厳しいかも知れんからな」

バタンッ

ビリー「グ、グラハムっ……!」

スメラギ「はぁっ……はぁっ……!!」

グラハム「早かったなカタギリ、それにリーサ・クジョウ氏も」

ミーナ「……リーサ・クジョウ……?」

ミーナ「……」コソッ

グラハム「?」

ビリー「ひぃ……み……見つかったって本当……はぁ……」

グラハム「安心しろカタギリ、彼女ならば無事に保護した」

スメラギ「フェルトッ……!」

グラハム「失礼、それ以上は」スッ

スメラギ「ッ!? 退きなさいよ、何なの貴方!!」

グラハム「失礼といった、そしてこれ以上は進まないで頂きたいとも」

スメラギ「貴方、フェルトに一体何を……ッ!?」

グラハム「そのことについてと、これからのことについて今から説明をさせていただく」

グラハム「重要な話です。我々にとっても、フェルト・グレイス自身にとっても……そして【あなた方】にとっても」

スメラギ「え……」

グラハム「……」

グラハム(荒唐無稽な仮説だが、もしフェルト・グレイスがあの組織に関わっているとすれば……彼女もまた例外では無い)

グラハム(マリーダには言っていなかったが、彼女なら感づいているだろう……さて、説得はどうなるか)

――――

フェルト「取引……ですか?」

マリーダ「あぁ。本来なら、君はこのまま拘束され、身元を徹底的に調べられた挙げ句裁判にかけられる」

フェルト「……ッ」

マリーダ「だがマスターは君の中の【素質】を高く評価している、こちらの要求を飲んでくれるならそれすらも不問になさってくれるそうだ」

フェルト「【素質】……ニュータイプの、ですか」

マリーダ「ほう、自覚はあったのか。名称に関してはゴシップにも取り上げられている、一般人が知っている可能性はあるということにしておこう」

フェルト「っ……」

フェルト(この人、もしかして疑っている……?)

マリーダ「どうした」

フェルト「私に……人殺しをさせるんですか」

マリーダ「馬鹿を言う、マスターに銃を向けたお前にMSなど与えるものか」

フェルト「う……」

マリーダ「……というのは冗談だ。だが私達はお前を戦わせたりは決してしない、安心しろ」

フェルト「え?」

マリーダ「フェルト・グレイス……こんなものはお前のような子が持つもんじゃない」チャキッ

マリーダ「この手を汚すのは、私達だけで十分だ」

フェルト「えっと……あの……」

マリーダ「マリーダ・クルス。階級は中尉だ」

マリーダ「軍には女が少ない。これから君の世話を焼くことになるだろう、宜しく頼む」

フェルト「マリーダ……さん……」

マリーダ「……取引の話をしよう。君のこれからにとって、最も重要な話になる」

フェルト「!」

マリーダ「心して聞いてほしい」

――――

スメラギ「ふざけないでッ!! 」バンッ

グラハム「我々は至って本気だ、ミス・クジョウ」

スメラギ「本気なら尚更よ! 狂ってる……!」

ビリー「お、落ち着いてくれクジョウ! グラハムも突然何を言い出すんだ……!」

グラハム「先ほどの提案、そのままに受け取ってもらって構わん。私は体裁や自らの言葉を取り繕えん男だ」

ビリー「そりゃ君の不器用さなんかいやってくらい知ってるさ!」

ミーナ「おまけに間も悪いわね……怒らせちゃったし」

グラハム「…………とにかく、だ」

グラハム「もう一度言おうミス・クジョウ。NT研究の発展の為、フェルト・グレイスの身柄を我々ユニオン軍に預けてもらいたい」

スメラギ「お断りします! 幾ら力があるからって、フェルトはまだ15歳よ!? そんな子を軍隊にだなんて……」

スメラギ「いかれてる、何を考えたらそんな!」

グラハム「正確に言えば軍属ではなく、軍のNT研究に密接なミーナ・カーマイン女史に預ける形で……」

スメラギ「同じことよ!」

グラハム「……」

スメラギ「兎に角、フェルトは連れて帰ります! 必ず!」

グラハム「……平行線だな……」

グラハム(概ね当然の反応。だがNT研究に対する反応を見れば、このリーサ・クジョウという女もまた何かを隠しているようにも見受けられる)

グラハム(さて、どうしたものかな……やはり女の相手は難しい)

グラハム「……」チラッ

マリーダ「~~~~」

フェルト「~~~~」

グラハム(向こうは巧く言っているようだな、流石はマリーダだ)

グラハム(少なくともミス・クジョウの気概だけは抑えておかねばならんか……正念場だな)

スメラギ「何がニュータイプ……何が人類の変革! 所詮人間は人間よ、そんな妄言にあの子を巻き込まないで!」

ミーナ「……」ピクッ

グラハム「……」

スメラギ「そんなオカルトじみた実験、あなた達だけで勝手にやってればいいでしょう!!」

ミーナ「お言葉ねリーサ・クジョウ……ニュータイプの何たるかも知らないアナタにそんな事は言われたくないわね」

スメラギ「何ですって……!?」

ビリー「ミーナ!?」

ミーナ「ニュータイプは今、戦闘を経験し自ら死地をくぐった者達にしか確認出来ていない……」

ミーナ「彼女が完全な自然発生のニュータイプならば、今ニュータイプに対して向けられている【戦闘種族】という偏見を、唯一拭えるかもしれない存在なのよ」

ミーナ「戦いはさせないし彼女は戦闘区域には近寄らせない。それに少佐や中尉も同じニュータイプ同士、彼女だって問題ないでしょう?」

スメラギ「戦場では何が起こるか分からない、安全な場所なんか何処にも無いことは私がよく知っているわ!」

スメラギ「それに、フェルトと軍人風情を一緒くたに語らないでくれる? 同じじゃないことくらい誰にだって分かる筈なんだけど……!」

ミーナ「風情……?」ピクッ

ビリー「ク、クジョウ……ミーナも、少し落ち着いてくれよ……!」

グラハム「むう……」

グラハム(マズいな、いつの間にか私が入る余地がなくなってしまった)

グラハム(女の戦いが勃発してしまうとは想定外だが……対処出来るか、この私に)

ミーナ「……」

ミーナ「流石、恋人を仲間と殺し合わせた女の言うことは重いわね」

グラハム「何とッ!?」

ビリー「ミーナ!!」

スメラギ「……今、なんて言った……?」

ミーナ「あら、聞こえなかったのかしら? じゃあ良いわよ、独り言みたいなものだし」

ミーナ「そんなに彼女を預けるのが嫌ならアナタも来る? 今回の作戦、掃討戦だから……きっと来るわよ、彼も」

グラハム「……」

ビリー「止めるんだミーナ、君は一体何を!」

グラハム「カタギリ」スッ

ビリー「……グラハム!?」

グラハム「女の戦いに手出しは無用だ。それに今回の件、正攻法ではどうにもならないと判断した」ボソッ

グラハム「卑怯と罵られようと、ここは阿漕な真似に身を染める以外道は無いようだ……辛いだろうが、黙っていてくれ」

ビリー「……ッ」

スメラギ「か、れ……」

ミーナ「アナタが軍を止める理由にもなったグリプス事件……その際カティ・マネキン側について戦い、敵対した味方を皆殺しにした【グリプスの野獣】」

ミーナ「ヤザン・ゲーブルもね」

スメラギ「ッッ……!!」

ミーナ「あら、その顔じゃ知らなかった? 今彼は出所して堂々と軍人に復帰しているわ」

ミーナ「悲しい事件だったわね。同情するわ」

スメラギ「あなたがっ……」

スメラギ「何も知らないあなたがあの事件を語らないで!」

ミーナ「……同じ言葉をそっくりそのまま返すわよ、味方殺しっ!」

スメラギ「っ……!」

パァンッ

ウィンッ

マリーダ「……マスター?」

グラハム「マリーダ、話は終わったか」

マリーダ「はい……しかし」

スメラギ「……っ!」

ビリー「……」

ミーナ「っ……」

マリーダ「何故カタギリ技術顧問がミーナ女史に手を?」

グラハム「……色々とな」

グラハム「それで、どうだった」

マリーダ「はい、フェルト・グレイスは此方の要請に応じました」

スメラギ「えっ……!?」

マリーダ「詳しい話は中で、彼女が待っています」

スメラギ「あなた、一体フェルトに何を……!」

マリーダ「……急げと言われなければ踏み出せんか? 私が我慢出来ている間にさっさと行け、リーサ・クジョウ」ギロッ

スメラギ「つっ……」

ウィンッ

マリーダ「……ふう」

ミーナ「マリーダ中尉、部屋、貸してもらえる?」

マリーダ「……えぇ、どうぞ。鍵です」スッ

ミーナ「ありがと」

ミーナ「……ビリー、彼女にはごめんって伝えといて」

ビリー「ミーナ、僕は……!」

ミーナ「分かってる」

ミーナ「分かってるよ……」

バタンッ

ビリー「……」

グラハム「カタギリ、軽蔑するなら私を軽蔑しろ」

グラハム「先ほどのあの瞬間、唯一打算で動いたのは私だ。私に咎がある」

ビリー「……初めてだよ、女性に手を上げるなんて……」

ビリー「嫌なもんだ……二度とこんなことはしたくない」

グラハム「カタギリ」

ビリー「いや、良いんだ。話がこじれてあらぬ方向に飛んでしまうのは、大人の会話には良くある話だ」

ビリー「あんな収め方しか出来なかった……僕が、僕こそが最低だ」

グラハム「それは違うぞカタギリ……私は!」

ビリー「……少し外の風に当たってくるよ……ごめん」

バタンッ

グラハム「……」

グラハム「どうしてこうなった……全く」ギシッ

マリーダ「マスターの方針に誤りはなかったと思います。誤算だったとすれば、あの三人の関係性が問題だったと……」

グラハム「色恋沙汰は分からん、ただこうなった以上は必ず成功させねばなるまい」

マリーダ「フェルト・グレイスは聡明で溌剌とした人物です。彼女ならば、リーサ・クジョウの説得も可能だと確信しています」

グラハム「そうか……」

グラハム「……何故かな。彼女からニールの匂いがするような気がするんだ、マリーダ」

マリーダ「マスターも……ですか?」

グラハム「! お前もか」

マリーダ「はい……精神感覚的なものですが、そのような気がします」

グラハム「……」

グラハム「まさかとは思うが、もしそうだったとしても」

マリーダ「彼女には何も問うおつもりはない、と?」

グラハム「あぁ」

グラハム「何を見て、何を学ぶかは彼女次第だ……私はその結末が見たいのかもしれん」

マリーダ「ときには保護者の庇護を抜け、苦労を重ねねば子は大きく育ちません」

グラハム「NT研究の為……か。ミーナ女史を結果的にダシに使ってしまったか、今回私は何一つ誇れる面が無い」

マリーダ「省みることが出来るならば次に生かせ、マスターが以前マーセナス准尉にお伝えしていた言葉です」

グラハム「私が冷静でいられるのはお前がいるからさ……マリーダ」

マリーダ「恐縮です」

――――

フェルト「ごめんなさいスメラギさん……私があんな事をあの人にしなければ、こんなことには……」

スメラギ「もう良いのよフェルト……過ぎてしまったことは取り返せないわ」

スメラギ「それより、本当にそれで良いのね?」

フェルト「……」コクン

フェルト「私は、何のために此処に来たいのか、曖昧なままで来てしまったけど」

フェルト「今なら分かるわ……私、ソレスタルビーイング以外の場所から世界を見てみたい」

フェルト「ロックオンや刹那が……クリス達が変えようとした世界を、そして世界がどう変わったのかを、この眼で見てみたいの」

スメラギ「フェルト……」

フェルト「あの人は、マリーダさんは、必ず家に帰してくれるって約束してくれた」

フェルト「あの人と……グラハムさんを、私は信じてついて行ってみたいの……スメラギさん」

スメラギ「……」

スメラギ「あんなに引っ込み思案だったあなたが、こんなに色んなことを自分で考えるようになるなんて……何だか、私だけ置いてかれちゃったみたい」クスッ

フェルト「え?」

ギュッ

スメラギ「フェルト……あなたが選んだ道なら、もう私なんかが口出しすることなんてない」

スメラギ「その代わり約束して……絶対に、絶対に生きて帰るって、約束して」

フェルト「スメラギさん……っ」

ウィンッ

マリーダ「!」

グラハム「……話は、ついたかな」

スメラギ「えぇ」

フェルト「……」

スメラギ「彼女の待遇に関する詳細、連絡手段、話し合わなければならないことは山ほどあるわ」

スメラギ「それにあなたのことだから、上層部との話も折り合いがまだついてないのではなくて? そちらに関してもお話しする必要があるわよね」

グラハム「お察しの通りだと言わせていただこう、流石はミス・クジョウ」

スメラギ「お互いの利益、というよりはフェルトの為だもの」

スメラギ「……さっきは少し熱くなりすぎたわ、ごめんなさい」

グラハム「頭を上げていただきたい。むしろ私こそあなた方には土下座しなくてはならないくらいだ」

マリーダ「やりすぎです、マスター」

スメラギ(そういえば……マスターって……)

フェルト(マスターって……///)

グラハム「では、詳しい話に入りましょう」

スメラギ「長くなるわ。今夜はこの基地に泊めてもらえると助かるんだけれど」

グラハム「手配は五分ほど前に致しました、食事の御用意も既に連絡を通してあります」

スメラギ「あら……気が早いのね」クスッ

グラハム「私は我慢弱い。思ったらすぐに行動せねば気が済まないのですよ」フッ

マリーダ「……」

フェルト「……」

マリーダ「どうした?」

フェルト「! い、いえ……っ」ササッ

マリーダ「……?」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「!」

マリーダ「……了解しました、マスター」

バタンッ

スメラギ「彼女、何処へ?」

グラハム「事後処理の極意は後回しにせず、直ぐに行うものです」

グラハム「彼女なら適任だ、少なくとも私よりは遥かに」

スメラギ「……?」


――マリーダ自室――

ミーナ「ひっく……ひっく……」

マリーダ「ミーナ女史」

ミーナ「あんなごと……あんなごと言うつもりながっだのに……うわぁぁぁぁぁん!」

マリーダ「……」ナデナデ

ミーナ「ビリーにきらわれちゃったよぉ……ぐすっ……あたしのばかぁぁ……」

マリーダ「カタギリ技術顧問は、そんなことで人を嫌いにはなりません」

ミーナ「うぅぅぅ……」グズッ

マリーダ「ほら、鼻水を拭いて」

ミーナ「……っ……」チーン

マリーダ「……泣きたいときは、泣けばいい」

マリーダ「泣けばいいんだ……」

ミーナ「う……うわぁぁぁぁぁ……!」

――――

結果として、フェルト・グレイス襲来事件は双方の思惑を通した形で幕を閉じた
表沙汰になったのはリディ・マーセナス准尉が銃を落としたことによる始末書くらいであり、それ以外の一件は全て闇に葬られていった
取引に関しては水面下の調整が次の日の夕方まで夜を徹して行われたが、フェルトが予想を裏切りリーサ・クジョウにグラハムへの殺人未遂を伝えたことで円滑に事は運び、ホーマー・カタギリの計らいもありフェルトの待遇は異例の速度で決まっていった

そして……


――輸送機・ミーティングルーム――

グラハム「うむ、似合っている。白衣姿もなかなか可憐じゃないか、フェルト・グレイス」

フェルト「何だか、恥ずかしいです……っ」

マリーダ「君はミーナ女史お付きの助手を兼ねながらこちらに同行する、下手に軍服を切ると何が起こるか分からないというリーサ・クジョウ氏の提言だ」

フェルト「我慢します……私服だと何かが違う気がするから」

ミーナ「んふふ~、可愛い助手が増えてお姉さんも鼻が高いわ」

ビリー「ミーナ、使い方が違うような気もするけど……」

グラハム「何か困ったことがあればマリーダやミーナ女史に言うといい。同じ女性の方が何かと捗るだろう」

ミーナ「何でも相談してねフェルトちゃん、何でも……ね?」サワサワ

フェルト「ひゃっ!? ど、どこを触って……!」

ビリー「穏やかじゃないね……刺激が強すぎるよ……」

グラハム「カタギリ……」

マリーダ「……」

ビリー「憐れみの眼差しは止めてくれって言ってるじゃないか! もう……」

グラハム「まあいい、そろそろ出発だ。日程を変えることなくフェルト・グレイスの件を間に合わせられたのは大きいな」

グラハム「だがフェルト・グレイス、やはりミス・クジョウの言っていた通り戦場は危険だ。いつ何時戦闘になるかは分からん、あまり彷徨かないようにな」

フェルト「はい。何かお手伝い出来ることがあれば、何でも言ってください」

グラハム「ふっ、その意気だ。無理はするなよ、戦闘は我々軍人の仕事だ」

マリーダ「マスター……」

グラハム「む、もうそんな時間か……」

グラハム「では失礼する、またなフェルト・グレイス」

フェルト「フェルトで構いません」

グラハム「了解した、フェルト」

マリーダ「……」

グラハム「? 何だマリーダ」

マリーダ「いえ、何も」

グラハム「……穏やかではないな」

ビリー「全くだ」

フェルト「……」

フェルト(ロックオン……あなたの見ていた世界を、私も見てみたい)

フェルト(だから見守っていて、私が此処でもちゃんとやっていけるように)

フェルト(そして……ソレスタルビーイングのみんなの下に帰れるように)

ミーナ「じゃ、早速だけどシュミレータを動かすわ。準備してね」

フェルト「はいっ!」


――遡り、中東――

デュバル『追うかね、キャプテン』

ジンネマン「いや……止めておこう。どうせ追いつかん」

ジンネマン「それより撤収する方が先だ。急ぐぞ!」

一瞬、本当に一瞬の邂逅
まるで此方を品定めするような、ほんの僅かな戦闘行為であった
不審に思ったデュバルが支援に駆けつけてくれたのは、あれからすぐのことであった
ヅダを交えての四対一、圧倒的不利の状況でさえあの真紅のMSを墜とすことは叶わなかった

ジンネマン「……」

背を向けるMSの背からは、ライトグリーンの粒子が絶え間なく吐き出されているのが見える
大佐の言っていたオリジナルの太陽炉を積んだ謎のMS……顔は違ったが、あれもガンダムなのだろうか
また何処かで会うかもしれない。そんな予感が、ジンネマンの背筋を這い回る

ジンネマン「勘弁してくれ……」

           ・
                         ・
                         ・

874『フォン、宜しかったのですか?』

フォン「あぁん?」

874『当初の目的では彼等を撃墜し、第三勢力の出方を見るはずでしたが』

フォン「気が変わった。おれ様と戦ったあのMSのパイロット、ぽっと出の捨て駒じゃあなさそうだ」

フォン「恩を売ってアイツに黒幕までの道案内をさせるのも悪くない……まずは連中の目的を探ってから次を決めるさ」

874『……ただの一度、剣を交えただけなのにですか?』

フォン「あげゃげゃげゃげゃ!」

フォン「おれ様からは誰も、何も、隠せやしない……全てが俺の前では筒抜けになる」

フォン「一度で十分だ、一度でな」

フォン「次は国連軍にちょっかいを出す。キュリオスから回収した太陽炉の搭載も済んでいるはずだからな」

874『では……次の目標は?』

フォン「決まってんだろ」

フォン「頭の上をブンブン飛び回る小うるさいフラッグファイター……おれ様の舞台からご退場願うとしようか」

フォン「あげゃげゃげゃげゃげゃげゃっ!」グシャグシャッ


TO BE CONTINUED...


――???――

アレルヤ「……う……」

プルツー「やぁ、ガンダムマイスター、アレルヤ・ハプティズム」

プルツー「今日はお前に会わせたい奴らがいるんだよ」



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